特許第6553638号(P6553638)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6553638走行装置の取付ガイド手段を備える自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553638
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】走行装置の取付ガイド手段を備える自動車
(51)【国際特許分類】
   B60G 1/02 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   B60G1/02
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-559220(P2016-559220)
(86)(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公表番号】特表2017-508665(P2017-508665A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】FR2015050650
(87)【国際公開番号】WO2015145023
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2018年3月15日
(31)【優先権主張番号】1452634
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィルメノー, ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】リオ, オリヴィエ
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03001600(US,A)
【文献】 実開平03−047898(JP,U)
【文献】 特開平09−286216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体構造要素(12)と走行装置(14)、具体的にはリアアクスルを備える自動車であって、前記走行装置(14)が、少なくとも1つのアーム(16)であって、前記車体構造要素(12)の床部(24)の下面(22)に支持された金属薄板製クレビス(20)に受容される上側取付用先端部(18)を備え、
前記上側取付用先端部(18)が、前記クレビス(20)の2つの平行な側面(30)の間にわずかな隙間で嵌合する少なくとも1つの横向き管状スリーブ(26)と、
前記取付用先端部(18)を前記クレビス(20)に取り付けることが可能なように、両方の側面(30)内の2つの同軸ボア(32)及び前記横向き管状スリーブ(26)を貫通するように設計された取付ネジ(28)とを備える、アーム(16)を備え、
前記クレビス(20)の各側面(30)が、
前記側面(30)内の前記ボア(32)と前記管状スリーブ(26)内のボアとが位置合わせされる位置まで、前記管状スリーブ(26)の対応する軸端をガイドして、前記取付用先端部(18)をガイドする手段(34)を備えることを特徴とする、自動車。
【請求項2】
各ガイド手段(34)は、前記管状スリーブ(26)に向けて配向された前記側面(30)の1つの面(38)から垂直に突出すること、及び前記各ガイド手段(34)は、横断面内に配置され、前記管状スリーブ(26)が前記側面(30)内の前記ボア(32)と同軸になるように、凹部が、前記ガイド手段(34)に対して当接する前記管状スリーブ(26)の部のための固定位置を決定するように設計されているアーチ形状を有することを特徴とする、請求項に記載の自動車。
【請求項3】
前記各ガイド手段(34)が前記アーチ形状の周囲に配置された一連の突起を含むことを特徴とする、請求項に記載の自動車。
【請求項4】
前記各ガイド手段(34)が前記アーチ形状の周囲に配置されたリブを含むことを特徴とする、請求項に記載の自動車。
【請求項5】
前記リの前記アーチ形状は半円形であり、前記アーチ形状の内直径は前記管状スリーブ(26)の外直径に相当することを特徴とする、請求項に記載の自動車。
【請求項6】
前記リの前記アーチ形状は四辺形であり、前記管状スリーブ(26)の外直径にマッチすることを特徴とする、請求項に記載の自動車。
【請求項7】
記凹部は、前記管状スリーブ(26)の前記端部が、前記管状スリーブ(26)を上げることによって、前記固定位置に移動することを可能にするために、前記床部(24)から離れて配向されていることを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の自動車。
