(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553604
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】シールの完全性の非破壊圧力試験を可能にする管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 47/03 20060101AFI20190722BHJP
G01M 3/04 20060101ALI20190722BHJP
F16L 47/30 20060101ALI20190722BHJP
B29C 65/34 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
F16L47/03
G01M3/04 G
F16L47/30
B29C65/34
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-532793(P2016-532793)
(86)(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公表番号】特表2016-534293(P2016-534293A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】IS2014050007
(87)【国際公開番号】WO2015019367
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2017年8月3日
(31)【優先権主張番号】050059
(32)【優先日】2013年8月8日
(33)【優先権主張国】IS
(73)【特許権者】
【識別番号】516036685
【氏名又は名称】プロパー パイプ イーエイチエフ.
(73)【特許権者】
【識別番号】516036696
【氏名又は名称】メンコス,ルベン,アドルフォ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】メンコス,ルベン,アドルフォ
【審査官】
吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−257284(JP,A)
【文献】
独国実用新案第000020213972(DE,U1)
【文献】
特開平09−264484(JP,A)
【文献】
特開2001−124211(JP,A)
【文献】
特開平04−140593(JP,A)
【文献】
特開平07−301385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 47/03
B29C 65/34
F16L 47/30
G01M 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隙間ないシールにより少なくとも2つのパイプ部を互いに接合するための継手であって、前記継手は、
第1の管の第1の管端および第2の管の第2の管端をそれぞれの対向する管状スリーブ開口部に挿入することができる、対向する管状スリーブ開口部を有する中空の管状主要本体と、
前記第1の管端を前記継手に封着するための、近位封着区域および遠位封着区域を備える第1の対の円周方向封着区域と、
前記第2の管端を前記継手に封着するための、近位封着区域および遠位封着区域を備える第2の対の円周方向封着区域と、
各それぞれの封着区域に円周方向シールを形成するための封着手段と、
を備える、継手であり、
前記第1の対の円周方向封着区域の間に、前記第1の対の円周方向封着区域におけるシールの完全性を試験するために使用することができる、入口を有する第1の円周方向圧力室が設けられており、
前記第2の対の円周方向封着区域の間に、前記第2の対の円周方向封着区域におけるシールの完全性を試験するために使用することができる、入口を有する第2の圧力室が設けられており、
前記継手は、前記第1の対の円周方向封着区域間に少なくとも1つの第1の低温区域と、前記第2の対の円周方向封着区域間に少なくとも1つの第2の低温区域と、前記第1の低温区域と前記第2の低温区域との間に少なくとも1つの近位低温区域とを備え、
前記圧力室の少なくとも1つは、前記圧力室の各側の封着区域間に前記継手の内面から切り出された溝を備え、
前記溝が、前記溝の幅が前記継手の主要内面に近い方のより幅の狭い部分と、より幅が広い部分とを有するような断面を有する、継手。
【請求項2】
前記封着手段は、前記封着区域のうちの少なくとも1つに円形シールを形成するための第1の手段を備え、前記第1の手段は、化学的融着、摩擦圧接による融着、ミラー溶接による融着および電気融着を形成するための手段から選択される、請求項1に記載の継手。
【請求項3】
