特許第6553590号(P6553590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6553590サンプルレートを仮想的に増加させた音声フィルタ処理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553590
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】サンプルレートを仮想的に増加させた音声フィルタ処理
(51)【国際特許分類】
   H03H 17/00 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   H03H17/00 621Z
   H03H17/00 601J
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-504418(P2016-504418)
(86)(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公表番号】特表2016-518756(P2016-518756A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】AU2014000319
(87)【国際公開番号】WO2014153606
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2017年3月24日
(31)【優先権主張番号】61/805,432
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/805,406
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/805,466
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/805,469
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/805,449
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/805,463
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/819,630
(32)【優先日】2013年5月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/903,225
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515267714
【氏名又は名称】バラット,ラックラン,ポール
【氏名又は名称原語表記】BARRATT,Lachlan,Paul
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】バラット,ラックラン,ポール
【審査官】 竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02341621(EP,A2)
【文献】 特開平02−092109(JP,A)
【文献】 特開2002−026690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 17/00−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号をデジタルフィルタ処理する方法において、
音声フィルタを提供するステップであって、前記音声フィルタは当該フィルタのインパルス応答によって表され、前記インパルス応答が時間領域内の数学関数により表された波形を含んでおり、前記インパルス応答が複数の隣接するサンプル点を含んでいるステップと、
前記インパルス応答の隣接するサンプル点の間の中間サンプル点を導入することにより、前記音声フィルタのインパルス応答のサンプルレートを増加されたサンプルレートに増加させるステップと、
各中間サンプル点における重みを決定するステップであって、(i)前記隣接するサンプル点のそれぞれにおける音声フィルタのインパルス応答を表す波形を指定し、(ii)関係する前記隣接するサンプル点と前記中間サンプル点との間で、前記指定された波形の各々を時間領域においてシフトさせ、(iii)前記中間サンプル点においてシフトされた前記波形の数値を組み合わせて重みを導きだすことにより、重みを決定するステップと、
前記中間サンプル点のそれぞれにおいて、前記音声フィルタのインパルス応答に前記重みを適用するステップと、
他の音声フィルタを提供するステップと、
畳込みまたは数学的積分のいずれかによって、前記音声フィルタと前記他の音声フィルタを複合して複合音声フィルタを得るステップと、
前記複合音声フィルタを用いて音声信号をフィルタ処理するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記指定された波形は、それぞれ、前記関係する隣接するサンプル点と前記中間サンプル点との間で時間領域においてシフトされることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記音声フィルタを複合するステップが、各音声フィルタのインパルス応答の畳込みにより行われることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記重みが前記サンプル点の所定の数にわたり適用されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記複合音声フィルタがフィルタバンクの組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記フィルタバンクが、共同で、フィルタ処理される音声信号を