特許第6553611号(P6553611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メトリックス・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6553611-半導体ウェハ処理方法および装置 図000002
  • 特許6553611-半導体ウェハ処理方法および装置 図000003
  • 特許6553611-半導体ウェハ処理方法および装置 図000004
  • 特許6553611-半導体ウェハ処理方法および装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553611
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】半導体ウェハ処理方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20190722BHJP
   B65G 49/00 20060101ALI20190722BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20190722BHJP
   G01G 19/52 20060101ALI20190722BHJP
   G01G 23/06 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   H01L21/66 T
   B65G49/00 A
   H01L21/68 A
   G01G19/52 Z
   G01G23/06 Z
   H01L21/66 L
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-536675(P2016-536675)
(86)(22)【出願日】2014年11月3日
(65)【公表番号】特表2017-507474(P2017-507474A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】GB2014053258
(87)【国際公開番号】WO2015082874
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2017年11月1日
(31)【優先権主張番号】1321423.4
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】509255602
【氏名又は名称】メトリックス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】METRYX LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィルビー,ロバート・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キールマス,エイドリアン
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−323370(JP,A)
【文献】 特表2010−540952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
B65G 49/00
G01G 19/52
G01G 23/06
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハ計量方法であって、
半導体ウェハの温度を予め定められた測定温度範囲内に制御するステップを備え、前記制御するステップは、
第1の温度変化ユニットを用いて前記半導体ウェハの温度の第1の変化を生じさせることと、
その後、第2の温度変化ユニットを用いて前記半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることとによって行われ、前記第2の温度変化ユニットは、熱伝達板を備え、前記熱伝達板は、半導体ウェハ計量装置の計量チャンバの外面に備えられ、前記計量チャンバの外面と熱的に結合されるか、または前記計量チャンバの外面と一体であり、そのため、前記熱伝達板は、前記半導体ウェハ計量装置の前記計量チャンバと実質的に熱平衡状態にあり、前記半導体ウェハ計量装置の前記計量チャンバと実質的に同一の温度を有し、
前記半導体ウェハは、前記半導体ウェハの前記温度に前記第2の変化を生じさせるように前記熱伝達板に載置され、
前記第1の変化の大きさは、前記第2の変化の大きさよりも大きく、前記方法はさらに、
その後、前記半導体ウェハを前記半導体ウェハ計量装置の前記計量チャンバ内に配置されている計量はかりに載置するステップを備える、方法。
【請求項2】
前記第1の温度変化の大きさは、前記第1および第2の温度変化の大きさの合計の少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記半導体ウェハの温度の前記第1の変化を生じさせることは、前記半導体ウェハの温度を予め定められた測定温度の±3℃以内、または±2℃以内、または±1℃以内で変化させることを備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記半導体ウェハの温度の前記第2の変化を生じさせることは、前記半導体ウェハの温度を3℃未満、または2℃未満、または1℃未満だけ変化させることを備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の温度変化ユニットは、第1の冷却ユニットを備え、
前記半導体ウェハの温度の前記第1の変化を生じさせることは、前記第1の冷却ユニットを用いて前記半導体ウェハを冷却することを備え、
前記第2の温度変化ユニットは、第2の冷却ユニットを備え、
前記半導体ウェハの温度の前記第2の変化を生じさせることは、前記第2の冷却ユニットを用いて前記半導体ウェハを冷却することを備える、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記半導体ウェハの質量に関連する情報を判断するステップを備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記半導体ウェハを前記第2の温度変化ユニットから前記半導体ウェハ計量装置の前記計量はかりに運搬するステップと、
前記運搬するステップ中に前記半導体ウェハの温度を制御するステップとを備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
半導体ウェハ計量装置であって、
計量はかりを含む計量チャンバと、
半導体ウェハの温度の第1の変化を生じさせるための第1の温度変化ユニットと、
その後、前記半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせるための第2の温度変化ユニットとを備え、前記第2の温度変化ユニットは、熱伝達板を備え、前記熱伝達板は、半導体ウェハ計量装置の計量チャンバの外面に備えられ、前記計量チャンバの外面と熱的に結合されるか、または前記計量チャンバの外面と一体であり、そのため、前記熱伝達板は、前記計量チャンバと実質的に熱平衡状態にあり、また、前記計量チャンバと実質的に同一の温度を有する、装置。
【請求項9】
前記第1の温度変化ユニットは、前記半導体ウェハを冷却するための第1の冷却ユニットを備え、
前記第2の温度変化ユニットは、前記半導体ウェハを冷却するための第2の冷却ユニットを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記半導体ウェハを前記第2の温度変化ユニットから前記半導体ウェハ計量装置の前記計量はかりに運搬するための半導体ウェハ運搬装置と、
前記運搬中に前記半導体ウェハの温度を制御するための温度制御手段とを備える、請求項8または9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、半導体ウェハ処理方法、例えば半導体ウェハ計測方法に関する。
【0002】
また、本発明は、半導体ウェハ処理装置、例えば半導体ウェハ計測装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
例えば蒸着技術(CVD、PECVD、PVDなど)および除去技術(例えば、化学的エッチング、CMPなど)を含むさまざまな技術を用いて、半導体(例えば、シリコン)ウェハ上にマイクロ電子デバイスが作製される。半導体ウェハは、例えば洗浄、イオン注入、リソグラフィなどによってそれらの質量を変化させるようにさらに処理され得る。
【0004】
製造されるデバイスによっては、各半導体ウェハは、その最終動作に必要な層および材料を構築および/または除去するために何百もの異なる処理ステップを順次通される可能性がある。事実上、各半導体ウェハは、生産ラインを下るように通される。半導体製造の特質は、生産フローにおける処理ステップまたはステップのシーケンスが同様または同一の態様で繰返され得ることを意味する。例えば、これは、金属導体の同様の層を構築して能動回路の異なる部分を相互接続するというものであってもよい。
【0005】
異なる工場で使用される半導体装置の統一性および相互運用性を保証するために、大部分の半導体製造業界では規格が採用される。例えば、半導体製造装置材料協会(Semiconductor Equipment and Materials International:SEMI)によって開発された規格は、高い程度の市場取り込みを有する。規格化の一例は、半導体(シリコン)ウェハのサイズおよび形状であり、典型的には、大量生産のために、半導体(シリコン)ウェハは、300mmの直径を有するディスクである。しかし、(典型的に旧式の工場で使用される)いくつかの半導体(シリコン)ウェハは、200mmの直径を有するディスクである。
【0006】
動作を適切に評価することができる生産ラインの終了に到達するのにかかる時間とともに、完成シリコンウェハを生産するために必要な処理ステップのコストおよび複雑さは、生産ライン上での装置の動作および処理を通じて処理されるウェハの品質をモニタリングして、最終的なウェハの性能および歩留りの点での信頼性を保証できるようにしたいという要望をもたらしてきた。
【0007】
一般に、ウェハ処理技術は、(例えば、半導体ウェハの表面においてもしくは表面上で、または半導体ウェハの塊において)半導体ウェハの質量の変化を引き起こす。半導体ウェハに対する変化の構成は、しばしばデバイスの機能にとって極めて重要であるため、品質制御の目的で、ウェハが正しい構成を有しているか否かを判断するために生産中にウェハを評価することが望ましい。
【0008】
