特許第6553645号(P6553645)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553645
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】光熱試験方法及び対応する試験ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20190722BHJP
   G01J 5/48 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   G01N25/72 K
   G01J5/48 A
【請求項の数】25
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-565296(P2016-565296)
(86)(22)【出願日】2015年4月29日
(65)【公表番号】特表2017-519196(P2017-519196A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】EP2015059421
(87)【国際公開番号】WO2015166007
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2018年3月29日
(31)【優先権主張番号】1453989
(32)【優先日】2014年4月30日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509337414
【氏名又は名称】アレバ・エヌペ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック・コリエ
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・タグリオーヌ
【審査官】 野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−132545(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0030002(US,A1)
【文献】 特開2006−308513(JP,A)
【文献】 特開2014−240801(JP,A)
【文献】 特開2009−244021(JP,A)
【文献】 特表2011−506927(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0292938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00−72
G01J 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の光熱試験方法であって、前記方法が、以下のステップ、
−ステップ11:第1の熱入力要素(54)で部品の表面(52)の第1の領域(50)を走査するステップであって、前記走査が、第1の方向(D1)と実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ12:第1の感光表面要素(56)を用いて、前記第1の領域(50)によって放出された赤外放射の画像を取得するステップと、
を有する第1のシーケンスを含み、
前記方法がさらに、以下のステップ、
−ステップ13:第2の熱入力要素(60)で前記部品の前記表面(52)の第2の領域(58)を走査するステップであって、前記走査が、第2の方向(D2)と実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ14:第2の感光表面要素(62)を用いて前記第2の領域(60)によって放出された赤外放射の画像を取得する段階と、
をさらに含み、
前記第1及び第2の領域(50、58)が同時に走査され、前記第1及び第2の感光表面(56、62)が互いに分離され、
前記第2の方向(D2)が前記第1の方向(D1)と第1の非ゼロの角度(α)を成し、または、
前記第2の方向(D2)が前記第1の方向(D1)と実質的に平行であり、前記第1及び第2の熱入力要素(54、60)が、それらの間に第2の非ゼロの角度(β)を成す直線であり、
前記方法がさらに、以下のステップ、
−ステップ21:前記第1の熱入力要素(54)で前記部品の前記表面(52)の前記第2の領域(58)を走査するステップであって、前記走査が前記第1の方向(D1)に対して実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ22:前記第1の感光表面要素(56)を用いて、前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の画像を取得するステップと、
−ステップ23:前記第2の熱入力要素(60)で前記部品の前記表面(52)の第3の領域(64)を走査するステップであって、前記走査が前記第2の方向(D2)に対して実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ24:前記第2の感光表面要素(62)を用いて、前記第3の領域(64)によって放出される赤外放射の画像を取得するステップと、
を有する少なくとも1つの第2のシーケンスをさらに含み、
前記第2及び第3の領域が同時に走査される
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の感光表面要素(56、62)が、マトリックスセンサ(72)の同じ感光表面(70)の2つの部分であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のシーケンスと前記第2のシーケンスとの間に、前記部品に対して前記第1及び第2の感光表面要素(56、62)を移動させるためのステップ(15)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2のシーケンスの後に、
−前記第2の領域(58)の第1及び/または第2の最終画像が、前記第2の領域(58)によって放出され、それぞれ前記第2及び/または第1のシーケンスにおいて、前記第1及び/または第2の感光表面要素(56、62)によってそれぞれ収集された赤外放射の画像からそれぞれ計算される、第1の処理ステップ(40)と、
−前記第2の領域(58)における任意の構造的欠陥が、前記第1の処理ステップ(40)において得られた前記第1及び/または第2の最終画像を用いることによって検出される、第2の処理ステップ(45)と、
を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
a)前記第2のシーケンスにおいて、前記第1の熱入力要素(54)が、複数の連続する瞬間(ti)において、複数の連続する位置(P(ti))を占めつつ、前記第2の領域(58)を走査し、前記第1の感光表面要素(56)が前記複数の瞬間(ti)において前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の複数の画像(I(ti))を取得すること、及び/または
b)前記第1のシーケンスにおいて、前記第2の熱入力要素(60)が、複数の連続する瞬間(ti)において、複数の連続する位置(P(ti))を占めつつ、前記第2の領域(58)を走査し、前記第2の感光表面要素(62)が、前記複数の瞬間(ti)において、前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の複数の画像(I(ti))を取得すること、
を特徴とし、
前記第1の処理ステップ(40)が以下の操作、
c)前記第2のシーケンスにおいて取得された各画像(I(ti))について、前記画像(I(ti))が取得された前記複数の瞬間から所定の瞬間(ti)を決定し、前記画像(I(ti))から、所定の瞬間(ti)に所定の時間シフト(ΔT)を加えたものに等しい第2の所定の瞬間(ti2)において、第1の熱入力要素(54)の位置(P(ti2))に対応する複数の第1の点を抽出し、前記第2のシーケンスにおいて取得された前記画像(I(ti))の全てから抽出された前記第1の点を重畳することによって、第1の最終画像を構成すること、及び/または
d)前記第1のシーケンスにおいて取得された各画像(I(ti’))について、前記画像(I(ti’))が取得された複数の瞬間から所定の瞬間(ti’)を決定し、前記画像(I(ti’))から、前記所定の瞬間(ti’)に所定の時間シフト(ΔT’)を加えたものに等しい第2の所定の瞬間(ti2’)における前記第2の熱入力要素(60)の位置に対応する複数の第2の点を抽出し、前記第1のシーケンスにおいて取得された前記画像(I(ti’))の全てから抽出された前記第2の点を重畳することによって、前記第2の画像を構成すること、
を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のシーケンスにおいて、前記第1の感光表面要素(56)が、前記第1の領域(50)を含む第1の対象フィールド(74)によって放出された赤外放射の画像を取得し、前記第2の感光表面要素(62)が、前記第2の領域(58)を含む第2の対象フィールド(76)によって放出された赤外放射の画像を取得し、前記第1及び第2の対象フィールド(74、76)が前記第1のシーケンスにおいて固定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のシーケンスにおいて、前記第1の感光表面要素(56)が、前記第1の領域(50)の少なくともすべてによって放出された赤外放射の画像を取得し、前記第2の感光表面要素(62)が、前記第2の領域(58)の少なくともすべてによって放出された赤外放射の画像を取得することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記部品の前記表面(52)の各領域が、1つのシーケンスにおいて、前記第1の方向(D1)に対して平行な複数の直線に沿って、前記第1の熱入力要素(54)で走査され、別のシーケンスにおいて、前記第2の方向(D2)に対して平行な複数の直線に沿って第2の熱入力要素(60)で走査され、前記領域によって放出された赤外放射の画像が、前記シーケンスにおいて前記第1の感光表面要素(56)によって取得され、前記別のシーケンスにおいて、前記第2の感光表面要素(62)によって取得されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の熱入力要素(54、60)が、画定された幾何形状を有するレーザー、連続的若しくはパルス発光バルブ、または誘導巻線によって発生することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の方向(D2)が前記第1の方向(D1)と実質的に平行であり、前記第1の熱入力要素(54)が、前記第1の方向(D1)と、20°から70°の角度(β1)を成す直線であり、前記第2の熱入力要素(60)が、前記第2の方向(D2)と、110°から160°の角度(β2)を成す直線であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