表す周波数帯域幅を規定することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記複合音声フィルタがナイキスト周波数に近づける低域通過フィルタであり、前記中間サンプル点を導入した前記フィルタのそれぞれにおけるインパルス応答から、ナイキスト周波数以上が取り除かれることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法が、さらに、時間領域の指数因子から得られた平均化曲線を、前記音声フィルタのそれぞれを表すインパルス応答の波形に適用するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記平均化曲線が、これが適用される音声フィルタを表すインパルス応答の波形の周波数に反比例する幅に調整されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記インパルス応答が、時間領域において正弦関数で表されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記インパルス応答が、時間領域において絶対値の正弦関数で表されることを特徴とする方法。
【請求項12】
複数の音声フィルタを用いて音声信号をデジタルフィルタ処理するための命令を含む固定コンピュータまたは機械読取可能媒体において、各音声フィルタが当該フィルタのインパルス応答により表され、前記インパルス応答が時間領域内の数学関数により表された波形を含み、前記インパルス応答が複数の隣接するサンプル点を含み、前記命令がプロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
音声フィルタを提供し、
前記インパルス応答の隣接するサンプル点の間の中間サンプル点を導入することにより、前記音声フィルタのインパルス応答のサンプルレートを増加されたサンプルレートに増加させて、
(i)前記隣接するサンプル点のそれぞれにおける音声フィルタのインパルス応答を表す波形を指定し、(ii)関係する前記隣接するサンプル点と前記中間サンプル点との間で、前記指定された波形の各々を時間領域においてシフトさせ、(iii)前記中間サンプル点においてシフトされた前記波形の数値を組み合わせて重みを導きだすことにより、各中間サンプル点における重みを決定し、
前記中間サンプル点のそれぞれにおいて、前記音声フィルタのインパルス応答に前記重みを適用し、
他の音声フィルタを提供し、
畳込みまたは数学的積分のいずれかによって、前記音声フィルタと前記他の音声フィルタを複合して複合音声フィルタを得て、
前記複合音声フィルタを用いて音声信号をフィルタ処理する、
ようにさせることを特徴とする固定コンピュータまたは機械読取可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年3月26日に出願された米国特許出願第61/805,432号明細書の優先権を主張するものであり、その内容をこの引用により本願に援用する。本願は、2013年3月26日に出願された米国特許出願第61/805,406号明細書、同第61/805,466号明細書、同第61/805,469号明細書、同第61/805,449号明細書、同第61/805,463号明細書に関係しており、必要に応じてその優先権を主張するものであり、それらの内容をこの言及によって本願に援用する。本願はまた、2013年5月5日に出願された米国特許出願第61/819,630号明細書および2013年11月12日に出願された米国特許出願第61/903,225号明細書に関係しており、必要に応じてその優先権を主張するものであり、それらの内容をこの引用により本願に援用する。
【0002】
本発明は広く、音声信号をデジタルフィルタ処理する方法に関する。本発明は特に、限定的ではないが、音声イコライゼーション(EQ)における音声信号のデジタルフィルタ処理に関する。本発明は、画像ならびに、デジタル通信および処理に関連する信号をはじめとする他の信号のフィルタ処理を含む他のデジタルフィルタ処理にも及ぶ。
【背景技術】
【0003】
デジタル記録再生において、音声を表すアナログ信号は、操作と保存に適したデジタル信号に変換される。この変換は、アナログ−デジタル変換器(ADC)で実行される。保存されたデジタル信号は、デジタル−アナログ変換器(DAC)で再びアナログ信号に変換できる。アナログ信号は、従来のオーディオ音声機器、例えばアンプとスピーカを使って再生される。デジタル信号は、DACの前に操作してその質を高めてから再生できる。この操作は音声EQを含み、その中では音声の周波数スペクトルのうちの選択された部分がフィルタ処理により、例えば周波数応答の不規則性が補償される。デジタル信号はまた、デジタル信号への、またはアナログ信号に戻す際のその変換から生じる問題を解決するためにフィルタ処理されてもよい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第一の態様によれば、音声信号をデジタルフィルタ処理する方法が提供され、前記方法は、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの音声フィルタを提供するステップと、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させるステップであって、中間サンプル点は(i)隣接するサンプル点のそれぞれにおける音声フィルタを実質的に表す5波形を指定し、(ii)関係する隣接するサンプル点と中間サンプル点との間で、指定された波形の各々を時間領域においてシフトさせ、(iii)中間サンプル点においてシフトされた波形の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされるステップと、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供するステップと、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得るステップと、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、所定のサンプルレートで音声信号をフィルタ処理するステップと、
