特許第6553588号(P6553588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553588
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】高分子多層フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/00 20060101AFI20190722BHJP
   B29C 59/04 20060101ALI20190722BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20190722BHJP
   B32B 3/20 20060101ALI20190722BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20190722BHJP
【FI】
   B29C59/00 A
   B29C59/04 Z
   B29C48/08
   B32B3/20
   B29L9:00
【請求項の数】1
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-500592(P2016-500592)
(86)(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公表番号】特表2016-517362(P2016-517362A)
(43)【公表日】2016年6月16日
(86)【国際出願番号】US2014020233
(87)【国際公開番号】WO2014158801
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年2月7日
(31)【優先権主張番号】61/777,526
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エフ.スラマ
(72)【発明者】
【氏名】ガース ブイ.アンティラ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ.フラナガン
(72)【発明者】
【氏名】ブレント アール.ハンセン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ピー.ハンシェン
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−043390(JP,A)
【文献】 特開2005−336249(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0118393(US,A1)
【文献】 特開平02−244599(JP,A)
【文献】 特表2002−518217(JP,A)
【文献】 特開平10−035193(JP,A)
【文献】 特表2013−513472(JP,A)
【文献】 特開平06−091771(JP,A)
【文献】 特開2006−326860(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/171365(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 59/00−59/18
B29C 51/00−51/46
B29C 67/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
概して両面にある第1及び第2の主要表面と、前記第1及び第2の主要表面の間に延在する開口部の配列と、互いに分離可能な少なくとも第1及び第2の隣接層とを有する高分子多層フィルムであって、前記開口部の各々が、前記第1及び第2の主要表面からの前記開口部を貫通する一連の面積を最小面積から最大面積を範囲として有し、前記最小面積が前記主要表面のうちの少なくとも片側にはなく、かつ前記フィルムがくぼみの配列を有しない、高分子多層フィルムの製造方法であって、前記方法が、
少なくとも2つの分離可能な高分子層をニップに押し出して高分子多層フィルムを供給する工程であって、前記ニップが、前記高分子多層フィルムの第1の主要表面を貫通するくぼみを付与する構造化表面を有する第1のロールを備える、工程と、
前記くぼみを有する前記第1の主要表面を冷却ロールに通すと同時に、前記高分子多層フィルムの、概して反対側の第2の主要表面に熱源を適用する工程であって、前記熱源からの熱を加えた結果、開口部が形成され、前記高分子多層フィルムを供給する、工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照することによりその開示内容が全体として本明細書に組み込まれる、2013年3月12日に出願された米国特許仮出願第61/777526号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
有孔フィルムは、典型的には、流体を皮膚に近接する箇所から除去して吸収箇所へ移動させる流体移行フィルムを提供する個人衛生分野で使用される。その他の一般的な用途は、食品包装産業での用途であり、更に最近では吸音がある。これらの用途向けの有孔フィルムは、通常、100マイクロメートル(0.004インチ)未満の厚さ(より典型的には50マイクロメートル(0.002インチ)未満の厚さ)であり、例えば、オレフィン、ポリプロピレン、又はポリエチレンで作られている。
【0003】
有孔フィルムを製造する典型的な加工方法として、有孔パネル若しくはロールへのフィルムの真空引き、加圧流体の使用によるフィルムの形成及び穿刺、冷温若しくは高温いずれかの針を用いたニードルパンチ、又はレーザーによるフィルムの孔の溶融が挙げられる。しかし、これらの加工は、フィルムの孔サイズ、孔密度、及び/又は膜厚に処理の限界を有する傾向がある。