【請求項8】
記凹部は、前記管状スリーブ(26)の端部が、前記管状スリーブ(26)を下げることによって、前記固定位置に移動し、重力によって前記固定位置で保持されることを可能にするために、前記床部(24)に向かって配向されていることを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の自動車。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の自動車であって、前記リアアクスル(14)は、半剛体であって、
− 中央に前記取付用先端部(18)を有する横断部(40)、及び前記横断部(40)の両側に延伸する2つの後縁アーム(42)を備える中央管状アーム(16)と、
− 前記車体構造要素(12)の前記床部(24)の前記下面(22)の下に取り付けられたクレードル(50)に接合された第1端部(46)、及び前記後縁アーム(42)の前記端部に接合された第2端部(48)を有する2つのクロスアーム(44)とを備え、
前記リアアクスルは、円筒形のエラストマー要素(54)を受容するように設計されたボア(52)を含む上側リング(50)であって、前記円筒形のエラストマー要素(54)が、次いで前記管状スリーブ(26)を同軸的に受容するように設計された、上側リング(50)、並びに前記中央管状アーム(16)を支持し、相互に取り付けられた足部(58)及び半円筒形のカバー(60)を含む下側リング(56)を含む、取付要素(18)を有することを特徴とする、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、車体構造要素と走行装置、具体的にはリアアクスルを備える自動車であって、走行装置が、少なくとも1つのアームであって、車体構造要素の床部の下面に支持された金属薄板製クレビス(clevis)に受容される上側取付用先端部を備え、前記上側取付用先端部が、前記クレビスの2つの平行な側面(flank)の間にわずかな隙間で嵌合する少なくとも1つの横向き管状スリーブと、前記取付用先端部をクレビスに取り付けることが可能なように、両方の側面内の2つの同軸ボア及び前記横向き管状スリーブを貫通するように設計された取付ネジとを備える、アームを備える、自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
この態様で車体構造要素の床部に取り付けられたリアアクスルを有する自動車の複数の例が、知られている。
【0004】
側面内のボアとスリーブは位置合わせが必要で、リアアクスルと車体構造要素は、荷役システムを利用しても正確にあちこち移動させるのが難しい、大きく重い要素なので、こうした設計によって、複数の組み立て上の問題が提起されている。
【0005】
したがって、取付ネジの挿入に先立って、側面内のボアとスリーブとの良好な同軸性を組立工場内で確保することは、非常に困難である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、スリーブが側面内のボアに同軸的に配置され得るように設計された、リアアクスルのアームの取付用先端部をガイドする手段を備える自動車を提案することによって、この欠点を克服する。
【0007】
この目的のため、本発明は、側面内のボアとスリーブ内のボアとが位置合わせされる位置まで、クレビスが取付用先端部をガイドする手段を備えることを特徴とする、上記の型の自動車を提案する。
【0008】
本発明の他の特徴によると、
− 各側面が、側面内のボアとスリーブ内のボアとが位置合わせされる位置まで管状スリーブの対応する軸端をガイドする手段を有し、
− 各ガイド手段は、スリーブに向けて配向された前記側面の1つの面から垂直に突出し、横断面内に配置され、管状スリーブの端部がリブに対して当接し、管状スリーブが側面内のボアと同軸になるようにするための固定位置が凹部によって決定されるように設計されているアーチ形状を有し、
− 各ガイド手段は、アーチ形状の周囲に配置された一連の突起部(lug)を含み、
− 各ガイド手段は、アーチ形状の周囲に配置されたリブを含み、
− リブのアーチ形状は、半円形で、その内直径はスリーブの外直径に一致し、
− リブのアーチ形状は四辺形で、スリーブの外直径とマッチし、
− 管状スリーブの端部が、前記スリーブを上げることによって固定位置に移動されることを可能にするために、リブの凹部は床部から離れるように配向され、
− リブの凹部は、管状スリーブの端部が、前記スリーブを下げることによって固定位置に移動し、重力によって前記固定位置で保持されることを可能にするために、床部に向かって配向されている。
