特許第6553533号(P6553533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553533
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20090101AFI20190722BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20190722BHJP
   H04J 99/00 20090101ALI20190722BHJP
【FI】
   H04W74/08
   H04W16/28 130
   H04J99/00
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-48756(P2016-48756)
(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2017-163501(P2017-163501A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年9月10日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度 総務省、「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発 〜高周波数帯・広帯域超多素子アンテナによる高速・低消費電力無線アクセス技術の研究開発〜」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124844
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 隆治
(72)【発明者】
【氏名】奥山 達樹
(72)【発明者】
【氏名】須山 聡
(72)【発明者】
【氏名】奥村 幸彦
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/031351(WO,A1)
【文献】 特開2001−359168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
H04J99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、前記基地局と通信する1以上の移動局とを備える無線通信システムにおける基地局であって、
前記1以上の移動局の各々から複数のランダムアクセス系列のうち特定のランダムアクセス系列の信号を受信する受信部と、
複数の受信方向の各々に対応するウェイトが適用される複数の受信方向ごとの信号と、前記複数のランダムアクセス系列の各々との間の組み合わせにおける相関値を算出し、前記組み合わせにおける相関値を前記複数のランダムアクセス系列ごとに合算した相関値の大きさに基づいて、前記複数のランダムアクセス系列のうち前記特定のランダムアクセス系列と、前記特定のランダムアクセス系列の信号が受信された受信方向とを特定する特定部と、
を有する基地局。
【請求項2】
前記複数の受信方向の各々に対応するウェイトが適用される複数の受信方向ごとの信号は、該複数の受信方向ごとの信号のうち受信電力が所定の閾値以上の信号である、
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記特定部は、前記組み合わせにおける相関値を前記複数のランダムアクセス系列ごとに合算した相関値のうち、相関値の大きさが所定の閾値以上であるか否かを判断することで、前記複数のランダムアクセス系列のうち前記特定のランダムアクセス系列と、前記特定のランダムアクセス系列の信号が受信された受信方向とを特定する、
請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項4】
前記特定部は、前記組み合わせにおける相関値を前記複数のランダムアクセス系列ごとに合算した相関値のうち、相関値が大きい順にランダムアクセス系列を所定の個数選択することで、前記複数のランダムアクセス系列のうち前記特定のランダムアクセス系列と、前記特定のランダムアクセス系列の信号が受信された受信方向とを特定する、
請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項5】
前記特定部は、複数の受信方向の各々に対応するウェイトが適用される複数の受信方向ごとの信号のうち、所定の受信方向の信号と前記複数のランダムアクセス系列の各々との間の組み合わせにおける相関値を算出し、該組み合わせにおける相関値のうち相関値が大きい順に所定の数のランダムアクセス系列を選択する手順を、該複数の受信方向ごとの信号に対して順に繰り返すことでランダムアクセス系列の候補を絞り込み、絞り込まれた候補のランダムアクセス系列ごとに合算した相関値の大きさに基づいて、前記複数のランダムアクセス系列のうち前記特定のランダムアクセス系列と、前記特定のランダムアクセス系列の信号が受信された受信方向とを特定する、
請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項6】
