(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553619
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】3,3,3−トリフルオロプロペンの2,3−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロプロパンへの触媒的塩素化
(51)【国際特許分類】
C07C 17/04 20060101AFI20190722BHJP
C07C 19/10 20060101ALI20190722BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20190722BHJP
【FI】
C07C17/04
C07C19/10
!C07B61/00 300
【請求項の数】46
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-541625(P2016-541625)
(86)(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公表番号】特表2017-504609(P2017-504609A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】US2014071114
(87)【国際公開番号】WO2015095497
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年9月22日
(31)【優先権主張番号】61/917,657
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スン シュエフイ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ ジョセフ ナッパ
【審査官】
東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−502089(JP,A)
【文献】
特表2011−516533(JP,A)
【文献】
特表平06−510048(JP,A)
【文献】
特公昭43−008084(JP,B1)
【文献】
特開2007−105668(JP,A)
【文献】
特開2002−273206(JP,A)
【文献】
特開2014−210765(JP,A)
【文献】
特表2011−517681(JP,A)
【文献】
特開昭60−054904(JP,A)
【文献】
特表2011−520017(JP,A)
【文献】
特開昭61−145132(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/071136(WO,A1)
【文献】
米国特許第06204418(US,B1)
【文献】
中国特許出願公開第102336630(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07B
B01J
CASRERACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンを調製するプロセスであって、該プロセスは触媒の存在下に、塩素を3,3,3-トリフルオロプロペンと接触させて、1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンを形成する工程を含み、
前記触媒は少なくとも一の金属ハロゲン化物を含み、前記金属は周期律表の第13、14若しくは15族の金属、または遷移金属、またはそれらの組み合わせであり、
前記接触工程は気相中で実施され、
少なくとも一の金属ハロゲン化物が活性炭上に担持されている、
ことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記活性炭が、酸洗浄または苛性洗浄されていることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記金属が、ニッケル、クロム、鉄、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、パラジウム、銅、亜鉛、タンタル、アルミニウム、スズ、または鉛であることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記金属ハロゲン化物が、ハロゲン化ニッケル、ハロゲン化鉄、またはハロゲン化クロムであることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ハロゲン化物が塩化物であることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記金属ハロゲン化物が、塩化ニッケル、塩化鉄、または塩化クロムであることを特徴とする、請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記接触工程が80℃〜200℃の範囲の温度、及び10psig(170.3kPa)〜100psig(790.8kPa)の範囲の圧力で、塩素ガスに対する3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比が1:0.02〜1:1で行われることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記温度が80℃〜160℃の範囲であることを特徴とする、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記温度が80℃〜130℃の範囲であることを特徴とする、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記圧力が1気圧(101.3kPa)〜50psig(446.1kPa)の範囲であることを特徴とする、請求項7に記載のプロセス。
【請求項11】
前記圧力が10psig(170.3kPa)〜50psig(446.1kPa)の範囲であることを特徴とする、請求項7に記載のプロセス。
【請求項12】
塩素ガスに対する3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比が、1:0.1〜1:0.8の範囲であることを特徴とする、請求項7に記載のプロセス。
【請求項13】
塩素ガスに対する3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比が、1:0.1〜1:0.5の範囲であることを特徴とする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記温度が、80℃〜160℃の範囲であることを特徴とする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
前記温度が、80℃〜130℃の範囲であることを特徴とする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項16】
前記圧力が1気圧(101.3kPa)〜50psig(446.1kPa)の範囲であることを特徴とする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項17】
前記圧力が10psig(170.3kPa)〜50psig(446.1kPa)の範囲であることを特徴とする、請求項12に記載のプロセス。
【請求項18】
前記温度が、80℃〜160℃の範囲であることを特徴とする、請求項13に記載のプロセス。
【請求項19】
前記温度が、80℃〜130℃の範囲であることを特徴とする、請求項13に記載のプロセス。
【請求項20】
前記圧力が1気圧(101.3kPa)〜50psig(446.1kPa)の範囲であることを特徴とする、請求項13に記載のプロセス。