前記第1の手段は電気融着手段である、請求項2に記載の継手。
【請求項4】
前記電気融着手段は、前記継手の内面の中または上に設けられた、前記封着区域を取り囲む第1の電気融着コイル部と、前記第1の電気融着コイル部に電流を供給するための接点とを備える、請求項3に記載の継手。
【請求項5】
前記封着手段は、前記封着区域の少なくとももう一方の間に第2の円形シールを形成するための第2の手段を備え、前記第2の手段は、前記継手内に形成された凹みに配置されたOリングを備える、請求項2に記載の継手。
【請求項6】
前記第1の対の円周方向封着区域および前記第2の対の円周方向封着区域の少なくとも1つは、電気融着手段を備える近位封着区域と、凹みに配置されたOリングを備える遠位封着区域とを備える、請求項5に記載の継手。
【請求項7】
前記凹みは、前記封着区域間に、前記凹みが前記圧力室から遠ざかる方向に徐々に狭くなっていくような、前記圧力室領域から遠位に先細りになる側面を有し、よって、前記室が加圧されると前記Oリングが前記狭まっていく凹みに押し付けられて前記シールがさらに隙間のない状態となる、請求項5または6に記載の継手。
【請求項8】
各低温区域は、5〜15mmの範囲で前記継手の主軸に沿った幅を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の継手。
【請求項9】
前記2つの管状開口部の間から前記主要本体から延在するさらなる管状本体部をさらに備え、前記さらなる管状本体部は一対の封着区域を有する第3の管状開口部を備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の継手。
【請求項10】
T形状またはY形状の継手を形成する、請求項9に記載の継手。
【請求項11】
前記圧力室の少なくとも1つは、前記継手に挿入される管部の表面に適切に位置づけられた円周方向溝と嵌合するための入口を有する区域として設けられている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の継手。
【請求項12】
前記溝は、少なくとも1つの側面に先細りの表面を有し、前記溝と、隣接する封着区域に近接する前記継手の主要内面との間に突出するエッジを形成している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の継手。
【請求項13】
サドル継手の形態の継手であって、
パイプ部をその中に受け入れるように寸法決めされた半管形状の主要部と、
前記半管部の長手方向軸とある角度をなして前記半管の円形または楕円形の穴から延在する管状部と、
を備える、継手であり、
前記半管部は、第1の対の円形または楕円形の封着区域と、前記半管部の内面と嵌合するパイプの外面との間に、前記半管部内の穴および前記半管部内に配置される前記嵌合するパイプ内の対応する嵌合穴を取り囲む円形または楕円形シールを形成するための第1の封着手段とを備え、
前記管状部は、第2の対の円形の封着区域と、前記管状部の内面と、前記管状部に挿入される嵌合するパイプの外面との間に円形シールを形成するための第2の封着手段とを備え、
前記第1の対の円形または楕円形の封着区域との間に圧力室があり、かつ
前記第2の対の円形の封着区域の間に圧力試験室があり、
前記圧力室の少なくとも1つは、前記圧力室の各側の封着区域間に前記継手の内面から切り出された溝を備え、
前記溝が、前記溝の幅が前記継手の主要内面に近い方のより幅の狭い部分と、より幅が広い部分とを有するような断面を有する、継手。
【請求項14】
前記第1の封着手段および前記第2の封着手段は電気融着を形成するための手段である、請求項13に記載の継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手と、電気融着または他の封着方法によって形成された2つのパイプ間の融着シールの品質および完全性を非破壊的に試験するための試験装置およびシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスや水の供給のためのプラスチックパイプを製造する際に、高密度ポリエチレン(HDPE)を最も一般的な成分とするポリエチレン(PE)が一般に使用される。PEパイプを敷設したり破裂または破損したパイプを修理したりする際には、PEパイプは典型的に、突合せ融着、電気融着または焼きごて融着などの融接を用いて接合される。
【0003】
一般に電気融着継手は、継手に接続されるパイプを受け入れるように構成された管状開口部を備える。電気融着要素は、継手に挿入されるパイプの外面に隣接する継手の内面にある管状開口部内に配置される。一般的な電気融着要素は、若干の距離を空けて継手の中に配置され、かつ継手の接合区域の受け入れ端のかなり前で終端する抵抗線の電熱コイルからなり、ある種のリブまたはエッジによって印を付けることができる。このコイルは、電熱コイルに電流を供給するための接点に接続されている。このコイルにエネルギーが供給されると、電気融着要素に隣接するパイプおよび継手のプラスチック材料が溶けて融着する。パイプおよび継手の両方の厚さならびに加熱量は、継手の内面およびパイプの外面のみが溶けるように構成されている。