複数の受信方向の各々は、当該基地局における信号受信面に対して、水平方向及び垂直方向を所定の間隔の角度に等分することで決定される複数の受信方向の各々である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基地局。
【請求項7】
前記受信部は、前記1以上の移動局の各々から受信する特定のランダムアクセス系列の信号を記憶部に記憶し、
前記特定部は、複数の受信方向の各々に対応するウェイトが適用される複数の受信方向ごとの信号を、前記記憶部に記憶された前記1以上の移動局の各々から受信する特定のランダムアクセス系列の信号に複数の受信方向の各々に対応するウェイトを乗算することで生成する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)では、システム容量の更なる大容量化、データ伝送速度の更なる高速化、無線区間における更なる低遅延化などを実現するために、5Gと呼ばれる無線通信方式の検討が進んでいる。5Gでは、10Gbps以上のスループットを実現しつつ無線区間の遅延を1ms以下にするという要求条件を満たすために、様々な要素技術の検討が行われている。
【0003】
5Gでは、LTEよりも更に高周波数帯を使用することが想定されている。ここで、高周波数帯では伝搬ロスが増大することから、それを補うために、ビーム幅の狭いビームフォーミングを行うMassiveMIMO(Multi Input Multi Output)を適用することが検討されている。MassiveMIMOは、基地局側に多数(例:100素子)のアンテナ素子を設置する大規模MIMOであり、狭い領域に電界の強さを集中させることができるため、ユーザ間の干渉を小さくすることができる。
【0004】
図1(a)は、LTE等の従来の基地局が行うビームフォーミングの例を示しており、図1(b)は、MassiveMIMOを用いる基地局が行うビームフォーミングの例を示している。MassiveMIMOでは、図1(b)に示すように、ビーム幅の狭いビームフォーミングにより、遠方まで無線信号を送信することができるようになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】株式会社NTTドコモ、"ドコモ5Gホワイトペーパー"、2014年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在、5Gの基本的なアーキテクチャとして、MassiveMIMO基地局が形成するスモールセルをマクロセルにオーバーレイさせるようにして、上位レイヤ(RRC(Radio Resource Control)など)の制御信号や低速なユーザデータの送受信はマクロセル側で行い、高速なデータ送受信をスモールセルで行うようなシナリオが提唱されている。本シナリオでは、移動局は、最初に無線リンクを確立する際、マクロセルの基地局との間でランダムアクセス手順を実行する。
【0007】
一方、将来的には、制御信号の送受信をスモールセル側でも行えるようにするシナリオや、スモールセルのみで通信が行われるようなシナリオも想定される。これらのシナリオを実現するためには、移動局とMassiveMIMO基地局との間で直接ランダムアクセス手順を実現するための技術が必要になる。
【0008】
ランダムアクセス手順において、MassiveMIMO基地局は、図2に示すように、移動局から受信するRACH(Random Access Channel)信号の到来方向にビームフォーミングを行った上でRACH信号の系列(シーケンス)を特定することが望ましい。しかしながら、MassiveMIMO基地局は、移動局からRACH信号を受信する前に移動局との間のチャネル情報を把握することは困難であるため、予めRACH信号の到来方向にビームフォーミングを行うことができないという問題がある。なお、本課題は、MassiveMIMO基地局に限られず、ビームフォーミングを行う基地局全般に発生し得る。
【0009】
開示の技術は上記に鑑みてなされたものであって、ランダムアクセス手順において、RACH信号の系列を特定すると共に、RACH信号の受信方向を特定することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の技術の基地局は、基地局と、前記基地局と通信する1以上の移動局とを備える無線通信システムにおける基地局であって、前記1以上の移動局の各々から複数のランダムアクセス系列のうち特定のランダムアクセス系列の信号を受信する受信部と、複数の受信方向の各々に対応するウェイトが適用される複数の受信方向ごとの信号と、前記複数のランダムアクセス系列の各々との間の組み合わせにおける相関値を算出し、前記組み合わせにおける相関値を前記複数のランダムアクセス系列ごとに合算した相関値の大きさに基づいて、前記複数のランダムアクセス系列のうち前記特定のランダムアクセス系列と、前記特定のランダムアクセス系列の信号が受信された受信方向とを特定する特定部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、ランダムアクセス手順において、RACH信号の系列を特定すると共に、RACH信号の受信方向を特定することが可能な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ビームフォーミングの例を示す図である。
