(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに軸線が平行に位置して対をなす、周方向の所定範囲にシート加工部を設けられた外周面を有する加工ローラーおよび、平滑な外周面を有するアンビルローラーと、それら加工ローラーおよびアンビルローラーに対しシート送り方向で手前側に配置された、互いに軸線が平行に位置して対をなす寸法出し送りローラーと、それら加工ローラーおよびアンビルローラーに対しシート送り方向で奥側に配置された、互いに軸線が平行に位置して対をなす引き出しローラーと、を具え、
長尺シートを、前記対をなす寸法出し送りローラーおよび前記対をなす引き出しローラーでそれぞれ挟み、前記加工ローラーと前記アンビルローラーとの隙間に通して送るとともに、それら加工ローラーとアンビルローラーとの送り方向回転に伴って、前記加工ローラーのシート加工部と前記アンビルローラーとでその長尺シートを挟持して送りながら、その長尺シートに対し前記シート加工部で加工を繰り返し施すロータリー式シート加工装置において、
前記加工ローラーと前記アンビルローラーとの間の前記隙間の位置に対する前記加工ローラーの前記シート加工部の所定部位の回転角度に基づいて前記隙間の大きさを変更するローラー隙間変更手段を具え、
前記ローラー隙間変更手段は、前記アンビルローラーの外周面の周方向の一部にその外周面の軸線方向の全長に亘って形成された凹部であることを特徴とするロータリー式シート加工装置。
互いに軸線が平行に位置して対をなす、周方向の所定範囲にシート加工部を設けられた外周面を有する加工ローラーおよび、平滑な外周面を有するアンビルローラーと、それら加工ローラーおよびアンビルローラーに対しシート送り方向で手前側に配置された、互いに軸線が平行に位置して対をなす寸法出し送りローラーと、それら加工ローラーおよびアンビルローラーに対しシート送り方向で奥側に配置された、互いに軸線が平行に位置して対をなす引き出しローラーと、を具え、
長尺シートを、前記対をなす寸法出し送りローラーおよび前記対をなす引き出しローラーでそれぞれ挟み、前記加工ローラーと前記アンビルローラーとの隙間に通して送るとともに、それら加工ローラーとアンビルローラーとの送り方向回転に伴って、前記加工ローラーのシート加工部と前記アンビルローラーとでその長尺シートを挟持して送りながら、その長尺シートに対し前記シート加工部で加工を繰り返し施すロータリー式シート加工装置において、
前記加工ローラーと前記アンビルローラーとの間の前記隙間の位置に対する前記加工ローラーの前記シート加工部の所定部位の回転角度に基づいて前記隙間の大きさを変更するローラー隙間変更手段を具え、
前記ローラー隙間変更手段は、
前記アンビルローラーおよび前記加工ローラーのうちの一方のローラーを他方のローラーに対し進退移動可能に支持するローラー可動支持手段と、
前記他方のローラーに設けられ、前記他方のローラーと同軸の円筒状をなすとともに周方向の一部に凹部を有するカム面と、
前記一方のローラーに設けられて前記カム面に当接し、そのカム面の凹凸に沿ってカム面の半径方向に移動して前記一方のローラーを前記他方のローラーに対し進退移動させるカム従節と、
を有するものであることを特徴とするロータリー式シート加工装置。
【背景技術】
【0002】
上述のロータリー式シート加工装置の一種であるロータリー式ダイカッターとしては従来、例えば特許文献1等で知られたものがあり、このような従来のロータリー式ダイカッターは通常、互いに軸線が平行に位置して対をなす、ラベル輪郭形状に対応する展開形状の抜き加工刃を突設された圧版を周方向の所定範囲に設けられた外周面をダイローラーおよび、平滑な外周面を有するアンビルローラーと、それらダイローラーおよびアンビルローラーに対しシート送り方向で手前側に配置された、互いに軸線が平行に位置して対をなす寸法出し送りローラーと、それらダイローラーおよびアンビルローラーに対しシート送り方向で奥側に配置された、互いに軸線が平行に位置して対をなす寸法出し送りローラーおよび、互いに軸線が平行に位置して対をなす引き出しローラーと、を具えている。
【0003】
これにより、例えばベースシートと粘着シートとを積層された長尺シートを寸法出し送りローラーで挟んで長尺シートロールから繰り出して、ダイローラーとアンビルローラーとの隙間に手前側から送り込むとともに、奥側では引き出しローラーで挟んでダイローラーとアンビルローラーとの隙間から引き出し、ダイローラーとアンビルローラーとの隙間で、それらダイローラーとアンビルローラーとの互いに逆方向の送り方向回転により、ダイローラーの圧版がその回転方向の先端から尾端までダイローラーとアンビルローラーとの隙間を通過する間、長尺シートをその圧版とアンビルローラーとで挟持して送りながら、ダイローラーの圧版の抜き加工刃を長尺シートのうちダイローラーに向いた粘着シートだけに切り込ませてラベル輪郭形状の抜き加工を施す。
【0004】