対象の関連のプロセスの直後であって、通常は任意の後続の処理の前、すなわち処理ステップの間にモニタリングが行われるように、専門家計測ツールが生産フロー内で使用されてもよい。
【0009】
処理ステップのどちらかの側でウェハの質量の変化を測定することは、生産ウェハ計測を実行するための魅力的な方法である。これは、比較的コストが低く、高速であり、異なるウェハ回路パターンに自動的に対応することができる。また、これは、しばしば代替的な技術よりも高い精度の結果を提供することができる。例えば、多くの典型的な材料に関して、材料層の厚みを原子スケールにまで分解することができる。対象の処理ステップの前および後に、対象のウェハは計量される。質量の変化は、生産装置の性能および/またはウェハの所望の特性に相互に関連付けられる。
【0010】
半導体ウェハに対して実行される処理ステップは、半導体ウェハの質量の非常に小さな変化を引き起こす可能性があり、当該変化は、高精度で測定することが望ましいであろう。例えば、半導体ウェハの表面から少量の材料を除去することにより、半導体ウェハの質量が数ミリグラムだけ減少し得て、約±100μg以上の解像度でこの変化を測定することが望ましいであろう。およそ±10μgの解像度で半導体ウェハの質量の変化を測定することができる半導体ウェハ計測方法および装置が開発中であり、およそ±100μgの解像度の方法および装置が市販されている。
【0011】
これらの高いレベルの測定精度では、測定中の半導体ウェハの温度または測定はかりの温度のばらつきによって引き起こされる測定出力の誤差が大きくなる可能性がある。例えば、半導体ウェハと測定はかりまたは筐体(の一部)との間の約0.005℃の温度差は、半導体ウェハの求められた質量(または質量の変化)に約5μgの誤差を生じさせ得る。例えば測定装置を用いて測定される半導体ウェハからの熱負荷によって引き起こされる測定装置の異なる部分間の温度のばらつき(すなわち、温度不均一性)は、測定出力の誤差を生じさせるであろう。また、半導体ウェハが測定装置の測定筐体よりも高い温度を有している場合、測定筐体内の空気に気流(例えば、対流)が生成される可能性があり、これは測定出力に影響を及ぼし得る。また、測定筐体内の空気は、加熱される場合があり、その密度および圧力を変化させ、そのため、空気によって浮力が半導体ウェハにかかる。これも測定出力に影響を及ぼし得る。一般に、これらの影響の大きさは、小さいと考えられ、精度が低い質量測定、例えば約数ミリグラムの解像度で行われる測定では無視される(または検出されない)。
【0012】
比較的長い期間(例えば、約数時間)にわたってゆっくりと起こる温度変化は、本質的には測定装置を定期的に校正することによって考慮に入れられてもよく、または本質的には比較測定を行うことによって差し引かれてもよい。しかし、(例えば、複数の半導体ウェハからの高い熱負荷に起因して)より急速に起こる温度変化は、同じように考慮に入れたり差し引いたりすることがより困難であり得る。
【0013】
生産ラインにおいて処理された直後の半導体ウェハの温度は、400〜500℃以上であり得る。処理後、半導体ウェハは、他の最近処理された半導体ウェハ(例えば、合計25個)とともにフロント・オープニング・ユニファイド・ポッド(Front Opening Unified Pod:FOUP)に投入され、生産ラインの異なる処理場所間を運搬され得る。FOUPが異なる処理場所、例えば半導体ウェハを計量するための計量装置に到達したとき、半導体ウェハの温度は、依然として高く、例えば70℃以上であり得る。これに対して、処理場所、例えば計量装置の温度は、約20℃であり得る。したがって、半導体ウェハと計量装置との間には相当な温度差が存在し得る。上記のように、半導体ウェハと計量装置との間の相当な温度差は、計量装置内に対流を引き起こす可能性があり、および/または、(空気密度および/または圧力の変化に起因して)半導体ウェハが受ける浮力の変化を引き起こす可能性があり、および/または、計量装置の計量はかりに熱的変化(すなわち、温度変化および/または温度不均一性)を引き起こす可能性があり、これらは重量測定の誤差を生じさせる可能性がある。高精度の重量測定では、非常に小さな温度差(例えば、1℃未満、例えば0.001℃)によって引き起こされる誤差でさえ、相当なものであり得る(例えば、検出可能であり得る)。
【0014】
WO 02/02449は、測定はかりまたは測定中の半導体ウェハの温度のばらつきによって引き起こされる測定出力の誤差を減少させることを目的とした半導体ウェハ計測方法を記載している。WO 02/02449に記載されている方法では、半導体ウェハは、フロント・オープニング・ユニファイド・ポッド(FOUP)から取り外され、計量装置の測定領域上に設置される前に、計量装置のチャンバに熱的に結合された受動性熱伝達板上に設置される。受動性熱伝達板は、±0.1℃の範囲内で半導体ウェハの温度をチャンバの温度と等しくする。この温度均一化は、測定出力の誤差を生じさせるであろう、はかり内で生じるいかなる対流の可能性も減少させることができ、やはり測定出力の誤差を生じさせるであろうはかり自体のいかなる熱的変化も減少させることができる。したがって、この方法は、測定を行う前に半導体ウェハの温度均一化がない方法に対して、測定出力をより正確にすることができる。
【0015】
発明の概要
本発明者等は、WO 02/02449に記載されている方法では計量装置のチャンバに相当な熱負荷が存在し得ることに気付いた。例えば、重量測定を行う前に半導体ウェハが熱伝達板によって約70℃から約20℃に冷却される一連の半導体ウェハに対して一連の重量測定を行うと、計量装置のチャンバに約数十ワットの熱負荷、例えば約50W〜100W、例えば(1時間当たりのウェハが約60個であると仮定して)75Wの熱負荷が存在し得る。
【0016】
この熱負荷は、計量装置の温度(例えば、計量装置のはかりの温度)を上昇または不均一にさせる可能性があり、計量装置によって行われる重量測定の対応する誤差を生じさせる可能性がある。また、この熱負荷は、はかりの周囲に気流(例えば、対流)ならびに空気密度および圧力の変化を引き起こす可能性があり、これも計量装置によって行われる重量測定の対応する誤差を生じさせる可能性がある。その結果、計量装置の精度が減少し得る。これらの影響は、高精度の測定、例えばおよそ±100μg以上の精度で測定を行うときには相当なものであり得る(例えば、検出可能であり得る)。例えば、測定出力の変化(または誤差)は、半導体ウェハと計量装置との間の温度差によって引き起こされる対流および空気密度の変化に起因して、第1の(または単一の分離された)半導体ウェハが計量装置を用いて測定されるときに観察され得る。
【0017】
したがって、計量装置によって行われる測定の精度を向上させるために計量装置上で半導体ウェハの温度をよりよく制御するという問題が存在する。
【0018】
本発明者等は、熱伝達板を用いて半導体ウェハの温度を計量装置の温度と等しくする前に半導体ウェハから熱負荷の大半を除去することによって、計量装置によって行われる測定の精度を向上させることができることに気付いた。言い換えれば、本発明者等は、半導体ウェハから熱負荷の大半を除去するステップを、半導体ウェハの温度を所望の温度と等しくするステップから分離することによって、精度を向上させることができることに気付いた。例えば熱伝達板を用いて半導体ウェハの温度を計量装置の温度と等しくする前に熱負荷の大半が半導体ウェハから除去される場合、温度均一化の間の熱伝達板の熱負荷は低いであろう。したがって、温度均一化の間は、熱伝達板の温度は、大幅に変化することはないはずであり、したがって、半導体ウェハの温度は、より正確に/厳密に所望の温度(すなわち、熱伝達板の元の温度)と等しくされるであろう。
【0019】
半導体ウェハの温度が計量装置の温度と等しくされる前に半導体ウェハの熱負荷の大半(例えば、大部分または半分以上)が除去される(例えば、半導体ウェハが、計量装置の温度に近い温度に冷却される)場合には、温度均一化の間の計量装置の熱負荷は、WO 02/02449に記載されている方法に対して大幅に減少されるであろう。
【0020】
したがって、比較的高い開始温度(例えば、70℃以上)を有する複数の半導体ウェハに対して順次的な測定を行うときでさえ、計量装置の温度は、温度均一化により大幅に変化することはないはずである。したがって、計量装置の測定領域に装着されたときの半導体ウェハの温度、ならびに/または、計量装置の測定領域の温度および/または温度均一性をより正確に制御することができ、その結果、計量装置によって行われる重量測定の精度を向上させることができる。
【0021】
また、本発明者等は、半導体ウェハの温度を測定温度と等しくする前に半導体ウェハから熱負荷の大半を除去する概念が、半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度と実質的に等しくする必要がある他の半導体ウェハ処理装置および方法に一般に適用可能であることに気付いた。
【0022】
さらに、本発明者等は、半導体ウェハを所望の処理温度に加熱することが望まれる場合に同一の原理が当てはまることに気付いた。言い換えれば、熱負荷の大半を半導体ウェハに伝達するステップを、半導体ウェハの温度を所望の処理温度と等しくするステップから分離することによって、所望の(より高い)処理温度への温度マッチングをより正確に行うことができる。
【0023】
したがって、最も一般的に、本発明は、半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度と実質的に等しくする前に半導体ウェハの熱負荷の大半を半導体ウェハから除去するまたは半導体ウェハに伝達する半導体ウェハ処理方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の第1の態様に従って、半導体ウェハ処理方法が提供され、当該方法は、
半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度範囲内に制御するステップを備え、当該制御するステップは、
第1の温度変化ユニットを用いて半導体の温度の第1の変化を生じさせることと、
その後、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることとによって行われ、
第1の変化の大きさは、第2の変化の大きさよりも大きく、当該方法はさらに、
その後、半導体ウェハを半導体ウェハ処理装置の処理領域に装着するステップを備える。
【0025】