図2】課題を説明するための図である。
図3】実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図4】実施の形態に係る基地局の機能構成例を示す図である。
図5】実施の形態に係る基地局のハードウェア構成例を示す図である。
図6】RACHシーケンス及び受信方向を特定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】ビーム候補を示す図である。
図8】信号処理フローの一例を示す図である。
図9】RACHシーケンス及び受信方向を特定する処理手順の具体例を説明するための図である。
図10】RACHシーケンス及び受信方向を特定する処理手順(変形例1)の一例を示すフローチャートである。
図11】選択されたビーム候補を示す図である。
図12】RACHシーケンス及び受信方向を特定する処理手順(変形例2)の一例を示すフローチャートである。
図13】RACHシーケンス及び受信方向を特定する処理手順(変形例2)の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。例えば、本実施の形態に係る無線通信システムはLTE又は5Gに準拠した方式のシステムを想定しているが、本発明はLTE又は5Gに限定されるわけではなく、他の方式にも適用可能である。
【0014】
<システム構成>
図3は、実施の形態に係る無線通信システムの構成例を示す図である。実施の形態に係る無線通信システムは、MassiveMIMOをサポートする基地局1と、マクロセルを形成する基地局2と、中央制御局3と、移動局4とを含む。基地局1は、多数のアンテナ素子を有しており、MassiveMIMOセル(MMセル)を形成している。なお、MMセルとは、基地局1から送信される多数のビームにより形成されるセルを意図している。MMセルでは、例えば5GHz以上で帯域幅が100MHz以上のバンド等を用いることで、マクロセルよりも高速な通信を実現することができる。
【0015】
基地局2はMMセルよりカバレッジが広いマクロセルを形成する。マクロセルは、LTE(LTE−A(LTE-Advanced)を含む)のセルを想定しているが、これに限られず、無線LAN等のLTE以外の無線技術を用いたセルであってもよい。すなわち、本実施の形態では、LTEのセル、無線LANのセル等と、MMセルとがオーバーラップするように配置されている。
【0016】
中央制御局3は、基地局1及び基地局2を集中制御する機能を有している。例えば、中央制御局3は、基地局1及び基地局2が有する無線リソースのスケジューリング、上位レイヤ(例えばRRCレイヤ等)の制御等を行う。
【0017】
移動局4は、基地局1又は基地局2と通信を行う機能を有する。図3には移動局4が1つ示されているが、本実施の形態では2つ以上の移動局4を有していてもよい。また、移動局4は、通信を開始する際に、基地局1との間でランダムアクセス手順を行う機能を有する。また、移動局4は、基地局1又は基地局2のいずれか一方と通信する機能を有していてもよいし、基地局1及び基地局2と同時に通信を行う機能(Multiple Connectivity)を有していてもよい。
【0018】
従来のLTEでは、移動局4は、マクロセルの基地局2との間で無線リンクを確立する際に、ランダムアクセス手順を行う。移動局4は、セル内に予め用意された複数のRACHシーケンス(RACH系列)候補からランダムに選択したRACHシーケンスの信号(ランダムアクセスプリアンブルやメッセージ1とも呼ばれる)を基地局2に送信することで、ランダムアクセス手順を開始する。
【0019】
本実施の形態でも、従来のLTEと同様、移動局4は、基地局1との間で無線リンクを確立する際に、MMセル内に予め用意された複数のRACHシーケンス候補からランダムに選択したRACHシーケンスの信号(以下、「RACH信号」と呼ぶ)を基地局1に送信する前提とする。
【0020】
なお、本実施の形態は、図3に示すようにマクロセルとMMセルとがオーバーラップしている無線通信システムのみならず、MMセル単独で通信を行う無線通信システム(例えば、基地局1のみを有する無線通信システム)においても適用可能である。
【0021】
<機能構成>
図4は、実施の形態に係る基地局の機能構成例を示す図である。図7(a)に示すように、基地局1は、信号送信部101、信号受信部102、受信電力測定部103、及び特定部104を有する。図4は、本実施の形態における主要な機能部のみを示すものであり、本無線通信システムで用いられる通信方式に準拠した動作を行うための図示しない機能も有するものである。ただし、以下で説明する基地局の処理の一部(例:特定の1つの実施例、変形例のみ等)を実行可能としてもよい。
【0022】
信号送信部101は、基地局1から送信すべき上位レイヤの信号から物理レイヤの信号を生成し、生成された信号を無線送信する機能を有する。また、信号送信部101は、ビームフォーミング(送信ビームフォーミング)を行うことで、特定の方向に向けて信号を無線送信する機能を有する。信号受信部102は、移動局4から物理レイヤの信号を受信し、受信した信号からより上位のレイヤの信号を取得する機能を有する。信号受信部102は、ビームフォーミング(受信ビームフォーミング)を行うことで、特定の方向にビームを向けて信号を受信する機能を有する。また、信号受信部102は、受信した信号をメモリ等の記憶部に記憶する機能を有する。
