(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の部材のうち少なくとも1つおよび/または前記キャリア表面は、静電気力、化学的および/または機械的な固定が前記複数の部材のうち少なくとも2つまたは前記靴の一部の間に形成されるような結合機構を備える、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
前記パッチは、金属、ポリマー、ナイロン、フォーム、粒子フォーム、繊維材料、面ファスナ材料、合成皮革、被覆材料、透明材料、着色材料、印刷材料、構造材料、自然繊維、皮革、スエード、ゴム、織物構造、またはこれらの任意の組み合わせから選択される材料を備え、
前記パッチは、補強、通気性、可視性、色、耐久性、グリップ、可撓性、熱可塑性、接着性、耐水性、防水性、重量配分、またはこれらの任意の組み合わせなどの特性を提供する手法で配列される、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
前記設計仕様に基づいて生産計画を自動的に生成する前記ステップは、ポイントクラウドを生成して、前記キャリア表面に前記複数の部材のうちの少なくとも1つを位置決めするステップをさらに備える請求項9または10に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術を基礎とすると、その場合、複数の異なる試作品、最終製品などを、個々の材料の部片(「パッチ」とも呼ばれる)から、特に柔軟な手法で、即座に、少なくとも一部自動的に、および好ましくは局所的に製造することを可能にする、改善された製造方法および生産手段を提供することが、本発明の目的である。この文脈では、迅速で特に柔軟な設計、および/または製造されたものの機能の変更を可能とすることが、本発明の別の目的である。短いタイムライン上で運動用具の設計を改変する能力を高めることにより、市場および/または顧客の需要に関するより大きな対応能力がもたらされることになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、運動用具、特に靴の製造のための方法によって、少なくとも部分的に達成される。1つの実施形態では、この方法は、複数の既定の形状のうちの1つを成す複数の部材を提供するステップと、複数の部材を二次元または三次元のキャリア表面に設けて、運動用具またはその一部を制作するステップと、を含む。
【0011】
本発明の好ましい実施形態がスポーツシューズに関して以下で記載されているが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。むしろ、本発明を、スポーツウェア、たとえばシャツ、パンツ、手袋等、ならびにスポーツ用具、たとえばボール、バット、ホッケー用スティック、およびラケットのような、他の種類の運動用具に関しても有利に用いることができる。
【0012】
さらに、本発明による方法の実施形態が本質的に完全に自動であることが、一般に考えられる。しかしながら、一定量の手作業による補助作業が、依然として含まれる場合がある。言い換えれば、本発明による方法の実施形態は、少なくとも優位には、ロボット、ロボット式システム、もしくは自動化されたシステムによって実行可能であり、かつ/または、実施形態は、依然として一定量の人による(補助)作業を含み得る。ロボット、ロボット式システム、または自動化されたシステムは、それぞれの仕事に特定的に適合されたハードウェアおよび/もしくはソフトウェアをさらに備えることができるか、または、これらを汎用機械とすることができる。
【0013】
有利には、本発明の方法は、特に柔軟な手法で運動用具またはその一部を製造することを可能にする。これは、運動用具が、複数の既定の形状のうちの1つを成す個々の部材から、好ましくは本質的に自動的に組み立てられるからである。このことにより、用いられる部材の配置および形状に起因して、広範囲の特性のうちのいずれかを有する運動用具の製造が可能となり、このことは、ある既定の長さの単純なストリップ材のみを採用する先行技術の手法と比べてかなりの改善である。部材が設けられて製品を形成する二次元または三次元のキャリア表面は、最終製品の一部を形成できる(たとえばキャリア表面自体が最終製品の要素である場合)か、または組み立てられた部材をキャリア表面から取り外すことができる(たとえばキャリア表面がトレイ、布帛、キャリア、溶解性の基層、または靴型である場合)かのいずれかであることに留意すべきである。
【0014】
場合によっては、キャリア表面を、低い熱伝導率を有する材料から構築することができる。場合によっては、キャリア表面および/または結合が生じる表面として用いられる材料が、約25ワット毎メートル毎ケルビン(W*m
−1*K
−1)未満の熱伝導率を有することが、有益であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、約1ワット毎メートル毎ケルビン(W*m
−1*K
−1)未満の熱伝導率を有する材料を使用することが望ましい場合がある。さらに、場合によっては、表面で結合が生じ得る材料を搬送するために用いられる表面は、低い熱伝導率を有し得る。たとえば、二次元アッパーの結合中、ガラスプレートを用いることができる。
【0015】
場合によっては、キャリア表面、結合が生じる表面、および/または搬送装置を、パッチおよび/または部材が載置される表面の異なる領域では異なる熱伝導率を有するように構築することが、望ましい場合がある。このことにより、パッチおよび/または部材のある領域への、熱の制御された適用が可能となる。
【0016】
好ましくは、複数の部材は、少なくとも1つのパッチ、すなわち材料の部片を備える。複数のパッチから運動用具またはその一部を組み立てることにより、補強、通気性、可撓性、グリップ、および/または以下でさらに説明されることになるさらに多くのものなどの多種多様な所望の特性を、運動用具に提供することが可能となる。加えてまたは別法として、複数の部材は、構造要素(たとえばヒールカウンタ、ケージ、支持構造、チューブ、もしくはバンド)、外底部材(たとえばスタッド、ラグ、外底、もしくは外底要素)、穴補強部材、中底要素、クロージャ機構(たとえば靴ひも、靴ひもを締める構造、もしくは面ファスナクロージャシステム)、バーコード、品質保証コード(「QCコード」)、電気部材(たとえば近距離無線通信(NFC)チップ、無線周波数識別(RFID)チップ、モータ、チップセット、アンテナ、マイクロチップ、インターフェース、光源、配線、回路、環境発電要素、バッテリ、等)、センサ(たとえば快適圧力センサなどの圧力センサ、歪みセンサ、加速度計、磁力計、もしくは全地球測位システム(GPS)などの測位センサ)、機械部材、またはこれらの任意の組み合わせなどの、他の要素を備え得る。見られるように、本発明の方法はこの態様において、非常に複雑な運動用具を、効率的で柔軟な手法で製造することを可能にする。
【0017】
本発明の態様によれば、複数の部材を提供するステップは、多様に設定可能な切断装置を用いて複数のパッチを切断することを含む。切断装置は、レーザ光源、ナイフ、抜き型、ウォータージェット、発熱要素、溶剤、超音波装置、またはこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを備え得る。したがって、パッチを、製造工程中に臨機応変に生産することができる。加えてまたは別法として、パッチのうち少なくとも1つを、事前に切断された形態で提供することができる。
【0018】
たとえば、多様に設定可能な切断装置は、レーザ光源、およびレーザ光源から射出されたレーザ光の移動を制御するための手段を備えることができ、この場合、この手段は好ましくは少なくとも1つの鏡を備える。したがって、このことによりパッチの特に正確で精確な切断が可能となるが、これは、好ましくは固定的なレーザから射出されたレーザ光が、鏡によって効率的に案内されるからである。
【0019】
加えて、レーザ切断を用いて、パッチにパターンを付与することができる。たとえば、レーザを用いて、パッチ上にパターンを刻設することができる。特に、サイプ、線、および/または様々な形状を、パッチに刻設することができる。
【0020】
本発明の別の態様では、方法は、既定の期間、熱および/または圧力を用いて複数の部材を結合するステップをさらに含む。したがって、複数のパッチおよび/または他の部材が、上記の方法でキャリア表面上に設けられた後で、複数のパッチに熱および/または圧力を適用することによって、いわゆる「結合」を行うことができる。これは、用いられる材料に応じて、2つ以上のステップを含み得る。1つの実施形態では、パッチおよび/または他の部材を結合して物品、たとえば靴とするために、最初にフレーム上に装着される、延伸可能なシリコーン外皮などの可撓性膜が用いられる。結合ステップにより、本発明の工程は、剛性のオーバーモールドまたは剛性の雌型部材を用いることなく実行することができる。
【0021】
結合は好ましくは、40℃から240℃までの範囲の温度で行われる。さらに、いくつかの構築物を、55℃から200℃までの範囲の温度で結合することができる。加えて、100℃から180℃までの範囲にわたる温度で結合が行われる構造物が存在し得る。結合中の圧力を、圧力が大気圧超0.1バールから10バールまでの範囲内となるように制御することができる。場合によっては、結合中の圧力を、1.1バールから4バールの間の範囲内に制御することができる。さらに、結合中の圧力を、約1.5バールから約2バールまでの範囲で制御することができる。たとえば、たとえばテープで作成された特に薄いパッチを用いて、180℃で1.5〜2バールを60〜90秒間などの、より少ない時間および圧力を適用することができる。
【0022】
パッチおよび/または他の部材を結合するために用いられる圧力は、可撓性膜に適用される過圧力であってよい。この場合、結合されることになるパッチおよび/または他の部材を覆って位置付けられている可撓性膜に、圧力を適用することができる。場合によっては、負圧を用いて材料を結合することができる。たとえば、パッチに真空を適用して、パッチを覆うように可撓性膜を位置付けること、ならびにパッチを結合することができる。
【0023】
結果として、製造工程は大きく単純化され、一方、得られる品物は同時に、複数の個々のパッチおよび/または他の部材の結合に起因して、改善された堅牢性を有する。結合ステップを、完全に自動化されたステップとすることができる。
【0024】
場合によっては、可撓性の構成部材を、複数のパッチ上に設けることができる。1つの態様では、少なくとも1つの可撓性の構成部材は、複数の材料のパッチ上に適用される前は、実質的に平面である。キャリア表面が、作業台、テーブル、または平坦基材のように二次元である場合、そのような実質的に平面の可撓性の構成部材は、特に好適である。ただし、これを三次元のキャリア表面に適用することもできる。
【0025】
別法として、可撓性の構成部材を、製造される運動用具の外郭に少なくとも部分的に適合するように、予め成型することができる。このことにより、特に製造される靴用の靴型などの三次元キャリア表面上にパッチが設けられている場合に、可撓性の構成部材の特に良好な嵌合が可能となる。
【0026】
いずれの場合も、既に上で指摘したように、可撓性膜はたとえば、シリコーンを含み得る。可撓性膜の使用を介する結合は、可撓性膜に圧力および/または熱を適用することを含み得る。
【0027】
方法は、可撓性膜が上に適用された複数の材料のパッチから空気を抜くさらなるステップを含み得る。たとえば、キャリア表面を、穴を備えた作業テーブル上に配置することができ、この穴を通して、製造される品物の底部側から真空を作り出すことができる。可撓性膜を重ねる前に、最中に、および/または後で、組み立てられたパッチから空気を抜くことは、これらの部材の結合を有利に改善する。
【0028】
さらに、可撓性の構成部材が上に適用された複数の材料のパッチに、熱を適用することができる。たとえば、パッチの接着特性が高められ、かつパッチのみが互いに対して結合されることのないように、上述の作業台を、高温のテーブルとすることができる。パッチに圧力を適用するための可撓性の構成部材の使用の前に、最中に、および/または後で、熱を適用することができる。たとえば、圧力の適用に先立って、複数のパッチに熱を適用することができる。
【0029】
場合によっては、可撓性の構成部材を介してパッチに熱を提供することができる。この場合、可撓性の構成部材は、パッチを結合するための熱および圧力を提供し得る。
【0030】
本発明のさらなる態様では、複数の部材を提供するステップは、スプール、ベルト、トレイ、および/または積み重ねから、搬送装置上へと材料を提供するステップ、切断装置を用いて材料から複数の部材を切り出すステップ、および自動化された手法で搬送装置から過剰な材料を除去するステップを含み得る。たとえば、第1のスプールを用いて材料を提供し、切断装置を用いて材料から複数の部材を切り出し、好ましくは第2のスプールを用いることにより過剰な材料を除去することによって、材料を処理することができる。切り出し後の過剰な材料の自動的な除去をもたらすことになる、そのような「スプールからスプールへの」工程は、完全にまたは少なくとも部分的に自動化することができ、この結果、かなりの効率改善がもたらされる。
【0031】
本発明のいくつかの態様では、複数の部材のうち少なくとも1つおよび/またはキャリア表面は、静電気力、化学的および/または機械的な固定が複数の部材のうち少なくとも2つまたは運動用具の一部の間に形成されるような、結合機構を備え得る。たとえば、結合機構は、静電気力、熱溶融接着剤、溶剤を利用する工程、面ファスナ、またはこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを備え得る。
【0032】
さらに別の態様では、方法は、好ましくは加熱によって部材のうち少なくとも1つを活性化して、パッチおよび/または他の部材の堅牢な組成を得るステップを含む。活性化ステップを、それぞれの少なくとも1つのパッチ/部材がキャリア表面上に設けられる前に、および/または複数のパッチ/部材がキャリア表面上に配置された後で、実行することができる。この目的のために、接着部材は好ましくは、熱溶融接着剤を含む。
【0033】
1つの実施形態では、キャリア表面上に複数の材料のパッチを設けるステップは、自動把持装置によって実行され、これにより工程の大幅な自動化が可能となる。把持装置は、モジュール式に配列可能な1または2以上の把持具を備え得る。この場合、どのような種類のパッチもそれらの組成または形状に関係なく処理可能な柔軟な手法で、把持装置を提供することが可能である。
【0034】
さらに上で述べたように、二次元キャリア表面は、作業台(製造後にここから品物が取り去られる)、または(製造された品物の一部となる)ニット材料もしくは中底などの実質的に平坦の基材を備え得る。同様に、三次元キャリア表面は、靴型などの作業フォーム、または作業フォーム上に持ち込まれる基材を備え得る。
【0035】
本発明の実施形態において用いられるパッチ材料は、金属、たとえば熱可塑性ポリウレタンなどのポリウレタン、ナイロン、もしくは当技術分野で知られている他のポリマーなどのポリマー、発泡フォームなどのフォーム、粒子フォーム、たとえばニット、不織布、織布などの繊維材料、面ファスナ材料、合成皮革、被覆材料、透明材料、着色材料、印刷材料、構造材料、たとえば絹、羊毛、らくだの毛、カシミア、モヘアなどの毛、綿、亜麻、ジュート、ケナフ、ラミー、ラタン、大麻、竹、サイザル麻、コイアなどの自然繊維、皮革、スエード、ゴム、織物構造、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、キャリア表面は、不織材料を備え得るかまたはこれから成る場合さえあり、また部材は、不織材料を備え得るかまたはこれから成る場合さえある。部材はパッチであってよい。不織材料は、繊維が押し出され支持表面に向かって吹き付けられて、1つに付着し不織材料の薄い層を形成する、繊維を吹き付ける技法によって得ることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、キャリア表面および部材を、同じ材料で作成することができる。部材はパッチであってよい。この結果、そのような製品は1つの材料のみを含み得るので、その再生がより容易になる。いくつかの特定の実施形態では、キャリア表面は不織のものであってよく、また部材は、キャリア表面と同じ材料の不織のものであってよい。
【0038】
複数のパッチを、物品の所与の領域に1または2以上の特性を提供するような手法で、配列することができる。パッチ材料に関する目的の特性には、限定するものではないが、補強、通気性、耐久性、グリップ、可撓性、熱可塑性、接着性、静止摩擦、耐水性、防水性、電導度、電気抵抗、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる(さらに後ろにある、詳細な説明中の例を参照されたい)。
【0039】
また、方法は、少なくとも1つの追加の要素、特にヒールカウンタ、ケージ、支持構造、チューブ、もしくはバンドなどの少なくとも1つの構造要素、スタッド、ラグ、外底、もしくは外底要素などの少なくとも1つの外底部材、少なくとも1つの穴補強部材、少なくとも1つの中底要素、靴ひも、靴ひもを締める構造、面ファスナクロージャシステムなどの少なくとも1つのクロージャ機構、またはこれらの任意の組み合わせを、複数のパッチに提供するステップを含み得る。結果として、最終的な複雑な運動用具の製造を、大部分自動化することができる。
【0040】
場合によっては、被覆層を、複数のパッチおよび/または部材上に設けることができる。被覆層の配置は、結合工程の前に、後で、および/またはその最中に行うことができる。パッチ処理された物品上で使用するための被覆層としては、限定するものではないが、フィルム、フォイル、ポリマー、膜、合成材料、天然材料、および/またはこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0041】
被覆層によって、場合によっては、パッチおよび/または他の部材から一部または全体が生産された物品に、比較的密な手袋のような装着感がもたらされる。物品が靴、たとえばサッカーシューズとして形成される場合、被覆層により、触感を向上させ、このシューズによって蹴られるボールの回転を制御し高めることができ、結果として、ボールの飛行中により大きなカーブを得られる。通常は、被覆層により、物品に機能特性を提供できる。たとえば、被覆層を使用して、耐損耗性、耐摩耗性、もしくは耐水性の付与、空気および/もしくは水の透過性の制御、延伸性の低減、他の所定の特性の制御、またはこれらの組み合わせを行うことができる。
【0042】
1または2以上のカメラおよび対応する画像認識ソフトウェアなどの画像処理手段を用いて、複数のパッチおよび/または部材のうち少なくとも1つを、キャリア表面上に設けられる前に識別することができ、このことにより、パッチおよび/または部材の自動的な識別および対応する適正な配置が可能となる。
【0043】
方法が、少なくとも部分的に自動化された「アイデアを製品にする(idea to product)」工程を可能にすることが、さらに考えられる。この目的のために、方法は、たとえば購入発注の結果として、製造される運動用具の設計仕様、特にコンピュータ支援設計(CAD)のファイルを受け取るステップと、設計仕様に基づいて生産計画を自動的に生成するステップと、複数の部材を設けるステップを生産計画に応じて実行するステップと、を含み得る。生産計画を、基準キャリア表面を実際のキャリア表面と比較すること、ならびにロボットおよび設けられるパッチの位置を調節することによって、2D版において調節することができる。この調節可能性により、キャリア表面を特定の配向を有するように設ける必要がない。
【0044】
さらなる態様では、本発明の方法は、画像処理手段によってキャリア表面を識別して、制御部に位置データを提供して複数の部材のうち少なくとも1つの位置を調節することを含み得る。視覚システムにより、部品の外郭を用いてその部品を認識することができる。外郭が歪んでいるときは、制御部にフィードバックを提供して、部材の位置を調節することができる。この場合、高いパッチ配置の正確度で、複数のパッチを設けることができる。
【0045】
設計仕様に基づいて生産計画を自動的に生成することは、ポイントクラウドを生成して、キャリア表面に複数の部材のうちの少なくとも1つを位置決めすることをさらに含み得る。特に、部材を3D靴型/アッパー上に位置決めするために、ポイントクラウドを用いることができる。
【0046】
本発明のさらなる態様では、上記の方法のいずれかを、進歩性を備えた方法の実施形態を実行するように提供される機器内で実行できる。既に上で検討したように、そのような機器内では、複数の設計の靴または他の運動用具を、ほぼ完全に自動的に製造することができる。
【0047】
特に、方法を、可動容器内で実行することができる。容器が少なくとも部分的に透明であることが、特に好ましい。このことにより、本発明の方法を、直接「その場で」、たとえば運動イベントにおいてまたは販売店において等で、実施することが可能となる。購入者はその場合、直接機器のところでまたはさらにはインターネットなどを介して前もって、所望の靴モデルを「作り上げる(put together)」ことができ、このモデルが次いで、可搬式の製造装置によって製造される。容器が部分的に透明である場合、顧客は、靴または品物が製造されているところを見ることさえできる。加えて、この工程を動画で撮影し、デジタルメディアネットワーク/チャネルにおいてライブ放映することができる。
【0048】
本発明のさらなる態様は、本発明による方法の実施形態を用いて製造された運動用具、特に靴またはその一部を含む。
【0049】
既に繰り返し述べたように、この点に関して、製造される複数の靴の各々を、たとえば開発設計者の設計、着用者の解剖学的構造に基づいて、またはさらにはたとえばインターネットを介して受けられた顧客の希望に基づいて、個々にカスタマイズおよび修正することが可能である。
【0050】
いくつかの実施形態では、限定するものではないが、圧力プレート、ガラス付きカメラ(cameras with glass)、素足のランナーの圧力分布、圧力分布を測定する中敷、炭素またはインクマイクロカプセルを利用した紙などの感圧紙、3Dスキャン、歪みマップ(たとえばAramis Systemのデータ)、歩調分析、移動分析、発汗マップ、足の型を含む、分析ツールを利用して、個々の運動者の必要を決定することが可能である。これらの分析ツールのうち1または2以上からの出力を用いて、運動者に関して個別化された設計を開発することができる。たとえば、分析ツールを用いて収集されたデータを用いて、カスタマイズされた外底、中底、アッパー、および/またはこれらの組み合わせを開発することができる。
【0051】
運動者のために、運動者の必要、たとえばクッション性、耐摩耗性、静止摩擦などに関するものなどの機能特性に適合する、外底および/または中底における区域を制作することができる。たとえば、主に前足部を使うランナーは、完全なゴム製外底を必要としない場合がある。ゴム要素の数を減らすことにより、靴の重量が低減され得る。この時点で、進歩性を備えた方法の実施形態、進歩性を備えた機器の実施形態、および/または進歩性を備えた靴の実施形態に関して、複数の可能な設計および本明細書において開示される実施形態を、特定の要件に応じて互いと組み合わせ可能であることが、再び明示的に指摘されるべきである。本明細書に記載される個々のオプションおよび可能な設計は、これらがそれぞれの方法、それぞれの機器、または製造される靴に関して省略できると考えられる場合、無視することもできるが、結果的な実施形態は、依然として本発明の一部である。
【0052】
本発明の進歩性を備えた発想のさらなる態様によれば、運動用具を製造するための方法は、(a.)基層を選択すること、(b.)少なくとも部分的に溶融性である層を備える、薄い部材を選択すること、(c.)溶融性層が基層と少なくとも部分的に接触するように、基層の少なくとも一部の上に薄い部材の少なくとも一部を適用して中間組立体を形成することと、(d.)第1の温度で中間組立体に圧力が適用される第1の結合ステップと、(e.)第1の温度よりも高い第2の温度で中間組立体に圧力が適用される第2の結合ステップであって、第1の結合ステップの後で実行される第2の結合ステップと、を含む。
【0053】
部材は、上記のようなおよび例示の実施形態を参照してより詳細に記載されるような、部材とすることができる。
【0054】
薄い部材を適用するステップは、上記のようなおよび例示の実施形態を参照してより詳細に記載されることになるような二次元または三次元のキャリア表面上に複数の部材を設けるステップによって達成され得る。
【0055】
基層は、上記のようなおよび例示の実施形態を参照してより詳細に記載されるような、キャリア表面とすることができる。
【0056】
本発明の進歩性を備えた発想のこのさらなる態様による方法は、これが部材と基層との間に、非常に強く、安定した、耐久性のある接合を提供するという形で、先行技術の問題を克服する。発明者らは、先行技術の方法の弱い接合が多くの場合、不完全な接合を引き起こす熱で活性化された接着剤中の小さい泡に起因する、すなわち、部材と基層との間の有効接触面積が泡に起因して小さくなることに気付いた。さらに、機械的応力の中で、周囲の硬化した接着剤が泡により弱化する場合があるが、これは、これらの泡が位置を変える傾向があり、このことにより接着剤を基層から分離させるからである。
【0057】
発明者らは、驚くべきことに、溶融性層中の泡の形成が、特許請求される結合方法によって実質的に低減され得ることに気付いた。この方法によれば、第1の温度で薄い部材に圧力が適用される。圧力により、全てではなくともほとんどの泡が、薄い部材の縁部に向けて移動され、そこでこれらは最終的に消える。第1の温度が(第2の温度と比較すると)比較的低いので、溶融性層は実質的に軟化または溶融されず、基層に接着しないかまたは弱くしか接着せず、このため泡は、薄い部材と基層との間を自由に移動できる。驚くべきことに、このことは、特許請求される工程の前のステップにおいて、たとえば溶融性層への熱の適用および続く基層上への部材の適用によって、部材が事前に弱く結合されているときにも起こる。したがって、第1の結合ステップの後で、基層と薄い部材との間の接合面には、本質的に泡がない。
【0058】
本発明の進歩性を備えた発想のこのさらなる態様による第2の結合ステップにより、より高い第2の温度に起因して、溶融性層がある程度軟化または溶融される。したがって溶融性層は、適用される圧力のおかげで、基層の表面テクスチャ上に独立して、基層との強固な接合部を形成することができる。
【0059】
こうして、本発明の進歩性を備えた発想のこのさらなる態様による方法は、薄い部材を基層に接合している間の泡の形成を効果的に低減することができ、この結果、強く耐久性のある接合をもたらす。部材が少なくとも部分的に半透明であるとき、部材とその下にある層との間に泡が存在しないので、最終的な組立体の美観も改善される。
【0060】
本発明によれば、第1の結合ステップならびに第2の結合ステップでは、接着層が完全には溶融しなくてよいことに留意すべきである。溶融性層が軟化されれば十分である。この意味において、溶融性層は、「少なくとも部分的に溶融性である層」である。
【0061】
また、溶融性層は、薄い部材の表面の一部のみを覆ってもよい。薄い部材の全表面を覆う必要はない。
【0062】
薄い部材の厚さは、その長さおよびその幅よりも小さくてよい。本発明の進歩性を備えた発想のこのさらなる態様による方法が、この種類の部材に特に好適であるが、その理由は、パッチなどの薄い部材を基層に接合するときに多くの場合泡の形成が観察されるからである。本発明による方法はまた、薄い部材が多くの場合透明であり、したがって汚れがなく美的に配慮した下層への接合を必要とするため、好適である。
【0063】
