【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の第1の態様に従って、半導体ウェハ処理方法が提供され、当該方法は、
半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度範囲内に制御するステップを備え、当該制御するステップは、
第1の温度変化ユニットを用いて半導体の温度の第1の変化を生じさせることと、
その後、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることとによって行われ、
第1の変化の大きさは、第2の変化の大きさよりも大きく、当該方法はさらに、
その後、半導体ウェハを半導体ウェハ処理装置の処理領域に装着するステップを備える。
【0025】
本発明の第1の態様に係る方法では、半導体ウェハの温度は、2つのステップによって、予め定められた処理温度範囲内に制御される。第1のステップにおいて、半導体ウェハの温度は、第1の温度変化ユニットを用いて、大量に変更される(上昇または下降させられる)。第2のステップにおいて、半導体ウェハの温度は、第2の温度変化ユニットを用いて、少量だけ変更される(上昇または下降させられる)。
【0026】
したがって、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度範囲内に制御する前に、半導体ウェハの温度変化の大部分は、第1の温度変化ユニットを用いて達成されている。したがって、第1の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度を変化させる第1のステップを含まない構成と比較して、第2の温度変化ユニットに対する熱負荷を大幅に減少させることができる。
【0027】
第2の温度変化ユニットに対する熱負荷が減少することは、熱負荷の結果としての第2の温度変化ユニットのいかなる温度変化も低減されることを意味する。したがって、従来の方法と比較して、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度をより正確に制御することができる。これにより、従来の方法で可能であったよりも厳密にまたは正確に、処理領域上の半導体ウェハの温度および/または制御対象の処理領域の温度(および/または温度均一性)を制御することが可能になり得る。その結果、より正確に処理を行うことができる。
【0028】
例えば、半導体ウェハの温度が処理領域の温度と実質的に同一であるように制御される場合、温度差が実質的にゼロであり得るので、温度差によって引き起こされるいかなる誤差も実質的に回避することができる。その代わりに、半導体ウェハの温度が処理領域の温度とは異なる温度に制御される場合、温度差によって引き起こされるいかなる誤差も、各半導体ウェハについて実質的に同一であり得て、したがって、比較測定を行う(すなわち、処理によって引き起こされる半導体ウェハの質量変化を判断するために処理前の測定値および処理後の測定値を差し引く)ことによって予測および/または実質的に除去することができる。
【0029】
本発明の第1の態様に係る方法は、以下の任意の特徴のうちのいずれか1つ、またはそれらが両立できる限りはそれらの任意の組み合わせを有していてもよい。
【0030】
第1の温度変化ユニットおよび第2の温度変化ユニットは、エアギャップまたは断熱材の層などの熱絶縁体によって、互いに熱的に絶縁、例えば分離されてもよい。
【0031】
温度変化ユニットは、半導体ウェハの温度を上昇または下降させる(すなわち、変化させる)ために使用可能な任意の装置、例えば加熱ユニット/加熱器または冷却ユニット/冷却器であってもよい。
【0032】
第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、半導体ウェハを第2の温度変化ユニットと実質的に熱平衡状態になるようにすることを備えていてもよい。
【0033】
第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、半導体ウェハと第2の温度変化ユニットとを物理的に接触させる、例えば直接物理的に接触させることを備えていてもよい。
【0034】
第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、半導体ウェハの温度を第2の温度変化ユニットの温度と実質的に等しくするまたは一致させることを備えていてもよい。
【0035】
