(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
オンオフの時比率が可変制御される第一スイッチング素子のスイッチング動作により、入力電圧を中間電圧に変換する降圧チョッパ方式の安定型コンバータである第一のコンバータと、オンオフの時比率がほぼ50%に設定された第二スイッチング素子のスイッチング動作により、前記中間電圧を出力電圧に変換するダブルエンド絶縁方式の非安定型コンバータである第二のコンバータと、前記第一及び第二スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御回路とを備え、
前記制御回路には、前記第一及び第二スイッチング素子がスイッチング動作を行うための駆動パルスを出力するスイッチング制御部と、入力電源の投入時及び遮断時に前記スイッチング制御部に指令を出し、前記第一及び第二スイッチング素子のスイッチング動作の開始及び停止のシーケンスを制御するシーケンス制御部とが設けられ、
前記シーケンス制御部は、入力電源が遮断されると、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を停止させ、その後、前記中間電圧が所定の基準値以下に低下したとき、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を停止させるとともに、入力電源が投入されて入力電圧が確立すると、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させることを特徴とするスイッチング電源装置。
前記制御回路は、前記第二のコンバータが出力側の電力を入力側に回生する回生動作を検出する回生動作検出部が設けられ、前記回生動作検出部は、前記第二のコンバータが前記回生動作を行っていること又は前記回生動作を行う可能性があることを検出すると、前記シーケンス制御部に指令を出し、前記同期整流FETのスイッチング動作を停止状態にさせる請求項3又は4記載のスイッチング電源装置。
オンオフの時比率が可変制御される第一スイッチング素子のスイッチング動作により、入力電圧を中間電圧に変換する降圧チョッパ方式の安定型コンバータである第一のコンバータと、オンオフの時比率がほぼ50%に設定された第二スイッチング素子のスイッチング動作により、前記中間電圧を出力電圧に変換するダブルエンド絶縁方式の非安定型コンバータである第二のコンバータとを備えたスイッチング電源装置の制御方法であって、
入力電源が遮断されると、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を停止させ、その後、前記中間電圧が所定の基準値以下に低下したとき、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を停止させるとともに、入力電源が投入されて入力電圧が確立すると、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させることを特徴とするスイッチング電源装置の制御方法。
入力電源が投入されて入力電圧が確立すると、前記中間電圧が所定の基準値以下であることを確認した後、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させる請求項7記載のスイッチング電源装置の制御方法。
入力電源が投入されて入力電圧が確立すると、前記中間電圧が所定の基準値以下であることを確認した後、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記同期整流FETのスイッチング動作を開始させる請求項9記載のスイッチング電源装置の制御方法。
前記第一のコンバータの出力電流を観測し、この出力電流が所定の値以下であること又は前記第二のコンバータから前記第一のコンバータに逆流していることを検出すると、前記第二のコンバータが前記回生動作を行っていると判断する請求項11記載のスイッチング電源装置の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のスイッチング電源装置は、後段のハーフブリッジ回路に流れる電流を制限する手段を備えていないので、例えば、瞬時停電などが起きた時、ハーフブリッジ回路に過電流が流れるおそれがある。つまり、入力電源を遮断されてから(停電が発生してから)間もなく、中間電圧が高くて出力電圧が低い状態で入力電源が再投入されると(停電が復旧すると)、ハーフブリッジ回路に過電流が流れ、内部の回路素子が破損してしまう可能性がある。
【0006】
特許文献2の電源装置の場合、保護回路が設けられているので、上記のような過電流は流れない。しかし、2つのスイッチング素子のオンオフの時比率を変化させる必要があるので、駆動パルスを生成する回路の構成が非常に複雑になってしまう。また、ハーフブリッジ等のダブルエンド絶縁方式は、スイッチング素子のオンオフの時比率を約50%に固定することによって、出力平滑インダクタを小型化できる(又は省略できる)というメリットが得られる。しかし、保護回路が動作するとオンオフの時比率が低下するので、非安定絶縁型DC−DCコンバータが正常に動作するためには、大型の出力平滑インダクタが必須となり、装置が大型化したりコストアップしたりするという問題がある。
【0007】
