特許第6553516号(P6553516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6553516消費財の風味および芳香プロファイルに影響を及ぼすための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553516
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】消費財の風味および芳香プロファイルに影響を及ぼすための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/18 20160101AFI20190722BHJP
   A23L 33/185 20160101ALI20190722BHJP
   A23L 33/195 20160101ALI20190722BHJP
   A23L 13/40 20160101ALI20190722BHJP
   C07K 14/795 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   A23L33/18
   A23L33/185
   A23L33/195
   A23L13/40
   C07K14/795ZNA
【請求項の数】26
【全頁数】64
(21)【出願番号】特願2015-552865(P2015-552865)
(86)(22)【出願日】2014年1月13日
(65)【公表番号】特表2016-502867(P2016-502867A)
(43)【公表日】2016年2月1日
(86)【国際出願番号】US2014011347
(87)【国際公開番号】WO2014110532
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2017年1月12日
(31)【優先権主張番号】61/751,816
(32)【優先日】2013年1月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/941,211
(32)【優先日】2013年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/908,634
(32)【優先日】2013年11月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514009867
【氏名又は名称】インポッシブル フーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】フレイザー,ラシェル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,パトリック オレイリー
(72)【発明者】
【氏名】カール,ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ホルツ−シーティンガー,セレスト
(72)【発明者】
【氏名】コーン,エリシア
【審査官】 田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−537178(JP,A)
【文献】 特開2008−206526(JP,A)
【文献】 特公昭42−022194(JP,B1)
【文献】 特公昭49−039824(JP,B1)
【文献】 特開昭51−063971(JP,A)
【文献】 米国特許第02934437(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00136428(EP,A1)
【文献】 米国特許第05039543(US,A)
【文献】 米国特許第03394017(US,A)
【文献】 J. Agric. Food Chem., 2006年,Vol.54,p.1518-1522
【文献】 Meat Science, 2007年,Vol.77,p.63-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/40−5/49
A23L 31/00−33/29
A23L 13/00−17/00
A23L 17/10−17/50
C07K 1/00−19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0.1%〜1%(w/v)のヘム含有タンパク質と、
b)グルコース、リボース、フルクトース、ラクトース、キシロース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、マルトース、ガラクトース、およびこれらの2種以上の混合物から選択される、糖、糖アルコール、糖酸または糖誘導体と
c)システイン、シスチン、セレノシステイン、チアミン、およびこれらの2種以上の混合物から選択される化合物と、
d)1種または複数種の植物タンパク質と
を含み、調理されると、肉製品の食味を再現する、食品。

【請求項2】
動物性製品を含まない、請求項1に記載の食品。
【請求項3】
調理することにより、2−メチル−フラン、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、2−ペンチル−フラン、3,3’−ジチオビス−2−メチル−フラン、2,5−ジメチル−ピラジン、2−メチル−3−フランチオール、ジヒドロ−3−(2H)−チオフェノン、5−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒド、3−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒド、2−メチル−チアゾール、ジメチルスルフィド、デカナール、5−エチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、ジヒドロ−5−ペンチル−2(3H)−フラノン、2−オクタノン、3,5−オクタジエン−2−オン、p−クレゾール、ヘキサン酸、1,3−ビス(1,1−ジメチルエチル)−ベンゼンおよびビス(2−メチル−4,5−ジヒドロ−3−フリル)ジスルフィドから選択される牛肉らしい芳香を有する少なくも2種の揮発性化合物の生成をもたらす、請求項1に記載の食品。
【請求項4】
ヘム含有タンパク質が、配列番号1〜26に示されるポリペプチドに対して少なくとも85%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の食品。
【請求項5】
ヘム含有タンパク質が、単離および精製されたものである、請求項1に記載の食品。
【請求項6】
イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン、グアノシン一リン酸(GMP)およびアデノシン一リン酸(AMP)のうちの1種または複数種をさらに含む、請求項1に記載の食品。
【請求項7】
β−カロテン、α−トコフェロール、コーヒー酸、没食子酸プロピルまたは没食子酸エピガロカテキンのうちの1種または複数種をさらに含む、請求項1に記載の食品。
【請求項8】
植物油、藻類油、ヒマワリ油、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、オリーブオイル、キャノーラ油、ヤシ油およびマンゴーオイルのうちの1種または複数種をさらに含む、請求項1に記載の食品。
【請求項9】
ヤシ油をさらに含む、請求項1に記載の食品。
【請求項10】
乳酸をさらに含む、請求項1に記載の食品。
【請求項11】
イズを含まない、コムギを含まない、酵母を含まない、MSGを含まない、およびタンパク質加水分解生成物を含まない、から選択される1または複数の特性を有する、請求項1に記載の食品
【請求項12】
テクスチャを持たせた植物タンパク質を含む、請求項1に記載の食品。
【請求項13】
.6mM〜20mMの、糖、糖アルコール、糖酸または糖誘導体を含む、請求項1に記載の食品。
【請求項14】
合計で少なくとも10mMの、システイン、シスチン、チアミンまたはこれらのうちの2種以上の混合物を含む、請求項1に記載の食品。

【請求項15】
.8mM〜10mMのシステインを含む、請求項1に記載の食品。
【請求項16】
.1mM〜2mMのチアミンを含む、請求項1に記載の食品。
【請求項17】
少なくも2種の揮発性化合物が、2−メチル−フラン、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、2−ペンチル−フラン、3,3’−ジチオビス−2−メチル−フラン、2,5−ジメチル−ピラジン、2−メチル−3−フランチオール、ジヒドロ−3−(2H)−チオフェノン、5−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒド、3−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒド、2−メチル−チアゾール、ジメチルスルフィド、デカナール、5−エチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、ジヒドロ−5−ペンチル−2(3H)−フラノン、2−オクタノン、3,5−オクタジエン−2−オン、p−クレゾールおよびヘキサン酸から選択される、請求項3に記載の食品。
【請求項18】
調理が、食品を150℃で、3〜5分加熱することを含む、請求項3に記載の食品。
【請求項19】
酢酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、ガンマリノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸およびエルカ酸のうちの1種または複数種をさらに含む、請求項1に記載の食品。
【請求項20】
ヘム含有タンパク質と、糖、糖アルコール、糖酸または糖誘導体と、システイン、シスチン、セレノシステイン、チアミンおよびこれらのうちの2種以上の混合物から選択される化合物とが、それぞれ、食品を調理する際に、少なくとも2種の揮発性化合物を生成する量で存在する、請求項3に記載の食品。
【請求項21】
少なくとも2種の揮発性化合物が、対応する量のヘム含有タンパク質を含まない対照食品の調理では検出可能に生成されない、請求項20に記載の食品。
【請求項22】
調理が、牛肉らしい芳香を有する少なくとも5種の揮発性化合物の生成をもたらす、請求項3に記載の食品。
【請求項23】
調理が、牛肉らしい芳香を有する少なくとも10種の揮発性化合物の生成をもたらす、請求項3に記載の食品。
【請求項24】
調理が、牛肉らしい芳香を有する少なくとも20種の揮発性化合物の生成をもたらす、請求項3に記載の食品。
【請求項25】
少なくとも2種の揮発性化合物が、2−メチル−フランおよびビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィドである、請求項3に記載の食品。
【請求項26】
牛肉製品の食味およびテクスチャを再現する、請求項1に記載の食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年7月12日に出願された米国特許出願第13/941,211号、2013年11月25日に出願された米国特許出願第61/908,634号および2013年1月11日に出願された米国特許出願第61/751,816号の優先権を主張し、同時係属中の特許出願:出願番号PCT/US12/46560;出願番号PCT/US12/46552;2013年9月11日に出願された米国特許出願第61,876,676号および2013年1月11日に出願された米国特許出願第61/751,818号と関連し、それらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、食品、より詳しくは、ヘム補因子などの鉄と錯体を形成している高度共役複素環と、1種または複数の風味前駆体分子とを含む食品に関する。
【背景技術】
【0003】
食物とは、栄養または喜びのために、ヒトを含めた任意の動物によって食されるか、または飲まれる任意の物質である。普通、植物または動物起源のものであり、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミンまたはミネラルなどの必須栄養素を含有し得る。物質は、生物によって摂取され、エネルギーを生成し、生命を維持し、成長を刺激しようとして生物の細胞によって同化される。
【0004】
食物は、通常、植物などの光合成生物にその起源を有する。一部の食物は、植物から直接得られるが、さらに、食物源として使用される動物は、通常、植物に由来する食物をそれらに給餌することによって育てられる。
【0005】
ほとんどの場合、植物または動物食物源は、食物の目的に応じて、さまざまな異なる部分に分割される。種子または果実などの植物の特定の部分は、他のものよりもヒトによって、より高く評価されることが多く、これらは、ヒト消費のために選択されるが、草の茎などの他のあまり望まれない部分は、通常、動物に給餌するために使用される。
【0006】
現在の植物ベースの肉代用品は、大部分は、菜食への移行を引き起こすことができなかった。肉代用品組成物は、通常、押出成形ダイズ/穀物混合物であるが、これは、大部分は、肉を調理し、食する経験にとって代わることができなかった。植物ベースの肉代用品の共通する制約は、同等の肉製品のものよりも均一であるテクスチャおよび食感である。さらに、これらの製品は、大部分は調理済みで、人工風味および芳香が予め組み込まれて販売されなければならないので、それらは芳香、風味および調理中の肉または調理された肉と関連するテクスチャおよび食感などの他の重要な特徴を再現できない。結果として、これらの製品は、大部分は、すでに菜食主義/厳格な菜食主義に傾倒している限定された消費者基盤の興味しか引かず、肉を食することに慣れているより広い消費者区分の興味を引くことはできなかった。特に、調理の間および/または調理の後の肉の芳香および風味により良好にとって代わる改善された植物ベースの肉代用品を有することは有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において、動物もしくは非動物(例えば、植物)ベースの食品または動物および非動物ベースの食品の混合物を含めた消費可能食品の風味および/または芳香プロファイルを調節するための方法および組成物が提供される。いくつかの実施形態では、方法および組成物は、調理プロセスの間および/または調理プロセス後の消費可能食品の風味および/または芳香プロファイルを調節するのに有用である。いくつかの実施形態では、方法および組成物は、調理プロセスの間および/または調理プロセス後の消費可能食品の風味および/または芳香プロファイルを調節する1種または複数の化合物を作製するために使用される。
【0008】
本明細書において提供されるように、理論にとらわれるものではないが、特定の特徴的な肉の風味および/または芳香(例えば、牛肉のような、ベーコンのような、旨味、良い香りする、ブラッディー、ブロスのような、肉汁ソースの、金属のような、ブイヨンのような;表2、7および11を参照のこと)(それと関連する1種または複数の特定の化合物(表3、8、9、12、14、16または17を参照のこと)を含む)が、鉄イオンと錯体を形成している高度共役複素環(例えば、ヘム部分、または鉄イオンと錯体を形成している、ポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コーリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル、コルフィン、クロロフィリン、バクテリオクロリンもしくはイソバクテリオクロリン部分)の存在によって触媒される、1種または複数の風味前駆体分子または組成物の化学反応によって、消費可能食品の調理プロセスの際に生成されると考えられている。このような高度共役複素環部分として、1個または複数の(2、3または4個以上の)ピロール、ピロール様および/またはピロリンサブユニットから構成される複素環式芳香環が挙げられる。鉄イオンと錯体を形成している高度共役複素環は、本明細書において、鉄錯体と呼ばれる。いくつかの実施形態では、ヘム部分は、タンパク質と結合しているヘム部分、非タンパク質性ポリマーと結合しているヘム部分、固相支持体と結合しているヘム部分またはリポソーム中に封入されたヘム部分などのヘム補因子であり得る。いくつかの実施形態では、風味および/または芳香は、鉄錯体の不在下では(例えば、鉄クロリンの不在下では)生じないか、またはヘム補因子の不在下では(例えば、ヘム含有タンパク質の不在下では)生じない。したがって、本明細書に記載されるように、単離クロリン−鉄錯体またはヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)などの鉄錯体は、調理プロセスの際などに、さまざまな食品において肉の風味および/または芳香を作製するために使用され得る。