第1の温度変化の大きさは、第1および第2の温度変化の大きさの合計の少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%を構成してもよい。したがって、半導体ウェハの熱負荷の大部分は、第1の温度変化ユニットによって半導体ウェハから除去されたり半導体ウェハに追加されたりすることができる。その結果、半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせるために使用されるときの第2の温度変化ユニットに対する熱負荷は低減され、より正確に/厳密に半導体ウェハの温度を所望の温度と一致させることができる。
【0036】
半導体ウェハの温度の第1の変化を生じさせることは、半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度の±3℃以内、または±2℃以内、または±1℃以内で変化させることを備えていてもよい。換言すれば、半導体ウェハの温度の第1の変化は、半導体ウェハの温度を所望の処理温度に近い(すなわち、数℃以内の)温度にすることができ、その結果、第2の温度変化ユニットは、半導体ウェハの温度の小さな変化を生じさせる(半導体ウェハに小さな熱負荷を追加すること、または半導体ウェハから小さな熱負荷を除去することに対応する)だけでよい。
【0037】
半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度と実質的に等しくすることを備えていてもよい。したがって、熱負荷の大部分が半導体ウェハに追加されるか、または半導体ウェハから除去されると温度均等化を行うことができ、その結果、より正確に温度均等化を行うことができる(これは、第2の温度変化ユニットに対する熱負荷が減少することに起因し、温度均等化中は第2の温度変化ユニットの温度が著しく変化しないことを意味する)。
【0038】
半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度に実質的に等しくすることは、半導体ウェハの温度が所望の温度(処理領域の温度または異なる温度と同一であってもよい)に厳密に制御されることを意味する。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差は、実質的にゼロであり得て、その結果、温度差によって測定出力に誤差が引き起こされることは実質的にない。代替的に、温度差は、各半導体ウェハについて実質的に同一であってもよく、その結果、測定出力の誤差は、実質的に一定であり、比較測定(例えば、処理による質量変化を判断するために処理前の測定値および処理後の測定値を差し引く)によって予測および/または相殺可能である。温度均等化の程度は、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度を変化させる時間の長さに左右され得る。
【0039】
予め定められた処理温度は、半導体ウェハ処理装置の処理領域の温度であってもよい。したがって、半導体ウェハの温度を処理領域の温度と実質的に等しくする(または一致させる)ことができる。したがって、半導体ウェハと処理領域との間に温度差は実質的にないであろう。
【0040】
半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、半導体ウェハの温度を3℃未満、または2℃未満、または1℃未満だけ変化させることを備えていてもよい。したがって、必要な温度変化を達成するために小さな熱負荷を半導体ウェハから除去するか、または半導体ウェハに入力するだけでよいので、第2の温度変化ユニットに対する熱負荷は低いであろう。したがって、第2の温度変化ユニットの温度は、第2の温度変化中に著しく変化することはなく、したがって、より正確に/厳密に半導体ウェハの温度を変化させることができる。
【0041】
当該方法は、半導体ウェハ計測方法であってもよく、半導体ウェハの温度は、予め定められた測定温度範囲内に制御されてもよく、半導体ウェハは、半導体ウェハ計測装置の測定領域に装着されてもよい。
【0042】
第1の温度変化ユニットは、第1の冷却ユニットを備えていてもよく、半導体ウェハの温度の第1の変化を生じさせることは、第1の冷却ユニットを用いて半導体ウェハを冷却することを備えていてもよい。したがって、当該方法は、予め定められた処理温度範囲内に半導体ウェハを冷却することを備えていてもよい。冷却ユニットは、半導体ウェハを冷却する(すなわち、半導体ウェハの温度を下げる)ために半導体ウェハから熱を除去する装置であってもよい。
【0043】
第1の冷却ユニットは、半導体ウェハから熱を抽出して、当該熱を半導体ウェハ処理装置の処理領域から放散させる(または、運搬する)ことができる。したがって、第1の冷却ユニットを用いて半導体ウェハが冷却されるときに半導体ウェハから除去された熱は、処理領域には運搬されない。したがって、この熱は、処理領域の温度に対して実質的に影響を及ぼすことはなく、処理領域の温度は、実質的に一定のままであり得る。