【0004】
フィルムの変形及び穿刺に利用可能な力のために、有孔フィルムの真空又は加圧流体による成形は、比較的薄いフィルム(すなわち100マイクロメートル未満の厚さ)に制限される傾向がある。また、このタイプの成形法に使用される材料は、オレフィン系重合体に制限される傾向がある。このタイプの方法の別の特性は、穿孔が作られるまでフィルムが引き延ばされる中、フィルムに隆起部が作られることである。この隆起部は、隆起部が流体の方向制御特徴として作用し得る流体制御についてはメリットとなり得る。しかし、これは、少ない圧力低下が望まれる用途では欠点にもなり得る。隆起部は、細長い孔を作製し、これにより表面積が広がり、流体抗力が増す。
【0005】
ニードルパンチ法はまた、比較的薄いフィルムに使用されることが多いが、膜厚が約254マイクロメートル(0.010インチ)に達する場合もある。この方法による制限には、単位面積当たりの孔の穿孔直径、及びフィルムの隆起部が挙げられることが多い。
【0006】
レーザー穿孔方法は、比較的小さな孔(すなわち50マイクロメートル未満)を形成でき、様々な厚さを穿孔でき、フィルム表面と同平面の(すなわち、例えば、ニードルパンチ法に関連する隆起部がない)穿孔を作ることができる。レーザー穿孔方法の制限として、この方法に好適な材料の種類、並びに加工速度及び費用が挙げられる。レーザー穿孔方法は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、又は他のガラス転移温度が高い材料に由来するフィルムの加工に最適である傾向にある。レーザーは、例えば、オレフィン系材料の穿孔にあまり効果的でないことが多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本開示は、概して対向する第1及び第2の主要表面と、互いに分離可能な隣接した第1及び第2の層と、第1及び第2の層内に延在するくぼみの配列とを有する高分子多層フィルムを記載する。「分離可能な」とは、個々の層を分離又は剥離することができることを意味する。典型的には、層は、手で層を引っ張って分離してもよく、又は製造中、ウェブ張力及び異なるウェブ経路によって引き離してもよい。層は、45g/cm(0.44N/cm)未満の剥離力で分離することができる。いくつかの実施形態では、剥離力は、20g/cm(0.20N/cm)未満、又は更に6g/cm(0.06N/cm)未満(いくつかの実施形態では、0.8g/cm〜45g/cm(0.008N/cm〜0.44N/cm)、1.6g/cm〜20g/cm(0.016N/cm〜0.20N/cm)、2g/cm〜14g/cm(0.02N/cm〜0.14N/cm)、又は更に6g/cm〜10g/cm(0.06N/cm〜0.1N/cm))である。
【0008】
剥離力は、以下のように測定することができる。基材フィルムに接着した分離可能なスキン層を有する多層フィルムから試験細片を切る。試験細片は、典型的には、幅が約2.54cmで、長さが約15.24cm超である。典型的には、製造後から試験前の約24時間超の間、サンプルを休ませるべきである。次いで、分離可能な層の先端を基材フィルムから部分的に分離し、両方のフィルム層をそれぞれ引張試験機(Norwood、MAからの「INTRON 55」の商標名で入手可能)の引張グリップのセットに固定する。次いで引張グリップが離れた状態で引張試験機を稼働させ、これにより約102cm/min(40in./min)の一定速度でサンプルに張力が印加され、分離可能な層を、約180度の角度でフィルムの隣接層から効果的に剥離する。引張グリップが互いに離れると、分離可能な層をフィルムの隣接層から剥離するのに要する力がロードセルによって感知され、マイクロプロセッサによって記録される。次いで、剥離に要する力を、5秒にわたる定常状態移動(好ましくは剥離開始時の初震は無視する)から平均し、記録する。
【0009】
別の態様では、本開示は、概して対向する第1及び第2の主要表面と、互いに分離可能な隣接した第1及び第2の層と、第1及び第2の層内に延在するくぼみの配列とを有する高分子多層フィルムの方法を記載し、この方法は、少なくとも第1及び第2の(いくつかの実施形態では、少なくとも3つ、4つ、5つ又はそれ以上の)分離可能な高分子層をニップに押し出して高分子多層フィルムを供給することを含み、該ニップは、高分子多層フィルムのうちの少なくとも第1及び第2の層内に延在するくぼみを付与する構造化表面を有する第1のロールを備える。
【0010】
別の態様では、本開示は、概して対向する第1及び第2の主要表面と、第1及び第2の主要表面の間に延在する開口部の配列と、互いに分離可能な第1及び第2の隣接層とを有する高分子多層フィルムであって、各開口部が、第1及び第2の主要表面からの開口部を貫通する一連の面積を最小面積から最大面積を範囲として有し、最小面積が主要表面のうちの少なくとも片側にはない、高分子多層フィルムを記載する。
【0011】
別の態様では、本開示は、高分子多層フィルムの製造方法を記載し、この方法は、
少なくとも2つの(いくつかの実施形態では、少なくとも3つ、4つ、5つ又はそれ以上の)分離可能な高分子層をニップに押し出して高分子多層フィルムを供給する工程であって、該ニップが、高分子多層フィルムの第1の主要表面を貫通するくぼみを付与する構造化表面を有する第1のロールを備える工程と、