【請求項21】
前記圧力が10psig(170.3kPa)〜50psig(446.1kPa)の範囲であることを特徴とする、請求項13に記載のプロセス。
【請求項22】
前記塩素が、HClとO2との反応で得られることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項23】
接触時間が、0.1秒〜2分の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項24】
接触時間が、5秒〜1分の範囲であることを特徴とする、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンを調製するプロセスであって、該プロセスは触媒有効量の触媒の存在下に、塩素を3,3,3-トリフルオロプロペンと接触させて、1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンを形成する工程を含み、
前記触媒は少なくとも一の金属ハロゲン化物を含み、前記金属は周期律表の第13、14若しくは15族の金属、または遷移金属、またはそれらの組み合わせであり、
前記接触工程は液相中で実施され、
前記触媒有効量は、存在する反応物質の総量の0.1重量%から10重量%までの範囲内で変動する
ことを特徴とする、プロセス。
【請求項26】
前記金属が、ニッケル、クロム、鉄、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、パラジウム、銅、亜鉛、タンタル、アルミニウム、スズ、または鉛であることを特徴とする、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記金属ハロゲン化物が、ハロゲン化ニッケル、ハロゲン化鉄、またはハロゲン化クロムであることを特徴とする、請求項25に記載のプロセス。
【請求項28】
前記ハロゲン化物が塩化物であることを特徴とする、請求項25に記載のプロセス。
【請求項29】
前記金属ハロゲン化物が、塩化ニッケル、塩化鉄、または塩化クロムであることを特徴とする、請求項25に記載のプロセス。
【請求項30】
塩素ガスに対する3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比が、1:0.02〜1:1であることを特徴とする、請求項25に記載のプロセス。
【請求項31】
30℃〜110℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする、請求項25に記載のプロセス。
【請求項32】
35℃〜90℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする、請求項25に記載のプロセス。
【請求項33】
塩素ガスに対する3,3,3-トリフルオロプロペンの前記モル比が、1:0.1〜1:0.95であることを特徴とする、請求項30に記載のプロセス。
【請求項34】
塩素ガスに対する3,3,3-トリフルオロプロペンの前記モル比が、1:0.1〜1:0.9であることを特徴とする、請求項30に記載のプロセス。
【請求項35】
30℃〜110℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする、請求項33に記載のプロセス。
【請求項36】
35℃〜90℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする、請求項33に記載のプロセス。
【請求項37】
30℃〜110℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする、請求項34に記載のプロセス。
【請求項38】
35℃〜90℃の範囲の温度で実施されることを特徴とする、請求項34に記載のプロセス。
【請求項39】
溶媒中、金属ハロゲン化物の存在下、前記塩素を3,3,3-トリフルオロプロペンと接触させる、請求項25に記載のプロセスであって、
前記溶媒が、四塩化炭素、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、CF3(CF2)nCF3で表されるC5-8直鎖パーフルオロアルキル化合物(但し、nは両端を含めて3〜6の整数)、またはヘキサクロロアセトンであることを特徴とする、プロセス。
【請求項40】
溶媒中、金属ハロゲン化物の存在下、前記塩素を3,3,3-トリフルオロプロペンと接触させる、請求項36に記載のプロセスであって、
前記溶媒が、四塩化炭素、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、CF3(CF2)nCF3で表されるC5-8直鎖パーフルオロアルキル化合物(但し、nは両端を含めて3〜6の整数)、またはヘキサクロロアセトンであることを特徴とする、プロセス。
【請求項41】
HClを3,3,3-トリフルオロプロペンまたは塩素と同時供給することを特徴とする、請求項1または25に記載のプロセス。
【請求項42】
前記HClが無水である、請求項41に記載のプロセス。
【請求項43】
前記HClが、存在する3,3,3-トリフルオロプロペンのモル%に対して、0.5%〜20モル%で存在することを特徴とする、請求項42に記載のプロセス。
【請求項44】
前記触媒有効量は、存在する反応物質の総量の0.5重量%から6重量%までの範囲内で変動することを特徴とする、請求項25に記載のプロセス。
【請求項45】
前記触媒有効量は、存在する反応物質の総量の1重量%から4重量%までの範囲内で変動することを特徴とする、請求項25に記載のプロセス。
【請求項46】
20℃から200℃の範囲内で変動する温度において実施されることを特徴とする、請求項25、33または34に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HFO-1243zf)の塩素化による、2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(HCFC-243db)の製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年の間、多くの製造業においてオゾン破壊性のクロロフルオロカーボン(CFC)やヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)に代わる代替物の発見に取り組んできた。当該CFCやHCFCは広い範囲で利用されてきた。その使用は、エアゾール噴射剤、冷媒、清浄剤;熱可塑性及び熱硬化性発泡体用の膨張剤;伝熱媒体、気体状誘電材料;消化及び鎮火剤;動力サイクル作動流体、重合媒体、微粒子除去流体、分散媒流体、バフ研磨材(buffing abrasive agent)、及び置換乾燥剤を含む。これらの用途の広い化合物の代わりとなる代替物の探索において、多くの製造業はヒドロフルオロカーボン(HFC)の使用に注意を向けてきた。
【0003】
当該HFCは成層圏オゾンの破壊の一因とはならないが、「温室効果」の一因となることから懸念されている。すなわち、HFCは地球温暖化の一因となる。地球温暖化の一因である結果、HFCは詳細な調査の対象となり、その広範囲の使用もまた将来的に制約されるだろう。したがって、低いオゾン破壊潜在性(ODP)及び低い地球温暖化潜在性(GWP)を兼ね備えた化学化合物の需要が存在する。
【0004】
そのような低いGWPを有する有益な化合物の一つが、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(HF
O-1234yf)である。この化合物は冷媒及び発泡剤として有益である。この化合物は多くの方法で製造され、そのうちの一つが以下のプロセスに由来する。
【0005】
(1)固体触媒を充填した気相反応装置中
(CX
2=CCl-CH
2X または CX