を含む。
【0005】
本発明の第二の態様によれば、音声信号をデジタルフィルタ処理する方法が提供され、前記方法は、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの音声フィルタを提供するステップと、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させるステップであって、中間サンプル点は、(i)音声フィルタを実質的に表し、中間サンプル点と整合するようにその時間領域においてシフトされた仮想波形を提供し、(ii)シフトされた仮想波形を時間領域において拡張させ、(iii)隣接するサンプル点において拡張された仮想波形の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされるステップと、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供するステップと、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて、増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得るステップと、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、音声信号を所定のサンプルレートでフィルタ処理するステップと、
含む。
【0006】
本発明の第三の実施形態によれば、音声信号をデジタルフィルタ処理する方法が提供され、前記方法は、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの音声フィルタを提供するステップと、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させるステップであって、中間サンプル点は、(i)音声フィルタを実質的に表し、中間サンプル点と整合するようにその時間領域においてシフトされた仮想波形を提供し、(ii)隣接するサンプル点における仮想波形の数値を決定し、(iii)隣接するサンプル点の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされるステップと、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供するステップと、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて、増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得るステップと、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、音声信号を所定のサンプルレートでフィルタ処理するステップと、
含む。
【0007】
本発明の第によれば、音声信号をデジタルフィルタ処理する方法が提供され、前記方法は、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの音声フィルタを提供するステップと、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させるステップであって、中間サンプル点は(i)隣接するサンプル点のそれぞれにおける音声フィルタを実質的に表す波形を指定し、(ii)中間サンプル点における指定された波形の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされるステップと、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供するステップと、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて、増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得るステップと、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、音声信号を所定のサンプルレートでフィルタ処理するステップと、
含む。
【0008】
好ましくは、指定された波形は各々、実質的に隣接するサンプル点と中間サンプル点との間の中間で時間領域においてシフトされる。
【0009】
好ましくは、シフトされた仮想波形は、時間領域において、実質的に係数で拡張される。
【0010】
好ましくは、音声フィルタを組み合わせるステップは畳み込みによって行われ、他の音声フィルタはその隣接するサンプル点間に1つまたは複数の中間サンプル点を含み、前記畳み込みは、音声フィルタを他の音声フィルタに関してシフトさせることを含み、音声フィルタの隣接するサンプル点の少なくとも1つは他の音声フィルタの中間サンプル点の少なくとも1つに対応する。
【0011】
好ましくは、重みは、前記隣接するサンプル点のうちの所定の数にわたり適用される。
【0012】
好ましくは、複合音声フィルタはフィルタバンクの組み合わせである。より好ましくは、フィルタバンクは共同で、フィルタ処理されるべき音声信号を概して表す周波数帯域幅を定義する。
【0013】
好ましくは、複合音声フィルタはナイキスト周波数に近付ける低域通過フィルタである。
【0014】
好ましくは、1つまたは複数の波形の各々は、音声フィルタのそれぞれに供給されるインパルスによって生成されるインパルス応答を含む。より好ましくは、方法はまた、インパルス応答の周波数成分に平均化曲線を適用するステップを含む。さらにより好ましくは、平均化曲線は、それが適用されるインパルス応答の周波数成分のそれぞれに比例する幅に調整される。