【0004】
しかし、PEパイプの溶接された接合部は、溶接誤差などの理由で、常に成功しているわけではない。パイプの切断不良、キサゲ加工不良または不足、溶接区域内の粒子(細片)、位置決め装置の問題、湿度、不正確な溶接パラメータなどにより溶接誤差が生じることがある。接合部の溶接が成功しているか否かの単純かつ確実な試験方法が望まれている。
【0005】
アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリ塩化ビニル(PVC)などの他の種類の配管材料が異なる目的で使用されるが、これらのパイプ種を接合するための継手は通常異なる。
【0006】
欧州特許第1396672A1号は、電気融着の特定の実施形態を開示している。
【0007】
国際公開第2013/136062号は、溶接の完全性を試験することができる、特にPEパイプで裏打ちされた金属パイプの2つのパイプ部を互いに接合するための電気融着ニップル継手(内部継手)を開示している。
【0008】
パイプを接合および封着するためのさらなる方法ならびに非破壊的にシールの完全性を厳密かつ迅速に試験する方法があれば高く評価されるであろう。
【発明の概要】
【0009】
本発明の継手および試験システムは、例えば電気融着による溶接によって接合および融着されている被接合パイプの融着を試験するための解決方法を提供する。本発明の試験は非破壊試験(NDT)である。本継手は、当該技術分野において通常行われるようなパイプシステム全体に対する圧力試験を必要とすることなく、完成した状態のまま1つずつ非破壊に試験することができる。
【0010】
本発明の継手はシールの完全性の厳密な試験を可能にするが、これは、シールに隣接する圧力試験室に高圧(例えば、1〜10バール(0.1〜1MPa、14〜140psi))をかけることができることを意味している。当該シールは、システムを適所に置いたまま試験することができると好都合である。すなわち、特定の継手のシールを接続管に溶接し、かつ放冷した後に、次に接続する継手を適所に置く前または間に試験することができる。これは、各溶接−冷却−試験サイクルの所要時間がたった約12〜15分であることを意味する。さらなる利点は、本システムの完成後であればいつでも、例えば何年後であっても当該シールを試験することができる点にある。継手を露出させることにより、本システムの停止や本システム自体の開放を必要とすることなく、圧力室への入口を非破壊試験のために再度利用することができる。
【0011】
従って、本発明は、本明細書に記載されている圧力試験室を用いる、厳密な能動的NDTを提供する。すなわち、所望するたびに繰り返し試験することができる手段により、配管システムの効率的な監視および維持が可能になる。
【0012】
本発明によって提供される継手は、少なくとも2つのパイプを接合するための好ましくは溶接可能なプラスチックで作られた管状継手(直管または曲管、例えば直線スリーブまたは膝継手)である。主要な管状継手部をスリーブと呼び、当該スリーブは、挿入されるパイプ端と当該スリーブとの間に各端部によって一対の円形の封着接合部を形成するための、その対向端のそれぞれに本明細書では封着区域と呼ばれる2つの円形部分を有する。封着区域は、挿入された管端とのシールを形成するための封着手段を備える。電気融着の場合、円形部分の少なくとも1つは電気融着コイル部すなわちいわゆる電熱コイルを備え、隙間ないシールを形成するように封着区域内の本継手のプラスチック製の内面および挿入されたパイプを溶かすのに十分かつ好適な量で熱を生成する電熱コイルに電流を供給することによって当該シールが形成される。当該スリーブは各端部に、当該スリーブと各それぞれのパイプ端との融着を試験するための圧力試験室として機能する空間をさらに備える。各圧力試験室は、各それぞれの対の封着区域内の2つの円形シールの間に当該スリーブの内周に沿った空間として形成されており、典型的に弁と共に配置された入口を有するか、あるいはこの弁は加圧するため、および圧力室の気密性を試験するための別個のユニットの一部であってもよい。入口および任意の弁は、2つの封着区域間の当該スリーブの外面に配置されている。圧力試験室は、好ましくは当該スリーブの内面の円周方向溝により、当該スリーブの内面とパイプの外面との間であって本継手内に形成された空間によって形成されている。
【0013】