− リアアクスルは、半剛体であって、
・ 中央に取付用先端部を有する横断部、及び横断部の両側に延伸する2つの後縁アームを備える中央管状アームと、
・ 車体構造要素の床部の下面の下に取り付けられたクレードルに接合された第1端部、及び後縁アームの端部に接合された第2端部を有する2つのクロスアームとを備え、
リアアクスルは、円筒形のエラストマー要素を受容するように設計されたボアを含む上側リングであって、当該円筒形のエラストマー要素が、次いで管状スリーブを同軸的に受容するように設計された、上側リング、並びに中央アームを支持し、相互に取り付けられた足部及び半円筒形のカバーを含む下側リングを含む、取付要素を有する。
【0009】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照して提供される、以下の詳細な説明の中で記載される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】先行技術による自動車の、車体構造要素及びリアアクスルの一部の、分解斜視図である。
図2図1の自動車の、車体構造要素及びリアアクスルの一部の、組立斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態による、リアアクスルの上側取付用先端部の取付の、詳細斜視図である。
図4図4A−Cは、本発明の第2の実施形態による、リアアクスルの上側取付用先端部の取付ステップを示す、斜視図である。
図5図5A及び図5Bは、本発明の第3の実施形態による、リアアクスルの上側取付用先端部の取付ステップを示す、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記の記載において、同一の参照番号は、同一の部品または同様の機能を持つ部品を指している。
【0012】
図1は、従来技術によって製造された自動車の後部10を示す。
【0013】
本車両は、既知の態様により、車体構造要素12と、走行装置14、具体的にはリアアクスルであって、少なくとも1つのアーム16であって、車体構造要素12の床部24の下面22に支持された金属薄板製クレビス20に受容される上側取付用先端部18を備えるアームを備える、走行装置を備える。
【0014】
既知の態様により、取付用先端部18は、前記クレビス20の2つの平行な側面30の間にわずかな隙間で嵌合する少なくとも1つの横向き管状スリーブ26を備える。取付ネジ28は、前記取付用先端部18をクレビス20に取り付けることが可能なように、両方の側面30内の2つの同軸ボア32及び前記横向き管状スリーブ26を貫通するように設計されている。
【0015】
側面30内のボア32と管状スリーブ26は位置合わせが必要で、リアアクスル14と車体構造要素12は、荷役システムを利用しても正確にあちこち移動させるのが難しい、大きく重い要素なので、こうした設計によって、複数の組み立て上の問題が提起されている。
【0016】
したがって、組立工場内で、取付ネジ28の挿入に先立って、側面30内のボア32がスリーブ26と同軸である位置に、リアアクスル14を手動で効率よくガイドすることは、非常に困難である。こうした操作は概して、ボア32がスリーブ26に成功裏に位置合わせされるまでに、幾つかの位置合わせの試行を必要とする。これによって、こうした車両の組立速度が低下する。
【0017】
本発明は、スリーブ26が側面30内のボア32に同軸的に配置され得るように設計された、リアアクスル14のアーム16の取付用先端部18をガイドする手段34を備える自動車を提案することによって、この欠点を克服する。
【0018】
この目的のため、本発明は、側面30内のボア32とスリーブ26内のボアとが位置合わせされる位置まで、クレビス20が取付用先端部18をガイドする手段34を備えることを特徴とする、上記の型の自動車を提案する。
【0019】
先行技術において既知であるいかなるガイド手段も、本発明を正しく実施するために使用されることはできない。具体的には、アーム16の前記上側取付用先端部18を、側面30内のボア32とスリーブ26とが同軸的に位置合わせされる特定の箇所に移動させるように企図された、その形状が以下でより詳細に記載されている上側取付用先端部18をガイドするいかなる手段も、本発明を正しく実施するために使用されることができる。
【0020】
しかし、本発明の好適な実施形態においては、各側面30が、ガイド機能の正確さを最適化するために、側面30内のボア32とスリーブ26内のボアとが位置合わせされる位置まで管状スリーブ26の対応する軸端をガイドする手段34を有している。