3-CCl=CH
2 または CX
3-CHCl-CH
2X) + HF ->
2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)+ HCl
(2)液体ヒドロフッ素化触媒を充填した液相反応装置中
2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)+ HF ->
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)
(3)気相反応装置中
2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)->
2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)
このように、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を製造するプロセスの中間体である。HCFC-1233xfは、本願プロセスのプロダクトであるHCFC-243dbの脱塩化水素によって得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0118513号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまでHCFC-243dbを製造する種々の方法があった。たとえば、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン(HFO-1243zf)の塩素化を、紫外光を用いて、あるいは高温下で、あるいは無触媒の液相中で行うものである。しかし、これらの方法に関連して多くの問題がある。紫外光を用いるアプローチは選択性が劣り、商業的プロセスにスケールアップするのが困難である。また、無触媒の液相中での反応は非常に遅く、高温で行う必要がある。とは言え、これらの条件下でさえ、タールも形成される。
【0008】
したがって当該技術において、HCFC-243dbを製造するための、前記先行技術の欠点のない新しいプロセスの必要性がある。本願発明はこれらの問題を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願プロセスは、1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンの調製プロセスに関し、該プロセスは、触媒の存在下、3,3,3-トリフルオロプロペンに塩素を接触させて1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンを形成する工程を含み、前記触媒は少なくとも一の金属ハロゲン化物を含み、前記金属は、周期律表の第13,14または15族の元素であるか、または遷移金属、またはそれらの組み合わせである。この反応は、気相中でも液相中でも行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
当該プロセスにより、1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンを、優れた収率かつ高い選択性で製造される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図は、本願発明を非制限的な方法でさらに説明する。
【
図1】
図1では、以下に示す触媒を用いた1243zfの塩素化による243dbの選択性を、グラフを用いて比較している。用いた触媒は、活性炭(比較例1)、15%CrCl
3/C(実施例1)、5%FeCl
3/C(実施例3)、及び5%CrCl
3/C(実施例6)である。
【
図2】
図2では、本願プロセスの結果を、圧力及び時間の関数とするグラフを用いて、高温かつ無触媒で行った反応と比較している。下側のプロットは、実施例11の手順にしたがって形成された生成物について、時間の関数としての圧力の変化をグラフで表現している。中間のプロットは、比較例2の手順にしたがって形成された生成物について、時間の関数としての圧力の変化をグラフで表現している。上側のプロットは、比較例3の手順にしたがって形成された生成物について、時間の関数としての圧力の変化をグラフで表現している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、「含む」("comprises", "comprising")、「(全体の一部として)含む」("includes", "including")、「有する」("has", "having")、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的包含を包摂することを意図している。たとえば、列挙された要素を含むプロセス、方法、物品または装置は、必ずしもこれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていない他の要素、あるいはそのようなプロセス、方法、物品または装置に固有な他の要素を含んでもよい。さらに、明示的に言及しない限りは、「または」("or")は、包含的な「または」であって、排除的な「または」ではない。たとえば、AまたはBという条件は、以下の任意の一の場合によって満たされる。すなわち、Aが真(あるいは存在)でありBが偽(あるいは非存在)である場合、Aが偽(あるいは非存在)でありBが真(あるいは存在)である場合、及びAとBの両方が真(あるいは存在)である場合である。
【0013】
また、「一の」("a", "an")の使用は、本明細書に記載される要素(複数)及び成分(複数)を記述するのに採用される。これは単に便宜のため、及び発明の範囲の一般的な範囲を与えるためになされる。この記載は、一の、または少なくとも一の、と解釈されるべきであり、別のことを意味することが明らかでない限りは、単数には複数もまた含まれる。
【0014】
数値範囲を表現している場合、別の実施態様では、当該一の特定の数値から、および/または、当該他の特定の数値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用によって数値が概算で表現されている場合、特定の数値は別の実施態様を形成すると理解される。全ての範囲は、包含的であり結合的である。さらに、範囲で示される数値の参照は、当該範囲にある、ありとあらゆる数値を含む。
【0015】
別に定義しない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、本発明の属する技術において、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の方法及び材料に類似ないし等価な方法及び材料を、本願発明の実施態様の実施及び試験に用いることは可能である。しかし、以下には適切な方法及び材料を記載する。本明細書に言及されている全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は、特定の部分が引用されているのでない限り、全体が参照により組み込まれる。争いがある場合には、定義を含めて本明細書が規制する。更に、材料、方法及び実施例は、説明目的のものにすぎず、制限的であることを意図していない。
【0016】
本明細書には多くの形態や実施態様が記載されているが、例示にすぎず、制限的なものではない。本明細書を読んだ当業者は、本願発明の範囲から逸脱することなく、他の形態や実施態様が可能であることを理解するだろう。任意の一以上の実施態様の特徴及び有益性は、以下の詳細な説明や特許請求の範囲から明らかであろう。
【0017】
前記のように、本願プロセスは、触媒存在下に3,3,3-トリフルオロプロペンを塩素化して1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンを形成するプロセスに関し、前記触媒は少なくとも一の金属ハロゲン化物を含み、前記金属は周期律表の第13、14若しくは15族である金属、または遷移金属である。