くぼみを有する第1の主要表面を冷却ロールに通すと同時に、高分子多層フィルムの、概して対向する第2の主要表面に熱源を適用し、熱源からの熱を加えた結果、開口部が形成され、概して対向する第1及び第2の主要表面、第1及び第2の主要表面間に延在する開口部の列、並びに互いに分離可能な第1及び第2の隣接層を有する高分子多層フィルムを提供する工程であって、各開口部が、第1及び第2の主要表面からの開口部を貫通する一連の面積を最小面積から最大面積を範囲として有し、最小面積が主要表面のうちの少なくとも片側にはない、高分子多層フィルムを提供する工程とを含む。任意選択により、この方法は、開口部を有する高分子多層フィルムのうちの少なくとも第1及び第2の層を分離することを更に含む。
【0012】
本明細書に記載の高分子多層フィルムの実施形態は、例えば、濾過及び吸音に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本明細書に記載の例示的な高分子多層フィルムの概略図である。
図2】本明細書に記載の例示的な高分子多層フィルムの例示的な製造方法の概略図である。
図3】本明細書に記載の別の例示的な高分子多層フィルムの概略図である。
図4】本明細書に記載の例示的な高分子多層フィルムの別の例示的な製造方法の概略図である。
図4A】本明細書に記載の別の例示的な高分子多層フィルムの概略図である。
図4B】本明細書に記載の別の例示的な高分子多層フィルムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照すると、本明細書に記載の例示的な高分子多層フィルム(110)は、概して対向する第1及び第2の主要表面(114、115)と、互いに分離可能な隣接した第1及び第2の層(111、112)と、第1及び第2の層(111、112)内に延在するくぼみ(120)の配列とを有する。
【0015】
図1に示すような本明細書に記載の高分子多層フィルムは、例えば、本明細書に記載の方法によって製造することができる。例えば、図2を参照して、例示的な方法の概略図を示す。少なくとも第1及び第2の分離可能な高分子層(211、212)をニップ(231)に押し出して高分子多層フィルム(210)を供給する。ニップ(231)は、第1及び第2の層(211、212)内に延在するくぼみ(213)を付与する構造化表面(233)を有する第1のロール(232)と、高分子多層フィルム(210)を供給するロール(238)とを備える。
【0016】
図3を参照すると、本明細書に記載の例示的な高分子多層フィルム(310)は、概して対向する第1及び第2の主要表面(314、315)と、第1及び第2の主要表面(314、315)間に延在する開口部(313)の配列と、互いに分離可能な少なくとも第1及び第2の隣接層(311、312)とを有する。各開口部(313)は、第1及び第2の主要表面(314、315)からの開口部(313)を貫通する一連の面積(317A、317B、317C)を最小面積から最大面積を範囲として有し、最小面積は主要表面(314、315)のうちの少なくとも片側にはない。
【0017】
図3に示すような本明細書に記載の高分子多層フィルムは、例えば、本明細書に記載の方法によって製造することができる。例えば、図4、4A及び4Bを参照して、例示的な方法の概略図を示す。少なくとも2つの分離可能な高分子層(411、412)をニップ(431)に押し出して高分子多層フィルム(410)を供給する。ニップ(431)は、第1の主要表面(423)全体にくぼみ(416)を付与する構造化表面(433)を有する第1のロール(432)と、高分子多層フィルム(410)を供給するロール(438)とを備える。くぼみ(416)を有する第1の主要表面(423)を冷却ロール(434)に通し、同時に、高分子多層フィルム(410)の、概して対向する第2の主要表面(424)に熱源(435)を適用する。熱源(435)からの熱を加えた結果、開口部(413)が形成され、概して対向する第1及び第2の主要表面(414、415)と、第1及び第2の主要表面(414、415)間に延在する開口部(413)の配列と、互いに分離可能な少なくとも第1及び第2の隣接層(411、412)とを有する高分子多層フィルム(410)が得られる。各開口部(413)は、第1及び第2の主要表面(414、415)からの開口部(413)を貫通する一連の面積(417A、417B、417C)を最小面積から最大面積を範囲として有し、最小面積は主要表面(414、415)のうちの少なくとも片側にはない。任意選択により、開口部(413)を有する高分子多層フィルム(410)のうちの少なくとも第1及び第2の層(411、412)を分離する。
【0018】
高分子多層フィルムを製造するための例示的な高分子材料には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエチレンテレフタレート(PET)、コポリエステル(PETg)、セルロースアセトブチレート(CAB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリオレフィンコポリマー、ポリエチレン、及びポリスチレン(PS)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリプロピレンが挙げられる。
【0019】