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、瞬時停電などが起きたとき、後段の非安定型コンバータに過電流が流れるのを容易に防止できるスイッチング電源装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、オンオフの時比率が可変制御される第一スイッチング素子のスイッチング動作により、入力電圧を中間電圧に変換する降圧チョッパ方式の安定型コンバータである第一のコンバータと、オンオフの時比率がほぼ50%に設定された第二スイッチング素子のスイッチング動作により、前記中間電圧を出力電圧に変換するダブルエンド絶縁方式の非安定型コンバータである第二のコンバータと、前記第一及び第二スイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御回路とを備え、
前記制御回路には、前記第一及び第二スイッチング素子がスイッチング動作を行うための駆動パルスを出力するスイッチング制御部と、入力電源の投入時及び遮断時に前記スイッチング制御部に指令を出し、前記第一及び第二スイッチング素子のスイッチング動作の開始及び停止のシーケンスを制御するシーケンス制御部とが設けられ、
前記シーケンス制御部は、入力電源が遮断されると、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を停止させ、その後、前記中間電圧が所定の基準値以下に低下したとき、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を停止させるとともに、入力電源が投入されて入力電圧が確立すると、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させるスイッチング電源装置である。
【0009】
前記制御回路に、前記中間電圧を検出する中間電圧検出部が設けられ、前記シーケンス制御部は、入力電源が投入されて入力電圧が確立し、さらに前記中間電圧
検出部の検出結果から前記中間電圧が所定の基準値以下であることを検出すると、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させるよう構成してもよい。
【0010】
前記第二のコンバータの出力整流素子が同期整流FETの場合、前記スイッチング制御部は、前記第一及び第二スイッチング素子をオンオフさせる駆動パルスとともに、前記同期整流FETをオンオフさせる駆動パルスを出力し、前記シーケンス制御部は、入力電源の投入時及び遮断時に前記スイッチング制御部に指令を出し、前記第一スイッチング素子、前記第二スイッチング素子及び前記同期整流FETのスイッチング動作の開始及び停止のシーケンスを制御するものであり、
前記シーケンス制御部は、入力電源が遮断されると、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を停止させ、その後、前記同期整流FETのスイッチング動作を停止させ、その後、前記中間電圧が所定の基準値以下に低下したとき、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を停止させるとともに、入力電源が投入されて入力電圧が確立すると、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記同期整流FETのスイッチング動作を開始させるよう構成する。
【0011】
この場合、前記制御回路に、前記中間電圧を検出する中間電圧検出部が設けられ、前記シーケンス制御部は、入力電源が投入されて入力電圧が確立し、さらに前記中間電圧
検出部の検出結果から前記中間電圧が所定の基準値以下であることを検出すると、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記同期整流FETのスイッチング動作を開始させるよう構成してもよい。
【0012】
また、前記制御回路は、前記第二のコンバータが出力側の電力を入力側に回生する回生動作を検出する回生動作検出部が設けられ、前記回生動作検出部は、前記第二のコンバータが前記回生動作
を行っていること又は前記回生動作を行う可能性があることを検出すると、前記シーケンス制御部に指令を出し、前記同期整流FETのスイッチング動作を停止状態にさせるよう構成してもよい。前記回生
動作検出部は、例えば、前記第一のコンバータの出力電流を観測し、この出力電流が所定の値以下のとき及び前記第二のコンバータから前記第一のコンバータに逆流しているとき、前記第二のコンバータが前記回生動作
を行っている又は前記回生動作を行う可能性があると判断するよう構成することができる。
【0013】
また、本発明は、オンオフの時比率が可変制御される第一スイッチング素子のスイッチング動作により、入力電圧を中間電圧に変換する降圧チョッパ方式の安定型コンバータである第一のコンバータと、オンオフの時比率がほぼ50%に設定された第二スイッチング素子のスイッチング動作により、前記中間電圧を出力電圧に変換するダブルエンド絶縁方式の非安定型コンバータである第二のコンバータとを備えたスイッチング電源装置の制御方法であって、
入力電源が遮断されると、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を停止させ、その後、前記中間電圧が所定の基準値以下に低下したとき、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を停止させるとともに、入力電源が投入されて入力電圧が確立すると、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させるスイッチング電源装置の制御方法である。
【0014】
入力電源が投入されて入力電圧が確立すると、前記中間電圧が所定の基準値以下であることを確認した後、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させるよう構成してもよい。