【0009】
ヘム補因子(例えば、植物レグヘモグロビン(legH)などの植物由来のヘムタンパク質を含めた、例えば、ヘム含有タンパク質)などの1種または複数の鉄錯体を、1種または複数の風味前駆体分子または組成物(例えば、表1または表13を参照のこと)と組み合わせることによって、調理した消費可能食品において、さまざまな良い香りの、肉の芳香および食味(例えば、表2、7および/または11を参照のこと)を作製または提供できる。風味前駆体分子または組成物は、未調理食品に精製形態で添加されてもよく、および/または、例えば、酵母エキス、植物油、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、オリーブオイル、キャノーラ油、ヒマワリ油、ヤシ油、マンゴーオイルまたは藻類油を含めた特定の風味前駆体または組成物のうち1種または複数以上を含有する、および/またはそれらが強化された未調理の消費可能食品中の成分に由来する場合もある。得られた風味および/または芳香プロファイルは、風味前駆体の種類および濃度、反応のpH、調理の長さ、鉄錯体(例えば、ヘム含有タンパク質などのヘム補因子)の種類および量、反応の温度ならびに他の因子の中でも製品の水分活性の量によって調節され得る。
【0010】
1種または複数の風味前駆体分子または組成物は、調理した消費可能食品に、特定の肉の食味および匂い、例えば、牛肉、ベーコン、豚肉、仔羊肉または鶏肉の食味および匂いを与えるよう、調理プロセスの前および/またはその間に未調理の食品に、鉄錯体(例えば、鉄クロロフィリンまたはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)とともに添加され得る。消費可能食品は、動物もしくは非動物ベースの(例えば、植物)食品または動物および非動物ベースの食品の組合せである。例えば、植物ベースの野菜のハンバーガーまたは鶏肉ハンバーガーなどの動物ベースのハンバーガーは、より肉様の、例えば、牛肉様、仔羊肉様、豚肉様、七面鳥肉様、鴨肉様、鹿肉様、ヤク肉様、野牛肉様または他の望ましい肉風味である、調理された風味および/または芳香プロファイルを有するハンバーガーが得られるよう、本開示の組成物および方法を用いて改変され得る。
【0011】
本開示において使用するための食品として、鉄錯体(例えば、ヘム含有タンパク質などのヘム補因子)と、それに含まれる1種または複数の風味前駆体分子とを有するものが挙げられる。ヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)などの鉄錯体および1種または複数の風味前駆体分子は、食品中に均一にまたは不均一に含まれ得る。ヘムタンパク質は、食品に含める前に単離および精製され得る。ヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)などの鉄錯体および1種または複数の風味前駆体分子を含み得る消費可能食品の限定されない例として、ホットドッグ、ハンバーガー、挽肉、ソーセージ、ステーキ、ヒレ肉、ロースト肉、胸肉、もも肉、手羽肉、肉団子、ミートローフ、ベーコン、ストリップ肉、フィンガー肉、ナゲット、平たい骨なし肉またはキューブ肉の形態の、動物ベースもしくは非動物の(例えば、植物ベースの)食品または動物ベースおよび非動物ベースの食品の組合せが挙げられる。
【0012】
本開示において使用するための消費可能食品は、例えば、別の消費可能食品に、その調理プロセスの前、その間、またはその後に付加するための風味付加組成物であり得る。風味付加組成物は、ヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)などの鉄錯体と、1種または複数の風味前駆体とを含み得る。
【0013】
風味付加組成物は、ヘムタンパク質、例えば、単離および精製されたヘムタンパク質を含み得、このような風味付加組成物は、1種または複数の風味前駆体分子または組成物を含む消費可能食品の風味および/または芳香プロファイルを調節するために使用され得る。風味付加組成物は、1種または複数の風味前駆体分子または組成物を含み得、このような風味付加組成物は、ヘムタンパク質、例えば、単離および精製されたヘムタンパク質を含む消費可能食品の風味および/または芳香プロファイルを調節するために使用され得る。
【0014】
風味付加組成物は、限定されるものではないが、スープまたはシチューベース、ブイヨン、例えば、パウダーまたは固形、フレーバー小袋またはシーズニング小袋もしくはシェーカーの形態であり得る。このような風味付加組成物は、さまざまな消費可能食品の風味および/または芳香プロファイルを調節するために使用され得、消費可能食品の調理の前、その間またはその後に消費可能食品に添加され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、鉄錯体(例えば、鉄クロリンまたはヘムタンパク質)および1種または複数の風味前駆体を含むものなどの風味付加組成物を、加熱しながら反応させ(例えば、in vitroで)、目的の特定の風味および/または芳香プロファイルを作製することができ、得られた生成混合物を、目的の消費可能食品に添加することができ、これを、次いで、そのままで食してもよく、または、例えば、さらなる調理によってさらに改変してもよい。いくつかの実施形態では、鉄錯体は、生成混合物を目的の消費可能食品に添加する前に、得られた生成混合物から除去され得る。例えば、鉄錯体は、カラムクロマトグラフィー、例えば、ヘムまたは鉄クロリンを含有するカラムなどのクロマトグラフィー技術を使用して生成混合物から除去され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、ヘム補因子、例えば、ヘムタンパク質などの鉄錯体および1種または複数の風味前駆体風味付加組成物は、ダイズを含まない、コムギを含まない、酵母を含まない、MSGを含まない、およびタンパク質加水分解生成物を含まないものであり得、肉の味がし、高度に良い香りで、基準から外れた臭気または風味を伴わないものであり得る。
【0017】
一態様では、本文書は、ヘム部分などの鉄錯体または鉄イオンと錯体を形成している、ポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コーリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル(bacteriochorophyll)、コルフィン、クロロフィリン、バクテリオクロリンもしくはイソバクテリオクロリン部分と、グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一リン酸(AMP)、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、ヒマワリ油、キャノーラ油、オリーブオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子とを含む食品を特徴とする。ヘム部分は、ヘム含有タンパク質、非ペプチドポリマーと結合しているヘム部分または固相支持体と結合しているヘム部分であり得る。ヘム含有タンパク質は、植物、哺乳動物、酵母または糸状菌または細菌ヘム含有タンパク質であり得る。食品は、2〜100種の、2〜50種の風味前駆体、2〜40種の風味前駆体、2〜35種の風味前駆体、2〜10種の風味前駆体または2〜6種の風味前駆体を含み得る。いくつかの実施形態では、1種または複数の風味前駆体分子は、グルコース、リボース、システイン、システイン誘導体、チアミン、アラニン、メチオニン、リシン、リシン誘導体、グルタミン酸、グルタミン酸誘導体、IMP、GMP、乳酸、マルトデキストリン、クレアチン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、リノール酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。ヘム含有タンパク質は、非共生型ヘモグロビンまたはレグヘモグロビン(例えば、ダイズ、アルファルファ、ルピナス(lupin)、エンドウマメ、ササゲまたはルピナス(lupin)に由来するものなどの植物レグヘモグロビン)であり得る。ヘム含有タンパク質は、配列番号1〜26に示されるポリペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。ヘム含有タンパク質は、単離および精製され得る。食品は、食品等級オイル、調味料、着香料、タンパク質、タンパク質濃縮物、乳化剤、ゲル化剤または食物繊維をさらに含み得る。食品は、肉代用品、スープベース、シチューベース、スナック食品、ブイヨンパウダー、固形ブイヨン、フレーバー小袋または冷凍食品であり得る。食品のいずれも、動物性食品を含まないものであり得る。食品は、小袋またはシェーカー内に密封され得る。
【0018】
この文書はまた、風味化合物を製造する方法を特徴とする。方法は、鉄錯体(例えば、ヘム部分、鉄と錯体を形成しているポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コーリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル(bacteriochorophyll)、コルフィン、クロロフィリン、バクテリオクロリンまたはイソバクテリオクロリン)を、グルコース、フルクトース、アラビノース、リボース グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一リン酸(AMP)、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、キャノーラ油、オリーブオイル、ヒマワリ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子と組み合わせて、混合物を形成することと、混合物を加熱して、フェニルアセトアルデヒド、1−オクテン−3−オン、2−n−ヘプチルフラン、2−チオフェンカルボキサルデヒド、3−チオフェンカルボキサルデヒド、ブチロラクトン、2−ウンデセナール、ピラジン、メチル−、フルフラール、2−デカノン、ピロール、1−オクテン−3−オール、2−アセチルチアゾール、(E)−2−オクテナール、デカナール、ベンズアルデヒド、(E)−2−ノネナール、ピラジン、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、ジメチルトリスルフィド、2−ノナノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,3−ブタンジオン、ヘプタナール、ノナナール、2−オクタノン、1−オクタノール、3−エチルシクロペンタノン、3−オクテン−2−オン、(E,E)−2,4−ヘプタジエナール、(Z)−2−ヘプテナール、2−ヘプタノン、6−メチル−、(Z)−4−ヘプテナール、(E,Z)−2,6−ノナジエナール、3−メチル−2−ブテナール、2−ペンチル−フラン、チアゾール、(E、E)−2,4−デカジエナール、ヘキサン酸、1−エチル−5−メチルシクロペンテン、(E,E)−2,4−ノナジエナール、(Z)−2−デセナール、ジヒドロ−5−ペンチル−2(3H)−フラノン、trans−3−ノネン−2−オン、(E,E)−3,5−オクタジエン−2−オン、(Z)−2−オクテン−1−オール、5−エチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、2−ブテナール、1−ペンテン−3−オール、(E)−2−ヘキセナール、ギ酸、ヘプチルエステル、2−ペンチル−チオフェン、(Z)−2−ノネナール、2−ヘキシル−チオフェン、(E)−2−デセナール、2−エチル−5−メチル−ピラジン、3−エチル−2,5−ジメチル−ピラジン、2−エチル−1−ヘキサノール、チオフェン、2−メチル−フラン、ピリジン、ブタナール、2−エチル−フラン、3−メチル−ブタナール、トリクロロメタン、2−メチル−ブタナール、メタクロレイン、2−メチル−プロパナール、プロパナール、アセトアルデヒド、2−プロピル−フラン、ジヒドロ−5−プロピル−2(3H)−フラノン、1,3−ヘキサジエン、4−デシン、ペンタナール、1−プロパノール、ヘプタン酸、トリメチル−エタンチオール、1−ブタノール、1−ペンテン−3−オン、ジメチルスルフィド、2−エチルフラン、2−ペンチル−チオフェン、2−プロペナール、2−トリデセン−1−オール、4−オクテン、2−メチルチアゾール、メチル−ピラジン、2−ブタノン、2−ペンチル−フラン、2−メチル−プロパナール、ブチロラクトン、3−メチル−ブタナール、メチル−チイラン、2−ヘキシル−フラン、ブタナール、2−メチル−ブタナール、2−メチル−フラン、フラン、オクタナール、2−ヘプテナール、1−オクテン、ギ酸ヘプチルエステル、3−ペンチル−フラン、および4−ペンテン−2−オンからなる群から選択される1種または複数の風味化合物を形成することとを含み得る。ヘム部分は、ヘム含有タンパク質、非ペプチドポリマーと結合しているヘム部分または固相支持体と結合しているヘム部分であり得る。方法は、システイン、リボース、乳酸、リシンおよび/またはチアミンを、ヘム含有タンパク質と組み合わせることを含み得る。
【0019】
別の態様では、本文書は、風味化合物を製造する方法を特徴とする。方法は、ヘム含有タンパク質などの鉄錯体を、グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、IMP、GMP、ピラジン、AMP、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、オリーブオイル、ヒマワリ油、キャノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、メチオニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子を組み合わせて、混合物を形成することと、混合物を加熱して、表3、8または9に示される1種または複数の風味化合物を形成することとを含む。例えば、風味前駆体は、システイン、糖および1種または複数の他の前駆体を含み得る。
【0020】
本文書はまた、食品に、肉様風味(例えば、牛肉様、鶏肉様、豚肉様、仔羊肉様、七面鳥肉様、鴨肉様、鹿肉様または野牛肉様)を付与する方法を特徴とする。方法は、食品を着香組成物と接触させることを含み、着香組成物は、i)ヘム部分(例えば、ヘム含有タンパク質)などの鉄錯体と、ii)グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、IMP、GMP、ピラジン、AMP、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、オリーブオイル、ヒマワリ油、キャノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子とを含み、ここで、食品および着香組成物を一緒に加熱した後に、食品に肉様風味(例えば、牛肉様、鶏肉様、豚肉様、仔羊肉様、七面鳥肉様、鴨肉様、鹿肉様または野牛肉様)が付与される。いくつかの実施形態では、鉄錯体は、食品から除去される。着香組成物は、調味料、着香料、タンパク質、タンパク質濃縮物または乳化剤をさらに含み得る。着香組成物は、小袋またはシェーカー内に密封され得る。
【0021】