a)前記第2のシーケンスにおいて、前記第1の熱入力要素(54)が、複数の連続する瞬間(ti)において、複数の連続する位置(P(ti))を占めつつ、前記第2の領域(58)を走査し、前記第1の感光表面要素(56)が、前記複数の瞬間(ti)において前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の複数の第1の画像(I(ti))を取得することを特徴とし、
前記第1の処理ステップ(40)が、以下の操作、
c1)前記第2のシーケンスにおいて取得された第1の画像(I(ti))のそれぞれについて、前記第1の画像(I(ti))が取得された前記複数の瞬間から所定の瞬間(ti)を決定し、前記第1の画像(I(ti))から、第2の所定の瞬間(ti2)において前記第1の熱入力要素(54)の位置(P(ti2))に対応する第1の点(Xk)の直線(L(ti))を抽出し、前記直線(L(ti))が、前記第1の方向(D1)に沿って最も遠くに配された第1の上流端点(X1)及び、前記第1の方向(D1)と反対に、前記第1の方向(D1)に対して垂直な第1の横断方向(T)に沿って、前記第1の上流端点(X1)に対してシフトされた第1の下流端点(Xn)と、を含み、各第1の点(Xk)が前記第1の点に対応する領域における前記部品の前記表面(52)の温度を表す測定された強度を有する、操作と、
c2)第1の点(Xk)それぞれに、前記測定強度から、前記第1の点(Xk)に対して前記第1の横断方向(T)に沿ってシフトされ、前記直線(L(ti))に対して前記第1の方向(D1)に沿ってシフトされた前記第1の画像(L(ti))の別の点の強度(Xk*)を差し引いたものに等しい差分強度を割り当てることによって、第1の差分直線を確立する操作と、
c3)前記第2のシーケンスにおいて取得された前記第1の画像(I(ti))の全てについて確立された前記第1の差分直線を重畳することによって、前記第1の最終画像を構成する操作と、
を含むことを特徴とする、請求項4に従属する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップc2)において、前記別の点(Xk*)が、前記直線(L(ti))の第1の点(Xk)の1つであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
b)前記第1のシーケンスにおいて、前記第2の熱入力要素(60)が、複数の連続する瞬間(ti’)において、複数の連続する位置(P(ti’))を占めつつ、前記第2の領域(58)を走査し、前記第2の感光表面要素(62)が、前記複数の瞬間(ti’)において、前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の複数の第2の画像(I(ti’))を取得することと、
d1)前記第1のシーケンスにおいて取得された各第2の画像(I(ti’))について、前記第2の画像(I(ti’))が取得された前記複数の瞬間から所定の瞬間(ti’)を決定し、前記第2の画像(I(ti’))から、第2の所定の瞬間(ti2’)において、前記第2の熱入力要素(60)の位置(P(ti2’))に対応する第2の点(Xk’)の直線(L(ti’))を抽出し、前記直線L(ti’))が、前記第2の方向(D2)に沿って最も遠い位置に配された第2の上流端点(X1’)と、前記第2の方向(D2)と反対に、前記第2の方向(D2)に対して垂直な第2の横断方向(T’)に沿って、前記第1の上流端点(X1’)に対してシフトされた第2の下流端点(Xn’)と、を含み、各第2の点(Xk’)が、前記第2の点(Xk’)に対応する領域における前記部品の前記表面(52)の温度を表す測定された強度を有することと、
d2)前記測定された強度から、前記第2の点(Xk’)に対して前記第2の横断方向(T’)に沿ってシフトされ、前記直線(L(ti’))に対して、前記第2の方向(D2)に沿ってシフトされた前記第2の画像(L(ti’))の別の点(Xk*’)の強度を差し引いたものに等しい差分強度を、各第2の点(Xk’)に割り当てることによって、第2の差分直線を確立することと、
d3)前記第1のシーケンスにおいて取得された前記第2の画像(I(ti’))の全てについて確立された前記第2の差分直線を重畳することによって、前記第2の最終画像を構成することと、
を特徴とする、請求項4に従属する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ステップd2)において、前記別の点(Xk*’)が、前記直線(L(ti’))の前記第1の点(Xk’)の1つであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の所定の瞬間(ti2)が、前記所定の瞬間(ti)に所定の時間シフト(ΔT)を加えたものに等しく、前記第2の所定の瞬間(ti2’)が、前記所定の瞬間(ti’)に所定の時間シフト(ΔT’)を加えたものに等しいことを特徴とする、請求項11または13に記載の方法。
【請求項16】
部品についての光熱試験ユニットであって、前記ユニット(80)が、
−部品の表面(52)の第1の領域(50)を、第1の熱入力要素(54)で走査するための、第1の方向(D1)に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を行うように構成された第1の走査デバイス(82)と、
−前記第1の領域(50)によって放出された赤外放射の画像を取得するように構成された第1の感光表面要素(56)を含む取得デバイス(72)と、
−前記部品の表面(52)の第2の領域(58)を、第2の熱入力要素(60)で走査するための、第2の方向(D2)に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を行うように構成された第2の走査デバイス(84)と、
−前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の画像を取得するように構成された第2の感光表面要素(62)を有する取得デバイス(72)と、を含み、
前記第1及び第2の走査デバイス(82、84)が、前記第1及び第2の領域(50、58)を同時に走査するように構成され、前記第1及び第2の感光表面要素(56、62)が互いに分離され、
前記第2の方向(D2)が前記第1の方向(D1)と第1の非ゼロの角度(α)を成し、または、
前記第2の方向(D2)が、前記第1の方向(D1)と実質的に平行であり、前記第1及び第2の熱入力要素(54、60)が、それらの間で第2の非ゼロの角度(β)を成す直線であり、
−前記第1の走査デバイス(82)が、前記部品の前記表面(52)の前記第2の領域(58)を前記第1の熱入力要素(54)で走査することができ、前記第1の方向(D1)に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を実施することができ、
−前記第1の感光表面要素(56)が、前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の画像を取得することができ、
−前記第2の走査デバイス(84)が、前記部品の前記表面(52)の第3の領域(64)を前記第1の熱入力要素(60)で走査することができ、前記第2の方向(D2)に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を実施することができ、
−前記第2の感光表面要素(62)が、前記第3の領域(64)によって放出された赤外放射の画像を取得することができ、
前記第1及び第2の走査デバイス(82、84)が、前記第2及び第3の領域(58、64)を同時に走査するように構成された、
ことを特徴とする、ユニット。
【請求項17】
−前記第2の領域(58)の第1及び/または第2の最終画像が、前記第2の領域(58)によって放出され、それぞれ前記第1及び/または第2のシーケンスにおいて、前記第1及び/または第2の感光表面要素(56、62)によってそれぞれ収集された、赤外放射の画像からそれぞれ計算される、第1の処理ステップ(40)と、
−前記第2の領域(58)における任意の構造的欠陥が、前記第1の処理ステップ(45)において得られた前記第1及び/または第2の最終画像を用いることによって検出される、第2の処理ステップ(45)と、
を実行するようにプログラムされたコンピュータ(88)を含むことを特徴とする、請求項16に記載のユニット。
【請求項18】
a)前記第1の走査デバイス(82)が、前記第1の熱入力要素(54)が、複数の連続する瞬間(ti)において、複数の連続する位置(P(ti))を占めつつ、前記第2の領域(58)を走査するように構成され、前記取得デバイス(72)が、前記第1の感光表面要素(56)が前記複数の瞬間(ti)において前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の複数の画像(I(ti))を取得するようにプログラムされ、及び/または、
b)前記第2の走査デバイス(84)が、前記第2の熱入力要素(60)が、複数の連続する瞬間(ti)において、複数の連続する位置(Pti’)を占めつつ、前記第2の領域(58)を走査するように構成され、前記取得デバイス(72)が、前記第2の感光表面要素(62)が前記複数の瞬間(ti’)において前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の複数の画像(I(ti’))を取得するようにプログラムされ、
前記コンピュータ(88)が、前記第1の処理ステップ(40)において、以下の操作、
c)第1の感光表面要素(56)によって取得された各画像(I(ti))について、前記画像(I(ti))が取得された前記複数の瞬間から所定の瞬間(ti)を決定し、前記画像(I(ti))から、前記所定の瞬間(ti)に所定の時間シフト(ΔT)を加えたものに等しい第2の所定の瞬間(ti2)において前記第1の熱入力要素(54)の位置に対応する複数の第1の点を抽出し、前記第1の感光表面要素(56)によって取得された前記画像(I(ti))の全てから抽出された前記第1の点を重畳することによって、第1の最終画像を構成し、及び/または