【0015】
前記第二のコンバータの出力整流素子が同期整流FETで構成されている場合、入力電源が遮断されると、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を停止させ、その後、前記同期整流FETのスイッチング動作を停止させ、その後、前記中間電圧が所定の基準値以下に低下したとき、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を停止させるとともに、入力電源が投入されて入力電圧が確立すると、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記同期整流FETのスイッチング動作を開始させる。
【0016】
この場合、入力電源が投入されて入力電圧が確立すると、前記中間電圧が所定の基準値以下であることを確認した後、前記第二スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記第一スイッチング素子のスイッチング動作を開始させ、その後、前記同期整流FETのスイッチング動作を開始させるよう構成することができる。
【0017】
また、前記第二のコンバータが出力側の電力を入力側に回生する回生動作
を行っている、又は前記回生動作を行う可能性があると判断したとき、前記同期整流FETのスイッチング動作を停止状態にさせるよう構成してもよい。例えば、前記第一のコンバータの出力電流を観測し、この出力電流が所定の値以下であること又は前記第二のコンバータから前記第一のコンバータに逆流していることを検出すると、前記第二のコンバータが前記回生動作
を行っていると判断するよう構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスイッチング電源装置及びその制御方法によれば、入力電源の投入時及び遮断時、前段の第一のコンバータ(安定型コンバータ)と後段の第二のコンバータ(非安定型コンバータ)の各スイッチング動作の開始及び停止のシーケンスを適切に制御することによって、瞬時停電などが発生したときでも、第二のコンバータに過電流が発生するのを確実に防止することができる。しかも、第二のコンバータは、スイッチング素子のオンオフの時比率が約50%から変化しないので、小型の出力平滑インダクタを使用しても(又は、出力平滑インダクタを省略しても)、第二のコンバータが正常に動作することができる。
【0019】
また、この制御方法は、例えば、制御回路の機能をデジタルプロセッサによって構成することによって容易に実現することができ、インテリジェンス性が高く、シンプルな構造のスイッチング電源装置を容易に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のスイッチング電源装置及びその制御方法の第一の実施形態について、
図1〜
図5に基づいて説明する。この実施形態のスイッチング電源装置10は、
図1に示すように、第一及び第二のコンバータ12,14と制御回路16とで構成されている。
【0022】
第一のコンバータ12は降圧チョッパ方式の安定型コンバータであり、第一スイッチング素子18がスイッチング動作を行って、入力電源Eiから供給された入力電圧Viを中間電圧Vo1に変換する。第一スイッチング素子18は、制御回路16が出力する駆動パルスVg18によって駆動され、オンオフの時比率が可変制御される。出力平滑コンデンサ20は両端に中間電圧Vo1を生成し、第二のコンバータ14に向けて出力する。
【0023】
第二のコンバータ14はフルブリッジ方式の非安定型コンバータであり、4つの第二スイッチング素子22がスイッチング動作を行って、中間電圧Vo1を出力電圧Vo2に変換する。第二スイッチング素子22は、それぞれ制御回路16が出力する駆動パルスVg22によって駆動され、オンオフの時比率はほぼ50%に固定されている。トランス24の出力巻線の電圧を整流する出力整流素子は、2つのダイオード26である。ダイオード26が整流した電圧を平滑する平滑回路は出力平滑コンデンサ28であり、出力平滑インダクタは省略されている。出力平滑コンデンサ28は両端に出力電圧Vo2を生成し、負荷Loに向けて出力する。
【0024】
制御回路16は、第一及び第二スイッチング素子18,22のスイッチング動作を制御する回路で、スイッチング制御部30、入力電圧検出部32、中間電圧検出部34、及びシーケンス制御部36を備えている。
【0025】
スイッチング制御部30は、第一及び第二スイッチング素子18,22がスイッチング動作を行うための駆動パルスVg18,Vg22を生成する。スイッチング制御部30は、駆動パルスVg18のハイレベル/ローレベルの時比率を変化させることによって、中間電圧Vo1又は出力電圧Vo2を目標値に近づけるように、第一スイッチング素子18のオンオフの時比率を可変制御する。駆動パルスVg22のハイレベル/ローレベルの時比率は、第二スイッチング素子22のオンオフの時比率が約50%になるように固定される。
【0026】
入力電圧検出部32は、入力電圧Viを検出し、検出結果をシーケンス制御部36に向けて出力する。中間電圧検出部34は、中間電圧Vo1を検出し、検出結果をシーケンス制御部36に向けて出力する。
【0027】
シーケンス制御部36は、例えばデジタルプロセッサにより構成され、入力電源Eiの投入時及び遮断時に、入力電圧検出部32及び出力電圧検出部34の検出結果に基づいてスイッチング制御部30に指令を出し、第一及び第二スイッチング素子18,22のスイッチング動作の開始及び停止のシーケンスを制御する処理を行う。具体的な処理内容については、後の動作説明の中で詳しく説明する。