【0044】
第1の冷却ユニットは、半導体ウェハから除去された熱を積極的に放散させてもよい。熱を積極的に放散させることは、第1の冷却ユニットによって放散される熱の量を、第1の冷却ユニットから熱を除去するための何らかの手段を介して人為的に増加させることを意味し得る。例えば、第1の冷却ユニットから熱を積極的に放散させることは、第1の冷却ユニットから熱を積極的に除去するために、第1の冷却ユニットの一部を介して、または第1の冷却ユニットの一部から、流体、例えば液体またはガスの流れを人為的に発生させることを備えていてもよい。当該方法は、第1の冷却ユニットに熱を積極的に放散させるために第1の冷却ユニットに電力を供給することを備えていてもよい。
【0045】
第1の冷却ユニットから熱を積極的に放散させることは、半導体ウェハの第1の温度変化を生じさせるときに第1の冷却ユニットの温度が上昇することを防止することができる。特に、これは、(半導体ウェハから熱負荷の大部分を除去する)第1の冷却ユニットに対する熱負荷が相当なものであり得る場合に、一連の半導体ウェハを処理する際に第1の冷却ユニットに熱が蓄積することを防止することができる。換言すれば、半導体ウェハから除去された熱の大部分は、第1の冷却ユニットによって効果的に/効率的に放散されることができる。
【0046】
第1の冷却ユニットは、熱電冷却器を備えていてもよい。熱電冷却器は、ペルチェ効果を用いて2つの異なるタイプの材料の接合部の間に熱流束を生じさせる装置であってもよい。換言すれば、第1の冷却ユニットは、装置の一方の側から他方の側に熱を伝達する熱電ヒートポンプ装置を備えていてもよい。冷却ユニットは、ペルチェ冷却器を備えていてもよい。
【0047】
第1の温度変化ユニットは、第1の熱伝達板を備えていてもよい。
熱伝達板は、実質的に平坦な(外)面を有する熱伝導体であってもよい。
【0048】
熱伝達板は、半導体ウェハの表面積と同一またはそれよりも大きな表面積を有していてもよく、その結果、半導体ウェハの表面積全体にわたって(すなわち、均一に)半導体ウェハの温度を変化させることができる。
【0049】
熱伝達板は、優れた横方向(実質的に平坦な面を横断する)伝導率を有していてもよく、そのため、熱伝達板は、その面全体にわたって実質的に均一な温度を維持する。したがって、半導体ウェハの表面積全体にわたって半導体ウェハの温度を実質的に均一に変化させることができる。
【0050】
熱伝達板は、高い熱質量を有していてもよく、そのため、熱負荷に応答した熱伝達板の温度変化は、小さい。
【0051】
第2の温度変化ユニットは、第2の冷却ユニットを備えていてもよく、半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせることは、第2の冷却ユニットを用いて半導体ウェハを冷却することを備えていてもよい。したがって、半導体ウェハは、第1の冷却ユニットを用いて予め定められた処理温度範囲を(例えば、数℃だけ)上回る温度に冷却され、次いで、第2の冷却ユニットを用いて予め定められた処理温度範囲内の温度に冷却されることができる。したがって、第1の冷却ユニットを用いて、半導体ウェハの熱負荷の大部分を除去することができ、次いで、第2の冷却ユニットを用いて、より優れた温度マッチングまたは均等化を行うことができる。したがって、第2の温度変化を生じさせるときの第2の冷却ユニットに対する熱負荷を減少させることができる。
【0052】
第2の冷却ユニットは、半導体ウェハから除去された熱を積極的に放散させてもよい。熱を積極的に放散させることは、第2の冷却ユニットによって放散される熱の量を、第2の冷却ユニットから熱を除去するための何らかの手段を介して人為的に増加させることを意味し得る。例えば、第2の冷却ユニットから熱を積極的に放散させることは、第2の冷却ユニットから熱を積極的に除去するために、第2の冷却ユニットの一部を介して、または第2の冷却ユニットの一部から、流体、例えば液体またはガスの流れを人為的に発生させることを備えていてもよい。当該方法は、第2の冷却ユニットに熱を積極的に放散させるために第2の冷却ユニットに電力を供給することを備えていてもよい。
【0053】
第2の温度変化ユニットは、上記の第1の熱伝達板の任意の特徴を有し得る第2の熱伝達板を備えていてもよい。
【0054】
第2の熱伝達板は、半導体ウェハ処理装置の処理領域と実質的に同一の温度を有していてもよい。したがって、第2の熱伝達板は、半導体ウェハの温度を処理領域の温度と実質的に等しくするまたは一致させるために使用されることができる。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差によって引き起こされるいかなる誤差も回避または除去することができる。なぜなら、温度差が実質的にゼロであり得るからである。温度均等化の程度は、第2の熱伝達板を用いて半導体ウェハの温度を変化させる時間の長さに左右され得る。