【0015】
好ましくは、インパルス応答は、時間領域においてsinc関数により表現される。
【0016】
あるいは、インパルス応答は、時間領域において絶対時間値の正弦関数により表現される。
【0017】
本発明の第五の態様によれば、各々が所定のサンプルレートの複数の音声フィルタを使って音声信号をデジタルフィルタ処理するための命令を含むコンピュータまたは機械読取可能媒体が提供され、前記命令は、プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの音声フィルタを提供し、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加された5サンプルレートに増加させ、中間サンプル点は、(i)隣接するサンプル点のそれぞれにおける音声フィルタを実質的に表す波形を指定し、(ii)関係する隣接するサンプル点と中間サンプル点との間で、指定された波形の各々を時間領域においてシフトさせ、(iii)中間サンプル点においてシフトされた波形の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされ、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供し、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得て、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、所定のサンプルレートで音声信号をフィルタ処理する、
ようにさせる。
【0018】
本発明の第六の態様によれば、各々が所定のサンプルレートの複数の音声フィルタを使って音声信号をデジタルフィルタ処理するための命令を含むコンピュータまたは機械読取可能媒体が提供され、前記命令は、プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの音声フィルタを提供し、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させ、中間サンプル点は、(i)音声フィルタを実質的に表し、中間サンプル点と整合するようにその時間領域においてシフトされた仮想波形を提供し、(ii)シフトされた仮想波形を時間領域において拡張させ、(iii)隣接するサンプル点において拡張された仮想波形の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされ、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供し、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて、増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得て、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、音声信号を所定のサンプルレートでフィルタ処理する、
ようにさせる。
【0019】
本発明の第七の態様によれば、各々が所定のサンプルレートの複数の音声フィルタを使って音声信号をデジタルフィルタ処理するための命令を含むコンピュータまたは機械読取可能媒体が提供され、前記命令は、プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させ、中間サンプル点は、(i)音声フィルタを実質的に表し、中間サンプル点と整合するようにその時間領域においてシフトされた仮想波形を提供し、(ii)隣接するサンプル点における仮想波形の数値を決定し、(iii)隣接するサンプル点の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされ、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供し、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて、増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得て、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、音声信号を所定のサンプルレートでフィルタ処理する、
ようにさせる。
【0020】
本発明の第の態様によれば、各々が所定のサンプルレートの複数の音声フィルタを使って音声信号をデジタルフィルタ処理するための命令を含むコンピュータまたは機械読取可能媒体が提供され、前記命令は、プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの音声フィルタを提供し、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させ、中間サンプル点は、(i)隣接するサンプル点のそれぞれにおける音声フィルタを実質的に表す波形を指定し、(ii)中間サンプル点における指定された波形の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされ、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供するステップと
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて、増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得て、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、音声信号を所定のサンプルレートでフィルタ処理する、