【0028】
また、
図1では省略してあるが、入力電圧Viを降圧して直流電圧を生成する電源回路が設けられている。電源回路は、制御回路16に動作用の電源電圧を供給する働きをする。
【0029】
次に、スイッチング電源装置10の動作を説明する。ここでは、通電中に入力電源Eiが遮断され、ごく短時間のうちに再投入されたという状況(すなわち、瞬時停電が起きたような状況)を想定するが、有負荷時と無負荷時で中間電圧Vo1及び出力電圧Vo2の挙動が少し異なるので、以下、有負荷時と無負荷時に分けて動作を説明する。なお、制御回路16が実行する制御方法は、
図2、
図3のフローチャートに示した内容であり、有負荷時も無負荷時も同じである。
【0030】
まず、有負荷時の動作を、
図2、
図3、
図4に基づいて説明する。通電中に入力電源Eiが遮断されると、入力電圧Viが徐々に低下する。シーケンス制御部36は、入力電圧検出部32の検出結果から入力電源Eiが遮断されたことを検出し(ステップS11)、スイッチング制御部30に向けて、第一スイッチング素子18のオンオフを停止するよう指令を出す(ステップS12)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg18を出力するのを停止し、第一スイッチング素子18がスイッチング動作を停止し、第一のコンバータ12が第二のコンバータ14に電力を供給しなくなる。
【0031】
ステップS12が実施されると、第二スイッチング素子22がスイッチング動作を継続しているので、両端に中間電圧Vo1が発生している平滑コンデンサ20のエネルギーが負荷Loに向けて送り出され、中間電圧Vo1が速やかに低下する。また、両端に出力電圧Vo2が発生している出力平滑コンデンサ28のエネルギーが負荷Loにより消費され、出力電圧Vo2も速やかに低下する。
【0032】
そして、シーケンス制御部36は、中間電圧検出部34の検出結果から、中間電圧Vo1が基準値Vr1(非常に低い電圧)以下に低下したことを検出すると(ステップS13)、スイッチング制御部30に向けて、第二スイッチング素子22のオンオフを停止するよう指令を出す(ステップS14)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg22を出力するのを停止し、第二スイッチング素子22もスイッチング動作を停止する。その後、さらに入力電圧Viが低下し、電源回路が制御回路16に十分な電源電圧を供給できなくなり、制御回路16がダウンする(ステップS15)。
【0033】
ほどなく、入力電源Eiが投入されて入力電圧Viが上昇すると、制御回路16の電源電圧が上昇して制御回路16がスタンバイする(ステップS21)。そして、シーケンス制御部36は、入力電圧検出部32の検出結果から入力電圧Viが確立したことを検出し(ステップS22)、さらに、中間電圧検出部34の検出結果から中間電圧Vo1が基準値Vr以下であることを検出すると(ステップS23)、スイッチング制御部30に向けて、第二スイッチング素子22のオンオフを開始するよう指令を出す(ステップS24)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg22を出力し始め、第二スイッチング素子22がスイッチング動作を開始する。
【0034】
ここで、ステップS24を実施した時、第二のコンバータ14に過電流が発生するかどうかが問題になる。中間電圧Vo1と出力電圧Vo2は、ともに、ステップS12が実施された後ステップS13が実施される前まで間に、ほぼゼロボルトまで低下している。したがって、この状態で第二スイッチング素子22がスイッチング動作を開始しても、第二のコンバータ14には、入力側から出力側に流れる過電流も、出力側から入力側に流れる過電流も発生しない。
【0035】
なお、ステップS23は、何らかの原因で中間電圧Vo1が基準値Vr以下に低下しなかった場合、ステップS24が実施されないようにするためのステップである。ステップS23は省略してもよいが、ステップS23を設けることによって、より確実に、第二のコンバータ14に過電流が発生するのを防止することができるので、安全性がさらに向上する。
【0036】
その後、シーケンス制御部36が、スイッチング制御部30に向けて、第一スイッチング素子18のオンオフを開始するよう指令を出す(ステップS25)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg18を出力し始め、第一スイッチング素子18がスイッチング動作を開始し、第一のコンバータ12が第二のコンバータ14に電力を供給し始める。そして、中間電圧Vo1と出力電圧Vo2は、Vo1≒(Np/Ns)・Vo2という関係を維持しながらそれぞれ上昇し、もとの状態に復帰する。ここで、Npはトランス24の入力巻線の巻数、Nsはトランス24の出力巻線の巻数である。
【0037】
次に、無負荷時の動作を、
図2、
図3、
図5に基づいて説明する。停電によって入力電源Eiが遮断されると、入力電圧Viが徐々に低下する。シーケンス制御部36は、入力電圧検出部32の検出結果から入力電源Eiが遮断されたことを検出し(ステップS11)、スイッチング制御部30に向けて、第一スイッチング素子18のオンオフを停止するよう指令を出す(ステップS12)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg18を出力するのを停止し、第一スイッチング素子18がスイッチング動作を停止し、第一のコンバータ12が第二のコンバータ14に電力を供給しなくなる。