第1の結合ステップでは、中間組立体に圧力を適用する表面積は、経時的に漸増してよい。この場合、薄い部材の縁部に向かって、結果的な圧力勾配の方向に泡が押しやられる。このようにして、さらに高い信頼性をもって、泡を防止または少なくとも低減することができる。特に、そのような方法によって、最大の泡が除去される。たとえば、等しい圧力の線は、部材にわたって、またいくつかの実施形態では組立体にわたって、経時的に進行する。等しい圧力の線は、凸形状の空気袋を用いて圧力を適用する場合、たとえば円形であり得る。
【0064】
第1の結合ステップでは、圧力を、最初に中間組立体の第1の部分に、および次いで中間組立体の第2の部分に、適用することができる。こうして、第1の部分から第2の部分へと、最終的には薄い部材の縁部に向けて、泡を押しやることができる。このようにして、さらに高い信頼性をもって、泡を防止または少なくとも低減することができる。圧力は特に、最初に第1の部分に、および次いで第2の部分に、たとえばカレンダなどの圧力を適用するための円筒形の手段の使用により直線的な圧力の線に沿って、連続的に適用することができる。
【0065】
第1の温度は、50℃を超えない範囲で室温と異なっていてよい。より詳細には、第1の温度は、20℃を超えない範囲で室温と異なっていてよい。特に、第1の温度は、10℃を超えない範囲で室温と異なっていてよい。第1の温度は、室温よりも高くてよい。この場合、第1の結合ステップにおいて接着層の完全な軟化または溶融が防止され、このため、接着層は空気の泡の排出を妨げない。泡は薄い部材と基層との間を容易に移動でき、圧力によって薄い部材の縁部へと押しやられ、そこで泡は最終的に消える。
【0066】
中間組立体に適用される圧力を、第1の結合ステップと第2の結合ステップとの間で維持することができる。このことにより、薄い部材と基層との間での新しい泡の形成が、防止または少なくとも低減される。
【0067】
第1の結合ステップおよび第2の結合ステップを、同じ装置上で実行することができる。このことにより、追加の装置の必要が回避され、また、基層を薄い部材とともにさらなる装置へと移動させるための追加の労力を省くことができるので、製造時間が低減される。
【0068】
膨張式空気袋によって圧力を適用することができる。膨張式空気袋は、溶融性層中の泡を効果的に「搾り出す(squeeze out)」のを助ける。さらに、膨張式空気袋は中間組立体の多様な高さに適合することができ、したがって、対応する高さ調節を省くことができる。一般に、膨張式空気袋は、中間組立体が平坦でないときでさえこれに圧力を均一に適用するので、圧力および熱を適用するための他の装置(特に熱プレスの剛性のプレートなどの剛性の装置)と比較して有益である。たとえば、単一のパッチの他にたとえば3つのパッチの積層が存在するとき、これらの積層されたパッチは、剛性のプレートを用いれば単一のパッチと比較して高い圧力を受けることになるが、空気袋を用いるときは単一のパッチとほぼ同じ圧力を受けることになる。
【0069】
第1の結合ステップ中に、中間組立体に少なくとも1つの接触層を適用することができる。別法としてまたは加えて、第2の結合ステップ中に、中間組立体に少なくとも1つの接触層を適用することができる。
【0070】
接触層は、中間組立体と膨張式空気袋との間に設けることができ、膨張式空気袋によって、接触層に圧力を適用することができる。この場合、接触層は空気袋と組立体との間に挟持されて、中間組立体に膨張式空気袋の圧力を伝達する。
【0071】
接触層により、空気袋への薄い部材の付着を防止できる。さらに、接触層は、高温の溶融した流出物のような損傷から空気袋を保護することができ、このことによりその寿命を改善する。最後に、接触層が損傷した場合に、たとえば、本発明による一連の結合ステップ後に部材からの何らかの材料(たとえばポリマー材料)が表面上に蓄積する場合に、接触層を素早く変えることができ、このことにより本発明による方法の製造効率を改善する。
【0072】
第1の結合ステップおよび第2の結合ステップ中にならびにこれらの間に、接触層を中間組立体と接触した状態に保持することができる。これは、維持された圧力と組み合わせると、溶融性層中の新しい泡の形成を防止するために特に有利であり得る。
【0073】
接触層は、第1の結合ステップ中に最初に中間組立体と接触して設けられたとき第1の温度とすることができ、その後第2の結合ステップ中に第2の温度に加熱することができる。こうして、接触層は、記載された本発明による方法の利点を達成するのに適正な温度を、溶融性層に提供することができる。そのような方法はまた、同じ装置上で2つのステップを実行するために、加熱空気袋などの加熱装置の温度を変更する必要がないという点で、製造効率を改善する。接触層は、中間組立体と接触するときに、および加熱装置の効果の下で温度が上がる前に、第1の低い温度にあるので、本発明による製造の第1のステップが実行される。接触層が加熱装置の効果の下で最終的に温度が上昇するときに、接触層を除去することなく、したがって潜在的には第1のステップと第2のステップとの間の圧力を除去することなく、第2のステップが実行される。加えて、第2のステップは、加熱空気袋などの1つの単独の要素に、圧力適用の機能および加熱の機能の両方をこの単独の要素の熱設定を変えることなく実行させることも可能にする。
【0074】
接触層はシリコーン層であってよい。シリコーンは付着しない材料であり、このため、中間組立体への接触層の付着が防止される。さらに、シリコーンは可撓性も有し、溶融性層中の泡を防止または低減するように、中間組立体の形状および表面構造に適合させることができる。
【0075】
接触層は帯電防止性であってよい。このことにより、中間組立体と接触層との間の引力が低減され、この結果、静電荷が接触層上に蓄積し接触層が中間組立体に近付くときに、中間組立体(または事前に結合された組立体)が変位しないようになる。たとえば、接触層は、金属系の添加物を含んでよい。接触層は、金属粉末を含むシリコーン層であってよい。別法としてまたは組み合わせとして、本発明による機器は、接触層上に蓄積する電荷を放出するように適合された、静電荷除去装置を含み得る。
【0076】
空気袋を、加熱されるように構成できる。たとえば、空気袋を、少なくとも1つの埋め込まれた加熱ワイヤによって加熱することができる。このことにより、熱を大きく放散することなく、かなり直接的な方法で、中間組立体に熱を伝達することが可能となる。
【0077】
方法は、第2の温度よりも高い第3の温度で圧力および熱が中間組立体に適用される、第3の結合ステップをさらに備えることができ、この場合、第3の結合ステップは、第2の結合ステップの後で実行される。こうして、第3の結合ステップでは、溶融性層を、これが最終的に基層に強固に接着する程度まで、最終的に軟化または溶融することができる。2つの先行する結合ステップのおかげで、溶融性層中の泡の量が最小まで低減され、この結果、薄い部材と基層との間の接合は非常に強くなる。実際には、第1の結合ステップが空気の泡の除去を保証し、第2の結合ステップが、基層上での部材の良好な封止を保証して泡の何らかの再出現を防止し、次いで第3の結合ステップが、基層への薄い部材の強固な接合を保証する。
【0078】
第3の結合ステップ中に、中間組立体に少なくとも1つの接触層を適用することができ、第3の結合ステップの圧力、第3の温度、および継続時間を、接触層の適用によって薄い部材の表面テクスチャリングが修正されるように適合することができる。こうして、薄い部材に、ある表面テクスチャリング、たとえばグリップまたは特定の視覚効果をもたらすテクスチャリングを与えることができる。テクスチャリングは特に、薄い部材と接触する接触層の表面の対応するテクスチャリングによってもたらされ得る。
【0079】
薄い部材は、合成または天然ポリマー、皮革、繊維品、炭素繊維、ガラス繊維、等の様々な材料を含み得る。
【0080】
薄い部材は、ポリマー部材を含み得る。具体的には、薄い部材は、ポリマーの薄層を含むかまたはこれで作成され得る。より具体的には、薄い部材は、熱可塑性ポリマーの薄層を含むかまたはこれで作成され得る。ポリマーは多くの場合、運動用具に適用される部材の基材である。しかしながら、そのようなポリマー材料は、たとえば繊維品の基層に、常に容易に接合する訳ではない。したがって、本発明は、そのようなポリマー部材を基層に、特にニットなどの繊維品の基層に強固に接合する、改善された方法を提供する。
【0081】
第1の結合ステップの前に、薄い部材を、基層に一時的に固定することができる。特に、第1のおよび第2の結合ステップが実行される前に部材を基層に一時的に固定するために、溶融性層をある温度にさらすことができる。縫着(たとえば溶解性の糸を用いた)、溶接(たとえば超音波溶接)などによって、部材を一時的に固定することも可能である。そのような先行ステップにより、たとえば、基層上に部材を設け、基層および部材が結合ステーションに運ばれるときに部材が基層に対して移動するのを防止することが可能となる。同様に、そのような先行ステップにより、基層上に他の薄い部材が設けられる間にまたは結合ステーションなどの別の製造ステーションへの続く移送中に、複数の薄い部材を、これらの部材が互いに対してまたは基層に対して移動するリスクを何ら伴わずに、基層上に設けることも可能となる。
【0082】
薄い部材は、基層の少なくとも一部が薄い部材によって覆われないような形状を有し得る。こうして、薄い部材を、基層の対象とする場所に適用することができる。たとえば、ヒールカウンタを、アッパーの踵部分に取り付けることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、薄い部材は、靴アッパーの表面よりも少なくとも2倍小さい表面を有する。より具体的には、薄い部材は、靴アッパーの表面よりも少なくとも10倍小さい表面を有する。
【0084】
中間組立体は、少なくとも2つの薄い部材を備えることができ、各部材は、少なくとも互いとの重畳部分を備える。したがって薄い部材は、基層にだけではなく、互いに対しても接合し得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、中間組立体は少なくとも2つの薄い部材を備えることができ、これらの薄い部材のうち1つは、全体が1または2以上の他の薄い部材の上にある。そのような薄い部材であれば、その場合は基層と直接接触しないことになる。
【0086】
いくつかの実施形態では、第1の薄い部材の第2の面の反対側の第1の面上に溶融性層を備える、少なくとも1つの第1の薄い部材を、その第2の面が基層と接触する状態で、基層上に設けることができる。このことにより、第1の薄い部材の第1の面は、中間組立体の外向きの表面上に設けられる。追加のステップは、第1の薄い部材の溶融性層に少なくとも部分的に重なるように第2の薄い部材を設けることを含み得る。そのような実施形態により、第1の薄い部材と第2の薄い部材との間のより良好な接合が可能となる。いくつかの実施形態では、第2の薄い部材の溶融性層の少なくとも一部を、第1の部材の外向きに配向された溶融性層の少なくとも一部と接触するように設けることができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、中間部材を、薄い部材と基層との間に少なくとも部分的に設けることができる。薄い部材により、基層への中間部材の取り付けを確実にすることができる。
【0088】
そのような中間部材は、パディング、補強、防水性、水分吸収、製造に関する目的、等のような様々な機能を有し得る。したがって、中間部材は、フォーム、プラスチックフィルム、不織布、シリコーン、等など、様々な性質のものとすることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、第2の結合ステップの前に、中間部材を、薄い部材と基層との間に少なくとも部分的に設けることができる。いくつかの実施形態では、第1の結合ステップの前に、中間部材を、薄い部材と基層との間に少なくとも部分的に設けることができる。いくつかの実施形態では、基層の少なくとも一部の上に薄い部材の少なくとも一部を適用して中間組立体を形成する前に、基層上に中間部材を設けることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、薄い部材の溶融する層を、中間部材の少なくとも一部および基層の少なくとも一部に適用して、結合ステップ後に中間部材および基層の両方に接合されるようにすることができる。他の実施形態では、薄い部材の溶融する層を、中間部材には適用せずに、中間部材の周囲に適用されるように配列することができる。別法として、本発明による結合ステップを、薄い部材の所定の領域にのみ実行することができる。このことにより、中間部材を基層と薄い部材との間に閉じ込めることができる。たとえば、薄い部材および基層は、結合ステップ後に、使用者が中間部材を挿入および摘出できるポケットを形成することができる。別の例として、中間部材を、このようにして形成されたポケットから逃げないようにまたはその中で移動しないように、基層と薄い部材との間に封入することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、本発明の進歩性を備えた発想のこのさらなる態様による方法は、中間部材を除去するステップを含み得る。基層上に、溶融する層を備える薄い部材を設けることができ、薄い部材の一部と基層との間には、中間部材が設けられている。本発明による続く結合のステップにより、基層と直接接触している薄い部材の一部と基層との間の接合が可能となる。薄い部材の残りの部分はこの場合、中間部材に接合される。中間部材がその後除去される場合、薄い部材の一部は基層に接合されず、こうして基層と薄い部材との間にポケットのような構造が制作される。
【0092】
特に、薄い部材の溶融する層に結合されたときの接着力が非常に低い中間部材、たとえばシリコーン層を有する部材などを選択することができる。そのような中間部材により、結合ステップ後の中間部材からの薄い部材の引き離しが容易になる。中間部材はしたがって、薄い部材の表面の一部において薄い部材および基層の接合を防止する、マスクとして働く。このことにより、薄い部材がある部分によって基層に取り付けられるが、この薄い部材の別の部分は基層に接合されないような、運動用具を制作することができる。そのような薄い部材はたとえば、側方補強材および穴として用いることができ、この穴を収容する部分は、基層に接合されていない。
【0093】
中間組立体は、少なくとも、基層の第1の面と少なくとも部分的に接触している第1の薄い部材を、および少なくとも、基層の第2の面と少なくとも部分的に接触している第2の薄い部材を備え得る。基層の第2の表面は、基層の第1の面の反対側にある。本発明のそのような実施形態では、薄い部材を基層の各面上に設け、次いで結合させることができる。たとえば、最終製品上では見られない面上に、美的に配慮していない部材を設けることができ、一方、最終製品の目に見える部分上に、美的に配慮した部材を設けることができる。これに関わらず、基層の第1の面上および第2の面上に設けられる薄い部材は同時に結合され、このことにより本発明による方法におけるステップの数を限定する。
【0094】
基層は繊維品であってよい。運動用具の製造のために、多くの場合繊維品が用いられる。たとえば、靴アッパーは多くの場合、織布またはニットから作成される。この場合、基層はニット繊維品であってよい。本発明による方法は、そのような種類の繊維品に薄い部材を適用するのに、特に好適である。
【0095】
第1の結合ステップの継続時間は、1秒から100秒の間、特に少なくとも5秒、たとえば約15秒で構成される。
【0096】
第2の結合ステップの継続時間は、9秒から300秒の間、特に少なくとも約60秒、たとえば約160秒で構成される。
【0097】
本発明の進歩性を備えた発想のこのさらなる態様によれば、結合ステップの継続時間を、製造されるあらゆる運動用具に関して、定まった同じものとすることができる。別法として、任意の結合ステップ中に適用される継続時間および/または温度を、温度測定に基づいて各部材に対して変更することができる。そのような温度測定は、中間組立体上で第1のステップの前に行うことができるか、または、結合ステップのうち1または2以上の間に、特に各々の間に、測定することができる。温度は、レーザ温度計、支持表面に埋め込まれたセンサ、等のような、多くの異なる方法で測定することができる。また、任意の結合ステップ中に適用される継続時間および/または温度を、中間組立体上の薄い部材の厚さおよび/または数に応じて変更することができる。継続時間および/または温度を、基層のまたは基層に適用される薄い部材の材料に応じて変更することもできる。適用されるべき継続時間および/または温度を、選択される基準(たとえば温度、厚さ、材料、等)に基づいて計算することができ、かつ/または、基準の値に基づいて、基準に関する値の間隔を継続時間および温度に関連付けるテーブルに基づき選択することができる。
【0098】
本発明の進歩性を備えた発想のさらなる態様は、本明細書に記載するような方法により製造された運動用具に関する。この場合運動用具は、基層に適用された薄い部材を備え、この場合、薄い部材と基層との間の接合は、有利には非常に強く耐久性がある。
【0099】
本発明の進歩性を備えた発想のさらなる態様は、(a.)部材を上に設けることのできる支持表面と、(b.)接触層と、(c.)支持表面に向かって少なくとも部分的に変位されるようにおよび支持表面の温度よりも高い温度で加熱されるように適合された空気袋と、とを備え、(d.)接触層は、支持表面と空気袋との間に接触層が配列されて、空気袋が接触層に熱を伝えられるようにおよび接触層を支持表面上の部材と接触させることができるようになっている、第1の位置において移動可能であり、さらに、(e.)接触層を冷却するように適合された冷却装置を備える、運動用具を製造するための機器に関する。
【0100】
接触層を、受動的な熱伝導、熱対流によって、または能動的な手段によって冷却することができる。受動的な冷却の例は、接触層を、これが周囲雰囲気と接触して受動的な対流によって冷却される位置へと変位させることであり得る。能動的な冷却の例は、接触層を冷やされた表面と接触するように設けること、および/または接触層の導管内に冷やすための流体を循環させること、および/または能動的な対流(周囲空気流)である。
【0101】
冷却装置を、前記第1の位置に設けられる続く2つのステップの間に、接触層を冷却するように適合することができる。こうして、接触層は、これが同じ部材(のたとえば異なる場所)または新しい部材のいずれかと接触させられる前に、十分に冷却される。
【0102】
接触層の冷却が可能な領域内に接触層を設けるように、冷却装置を適合することができる。特に、接触層は、高温の空気袋によって適用される温度から冷却され得る。接触層を、室温まで冷却することができる。冷却することにより、中間組立体上でのさらなる事前結合ステップのために接触層を用いることが可能となり得る。
【0103】
接触層を、変位されるようにベルト上に装着することができる。単純な転動ローラによって接触層を変位させることができるので、ベルト上のそのような配置構成は、機械的にはかなり単純である。
【0104】
1つの実施形態では、機器は第2の接触層を備え、第1の接触層および第2の接触層は、支持表面と空気袋との間に第1の接触層が配列されるが第2の接触層は配列されない第1の位置と、支持表面と空気袋との間に第2の接触層が配列されるが第1の接触層は配列されない第2の位置との間で、移動可能とすることができる。
【0105】
この配置構成は、第1の接触層を、第1の中間組立体を結合または事前に結合するために用いることができ、第2の接触層を、第1の接触層が冷却される間に第2の中間組立体を結合または事前に結合するために続いて用いることができる、という利点を有する。第1の層が中間組立体を結合または事前に結合するために用いられている間に、第2の層も冷却されることになる。こうして、別の接触層が中間組立体を結合または事前に結合するために用いられている間、少なくとも1つの接触層が冷却されており、この結果、処理時間が低減され、時間単位あたりより多くの中間組立体を結合または事前に結合することができる。
【0106】
第2の接触層を、これが第1の位置にあるときに冷却され得る領域内に設けることができる。特に、第2の接触層を、高温の空気袋などの加熱装置によって、事前結合温度または結合温度から冷却することができる。第2の接触層を、室温まで冷却することができる。冷却することにより、別の基層および薄い部材との別の事前の結合ステップのために、第2の層を用いることが可能となり得る。このことにより、最初に圧力が接触層により室温と同様の温度で中間組立体に適用され、次いで圧力が接触層の上昇する温度によりより高い温度で適用される、本発明の進歩性を備えた発想のこのさらなる態様による方法を実行することができる。
【0107】
第1の接触層を、これが第2の位置にあるときに冷却され得る領域内に設けることができる。特に、第1の接触層は、高温の空気袋によって適用される温度から冷却され得る。第1の接触層を、室温まで冷却することができる。冷却することにより、中間組立体上でのさらなる事前結合ステップのために第1の層を用いることが可能となり得る。
【0108】
第1の接触層および/または第2の接触層を、受動的な熱伝導、熱対流によって、または能動的な手段によって冷却することができる。たとえば、第1の接触層および/または第2の接触層を、冷たい表面および/または冷たいもしくは室温の空気の流れと、接触させることができる。
【0109】
第1の接触層および第2の接触層を、第1の位置と第2の位置との間で変位されるように、ベルト上に装着することができる。より具体的には、第1の接触層および第2の接触層を、ベルトに沿った同じベルト上の異なる場所で装着することができる。単純な転動ローラによって第1の接触層を第2の接触層と取り替えることができるので、ベルト上のそのような配置構成は、機械的にはかなり単純である。
【0110】
さらに、本発明による機器は3つ以上の接触層を有してもよく、このことにより、
−各接触層のより長い冷却の時間が、たとえば、1回に1つの接触層を用いて結合が実行され、この間他の接触層は冷却中であるような構成において、および/または
−より高い製造生産量が、たとえば、2つの接触層が2つの組立体の結合の際に用いられ、この間別の2つの接触層は冷却中であるような構成において、可能となる。
【0111】
空気袋は、加熱装置を備え得る。この場合、第1および第2の接触層に、直接熱を伝達することができる。加熱装置はたとえば、空気袋を膨らませるのに用いられる高温の空気、赤外線ランプ、および/または空気袋内に組み込まれた電線とすることができる。
【0112】
空気袋を固定された本体に取り付けることができ、また、膨らませて第1の接触層および/または第2の接触層と接触するように適合することができる。こうして、第1のおよび/または第2の接触層を介して、空気袋は、第1の接触層および/または第2の接触層の下に配列された組立体に圧力および/または熱を及ぼすことができる。
【0113】
空気袋を、第1の位置と少なくとも1つの第2の位置との間で変位され得る移動可能な本体に取り付けることができ、この場合、第2の位置においてよりも第1の位置においての方が、空気袋が支持表面により近い。このことから、部材の高さの違いを説明することができる。たとえば、空気袋は、どちらかといえば薄い部材の場合は支持表面により近い可能性があり、一方、どちらかといえば厚い部材の場合はより離れている可能性がある。こうして、両方の場合において、同じ量の空気または気体で空気袋を膨らませて、第1のおよび/または第2の接触層に、およびしたがって部材に、同じ圧力を及ぼすことができる。特に、移動可能な本体を、並進または回転によって変位させることができる。
【0114】
別法としてまたは加えて、支持表面は移動可能であってよいか、または空気袋に向かって変位され得る移動可能な本体に取り付けることができる。
【0115】
第1の接触層および/または第2の接触層は、薄い部材に接触するように適合されるその/それらの表面の少なくとも一部上に、テクスチャを施すことができる。こうして、薄い部材の外側表面にテクスチャを施すことができる。たとえば、サッカーシューズ上の部材に、線または点などのテクスチャリングを提供して、ボールのより良好な制御を可能にするためのグリップを提供することができる。
【0116】
本発明の進歩性を備えた発想のさらなる態様は、(a.)少なくとも第1の接触層および少なくとも第1の空気袋を備える第1のステーションと、(b.)少なくとも第2の接触層および少なくとも第2の空気袋を備える第2のステーションと、(c.)前記第1のステーションから前記第2のステーションへと移動可能な支持表面と、を備える、運動用具を製造するための機器を対象とする。
【0117】
第1のステーションおよび/または第2のステーションは、上記のような機器とすることができる。
【0118】
2つのステーションを備える機器は、ステーションの各々の中の加熱装置の(たとえば高温の空気袋の)一定の温度を設定することが可能であり得る。そのような特徴は、第3の結合ステップが実行される本発明による方法を用いるときに、特に有利である。このことにより製造時間を低減することができるが、これは、加熱装置が第2の温度から第3の温度まで加熱されるのを、および第3の温度から第2の温度まで冷却されるのを、待つ必要がないからである。
【0119】
そのような機器は、各ステーション上で独立して交互となっている少なくとも2つの接触層の組、または、同じ所与の組立体に対して各接触層が最初に第1の結合ステーションにおいて続いて第2の結合ステーションにおいて用いられるように2つのステーションの間で回転する少なくとも3つの接触層の組を備え得る。
【0120】
支持表面を、基層の上に設けられた少なくとも部分的に溶融性である層を備える部材を支持表面上に配列できるように、適合することができる。
【0121】
ある製造ステーションから別の製造ステーションに移送されるときに組立体の温度が過度に素早く下がらないことを保証するために、支持構造を熱的に絶縁することができる。
【0122】
支持構造を、加熱されるように適合することができる。たとえば支持構造は、支持表面を加熱するように適合された、埋め込まれた加熱ワイヤを備え得る。そのような支持構造により、基層上での薄い部材の結合を助けることができる。
【0123】
支持表面は全体的に平坦とすることができる。したがって、任意の種類の全体に平坦である部材を、機器と結合させることができる。しかしながら、可撓性の接触層および/または膨張式空気袋を用いて本発明による製造ステップを実行する、本発明のいくつかの実施形態によれば、部材は平坦である必要はなく、異なる領域において異なる厚さを有することができ、同時に依然として−薄い部材が設けられる基層の領域がどのようなものであれ−基層上での薄い部材の良好な接合が得られる。
【0124】
支持表面は、少なくとも1つの凸状の表面および/または少なくとも1つの凹状の表面を備え得る。したがって、この機器を用いて、局所的にエンボス加工された二次元の運動用具、または三次元の運動用具、またはこれらの一部を製造することができる。
【0125】
支持表面に、少なくとも部分的にテクスチャを施すことができる。特に、上に部材を設けることのできる支持表面の領域に、少なくとも部分的にテクスチャを施すことができる。実際には、本発明のいくつかの実施形態では、中間組立体は、支持表面と接触するように設けられる基層の面上に、少なくとも1つの薄い部材を備え得る。この場合、支持表面と接触するように設けられる薄い部材の外側表面に、テクスチャを施すことができる。たとえば、サッカーシューズ上の部材に、線または点などのテクスチャリングを提供して、ボールのより良好な制御を可能にするためのまたは足とのより良好なグリップを提供するための、グリップを提供することができる。
【0126】
本発明の現時点で好ましい例および実施形態が、以下の図を参照して、以下の詳細な説明において記載される。
【発明を実施するための形態】
【0128】
運動用具に関して、本発明の現時点で好ましい実施形態が、以下の詳細な説明において記載される。特に、本発明は、本明細書において記載されるような靴の制作において、特に有用であり得る。しかしながら、既に上述したように、本発明は、本明細書に記載する実施形態に限定されない。むしろ、本発明を、他の種類の運動用具、たとえばシャツ、ブラジャー、タイツ、スポーツパンツ、手袋、等のようなスポーツウェア、ならびに、スポーツ用具、たとえばボール、アイスホッケー用のヘルメットおよび防護具、サングラス、ゴーグル、アルペンスポーツ用の眼鏡、ならびに/またはラケットの製造において、有利に用いることもできる。