本発明の第1の態様に係る方法では、半導体ウェハの温度は、2つのステップによって、予め定められた処理温度範囲内に制御される。第1のステップにおいて、半導体ウェハの温度は、第1の温度変化ユニットを用いて、大量に変更される(上昇または下降させられる)。第2のステップにおいて、半導体ウェハの温度は、第2の温度変化ユニットを用いて、少量だけ変更される(上昇または下降させられる)。
【0026】
したがって、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度範囲内に制御する前に、半導体ウェハの温度変化の大部分は、第1の温度変化ユニットを用いて達成されている。したがって、第1の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度を変化させる第1のステップを含まない構成と比較して、第2の温度変化ユニットに対する熱負荷を大幅に減少させることができる。
【0027】
第2の温度変化ユニットに対する熱負荷が減少することは、熱負荷の結果としての第2の温度変化ユニットのいかなる温度変化も低減されることを意味する。したがって、従来の方法と比較して、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度をより正確に制御することができる。これにより、従来の方法で可能であったよりも厳密にまたは正確に、処理領域上の半導体ウェハの温度および/または制御対象の処理領域の温度(および/または温度均一性)を制御することが可能になり得る。その結果、より正確に処理を行うことができる。
【0028】
例えば、半導体ウェハの温度が処理領域の温度と実質的に同一であるように制御される場合、温度差が実質的にゼロであり得るので、温度差によって引き起こされるいかなる誤差も実質的に回避することができる。その代わりに、半導体ウェハの温度が処理領域の温度とは異なる温度に制御される場合、温度差によって引き起こされるいかなる誤差も、各半導体ウェハについて実質的に同一であり得て、したがって、比較測定を行う(すなわち、処理によって引き起こされる半導体ウェハの質量変化を判断するために処理前の測定値および処理後の測定値を差し引く)ことによって予測および/または実質的に除去することができる。
【0029】
本発明の第1の態様に係る方法は、以下の任意の特徴のうちのいずれか1つ、またはそれらが両立できる限りはそれらの任意の組み合わせを有していてもよい。
【0030】
第1の温度変化ユニットおよび第2の温度変化ユニットは、エアギャップまたは断熱材の層などの熱絶縁体によって、互いに熱的に絶縁、例えば分離されてもよい。
【0031】
温度変化ユニットは、半導体ウェハの温度を上昇または下降させる(すなわち、変化させる)ために使用可能な任意の装置、例えば加熱ユニット/加熱器または冷却ユニット/冷却器であってもよい。
【0032】
第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、半導体ウェハを第2の温度変化ユニットと実質的に熱平衡状態になるようにすることを備えていてもよい。
【0033】
第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、半導体ウェハと第2の温度変化ユニットとを物理的に接触させる、例えば直接物理的に接触させることを備えていてもよい。
【0034】
第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、半導体ウェハの温度を第2の温度変化ユニットの温度と実質的に等しくするまたは一致させることを備えていてもよい。
【0035】
第1の温度変化の大きさは、第1および第2の温度変化の大きさの合計の少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を構成してもよい。したがって、半導体ウェハの熱負荷の大部分は、第1の温度変化ユニットによって半導体ウェハから除去されたり半導体ウェハに追加されたりすることができる。その結果、半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせるために使用されるときの第2の温度変化ユニットに対する熱負荷は低減され、より正確に/厳密に半導体ウェハの温度を所望の温度と一致させることができる。
【0036】
半導体ウェハの温度の第1の変化を生じさせることは、半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度の±3℃以内、または±2℃以内、または±1℃以内で変化させることを備えていてもよい。換言すれば、半導体ウェハの温度の第1の変化は、半導体ウェハの温度を所望の処理温度に近い(すなわち、数℃以内の)温度にすることができ、その結果、第2の温度変化ユニットは、半導体ウェハの温度の小さな変化を生じさせる(半導体ウェハに小さな熱負荷を追加すること、または半導体ウェハから小さな熱負荷を除去することに対応する)だけでよい。
【0037】
半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度と実質的に等しくすることを備えていてもよい。したがって、熱負荷の大部分が半導体ウェハに追加されるか、または半導体ウェハから除去されると温度均等化を行うことができ、その結果、より正確に温度均等化を行うことができる(これは、第2の温度変化ユニットに対する熱負荷が減少することに起因し、温度均等化中は第2の温度変化ユニットの温度が著しく変化しないことを意味する)。
【0038】
半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度に実質的に等しくすることは、半導体ウェハの温度が所望の温度(処理領域の温度または異なる温度と同一であってもよい)に厳密に制御されることを意味する。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差は、実質的にゼロであり得て、その結果、温度差によって測定出力に誤差が引き起こされることは実質的にない。代替的に、温度差は、各半導体ウェハについて実質的に同一であってもよく、その結果、測定出力の誤差は、実質的に一定であり、比較測定(例えば、処理による質量変化を判断するために処理前の測定値および処理後の測定値を差し引く)によって予測および/または相殺可能である。温度均等化の程度は、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度を変化させる時間の長さに左右され得る。
【0039】
予め定められた処理温度は、半導体ウェハ処理装置の処理領域の温度であってもよい。したがって、半導体ウェハの温度を処理領域の温度と実質的に等しくする(または一致させる)ことができる。したがって、半導体ウェハと処理領域との間に温度差は実質的にないであろう。
【0040】
半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、半導体ウェハの温度を3℃未満、または2℃未満、または1℃未満だけ変化させることを備えていてもよい。したがって、必要な温度変化を達成するために小さな熱負荷を半導体ウェハから除去するか、または半導体ウェハに入力するだけでよいので、第2の温度変化ユニットに対する熱負荷は低いであろう。したがって、第2の温度変化ユニットの温度は、第2の温度変化中に著しく変化することはなく、したがって、より正確に/厳密に半導体ウェハの温度を変化させることができる。
【0041】
当該方法は、半導体ウェハ計測方法であってもよく、半導体ウェハの温度は、予め定められた測定温度範囲内に制御されてもよく、半導体ウェハは、半導体ウェハ計測装置の測定領域に装着されてもよい。
【0042】
第1の温度変化ユニットは、第1の冷却ユニットを備えていてもよく、半導体ウェハの温度の第1の変化を生じさせることは、第1の冷却ユニットを用いて半導体ウェハを冷却することを備えていてもよい。したがって、当該方法は、予め定められた処理温度範囲内に半導体ウェハを冷却することを備えていてもよい。冷却ユニットは、半導体ウェハを冷却する(すなわち、半導体ウェハの温度を下げる)ために半導体ウェハから熱を除去する装置であってもよい。
【0043】
第1の冷却ユニットは、半導体ウェハから熱を抽出して、当該熱を半導体ウェハ処理装置の処理領域から放散させる(または、運搬する)ことができる。したがって、第1の冷却ユニットを用いて半導体ウェハが冷却されるときに半導体ウェハから除去された熱は、処理領域には運搬されない。したがって、この熱は、処理領域の温度に対して実質的に影響を及ぼすことはなく、処理領域の温度は、実質的に一定のままであり得る。
【0044】
第1の冷却ユニットは、半導体ウェハから除去された熱を積極的に放散させてもよい。熱を積極的に放散させることは、第1の冷却ユニットによって放散される熱の量を、第1の冷却ユニットから熱を除去するための何らかの手段を介して人為的に増加させることを意味し得る。例えば、第1の冷却ユニットから熱を積極的に放散させることは、第1の冷却ユニットから熱を積極的に除去するために、第1の冷却ユニットの一部を介して、または第1の冷却ユニットの一部から、流体、例えば液体またはガスの流れを人為的に発生させることを備えていてもよい。当該方法は、第1の冷却ユニットに熱を積極的に放散させるために第1の冷却ユニットに電力を供給することを備えていてもよい。
【0045】
第1の冷却ユニットから熱を積極的に放散させることは、半導体ウェハの第1の温度変化を生じさせるときに第1の冷却ユニットの温度が上昇することを防止することができる。特に、これは、(半導体ウェハから熱負荷の大部分を除去する)第1の冷却ユニットに対する熱負荷が相当なものであり得る場合に、一連の半導体ウェハを処理する際に第1の冷却ユニットに熱が蓄積することを防止することができる。換言すれば、半導体ウェハから除去された熱の大部分は、第1の冷却ユニットによって効果的に/効率的に放散されることができる。
【0046】
第1の冷却ユニットは、熱電冷却器を備えていてもよい。熱電冷却器は、ペルチェ効果を用いて2つの異なるタイプの材料の接合部の間に熱流束を生じさせる装置であってもよい。換言すれば、第1の冷却ユニットは、装置の一方の側から他方の側に熱を伝達する熱電ヒートポンプ装置を備えていてもよい。冷却ユニットは、ペルチェ冷却器を備えていてもよい。
【0047】
第1の温度変化ユニットは、第1の熱伝達板を備えていてもよい。
熱伝達板は、実質的に平坦な(外)面を有する熱伝導体であってもよい。
【0048】
熱伝達板は、半導体ウェハの表面積と同一またはそれよりも大きな表面積を有していてもよく、その結果、半導体ウェハの表面積全体にわたって(すなわち、均一に)半導体ウェハの温度を変化させることができる。
【0049】