【0038】
ステップS12が実施されると、第二スイッチング素子22がスイッチング動作を継続しているので、両端に中間電圧Vo1が発生している平滑コンデンサ20のエネルギーがトランス24の鉄損として消費され、中間電圧Vo1が低下する。一方、両端に出力電圧Vo2が発生している出力平滑コンデンサ28のエネルギーは、負荷Loでは消費されず(無負荷状態)、図示しない付属的な回路で僅かに消費されるだけなので、出力電圧Vo2は非常に緩やかに低下する。
【0039】
そして、シーケンス制御部36は、中間電圧検出部34の検出結果から、中間電圧Vo1が基準値Vr1(非常に低い電圧)以下に低下したことを検出すると(ステップS13)、スイッチング制御部30に向けて、第二スイッチング素子22のオンオフを停止するよう指令を出す(ステップS14)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg22を出力するのを停止し、第二スイッチング素子22もスイッチング動作を停止する。その後、さらに入力電圧Viが低下し、電源回路が制御回路16に十分な電源電圧を供給できなくなり、制御回路16がダウンする(ステップS15)。
【0040】
ほどなく、入力電源Eiが投入されて入力電圧Viが上昇すると、制御回路16の電源電圧が上昇して制御回路16がスタンバイする(ステップS21)。そして、シーケンス制御部36は、入力電圧検出部32の検出結果から入力電圧Viが確立したことを検出し(ステップS22)、さらに、中間電圧検出部34の検出結果から中間電圧Vo1が基準値Vr以下であることを検出すると(ステップS23)、スイッチング制御部30に向けて、第二スイッチング素子22のオンオフを開始するよう指令を出す(ステップS24)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg22を出力し始め、第二スイッチング素子22がスイッチング動作を開始する。
【0041】
ここで、ステップS24を実施した時、第二のコンバータ14に過電流が発生するかどうかが問題になる。中間電圧Vo1は、ステップS12が実施された後ステップS13が実施される前まで間に、ほぼゼロボルトまで低下している。一方、出力電圧Vo2は、所定の高い電圧に保持されている。したがって、Vo1<(Np/Ns)・Vo2という状態で第二スイッチング素子22がスイッチング動作を開始するので、第二のコンバータ14には、入力側から出力側に流れる過電流は発生しない。また、出力側から入力側の向きについても、出力整流素子であるダイオード26によって阻止されるので、過電流は発生しない。
【0042】
その後、シーケンス制御部36が、スイッチング制御部30に向けて、第一スイッチング素子18のオンオフを開始するよう指令を出す(ステップS25)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg18を出力し始め、第一スイッチング素子18がスイッチング動作を開始し、中間電圧Vo1が上昇する。そして、中間電圧Vo1が(Np/Ns)・Vo2に達した後、中間電圧Vo1と出力電圧Vo2は、Vo1≒(Np/Ns)・Vo2という関係を維持しながらそれぞれ上昇し、もとの状態に復帰する。
【0043】
以上説明したように、スイッチング電源装置10及びその制御方法によれば、入力電源Eiの投入時及び遮断時、第一のコンバータ12と第二のコンバータ14の各スイッチング動作の開始及び停止のシーケンスが適切に制御され、入力電源Eiの投入時、常にVo1≦(Np/Ns)・Vo2という状態で第二のコンバータ14がスイッチング動作を開始するので、瞬時停電が発生したときでも、第二のコンバータ14に過電流が発生するのを確実に防止することができる。しかも、第二スイッチング素子22のオンオフの時比率が約50%から変化しないので、出力平滑インダクタを省略しても、第二のコンバータ14が正常に動作することができる。
【0044】
また、この制御方法は、シーケンス制御部36をデジタルプロセッサにより構成することによって容易に実現することができ、インテリジェンス性が高く、シンプルな構造のスイッチング電源装置10を容易に得ることができる。
【0045】
次に、本発明のスイッチング電源装置及びその制御方法の第二の実施形態について、
図6〜
図10に基づいて説明する。ここで、上記実施形態と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のスイッチング電源装置38は、
図6に示すように、第一及び第二のコンバータ12,14と制御回路16とで構成されている。
【0046】
第一のコンバータ12の構成は、上記スイッチング電源装置10と同様である。第二のコンバータ14は、出力整流素子としてNチャネルのMOS型FETである同期整流FET40が使用されているという相違点があり、これ以外の構成は、上記スイッチング電源装置10と同様である。
【0047】
出力整流素子が同期整流FET40の場合、Vo1<(Np/Ns)・Vo2の状態で同期整流FET40がスイッチング動作すると、出力側の電力を入力側に回生する回生動作が行われるという点が問題になる。したがって、上記スイッチング電源装置38の場合、第二のコンバータ14に過電流が発生しないようにするため、回生動作が行われないようにすることが必要となる。
【0048】
制御回路16は、第一及び第二スイッチング素子18,22と同期整流FET40のオンオフ動作を制御する回路で、スイッチング制御部30、入力電圧検出部32、中間電圧検出部34、回生動作検出部42及びシーケンス制御部44を備えている。
【0049】
