【課題を解決するための手段】
【0037】
5.本発明の概要
これらの目的およびここで以下明らかになる他の目的は、電気モータを収容する本体を備えたインパルスドライバー装置を制御する方法であって、前記モータの回転子は、遊びを有するトランスミッションを介して、回転駆動されやすい末端要素に接続されており、回転子は、
− 遊びがねじ込み方向に最大である最大後退位置と、
− 遊びがねじ込み方向に補償されている衝撃位置と
の間で回転移動可能であり、
方法は、少なくとも1つのねじ込み段階を含み、ねじ込み段階は、少なくとも1つの衝撃サイクルを含み、衝撃サイクルは、連続して、
− 電気インパルスでモータに電力を供給するステップであって、より正確には、回転子が、遊びの補償時に運動エネルギーを蓄積し、次いでねじ込みトルク衝撃中にこのエネルギーをトランスミッションを介して末端要素へ伝達するように、回転子が最大後退位置から衝撃位置まで通り、本体はねじ抜き方向に末端要素の回転軸を中心にして反動で回転する傾向にある、ステップと、
− モータの電力供給を制御するステップを含む安定化するステップであって、制御するステップは、衝撃サイクルの開始時にそれが占めていた末端要素の回転軸を中心にした角度位置に本体を実質的に戻す、ステップと
を少なくとも含む、方法によって実現される。
【0038】
ねじ込みトルク衝撃の影響下で、ドライバー装置の本体は、サイクルの開始時にその初期位置から末端要素の軸を中心にしてねじ抜き方向に反動で回転する傾向がある。
【0039】
本発明によれば、安定化するステップは、モータへの電力供給を制御することによって、ドライバー装置の本体を、サイクルの終わりに、サイクルの開始時に占めていた位置に実質的に戻ることを可能にする。
【0040】
したがって、本発明の技法は、操作者がねじ込み動作中に所定の位置にドライバーを維持するように展開しなければならないという力をなくすまたは少なくとも大きく減少させるものである。
【0041】
結果として、本発明は、操作者に何ら不快を引き起こすことなくパルスモード電気ドライバーによってアセンブリを締め付けることができる締付けトルクを増大させることを可能にする。
【0042】
したがって、本発明によるドライバーは、操作者に何ら難しさまたは不快な感覚を引き起こすことなく、50N.m超、そして200N.m程度さえもの締付けトルク値を得ることができる。
【0043】
したがって、本発明による技法は、
− 一方では、高い締付けトルクを得る可能性がありつつ、操作者の手の中にごくわずかな反動を発生させるこれらのドライバーの利点を保持することによって、
− 他方では、それらの欠点(低い効率、圧縮空気を発生および輸送するネットワークの実装など)を有さないことによって
油圧空気式ドライバーの性能レベルと同等の性能レベルを有するパルスモード電気ドライバーを提案することを可能にする。
【0044】
好ましくは、モータへ電力供給を制御するステップは、モータに電力を供給し、ねじ抜き方向に安定化トルクの発生を可能にするステップを含み、本体は、ねじ込み方向に末端要素の回転軸を中心にして反動で回転する傾向がある。
【0045】
そのようなねじ抜きトルクのトランスミッションの影響下で、ドライバー装置の本体は、末端要素の軸を中心にしてねじ込み方向に反動で回転する傾向がある。サイクルの終わりに、ドライバー装置の本体は、サイクルの最初に占められていた元の位置にかなりの程度戻る。
【0046】
好ましくは、安定化するステップは、連続して、
− 回転子が、ねじ抜き方向に回転し、回転周波数Wに従って最大後退位置へ戻ってくるように、モータへ第1の電力供給を行うサブステップ1と、
− 最大後退位置における回転子によってねじ抜き方向にトランスミッションに対して安定化トルク衝撃を伝達するサブステップ2と
を少なくとも含む。
【0047】
好ましくは、サブステップ2の後に、ねじ抜き方向にトランスミッションへ電磁安定化トルクを伝達するようなモータの第2の電力供給のためのサブステップ3が続く。
【0048】
したがって、本発明は、
− 最大後退位置へ戻る最中のトランスミッションに対しての回転子の反動から生じるねじ抜き方向の安定化トルク衝撃と、そして場合によって、