【0023】
受信電力測定部103は、信号受信部102で受信される信号の受信電力を測定する機能を有する。また、受信電力測定部103は、ビームフォーミングにより特定の方向から受信される信号の受信電力を測定する機能を有する。
【0024】
特定部104は、移動局4から受信するRACH信号のRACHシーケンス(RACH系列と同義)及びRACH信号の受信方向を特定する機能を有する。また、特定部104は、ビームフォーミングによる複数の受信方向ごとに受信される信号と、複数のRACHシーケンスの各々との間の組み合わせにおける相関値を算出し、当該組み合わせにおける相関値を複数のRACHシーケンスごとに合算した相関値の大きさに基づいて、移動局4から送信された特定のRACHシーケンスと、当該特定のRACHシーケンスの信号が受信された受信方向とを特定する機能を有する。
【0025】
以上説明した基地局1の機能構成は、全体をハードウェア回路(例えば、1つ又は複数のICチップ)で実現してもよいし、一部をハードウェア回路で構成し、その他の部分をCPUとプログラムとで実現してもよい。
【0026】
図5は、実施の形態に係る基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。図5は、図4よりも実装例に近い構成を示している。図5に示すように、基地局1は、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)モジュール201と、ベースバンド信号処理を行うBB(Base Band)処理モジュール202と、上位レイヤ等の処理を行う装置制御モジュール203と、ネットワークと接続するためのインタフェースである通信IF204とを有する。
【0027】
RFモジュール201は、BB処理モジュール202から受信したデジタルベースバンド信号に対して、D/A(Digital-to-Analog)変換、変調、周波数変換、及び電力増幅等を行うことでアンテナから送信すべき無線信号を生成する。また、受信した無線信号に対して、周波数変換、A/D(Analog to Digital)変換、復調等を行うことでデジタルベースバンド信号を生成し、BB処理モジュール202に渡す。RFモジュール201は、例えば、図4に示す信号送信部101の一部、信号受信部102の一部を含む。
【0028】
BB処理モジュール202は、IPパケットとデジタルベースバンド信号とを相互に変換する処理を行う。DSP(Digital Signal Processor)212は、BB処理モジュール202における信号処理を行うプロセッサである。メモリ222は、DSP212のワークエリアとして使用される。BB処理モジュール202は、例えば、図4に示す信号送信部101の一部、信号受信部102の一部、受信電力測定部103及び特定部104を含む。
【0029】
装置制御モジュール203は、IPレイヤのプロトコル処理、OAM(Operation and Maintenance)処理等を行う。プロセッサ213は、装置制御モジュール203が行う処理を行うプロセッサである。メモリ223は、プロセッサ213のワークエリアとして使用される。補助記憶装置233は、例えばHDD等であり、基地局1自身が動作するための各種設定情報等が格納される。
【0030】
<処理手順>
続いて、基地局1が、移動局4から受信したRACH信号のRACHシーケンスを特定すると共に、RACH信号の受信方向(RACH信号を受信したビームの方向)を特定する際の具体的な処理手順について説明する。
【0031】
本実施の形態では、基地局1の信号受信部102は、移動局4から受信したRACH信号をメモリ等の記憶部に格納しておくようにする。基地局1の特定部104は、記憶部に一旦格納されたRACH信号に対してビームフォーミング等のデジタル信号処理を行うことで、RACHシーケンスの特定及びRACH信号の受信方向を特定する。
【0032】
図6は、RACHシーケンス及び受信方向を特定する処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、移動局4がMMセル内で選択可能なRACHシーケンス候補の数は「C1」個であるとして説明する。
【0033】
ステップS11で、特定部104は、信号受信部102で受信されたRACH信号に対して、C0個のビーム候補(受信ビームフォーミングを行う方向)の各々に対応するウェイト(W)を乗算することで、RACH信号に対して受信ビームフォーミングを行う。なお、ビーム候補に対応するウェイト(W)とは、基地局1の全アンテナ素子の各々で受信されたRACH信号に乗算するウェイト量であり、ステアリングベクトルとも呼ばれる。
【0034】
図7(a)にC0個のビーム候補の例を示す。本実施の形態では、各ビーム候補の方向及びビーム候補の数については任意であるが、例えば、アンテナ面から水平方向及び垂直方向に所定の間隔の角度で離散的にビーム候補を設けるようにしてもよい。図7(b)は、xy面(アンテナ面に対して水平方向)でのビーム角度(φ)と、yz面(アンテナ面に対して垂直方向)でのビーム角度(θ)を表している。例えば、φ=0〜180°、θ=0〜180°として、φ及びθ方向にそれぞれ10°おきに離散的にビーム候補を設けるようにしてもよい。この場合、ビーム候補数は18×18=324通り(C0=324)になる。また、例えば、φ=0〜180°、θ=0〜180°として、φ及びθ方向にそれぞれ5°おきにビーム候補を設けるようにしてもよい。この場合、ビーム候補数は36×36=1296通り(C0=1296)になる。