本発明の第1の態様では、継手は、隙間ないシールによって少なくとも2つのパイプ部を互いに接合するために提供される。本継手は、対向する管状スリーブ開口部を有する中空の管状主要本体を備え、ここでは、第1の管の第1の管端および第2の管の第2の管端をそれぞれの対向する管状スリーブ開口部に挿入することができる。本継手は、前記第1の管端を本継手に封着するための近位封着区域および遠位封着区域を含む第1の対の円周方向封着区域と、前記第2の管端を本継手に封着するための近位封着区域および遠位封着区域を含む第2の対の円周方向封着区域とをさらに備える。従って、封着区域は管状スリーブの内面を取り囲んでいる。
【0014】
第1の対の封着区域の間には入口を有する第1の円周方向圧力室が設けられており、これを使用して前記第1の対の封着区域によって形成されたシールの完全性を試験することができる。第2の対の円周方向封着区域の間には入口を有する第2の圧力室が設けられており、これを使用して前記第2の対の封着区域内のシールの完全性を試験することができる。
【0015】
圧力室は、当該スリーブの内面から切り出された単純な溝の形状を有していてもよい。いくつかの実施形態では、当該溝は、溝の幅が本継手の主要内面に近い方のより幅の狭い部分と、主要内面から遠い方のより幅が広い部分とを有するような断面を有する。当該溝が少なくとも1つの側面に先細りの表面を有し、当該溝と、隣接する封着区域に近接する本継手の主要内面との間に突出するエッジを形成するように、圧力室を構成することができる。この設計により、圧力試験室が加圧された際に外向きにのみ圧力がかけられる(封着区域内のシールに対して応力をかける)だけでなく、内向きにエッジに対しても圧力がかけられ、外向きの圧力をある程度相殺する。そのような設計の例が
図6に示されている。
【0016】
上記実施形態は、継手の壁の内面の溝として切り出された圧力室を特に指す。但し、当然ながら、圧力室は本継手に挿入されるパイプ部の溝によって設けることもできる。そのような溝空間は、嵌合する継手の入口に一致するように正確に配置しなければならない。そのような実施形態も本発明によって包含される。
【0017】
本継手は、各それぞれの封着区域に円周方向シールを形成するための封着手段をさらに備える。
【0018】
本継手は、第1の対の封着区域間に少なくとも1つの第1の低温区域、前記第2の対の封着区域間に少なくとも1つの第2の低温区域、および前記第1の低温区域と第2の低温区域との間に少なくとも1つの近位低温区域も備える。
【0019】
各それぞれの封着区域のための封着手段は、化学的融着、摩擦圧接による融着、ミラー溶接による融着および電気融着を形成するための手段から適宜選択してもよい。
【0020】
本好ましい実施形態では、封着区域のうちの1つ以上において電気融着手段を用いる。電気融着手段は典型的に、本継手の内面の中または上に設けられた、封着区域を取り囲む第1の電気融着コイル部と、第1の電気融着コイル部に電流を供給するための接点とを備える。
【0021】
特定の実施形態では、封着手段は、前記第1の手段とは異なる第2の手段を備える。例えば、第2の手段は、当該スリーブ管の内面の適宜サイズ決めされた凹みに配置されたOリングを備えてもよい。そのような第2の手段は、それぞれの対の封着区域の一方または両方の遠位区域または近位区域に位置づけることができる。
【0022】
一実施形態では、Oリングの凹みは、封着区域間に、凹みが圧力室から遠ざかる方向に徐々に狭まっていくような圧力室領域から遠位に先細りになる側面を有する溝であり、よって、当該室が加圧されるとOリングが狭まっていく凹みに押し付けられて当該シールはさらに隙間のない状態となる。そのような先細りのOリングの凹みは、一方または両方の対の封着区域の遠位封着区域の遠位側にあることが好ましい。そのような封着の例は、
図3の右側に示されている。
【0023】
一実施形態では、本継手は、各対の封着区域内であってスリーブの内面と第1および/または第2のパイプ部の外面との間に、第1の円形シール(近位シール、当該スリーブ部の中心に近い方のシール)を形成するための第1の手段を有する。本継手は、当該スリーブ(7)の内面と第1および/または第2のパイプ部の外面との間に第2の円形シール(遠位シール、当該スリーブの管状端に近い方のシール)を形成するための第2の手段をさらに備える。
【0024】
本明細書において以下により詳細に記載するように、本発明の継手の低温区域および封着区域の特殊な構成により、本継手の使用における柔軟性が非常に高まる。本継手は、例えば大きなコイル状でのパイプ材料の保管に起因する若干の曲げ/曲率に対応することができるため、接合される両方のパイプ部をまっすぐな位置に維持するために固定する必要はない。
【0025】