そして、ダイローラーの圧版の回転方向尾端がダイローラーとアンビルローラーとの隙間を通過して、ダイローラーの圧版とアンビルローラーとが長尺シートを挟持しなくなったら、それらダイローラーとアンビルローラーを、ダイローラーの圧版の回転方向先端が再度ダイローラーとアンビルローラーとの隙間に近づくまでさらに送り方向回転させながら、対をなす寸法出し送りローラーと、対をなす引き出しローラーとをそれぞれ逆回転させて、その長尺シートを粘着シートの前回の抜き加工開始位置から所定ピッチ手前の次回の抜き加工開始位置がダイローラーとアンビルローラーとの隙間の手前に位置するまで引き戻し、ダイローラーの圧版の回転方向先端が再度ダイローラーとアンビルローラーとの隙間に近づいたら、対をなす寸法出し送りローラーと、対をなす引き出しローラーとをそれぞれ正回転させて、ダイローラーの圧版とアンビルローラーとの周速度に合わせて再度長尺シートを送って、ダイローラーの圧版とアンビルローラーとで長尺シートを挟持しつつ、その圧版の抜き加工刃で長尺シートの次回の抜き加工開始位置からラベル輪郭形状の抜き加工を施す、という動作を繰り返す。
【0005】
その後、引き出しローラーでダイローラーとアンビルローラーとの隙間から引き出した長尺シートのうち、粘着シートのラベル輪郭形状の内側のラベルの部分だけを積層状態で残したベースシートをロール状に巻き取るとともに、粘着シートのラベル輪郭形状の外側の不要部分をベースシートから剥がして別途にロール状に巻き取る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図4(a),(b)は、長尺シートの従来の戻し動作または上記実施形態のロータリー式ダイカッターによる減速送り動作を行った場合の、粘着シートのラベルの部分だけを積層状態で残したベースシートを示す平面図および側面図であり、
図8(a),(b)は、長尺シートの戻し動作を行わない場合の、粘着シートのラベルの部分だけを積層状態で残したベースシートを示す平面図および側面図である。
【0008】
ダイローラーの外周面上の圧版は、ダイローラーの外周面の全周に亘って延在するわけではなく、ベースシート上に残すラベルの部分の大きさに応じた長さで延在するため、ダイローラーの外周面上には通常、圧版の尾端と先端との間の切れ目が存在し、その切れ目がダイローラーとアンビルローラーとの隙間を通り、長尺シートが圧版とアンビルローラーとでの挟持から解放されている間、長尺シートの戻し動作を行わずに圧版での加工時と同じ速度で長尺シートを送っていると、
図8(a),(b)に示すように、長尺シートSのベースシートB上の粘着シートにラベルLの部分を抜き加工する、加工領域に対応するラベル輪郭形状の間隔(いわゆるドブ巾)Wが大きくなって、長尺シートSの無駄が多くなってしまう。
【0009】
このため、従来のロータリー式ダイカッターでは、
図4(a),(b)に示すように、長尺シートS上の粘着シートに抜き加工するラベル輪郭形状の間隔Wをできるだけ少なくして長尺シートSの無駄を省くように、ダイローラーの外周面上の圧版の切れ目がダイローラーとアンビルローラーとの隙間を通り、長尺シートSが圧版とアンビルローラーとでの挟持から解放されている間に、各々対をなす寸法出し送りローラーと引き出しローラーとのそれぞれの逆回転で長尺シートSの戻し動作を行って、抜き加工開始位置間のピッチPを設定および調整している。
【0010】
しかしながらこのように寸法出し送りローラーと引き出しローラーとのそれぞれの逆回転で長尺シートSの戻し動作を行うと、それら寸法出し送りローラーと引き出しローラーとをそれぞれ駆動するサーボモーターの複雑な制御が必要とされるとともに、ローラーの慣性の影響で回転方向の変更に時間がかかり、加工動作の1回毎に時間が嵩んで加工速度の高速化が制約されるという問題があった。そして周方向の所定範囲に印刷版を設けられた外周面を有する版胴を具える従来のロータリー式ラベル印刷機でも、長尺シート上に印刷する個々のシール等の印刷開始位置間のピッチの設定および調整に関して、同様の問題があった。
【0011】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決し、簡易且つ安価な構成でピッチの設定および調整を容易にするとともに加工速度の高速化を可能にするロータリー式シート加工装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するこの発明のロータリー式シート加工装置は、互いに軸線が平行に位置して対をなす、周方向の所定範囲にシート加工部を設けられた外周面を有する加工ローラーおよび、平滑な外周面を有するアンビルローラーと、それら加工ローラーおよびアンビルローラーに対しシート送り方向で手前側に配置された、互いに軸線が平行に位置して対をなす寸法出し送りローラーと、それら加工ローラーおよびアンビルローラーに対しシート送り方向で奥側に配置された、互いに軸線が平行に位置して対をなす引き出しローラーと、を具え、
長尺シートを、前記対をなす寸法出し送りローラーおよび前記対をなす引き出しローラーでそれぞれ挟み、前記加工ローラーと前記アンビルローラーとの隙間に通して送るとともに、それら加工ローラーとアンビルローラーとの送り方向回転に伴って、前記加工ローラーのシート加工部と前記アンビルローラーとでその長尺シートを挟持して送りながら、その長尺シートに対し前記シート加工部で加工を繰り返し施すロータリー式シート加工装置において、