熱伝達板は、優れた横方向(実質的に平坦な面を横断する)伝導率を有していてもよく、そのため、熱伝達板は、その面全体にわたって実質的に均一な温度を維持する。したがって、半導体ウェハの表面積全体にわたって半導体ウェハの温度を実質的に均一に変化させることができる。
【0050】
熱伝達板は、高い熱質量を有していてもよく、そのため、熱負荷に応答した熱伝達板の温度変化は、小さい。
【0051】
第2の温度変化ユニットは、第2の冷却ユニットを備えていてもよく、半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、第2の冷却ユニットを用いて半導体ウェハを冷却することを備えていてもよい。したがって、半導体ウェハは、第1の冷却ユニットを用いて予め定められた処理温度範囲を(例えば、数℃だけ)上回る温度に冷却され、次いで、第2の冷却ユニットを用いて予め定められた処理温度範囲内の温度に冷却されることができる。したがって、第1の冷却ユニットを用いて、半導体ウェハの熱負荷の大部分を除去することができ、次いで、第2の冷却ユニットを用いて、より優れた温度マッチングまたは均等化を行うことができる。したがって、第2の温度変化を生じさせるときの第2の冷却ユニットに対する熱負荷を減少させることができる。
【0052】
第2の冷却ユニットは、半導体ウェハから除去された熱を積極的に放散させてもよい。熱を積極的に放散させることは、第2の冷却ユニットによって放散される熱の量を、第2の冷却ユニットから熱を除去するための何らかの手段を介して人為的に増加させることを意味し得る。例えば、第2の冷却ユニットから熱を積極的に放散させることは、第2の冷却ユニットから熱を積極的に除去するために、第2の冷却ユニットの一部を介して、または第2の冷却ユニットの一部から、流体、例えば液体またはガスの流れを人為的に発生させることを備えていてもよい。当該方法は、第2の冷却ユニットに熱を積極的に放散させるために第2の冷却ユニットに電力を供給することを備えていてもよい。
【0053】
第2の温度変化ユニットは、上記の第1の熱伝達板の任意の特徴を有し得る第2の熱伝達板を備えていてもよい。
【0054】
第2の熱伝達板は、半導体ウェハ処理装置の処理領域と実質的に同一の温度を有していてもよい。したがって、第2の熱伝達板は、半導体ウェハの温度を処理領域の温度と実質的に等しくするまたは一致させるために使用されることができる。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差によって引き起こされるいかなる誤差も回避または除去することができる。なぜなら、温度差が実質的にゼロであり得るからである。温度均等化の程度は、第2の熱伝達板を用いて半導体ウェハの温度を変化させる時間の長さに左右され得る。
【0055】
第2の熱伝達板は、半導体ウェハ処理装置の処理領域に熱的に結合されてもよい。例えば、第2の熱伝達板は、高い熱伝導率を有する熱伝導手段によって処理領域に接続されてもよい。例えば、熱伝達板は、処理領域と直接接触してもよく、処理領域の面上にボルト留めされてもよい。第2の熱伝達板は、処理領域と実質的に熱平衡状態にあってもよい。
【0056】
第2の熱伝達板は、半導体ウェハ処理装置の処理領域と一体であってもよい。換言すれば、第2の熱伝達板は、処理領域の一部であってもよく、例えば処理領域とひとつなぎに形成されてもよい。例えば、熱伝達板は、処理領域の外面上に形成されてもよい。
【0057】
当該方法は、半導体ウェハの温度を半導体ウェハ処理装置の処理領域の温度と実質的に等しくすることを備えていてもよい。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差によって引き起こされるいかなる誤差も回避または除去することができる。なぜなら、温度差が実質的にゼロであり得るからである。
【0058】
半導体ウェハ処理装置は、計量装置を備えていてもよく、当該方法は、半導体ウェハの質量に関連する情報を判断するステップを備えていてもよい。
【0059】
当該方法は、所望の処理温度未満の温度を有する第1の冷却ユニットを用いて(または、同等に、半導体ウェハが加熱されているときには、所望の処理温度を上回る温度を有する第1の加熱ユニットを用いて)第1の温度変化を生じさせることを備えていてもよい。また、当該方法は、半導体ウェハが第1の冷却ユニットによって冷却されているときに(例えば、高温計を用いて)半導体ウェハの温度をモニタリングし、半導体ウェハの温度が所望の温度(例えば、所望の処理温度の数℃以内の温度)であれば半導体ウェハを第1の冷却ユニットから取り外すことを備えていてもよい。所望の処理温度未満の温度を有する第1の冷却ユニット(または、同等に、所望の処理温度を上回る温度を有する第1の加熱ユニット)を使用する利点は、第1の冷却ユニット(または、第1の加熱ユニット)と半導体ウェハとの間の温度差が大きいために第1の温度変化をより素早く生じさせることができることである。
【0060】
半導体ウェハの温度が所望の温度に達したときに半導体ウェハを第1の冷却ユニットから取り外す代わりに、第1の冷却ユニットの温度は、その代わりに、予め定められた期間後に、または半導体ウェハが所望の温度に達したときに、所望の温度を下回る温度から所望の温度に上昇させてもよい。したがって、第1の冷却ユニットからの半導体ウェハの厳密な取り外しを必要とすることなく、第1の温度変化をより素早く生じさせることができる。
【0061】
当該方法は、半導体ウェハを第2の温度変化ユニットから半導体ウェハ処理装置の処理領域に運搬するステップと、運搬するステップ中に半導体ウェハの温度を制御するステップとを備えていてもよい。
【0062】
従来の方法および装置では、半導体ウェハは、イクイップメント・フロント・エンド・モジュール(Equipment Front End Module:EFEM)のロボットアームを用いて処理装置の処理領域に運搬される。これは、一般に、EFEMまたはEFEMに接続された処理装置の一部においてクリーンルーム環境を維持するために使用される空気流が存在するEFEMの領域を通るように半導体ウェハを移動させることを伴う。このような従来のEFEMを用いて、本発明の第1の態様に係る方法において半導体ウェハを第2の温度変化ユニットから処理領域に移動させる場合、半導体ウェハの温度は、運搬中に変化する可能性があり、半導体ウェハが処理領域に装着されたときにはもはや予め定められた処理温度範囲内にない可能性がある。運搬ステップ中に半導体ウェハの温度を制御することによって、半導体ウェハが処理領域に装着されたときの半導体ウェハの温度をよりよく制御することができる。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差による誤差を回避または一定に/予測可能にすることができる。
【0063】
実際、本発明者等は、半導体ウェハを第2の温度変化ユニットから処理領域に運搬している間に半導体ウェハの温度を制御するというアイデアが、本発明の第2の態様に相当することに気付いた。
【0064】
したがって、本発明の第2の態様に従って、半導体ウェハ処理方法が提供され、当該方法は、温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度の変化を生じさせることによって、半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度範囲内に制御するステップと、半導体ウェハを温度変化ユニットから半導体ウェハ処理装置の処理領域に運搬するステップと、運搬するステップ中に半導体ウェハの温度を制御するステップとを備える。
【0065】
運搬するステップ中に半導体ウェハの温度を制御することによって、半導体ウェハが処理領域に装着されたときの半導体ウェハの温度をよりよく制御することができる。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差による誤差(および/または、半導体ウェハから処理領域に対する熱負荷による誤差)を回避または一定に/予測可能にすることができる。
【0066】
本発明の第1および/または第2の態様に係る方法は、以下の任意の特徴のうちのいずれか1つ、またはそれらが両立できる限りはそれらの任意の組み合わせを有していてもよい。
【0067】
温度変化ユニットは、熱伝達板を備えていてもよい。
運搬するステップ中の半導体ウェハの温度は、温度変化ユニットの温度および/または半導体ウェハが温度変化ユニットを離れるときの半導体ウェハの温度と実質的に同一であるように制御されてもよい。
【0068】
当該方法は、半導体ウェハ計測方法を備えていてもよく、半導体ウェハは、温度変化ユニットから半導体ウェハ計測装置の測定領域に運搬されてもよい。
【0069】
当該方法は、半導体ウェハを運搬するために使用される半導体ウェハ運搬装置の温度を制御するステップを備えていてもよい。例えば、当該方法は、半導体ウェハを運搬するために使用されるロボットアームおよび/またはエンドエフェクタの温度を制御するステップを備えていてもよい。
【0070】
半導体ウェハ運搬装置の温度は、半導体ウェハ処理装置の処理領域の温度と実質的に同一、または、温度変化ユニットの温度および/もしくは半導体ウェハが温度変化ユニットを離れるときの半導体ウェハの温度と実質的に同一であるように制御されてもよい。
【0071】
当該方法は、半導体ウェハを運搬するある量の空気の温度を制御するステップを備えていてもよい。例えば、半導体ウェハは、クリーンルーム環境を維持するために使用される空気流が存在するEFEMの領域を通して下流に運搬されてもよい。その場合、当該方法は、空気流の温度、例えば熱伝達板に隣接した場所などの特定の場所における空気流の温度を制御するステップを備えていてもよい。例えば、当該方法は、空気流を加熱するために1つ以上の加熱器を設けるステップを備えていてもよい。また、当該方法は、空気流の温度を制御するために、1つ以上の加熱器の温度を調整する、および/または、空気流の速度を調整するステップを備えていてもよい。例えば、1つ以上の加熱器は、空気流を生じさせる1つ以上のファンの下流に位置決めされてもよい。
【0072】
当該量の空気の温度は、半導体ウェハ処理装置の処理領域の温度と実質的に同一、または、温度変化ユニットの温度および/もしくは半導体ウェハが温度変化ユニットを離れるときの半導体ウェハの温度と実質的に同一であるように制御されてもよい。
【0073】
当該方法は、半導体ウェハが温度変化ユニットから除去されるときと半導体ウェハが処理領域に設置されるときとの間の時間を制限するために、例えば最も直接的なルートをとることによって、および/または、可能な限り速い速度で移動させることによって、半導体ウェハを温度変化ユニットから処理領域に最小の時間で移動させるステップを備えていてもよい。
【0074】