分離可能な、好適な材料の組み合わせの例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)と低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)と低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)と中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)と高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリアミド6、ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリアミド66、コポリエステル(coPETg)と低密度ポリエチレン(LDPE)、コポリエステル(PETg)と低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、コポリエステル(PETg)と中密度ポリエチレン(MDPE)、コポリエステル(PETg)と高密度ポリエチレン(HDPE)、コポリエステル(PETg)とポリプロピレン(PP)、コポリエステル(PETg)とポリスチレン(PS)、コポリエステル(PETg)とポリアミド6、コポリエステル(PETg)とポリアミド66、エチレンビニルアルコール(EVOH)と低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレンビニルアルコール(EVOH)と低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、エチレンビニルアルコール(EVOH)と中密度ポリエチレン(MDPE)、エチレンビニルアルコール(EVOH)と高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレンビニルアルコール(EVOH)とポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール(EVOH)とポリスチレン(PS)、ポリアミド6と低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、ポリアミド6と低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリアミド6と中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリアミド6と高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド6とポリスチレン(PS)、ポリアミド66と低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、ポリアミド66と低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリアミド66と中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリアミド66と高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド66とポリスチレン(PS)、低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)とポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)とポリプロピレン(PP)、中密度ポリエチレン(MDPE)とポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)とポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)と低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)と低密度ポリエチレン(LDPE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)と中密度ポリエチレン(MDPE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)と高密度ポリエチレン(HDPE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)とポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)と低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、ポリカーボネート(PC)と低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリカーボネート(PC)と中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリカーボネート(PC)と高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリカーボネート(PC)とポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)と低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)と低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)と中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)と高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)と低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)と低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)と中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)と高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)とポリプロピレン(PP)、セルロースアセトブチレート(CAB)と低密度直鎖ポリエチレン(LLDPE)、セルロースアセトブチレート(CAB)と低密度ポリエチレン(LDPE)、セルロースアセトブチレート(CAB)と中密度ポリエチレン(MDPE)、セルロースアセトブチレート(CAB)と高密度ポリエチレン(HDPE)、及びセルロースアセトブチレート(CAB)とポリプロピレン(PP)が挙げられる。