ようにさせる。
【0021】
本発明の第九の態様によれば、音声信号をデジタルフィルタ処理するシステムが提供され、システムは、
各々が所定のサンプルレートの複数の音声フィルタと、
プロセッサであって、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの音声フィルタを提供し、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させ、中間サンプル点は、(i)隣接するサンプル点のそれぞれにおける音声フィルタを実質的に表す波形を指定し、(ii)関係する隣接するサンプル点と中間サンプル点との間で、指定された波形の各々を時間領域においてシフトさせ、(iii)中間サンプル点においてシフトされた波形の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされ、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供し、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得て、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、所定のサンプルレートで音声信号をフィルタ処理する、
ように構成されたプロセッサと、
を含む。
【0022】
本発明の第十の態様によれば、音声信号をデジタルフィルタ処理するシステムが提供され、システムは、
各々が所定のサンプルレートの複数の音声フィルタと、
プロセッサであって、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの音声フィルタを提供し、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させ、中間サンプル点は、(i)音声フィルタを実質的に表し、中間サンプル点と整合するようにその時間領域においてシフトされた仮想波形を提供し、(ii)シフトされた仮想波形を時間領域において拡張させ、(iii)隣接するサンプル点において拡張された仮想波形の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされ、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供し、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて、増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得て、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、音声信号を所定のサンプルレートでフィルタ処理する、
ように構成されたプロセッサと、
を含む。
【0023】
本発明の第十一の態様によれば、音声信号をデジタルフィルタ処理するシステムが提供され、システムは、
各々が所定のサンプルレートの複数の音声フィルタと、
プロセッサであって、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させ、中間サンプル点は、(i)音声フィルタを実質的に表し、中間サンプル点と整合するようにその時間領域においてシフトされた仮想波形を提供し、(ii)隣接するサンプル点における仮想波形の数値を決定し、(iii)隣接するサンプル点の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされ、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供し、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて、増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得て、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、音声信号を所定のサンプルレートでフィルタ処理する、
ように構成されたプロセッサと、
を含む。
【0024】
本発明の第十二の態様によれば、音声信号をデジタルフィルタ処理するシステムが提供され、システムは、
各々が所定のサンプルレートの複数の音声フィルタと、
プロセッサであって、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの音声フィルタを提供し、
音声フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させ、中間サンプル点は、(i)隣接するサンプル点のそれぞれにおける音声フィルタを実質的に表す波形を指定し、(ii)中間サンプル点における指定された波形の数値を組み合わせて重みを導き出し、中間サンプル点のそれぞれにおいて音声フィルタに重みを適用することによって重み付けされ、
増加されたサンプルレートの他の音声フィルタを提供するステップと、
音声フィルタと他の音声フィルタとを組み合わせて、増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを得て、
得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを使って、音声信号を所定のサンプルレートでフィルタ処理する、
ように構成されたプロセッサと、
を含む。
【0025】
本発明の第十三の態様によれば、画像をデジタルフィルタ処理する方法が提供され、前記方法は、
隣接するサンプル点を含む所定のサンプルレートの画像フィルタを提供するステップと、
画像フィルタのサンプルレートを、隣接するサンプル点間の中間サンプル点を含む増加されたサンプルレートに増加させるステップであって、中間サンプル点は隣接するサンプル点の影響に応じて重み付けされるステップと、