d)前記第2の感光表面要素(62)によって取得された各画像(I(ti’))について、前記画像(I(ti’))が取得された前記複数の瞬間から所定の瞬間(ti’)を決定し、前記画像(I(ti’))から、前記所定の瞬間(ti’)に所定の時間シフト(ΔT’)を加えたものに等しい第2の所定の瞬間(ti2’)において、前記第2の熱入力要素(60)の位置に対応する複数の第2の点を抽出し、前記第2の感光表面要素(62)によって取得された前記画像(I(ti’))の全てから抽出された前記第2の点を重畳することにより、前記第2の最終画像を構成する、
ことを実行するようにプログラムされたことを特徴とする、請求項17に記載のユニット。
【請求項19】
前記第2の方向(D2)が前記第1の方向(D1)に対して実質的に平行であり、前記第1の熱入力要素(54)が、前記第1の方向(D1)と、20°から70°の角度(β1)を成す直線であり、前記第2の熱入力要素(60)が、前記第2の方向(D2)と、110°から160°の角度(β2)を成す直線であることを特徴とする、請求項16から18のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項20】
a)前記第1の熱入力要素(54)が、複数の連続する瞬間(ti)において、複数の連続する位置(P(ti))を占めつつ前記第2の領域(58)を走査するように、前記第1の走査デバイス(82)が構成され、前記第1の感光表面要素(56)が、前記複数の瞬間(ti)において、前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の複数の第1の画像(I(ti))を取得するように、取得デバイス(72)がプログラムされることを特徴とし、
前記コンピュータ(88)が、前記第1の処理ステップ(40)において、以下の操作、
c1)前記第1の感光表面要素(56)によって取得された第1の画像(I(ti))のそれぞれについて、前記第1の画像(I(ti))が取得された前記複数の瞬間から所定の瞬間(ti)を決定し、前記第1の画像(I(ti))から、第2の所定の瞬間(ti2)における前記第1の熱入力要素(54)の位置(P(ti2))に対応する第1の点(Xk)の直線(L(ti))を抽出し、前記直線(L(ti))が前記第1の方向(D1)に沿って最も遠くに配置された第1の上流端点(X1)と、前記第1の方向(D1)と反対の、前記第1の方向(D1)に対して垂直な第1の横断方向(T)に沿って前記第1の上流端点(X1)に対してシフトされた第1の下流端点(Xn)と、を含み、前記第1の点(Xk)のそれぞれが、前記第1の点(Xk)に対応する領域における前記部品の前記表面(52)の温度を表す測定強度を有し、
c2)前記測定された強度から、前記第1の点(Xk)に対して前記第1の横断方向(T)に沿ってシフトされ、前記直線(L(ti))に対して前記第1の方向(D1)に沿ってシフトされた前記第1の画像(I(ti))の別の点(Xk*)の強度を差し引いたものに等しい差分強度を第1の点(Xk)のそれぞれに割り当てることによって第1の差分直線を確立し、
c3)前記第1の感光表面要素(56)によって取得された前記第1の画像(I(ti))の全てについて確立された前記第1の差分直線を重畳することによって前記第1の最終画像を構成する、
操作を実行するようにプログラムされたことを特徴とする、請求項17を引用する請求項19に記載のユニット。
【請求項21】
ステップc2)において、前記別の点(Xk*)が前記直線(L(ti))の前記第1の点(Xk)の1つであることを特徴とする、請求項20に記載のユニット。
【請求項22】
b)前記第2の熱入力要素(60)が、複数の連続する瞬間(ti)において、複数の連続する位置(P(ti’))を占めつつ、前記第2の領域(58)を走査するように、前記第2の走査デバイス(84)が構成され、前記第2の感光表面要素(62)が、前記複数の瞬間(ti’)において前記第2の領域(58)によって放出された赤外放射の複数の第2の画像(I(ti’))を取得するように、前記取得デバイス(72)がプログラムされることを特徴とし、
前記コンピュータ(88)が、前記第1の処理ステップ(40)において、以下の操作、
d1)前記第2の感光表面要素(62)によって取得された第2の画像(I(ti’))のそれぞれについて、前記第2の画像(I(ti’))が取得された前記複数の瞬間から所定の瞬間(ti’)を決定し、前記第2の画像(I(ti’))から、第2の所定の瞬間(ti2’)において前記第2の熱入力要素(60)の位置(P(ti2’))に対応する第2の点(Xk’)の直線(L(ti’))を抽出し、前記直線(L(ti’))が、前記第2の方向(D2)に沿って最も遠く離れた位置に配された第2の上流端点(X1’)及び、前記第2の方向(D2)と反対に、前記第2の方向(D2)に対して垂直な第2の横断方向(T’)に沿って、前記第2の上流端点(X1’)に対してシフトされた第2の下流端点(Xn’)を含み、第2の点(Xk’)のそれぞれが、前記第2の点(Xk’)に対応する領域における前記部品の前記表面(52)の温度を表す測定強度を有し、
d2)前記測定された強度から、前記第2の点(Xk’)に対して前記第2の横断方向(T’)に沿ってシフトされ、前記直線(L(ti’))に対して前記第2の方向(D2)に沿ってシフトされた前記第2の画像(I(ti’))の別の点(Xk*’)の値を差し引いたものに等しい差分強度を、第2の点(Xk’)のそれぞれに割り当てることによって第2の差分直線を確立し、
d3)前記第2のシーケンスにおいて取得された前記第2の画像(I(ti’))の全てについて確立された前記第2の差分直線を重畳することによって、前記第2の最終画像を構成する、
操作を実行するようにプログラムされたことを特徴とする、請求項17に従属する請求項19から21のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項23】
ステップd2)において、前記別の点(Xk*’)が、前記直線(L(ti’))の前記第1の点(Xk’)の1つであることを特徴とする、請求項22に記載のユニット。
【請求項24】
前記第2の所定の瞬間(ti2)が、前記所定の瞬間(ti)に所定の時間シフト(ΔT)を加えたものに等しく、前記第2の所定の瞬間(ti2’)が、前記所定の瞬間(ti’)に所定の時間シフト(ΔT’)を加えたものに等しいことを特徴とする、請求項20または22に記載のユニット。
【請求項25】
前記部品が、各シーケンスにおいて不動であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に産業機器における欠陥を探すことに関する。
【背景技術】
【0002】
より具体的には、第1の態様によれば、本発明は、部品の光熱試験方法に関し、以下のステップ、
−ステップ11:第1の熱入力要素で部品の表面の第1の領域を走査するステップであって、走査が、第1の方向と実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ12:第1の感光表面要素を用いて、第1の領域によって放出された赤外放射の画像を取得するステップと、
を有する第1のシーケンスを含む。
【0003】
そのような方法は、例えば国際公開第98/039640号で知られている。
【0004】
本方法によれば、第1の熱入力要素はレーザーで生成された直線であり、部品の表面上を移動する。検出領域も、熱入力要素の軌跡をたどって、正または負の時間遅延で部品の表面上を移動する。検出領域は、第1の感光表面によって連続的に試験される。
【0005】
第1の領域を検査するためには、第1の方向における往路、第1の方向における復路、第1の方向とは垂直でありうる第2の方向における往路、及び第2の方向における復路、の4回の連続する走査を行うことが必要である。
【0006】
従って、試験方法は比較的長く、試験時間は検査する表面領域のmあたり約3から4時間である。
【0007】
そのため、本発明はより速い方法を提案することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
目的を達成するために、本発明は、前述の種類の光熱試験方法に関し、
本方法が、以下のステップ、
−ステップ13:第2の熱入力要素で部品の表面の第2の領域を走査するステップであって、走査が、第2の方向と実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ14:第2の感光表面要素を用いて第2の領域によって放出された赤外放射の画像を取得する段階と、
をさらに含み、
第1及び第2の領域が同時に走査され、第1及び第2の感光表面が互いに分離され、
第2の方向が第1の方向と第1の非ゼロの角度を成し、第1の角度が好適には30°より大きく、または、
第2の方向が第1の方向と実質的に平行であり、第1及び第2の熱入力要素が、それらの間に第2の非ゼロの角度を成す直線であり、第2の角度が好適には30°よりも大きい、
ことを特徴とする。
【0009】
従って本発明に従う方法において、部品の表面の少なくとも2つの領域が、2つの異なる熱入力要素で同時に走査される。
【0010】
さらに、同時取得の実施を可能にする2つの別個の感光表面要素の使用により、赤外放射画像の取得も加速される。
【0011】
第1及び第2の熱入力要素による走査が互いに対して傾斜した2つの方向において行われるという事実は、特に有用である。すなわち、第1のシーケンスにおいて、第1及び第2の領域を同時に、第1の熱入力要素及び第2の熱入力要素をそれぞれ用いて走査し、熱入力要素の生成を可能にする手段を移動させることが可能になり、第2の領域は第1の熱入力要素で走査され、第2の熱入力要素は第3の領域を走査する。そのため、第2の領域は第1のシーケンスにおいて第2の方向に走査され、第2のシーケンスにおいて第1の方向に走査される。2つの熱入力要素を生じさせることを可能にする手段の再配置は、第1から第2のシーケンスに移行する際に容易かつ高速である。すなわち、第1及び第2の熱入力要素によってなされる移動は、一般的に、常にシーケンスに関わらず同じであり、常に、それぞれ第1の方向及び第2の方向においてなされる。
【0012】
これはまた、第1及び第2の熱入力要素が、それらの間に第2の非ゼロの角度を成す直線であり、同じ方向に実質的に沿って移動する直線である場合にも成り立つ。第1のシーケンスは、第2の熱入力要素で第2の領域を、所定の傾斜を有して走査することを可能にし、第2のシーケンスは、第1の熱入力要素で第2の領域を、別の傾斜を有して走査することを可能にする。
【0013】
本方法はまた、個別にまたは任意の技術的に可能な組合せに従って考慮される、1つまたは複数の以下の特徴を有しうる。