【0035】
続いて、特定部104は、C0個のビーム候補毎のRACH信号(各ビーム候補に対応するウェイトが乗算されたRACH信号)と、C1個のRACHシーケンス候補との組み合わせの相関値(ρ)を算出し、ビーム候補毎に、相関値が高い順に所定の個数(C2個)のRACHシーケンス候補を選択する。なお、ビーム候補のRACH信号とRACHシーケンス候補との相関値を算出することは、ビーム候補のRACH信号とRACHシーケンス候補のレプリカ信号との相関値を算出することである。
【0036】
ステップS12で、特定部104は、各ビーム候補でC2個ずつ選択されたRACHシーケンス候補の相関値を、RACHシーケンス候補ごとに合算する。
【0037】
ステップS13で、特定部104は、ステップS12で算出されたRACHシーケンス候補ごとの相関値の合計値のうち、合計値が所定の閾値(X)以上であるRACHシーケンス候補を選択することで、移動局4から受信したRACHシーケンスを特定する。なお、特定部104は、合計値が所定の閾値(X)以上であるRACHシーケンス候補を選択することに代えて、合計値が大きい順に所定の個数のRACHシーケンス候補を選択することで、移動局4から受信したRACHシーケンスを特定するようにしてもよい。
【0038】
また、特定部104は、当該特定されたRACHシーケンスの相関値の合計値に含まれる個々の相関値に対応するビーム候補を、当該特定されたRACHシーケンスのRACH信号を受信した方向として特定する。例えば、RACHシーケンス(S30)の相関値の合計値は、ビーム候補(10)とRACHシーケンス(S30)の間の相関値及びビーム候補(20)とRACHシーケンス(S30)の間の相関値とを合計したものである場合、ビーム候補(10)とビーム候補(20)を、RACHシーケンス(S30)のRACH信号を受信した方向として特定する。なお、特定部104は、当該特定されたRACHシーケンスとの間の相関値が所定の閾値(Y)以下(未満)であるビーム候補については、当該特定されたRACHシーケンスのRACH信号を受信した方向に含めないようにしてもよい。例えば、RACHシーケンス(S30)の相関値の合計値は、ビーム候補(10)とRACHシーケンス(S30)の間の相関値及びビーム候補(20)とRACHシーケンス(S30)の間の相関値とを合計したものであるものの、ビーム候補(20)とRACHシーケンス(S30)の間の相関値が所定の閾値(Y)より低い場合、ビーム候補(10)のみを、RACHシーケンス(S30)のRACH信号を受信した方向として特定する。これは、特定されたRACHシーケンスとの相関値が低いビーム候補が、RACH信号を受信した方向に含まれてしまうことを避けるためである。
【0039】
以上説明したステップS11〜ステップS13の処理手順に該当する信号処理フローの一例を図8に示す。ステップS11で説明したC0個のビーム候補の各々に対応するウェイト(W)は、図8のW〜WC0に該当する。C1個のRACHシーケンスの候補は、図8のS〜SC1に該当する。
【0040】
続いて、ステップS11〜ステップS13の処理手順の具体例を、図9を用いて説明する。図9の例では、RACHシーケンス候補の数はS〜S100までの100(C1=100)である前提とする。また、図9の例では、各ビーム候補を区別して表現するために、各ビーム候補に対応するウェイト(W〜WC0)を用いて「ビーム候補(W〜WC0)」と表現する。また、図9の例では、1以上の移動局4から同時に1以上のRACH信号が送信されている前提とする。
【0041】
ステップS11の処理手順により、図9(a)に示すように、ビーム候補W〜WC0ごとに、相関値が高い順にC2個(例えば10個など)のRACHシーケンス候補が選択される。例えば、ビーム候補(W)については、C2個のRACHシーケンス候補としてS〜S100が選択され、選択された各RACHシーケンス候補とビーム候補(W)のRACH信号との間のそれぞれの相関値は、ρ1,2〜ρ1,100であることが示されている。なお、図9(a)において、選択されたRACHシーケンス候補は「S〜S100」と図示されているが、S〜S100までの99個のRACHシーケンスが選択されていることを意図しているのではなく、S〜S100までのRACHシーケンスの中でC2個のRACHシーケンスが選択されていることを意図している。例えば、C2=5であると仮定した場合、S、S25、S55、S90、S100のように5個のRACHシーケンスが選択されていることを意図している。
【0042】
続いて、ステップS12の処理手順により、RACHシーケンス候補ごとに相関値が合算される。図9(b)の例では、RACHシーケンス候補(S)との間で相関値が高いビーム候補(W)及びビーム候補(WC0)のそれぞれの相関値(ρ2,1)及び(ρC0,1)が合計されている。他のRACHシーケンス候補(S、・・・、S90、S92、S95、S100)についても同様である。