前記加工ローラーと前記アンビルローラーとの間の前記隙間の位置に対する前記加工ローラーの前記シート加工部の所定部位の回転角度に基づいて前記隙間の大きさを変更するローラー隙間変更手段を具えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明のロータリー式シート加工装置にあっては、長尺シートを、対をなす寸法出し送りローラーで挟んで加工ローラーとアンビルローラーとの隙間にシート送り方向の手前側から送り込むとともに、シート送り方向の奥側では対をなす引き出しローラーで挟んで加工ローラーとアンビルローラーとの隙間から引き出す。そしてそれら加工ローラーとアンビルローラーとの送り方向回転により、加工ローラーのシート加工部がその回転方向の先端から尾端まで、アンビルローラーとの間の隙間で長尺シートに加工を施す回転位置を通過する間、長尺シートをそのシート加工部とアンビルローラーとで挟持して送りながら、加工ローラーのシート加工部で、加工ローラーに向いた長尺シートの面の所定加工領域に加工を施す。
【0014】
そして、加工ローラーのシート加工部の所定部位としての回転方向尾端が加工ローラーとアンビルローラーとの間の隙間の位置に到達するまでのその回転方向尾端の回転角度が所定角度になると、ローラー隙間変更手段が加工ローラーとアンビルローラーとの間の隙間の大きさを加工時の大きさよりも大きくなるように変更し、これにより、シート加工部での所定加工領域の加工が済んだ後であって、シート加工部の回転方向尾端が加工ローラーとアンビルローラーとの間の隙間の位置に到達する前に、加工ローラーのシート加工部とアンビルローラーとが長尺シートを挟持しなくなるので、加工ローラーの回転速度を一定に維持したままで、対をなす寸法出し送りローラーおよび対をなす引き出しローラーの送り方向回転速度を従来よりも早い段階から減速することができ、それゆえ、それら寸法出し送りローラーおよび引き出しローラーをあえて逆回転させなくても長尺シートに加工を施す領域の間隔を少なくして長尺シートの無駄を省くことが可能になる。
【0015】
また、加工ローラーのシート加工部の他の所定部位としての回転方向先端が加工ローラーとアンビルローラーとの間の隙間の位置に到達するまでまたは到達した後のその回転方向先端の回転角度が所定角度になると、ローラー隙間変更手段が加工ローラーとアンビルローラーとの間の隙間の大きさを元の加工時の大きさに戻すように変更し、これにより、シート加工部での所定加工領域の加工が始まる前であって、シート加工部の回転方向先端が加工ローラーとアンビルローラーとの間の隙間の位置に到達した時またはその後に、長尺シートが加工ローラーのシート加工部とアンビルローラーとで挟持されるようになり、その挟持の開始までに対をなす寸法出し送りローラーおよび対をなす引き出しローラーの送り方向回転速度を元の速度に戻すことで、加工ローラーの回転速度を一定に維持したままで、シート加工部での加工を開始することができる。
【0016】
従って、この発明のロータリー式シート加工装置によれば、寸法出し送りローラーおよび引き出しローラーのそれぞれの逆回転を伴わずに、長尺シートの加工領域の間隔(いわゆるドブ巾)を少なくして長尺シートの無駄を省くことができることから、長尺シートに加工する領域間のピッチの設定および調整を容易にすることができ、しかも1回毎の加工時間を短縮できるので、長尺シートの加工速度を従来よりも高速化することができる。
【0017】
さらに、この発明のロータリー式シート加工装置によれば、加工ローラーの外周面の周長にシート加工部の周長がほとんど等しい程シート加工部が大きいか、あるいは加工ローラーの外周面上にその周方向に複数枚のシート加工部が並べられていて、加工ローラーの外周面上でシート加工部の回転方向先端と尾端との間に隙間がほとんどもしくは全く空いていない場合でも、長尺シートの加工領域の間隔(いわゆるドブ巾)を少なくして長尺シートの無駄を省くことができる。
【0018】
なお、この発明のロータリー式シート加工装置
の一態様においては、前記ローラー隙間変更手段は、前記アンビルローラーの外周面の周方向の一部にその外周面の軸線方向の全長に亘って形成された凹部
である。
【0019】
このようにす
ることで、アンビルローラーの外周面に切削加工等によって凹部を形成するだけの簡易かつ安価な方法で、ローラー隙間変更手段を構成することができる。
【0020】
また、この発明のロータリー式シート加工装置
の他の一態様においては、前記ローラー隙間変更手段は、
前記アンビルローラーおよび前記加工ローラーのうちの一方のローラーを他方のローラーに対し進退移動可能に支持するローラー可動支持手段と、
前記他方のローラーに設けられ、前記他方のローラーと同軸の円筒状をなすとともに周方向の一部に凹部を有するカム面と、
前記一方のローラーに設けられて前記カム面に当接し、そのカム面の凹凸に沿って移動して前記一方のローラーを前記他方のローラーに対し進退移動させるカム従節と、
を有するもの
である。
【0021】
このようにす
ることで、カム面の凹凸の位置や形状等
の変更で、容易に加工ピッチの設定状態や調整状態を最適化することができる。
【0022】