【0129】
本明細書において言及されるような「キャリア表面」は、パッチのための基盤層として用いられる任意の材料である。たとえばキャリア表面は、靴型、トレイ、プレート、繊維品、ニット、織物構造、不織構造などの基材、および/またはこれらの組み合わせであってよい。
【0130】
本明細書において言及されるような「パッチ」は、構造を形成するように設けられかつ/または位置付けられ得る、一片の材料である。パッチは、限定するものではないが、多角形、たとえば矩形、円、三角形、五角形、六角形、等などの、規則的な形状、および不規則な形状、ストリップ、および/またはバンドを含む、任意の形状を有し得る。
【0131】
図2a〜
図2eは、パッチ10として用いることのできる様々な形状を描写している。
図2aに示すように、矩形の要素をパッチ10aとして用いることができる。さらに、パッチ10bは、示されるような丸みを帯びた縁部を有し得る。パッチ10c、10dは、設計目的、またはパッチが所定の特性を満たすための要件に基づく機能上の目的のいずれかで用いられる、不規則な形状を有し得る。
図2bは、パッチ10e〜10mとして用いることのできる、さらなる規則的な形状を描写している。
【0132】
加えて、
図2cは、パッチ10n〜10uとして用いられる、結節点12および細長い要素14を有して用いることのできる不規則な形状を描写している。面積あたりの結節点12の密度が高ければ、パッチ10q〜10tの強度特性を高めることができる。
図2cの細長い要素14uとして示されるような細長い要素の長さを大きくすることで、結果的なパッチの延伸可能性を、特定の領域において高めることができる。この場合、結節点12および細長い要素14の幾何学形状を、用いられる材料に基づいてパッチ10に特定の所定の特性を付与するように設計することができる。
【0133】
したがって、靴のアッパーに対するパッチ10の効果は、パッチ10の幾何学形状とパッチ10を構築するために用いられる材料の組み合わせによって影響を受ける場合がある。
図2dに示すように、複数のパッチをある領域内で用いることにより、アッパーまたは靴のある領域に、設計またはその靴が用いられることになる用途によって事前に決定される特定の特性を付与することができる。
【0134】
パッチ10は、デザイン機能も果たし得る。例示的な例として、パッチ10を、
図2eに例示するような特定のデザインを示すように構築することができる。装飾的なおよび/または個人化の目的で、パッチ10を用いることができる。この場合、人がパッチ10を選択し、それらを使用者の個人的な選好に基づいて靴上に設けることが可能であり得る。
【0135】
図2fは、特に衣服の物品および靴にとって有用なパッチ10の、例示的な例を描写している。示されるように、パッチ10は、靴ひも要素用の穴を補強する助けとなる幾何学形状を提供し得る。たとえば、
図2fに示すような靴ひもの穴などの基材の開口部に対応するように、パッチを切断(事前にまたは切断工程中のいずれかで切断)することができる。この構造では、基材上に複数のパッチを、層の穴が位置合わせされて補強された靴ひもの開口部が制作されるように、設けることができる。本明細書に記載の工程を用いて、そのような構造を、基材およびこの工程中に設けられるパッチを用いて形成することができる。場合によっては、パッチの配置により、開口部を制作することの後で追加の処理を必要とすることなく、完成した構造を提供ことができる。他の種類のパッチ10が、靴上の踵の近くで安定性を提供するために有用な構造である場合がある。さらに他のパッチ10が、靴の先芯にさらなる安定性ならびに保護を提供する場合がある。
【0136】
図2a〜
図2fにおいて描写されるパッチは、用いることのできるパッチ10の例示的な例である。パッチのデザインは、パッチ10に関する要件、運動用具、衣服の物品、ブラジャー、パンツ、シャツ、トップス、靴などのような物品に関する要件、ならびに用いられる材料に起因して、異なる場合がある。
【0137】
パッチ材料は、金属(たとえばアルミニウム、チタン、等)、熱硬化性物質(たとえばポリエポキシド、エポキシ樹脂)、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル(たとえばポリエチレンテレフタレート(「PET」))、ナイロンなどのポリアミド、もしくは当技術分野で知られている他のポリマーなどの熱可塑性ポリマー、たとえば熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)、ポリエーテルブロックアミド(「PEBA」)等の熱可塑性エラストマー、発泡フォーム(たとえば酢酸エチルビニルのフォーム、ポリウレタンフォーム)、たとえば発泡熱可塑性ポリウレタン(「eTPU」)、発泡ポリエーテルブロックアミド(「ePEBA」)等などの発泡粒子フォームなどの粒子フォームなどのフォーム、膜(たとえば発泡ポリテトラフルオロエチレンなど)、たとえばニット、不織布、織布などの繊維材料、面ファスナ材料、炭素もしくはガラス繊維(たとえば炭素製の一方向のもの)などの繊維、(シート成形複合材(たとえばガラス繊維もしくは炭素繊維を樹脂に入れたもの)、炭素繊維補強ポリマー、炭素繊維補強プラスチック、炭素繊維補強熱可塑性物質などの)複合材、植毛テープ、不織テープ、一部透明なテープ、着色テープ、印刷テープ、構造化テープなどのテープ、たとえば絹、羊毛、らくだの毛、カシミア、モヘアなどの毛、綿、亜麻、ジュート、ケナフ、ラミー、ラタン、大麻、コルク、木、竹、サイザル麻、コイアなどの自然繊維、皮革、スエード、ゴム、加硫ゴム、織物構造、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。複数の材料のパッチを、物品の所与の領域に1または2以上の特性を提供するような手法で、配列することができる。
【0138】
場合によっては、パッチ10を制作するために用いられる材料に、添加物を添加することができる。特に、パッチを施す工程中にパッチ10の差別化を助けるために、パッチ材料に添加物を添加することができる。たとえば、視覚システムは、特定のパッチの場所を判定するために、様々な光源(たとえば紫外光源、バックライト光源)、フィルタ(たとえば紫外線透過フィルタ)、コンベヤ(透明のもの、半透明のもの、もしくは光を透過できるコンベヤ)、ならびに/またはカメラ(たとえば紫外線および赤外線遮断フィルタを取り外されたカメラ)の組み合わせを用いることができる。特に、顔料などのUV添加物は、半透明であるかまたは他のパッチ、材料、および/もしくはキャリア、把持具などのような機材に似た色を有するパッチを差別化するのを助けることができる。さらに、パッチ材料を互いから差別化するのを助けるために、他の添加物を使用することができる。たとえば、パッチ10、キャリア、繊維品もしくは基材などの基体、および/または部材の測定可能な特性に影響を与え得る添加物を使用して、これらの要素を識別するかまたは移動させることができる。
【0139】
たとえば、キャリア表面、たとえば基材、パッチ、および/または部材に関する位置決定を支援するバックライトを、コンベヤの下に位置決めすることができる。特に、バックライトを、光を透過できるコンベヤおよびカメラと組み合わせて用いて、上側部分の位置を識別することができる。
【0140】
配置中、パッチ10を所定の場所内に設けることができる。場合によっては、パッチ10を設けることは、所定の場所内にパッチ10を結合することを含み得る。パッチ10の結合とは、パッチ10を所定の場所内に、その場所からの移動が低減および/または場合によっては阻止されるように設けることを指す。化学的または物理的機構に起因して、結合が生じ得る。たとえば、結合は摩擦、接着、接合、磁場(たとえば低周波磁場)、静的な力(たとえば静電負荷)、面ファスナ構造など、および/またはこれらの組み合わせの結果であり得る。
【0141】
材料の物理特性に基づいて、パッチ10において用いられる材料を選択または決定することができる。たとえば、パッチにおいて用いるための材料を、限定するものではないが、耐摩耗性、静止摩擦、引っ張り強度、圧縮強度、疲労強度、衝撃強度などの強度、弾性、可塑性、伝導率、通気性、強度重量比、可融性、変形、色、透明度を含む特性に基づいて、選択することができる。
【0142】
パッチ材料を、様々な厚さをおよび/または幅を有するロールの形態で供給することができる。たとえば、ポリマーから作成されたパッチ10は、約10μmから5mmまでの範囲の厚さを有し得る。
【0143】
パッチ10を、単一の層として構築することができる。いくつかの実施形態では、多層のパッチ材料を用いることができる。
【0144】
パッチ10を、多層の構造において用いることができる。たとえば、40μmの厚さを有する複数のパッチ10を、複数の領域において選択的に施して、靴のアッパーに安定性を付与することができる。パッチ10の個々の層は、たとえば、約0.01mmから約10cmまでの範囲とすることができる。
【0145】
図3a〜
図3tは、本発明の実施形態によるパッチ10の様々な例示的な例を描写している。
図3aは、基層16から構築された単一層のパッチ10を描写している。パッチ10において用いられる材料は、約0.01mmから約5mmまでの範囲の厚さを有し得る。
【0146】
パッチ10は、たとえばTPUから構築される、熱可塑性のものとすることができる。パッチを施すために用いられる材料は、単一の層、または同じもしくは異なる材料の複数の層であってよい。パッチ用材料を、パッチ10に関する所定の要件に基づいて選択することができる。例示的な例として、パッチ用材料は、TPU層、および様々な溶融温度を有する溶融性層を含み得る。場合によっては、溶融性層は、TPU、ポリアミド、および/またはポリエステルから構築された熱溶融性の層などの、熱可塑性物質を含み得る。たとえば、熱溶融性の層として、低い溶融温度を有するTPUを用いることができる。いくつかの例は、結合される対象の層と同じ範囲内の溶融温度を有する溶融性層を含み得る。場合によっては、溶融性層の溶融温度は、約20℃から約240℃までの範囲内とすることができる。たとえば、溶融性層の溶融温度は、約40℃から約200℃までの範囲内とすることができる。特に、溶融性層の溶融温度は、約80℃から約180℃までの範囲内とすることができる。
【0147】
層の構築を容易にする、パッチ10の正確な位置決めを向上させる、パッチ10の移動を低減する、および/または層が適正に結合される見込みを高めるために、熱溶融性の層を組み込んだパッチ用材料が提供され得る。たとえば、材料にパッチを施すとき、少なくとも1つの一体の溶融性層を有する多層のパッチ用材料が好ましい。特に、溶融性ではないおよび/または感熱性の材料を有する溶融性層、たとえば熱溶融性の層の使用が、製品に要求される仕様または所定の特性を満たす手法で製品が構築されるのを保証するのに有用である場合がある。
【0148】
図3b〜
図3tは、複数の層から構築されたパッチの例示的な例である。
図3bに示すように、パッチ10を、基層16および溶融性層18から構築することができる。溶融性層18は、基層16にわたって延し得る。たとえば、パッチ10を、TPUから構築された基層16および熱溶融性の層18から構築することができる。例示的な例として、パッチ10はTPUおよび熱溶融性の層の両方を含むことができ、層の各々は約40μmの厚さを有し得る。したがって、この構造を有するパッチ10は、約0.08mmの厚さを有し得る。
【0149】
いくつかの設計では、パッチ10の様々な層の厚さは、様々であり得る。パッチ10を、パッチ10の使用およびこれを構築する材料に応じて、所定の厚さの仕様を満たすように構築することができる。たとえば、層において用いられる材料の知られている特性を用いて、その層の厚さを決定すること、ならびに所定の必要な特性を有するパッチ10を制作するためにこの層と対となるべき他の材料の種類を決定することができる。
【0150】
場合によっては、
図3cにおいて描写されるように、溶融性層18は、要素20の形態で不連続であってよい。たとえば、溶融性層18を、様々な幾何学形状、たとえば1または2以上の点、正方形、網、不定形の形状(たとえば蜘蛛の巣)、線、または使用もしくは設計に特有の所定の幾何学形状から作成することができる。
図3cにおいて描写されるように、溶融性層18は、熱溶融性の層の一連の点であってよい。場合によっては、溶融性層18は、空気透過性であってよい。たとえば
図3dに示すように、溶融性層18は、キャリア表面22と膜24との間に位置決めされた複数の要素20を備え得る。溶融性層18を、空気流がパッチ10を通るのを可能にするように位置決めすることができる。
【0151】
図3eに例示するように、パッチ10は、キャリア表面22上に位置付けることができ、基層16および溶融性層18を含み得る。
図3fにおいて描写された例示的な例では、パッチ10は、溶融性層18およびキャリア表面22上に位置付けされた繊維品26を含み得る。基層16は、パッチ10の物理特性を変える、たとえば、剛直性、保持特性を提供する、パッチ10の形状を提供し維持する、吸水率を低減する、などのために用いることのできる、TPUとすることができる。繊維品26を、限定するものではないが、設計、グリップ、触感、伝導率、通気性などの物理特性、および/または設計を含む、様々な理由により選択することができる。
【0152】
図3gおよび
図3hにおいて、多層のパッチ10のさらなる例示的な例が描写されている。
図3gにおいて描写されるように、パッチ10は、キャリア表面22上に位置決めされた、溶融性層18、基層16(たとえばTPU)、および繊維品26を含み得る。
図3hにおいて描写された交互の構造は、キャリア表面22上に位置決めされた、溶融性層18、基層16(たとえばTPU)、第2の溶融性層18’、および繊維品26を含む。キャリア表面は、アッパーに関する要件に応じて、繊維品または基材、たとえばニットであってよい。
【0153】
パッチ10によっては、材料内に位置決めされた材料を含む場合もある。
図3iに示すように、基層16の2つの層の間に、熱硬化性材料28を位置決めすることができる。この手法において用いられる熱硬化性物質は、パッチ10に補強を提供し得る。熱硬化性材料は、限定するものではないが、ポリウレタンポリマーなどのポリウレタン、シリコーンエラストマー、ゴム、加硫ゴム、メラミン樹脂、フタル酸ジアリル(「DAP」)、エポキシ樹脂、ポリイミド、シアン酸エステルまたはポリシアン酸塩、ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、フェノール、等を含み得る。
【0154】
例示的な例として、
図3jに示すようなパッチは、キャリア表面22としての繊維品上に位置付けられた、TPUから構築された基層16および溶融性層18および熱硬化性材料28を含み得る。
【0155】
場合によっては、鋼などの金属を、繊維品のキャリア表面上でTPUの層同士の間に位置決めすることができる。
【0156】
図3kは、さらなる例示的な例を描写し、キャリア表面22上に位置付けられた絶縁材料34を示す。絶縁材料34は、溶融性層18および基層16によって所定位置に保持される。場合によっては、絶縁材料は、パッチにクッション性および/または衝撃保護を付与することができる。
【0157】
図3lに示すように、さらなる例示的な例は、熱可塑性材料16の2つの基層の間に位置決めされかつキャリア表面22上に位置決めされた、フォーム材料36の使用を描写している。靴上の所定の領域にクッション性の利益を付与するために、フォームを用いることができる。用いられるフォーム材料は、限定するものではないが、発泡ポリウレタンなどの発泡フォーム材料、たとえば発泡熱可塑性ポリウレタン粒子フォーム(すなわち「eTPU」粒子フォーム)などの発泡粒子フォーム、ポリウレタン、酢酸エチルビニルのフォーム(EVA)、コルク、等を含み得る。
【0158】
さらなる例示的な例が、溶融性層18、不織布層38、頂部被覆層52、および印刷された層54を含む、キャリア表面22上に位置決めされた多層のパッチ10を描写する
図3mにおいて示されている。示されるように、頂部被覆層52はポリウレタン被覆を含むことができ、印刷された層54はデジタル印刷によって形成され得る。
【0159】
図3nは、溶融性層18、繊維品26、およびゴム層56を有する、キャリア表面22上に位置決めされたパッチ10を描写している。示されるように、ゴムは、繊維品26にわたって一続きのものとすることができる。いくつかの代わりの例示的な例では、ゴム56は、繊維品26上に不連続に設けられてよい。
【0160】
場合によっては、パッチ10の組立に先立って層を活性化することができる。たとえば、
図3oは、溶融された区画58によって1つに結合された、繊維品26およびキャリア表面22を描写している。溶融された区画58を、繊維品26をキャリア表面22上に設けるのに先立って繊維品26を加熱することによって、形成することができる。たとえば、繊維品26を、キャリア表面22上に設けられるのに先立って、赤外線(「IR」)溶接を使用して加熱することができる。
【0161】
図3pに示すように、層を1つに固定するために、溶融性層18を用いることができる。
図3pは、基部キャリア22と射出された部材60との間に位置付けられた溶融性層18を描写している。
【0162】
場合によっては、多層のパッチ構造は、異なる溶融温度を有する複数の層を有し得る。たとえば、低温溶融熱可塑性ポリマーを有するキャリア表面上に位置付けられ、繊維品が続き、TPUの頂部層を有する、パッチ10。低温溶融熱可塑性ポリマー層は、低い溶融温度を有するTPUとすることができる。場合によっては、溶融性層を、洗浄の目的で、約40℃よりも大きい融点を有するように選択することができる。
【0163】
パッチ材料のさらなる例示的な例は、TPUなどの基層を取り囲む熱溶融性の材料の複数の層を含み得る。熱溶融性の材料の内側層および外側層の両方を有する、良好な復元特性を有して延伸するように設計されるTPUを用いることが、望まれる場合がある。場合によっては、そのような構造は、さらなる外側の繊維品層を含み得る。
【0164】
中底上に位置決めされたパッチ10に関するさらなる例示的な例が、
図3q〜
図3tにおいて描写されている。
図3qは、中底4上に直接固定された外底要素62を描写している。たとえば、TPUの外底要素62を、発泡熱可塑性ポリウレタン粒子フォームなどの発泡粒子フォームから制作された中底4に、直接接合することができる。
【0165】
図3r〜
図3tにおいて描写された例示的な例に示すように、溶融性層18、たとえば熱溶融層を、外底要素62を中底4に結合するための中間層として用いることができる。たとえば、様々な材料、たとえば、たとえば酢酸エチルビニル(「EVA」)フォーム、ポリウレタン(「PU」)フォーム等の発泡フォーム、発泡粒子フォーム、ゴム、繊維品、ポリマー、合成物質、およびこれらの組み合わせ、などのクッション材料を、溶融性層18を用いて互いに結合することができる。たとえば、特に材料がうまく接合しないときに、熱溶融性の層18を用いて、外底要素62を中底4に結合することができる。
【0166】
図3rは、外底要素62を中底4に結合するために用いることのできる溶融性層18の使用を例示する。例示的な例として、ゴムの外底要素62を、酢酸エチルビニルなどの発泡フォームまたは発泡熱可塑性ポリウレタン粒子フォームなどの粒子フォームから制作された中底4に接合するために、熱溶融性の層18を用いることができる。
【0167】
場合によっては、溶融性層を用いて、ゴム要素またはパッチ10をフォーム材料に結合することができる。例示的な例として、ゴムの外底要素として形状形成されたパッチ10を、熱溶融層を用いてeTPUの中底に結合することができる。さらに、他の材料をゴムに結合するために、溶融性層を用いることができる。たとえば、ゴムのパッチ10をアッパーの繊維品に結合するために、熱溶融層を用いることができる。場合によっては、パッチ10上の外側層として、繊維材料を用いることができる。代わりに、ゴムのパッチに加硫して、直接アッパー、中底、および/または外底の一部とすることができる。
【0168】
図3sは、繊維品26を中底4に結合するための溶融性層18の使用を描写している。たとえば、熱溶融性の層18を用いて、ニットまたは織布のパッチ26を、発泡熱可塑性ポリウレタン粒子フォームなどの発泡粒子フォームから制作された中底4に接合することができる。
【0169】
図3tは、射出された部材60を中底4に結合するための溶融性層18の使用を描写している。たとえば、熱溶融性の層18を用いて、射出された支持要素60を、発泡熱可塑性ポリウレタン粒子フォームなどの発泡粒子フォームから制作された中底4に接合することができる。
【0170】
接続されることになる材料の特性に応じて、いくつかの構造では、熱溶融層が必要でない場合がある。たとえば、TPUから作成された外底要素を、eTPUから構築された中底に直接結合することができる。
【0171】
たとえば、外側の繊維材料、特にデジタル印刷された繊維品、たとえばシートベルトにおいて用いられるような印刷されたバンド、印刷された弾性のバンド、等は、より良好な光学特性を提供することができる。
【0172】
さらに、制御された延伸性/剛直性を有する移行区画を形成するために、パッチ10を設けることができる。
【0173】
パッチ10および/またはパッチ材料は、異方性のものであってよい。場合によっては、パッチ10および/またはパッチ材料が、パッチ10および/またはパッチ材料の軸に沿って異なる特性を有することが、有益であり得る。たとえば、パッチ10を、パッチ10の挙動が軸に沿って異なるように構築することができる。
【0174】
パッチ10上にパターンを提供することを用いて、延伸可能性、剛直性、厚さ、グリップ、等のような、パッチ10の特性を制御することができる。
図4、
図5、
図41に示すようなパッチ10上に、パターンを刻設することができる。そのようなパターンの深さを異ならせて、パッチにわたるパッチ材料の物理特性を変更することができる。たとえば、刻設されたパッチ10を、拡張が可能になるように、前足部から中足部への移行部に位置付けることができる。
【0175】
場合によっては、
図4に示すように、パッチ10上にサイプ64を位置決めすることができる。サイプ64は、特にサイプ64に対して垂直なさらなる延伸を可能とすることによって、パッチ10の延伸に影響を与え得る。さらに場合によっては、サイプ64、またはパッチに刻設もしくは切削された任意の他のデザインにより、パッチ10と任意の対向する表面との間の摩擦を高めることができる。たとえば、フットボール(すなわちサッカー)シューズ上の刻設されたパッチ10は、フットボール(すなわちサッカーボール)と接触しているときに、表面に何も構造を有さないパッチ10よりも大きいグリップを有し得る。
【0176】
場合によっては、たとえば
図5に示すような爪先領域の近くの剛直性または可撓性を制御するために、パッチ10上に刻設パターン66を提供することができる。示されるように、サイプ62は、先芯にわたって設けられたパッチの側方側でより目立つ。このことにより、側方側のパッチ10およびアッパーの可撓性を高めることができる。
【0177】
さらに、踵区域などの他の領域は、剛直性を制御するためにパッチ10上に部分的に刻設部分を含み得る。特に、踵区域は、パッチ構成が踵区域の延伸可能性に影響を及ぼすのを可能にする手法でパッチ10を適用することから、恩恵を受けることができる。たとえば、パッチ10を、踵の所定の領域において延伸を可能にするかまたは制御するように位置決めすることができる。特に踵区域は、延伸を可能にするために、アキレス腱の近くに、数個のパッチ10または延伸可能なパッチ10を有する延伸区域を有し得る。対照的に、アキレス腱のいずれかの側で、延伸を制御するかまたは剛直性を提供するために、パッチ10を利用することができる。
【0178】
さらに、靴のタン上でまたはこれの近くで用いられるパッチ10を、爪先から踵までの延伸が制御されるように、サイプまたは刻設パターンを有して構築することができる。
【0179】
場合によっては、パッチは、パッチおよび/または物品に特性を付与するための、上に設けられた追加の材料を有し得る。たとえば、パッチ上に要素を印刷することができる。別法として、小さいゴムのパッチに加硫して、アッパーまたはその上のパッチの部分にすることができる。
【0180】
いくつかの実施形態では、キャリア表面は、除去された部分を有し得る。いくつかの実施形態では、キャリア表面の一部、たとえば基材を補強するために、パッチ10を追加することができる。
【0181】
場合によっては、パッチ10を適用し、後で靴型上で3D形態へと形状形成することができる。
【0182】
図6は、本発明による製造方法の実施形態を例示する。この方法を用いて、靴アッパー、ボールのハウジング/カーカス、靴底などの本質的に自動化された生産用のための、パッチ10および/または他の部材10を生産することができる。
【0183】
図6において見られるように、ステップ100では、パッチ10が、切断装置7によってスプール5または材料のシート(図示せず)から切り出され、搬送装置12上に設けられる。たとえば、搬送装置12は、コンベヤベルト、布帛から作成されたベルト、たとえば靴アッパーにおいて用いられる布帛から作成されたベルトなどのベルト、トレイ、プレート、等とすることができる。搬送装置において用いられる材料は、限定するものではないが、繊維品などの可撓性材料、または金属、ガラス、セラミックなどのような剛性材料を含み得る。
【0184】
場合によっては、搬送装置を、低い熱伝導率を有する材料から構築することができる。場合によっては、その上で結合が生じる搬送装置として使用される材料が、約25ワット毎メートル毎ケルビン(W*m
−1*K
−1)未満の熱伝導率を有することが、有益であり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、約1ワット毎メートル毎ケルビン(W*m
−1*K
−1)未満の熱伝導率を有する材料を使用することが望ましい場合がある。たとえば、三次元アッパーの結合中、熱可撓性の靴型を使用することができる。
【0185】
場合によっては、搬送装置は、パッチを搬送装置から解放することのできる解放要素を含み得る。このことにより、パッチを移動させるのに要する力を低減することができる。解放要素は、搬送装置上の被覆、搬送装置上に位置決めされたイジェクタピン、または当技術分野で知られている他の解放要素を含み得る。例示的な例として、イジェクタピンを、搬送装置内に位置決めすることができる。把持装置により供給される力をより小さくしてパッチを拾い上げることができるように、パッチの把持に先立ってインジェクタピンを作動させることができる。
【0186】
異なる種類のパッチ10を同時に提供するために、複数の材料のスプールを提供することも考えられる。パッチ10は次いで、ステップ200において把持装置15によって個々に拾い上げられ、パッチ10の接着部材が活性化される。接着部材を、エネルギーを用いて活性化することができる。
【0187】
接着部材および/またはパッチ10を活性化するために用いられるエネルギーは、限定するものではないが、赤外線、無線周波数、紫外線、マイクロ波などの電磁エネルギー、熱、超音波エネルギーなどの音エネルギー等、およびこれらの組み合わせを含み得る。
【0188】
たとえば、ステップ300で、赤外線「IR」ランプ17または類似のエネルギー源17により、熱が提供される。パッチ10の接着部材の活性化を、接着部材の一部のみが活性化されてパッチ10をキャリア表面に結合するように制御することができる。
【0189】
接着部材を有するパッチ10または部材10を、エネルギー源に近接して位置決めすることができ、かつ/あるいは、接着部材の一部のみが活性化されるように、供給源からのエネルギーを制御することができる。例示的な例として、パッチ10の接着部材が選択的に加熱されて接着部材の一部のみを活性化するように、IRランプからのエネルギーを制御することができる。
【0190】