別の態様では、本文書は、食品を製造する方法を特徴とする。方法は、単離されたヘム含有タンパク質を、グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、IMP、GMP、ピラジン、AMP、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、ヒマワリ油、ヤシ油、キャノーラ油、アマニ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子と組み合わせて、混合物を形成することと、混合物を加熱することとを含む。
【0022】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関係する技術分野における当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料が、本発明を実施するために使用され得るが、適した方法および材料を以下に記載する。すべての刊行物、特許出願、特許および本明細書に記載される他の参考文献は、参照によりその全文が組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が支配する。さらに、材料、方法および実施例は、単に例示であって、制限であると意図されない。
【0023】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細を、添付の図面および以下の説明に示す。本発明の他の特徴、目的および利点は、説明および図面から、また特許請求の範囲から明らかとなる。特許請求の範囲における単語「含んでいる(comprising)」は、特許法の標準的慣行に従って「本質的にからなる(consisting essentially of)」によって、または「からなる(consisting of)」と置き換えられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1-1】例示的ヘム含有タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
図1-2】例示的ヘム含有タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
図1-3】例示的ヘム含有タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
図1-4】例示的ヘム含有タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
図1-5】例示的ヘム含有タンパク質のアミノ酸配列を示す図である。
図2】Magic Mixを含むまたは含まない肉レプリカの牛肉らしさ等級の棒グラフであり、両方の試料は1%w/v LegHタンパク質を含んで3回重複である。試食者は、1が全く牛肉らしく(beefy)ない、7が牛挽肉とまったく同じようであるとして牛肉らしさを1〜7の尺度で等級づけた。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本文書は、食品の食味および/または芳香プロファイルを調節するための方法および材料に基づく。本明細書において記載されるように、1種または複数の風味前駆体と、鉄と錯体を形成している、1種または複数の高度共役複素環(本明細書において鉄錯体と呼ばれる)とを含有する組成物を使用して、食品の食味および/または芳香プロファイルを調節できる。このような鉄錯体は、ヘム部分または鉄イオンと錯体を形成している他の高度共役複素環(鉄錯体と呼ばれる)を含む。「ヘム」とは、ポルフィリン環の中心の鉄と結合している補欠分子族(Fe2+またはFe3+)を指す。したがって、鉄錯体は、ヘム部分または鉄イオンと錯体を形成しているポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コーリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル、コルフィン、クロロフィリン、バクテリオクロリンまたはイソバクテリオクロリン部分であり得る。食品の食味および/または芳香プロファイルを調節するために使用され得るヘム部分は、ヘム含有タンパク質などのヘム補因子;非ペプチドポリマーまたはリポソーム、ポリエチレングリコール、炭水化物、多糖、シクロデキストリン、ポリエチレンイミン、ポリアクリレートもしくはそれらの誘導体などの他の高分子と結合しているヘム部分;シデロフォア(すなわち、鉄キレート化化合物);あるいはクロマトグラフィー樹脂、セルロース、グラファイト、炭または珪藻土から構成される固相支持体(例えば、ビーズ)と結合しているヘム部分であり得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、鉄錯体が、いくつかの反応を触媒し、加熱または調理を伴わずに風味前駆体を生成する。いくつかの実施形態では、鉄錯体は、加熱または調理の際に不安定化し、鉄を放出する、例えば、タンパク質が変性され、そして、風味前駆体が生じ得る。
【0027】
適した風味前駆体として、糖、糖アルコール、糖誘導体、オイル(例えば、植物油)、遊離脂肪酸、アルファ−ヒドロキシ酸、ジカルボン酸、アミノ酸およびそれらの誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ビタミン、ペプチド、タンパク質加水分解物、抽出物、リン脂質、レシチンおよび有機分子が挙げられる。このような風味前駆体の限定されない例は、表1に提供されている。
【0028】
【表1】
【0029】
いくつかの実施形態では、1種の風味前駆体または2〜100種の風味前駆体、2〜90種の、2〜80種の、2〜70種の、2〜60種のまたは2〜50種の風味前駆体の組合せが使用される。例えば、2〜40種の風味前駆体、2〜35種の風味前駆体、2〜10種の風味前駆体または2〜6種の風味前駆体の組合せが、1種または複数の鉄錯体(例えば、ヘム含有タンパク質などのヘム補因子)とともに使用され得る。例えば、1種または複数の風味前駆体は、グルコース、リボース、システイン、システイン誘導体、チアミン、リシン、リシン誘導体、グルタミン酸、グルタミン酸誘導体、アラニン、メチオニン、IMP、GMP、乳酸およびそれらの混合物(例えば、グルコースおよびシステイン;システインおよびリボース;システイン、グルコースまたはリボースおよびチアミン;システイン、グルコースまたはリボース、IMPおよびGMP;システイン、グルコースまたはリボースおよび乳酸)であり得る。例えば、1種または複数の風味前駆体は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、グルコース、リボース、マルトデキストリン、チアミン、IMP、GMP、乳酸およびクレアチンであり得る。
【0030】
本明細書において、用語「ヘム含有タンパク質」は、「ヘム含有ポリペプチド」または「ヘムタンパク質」または「ヘムポリペプチド」と同義的に使用され得、ヘム部分と共有結合によって、または非共有結合によって結合し得る任意のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ヘム含有ポリペプチドは、グロビンであり、一連の7〜9のアルファへリックスを含むグロビンフォールドを含み得る。グロビン型タンパク質は、任意のクラス(例えば、クラスI、クラスIIまたはクラスIII)のものであり得、いくつかの実施形態では、酸素を輸送または貯蔵できる。例えば、ヘム含有タンパク質は、非共生型のヘモグロビンまたはレグヘモグロビンであり得る。ヘム含有ポリペプチドは、モノマー、すなわち、単一ポリペプチド鎖であり得るか、または二量体、三量体、四量体および/またはより高次のオリゴマーであり得る。ヘム含有タンパク質の酸化Fe2状態の寿命は、ミオグロビンのものと同様であり得るか、またはヘムタンパク質含有消費財が、消費のために製造され、貯蔵され、処理されるか、または準備される条件下では、10%、20%、30%、50%、100%またはそれ以上を超え得る。ヘム含有タンパク質の酸化されていないFe2+状態の寿命は、ミオグロビンのものと同様であり得るか、またはヘムタンパク質含有消費財が、消費のために製造され、貯蔵され、処理されるか、または準備される条件下では、10%、20%、30%、50%、100%またはそれ以上超え得る。
【0031】
ヘム含有ポリペプチドの限定されない例として、アンドログロビン、サイトグロビン、グロビンE、グロビンX、グロビンY、ヘモグロビン、ミオグロビン、エリスロクルオリン、ベータヘモグロビン、アルファヘモグロビン、プロトグロビン、シアノグロビン、サイトグロビン、ヒストグロビン、ニューログロビン、クロロクルオリン、末端切断型ヘモグロビン(例えば、HbNまたはHbO)、末端切断型2/2グロビン、ヘモグロビン3(例えば、Glb3)、シトクロムまたはペルオキシダーゼを挙げることができる。
【0032】
本明細書において記載される組成物および食品において使用され得るヘム含有タンパク質は、哺乳動物(例えば、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、雄ウシまたはウサギなどの家畜)、鳥類、植物、藻類、真菌(例えば、酵母または糸状菌)、繊毛虫類または細菌由来であり得る。例えば、ヘム含有タンパク質は、家畜(例えば、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、雄ウシまたはウサギ)などの哺乳動物またはシチメンチョウもしくはニワトリなどの鳥類由来であり得る。ヘム含有タンパク質は、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)またはニコチアナ・シルベストリス(Nicotiana sylvestris)(タバコ);ゼア・メイズ(Zea mays)(トウモロコシ)、アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)、グリシン・マックス(Glycine max)(ダイズ)、シサー・アリティナム(Cicer arietinum)(ガルバンゾまたはヒヨコマメ)、サヤエンドウまたはスナップエンドウなどのピサム・サチバム(Pisum sativum)(エンドウマメ)亜種、サヤマメ、クロマメ、白インゲンマメ、ノーザンビーンまたはインゲンマメなどの一般的な豆のファセオラス・バルガリス(Phaseolus vulgaris)亜種、ビグナ・ウンギィクラタ(Vigna unguiculata)亜種(ササゲ)、ビグナ・ラジアタ(Vigna radiata)(リョクトウ)、シロバナハウチワマメ(Lupinus albus)(ルピナス)またはメディカゴ・サティバ(Medicago sativa)(アルファルファ)などのマメ科植物;ブラシカ・ナプス(Brassica napus)(セイヨウアブラナ);トリチカム(Triticum)種(コムギの粒およびスペルトを含めたコムギ);ゴシピウム・ヒルスツム(Gossypium hirsutum)(ワタ);オリザ・サティバ(Oryza sativa)(イネ);ジザニア(Zizania)種(野生のイネ);ヘリアンサス・アンヌース(Helianthus annuus)(ヒマワリ);ベータ・ブルガリス(Beta vulgaris)(サトウダイコン);ペニセツム・グラウカム(Pennisetum glaucum)(トウジンヒエ);アカザ(Chenopodium)種(キノア);ゴマ(Sesamum)種(ゴマ);リナム・ウシタチシマム(Linum usitatissimum)(アマ);またはホルデウム・ウルガレ(Hordeum vulgare)(オオムギ)などの植物由来であり得る。ヘム含有タンパク質は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、マグナポルテ・オリゼ(Magnaporthe oryzae)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、ミセリオプテラ・サーモフィル(Myceliopthera thermophile)、クルイベラ・ラクチス(Kluyvera lactis)またはフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)などの真菌から単離され得る。ヘム含有タンパク質は、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、巨大菌(Bacillus megaterium)、シネコシスティス(Synechocistis)種、アキフェックス・エオリカス(Aquifex aeolicus)、メチルアシジフィラム・インファーノラム(Methylacidiphilum infernorum)などの細菌またはサーモフィルス(Thermophilus)属などの好熱性菌から単離され得る。多数のヘム含有タンパク質の配列および構造が公知である。例えば、Reedy, et al., Nucleic Acids Research, 2008, Vol. 36, Database issue D307-D313およびhttp://hemeprotein.info/heme.php.のワールドワイドウェブで利用可能なヘムタンパク質データベースを参照のこと。
【0033】
例えば、非共生型ヘモグロビンは、ダイズ、発芽ダイズ、アルファルファ、ゴールデンフラックス(golden flax)、クロマメ、ササゲ(black eyed pea)、ノーザン(northern)、ガルバンゾ、リョクトウ、ササゲ(cowpeas)、インゲンマメ、ポッドエンドウ、キノア、ゴマ、ヒマワリ、コムギの粒、スペルト、オオムギ、野生イネまたはイネからなる群から選択される植物に由来し得る。
【0034】
食品を製造するために使用され得る本明細書において記載されるヘム含有タンパク質のいずれも、対応する野生型ヘム含有タンパク質またはヘム結合モチーフを含有するその断片のアミノ酸配列に対して、少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%)の配列同一性を有する。例えば、ヘム含有タンパク質は、ビグナ・ラジアタ(Vigna radiata)(配列番号1)、ホルデウム・ウルガレ(Hordeum vulgare)(配列番号5)、ゼア・メイズ(Zea mays)(配列番号13)、オリザ・サティバ(Oryza sativa)亜種ジャポニカ(japonica)(イネ)(配列番号14)またはアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)(配列番号15)由来のものなどの非共生型ヘモグロビン、メチルアシジフィラム・インファーノラム(Methylacidiphilum infernorum)(配列番号2)由来のものなどのヘルズゲート(Hell's gate)グロビンI、アキフェックス・エオリカス(Aquifex aeolicus)(配列番号3)由来のものなどのフラボヘモタンパク質、グリシン・マックス(Glycine max)(配列番号4)、ピサム・サチバム(Pisum sativum)(配列番号16)またはビグナ・ウンギィクラタ(Vigna unguiculata)(配列番号17)由来のものなどのレグヘモグロビン、マグナポルテ・オリゼ(Magnaporthe oryzae)(配列番号6)またはフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)(配列番号7)由来などのヘム依存性ペルオキシダーゼ、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)(配列番号8)由来のチトクロームCペルオキシダーゼ、クラミドモナス・モエブシィ(Chlamydomonas moewusii)(配列番号9)、テトラヒメナ・ピリフォルミス(Tetrahymena pyriformis)(配列番号10、I群末端切断型)、ゾウリムシ(Paramecium caudatum)(配列番号11、I群末端切断型)由来の末端切断型ヘモグロビン、クロコウジカビ(Aspergillus niger)(配列番号12)由来のヘモグロビンまたはウシ(Bos taurus)(配列番号18)ミオグロビン、イノシシ(Sus scrofa)(配列番号19)ミオグロビン、ウマ(Equus caballus)(配列番号20)ミオグロビンなどの哺乳動物ミオグロビンタンパク質、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)(配列番号21)、枯草菌(Bacillus subtilis)(配列番号22)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)(配列番号23)、シネコシスティス(Synechocystis)属PCC6803(配列番号24)、シネココッカス(Synechococcus)種PCC7335(配列番号25)またはイシクラゲ(Nostoc commune)(配列番号26)由来のヘムタンパク質を含めた、図1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有し得る。