当該方法は、半導体ウェハを運搬するために使用されるエンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱伝導を制限するために、エンドエフェクタと半導体ウェハとの間の接触面積を最小にするステップを備えていてもよい。例えば、エンドエフェクタは、半導体ウェハの端縁においてのみ半導体ウェハと接触してもよい。さらに、当該方法は、エンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱伝導率が低くなるように、エンドエフェクタにおいて伝導率が劣る(または、低い)材料を使用するステップを備えていてもよい。
【0075】
当該方法は、例えば処理領域に取り付けられた(例えば、測定筐体などの処理筐体に取り付けられた)1つ以上の加熱器を用いて処理装置の処理領域を周囲温度を上回る温度に加熱するステップを備えていてもよい。処理領域を加熱することは、1つ以上の加熱器により運搬中に温度を処理領域の温度と同一になるように制御できることを意味する。例えば、処理温度は、周囲温度を数℃(例えば、4℃未満)だけ上回るように加熱されてもよい。
【0076】
代替的に、当該方法は、例えば1つ以上の冷却器を用いて処理装置の処理領域を周囲温度を下回る温度に冷却するステップを備えていてもよい。処理領域を冷却することは、1つ以上の冷却器により運搬中に温度を処理領域の温度と同一になるように制御できることを意味する。例えば、処理領域は、周囲温度を数℃だけ下回るように冷却されてもよい。
【0077】
本発明の第3の態様に従って、半導体ウェハ処理装置が提供され、当該装置は、半導体ウェハの温度の第1の変化を生じさせるための第1の温度変化ユニットと、
その後、半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせるための第2の温度変化ユニットと、
処理領域とを備える。
【0078】
本発明の第3の態様に係る装置により、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度が予め定められた処理温度範囲内に制御される前に半導体ウェハから熱負荷の大部分を除去するために、第1の温度変化ユニットを使用することができる。したがって、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度範囲内に制御するときの第2の温度変化ユニットに対する熱負荷を、従来の装置と比較して大幅に減少させることができ、第2の温度変化ユニットの著しい温度変化を回避することができる。したがって、本発明の第3の態様に係る装置は、従来の装置よりも正確に半導体ウェハ処理を行うことができるであろう。
【0079】
当該装置は、半導体ウェハ計測装置を備えていてもよく、処理領域は、測定領域を備えていてもよい。したがって、本発明の第3の態様に係る装置は、従来の装置よりも正確に半導体ウェハ計測を行うことができるであろう。
【0080】
第1の温度変化ユニットは、半導体ウェハを冷却するための第1の冷却ユニットを備えていてもよい。
【0081】
第1の冷却ユニットは、半導体ウェハから熱を除去して、半導体ウェハ処理装置の処理領域から熱を放散させる(または、運搬する)ように配置されてもよい。したがって、第1の冷却ユニットを用いて半導体ウェハが冷却されるときに半導体ウェハから除去された熱は、処理領域には運搬されない。したがって、この熱は、処理領域の温度に影響を及ぼすことはなく、処理領域の温度は、実質的に一定のままであり得る。
【0082】
第1の冷却ユニットは、半導体ウェハから除去された熱を積極的に放散させるように配置されてもよい。例えば、第1の冷却ユニットは、第1の冷却ユニットによって放散される熱の量を人為的に増加させるように第1の冷却ユニットから熱を除去するための手段を備えていてもよい。例えば、第1の冷却ユニットは、第1の冷却ユニットから熱を積極的に除去するために流体、例えば液体またはガスが第1の冷却ユニットの一部を通る、または第1の冷却ユニットの一部から通過するようにするための手段を備えていてもよい。このような手段は、管および/またはバルブおよび/またはポンプもしくはファンを備えていてもよい。第1の冷却ユニットは、第1の冷却ユニットに熱を積極的に放散させるために第1の冷却ユニットに電力を供給する目的で、電源に接続されていてもよい。
【0083】
第1の冷却ユニットから熱を積極的に放散させることにより、半導体ウェハの第1の温度変化を生じさせるときに第1の冷却ユニットの温度が上昇することを防止することができる。特に、これは、(半導体ウェハから熱負荷の大部分を除去する)第1の冷却ユニットに対する熱負荷が相当なものであり得る場合に、一連の半導体ウェハを処理する際に第1の冷却ユニットに熱が蓄積することを防止することができる。換言すれば、半導体ウェハから除去された熱の大部分は、第1の冷却ユニットによって効果的に/効率的に放散されることができる。
【0084】
第1の冷却ユニットは、熱電冷却器を備えていてもよい。
第1の温度変化ユニットは、第1の熱伝達板を備えていてもよい。
【0085】
第2の温度変化ユニットは、半導体ウェハを冷却するための第2の冷却ユニットを備えていてもよい。換言すれば、第1の冷却ユニットは、半導体ウェハから熱負荷の大部分を除去することができ、第2の冷却ユニットは、半導体ウェハの温度を所望の処理温度と実質的に一致させるために必要な残りの冷却を行うことができる。
【0086】
第2の冷却ユニットは、半導体ウェハから除去された熱を積極的に放散させるように配置されてもよい。
【0087】
第2の温度変化ユニットは、第2の熱伝達板を備えていてもよい。
第2の熱伝達板は、半導体ウェハ処理装置の処理領域と実質的に同一の温度であってもよい。例えば、第2の熱伝達板は、処理領域と実質的に熱平衡状態にあってもよい。したがって、第2の熱伝達板は、半導体ウェハの温度を処理領域の温度と実質的に等しくするまたは一致させるために使用されることができる。これは、半導体ウェハと処理領域との間に温度差がある場合に生じ得るいかなる誤差も実質的に除去することができる。
【0088】
第2の熱伝達板は、例えば第2の熱伝達板が処理領域と熱平衡状態になるように半導体ウェハ処理装置の処理領域に熱的に結合されてもよい。例えば、第2の熱伝達板は、熱伝導性材料を備え得る処理領域と物理的に接触していてもよい。
【0089】
第2の熱伝達板は、半導体ウェハ処理装置の処理領域と一体であってもよい。換言すれば、第2の熱伝達板は、処理領域の一部であってもよく、例えば処理領域の外面に形成されてもよい。
【0090】
当該装置は、計量装置を備えていてもよい。換言すれば、当該装置は、半導体ウェハの重量、例えば半導体ウェハの重量または重量の変化、に関連する情報を判断するために使用可能であってもよい。当該装置は、従来の装置よりも高い精度で半導体ウェハの重量または重量の変化に関連する情報を判断することができるであろう。
【0091】
当該装置は、例えば半導体ウェハ生産ラインの一部として、別の処理装置と一体であってもよく、または別の処理装置に隣接していてもよい。したがって、最初にFOUPに保管することなく、半導体ウェハを別の処理装置から当該装置に直接運搬することができる。代替的にまたはさらに、最初にFOUPに保管することなく、半導体ウェハを当該装置から別の処理装置に直接運搬してもよい。場合によっては、半導体ウェハは、当該装置から別の処理装置に直接運搬され、次いで当該装置に直接戻されてもよい。例えば、当該装置が計測装置である場合には、別の処理装置による半導体ウェハの処理前にも処理後にも半導体ウェハの計測を行うために当該装置が使用されてもよい。
【0092】
当該装置は、半導体ウェハを第2の温度変化ユニットから半導体ウェハ処理装置の処理領域に運搬するための半導体ウェハ運搬装置と、運搬中に半導体ウェハの温度を制御するための温度制御手段とを備えていてもよい。運搬中に半導体ウェハの温度を制御することは、半導体ウェハと処理領域との間の温度差によって引き起こされる誤差を排除すること、または、これらの誤差をより予測可能または一定にすることを助けることができる。したがって、装置の精度をよくすることができる。
【0093】
本発明の第4の態様に従って、半導体ウェハ処理装置が提供され、当該装置は、
半導体ウェハの温度の変化を生じさせるための温度変化ユニットと、
半導体ウェハを温度変化ユニットから半導体ウェハ処理装置の処理領域に運搬するための半導体ウェハ運搬装置と、
運搬中に半導体ウェハの温度を制御するための温度制御手段とを備える。
【0094】
運搬するステップ中に半導体ウェハの温度を制御することによって、半導体ウェハが処理領域に装着されたときの半導体ウェハの温度をよりよく制御することができる。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差による誤差を回避または一定に/予測可能にすることができる。
【0095】
本発明の第3および/または第4の態様に係る装置は、以下の任意の特徴のうちのいずれか1つ、またはそれらが両立できる限りはそれらの任意の組み合わせを有していてもよい。
【0096】
温度変化ユニットは、熱伝達板を備える。
当該装置は、半導体ウェハ計測装置を備えていてもよく、半導体ウェハ運搬装置は、半導体ウェハを温度変化ユニットから半導体ウェハ計測装置の測定領域に運搬するためのものであってもよい。
【0097】
当該装置は、半導体ウェハ運搬装置の温度を変化させるように配置されたさらなる温度変化ユニット(例えば、加熱器)を備えていてもよい。例えば、温度変化ユニットは、半導体ウェハを運搬するために使用されるロボットアームおよび/またはエンドエフェクタを加熱(または、冷却)するように配置されてもよい。
【0098】
当該装置は、半導体ウェハを運搬するある量(または、領域)の空気(または、ガス)を加熱(または、冷却)するように配置されたさらなる温度変化ユニット(例えば、加熱器)を備えていてもよい。例えば、当該装置は、空気流を有するEFEMを備えていてもよく、当該空気流は、半導体ウェハが運搬されるEFEMにおいてクリーンルーム環境を維持するために使用され、さらなる温度変化ユニットは、空気流の温度を変化させるように配置されてもよい。例えば、さらなる温度変化ユニットは、当該量の空気を(第2の)温度変化ユニットの温度または処理領域の温度に実質的に等しい温度に加熱(または、冷却)するように配置されてもよい。
【0099】
さらなる温度変化ユニットは、加熱器を備えていてもよい。