【0020】
好適なポリプロピレン材料には、ホモポリプロピレン並びに変性ポリプロピレン、例えばブロック共重合体、耐衝撃性共重合体、及びランダム共重合体が挙げられる。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の層は、ポリカーボネート、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエチレンテレフタレート(PET)、コポリエステル(PETg)、セルロースアセトブチレート(CAB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、又はポリブチレンテレフタレート(PBT)のうちの少なくとも1つを含み、第2の層はポリオレフィンを含む。いくつかの実施形態では、第1の層はポリエチレンを含み、第2の層はポリプロピレンを含む。
【0022】
任意選択により、本明細書に記載の物品を含む高分子材料はいずれも、無機充填剤、顔料、スリップ剤、及び難燃剤等の添加剤を含んでもよい。
【0023】
本明細書に記載の多層フィルムの製造に好適な押出装置(装置の構成要素を作る材料を含む)は、実施例を含む本開示を閲覧すれば当業者は理解するはずである。例えば、ロール(例えば、232、238、432、438、434)は、鋼等の金属製であってもよい。いくつかの実施形態では、高分子材料に接するロールの表面は、クロムめっき、ニッケルめっき、銅めっき、又はアルミニウムである。ロールは、例えば水冷等の従来技術を用いて冷却してもよい。ニップ力は、例えば空気圧シリンダーによって与えてもよい。
【0024】
例示的な押出速度は、3〜15m/min.(いくつかの実施形態では、15〜50m/min.、50〜100m/min.、又はそれ以上の範囲)を含む。例示的な押出温度は、200℃〜230℃の範囲(いくつかの実施形態では、230℃〜260℃、260℃〜300℃、又はそれ以上の範囲)である。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の高分子多層フィルムは、125マイクロメートル超、150マイクロメートル超、200マイクロメートル超、250マイクロメートル超、500マイクロメートル超、750マイクロメートル超、1000マイクロメートル超、1500マイクロメートル超、2000マイクロメートル超、又は更に少なくとも2500マイクロメートル、いくつかの実施形態では、125マイクロメートル〜1500マイクロメートル、又は更に125マイクロメートル〜2500マイクロメートルの範囲の厚さを有する。
【0026】
開口部は、円形及び楕円形を含めた様々な形状のいずれかであってよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の高分子多層フィルムは、1cm当たり少なくとも30個の開口部(いくつかの実施形態では、1cm当たり少なくとも100個の開口部、1cm当たり200個の開口部、1cm当たり250個の開口部、1cm当たり300個の開口部、1cm当たり400個の開口部、1cm当たり500個の開口部、1cm当たり600個の開口部、1cm当たり700個の開口部、1cm当たり750個の開口部、1cm当たり800個の開口部、1cm当たり900個の開口部、1cm当たり1000個の開口部、1cm当たり2000個の開口部、1cm当たり3000個の開口部、又は更に1cm当たり少なくとも4000個の開口部、いくつかの実施形態では1cm当たり30個〜200個の範囲の開口部、1cm当たり200個〜500個の範囲の開口部、又は更に1cm当たり500個〜4000個の範囲の開口部)を有する。
【0028】
本明細書に記載の高分子多層フィルムのいくつかの実施形態では、開口部は、100マイクロメートル以下(いくつかの実施形態では、250マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、又は1000マイクロメートル以下、いくつかの実施形態は25マイクロメートル〜100マイクロメートルの範囲、100マイクロメートル〜250マイクロメートルの範囲、250マイクロメートル〜500マイクロメートルの範囲、又は更に500マイクロメートル〜1000マイクロメートルの範囲)の最大寸法を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書の高分子多層フィルムは、流動抵抗試験によって測定した場合、250レイリー〜2150レイリーの範囲(いくつかの実施形態では、650レイリー〜2150レイリー、又は更に1250レイリー〜2150レイリー)の流動抵抗を有する。流動抵抗試験は、一般的に、以下の手順を用いるASTM規格:C522−03(2003)に記載されている。試験するフィルムを、直径100mmの試験片ホルダーの上部の輪縁の外径よりも若干大きい直径に切断した。試験する試験片を、輪縁にグリースが付いた締め付けリングで所定位置に固定して、試験片の有孔部分をホルターの直径内部に制限する。試験片の端部から空気が流れるのを防止するためにグリースも使用する。次いで試験片ホルダーを取付板に対して密封し、気流を、流量計及び圧力測定装置で読取可能な設定が得られるように調節する。気流は、直線気流であり、典型的には2〜7mm/secの範囲である。差圧P、流量U、及び算出した指数、すなわち流動抵抗R=P/Uを記録する。毎回大きな気流を用いて、反復試験を5回行う。抵抗に明らかな恒常的増加がある場合、気流が乱れている可能性があり、読み取り値は廃棄すべきである。十分に分離した乱流レベル未満の気流速度(25%の推奨最小差)で、一連の少なくとも3回の測定を実行する。測定の温度範囲は、21℃〜23℃の範囲である。気圧に対する調整は行わない。