本発明のさらに非常に有利な特徴は、本発明の継手の圧力試験室の構成による、シールの完全性試験の非破壊的性質である。圧力試験室は本継手の外側に入口を有し、穴を開けたり、プローブをパイプを通して案内したりする必要がない。当該入口は、特定の実施形態では弁と共に構成されている、あるいは、弁は圧力試験のために使用される外部機器の一部であってもよい。圧力試験室は本継手のスリーブ部内に形成されており、当該スリーブ部は圧力室内を高圧にすることができるように寸法決めされており、所望の圧力で試験することができる。当該スリーブ部は典型的に約8〜15mmの範囲、例えば好ましくは10〜12mmの範囲、例えば約10、11または12mmの壁の厚さを有する。
【0026】
以下の実施形態および定義は、本発明の製品および試験システムに関するものである。大部分の例はPEパイプの電気融着に関するものであるが、PEパイプまたは他のパイプを接合する他の手段も、圧力室を隣接する封着区域内の2つの円形シールの間に作製し、かつ低温区域を使用して完全性を高めることを特徴とする本発明によって想定されている。
【0027】
本発明の一実施形態では、前記スリーブの前記内面と前記第1および/または第2のパイプ部の前記外面との間に第1の円形接合部/シールを形成するための第1の手段は、化学的融着、摩擦圧接、ミラー溶接または電気融着を形成するための手段である。
【0028】
本発明の有利な特徴は複数の低温区域が設けられていることであり、これらは複数の封着区域と共に構造的柔軟性を提供し、このようにして、渦巻き状に保管されているパイプにおいて観察されることが多い若干残る曲げ/曲率に対応することができる。従って、本発明の一実施形態では、本発明の継手に、第1の対の封着区域間に少なくとも1つの第1の低温区域、第2の対の封着区域間に(本継手の対向端に)第2の低温区域、および前記第1の低温区域と第2の低温区域との間に少なくとも1つの近位低温区域が設けられている。別の実施形態では、第1の対の封着区域間に2つの低温区域と第2の対の封着区域間に2つの低温区域とがある。そのような実施形態では、典型的に各封着区域と封着区域間の領域の中心との間に低温区域がある。例えば1つの近位低温区域が本継手と本継手に挿入される各それぞれのパイプ端との間に設けられるように、第1の対の封着区域と第2の対の封着区域との間に2つの近位低温区域がさらに設けられていてもよい。さらなる好ましい実施形態では、本継手は遠位(外側)封着区域を超えて延在して、それぞれの対の封着区域の遠位の各端部にさらなる低温区域を提供する。従って、本継手は、有利な実施形態では3〜8つの低温区域を備えていてもよい。各低温区域は、好ましくは4〜25mmの範囲、より好ましくは5〜18mmの範囲、6〜15mmまたは5〜15mmの範囲、例えば8〜12mmの範囲または10〜12mmの範囲、例えば、8mm、9mm、10mm、12mm、14mmまたは15mmの幅を有する。低温区域は、国際規格EN1555によって設計された低温区域のための最小のパラメータを満たすようなものであることが好ましい。
【0029】
本発明の一実施形態では、前記スリーブの前記内面と前記第1および/または第2のパイプ部の前記外面との間に第1の円形接合部/シールを形成するための第1の手段は、電気融着を形成するための手段である。電気融着を形成するための手段は一般に、第1の電気融着コイル部と、第1の電気融着コイル部に電流を供給するための接点とを備える。各封着区域内の各コイル部は、好ましくは少なくとも6本のワイヤ巻線、より好ましくは少なくとも9本のワイヤ巻線、なおより好ましくは少なくとも12本のワイヤ巻線、例えば、12本の巻線、15本の巻線、18本の巻線、20本の巻線または24本の巻線を含む。巻線は例えば1mmの銅線などを用いるなど、工業規格に準拠したものであることが好ましい。
【0030】
本発明の一実施形態では、第1および/または第2のパイプ部は、T継手、Y継手、エルボ継手、エンドキャップである。
【0031】
本発明の一実施形態では、第1および/または第2のパイプ部はサドル継手である。
【0032】
以下、本発明を以下の図面に関連させて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】接合される2つのパイプ(1、2)の端部を受け入れるための管状スリーブ(3)を備える本発明の継手を示す。
【
図2】2つの対の溶接区域間に4つの溶接済区域を形成するための電気コイルと各対の溶接区域の溶接済区域間に低温区域とを備えた、2つの対の封着区域(20、21)(溶接区域)を有する本発明の継手の分解図を示す。
【
図3】近位封着区域が電気融着区域であり、かつ遠位封着区域が凹みにOリングを備えることを特徴とする、異なる近位および遠位封着区域を有する継手の長手方向断面を示す。右側には先細りの凹み(19)を有する構成が示されている。
【
図5】2つ以上のパイプ部を接続するための異なる3種類の継手を示す。
【