【0018】
本明細書で使用する場合、「ハロゲン化物」の用語は、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物を意味する。
【0019】
金属の用語は、本明細書で使用する場合、周期律表の金属を意味する。非金属、ハロゲン、貴ガス及びアクチニドは除外される。しかし、本明細書で使用する場合、金属の用語には、半金属が含まれる。金属の例として、周期律表の第13及び14族の金属が含まれる。当該用語には、本明細書に定義したような遷移金属も含まれる。金属の例として、ニッケル、クロム、鉄、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、パラジウム、銅、亜鉛、タンタル、アンチモン、アルミニウム、スズ、及び鉛が含まれる。本明細書に定義されているように、アンチモンは半金属であり、本明細書の定義によれば金属であることに注意すべきである。
【0020】
「遷移金属」の用語は、ランタニドを含めて、第3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12族の元素を意味する。遷移金属の例には、ニッケル、クロム、鉄、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、パラジウム、銅、亜鉛、及びタンタルが含まれる。
【0021】
本明細書に記載の塩素化反応に使用される触媒は、金属ハロゲン化物の形態であるので、ここで使用される金属は、ハロゲン化物と塩を形成する金属の如何に依存して、+1、+2、+3、+4または+5の正の酸化数を有する。
【0022】
「活性炭」の用語は、約50〜約3000m
2または約100〜約2000m
2のような(たとえば、約200〜約1500m
2または約300〜約1000m
2)、比較的大きい表面積を有する任意の炭素を含む。活性炭は、石炭(たとえば木炭)、堅果の殻(たとえばココナッツ)及び木材のような、任意の炭素質材料から得ることができる。粉末状、顆粒状、及びペレット状のような、任意の形態の活性炭を使用してもよい。Cr、Mn、Au、Fe、Sn、Ta、Ti、Sb、Al、Co、Ni、Mo、Ru、Rh、Pdおよび/またはPtおよび/またはこれら金属の一以上の化合物(たとえばハロゲン化物)によって修飾(たとえば含浸)された活性炭を使用してもよい。
【0023】
いくつかの実施態様では、活性炭は、少なくとも一の塩基性溶液で洗浄され、ケイ酸塩が除去されている。たとえば、活性炭は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物または水酸化アンモニウムで洗浄される。活性炭を洗浄するのに使用されてきた塩基性溶液の例として、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどがある。
【0024】
さらに、他の適切な形態の活性炭は、褐炭の水蒸気賦活によって作製された酸洗浄活性炭粉末を含むが、これに限られない。幾つかの実施態様においては、硝酸のような有機及び/又は無機窒素含有酸が使用される。使用することのできるさらなる酸としては、硫酸、塩酸、リン酸及びそれらの組み合わせを含むが、これに限られない。当該酸は、好ましくは2〜12mol/Lの水溶液濃度を有する。一の形態によれば、前記活性炭は、少なくとも1時間、例えば1〜36時間、あるいは1〜10時間浸漬される。任意選択的に、前記活性炭は浸漬の間、かき混ぜられてもよい。必要に応じて、前記活性炭は洗浄後に脱イオン水ですすいで、pHを5〜8に増加させる。幾つかの実施態様においては、少なくとも一の酸及び少なくとも一の塩基で洗浄して、焼成灰(calcined ash)を減少させ、ケイ酸塩を除去する。
【0025】
触媒として使用される金属ハロゲン化物
中の金属は、周期律表の第13及び14族の金属、遷移金属及び半金属であるアンチモンである。金属の例には、ニッケル、クロム、鉄、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、パラジウム、銅、亜鉛、タンタル、アルミニウム、スズ及び鉛が含まれる。本明細書に定義されるように、アンチモンは半金属であることに注意すべきである。しかし、本明細書に定義されるように、半金属を金属の定義に含める。金属ハロゲン化物の例として、ハロゲン化ニッケル、ハロゲン化クロム、ハロゲン化鉄、ハロゲン化スカンジウム、ハロゲン化イットリウム、ハロゲン化ランタン、ハロゲン化チタン、ハロゲン化ジルコニウム、ハロゲン化ハフニウム、ハロゲン化バナジウム、ハロゲン化モリブデン、ハロゲン化タングステン、ハロゲン化マンガン、ハロゲン化レニウム、ハロゲン化ルテニウム、ハロゲン化オスミウム、ハロゲン化コバルト、ハロゲン化パラジウム、ハロゲン化銅、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化タンタル、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化スズ、及びハロゲン化鉛が含まれる。一の実施態様においては、金属ハロゲン化物は、ハロゲン化ニッケル、ハロゲン化鉄、ハロゲン化クロム、またはこれらの組み合わせであり、活性炭上に担持して、あるいは活性炭上に担持しないで、触媒として使用される。別の実施態様においては、金属ハロゲン化物は臭化物または塩化物である。更に別の実施態様では、ハロゲン化物は塩化物である。別の実施態様では、金属ハロゲン化物は、塩化ニッケル、塩化鉄、または塩化クロムまたはこれらの組み合わせである。
【0026】
本願塩素化プロセスの触媒である金属ハロゲン化物は、活性炭上に担持されていなくてもよいし、活性炭上に担持されていてもよい。活性炭は、非洗浄品であってもよいし、酸洗浄または塩基洗浄品でもよい。
【0027】
塩素化反応には、塩素は気体状態で存在する。塩素ガスを使用してもよいし、気体状態の塩化水素と酸素との反応からその場で(in situ)塩素ガスを発生させてもよい、
一の実施態様においては、塩素化反応は、水の不存在下に行われる。水が存在する場合には、一の実施態様では1重量%未満、別の実施態様では0.5重量%未満で存在する。
【0028】
3,3,3-トリフルオロプロペンは商業的に入手可能である。代替方法として、当該技術分野において知られている技術を用いて調製することができる。たとえば特許文献1を参照することができ、その内容は参照によって組み込まれる。
【0029】
以下に記載されるように、塩素化反応は気相または液相のいずれかで行うことができる。
【0030】
気相で行われる場合、前記プロセスは有効な温度と圧力で行われる。一の実施態様では、前記反応は約80〜約200℃の範囲の温度で行われる。別の実施態様では、前記反応は80〜約160℃の範囲の温度で行われる。更に別の実施態様では、塩素化反応は約80〜約130℃の範囲、別の実施態様では約80〜約120℃の範囲の温度で行われる。前記プロセスは、約
10 psig(170.3kPa)〜約
100 psig(790.8kPa)の範囲の圧力で行うことができる。別の実施態様では、圧力範囲は、約
1気圧(101.3kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)の範囲であり、別の実施態様では、圧力範囲は、約
20 psig(239.2kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)の範囲である。このように、一実施態様において、前記プロセスは気相において約80〜約200℃の範囲の温度で、かつ約
10 psig(170.3kPa)〜約
100 psig(790.8kPa)、別の実施態様では、約