【0030】
本明細書に記載の高分子多層フィルムの実施形態は、例えば、濾過及び吸音に有用である。
【0031】
実施形態
1.概して対向する第1及び第2の主要表面と、互いに分離可能な隣接した第1及び第2の層と、第1及び第2の層内に延在するくぼみの配列とを有する高分子多層フィルム。
【0032】
2.第1の層が、ポリカーボネート、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリエチレンフタレート(PETg)、セルロースアセトブチレート(CAB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、又はポリブチレンテレフタレート(PBT)のうちの少なくとも1つを含み、第2の層はポリオレフィンを含む、実施形態1に記載の高分子多層フィルム。
【0033】
3.第1の層がポリエチレンを含み、第2の層がポリプロピレンを含む、実施形態1に記載の高分子多層フィルム。
【0034】
4.前述の例示的な実施形態のうちいずれかに記載の物品の製造方法であって、少なくとも第1及び第2の分離可能な高分子層をニップに押し出して高分子多層フィルムを供給する工程を含み、該ニップが、高分子多層フィルムのうちの少なくとも第1及び第2の層内に延在するくぼみを付与する構造化表面を有する第1のロールを備える、方法。
【0035】
5.概して対向する第1及び第2の主要表面と、第1及び第2の主要表面の間に延在する開口部の配列と、互いに分離可能な少なくとも第1及び第2の隣接層とを有する高分子多層フィルムであって、各開口部が、第1及び第2の主要表面からの開口部を貫通する一連の面積を最小面積から最大面積を範囲として有し、最小面積が主要表面のうちの少なくとも片側にはない、高分子多層フィルム。
【0036】
6.第1の層が、ポリカーボネート、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエチレンテレフタレート(PET)、コポリエステル(PETg)、セルロースアセトブチレート(CAB)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、又はポリブチレンテレフタレート(PBT)のうちの少なくとも1つを含み、第2の層はポリオレフィンを含む、実施形態5に記載の高分子多層フィルム。
【0037】
7.高分子多層フィルムが、125マイクロメートル超(いくつかの実施形態では、150マイクロメートル超、200マイクロメートル超、250マイクロメートル超、500マイクロメートル超、750マイクロメートル超、1000マイクロメートル超、1500マイクロメートル超、2000マイクロメートル超、又は更に少なくとも2500マイクロメートル、いくつかの実施形態では、125マイクロメートル〜1500マイクロメートル、又は更に125マイクロメートル〜2500マイクロメートルの範囲)の厚さを有する、実施形態5又は6のいずれかに記載の高分子多層フィルム。
【0038】
8.1cm当たり少なくとも30個の開口部(いくつかの実施形態では、1cm当たり少なくとも100個の開口部、1cm当たり200個の開口部、1cm当たり250個の開口部、1cm当たり300個の開口部、1cm当たり400個の開口部、1cm当たり500個の開口部、1cm当たり600個の開口部、1cm当たり700個の開口部、1cm当たり750個の開口部、1cm当たり800個の開口部、1cm当たり900個の開口部、1cm当たり1000個の開口部、1cm当たり2000個の開口部、1cm当たり3000個の開口部、又は更に1cm当たり少なくとも4000個の開口部、いくつかの実施形態では1cm当たり30個〜200個の範囲の開口部、1cm当たり200個〜500個の範囲の開口部、又は更に1cm当たり500個〜4000個の範囲の開口部)を有する、実施形態5〜7のいずれかに記載の高分子多層フィルム。
【0039】
9.開口部が、100マイクロメートル以下(いくつかの実施形態では、250マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、又は1000マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では25マイクロメートル〜100マイクロメートルの範囲、100マイクロメートル〜250マイクロメートルの範囲、250マイクロメートル〜500マイクロメートルの範囲、又は更に500マイクロメートル〜1000マイクロメートルの範囲)の最大寸法を有する、実施形態5〜8のいずれかに記載の高分子多層フィルム。
【0040】
10.流動抵抗試験によって測定した場合、250レイリー〜2150レイリーの範囲(いくつかの実施形態では、650レイリー〜2150レイリー、又は更に1250レイリー〜2150レイリー)の流動抵抗を有する、実施形態5〜9のいずれかに記載の高分子多層フィルム。
【0041】
11.高分子多層フィルムの製造方法において、
少なくとも2つの分離可能な高分子層をニップに押し出して高分子多層フィルムを供給する工程であって、該ニップが、高分子多層フィルムの第1の主要表面を貫通するくぼみを付与する構造化表面を有する第1のロールを備える工程と、
くぼみを有する第1の主要表面を冷却ロールに通すと同時に、高分子多層フィルムの、概して対向する第2の主要表面に熱源を適用し、熱源からの熱を加えた結果、開口部が形成され、実施形態5〜10のいずれかに記載の高分子多層フィルムを供給する工程とを含む、方法。