【0055】
第2の熱伝達板は、半導体ウェハ処理装置の処理領域に熱的に結合されてもよい。例えば、第2の熱伝達板は、高い熱伝導率を有する熱伝導手段によって処理領域に接続されてもよい。例えば、熱伝達板は、処理領域と直接接触してもよく、処理領域の面上にボルト留めされてもよい。第2の熱伝達板は、処理領域と実質的に熱平衡状態にあってもよい。
【0056】
第2の熱伝達板は、半導体ウェハ処理装置の処理領域と一体であってもよい。換言すれば、第2の熱伝達板は、処理領域の一部であってもよく、例えば処理領域とひとつなぎに形成されてもよい。例えば、熱伝達板は、処理領域の外面上に形成されてもよい。
【0057】
当該方法は、半導体ウェハの温度を半導体ウェハ処理装置の処理領域の温度と実質的に等しくすることを備えていてもよい。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差によって引き起こされるいかなる誤差も回避または除去することができる。なぜなら、温度差が実質的にゼロであり得るからである。
【0058】
半導体ウェハ処理装置は、計量装置を備えていてもよく、当該方法は、半導体ウェハの質量に関連する情報を判断するステップを備えていてもよい。
【0059】
当該方法は、所望の処理温度未満の温度を有する第1の冷却ユニットを用いて(または、同等に、半導体ウェハが加熱されているときには、所望の処理温度を上回る温度を有する第1の加熱ユニットを用いて)第1の温度変化を生じさせることを備えていてもよい。また、当該方法は、半導体ウェハが第1の冷却ユニットによって冷却されているときに(例えば、高温計を用いて)半導体ウェハの温度をモニタリングし、半導体ウェハの温度が所望の温度(例えば、所望の処理温度の数℃以内の温度)であれば半導体ウェハを第1の冷却ユニットから取り外すことを備えていてもよい。所望の処理温度未満の温度を有する第1の冷却ユニット(または、同等に、所望の処理温度を上回る温度を有する第1の加熱ユニット)を使用する利点は、第1の冷却ユニット(または、第1の加熱ユニット)と半導体ウェハとの間の温度差が大きいために第1の温度変化をより素早く生じさせることができることである。
【0060】
半導体ウェハの温度が所望の温度に達したときに半導体ウェハを第1の冷却ユニットから取り外す代わりに、第1の冷却ユニットの温度は、その代わりに、予め定められた期間後に、または半導体ウェハが所望の温度に達したときに、所望の温度を下回る温度から所望の温度に上昇させてもよい。したがって、第1の冷却ユニットからの半導体ウェハの厳密な取り外しを必要とすることなく、第1の温度変化をより素早く生じさせることができる。
【0061】
当該方法は、半導体ウェハを第2の温度変化ユニットから半導体ウェハ処理装置の処理領域に運搬するステップと、運搬するステップ中に半導体ウェハの温度を制御するステップとを備えていてもよい。
【0062】
従来の方法および装置では、半導体ウェハは、イクイップメント・フロント・エンド・モジュール(Equipment Front End Module:EFEM)のロボットアームを用いて処理装置の処理領域に運搬される。これは、一般に、EFEMまたはEFEMに接続された処理装置の一部においてクリーンルーム環境を維持するために使用される空気流が存在するEFEMの領域を通るように半導体ウェハを移動させることを伴う。このような従来のEFEMを用いて、本発明の第1の態様に係る方法において半導体ウェハを第2の温度変化ユニットから処理領域に移動させる場合、半導体ウェハの温度は、運搬中に変化する可能性があり、半導体ウェハが処理領域に装着されたときにはもはや予め定められた処理温度範囲内にない可能性がある。運搬ステップ中に半導体ウェハの温度を制御することによって、半導体ウェハが処理領域に装着されたときの半導体ウェハの温度をよりよく制御することができる。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差による誤差を回避または一定に/予測可能にすることができる。
【0063】
実際、本発明者等は、半導体ウェハを第2の温度変化ユニットから処理領域に運搬している間に半導体ウェハの温度を制御するというアイデアが、本発明の第2の態様に相当することに気付いた。
【0064】