そしてその場合に、前記ローラー可動支持手段は、L字状をなすとともにそのL字の折曲部を揺動可能に軸支されたローラー支持部材を有し、前記ローラー支持部材は、前記L字の一方の腕で前記他方のローラーを支持するとともに、前記L字の他方の腕で前記カム従節を支持するものであると好ましい。
【0023】
このようにすれば、簡易かつ安価な構成で、ローラー可動支持手段を構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、この発明のロータリー式シート加工装置の一実施形態としての、長尺シートに対し所定輪郭形状のラベルあるいはシールを繰り返し抜き加工するロータリー式ダイカッターについて、手前側のボディパネルおよび手前側の側部フレームを省略して示す側面図、
図2は、上記実施形態のロータリー式ダイカッターについて寸法出し送りローラーと引き出しローラーとそれらのローラーの駆動系とを省略して示す正面図、そして
図3は、上記実施形態のロータリー式ダイカッターについて
図1に示す状態と異なる作動状態を拡大して示す説明図である。
【0026】
この実施形態のロータリー式ダイカッターは、左右のボディパネル1の間に渡した二本のステー2の両端をそれら左右のボディパネル1にネジ固定し、それらのステー2上に立設した二枚の厚板状の側部フレーム3の上端同士をこれも厚板状の上部フレーム4で連結して門型フレーム5を構成し、二枚の側部フレーム3の上部に上端から設けたコ字状の切欠き3aにそれぞれ上部軸受け6を昇降移動可能に嵌装するとともに、二枚の側部フレーム3の下部にそれぞれ下部軸受け7を固設し、上部軸受け6で加工ローラーとしてのダイローラー8の駆動軸9を水平にかつ回転自在に支持するとともに、下部軸受け7でアンビルローラー10の駆動軸11をダイローラー8の駆動軸9と平行にかつ回転自在に支持している。
【0027】
そしてダイローラー8の駆動軸9の一端部には、ボディパネル1の外側に配置した減速機付きサーボモーター12の出力軸13を駆動結合し、上部フレーム4の両端部にはそれらを上下方向に貫通する貫通ネジ孔4aをそれぞれ形成し、それらの貫通ネジ孔4aに加圧ネジ14を螺合させ、各加圧ネジ14の上端部には加圧ノブ15を固定し、上部フレーム4の両端部の上側の各加圧ネジ14の中間部には加圧固定ノブ16を羅合させ、各加圧ネジ14の下端は各上部軸受け6の上端に当接させて、加圧ノブ15および加圧固定ノブ16の操作による加圧ネジ14の昇降および固定で、抜き加工時のダイローラー8とアンビルローラー10との間の隙間を調整可能としている。
【0028】
ダイローラー8は永久磁石を有して外周面に磁気を帯びており、その磁気によってダイローラー8の円筒状の外周面上にはシート加工部としての、平面上に展開すると加工するラベルあるいはシールの輪郭形状に一致する輪郭形状の抜き加工刃を有してそのダイローラー8の円筒状の外周面に沿って延在する、例えば0.5mm程度の板厚の鋼板等からなる薄板状の抜き加工ダイ17が、ダイローラー8の外周面に突設された位置決めピンで所定位置に位置決めされて着脱可能に固着されている。この抜き加工ダイ17は、例えば抜き加工刃の部分以外の部分が低くなるようにエッチングで粗加工した後、ダイローラー8の外周面上に固着した状態でNCフライス盤等の工作機械により抜き加工刃の先端部を尖った形状に仕上げ加工することで製造することができ、図示例では抜き加工ダイ17はダイローラー8の外周面上に1枚だけ固着されているが、互いに同一または異なる輪郭形状の抜き加工刃を有する抜き加工ダイ17を、ダイローラー8の外周面上に周方向に複数枚並べて固着しても良い。
【0029】
アンビルローラー10は磁気を帯びない例えばアルミニウム製で、この実施形態ではその外周面の周方向の一部にその外周面の軸線方向の全長に亘って形成された凹部10aを有し、この凹部10aが、ダイローラー8の外周面上の抜き加工ダイ17とアンビルローラー10とが長尺シートSを挟持して抜き加工を行う回転位置であるダイローラー8とアンビルローラー10との隙間の位置(図示例では真上に向く位置)に来るとダイローラー8との間の隙間が拡大するので、この凹部10aはローラー隙間変更手段を構成する。
【0030】
ここで、凹部10aの回転方向前部は急な角度で落ち込んでおり、これにより、凹部10aの回転方向前部がダイローラー8とアンビルローラー10との隙間の位置に来たときに長尺シートSを挟持状態から迅速に解放して直ちに減速させることができる。一方、凹部10aの回転方向後部は徐々に浅くなっており、これにより、凹部10aの回転方向後部がダイローラー8とアンビルローラー10との隙間の位置に近づくにつれて長尺シートSをダイローラー8の外周面あるいは抜き加工ダイ17とアンビルローラー10とで徐々に挟持して、アンビルローラー10の周速と長尺シートSの送り速度との差により長尺シートSに加わる張力を小さくすることができる。
【0031】
ダイローラー8の一端部(
図2では右端部)とアンビルローラー10の一端部(
図2では右端部)とにはそれぞれ歯車18がそれらのローラー8,10と一体的に結合されて設けられており、それらの歯車18は互いに同一の歯数やピッチ円径等の歯車仕様を有するとともに互いに噛合して、アンビルローラー10をダイローラー8と等速でダイローラー8と反対方向に回転駆動し、これによりダイローラー8とアンビルローラー10とは