増加されたサンプルレートの他の画像フィルタを提供するステップと、
中間サンプル点の各々の重みを、画像フィルタを実質的に表す1つまたは複数の波形に基づいて計算するステップと、
中間サンプル点のそれぞれにおいて画像フィルタに重みを適用するステップと、
画像フィルタと他の画像フィルタを組み合わせて、増加されたサンプルレートの複合画像フィルタを得るステップと、
得られた増加されたサンプルレートの複合画像フィルタを使って、画像を所定のサンプルレートでフィルタ処理するステップと、
を含む。
【0026】
好ましくは、画像は、複合画像フィルタが適用される画素マトリクスを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、デジタル音声記録再生における本発明の実施形態の応用の概略図を示す。
図2図2は、本発明のある実施形態の音声フィルタのインパルス応答である。
図3図3は、サンプルレートを増加させた図2のインパルス応答の拡大図である。
図4図4は、従来のフィルタの周波数応答(破線の要素で示される)と比較される、本発明のある実施形態による複合音声フィルタの周波数応答である。
図5図5は、サンプルレートを複合音声フィルタの所定のレートに戻す概略図である。
図6図6は、フィルタのサンプルレートを増加させるための1つの手法の概略図である。
図7図7は、本発明のある実施形態によるサンプルレート調整のための1つの手法の概略図である。
図8図8は、フィルタのサンプルレートを増加させるための他の手法の概略図である。
図9図9は、インパルス応答のサンプルレートを増加させるための代替的手法の概略図である。
図10図10は、関係する音声数値に適用されるべき、中間サンプル点のための重み付けを示すグラフである。
図11図11は、インパルス応答のサンプルレートを増加させるための他の代替的手法の概略図である。
図12図12は、本発明のある実施形態によるそれぞれのインパルス応答に適用される平均化曲線を示す。
図13図13は、本発明のある実施形態によるそれぞれのインパルス応答に適用される平均化曲線を示す。
図14図14は、インパルス応答の周波数に関する、異なる幅の平均化曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、好ましい実施形態において、得られた増加されたサンプルレートの複合音声フィルタを適用することにより、音声信号を所定のサンプルレートでデジタルフィルタ処理する方法に関する。複合音声フィルタは、1つの音声フィルタを増加されたサンプルレートの他の音声フィルタと組み合わせることによって得られる。この実施形態において、音声フィルタのサンプルレートは、その所定のサンプルレートから増加させたサンプルレートへと、中間サンプル点の重み付けを含む様々な手法によって増加されてもよい。
【0029】
図1は、デジタル音声記録再生の過程における本開示の各種の実施形態の応用を示す。アナログ音声信号10は、アナログ−デジタル変換器(ADC)12においてデジタル音声信号に変換される。デジタル音声信号には次に、例えば音声イコライゼーション(EQ)において、デジタルプロセッサ14での信号処理が行われてもよい。処理されたデジタル信号はダウンサンプルされて、記憶メモリ16に保存され、その後、再生の前に、サンプルレートがその分解能を高めるために増加される。比較的高い分解能のデジタル音声信号はその後、デジタル−アナログ変換器(DAC)18でアナログ信号20に戻される。
【0030】
当然のことながら、本開示の各種の実施形態は、以下において応用できる。
i)デジタル音声信号に、いくつかの実施形態において重み付けにより行うことのできるサンプルレートの増加、すなわちオーバーサンプリングが行われるADC 12
ii)例えばデジタル信号が低域通過フィルタまたは帯域通過フィルタでフィルタ処理されるデジタル信号プロセッサ14またはEQに関連するデジタルフィルタ
iii)フィルタ処理された音声信号に対し、再生の前にサンプルレート増加、すなわちアップサンプリングが行われる記憶メモリ16の下流
【0031】
本開示のいくつかの実施形態は、コンピュータプログラムコードまたはソフトウェアで具現化されてもよい。デジタル信号プロセッサ14のデジタルフィルタは、特定の周波数応答によって表現される。特定の周波数応答は一般に、フィルタのインパルス応答に依存し、これは本発明の各種の実施形態のソフトウェアまたは技術により特徴付けられる。本実施形態は、それによってデジタルフィルタが分類される基本的な種類の周波数応答をカバーし、これには低域通過、高域通過、帯域通過、および帯域除去またはノッチフィルタが含まれる。デジタルフィルタは、有限インパルス応答(FIR)または無限インパルス応答(IIR)フィルタに大きく分類される。
【0032】
仮想的に増加させたサンプルレートを用いた音声フィルタ処理のこの実施形態を理解するために、複合音声フィルタは、簡潔を期し、2つの音声フィルタから得られるが、当然のことながら、いくつのフィルタを使用してもよい。複合音声フィルタは一般に、フィルタバンクを含む。フィルタバンクは共同で、フィルタ処理するべき音声信号またはスペクトルを表す周波数帯域幅を定義する。この実施形態において、インパルス応答は、それぞれのフィルタに供給されるインパルスにより生成される。フィルタの各々に関するインパルス応答は、等式、
によるsinc関数により表されてもよく、式中、lpfは低域通過フィルタのコーナ周波数であり、xはx軸上の時間可変値であり、e−(qx)2は平均化曲線を表し、qが平均化曲線のアスペクト比を表す。理解すべき点として、sinc関数はcos成分の総和である。
【0033】