1気圧(101.3kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)、別の実施態様では、約
10 psig(170.3kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)、たとえば、約
20 psig(239.2kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)の範囲の圧力で行われる。別の実施態様において、前記の塩素化反応は、約80〜約160℃の範囲の温度で、かつ約
10 psig(170.3kPa)〜約
100 psig(790.8kPa)、別の実施態様では、約
1気圧(101.3kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)、別の実施態様では、約
20 psig(239.2kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)の範囲の圧力で行われる。更なる実施態様において、塩素化反応は、約80〜130℃の範囲の温度で、かつ約
10 psig(170.3kPa)〜約
100 psig(790.8kPa)、別の実施態様では、約
1気圧(101.3kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)、別の実施態様では、約
20 psig(239.2kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)の範囲の圧力で行われる。
【0031】
前記3,3,3-トリフルオロプロペン及び塩素ガスは、塩素化反応が生じる有効量で存在する。3,3,3-トリフルオロプロペンのモル量は、一実施態様において、塩素ガスのモル量を超えて存在する。一実施態様においては、塩素ガスに対する3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比は、約1:0.02〜約1:1の範囲である。別の実施態様においては、塩素ガスに対する3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比は、約1:0.1〜約1:0.8の範囲である。更に別の実施態様においては、塩素ガスに対する3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比は、約1:0.1〜約1:0.5の範囲である。
【0032】
塩素化反応の接触時間、すなわち反応を生じさせる時間は、約0.1秒〜約120秒、別の実施態様では約5秒〜約1分の範囲とすることができる。しかし、より長い時間やより短い時間を用いることもできる。本明細書で用いる接触時間は、以下の式:
接触時間(秒)=
1/((全気体流(SCCM)/60/触媒体積))x(14.7+P(PSIG))/14.7x(298/(273+T(℃))
により決定される。ここで、SCCMは1分間当たりの標準立方センチメートルであり、Pは圧力であり、PSIGは1平方インチ当たりのポンド単位での作動圧力であるゲージ圧であって、絶対圧力ではない。T(℃)は摂氏温度であり、触媒体積は立方センチメートル単位である。
【0033】
金属ハロゲン化物触媒は、塩素化反応において気相中、触媒有効量で存在する。一実施態様においては、触媒は活性炭上に担持され、該活性炭は非洗浄品または、酸若しくは塩基洗浄品である。一実施態様においては、金属ハロゲン化物は、活性炭上に担持され、前記活性炭の約2〜約30重量%、別の実施態様では約3〜約25重量%、別の実施態様では約5〜約20重量%の範囲の量で存在する。
【0034】
一実施態様において、塩素化反応は、約50%以上、好ましくは約90%以上の変換率を達成するように実行される。変換率は、消費された反応物質のモル数(3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比)を、反応装置に供給された反応物質のモル数(3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比)で割って、100倍することにより計算される。得られる1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンへの選択率は、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上である。選択率は、形成される生成物(1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパン)のモル数を、消費される反応物質のモル数で割ることによって計算される。
【0035】
気相中の本願プロセスは、100〜160℃、別の実施態様では約120〜約200℃といった高温において、活性炭自体よりも高い243db選択性を与える。したがって、これらの温度範囲において、塩素化反応は、真空〜約
100 psig(790.8kPa)、別の実施態様では約
1気圧(101.3kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)、別の実施形態では約
10 psig(170.3kPa)〜約
50 psig(446.1kPa)の範囲の圧力で行うことができる。本願プロセスは、243dbの露点を超えて、より高い背圧でプロセスを稼動することができる。
【0036】
この塩素化反応は、気相塩素化反応に適した任意の反応装置で行うことができる。ある実施態様においては、前記反応装置は、ハステロイ(Hastalloy)、インコネル(Inconel)、モネル(Monel)及びフッ素重合体裏張り材料のような、塩素及び触媒の腐食効果に耐久性のある材料で構成されている。当該容器は固定触媒床または流動床である。必要に応じて、窒素またはアルゴンのような不活性ガスを、稼働中、反応装置内で用いてもよい。
【0037】
一実施態様においては、前記したように、気相反応中の触媒は活性炭上に担持され、該活性炭は非洗浄品であってもよいし、酸洗浄または塩基洗浄品であってもよい。
【0038】
別の実施態様においては、塩素化反応は液相中で行われる。液相中の本願プロセスは、静的ミキサー、管型反応装置または攪拌気液離脱槽(stirred vapor-liquid disengagement vessel)のような任意の適切な装置において行うことができる。本明細書に記載のこの装置は、一実施態様において、腐食に対して耐性のある一以上の材料、例えば、ステンレス鋼、特にオーステナイト型のステンレス鋼;モネル(商標)ニッケル−銅合金、ハステロイ(商標)ニッケル系合金、及びインコネル(商標)ニッケル−クロム合金のような高ニッケル合金;及び銅被覆鋼からできている。本願プロセスは、回分式または連続式で実行できる。
【0039】
反応を完結させるのに、激しい振動、かき混ぜ及び/又は攪拌を必要としてもよい。かき混ぜの程度は、所望の反応速度に依存し、次に反応速度は、反応装置の形状、滞留時間、かき混ぜ機及び邪魔板の構造、並びに3,3,3-トリフルオロプロペンの溶媒中への溶解度に依存する。したがって、液相中の塩素化反応は攪拌して行われる。
【0040】
液相中において、塩素化反応は不活性溶媒を用いて、または不活性溶媒を用いないで行うことができる。前記不活性溶媒は、該溶媒中に前記3,3,3-トリフルオロプロペンが可溶であり、前記3,3,3-トリフルオロプロペン及び前記1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンから容易に分離できる溶媒である。「不活性」の用語は、溶媒が前記反応条件下、塩素、3,3,3-トリフルオロプロペンまたは1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンと反応しないことを意味する。適切な溶媒としては、例えば、四塩化炭素、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、CF