図1中矢印で示すように互いに逆方向に送り方向回転する。
【0032】
左右のボディパネル1の間にはさらに、それらダイローラー8およびアンビルローラー10に対し長尺シートSの送り方向で手前側(
図1では左側)に、互いに軸線が平行に位置して対をなす寸法出し送りローラー19が配置されるとともに、それらダイローラー8およびアンビルローラー10に対しシート送り方向で奥側(
図1では右側)に、互いに軸線が平行に位置して対をなす引き出しローラー20が配置され、これらは各々表面が高摩擦係数のゴム等からなら駆動ローラー19a,20aとその駆動ローラー19a,20aに長尺シートSを押し付けるニップローラー19b,20bとからなり、各駆動ローラー19a,20aは、ダイローラー8を回転駆動する減速機付きサーボモーター12と同様の図示しないサーボモーターで回転駆動され、それらダイローラー8と各駆動ローラー19a,20aとをそれぞれ回転駆動するサーボモーターの作動は、共通の図示しない通常のサーボコントローラーによって制御している。
【0033】
この実施形態のロータリー式ダイカッターにあっては、
図1に示すように、例えばベースシートBと粘着シートAとを積層された長尺シートSを、寸法出し送りローラー19の駆動ローラー19aとニップローラー19bとで挟んで図示しない長尺シートロールから繰り出して、ダイローラー8とアンビルローラー10との隙間にシート送り方向の手前側から送り込むとともに、シート送り方向の奥側では引き出しローラー20の駆動ローラー20aとニップローラー20bとで挟んでダイローラー8とアンビルローラー10との隙間から引き出し、そしてそれらダイローラー8とアンビルローラー10との送り方向回転により、ダイローラー8の抜き加工ダイ17がその回転方向先端17aから回転方向尾端17bまで(
図3参照)、アンビルローラー10との間の隙間で長尺シートSに抜き加工を施す回転位置である真下に向く位置を通過する間、長尺シートSをその抜き加工ダイ17とアンビルローラー10とで挟持して送りながら、ダイローラー8の抜き加工ダイ17で、ダイローラー8に向いた長尺シートSの粘着シートAの所定加工領域に所定輪郭形状のラベルあるいはシールを抜き加工する。
【0034】
そして、ダイローラー8の抜き加工ダイ17の所定部位としての回転方向尾端17bがダイローラー8とアンビルローラー10との間の隙間の位置である真下に向く位置に到達するまでのその回転方向尾端17bの回転角度が所定角度になる、すなわち抜き加工ダイ17の回転方向尾端17bが真下に向く位置から所定回転角度(
図3では約25度)だけ手前に来ると、アンビルローラー10の凹部10aの回転方向前端がダイローラー8とアンビルローラー10との間の隙間の位置である真上に向く位置に到達してその時点からダイローラー8とアンビルローラー10との間の隙間の大きさを抜き加工ダイ17での加工時の大きさよりも大きくなるように変更する。
【0035】
これにより、長尺シートSの粘着シートAの所定加工領域への抜き加工ダイ17での所定輪郭形状のラベルあるいはシールの抜き加工が済んだ後であって、抜き加工ダイ17の回転方向尾端17bがダイローラー8とアンビルローラー10との間の隙間の位置に到達する前に、ダイローラー8の抜き加工ダイ17とアンビルローラー10とが長尺シートSを挟持しなくなるので、上記サーボコントローラーにより、ダイローラー8の回転速度を一定に維持したままで、寸法出し送りローラー19および引き出しローラー20の駆動ローラー19a,20aを駆動するサーボモーターを減速して、寸法出し送りローラー19および引き出しローラー20の送り方向回転速度を従来よりも早い段階から減速することができ、それゆえ、それら寸法出し送りローラー19および引き出しローラー20をあえて逆回転させなくても、
図4に示すように、
図8に示す場合と対比して長尺シートSにラベルあるいはシールの抜き加工を施す領域の間隔Wを少なくして長尺シートSの無駄を省くことが可能になる。
【0036】
また、ダイローラー8の抜き加工ダイ17の他の所定部位としての回転方向先端17aがダイローラー8とアンビルローラー10との間の隙間の位置に到達するまでまたは到達した後のその回転方向先端17aの回転角度が所定角度になる、すなわち抜き加工ダイ17の回転方向先端17aが真下に向く位置から所定回転角度だけ手前に来るかまたは所定回転角度だけ通り過ぎると、アンビルローラー10の凹部10aの回転方向後端がダイローラー8とアンビルローラー10との間の隙間の大きさを、元の加工時の大きさに戻すように変更する。
【0037】
これにより、長尺シートSの粘着シートAの次の所定加工領域への抜き加工ダイ17での所定輪郭形状のラベルあるいはシールの抜き加工が始まる前であって、抜き加工ダイ17の回転方向先端17aがダイローラー8とアンビルローラー10との間の隙間の位置に到達した時またはその後に、長尺シートSがダイローラー8の抜き加工ダイ17とアンビルローラー10とで挟持されるようになり、その挟持の開始までに寸法出し送りローラー19および引き出しローラー20の駆動ローラー19a,20aを駆動するサーボモーターを増速して、寸法出し送りローラー19および引き出しローラー20の送り方向回転速度を元の速度に戻すことで、ダイローラー8の回転速度を一定に維持したままでその周速度に長尺シートSの送り速度を一致させて、抜き加工ダイ17での次のラベルLあるいはシールの抜き加工を開始することができる。