【0014】
第1及び第2の感光表面要素が、マトリックスセンサの感光表面の2つの部分である。
【0015】
本方法がさらに、以下のステップ、
−ステップ21:第1の熱入力要素で部品の表面の第2の領域を走査するステップであって、走査が第1の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ22:第1の感光表面要素を用いて、第2の領域によって放出された赤外放射の画像を取得するステップと、
−ステップ23:第2の熱入力要素で部品の表面の第3の領域を走査するステップであって、走査が第2の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ24:第2の感光表面要素を用いて、第3の領域によって放出される赤外放射の画像を取得するステップと、
を有する少なくとも1つの第2のシーケンスをさらに含み、
第2及び第3の領域が同時に走査される。
【0016】
本方法は、第1のシーケンスと第2のシーケンスとの間に、部品に対して第1及び第2の感光表面要素を移動させるためのステップを含む。
【0017】
本方法は、第1及び第2のシーケンスの後に、
−第2の領域の第1及び/または第2の最終画像が、第2の領域によって放出され、それぞれ第2及び/または第1のシーケンスにおいて、第1及び/または第2の感光表面要素によって収集された赤外放射の画像からそれぞれ計算される、第1の処理ステップと、
−第2の領域における任意の構造的欠陥が、第1の処理ステップにおいて得られた第1及び/または第2の最終画像を用いることによって検出される、第2の処理ステップと、
を含む。
【0018】
本発明は、
a)第2のシーケンスにおいて、第1の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査し、第1の感光表面要素が複数の瞬間において第2の領域によって放出された赤外放射の複数の画像を取得すること、及び/または
b)第1のシーケンスにおいて、第2の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査し、第2の感光表面要素が、複数の瞬間において、第2の領域によって放出された赤外放射の複数の画像を取得すること、で画定され、
第1の処理ステップが以下の操作、
c)第2のシーケンスにおいて取得された各画像について、画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、画像から、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい第2の所定の瞬間において、第1の熱入力要素の位置に対応する複数の第1の点を抽出し、第2のシーケンスにおいて取得された画像の全てから抽出された第1の点を重畳することによって、第1の最終画像を構成すること、及び/または
d)第1のシーケンスにおいて取得された各画像について、画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、画像から、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい第2の所定の瞬間における第2の熱入力要素の位置に対応する複数の第2の点を抽出し、第1のシーケンスにおいて取得された画像の全てから抽出された第2の点を重畳することによって、第2の最終画像を構成すること、
を含む。
【0019】
第1のシーケンスにおいて、第1の感光表面要素が、第1の領域を含む第1の対象フィールドによって放出された赤外放射の画像を取得し、第2の感光表面要素が、第2の領域を含む第2の対象フィールドによって放出された赤外放射の画像を取得し、第1及び第2の対象フィールドが第1のシーケンスにおいて固定される。
【0020】
第1のシーケンスにおいて、第1の感光表面要素が、第1の領域の少なくともすべてによって放出された赤外放射の画像を取得し、第2の感光表面要素が、第2の領域の少なくともすべてによって放出された赤外放射の画像を取得する。
【0021】
部品の表面の各領域が、1つのシーケンスにおいて、第1の方向に対して平行な複数の直線に沿って、第1の熱入力要素で走査され、別のシーケンスにおいて、第2の方向に対して平行な複数の直線に沿って第2の熱入力要素で走査され、領域によって放出された赤外放射の画像が、シーケンスにおいて第1の感光表面要素によって取得され、別のシーケンスにおいて、第2の感光表面要素によって取得される。
【0022】
第1及び第2の熱入力要素が、画定された幾何形状を有するレーザー、連続的若しくはパルス発光バルブ、または誘導巻線によって発生する。
【0023】
第2の方向が第1の方向と実質的に平行であり、第1の熱入力要素が、第1の方向と、20°から70°の角度を成す直線であり、第2の熱入力要素が、第2の方向と、110°から160°の角度を成す直線である。
【0024】
本発明は、以下のように画定される。
a)第2のシーケンスにおいて、第1の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査し、第1の感光表面要素が、複数の瞬間において第2の領域によって放出された赤外放射の複数の第1の画像を取得し、
第1の処理ステップが、以下の操作、
c1)第2のシーケンスにおいて取得された第1の画像のそれぞれについて、第1の画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、第1の画像から、第2の所定の瞬間において第1の熱入力要素の位置に対応する第1の点の直線を抽出し、直線が、第1の方向に沿って最も遠くに配された第1の上流端点及び、第1の方向と反対に、第1の方向に対して垂直な第1の横断方向に沿って、第1の上流端点に対してシフトされた第1の下流端点と、を含み、各第1の点が第1の点に対応する領域における部品の表面の温度を表す測定された強度を有する、操作と、
c2)第1の点それぞれに、測定強度から、第1の点に対して第1の横断方向に沿ってシフトされ、直線に対して第1の方向に沿ってシフトされた第1の画像の別の点の強度を差し引いた差分強度を割り当てることによって、第1の差分直線を確立する操作と、
c3)第2のシーケンスにおいて取得された第1の画像の全てについて確立された第1の差分直線を重畳することによって、第1の最終画像を構成する操作と、を含む。
【0025】
ステップc2)において、別の点が、直線の第1の点の1つである。
【0026】
本発明は、以下のように画定される。
b)第1のシーケンスにおいて、第2の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査し、第2の感光表面要素が、複数の瞬間において、第2の領域によって放出された赤外放射の複数の第2の画像を取得し、
d1)第1のシーケンスにおいて取得された第2の画像のそれぞれについて、第2の画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、第2の画像から、第2の所定の瞬間において、第2の熱入力要素の位置に対応する第2の点の直線を抽出し、直線が、第2の方向に沿って最も遠い位置に配された第2の上流端点と、第2の方向と反対に、第2の方向に対して垂直な第2の横断方向に沿って、第1の上流端点に対してシフトされた第2の下流端点と、を含み、各第2の点が、第2の点に対応する領域における部品の表面の温度を表す測定された強度を有し、
d2)測定された強度から、第2の点に対して第2の横断方向に沿ってシフトされ、直線に対して、第2の方向に沿ってシフトされた第2の画像の別の点の強度を差し引いたものに等しい差分強度を、各第2の点に割り当てることによって、第2の差分直線を確立し、
d3)第1のシーケンスにおいて取得された第2の画像の全てについて確立された第2の差分直線を重畳することによって、第2の最終画像を構成する。
【0027】
ステップd2)において、別の点が、直線の第2の点の1つである。
【0028】
第2の所定の瞬間が、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい。
【0029】
部品は、各シーケンスにおいて、不動である。
【0030】
第2の態様によれば、本発明は、部品についての光熱試験ユニットに関し、本ユニットが、
−部品の表面の第1の領域を、第1の熱入力要素で走査するための、第1の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を行うように構成された第1の走査デバイスと、
−第1の領域によって放出された赤外放射の画像を取得するように構成された第1の感光表面要素を含む取得デバイスと、
−部品の表面の第2の領域を、第2の熱入力要素で走査するための、第2の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を行うように構成された第2の走査デバイスと、
−第2の領域によって放出された赤外放射の画像を取得するように構成された第2の感光表面要素を有する取得デバイスと、を含み、
第1及び第2の走査デバイスが、第1及び第2の領域を同時に走査するように構成され、第1及び第2の感光表面要素が互いに分離され、
第2の方向が第1の方向と第1の非ゼロの角度を成し、第1の角度が好適には30°より大きく、または、
第2の方向が、第1の方向と実質的に平行であり、第1及び第2の熱入力要素が、それらの間で第2の非ゼロの角度を成す直線であり、第2の角度が好適には30°より大きい。
【0031】
本ユニットは、個別に、または任意の技術的に可能な組合せに従って考慮される、1つまたは複数の以下の特徴をさらに有しうる。
【0032】
本ユニットは、
−第1の走査デバイスが、部品の表面の第2の領域を第1の熱入力要素で走査することができ、第1の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を実施することができ、
−第1の感光表面要素が、第2の領域によって放出された赤外放射の画像を取得することができ、
−第2の走査デバイスが、部品の表面の第3の領域を第1の熱入力要素で走査することができ、第2の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を実施することができ、
−第2の感光表面要素が、第3の領域によって放出された赤外放射の画像を取得することができ、
第1及び第2の走査デバイスが、第2及び第3の領域を同時に走査するように構成される。
【0033】
本ユニットは、
−第2の領域の第1及び/または第2の最終画像が、第2の領域によって放出され、それぞれ第1及び/または第2のシーケンスにおいて、第1及び/または第2の感光表面要素によってそれぞれ収集された、赤外放射の画像からそれぞれ計算される、第1の処理ステップと、