3(CF
2)
nCF
3で表されるC
5-8直鎖パーフルオロアルキル化合物(ここで、nは3〜6の整数であり、範囲の両端を含む);またはヘキサクロロアセトン及び1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパン等の過ハロゲン化化合物が含まれる。
【0041】
塩素化工程における反応に使用される溶媒の量は、3,3,3-トリフルオロプロペンがそれによって溶解できる限り、特に制約はない。一実施態様においては、存在する溶媒の量は原材料成分(3,3,3-トリフルオロプロペン及び塩素の全量)を基準として、約1〜約1000質量%、別の実施態様では、約50〜約100質量%の範囲である。
本明細書で用いる触媒は、不均一系でもよいし、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン/2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(1243zf/243db)を含有する液相中に部分的に溶解してもよい。別の実施態様では、触媒は均一系触媒である。
【0042】
反応は、1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンを形成するための有効量の塩素ガス及び3,3,3-トリフルオロプロペンを用いて行われる。気相反応における場合と同様、3,3,3-トリフルオロプロペンのモル量は、一実施態様において、塩素ガスのモル量を超えて存在する。一実施態様においては、塩素に対する3,3,3-トリフルオロプロペンのモル量は、約1:0.02〜約1;1の範囲であり、別の実施態様では、約1:0.1〜1:0.9であり、別の実施態様では、約1:0.1〜約1:0.95の範囲である。
【0043】
塩素化反応は有効な温度で行われる。一実施態様においては、有効な温度は、約20〜約200℃、他方、別の実施態様では、約30〜約110℃、別の実施態様では、約35〜約90℃の範囲である。
【0044】
液相プロセス中の反応装置の圧力は決定的ではなく、回分式反応においては通常、反応温度における系の自己生成圧である。
【0045】
液相において金属ハロゲン化物触媒は、触媒有効量で存在する。一実施態様においては、触媒は非担持である。一実施態様においては、触媒は反応物質(つまり、塩素及び3,3,3-トリフルオロプロペンの全量)の約0.1〜10重量%の範囲、別の実施態様では、約0.5〜約6重量%、別の実施態様では約1〜約4重量%の範囲の量で存在する。
【0046】
液相中における塩素化反応の反応時間は、広い範囲で変動してもよい。しかし、該反応時間は典型的には、約0.01〜約100時間、例えば、約0.5時間〜約50時間の範囲となろう。
【0047】
液相及び気相の両方における塩素化反応は、好ましくは変換率が約50%以上、好ましくは90%以上を達成するように行うのが好ましい。前記のように、該反応は、一実施態様において、3,3,3-トリフルオロプロペンのモル量が塩素と等しいか、あるいはそれを超えた場合に行われる。変換率は、消費された反応物質のモル数(3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比)を、反応装置に供給された反応物質のモル数(3,3,3-トリフルオロプロペンのモル比)で割って、100倍することによって計算される。達成される1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンの選択率は、好ましくは約60%以上、より好ましくは約80%以上である。選択率は、形成された生成物(1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパン)のモル数を、消費された反応物質のモル数で割ることによって計算される。
【0048】
反応が気相で行われるか、液相で行われるかにかかわらず、1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンは単離される、すなわち、分離収集される。1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンを含む生成物は、サイホンによる吸い上げ(siphoning)のような当分野において公知の技術によって、反応装置から取り出される。気相の場合には、生成物を反応装置から流出させ液化する。1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパンを含む生成物は蒸留のような当分野において公知の技術によって精製される。本願プロセスは、気相中で行うか、液相中で行うかにかかわりなく、商業的に利用でき、商業生産用に容易にスケールアップできる。さらに、本明細書に記載のプロセスを用いた塩素化反応の速度は、従来、3,3,3-トリフルオロプロペンを塩素化して1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパン(HCFC243db)にするのに用いられたプロセスよりも反応速度が早く、より高い変換率と選択率を提供する。
【0049】
気相及び液相塩素化反応の両方において、2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン生成物(HCFC243db)の形成と拮抗するいくつかの副反応がある。これらの副反応は以下のものを含む。
【0050】
a.243dbの1,1,1-トリフルオロ-3-クロロプロピレンへの変換
CF
3CHClCH
2Cl -> CF
3CCl=CH
2 + CF
3CH=CHCl + HCl
243db 1233xf 1233zd
b. 1233xfの233abへの変換
CF
3CCl=CH
2 + Cl
2 -> CF
3CCl
2CH
2Cl
1233xf 233ab
c. 1233zdの233daの変換
CF
3CH=CClH + Cl
2 -> CF
3CHCl-CHCl
2
1233zd 233da
d. 1223xdの形成
CF
3CCl
2CH
2Cl + CF
3CHClCHCl
2 -> CF
3CCl=CHCl + HCl
233ab 233da 1223xd
e. 1223xdからの223aaの形成
CF
3CCl=CHCl + Cl
2 -> CF
3CCl
2CHCl
2
1223xd 223aa
f. 223aaの1213xaの変換
CF
3CCl
2CHCl
2 -> CF
3CCl=CCl
2 + HCl
223aa 1213xa
g. 1213xaの213abへの変換
CF
3CCl=CCl
2 + Cl
2 -> CF
3CCl
2CCl
3
1213xa 213ab
h. 243dbの244dbと242dcへの変換
CF
3CHClCH
2Cl -> CF
3CHClCH
2F + CF
2ClCHClCH
2Cl
243db 244db 242dc
さらに、気相においては存在しないが、液相塩素化反応においては、オリゴマー化及びブラックタールの形成のおそれがある。
【0051】
しかし、これら全ての副反応にもかかわらず、本願プロセスの利用による選択率と変換率は驚くほど高い。
【0052】
さらに、生成物の形成は、ガスクロマトグラフィーのような分析装置を反応装置上に設置して、連続的な測定を行うことにより確認できる。
【0053】
一実施態様においては、気相及び液相反応の両方において、HClガスのような無水HClを3,3,3-トリフルオロプロペンと同時供給(cofed)される。添加したHClは副反応を抑制し、稀釈材として高い熱形成を操るのに役立つ。一実施態様において、当該HClは、存在する1243zfの量に対して、約0.5%〜約20モル%の範囲、別の実施態様では約1〜約10モル%の範囲、別の実施態様では約1.5〜約5モル%の範囲の量で存在する。