【0038】
その後は、
図1に示すように、引き出しローラー20でダイローラー8とアンビルローラー10との隙間から引き出した長尺シートSのうち、粘着シートの所定輪郭形状の内側のラベルあるいはシールの部分だけを積層状態で残したベースシートBを図示しない巻取り機でロール状に巻き取るとともに、ベースシートから剥がした粘着シートの所定輪郭形状の外側の不要な枠部分Fを図示しない巻取り機で別途にロール状に巻き取る。
【0039】
従って、この実施形態のロータリー式ダイカッターによれば、寸法出し送りローラー19および引き出しローラー20のそれぞれの逆回転を伴わずに、
図4に示すように、長尺シートSの粘着シートAのラベルLあるいはシールの抜き加工領域の間隔(いわゆるドブ巾)Wを少なくして長尺シートSの無駄を省くことができることから、長尺シートSに加工するラベルLあるいはシールの抜き加工領域間のピッチPの設定および調整を容易にすることができ、しかも1回毎の加工時間を短縮できるので、長尺シートSの加工速度を従来よりも高速化することができる。
【0040】
さらに、この実施形態のロータリー式ダイカッターによれば、ダイローラー8の外周面の周長に一枚もしくは並べた複数枚の抜き加工ダイ17の周長がほとんど等しくて、そのダイローラー8の外周面上で抜き加工ダイ17の回転方向先端17aと尾端17bとの間に隙間がほとんどもしくは全く空いていない場合でも、長尺シートSの抜き加工領域の間隔(いわゆるドブ巾)Wを少なくして長尺シートSの無駄を省くことができる
【0041】
さらに、この実施形態のロータリー式ダイカッターによれば、ローラー隙間変更手段が、アンビルローラー10の外周面の周方向の一部にその外周面の軸線方向の全長に亘って形成された凹部10aであることから、アンビルローラー10の外周面に切削加工等によって凹部10aを形成するだけの簡易かつ安価な方法で、ローラー隙間変更手段を構成することができる。
【0042】
図5は、この発明のロータリー式シート加工装置の他の一実施形態としての、長尺シート上に所定輪郭形状のラベルあるいはシールを印刷するロータリー式印刷機について、手前側のボディパネルおよび手前側の側部フレームを省略して示す側面図、
図6は、上記実施形態のロータリー式印刷機について寸法出し送りローラーと引き出しローラーとそれらのローラーの駆動系とを省略して示す正面図、そして
図7は、上記実施形態のロータリー式印刷機について
図5に示す状態と異なる作動状態を拡大して示す説明図である。
【0043】
この実施形態のロータリー式印刷機は、二本のステー21の両端に立設してそれらのステー21にネジ固定した二枚の厚板状の側部フレーム22の上部同士を、これも厚板状の上部フレーム23で連結して、先の実施形態のロータリー式ダイカッターにおけると同様に、図示しない左右のボディパネルの間に門型フレーム24を構成し、二枚の側部フレーム22の上部の間で上部フレーム23上にインクつぼ25を着脱可能に装着するとともに、二枚の側部フレーム22の上部の間にインク出しローラー26を水平に配置してその支持軸26aを所定位置で回転可能に軸受け支持し、そのインク出しローラー26の外周面に向けてインクつぼ25内のドクターブレード25aを複数本の調節ネジ25bで押圧して、インクつぼ25内のインクをインク出しローラー26の外周面上にその全幅に渡り均等に塗り付けるようにしている。
【0044】
二枚の側部フレーム22の間にはさらに、その側部フレーム22の上部から順次、インク呼び出しローラー27と、インク移しローラー28と、上部インク練りローラー29と、二本の側部インク練りローラー30と、加工ローラーとしての版胴31と、アンビルローラー32とを水平かつ互いに平行に配置し、インク呼び出しローラー27の支持軸27aは二枚の側部フレーム22に回転可能かつ上下遊動可能に支持し、インク移しローラー28と上部インク練りローラー29と二本の側部インク練りローラー30との支持軸28a,29a,30aおよび、版胴31の駆動軸31aはそれぞれ、二枚の側部フレーム22に所定位置で回転可能に軸受け支持している。
【0045】
版胴31の外周面上にはその周方向に所定長さで延在するように3mm程度の厚さの樹脂板製の印刷版33が着脱可能に張り着け固定されており、この印刷版33の固定は、例えば印刷版33の両側部に沿って一段低く設けられた固定部を、版胴31の両端部にその外周面に沿って印刷版33から突出しないように設けられた薄い挟持部で挟持することで行うことができ、あるいはこれに代えて両面テープを用いて行っても良い。
【0046】