− ねじ抜き方向の電磁安定化トルク
といったものを末端要素へ伝達することにあるもっぱら元の手法に頼る。
【0049】
さらに上述したように、ねじ込み衝撃中に末端要素に伝達されたねじ込みトルクは、逆ねじ込み方向にドライバーの本体を反動によって回転駆動させる傾向がある。これによって、操作者にドライバーをその元の位置に持っていく力を発展させ、ねじ込み衝撃の後に所定の位置でそれを実質的に安定に維持するようになっている。
【0050】
安定化トルク衝撃および電磁安定化トルクは、ねじ込み方向の反動によってドライバーの本体を回転駆動させ、ドライバーの本体をねじ込み衝撃前にそれが有したその角度位置へ持っていく傾向がある。
【0051】
したがって、安定化トルク衝撃および安定化電磁トルクの影響下で、ねじ軸まわりのドライバーの本体の角度位置は、各サイクルのねじ込み衝撃の終わりに、したがってねじ込み動作の一連のねじ込み衝撃の終わりに実質的に安定化する。
【0052】
したがって、本発明による技法は、操作者がねじ込み動作中に所定の位置にドライバーを維持するように展開しなければならないという力をなくすまたは少なくとも大きく減少させることを可能にする。
【0053】
好ましくは、モータの回転周波数Wの値は、安定化トルク衝撃の値が進行中に衝撃サイクルの前(previous)のねじ込みトルク衝撃の値よりも低いように決定される。
【0054】
したがって、衝撃サイクルは、アセンブリの締付けレベルの増加をもたらし、一方、同時に、空間内のドライバー装置の本体の位置を安定化させることを確実にする。
【0055】
好ましくは、モータの回転周波数Wの値は、安定化トルク衝撃の値は、進行中に衝撃サイクルの前のねじ込みトルク衝撃の値の80%以下であるようになっている。
【0056】
これは、第1に、衝撃サイクル中のアセンブリの締付けレベルにおける発展と、第2に、ドライバー装置の本体の位置の安定化の効果との間に優れた折衷案を与える。
【0057】
好ましくは、本発明による方法は、
進行中に衝撃サイクルの先のねじ込みトルク衝撃の値を測定するステップと、進行中に衝撃サイクルの先のねじ込みトルク衝撃の値の関数として回転周波数Wの値を計算するステップとを含む。
【0058】
したがって、ねじ抜き方向のモータの回転周波数の値は、正確に決定され、安定化のために実施されるねじ抜きレベルは、衝撃サイクル中に予め実現されるねじ込みレベルよりも低いようになっている。
【0059】
好ましくは、本発明による方法は、
− ねじ込みトルク衝撃から生じる末端要素の回転軸を中心としたねじ抜き方向の空間内の本体の角度シフトの値を表す情報を決定するステップと、
− 安定化トルク衝撃および安定化電磁トルクから生じる末端要素の回転軸を中心としたねじ込み方向の空間内の本体の角度シフトの値を表す情報を決定するステップと、
− 安定化トルク衝撃および安定化電磁トルクから生じる末端要素の回転軸を中心としたねじ込み方向の本体の角度シフトの値が、ねじ込みトルクインパルスから生じる末端要素の回転軸を中心としたねじ抜き方向の本体の角度シフトの値に等しくなるときに、安定化ステップのモータへの第2の電力供給を停止するステップと
を含む。
【0060】
これらの決定するステップは、ドライバー装置の本体に適用される動力学の基本原理を実施する計算も例えば備えているとよい。代替として、それらは、少なくとも1つのジャイロスコープによって行われた測定の結果を使用することができる。それらは、その制御ボックス中のツールのパラメータを手動で調整することがある。
【0061】
したがって、各衝撃サイクルの終わりに、ドライバー装置の本体は、その初期位置に戻る。したがって、操作者は、高い締付けトルクでなされたアセンブリを含むアセンブリを快適に締め付けることができる。
【0062】
本発明は、電気モータを収容する本体を備えたインパルスドライバー装置を制御する方法を実施する制御装置であって、モータの回転子は、遊びを有するトランスミッションを介して、回転駆動されやすい末端要素に接続されており、回転子は、
− 遊びがねじ込み方向に最大である最大後退位置と、
− 遊びがねじ込み方向に補償されている衝撃位置と