【0043】
続いて、ステップS13の処理手順により、相関値の合計が所定の閾値(X)以上であるRACHシーケンス候補が選択される。図9の例では、相関値の合計が所定の閾値(X)以上であるRACHシーケンス候補は、S、S90、及びS100である。従って、特定部104は、3つのRACHシーケンス候補(S、S90、及びS100)を、複数の移動局4から受信したRACHシーケンスとして特定する。
【0044】
また、特定されたRACHシーケンス(S)は、ビーム候補(W)及びビーム候補(WC0)のそれぞれの相関値が合計されている。従って、特定部104は、RACHシーケンス(S)であるRACH信号の受信方向は、ビーム候補(W)及びビーム候補(WC0)の方向であると特定する。同様に、特定されたRACHシーケンス(S90)は、ビーム候補(W)及びビーム候補(WC0)のそれぞれの相関値が合計されている。従って、特定部104は、RACHシーケンス(S90)であるRACH信号の受信方向は、ビーム候補(W)及びビーム候補(WC0)の方向であると特定する。また、特定されたRACHシーケンス(S100)は、ビーム候補(W)の相関値が合計されている。従って、特定部104は、RACHシーケンス(S100)であるRACH信号の受信方向は、ビーム候補(W)の方向であると特定する。
【0045】
(変形例1)
以上説明した処理手順では、全ビーム候補の各々について全てのRACHシーケンス候補との相関値を算出することになるため、計算量が膨大になってしまう。例えば、ビーム候補数(C0)が324であり、RACHシーケンス候補の数(C1)が100である場合、32400通りの組み合わせについて相関値を算出する必要がある。
【0046】
そこで、変形例1では、全ビーム候補の各々について全てのRACHシーケンス候補との相関値を算出するのではなく、受信電力が大きいビーム候補に絞ってRACHシーケンス候補との相関値を算出するようにする。
【0047】
図10は、RACHシーケンス及び受信方向を特定する処理手順(変形例1)の一例を示すフローチャートである。
【0048】
ステップS10で、受信電力測定部103は、ビーム候補毎の受信電力を測定する。より具体的には、受信電力測定部103は、信号受信部102で受信されたRACH信号に対して、C0個のビーム候補(受信ビームフォーミングを行う方向)の各々に対応するウェイト(W)を乗算し、ウェイトが乗算されたRACH信号の受信電力を測定する。続いて、受信電力測定部103は、受信電力が所定の閾値以上であるビーム候補(C0´個)を選択する。図11は、選択されたビーム候補の例を示している。
【0049】
続いて、特定部104は、ステップS10の処理手順で選択されたビーム候補(C0´個)に対して、ステップS11〜ステップS13の処理手順を行う。ステップS11〜ステップS13の処理手順は、図6と同一であるため説明は省略する。
【0050】
以上説明した変形例1により、RACHシーケンス及びRACH信号の受信方向を特定する処理における計算量を削減することが可能になり、RACHシーケンス及びRACH信号の受信方向を迅速に特定することが可能になる。
【0051】
(変形例2)
図6のステップS11の処理手順では、特定部104は、ビーム候補毎のRACH信号と、C1個のRACHシーケンス候補の相関値(ρ)を算出し、ビーム候補毎に、相関値が高い順に所定の個数(C2個)のRACHシーケンス候補を選択した。一方、変形例2では、特定部104は、ビーム候補順にRACHシーケンス候補を徐々に絞っていくことで、最終的に所定の数のRACHシーケンス候補を選択するようにする。つまり、図6のステップS11の処理手順では、特定部104は、ビーム候補毎に並列に選択処理を行うことができるが、変形例2では、特定部104は、ビーム候補毎にシーケンシャルに選択処理を行うことになる。
【0052】
図12は、RACHシーケンス及び受信方向を特定する処理手順(変形例2)の一例を示すフローチャートである。なお、図12において、i=1〜C0´である。また、各ビーム候補(1〜C0´)が実際にどの受信方向を示すのかについては、任意に対応づけられていてよい。なお、ステップS10の処理手順及びステップS13の処理手順は、それぞれ図10のステップS10及び図6のステップS13の処理手順と同一であるため説明は省略する。ステップS10の処理手順は、受信電力を用いてビーム候補を予め絞る処理に該当するため、計算量の増加が許容される場合は省略されてもよい。
【0053】
ステップS21で、特定部104は、信号受信部102で受信されたRACH信号に対して、最初のビーム候補(1)に対応するウェイト(W)を乗算することで受信ビームフォーミングを行う。続いて、特定部104は、ビーム候補(1)のRACH信号(ウェイトWが乗算されたRACH信号)と、C1個のRACHシーケンス候補の各々との相関値(ρ)を算出し、相関値が高い順に所定の個数(C2個)のRACHシーケンス候補を選択する。
【0054】