特定の例では、接着部材のパッチ10の中心線に対応する一部のみが活性化されるように、IRランプからのエネルギーを制御することができる。場合によっては、パッチ10の中心線ならびに中心線の両側の約2.5mmに対応する領域を活性化することができ、この場合活性化される領域の幅は約5.0mmである。パッチの活性化は、約20mmの幅にわたって行われる場合もある。たとえば、例示的な例では、中心線の両側の活性化領域は、両方向に10mm延在し得る。
【0191】
パッチおよび/または部材の、幾何学形状、選択される材料、および/または機能性に基づいて、活性化される領域の位置、幅、長さ、および/または形状は異なり得る。特に、パッチおよび/または部材によっては、パッチの全領域に対応する活性化される領域を有し得る。代わりの例では、活性化される領域は、パッチおよび/または部材の一部とすることができる。場合によっては、パッチおよび/または部材の活性化される領域は、接合に利用できるパッチの表面の約50パーセント未満に対応し得る。場合によっては、活性化される領域は、接合に利用できるパッチおよび/または部材の表面積の、約25パーセント未満の領域に対応し得る。特定の例では、活性化される領域は、キャリア表面との接合に利用できるパッチおよび/または部材の表面積の、約10%未満であり得る。
【0192】
たとえば、活性化される領域は、パッチの長さに沿って約25mm未満の幅を有し得る。活性化される領域の幅は、約15mm未満であり得る。場合によっては、活性化される領域は、約10mm未満の幅を有し得る。場合によっては、パッチの活性化される領域は、約5mm未満の幅を有し得る。
【0193】
パッチの接着部材の活性化の領域を、パッチの幾何学形状に基づいて制御することができる。
【0194】
場合によっては、部材、特にパッチに関して、活性化の領域は、キャリア表面との最初の接触の点に対応し得る。たとえば、活性化領域はパッチの中心線および/または中心点に対応する場合があり、これを次いでキャリア表面との最初の接触の点として用いることができる。
【0195】
場合によっては、エネルギー源に近接したパッチ10の位置決めを、接着部材の外側層だけが活性化されてパッチ10または部材をキャリア表面に結合するように制御することができる。
【0196】
パッチ10を次いで、二次元または三次元のキャリア表面20上に設けることができる。ステップ400aで、平坦の表面(たとえば作業台)、平坦の基材(たとえばニット材料または中底)の形態の二次元キャリア表面20が例示されている。ステップ400bは、3Dフォーム(たとえば靴型)などの、三次元キャリア表面20を例示する。パッチ配置の工程を、複数のパッチ10に対して所望に応じて繰り返すことができる。
【0197】
パッチ10がキャリア表面20上に設けられた後で、ステップ500aおよび500bにおいて、可撓性膜25、たとえば延伸可能なシリコーン外皮の使用を通して、任意選択の結合が行われる。可撓性膜25を、キャリア表面20、たとえば靴アッパーの外形に従うように形状形成することができる。たとえば、靴型上で形成される3D靴アッパーに関して、可撓性膜25は、靴型20の外郭に実質的に従うことができる。本発明の工程が、剛性のオーバーモールド、剛性の雌型部材、または剛性の上側部分を必要としないことに留意することが重要である。
【0198】
場合によっては、剛性の上側部分を用いて、靴アッパー、パンツ、ショーツ、シャツ、ブラジャー、および/またはスエットシャツなどの平坦のまたは2Dの物品上に、パッチを固着することができる。例示的な例として、
図7に示すように、結合工程中にアッパー上のパッチ10に熱および圧力を提供するために、剛性のプレート68を用いることができる。
【0199】
図8a〜
図8cは、結合ステップ500a/500bのための3つの選択肢を例示する。
図8aでは、フレーム上の実質的に平面のシリコーン外皮25が、可撓性膜として用いられる。可撓性膜25は、複数の予め配列されたパッチ10上に設けられ、そしてこれらのパッチは、二次元キャリア表面を形成するアッパー20の上に配列される。
図8bでは、上記のような予め成型されたシリコーン外皮25が用いられ、パッチを施されたアッパー20、すなわち予め配列されたパッチ10を有する靴アッパーの上に設けられる。
【0200】
図8cは、さらなる選択肢、すなわち、パッチ10の上に設けられて可撓性膜と同様の様式で働く加熱されたオイルブラダー25の使用を例示する。
【0201】
図8a〜
図8cは、部材が上に配置される高温のテーブル22による、結合されたパッチ10および可撓性膜25の任意選択の加熱も例示する。パッチ10上に熱溶融性の層を用いることは、このシナリオにおける1つの選択肢であるが、これは、速いサイクル時間、溢れ出しのない容易な適用、および均質な熱溶融の分布を可能にするからである。他の熱の供給源も可能である。結合をさらに改善するために、
図8a〜
図8bにおいてテーブル22から下を指す矢印によって示されるように、結合された材料からテーブル22を通して空気を抜くことによって、真空を作り出すことができる。
【0202】
図9に示すように、パッチを施す工程の例示的な例が描写されている。
図9において見られるように、ステップ400では、パッチ10が、切断装置(図示せず)によってスプール5または材料のシート(図示せず)から切り出され、キャリア表面22上に設けられる。たとえば、キャリア表面22は、布帛から作成されるベルト、たとえば靴アッパーにおいて用いられる布帛から作成されるベルト、靴アッパー、繊維品要素、中底、靴型、等であってよい。
【0203】
異なる種類のパッチ10を同時に提供するために、複数の材料のスプール5、複数の材料のシート、および/またはパッチ10を提供することも考えられる。パッチ10は次いで、ステップ200において把持装置15によって個々に拾い上げられ、パッチ10の接着性成分が、ステップ300において活性化される。接着部材を、エネルギーを用いて活性化することができる。接着部材および/またはパッチ10を活性化するために用いられるエネルギーは、限定するものではないが、赤外線、無線周波数、紫外線、マイクロ波などの電磁エネルギー、熱、超音波エネルギーなどの音エネルギー等、およびこれらの組み合わせを含み得る。
【0204】
たとえば、
図9に示すステップ300において、赤外線「IR」ランプ17または類似のエネルギー源17により、熱が提供される。接着部材を別個に提供することもできる。パッチ10を次いで、二次元キャリア表面22上に設けることができる。ステップ400で、平坦の表面(たとえば作業台)、平坦の基材(たとえばニット材料または中底)の形態の二次元キャリア表面22が例示されている。
【0205】
パッチ10がキャリア表面22上に設けられた後で、ステップ500において、可撓性膜25、たとえば延伸可能なシリコーン外皮の使用を通して、任意選択の結合が行われる。
図9に示すように、可撓性の構成部材25を、剛性の構成部材68に結合することができる。剛性の構成部材68を用いて、可撓性の構成部材25を移動させて結合を生じさせることができる。
【0206】
場合によっては、選択された材料、パッチの数、材料の厚さ、物品上のパッチの位置、および/または物品の使用に基づいて熱および/または圧力を適用するために、結合中の圧力および/または熱の適用を、量および時間枠の両方において制御することができる。
【0207】
結合は、40℃から240℃までの範囲の温度で行うことができる。さらに、いくつかの構築物を、55℃から200℃までの範囲の温度で結合することができる。加えて、80℃から180℃までの範囲にわたる温度で結合が行われる構造物が存在し得る。本明細書に記載の温度は、初期の膜の温度とすることができる。
【0208】
結合中の圧力を、圧力が1バールから10バールまでの範囲内となるように制御することができる。場合によっては、結合中の圧力を、1.1バールから4バールの間の範囲内に制御することができる。さらに、結合中の圧力を、約1.5バールから約2バールまでの範囲内に制御することができる。たとえば、たとえばテープで作成された特に薄いパッチ、180℃で1.5〜2バールを60〜90秒間などのより少ない時間および圧力を、適用することができる。
【0209】
結合される層の数も、接合に必要な時間に影響を与える。たとえば、例示的な例では、約180℃の初期温度を有する膜を使用して、パッチの4つの層が連結された。さらに、別の例では、パッチの5つの層の180℃での接合が、約90秒の結合後に完了した。
【0210】
キャリア表面または物品上に材料のパッチを施すことは、キャリア表面、別のパッチ、および/または部材などの対象の表面にパッチを結合する他の方法も含み得る。
図10に示すように、キャリア表面22を選択し搬送装置30上に配置することのできる、パッチを施す工程の一部の例示的な例が描写されている。パッチ材料を、上記のようにスプール上で供給し切断すること、予め切断すること、または平坦のシート上で提供し切り出すことができる。示されるように、キャリア表面22、この場合基材、および/または搬送装置30を、荷電装置70を用いて静電帯電させることができる。パッチ10を、基材72上に設けることができる。基材72の静電荷によって、パッチ10を基材72に「結合」することができる。この静電結合により、基材およびパッチを、基材上でのパッチの位置を変えることなく移動させることが可能になり得る。場合によっては、パッチを施された構造を、本明細書に記載の方法を用いて結合することができる。
【0211】
場合によっては、静電帯電は、静電荷を作り出すために必要とされる電圧を供給する高電圧発生器および電極を含む、静電荷電システムを用いてもたらされる。構成および/または形状を特定の用途に関して最適化することを可能にする手法で、荷電電極を設計することができる。
図10に示すように、電極70を、接地された搬送装置30の上方にまたはこれに対向して設けることができる。静電場の適用後、基材は、接地されたキャリアの表面に一時的に固定または接合されることになる。さらに、基材上に追加の部片を位置決めし、静電荷を用いて固定することができる。
図10に示すように、パッチ10を基材72上に設け、このことにより基材に結合することができる。したがって、パッチが滑ることも位置を変えることもない。場合によっては、基材との完全な接触を可能にし静電荷を分散させるのを助ける、帯電防止性のフォーム材料を用いることができる。
【0212】
図11は、静電気力を用いて材料にパッチを施すさらなる例示的な例を描写している。特に、搬送装置30上にキャリア表面22が設けられる。描写されるように、キャリア表面22は、基材72であってよい。電極74および人工的な接地76(たとえば仮想の接地、帯電防止バー)を含む荷電装置を用いて、キャリア表面22および搬送装置30を帯電させる。このことにより、キャリア表面22上に設けられたパッチ10の位置決めおよび結合が可能となる。場合によっては、静電接着を用いて、複数のパッチを位置決めおよび結合することができる。帯電防止バーはこの場合、接地として働く。本明細書に記載の結合工程を用いて、最終の固定を行うことができる。
【0213】
場合によっては、最終の物品を、結合工程に先立って、その間に、またはその後で、放電する必要がある場合がある。
【0214】
図12は、パッチ10を回収している把持具15を示す。この事例では、キャリア表面22は、基材72および搬送装置の両方として働く材料とすることができる。パッチ10を選択し位置決めするために、把持具を使用することができる。さらに、電極74、74’により電荷が送達されている間にパッチ10を基材72上に設ける。このことにより、パッチをたとえば、キャリア表面、たとえばアッパーの基材72の外部表面または内部表面の両方上に設けることができる。
【0215】
静電接着を用いてパッチを位置決めし基材および/またはキャリア表面に結合することにより、工程中のステップを削除することによって物品の構築のためのサイクル時間を低減することができる。さらにこのことは、いくつかの事例において、パッチをアッパーの両表面上に位置決めするための可撓性を可能にする。
【0216】
物品にパッチを施すことは、パッチを位置決めしキャリア表面または基材に結合するための本明細書に記載の1または2以上の方法を組み合わせることを含み得る。場合によっては、静電帯電を用いてパッチを施すことを、活性化されたパッチの使用を含むパッチを施す工程と、組み合わせることが望ましい場合がある。たとえば、基材を静電帯電させることができ、静電帯電を用いてパッチを設けることができる。パッチの接着部材の活性化を用いて、追加のパッチを設けることができる。そのような構成は、たとえば基材がキャリア表面および搬送装置の両方として働いている繊維品のベルトであるときに、有用であり得る。そのような構成は、基材の両側にパッチを設け結合させることを可能にし得る。さらに、そのような構成は、利用されるいくつかの材料および/または構築物が、キャリア表面または別の表面への静電帯電を用いた結合に寄与しない場合に対象となり得る。
【0217】
キャリア、たとえば基材または3Dフォーム上にパッチ10を位置決めした後で、結合工程を用いてパッチ10を接合または固定することができる。
【0218】
パッチ10が基材上に設けられた後で、可撓性膜、たとえば延伸可能なシリコーン外皮の使用を通して、任意選択の結合ステップが行われ得る。
図13に示すように、可撓性の構成部材25を、剛性の構成部材78に結合することができる。剛性の構成部材78を用いて、可撓性の構成部材25を移動させて結合を生じさせることができる。可撓性の構成部材25が結合用の材料の形状へと実質的に形成されるように、区画80を加圧することができる。さらに、選択された材料に基づいて、結合工程中に所定の長さの時間の間にパッチに所定の圧力が適用されるように、区画80における圧力を制御することができる。場合によっては、可撓性の構成部材25を介して、パッチ10に熱を提供することができる。他の場合には、剛性の構成部材78は、パッチに熱を提供してこれらを結合することができる。さらに、場合によっては、キャリア表面を通しておよび/またはこれによって、熱を提供することができる。
【0219】
パッチ材料を、上記のようにスプール上で供給し切断すること、予め切断すること、または平坦のシート上で提供し切り出すことができる。
【0220】
図14は、パッチを結合するために用いることのできるさらなる結合方法500の例示的な例を描写している。特に、複数の可撓性の構成部材25a、25bを用いることができる。可撓性の構成部材25bを、これがパッチ10に接触するように位置決めすることができる。場合によっては、可撓性の構成部材25bは、これが熱および/または圧力を用いて適用されるとき、パッチ10にテクスチャを提供することができる。結合構造82を、可撓性の構成部材25bが交換可能となるように構築することができる。このことにより、交換可能な異なる可撓性の構成部材25b上のテクスチャを施されたパターンに関して、様々な構成が可能となる。可撓性の構成部材25aは、可撓性の構成部材25b、パッチ10、および繊維品として示されているキャリア表面22に、熱および/または圧力を提供することができる。代わりに、加圧区画80によって可撓性の構成部材25aを用いて圧力を適用することができ、またキャリア17によって熱を提供することができる。
【0221】
図15は、パッチまたは要素の切断、キャリア表面22上への、特に3Dフォーム上に位置決めされたアッパー102上への配置および結合を含む、パッチを施す工程を描写している。
図15では、靴型84が3Dフォームとして示されている。ステップ100、200、および300に関する工程は、
図6において描写された2D工程のものと実質的に同様である。場合によっては、3Dフォーム上に材料を位置決めするように、把持具を適合することができる。例示的な例として、靴などの3dフォーム上に材料を位置決めするために用いられる把持具15は、より大きい厚さを有するフォーム要素を有することができ、このことにより、靴型84に接触したときにフォーム要素が、把持具15の他の部分がアッパー102および/またはパッチ10に接触可能とすることなく変形できるようにする。
【0222】
上記の例示的な例では、キャリア表面22、特に三次元キャリア表面は、靴型、作業フォーム上に持ち込まれる基材、またはこれらの組み合わせなどの、作業フォームを備え得る。
【0223】
示されるように、結合ステップ500は、キャリア表面22を結合構造82内に位置決めすることを含み得る。
【0224】
図16において描写されるように、結合構造は、可撓性の構成部材25を含む。区画80を加圧して、可撓性の構成部材25に圧力を適用することができる。可撓性の構成部材25を、多くの個々の部品から構築することができるか、または場合によっては一続きの部品とすることができる。ように、可撓性の構成部材25によってパッチ10および/またはキャリア表面22に所定の圧力が適用されるように、区画80内の圧力を制御することができる。区画80において熱を適用することによって、パッチ10およびキャリア表面22に熱を適用することができる。特定の時間にわたる熱および/または圧力の適用を、温度、圧力、および時間の値が材料および/または構築物の所定の値に一致するように制御することができる。代わりの実施形態では、可撓性膜を用いてパッチおよび/またはキャリアに熱を適用することができる。パッチを結合するために、パッチにエネルギーまたは熱を送達する任意の方法を用いることができる。たとえば、結合のための熱および/またはエネルギーを提供するために、電磁エネルギー、放射エネルギー、たとえば赤外線エネルギー、熱エネルギー、超音波、対流、およびこれらの組み合わせを用いることができる。
【0225】
可撓性の構成部材25が結合用の材料の形状へと実質的に形成されるように、区画80を加圧することができる。さらに、選択された材料に基づいて、結合工程中に所定の長さの時間の間にパッチに所定の圧力が適用されるように、区画80における圧力を制御することができる。場合によっては、可撓性の構成部材を用いてパッチに熱を提供することができる。他の場合には、結合構造82の一部がパッチに熱を提供して、これらを結合させることができる。さらに、場合によっては、キャリア表面を通しておよび/またはこれによって、熱を提供することができる。たとえば、加熱された靴型によって、複数のパッチの少なくとも一部に熱を提供することができる。
【0226】
さらに、コンベヤ上のベルトとして可撓性膜を提供することができる。たとえば、可撓性膜を、結合工程同士の間で回転させることができる。この場合、各結合工程を、可撓性膜の「新しい」部分から開始することができる。場合によっては、コンベヤ上の可撓性膜は、可撓性膜の異なる部分上では異なる表面処理を有することができ、結合工程中に異なる表面処理の適用を可能にする。
【0227】
本明細書に記載の方法のうちいずれかを用いた結合は、複数ステップの工程であり得る。例示的な例として、第1の結合工程を、温度100℃、圧力2バールで、60秒間行うことができる。第2の結合を、同じ2バールの圧力および60秒の時間枠であるが、より高い温度で、たとえば約180℃の温度で、行うことができる。時間、圧力、および温度、ならびに結合ステップの数を含め、結合条件は、構造、ならびに物品において用いられる材料に依存する。
【0228】
図17は、材料からパッチを切り出すための方法を例示する。特に、材料がパッチ10へと切断された後で過剰な材料を除去するための工程。見られるように、材料は最初に第1のスプール5から巻きを解かれ、たとえばレーザ7を用いてパッチ10へと切断され、コンベヤベルト12から過剰な材料86が自動化された手法で除去される。位置決め装置27は、材料の切断中にこれに圧力を適用する、移動可能な部分である。切断が行われた後で、位置決め装置27は移動して、パッチ10から過剰な材料86を分離し除去することを可能にし得る。場合によっては、過剰な材料を別のスプール(図示せず)上に巻き付けて、追加の工程および/またはリサイクルを可能にし得る。
【0229】
本発明のさらなる態様では、複数の部材を提供するステップは、スプール、ベルト、トレイ、および/または積み重ねから、搬送装置上へと材料を提供するステップ、切断装置を用いて材料から複数の部材を切り出すステップ、および自動化された手法で搬送装置から過剰な材料を除去するステップを含み得る。たとえば、第1のスプールを用いて材料を提供し、切断装置を用いて材料から複数の部材を切り出し、好ましくは第2のスプールを用いることにより過剰な材料を除去することによって、材料を処理することができる。切り出し後の過剰な材料の自動的な除去をもたらすことになる、そのような「スプールからスプールへの」工程は、完全にまたは少なくとも部分的に自動化することができ、この結果、かなりの効率改善がもたらされる。本発明の実施形態によるスプール工程は、自動的に除去可能な層同士の間の接着を回避するためのキャリア層も特徴とする。
【0230】
図18に示すように、複数ステップの工程を用いてパッチ10を切断することができる。たとえば、処理中の材料88からパッチ10を部分的に切り出すことができる。次いで過剰な材料90を除去することができる。次いで追加の切断を行って、材料88からパッチ10を作成することができる。過剰な材料90’を除去することができる。場合によっては、過剰な材料を、コンベヤシステム、たとえばスプール工程を用いて除去することができる。いくつかの代わりの実施形態では、材料からパッチを除去し、存在する場合過剰な材料を切断後に搬送装置上に残すことができる。
【0231】
場合によっては、切断装置を用いて、パッチに切り欠き、刻設パターン(たとえばサイプ、装飾的なデザイン、ロゴ、商標)を設けることができる。たとえば、
図2fにおいて描写される開口部を、材料を除去するためのレーザ光源を用いて切断工程中に作成することができる。位置特定システムを用いて、変更に先立ってパッチまたは部材の場所を判定することができる。そのような位置特定システムは、視覚システム、圧力、光透過率に基づいて位置を識別するシステム、または当技術分野で知られている任意の他の位置決めシステムであってよい。
【0232】
図19は、本発明の実施形態において使用するための好ましい把持装置15を例示する。把持装置15は、モジュール式に配列可能な複数の個々の把持具15aを備える。このようにして、あらゆる種類のパッチ10を、それらの組成、材料、および形状に関係なく、容易にかつ高い信頼性で処理することが可能である。
図19の実施形態では、当技術分野で知られているいわゆる「コアンダグリッパー」が採用されている。コアンダグリッパーは、コアンダ効果の原理を利用しており、これは、ジェット流が付近の表面に引き寄せられ、表面が初期のジェットの方向から離れるように湾曲しているときでさえも引き寄せられたままとなる現象である。自由な環境においては、流体のジェットは、ノズルから流れ出ていく際に、その周囲の事物を取り込みそれらと混合する。各把持具15aをアダプタプレート15b上に装着することにより、複数の把持具15aを柔軟に配列して所望の把持装置15を形成することが可能である。好ましくは各把持具15aは、装置がパッチ10を拾い上げ配置するのを可能にするための、可撓性のフォーム要素15cをさらに備える。
図19は、可撓性のフォーム要素の下に、熱からフォームを保護するために用いることのできる、シリコーン膜15dも示している。加えて、空気流を分散するために、シリコーン膜に穿孔することができる。
【0233】
場合によっては、把持装置の可撓性のフォーム要素は、パッチを搬送可能な表面、ならびに様々な材料から制作された部分を提供する。たとえば、可撓性のフォーム要素を有する把持装置は、不規則な形状および/または通気性の異なる材料を有する部品および/またはパッチを、拾い上げ可能である。
【0234】
可撓性のフォーム要素を、特定の使用のために形状形成することができる。可撓性のフォーム要素の構成は、部材の幾何学形状および/または材料、キャリア表面、接着剤の種類、等に応じて異なり得る。たとえば、フォーム要素を、フォーム要素が部材(たとえばパッチ、構造要素、外底部材、中底要素、クロージャ機構、電気部材、センサ、機械部材、等)と係合する点の近くで、および/または部材が最初にキャリア表面に接触する点の近くで、より厚くすることができる。たとえば、フォーム要素を実質的に半円形の要素とすることができ、この要素は、この半円形のフォーム要素の頂点が部材またはパッチに関する係合点に対応し、その場合に、パッチが設けられるとき、パッチとキャリア表面との間の最初の接触の点が、パッチの中心線または中心点に対応するように構築される。
【0235】
位置決めされることになる材料に応じ、場合によっては、把持装置上で剛性のプレートを用いることが有益である場合がある。
【0236】
工程の様々な部分に関する様々な特性に基づいて、把持具を選択することもできる。移動されることになる材料、ならびに所望の適用圧力、エネルギー(たとえば熱)の提供、位置決めの所望の正確度、等を、パッチまたは部材などの材料をその物品上の位置へと送達するための把持具を選択する際に、全て考慮に入れることができる。
【0237】
把持具は、限定するものではないが、摩擦を利用する把持具、たとえばクランプ把持具、真空把持具(たとえば平坦の真空把持具、ベルヌーイグリッパー、コアンダグリッパーなど)、静電気力を利用するもの、たとえば電気接着把持具、接着力を利用するもの、たとえば接着フィルムを用いる把持具などの接着性把持具、機械的な適合を利用するもの、たとえばニードルグリッパー、および/またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0238】
例示的な例として、電気接着把持具を用いることもできる。特に、電気接着把持具は、2D要素に対して用いることができる。3Dキャリア表面の形状に従う修正された電気接着把持具の構築により、3Dの物品、特に靴上にパッチを設けるための把持具の使用が可能となり得る。
【0239】
図23aは、上記のパッチ配置方法を実行可能な機器の、例示的な例を例示する。
図23bは、三次元キャリア表面を採用することによるいわゆる「3Dセル」の、様々なコンポーネントを例示する斜視図である。見られるように、この機器は6軸ロボット36を備え、これに予め配列された基材を有する靴型20が接続される。2つのスプール5から材料が展開され、レーザカッター7を用いてパッチへと切断される(
図9bにおいて拾い上げ領域34内に示されるパッチを参照)。
図23aに示すように、工程の拾い上げ部分中に、視覚システム30を用いて部材、パッチなどを識別することができる。
【0240】
代わりに、視覚システム、レーザスキャナ、レーザ光学スキャンシステム、機械式ゲージ、設計ファイルに基づいて生成される座標系、コンピュータ支援設計ソフトウェア(「CAD」)などのソフトウェアと組み合わせた当技術分野で知られている任意の方法、および/またはこれらの組み合わせを用いて、部品、たとえばパッチまたは部材を、拾い上げ工程および/またはパッチ工程中に識別し配置することができる。
【0241】
機器は、部品の拾い上げおよび位置決めが可能な4軸ロボット32をさらに備える。したがって、ロボット32は、拾い上げ領域34から個々のパッチ10を拾い上げ、IRランプアレイ17を用いてこれらを活性化し、これらを靴型20上に設ける。
【0242】
個々のパッチ10を配置するために、設計ファイルから生成されるアッパーのパターンに基づく座標系を用いることができ、これは本明細書において
図76に示すように記載されている。この座標系は、構造のあらゆる層に対して設定される。たとえば、アッパーの場合、基材ならびに全てのパッチ材料に対して。ゼロ点XXは、材料のための把持箇所を規定し得る、境界ボックスの中心に対応し得る。場合によっては、X軸を、テープ送給方向として規定することができる。場合によっては、このロボットは、部品、特にパッチまたは部材を位置決めすることのできる、視覚システムをさらに備えることができる。
【0243】
別法として、同じ結果を達成するために、当技術分野で知られている任意のロボット、または複数のロボットの組み合わせを用いることができる。たとえば、7軸ロボットを用いることができる。他のシナリオでは、同様の結果を達成するために、より低い自由度を有するロボットを複数組み合わせて利用することができる。
【0244】