スイッチング制御部30は、上記のように、第一及び第二スイッチング素子18,22がスイッチング動作を行うための駆動パルスVg18,Vg22を生成し、さらに、同期整流FET40が第二スイッチング素子22と同期してスイッチング動作を行うための駆動パルスVg40を生成する。
【0050】
入力電圧検出部32は、入力電圧Viを検出し、検出結果をシーケンス制御部44に向けて出力する。中間電圧検出部34は、中間電圧Vo1を検出し、検出結果をシーケンス制御部44に向けて出力する。
【0051】
回生動作検出部42は、第二のコンバータ14が回生動作
を行っていること又は回生動作を行う可能性があることを検出すると、シーケンス制御部44に指令を出し、同期整流FET40のスイッチング動作を停止状態にさせる制御を行うブロックである。ここでは、第一のコンバータ12の出力電流Io1を観測し、出力電流Io1が所定の値以下のとき、及び第二のコンバータ14から第一のコンバータ12に逆流しているとき(出力電流Io1が
図6に示す矢印と反対方向に流れているとき)、第二のコンバータ14が回生動作を行っている又は回生動作を行う可能性があると判断するよう構成されている。
【0052】
シーケンス制御部44は、例えばデジタルプロセッサにより構成され、入力電源Viの投入時及び遮断時に、入力電圧検出部32、出力電圧検出部34及び回生動作検出部42の検出結果に基づいてスイッチング制御部30に指令を出し、第一及び第二スイッチング素子18,22と同期整流FET40のスイッチング動作の開始及び停止のシーケンスを制御する処理を行う。具体的な処理内容については、後の動作説明の中で詳しく説明する。
【0053】
次に、スイッチング電源装置38の動作を説明する。ここでも、通電中に入力電源Eiが遮断され、ごく短時間のうちに再投入されたという状況(すなわち、瞬時停電が起きたような状況)を想定し、有負荷時と無負荷時に分けて動作を説明する。なお、制御回路16が実行する制御方法は、
図7、
図8のフローチャートに示した内容であり、有負荷時も無負荷時も同じである。
【0054】
まず、有負荷時の動作を、
図7、
図8、
図9に基づいて説明する。通電中に入力電源Eiが遮断されると、入力電圧Viが徐々に低下する。シーケンス制御部44は、入力電圧検出部32の検出結果から入力電源Eiが遮断されたことを検出し(ステップS31)、スイッチング制御部30に向けて、第一スイッチング素子18のオンオフを停止するよう指令を出す(ステップS32)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg18を出力するのを停止し、第一スイッチング素子18がスイッチング動作を停止し、第一のコンバータ12が第二のコンバータ14に電力を供給しなくなる。
【0055】
ステップS32が実施されると、第二スイッチング素子22及び同期整流FET40がスイッチング動作を継続しているので、両端に中間電圧Vo1が発生している平滑コンデンサ20のエネルギーが負荷Loに向けて送り出され、中間電圧Vo1が速やかに低下する。また、出力電圧Vo2が発生している出力平滑コンデンサ28のエネルギーが負荷Loにより消費され、出力電圧Vo2も速やかに低下する。
【0056】
中間電圧Vo1及び出力電圧Vo2が低下している途中、シーケンス制御部44が、スイッチング制御部30に向けて、同期整流FET40のオンオフを停止するよう指令を出す(ステップS33)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg40を出力するのを停止し、同期整流FET40がスイッチング動作を停止するが、同期整流FET40の寄生ダイオードが出力整流素子の働きをするので、ステップS33を実施しても、中間電圧Vo1が低下する動きに大きな変化は現れない。
【0057】
そして、シーケンス制御部44は、中間電圧検出部34の検出結果から、中間電圧Vo1が基準値Vr1(非常に低い電圧)以下に低下したことを検出すると(ステップS34)、スイッチング制御部30に向けて、第二スイッチング素子22のオンオフを停止するよう指令を出す(ステップS35)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg22を出力するのを停止し、第二スイッチング素子22もスイッチング動作を停止する。その後、さらに入力電圧Viが低下し、電源回路が制御回路16に十分な電源電圧を供給できなくなり、制御回路16がダウンする(ステップS36)。
【0058】
ほどなく、入力電源Eiが投入されて入力電圧Viが上昇すると、制御回路16の電源電圧が上昇して制御回路16がスタンバイする(ステップS41)。そして、シーケンス制御部44は、入力電圧検出部32の検出結果から入力電圧Viが確立したことを検出し(ステップS42)、さらに、中間電圧検出部34の検出結果から中間電圧Vo1が基準値Vr以下であることを検出すると(ステップS43)、スイッチング制御部30に向けて、第二スイッチング素子22のオンオフを開始するよう指令を出す(ステップS44)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg22を出力し始め、第二スイッチング素子22がスイッチング動作を開始する。
【0059】
ここで、ステップS44を実施した時、第二のコンバータ14に過電流が発生するかどうかが問題になる。中間電圧Vo1と出力電圧Vo2は、ともに、ステップS32が実施された後ステップS34が実施される前まで間に、ほぼゼロボルトまで低下している。したがって、この状態で第二スイッチング素子22がスイッチング動作を開始しても、第二のコンバータ14には、入力側から出力側に流れる過電流も、出力側から入力側に流れる過電流も発生しない。