当該装置は、温度センサと、温度センサの出力に基づいてさらなる温度変化ユニット(例えば、加熱器)を制御するように配置されたコントローラとを備えていてもよい。例えば、さらなる温度変化ユニットが、半導体ウェハを運搬するある量の空気を加熱(または、冷却)するように配置されている場合、温度センサは、当該量の空気の範囲内に、例えば熱伝達板に隣接して位置していてもよい。温度センサによって検出された温度が所望の温度未満であれば、コントローラは、より多くの熱を当該量の空気に提供するようにさらなる温度変化ユニットを制御することができる。
【0100】
当該装置は、さらなる温度変化ユニット(例えば、加熱器)全体にわたって空気を送風して、半導体ウェハを運搬する当該量の空気の温度を変化させるためのファンを備えていてもよい。例えば、ファンは、クリーンルーム環境を維持するために必要な空気流を提供するEFEMのファンであってもよい。
【0101】
当該装置は、温度センサと、温度センサの出力に基づいてファンを制御するように配置されたコントローラとを備えていてもよい。例えば、温度センサによって検出された温度が所望の温度未満であれば、コントローラは、より多くの熱を当該量の空気に提供するようにさらなる温度変化ユニット全体にわたって空気流を増加させるようにファンを制御することができる。この構成は、当該量の空気の温度の短期的なまたは小さな変動または変化に応答することに特に有利であり得る。加熱器の熱質量が大きいために、コントローラが加熱器にウォームアップまたはクールダウンするように命じるときと、加熱器が必要な温度にウォームアップまたはクールダウンするときとの間には重大なずれが存在する場合がある。したがって、加熱器の温度を調整することによって当該量の空気の温度の短期的な変動を防止することは困難であろう。対照的に、加熱器全体にわたる空気流を増加または減少させるためにファンの速度を非常に素早く変化させることが可能であり得る。したがって、ファンの速度を調整することは、当該量の空気の温度の短期的な変動を防止または抑制するための優れた方法であり得る。
【0102】
半導体ウェハ運搬装置は、ロボットアームまたはロボットアームのエンドエフェクタを備えていてもよい。例えば、ロボットアームは、EFEMのロボットアームであってもよい。
【0103】
当該装置は、半導体ウェハが温度変化ユニットから半導体ウェハ処理装置の処理領域に運搬される前に半導体ウェハを温度変化ユニットに運搬するためのさらなる半導体ウェハ運搬装置を備えていてもよい。例えば、第1の半導体ウェハ運搬装置は、第1のエンドエフェクタであってもよく、さらなる半導体ウェハ運搬装置は、第2のエンドエフェクタであってもよい。別々のウェハ運搬装置(例えば、エンドエフェクタ)を使用することは、有利であり得る。なぜなら、それは、ウェハ運搬装置の温度が、ウェハ運搬装置が運搬する半導体ウェハの温度とより緊密に一致されることを意味し得るからである。半導体ウェハをFOUPから熱伝達板に運搬するために使用される半導体ウェハ運搬装置は、比較的高温であり得る。なぜなら、FOUP内のウェハが高温であり得る(例えば、約70℃であってもよい)からである。ウェハが(例えば、20℃に)冷却された後に同一の半導体ウェハ運搬装置を用いて半導体ウェハを熱伝達板から処理領域に運搬する場合、半導体ウェハ運搬装置は、熱を半導体ウェハに伝達して、その温度を上昇させ得る。これは、異なる半導体ウェハ運搬装置を用いて半導体ウェハを熱伝達板から処理領域に運搬することによって回避することができる。
【0104】
エンドエフェクタは、エンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱伝達を最小にするためにエンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱的接触面積が最小または小さくなるように構成されてもよい。例えば、エンドエフェクタは、もっぱら半導体ウェハの端縁において半導体ウェハと接触してもよい。代替的にまたはさらに、エンドエフェクタは、エンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱伝達を最小にするために、熱伝導率が低い材料、すなわち熱絶縁体でできていてもよい。
【0105】
当該装置は、周囲温度を(例えば、数℃、例えば周囲を4℃未満だけ)上回る温度に処理領域を加熱するための加熱手段(例えば処理領域、例えば処理領域の処理チャンバまたは筐体に取り付けられた例えば1つ以上の加熱器)を備えていてもよい。処理領域および半導体ウェハ運搬装置を両方とも別々に加熱することは、半導体ウェハの運搬中に半導体ウェハの温度を処理領域の温度と同一であるように制御する効率的かつ簡単な方法であり得る。
【0106】
代替的に、当該装置は、周囲温度を下回る温度に処理領域を冷却するための冷却手段(例えば、1つ以上の冷却器)を備えていてもよい。この場合、運搬中に半導体ウェハの温度が処理領域の温度と同一であるように制御されるように、処理領域と半導体ウェハ運搬装置とは別々に冷却されることができる。
【0107】
ここで、添付の図面を参照して、単に一例として本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1】本発明の第1の実施例に係る計量装置を示す。
図2】本発明の第2の実施例に係る計量装置を示す。
図3】ウェハ運搬装置を含む本発明の第3の実施例に係る計量装置を示す。
図4】ウェハ運搬装置を含む本発明の第4の実施例に係る計量装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0109】
本発明の好ましい実施例およびさらなる任意の特徴の詳細な説明
図1は、本発明の第1の実施例に係る計量装置を示す。計量装置は、半導体ウェハを受取るための計量皿3を有する計量はかり1を備える。計量はかり1は、計量皿3に装着された半導体ウェハの重量を示す測定出力を提供するように構成されている。
【0110】
計量はかり1は、計量チャンバ5内に位置しており、当該計量チャンバ5は、例えば計量はかりの周囲の空気の実質的に均一な空気密度、空気圧および空気温度を維持するため、ならびに、通風を防止して電磁遮蔽を提供するために、計量はかり1の周囲に密閉環境を形成する。計量チャンバ5は、例えばロボットアームによって半導体ウェハを計量チャンバ5に運搬して計量皿3上に位置決めすることができるように、開口(図示せず)、例えば好適にサイズ決めされたスロットを計量チャンバ5の側壁に有している。未使用時には、計量はかり1を用いて測定を行う際に計量チャンバ5を実質的に閉鎖または封止することができるように、当該開口は、開放可能なドアまたはカバー(図示せず)によって覆われてもよい。
【0111】
計量チャンバ5の上には、熱伝達板7(「第2の温度変化ユニット」)が位置決めされている。熱伝達板7は、優れた熱伝導率(例えば、A1)を有する材料の塊を備える。また、好ましくは、熱伝達板は、高い熱質量を有するため、熱を供給されるとその温度はゆっくりとわずかに変化し、優れた横方向熱伝導率を有するため、その上面全体にわたって実質的に均一な温度を維持する。この実施例では、熱伝達板7は、アルミニウムでできているが、他の実施例では、優れた熱伝導率を有するその他の材料が使用されてもよい。
【0112】
熱伝達板7は、計量チャンバ5の真上に位置決めされており、そのため、熱伝達板7と計量チャンバ5との間には優れた熱的接触がある。熱伝達板7は、計量チャンバ5と直接物理的に接触している。熱伝達板7は、例えば1つ以上のボルト(図示せず)および/または熱伝導性接着層(図示せず)を用いて計量チャンバ5に取り付けられるかまたは固定されてもよい。
【0113】
熱伝達板7と計量チャンバ5との間の優れた熱的接触の結果、熱伝達板7は、計量チャンバ5と実質的に熱平衡状態になり得て、したがって、計量チャンバ5と実質的に同一の温度を有し得る。計量はかり1も、計量チャンバ5と熱平衡状態になり得て、したがって、計量チャンバ5と実質的に同一の温度を有し得る。したがって、熱伝達板7は、計量はかり1と実質的に熱平衡状態になり得て、したがって、計量はかり1と実質的に同一の温度を有し得る。
【0114】
計量はかり1および計量皿3が計量装置の測定領域を備えると考えられることができる。代替的に、計量チャンバ5が計量装置の測定領域を備えると考えられてもよい。
【0115】
図1の計量装置は、さらなる熱伝達板9(「第1の温度変化ユニット」)をさらに備える。熱伝達板9の底面側には、複数のペルチェ装置11が取り付けられている。各々のペルチェ装置11には、その底面側にヒートシンク13が取り付けられている。ペルチェ装置11およびヒートシンク13から熱を除去するために、熱伝達板9の底面側の下方の領域17では、空気流15が提供されることができる。当然のことながら、空気流の構成は、図1に示されるものとは異なっていてもよく、例えば、ファンによって領域17の底面から空気が送風されてもよい。
【0116】
図1では、熱伝達板9は、計量チャンバ5の右手側に位置決めされるものとして示されている。しかし、他の実施例では、熱伝達板9は、図1に示されているものとは異なって、例えば異なる側に、計量チャンバ5の上方もしくは下方に、または計量チャンバ5の近くもしくは計量チャンバ5からさらに離して、位置決めされてもよい。他の実施例では、熱伝達板9は、直接的または間接的に熱伝達板7に取り付けられるかまたは接続されてもよい。
【0117】
使用時、ウェハ運搬装置、例えばEFEMのロボットアームのエンドエフェクタを用いて、FOUP(図示せず)または代替的に別の処理装置(図示せず)から半導体ウェハを取り外し、当該半導体ウェハを熱伝達板9まで運搬して半導体ウェハを熱伝達板9上に位置決めする。半導体ウェハは、FOUP(または別の処理装置)から取り外されるときに約70℃の温度を有し得る。例えば、半導体ウェハがFOUPに投入される前に半導体ウェハを400〜500℃の温度に加熱し得る半導体デバイス生産ラインの処理ステーションにおいて、半導体ウェハは処理されていてもよい。
【0118】
半導体ウェハが熱伝達板9上に位置決めされると、半導体ウェハから熱伝達板9に熱が伝えられ、その結果、半導体ウェハの温度が下がる。半導体ウェハが熱伝達板9上に位置決めされる時間次第で、半導体ウェハおよび熱伝達板9は、熱平衡を達成することができる(例えば、実質的に同一の温度を有する)。半導体ウェハから熱伝達板9への熱の伝達は、熱伝達板9の温度を上昇させるように作用するであろう。その場合、半導体ウェハおよび熱伝達板9の熱平衡温度は、半導体ウェハの所望の温度とは異なり得る。熱伝達板9の温度が半導体ウェハからの熱負荷により上昇することを防止するために、熱伝達板9は、半導体ウェハから除去された熱負荷を積極的に放散させるように動作可能である。特に、ペルチェ装置11は、熱伝達板9から熱を積極的に除去するように動作する。換言すれば、電力がペルチェ装置11に供給されて、ペルチェ装置11が、熱伝達板9と接触する上面から、ヒートシンク13が取り付けられた下面に熱を伝達する能動性ヒートポンプの役割を果たすようにする。