図23aに戻ると、本発明による方法の実施形態を実行するための機器の例示の実施形態が、さらに記載される。見られるように、既に上でより詳しく記載した生産セルは、1つの実施形態では、機器の動作を外側から観察できるように、少なくとも部分的に透明な容器内に配列される。本実施形態では、容器の壁は、ガラスまたはプレキシグラスまたは他の透明な材料を含み得る。
【0245】
図23cは、二次元キャリア表面上でのパッチ配置工程の実施形態を実行している機器の上面図である。見られるように、上記の機器と同様に、
図23cの機器も、材料のスプール5、レーザカッター7、拾い上げ領域34、および4軸ロボット32を備える。ただし靴型20の代わりに、
図23cの機器は、平坦のキャリア表面、すなわちベース繊維品20上にパッチ10を設ける上でより詳しく記載したような、部材を結合する役割を果たすフレーム上に装着された可撓性膜25も示されている。
【0246】
図23dは、三次元キャリア表面上でのパッチ配置工程の実施形態を実行している別の機器の上面図である。ここでも機器は、材料のスプール5、レーザカッター7、拾い上げ領域34、および4軸ロボット32を備える。さらに、機器は、靴型マガジン38から靴型20を拾い上げ可能な6軸ロボット36を備え、これは次いでキャリア表面20として使用される。上でより詳しく記載したような、予め形状形成された可撓性膜25、ならびに人である操作者40も示されている。
【0247】
結合に先立っておよび/またはその後で、「パッチを施された部分」に追加の要素を加えることができる。そのような要素は、その場で生産される部材、生産ラインで生産される部材、および/または予め構築された部材を含み得る。これらの要素は、成形によって形成される部材(たとえばヒールカウンタ、ケージ、支持構造)、外底部材(たとえばスタッド、ラグ、外底要素)、穴補強部材、クロージャ機構(たとえば靴ひも、靴ひもを締める構造)、構造要素(たとえチューブ、バンド)、および/または「パッチを施された部分」として有用な他の部材を含み得る。
【0248】
図20は、本発明による、自動化されたコンピュータ支援の製造方法の実施形態を例示する。見られるように、最初にステップ600で、製造される運動用具の設計仕様が、設計ファイル、たとえばCADファイル、特にDXF、ASCII、または当技術分野で知られている任意の他のフォーマットの形態で提供される。
【0249】
各物品モデル、たとえば靴モデルに対して、設計ファイルが制作される。設計ファイルは一般に、靴の設計者によって制作されることになる。設計ファイルは、特定の靴設計に関する全ての可能な組み合わせを提示する。たとえば、設計ファイルは、靴サイズ、構造、パッチサイズ、部材サイズ、パッチ、部材等のような部品を位置決めするための座標など、およびこれらの組み合わせのような、靴に関する仕様を含み得る。
【0250】
設計ファイルは好ましくは、構築されることになる物品の多くのまたは全ての要素を規定できる、多層のファイルである。例示的な例として、
図24は、靴のDXFファイルを描写している。ファイル中の各層は、靴をより特定的に規定する。靴を、モデル名、物品番号などとして規定することができる。当技術分野で用いられる標準サイズの寸法に従って、サイズを既定することができる。側は、それがどちらの靴であるか、すなわち左または右を指すことができる。
【0251】
図25は、DXFファイル中のレベルのより詳細な図を描写している。各靴は、様々なレベルまたは部材、たとえば基材、パッチ1、パッチ2、等によって規定される。靴の各部材部分には、
図26に示すような、座標系、ならびに(
図76に示すような)境界ボックス、形状、および/またはロゴなどを割り当てることができる。
【0252】
設計ファイル中に含まれる設計仕様は好ましくは、設計層あたり1つの部材、および経時的な組立順序に関連する層構造を含む。ステップ700で、次いでソフトウェアプログラムにより、CADファイルが生産計画へと翻訳される。
図20では、生産計画が、数字を付された組み立てられることになる個々の靴部材(すなわち外底、アッパー、第1の種類のパッチ10、および第2の種類のパッチ10)によって反映されている。特に、組立順序は、ソフトウェアによって自動的に規定することができる。生産計画は、ステップ800で、以下でさらに記載するロボット、視覚システム等に自動的に指示を与えるためにも用いることができる。
【0253】
たとえば、Adobe Illustrator、Maya、Modo、Rhino、CAD、または当技術分野で知られている任意の他の設計ソフトウェアなどの、二次元および/または三次元設計ソフトウェアを用いて、設計者が靴のための設計を開発することができる。
【0254】
場合によっては、変換器ソフトウェアを用いて、設計ファイルを幾何学形状ファイルに変換することができる。変換器ソフトウェアは、適正な位置決めを保証するために、パッチ長さ、配向を判定することができる。変換器ソフトウェアにより、視覚および/または位置決めシステムの使用を可能にするのを支援することができる。たとえば、変換器ソフトウェアとして、Halconなどの視覚ソフトウェアを用いることができる。DXFファイルから使用可能なフォーマットへとデータを変換するために、ソフトウェアを用いることができる。たとえば、DXFファイルに保存されたデータを用いて、識別パターンを制作し、パッチを施されることになる物品上でこれらを再現することができる。幾何学形状ファイルにより、パッチを用いる構造および位置決めの観点で靴を規定できる。
【0255】
物品を生産するためのアルゴリズムの例示的な例が、特に材料の2D配置を用いる靴に関して、
図27に示されている。設計ファイル92は、複数のサイズにわたる靴モデルに関する仕様を含む、DXFファイルとすることができる。幾何学形状ファイルは、変換器ソフトウェア96を用いて、幾何学形状ファイル94に変換される。幾何学形状ファイルから導出された情報、材料データベース98、およびジョブファイル146が、制御部148(たとえば機械制御部)に提供される。制御部148は、物品の生産のために必要な様々なシステムを制御する。たとえば、材料取得150(たとえば材料が保管されている場所)、材料送達152(たとえば材料の展開、保管場所から必要とされる場所への材料の送達)、処理154(たとえば切断)、追跡156(たとえば視覚システム)、位置決めシステム158(たとえばロボット)、または当技術分野で知られている他のシステム。特に、制御部148は、情報、命令、および/またはクエリを、パッチを施された靴の構築に関連するシステムのいずれかに送ることができる。
【0256】
場合によっては、機械制御部は、ジョブファイル(たとえば設計データ)から受信された標的の情報を、実際のデータと比較する。この種のデータは、カメラシステムなどの、機械制御部によって制御されるセンサユニットによって収集されることになる。パッチ、部材、キャリア表面(たとえば靴型もしくはアッパー)、または部品の組み合わせの位置に関連する実際のデータを収集するために、位置を判定できる任意のセンサユニット(視覚、圧力等)を用いることができる。比較結果は、アッパーのパターンの周縁の組立手法を修正するために用いられることになり、この結果、パッチを施す工程全体を通して生じている可能性のあるどのような歪みまたは変形にも対応して、続くパッチが正確に配置されるのを保証するための、より完全で正確な幾何学形状ファイル94を実現する。
【0257】
図28に示すようなさらなる例示的な例は、材料データベース98からデータを抽出して制御部148に情報を提供する、ジョブファイル146を示している。さらに、幾何学形状ファイル94および/またはジョブファイル146は、靴を完全に規定するための情報を制御部に提供して、たとえば幾何学形状情報、3d情報、ならびに色および/または材料の仕様を含む靴の完全な記述を提供して、制御部がパッチ工程の様々な要素に指示できるようにすることができる。制御部148からの情報を、材料(たとえば材料の展開および切断)、拾い上げ(たとえばパッチの回収)、活性化、配置、および結合などの、
図28において描写されるようなパッチ工程の様々なステップに関与する様々な機械要素または制御部に提供することができる。
【0258】
幾何学形状ファイル、ジョブファイル、および/または材料データベースは、限定するものではないがDXFファイル、XMLファイル、テキストファイルなどのテキストベースのもの、ドキュメント、スプレッドシート、データベース、または当技術分野で知られている任意のシステムを含む、1または2以上のファイルとすることができる。
【0259】
ジョブファイルは、任意の関係者、たとえば設計者、顧客、使用者、コーチ、または靴などの物品をカスタマイズすることに関心のある任意の人が制作できる。ジョブファイルは、テキストベースのインターフェース、たとえばテキストファイル、スプレッドシート、ワードプロセッシング文書、ヒューマンインターフェース装置、コンピュータ、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、ポインティングスティック、タッチパッド、トラックボール、ジョイスティック等などのグラフィカルユーザインターフェース、投影技術(たとえば仮想プロジェクター、仮想キーボード、仮想スクリーン、ヘッドアップディスプレイ)、仮想現実装置、および/またはこれらの組み合わせなどの、ユーザインターフェースを用いて制作することができる。
【0260】
ジョブファイルを構築するとき利用可能な使用者にとっての選択肢は、これらを制作するために用いられるシステム、特に、システム内で利用可能な設計ファイル、ならびにシステム内で指定される材料、ジョブファイルを制作するために用いられる設計ファイルおよび/または材料データベースによって、限定される場合がある。
【0261】
ジョブファイルの制作中に、使用者は、たとえば特定のモデル、サイズ、材料、色、ラベル、部材、デザイン要素、等を選択するように、指示を受ける場合がある。たとえば、使用者は、靴をそれらの仕様に基づいて設計するために、自宅で、店舗で、スタジアムで、テールゲートパーティーにおいて、等で、コンピュータインターフェースを利用することができる。
【0262】
使用者は、スタイル、安定性要素、ヒールカウンタ、先芯、外底、滑り止め、静止摩擦要素、延伸可能性要素、剛直性要素、クッション要素などの部材、サイズ、材料、色、等から選択して、所望の物品を形成可能であり得る。
【0263】
図29〜
図30において描写されるように、ジョブファイルに保存された使用者選択を用いて、そのジョブファイルに含まれる選択に対応するデータを、幾何学形状ファイルおよび材料データベースから取得することができる。
【0264】
材料データベースは、1または2以上の設計または設計ファイルにおいて使用を企図される様々な材料に関する様々な処理パラメータを含む。材料データベース中に見出される値は、仕様シートからのものとすることができるが、ただし、一部は各材料に関して手動で検査され入力され得る。たとえば、パッチ材料をレーザ切断するのに必要とされる特定のレーザに基づく温度および時間の長さを決定し、後の時点で参照するために材料データベースに入力することができる。データベース中の材料を、それらが有する形状(たとえばテープ、箔、紐等)、材料の種類(たとえばキーコードを割り当てることができる)、色、厚さ、幅、等によって識別することができる。この材料IDを用いることで、材料データベースからそれぞれの処理条件を取得することが可能となる。
【0265】
図29に示すように、物品において用いられる材料に、ジョブファイルならびに幾何学形状ファイルの両方を用いて生成される、材料IDを割り当てることができる。この材料IDは、たとえば、形状、材料、色、厚さ、幅、等を含み得る。この材料IDを、その材料に関する処理条件を決定するために、
図27〜
図33に示す材料データベースに提供することができる。たとえば、材料データベース98は、レーザ切断(たとえば出力、速度、サイクル、焦点位置)、赤外線加熱(たとえば出力、継続時間、距離等)、結合(たとえば温度、圧力、継続時間等)、および/または物品を制作するために必要とされる任意の他の処理に関する情報を含み得る。
【0266】
材料データベースはたとえば、たとえば材料の展開、材料のレーザ切断、視覚システムを用いた材料の識別、ロボットを用いた材料の配置を行うときの、様々な材料に関する処理パラメータ、ならびに、物品の構築中の選択された材料の取り扱いに関連する様々な他の処理パラメータに関連する情報を提供する。材料データベース中の情報は、場合によっては、靴の構築においてたとえば溶接、切断、位置決め、結合、等の最中に用いられる条件と類似の条件下での、材料の手動の検査の結果であり得る。
【0267】
例示的な例として、
図31は、レーザ切断、赤外線加熱、および結合などの工程を列挙している。レーザ切断のような処理に関して、材料データベースは、対象の材料に特定されたレーザに関する、レーザの出力、レーザの速度、サイクルの数、焦点位置に関連する情報を提供することが可能であろう。赤外線溶接などの適用に関して、材料データベースは、赤外線源により供給されるべき出力、その出力を供給すべき継続時間、活性化されることになる材料から赤外線源が配置されるべき距離、サイクルの数、活性化されるべき材料の面積、赤外線源からのエネルギーをどの程度集束させるべきか、および/またはIR加熱に関連のある他のデータなどの、処理条件を提供することが可能であろう。さらに、材料データベースは、指定された材料の結合を行うために必要であり得る温度、継続時間、圧力、サイクルの数の概要を示すことができる。
【0268】
図32は、ファイル(たとえば設計ファイル92、幾何学形状ファイル94、ジョブファイル146、材料データベース98、変換器ソフトウェア96、制御部148、およびパッチ配置工程を実施するために用いられるシステム)間の相互作用の、より掘り下げた図を描写している。例示的な例として、制御部148が送達し得る個々の命令が、そのような命令を受信し得るシステムによって配列されて示されている。たとえば、展開ユニットおよび/またはベルトコンベヤなどの搬送装置は、材料を展開し、ベルトコンベヤを動かし、材料のずれを計算し、切断し、ベルトコンベヤを動かし、テープを所定の場所に搬送するための、命令160を受信することができる。識別システムは、示すようなパッチの拾い上げおよびパッチの配置のための視覚システムを含むことができ、また、限定するものではないがパッチを見つけパッチを拾い上げる(たとえば把持する)ための命令を含む、命令162を受信することができる。識別システム、またはより具体的には視覚システムによって収集された、拾い上げおよび配置のための情報は部分的に、示すようなフィードバックループを介して変換器ソフトウェアに提供される。この情報は、場合によっては、フィードバック166として変換器ソフトウェアに到達するのに先立って、制御部によってルーティングおよび/または処理される。さらに、キャリアおよび/またはコンベヤへの命令164は、たとえば、キャリアをある位置に移動させる、キャリアを特定の高さまで上昇させる、基材を見つける、等のための命令を含み得る。命令164の結果に関連するフィードバック166を、変換器ソフトウェアに提供することもできる。
【0269】
こうして、構造に関連するものを含め、設計される任意の物品のカスタマイズが可能となり得る。たとえば、顧客は、オンラインツール、アプリケーション(「アプリ」)、店舗ベースのカスタマイズツール、および/またはこれらの組み合わせなどの、カスタマイズツールにアクセス可能であり得る。物品の設計に基づいて、指定されるべき複数の変数が、顧客インターフェースにより提示される。特に、
図30は、使用者のためのカスタマイズされた靴の制作のための工程を描写している。システム使用者は、オンラインツール170を用いて靴に関する特定の要素を指定することができ、こうしてジョブファイルが制作される。
図30に示すように、使用者は、モデル、サイズ、左または右、および各靴において必要とされる要素を選択することができる。使用者指定データを用いて、ジョブファイル146、たとえばcustomer.csvのようなファイルが制作される。
【0270】
例示的な例として、所望であれば、コーチ、監督、および/またはトレーナなどの個人が、チーム用の複数の靴の発注に関するデータを、たとえばデータベースまたはスプレッドシートからジョブファイルに入力して、複数の靴にわたって設計は同様のままで、プレイするポジション、矯正上の考慮事項、身体要件など、および/またはこれらの組み合わせに関して、選手の個々の必要に合わせて靴を調節可能とすることを保証できる。
【0271】
この手法で、チームは、たとえば運動用具の物品、たとえば靴、ユニフォーム、ヘッドギア、防護具に関して、外見を均一にしつつ、依然として選手、ランナー、スイマー、ライダー、スキーヤー等の個々の必要を考慮することができる。
【0272】
場合によっては、特に靴に関して、使用者の有するもしくは経験する条件もしくは問題、および/または使用者の足のスキャンに基づいて、選択を行うことができる。たとえば、任意の所与の靴に関して、一般的な足および/または装具の問題、たとえば扁平足、中足骨痛、過回内、過回外、ハンマートウ、靴ずれ、腱膜瘤、まめ、たこ、踵骨骨棘、クロートウおよびマレットトウ、内反趾爪、足底筋膜炎、等に対する、既定の解決法が存在し得る。
【0273】
したがって、場合によっては、身体部位、たとえば足のスキャンを用いて、部材または設計を使用者に合わせることができる。スキャンは、その場で行うことができるか、または外部の供給源から提供される。
【0274】
加えて、場合によっては、医師、理学療法士、作業療法士、および/またはトレーナの入力に基づいて、運動者の条件および/または制約を用いて物品用の部材、構造、および/またはパッチを決定して、運動者のための材料、構造、および/またはデザインの最良の選択を行うことができる。
【0275】
特に靴設計に関して、設計者は、3D設計アプリケーションを用いて、靴のデジタルの靴型を規定するために既定の3Dデジタル表面を利用して、設計を制作することができる。場合によっては、このアプリケーションにおいて描かれた線を用いて、材料、たとえばパッチの切断を指示すること、材料および/または他の部品を配置することができる。たとえば、設計者は、設計線を用いて部品を仮想的に制作する。3D設計ソフトウェアにより、靴および/またはそこで用いられる材料の仮想表示を制作することができる。3D設計プログラムによって、設計ファイルおよび/またはジョブファイルを自動的に生成することができる。ジョブファイルを用いて、様々なロボット、デジタル装置、機械装置、および/またはこれらの組み合わせに、靴を生成するように命令することができる。
【0276】
場合によっては、靴などの運動用具および/またはこの靴の要素を構築し、次いでこれらを用いて、パッチを施された物体を生産するようにシステムに命令することができる。たとえば、通常では、ベース靴形状は、靴の設計者、作成者、またはスタイリストによって従来の技法を用いて供給され得るか、または業界でのそれ以外の標準的な形状であり得る。靴および/または靴要素に関連するデータを、部品の形状、サイズ、および/または構成について、デジタル形態で収集することができる。
【0277】
たとえば、ベース靴形状の表面が、その表面の各点の空間座標xB、yB、およびzBを得るために、正確に3−Dスキャンされる。これらの座標は、視覚システム、レーザスキャナ、レーザ光学スキャンシステム、機械式ゲージ、またはコンピュータ支援設計ソフトウェア(「CAD」)などのソフトウェアと組み合わせた当技術分野で知られている任意の方法を用いて収集することができる。
【0278】
たとえば、機械式ゲージを、ベース靴形状の実際の表面にわたって、靴形状の形状を正確に再構築することを可能にする経路に沿って、通過させることができる。このゲージは本質的には、CADシミュレーションプログラムが実行されるコンピュータによって制御される、機械的な種類のゲージである。
【0279】
ベース靴形状はしたがってデジタル化される、または正確には、3D CADデータ収集技法を用いて、デジタルフォーマットで再構築される。いずれの場合にも、このデータ収集ステップの結果得られるのは、3D CAD環境において分析可能なデータファイルである。デジタル形態で再構築されたものとしての、ベース靴形状の表面を、CADプログラムにより修整することができる。
【0280】
さらに、CAD処理のためにデジタルフォーマットで既に利用可能であるベース靴形状などの運動用具の形状も、用いることができる。たとえば、そのような靴形状についてのデータを、前記コンピュータ手段に接続されるかまたはこれと関連付けられる保存ユニットから取得することができる。別法として、このデータを、外部メモリまたはバルクメモリから、たとえばデータベースから、取得することができる。
【0281】
図33に示すように、たとえば幾何学形状情報、3d情報、ならびに色および/または材料の仕様を含む靴の完全な記述を提供して、靴を完全に規定するために、設計ファイル92からの情報を、材料データベース98またはジョブファイルからの情報と組み合わせることができる。
【0282】
図33は、材料の3D配置を用いて物品、特に靴を生産するためのアルゴリズムの、例示的な例を描写している。特に、
図33は、材料を配置するための視覚システムなしで動作するシステムを描写している。設計ファイル92はDXFファイルであり、XMLファイルなどの制御ファイル172と組み合わせて用いることができる。設計ファイルは、複数のサイズにわたる靴モデルに関する仕様を含む。設計ファイルを、Halconなどの変換ソフトウェア96を用いて幾何学形状ファイルに変換することができる。制御ファイル(たとえばXMLファイル)をプロセッサ154を用いて変換して、靴を構築する処理のシミュレーションを計算の確認として用いる、ポイントクラウド178を生成することができる。ポイントクラウド178は、靴などの物品上にパッチおよび/または部材を位置決めするためのロボットの場所を識別する。
【0283】
設計ファイル92および制御ファイル172から導出された情報、たとえば幾何学形状ファイル94およびポイントクラウド178を用いて、機械データベース176を制作することができる。機械データベース176、材料データベース98、およびジョブファイル146からの情報が、機械制御部148に提供される。機械制御部148は、物品の生産のために必要な様々なシステムを制御する。たとえば、材料取得150(たとえば材料が保管されている場所)、材料送達152(たとえば材料の展開、保管場所から必要とされる場所への材料の送達)、処理154(たとえば切断)、追跡156(たとえば視覚システム)、位置決めシステム158(たとえばロボット)、および/または当技術分野で知られている他のシステム。
【0284】
例示的な例として、ポイントクラウドは、2つのロボット、特にパッチ配置を可能にするために6軸ロボットおよび水平多関節ロボット(「SCARA」ロボット)が出会う場所を指定することができる。たとえば、生成されるファイルは、3D標的点を含み得る。パッチあたり2つの点(すなわちSCARAロボットに関して1つの標的点、および6軸ロボットに関して1つの標的点)。場合によっては、1つのロボットの座標系に関連させて、標的点を記録することができる。たとえば、SCARAロボットに関する標的点を、6軸ロボットの座標系に関連させて書き込むことができる。ポイントクラウドが正確であることを保証するために、各サイズ、設計、および/または靴のシミュレーションを行うことができる。制御部148は、ロボットが標的点へとどのように移動するかを制御する。制御部148によって展開される軌道を、シミュレーションソフトウェアを用いて確認することができる。
【0285】
場合によっては、視覚システムに接続されたプロセッサを利用することを利用して、材料の適切な切断および/または配置を保証することができる。たとえば、プロセッサ上の変換ソフトウェアは、幾何学形状ファイル、たとえばDXFファイルを解釈して、パッチおよび/または部材を制作および/または配置することができる。パッチの制作および/または配置には、ジョブファイルおよび材料データベースの両方からの/またはいずれかからの、追加の情報が必要となる場合がある。
【0286】
たとえば、物品を構築するためにどんな動作を行わなければならないかを決定するために、1または2以上のロボットが、変換されたファイルからのデータを利用することができる。特に、ロボットは、パッチを作成するためにどの材料を切断すべきか、パッチの幾何学形状、どこに把持具コンポーネントを移動させるべきか、特定の部品を拾い上げるためにどのくらいの量の真空を用いるべきか、どの材料を拾い上げるべきか、材料の場所、どこに材料を載置すべきか、等に関連する情報を導出することができる。さらに、変換器ソフトウェアにおいて提供されるデータを用いて、パッチ材料および/または他の部材を切断するための切断装置を制御することができる。場合によっては、切断装置は、レーザカッターとなろう。切断装置の他の例は、限定するものではないが、レーザ切断、抜き型、プラズマ切断、ウォータージェット切断、ナイフ、等を含む。
【0287】
部品の位置特定、識別、および/または位置決めを行うために、識別システムを用いることができる。たとえば、識別システムは、機械視覚および/またはコンピュータ視覚、レーザスキャナ等を利用するシステムなどの、視覚システムを含み得る。部品の位置特定、識別、および/または位置決めのために利用される方法は、限定するものではないが、スティッチング(すなわち隣接する2Dまたは3D画像を組み合わせること)、フィルタリング(たとえば形態的フィルタリング)、二値化、画素カウント、セグメンテーション(すなわち複数のセグメントへとデジタル画像を区間化して、画像の表示をより意味がありより分析が容易なものへと単純化または変更すること)、インペインティング、エッジ検出、色分析、ブロブの発見および操作(すなわち画像を検査して、画像の目標物としての接続された画素の離散したブロブを探すこと)、ニューラルネット処理(重み付けされた自己訓練型の多変数判定処理)、テンプレートマッチングを含むパターン認識、バーコード読み取り、光学式文字認識、ゲージングまたは計量学(すなわち(たとえば画素、幾何学座標、インチ、もしくはミリメートルでの)物体寸法の測定)、「合格もしくは不合格」または「継続/中止」という結果を決定するための標的値との比較、当技術分野で知られている任意の方法、ならびに/あるいはこれらの組み合わせを含み得る。
【0288】
特定の実施形態では、ソフトウェアは、
図21に概略的に例示するようなパターン認識を採用する。このことにより、
図21の左半分に示されるように、操作者が、適用されるべきパッチ10の外郭を、(たとえばカメラ30および物理的な部品10を用いて、またはCADファイルをアップロードすることによって)製造システムに教えることが可能になる。加えて、
図21の右半分において示すように、生産中、システムは、部分的に歪んだ部品/パッチ10でさえ適正に認識できる。見られるように、この目的のために、コンベヤ12上のパッチ10を識別する1または2以上のカメラを備える視覚システム30を用いることができる。この文脈では、
図22a〜
図22cは、様々なサイズおよび形状のパッチ10のパターン認識のために用いられる、グラフィカルユーザインターフェースを例示する。
【0289】
一般に、本発明のパッチ10は、たとえば
図34において例示するような、様々な形状で構築することができる。また、本明細書において規定されるような、デザイン、品質、有用性(たとえば補強、通気性、耐久性、使い易さ)、またはこれらの組み合わせを含む様々な理由で選択可能な、様々な材料が考えられる。
【0290】
場合によっては、
図22b〜
図22cに示すように、大きな部品をより小さい下位グループに細分して、識別性を改善することができる。したがって、より良好な識別のために、部材を4分の1部分または切片へと細分することができる。このことにより、部品の多様性に関わらず、より容易な識別が可能となり得る。次いでパッチを、4分の1部分または切片に対して、基準点、4分の1部分、および/または切片からずらして設けることができる。部品の識別は、たとえば、4分の1部分、切片、および/または一部分の外郭または輪郭を、所定の値と照合することに基づくことができる。
【0291】