図2は、式1のインパルス応答を示す。理解すべき点として、a[0]はインパルスが発生するインスタンスであり、a[n]はインパルス応答に関する隣接サンプル点を指定し、nは所定のサンプルレートでのサンプル点の数である。この実施形態において、所定のサンプルレートは44.1kHz(サンプル毎秒)であるが、当然のことながら、用途に応じて他の何れのサンプルレートを使用してもよい。
【0034】
図3は、サンプルレートを増加されたサンプルレートまで増加させた図2のインパルス応答の拡大図を示す。例示の目的にすぎないが、所定のサンプルレートは係数10で増加され、隣接するサンプルル点、例えばa[0]とa[1]との間にa[0a]からa[0i]で示される9つの中間の等間隔のサンプル点がある。いくつかの実施形態において、所定のサンプルレートは、現実には最大1,000の係数で増加されてもよく、その場合、増加後のサンプルレートは44,100kHzである。
【0035】
この実施形態において、フィルタは畳み込みによって複合されて、複合音声フィルタの1つを得る。このインパルス応答aとbの畳み込みはサンプル配列により表され、これはまた、数学的に等式、
によっても定義可能であり、式中、Nはインパルス応答aとbの各々のサンプル数であり、kはインパルス応答bのサンプルの各々の0〜N−1である。それゆえ、このサンプル配列は2N−1の行と列を含む。配列の各列のサンプル数値の総和が複合音声フィルタを表す。複合音声フィルタを数学的に、サンプルの無限数にわたるインパルス応答を積分することによって表すことも可能である。
【0036】
複合音声フィルタは、この例においては、ナイキスト周波数に近付ける低域通過フィルタである。各種のインパルス応答に対するサンプルレート増加の実行中に、ナイキスト周波数以上が実質的に取り除かれる。複合フィルタまたはその他の複合フィルタはまた、用途に応じて帯域通過または帯域除去フィルタとしても機能できる。図4は、この実施形態の複合音声フィルタの応答を、サンプルレート増加が行われない従来の音声フィルタの周波数応答(破線の要素で示す)と共に示す。この実施形態の複合フィルタの周波数応答は、それがナイキスト周波数に近付く間にコーナ周波数を有するのに対し、従来のフィルタの周波数応答は何の影響もなく平坦であることがわかる。
【0037】
複合音声フィルタは、増加されたサンプルレートでの精度が向上するという利点を有するように「構成」される。図5に示されるように、複合音声フィルタは、音声信号のフィルタ処理を行う前に、所定のサンプルレートに戻される。それゆえ、複合フィルタは、サンプルレートを仮想的に増加させて、所定のサンプルレートで音声に適用され、これはプロセッサのパワーの点での要求が少なくて済む。
【0038】
いくつかの実施形態において、音声フィルタの各々のサンプルレート増加は、次を含む後述の2つの技術により実行されてもよい。
1.隣接音声信号のシフト、および/または
2.仮想インパルス応答の拡張
【0039】
シフトされた隣接音声信号を使ったインパルス応答の数値に重み付けを行う中で、隣接するインパルス応答が、決定されるべき中間サンプル点の何れかの側から指定される。指定された隣接するサンプルの各々はすると、実質的に隣接するサンプル点と中間サンプル点との間の中間で時間領域においてシフトされる。この例では、関係する重みは、シフトされた隣接インパルス応答の各々が関係する中間サンプル点において貢献する数値を合計することによって計算される。
【0040】
この手法が図6に概略的に示されている。重みは、隣接するサンプル点の所定の数、例えば1,024のサンプル点にわたり適用されてもよい。
【0041】
この重み付け手法の使用において、音声フィルタの複合は、音声フィルタの隣接するサンプル点が、少なくともそれが適用される他の音声フィルタの中間サンプル点の各々と整合し、またはそれに対応するように調整されたサンプリングレートで行われる。その中で、音声フィルタを、調整されたサンプリングレートにおいて他の音声フィルタに関してシフトさせる。例えば、他の音声フィルタが、その隣接するサンプル点間の実質的に中間にある介在サンプル点を含む場合、フィルタを相互に適用するために調整されたサンプリングレートは実質的に、所定のサンプルレートの半分である。図7は、サンプリングレートを調整するためのこの手法を概略的に示している。
【0042】
サンプリングレートは、この実施形態においては、1つおきのインパルス応答を畳み込むことによって調整される。これは、図7の一番上のインパルス応答が実線の要素で示されている3つのインパルス応答と畳み込まれ、それ以外の、破線で示されるインパルス応答は実際上、無視されることを意味する。その結果としての、すなわち複合音声フィルタは、図7の、破線の要素で示される一番下のインパルス応答であり、この例では、下式、
により表現される。
【0043】
所定のサンプルレート44.1kHzの場合、調整されたサンプリングレートは、この例では22.05kHzである。他の音声フィルタがその隣接するサンプル点間に9つの介在サンプル点を有する場合、調整後のサンプリングレートは、所定のサンプルレートの10分の1となる。これは、所定のサンプルレート44.1kHzの場合、調整されたサンプリングレート4.41kHzに等しい。当然のことながら、サンプリングレートの調整は、中間サンプル点の各々の重みの計算において指定された隣接するサンプル点のシフトを「補正」する。時間領域における指定された隣接するサンプル点のシフトは概して、音声フィルタの畳み込みにおけるサンプルレートの調整に比例する。それゆえ、隣接するサンプル点と中間サンプル点との間の中間にある指定された隣接するサンプルのシフトは、サンプリングレートを2分の1の係数で調整することを意味する。
【0044】