【0119】
ペルチェ装置11およびヒートシンク13から熱を除去するために、ペルチェ装置11およびヒートシンク13が位置決めされる熱伝達板9の下方の領域17では、空気流15が提供される。したがって、熱伝達板9を用いて半導体ウェハから除去された熱は、空気流15によって計量装置の計量チャンバ5から離れたところに運搬されて放散されるので、この熱は、計量装置の温度には影響を及ぼさない。空気流15は、例えば領域17内または領域17の端縁に位置決めされた1つ以上のファンによって生成され得る。換言すれば、熱は、熱伝達板9から積極的に放散される。
【0120】
上記のように、熱伝達板9から熱を積極的に放散させることにより、熱が熱伝達板9に蓄積して熱伝達板9の温度を上昇させることが防止されるであろう。この実施例では、半導体ウェハから除去された熱は、熱伝達板9によって放散されることによって効果的に/効率的に廃棄される。これにより、熱伝達板9を用いて半導体ウェハの温度をより厳密に/正確に制御することが可能になる。
【0121】
いくつかの実施例では、熱伝達板9は、半導体ウェハがより急速に冷却されるように半導体ウェハの所望の温度未満の温度に冷却され得る。この場合、半導体ウェハの温度をモニタリングするために高温計または他の温度センサが使用されてもよく、高温計または他の温度センサは、適切な温度に達すると熱伝達板9から取り外されてもよい。これにより、熱伝達板9によって半導体ウェハを冷却できる速度が上昇し得る。代替的に、半導体ウェハを急速に冷却し、次いでそれ以降は所望の温度に保持する(その結果、半導体ウェハの温度を厳密にモニタリングして適切なときに半導体ウェハを取り外す必要がない)目的で、熱伝達板9は、しばらくの間、半導体ウェハの所望の温度未満の第1の温度に保持されてもよい。
【0122】
熱伝達板9は、半導体ウェハから熱負荷の大部分を除去し、その結果、半導体ウェハが計量皿3上に位置決めされたときに半導体ウェハの温度が半導体ウェハの所望の温度に近い温度に下げられるように動作する。熱伝達板9は、半導体ウェハの温度を所望の温度に下げるために除去される必要がある熱の90%以上、または95%以上を除去することができる。言い換えれば、熱伝達板9は、半導体ウェハが計量皿3上に位置決めされたときに半導体ウェハの温度を初期温度から所望の温度に下げるために必要な温度変化の90%以上、または95%以上を引き起こすことができる。
【0123】
この実施例では、半導体ウェハが計量皿3に装着されたときに半導体ウェハと計量チャンバ5との間に温度差が実質的にない(したがって、半導体ウェハと計量はかり1との間に温度差が実質的にない)ように、半導体ウェハの温度を計量チャンバ5の温度と実質的に一致させることが望ましい。この実施例では、熱伝達板9は、半導体ウェハを計量チャンバ5の温度の±1℃以内に冷却し得る。例えば、計量チャンバが20℃の温度を有している場合、熱伝達板9は、半導体ウェハを(20±1)℃の温度に冷却し得る。しかし、他の実施例では、熱伝達板9が最低でも半導体ウェハの必要な温度変化の50%以上、好ましくは80%以上を提供するという条件で、熱伝達板9によって提供される冷却の量は、これとは異なっていてもよい。
【0124】
熱伝達板9を用いて半導体ウェハが所望の温度に近い温度に冷却されると、半導体ウェハは、ウェハ運搬装置を用いて熱伝達板7まで運搬される。好ましくは、半導体ウェハを熱伝達板7まで運搬するために、半導体ウェハを熱伝達板9まで運搬するために使用されたものとは異なるウェハ運搬装置が使用される。この実施例では、2つの異なる運搬ステップを実行するためにEFEMのロボットアームの2つの異なるエンドエフェクタが使用される。半導体ウェハを熱伝達板9まで運搬するエンドエフェクタは、半導体ウェハによって加熱され得る。冷却された半導体ウェハを熱伝達板9から熱伝達板7に運搬するために同一のエンドエフェクタが使用される場合、当該エンドエフェクタは、熱を半導体ウェハに戻し、それによってその温度を変化させる。この問題は、第2の運搬ステップで異なるエンドエフェクタを使用することによって回避されることができる。
【0125】
エンドエフェクタは、エンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱伝達を最小にするためにエンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱的接触面積が最小にまたは少なくなるように構成され得る。例えば、エンドエフェクタは、もっぱら半導体ウェハの端縁において半導体ウェハと接触し得る。代替的にまたはさらに、エンドエフェクタは、エンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱伝達を最小にするために、熱伝導率が低い材料、すなわち熱絶縁体でできていてもよい。
【0126】
上記のように、半導体ウェハが熱伝達板7上に位置決めされたとき、半導体ウェハと熱伝達板7との間には優れた熱的接触がある。したがって、半導体ウェハは、熱が半導体ウェハから熱伝達板7に伝えられることによって冷却される。半導体ウェハが熱伝達板7上に位置決めされる時間の長さ次第で、半導体ウェハおよび熱伝達板7は、実質的に熱平衡状態になり得て、その結果、実質的に同一の温度を有する(すなわち、半導体ウェハの温度は、熱伝達板7の温度、したがって計量チャンバ5の温度と一致または等しくされる)。この実施例では、半導体ウェハは、60秒までの時間、熱伝達板7上に位置決めされてもよい。
【0127】
半導体ウェハは、熱伝達板7上に位置決めされる前に、熱伝達板9によって除去された熱負荷の大部分を既に有している。したがって、温度均等化中の熱伝達板7に対する熱負荷は非常に低く、したがって、(高い熱質量を有する)熱伝達板7および計量チャンバ5の温度は、温度均等化中は実質的に一定のままである。また、半導体ウェハを熱伝達板7との熱平衡状態にもたらすために交換されなければならない熱は、比較的少ない。
【0128】
したがって、本実施例により、より正確に/厳密に半導体ウェハの温度を所望の温度と等しくすることが可能であり得る。なぜなら、半導体ウェハから熱負荷の大部分を除去するステップと半導体ウェハの温度を等しくするステップとが分離されたからである。例えば、本実施例により、0.1℃未満の精度、または0.01℃未満の精度、またはさらには約0.001℃の精度で半導体ウェハの温度を計量チャンバ5の温度と一致させることが可能であり得る。
【0129】
半導体ウェハの温度が計量チャンバ5の温度と実質的に等しくされると(例えば、予め定められた期間、半導体ウェハが熱伝達板7上にあったとき)、半導体ウェハは、ウェハ運搬装置によって熱伝達板7から計量皿3に運搬される。次いで、計量はかり1を用いて、半導体ウェハの重量を示す測定出力が提供される。半導体ウェハの温度が計量チャンバの温度と実質的に一致させられているので、計量チャンバの温度を大幅に変化させることなく(計量チャンバに対する熱負荷が非常に小さいので)、測定出力におけるいかなる温度誤差も実質的にゼロであり得る。例えば、計量チャンバ5において大きな対流が生成されることはなく、(計量チャンバ5内の空気の加熱によって引き起こされるであろう)半導体ウェハに対する浮力の著しい変化はなく、計量皿3上に半導体ウェハが存在することによる計量はかり1内での著しい温度変化(例えば、温度上昇または温度不均一性)はないであろう。
【0130】
上記と同様に、半導体ウェハを熱伝達板7から計量皿3に運搬するために異なるエンドエフェクタが使用されてもよい。
【0131】
図2は、本発明の第2の実施例に係る計量装置を示す。図1に存在する特徴と同様のまたは対応する特徴は、図1で使用されている参照番号と同一の参照番号を用いて示され、それらの特徴の説明は繰返さない。
【0132】
第1の実施例と第2の実施例との間の主な相違点は、熱伝達板9の位置決めである。第2の実施例では、熱伝達板9は、熱伝達板7の上方に積層されている。熱伝達板7と熱伝達板9との間には、サーマルギャップ19、例えばエアギャップまたは絶縁材料の層が位置決めされ、そのため、熱伝達板7,9は互いに実質的に熱的に絶縁され、熱伝達板7と9との間を通過することができる熱は実質的にない。
【0133】
半導体デバイス生産工場では、しばしば床面積が限られる。したがって、床面積を節約するために、熱伝達板9を熱伝達板7の上方に、すなわち図2に示されている配置と同様に積層することが有利であろう。この配置では、半導体ウェハは、熱伝達板7,9と計量皿3との間で垂直に運搬される。
【0134】
図3は、ウェハ運搬システムを含む本発明の第3の実施例に係る計量装置を示す。図1に存在する特徴と同様のまたは対応する特徴は、図1で使用されている参照番号と同一の参照番号を用いて示され、それらの特徴の説明は繰返さない。図3に示されているように、計量装置およびウェハ運搬システムは、EFEM筐体20に密閉され、当該EFEM筐体20内ではクリーンルーム環境が維持/生成される。図3に示されているように、ウェハ運搬システムは、ロボットアーム、例えばEFEMのロボットアームの1つ以上のエンドエフェクタ21を備える。エンドエフェクタ21は、半導体ウェハ23を保持または支持し、計量装置の異なる部分間で、例えば熱伝達板9と熱伝達板7と計量皿3との間で半導体ウェハ23を運搬するために使用される。
【0135】
図3に示されているように、エンドエフェクタ21が半導体ウェハ23を運搬する際、エンドエフェクタ21は、領域25のうちのいくらかまたは全てを通って垂直に半導体ウェハ23を運搬し、当該領域25は、この実施例では垂直領域、例えば空気またはガスの垂直柱である。領域25を通る空気流29を生成するために、領域25内にまたは領域25を通るように空気(またはガス)を送風するように複数のファン27が配置されている。
【0136】
半導体ウェハは、半導体ウェハが筐体またはチャンバ(例えば、計量チャンバ5)の蓋、開口またはスロットを通過するようにすることによって、熱伝達板7,9上または計量皿3上に位置決めされてもよい。必要に応じて開放されたり閉鎖されたりすることができる、蓋、開口またはスロットを覆うカバー、ドアなどがあってもよい。
【0137】
この実施例では、ウェハ運搬システムは、EFEMの一部であり、領域25を通る空気流29は、(計量チャンバ5を含む)EFEM筐体20内にクリーンルーム状態を維持するために使用されるEFEMの空気流である。クリーンルーム状態を維持するように空気流29をフィルタリングするために、複数のファン27の下流にはフィルタ(22)が含まれている。
【0138】