パッチ10の特定の組み合わせを用いることにより、運動用具に、装飾特性(独自の外見、単純な、汎用性のある、特別な効果のテープ、自動工程の可視化、および/または次のレベルのカスタマイズの提示)、補強特性(局所的な剛直化、可撓性領域、層化による特性変更、特別な補強テープ、および/または性能カスタマイズ)、ならびに組立特性(真の3Dのアッパー、繊維品パッチワークアッパーに関する、「2Dの遠回り(2D detour)」のない切断効率、および/または工具組立のための底部上の熱溶融性のテープ)などの、所定の特性を提供できる。
図35に例が例示されている。
【0292】
さらに、様々なサイズのパッチを用いて、区画毎の微調整を実現できる。
【0293】
たとえば、
図35において描写された靴は、エンジニアリングによる実質的に一体型のアッパーを形成するための、パッチの様々な構成を示す。パッチにおいて用いられる材料およびパッチの幾何学形状を、設計の所定の要件を満たすように選択することができる。限定するものではないが、強度重量比、特定の方向における強度、可撓性、グリップ、通気性、反射性、等を含む様々な特性の観点において、ある材料が、他の材料よりも優れている場合がある。
【0294】
したがって、いくつかの高性能のスポーツ用履物および競技用履物に関して、高い強度重量比を有する材料を選択することが有用である場合がある。たとえば、軽量のトラックシューズ、高性能の登山靴、および/または他の軽量の靴を設計するとき、設計の所定の要件が、高い強度重量比を有するパッチ材料を要求する場合がある。対照的に、足のさらなる安定性または保護を必要とする靴は、そのような材料を用いることができるが、高い強度の材料も必要とする場合がある。
【0295】
さらに、たとえば、使用者の足のスキャンを用いて、靴のアッパー、中底、および/または外底の設計を調節して、使用者の足およびスポーツまたは用途の特定の必要に合わせてカスタマイズされる靴を制作することができる。この場合、足の幾何学形状を反映する、および/または靴をスポーツのために用いるときに使用者が有し得る問題を是正する手法で、パッチを設けることができる。
【0296】
履物の設計は、
図35に示すように、靴の設計者にある程度の設計の柔軟性を与える。たとえば、所定のパッチの位置決めを用いて重量を低減する特徴、エンジニアリングにより可撓性を実現すること、材料を剛直にまたは様々な異なる方向に追従するようにする能力、エンジニアリングにより荷重経路を実現すること、材料に関する所定の仕様を満たす材料から切り出された、複数の二次元または三次元の切断されたまたは形状形成されたカスタムパッチからアッパーを製造すること。さらに、パッチの使用および本明細書に記載の方法により、靴の組立中の縫製および/または単価作業での構築(piece work construction)が低減され、場合によっては排除される。
【0297】
パッチの様々な構成を用いて、延伸の制御、通気性、装具学、および/または、たとえば副木もしくはストラップなどの形態の足首支持具などの支持構造における性能を、エンジニアリングにより高めることが可能であり得る。
【0298】
たとえば、
図37、38、39、40おいて描写される靴アッパー構造102、602、702、802、902は、靴101、601、701、801、901のアッパーの踵領域内に機能区画を有するパッチを施された踵区画カウンタ714、814、914を含む。パッチを施されたヒールカウンタ714、814、914は、使用者の足の踵領域に追加の支持および/または剛性を提供するように構成される。
図42に示されるように、パッチを施されたヒールカウンタは、踵領域において重畳する構造を形成する、複数の重畳するパッチを含み得る。用いられるパッチを、パッチを施されたヒールカウンタが、厚さおよび/または安定性などの特定の所定の特性を有することを保証するように、選択することができる。
【0299】
パッチを施された踵構造の別の例示的な例が、
図48に示されている。踵の周囲にパッチ10が設けられ、基材72のない領域にわたって延在して、アッパー102においてさらなる通気性を生み出すと同時に、踵の周囲の重要な領域において安定性を提供する。
【0300】
図43〜
図44に示すように、アッパー上のグリッドのような構造内にパッチを位置決めすることによって、通気性機能部分188を制作することができる。グリッドのような構造は、部分的に重畳するパッチ、ならびに開口領域を含み得る。アッパーまたは衣服の物品上の特定の領域において、そのような通気性構造を用いることができる。たとえば、通気性機能部分188を、アッパー構造102の前足部内に位置決めすることができる。さらに、通気性機能部分を布帛部分に重ねて、この布帛部分が着用者の足に当接して留まるようにすることができる。そしてこの布帛部分は、通気性機能部分188の通気性の特徴をさらに高める材料から成ることができる。
【0301】
図44は、陸上競技用シューズの開発における様々な図を描写している。
図44aには、靴の設計上で、追加の支持構造の基礎をどこに置くべきかを示した設計図面が描写されている。
図44bは、構造内に部分的にしか基材を含まない、アッパー102の2D描写を示す。こうして、アッパー102の複数の部分が、パッチ10のみから形成される。たとえば、
図44bにおいて描写される先芯において、アッパーを制作するような手法でパッチが位置決めされる。前足部領域におけるパッチの位置により、パッチのみから構築されいくつかの領域では基材を有さない、通気性機能部分188が制作される。最後に、
図44dは、
図44bに示すアッパー102と同様のアッパーを用いているが全体に基材を有して構築された、代わりの型の靴を描写している。
【0302】
図35に示すように、様々な最終使用者および/または予め選択された特徴を有する靴の広い範囲にわたって、靴の構造的な「シャーシ」を利用することができる。たとえば、様々な用途のためにエンジニアリングされた特定の「シャーシ」を、外側の「スタイル」、美容要素、ならびに表面エンジニアリング(たとえばテクスチャおよびグリップ)と組み合わせることができる。この方法によって、見た目が似ておりかつ同様の表面特性を有するが非常に異なる「シャーシ調整」または構造レイアウトを有する靴を生産することが可能であり、このことを用いて、プラットフォーム間共通のブランド化された外見またはスタイルを維持することができる。たとえば、フットボール/サッカーシューズの表面を、特定のパッチの位置決めにより、そのシューズ上の区画の表面グリップを高めるようにエンジニアリングすることができる。
図35に示すように、本システムの様々な実施形態は、用途間で互換性がある、すなわち、単一のアッパー設計を、複数の最終使用の用途に適合可能である。
【0303】
コンピュータ解析(たとえば三次元有限要素解析など)および/または物理的試験を用いて、靴上の荷重経路を識別することができる。履物アッパーの様々な実施形態は、部材の限界荷重経路に沿ったパッチの配置を含む。これらの荷重経路は、様々なスポーツおよび物品種類にわたって異なる場合がある。したがって、用いる対象となり得る様々なスポーツに対して複数の設計を有する物品を、開発することができる。例示的な例として、あるベース設計をアメリカンフットボール、ラグビー、およびフットボール(すなわちサッカー)の全てのために用いることができるが、物品をあるスポーツ用に最適化するために、パッチおよび/または部材ならびにこれらの位置決めを変えることができる。
【0304】
アッパーのいくつかの区域は、たとえば着用者の足の関節可(articulation)に対応するための、より大きな追従性を提供するようにエンジニアリングされる。
【0305】
図36aは、所望の装飾特性を提供するパッチ組成の様々な例を例示する。たとえば、パッチは、一部透明なテープ、着色テープ、織物構造、天然材料、(たとえばデジタル印刷、スクリーン印刷、および/もしくは昇華印刷を用いる)印刷テープ、(たとえば穿孔を有する、エンボス加工された、および/もしくはレーザ加工された)構造化テープ、様々な切断(たとえば丸形、直線形)、様々な幅、ならびに/またはレーザエッチング用の多層テープから、選択することができる。
【0306】
図36bは、所定の補強特性を提供するパッチ組成の様々な例を例示する。1または2以上のテープ層の追加、テープ層の配向の変更、補強テープ(たとえば炭素繊維、ガラス繊維、および/もしくは超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)、たとえばダイニーマ繊維)、形態安定性または延伸性のための剛直なもしくは弾性のテープ、圧縮のために繊維切片に架橋するための弾性のテープ、および/またはレーザエッチング用の延伸の異なる多層のテープの使用が考えられる。また、例示されるように、たとえばヒールカウンタまたはフォームパディングを提供することができる。
【0307】
運動用具上で用いるための可撓性の様々な設計は、複数の材料層、たとえば一続きの表面層、および/もしくは繊維補強層、ならびに/または、個々のパッチのエンジニアリングされた配置構成を含み得る。
図12bにおいて描写されるように、パッチの複数の層を、様々な方向から発生する荷重に対処するように構成することができる。たとえば、複数のパッチの使用により、靴などのスポーツ物品に、多方向の荷重対処能力を付与することができる。
【0308】
いくつかのパッチ配置構成は、1または2以上のデザイン層を含み得る。パッチは、運動用具の表面層にテクスチャおよび/または色を提供することができる。たとえば、
図35〜
図36bに示すように、パッチは、靴に色および/またはテクスチャを提供することによって、靴のデザインを向上させることができる。
【0309】
図36cは、所定の組立特性を提供するパッチ構成の様々な例を例示する。たとえば、重畳するテープを用いて、繊維品の裏打ちのないアッパーを構築することができる。繊維品パッチを互いに連結して、無駄を低減すること、および場合によっては切断効率を最適化することができる。中底への連結を可能にするために、底部上に溶融性のパッチを設けることができる。溶融性のパッチを利用することにより、従来の靴の構築中に一般に必要とされる処理ステップの数を低減することができる。たとえば、液体糊を適用する追加のステップを必要としない工程を用いて、アッパーを中底に接続することができる。
【0310】
いずれの場合も、用いることのできる材料は、たとえば、ポリマー(たとえばTPU、ナイロン)、繊維品、植毛テープ、不織テープ、天然繊維、および/または皮革を含み得る。パッチ10同士の間の接着は、溶融性テープ材料、熱溶融性の裏打ち層、および/または熱溶融性のウェブによってもたらされ得る。
【0311】
さらに、本明細書に記載のパッチ構造により、継目の必要を低減、場合によっては排除することができる。したがって、靴設計の主要な荷重経路上の継目の必要の低減または排除を可能にすること。靴の荷重経路上のそのような継目を低減または排除することによって、これは特定の靴設計の強度を維持するのを助けることができ、このことはたとえば軽量の靴の設計にとって、有用であり得る。
【0312】
機器は好ましくは制御手段(図示せず)も備え、これは、示される機器を用いた複数の異なる靴の製造を容易にする。この制御手段は、製造される靴のうち1つの少なくとも1人の未来の着用者との対話を行うための、インターフェースも備え得る。このことにより、未来の着用者が、製造される靴を個々に自身の必要に適合させることができる。
【0313】
図37〜
図40は、靴を制作するために用いられるパッチ構成のさらなる例示的な例を描写している。示されるように、これらのパッチは、靴の特定の種類に関する所定の仕様に基づいて支持を提供するように位置決めされている。したがって、場合によっては、従来通り設けられた補強材料の手法と同様の手法で、パッチを位置決めすることができる。パッチの使用により、パッチの構成、たとえば用いられる材料のサイズおよび/または強度能力に応じて、支持要素のより精確な位置決めを可能にし得る。
【0314】
図37に示すように、靴アッパー602を、パッチのみから構築することができる。パッチ610は、描写されているようなパッチを施されたアッパーを制作するために、サイズ、材料、および/または配向が様々であり得る。パッチは、靴の構成に応じて部分的にまたは完全に重畳する。
図37は、靴600を形成するために用いられる、複数の重畳するパッチ610を描写している。
【0315】
材料は、靴に所定の特性を付与するために、靴内の区域によって様々であり得る。パッチを通して靴に付与される所定の特性は、耐摩耗性、耐水性、通気性、強度、可撓性、特定のスポーツにとって適正な位置に足を位置決めする能力、動いている間に筋肉を支持すること、等を含み得る。
【0316】
パッチおよび/または部材を、キャリア表面の両側に設けることができる。たとえば、アッパーの靴の内部に対応する側ならびに靴の外部に対応する側などの、2Dキャリア表面上に、パッチを設けることができる。例示的な例として、内部にクッション性のパッチを設けることができ、グリップを付与するパッチを外部表面上設けることができる。
【0317】
さらに、基材上に少なくとも1つの部材(またはパッチ)を適用するとき、基材を折り畳んでもよい。いくつかの実施形態では、基材を平坦面に形成するように適合された支持構造上に、三次元形状を有する弾性変形可能な基材が設けられる。そのような基材はたとえば、ソックスまたは三次元のソックス形状を有する靴アッパーであり得る。このことにより、基材上に平坦面を形成することによって、靴型などの主として丸みを帯びた凸状のおよび/または凹状の表面を有する複雑な三次元形状と比較して、基材上での部材の配置、一時的な固定、および/または結合が容易になる。
【0318】
いくつかの実施形態では、たとえば靴アッパーなどの弾性変形可能な基材は、二次元平坦面の靴型上に設けられるソックス形状を有し得る。そのような単純化された靴型を、その平坦面の細長い形状に基づいて、「ソード(sword)」と呼ぶ場合がある。そのようなソード上に設けられるソックスはしたがって、第1の外面および第2の反対側の外面を有する、平坦の構成である。加えて、ソードは、ソックスがソード上に適正に設けられることを保証するための視覚的指示物などの特徴を備え得る。これらの実施形態では基材上での部材の配置が単純化されるが、これは、三次元の基材が二次元形状をとり、したがって、基材上への接合の目的で部材を配置、固定、および結合するために、キャリア表面上に平坦状に敷設されるからである。第1の外面は靴の右側に対応することができ、第2の外面は靴の左側に対応することができる。
【0319】
図77に例示するように、ソックス内に「ソード」が挿入された後で(ステップ1を参照)、ソックスの第1の外面上に1または2以上の部材(またはパッチ)を設け、任意選択で結合させる(ステップ2を参照)ことができる。次いでソックスを裏返すことができ(ステップ3を参照)、ソックスの第2の外面上に1または2以上の部材(またはパッチ)を設けることができ、ここでも、任意選択の結合するステップ(ステップ4を参照)が続く。さらに、結合ステップは、部材(またはパッチ)がソックスの各側に設けられた後にのみ、行われてもよい。
【0320】
本発明の実施形態によるそのような方法では、キャリア表面(またはいくつかの実施形態ではソックス)を、2回以上裏返すことができる:
−第1のステップでは、キャリア表面の第1の面上に、第1の数の部材(またはパッチ)が設けられ、
−第2のステップでは、キャリア表面が裏返され、
−31のステップでは、キャリア表面の第2の面上に、第2の数の部材(またはパッチ)が設けられ、
−第4のステップでは、キャリア表面が裏返され、
−第5のステップでは、キャリア表面の第1の面上に、第3の数の部材(またはパッチ)が設けられる。
【0321】
本発明の実施形態によれば、追加の裏返すステップおよびキャリア表面上に部材を設けるステップが企図され得る。特に、そのような方法を実行するように適合された組立ラインは、キャリア表面をある側から別の側へと裏返すように適合された、裏返しユニットを備え得る。
【0322】
3Dキャリア表面上でのパッチおよび/または部材の配置は、内部表面上および外部表面上の両方で行うこともできる。たとえばパッチを、3D構築されたアッパーが靴型上に位置決めされているときに、このアッパーの外部表面上に設けることができる。アッパーを靴型から除去することができ、追加のパッチおよび/または部材を、アッパーの内部表面上に設けることができる。
【0323】
部材をキャリア表面に固着するために、または複数のキャリア表面を1つに固着するために、パッチを用いることができる。たとえば、キャリア表面が物品の長さに沿って様々な特性を有することが望まれる場合があるが、これには様々なキャリア表面が必要となる場合がある。これらの様々なキャリア表面を、パッチおよび/または部材を用いて互いに固着することができる。特に、キャリア表面を1つに結合するために、パッチを用いることができる。
【0324】
図41に示すように、靴アッパー構造の例示的な例は、二次元キャリア表面22上にパッチ10を設けること(パッチの2D適用)を含む。示されるように、複数のパッチ、ならびにテクスチャリングを、アッパー全体を通して様々な程度まで用いることができる。延伸可能性が望まれる領域は、より小さい厚さ、幅、および/または刻設を有するパッチを含み得る。さらなる安定性が望まれる領域は、
図38の踵区域714において示されるような、重畳するパッチを含む。
【0325】
加えて、
図5および
図41は、前足部において用いるための先芯要素180の例を提供し、これは、先芯要素180のいくつかの領域における様々な深さのサイプ64を含む刻設パターン66に起因して、先芯にわたって可変の延伸を提供する。
図41に示すように、いくつかの延伸領域182において延伸可能性を高めるために、パッチ上で様々な刻設パターン66を用いることができる。アッパーのいくつかの領域は、互いの上に位置決めされてこれらの安定性領域184において安定性を高める、複数のパッチ10を含み得る。
図41に示すような先芯要素180は、側方側よりも内方側でより大きな安定性を提供することができ、このことはいくつかの用途で望まれる場合がある。
【0326】
場合によっては、結果的な中間製品は、縫着されて3D構築物となる。靴の用途、靴に関する所望の特性(たとえば耐水性、通気性、支持力、等)、使用者の必要、および/または設計考慮事項に基づいて、パッチを設けることができる。
【0327】
代わりに、結果的な中間製品を靴型上に設け、最終形態へと成形することができる。
【0328】
場合によっては、パッチ上でのより小さい要素の堆積、印刷、位置決め等を通して、パッチ上にパターンを制作することができる。そのような有益な補強物を位置決めして、パッチおよび/または物品構造に特定の特性を提供することができる。たとえば、パッチ表面上での選択的な印刷、堆積、および/またはパッチ付与によって、パッチを剛直化させることができる。
【0329】
図38は基体708を有する靴700の例を示し、この基体708上には、この靴に特定の特性を付与するように、パッチ710が戦略的に設けられる。パッチの配置は単に、パッチの位置決めおよび/または固定を含む場合がある。固定は、摩擦嵌合、接着剤、静的な力等の結果であり得る。踵領域712におけるパッチ710は、これらが重畳してヒールカウンタ714を形成するように位置決めされる。中足部に支持を提供するために、中足部領域716においてパッチ710が用いられる。示されるように、パッチ710は、靴にわたって中足部領域716から踵領域712まで延在し得る。
【0330】
パッチを施されたアッパー802、およびソールプレート818上にスタッド822を含む外底を有する、フットボールシューズ(すなわちサッカー)800が、
図39に示されている。ソールプレート818は、ヒールカウンタ820も含む。靴上に、特にさらなる支持が必要な場所に、パッチが位置決めされる。たとえば、ヒールカウンタ820に近接してさらなる支持を生み出すようにパッチ810が位置決めされ、この結果パッチを施されたヒールカウンタ814が形成される。
【0331】
別法として、いくつかの実施形態は、従来の材料、ニット、織物材料、不織材料、皮革、合成材料などから作成されたアッパーを、中底および/または外底を形成するように設けられたパッチ/要素と組み合わせて利用することができる。
【0332】
図40に例示するように、バスケットボールシューズ900は、特定の構造要件を有する。靴900上のさらなる支持が必要な場所に、パッチ910が位置決めされる。たとえば、
図40に示すように、足首位置の周囲にパッチが位置決めされて、支持構造924が制作される。支持構造924は、足首および足にさらなる支持を提供し得る。バスケットボール、ならびに他の横への動きの多いスポーツ(lateral sports)(たとえばテニス、アメリカンフットボール、フットボール等)に関して、バンプ926の領域に近接しておよび/またはその中でさらなる支持を提供することが、特に有用である場合がある。描写されるように、少なくともいくつかのパッチ910が、アッパー902の一部を覆い、中底904まで延在する。バンプ926上にまたはこれに近接して位置決めされたパッチを、特定の耐摩耗性を有するように選択することができる。たとえば、内方側のバンプ部分は、使用中にかなりの摩耗を経験する場合があり、耐摩耗性の向上が必要となる場合がある。
【0333】
特定の場合には、
図45に示されるように、パッチ10は外底6まで延在し得る。そのような様式で位置決めされたパッチは、さらなる安定性、密着、および/または静止摩擦の利益を靴に提供し得る。たとえば、可撓部分を含むパッチは、約0.5mm未満のTPU層を有し得る。特に、可撓性を要する領域において、約0.3mmの厚さを有するTPUフィルムを用いることができる。対照的に、安定性を要する領域は、0.5mmよりも大きい厚さを有するパッチを有し得る。場合によっては、約0.7mmよりも大きい厚さを有するパッチを用いることができる。靴にさらなる静止摩擦を提供するパッチおよび/またはパッチの構造を、これらが中底の一部に係合するように位置決めすることができる。
図45において描写されるように、パッチ10は、アッパーから、中底を覆い、外底6の一部を覆って延在することができ、また、パッチ10の端部を覆う外底6’の別の部分を有し得る。
【0334】
図45において描写されるように、中底上にパッチ10を設けることができる。中底上に設けられたパッチを用いて、中底の特性を制御することができる。たとえば、中底の一部上にパッチを設けて、中底におけるせん断力を制御することができる。たとえば、多くの横への動きの多いスポーツに関して、パッチを中底上に選択的に設けて、せん断を低減することができる。
【0335】
中底上でパッチを利用することにより、足の安定性を高めることができる。たとえば、中底上のパッチは、足をより良好にロックすることができる。
【0336】
中底上に設けられたパッチは、損耗に対する保護を提供し得る。たとえば、パッチは、中底に摩耗および/または汚染耐性を与えることができる。
【0337】
場合によっては、所定の領域において曲げ剛性を高めるために、中底上にパッチを設けることができる。
【0338】
様々な要素に支持を提供する追加の構築物が、
図46〜
図47において描写されている。場合によっては、靴ひもに関する要素を補強するためにパッチを用いることができる。さらに、
図47において描写されるように、さらなる支持を必要とする靴の領域に沿って、パッチを位置決めすることができる。
図47において描写される靴101は、中足部区域およびバンプ区域において安定性を提供する。全てのパッチおよび配置を、本明細書に開示されるように、最終使用者の必要および要望を満たすようにカスタマイズすることができる。
【0339】
図49、
図50は、必要に応じて靴101に幅広く異なるレベルの安定性を付与することが可能な、パッチ10を描写している。たとえば、結節点12を有する場所は一般に、パッチが同じ材料および厚さのものであれば、細長い構成部材14を有する領域よりも大きい安定性を提供する。さらに、結節点12同士の間の距離は、アッパーの領域の全体的な安定性に影響を与えるであろう。たとえば、
図49に示すように、カラー区域190、穴区域194、および踵区域196の近くに結節点を集中させて、これらの領域にさらなる安定性を付与することができる。
図51は、安定性を高めるために結節点の集中している領域を示すために、一方側にパッチが描かれている、2Dアッパー102を描写している。
【0340】
さらに、場合によっては、靴に所望の特性を付与するために、アッパーは、アッパーの様々な部分において複数の基材を含み得る。パッチおよび/または部材を用いて、この複数の基材を接続することができる。
【0341】
図52において描写されるように、フットボールシューズ101は、異なる領域において異なる機能性を有するパッチ10を含む。たとえば、ボール接触率の高い領域において、靴全体にわたってグリップパッチ198を設けることができる。高いレベルで関与するおよび/または損耗する靴の領域において、耐摩耗性パッチ246が提供される。さらなる可撓性および/または延伸可能性を必要とする領域において、高可撓性パッチ248が提供される。安定性パッチ250が、使用者にさらなる安定性を提供すべき領域に、さらなる安定性を提供する。さらに、追加の機能性、たとえば防水性、補強、クッション性、絶縁、デザイン、等に対して、追加のパッチを提供することができる。
【0342】
場合によっては、材料、たとえば材料のシートまたは材料のロールから外底要素を切り出し、中底および/または外底の一部上に設けることができる。
図53に例示するように、展開ユニット1032を用いて、材料のロール1005から切断装置1007によって外底要素1028が切り出される。
図53に示すように、外底要素1028は把持装置1015によって搬送装置1030から拾い上げられ、たとえば赤外線源1017を用いて活性化される。たとえば、場合によっては、外底要素を、熱、接着剤、機械的な噛み合い、または当技術分野で知られている他の方法を用いて、ソール、中底、および/または外底に結合することができる。
【0343】
場合によっては、完全にシステムに合わせて形成され(fully formed into the system)中底および/またはアッパー上に設けられる、外底要素および/またはクッション要素を提供することができる。
図75に示す例示的な例は、活性化後アッパー102に直接結合させることのできる、予め成型されたクッション要素260を含む。これらのクッション要素を互いから独立するように位置決めして、これらの要素が、アッパーに接触する表面上でのみ別の表面に取り付けられるようにすることができる。示されるように、クッション要素260は、地面に接触することになる表面上に、外底要素62を含み得る。クッション要素は、中底として働き得る。クッション要素は、eTPUおよび/またはePEBAなどの発泡粒子フォーム、EVAを含む発泡フォーム、などを含み得る。
【0344】
外底要素を利用するいくつかの事例は、可融性の材料、熱溶融性の層、熱溶融性のウェブ、突出部、ねじ要素、および/また窪みなどの機械的要素を含む構成を有する、外底要素を含み得る。
【0345】
場合によっては、外底要素に、注文に応じた切断装置、たとえばレーザカッターによるテクスチャリング装置を用いて、テクスチャを施すことができる。代わりに、切断に先立ってまたはその後で、外底要素にテクスチャを施すことができる。他の場合には、外底要素を予め製作し、システムに提供することができる。
図54は、ソール、中底上に設けておよび/または外底に追加して、外底またはその一部を制作することのできる、外底要素1128を描写している。
図54に示すように、設けられることになる材料は、不規則な形状を含み得る。外底要素の構成を、靴の用途および/または着用者の必要に基づいて異ならせることができる。
【0346】
例示的な例として、
図55aおよび
図55bは、把持装置1215などの位置決め装置を用いて、靴1200上に外底要素1228、1229を位置決めすることを描写している。
図55に示すように、外底要素1228、1229は、実質的に平坦の要素であってよい。さらに、外底要素を、直接中底上に設けることができる。他の場合には、外底要素1229は、
図55bに示すようなスタッドとすることができる。
【0347】
場合によっては、外底要素は、クッション要素、ラグ、スタッド、滑り止め、爪のあるピン、またはへこんだ幾何学形状、等を含み得る。
【0348】