したがって、本発明の第2の態様に従って、半導体ウェハ処理方法が提供され、当該方法は、温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度の変化を生じさせることによって、半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度範囲内に制御するステップと、半導体ウェハを温度変化ユニットから半導体ウェハ処理装置の処理領域に運搬するステップと、運搬するステップ中に半導体ウェハの温度を制御するステップとを備える。
【0065】
運搬するステップ中に半導体ウェハの温度を制御することによって、半導体ウェハが処理領域に装着されたときの半導体ウェハの温度をよりよく制御することができる。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差による誤差(および/または、半導体ウェハから処理領域に対する熱負荷による誤差)を回避または一定に/予測可能にすることができる。
【0066】
本発明の第1および/または第2の態様に係る方法は、以下の任意の特徴のうちのいずれか1つ、またはそれらが両立できる限りはそれらの任意の組み合わせを有していてもよい。
【0067】
温度変化ユニットは、熱伝達板を備えていてもよい。
運搬するステップ中の半導体ウェハの温度は、温度変化ユニットの温度および/または半導体ウェハが温度変化ユニットを離れるときの半導体ウェハの温度と実質的に同一であるように制御されてもよい。
【0068】
当該方法は、半導体ウェハ計測方法を備えていてもよく、半導体ウェハは、温度変化ユニットから半導体ウェハ計測装置の測定領域に運搬されてもよい。
【0069】
当該方法は、半導体ウェハを運搬するために使用される半導体ウェハ運搬装置の温度を制御するステップを備えていてもよい。例えば、当該方法は、半導体ウェハを運搬するために使用されるロボットアームおよび/またはエンドエフェクタの温度を制御するステップを備えていてもよい。
【0070】
半導体ウェハ運搬装置の温度は、半導体ウェハ処理装置の処理領域の温度と実質的に同一、または、温度変化ユニットの温度および/もしくは半導体ウェハが温度変化ユニットを離れるときの半導体ウェハの温度と実質的に同一であるように制御されてもよい。
【0071】
当該方法は、半導体ウェハを運搬するある量の空気の温度を制御するステップを備えていてもよい。例えば、半導体ウェハは、クリーンルーム環境を維持するために使用される空気流が存在するEFEMの領域を通して下流に運搬されてもよい。その場合、当該方法は、空気流の温度、例えば熱伝達板に隣接した場所などの特定の場所における空気流の温度を制御するステップを備えていてもよい。例えば、当該方法は、空気流を加熱するために1つ以上の加熱器を設けるステップを備えていてもよい。また、当該方法は、空気流の温度を制御するために、1つ以上の加熱器の温度を調整する、および/または、空気流の速度を調整するステップを備えていてもよい。例えば、1つ以上の加熱器は、空気流を生じさせる1つ以上のファンの下流に位置決めされてもよい。
【0072】
当該量の空気の温度は、半導体ウェハ処理装置の処理領域の温度と実質的に同一、または、温度変化ユニットの温度および/もしくは半導体ウェハが温度変化ユニットを離れるときの半導体ウェハの温度と実質的に同一であるように制御されてもよい。
【0073】
当該方法は、半導体ウェハが温度変化ユニットから除去されるときと半導体ウェハが処理領域に設置されるときとの間の時間を制限するために、例えば最も直接的なルートをとることによって、および/または、可能な限り速い速度で移動させることによって、半導体ウェハを温度変化ユニットから処理領域に最小の時間で移動させるステップを備えていてもよい。
【0074】
当該方法は、半導体ウェハを運搬するために使用されるエンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱伝導を制限するために、エンドエフェクタと半導体ウェハとの間の接触面積を最小にするステップを備えていてもよい。例えば、エンドエフェクタは、半導体ウェハの端縁においてのみ半導体ウェハと接触してもよい。さらに、当該方法は、エンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱伝導率が低くなるように、エンドエフェクタにおいて伝導率が劣る(または、低い)材料を使用するステップを備えていてもよい。
【0075】
当該方法は、例えば処理領域に取り付けられた(例えば、測定筐体などの処理筐体に取り付けられた)1つ以上の加熱器を用いて処理装置の処理領域を周囲温度を上回る温度に加熱するステップを備えていてもよい。処理領域を加熱することは、1つ以上の加熱器により運搬中に温度を処理領域の温度と同一になるように制御できることを意味する。例えば、処理温度は、周囲温度を数℃(例えば、4℃未満)だけ上回るように加熱されてもよい。