ファン27の下流(すなわち、図3に示されている配置ではファン27の下方)には、加熱器31が位置決めされている。加熱器31からファン27によって生成された空気流29への熱の伝達を容易にするために、各々の加熱器31には、その上面(上流面)にヒートシンク32が取り付けられている。加熱器31は、空気流29がヒートシンク32上を通るか、またはヒートシンク32の周囲を通るか、またはヒートシンク32を通過するように配置されている。
【0139】
加熱器31は、空気流29を加熱して、半導体ウェハ23が運搬される領域25内の空気を加熱するように動作することができる。
【0140】
加熱器31、ヒートシンク32およびファン27の具体的な数は、図3に示されている数とは異なっていてもよい。例えば、加熱器31と同一の数のファン27を有することは必須ではなく、または各加熱器31がシートシンク32を有することは必須ではなく、または2つ以上の加熱器31、ヒートシンク32もしくはファン27があることは必須ではない。
【0141】
領域25には温度センサ33が位置決めされている。この実施例では、温度センサ33は、熱伝達板7と計量皿3との間の途中に、当該場所の温度を測定するために位置決めされている。他の実施例では、温度センサは、領域25内のその他の場所に位置していてもよく、および/または、領域25内に2つ以上の温度センサがあってもよい。例えば、各加熱器31および/またはファン27ごとに1つの温度センサがあってもよい。
【0142】
コントローラ(図示せず)は、温度センサ33と通信し、複数の加熱器31とも通信し、複数の加熱器31の動作(例えば、温度)を制御して、温度センサ33の出力に基づいて空気流29の温度を制御するように配置されている。
【0143】
例えば数℃だけ(例えば、4℃未満だけ)周囲温度を上回る温度に計量チャンバ5を加熱するために、1つ以上の加熱器(図示せず)も設けられてもよい。加熱器は、計量チャンバ5の温度が一定または均一な温度であるように計量チャンバ5の温度を制御することができる。
【0144】
計量チャンバ5を加熱する利点は、計量チャンバ5の温度と同一の温度になるように加熱器31で空気流29を加熱することによって、領域25内の空気流29の温度を計量チャンバ5の温度と同一になるように(または、計量チャンバ5の温度と固定された関係を有するように)容易に/簡単に制御できることである。
【0145】
使用時、ファン27は、クリーンルーム状態を生成するために空気流29を提供するように動作する。温度センサ33は、温度センサ33の場所、例えば熱伝達板7および計量皿3に近位の空気流29の温度を検出するように動作する。半導体ウェハ23が計量皿3に装着されたときに、温度センサ33によって検出された温度が半導体ウェハ23の所望の温度未満、例えば計量チャンバ5の温度未満であれば、コントローラは、熱を生成するように(または、より多くの熱を生成するように)加熱器31を制御し、その結果、温度センサ33によって検出された温度が所望の温度に実質的に等しくなるまで空気流29の温度は上昇される。温度センサ33の場所における空気流29の温度は、計量チャンバ5の温度に実質的に等しくなるように制御されることができる。
【0146】
このように、領域25を通る空気流29の温度は、計量チャンバ5の温度と実質的に同一になるように制御されることができる。
【0147】
代替的に、コントローラは、コントローラにプログラムされた予め定められた温度と同一になるように温度センサ33における温度を制御してもよい。
【0148】
加熱器31は、比較的高い熱質量を有し得る。したがって、コントローラがより多くの熱を空気流29に供給するように加熱器31を制御することと、加熱器31が必要な温度まで加熱することとの間には、著しい時間のずれが存在する場合がある。したがって、加熱器31の温度を調整するだけでは空気流29の温度のわずかな変動を抑制または防止することは困難である場合がある。したがって、本発明のいくつかの実施例では、コントローラは、ファン27の動作を制御するため、例えばファン27の空気流の速度または割合を制御するために、ファン27のうちの1つ以上とさらに通信し得る。
【0149】
ファン27の速度を非常に急速に変化させることが可能であり得る。ファン27の速度を上昇させると、より多くの空気が加熱器31全体にわたって送風され、空気流29の温度が上昇し得る。逆に、ファン27の速度を減少させると、より少ない空気が加熱器31全体にわたって送風され、空気流29の温度が下がり得る。所望の温度からの空気流29の温度のわずかな逸脱、例えば空気流29の温度のわずかな低下を温度センサが検出すると、コントローラは、この逸脱を抑制または除去するようにファン27の速度を制御し得る。ファン27の速度の変更およびその結果として生じる空気流29の温度の変化は、非常に急速であり得る。したがって、空気流29の温度のわずかな変動を抑制または防止することが可能であり得る。
【0150】
いくつかの実施例では、加熱器31もファン27も、領域25内の空気流29の温度を制御するように同時に制御されてもよい。他の実施例では、加熱器31は、空気流の温度の比較的大きな変化を引き起こすように、または、比較的長期間にわたって(例えば、100秒以上)生じる温度の変化を抑制するように制御されてもよく、一方、ファン27は、空気流の温度の比較的小さな変化を引き起こすように、または、比較的短期間にわたって(例えば、100秒未満、例えば10秒〜100秒)生じる温度の変化を抑制するように制御されてもよい。
【0151】
図4は、ウェハ運搬装置を含む本発明の第4の実施例に係る計量装置を示す。図3に存在する特徴と同様のまたは対応する特徴は、図3で使用されている参照番号と同一の参照番号を用いて示され、それらの特徴の説明は繰返さない。
【0152】
第4の実施例と第3の実施例との間の主な相違点は、第4の実施例が前の実施例の熱伝達板7に対応し得る単一の熱伝達板7のみを含んでいることである。熱伝達板9はない。
【0153】
したがって、第4の実施例により、半導体ウェハ23は、エンドエフェクタ21によってFOUPから(または、別の処理装置から)取り外され、半導体ウェハ23のいかなる事前冷却もなしに熱伝達板7上に設置される。次いで、半導体ウェハ23の温度は、熱伝達板7および計量チャンバ5の温度と実質的に等しくされる。その後、半導体ウェハは、エンドエフェクタ21によって熱伝達板7から計量はかり1の計量皿3に運搬される。
【0154】
この実施例では、温度均等化からの熱伝達板7および計量チャンバ5に対する熱負荷は、前の実施例よりも大きい。したがって、特に一連の半導体ウェハ23に対してシーケンシャルに一連の測定が行われる場合に、温度均等化に起因する熱伝達板7および計量チャンバ5の温度の変化が、前の実施例よりも著しくなる場合がある。
【0155】
本質的には、この実施例において熱伝達板7を用いて行われる温度マッチングは、従来の方法および装置で行われるものと同一である。しかし、この実施例におけるウェハ運搬装置は、図3に関連して上記したものと実質的に同一であり、半導体ウェハ23が運搬される領域25内の空気流29の温度を制御する。したがって、運搬中は、半導体ウェハ23の温度は、計量チャンバ5の温度に維持されることができ、その結果、従来の方法および装置と比較してより正確に、半導体ウェハが計量皿3に装着されたときに半導体ウェハ23の温度が所望の温度と一致させられる。前の実施例と同様に、周囲温度を上回る温度(数℃)に計量チャンバ5を加熱するための1つ以上の加熱器(図示せず)があってもよい。
【0156】
本発明の他の実施例では、領域25内の空気流29の温度は、計量チャンバ5の温度とは異なる温度に制御されてもよい。この構成は、運搬中に半導体ウェハの温度が変化し、したがってもはや所望の温度ではなくなることを招き得るが、半導体ウェハが計量皿3に装着されたときに、半導体ウェハの温度は、少なくとも既知のおよび/または固定された値に制御されるであろう。したがって、温度差によって引き起こされるいかなる誤差も、既知および/または予測可能であり得て、したがって除去することができる。したがって、結果として生じる重量測定の精度は、空気流29の温度を熱伝達板7の温度または計量チャンバ5の温度と一致させる実施例と実質的に同一ではないであろう。
【0157】
同様に、本発明の他の実施例では、熱伝達板7は、計量チャンバ5と熱平衡状態にならなくてもよく、計量チャンバとは異なる温度を有してもよい(計量チャンバに取り付けられなくてもよく、または計量チャンバと接触しなくてもよい)。これは、やはり、半導体ウェハ23と測定チャンバ5との間の温度差を生じさせるが、この温度差から生じる誤差は、既知および/または予測可能であり得て、したがって(例えば、ウェハの処理前および処理後に例えば取得された2つの測定値を差し引く比較測定を行うときに)除去することができる。
【0158】
他の実施例では、熱伝達板9は、半導体ウェハから除去された熱を積極的に放散させなくてもよい。
【0159】
他の実施例では、熱伝達板7は、半導体ウェハから除去された熱を積極的に放散させてもよい。例えば、熱伝達板7は、図1および図2に示されている熱伝達板9と同様に、ペルチェ装置11と空気流15とを備えていてもよい。
【0160】
いくつかの実施例では、計量装置は、例えば半導体ウェハ処理ラインにおいて、別の処理装置と一体化されてもよく、または別の処理装置に隣接していてもよい。この場合、半導体ウェハは、別の処理装置の処理領域から計量装置、例えば熱伝達板9に直接運搬されてもよく、および/または、装置から別の処理装置に直接運搬されてもよい。
【0161】
本発明の他の実施例では、熱伝達板7,9は、半導体ウェハを冷却する代わりに半導体ウェハを加熱するために使用されてもよい。換言すれば、熱伝達板9が、熱負荷の大部分を半導体ウェハに伝達して半導体ウェハを所望の温度に近い温度に加熱してもよく、次いで、熱伝達板7が、半導体ウェハの温度を所望の温度に等しくしてもよい。
【0162】
本発明の他の実施例では、計量チャンバ5は、周囲温度未満の温度に冷却されてもよく、ウェハ運搬装置も、この温度と一致するように冷却されてもよい。
【0163】
上記の実施例のうちのいずれかに係る装置は、半導体ウェハの重量、例えば半導体ウェハの重量または重量の変化に関連する情報を判断するために使用されてもよい。当該装置は、例えば半導体デバイスを作製するための生産ライン上での半導体ウェハの処理によって引き起こされる半導体ウェハの重量の変化を判断するために使用されてもよい。例えば、当該装置は、半導体ウェハの処理前および処理後に半導体ウェハに対して測定を行うために使用されてもよく、それらの測定値は、処理によって引き起こされる半導体ウェハの重量の変化を判断するために使用されてもよい。この情報は、半導体ウェハが正しく処理されたか否か、および/または、半導体ウェハが所望の構造もしくは構成を有しているか否かを判断するために使用されてもよい。
図1
図2
図3
図4