外底要素用の材料は、限定するものではないが、TPU、PA12等のような熱可塑性ポリマー、熱可塑性マトリックス材料などの複合材料、ゴム、たとえば少なくとも一方側に熱可塑性接着剤を有するゴム部材、および/またはこれらの組み合わせを含む。特定の場合には、外底要素を金属から構築することができる。
【0349】
外底要素は、
図55aに示すように平坦であってよい。場合によっては、外底要素を積層して、外底の高さを高くすることができる。たとえば、平坦の外底要素を、スタッドと組み合わせて、特定の区画において外底の高さを高くすることができる。
【0350】
パッチを用いて作成される靴を現行の生産において予め組み立てることができ、外底は注文に応じて、店舗でまたは販売場所の近くで適用される。
【0351】
図57〜
図59に示すように、外底からアッパー上まで延在する、パッチを施された様々な外底要素62を有する靴101が描写されている。
【0352】
図59に示すように、ボール接触率の高い領域において、靴全体にわたってグリップパッチ198を設けることができる。高いレベルで関与するおよび/または損耗する靴の領域において、耐摩耗性パッチ246が提供される。さらなる可撓性および/または延伸可能性を必要とする領域において、高可撓性パッチ248が提供される。安定性パッチ250が、使用者にさらなる安定性を提供すべき領域に、さらなる安定性を提供する。さらに、追加の機能性、たとえば防水性、補強、クッション性、絶縁、デザイン、等に対して、追加のパッチを提供することができる。
【0353】
場合によっては、アッパー、中底、および外底上にパッチを設けることができる。特に、テニス、バスケットボール等のような横方向の動きを含むスポーツに関して、
図12に示すように、靴の周囲を包むパッチによって、前足部区域におけるさらなる安定性を提供することができる。
【0354】
図56に例示するように、本明細書において描写されるような中底1304は、限定するものではないが、eTPUなどの粒子フォーム、EVA、PUなどの発泡ポリマー、固体ポリマー(たとえばPA12、TPU)、および/またはこれらの組み合わせを含む、任意の材料を含み得る。
図56に示すように、把持装置1315を用いて中底を位置決めすることもできる。
【0355】
図60〜
図73に示すように、衣服において支持を提供するために、パッチを用いることもできる。例示的な例として、
図60〜
図61は、シャツ1440およびブラジャー1542の例を示す。ブラジャーのさらなる例が、
図62〜
図64に示されている。様々な例において見られるように、繊維品1444、1544、1644、1744、1844上のパッチ1410、1510、1610、1710、1810は、着用者の必要に応じて異なる場合があるが、これは、支持力、快適さ、通気性等の必要性が異なる多くの異なる形状が、人に関して存在するからである。
【0356】
さらに、衣服に特性を付与するためにパッチを用いることができる。たとえば、複数のパッチを含むパッチ構造を積層して、衣服の物品に所定の領域において所望の特性を付与することができる。
図3b〜
図3tは、設計者または使用者のいずれか選択した特性を物品に付与することのできる、多層化されたパッチを描写している。そのようなパッチによって影響を受ける可能性のある特性には、通気性、絶縁性、安定性、クッション性、風防護、水防護、デザイン、反射性、等が含まれる。
【0357】
図65〜
図73は、衣服の物品上のパッチを施された構成の、様々な例を描写している。
図71および
図72に示すように、対象の筋肉群に対応するようにパッチ10を設けることができる。
【0358】
図73は、腕の関節化(articulation)を可能にする、袖におけるパッチ構成を描写している。このようにして、特定の方向における動きを促進しつつ他方向における動きを限定するパッチを設けることができる。
【0359】
たとえば、運動者から受信したデータ、観察データ、および/またはスキャンデータに基づいて衣服上にパッチを設けて、対象のスポーツの要求に基づいて運動者のフォームを向上させることができる。場合によっては、これは、たとえば野球、テニス、野球、またはゴルフにおいて、スポーツ特有の動きが促進されるように、パッチの非対称な位置決めを要する場合がある。
【0360】
さらに、負傷などの弱点に関する使用者情報を用いて、たとえば関節を取り囲む、追加の支持が必要とされ得る、衣服の物品上の領域を識別することができる。たとえば
図71に示すように、膝区域の周囲の補強により、膝にさらなる支持を提供することができる。
【0361】
上記の方法を、靴、衣服、ラケット、スティック、ボール、およびバットなどの運動用具を、使用者/着用者の必要を満たすようにカスタマイズするための方策として利用することもできる。
【0362】
靴および衣料の場合、靴または衣料品を制作するために使用者から収集された情報は、限定するものではないが、使用者によって直接入力されたおよび/またはデータベースに保存された情報を含む。対象の使用者データは、限定するものではないが、たとえばデータベースに保存された、使用者によって入力された、使用者または店員などの別の人によって取られた測定値などのサイズ決め情報、3Dスキャン、およびこれらの組み合わせを含み得る。使用者は、靴または衣料品を制作するために、何らかの手法で生産機器に接続するコンピュータ、携帯電話等のような処理装置に、この情報を入力するかまたはこの情報が入力されるようにすることができる。
【0363】
加えて、使用者は、システムおよび/または人の操作者が使用者の必要に基づいて構成を提案することを可能にするために、好ましい装着感、活動、負傷、経験される痛みに関連するデータを入力するよう求められることがある。こうして、顧客は好適な靴モデル、衣服の物品、または好適なパッチ構成についての助言を求めることができ、かつ/または顧客は、所望の靴モデルまたは衣料の物品を、個人的に設計することができる。
【0364】
ラケット、スティック、ボール、およびバットなどの運動用具の生産のために、同様の情報を入力することができる。加えて、プレイするポジション、打率、スイングの型、等に関連する情報を入力することが望ましい場合がある。この情報を上述の使用者特有のデータと組み合わせたものは、使用者特有の運動用具の生産を可能にする。
【0365】
図74は、キャリア上に位置決めされた一連のパッチ、この場合ボールの繊維品層を制作するためのボールの空気袋または構造要素からボールを制作する能力の、例示的な例を描写している。さらに、場合によっては、パッチ付与を用いて、ボールのカーカスもしくは構造要素、フォーム層、および/または外側層を制作することができる。
【0366】
パッチおよび/または部材を設けるためにこの方法を用いて構築される物品は、位置決めの正確度に関して、小さい公差を有し得る。実施形態によっては、様々なパッチ、部材、および/または基材間で約1mm未満である、パッチの位置決めに関する公差を有し得る。場合によっては、パッチに関する約0.5mm未満の位置決め公差を有して動作することが可能であり得る。さらに、例示的な例として、0.1mmの公差内のパッチの正確な位置決めを示すアッパーが生産されている。特に、第1のパッチ上の刻設部分を第2のパッチ上の刻設部分と整列させて、外見および/または物理的効果が一貫していることを保証することが可能である。たとえば、開口部を有するパッチを、多層の構成において整列させて、これらの開口部が、開口部が材料を通して延在するのを可能にするような様式で、互いの上方に位置決めされるようにすることができる。
【0367】
そのような配置の方法を用いることにより、物品を組み立てるのに必要とされる生産ステップを減らすことによって、材料の劣化を低減することもできる。たとえば、従来通り構築された靴アッパーは、アッパーを構築するのに熱および圧力を必要とする処理工程を複数用いる場合があるが、一方、本明細書に記載の配置の方法では、材料の初期の配置および/または結合の後で、1回の結合を用いて、アッパーおよびその部材を固定することができる。ステップの数ならびに適用される熱を低減することによって、アッパーの製造中のアッパー上のパッチおよび/または部材の劣化の可能性が低減される。
【0368】
本明細書に記載の配置方法は、従来の構築方法と比較したときに、廃棄の大きな低減をさらに提供し得る。低減は、材料のより正確な配置および切断にも生じ得る。さらに、本明細書に記載の配置の方法を用いるとき、液体接着剤のようないくつかの材料の必要性が、劇的に低減される。
【0369】
上記の方法を、移動式販売スタンドにおいても利用することができ、この移動式販売スタンドは、本発明による方法の例示の実施形態を実行するための1または2以上の機器を備える。さらに、相談スタンドを提供することができ、ここでは、顧客が好適な靴モデルについての助言を求めることができるか、または顧客が、所望の靴モデルまたは衣料の物品を個人的に設計することができる。所望の靴モデルの設計後、生産機器は、上記のような制御手段を介して、たとえば顧客によって設計された靴モデルを製造するように促され得る。
【0370】
移動式販売スタンドを、たとえば見本市、大きなイベント、スポーツイベント、等で用いることができる。たとえば、移動式スタンドを運動イベントにおいて配置することができ、そのスポーツに特有の設計が規定され、顧客によるカスタマイズのために利用可能とされる。物品の構築のために、移動式販売スタンドにおいて、場所、イベントなどに特有の設計要素を利用可能であり得る。たとえば、顧客は、イベントをテーマにした設計を選択し、自身の特定の使用および/または自身の解剖学的構造に合わせて修正することが可能であり得る。場合によっては、イベント中に物品を生産し、イベント後に顧客が受け取ることができる。こうして、当日試合に参加している、マラソンを走っている、スキーをしているなどの顧客が、帰り際に移動式販売スタンドに立ち寄り、使えるようになった自身の物品、たとえば衣服、靴、ボール、等を受け取ることが、可能となるであろう。
【0371】
場合によっては、顧客が自身の選択物を前もってカスタマイズすることが可能であり得、顧客が自身の物品を移動式販売スタンドで受け取ることが可能になる。
【0372】
ただし、移動式販売スタンドがデパート内に設けられることも考えられる。さらに、本発明による方法の例示の実施形態を実行するための機器を備える、販売室の実施形態も考えられる。
【0373】
最後に、上で説明した製造方法に関する実施形態を、ビジネスのシナリオにおいて用いることもでき、この場合、顧客自身が運動用具を設計し、設計された品物に関する注文を行う。たとえば顧客は、設計工程のためにおよび続く商取引のために、製造者または販売者のウェブサイト上で提供されるグラフィカルユーザインターフェースを用いることができる。顧客の入力の結果得られる設計データは次いで、上で説明したような製造機器、たとえば上述の少なくとも部分的に透明な容器に提供される。次いで機器が、個人的に選択された顧客の設計データ基づいて、上記の方法を用いて運動用具を生産する。
【0374】
どの特定の機器が用いられるかに関わらず、生産工程はカメラで記録することができ、また場合によっては、インターネットまたはソーシャルネットワークを用いて、顧客にまたは任意の他の受取人にさえ、通信して返すことができる。いくつかの実施形態では、顧客は、自身の個人化された運動用具の生産を「リアルタイムで」見ることさえできる場合があり、このことは、独自の顧客経験につながり、かつ/または、生産されているときの結果的な品物の設計が自身の期待に沿わない場合に顧客が介入することさえ可能にするであろう。
【0375】
本発明の進歩性を備えた発想による方法の例示の実施形態およびこの発想の態様を、ここで
図78に関連して記載する。一般に、本発明による運動用具を製造するための方法は、スポーツシューズ、(サッカーボール、バスケットボール、バレーボール、等のような)ボール、スポーツバッグ、衣料、衣服、等のような、運動用具を製造するのに好適である。この方法は、靴アッパー、ボール用のパネル、バッグの本体、衣料の部品(たとえば袖)、等のような、上述の運動用具の部品を製造するのにも有用である。
【0376】
方法は、基層22を選択するステップ(a.)を含む。
図78の例では、この基層は、織布またはニットなどの繊維品層であってよい。ただしこれは、不織布、皮革、等のような、異なる材料のものであってもよい。たとえば、基層は、スポーツシューズ用の編まれたアッパーであってよい。
図78に示すように、基層22は、基層22のための支持構造を形成するキャリア18上に設けられる。
【0377】
方法は、少なくとも部分的に溶融性である層を備える、薄い部材10を選択するステップ(b.)をさらに含む。
図78の例では、3つのそのような部材が示され、参照符号10で表示されている。
図78の例では、部材10は、パッチの形状を有する。
【0378】
本発明によれば、任意の数(たとえば1つ、2つ、または3つ以上)の部材を同時に処理することができ、また部材10は、任意の形状を有し得る。本発明の文脈では、薄い部材は、厚さがその長さおよびその幅よりも小さい部材として理解される。特に、熱溶融性の層を含めた結合前の薄い部材の総厚さは、10マイクロメートルから5ミリメートルの間で、より特定的には150マイクロメートルから750マイクロメートルの間で、たとえば約300マイクロメートルで、構成され得る。足の強固な支持を必要とするいくつかの特定の用途では、比較的高い値、たとえばバスケットボールシューズに関して700ミクロンを有する、薄い部材の厚さを選ぶことができる。
【0379】
部材10はたとえば、2つの異なる層を有するポリマーパッチとすることができる。底部層、すなわち続く方法ステップにおいて基層に面する層は、少なくとも部分的に溶融性である層とすることができる。頂部層は、たとえばヒールカウンタなどの可視層であってよい。薄い部材10は、約100マイクロメートルの溶融性層および約300マイクロメートルの頂部層を、特に備える。溶融性層は、可視層よりも低い温度で熱により活性化(すなわち軟化または溶融)される。こうして、部材10が以下でより詳細に記載されるように結合されるとき、溶融性層により、基層との可視層の接合が保証される。薄い層10はたとえば、ポリウレタンまたは熱可塑性ポリウレタンから作成することができるが、一般には、少なくとも外側(底部)の溶融性層を有する、任意の種類の材料から作成することができる。
【0380】
底部層および可視層(前記底部層は基層、たとえば熱溶融性の層などと接合されるように適合される)を少なくとも備える薄い部材に関して、底部層のおよび可視層の材料を、特に多くの部材が互いの上に少なくとも部分的に重ねられる場合に、本発明による結合方法に関して最適化することができる。部材の積層中の各部材の熱溶融性物質が事前結合ステップ中におよびより特別には結合ステップ中に溶融することを保証するためには、熱溶融性物質の溶融する温度の範囲と部材のその他の層の溶融する温度の範囲との間の温度差が、部材の積層の各熱溶融性の層が良好な接合を保証するのに十分な程度に軟化または溶融されこのとき可視層が劣化されないことを保証するために、必然的に十分に重要となる。より具体的には、1または2以上の部材が互いに重畳するとき、(基層と接触している)下側の部材の下側の層は、少なくとも結合ステップ中に溶融されなければならず、この間、頂部の部材の上側の層は、その特性を維持しなければならない。これは特に、たとえば本明細書中のいくつかの実施形態において記載されるような圧力も適用する高温の空気袋によって、組立体の上方から熱が適用される場合である。積層中の部材の数が大きくなるほど、熱溶融性物質の溶融する温度の範囲と部材のその他の層の溶融する温度の範囲との間の温度差が必然的に大きくなる。
【0381】
事前結合および/または結合ステップの温度(第2の温度および第3の温度)を、各部材の上側層が、その上に設けられた部材の熱溶融性の層との融着を保証するために、少なくとも僅かに軟化することを保証するように、選ぶこともできる。可視層の、特に部材の頂部層の溶融する温度の範囲は、有益には、熱溶融性の(底部)層の溶融する温度の範囲よりも高くなりこれから分離されるように選ばれる。したがって、事前結合および/または結合温度を、可視層の溶融範囲の最初の半部の中で選ぶことができる。
【0382】
部材の熱溶融性の層の材料、ならびに/または事前結合および/もしくは結合ステップの温度を、基層いくつかの特性に応じて適合することができる。より具体的には、より隙間の多い繊維品、特により隙間の多いニットニット構造に関して、第2の温度を、薄い部材の少なくとも部分的に溶融性である層の溶融する温度の範囲と比較して、より高くなるように選ぶことができる。同様に、より隙間の多い繊維品、特により隙間の多いニットニット構造に関して、第3の温度を、薄い部材の少なくとも部分的に溶融性である層の溶融する温度の範囲と比較して、より高くなるように選ぶことができる。こうして、熱溶融性の材料は、より粘性が低くなり基層の表面をより良好に通り抜けることになって、より良好な接合が保証される。
【0383】
薄い部材は、本発明の文脈では、その長さよりも小さい厚さを有する部材として理解される。したがって、薄い部材はたとえば、本出願の同時継続中の出願である独国特許出願公開第102015224885.2号明細書において記載されるようなパッチとすることができる。この出願は、基層上にパッチをどのように設けることができるかについての詳細も含む。一般に、部材10は、少なくとも1つの溶融性層を有する任意の種類の材料とすることができる。
【0384】
方法は、溶融性層が基層と少なくとも部分的に接触するように、基層の少なくとも一部の上に薄い部材の少なくとも一部を適用して中間組立体を形成するステップ(c.)をさらに含む。したがって、靴アッパーの場合、たとえば、靴アッパー上に、ヒールカウンタの形状の1または多くの薄い部材を設けることができ、このことにより中間組立体を形成する。
【0385】
いくつかの実施形態では、続く方法ステップが実行される前に、基層上での部材の一時的な固定が行われる。この一時的な固定は、部材を圧力で基層上に適用する前に、熱が部材の底部層を活性化することによって得られる。たとえば、1つの実施形態では、薄い部材10は、真空把持具によって拾い上げられ、熱源(たとえば赤外線ランプ)へと運ばれて底部層を活性化され、圧力で基層上に適用される。ただし、超音波溶接、縫着等のような、一時的な固定の他の方法も用いることができる。
【0386】
方法は、(d.)第1の温度で中間組立体に圧力が適用される第1の結合ステップをさらに含む。結合により、下に設けられた他の部材へのおよび基層22への/またはこれらのいずれかへの、薄い部材10の接合が強固になる。
【0387】
図78の例では、フレーム781上に装着された可撓性のシリコーン膜14の外皮によって形成された空洞13によって形成される空気袋25によって、圧力が適用される。空洞13を過圧力によって膨らませて、膜を部材10に対して下向きに押すことができる。このステップは、続く第2の結合ステップにおいて用いられる温度よりも低い第1の温度で実行される。たとえば、温度は、10℃を超えない範囲で室温と異なっていてよい。
【0388】
加えて、空気袋25と部材10との間に、任意選択の接触層782が配列される。
図78の例では、この接触層782は、可撓性のシリコーン外皮である。この接触層782は、損傷した場合に交換できるように入れ替え可能とすることができる。加えてこれに、部材10の可視層上にパターンを付与するために、テクスチャを施すことができる。
図78の例では、接触層は「冷たい」、すなわち、中間組立体に適用された時点で、接触層は第1の温度にある。同じく
図78の表示された実施形態では、接触層は電気ワイヤなどの加熱装置を備えないが、これは本発明の文脈では一般に可能である。発明者らは、接触層782は結合(圧力および熱の適用)後に中間組立体に、特にパッチにそれほど張り付かず、また張り付くときには、接触層の交換が高温の空気袋の交換よりもはるかに容易で安価で迅速であることからも、接触層782を有することは有益であると考えている。
【0389】
方法は、(e.)第1の温度よりも高い第2の温度で中間組立体に圧力が適用される第2の結合ステップであって、第1の結合ステップの後で実行される第2の結合ステップをさらに含む。
【0390】
図78の例では、空気袋25、より精確にはシリコーン膜14は、埋め込まれた電気ワイヤを備え、この電気ワイヤは、(任意選択の)接触層782を介して中間組立体に熱を伝えるために、加熱できるようになっている。埋め込まれたワイヤはたとえば、炭素繊維撚線で作成することができる。このことにより、冷たい接触層782が加熱され、熱を中間組立体に伝え、(接触層の厚さ、その熱伝達特性、および加熱された空気袋25と中間組立体との間の温度差に応じた)所与の遅れの後で、中間組立体に熱が伝達される。こうして、第1の結合ステップの第1の温度よりも高い第2の温度に到達する。
【0391】
製造工程時間を最大化するために、加熱された空気袋の温度を一定にすることができる。別法として、第2の温度に到達するために、加熱された空気袋の温度を、第1のステップと第2のステップとの間で異ならせることができる。
【0392】
接触層782の総厚さは、1mmから10mmの間で構成される。
【0393】
装置は、2つ以上の重ねられた接触層を備え得る。発明者らは、重ねられた位置で同時に適用される2つ以上の接触層を用いることが、多くの点で有益であることに気付いた。特に発明者らは、このことが第2のステップ(第2の温度の開始)を遅らせ、接触層と組立体との間の接着力を低減できることに気付いた。たとえば、2つのシリコーン層を互いの上に設けることができ、この場合、中間組立体と接触する第1の層は、約0.3mmの厚さを有することができ、第1のシリコーン層と空気袋25との間の他方のシリコーン層は、約2mmの厚さを有し得る。ただし、本発明の文脈において、シリコーン層の別の数および他の厚さも用いることができることに留意すべきである。
【0394】
こうして、本発明の方法による2つの結合ステップが単一の装置のみを用いて実行され、このことは第1のステップと第2のステップとの間の圧力の維持を容易にするが、両方の結合ステップを異なる装置上で実行することもできることに留意すべきである。この後者の場合、装置間で中間組立体を移動させるときに、中間組立体に対する圧力を維持することができる。
【0395】
上記の第1の結合ステップを、40℃から120℃の間の温度で実行することができるが、上記のように、シリコーン外皮(接触層782)のために加熱は遅延する。好ましい実施形態では、第1の結合ステップにおける空気袋25の温度は約80℃である。中間組立体の表面での第1の温度は、空気袋25と部材10との間の接触層(シリコーン外皮)のために、実際にはもっと低い。
【0396】
中間組立体に対する圧力は、空気袋25が空洞13内の過圧力によって膨らまされる際に、大気圧よりも約2バール大きくなる。シリコーン外皮782は厚いので、熱伝達が良好ではなく、基層22の中間組立体および部材10は、加熱を経験する前に、最初に圧力適用を経験する。したがって、2つの結合ステップ、すなわち:第1の温度で中間組立体(基層22および部材10)に圧力が適用される第1の結合ステップ、ならびに第1の温度よりも高い第2の温度で中間組立体に圧力が適用される第2の結合ステップが存在する。
【0397】
シリコーン外皮782は、10秒から200秒の間、特に約60秒の継続時間で、中間組立体に適用される。
【0398】
本発明による方法は、溶融性層中の泡の形成を回避または少なくとも低減するので、特に有利である。この効果は、膨張式空気袋25を用いることにより増幅される。
図79により詳細に示すように、空気袋25の形状のおかげで、圧力適用は、中心点から半径が増加する円形の圧力波に沿って漸進的であり、この結果、パッチと基層との間にまたはパッチ同士の間に捕捉された空気が、
図79において矢印で示されるように、パッチ10の側に逃げることができる。したがって、部材10の外縁部が同じく押され(かつ場合によっては加熱され)、基層22または下方の別の部材に封止されるまでは、どのような空気の泡も排除される。このようにして、この工程により、少なくとも1つの部材10と基層22との間の空気または気体の泡の形成が、防止または少なくとも減少される。
【0399】
ここまで記載した方法ステップは、中間組立体の事前結合に至る場合がある、すなわち、薄い部材10は、最終的に基層22に接合されないか、または最終的に互いに接合されない。しかしながら、上記の2つの結合ステップのおかげで、薄い部材10と基層22との間で空気または気体の泡が除去または少なくとも低減されており、また熱の適用のおかげで、薄い部材10は、基層22へのおよび互いの間で十分に接合して、新しい空気または気体の泡の形成を防止する。
【0400】
薄い部材10の中間組立体および基層22を最終的に結合するために、本発明の好ましい実施形態では、キャリア18およびその上の事前結合した組立体を、
図78に関連して上記したような同じ構造の第2のステーションに運ぶことができ、ここで結合を完成させるために、可能な限り速やかに熱および圧力が適用される。この場合、結合はより高い温度で行われる。この目的のために、シリコーン外皮782(接触層)は、迅速な加熱を可能にするために、この第2のステーションにおいてより薄くすることができる。別法として、シリコーン外皮782は省かれ、空気袋25のシリコーン膜14によって熱が直接適用される(
図78を参照)。この場合、シリコーン外皮782は、好ましくは約1mmの厚さを有し得る。加えて、空気袋25の温度を、第1のステーションにおけるよりも高くすることができる。この目的のため、事前結合された中間組立体に適用されるときでさえも空気袋25の迅速な加熱および一定の高い温度を保証するために、第2のステーションの出力を、第1のステーションと比較してより高く(たとえば8kWの代わりに22kW)することができる。温度は、薄い部材10(溶融層)の底部層の溶融範囲内で、または薄い部材自体(機能層)の溶融範囲においても、選択することができる。空気袋の温度を、事前結合された組立体に適用される温度が、溶融性層の溶融範囲と可視層の溶融範囲との間となるように、選択することができる。
【0401】
いくつかの有益な実施形態では、空気袋の温度を、事前結合された組立体に適用される温度が、特に可視層の溶融範囲が非常に広いときに、可視層の溶融する温度の範囲の最初の部分内にあるように選択することができる。これらの実施形態は、薄い部材の積層のより良好な結合を提供するが、これは、第1の部材の可視層の頂部部分が軟化し、前記第1の部材の上に設けられた第2の部材の熱溶融性の層との、より良好な接合を生み出すことができるからである。
【0402】
ただし、たとえばサイクル時間、すなわち熱および/または圧力の適用の継続時間を長くすることにより、機能層の溶融範囲よりも低い温度で結合が機能することも可能である。本発明の現時点で好ましい実施形態では、空気袋25の温度は約130℃から200℃、特に120℃から160℃の間であり、一方、圧力は事前結合ステップと比較して、約2バールで同じままである。
【0403】
第2のステーションにおいて、シリコーン膜14(または用いられる場合は接触外皮782)は同じく、10秒から200秒の間、特に60秒から120秒の間で構成される継続時間で、中間組立体に適用される。薄い部材10の溶融性層の、熱、温度、および材料に応じて、より長いまたはより短い継続時間が一般に可能である。
【0404】
図80は、上記の工程中に中間組立体が経験する温度801および圧力802の概略図を示す。時間t
0において、第1のステーションの第1の接触層782が、2バールの圧力(P
nom)で中間組立体に適用される。時間t
iにおいて、中間組立体に熱が伝わり始め、温度が温度T
1まで上昇する。時間t
0と時間t
iとの間の熱の伝達の遅れは、空気袋25と中間組立体との間の接触層782に起因する。厚さ、熱伝達係数などの接触層782の特性を調節して、時間t
0と時間t
iとの間の遅れを修正することができる。時間t
1において、中間組立体から接触層が除去され、温度が下がり始め、この間に、上に中間組立体のあるキャリア18が、第2のステーションに運ばれる。この移送中、圧力は周囲圧力(P
amb)である。時間t
2において、第2のステーションの第2の接触層が、ここでも2バール(P
nom)で、中間組立体に適用される。時間t