ステップS22で、特定部104は、信号受信部102で受信されたRACH信号に対して、次のビーム候補(2)に対応するウェイト(W)を乗算することで受信ビームフォーミングを行う。続いて、特定部104は、ビーム候補(2)のRACH信号と、最初のビーム候補(1)で選択されたC2個のRACHシーケンス候補の各々との相関値(ρ)を算出し、相関値が高い順に所定の個数(C2個)のRACHシーケンス候補を選択する。ここで、C2<C2である。つまり、特定部104は、ビーム候補順にRACHシーケンス候補が徐々に絞られるようにRACHシーケンスを選択していく。ビーム候補(i)ごとのC2の値にはどのような値が設定されていてもよい。例えば、ビーム候補数が5本であり、RACHシーケンス候補が100個である場合を仮定すると、ビーム候補(1)に対するC2は50であり、ビーム候補(2)に対するC2は40であり、ビーム候補(3)に対するC2は30であり、ビーム候補(4)に対するC2は20であり、ビーム候補(5)に対するC2は10であるというように、ビーム候補順にC2の値が小さくなるように設定される。続いて、特定部104は、ステップS22の処理手順を、C0´個のビーム候補順に繰り返し行う(S23)。
【0055】
ステップS24で、特定部104は、最終的に選択されたC2CO´個のRACHシーケンス候補の各々と、全てのビーム候補(C0´個)との間の相関値を合算する。例えば、ビーム候補数が5本(C0´=5)であり、最後のビーム候補(5)の処理が完了した時点で、S10、S20、及びS30のRACHシーケンス候補が選択されていたと仮定する。この場合、特定部104は、ビーム候補(1〜5)の各々とRACHシーケンス候補(S10)との相関値を合算する。同様に、ビーム候補(1〜5)の各々とRACHシーケンス候補(S20)との相関値を合算し、ビーム候補(1〜5)の各々とRACHシーケンス候補(S30)との相関値を合算する。
【0056】
以上説明した変形例2の処理手順の具体例を、図13を用いて説明する。特に言及しない点については図9と同一でよい。
【0057】
ステップS21〜S23の処理手順により、図13(a)に示すように、最後のビーム候補WC0´の時点でC2C0´個のRACHシーケンス候補が選択される。図13(a)の例では、C2C0´=3であり、RACHシーケンス候補(S10、S45、S74)が最終的に選択されたとする。
【0058】
続いて、ステップS24の処理手順により、図13(b)に示すように、ビーム候補(1〜C0´)の各々とRACHシーケンス候補(S10)との間の全ての相関値ρ1,10〜ρC0´,10が合算される。同様に、ビーム候補(1〜C0´)の各々とRACHシーケンス候補(S45)との間の全ての相関値ρ1,45〜ρC0´,45が合算され、ビーム候補(1〜C0´)の各々とRACHシーケンス候補(S74)との間の全ての相関値ρ1,74〜ρC0´,74が合算される。
【0059】
続いて、ステップS13の処理手順により、相関値の合計が所定の閾値(X)以上であるRACHシーケンス候補が選択される。図13(b)の例では、相関値の合計が所定の閾値(X)以上であるRACHシーケンス候補は、S10及びS45である。従って、特定部104は、2つのRACHシーケンス候補(S10及びS45)を、複数の移動局4から受信したRACHシーケンスとして特定する。
【0060】
また、変形例2では、特定された2つのRACHシーケンス(S10及びS45)は、C0´個の全てのビーム候補のそれぞれの相関値が合計されている。従って、特定部104は、RACHシーケンス(S10及びS45)であるRACH信号の受信方向は、C0´個の全てのビーム候補の方向であると特定する。なお、特定部104は、C0´個の全てのビーム候補を受信方向にするのではなく、一部のビーム候補に限定するようにしてもよい。例えば、特定部104は、特定されたRACHシーケンスごとに、相関値が大きい順に所定の個数のビーム候補を選択し、選択したビーム候補を受信方向とするようにしてもよい。また、特定部104は、特定されたRACHシーケンスとの間の相関値が所定の閾値(Z)以上であるビーム候補を、当該特定されたRACHシーケンスのRACH信号を受信した方向とするようにしてもよい。
【0061】
以上説明した変形例2により、本実施の形態では、RACHシーケンス及びRACH信号の受信方向を特定する処理を様々な方法で行うことが可能になる。
【0062】
<まとめ>
以上、実施の形態によれば、基地局と、前記基地局と通信する1以上の移動局とを備える無線通信システムにおける基地局であって、前記1以上の移動局の各々から複数のランダムアクセス系列のうち特定のランダムアクセス系列の信号を受信する受信部と、複数の受信方向の各々に対応するウェイトが適用される複数の受信方向ごとの信号と、前記複数のランダムアクセス系列の各々との間の組み合わせにおける相関値を算出し、前記組み合わせにおける相関値を前記複数のランダムアクセス系列ごとに合算した相関値の大きさに基づいて、前記複数のランダムアクセス系列のうち前記特定のランダムアクセス系列と、前記特定のランダムアクセス系列の信号が受信された受信方向とを特定する特定部と、を有する基地局が提供される。この基地局1により、ランダムアクセス手順において、RACH信号の系列を特定すると共に、RACH信号の受信方向を特定することが可能な技術が提供される。
【0063】