【0035】
2種のアミノ酸配列間の同一性パーセントは、以下の通りに決定できる。まず、アミノ酸配列を、BLASTPバージョン2.0.14を含有するBLASTZの独立型から得られるBLAST2 Sequences(Bl2seq)プログラムを使用してアラインする。このBLASTZの独立型は、Fish & Richardsonのウェブサイト(例えば、www.fr.com/blast/)または米国政府の国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)のウェブサイト(www.ncbi.nlm.nih.gov)から入手できる。Bl2seqプログラムの使用方法を説明する使用説明書は、BLASTZに付随するリードミーファイル中に見出すことができる。Bl2seqは、BLASTPアルゴリズムを使用して2種のアミノ酸配列間の比較を実施する。2種のアミノ酸配列を比較するために、Bl2seqの選択肢を以下の通りに設定する:−iは、比較されるべき第1のアミノ酸配列を含有するファイルに設定する(例えば、C:\seq1.txt);−jは、比較されるべき第2のアミノ酸配列を含有するファイルに設定する(例えば、C:\seq2.txt);−pは、blastpに設定する;−oは、任意の所望のファイル名に設定する(例えば、C:\output.txt);すべての他の選択肢は、そのデフォルト設定のままとする。例えば、以下のコマンドを使用して、2種のアミノ酸配列間の比較を含有する出力ファイルを作製できる:C:\Bl2seq −i c:\seq1.txt −j c:\seq2.txt −p blastp −o c:\output.txt。2種の比較された配列が相同性を共有する場合には、設計された出力ファイルは、アラインされた配列としてそれらの相同性の領域を示す。2種の比較された配列が、相同性を共有しない場合には、設計された出力ファイルは、アラインされた配列を示さない。同様の手順が、blastnが使用される点を除いて核酸配列についてたどられ得る。
【0036】
一度アラインされると、両配列中に同一アミノ酸残基が示される位置数を計数することによってマッチ数を決定する。同一性パーセントは、マッチ数を全長ポリペプチドアミノ酸配列の長さで除し、続いて、得られた値に100を乗じることによって決定する。なお、同一性パーセント値は、最も近い10分の1に四捨五入される。例えば、78.11、78.12、78.13および78.14は、78.1に切り捨てられ、78.15、78.16、78.17、78.18および78.19は、78.2に切り上げられる。また、長さの値は、常に整数となる。
【0037】
いくつかの核酸は、特定のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードし得るということが認識される。遺伝暗号の縮重は、当技術分野では周知である;すなわち、多数のアミノ酸について、アミノ酸のコドンとして働く2種以上のヌクレオチドトリプレットがある。例えば、所与の酵素のコード配列中のコドンは、その種の適当なコドンバイアス表を使用して、特定の種(例えば、細菌または真菌)における最適発現が得られるよう改変され得る。
【0038】
ヘム含有タンパク質は、供給源材料から(例えば、動物組織または植物、真菌、藻類もしくは細菌バイオマスから、または分泌タンパク質については培養上清から抽出される)または供給源材料の組合せ(例えば、複数の植物種)から抽出され得る。レグヘモグロビンは、農産物マメ科植物作物(例えば、ダイズ、アルファルファまたはエンドウマメ)の使用されていない副産物として容易に入手可能である。米国では、これらの作物の根中のレグヘモグロビンの量は、米国で消費されるすべての赤身肉のミオグロビン含量を超える。
【0039】
いくつかの実施形態では、ヘム含有タンパク質の抽出物は、供給源材料(例えば、他の動物、植物、真菌、藻類または細菌タンパク質)由来の、または供給源材料の組合せ(例えば、種々の動物、植物、真菌、藻類または細菌)由来の1種または複数の非ヘム含有タンパク質を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、ヘム含有タンパク質は、供給源材料(例えば、他の動物、植物、真菌、藻類または細菌タンパク質)のその他の成分から単離および精製される。本明細書において、用語「単離および精製された」とは、ヘム含有タンパク質の調製物が、少なくとも60%純粋である、例えば、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%を超えて純粋であることを示す。理論にとらわれるものではないが、タンパク質を単離および精製することは、不必要な材料が排除されるので、食品が、食品の特性を上回るより大きな一貫性およびより大きな制御をもって製造されることを可能にし得る。タンパク質は、その分子量に基づいて、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、膜を介した限外濾過または密度遠心分離によって分離され得る。いくつかの実施形態では、タンパク質は、その表面電荷に基づいて、例えば、等電沈殿、陰イオン交換クロマトグラフィーまたは陽イオン交換クロマトグラフィーによって分離され得る。タンパク質はまた、その溶解度に基づいて、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、等電沈殿、界面活性剤、洗浄剤または溶媒抽出によって分離され得る。タンパク質はまた、別の分子に対するその親和性によって、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィー、反応性色素またはヒドロキシアパタイトを使用して分離され得る。アフィニティークロマトグラフィーはまた、ヘム含有タンパク質に対して特異的結合親和性を有する抗体、Hisタグを付けた組換えタンパク質に対するニッケルNTA、糖タンパク質の糖部分と結合するレクチンまたはタンパク質と特異的に結合するその他の分子を使用することを含み得る。
【0041】
ヘム含有タンパク質はまた、ポリペプチド発現技術(例えば、細菌細胞、昆虫細胞、酵母などの真菌細胞、タバコ、ダイズもしくはシロイヌナズナ(Arabidopsis)などの植物細胞または哺乳動物細胞を使用する異種発現技術)を使用して組換えによって生成され得る。いくつかの場合には、標準ポリペプチド合成技術(例えば、液相ポリペプチド合成技術または固相ポリペプチド合成技術)がヘム含有タンパク質を合成によって生成するために使用され得る。いくつかの場合には、ヘム含有タンパク質を生成するためにin vitro転写翻訳技術が使用され得る。
【0042】
消費財に使用されるタンパク質は、溶液に可溶性であり得る。いくつかの実施形態では、単離および精製されたタンパク質は、5、10、15、20、25、50、100、150、200または250g/L超で溶液に可溶性である。
【0043】
いくつかの実施形態では、単離および精製されたタンパク質は、実質的にその天然フォールドにあり、水溶性である。いくつかの実施形態では、単離および精製されたタンパク質は、その天然フォールドで50、60、70、80または90%超である。いくつかの実施形態では、単離および精製されたタンパク質は、50、60、70、80または90%超水溶性である。
【0044】
風味および/または芳香プロファイルを調節すること
本明細書において記載されるように、風味前駆体の種々の組合せを、1種または複数の鉄錯体(例えば、鉄クロリン、クロリン−鉄錯体またはヘム含有タンパク質などのヘム補因子またはポリエチレングリコールなどの非ペプチドポリマーと、もしくは固相支持体と結合しているヘム)とともに使用し、風味前駆体および鉄錯体を、一緒に加熱する場合に(例えば、調理の間に)、種々の風味および芳香プロファイルを製造することができる。得られた風味および/または芳香プロファイルは、風味前駆体の種類および濃度、反応のpH、調理の長さ、鉄錯体(例えば、ヘム含有タンパク質などのヘム補因子、非ペプチドポリマーもしくは高分子と結合しているヘムまたは固相支持体と結合しているヘム)の種類および量、反応の温度ならびに他の因子の中でも製品の水分活性の量によって調節され得る。ヘム部分が、セルロースまたはクロマトグラフィー樹脂、グラファイト、炭または珪藻土などの固相支持体と結合している実施形態では、風味を作製するために、固相支持体(例えば、ビーズ)は、糖および/または1種もしくは複数の他の風味前駆体とともにインキュベートされ得、次いで、付着したヘム部分を有する固相支持体は再利用、すなわち、風味を作製するために、糖および/または1種もしくは複数の他の風味前駆体とともに再度インキュベートされ得る。
【0045】
表2は、1種または複数の風味前駆体と、1種または複数のヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)を組み合わせることによって作製し得る風味の種類の限定されない例を提供する。また、表7および/または11も参照のこと。
【0046】
【表2】
【0047】
風味および芳香プロファイルは、ヘム補因子(例えば、ヘム含有タンパク質)と風味前駆体間の化学反応によって形成された種々の化合物によって作製される。ガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS)を使用して、試験試料内の種々の化合物が分離および同定され得る。例えば、揮発性化学物質は、ヘム含有タンパク質および1種または複数の風味前駆体を加熱した後に、ヘッドスペースから単離され得る。
【0048】
表3は、生成され得る化合物の非限定例を提供する。表8、9、12および/または14も参照のこと。
【0049】
【表3】
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンまたはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、鶏挽肉の存在下で加熱して、通常、牛肉において高められる特定の揮発性風味および臭気物質成分を増大する。例えば、プロパナール、ブタナール、2−エチル−フラン、ヘプタナール、オクタナール、トランス−2−(2−ペンテニル)フラン、(Z)−2−ヘプテナール、(E)−2−オクテナール、ピロール、2,4−ドデカジエナール、1−オクタナール、(Z)−2−デセナールまたは2−ウンデセナールが、ヘム含有タンパク質の存在下で増大され得、これらは、鶏肉に、より牛肉のような風味を付与し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンまたはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、システインおよびグルコースまたは他の風味前駆体の組合せの存在下で加熱して、3種の成分の任意のサブセットが個別に使用される場合とは異なる揮発性臭気物質のプロファイルを提供する。これらの条件下で増大される揮発性風味成分として、それだけには限らないが、フラン、アセトン、チアゾール、フルフラール、ベンズアルデヒド、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、5−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒド、3−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒド、3−チオフェンメタノールおよびデカノールが挙げられる。例えば、表8および9を参照のこと。これらの条件下で、システインおよびグルコースは、単独で、またはグルカン酸鉄(ferrous glucanate)などの鉄塩の存在下で、亜硫酸臭気を生成したが、ヘム含有タンパク質の添加は、亜硫酸臭気を低減し、それを、それだけには限らないが、チキンブロス、焼けたキノコ、糖蜜およびパンを含めた風味と置き換えた。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンまたはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、システインおよびリボースの存在下で加熱して、異なる揮発性臭気物質のプロファイルを提供する。リボースの存在下で加熱することは、ヘム含有タンパク質およびグルコースを一緒に加熱した場合と比較して、いくつかのさらなる化合物を作製した。表8および9を参照のこと。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロロフィリン(chlorophillin)またはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、チアミンおよび糖の存在下で加熱し、5−チアゾールエタノール、4−メチル−フラン、3,3’−ジチオビス[2−メチル−フラン、および/または4−メチルチアゾールの形成に影響を及ぼすことができる。これらの化合物は、肉中に存在し、牛肉のような、肉の食味の様子を有することがわかっている。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンまたはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、イノシン一リン酸および/またはグアノシン一リン酸などのヌクレオチドの存在下で加熱して、(E)−4−オクテン、2−エチル−フラン、2−ペンタノン、2,3−ブタンジオン、2−メチル−チアゾール、メチル−ピラジン、トリデカン、(E)−2−オクテナール、2−チオペンカルボキシアルデヒド(thiopenecarboxaldehyde)および/または3−チオペンカルボアルデヒドなどの風味化合物の形成を制御することができる。これらの化合物は、肉中に存在し、牛肉のような、肉の、バターのような、およびまたは良い香りの風味の様子を有することがわかっている。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンまたはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、リシン、リボースなどの糖およびシステインの存在下で加熱して、ジメチルトリスルフィド、ノナナール、2−ペンチルチオフェン、2−ノネナールフルフラール、1−オクタノール、2−ノネナール、チアゾール、2−アセチルチアゾール、フェニルアセトアルデヒドおよび/または2−アセチルチアゾールなどの風味化合物の形成を制御することができる。これらの化合物は、肉中に存在し、いくつかは、牛肉のような、肉の、およびまたは良い香りの風味を有することがわかっている。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンまたはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、乳酸、リボースなどの糖およびシステインの存在下で加熱して、風味化合物ノナナール、チアゾール、2−アセチルチアゾールおよび/または8−メチル1−ウンデセンの形成を制御することができる。これらの化合物は、肉中に存在し、牛肉のような、良い香りの、茶色の、パンの、および麦芽の様子を有することがわかっている。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンまたはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)を、アミノ酸、グルコース、リボースおよびマルトデキストリンなどの糖、乳酸、チアミン、IMP、GMP、クレアチンならびに塩化カリウムおよび塩化ナトリウムなどの塩の存在下で加熱して、1,3−ビス(1,1−ジメチルエチル)−ベンゼン、2−メチル3−フランチオールおよび/またはビス(2−メチル−4,5−ジヒドロ−3−フリル)ジスルフィドなどの風味化合物の形成を制御することができる。これらの化合物は、肉中に存在し、牛肉のような様子を有することがわかっている。また、表14も参照のこと。