2において熱がほぼ即座に適用されるが、これは、第1のステーションの接触層よりも、第2のステーションの第2の空気袋の温度T
0の方が高く、また第2のステーションの接触層の方が薄いからである。時間t
3において、接触層が除去され、圧力が周囲圧力(P
amb)まで下がり、中間組立体が冷却され始める。
【0405】
図81は、第2のステーションでの最終の結合ステップ中に中間組立体の表面で行われた温度測定の結果を示す。この場合、空気袋の温度は、200℃に設定された。
【0406】
図81に示すように、事前結合された中間組立体が第1の事前結合ステーションにおいて暖められたことに起因して、最初の15秒間温度は下がり続け、より高い温度での結合が行われる第2の結合ステーションに移送されるときに、冷却される。
【0407】
また、適用されるとき、第2の結合ステーションのシリコーン膜14(または適用されるときシリコーン外皮782)は、第1の事前結合ステーションからのまだ温かい事前に結合された組立体の温度と比較して、初期は冷たい。この
図4上で、時間15秒は
図80の時間t
2に対応し、時間120秒は
図80の時間t
3に対応する。
【0408】
図81に示す2つの異なるグラフは、上に基層22が設けられるキャリア18(支持構造)の、2つの異なる選択肢に対応する。キャリアが異なれば熱伝達係数が異なり得るので、キャリアの性質は、中間組立体における温度に対して効果を有する。
図81の例では、第1の組立体キャリアはより良好に熱絶縁されており、したがって温度は第2の組立体キャリアに関するよりも高いままである。
【0409】
本発明による工程の速度を上げるために、一続きの回転ベルト上に装着される少なくとも2つの接触層を用いることができる。加熱された空気袋25が、第1の組立体を結合するために第1の接触層を加熱するとき、第1の接触層も加熱される。空気袋25が収縮し中間組立体から圧力を解放した後で、第1の接触層が、製造ステーションの外部側(「冷却位置」)へと巻かれて冷却され、この間、第2の接触層が、加熱する空気袋25と第1の中間組立体の場所を占める新しい第2の中間組立体との間の、所定位置に移動する。こうして、第2の中間組立体の結合を、冷たい第2の接触層を用いて、即座に行うことができる。
【0410】
本発明の現時点で好ましい実施形態では、キャリア18は、ポリマーの上側層、コアガラス層、およびこのガラス層の下のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のフレームを備える。PEEKは耐高温熱可塑性材料であり、ポリアリールの物質群に属する。上側層は、中間組立体の基層との高い摩擦を提供するように適合される。この目的のため、上側層は、熱および圧力が適用されたときのキャリア上での中間組立体の移動を制限するために、スケートボードのグリップテープと類似の表面構造を備えることができ、この結果、薄い部材10の位置は、これらの下側の溶融層が溶融したときでさえ、基層22に対して一定のままである。
【0411】
上記のような第2の結合ステーションの代替として、
図82に関連して以下で記載するような、一続きの回転ベルト上に装着された薄いおよび厚い接触層(シリコーン外皮)を有する、ただ1つの結合ステーションを用いることができる。事前結合および結合ステーション51は、上記のように、上に基層22を設けることのできるキャリア(支持構造)18を備える。第1の接触層782aおよび第2の接触層782bが、一続きの回転ベルト821上に装着される。第1の接触層782aは、2つの取り付け具822aおよび822bを介して、一続きの回転ベルト821に取り付けられる。第2の接触層782bは、2つの取り付け具823aおよび823bを介して、一続きの回転ベルト821に取り付けられる。第1の接触層782aは、この実施形態では第2の接触層782bよりも厚く、このため、熱をよりゆっくりと伝える。
【0412】
ステーションは、埋め込まれた加熱ワイヤを有する空気袋25を備える。空気袋25の加熱されたシリコーン膜が、中間組立体を結合するために第1の接触層782aを加熱するとき、第1の接触層782aも加熱され、中間組立体に熱および圧力を伝える。空気袋25が収縮するとき、中間組立体から圧力が解放される。続いて、第1の接触層782aが、一続きの回転ベルト821によってステーションの外部側(冷却位置)へと巻かれて冷却され、この間、第2の接触層782bは空気袋25と中間組立体との間の所定位置へと移動する。次いで、空気袋25が膨らまされ、空気袋25から第2の接触層782bを介して中間組立体へと熱が伝えられる。第2の接触層782bは第1の接触層782aよりも薄いので、熱はより早期に伝えられ、第1の接触層782aと比較してより短い時間内に、より多くの熱が伝えられる。
【0413】
加えて、第1のステップと第2のステップ(第1の接触層782aが用いられる)と第3のステップ(第2の接触層782bが用いられる)との間で、空気袋25の温度を異ならせることができる。
【0414】
別法として、
図82において描写したステーションと同様の2つのステーションを用いることができ、この場合、第1のステーションは2つの厚い接触層を有し、第2のステーションは2つの薄い接触層を有する。したがって、第1のステーションは常に、事前結合、すなわち上記の第1および第2のステップを行い、また第2のステーションは、結合、すなわち上記の第3のステップを行う。
【0415】
一般に、事前結合(第1および第2のステップ)の継続時間は、10秒から300秒の間、特に少なくとも約60秒、たとえば約150秒で構成され得る。結合(第3のステップ)の継続時間は、10秒から300秒の間、特に少なくとも約60秒、たとえば約150秒で構成され得る。このように、各ステーションにおけるサイクル時間を同じにして、流体の生産を保証することができる。
【0416】
図83は、本発明の文脈において用いることのできる、さらに別の事前結合/結合ステーション831の概略図を示す。ステーション831は、たとえば靴アッパーのような、三次元の物体の製造に特に好適である。この目的のために、ステーション831は、
図83に示す靴型832を、同時に2つの位置において備える:第1の位置832aでは靴型は直立位置であり、一方、第2の位置832bでは、靴型は回転軸836を中心に底部位置へと回転されている。パッチは通常靴の上側に設けられるので、重力によりパッチを最初の直立位置832aにおいて設けることができる。製造中、パッチは、ロボットによって拾い上げられアッパー上に設けられるまで、コンベヤ上にある。したがって、ロボットにとって、各パッチの回転を行うよりも、直立に位置決めされた靴型上にパッチを設ける方が速い。
図83において参照符号832cで示すように、底部位置832bにおいて、靴型832は下降して空洞833の中に入ることができる。空洞には、高温の加圧された空気を供給することができる。空洞833の中には、可撓性の膨張式空気袋834が存在する。下側に膜を備える閉じ蓋835によって、空洞を閉じることができる。
【0417】
ステーション831の動作は以下の通りである。基層の中間組立体および1または2以上の薄い部材が、靴型832上に設けられるか、またはその上に直接形成される。靴型は次いで、空洞833の中に入る。空洞833には、高温の加圧された空気が供給され、この空気が、空気袋834を靴型および中間組立体に接触させる。好ましい実施形態では、空気袋834は、上記のように、空気袋834への中間組立体の付着を防止するためのおよび加熱を遅らせるための接触層として、シリコーン外皮を備える。空気袋834は、この好ましい実施形態では、ワイヤによってではなく、空洞833の中の高温の加圧された空気によって加熱される。
【0418】
たとえば本発明による方法の第2のステップと第3のステップとの間の空洞833中の高温の空気の温度を修正することによって、本明細書に記載されるような中間組立体の事前結合ならびに最終の結合の両方に対して、ステーション831などの単一のステーションを用いることが可能である。別法として、ステーション831と同様の第1のステーションにおいて事前結合を行うことができ、同じくステーション831と同様の第2のステーションにおいて最終の結合を行うことができるが、これらは、より薄い空気袋および/もしくは接触層、ならびに/または空洞833内のより高い空気温度を備え得る。
【0419】
一般に、本発明の文脈では、薄い部材を基層の反対側、すなわち圧力が適用される側(基層の「下」)から離れる方向に面する側に、設けることが可能である。そのような薄い部材も、熱および圧力が基層を通して伝達され得るときに、本明細書に記載されるように事前結合および/または結合される。この場合、空気袋の温度を上げることができ、かつ/または、シリコーン層の厚さを減らすことができる。
【0420】
そのような薄い部材は、事前結合および/または結合工程が実行されるときにキャリア(支持構造)に張り付かないように、熱溶融性でない(基層から離れる方向に、すなわち底部に向かって面する)外側層、たとえば繊維品を有するように選ばれる。
【0421】
さらに本発明によれば、事前結合および/または結合は、いくつかの実施形態では、中間組立体の反対の側からの熱の適用も含む。このことは、上述したように薄い部材が組立体の反対側に設けられる場合に、または多数の薄い部材が互いの上に重ねられる場合にも、有益であり得る。加熱されたキャリア、たとえば高温空気コンダクト(hot-air conduct)などの熱を伝導するための手段および/または埋め込まれた加熱ワイヤなどの熱を生み出す手段を備えることになるキャリアをたとえば用いることにより、組立体の両側での同時の加熱を実現できる。
【0422】
本発明を用いて、薄い部材にテクスチャを付与することもできる。接触層の様々な表面構造は、事前結合および/または結合工程の後で、薄い部材上に様々なテクスチャをもたらすことになる。たとえば、薄い部材に、艶消し仕上げまたは細かい縞模様を付与することができる。また、接触層は、異なる薄い部材または最終製品の異なる領域に異なるテクスチャを適用するために、第1のテクスチャを有する1つの第1の領域、およびテクスチャを有さないかまたは別のテクスチャを有する別の領域を備え得る。本発明によれば、接触層を交換することにより、テクスチャを製造ライン上で素早く修正することができる。
【0423】
さらに、本発明による方法および/または機器は、たとえば2つ以上の空気袋を並列に用いることによって、ならびに/または、高温の空気袋の中の各配線に適用される電力を適合させることにより高温の空気袋を異なる領域では異なる温度で加熱することによって、等で、中間組立体の第1の部分に第1の温度を、および中間組立体の第2の部分に第2の温度を適用するように、適合され得る。このことにより、部材の性質および/または互いの上に重ねられた部材の数に応じて、温度を局所的に適合させることができる。
【0424】
以下では、本発明の追加の態様を例示するためのさらなる例が提供される。
1.使用者からの入力によって規定される特性を有する区画を備える、使用者によってカスタマイズされる運動用具。
2.以下を含む、カスタマイズされた靴を製造する方法:
ファイルで靴設計を提供すること、
靴設計ファイルを生産計画に変換可能なコンピュータに靴設計ファイルを提供すること、
靴の構築のための要素を提供すること、
生産計画を利用して1または2以上の装置に命令すること、および
1または2以上の装置のうち少なくとも1つを制御して生産計画に従って靴を生産すること。
フォーマット設定が適正であれば、(内部または外部の)設計者が靴設計ファイルを提供できる。たとえば、設計ファイルにとって必要とされる構造および/または構文を、外部の設計者に提供してもよい。見込みの顧客が、最初から靴を設計することも可能である。使用者/設計者は、既定のソフトウェアを用いて、ソフトウェアにおける制約に基づいて設計ファイルを生成することができる。身体スキャンデータ用いて靴設計を生成することも考えられる。
3.靴に関する使用者規定の仕様をコンピュータに提供して生産計画の制作を支援することをさらに含む、例2の方法。
4.使用者規定の仕様が部分的に使用者の身体スキャンデータを用いて生成された、例3の方法。
5.1または2以上の装置が、視覚システム、切断装置、ロボット、および活性化装置のうち少なくとも1つを備える、先行する例のうちいずれかの方法。
6.以下を含む、カスタマイズされた運動用具を製造する方法:
運動用具を記述する1または2以上の設計ファイルを提供すること、
1または2以上の設計ファイルに基づいて使用者規定の仕様を提供すること、
使用者規定の仕様を利用して1または2以上の設計ファイルを修正して幾何学形状ファイルを形成すること、および
幾何学形状ファイルに基づいて選択された材料を位置決めして運動用具を形成すること。
7.運動用具がボール、バット、またはスティックのうち少なくとも1つを含む、例6の方法。
8.以下を備える、カスタマイズされた運動用具
キャリア表面(たとえば、パッチが設けられ次いで除去されて靴アッパーを形成することになる、靴型または平坦面の表面など)、および
キャリア表面上に位置決めされた1または2以上の部材。
9.1または2以上の部材のうち少なくとも1つが、完成した運動用具の力の線に沿って位置決めされる、例8のカスタマイズされた運動用具。
10.1または2以上の部材が、完成した運動用具上の2つの区画の間の移行点に位置決めされパッチを備え、パッチが、刻設されたパターンを有するかまたは2つの区画の間の漸進的な移行を可能にする材料から構築される、先行する例のうちいずれかのカスタマイズされた運動用具。
11.1または2以上の部材が複数のパッチを備え、この結果拡張区画が制作される、先行する例のうちいずれかのカスタマイズされた運動用具。
12.1または2以上の部材が複数のパッチを備え、この結果支持区画が制作される、先行する例のうちいずれかのカスタマイズされた運動用具。
13.1または2以上の部材が複数のパッチを備え、この結果拡張区画が制作される、先行する例のうちいずれかのカスタマイズされた運動用具。
14.1または2以上の部材が少なくとも2つの部材を含み、この少なくとも2つの部材が、少なくとも2つの位置決めされた部分の正確度が約1mm未満、より好ましくは約0.1mm以下となるように位置決めされる、先行する例のうちいずれかのカスタマイズされた運動用具。
15.キャリア表面が特徴部を備え、1または2以上の部材がこの特徴部に関連してキャリア表面上に位置決めされ、このとき、特徴部に対する1または2以上の部材の正確度が約1mm未満、より好ましくは約0.1mm以下である、先行する例のうちいずれかのカスタマイズされた運動用具。
16.以下を含む、可撓性材料を搬送するための方法:
可撓性材料に係合するように構成された少なくとも1つの把持装置を提供すること、および
把持装置を、第2の把持装置、加熱要素、または静電帯電装置のうち少なくとも1つに結合可能な、アダプタプレートを提供すること。
17.把持装置が、コアンダグリッパーまたは本明細書で開示される別の把持具を備える、例16の方法。
18.可撓性の部材が把持装置に結合され、可撓性材料が上に設けられる表面に適合するように構成される上記の例のうちいずれかの方法。
19.少なくとも1つの把持装置が、アダプタプレートを用いて1つに結合された複数の把持装置を備える、上記の例のうちいずれかの方法。
20.可撓性の部品からカスタマイズされた運動用具を生産する方法:
製造される運動用具の設計仕様、特にファイルを受け取ること、
設計仕様において指定された部材を提供すること、
設計仕様に基づいて生産計画を自動的に生成すること、
システムに基準パターンを提供すること、
提供された部材を基準パターンと比較すること、
設計仕様および提供された部材との基準パターンの比較結果に基づいて、生産計画を自動的に更新すること、および
更新された生産計画に従って複数の部材を配置するステップを実行すること。
21.以下のステップを含む、運動用具、特に靴の製造のための方法:
a.複数の既定の形状のうちの1つを成す複数の部材(10)を提供するステップ(100)、および
b.複数の部材(10)を二次元または三次元のキャリア表面(20)に設けて、運動用具またはその一部を制作するステップ(400a、400b)。
22.複数の部材(10)が以下のうち少なくとも1つを備える、例21の方法
−パッチ、
−ヒールカウンタ、ケージ、支持構造、チューブ、またはバンドなどの構造要素、
−スタッド、ラグ、外底、または外底要素などの外底部材、
−穴補強部材、
−中底要素、
−靴ひも、靴ひもを締める構造、または面ファスナクロージャシステムなどのクロージャ機構、
−近距離無線通信、NFC、チップ、無線周波数識別、RFID、モータ、チップセット、アンテナ、マイクロチップ、インターフェース、光源、配線、回路、環境発電要素、および/またはバッテリ、などの電気部材、
−加速度計、磁力計、または全地球測位システム、GPS、センサなどの測位センサ、などのセンサ、
−機械部材、
−あるいはこれらの任意の組み合わせ。
23.複数の部材(10)を提供するステップ(100)が、多様に設定可能な切断装置(7)を用いて複数のパッチを切断することを含む、例21または22の方法。
24.多様に設定可能な切断装置(7)が、レーザ光源、ナイフ、抜き型、ウォータージェット、発熱要素、溶剤、またはこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを備える、例23の方法。
25.多様に設定可能な切断装置(7)が、レーザ光源、およびレーザ光源から射出されたレーザ光の移動を制御するための手段を備え、この手段が好ましくは少なくとも1つの鏡を備える、例23または24の方法。
26.既定の期間、熱および/または圧力を用いて複数の部材(10)を結合するステップ(500a、500b)をさらに含む、先行する例のうちいずれかの方法。
27.結合するステップ(500a、500b)が、好ましくはシリコーンで作成された可撓性膜(25)を、複数の部材(10)上に少なくとも一時的に適用することを含む、例26の方法。
28.可撓性膜(25)が、複数の部材(10)に適用される前では、実質的に平面であるかまたは予め成型されて、製造される運動用具の外郭に実質的に適合する、例27の方法。
29.可撓性材料(25)が上に適用された複数の部材(10)に圧力を適用するステップをさらに含む、先行する例27または28のいずれかの方法。
30.複数の部材(10)を提供するステップ(100)が以下を含む、先行する例のうちいずれかの方法:
スプール(5)、ベルト、トレイ、および/または積み重ねから、搬送装置(12)上に材料を提供すること、
切断装置(7)を用いて、材料から複数の部材(10)を切り出すこと、および
好ましくは第2のスプール(27)を用いることによって、自動化された手法で、搬送装置(12)から過剰な材料を除去すること。
31.複数の部材(10)のうち少なくとも1つおよび/またはキャリア表面が、静電気力、化学的および/または機械的な固定が複数の部材(10)のうち少なくとも2つまたは運動用具の一部の間に形成されるような、結合機構を備える、先行する例のうちいずれかの方法。
32.結合機構が、静電気力、熱溶融性の接着剤、溶剤を利用する工程、面ファスナ、またはこれらの任意の組み合わせのうち少なくとも1つを備える、例31の方法。
33.好ましくは加熱することによって、部材(10)のうち少なくとも1つを活性化するステップ(300)をさらに含む、先行する例のうちいずれかの方法。
34.活性化するステップが、好ましくは加熱することによって、複数の部材のうち少なくとも1つの接着部材を活性化することを含む、例33の方法。
35.複数の部材(10)を設けるステップ(400a、400b)が、1または2以上の把持具(15a)を備える自動把持装置(15)によって実行される、先行する例のうちいずれかの方法。
36.二次元キャリア表面(20)が、作業台、またはニット材料もしくは中底などの実質的に平坦の基材を備え、
三次元キャリア表面(20)が、靴型などの作業フォーム、または作業フォーム上に持ち込まれる基材を備える、
先行する例のうちいずれかの方法。
37.複数の部材(10)が、以下の群、すなわち、金属、たとえば熱可塑性ポリウレタンなどのポリウレタン、ナイロン、発泡フォームなどのフォーム、粒子フォーム、たとえばニット、不織布、織布などの繊維材料、面ファスナ材料、合成皮革、被覆材料、透明材料、着色材料、印刷材料、構造材料、たとえば絹、羊毛、らくだの毛、カシミア、モヘアなどの毛、綿、亜麻、ジュート、ケナフ、ラミー、ラタン、大麻、竹、サイザル麻、コイアなどの自然繊維、皮革、スエード、ゴム、織物構造、またはこれらの任意の組み合わせから選択される材料を備える少なくとも1つのパッチを備える、先行する例のうちいずれかの方法。
38.複数の部材(10)が、補強、通気性、可視性、色、耐久性、グリップ、可撓性、熱可塑性、接着性、耐水性、防水性、重量配分、またはこれらの任意の組み合わせなどの特性を提供する手法で配列された複数のパッチを備える、先行する例のうちいずれかの方法。
39.製造される運動用具の設計仕様、特にコンピュータ支援設計、CAD、のファイルを受け取るステップ(600)、
設計仕様に基づいて生産計画を自動的に生成するステップ(700)、および
複数の部材(10)を設けるステップ(400a、400b)を生産計画に応じて実行するステップ(800)
をさらに含む、先行する例のうちいずれかの方法。
40.複数の部材(10)を設けるステップ(400a、400b)を実行する前に、画像処理手段(30)によって複数の部材(10)のうち少なくとも1つを識別することをさらに含む、先行する例のうちいずれかの方法。
41.画像処理手段(30)によってキャリア表面を識別すること、および制御部に位置データを提供して複数の部材のうち少なくとも1つの位置を調節することをさらに含む、先行する例のうちいずれかの方法。
42.設計仕様に基づいて生産計画を自動的に生成すること(700)が、ポイントクラウドを生成して、キャリア表面に複数の部材のうちの少なくとも1つを位置決めすることをさらに含む、例39〜41の方法。
43.方法が可動容器内で行われ、この可動容器が、好ましくは少なくとも部分的に透明である、先行する例のうちいずれかの方法。
44.上記の例のうちいずれか1つによる方法を用いて製造された、運動用具、特に靴、またはその一部。
45.以下を含む、運動用具を製造するための方法:
a.基層を選択すること、
b.少なくとも部分的に溶融性である層を備える、薄い部材を選択すること、
c.溶融性層が基層と少なくとも部分的に接触するように、基層の少なくとも一部の上に薄い部材の少なくとも一部を適用して中間組立体を形成すること、
d.第1の温度で中間組立体に圧力が適用される第1の結合ステップ、および
e.第1の温度よりも高い第2の温度で中間組立体に圧力が適用される第2の結合ステップであって、第1の結合ステップの後で実行される第2の結合ステップ。
46.薄い部材の厚さが、その長さよりもおよびその幅よりも小さい、例45による方法。
47.第1の結合ステップにおいて、中間組立体に圧力を適用する表面積が時間とともに漸進的に大きくなる、先行する例のうち1つによる方法。
48.第1の結合ステップにおいて、圧力が、最初に中間組立体の第1の部分に、次いで中間組立体の第2の部分に適用される、先行する例のうち1つによる方法。
49.第1の温度が室温20℃を超えない範囲で室温と異なっている、先行する例のうち1つによる方法。
50.中間組立体に適用される圧力が第1の結合ステップと第2の結合ステップとの間で維持される、先行する例のうち1つによる方法。
51.第1の結合ステップおよび第2の結合ステップが同じ装置上で実行される、先行する例のうち1つによる方法。
52.膨張式空気袋によって圧力が適用される、先行する例のうち1つによる方法。
53.第1の結合ステップ中に中間組立体に少なくとも1つの接触層が適用される、先行する例のうち1つによる方法。
54.第2の結合ステップ中に中間組立体に少なくとも1つの接触層が適用される、先行する例のうち1つによる方法。
55.接触層が、第1の結合ステップ中に最初に中間組立体と接触して設けられたとき第1の温度であり、その後第2の結合ステップ中に第2の温度に加熱される、例53または54の一方による方法。
56.接触層が中間組立体と膨張式空気袋との間に設けられ、膨張式空気袋によって接触層に圧力が適用される、例52および例53から55のうち1つによる方法。
57.膨張式空気袋が加熱されるように構成される、例52または56の一方による方法。
58.以下をさらに含む、先行する例のうち1つによる方法:
第2の温度よりも高い第3の温度で圧力および熱が中間組立体に適用される、第3の結合ステップであって、第2の結合ステップの後で実行される、第3の結合ステップ。
59.−第3の結合ステップ中に少なくとも1つの接触層が中間組立体に適用され、
−第3の結合ステップの圧力、第3の温度、および継続時間が、薄い部材の表面テクスチャリングが接触層の適用によって修正されるように適合される、
例58による方法。
60.薄い部材がポリマー部材を備える、先行する例のうち1つによる方法。
61.第1の結合ステップの前に薄い部材が基層に一時的に固定される、先行する例のうち1つによる方法。
62.薄い部材が、基層の表面の少なくとも一部が薄い部材によって覆われないような形状を有する、先行する例のうち1つによる方法。
63.中間組立体が少なくとも2つの薄い部材を備え、各部材が少なくとも互いとの重畳部分を備える、先行する例のうち1つによる方法。
64.中間部材が薄い部材と基層との間に少なくとも部分的に設けられる、先行する例のうち1つによる方法。
65.中間部材を除去するステップをさらに含む、例64による方法。
66.中間組立体が以下を備える、先行する例のうち1つによる方法:
a.少なくとも、基層の第1の面と少なくとも部分的に接触している第1の薄い部材、および、
b.少なくとも、基層の第2の面と少なくとも部分的に接触している第2の薄い部材。
67.基層が繊維品である、先行する例のうち1つによる方法。
68.基層がニット繊維品である、例67による方法。
69.先行する例のうち1つの方法により製造された運動用具。
70.a.部材を上に設けることのできる支持表面と、
b.接触層と、
c.支持表面に向かって少なくとも部分的に変位されるようにおよび支持表面の温度よりも高い温度で加熱されるように適合された空気袋と、を備え、
d.接触層は、支持表面と空気袋との間に接触層が配列されて、空気袋が接触層に熱を伝えられるようにおよび接触層を支持表面上の部材と接触させることができるようになっている、第1の位置において移動可能であり、さらに、
e.接触層を冷却するように適合された冷却装置
を備える、運動用具を製造するための機器。
71.冷却装置が、接触層の冷却が可能な領域内に接触層を設けるように適合される、例70による機器。
72.接触層が冷却位置へと変位されるようにベルト上に装着される、例70および71の一方による機器。
73.空気袋が加熱装置を備える、例69から71のうち1つによる機器。
74.空気袋が固定された本体に取り付けられ、膨らまされて接触層と接触させられるように適合される、例70から73のうち1つによる機器。
75.空気袋が、第1の位置と少なくとも1つの第2の位置との間で変位され得る移動可能な本体に取り付けられ、第2の位置においてよりも第1の位置においての方が、空気袋が支持表面により近い、例70から74のうち1つによる機器。
76.接触層は、部材に接触するように適合されるその表面の少なくとも一部上にテクスチャが施される、例70から75のうち1つによる機器。
77.a.少なくとも第1の接触層および少なくとも第1の空気袋を備える第1のステーションと、
b.少なくとも第2の接触層および少なくとも第2の空気袋を備える第2のステーションと、
c.前記第1のステーションから前記第2のステーションへと移動可能な支持表面と、
を備える、運動用具を製造するための機器。
78.第1のステーションおよび/または第2のステーションが、例69から75のうち1つによる機器である、例77による機器。
79.支持表面が全体に平坦である、例70から78のうち1つによる機器。
80.支持表面が、少なくとも1つの凸状の表面および/または少なくとも1つの凹状の表面を備える、例70から79のうち1つによる機器。
81.支持表面に少なくとも部分的にテクスチャが施される、例70から80のうち1つによる機器。