【0054】
さらに苦労することなく当業者は、本明細書の記載を用いて、本願発明を最大限活用することができる。したがって、下記の具体的実施態様は、単なる実例として解釈され、残余の開示をいかなる方法においても制約するものではない。
【0055】
以下の非制限的実施例において、さらに本願発明を説明する。
【実施例】
【0056】
(実施例1)
5%CrCl
3担持-酸洗浄活性炭を用いた雰囲気圧での1243zfの塩素化:
12−20メッシュの5%CrCl
3/C触媒2mlを、1/2インチのモネル(Monel)反応装置内に投入した。100sccmのN
2下において、当該触媒を200℃で1時間、乾燥し、次いで、雰囲気圧(atmosphere pressure)で、反応装置の最上部から1243zfと塩素を供給した。反応装置からの流れは、GC及びGC−MSによって分析された。試験の結果は表1に示す。当該触媒は、大きな活性と選択率を示した。
【0057】
【表1】
【0058】
(実施例2)
5%CrCl
3担持-酸洗浄活性炭を用いた
25 psig(273.7kPa)での1243zfの塩素化:
12−20メッシュの5%CrCl
3/C触媒2mlを、1/2インチのモネル(Monel)反応装置内に投入した。100sccmのN
2下において、当該触媒を200℃で1時間、乾燥し、次いで、
25 psig(273.7kPa)で、反応装置の最上部から1243zfと塩素を供給した。反応装置からの流れは、GC及びGC−MSによって分析された。試験の結果は表2に示す。当該触媒は、
25 psig(273.7kPa)において大きな活性と選択率を示した。
【0059】
【表2】
【0060】
(実施例3)
15%CrCl
3担持-酸洗浄活性炭を用いた雰囲気圧での1243zfの塩素化:
12−20メッシュの15%CrCl
3/C触媒5mlを、1/2インチのモネル(Monel)反応装置内に投入した。100sccmのN
2下において、当該触媒を200℃で1時間、乾燥し、次いで、雰囲気圧(atmosphere pressure)で、反応装置の最上部から1243zfと塩素を供給した。反応装置からの流れは、GC及びGC−MSによって分析された。試験の結果は表3に示す。当該触媒は、大きな活性と選択率を示した。
【0061】
【表3】
【0062】
(実施例4)
15%CrCl
3担持-酸洗浄活性炭を用いた
25 psig(273.7kPa)での1243zfの塩素化:
12−20メッシュの15%CrCl
3/C触媒5mlを、1/2インチのモネル(Monel)反応装置内に投入した。100sccmのN
2下において、当該触媒を200℃で1時間、乾燥し、次いで、
25 psig(273.7kPa)で、反応装置の最上部から1243zfと塩素を供給した。反応装置からの流れは、GC及びGC−MSによって分析された。試験の結果は表4に示す。当該触媒は、大きな活性と選択率を示した。
【0063】
【表4】
【0064】
(実施例5)
15%CrCl
3担持-酸洗浄活性炭を用いた
40 psig(377.1kPa)での1243zfの塩素化: 12−20メッシュの15%CrCl
3/C触媒2mlを、1/2インチのモネル(Monel)反応装置内に投入した。100sccmのN
2下において、当該触媒を200℃で1時間、乾燥し、次いで、
40 psig(377.1kPa)で、反応装置の最上部から1243zfと塩素を供給した。反応装置からの流れは、GC及びGC−MSによって分析された。試験の結果は表5に示す。当該触媒は、大きな活性と選択率を示す。
【0065】
【表5】
【0066】
(実施例6)
5%FeCl
3担持-酸洗浄活性炭を用いた雰囲気圧での1243zfの塩素化:
12−20メッシュの5%FeCl
3/C触媒2mlを、1/2インチのモネル(Monel)反応装置内に投入した。100sccmのN
2下において、当該触媒を200℃で1時間、乾燥し、次いで、雰囲気圧で、反応装置の最上部から1243zfと塩素を供給した。反応装置からの流れは、GC及びGC−MSによって分析された。試験の結果は表6に示す。当該触媒は、大きな活性と選択率を示す。
【0067】
【表6】
【0068】
(実施例7)
5%FeCl
3担持-酸洗浄活性炭を用いた
25 psig(273.7kPa)での1243zfの塩素化:
12−20メッシュの5%FeCl
3/C触媒2mlを、1/2インチのモネル(Monel)反応装置内に投入した。100sccmのN
2下において、当該触媒を200℃で1時間、乾燥し、次いで、
25 psig(273.7kPa)で、反応装置の最上部から1243zfと塩素を供給した。反応装置からの流れは、GC及びGC−MSによって分析された。試験の結果は表7に示す。当該触媒は、大きな活性と選択率を示す。
【0069】
【表7】
【0070】
(実施例8)
12.6%FeCl
3担持-酸洗浄活性炭を用いた雰囲気圧での1243zfの塩素化:
12−20メッシュの12.6%FeCl
3/C触媒2mlを、1/2インチのモネル(Monel)反応装置内に投入した。100sccmのN
2下において、当該触媒を200℃で1時間、乾燥し、次いで、雰囲気圧(atmosphere pressure)で、反応装置の最上部から1243zfと塩素を供給した。反応装置からの流れは、GC及びGC−MSによって分析された。試験の結果は8に示す。当該触媒は、大きな活性と選択率を示す。
【0071】
【表8】
【0072】
(実施例9)
30%FeCl
3担持-酸洗浄活性炭を用いた雰囲気圧での1243zfの塩素化:
12−20メッシュの30%FeCl
3/C触媒5mlを、1/2インチのモネル(Monel)反応装置内に投入した。100sccmのN
2下において、当該触媒を200℃で1時間、乾燥し、次いで、雰囲気圧で、反応装置の最上部から1243zfと塩素を供給した。反応装置からの流れは、GC及びGC−MSによって分析された。試験の結果は表9に示す。当該触媒は、大きな活性と選択率を示す。
【0073】
【表9】
【0074】
(比較例1)
酸洗浄活性炭を用いた雰囲気圧での1243zfの塩素化:
12−20メッシュの炭素触媒5mlを、1/2インチのモネル(Monel)反応装置内に投入した。100sccmのN
2下において、当該触媒を200℃で1時間、乾燥し、次いで、雰囲気圧(atmosphere pressure)で、反応装置の最上部から1243zfと塩素を供給した。反応装置からの流れは、GC及びGC−MSによって分析された。試験の結果は表10に示す。当該触媒は、大きな活性を示すが、より低い選択率を示す。
【0075】
【表10】
【0076】
図1は、触媒として活性炭(比較例1)、触媒として15%CrCl
3/C(実施例1)、触媒として15%CrCl
3/C(実施例3)、触媒として5%FeCl
3/C(実施例6)を用いた気相反応における3,3,3-トリフルオロプロペンの塩素化に関する、60℃〜180℃の範囲の温度、雰囲気圧での243db選択率を比較している。明確に示されているように、活性炭が触媒である場合、243dbの選択率は約100℃で低下し始め、約120℃で急激に低下するのに対して、活性炭上に担持した金属ハロゲン化物を用いた場合、160℃以上もの温度においても高い選択性を維持している。
(実施例10)
液相反応装置中でのFeCl
3を触媒として用いた1243zfの塩素化:
200mlのハステロイ(Hastelloy)攪拌管(shaker tube)に、3gのFeCl
3を投入した。当該反応装置を排気し、N
2で2回パージし、次いで−40℃に冷却した。−40℃において、当該反応装置を再び排気し、80g(0.84モル)の1243zfと56g(0.76モル)のCl
2を当該反応装置に加えた。攪拌しながら、当該反応装置を40℃に加熱し、40℃で1.5時間、攪拌した。反応が進行するにつれて、連続的に圧力が低下した。反応の終わりには、反応装置の圧力は、
112psig(873.5kPa)から