【0076】
代替的に、当該方法は、例えば1つ以上の冷却器を用いて処理装置の処理領域を周囲温度を下回る温度に冷却するステップを備えていてもよい。処理領域を冷却することは、1つ以上の冷却器により運搬中に温度を処理領域の温度と同一になるように制御できることを意味する。例えば、処理領域は、周囲温度を数℃だけ下回るように冷却されてもよい。
【0077】
本発明の第3の態様に従って、半導体ウェハ処理装置が提供され、当該装置は、半導体ウェハの温度の第1の変化を生じさせるための第1の温度変化ユニットと、
その後、半導体ウェハの温度の第2の変化を生じさせるための第2の温度変化ユニットと、
処理領域とを備える。
【0078】
本発明の第3の態様に係る装置により、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度が予め定められた処理温度範囲内に制御される前に半導体ウェハから熱負荷の大部分を除去するために、第1の温度変化ユニットを使用することができる。したがって、第2の温度変化ユニットを用いて半導体ウェハの温度を予め定められた処理温度範囲内に制御するときの第2の温度変化ユニットに対する熱負荷を、従来の装置と比較して大幅に減少させることができ、第2の温度変化ユニットの著しい温度変化を回避することができる。したがって、本発明の第3の態様に係る装置は、従来の装置よりも正確に半導体ウェハ処理を行うことができるであろう。
【0079】
当該装置は、半導体ウェハ計測装置を備えていてもよく、処理領域は、測定領域を備えていてもよい。したがって、本発明の第3の態様に係る装置は、従来の装置よりも正確に半導体ウェハ計測を行うことができるであろう。
【0080】
第1の温度変化ユニットは、半導体ウェハを冷却するための第1の冷却ユニットを備えていてもよい。
【0081】
第1の冷却ユニットは、半導体ウェハから熱を除去して、半導体ウェハ処理装置の処理領域から熱を放散させる(または、運搬する)ように配置されてもよい。したがって、第1の冷却ユニットを用いて半導体ウェハが冷却されるときに半導体ウェハから除去された熱は、処理領域には運搬されない。したがって、この熱は、処理領域の温度に影響を及ぼすことはなく、処理領域の温度は、実質的に一定のままであり得る。
【0082】
第1の冷却ユニットは、半導体ウェハから除去された熱を積極的に放散させるように配置されてもよい。例えば、第1の冷却ユニットは、第1の冷却ユニットによって放散される熱の量を人為的に増加させるように第1の冷却ユニットから熱を除去するための手段を備えていてもよい。例えば、第1の冷却ユニットは、第1の冷却ユニットから熱を積極的に除去するために流体、例えば液体またはガスが第1の冷却ユニットの一部を通る、または第1の冷却ユニットの一部から通過するようにするための手段を備えていてもよい。このような手段は、管および/またはバルブおよび/またはポンプもしくはファンを備えていてもよい。第1の冷却ユニットは、第1の冷却ユニットに熱を積極的に放散させるために第1の冷却ユニットに電力を供給する目的で、電源に接続されていてもよい。
【0083】
第1の冷却ユニットから熱を積極的に放散させることにより、半導体ウェハの第1の温度変化を生じさせるときに第1の冷却ユニットの温度が上昇することを防止することができる。特に、これは、(半導体ウェハから熱負荷の大部分を除去する)第1の冷却ユニットに対する熱負荷が相当なものであり得る場合に、一連の半導体ウェハを処理する際に第1の冷却ユニットに熱が蓄積することを防止することができる。換言すれば、半導体ウェハから除去された熱の大部分は、第1の冷却ユニットによって効果的に/効率的に放散されることができる。
【0084】
第1の冷却ユニットは、熱電冷却器を備えていてもよい。
第1の温度変化ユニットは、第1の熱伝達板を備えていてもよい。
【0085】
第2の温度変化ユニットは、半導体ウェハを冷却するための第2の冷却ユニットを備えていてもよい。換言すれば、第1の冷却ユニットは、半導体ウェハから熱負荷の大部分を除去することができ、第2の冷却ユニットは、半導体ウェハの温度を所望の処理温度と実質的に一致させるために必要な残りの冷却を行うことができる。
【0086】
第2の冷却ユニットは、半導体ウェハから除去された熱を積極的に放散させるように配置されてもよい。
【0087】
第2の温度変化ユニットは、第2の熱伝達板を備えていてもよい。
第2の熱伝達板は、半導体ウェハ処理装置の処理領域と実質的に同一の温度であってもよい。例えば、第2の熱伝達板は、処理領域と実質的に熱平衡状態にあってもよい。したがって、第2の熱伝達板は、半導体ウェハの温度を処理領域の温度と実質的に等しくするまたは一致させるために使用されることができる。これは、半導体ウェハと処理領域との間に温度差がある場合に生じ得るいかなる誤差も実質的に除去することができる。