【0058】
いくつかの実施形態では、風味化合物の形成を制御するために、特定の種類のヘム含有タンパク質が選択される。例えば、1種または複数の風味前駆体化合物を含有する風味反応混合物中の、異なる種類のヘムタンパク質(LegH、オオムギ、B.ミオグロビン(myoglobin)またはA.エオリカス(A. aeolicus))の添加が、それだけには限らないが、ペンタノン、3−メチルブタナール、2−メチルブタナール、2−ヘプテナール、1−オクテン、ノナナール、2−プロペナール、2−デセナール、2−ノナノン、2−オクタノン、2−トリデセン−1−オール、2−オクタノン、2−オクテナール、4−メチル−2−ヘプタノン、オクタナール、2−ウンデセナール、ブチロラクトン、1−オクテン−3−オン、3−メチルヘプチルアセテートおよび2−ペンチル−チオフェンを含めた、同一の重要な肉風味の多くをもたらすことを示す、表9の結果を参照のこと。これらの風味化合物の相違は、全体的な食味プロファイルを変更し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される鉄錯体(例えば、鉄クロリンまたはヘム含有タンパク質などのヘム補因子)および1種または複数の風味前駆体を、加熱しながら反応させ(例えば、in vitroで)、目的の特定の風味および/または芳香プロファイルを作製することができ、得られた風味付加組成物を、目的の消費可能食品に添加することができ、次いで、これをそのままで食してもよく、またはさらなる調理によってさらに改変してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、任意の望ましくない風味は、活性炭を用いて脱臭することによって、または植物タンパク質の調製物を使用する場合に微量で存在し得、不飽和トリアシルグリセリド(リノール酸またはリノレン酸など)を、より小さいより揮発性の分子に変換し得るリポキシゲナーゼ(LOX)などの酵素を除去することによって最小化され得る。LOXは、エンドウマメ、ダイズおよびピーナッツなどのマメ科植物ならびにイネ、ジャガイモおよびオリーブ中に天然に存在する。マメ科植物粉が、別個のタンパク質画分に分画される場合には、LOXは、熟成または貯蔵時に望ましくない風味を引き起こし得る望ましくない「時限爆弾」として作用し得る。植物タンパク質(例えば、挽いた植物種子に由来する)を含有する組成物を、精製に付し、例えば、LOXと結合し、タンパク質試料からそれを除去する親和性樹脂を使用してLOXを除去することができる。親和性樹脂は、ビーズまたは樹脂などの固相支持体と結合しているリノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、オレイン酸、没食子酸プロピルまたは没食子酸エピガロカテキンであり得る。例えば、WO2013138793を参照のこと。さらに、食品のタンパク質成分に応じて、抗酸化物質および/またはLOX阻害剤のある特定の組合せは、特に、脂肪およびオイルの存在下で、異臭または悪臭の生成を最小化するための有効な薬剤として使用され得る。このような化合物として、例えば、1種または複数のβ−カロテン、α−トコフェロール、コーヒー酸、没食子酸プロピルまたは没食子酸エピガロカテキンを挙げることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、表3、8、9、12、14、16または17に記載されたものなどの特定の風味化合物は、風味付加組成物から単離および精製され得る。これらの単離および精製された化合物は、食品および香料産業にとって有用な風味を作製するための成分として使用され得る。
【0062】
風味付加組成物は、それだけには限らないが、スープまたはシチューベース、ブイヨン、例えば、パウダーまたは固形、フレーバー小袋またはシーズニング小袋もしくはシェーカーの形態であり得る。このような風味付加組成物は、さまざまな食品の風味および/または芳香プロファイルを調節するために使用され得、食品の調理の前、その間またはその後に消費可能食品に添加され得る。
【0063】
食品
1種または複数の風味前駆体と、1種または複数のヘム含有タンパク質とを含有する食品は、肉代用品、スープベース、シチューベース、スナック食品、ブイヨンパウダー、固形ブイヨン、フレーバー小袋または冷凍食品を含めた、さまざまなさらなる食品を配合するためのベースとして使用され得る。肉代用品は、例えば、ホットドッグ、ハンバーガー、挽肉、ソーセージ、ステーキ、ヒレ肉、ロースト肉、胸肉、もも肉、手羽肉、肉団子、ミートローフ、ベーコン、ストリップ肉、フィンガー肉、ナゲット、平たい骨なし肉またはキューブ肉として配合され得る。
【0064】
さらに、本明細書において記載される食品は、他の食品(例えば、肉模造品、肉代用品、豆腐、模造鴨肉または他のグルテンベースの植物製品、テクスチャを持たせたダイズタンパク質などのテクスチャを持たせた植物タンパク質、豚肉、魚肉、仔羊肉または鶏肉もしくは七面鳥肉製品などの家禽製品)の食味および/または芳香プロファイルを調節するために使用され得、調理の前またはその間に、他の食品に適用され得る。本明細書において記載された食品を使用することは、非肉製品に、または家禽製品に、特定の、肉の食味および匂い、例えば、牛肉またはベーコンの食味および匂いを提供し得る。
【0065】
本明細書において記載される食品は、組成物が、調理の前またはその間に、食品の頂部にまき散らされるか、広げられ得るように個々の小袋またはシェーカー内に密封されることを含めた種々の方法でパッケージングされ得る。
【0066】
本明細書において記載される食品は、キャノーラ油、コーン油、ヒマワリ油、ダイズ油、オリーブオイルまたはヤシ油などの食品等級オイル、食用塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)またはハーブ(例えば、ローズマリー、タイム、バジル、セージまたはミント)などの調味料、香味剤、タンパク質(例えば、ダイズタンパク質単離物、コムギグルテン、エンドウマメビシリン、および/またはエンドウマメレグミン)、タンパク質濃縮物(例えば、ダイズタンパク質濃縮物)、乳化剤(例えば、レシチン)、ゲル化剤(例えば、k−カラギーナンまたはゼラチン)、食物繊維(例えば、タケ繊維またはイヌリン)またはミネラル(例えば、ヨウ素、亜鉛、および/またはカルシウム)を含めたさらなる成分を含み得る。
【0067】
本明細書において記載される食品はまた、ターメリックもしくはビートジュースなどの天然の着色剤またはアゾ染料、トリフェニルメタン、キサンテン、キニン、インジゴイド、二酸化チタン、赤3番、赤40番、青1番または黄色5番などの人工着色剤を含み得る。
【0068】
本明細書において記載される食品はまた、一酸化炭素、亜硝酸薬、メタ重亜硫酸ナトリウム、ボンバル(Bombal)、ビタミンE、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物、カテキンおよび他の抗酸化物質などの肉保存期間拡張物質を含み得る。
【0069】
本明細書において記載される食品は、動物性製品(例えば、動物ヘム含有タンパク質または他の動物性製品)を含まないものであり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、食品は、ダイズを含まない、コムギを含まない、酵母を含まない、MSGを含まない、および/またはタンパク質加水分解生成物を含まないものであり得、肉の、高度に良い香りの食味を有し、悪臭または異臭を伴わないものであり得る。
【0071】
食品の評価
本明細書において記載される食品は、訓練されたヒトパネリストを使用して評価され得る。評価は、製品の外観、色、完全性、テクスチャ、風味および食感などを判断するために、製品を目視すること、感じること、咀嚼することおよび試食することなどを含み得る。パネリストは、赤色光下または白色光下で試料を供給され得る。試料は、ランダムな3桁の数字が割り当てられ、偏りを防ぐために投票位置で回転され得る。知覚判断は、「受け入れ」もしくは「好ましさ」について増減され得るか、または特定の技術用語を使用し得る。例えば、文字尺度(優れたに対してA、良好に対してB、不足に対してC)または数字尺度も使用され得る(1=嫌い、2=まずまず、3=良好、4=極めて良好、5=優れている)。尺度は、食品の全体的な認容性または品質または牛肉らしさ、テクスチャおよび風味のような特定の品質特性を等級づけるために使用され得る。パネリストは、試料間で口を水ですすぐよう勧められ得、各試料について論評する機会を与えられ得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書において記載される食品は、オルファクトメーター読み取りに基づいて別の食品(例えば、肉または肉代用品)と比較され得る。種々の実施形態では、参照ガスに対する比較、快不快尺度スコアを用いて、臭気濃度および臭気閾値、臭気閾上を評価するためにオルファクトメーターが使用され、臭気の認識度または相対強度が決定され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、オルファクトメーターによって、専門家パネルの訓練およびの自動評価が可能となる。いくつかの実施形態では、本明細書において記載される食品は、同様または同一のオルファクトメーター読み取りを引き起こす。いくつかの実施形態では、本発明の方法を使用して作製された風味と肉の間の相違は、ヒト知覚の検出閾値を下回るよう十分に小さい。
【0074】
いくつかの実施形態では、GCMSを使用して同定される揮発性化学物質が評価され得る。例えば、ヒトは、ある特定のピークの原因である化学物質の匂いを嗅ぐという経験を等級づけできる。この情報は、ヘム含有タンパク質および1種または複数の風味前駆体を使用して製造された風味および芳香化合物のプロファイルを精緻化するために使用され得る。
【0075】
特徴的な風味および香料成分は、植物および肉中に見られるアミノ酸、脂肪および糖を含めた化学反応分子によって、調理プロセスの間にほとんど製造される。したがって、いくつかの実施形態では、食品は、調理の間または調理後の肉に対する類似性について試験される。いくつかの実施形態では、ヒト等級づけ、ヒト評価、オルファクトメーター読み取りまたはGCMS測定値またはそれらの組合せを使用して、食品の嗅覚地図が作製される。同様に、食品、例えば、肉模造品の嗅覚地図が作製され得る。これらのマップが、比較されて、調理された食品が肉に対してどの程度同様であるかが評価され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、調理の間または調理後の食品の嗅覚地図は、調理された肉または調理中の肉のものと同様であるか、または区別できない。いくつかの実施形態では、類似性は、ヒト知覚の検出閾値を下回るのに十分である。食品は、そのように作製され得、その特徴は、調理後の食品と同様であるが、未調理の食品は、調理前に述部食品とは異なる特性を有し得る。
【0077】
これらの結果は、本発明の組成物が、真の肉製品に対して認容できるよう同等であると判断されることを実証する。さらに、これらの結果は、本発明の組成物が、パネリストによって、他の市販の肉代用品を上回って好まれることを実証し得る。そのため、いくつかの実施形態では、本発明は、伝統的な肉に対して相当に類似しており、これまでに知られている肉代替物よりも肉様である消費財を提供する。
【0078】
本発明を、以下の実施例においてさらに説明するが、これは、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を制限しない。
実施例
【実施例1】
【0079】
ヘムタンパク質の添加は、レプリカバーガーの牛肉らしさの品質を増加させる
表4中の成分および風味前駆体システイン(10mM)、グルタミン酸(10mM)、グルコース(10mM)およびチアミン(1mM)を含有するレプリカバーガーを調製した。水をバランスを整えるために加えた。例えば、米国仮特許出願第61/751,816号、2013年1月11日の出願を参照されたい。対照バーガーをLegHを省いたこと以外は表4のとおり前駆体システイン(10mM)、グルタミン酸(10mM)、グルコース(10mM)およびチアミン(1mM)を含んで調製した。
【0080】
5分間、150℃で調理後、レプリカバーガーを訓練された知覚パネルによって評価した。パネリストは、赤色光の下で試料を提供され、各パネリストは、個々に試料を評価した。試料は、無作為の3桁の数字を割り当てられ、偏りを防ぐために投票位置を交代させた。パネリストに、これだけに限らないが:牛肉らしさ、ブラッディー品質(bloody quality)、良い香りの品質および全般的な認容性を含む複数の風味、芳香、食味、テクスチャおよび外観特性について、1=極めて嫌いから、7=極めて好ましいまでの7点尺度を使用して調理したレプリカバーガー試料を評価することを依頼した。パネリストは、試料間で口を水ですすぎ、各試料の彼らの評価を記録するために報告書(survey)を記入することが推奨された。
【0081】
LegHを含有するレプリカバーガーがLegHを含まない対照レプリカバーガーと比較される場合、LegHを含有する試料は、LegHを含まないものと比較して顕著により牛肉らしく、よりブラッディー、より良い香り、および全般的に好ましく等級づけられた。表5を参照されたい。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【実施例2】
【0084】
風味前駆体混合物を含むレプリカバーガーは、牛肉らしくブラッディーな味である
グルコース、システイン、チアミンおよびグルタミン酸ならびに1% LegH調理前w/w(表4を参照されたい)の風味前駆体混合物を含有するレプリカバーガーを実施例1に記載のとおり調製し、バーガーを5分間、150℃で調理した後に訓練された知覚パネルによって評価した。対照バーガーは、LegHおよび他のすべての成分を風味前駆体混合物を除いて含んだ。
【0085】
パネリストに食味における全般的な改善について各試料を評価し、1=極めて嫌いから、5=極めて好ましいまでの5点尺度を使用して各試料を記述的に分析することを依頼した。パネリストは、試料間で口を水ですすぎ、各試料の評価を記録するために報告書を記入することが推奨された。LegHおよび風味前駆体混合物を含む複製された(replicate)バーガーは、食味についてブイヨン、グレイビー(gravy)、肉の香り(meaty)、ブラッディー、良い香り、および牛肉らしい様子を有すると記載され、LegHを含むが風味前駆体混合物を加えられていない同じレプリカバーガーよりも好ましかった。表6を参照されたい。
【0086】
【表6】
【実施例3】
【0087】
風味前駆体混合物を含むレプリカバーガーはベーコン食味を生じる
レプリカバーガー(表4を参照されたい)をさまざまな前駆体混合物(表7を参照されたい)および1%LegHと調理し、バーガーを5分間、150℃で調理した後に訓練された知覚パネルによって評価した。対照バーガーは、風味前駆体を除くLegHおよび他のすべての成分を含有した。パネリストは、各試料を評価し、各試料を記述的に分析することを依頼された。1=極めて嫌いから、5=極めて好ましいまでの5点尺度。パネリストは、試料間で口を水ですすぎ、各試料の評価を記録するために報告書を記入することが推奨された。10mMグルコース、10mMリボース、10mMシステイン、1mMチアミン、1mMグルタミン酸、1mM GMPおよびLegHの前駆体混合物を含むレプリカバーガーは、ベーコン芳香および食味、ならびに全般的な肉らしさ(meatiness)、良い香り品質、とてもうま味品質、ブロスのような品質(brothy quality)、ならびにわずかに牛肉らしい様子を有すると記載された。風味前駆体およびヘム含有タンパク質の種々の組合せについての風味の記述の要約について表7を参照されたい。