【0060】
なお、ステップS43は、何らかの原因で中間電圧Vo1が基準値Vr以下に低下しなかった場合、ステップS44が実施されないようにするためのステップである。ステップS43は省略してもよいが、ステップS43を設けることによって、より確実に、第二のコンバータ14に過電流が発生するのを防止することができるので、安全性がさらに向上する。
【0061】
その後、シーケンス制御部44が、スイッチング制御部30に向けて、第一スイッチング素子18のオンオフを開始するよう指令を出す(ステップS45)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg18を出力し始め、第一スイッチング素子18がスイッチング動作を開始し、第一のコンバータ12が第二のコンバータ14に電力を供給し始める。そして、中間電圧Vo1と出力電圧Vo2は、Vo1≒(Np/Ns)・Vo2という関係を維持しながらそれぞれ上昇する。出力電圧Vo2が上昇するのは、出力電流Io1が
図6の矢印の方向に流れ始めるからであるが、出力電流Io1が所定の値に達するまでの間、回生動作検出部42の指令により、同期整流FET40はスイッチング動作を停止した状態となる。したがって、出力電圧Vo2が上昇し始めてからしばらくの間、同期整流FET40の寄生ダイオードが出力整流素子の働きをする。
【0062】
その後、出力電流Io1が所定の値を超えると、回生動作検出部42がシーケンス制御部44に向けて、同期整流FET40の停止を解除する指令を出し、シーケンス制御部44が、スイッチング制御部30に向けて、同期整流FET40のオンオフを開始するよう指令を出す(ステップS46)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg40を出力し始め、同期整流FET40がスイッチング動作を開始する。そして、中間電圧Vo1及び出力電圧Vo2がさらに上昇し、もとの状態に復帰する。
【0063】
図9の動作波形から分かるように、有負荷時はVo1<(Np/Ns)・Vo2となる期間がないので、回生動作が行われる心配はない。したがって、第二のコンバータ14に回生動作による過電流(出力側から入力側に流れる過電流)が流れることはない。
【0064】
次に、無負荷時の動作を、
図7、
図8、
図10に基づいて説明する。停電によって入力電源Eiが遮断されると、入力電圧Viが徐々に低下する。シーケンス制御部44は、入力電圧検出部32の検出結果から入力電源Eiが遮断されたことを検出し(ステップS31)、スイッチング制御部30に向けて、第一スイッチング素子18のオンオフを停止するよう指令を出す(ステップS32)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg18を出力するのを停止し、第一スイッチング素子18がスイッチング動作を停止し、第一のコンバータ12が第二のコンバータ14に電力を供給しなくなる。
【0065】
ステップS32が実施されると、第二スイッチング素子22がスイッチング動作を継続しているので、両端に中間電圧Vo1が発生している平滑コンデンサ20のエネルギーがトランス24の鉄損として消費され、中間電圧Vo1が低下する。一方、両端に出力電圧Vo2が発生している出力平滑コンデンサ28のエネルギーは、負荷Loでは消費されず(無負荷状態)、図示しない付属的な回路で僅かに消費されるだけなので、出力電圧Vo2は非常に緩やかに低下する。
【0066】
中間電圧Vo1及び出力電圧Vo2が低下している途中、シーケンス制御部44が、スイッチング制御部30に向けて、同期整流FET40のオンオフを停止するよう指令を出す(ステップS33)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg40を出力するのを停止し、同期整流FET40がスイッチング動作を停止するが、無負荷状態で同期整流FET40にほとんど電流が流れていないので、ステップS33を実施しても、中間電圧Vo1が低下する動きに大きな変化は現れない。
【0067】
そして、シーケンス制御部44は、中間電圧検出部34の検出結果から、中間電圧Vo1が基準値Vr1(非常に低い電圧)以下に低下したことを検出すると(ステップS34)、スイッチング制御部30に向けて、第二スイッチング素子22のオンオフを停止するよう指令を出す(ステップS35)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg22を出力するのを停止し、第二スイッチング素子22もスイッチング動作を停止する。その後、さらに入力電圧Viが低下し、電源回路が制御回路16に十分な電源電圧を供給できなくなり、制御回路16がダウンする(ステップS36)。
【0068】
ほどなく、入力電源Eiが投入されて入力電圧Viが上昇すると、制御回路16の電源電圧が上昇して制御回路16がスタンバイする(ステップS41)。そして、シーケンス制御部44は、入力電圧検出部32の検出結果から入力電圧Viが確立したことを検出し(ステップS42)、さらに、中間電圧検出部34の検出結果から中間電圧Vo1が基準値Vr以下であることを検出すると(ステップS43)、スイッチング制御部30に向けて、第二スイッチング素子22のオンオフを開始するよう指令を出す(ステップS44)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg22を出力し始め、第二スイッチング素子22がスイッチング動作を開始する。
【0069】