【0021】
実際、ガイド手段34がスリーブ26に近づけば近づくほど、前記ガイド手段がより良好にスリーブ26を側面30内のボア32に、わずかな同軸上の許容差で位置合わせするようにガイドすることができる。
【0022】
図3から図5Bに示すように、各ガイド手段34は、スリーブ26に向けて配向された側面30の1つの面38から垂直に突出している。各ガイド手段34は、面38に平行に横断面内に延伸し、アーチ型を有する。アーチ型の凹部は、当該ガイド手段34に当接し、側面30のボア32と同軸である管状スリーブ26の、端部の固定位置を画定するように設計されている。
【0023】
実際、ガイド手段34は凹部の周囲にアーチ型に配置されており、前記手段は、一旦、管状スリーブ26が前記ガイド手段34の凹部に入ると、垂直な1方向及び水平な両方向に関して、管状スリーブ26を固定することが可能である。
【0024】
ガイド手段は、多数の異なる形状を取り得る。
【0025】
図3から図5Bに示す第1、第2及び第3の実施形態によると、各ガイド手段34はアーチ形状の周囲に配置されたリブ34を備える。
【0026】
図3に示す第1の実施形態によると、リブ34のアーチ形状は四辺形であり、スリーブ26の外直径にマッチする。図3の矢印が示すように、リアアクスル14が車体構造要素12に向かって上げられているとき、スリーブ26の反対の軸端が四辺形のリブ34に入る。ここでスリーブ26は、四辺形のリブの小さな底辺によって、及び四辺形のリブ34の両方の平行でない辺によってブロックされる。
【0027】
図4Aから図5Bに示す第2及び第3の実施形態によると、リブ34のアーチ形状は半円形であり、スリーブ26の外直径にマッチする内直径を有する。
【0028】
図4A及び図4Bに示す第2の実施形態では、リブ34の凹部は、管状スリーブ26の端部が、前記スリーブ26を上げることによって、固定位置に移動することを可能にするために、床部22から離れて配向されている。
【0029】
この配置においては、管状スリーブ26は、上げられたときにリブ34に係合し、そのときに前記四辺形のリブ34によって囲まれる。リブ34は、図4Cに示すように、側面38によって垂直方向及び両横方向に管状スリーブ26を固定する。
【0030】
図5A及び図5Bに示す第3の実施形態では、管状スリーブ26の端部が、前記スリーブ26を下げることによって固定位置に移動することを可能にするために、及び続いてスリーブ26を停止させ、それによってスリーブ26が重力によって前記固定位置で保持されることを可能にするために、リブ34の凹部は床部に向かって配向されている。
【0031】
側面30は車両の床部22の下に位置しているため、この配置では、アクスルの取付用先端部18は、最初に側面30の前の経路Mに沿ってリブ34の上に垂直に上げられなければならず、次いで、管状スリーブ26の端部がリブ34内に停止し、リブ34と係合するように経路Dに沿って垂直に下げられる前に、経路Tに沿ってリブ34と並ぶ地点まで横方向に移動されなければならない。この動きは、図5Aで矢印M、T、及びDを用いて詳細に示されている。
【0032】
第4の実施形態(図示せず)では、各ガイド手段は、アーチ形状の周囲に配置された一連の突起を有する。
【0033】
突起は規則的に配置され得、好ましくは、スリーブが2つのラグの間から出てきてしまうことを防ぐため、ため、スリーブ26の直径よりも小さい距離で、互いに間隔が空けられる。
【0034】
本発明は、図1及び図2に示す型の半剛体のリアアクスル14での利用に、特に好適である。走行装置14は、中央部が取付用先端部18を有する横断部40と、横断部40の両側に延伸する2つの後縁アーム42とを備える、中央管状アーム16を含む。
【0035】
有利には、走行装置14は、車体構造要素12の床部22の下面の下に取り付けられたクレードル50に接合された第1端部46、及び後縁アーム42の端部に接合された第2端部48を有する、2つのクロスアーム44もまた有する。
【0036】
図1に示すように、この配置では、取付要素18は、管状スリーブ26を閉じ込めるように支持する円筒形のエラストマー要素54を受容するように設計されたボア52を含む上側リング50、並びに中央アームを支持し、前記リング56が中央アーム16に取り付けられることを可能にするために、恒久的ではない形で相互に取り付けられた足部58及び半円筒形のカバー60を含む、下側リング56を含む。
【0037】
したがって、本発明によって、走行装置16の簡便で効率的な取付が促進される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B