図6】「オメガ」形状を有する圧力試験室の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1Aには、2つのパイプを互いに接合する本発明の継手が示されている。この図は、第1のパイプ部1、第2のパイプ部2および2つのパイプを互いに接合するための継手3を示す。
図1Bは
図1Aの長手方向断面図である。第1のパイプ1の接合端は内面4および外面5を有し、第2のパイプ2の接合端も同様に内面6および外面7を有する。本実施形態における継手は、第1および第2のパイプの接合端を受け入れるためのスリーブ部3の形態である。継手スリーブ3は内面8および外面9を有し、ここでは本継手とパイプの各接合端との融着は、本継手の指定されている封着区域において電気融着により各パイプによって2つの円形の溶接済区域を生成することにより形成されている。電流が電気融着コイルに供給されると、隣接する表面が溶けて一緒に第1の溶接済区域10および第2の溶接済区域11を形成する。この構成では、溶接済区域10は近位溶接済区域であり、溶接済区域11は遠位溶接済区域である。スリーブ部3と各それぞれのパイプとの電気融接を試験するための圧力試験室12は、当該スリーブ部内であって各パイプの当該スリーブへの接続のための第1の溶接済区域10と第2の溶接済区域11との間に形成されている。入口13(任意の圧力試験弁を有する)は、当該スリーブ部と圧力試験室に隣接するパイプとの電気融接の完全性を試験するために空気、気体または液体を圧力試験室に送り込むのを可能にするように当該スリーブ内に配置されている。
【0035】
図1Cでは、スリーブ3の内面8とパイプ1、2の外面5、7との間の第2の(遠位)円形シールは、スリーブ3内に形成された凹み15に配置されたOリング14である。これは、電気融着溶接済区域の代わりとして第2の接合部/シールを形成し得る方法の単なる一例であり、パイプをスリーブで接合または封着する他の手段に対する限定として解釈されるべきではない。
【0036】
図2は、2つのパイプを接合するためのスリーブ継手の分解図である。本実施形態では、圧力試験室12は、電気融着によって生成された2つの溶接済区域間の低温区域内に形成されている。当該スリーブは、第1の接続部18および第2の接続部19を有する。各接続部は、近位封着区域10内の各それぞれの圧力試験室12に隣接するパイプ端の内面に配置された第1の電気融着コイル20を有する。各接続部は、各それぞれの圧力試験室から遠位に配置された第2の電気融着コイル21をさらに備える。当該コイルは、電流を供給するための接点22によって接続されている。当該スリーブ壁の分解図は、コイルのワイヤ巻線、本実施形態では1つのコイルにつき9本の巻線を示す。継手の本実施形態は、遠位封着区域の遠位に低温区域16と、各対の封着区域の間の圧力試験室12の各側に低温区域17、低温区域18とを有し、ここではパイプの端部が本継手の中心で対面している。
【0037】
図4は、本発明の圧力試験室を備えたサドル継手を示す。
図4Aは、サドル継手24上に配置されたパイプ23を示す。
図4Bには、パイプ23およびサドル継手24の断面図が示されている。当該パイプに接触するサドル継手の接触部25は、
図4Cに示すように溶接可能な材料で作られた2つの封着区域(27、28)を備え、ここでは、パイプ23の開口部26を取り囲む接触部25は、サドル継手24からのパイプ拡張部材29の周りでサドル継手24をパイプ23に溶接するための円形コイルの内部27および外部28を有する。
図4Bには、内側円形コイル27および外側円形コイル28によって作り出された内側溶接済区域30および外側溶接済区域31が示されている。2つの溶接済区域の間には、入口13を有する圧力試験室12がある。
図4は、サドル継手24に取り付けられ、かつ電気融着によって接合部に封着された第2のパイプ32も示す。圧力試験室12は、圧力試験を容易にするための入口13と共に、溶接済区域33、34間の低温区域内に形成されている。
【0038】
図5は、全ての本継手が圧力試験室への入口を有する本発明の異なる継手を示す。
図5Aは、本継手によってパイプが接合されていない状態(左側)と接合された状態(右側)の(A)エルボ継手、(B)Y継手および(C)T継手を示す。
【0039】
図6は、いわゆる「オメガ」形状の圧力試験室の一実施形態の断面を示す。圧力試験室の溝は、幅の広い主要部35と狭まっていくエッジ36とを有する。この設計により、高圧での圧力試験の際に当該シールのシール前部37で生じる応力は小さくなるが、それは溝内からの圧力がエッジ36に(溝内から)加えられ、それがシール前部37の隣りの空間からエッジの対向側に作用する圧力を相殺するからである。従って、シールに歪力を与える正味の力(パイプおよび継手の封着された表面から互いに押し合う力)が減少する。これにより、圧力試験において所望であれば、さらにより高い圧力を使用することができる。