−第2の領域における任意の構造的欠陥が、第1の処理ステップにおいて得られた第1及び/または第2の最終画像を用いることによって検出される、第2の処理ステップと、
を実行するようにプログラムされたコンピュータを含む。
【0034】
本ユニットは、
a)第1の走査デバイスが、第1の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査するように構成され、取得デバイスが、第1の感光表面要素が複数の瞬間において第2の領域によって放出された赤外放射の複数の画像を取得するようにプログラムされ、及び/または、
b)第2の走査デバイスが、第2の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査するように構成され、取得デバイスが、第2の感光表面要素が複数の瞬間において第2の領域によって放出された赤外放射の複数の画像を取得するようにプログラムされ、
コンピュータが、第1の処理ステップにおいて、以下の操作、
c)第1の感光表面要素によって取得された各画像について、画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、画像から、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい第2の所定の瞬間において第1の熱入力要素の位置に対応する複数の第1の点を抽出し、第1の感光表面要素によって取得された画像の全てから抽出された第1の点を重畳することによって、第1の最終画像を構成し、及び/または、
c)第2の感光表面要素によって取得された各画像について、画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、画像から、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい第2の所定の瞬間において、第2の熱入力要素の位置に対応する複数の第2の点を抽出し、第2の感光表面要素によって取得された画像の全てから抽出された第2の点を重畳することにより、第2の最終画像を構成する、
ことを実行するようにプログラムされる。
【0035】
第2の方向が第1の方向に対して実質的に平行であり、第1の熱入力要素が、第1の方向と、20°から70°の角度を成す直線であり、第2の熱入力要素が、第2の方向と、110°から160°の角度を成す直線である。
【0036】
本方法は、
a)第1の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ第2の領域を走査するように、第1の走査デバイスが構成され、第1の感光表面要素が、複数の瞬間において、第2の領域によって放出された赤外放射の複数の第1の画像を取得するように、取得デバイスがプログラムされることを特徴とし、
コンピュータが、第1の処理ステップにおいて、以下の操作、
c1)第1の感光表面要素によって取得された第1の画像のそれぞれについて、第1の画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、第1の画像から、第2の所定の瞬間における第1の熱入力要素の位置に対応する第1の点の直線を抽出し、直線が第1の方向に沿って最も遠くに配置された第1の上流端点と、第1の方向と反対の、第1の方向に対して垂直な第1の横断方向に沿って第1の上流端点に対してシフトされた第1の下流端点と、を含み、第1の点のそれぞれが、第1の点に対応する領域における部品の表面の温度を表す測定強度を有し、
c2)測定された強度から、第1の点に対して第1の横断方向に沿ってシフトされ、直線に対して第1の方向に沿ってシフトされた第1の画像の別の点の強度を差し引いたものに等しい差分強度を第1の点のそれぞれに割り当てることによって第1の差分直線を確立し、
c3)第1の感光表面要素によって取得された第1の画像の全てについて確立された第1の差分直線を重畳することによって第1の最終画像を構成する、
操作を実行するようにプログラムされる。
【0037】
ステップc2)において、別の点が直線の第1の点の1つである。
【0038】
本方法において、
b)第2の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査するように、第2の走査デバイスが構成され、第2の感光表面要素が、複数の瞬間において第2の領域によって放出された赤外放射の複数の第2の画像を取得するように、取得デバイスがプログラムされ、
コンピュータが、第1の処理ステップにおいて、以下の操作、
d1)第2の感光表面要素によって取得された第2の画像のそれぞれについて、第2の画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、第2の画像から、第2の所定の瞬間において第2の熱入力要素の位置に対応する第2の点の直線を抽出し、直線が、第2の方向に沿って最も遠く離れた位置に配された第2の上流端点及び、第2の方向と反対に、第2の方向に対して垂直な第2の横断方向に沿って、第2の上流端点に対してシフトされた第2の下流端点を含み、第2の点のそれぞれが、第2の点に対応する領域における部品の表面の温度を表す測定強度を有し、
d2)測定された強度から、第2の点に対して第2の横断方向に沿ってシフトされ、直線に対して第2の方向に沿ってシフトされた第2の画像の別の点の値を差し引いたものに等しい差分強度を、第2の点のそれぞれに割り当てることによって第2の差分直線を確立し、
d3)第2のシーケンスにおいて取得された第2の画像の全てについて確立された第2の差分直線を重畳することによって、第2の最終画像を構成する、
操作を実行するようにプログラムされる。
【0039】
ステップd2)において、別の点が、直線の第2の点の1つである。
【0040】
第2の所定の瞬間が、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい。
【0041】
本発明の他の特徴及び利点は、添付した図面を参照して、情報のために提供され、非限定的に、以下の詳細な説明から得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明に従う方法の第1の実施形態のステップの図である。
図2】本発明に従う光熱試験ユニットの簡略化された概略図である。
図3】第1の実施形態について、3つの連続する測定シーケンスにおける対象フィールドを示す、試験される部品の表面の平面図である。
図4】取得された画像から、領域の最終画像の構成を可能にする、第1の実施形態の第1の処理ステップの概略図である。
図5】本発明に従う方法の第2の実施形態のステップの図である。
図6】本発明の第2の実施形態について、図3と類似する図である。
図7】A型の欠陥の位置を示す。
図8】B型の欠陥の位置及び対応するデジタル処理の方法を示す。
図9】B型の欠陥の位置及び対応するデジタル処理の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に示されたステップを有する方法は、活性光熱型の試験方法である。この方法は、特性決定されることとなる部品が熱にさらされるため、活性であるといわれる。この方法は、加熱された部品の赤外線画像の取得に基づくため、光熱であるといわれる。
【0044】
この方法は特に、産業機器のブロッキングまたは非ブロッキング欠陥を検出するのに適している。これは、金属部品、より具体的には原子力発電所の金属構成要素に特に適している。
【0045】
この試験方法は、製造時または保守管理において、そのような部品の機械化され、自動化され、ロボット化された検査を実施することを意図される。
【0046】
第1の実施形態は、図1及び2に示されている。本方法はさらに、以下の段階を有する第1のシーケンスを含む。
−ステップ11:第1の熱入力要素54で、試験されるべき部品の表面52の第1の領域50を走査し、この走査は第1の方向(図2のD1)に対してほぼ平行な複数の直線に沿って行われる。
−ステップ12:第1の感光表面要素56を用いて、第1の表面領域50によって放出された赤外放射の画像を取得する。
−ステップ13:第2の熱入力要素60で表面52の第2の領域58を走査し、この走査は第1の方向と非ゼロの角度αを形成する第2の方向(図2のD2)とほぼ平行な複数の直線に沿って行われる。
−ステップ14:第2の感光表面要素62を用いて、第2の領域58によって放出された赤外放射の画像を取得する。
【0047】
第1のシーケンスにおいて、第1及び第2の領域50、58は、同時に走査される。第1及び第2の感光表面要素56、62を用いて、第1及び第2の領域50、58によって放出された赤外放射の画像の取得も同時である。
【0048】
本方法は、典型的には、部品の表面全体の画像の取得を可能にする、第1のシーケンスと類似の1つまたは複数のその他のシーケンスを含む。これらの追加的なシーケンスは、重複を有してなされ、表面の領域のそれぞれが、、第1の感光表面要素によって画像の取得を行いつつ第1の方向にほぼ平行な直線に沿って第1の熱入力要素で1つのシーケンスにおいて走査され、次いで、別のシーケンスにおいて、第2の感光表面要素によって画像の取得を行いつつ第2の方向に平行な複数の直線に沿って、第2の熱入力要素によって走査される。
【0049】
部品は、各シーケンスの間は、具体的には赤外放射の画像の取得を可能にする手段に対して動かされない。
【0050】
走査の順序は重要ではない。各領域は最初に第1の熱入力要素によって走査され、次いで第2の熱入力要素によって走査されてもよく、反対に、まず第2の熱入力要素によって走査され、次いで第1の熱入力要素によって走査されてもよい。
【0051】
さらに具体的には、本方法はさらに、図1から3に示されるように、以下の段階を有する少なくとも1つの第2のシーケンスを含む。
−ステップ21:第1の熱入力要素54で部品の表面52の第2の領域60を走査し、走査は第1の方向D1とほぼ平行な複数の直線に沿って行われる。
−ステップ22:第1の感光表面要素56を用いて、第2の領域60によって放出された赤外放射の画像を取得する。
−ステップ23:第2の熱入力要素60で部品の表面52の第3の領域64を走査し、走査は第2の方向D2とほぼ平行な複数の直線に沿って行われる。
−ステップ24:第2の感光表面要素62を用いて、第3の領域63によって放出された赤外放射の画像を取得する。
【0052】
第2のシーケンスにおいて、第2及び第3の領域60、64は同時に走査される。第2及び第3の領域によって放出された赤外放射は、第1及び第2の感光表面要素56、62によって同時に取得される。