また、前記複数の受信方向の各々に対応するウェイトが適用される複数の受信方向ごとの信号は、該複数の受信方向ごとの信号のうち受信電力が所定の閾値以上の信号である、ようにしてもよい。これにより、RACHシーケンス及びRACH信号の受信方向を特定する処理における計算量を削減することが可能になり、RACHシーケンス及びRACH信号の受信方向を迅速に特定することが可能になる。
【0064】
また、前記特定部は、前記組み合わせにおける相関値を前記複数のランダムアクセス系列ごとに合算した相関値のうち、相関値の大きさが所定の閾値以上であるか否かを判断することで、前記複数のランダムアクセス系列のうち前記特定のランダムアクセス系列と、前記特定のランダムアクセス系列の信号が受信された受信方向とを特定する、ようにしてもよい。基地局1は、移動局4から送信された信号のランダムアクセス系列を特定することができる。
【0065】
また、前記特定部は、前記組み合わせにおける相関値を前記複数のランダムアクセス系列ごとに合算した相関値のうち、相関値が大きい順にランダムアクセス系列を所定の個数選択することで、前記複数のランダムアクセス系列のうち前記特定のランダムアクセス系列と、前記特定のランダムアクセス系列の信号が受信された受信方向とを特定する、ようにしてもよい。これにより、基地局1は、移動局4から送信された信号のランダムアクセス系列を特定することができる。
【0066】
また、前記特定部は、複数の受信方向の各々に対応するウェイトが適用される複数の受信方向ごとの信号のうち、所定の受信方向の信号と前記複数のランダムアクセス系列の各々との間の組み合わせにおける相関値を算出し、該組み合わせにおける相関値のうち相関値が大きい順に所定の数のランダムアクセス系列を選択する手順を、該複数の受信方向ごとの信号に対して順に繰り返すことでランダムアクセス系列の候補を絞り込み、絞り込まれた候補のランダムアクセス系列ごとに合算した相関値の大きさに基づいて、前記複数のランダムアクセス系列のうち前記特定のランダムアクセス系列と、前記特定のランダムアクセス系列の信号が受信された受信方向とを特定する、ようにしてもよい。これにより、基地局1は、シーケンシャルに処理を行うことで、移動局4から送信された信号のランダムアクセス系列を特定することができる。
【0067】
また、複数の受信方向の各々は、当該基地局における信号受信面に対して、水平方向及び垂直方向を所定の間隔の角度に等分することで決定される複数の受信方向の各々であるようにしてもよい。これにより、ビームフォーミングを行う方向を予め定めておくことができる。
【0068】
また、前記受信部は、前記1以上の移動局の各々から受信する特定のランダムアクセス系列の信号を記憶部に記憶し、前記特定部は、複数の受信方向の各々に対応するウェイトが適用される複数の受信方向ごとの信号を、前記記憶部に記憶された前記1以上の移動局の各々から受信する特定のランダムアクセス系列の信号に複数の受信方向の各々に対応するウェイトを乗算することで生成するようにしてもよい。これにより、基地局1は、デジタル信号処理により、移動局4から受信した信号のランダムアクセス系列及び受信方向を特定することが可能になる。また、移動局4は、受信ビームフォーミングが行われるビームの向きを意識せずに、RACH信号を送信することが可能になる。
【0069】
<実施形態の補足>
以上、本発明の実施の形態で説明する各装置(基地局1)の構成は、CPUとメモリを備える当該装置において、プログラムがCPU(プロセッサ)により実行されることで実現される構成であってもよいし、本実施の形態で説明する処理のロジックを備えたハードウェア回路等のハードウェアで実現される構成であってもよいし、プログラムとハードウェアが混在していてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、開示される発明はそのような実施形態に限定されず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。上記の説明における項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の境界は必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、あるいは1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。実施の形態で述べたシーケンス及びフローチャートは、矛盾の無い限り順序を入れ替えてもよい。処理説明の便宜上、基地局1は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施の形態に従って基地局1が有するプロセッサにより動作するソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に保存されてもよい。
【0071】
なお、実施の形態において、信号受信部102は、受信部の一例である。RACHシーケンスは、ランダムアクセス系列の一例である。
【符号の説明】
【0072】
1、2 基地局
3 中央制御局
4 移動局
101 信号送信部
102 信号受信部
103 受信電力測定部
104 特定部
201 RFモジュール
202 BB処理モジュール
203 装置制御モジュール
204 通信IF
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13