7psig(149.6kPa)に低下した。反応装置を冷却して室温に戻し、液体内容物を、50mlの15%Na
2SO
3水溶液を含むガラス瓶に移した。次いで有機層を液相から分離し、122.82gの生成物を回収した。当該生成物をGC−MSで分析した。下記表11で報告されているデータは、GC−MSから得られた面積パーセントによって示されている。生成物の液相の分析により、243dbの選択率は〜99.8%であることが示された。
【0077】
【表11】
【0078】
(実施例11)
オートクレーブ反応装置中での液相におけるFeCl
3を触媒として用いた50℃での1243zfの塩素化:
1リットルのハステロイ(Hastelloy)オートクレーブに、12.4gの無水FeCl
3を充填した。当該反応装置を排気し、N
2で2回パージし、次いで−40℃に冷却した。−40℃において、当該反応装置を再び排気し、337g(3.51モル)の1243zfを加えた。次いで、攪拌しながら1243zfを50℃に加熱した。その後、242g(3.41モル)のCl
2を50℃、50分で供給した。すべてのCl
2を添加後、更に1時間、50℃において反応物を攪拌した。反応が進行するにつれて、連続的に圧力が低下した。反応の終わりまでには、反応装置の圧力は、
150psig(1136kPa)から
11psig(177.2kPa)に低下した。この反応の圧力グラフは、
図2にプロットされている(下側のプロット)。FeCl
3触媒を用いた反応は、触媒を用いない比較例2及び3の反応よりも、圧力低下が速いことから、明らかにずっと反応が速い。反応装置を冷却して室温に戻し、液体内容物を、ガラス瓶に移した。568gの生成物を回収し、GC−MSを用いて分析した。下記表12で報告されているデータは、GC−MSから得られた面積パーセントによって示されている。生成物の液相の分析により、243dbの選択率は〜99.8%であることが示された。FeCl
3触媒を用いた243db選択率はまた、触媒を用いない比較例2及び3の選択率よりも高い。
【0079】
【表12】
【0080】
(比較例2)
オートクレーブ反応装置中での液相における触媒を用いない80℃での1243zfの塩素化:
1リットルのハステロイ(Hastelloy)オートクレーブを用いた。当該反応装置を排気し、N
2で2回パージし、次いで−40℃に冷却した。−40℃において、当該反応装置を再び排気し、338g(3.52モル)の1243zfを加えた。次いで、攪拌しながら1243zfを80℃に加熱した。その後、242g(3.41モル)のCl
2を80℃、119分で供給した。すべてのCl
2を添加後、更に3.5時間、80℃において反応物を攪拌した。反応が進行するにつれて、連続的に圧力が低下した。反応の終わりまでには、反応装置の圧力は、
320psig(2308kPa)から
40psig(377.1kPa)に低下した。この反応の圧力グラフは、
図2にプロットされている。触媒を用いない80℃での反応(比較例2、中間のプロット)は、実施例11のFeCl
3を用いた50℃での反応(下側のプロット)よりも、圧力低下が遅いことから、明らかにずっと反応が遅い。反応装置を冷却して室温に戻した後、液体内容物を、100mlの10%Na
2SO
3水溶液を含むガラス瓶に移した。568gの生成物を回収し、GC−MSを用いて分析した。下記表13で報告されているデータは、GC−MSから得られた面積パーセントによって示されている。生成物の液相の分析により、243dbの選択率は〜94.2%であることが示された。触媒を用いない場合の243db選択率は、FeCl
3触媒を用いた実施例11の選択率よりも低い。
【0081】
【表13】
【0082】
(比較例3)
オートクレーブ反応装置中での液相における触媒を用いない100℃での1243zfの塩素化:
1リットルのハステロイ(Hastelloy)オートクレーブを用いた。当該反応装置を排気し、N
2で2回パージし、次いで−40℃に冷却した。−40℃において、当該反応装置を再び排気し、339g(3.53モル)の1243zfを加えた。次いで、攪拌しながら1243zfを100℃に加熱した。その後、212g(2.98モル)のCl
2を100℃、84分で供給した。すべてのCl
2を添加後、更に2時間、100℃において反応物を攪拌した。反応が進行するにつれて、連続的に圧力が低下した。反応の終わりまでには、反応装置の圧力は、
450psig(3204kPa)から
264psig(1992kPa)に低下した。この反応の圧力グラフは、
図2にプロットされている(上側のプロット)。圧力低下を基礎にすると、触媒を用いない100℃での反応は、比較例2の触媒を用いない80℃での反応よりも速いが、実施例11のFeCl
3触媒を用いた50℃での反応と同程度の速度である。反応装置を冷却して室温に戻した後、液体内容物を、100mlの10%Na
2SO
3水溶液を含むガラス瓶に移した。439gの生成物を回収し、GC−MSを用いて分析した。反応装置中にはブラックタールも見られた。下記表14で報告されているデータは、GC−MSから得られた面積パーセントによって示されている。生成物の液相の分析により、243dbの選択率は〜91.8%であることが示された。触媒を用いない場合の243db選択率は、FeCl
3触媒を用いた実施例11の選択率よりも低い。
【0083】
【表14】
【0084】
(比較例4)
オートクレーブ反応装置中での液相における活性炭を触媒として用いた60℃での1243zfの塩素化:
400mlのハステロイ(Hastelloy)攪拌管(shaker tube)に、3gの活性炭、80g(0.84モル)の1243zf及び前記液相中の塩素(54g、0.76モル)を加えた。当該混合物を40℃で20分攪拌した。反応装置の圧力は
〜160psig(〜1204kPa)にとどまっていた。このため、反応が生じている如何なる兆候もなかった。次いで、当該反応装置を60℃に加熱し、60℃で90分保持した。反応の圧力は、わずかに
236psig(1728kPa)から
200psig(1480kPa)に低下するだけであった。これは非常に遅い反応であることを示している。この結果は、活性炭が液相中においては、1243zfの塩素化を触媒しないことを示している。
【0085】
上記の一般記載や実施例中に記載の作業のすべてが必要とは限らないこと、具体的な一部の作業は必要としなくてもよいこと、一以上の更なる作業を前記の作業に加えて行ってもよいことに注意したい。さらに、前記作業の一覧の順番は、必ずしも実行する順番とは限らない。
【0086】
本明細書において、特別に示されない限り、%は重量基準である。
【0087】
以上の明細書の記載では、具体的実施態様に関して本願の概念を記載した。しかし、当業者であれば、後記の特許請求の範囲に規定される発明の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更を為し得ることを理解できる。したがって、本願明細書は、制限的な意味ではなく、例示的な意味とみなすべきであり、すべてのこのような変形は本願発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0088】
具体的な実施態様に関連して、利点その他の長所、及び課題に対する解決策をこれまで記載してきた。しかし当該利点、長所、課題に対する解決策;及び任意の利点、長所、解決策を生じさせ、あるいは明白にさせるような任意の特性は、任意またはすべての特許請求の範囲の、決定的な、必須な、または本質的な特性であると解釈されてはならない。
【0089】
幾つかの特性は、明確のため、本明細書においては、別個の実施態様の文脈の中で記載されているが、単一の実施態様の中で組み合わせて与えられていてもよいことを理解すべきである。逆に、種々の特性が、簡潔のために、単一の実施態様の中で記載されているが、別個のまたは任意のサブコンビネーションとして与えられていてもよい。