【0088】
第2の熱伝達板は、例えば第2の熱伝達板が処理領域と熱平衡状態になるように半導体ウェハ処理装置の処理領域に熱的に結合されてもよい。例えば、第2の熱伝達板は、熱伝導性材料を備え得る処理領域と物理的に接触していてもよい。
【0089】
第2の熱伝達板は、半導体ウェハ処理装置の処理領域と一体であってもよい。換言すれば、第2の熱伝達板は、処理領域の一部であってもよく、例えば処理領域の外面に形成されてもよい。
【0090】
当該装置は、計量装置を備えていてもよい。換言すれば、当該装置は、半導体ウェハの重量、例えば半導体ウェハの重量または重量の変化、に関連する情報を判断するために使用可能であってもよい。当該装置は、従来の装置よりも高い精度で半導体ウェハの重量または重量の変化に関連する情報を判断することができるであろう。
【0091】
当該装置は、例えば半導体ウェハ生産ラインの一部として、別の処理装置と一体であってもよく、または別の処理装置に隣接していてもよい。したがって、最初にFOUPに保管することなく、半導体ウェハを別の処理装置から当該装置に直接運搬することができる。代替的にまたはさらに、最初にFOUPに保管することなく、半導体ウェハを当該装置から別の処理装置に直接運搬してもよい。場合によっては、半導体ウェハは、当該装置から別の処理装置に直接運搬され、次いで当該装置に直接戻されてもよい。例えば、当該装置が計測装置である場合には、別の処理装置による半導体ウェハの処理前にも処理後にも半導体ウェハの計測を行うために当該装置が使用されてもよい。
【0092】
当該装置は、半導体ウェハを第2の温度変化ユニットから半導体ウェハ処理装置の処理領域に運搬するための半導体ウェハ運搬装置と、運搬中に半導体ウェハの温度を制御するための温度制御手段とを備えていてもよい。運搬中に半導体ウェハの温度を制御することは、半導体ウェハと処理領域との間の温度差によって引き起こされる誤差を排除すること、または、これらの誤差をより予測可能または一定にすることを助けることができる。したがって、装置の精度をよくすることができる。
【0093】
本発明の第4の態様に従って、半導体ウェハ処理装置が提供され、当該装置は、
半導体ウェハの温度の変化を生じさせるための温度変化ユニットと、
半導体ウェハを温度変化ユニットから半導体ウェハ処理装置の処理領域に運搬するための半導体ウェハ運搬装置と、
運搬中に半導体ウェハの温度を制御するための温度制御手段とを備える。
【0094】
運搬するステップ中に半導体ウェハの温度を制御することによって、半導体ウェハが処理領域に装着されたときの半導体ウェハの温度をよりよく制御することができる。したがって、半導体ウェハと処理領域との間の温度差による誤差を回避または一定に/予測可能にすることができる。
【0095】
本発明の第3および/または第4の態様に係る装置は、以下の任意の特徴のうちのいずれか1つ、またはそれらが両立できる限りはそれらの任意の組み合わせを有していてもよい。
【0096】
温度変化ユニットは、熱伝達板を備える。
当該装置は、半導体ウェハ計測装置を備えていてもよく、半導体ウェハ運搬装置は、半導体ウェハを温度変化ユニットから半導体ウェハ計測装置の測定領域に運搬するためのものであってもよい。
【0097】
当該装置は、半導体ウェハ運搬装置の温度を変化させるように配置されたさらなる温度変化ユニット(例えば、加熱器)を備えていてもよい。例えば、温度変化ユニットは、半導体ウェハを運搬するために使用されるロボットアームおよび/またはエンドエフェクタを加熱(または、冷却)するように配置されてもよい。
【0098】
当該装置は、半導体ウェハを運搬するある量(または、領域)の空気(または、ガス)を加熱(または、冷却)するように配置されたさらなる温度変化ユニット(例えば、加熱器)を備えていてもよい。例えば、当該装置は、空気流を有するEFEMを備えていてもよく、当該空気流は、半導体ウェハが運搬されるEFEMにおいてクリーンルーム環境を維持するために使用され、さらなる温度変化ユニットは、空気流の温度を変化させるように配置されてもよい。例えば、さらなる温度変化ユニットは、当該量の空気を(第2の)温度変化ユニットの温度または処理領域の温度に実質的に等しい温度に加熱(または、冷却)するように配置されてもよい。
【0099】
さらなる温度変化ユニットは、加熱器を備えていてもよい。
当該装置は、温度センサと、温度センサの出力に基づいてさらなる温度変化ユニット(例えば、加熱器)を制御するように配置されたコントローラとを備えていてもよい。例えば、さらなる温度変化ユニットが、半導体ウェハを運搬するある量の空気を加熱(または、冷却)するように配置されている場合、温度センサは、当該量の空気の範囲内に、例えば熱伝達板に隣接して位置していてもよい。温度センサによって検出された温度が所望の温度未満であれば、コントローラは、より多くの熱を当該量の空気に提供するようにさらなる温度変化ユニットを制御することができる。