【0053】
本方法は、第1のシーケンスと第2のシーケンスとの間の、部品に対して第1及び第2の感光表面要素56、62を移動させるステップ15を含む。
【0054】
第1のシーケンスにおいて、第1及び第2の感光表面要素56、62は、第1及び第2の感光表面要素56、62が、表面52の第1の領域50及び第2の領域58によってそれぞれ放出された赤外放射を受け取るように配置される第1の位置を占める。感光表面要素56、62は、ステップ15の間に、第1及び第2の感光表面要素56、62が、第2の領域58及び第3の領域64によってそれぞれ放出された赤外放射を受け取るように配置される第2の位置へ移動される。
【0055】
図3に示されるように、例えば本方法は第1及び第2のシーケンスと同一の第3のシーケンスを含み、そのシーケンスにおいて、第3の領域64は、第1の熱入力要素54によって走査され、走査は第1の方向D1とほぼ平行な複数の直線に沿って行われ、第1の感光表面要素56は第3の領域64によって放出された赤外放射の画像を取得する。同時に、表面52の第4の領域66が、第2の方向D2とほぼ平行な複数の直線に沿って、第2の熱入力要素60によって走査され、第4の領域によって放出された赤外放射画像は、第2の感光表面要素62を用いて取得される。第2のシーケンスと第3のシーケンスとの間に、本方法はもちろん、第1及び第2の感光表面要素56、62を移動させて、これらの感光表面要素56、62を、第3の領域64の赤外放射及び第4の赤外放射66をそれぞれ取得することができる位置に配置するステップ25を含む。
【0056】
図に示された例において、同時に走査される、部品の表面52の第1及び第2の領域50、58は、隣接している。同様に、第2及び第3の領域58、64も隣接している。そのため、各シーケンスにおいて、同時に走査される部品の表面の領域は隣接している。
【0057】
代替的に、これらの領域は隣接しておらず、互いに離隔している。
【0058】
第1の方向と第2の方向との間の角度αは、好適には45°から135°であり、より好適には60°から120°の間である。典型的には、角度αは90°に近いか、それに等しい。これは、具体的には、走査されなければならない部品の領域のカーブに基づいて選択される。
【0059】
第1及び第2の熱入力要素54、60は、画定された幾何学的形状を有するレーザー、連続またはパルス発光バルブ、誘導巻線などを用いて得られる。代替的に、第1及び第2の熱入力要素54、60は、その機能に適した任意の他の種類のものである。
【0060】
レーザーは、部品の表面に、任意の形状を有することができる熱入力要素を生成する。図2に示された例において、第1及び第2の熱入力要素54、56は、熱入力要素の移動方向に対して垂直な方向に沿った細長い区画である。典型的には、第1及び第2の熱入力要素は、この場合、区画の形態において、部品の表面に渡って投影される。代替的に、第1及び第2の熱入力要素54、60は、区画の形態で熱入力要素を構成するように、高速で動かされる点の形態で部品の表面に渡って投影される。
【0061】
レーザーはまた、円形、楕円形、長方形またはその他任意の適切な形状を有する熱入力要素を生成することができる。
【0062】
1つの例示的な実施形態において、区画は10から30mmの長さを有する。区画は1から3mmの厚さを有する。
【0063】
図に示された例示的な実施形態において、表面52の各領域50、58、64、66は正方形の形状である。図3に示されるように、これらの領域は、互いに対して平行であり、第3の方向D3に対して平行な第1のエッジ68によって画定される。これらはまた、エッジ68に対して垂直であり、そのため第4の方向D4に沿って延在する2つのエッジ69によって画定される。第1及び第2の方向D1、D2は、方向D3、D4に対して、図示された例では45°の角度を成す。代替的に、同じものの領域50、58、64、66は正方形の形状ではなく、その他任意の形状を有する。第1及び第2の方向はまた、方向D3、D4に対して45度とは異なるその他の角度を成すこともできる。
【0064】
典型的には、図2に示されるように、第1及び第2の感光表面要素56、62は、マトリックスセンサ72の同じ感光表面70の2つの部品である。このセンサは典型的にはデジタル赤外線カメラである。代替的に、第1及び第2の感光表面要素56、62は同じ感光表面の一部ではない。これらは例えば、互いに対して分離し、独立な2つの線形デジタル赤外線カメラの感光表面である。
【0065】
各シーケンスにおいて、第1の感光表面要素56は、検査される領域を含む第1の対象フィールド74によって放出された赤外放射の画像を取得する。第2の感光表面要素62は、検査される別の領域を含む第2の対象フィールド76によって放出された赤外放射の画像を取得する。
【0066】
そのため、第1のシーケンスにおいて、第1の対象フィールド74は第1の領域50を含み、第2の対象フィールド76は第2の領域58を含む。第2のシーケンスにおいて、第1の対象フィールド74は第2の領域58を含み、第2の対象フィールド76は第3の領域64を含む。
【0067】
第1及び第2の対象フィールド74、76は、各シーケンスにおいて設定される。
【0068】
例示された例において、対象フィールド74、76は、領域50、58、64,66よりわずかに大きい。ここで、これらはそれぞれ長方形の形状を有し、第3の方向D3に沿った高さは、領域50、58、64,66のそれよりもわずかに大きい。反対に、第4の方向D4にそって、これらは領域50、58、64、66と同じ幅を有する。
【0069】
代替的に、第1及び第2の対象フィールド74、76は、検査される領域と正確に同じ形状を有する。他の代替例によれば、第1及び第2の対象フィールドは、その他任意の適切な円形、楕円形などの形状を有する。
【0070】
各シーケンスにおいて、第1の感光表面要素56は、少なくとも検査される領域全体によって放出された赤外放射の画像を取得する。より具体的には、第1の感光表面要素56は、第1の対象フィールド74全体によって放出された赤外放射の画像を取得する。代替的に、第1の感光表面要素56は、少なくとも検査される領域の一部のみによって放出される赤外放射の画像を取得する。
【0071】
同様に、各シーケンスにおいて、第2の感光表面要素62は、第2の領域58全体によって、典型的には第2の対象フィールド76全体によって放出された赤外放射画像を取得する。代替的に、第2の感光表面要素62は、検査される領域の一部のみの画像を取得する。
【0072】
図1に示されるように、本方法はさらに、前述の各シーケンスの後に、
−各領域の第1及び/または第2の最終画像が、各走査シーケンスにおいて各領域によって放出され、第1及び/または第2の感光表面要素56、62によってそれぞれ収集された赤外放射の画像から計算される、第1の処理ステップ40、
−領域内の任意の構造的欠陥が、第1の処理ステップ40において得られた第1及び/または第2の最終画像を用いることによって検出される、第2の処理ステップ45、を含む。
【0073】
そのため、第1の処理ステップ40において、第2の領域58の第1及び/または第2の最終画像は、第2及び/または第1のシーケンスにおいて、第1及び/または第2の感光表面要素56、62によって取得された画像からそれぞれ計算される。第3の領域64において、第1及び/または第2の最終画像は、第3及び第2のシーケンスにおいて、第1及び/または第2の感光表面要素56,62によってそれぞれ収集された画像から計算される。
【0074】
好適には、各領域の第1及び第2の最終画像は、第1の処理ステップ40において計算される。これにより、第2の処理ステップ45において、はるかに信頼性のある構造欠陥の検出が可能となる。しかし、第1または第2の最終画像のみを計算し、欠陥の存在を決定するために単一の最終画像を使用するのみであることを考えることも可能である。
【0075】
第1の処理ステップ40をここで第2の領域58について概説する。第1の処理ステップは、表面52の他の領域についても同じである。
【0076】
まず、第2のシーケンスにおいて、第1の熱入力要素54は、複数の連続する瞬間tiにおいて、複数の連続する位置P(ti)を占めつつ、第2の領域58を走査する。第1の感光表面要素56は、複数の瞬間tiにおいて第2の領域58によって放出された赤外放射の複数の画像I(ti)を取得する。
【0077】
同様に、第1のシーケンスにおいて、第2の熱入力要素60は、複数の連続する瞬間ti’において複数の連続する位置P(ti’)を占めつつ、第2の領域58を走査する。第2の感光表面要素62は、複数の瞬間ti’において、第2の領域58によって放出された赤外放射の複数の画像I(ti’)を取得する。
【0078】
第1の処理ステップ40は、第1のサブステップ41を含み、そのサブステップにおいて、図4に示されるように以下の動作がなされる。
−第2のシーケンスにおいて取得された各画像I(ti)について、画像I(ti)が取得された複数の瞬間から、所定の瞬間tiを決定する。
−画像I(ti)から、所定の瞬間tiに所定の時間シフトを加えたものに等しい等しい第2の所定の瞬間tiにおける、第1の熱入力要素54の位置P(ti2)に対応する複数の第1の点を抽出する。
−第2のシーケンスにおいて取得された画像I(ti)の全てから抽出された第1の点を重畳することによって、第1の最終画像を構成する。
【0079】
第1の処理ステップ40はさらに、好適には第2のサブステップ42を含み、そのサブステップにおいて以下の動作がなされる。
−第1のシーケンスにおいて取得された各画像I(ti’)について、画像I(ti’)が取得された複数の瞬間から所定の瞬間tiを決定する。
−画像I(ti’)から、所定の瞬間ti’に所定の時間シフトΔT’を加えたものに等しい第2の所定の瞬間ti2’における第2の熱入力要素60の位置に対応する複数の第2の点を抽出する。
−第1のシーケンスにおいて取得された画像I(ti’)の全てから抽出された第2の点を重畳することにより、第2の最終画像を構成する。
【0080】
第1の最終画像を確立するためのこれらの動作は、図4に概略的に示されている。
【0081】
部品の表面の他の領域について、第1の処理ステップは同様である。しかし、他のシーケンスから取得された画像が使用される。例えば、第3の領域64について、第3のシーケンスにおいて第3の領域64によって放出された赤外放射の画像が、第1の最終画像を確立するために使用される。第2のシーケンスにおいて取得された画像は、第2の最終画像を確立するために使用される。
【0082】
所定の時間シフトΔT、ΔT’は、同じシーケンスにおいて取得された画像の全ての処理について一定である。一般に、ΔT=ΔT’となるように選択される。代替的に、ΔTはΔT’とは異なる。