【0088】
【表7】
【実施例4】
【0089】
ヘムタンパク質の存在下で作られた糖修飾風味化合物の種類
ヘムタンパク質および1つまたは複数の風味前駆体化合物を含有する風味反応混合物へのさまざまな糖の添加は、生成された風味化合物および全般的な風味プロファイルに明白な差異を生じた。1%調理前w/w/のLegHヘムタンパク質をシステイン(10mM)およびグルコース(20mM)とpH6、リン酸緩衝液中で混合して風味反応混合物を形成させ、150℃、3分間加熱した;この反応は肉に存在することが周知の風味化合物を生成した;表8を参照されたい。同様に、1%LegHヘムタンパク質をシステイン(10mM)およびリボース(20mM)とpH6で混合し、150℃、3分間加熱した場合に作られた風味反応混合物は肉に存在することが周知の風味化合物を作った;表8を参照されたい。
【0090】
特徴的な風味およびフレグランス構成成分は、風味前駆体分子がヘムタンパク質と反応した調理工程の際に主に産生された。ガスクロマトグラフィー−質量分析(GCMS)は、検査試料中のさまざまな物質を分離し同定するためにガス−液体クロマトグラフィーおよび質量分析の特質を組み合わせた方法である。試料を加熱後に生成された風味化合物を同定するためにGCMSによって評価し、それらの知覚プロファイルについても評価した。揮発性化学物質を風味反応周囲の上の空間から単離した。風味反応混合物周辺の上の空間の揮発性化学物質のプロファイルを表8に示す。具体的には、表8に示すとおりリボースの使用がグルコースと比較していくつかの追加的化合物を作った。
【0091】
注目すべきことに、LegHヘムタンパク質の不在下で加熱されたリボースまたはグルコースを含むシステインの対照混合物は、風味化合物の同じセットを生成しなかった。LegHを含有する風味反応混合物も盲検の訓練された知覚パネルによって評価され、リボースを含む試料を牛肉らしい、良い香り、ブロスのような、およびグレイビー様の様子を有するとして、ならびにグルコース含む試料を良い香り、ブラッディー、金属性、生肉、およびブイヨン様として記載した。
【0092】
【表8】
【実施例5】
【0093】
チアミンの存在下でヘムタンパク質はある特定の風味化合物の製造に影響を与える
ヘムタンパク質および他の風味前駆体を含む風味反応混合物へのチアミンの添加は、5−チアゾールエタノール、4−メチル−フラン、3,3’−ジチオビス[2−メチル−チアゾールおよび4−メチルチアゾールの形成に影響を与えた。これらの化合物は、肉に存在することが周知であり、牛肉らしい、肉の香りの食味の様子を有する。
【0094】
LegH(1%)、システイン(10mM)、チアミン(1mM)、グルコースまたはリボースのいずれか(20mM)を含有し、グルタミン酸(10mM)を含むまたは含まない風味反応混合物を、pH6で調製し、続いて150℃、3分間加熱した。これらの風味反応試料を、次いで生成された風味化合物についてGCMSによって評価し、訓練されたパネルによってそれらの知覚プロファイルについて評価した。揮発性化学物質を風味反応周囲の上の空間から単離した。GCMSは、4−メチル−5−チアゾールエタノール、3,3’−ジチオビス[2−メチル]−フランおよび4−メチルチアゾール化合物が、チアミン、糖(グルコースまたはリボースのいずれか)およびシステインを含むLegHの混合物によって作られたことを示した。チアミンを含まない同じ風味反応混合物は、これらの化合物を生成せず;追加的に、ヘムタンパク質が風味反応混合物中に存在しなかった場合にこれらの化合物は生成されなかった。
【0095】
風味反応試料も盲検の訓練された知覚パネルによって評価し、試料がチアミンの添加で食味がより複雑に、より牛肉らしく、肉の香りがし、良い香りになることを記載した。
【実施例6】
【0096】
ヌクレオチドを含むヘムタンパク質は特定の風味化合物製造を制御する
ヘムタンパク質および他の前駆体を含む混合物へのイノシン一リン酸およびグアノシン一リン酸の添加は、風味化合物(E)−4−オクテン、2−エチル−フラン、2−ペンタノン、2,3−ブタンジオン、2−メチル−チアゾール、メチル−ピラジン、トリデカン、(E)−2−オクテナール、2−チオフェンカルボキシアルデヒド、および3−チオフェンカルボキシアルデヒドの形成を制御した。これらの化合物は、肉に存在することが周知であり、牛肉らしい、肉の香り、バターのような、およびまたは良い香り風味の様子を有する。
【0097】
システイン(10mM)、およびグルコース(20mM)、1mM IMPおよび1mM GMPをpH6.0で含む1%(LegH)ヘムタンパク質を含有する反応物を調製し、150℃、3分間加熱した。特徴的な風味およびフレグランス構成成分は、前駆体がヘムタンパク質と反応する調理工程の際に主に産生された。これらの試料を、生成された風味化合物についてGCMSによって評価し、知覚経験について評価した。揮発性化学物質を風味反応周囲の上の空間から単離し、GCMSを使用して同定し、風味反応混合物周辺の上における空間の揮発性化学物質のプロファイルを作製した。GCMSは、4−オクテン、2−エチルフラン、2−ペンタノン、2,3−ブタンジオン、2−メチル−チアゾール、メチル−ピラジン、トリデカン、2−オクテナール、2−チオフェンカルボキシアルデヒド、3−チオフェンカルボキシアルデヒド化合物がIMP、GMP、グルコースおよびシステインを含むヘムタンパク質LegHの混合物によって作られたことを示した。IMPおよびGMPを含まない同じ試料は、これらの化合物を生成せず;追加的に、ヘムタンパク質が存在せず、前駆体分子だけであった場合もこれらの化合物も生成されなかった。盲検の訓練されたパネリストによる知覚評価は、記載のとおりイノシンおよびグアノシンの添加を含む試料が食味においてさらに複雑で、さらに牛肉らしく、肉の香り、ブロスのようなおよび良い香りを有することを見出した。図2は、1%ヘムタンパク質で作られた多量の新規風味化合物を、システイン(10mM)およびグルコース(20mM)、IMP(1mM)およびGMP(1mM)を含むpH6での反応に混合し、固相マイクロ抽出(SPME)によって検出し、次いでGCMSによって検出したことを示している。
【実施例7】
【0098】
特定の有機酸の添加での風味生成
ヘムタンパク質、リボースおよびシステインを含む混合物への乳酸の添加は、風味化合物ノナナール、チアゾール、2−アセチルチアゾールおよび8−メチル−1−ウンデセンの形成を制御した。これらの化合物は、肉に存在することが周知である。
【0099】
1%ヘムタンパク質、システイン(10mM)およびリボース(20mM)および乳酸(1mM)をpH6.0で含有する反応物を調製し、150℃、3分間加熱した。特徴的な風味およびフレグランス構成成分は、前駆体がヘムタンパク質と反応する調理工程の際に主に産生された。これらの試料を、生成された風味化合物についてGCMSによって評価し、知覚経験について評価した。揮発性化学物質を風味反応周囲の上の空間から単離し、GCMSを使用して同定し、生成された化合物のプロファイルを作った。ノナナール、チアゾール、2−アセチルチアゾール、および8−メチル−1−ウンデセン化合物は、乳酸、リボースおよびシステインを含むLegHの混合物によって作られた。乳酸を含まない同じ試料は、これらの化合物を生成せず、追加的にこれらの化合物は、ヘムタンパク質の不在下で作られなかった。
【0100】
盲検の訓練されたパネリストによる知覚評価は、記載のとおりの乳酸の添加を有する試料が牛肉らしい、良い香り、茶色の、パンのようであり、麦芽のような様子を有することが見出された。乳酸以外のすべてのものを含む試料は、茶色の、パンのようなおよび麦芽のような様子において低く等級づけられた。
【実施例8】
【0101】
特定のアミノ酸の添加で生成された風味
ヘムタンパク質リボースおよびシステインを含む混合物へのリシンの添加は、風味化合物ジメチルトリスルフィド、ノナナール、2−ペンチル−チオフェン、フルフラール、2−ノネナール、1−オクタノール、2−ノネナール、チアゾール、2−アセチルチアゾール、フェニルアセトアルデヒド、2−アセチルチアゾールの形成を制御した。これらの化合物は、肉に存在することが周知であり、いくつかは牛肉らしい、肉の香り、およびまたは良い香り風味を有する。
【0102】
1%ヘムタンパク質、システイン(10mM)、およびリボース(20mM)およびリシン(1mM)をpH6.0で含有する反応物を調製し、150℃、3分間加熱した。これらの試料を、生成された風味化合物についてGCMSによって評価し、知覚経験について評価した。特徴的な風味およびフレグランス構成成分は、前駆体がヘムタンパク質と反応する調理工程の際に主に産生された。これらの試料を、生成された風味化合物についてGCMSによって評価し、知覚経験について評価した。揮発性化学物質を風味反応周囲の上の空間から単離した。ジメチルトリスルフィド、ノナナール、2−ペンチル−チオフェン、フルフラール、2−ノネナール、1−オクタノール、2−ノネナール、チアゾール、2−アセチルチアゾール、フェニルアセトアルデヒド、2−アセチルチアゾール化合物は、乳酸、リボースおよびシステインを含むLegHの混合物によって作られた。乳酸を含まない同じ試料は、これらの化合物を生成せず、追加的にこれらの化合物は、ヘムタンパク質が存在せず、前駆体分子だけだった場合は作られなかった。盲検の訓練されたパネリストによる知覚評価は、記載のとおりのリシンの添加を含む試料が、あぶった牛肉らしく、良い香り、および茶色であることを見出した。リシンの添加は、あぶられた茶色である様子を増加させた。
【実施例9】
【0103】
さまざまなヘムタンパク質による風味化合物製造
1つまたは複数の風味前駆体化合物を含有する風味反応混合物でのさまざまな種類のヘムタンパク質(LegH、オオムギ、B.ミオグロビン(B. myoglobin)またはA.アエオリカス(A. aeolicus))の添加は、これだけに限らないが2−ペンチル−フラン、2,3−ブタンジオン、チオフェン、2−メチル−チアゾール、ピラジン、フラン、ピロール、2−メチル−フランを含む多くの同じ鍵となる肉風味、ならびにこれだけに限らないが2−ペンチル−チオフェン、ノナナール、2−ノナノンおよび1−オクテン−3−オンを含む風味化合物における明白な差異を生じる。風味化合物におけるこれらの差異は、全般的な食味プロファイルを変化させる場合がある。さまざまな種類のヘムタンパク質は、システイン(10mM)およびリボース(10mM)をpH6で含む、反応混合物中で1%w/wで使用されるLegH、オオムギ、B.ミオグロビン(B. myoglobin)またはA.アエオリカス(A. aeolicus)であった。予備反応混合物を150℃、3分間加熱し;この反応は肉に存在することが周知の風味化合物を作った;表9を参照されたい。特徴的な風味およびフレグランス構成成分は、風味前駆体分子がヘムタンパク質と反応する調理工程の際に主に産生される。試料を加熱後に生成された風味化合物を同定するためにGCMSによって評価し、それらの知覚プロファイルについても評価した。揮発性化学物質を風味反応周囲の上の空間から単離した。表9は、さまざまな種類のヘムタンパク質によって作られた揮発性風味化合物における類似性および差異を示す。
【0104】
【表9】
【実施例10】
【0105】
さまざまな脂質からの肉風味の生成
油(キャノーラ油またはヤシ果実油)、遊離脂肪酸(FFA)(リノール酸(C18:2)、オレイン酸(C18:1)、ステアリン酸(C18:0)、またはミリスチン酸(C14:0))およびリン脂質(PL)(牛心臓極性脂質抽出物、Biolipon95(Perimondから)またはNatCholinePC40(Perimondから))を含むいくつかの異なる試料を他の前駆体の不在および存在下で牛肉らしい風味を作り出すそれらの能力について検査した。油、FFAおよびPLを50mMリン酸カリウム緩衝液(PPB)pH6.0または50mMリン酸カリウムpH6.0、5mMシステイン、10mMグルコース、0.1mMチアミンおよび0.1%(w/v)レグヘモグロビンを含有するメイラード反応混合物(MRM)に加えた。MRMとの組合せで脂質は、脂質分解とメイラード反応産生との交差反応を捕らえるように指定され、一方リン酸緩衝液中の脂質は脂質対照として機能した。油は、溶液の合計容量1mLの3%で加え、一方FFAおよびPLは溶液の合計容量1mLの1%で加えた。すべての試料は、150℃、3分間で調理し、50℃に冷却し、次いでGCMS(上の空間のSPME繊維試料採取)を使用して分析した。すべての試料をGCMSによって分析後、蓋を外し、試料を訓練された風味科学者が匂いを嗅ぎ、芳香を記録した。
【0106】
【表10】
【0107】
表11は、芳香の記述を含み、表12は分析された最も興味深い試料からのGCMSデータを含む。多くの脂質は、そうでなければ含まれない「脂肪性の」芳香をMRMに導入した。MRMでのリノール酸またはNatCholinePC40の組合せは、最も豊富な脂肪性化合物を製造し、これらの脂質が牛脂の風味認知を改善する可能性があることを示唆している。リノール酸およびNatCholinePC40も多量の土壌性キノコ(earthy-mushroom)芳香を示した。MRMへの脂質の添加は、「ナッツのようなおよび煎られた」芳香の豊富さを顕著に増加させた。あまり望ましくない「青い」芳香化合物は、不飽和遊離脂肪酸(リノール酸もしくはオレイン酸)またはリン脂質を含む試料において最も顕著であった。一般に脂質の添加は、作製された標的牛肉化合物の数を顕著に増加させた。
【0108】
【表11】
【0109】
【表12】
【0110】
脂肪性またはクリームのような芳香を有する試料では、2,4−デカジエナール、(E,E)−2,4−ノナジエナール、(E,E)−2,4−ヘプタジエナール、および/または(E,E)−2,4−デカジエナールが、KPhos6_牛心臓、MRM_牛心臓、MRM_BioLipon95、MRM_NatCholinePC40、Kphos6_キャノーラ、MRM_キャノーラ、KPhos6_オレイン酸、KPhos6_リノール酸およびMRM_リノール酸試料において検出された。(E,E)−2,4−デカジエナールについて、最も強いシグナル強度はMRM_NatCholinePC40試料においてであり、続いてMRM_リノール酸、KPhos6_リノール酸、MRM_牛心臓、MRM_BioLipon95、KPhos6_牛心臓、MRM_オレイン酸、およびKPhos6_オレイン酸試料であった。(E,E)−2,4−ヘプタジエナールについて、最も強いシグナル強度はMRM_NatCholinePC40試料においてであり、続いてMRM_キャノーラ試料であった。(E,E)−2,4−ヘプタジエナールはMRM_BioLipon95、MRM_牛心臓およびMRM_リノール酸試料においても検出された。(E,E)−2,4−ノナジエナールについて最も強いシグナル強度は、MRM_キャノーラおよびMRM_リノール酸試料においてであった。(E,E)−2,4−ノナジエナールはKphos6_キャノーラ、MRM_NatCholinePC40、MRM_BioLipon95、MRM_牛心臓およびKPhos6_リノール酸試料においても検出された。2,4−デカジエナールについて、最も強いシグナル強度は、MRM_リノール酸試料においてであった。2,4−デカジエナールは、KPhos6_リノール酸、MRM_キャノーラおよびKPhos6_オレイン酸試料においても検出された。
【0111】