ここで、ステップS44を実施した時、第二のコンバータ14に過電流が発生するかどうかが問題になる。中間電圧Vo1は、ステップS32が実施された後ステップS34が実施される前まで間に、ほぼゼロボルトまで低下している。一方、出力電圧Vo2は、所定の高い電圧に保持されている。したがって、Vo1<(Np/Ns)・Vo2という状態で第二スイッチング素子22がスイッチング動作を開始するので、第二のコンバータ14には、入力側から出力側に流れる過電流は発生しない。また、出力側から入力側の向きについては、同期整流FET40がスイッチング動作を停止しており、ドレインソース間の寄生ダイオードによっても阻止されるので、過電流は発生しない。
【0070】
その後、シーケンス制御部44が、スイッチング制御部30に向けて、第一スイッチング素子18のオンオフを開始するよう指令を出す(ステップS45)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg18を出力し始め、第一スイッチング素子18がスイッチング動作を開始するので、中間電圧Vo1が上昇する。そして、中間電圧Vo1が(Np/Ns)・Vo2に達した後、中間電圧Vo1と出力電圧Vo2が、Vo1≒(Np/Ns)・Vo2という関係を維持しながらそれぞれ上昇する。出力電圧Vo2が上昇するのは、出力電流Io1が
図6の矢印の方向に流れ始めるからであるが、出力電流Io1が所定の値に達するまでの間、回生動作検出部42の指令により、同期整流FET40はスイッチング動作を停止した状態となる。したがって、出力電圧Vo2が上昇し始めてからしばらくの間、同期整流FET40の寄生ダイオードが出力整流素子の働きをする。
【0071】
その後、出力電流Io1が所定の値を超えると、回生動作検出部42がシーケンス制御部44に向けて、同期整流FET40の停止を解除する指令を出し、シーケンス制御部44が、スイッチング制御部30に向けて、同期整流FET40のオンオフを開始するよう指令を出す(ステップS46)。その結果、スイッチング制御部30が駆動パルスVg40を出力し始め、同期整流FET40がスイッチング動作を開始する。そして、中間電圧Vo1及び出力電圧Vo2がさらに上昇し、もとの状態に復帰する。
【0072】
図10の動作波形から分かるように、無負荷時はVo1<(Np/Ns)・Vo2となる期間があるので、回生動作が行われる可能性がある。しかし、回生動作検出部42が動作することによって、少なくともVo1<(Np/Ns)・Vo2の期間は、同期整流FET40が確実に停止状態になるので、第二のコンバータ14に回生動作による過電流(出力側から入力側に流れる過電流)が流れることはない。
【0073】
以上説明したように、スイッチング電源装置38及びその制御方法によれば、上記スイッチング電源装置10と同様の効果を得ることができる。また、第二のコンバータ14の出力整流素子は、回生動作が発生するおそれがある同期整流FET40であるが、独特の構成及び制御方法により、第二のコンバータ14の回生動作による過電流についても、容易に防止することができる。
【0074】
なお、本発明のスイッチング電源装置及びその制御方法は、上記実施形態に限定されるものではない。スイッチング電源装置10は、
図2に示すように、ステップS12を実施した後、中間電圧Vo1が基準値Vr以下に低下したかどうかを、中間電圧検出部34の検出結果と基準値Vrとを比較することによって判定し(ステップS13)、ステップS14を実施するタイミングを決定しているが、ステップS14を実施するタイミングは他の方法で決定してもよい。例えば、中間電圧Vo1が確実に基準値Vr以下に低下するまでの所要時間をあらかじめ調査しておき、ステップS12を実施した後、その所要時間が経過したタイミングでステップS14を実施するようにしてもよい。これによって、中間電圧検出部34を省略することが可能になる。同様に、スイッチング電源装置38は、
図7に示すように、ステップS32,S33を実施した後、中間電圧Vo1が基準値Vr以下に低下したかどうかを、中間電圧検出部34の検出結果と基準値Vrとを比較することによって判定し(ステップS34)、ステップS35を実施するタイミングを決定しているが、例えば、中間電圧Vo1が確実に基準値Vr以下に低下するまでの所要時間をあらかじめ調査しておき、ステップS32を実施した後、その所要時間が経過したタイミングでステップS35を実施するようにしてもよい。これによって、中間電圧検出部34を省略することが可能になる。
【0075】
回生動作検出部及び回生動作検出部が行う制御方法は、上記スイッチング電源装置38の構成に限定されない。回生動作はVo1<(Np/Ns)・Vo2のときしか行われないことから、例えば、「回生動作を行っている又は回生動作を行う可能性がある」か否かを、中間電圧Vo1と出力電圧Vo2を観測し、Vo1<(Np/Ns)・Vo2の関係を満たすかどうかによって判定する、という形態に変更してもよい。
【0076】
また、回生動作検出部及び回生動作検出部が行う制御は、省略することができる。この場合、シーケンス制御部44を、「入力電源の投入時、第一スイッチング素子18のオンオフを開始させる指令を出した後、所定の時間が経過した時に、同期整流FET40のオンオフを開始させる指令を出す」という構成にすることにより、回生動作が行われる可能性を低くすることができる。ただし、回生動作検出によって回生動作を防止する制御を行うことによって、第二のコンバータ14に過電流が発生するのを確実に防止することができ、電源装置の安全性がさらに向上する。
【0077】
第二のコンバータ14はフルブリッジ方式であるが、他のダブルエンド絶縁方式であるハーフブリッジ方式やプッシュプル方式に変更してもよく、同様の作用効果を得ることができる。