【0083】
一般的に、同じ時間シフトが、異なるシーケンスからの画像を処理するために選択される。
【0084】
このシフトは国際公開第98/039640号に説明されるように、ゼロ、正または負であってもよい。
【0085】
第1及び第2の熱入力要素54、58は各領域の全体を走査するため、取得された画像60から抽出された第1及び第2の点は、領域のほぼ全体を覆うこととなる。そのため各領域の全体を覆う最終画像が再構成される。
【0086】
各取得画像から抽出された第1の点は、第2の所定の瞬間ti’2における第1の熱入力要素54の延在部分を厳密に覆う。代替的に、第1の点は、第2の所定の瞬間ti2における第1の熱入力要素の延在部分よりもわずかに大きな、またはわずかに小さな延在部分を覆う。同様に、第2の点は、第2の所定の瞬間ti’2における第2の熱入力要素60の延在部分を厳密に覆う。代替的に、これらは第2の熱入力要素60の延在部分よりわずかに大きな、またはわずかに小さな延在部分を覆う。
【0087】
第1の処理ステップ40は計算によって実行される。
【0088】
第2の処理ステップ45において、各領域の任意の構造的欠陥は、熱集中が第1及び/または第2の最終画像に存在するか否かを検出することによって特定される。すなわち、領域内のブロッキングまたは非ブロッキング欠陥の場合、第1または第2の熱入力要素に起因する熱エネルギーは欠陥を越えて(全体にまたは部分的に)広がることができず、そのため欠陥の縁の部分に(全体にまたは部分的に)蓄積する。
【0089】
この第2の処理ステップは、既知の種類のアルゴリズムを使用して、計算によって行われる。
【0090】
図2は、部品の光熱試験について提供されるユニット80を示している。ユニット80は、前述の、本発明の光熱試験方法を実行するように提供される。
【0091】
ユニット80は、
−第1の熱入力要素54で表面52の第1の領域50を走査するための第1の走査デバイス82であって、第1の方向D1とほぼ平行な複数の直線に沿った走査を実施するように構成された、第1の走査デバイス82と、
−第1の感光表面要素56を含む取得デバイス(図示された例では赤外線カメラ72)であって、この第1の感光表面要素56が、第1の領域50によって放出された赤外放射の画像を取得するように配置された、取得デバイスと、
−第2の熱入力要素60で表面52の第2の領域58を走査するための第2の走査デバイス84であって、第2の方向D2とほぼ平行な複数の直線に沿った走査を実施するように構成された、第2の走査デバイス84と、
−取得デバイスの一部であり、第2の領域58によって放出された赤外放射の画像を取得するように構成された、第2の感光表面要素62と、を含む。
【0092】
第1及び第2の走査デバイス82、84は、第1及び第2の領域を同時に走査するように構成される。第1及び第2の感光表面要素56、62は、前述のように、互いに分離される。これらは、第1及び第2の領域50、58によって放出された赤外放射の画像を同時に取得することができるように構成される。
【0093】
ユニット80はさらに、試験される部品に対して第1及び第2の感光表面要素56、62を移動させるデバイス86と、コンピュータ88と、を含む。
【0094】
第1の走査デバイス82は、第1の領域50を走査するだけでなく、第2の領域58及び表面52のその他の領域の全ても、第1の方向D1にほぼ平行な複数の直線に沿って、第1の熱入力要素54で走査することができる。
【0095】
そのために、図示された例では、レーザービーム92を放出するレーザー源90と、レーザービーム92を表面52に向けて反射するのに適したゴニオメータ94と、を含む。ゴニオメータ94は、反射表面96と、反射表面96の配向を調整するためのデバイス98とを含む。デバイス98はコンピュータ88によって駆動される。代替的に、ゴニオメータ94は鏡またはその他任意の適切なデバイスで置き換えられる。
【0096】
レーザービーム92は、表面96によって反射され、表面52の第1の熱入力要素54を生成する反射ビーム100を形成する。
【0097】
コンピュータ88は、各走査シーケンスにおいて、試験される領域全体を走査することができるように、方向D1に対してほぼ平行な複数の直線に沿って第1の熱入力要素54を移動させるように、配向デバイス98を制御するようにプログラムされる。コンピュータ88はまた、2つのシーケンスの間に、第1の熱入力要素が次のシーケンスにおいて走査されることとなる領域に移動するように、表面96の配向を調整するようにプログラムされる。
【0098】
第2の走査デバイス84は、典型的には第1の走査デバイスと類似している。図示された例では、これは、レーザービーム104を放出するレーザー源102と、配向デバイス105と、を含む。配向デバイス105は、反射表面106と、反射表面106の配向の調整を可能にする配向部材108と、を含む。配向部材108はコンピュータ88によって駆動される。レーザービーム104は反射部材106によって反射され、表面52上に第2の熱入力要素60を生成する反射ビーム110を形成する。コンピュータ88は、各シーケンスにおいて、試験される領域の完全な走査を確実に行うために、第2の方向D2とほぼ平行な複数の直線に沿って配向デバイス108を制御するようにプログラムされる。これはまた、2つのシーケンスの間に、第2の熱入力要素を、次のシーケンスで試験される必要のある領域に移動するようにプログラムされる。
【0099】
図示された例において、第1及び第2の感光表面56、62は、デジタル赤外線カメラ72のマトリックス感光表面70の2つの並置された領域である。
【0100】
取得デバイス72は、第1の感光表面要素56が、複数の瞬間tiにおける複数の画像I(ti)、例えば第2の領域58またはその他任意の領域の画像を取得するようにプログラムされる。
【0101】
取得デバイス72はまた、第2の感光表面要素62が複数の瞬間ti’において複数の画像I(ti’)、例えば第2の領域58またはその他任意の領域の画像を取得するようにプログラムされる。
【0102】
デバイス86は、シーケンスの間に、部品に対して感光表面要素56、62を移動させる。
【0103】
そのため、第1のシーケンスにおいて、第1及び第2の感光表面要素は第1の領域50及び第2の領域58によってそれぞれ放出された赤外放射を受け取ることができるように選択された第1のそれぞれの位置にある。第2のシーケンスにおいて、第1及び第2の感光表面要素56及び62は、第2の領域58及び第3の領域58によってそれぞれ放出された赤外放射を受け取ることができる第2のそれぞれの位置にある。その他のシーケンスにおいて、第1及び第2の感光表面要素56及び62は、表面62の領域の1つによって放出された赤外放射をそれぞれが受け取ることができる、さらにその他の位置にある。デバイス86は、第1及び第2の感光表面要素を1つの位置から別の位置へ並進させるように、取得デバイスを移動させるように構成される。
【0104】
デバイス86は、コンピュータ88によって駆動される。
【0105】
デバイス86は、例えばレールまたはボールジョイント、またはその他任意の適切な機械的デバイスである。
【0106】
代替的に、第1及び第2の感光表面要素56、62は固定される。反対に、取得デバイスは、表面52の領域から第1及び第2の感光表面要素56、62まで赤外放射を反射するのに適した1つまたは複数の可動部材を含む。この反射デバイスは、各シーケンスの間に配置され、必要な領域から第1及び第2の感光表面要素まで赤外放射を反射するように選択された位置に配置される。
【0107】
反射デバイスはコンピュータ88によって駆動される。
【0108】
さらに、コンピュータは、前述の第1の処理ステップ40及び第2の処理ステップ45を実行するようにプログラムされる。
【0109】
これから、本発明の第2の実施形態を、図5から9を参照して説明する。第2の実施形態と第1の実施形態との差は、以下に概説するもののみである。2つの実施形態の同一の要素または同じ機能を実施する要素は、同じ参照符号を付される。
【0110】
第2の実施形態において、第1及び第2の熱入力要素54及び60は、それらの間に第2の非ゼロの角度βを成す直線である。
【0111】
第2の角度βは好適には30°より大きく、好適には45°から135°の間であり、典型的には60°から120°の間である。典型的には、2つの直線の間の中間方向Iは、第1及び第2の方向D1及びD2に対して平行(またはほぼ平行)である(図7を参照)。
【0112】
第2の方向D2は第1の方向D1とほぼ平行である。これは、第1及び第2の方向が、その間に10°より小さく、好適には5度より小さく、理想的には0に等しい(特に平面の場合)角度を成すことを意味する。
【0113】
例えば図7に示されるように、第1の熱入力要素54は、第1の方向D1と、20°から70°、好適には30°から60°、典型的には45°に等しい角度β1を成す直線である。第2の熱入力要素60は、第2の方向D2と、110°から160°、好適には120°から150°、典型的には135°に等しい角度β2を成す直線である。角度β、β1及びβ2は、本明細書では三角法の方向において特定される。
【0114】
第2の実施形態は、第1の実施形態と同じ走査及び画像取得シーケンス1からnを実装し、各シーケンスにおいて同じステップを有する。第1の実施形態と比較して、相違点は、方向D1及びD2が、第2の実施形態については互いにほぼ平行である一方で、第1の実施形態では互いに対して傾斜しているという事実にあるのみである。走査及び画像取得シーケンス1からnは、第1の実施形態と同じ移動ステップ15、25などによって分離される。
【0115】
しかし、第2の実施形態の処理ステップ40は、第1の実施形態のそれとは異なっている。
【0116】
ステップ40において、図5に示すように、2つの異なる処理操作が、同じ画像について適用される。
【0117】
第1の処理操作は、第1及び第2の熱入力要素の移動方向、すなわち第1及び第2の方向D1及びD2に対してほぼ垂直である欠陥120を特定しようとする(図7を参照)。
【0118】
この第1の処理操作は、第1の実施形態において実装されるものと同じ第1及び第2のサブステップ41及び42を実装する。
【0119】
第2の処理操作は、第1及び第2の熱入力要素の移動方向、すなわち第1及び第2の方向D1及びD2に対してほぼ平行な欠陥122を特定しようとする(図8及び9を参照)。
【0120】
この第2の処理操作を、第2の領域58に関して以下に説明する。第2の処理ステップは、他の領域についても同じである。
【0121】