土壌性またはキノコ芳香を有する試料では、3−オクテン−2−オン、1−オクテン−3−オン、3−オクタノン、および/または1−オクテン−3−オールがKPhos6_牛心臓、MRM_牛心臓、Kphos_BioLipon95、MRM_BioLipon95、Kphos_NatCholinePC40、MRM_NatCholinePC40、MRM_キャノーラ、KPhos6_オレイン酸、MRM_オレイン酸、KPhos6_リノール酸およびMRM_リノール酸試料において検出された。1−オクテン−3−オールについて、最も強いシグナル強度は、MRM_リノール酸試料においてであり、続いてMRM_NatCholinePC40、KPhos6_リノール酸、MRM_牛心臓、KPhos6_牛心臓、MRM_キャノーラ、MRM_BioLipon95、KPhos6_オレイン酸およびMRM_オレイン酸試料であった。3−オクタノンは、MRM_オレイン酸、KPhos6_リノール酸およびMRM_リノール酸試料において検出された。1−オクテン−3−オンについて、最も強いシグナル強度は、MRM_リノール酸およびMRM_牛心臓試料においてであり、続いてKPhos6_リノール酸、MRM_NatCholinePC40、KPhos6_牛心臓、MRM_BioLipon95、MRM_オレイン酸およびKPhos6_オレイン酸試料であった。3−オクテン−2−オンについて、最も強いシグナル強度は、KPhos6_リノール酸試料においてであり、続いてMRM_リノール酸、MRM_NatCholinePC40、KPhos6_牛心臓、KPhos6_オレイン酸、MRM_オレイン酸、MRM_牛心臓、MRM_BioLipon95、MRM_キャノーラ、Kphos_BioLipon95およびKphos_NatCholinePC40であった。ピラジンは、MRM_ヤシ果実、MRM_C18、MRM_C14およびMRM_BioLipon95試料において検出された。
【0112】
ナッツのような煎られた芳香を有する試料では、チアゾールおよび2−アセチルチアゾールが、検出される最も豊富な化合物でありピラジン、メチルピラジン、トリメチルピラジンおよび3−エチル−2,5−ジメチルピラジンが伴った。2−アセチルチアゾールは、MRMを含むすべての試料において検出され、MRM_牛心臓、MRM_biolipon95、MRM_キャノーラおよびMRM_ヤシ果実試料において最も豊富であった。チアゾールは、MRM_ヤシ果実、MRM_牛心臓、MRM_Biolipon95、MRM_C14、MRM_C18、MRM_キャノーラ、MRM_オレイン酸およびMRM_リノール酸およびMRM_NatCholinePC40を含む試料において作られた。ピラジンは、MRM−ヤシ果実を含む試料において最も多量に存在し、続いて試料MRM_牛心臓、MRM_Biolipon95、MRM_C14、MRM_C18、MRM_キャノーラが匹敵する量で有し、MRM_オレイン酸およびMRM_リノール酸試料はやや少なかった。メチル−ピラジンは、MRM_Biolipon95およびMRM−ヤシ果実において存在した。3−エチル−2,5−ジメチル−ピラジンおよびトリメチル−ピラジンは、MRMにおいてリン脂質を含まない場合にだけ存在した。
【0113】
青い、植物または草芳香を有する試料では、1−ヘプタノール、1−ヘプテン−3−オール、1−ヘキサノール、(E)−2−ヘプテナール、(Z)−2−ヘプテナール、(E)−2−ヘキセナール、2−ペンチル−フラン、および/またはヘプタナールがKPhos6_牛心臓、MRM_牛心臓、Kphos_BioLipon95、MRM_BioLipon95、Kphos_NatCholinePC40、MRM_NatCholinePC40、Kphos_C14、MRM_C14、Kphos_C18、MRM_C18、MRM_キャノーラ、MRM_ヤシ果実、Kphos6_オレイン酸、MRM_オレイン酸、KPhos6_リノール酸およびMRMリノール酸試料において検出された。2−ぺンチル−フランについて、最も強いシグナルはKPhos6_牛心臓試料においてであり、続いてKPhos6_リノール酸、MRM_BioLipon95、MRM_リノール酸、MRM_牛心臓、MRM_オレイン酸、MRM_NatCholinePC40、MRM_キャノーラ、KPhos6_オレイン酸およびKphos_NatCholinePC40試料であった。(E)−2−ヘプテナールについて、最も強いシグナル強度は、MRM_牛心臓、MRM_キャノーラ、MRM_オレイン酸およびKPhos6_リノール酸試料においてであり、続いてKPhos6_オレイン酸、MRM_BioLipon95、KPhos6_牛心臓、MRM_リノール酸、MRM_NatCholinePC40、Kphos_BioLipon95およびKphos_NatCholinePC40試料であった。(Z)−2−ヘプテナールについて、最も強いシグナル強度は、MRM_リノール酸試料においてであった。MRM_リノール酸もKPhos6_リノール酸試料において検出された。ヘプタナールについて、最も強いシグナル強度は、MRM_オレイン酸試料においてであり、続いてKPhos6_オレイン酸、MRM_C14、MRM_C18、MRM_キャノーラ、MRM_牛心臓、MRM_NatCholinePC40、MRM_リノール酸およびKPhos6_牛心臓試料であった。(E)−2−ヘキセナールについて、最も強いシグナル強度は、MRM_リノール酸試料においてであり、続いてMRM_NatCholinePC40、KPhos6_リノール酸およびMRM_オレイン酸試料であった。
【実施例11】
【0114】
前駆体混合物複合体を使用する牛肉らしい風味の作製
製剤を調製した(「magic mix」、文献に報告された値に基づいた牛肉中のアミノ酸、糖および他の小分子の推定濃度を含む表13を参照されたい。magic mixをレグヘモグロビン(LegH)の存在下で牛肉らしい風味を製造するためのその能力について検査した。magic mixおよび1%w/v LegHを肉レプリカpH6.0に加え(表4を参照されたい)、対流式オーブンで7分間、160℃で焼いた。対照試料は、1%w/v LegHを肉レプリカ、pH6.0に加え、対流式オーブン、7分間、160℃で焼くことによって調製した。
【0115】
LegHだけを含有する肉レプリカ試料をmagic mixおよびLegHを含有する肉レプリカ試料と知覚パネルおよびGCMS分析によって比較した。試食者5名が風味付けた肉レプリカを牛肉らしさ、苦味、ならびに良い香りおよびオフフレーバーのレベルについて等級づけした。各特質は、7が具体的な特質の最も高い値であった(例えば、標準的80:20牛挽肉は牛肉らしさ尺度で7に等級付けられる)7点尺度で等級づけた。Magic Mix風味は、LegHのみの試料よりも牛肉らしさ特徴で1点高く等級づけられた(図1)。
【0116】
加熱によりどの化学製品が製造されたかを決定するために、Magic Mixの溶液を1%w/v LegH、pH6.0で調製した。試料を150℃、3分間振とうして調理し、次いで揮発性化合物を反応物の上部空間から抽出するために固相マイクロ抽出(SPME)を12分間、50℃で実施した。探索アルゴリズムを揮発性化合物の保持時間および質量フィンガープリント情報を分析し、ピークに化学名を帰属させるために使用した。表14は、Magic Mix+LegH(MM、2個の試料の平均)および緩衝液中LegHのみ(LegH、5個の試料の平均)試料の両方において同定された化合物を示している。表14の化合物は、保持時間(R.T.、秒)の順に列挙されており、ピーク面積ゼロ(0)、または小(S)、中(M)もしくは大(L)平均ピーク面積を有するとして示されている。何百もの化合物を試料間で同定し、その多くはMagic MixおよびLegHを含有する試料において増加するこれだけに限らないが1,3−ビス(1,1−ジメチルエチル)−ベンゼン、2−メチル3−フランチオールおよびビス(2−メチル−4,5−ジヒドロ−3−フリル)ジスルフィドを含む牛肉らしい芳香の特徴である。
【0117】
【表13】
【0118】
【表14】
【実施例12】
【0119】
鉄クロリンは肉様風味化合物の製造を触媒する
新鮮緑ホウレンソウ(10 lb)を水500mLに入れ、Vitamixミキサーで細挽きにし、緑懸濁物2Lを得た。アセトン(8L)を撹拌しながら加え、材料を1時間抽出した。材料をWhatmanろ紙で濾過し、アセトンを回転式エバポレーター(Buchi)で除去した。残った緑懸濁物(500mL)に10M HCl 2mLを加え、懸濁物を茶色にした。これにH0 10mL中のFeCl.4HO 1gを加えた。溶液を振とうし、4℃に16時間置いた。この懸濁物をジエチルエーテル(3×50mL)で抽出し、鮮緑色有機相を生じさせ、合わせた有機物を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、黒色ペースト(1.1g)を残して蒸発させた。沈殿を分画のためにクロロホルムに溶解した。
【0120】
クロロフィルおよび鉄クロリン粗画分を−20℃で保存した。粗抽出物を逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって分画した。HPLC条件は、表15に概説されている。クロロフィルおよび鉄クロロフィルの両方がピーク保持時間7.6分間でカラムから溶出された。溶出された材料を7.3〜8.0分の間で回収した。回収した画分をプールし、氷上に保存した。回収した画分を再クロマトグラフし、保持時間7.6分間の単一ピークが示された。所望の画分をプールし、次いで10%ヒマワリ油を加え、メタノールを回転式エバポレーターで除去した(Buchi)。
【0121】
【表15】
【0122】
鉄クロリンまたはレグヘモグロビンを含有する風味反応物の調製
鉄クロロフィルの溶液をMagic Mix(表13)と最終濃度0.35%鉄クロリン、1%グリセロール、0.005%tween−20、5%ヒマワリ油、100mM NaCl、20mMリン酸、pH6で混合した。リン酸緩衝液(20mM)、100mM NaCl中のレグヘモグロビン(0.35%)、pH6を、Magic Mix(表13)、1%グリセロールおよび0.005%tween−20と混合した。風味反応混合物を150℃、3分間加熱し;この反応はヘモグロビンによって作られ、鉄クロリンによっても作られる肉に存在することが周知の風味化合物を作った;表16を参照されたい。
【0123】
特徴的な風味およびフレグランス構成成分は、風味前駆体分子がヘムタンパク質または鉄クロロフィルと反応する調理工程の際に主に産生される。試料を加熱後に生成された風味化合物を同定するためにGCMSによって評価した。揮発性化学物質を風味反応周囲の上の空間から単離した。ヘムタンパク質と鉄クロリンとの間で類似していた風味反応混合物周囲の上の空間における揮発性化学物質のプロファイルを表16に示す。特に、鉄クロリンによって作られた多くの化合物は肉の風味において重要である。
【0124】
【表16】
【実施例13】
【0125】
固定化ヘミンによる風味作製
ヘミン連結CMセファロースの調製
ウシヘミン(Sigma Aldrich)200mgをシンチレーションバイアルにロードした。小さな磁気撹拌子、アセトニトリル800μL、4−メチルモルホリン64μL、およびN−ヒドロキシサクシニミド71mgをこの順に加えた。バイアルを氷浴に置いて冷却し、次いでN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミド塩酸塩118mgを加え、撹拌し、Jeffamine ED900 845μLが続いた。これを黒色混合物が周囲温度に温まるまで撹拌した。クロロホルム(10mL)を混合物に加え、水(4mL)が続いた。両方が黒色であることからフラッシュライトを有機層と水性層とを識別するために使用し、有機層をピペットで取り、暗黒色油に濃縮した。油をアセトニトリルおよびエタノールの4:1混合物中に溶解し、色が真っ黒であったおよそ10%強度溶液となった。
【0126】
水2mLで膨潤し、平衡化したCMセファロースをBioRad minicolumn中でアセトニトリル3容積で平衡化した。レジンをアセトニトリル1mLに再懸濁し、シンチレーションバイアルにピペットで移した。これに4−メチルモルホリン 44マイクロリットル、N−ヒドロキシサクシニミド23mgおよび固体N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミド塩酸塩39mgが続いた。混合物を激しくボルテックスし、次いで3時間振とうした。この白色固体に570マイクロリットルの真っ黒な20%強度ヘミンカップルジアミンを加えた。黒色固体をボルテックスし、1時間振とうした。スラリーはトルココーヒーに非常に似ていた。混合物をBioRad minicolumnに注ぎ、濾過し、もはやエスプレッソに似ていなくなるまでアセトニトリルで洗浄し、次いで脱イオン水に、最後に20mM 炭酸ナトリウム緩衝液pH9に切り替えた。黒色固体を流出液がきれいになるまで洗浄し、次いで緩衝液2mLに再懸濁し、使用まで保存した。
【0127】
風味反応物
100mM NaClを含むリン酸緩衝液(20mM)、pH6.0中のヘムタンパク質(ウマミオグロビン−Sigma)0.35%で風味反応物を作り、これをMagic Mix(表13)と混合した。別の風味反応物を100mM NaClを含むリン酸緩衝液(20mM)、pH6.0中の0.35%固定化ヘミンで作り、これをMagic Mix(表13)と混合した。風味反応混合物を150℃に3分間加熱し;この反応は肉に存在することが周知の風味化合物を作った。
【0128】
特徴的な風味およびフレグランス構成成分は、風味前駆体分子がヘムタンパク質または固定化ヘミンと反応する調理工程の際に主に産生される。試料を加熱後に生成された風味化合物を同定するためにGCMSによって評価した。揮発性化学物質を風味反応周囲の上の空間から単離した。表17において見られるとおり、固定化ヘミンは、その産生が溶液中の遊離ミオグロビンによって触媒されたのと同様に化合物の産生を触媒した。特に、固定化ヘミンおよびヘムタンパク質を含有する混合物を調理することによって産生された風味化合物のGCMSによって測定されたプロファイルは、それぞれ、非常に似ていた。
【0129】
【表17】
【実施例14】
【0130】
前駆体とヘムタンパク質との組合せは風味反応を駆動する。
試料3個を比較した:前駆体混合物のみ、1%ヘムタンパク質のみおよび1%ヘムを含む前駆体混合物。前駆体混合物は、グルコース(20mM)、リボース(20mM)、システイン(10mM)、チアミン(1mM)およびグルタミン酸(1mM)からできていた。反応物はすべてpH6.0で調製し、150℃、3分間加熱した。これら試料3個を2回反復で実施した。これらの試料を生成された風味化合物についてGCMSによって評価した。特徴的な風味およびフレグランス構成成分は、前駆体がヘムタンパク質と反応する調理工程の際に主に産生された。これらの試料を生成された風味化合物についてGCMSによって評価し、知覚経験について評価した。揮発性化学物質を風味反応周囲の上の空間から単離した。各試料において作られた風味化合物を表18に示す。示すとおり大部分の風味分子は、前駆体がヘムタンパク質と組み合わされる場合に作られた。
【0131】
【表18】
【0132】
他の実施形態
本発明はその詳細な記述と併せて記載されているが、前述の記述が例示することを意図し、添付の特許請求の範囲の範囲によって定義される本発明の範囲を限定しないことを理解されたい。他の態様、有利点、および変更は、続く特許請求の範囲の範囲内である。
本発明は以下を提供する。
[1] a)鉄イオンと錯体を形成している高度共役複素環と、
b)グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一リン酸(AMP)、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、ヒマワリ油、コーン油、ダイズ油、ヤシ果実油、パーム核油、サフラワー油、アマニ油、ぬか油、綿実油、オリーブオイル、ヒマワリ油、キャノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子と
を含む、食品。
[2] 前記の鉄イオンと錯体を形成している高度共役複素環が、ヘム部分ならびに鉄イオンと錯体を形成している、ポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コーリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル、コルフィン(corphin)、クロロフィリン、バクテリオクロリンおよびイソバクテリオクロリン部分からなる群から選択される、[1]に記載の食品。
[3] 前記ヘム部分が、ヘム含有タンパク質、非ペプチドポリマーと結合しているヘム部分または固相支持体と結合しているヘム部分である、[2]に記載の食品。
[4] 前記の鉄と錯体を形成している高度共役複素環が、鉄クロリンである、[2]に記載の食品。