【0042】
12.開口部を有する高分子多層フィルムのうちの少なくとも第1及び第2の層を分離する工程を更に含む、実施形態11に記載の方法。
【0043】
本発明の利点及び実施形態について以下の実施例によって更に説明するが、これら実施例において列挙される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈すべきではない。割合及びパーセンテージは全て、特に明記しない限り、重量による。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
以下の手順を使用して有孔高分子多層フィルムを調製した。層A、B及びCからなる三層高分子フィルムを、3つの押出機から幅25cmの3層を供給するマルチマニホールドダイ(Cloeren Inc.(Orange TX)製の商標名「CLOEREN」として入手)を使用して調製した。層A及びBは、同じ重合体から構成され(本明細書において以後、層「AB」と呼ぶ)、その結果、後続する押出法で層Cと合わせた1つの単層として本質的に作用した。押出法は、ツーリングロール(432)及び平滑鋼製バックアップロール(438)からなるニップ中に垂直下向きに実行した。押出法は、図4に概略的に示すように、層ABがツーリングロール(432)に接し、層Cがバックアップロール(438)に接するように、設定した。層Aの重合体は、6.35cmの単軸スクリュー押出機によって供給した。層Bの重合体は、6.35cmの単軸スクリュー押出機によって供給した。層Cの重合体は、3.2cmの単軸スクリュー押出機によって供給した。三つの押出機の加熱帯温度を、以下の表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
押出機の毎分回転数(rpm)を以下の表2に列挙する。
【0047】
【表2】
【0048】
黒色に着色したポリアミド樹脂(RTP社(Winona,MN)製の商標名「RTP 200 SE BLACK」として入手)を使用して層ABを押し出した。合わせた層AB(411)の基本重量は、251g/mであった。コポリエステル樹脂(Eastman Chemical社(Kingsport,TN)製の商標名「14285 COPETG」として入手)を使用して層C(412)を押し出した。層C(412)の基本重量は、82g/mであった。
【0049】
ニップを含む2つのロールは、呼び径30.5cm及び歯幅40.6cmの水冷したロール(432、438)であった。ニップ力は、空気圧シリンダーによって与えられた。平滑鋼製バックアップロール(438)の温度設定点は38℃であった。ツーリングロール(432)は、ロール表面に刻まれたオス型ポストフィーチャー(male post feature)(433)を有していた。オス型ポストフィーチャーは、クロムめっきされていた。ツール表面上のオス型フィーチャー(ポストとして定義)(433)は、ベースが正方形で頂上部が平らな正方形のピラミッド型であった。ポストの頂上部は94平方マイクロメートルであり、基部は500平方マイクロメートルであった。ポスト全体の高さは914マイクロメートルであった。ポストの中心間距離は、半径方向及びクロスロール方向の両方とも820マイクロメートルであった。ツーリングロール(432)は、摂氏38度の温度設定点を有した。ツーリングロール(432)及びバックアップロール(438)は、直結駆動していた。2つのニップロール間のニップ力は、リニアセンチメートル当たり531ニュートンであった。押出物を運び出すライン速度は、3.66m/min.であった。
【0050】
三層の重合体は、ダイ(409)から、ツーリング(432)とバックアップロール(438)間のニップに直接押し出された。ツーリングロール(432)上のオス型フィーチャー(433)が、押出物にくぼみを作製した。ツーリング(432)及びバックアップロール(438)の間に、重合体の薄層(426)が残った。典型的には、この薄層(426)は、20マイクロメートル未満の厚さであった。ツーリングロール(432)上に残存している押出物は、180度に巻き付けられ、冷却及び固化が施されて高分子多層フィルムが得られた。次いで多層フィルムを、ロール形態に巻いた。
【0051】
次いで、くぼみを含有する高分子多層フィルムを、以下の手順を用いて有孔フィルムに変換した。その開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,037,100号(Strobelら)に記載の火炎穿孔(flame perforation)システム、及びその開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,635,264号(Strobelら)のバーナーの設計を使用して薄層(426)を溶融し除去した。
【0052】
この実験の機材及び方法の具体的な修正点は、以下の通りであった。
冷却ロール(434)は、エッチング又は食刻パターンのない滑らかな表面のロールであった。
バーナー(439)は、その開示内容が参照により組み込まれる米国特許第7,635,264号(Strobelら)に記載の抗ハウリング設計の30.5センチメートル(12インチ)の六口バーナーであり、Flynn Burner社(New Rochelle,NY)から入手した。
巻き戻し張力:178ニュートンの総張力
巻き取り張力:178ニュートンの総張力
バーナー(439)BTU:5118 BTU/cm/時間(1500W/cm/時間)
1%余剰酸素
バーナー(439)とフィルム表面間のギャップ12mm
ライン速度:30m/min.