の間で回転移動可能である、制御装置において、
− モータへ電気インパルスによるねじ込みのために電力供給を伝達するように設計された少なくとも1つの衝撃サイクル中にモータへ電力を供給する手段であって、回転子が最大後退位置から衝撃位置まで通り、遊びの補償時に運動エネルギーを蓄積し、次いでねじ込みトルク衝撃中にこのエネルギーをトランスミッションを介して末端要素へ伝達し、本体はねじ抜き方向に末端要素の回転軸を中心にして反動で回転する傾向にあるようになっている、電力を供給する手段と、
− モータへの電力供給を制御する手段を含む安定化手段であって、制御する手段は、モータへ電力供給を伝達し、衝撃サイクルの開始時にそれが占めていた末端要素の回転軸を中心にした角度位置に本体を実質的に戻すことを可能にさせるように設計されている、安定化手段と
を備えた制御装置にも関する。
【0063】
好ましくは、モータへの電力供給を制御する手段は、モータへ電力供給を伝達し、ねじ抜き方向に安定化トルクの発生を可能にするように設計されている。
【0064】
好ましくは、制御する手段は、回転子が周波数Wに従って最大後退位置に向かって回転し、最大後退位置における回転子がねじ抜き方向の安定化トルク衝撃をトランスミッションに伝達するようにモータへ第1の電力供給を伝達するように設計されている。
【0065】
さらに好ましくは、制御する手段は、トランスミッションへねじ抜き方向に安定化電磁トルクを伝達するようにモータへ第2の電力供給を伝達するように設計されている。
【0066】
好ましくは、安定化手段が引き渡す第1の電力供給の値は、安定化トルク衝撃の値が進行中に衝撃サイクルの先のねじ込みトルク衝撃の値未満になるように回転周波数Wに従ってモータを駆動するように選ばれる。
【0067】
好ましくは、モータの回転周波数Wの値は、安定化トルク衝撃の値が、進行中に衝撃サイクルの先のねじ込みトルク衝撃の値の80%以下であるように決定される。
【0068】
好ましくは、そのような装置は、進行中に衝撃サイクルの先のねじ込みトルク衝撃の値を測定する手段と、進行中に衝撃サイクルの先のねじ込みトルク衝撃の値の関数として回転周波数Wの値を計算する手段とを備えている。
【0069】
好ましくは、そのような装置は、
− ねじ込みトルク衝撃から生じる末端要素の回転軸を中心としたねじ抜き方向の空間内の本体の角度シフトの値を表す情報を決定する手段と、
− 安定化トルク衝撃および安定化電磁トルクから生じる末端要素の回転軸を中心としたねじ込み方向の空間内の本体の角度シフトの値を表す情報を決定する手段と、
− 安定化トルク衝撃および安定化電磁トルクから生じるねじ込み方向の末端要素の回転軸を中心とした本体の角度シフトの値が、ねじ込みトルク衝撃から生じるねじ抜きの方向に末端要素の回転軸を中心とした本体の角度シフトの値に等しくなるときに、安定化ステップのモータへの第2の電力供給を停止する手段と
を備えている。
【0070】
好ましくは、角度シフトを決定する手段は、少なくとも1つのジャイロスコープを備える。
【0071】
そのような実施は、簡単かつ正確なやり方でドライバー装置の本体の角度シフトを表す情報を得ることを可能にする。
【0072】
本発明は、電気モータを収容する本体を備えたインパルスドライバー装置であって、モータの回転子は、遊びを有するトランスミッションを介して、回転駆動され得る末端要素に接続されており、回転子は、
− 遊びがねじ込み方向に最大である最大後退位置と、
− 遊びがねじ込み方向に補償されている衝撃位置と
の間で回転移動可能である、インパルスドライバー装置において、
本明細書に上述した変形例のいずれか1つに記載の駆動装置を備えることを特徴とするインパルスドライバー装置を含むことが特徴とされるインパルスドライバー装置も包含している。
【0073】
最後の変形例では、第2の供給の停止は、ドライバー装置の本体を安定化させる正しい効果を得るために経験的に選ばれる継続期間の終わりになされ得る。
【0074】
6.図のリスト
本発明の他の特徴および利点は、簡単で例示的で非排他的な例および添付図面によって与えられたとき、好ましい実施形態の以下の説明からより明らかになろう。