アンビルローラー32は、その内部の両端部に配置したベアリングを介して支持軸32aで回転自在に支持し、その支持軸32aの両端部は、二枚の側部フレーム22に設けた概略上下方向へ延在する長孔22aに遊挿して、二枚の側部フレーム22の外側にそれぞれ配置した各々L字状をなすローラー支持部材34の概略水平方向に延在する一方の腕34aで支持し、それらのローラー支持部材34はそのL字の折曲部を、二枚の側部フレーム22に所定位置で回転可能に軸受け支持した支持軸34bで揺動可能に支持し、それらのローラー支持部材34の概略上下方向に延在する他方の腕34cはそれぞれ、カム従節としてのコロ35を回転自在に軸支している。
【0047】
版胴31と一体的に結合した駆動軸31aの、二枚の側部フレーム22の外側にそれぞれ突出した両端部には、カムとしての概略円盤状のカム板36がそれぞれ一体的に結合しており、これらのカム板36はその外周面上に互いに同じ向きに、図示例では直線状の切欠き36aを有している。そしてアンビルローラー32はその自重で、二枚の側部フレーム22の外側にそれぞれ配置したローラー支持部材34の一方の腕34aに押し下げ力を加え、これによりローラー支持部材34は各々、他方の腕34cで回転自在に支持したカム従節としてのコロ35を対応するカム板36の外周面に常時押し付けている。
【0048】
また版胴31の駆動軸31aの、二枚の側部フレーム22の外側にそれぞれ突出した両端部のうちの一方(
図6では右端部)には、上記図示しないボディパネルの外側に配置した主駆動モータとしての減速機付きサーボモーター37の出力軸38を駆動結合し、これにより版胴31を回転駆動可能としている。そして版胴31の駆動軸31aと上部インク練りローラー29の支持軸29aとは、二枚の側部フレーム22とそれらのローラーの端部との間に配置した図示しないプーリーと、それらのプーリーに掛け回した図示しないベルトとで構成するベルト式伝動機構により駆動結合し、これにより上部インク練りローラー29は、版胴31の回転が伝えられて版胴31と同一回転方向に一緒に回転する。なお、このベルト式伝動機構に代えて、減速機付きサーボモーター37とは別個のサーボモーターで上部インク練りローラー29を回転駆動しても良い。
【0049】
上記左右のボディパネルの間にはさらに、先の実施形態のロータリー式ダイカッターにおけると同様に、それら版胴31およびアンビルローラー32に対し長尺シートSの送り方向で手前側(
図5では左側)に、互いに軸線が平行に位置して対をなす図示しない寸法出し送りローラーが配置されるとともに、それら版胴31およびアンビルローラー32に対しシート送り方向で奥側(
図5では右側)に、互いに軸線が平行に位置して対をなす図示しない引き出しローラーが配置され、これらは各々表面が高摩擦係数のゴム等からなら駆動ローラーとその駆動ローラーに長尺シートSを押し付けるニップローラーとからなり、各駆動ローラーは、版胴31を回転駆動する減速機付きサーボモーター37と同様の図示しないサーボモーターで回転駆動され、それら版胴31と各駆動ローラーとをそれぞれ回転駆動するサーボモーターの作動は、共通の図示しない通常のサーボコントローラーによって制御している。
【0050】
この実施形態のロータリー式印刷機にあっては、先ず、インク出しローラー26のノブを例えば手で回してインクつぼ25内のインクをインク出しローラー26の外周面上にその全幅に渡り均等に塗り付け、そのインク出しローラー26の外周面上のインクをインク呼び出しローラー27およびインク移しローラー28を介して上部インク練りローラー29の外周面上に移し、その上部インク練りローラー29と二本の側部インク練りローラー30とでインクを練りながら版胴31の印刷版33上に塗り付ける。
【0051】
次いで、長尺シートSを、寸法出し送りローラーの駆動ローラーとニップローラーとで挟んで図示しない長尺シートロールから繰り出して、
図5に示すように、版胴31とアンビルローラー32との隙間にシート送り方向の手前側から送り込むとともに、シート送り方向の奥側では引き出しローラーの駆動ローラーとニップローラーとで挟んで版胴31とアンビルローラー32との隙間から引き出し、そしてそれら版胴31とアンビルローラー32との送り方向回転により、版胴31の印刷版33がその回転方向先端33aから回転方向尾端33bまで(
図7参照)、アンビルローラー32との間の隙間で長尺シートSに印刷加工(以下、単に「印刷」という)を施す回転位置である真下に向く位置を通過する間、長尺シートSをその印刷版33とアンビルローラー32とで挟持して送りながら、版胴31の印刷版33で、版胴31に向いた長尺シートSの表面(図では上面)の所定印刷領域に所定輪郭形状のラベルを印刷する。
【0052】
そして、版胴31の印刷版33の所定部位としての回転方向尾端33bが版胴31とアンビルローラー32との間の隙間の位置である真下に向く位置に到達するまでのその回転方向尾端33bの回転角度が所定角度になる、すなわち印刷版33の回転方向尾端33bが真下に向く位置から所定回転角度だけ手前に来ると、カム板36の切欠き36aの回転方向前端がコロ35に当接する位置に到達してその時点からローラー支持部材34ひいてはその両腕34a,34cが
図7中θで示すように揺動してゆき、版胴31とアンビルローラー32との間の隙間の大きさを印刷版33での印刷時の大きさよりも大きくなるように変更する。
【0053】