拡張された仮想インパルス応答を使ったインパルス応答の数値を重み付けにおいて、関係するインパルス応答は、実際上、その時間領域が決定されるべき中間サンプル点と整合するようにシフトされた仮想インパルス応答として再現される。いくつかの実施形態において、仮想の、シフトされたインパルス応答は、その時間領域において実質的に係数2だけ拡張される。この例において、関係する重みは、隣接するサンプル点において拡張されたインパルス応答の数値を合計することによって計算される。この技術が、図8に概略的に示されている。重みは、隣接するサンプル点の所定の数、例えば1,024のサンプル点にわたって適用されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態において、音声フィルタの各々についてのサンプルレート増加は、あるいは、以下の2つの手法、すなわちi)仮想音声信号および/またはii)隣接音声信号を使って実行されてもよい。
【0046】
仮想音声信号を使ったインパルス応答の数値の重み付けにおいて、関係するインパルス応答は、実際上、その時間領域が決定されるべき中間サンプル点と整合するようにシフトされた仮想インパルス応答として再現される。重みは隣接するサンプル点における仮想音声信号の数値を合計することによって計算され、重みはこれらの数値の総和に反比例する係数である。関係する重みまたは係数は、中間サンプル点のそれぞれにおけるフィルタのインパルス応答に適用される。この手法が図9に概略的に示されている。重みは、隣接するサンプル点の所定の数にわたって計算されてもよい。この実施形態において、下式は、1024の隣接サンプル点が考慮される、中間サンプル点の各々の数値の重みを提供する。
式中、nはサンプル数であり、qは平均化曲線のアスペクト比を表し、lpfは低域通過フィルタのコーナ周波数である。
【0047】
図10は、関係するインパルス応答の数値に適用されるべき中間サンプル点a[0a]からa[0i]までの各々の重み付けを示す。
【0048】
隣接する音声信号を使ったインパルス応答の数値の重み付けにおいて、隣接するインパルス応答は、決定されるべき中間サンプル点の何れかの側から指定される。この例において、関係する重みは、指定された隣接するインパルス応答の各々が、関係する中間サンプル点において貢献する数値を合計することによって計算される。この手法は図11に概略的に示されている。重みは、隣接するサンプル点の所定の数、例えば1024のサンプル点にわたり適用されてもよい。
【0049】
他の実施形態において、インパルス応答に適用される平均化曲線は、それが適用されるインパルス応答の周波数に比例する幅に調整されてもよい。図12は、比較的高周波数のインパルス応答に適用される約サンプル4つ分の幅を有する平均化曲線を示す。図13は、比較的低周波数の他のインパルス応答に適用される約サンプル8つ分の幅を有する調整された平均化曲線を示す。どちらの場合も平均化曲線の幅、すなわちqは、対応するインパルス応答の周波数に実質的に比例することがわかる。これは、図14において概略的に示されており、平均化曲線の幅は、インパルス応答の周波数の減少に伴い、z軸において増加する。
【0050】
本発明の他の態様において、音声フィルタは増加されたサンプルレートで提供され、所定のサンプルレートで音声信号に適用される。音声フィルタへのサンプルレート増加は、説明した重み付け方式の何れか1つを使って提供され、中間サンプル点は、隣接するサンプル点の影響に応じて重み付けされる。
【0051】
本開示のいくつかの実施形態を説明したところで、当業者にとっては、音声信号をデジタルフィルタ処理するこの方法には、先行技術に比べて少なくとも以下のような利点を有することが明らかであろう。
1.サンプルレートが増加された複合音声フィルタが得られ、これは、その周波数応答において比較的「スムーズな」フィルタを提供する。
2.複合フィルタは、例えばEQにおけるフィルタ処理を改善する。
3.複合フィルタの「設計」は、それが大幅に増加されたサンプルレートのフィルタから「構成される」という点で、アナログフィルタに似ている。
4.複合音声フィルタは実質的に、アナログフィルタおよび先行技術のデジタルフィルタに固有の、望ましくない共鳴を実質的に低減させる。
5.それが提供する周波数応答は、よりスムーズであり、この点において、よりアナログフィルタに似ている。
6.複合フィルタは、サンプルレートを増加させずに、関係する音声に比較的高分解能で適用される。
【0052】
当業者であれば、本明細書に記載されている発明には、具体的に説明されたもの以外の変更や改良を加えることかできると理解するであろう。例えば、インパルス応答は事実上、何れの波形であってもよい。数式により表現される場合、インパルス応答はsinc関数に限定されず、以下のようなその他の波形を含む。
i)時間領域内で表現される絶対値の正弦関数
ii)実質的にその周期の4分の1シフトさせた制限関数
iii)ゼロ(0)から正の無限大までのみの数値の正弦関数
iv)正の数値のみに関するsinc関数(コサイン成分の総和)
【0053】
音声信号の処理は、音響に限定される必要はなく、超音波やソナーをはじめとする他の音声用途にも拡張される。本発明はまた、音声信号以外に、例えば一般に変位を電気信号に変換するひずみゲージやその他のトランスデューサ等の測定機器から取得されるような物理的変位から得られる信号を含むその他の信号にも拡張される。本発明はまた、デジタル通信に関連する信号のデジタルフィルタ処理も含む。
【0054】
本発明は、他の実施形態において、画像および画像フィルタにも適用され、この場合、例えばある画像の画素マトリクスが複合画像フィルタでフィルタ処理される。いくつかの実施形態において、複合画像フィルタは、2つ以上の増加したサンプルレートの画像フィルタを組み合わせることによって得られる。中間サンプル点を含めるようにサンプルレートを増加させる中で、これらの中間点は、隣接するサンプル点の影響に応じて重み付けされる。
【0055】
このような変更形態と改良形態はすべて、本発明の範囲に含まれると考えられ、その性質は上記の説明から判断される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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