【0100】
当該装置は、さらなる温度変化ユニット(例えば、加熱器)全体にわたって空気を送風して、半導体ウェハを運搬する当該量の空気の温度を変化させるためのファンを備えていてもよい。例えば、ファンは、クリーンルーム環境を維持するために必要な空気流を提供するEFEMのファンであってもよい。
【0101】
当該装置は、温度センサと、温度センサの出力に基づいてファンを制御するように配置されたコントローラとを備えていてもよい。例えば、温度センサによって検出された温度が所望の温度未満であれば、コントローラは、より多くの熱を当該量の空気に提供するようにさらなる温度変化ユニット全体にわたって空気流を増加させるようにファンを制御することができる。この構成は、当該量の空気の温度の短期的なまたは小さな変動または変化に応答することに特に有利であり得る。加熱器の熱質量が大きいために、コントローラが加熱器にウォームアップまたはクールダウンするように命じるときと、加熱器が必要な温度にウォームアップまたはクールダウンするときとの間には重大なずれが存在する場合がある。したがって、加熱器の温度を調整することによって当該量の空気の温度の短期的な変動を防止することは困難であろう。対照的に、加熱器全体にわたる空気流を増加または減少させるためにファンの速度を非常に素早く変化させることが可能であり得る。したがって、ファンの速度を調整することは、当該量の空気の温度の短期的な変動を防止または抑制するための優れた方法であり得る。
【0102】
半導体ウェハ運搬装置は、ロボットアームまたはロボットアームのエンドエフェクタを備えていてもよい。例えば、ロボットアームは、EFEMのロボットアームであってもよい。
【0103】
当該装置は、半導体ウェハが温度変化ユニットから半導体ウェハ処理装置の処理領域に運搬される前に半導体ウェハを温度変化ユニットに運搬するためのさらなる半導体ウェハ運搬装置を備えていてもよい。例えば、第1の半導体ウェハ運搬装置は、第1のエンドエフェクタであってもよく、さらなる半導体ウェハ運搬装置は、第2のエンドエフェクタであってもよい。別々のウェハ運搬装置(例えば、エンドエフェクタ)を使用することは、有利であり得る。なぜなら、それは、ウェハ運搬装置の温度が、ウェハ運搬装置が運搬する半導体ウェハの温度とより緊密に一致されることを意味し得るからである。半導体ウェハをFOUPから熱伝達板に運搬するために使用される半導体ウェハ運搬装置は、比較的高温であり得る。なぜなら、FOUP内のウェハが高温であり得る(例えば、約70℃であってもよい)からである。ウェハが(例えば、20℃に)冷却された後に同一の半導体ウェハ運搬装置を用いて半導体ウェハを熱伝達板から処理領域に運搬する場合、半導体ウェハ運搬装置は、熱を半導体ウェハに伝達して、その温度を上昇させ得る。これは、異なる半導体ウェハ運搬装置を用いて半導体ウェハを熱伝達板から処理領域に運搬することによって回避することができる。
【0104】
エンドエフェクタは、エンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱伝達を最小にするためにエンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱的接触面積が最小または小さくなるように構成されてもよい。例えば、エンドエフェクタは、もっぱら半導体ウェハの端縁において半導体ウェハと接触してもよい。代替的にまたはさらに、エンドエフェクタは、エンドエフェクタと半導体ウェハとの間の熱伝達を最小にするために、熱伝導率が低い材料、すなわち熱絶縁体でできていてもよい。
【0105】
当該装置は、周囲温度を(例えば、数℃、例えば周囲を4℃未満だけ)上回る温度に処理領域を加熱するための加熱手段(例えば処理領域、例えば処理領域の処理チャンバまたは筐体に取り付けられた例えば1つ以上の加熱器)を備えていてもよい。処理領域および半導体ウェハ運搬装置を両方とも別々に加熱することは、半導体ウェハの運搬中に半導体ウェハの温度を処理領域の温度と同一であるように制御する効率的かつ簡単な方法であり得る。
【0106】
代替的に、当該装置は、周囲温度を下回る温度に処理領域を冷却するための冷却手段(例えば、1つ以上の冷却器)を備えていてもよい。この場合、運搬中に半導体ウェハの温度が処理領域の温度と同一であるように制御されるように、処理領域と半導体ウェハ運搬装置とは別々に冷却されることができる。
【0107】
ここで、添付の図面を参照して、単に一例として本発明の実施例を説明する。