[5] a)ヘム含有タンパク質と、
b)グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一リン酸(AMP)、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、ヒマワリ油、キャノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、加水分解タンパク質、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子と
を含む、食品。
[6] 2種〜50種の風味前駆体を含む、[1]から[5]のいずれか一項に記載の食品。
[7] 2種〜40種の風味前駆体を含む、[1]から[5]のいずれか一項に記載の食品。
[8] 2種〜35種の風味前駆体を含む、[1]から[5]のいずれか一項に記載の食品。
[9] 2種〜10種の風味前駆体を含む、[1]から[5]のいずれか一項に記載の食品。
[10] 2種〜6種の風味前駆体を含む、[1]から[5]のいずれか一項に記載の食品。
[11] 前記の1種または複数の風味前駆体分子が、グルコース、リボース、スクロース、マルトース、システイン、システイン誘導体、チアミン、リシン、リシン誘導体、グルタミン酸、グルタミン酸誘導体、IMP、GMP、乳酸、マルトデキストリン、クレアチン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、リノール酸、レシチンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、[1]から[10]のいずれか一項に記載の食品。
[12] ヘム含有タンパク質が、植物ヘム含有タンパク質である、[3]から[11]のいずれか一項に記載の食品。
[13] ヘム含有タンパク質が、哺乳類ヘム含有タンパク質である、[3]から[11]のいずれか一項に記載の食品。
[14] ヘム含有タンパク質が、酵母または糸状菌ヘム含有タンパク質である、[3]から[11]のいずれか一項に記載の食品。
[15]ヘム含有タンパク質が、細菌または古細菌(archeal)ヘム含有タンパク質である、[3]から[11]のいずれか一項に記載の食品。
[16] ヘム含有タンパク質が、非共生型ヘモグロビンである、[3]から[12]のいずれか一項に記載の食品。
[17] ヘム含有タンパク質が、レグヘモグロビンである、[3]から[12]のいずれか一項に記載の食品。
[18] レグヘモグロビンが、ダイズ、アルファルファ、ルピナス(lupin)、ソラマメ、エンドウマメ、ササゲまたはルピナス(lupine)に由来する、[17]に記載の食品。
[19] ヘム含有タンパク質が、組換えによって製造されるか、化学的に合成されるか、またはin vitroで転写および翻訳される、[12]から[18]のいずれか一項に記載の食品。
[20] ヘム含有タンパク質が、配列番号1〜26に示されるポリペプチドに対して少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、[3]から[19]のいずれか一項に記載の食品。
[21] 前記ヘム含有タンパク質が、単離および精製される、[1]から[20]のいずれか一項に記載の食品。
[22] 食品等級オイル、調味料、着香料、タンパク質、タンパク質濃縮物、乳化剤、ゲル化剤または食物繊維をさらに含む、[1]から[21]のいずれか一項に記載の食品。
[23] 肉代用品である、[1]から[18]のいずれか一項に記載の食品。
[24] スープベース、シチューベース、スナック食品、ブイヨンパウダー、固形ブイヨンまたはフレーバー小袋である、[1]から[19]のいずれか一項に記載の食品。
[25] 動物性食品を含まない、[1]から[20]のいずれか一項に記載の食品。
[26] 冷凍食品である、[1]から[21]のいずれか一項に記載の食品。
[27] 小袋またはシェーカー内に密封されている、[1]から[22]のいずれか一項に記載の食品。
[28] 風味化合物を製造する方法であって、
a)鉄イオンと錯体を形成している高度共役複素環を、グルコース、リボース、フルクトース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一リン酸(AMP)、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、ヒマワリ油、綿実油、ダイズ油、コーン油、ヤシ果実油、パームシード油、ぬか油、サフラワー油、オリーブオイル、キャノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子と組み合わせて、混合物を形成することと、
b)混合物を加熱して、フェニルアセトアルデヒド、1−オクテン−3−オン、2−n−ヘプチルフラン、2−チオフェンカルボキサルデヒド、3−チオフェンカルボキサルデヒド、ブチロラクトン、2−ウンデセナール、メチル−ピラジン、フルフラール、2−デカノン、ピロール、1−オクテン−3−オール、2−アセチルチアゾール、2−(E)−オクテナール、デカナール、ベンズアルデヒド、(E)−2−ノネナール、ピラジン、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、ジメチルトリスルフィド、2−ノナノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,3−ブタンジオン、ヘプタナール、ノナナール、2−オクタノン、1−オクタノール、3−エチルシクロペンタノン、3−オクテン−2−オン、(E,E)−2,4−ヘプタジエナール、(Z)−2−ヘプテナール、6−メチル−2−ヘプタノン、(Z)−4−ヘプテナール、(E,Z)−2,6−ノナジエナール、3−メチル−2−ブテナール、2−ペンチル−フラン、チアゾール、(E,E)−2,4−デカジエナール、ヘキサン酸、1−エチル−5−メチルシクロペンテン、(E,E)−2,4−ノナジエナール、(Z)−2−デセナール、ジヒドロ−5−ペンチル−2(3H)−フラノン、trans−3−ノネン−2−オン、(E,E)−3,5−オクタジエン−2−オン、(Z)−2−オクテン−1−オール、5−エチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、2−ブテナール、1−ペンテン−3−オール、(E)−2−ヘキセナール、ギ酸、ヘプチルエステル、2−ペンチル−チオフェン、(Z)−2−ノネナール、2−ヘキシル−チオフェン、(E)−2−デセナール、2−エチル−5−メチル−ピラジン、3−エチル−2,5−ジメチル−ピラジン、2−エチル−1−ヘキサノール、チオフェン、2−メチル−フラン、ピリジン、ブタナール、2−エチル−フラン、3−メチル−、ブタナール、2−メチル−、ブタナール、メタクロレイン、2−メチル−プロパナール、プロパナール、アセトアルデヒド、2−プロピル−フラン、ジヒドロ−5−プロピル−2(3H)−フラノン、1,3−ヘキサジエン、4−デシン、ペンタナール、1−プロパノール、ヘプタン酸、エタンチオール、1−ブタノール、1−ペンテン−3−オン、ジメチルスルフィド、2−エチルフラン、2−ペンチル−チオフェン、2−プロペナール、2−トリデセン−1−オール、4−オクテン、2−メチルチアゾール、メチル−ピラジン、2−ブタノン、2−ペンチル−フラン、2−メチル−プロパナール、ブチロラクトン、3−メチル−ブタナール、メチル−チイラン、2−ヘキシル−フラン、ブタナール、2−メチル−ブタナール、トリクロロメタン、2−メチル−フラン、フラン、オクタナール、2−ヘプテナール、1−オクテン、ヘプチルエステルギ酸、3−ペンチル−フラン、および4−ペンテン−2−オンからなる群から選択される1種または複数の風味化合物を形成することと
を含む、方法。
[29] 前記の鉄イオンと錯体を形成している高度共役複素環が、ヘム部分および鉄イオンと錯体を形成している、ポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コーリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル、コルフィン、クロロフィリン、バクテリオクロリンまたはイソバクテリオクロリン部分からなる群から選択される、[28]に記載の方法。
[30] 前記ヘム部分が、ヘム含有タンパク質、非ペプチドポリマーと結合しているヘム部分または固相支持体と結合しているヘム部分である、[29]に記載の方法。
[31] 前記ヘム部分が、ヘム含有タンパク質である、[30]に記載の方法。
[32] 前記の鉄イオンと錯体を形成している高度共役複素環が、鉄クロリンである、[29]に記載の方法。
[33] システイン、リボース、乳酸、リシンおよび/またはチアミンを、前記の鉄と錯体を形成している高度共役複素環と組み合わせることを含む、[28]から[32]のいずれか一項に記載の方法。
[34] 風味化合物を製造する方法であって、
a)ヘム含有タンパク質、システインおよび糖ならびにグルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、IMP、GMP、ピラジン、AMP、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、ヒマワリ油、綿実油、ダイズ油、コーン油、ヤシ果実油、パームシード油、ぬか油、サフラワー油、オリーブオイル、キャノーラ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の任意選択の風味前駆体分子を組み合わせて、混合物を形成することと、
b)混合物を加熱して、表3、8、9、12、14、16または17に示される1種または複数の風味化合物を形成することと
を含む、方法。
[35] 食品に肉様風味を付与する方法であって、前記食品を、着香組成物と接触させることを含み、前記着香組成物は、i)ヘム含有タンパク質と、ii)グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、IMP、GMP、ピラジン、AMP、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、ヒマワリ油、綿実油、ダイズ油、コーン油、ヤシ果実油、パームシード油、ぬか油、サフラワー油、オリーブオイル、ヒマワリ油、キャノーラ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、加水分解タンパク質、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子とを含み、ここで、前記食品および前記着香組成物を一緒に加熱した後に、前記食品に肉様風味が付与される、方法。
[36] 前記肉様風味が、牛肉様、鶏肉様、豚肉様、仔羊肉様風味または七面鳥肉様である、[35]に記載の方法。
[37] 前記着香組成物が、調味料、着香料、タンパク質、タンパク質濃縮物または乳化剤をさらに含む、[35または[36]に記載の方法。
[38] 前記着香組成物が、小袋またはシェーカー内に密封されている、[35]から[37]のいずれか一項に記載の方法。
[39] 食品を製造する方法であって、単離されたヘム含有タンパク質ならびにグルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、IMP、GMP、ピラジン、AMP、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、ヒマワリ油、キャノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、加水分解タンパク質、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子を組み合わせて、混合物を形成することと、混合物を加熱することとを含む、方法。
[40] 風味化合物を製造する方法であって、
a)固相支持体と結合しているヘム部分を、システイン、リボース、グルコース、フルクトース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチド結合糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一リン酸(AMP)、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸、植物油、藻類油、ヒマワリ油、綿実油、ダイズ油、コーン油、ヤシ果実油、パームシード油、ぬか油、サフラワー油、オリーブオイル、キャノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴーオイル、遊離脂肪酸、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、タンパク質加水分解物、麦芽エキス、酵母エキスおよびペプトンからなる群から選択される1種または複数の風味前駆体分子と一緒にインキュベートすることと、
b)前記固相支持体と結合しているヘム部分および1種または複数の風味前駆体を加熱して、フェニルアセトアルデヒド、1−オクテン−3−オン、2−n−ヘプチルフラン、2−チオフェンカルボキサルデヒド、3−チオフェンカルボキサルデヒド、ブチロラクトン、2−ウンデセナール、メチル−ピラジン、2−フルフラール、デカノン、ピロール、1−オクテン−3−オール、2−アセチルチアゾール、(E)−2−オクテナール、デカナール、ベンズアルデヒド、(E)−2−ノネナール、ピラジン、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、ジメチルトリスルフィド、2−ノナノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,3−ブタンジオン、ヘプタナール、ノナナール、2−オクタノン、1−オクタノール、3−エチルシクロペンタノン、3−オクテン−2−オン、(E,E)−2,4−ヘプタジエナール、(Z)−、2−ヘプテナール、6−メチル−2−ヘプタノン、(Z)−4−ヘプテナール、(E,Z)−2,6−ノナジエナール、3−メチル−2−ブテナール、2−ペンチル−フラン、チアゾール、(E,E)−2,4−デカジエナール、ヘキサン酸、1−エチル−5−メチルシクロペンテン、(E,E)−2,4−ノナジエナール、(Z)−2−デセナール、ジヒドロ−5−ペンチル−2(3H)−フラノン、trans−3−ノネン−2−オン、(E,E)−3,5−オクタジエン−2−オン、(Z)−2−オクテン−1−オール、5−エチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、2−ブテナール、1−ペンテン−3−オール、(E)−2−ヘキセナール、ギ酸、ヘプチルエステル、2−ペンチル−チオフェン、(Z)−2−ノネナール、2−ヘキシル−チオフェン、(E)−2−デセナール、2−エチル−5−メチル−ピラジン、3−エチル−2,5−ジメチル−ピラジン、2−エチル−1−ヘキサノール、チオフェン、2−メチル−フラン、ピリジン、ブタナール、2−エチル−フラン、3−メチル−ブタナール、2−メチル−ブタナール、メタクロレイン、2−メチル−プロパナール、プロパナール、アセトアルデヒド、2−プロピル−フラン、ジヒドロ−5−プロピル−2(3H)−フラノン、1,3−ヘキサジエン、4−デシン、ペンタナール、1−プロパノール、ヘプタン酸、エタンチオール、1−ブタノール、1−ペンテン−3−オン、ジメチルスルフィド、2−エチルフラン、2−ペンチル−チオフェン、2−プロペナール、2−トリデセン−1−オール、4−オクテン、2−メチルチアゾール、メチル−ピラジン、2−ブタノン、2−ペンチル−フラン、2−メチル−プロパナール、ブチロラクトン、3−メチル−ブタナール、メチル−チイラン、2−ヘキシル−フラン、ブタナール、2−メチル−ブタナール、トリクロロメタン、2−メチル−フラン、フラン、オクタナール、2−ヘプテナール、1−オクテン、ヘプチルエステルギ酸、3−ペンチル−フラン、および4−ペンテン−2−オンからなる群から選択される1種または複数の風味化合物を形成することと
を含む、方法。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]