これにより、長尺シートSの表面の所定領域への印刷版33でのラベルの印刷が済んだ後であって、印刷版33の回転方向尾端33bが版胴31とアンビルローラー32との間の隙間の位置に到達する前に、版胴31の印刷版33とアンビルローラー32とが長尺シートSを挟持しなくなるので、上記サーボコントローラーにより、版胴31の回転速度を一定に維持したままで、寸法出し送りローラーおよび引き出しローラーの駆動ローラーを駆動するサーボモーターを減速して、寸法出し送りローラーおよび引き出しローラーの送り方向回転速度を従来よりも早い段階から減速することができ、それゆえ、それら寸法出し送りローラーおよび引き出しローラーをあえて逆回転させなくても、
図4に示す抜き加工の場合と同様に、
図8に示す場合と対比して長尺シートSにラベルの印刷を施す領域の間隔Wを少なくして長尺シートSの無駄を省くことが可能になる。
【0054】
また、版胴31の印刷版33の他の所定部位としての回転方向先端33aが版胴31とアンビルローラー32との間の隙間の位置に到達するまでまたは到達した後のその回転方向先端33aの回転角度が所定角度になる、すなわち印刷版33の回転方向先端33aが真下に向く位置から所定回転角度だけ手前に来るかまたは所定回転角度だけ通り過ぎると、カム板36の切欠き36aの回転方向後端がローラー支持部材34ひいてはその両腕34a,34cを
図5に示す元の位置に戻して、版胴31とアンビルローラー32との間の隙間の大きさを、元の印刷時の大きさに戻すように変更する。
【0055】
これにより、長尺シートSの表面の次の所定印刷領域への印刷版33での所定輪郭形状のラベルの印刷が始まる前であって、印刷版33の回転方向先端33aが版胴31とアンビルローラー32との間の隙間の位置に到達した時またはその後に、長尺シートSが版胴31の印刷版33とアンビルローラー32とで挟持されるようになり、その挟持の開始までに寸法出し送りローラーおよび引き出しローラーの駆動ローラーを駆動するサーボモーターを増速して、寸法出し送りローラーおよび引き出しローラーの送り方向回転速度を元の速度に戻すことで、版胴31の回転速度を一定に維持したままでその周速度に長尺シートSの送り速度を一致させて、印刷版33での次のラベルLの印刷を開始することができる。
【0056】
その後は、引き出しローラーで版胴31とアンビルローラー32との隙間から引き出した長尺シートSを、図示しない巻取り機でロール状に巻き取る。
【0057】
従って、この実施形態のロータリー式印刷機によれば、寸法出し送りローラーおよび引き出しローラーのそれぞれの逆回転を伴わずに、
図4に示す先の実施例の場合と同様に、長尺シートSのラベルLの印刷領域の間隔(いわゆるドブ巾)Wを少なくして長尺シートSの無駄を省くことができることから、長尺シートSに加工するラベルLの印刷領域間のピッチPの設定および調整を容易にすることができ、しかも1回毎の印刷時間を短縮できるので、長尺シートSの印刷速度を従来よりも高速化することができる。
【0058】
さらに、この実施形態のロータリー式印刷機によれば、版胴31の外周面の周長に一枚もしくは並べた複数枚の印刷版33の周長がほとんど等しくて、その版胴31の外周面上で印刷版33の回転方向先端33aと尾端33bとの間に隙間がほとんどもしくは全く空いていない場合でも、長尺シートSの印刷領域の間隔(いわゆるドブ巾)Wを少なくして長尺シートSの無駄を省くことができる
【0059】
さらに、この実施形態のロータリー式印刷機によれば、ローラー隙間変更手段が、アンビルローラー32および版胴31のうちの一方であるアンビルローラー32を他方である版胴31に対し進退移動可能に支持するローラー支持部材34と、版胴31に設けられ、その版胴31と同軸の円筒状をなすとともに周方向の一部に凹部36aを形成されたカム面を有するカム板36と、アンビルローラー32を支持するローラー支持部材34に設けられてカム板36のカム面に当接し、そのカム面の切欠き36aに沿ってカム面の半径方向に移動してアンビルローラー32を版胴31に対し進退移動させるコロ35と、を有するものであることから、カム面の切欠き36aの位置や形状等を変更することで、容易に印刷ピッチPの設定状態や調整状態を最適化することができる。
【0060】
そして、この実施形態のロータリー式印刷機によれば、ローラー支持部材34は、L字状をなすとともにそのL字の折曲部を揺動可能に軸支されて、L字の一方の腕34aでアンビルローラー32を支持するとともに、L字の他方の腕34cでコロ35を支持するものであるので、簡易かつ安価な構成で、ローラー可動支持手段を構成することができる。
【0061】
なお、この実施形態のロータリー式印刷機によれば、側部フレーム22に設けた
図5に示す固定ネジ39で支持軸34bを固定して、ローラー支持部材34を版胴31とアンビルローラー32との間の隙間の大きさを印刷時の大きさに固定することで、通常の連続印刷動作を行うこともできる。
【0062】
以上この発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、この発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができ、例えば、この発明のロータリー式加工装置は抜き加工や印刷以外のシート加工を行う加工装置にも用いることができる。