冷却ロールの冷水設定点:15.5℃
【0053】
高分子多層フィルムを、上記の条件下で図4に概略的に示す装置に通して処理した。ウェブの向きを、高分子薄層(426)を有するフィルム側面(424)が、バーナー(439)に最も近く、冷却ロール(434)の反対側になるようにした。冷却ロール(434)は、フィルム本体を冷却し、フィルムの大部分を高分子の軟化点未満に維持した。バーナー火炎(435)から生じる熱が、残留高分子薄層(426)を溶融させ、これによりフィルムに穿孔を施した。次いで層Cを層ABから分離し、層ABと同様にロールに巻き取った。
【0054】
(実施例2)
以下の表3に示す温度設定点を用いて、実施例1と同様に、高分子多層フィルムを押し出した。
【0055】
【表3】
【0056】
押出機の毎分回転数(rpm)を以下の表4に列挙する。
【0057】
【表4】
【0058】
黒色に着色されたポリカーボネート樹脂(「RTP 300 HR FR BLACK」)を使用して、層ABを押し出した。合わせた層AB(411)の基本重量は、239g/mであった。ポリプロピレンと中密度ポリエチレン樹脂とのランダム共重合体の重量による50/50ブレンド(A.Schulman社(Akron,OH)製の商標名「POLYBATCH DUL 3636 DP12」として入手)を使用して、層C(412)を押し出した。層C(412)の基本重量は、69g/mであった。
【0059】
三層ABC押出物を、実施例1と同じニップロール配置及び処理パラメーターを用いて、押し出した。次いで、くぼみを含有する高分子多層フィルムを、実施例1と同じ手順及び処理パラメーターを用いて有孔フィルムに変換した。次いで層Cを層ABから分離し、層ABと同様にロールに巻き取った。
【0060】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本開示の予測可能な修正及び変更が当業者には自明であろう。本発明は、説明を目的として本出願に記載される実施形態に限定されるべきものではない。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[12]に記載する。
[項目1]
概して対向する第1及び第2の主要表面と、互いに分離可能な隣接した第1及び第2の層と、前記第1及び第2の層内に延在するくぼみの配列と、を有する高分子多層フィルム。
[項目2]
前記第1の層が、ポリカーボネート、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロースアセトブチレート、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、又はポリブチレンテレフタレートのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の層がポリオレフィンを含む、項目1に記載の高分子多層フィルム。
[項目3]
前記第1の層がポリエチレンを含み、前記第2の層がポリプロピレンを含む、項目1に記載の高分子多層フィルム。
[項目4]
少なくとも第1及び第2の分離可能な高分子層をニップに押し出して高分子多層フィルムを供給する工程を含み、前記ニップが、高分子多層フィルムのうちの少なくとも第1及び第2の層内に延在するくぼみを付与する構造化表面を有する第1のロールを備える、前記項目のいずれか一項に記載の物品を製造する方法。
[項目5]
概して対向する第1及び第2の主要表面と、第1及び第2の主要表面の間に延在する開口部の配列と、互いに分離可能な少なくとも第1及び第2の隣接層とを有する高分子多層フィルムであって、各開口部が、第1及び第2の主要表面からの開口部を貫通する一連の面積を最小面積から最大面積を範囲として有し、最小面積が主要表面のうちの少なくとも片側にはない、高分子多層フィルム。
[項目6]
前記第1の層が、ポリカーボネート、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロースアセトブチレート、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、又はポリブチレンテレフタレートのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の層がポリオレフィンを含む、項目5に記載の高分子多層フィルム。
[項目7]
125マイクロメートル超の厚さを有する、項目5又は6のいずれかに記載の高分子多層フィルム。
[項目8]
1cm当たり少なくとも30個の開口部を有する、項目5〜7のいずれか一項に記載の高分子多層フィルム。
[項目9]
開口部が、100マイクロメートル以下の最大寸法を有する、項目5〜8のいずれか一項に記載の高分子多層フィルム。
[項目10]
流動抵抗試験によって測定した場合、250レイリー〜2150レイリーの範囲の流動抵抗を有する、項目5〜9のいずれか一項に記載の高分子多層フィルム。
[項目11]
高分子多層フィルムの製造方法であって、前記方法が、
少なくとも2つの分離可能な高分子層をニップに押し出して高分子多層フィルムを供給する工程であって、前記ニップが、前記高分子多層フィルムの第1の主要表面を貫通するくぼみを付与する構造化表面を有する第1のロールを備える、工程と、
前記くぼみを有する前記第1の主要表面を冷却ロールに通すと同時に、前記高分子多層フィルムの、概して対向する第2の主要表面に熱源を適用する工程であって、前記熱源からの熱を加えた結果、開口部が形成され、項目5〜10のいずれか一項に記載の高分子多層フィルムを供給する、工程と、を含む、方法。
[項目12]
開口部を有する前記高分子多層フィルムのうちの少なくとも前記第1及び第2の層を分離する工程を更に含む、項目11に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図4A
図4B