第1の実施形態に関して、第2のシーケンスにおいて、第1の熱入力要素54は、複数の連続する瞬間tiにおいて、複数の連続する位置P(ti)を占めながら、第2の領域58を走査する。第1の感光表面要素56は、複数の瞬間tiにおいて第2の領域58によって放出された赤外放射の複数の第1の画像I(ti)を取得する。
【0122】
同様に、第1のシーケンスにおいて、第2の熱入力要素60は、複数の連続する瞬間tiにおいて、複数の連続する位置P(ti)を占めながら、第2の領域58を走査する。第2の感光表面要素62は、複数の瞬間ti’において第2の領域58によって放出された赤外放射の複数の第2の画像I(ti’)を取得する。
【0123】
第1の処理ステップ40は、以下の操作を行う第1のサブステップ43を含む。
【0124】
第2のシーケンスにおいて取得された第1の画像I(ti)のそれぞれについて、最初に、第1の画像I(ti)が取得された複数の瞬間から所定の瞬間tiを決定し、この第1の画像I(ti)から、第2の所定の瞬間ti2において第1の熱入力要素54の位置P(ti2)に対応する第1の点Xkの直線L(ti)を抽出する。
【0125】
各点は、典型的には画素、または画素群に対応する。
【0126】
第2の所定の瞬間ti2は、第1の実施形態を参照して説明したように、所定の瞬間tiに所定の時間シフトΔTを加えたものに等しい。ΔTは典型的にはゼロまたは負である。
【0127】
図8に示されるように、直線L(ti)は、第1の方向D1に沿って最も遠い位置に配された第1の上流端点X1及び第1の方向D1と反対方向に、第1の上流端点X1に対してシフトされた第1の下流端点Xnを含む。第1の熱入力要素54は第1の方向D1に対して傾斜した直線であるので、第1の下流端点Xnもまた、第1の方向D1に対して垂直な第1の横断方向Tに沿ってシフトされる。
【0128】
他の第1の点Xkは、X1からXnに向かう直線において互いに隣接して並置される。
【0129】
各第1の点Xkは、この点に対応する領域内の部品の表面52の温度を表す、測定された強度を有する。
【0130】
次に、第1の差分直線は、各第1の点Xkに、測定された強度から第1の画像I(t)の別の点Xk*の強度を差し引いたものに等しい差分強度を割り当てることによって確立される(図8を参照)。点Xk*は、第1の点Xkに対して第1の横断方向Tに沿ってシフトされ、直線L(ti)に対して第1の方向D1に沿ってシフトされる。
【0131】
本明細書において、直線L(ti)に対して第1の方向D1に沿ってシフトされるとは、他の点Xk*が直線L(ti)上または直線L(ti)から上流にあること、すなわち、直線L(ti)によってまだ横断されていない領域にあることを意味している。
【0132】
XkとXk*との間のシフトは、第1の方向及び第1の横断方向に沿った第1の点Xkの全てについて同じである。
【0133】
第1の代替例によれば、他の点Xk*は、直線L(ti)の第1の点Xkの1つである。例えば、Xk*は、下流端点Xnの側にあるXkに隣接する点である。代替的に、Xk*は、直線の点、直線の2つの点または直線の2つを超える点によって第1の点Xkから分離される。
【0134】
第2の代替例によれば、Xk*は直線に属しない。図示された例において、図8では、Xk*は第1の方向D1においてゼロ画素だけシフトされ、第1の横断方向Tにおいて2画素だけシフトされる。
【0135】
Xk*は、典型的には第1の横断方向における厳密に正の数の画素だけ、具体的には直線L(ti)から上流を残すように、Xkに対してシフトされる。代替的に、Xk*は、第1の横断方向における厳密に負の数の画素だけ、直線L(ti)から下流を残すように、Xkに対してシフトされる。
【0136】
次に、第1の最終画像が、第2のシーケンスにおいて取得された第1の画像I(ti)のすべてについて確立された第1の差分直線を重畳することによって構成される。
【0137】
同じ操作は、好適には第2の画像についても行われる。
【0138】
第1のシーケンスにおいて取得された第2の画像I(ti’)のそれぞれについて、まず、第2の画像I(ti’)が取得された複数の瞬間から所定の瞬間ti’を決定し、この第2の画像I(ti’)から、第2の所定の瞬間ti2’において第2の熱入力要素60の位置P(ti2’)に対応する第2の点L(ti’)の直線L(ti)を抽出する。
【0139】
各点は、典型的には画素、または画素群に対応する。
【0140】
第2の所定の瞬間ti2’は、第1の実施形態を参照して説明されたように、所定の瞬間tiに所定の時間シフトΔT’を加えたものに等しい。ΔTは、典型的にはゼロまたは負である。
【0141】
図9に示されるように、直線は、第2の方向D2に沿って最も遠く離れた位置に配された第2の上流端点X1’と、第1の方向D2と反対に第2の上流端点X1’に対してシフトされた第2の下流端点Xn’と、を含む。第2の熱入力要素60は、第2の方向D2に対して傾斜した直線であるため、第2の下流端点Xn’は、図9において第1の横断方向Tと反対の方向T’である、第1の第2D1に対して垂直な第2の横断方向T’に沿って第2の上流端点X1’に対してシフトされる。
【0142】
他の第2の点Xkは、X1からXnへの直線において互いに隣接して並置される。
【0143】
第2の点Xk’はそれぞれ、第2の点Xk’に対応する領域内の部品52の表面の温度を表す、測定された強度を有する。
【0144】
次に、第2の差分直線は、第2の点Xk’のそれぞれに、測定された強度から第2の画像I(ti’)の他の点Xk*’の強度を差し引いたものに等しい差分強度を割り当てることによって確立される(図9を参照)。他の点Xk*は、第2の点Xk’に対して第2の横断方向T’に沿ってシフトされ、直線L(ti’)に対して第2の方向D2に沿ってシフトされる。
【0145】
本明細書において、直線L(ti’)に対して第2の方向に沿ってシフトされるとは、他の点Xk*’が直線L(ti)上または直線L(ti’)から上流側にあること、すなわち直線L(ti’)によってまだ横断されていない領域にあることを意味する。
【0146】
XkとXk*’との間のシフトは、第2の方向D2及び第2の横断方向T’に沿った第2の点Xk’の全てについて同じである。
【0147】
第1の代替例によれば、別の点Xk*’は、直線L(ti’)の第2の点Xk’の1つである。例えば、Xk*は、下流端点Xn’の側においてXk’に隣接する点である。代替的に、Xk*’は、第1の点Xk’から直線の点、直線の2つの点、または直線の2つを超える点によって分離される。
【0148】
第2の代替例によれば、Xk*’は直線に属しない。図示された例において、図9では、Xk*’は第1の方向D2においてゼロ画素、第2の横断方向T’において1画素だけシフトされる。
【0149】
Xk*’は、第2の横断方向において厳密に正の数の画素だけ、具体的には直線L(ti’)から上流を残すように、Xkに対してシフトされる。代替的に、Xk*’は、第2の横断方向において厳密に負の数の画素だけ、直線L(ti’)から下流を残すように、Xk’に対してシフトされる。
【0150】
次に、第1のシーケンスにおいて取得された第2の画像I(ti’)の全てについて確立された第2の差分直線を重畳することによって第2の最終画像を構成する。
【0151】
1つの好適でない代替例において、前述の走査は第1の画像についてのみ行われ、または第2の画像についてのみ行われる。
【0152】
第2の処理ステップ45において、第1及び第2の方向D1及びD2に対してほぼ垂直な任意の構造的欠陥は、第1の処理操作(サブステップ41、42)を用いて得られた最終画像を検査することによって特定される。欠陥は、熱集中が第1及び/または第2の最終画像に存在するか否かを検出することによって特定される。すなわち、領域内にブロッキングまたは非ブロッキング欠陥がある場合、第1または第2の熱入力要素に起因する熱エネルギーは、欠陥を越えて(全体的にまたは部分的に)広がることができず、そのため、欠陥の縁の部分に(全体的にまたは部分的に)蓄積する。第2の処理ステップ45において、第1及び第2の方向D1及びD2に対してほぼ平行な任意の構造的欠陥は、第2の処理操作(サブステップ43、44)を用いて得られた最終画像を試験することによって特定される。これらの画像は、移動方向に対してほぼ垂直な方向における温度勾配を示す。移動方向に対して平行な欠陥が存在する場合、熱入力要素によって形成された直線の傾斜のために、熱は反対のエッジよりも欠陥の1つのエッジにおいてより蓄積することとなる。図8の例において、熱は、図8の上部に向かって配された欠陥122のエッジと熱入力要素によって形成された直線との間の閉じた角度のために、このエッジにおいてまず蓄積することとなる。反対に、熱は、図8の下部に向かって配されたエッジと熱入力要素によって形成された直線との間のより開いた角度のために、このエッジにおいて最後に蓄積することになる。状況は、図9では反対となる。そのため、瞬間tにおいて、移動方向に対して垂直に、欠陥のいずれかの側に温度勾配が生成される。
【0153】
第1及び第2の方向D1及びD2に対して平行でも垂直でもない構造的欠陥、例えばクラックは、第1及び第2の処理操作から分かる最終画像において、それらの配向に基づいて検出される。
【0154】
この第1及び第2の処理ステップは、既知のアルゴリズムを用いて、計算によって行われる。
【0155】
第2の実施形態は、第1の実施形態と同じ光熱試験ユニットで実装されるが、コンピュータ88のプログラミングのみが変更される。コンピュータは、第2の実施形態に従う方法を実行するようにプログラムされる。
【0156】
本発明の両実施形態が、各走査及び画像取得シーケンスにおいて、固定されたマトリックスセンサ72を有して実装されるものとして説明されたことに注意すべきである。代替的に、本発明の両実施形態は、熱入力要素と同じ回数だけ、試験される表面を走査する1つまたは2つの可動センサを有して実装される。
【符号の説明】
【0157】
40 第1の処理ステップ
45 第2の処理ステップ
50 第1の領域
52 部品の表面
54 第1の熱入力要素
56 第1の感光表面要素
58 第2の領域
60 第2の熱入力要素
62 第2の感光表面要素
64 第3の領域
66 第4の領域
68 エッジ
70 感光表面
72 マトリックスセンサ
74 第1の対象フィールド
76 第2の対象フィールド
80 ユニット
82 第1の走査デバイス
84 第2の走査デバイス
86 デバイス
88 コンピュータ
90 レーザー源
92 レーザービーム
94 ゴニオメータ
96 反射表面
98 デバイス
100 反射ビーム
102 レーザー源
104 レーザービーム
105 配向デバイス
106 反射表面
108 配向部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9