【課題を解決するための手段】
【0008】
目的を達成するために、本発明は、前述の種類の光熱試験方法に関し、
本方法が、以下のステップ、
−ステップ13:第2の熱入力要素で部品の表面の第2の領域を走査するステップであって、走査が、第2の方向と実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ14:第2の感光表面要素を用いて第2の領域によって放出された赤外放射の画像を取得する段階と、
をさらに含み、
第1及び第2の領域が同時に走査され、第1及び第2の感光表面が互いに分離され、
第2の方向が第1の方向と第1の非ゼロの角度を成し、第1の角度が好適には30°より大きく、または、
第2の方向が第1の方向と実質的に平行であり、第1及び第2の熱入力要素が、それらの間に第2の非ゼロの角度を成す直線であり、第2の角度が好適には30°よりも大きい、
ことを特徴とする。
【0009】
従って本発明に従う方法において、部品の表面の少なくとも2つの領域が、2つの異なる熱入力要素で同時に走査される。
【0010】
さらに、同時取得の実施を可能にする2つの別個の感光表面要素の使用により、赤外放射画像の取得も加速される。
【0011】
第1及び第2の熱入力要素による走査が互いに対して傾斜した2つの方向において行われるという事実は、特に有用である。すなわち、第1のシーケンスにおいて、第1及び第2の領域を同時に、第1の熱入力要素及び第2の熱入力要素をそれぞれ用いて走査し、熱入力要素の生成を可能にする手段を移動させることが可能になり、第2の領域は第1の熱入力要素で走査され、第2の熱入力要素は第3の領域を走査する。そのため、第2の領域は第1のシーケンスにおいて第2の方向に走査され、第2のシーケンスにおいて第1の方向に走査される。2つの熱入力要素を生じさせることを可能にする手段の再配置は、第1から第2のシーケンスに移行する際に容易かつ高速である。すなわち、第1及び第2の熱入力要素によってなされる移動は、一般的に、常にシーケンスに関わらず同じであり、常に、それぞれ第1の方向及び第2の方向においてなされる。
【0012】
これはまた、第1及び第2の熱入力要素が、それらの間に第2の非ゼロの角度を成す直線であり、同じ方向に実質的に沿って移動する直線である場合にも成り立つ。第1のシーケンスは、第2の熱入力要素で第2の領域を、所定の傾斜を有して走査することを可能にし、第2のシーケンスは、第1の熱入力要素で第2の領域を、別の傾斜を有して走査することを可能にする。
【0013】
本方法はまた、個別にまたは任意の技術的に可能な組合せに従って考慮される、1つまたは複数の以下の特徴を有しうる。
【0014】
第1及び第2の感光表面要素が、マトリックスセンサの感光表面の2つの部分である。
【0015】
本方法がさらに、以下のステップ、
−ステップ21:第1の熱入力要素で部品の表面の第2の領域を走査するステップであって、走査が第1の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ22:第1の感光表面要素を用いて、第2の領域によって放出された赤外放射の画像を取得するステップと、
−ステップ23:第2の熱入力要素で部品の表面の第3の領域を走査するステップであって、走査が第2の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って行われる、ステップと、
−ステップ24:第2の感光表面要素を用いて、第3の領域によって放出される赤外放射の画像を取得するステップと、
を有する少なくとも1つの第2のシーケンスをさらに含み、
第2及び第3の領域が同時に走査される。
【0016】
本方法は、第1のシーケンスと第2のシーケンスとの間に、部品に対して第1及び第2の感光表面要素を移動させるためのステップを含む。
【0017】
本方法は、第1及び第2のシーケンスの後に、
−第2の領域の第1及び/または第2の最終画像が、第2の領域によって放出され、それぞれ第2及び/または第1のシーケンスにおいて、第1及び/または第2の感光表面要素によって収集された赤外放射の画像からそれぞれ計算される、第1の処理ステップと、
−第2の領域における任意の構造的欠陥が、第1の処理ステップにおいて得られた第1及び/または第2の最終画像を用いることによって検出される、第2の処理ステップと、
を含む。
【0018】
本発明は、
a)第2のシーケンスにおいて、第1の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査し、第1の感光表面要素が複数の瞬間において第2の領域によって放出された赤外放射の複数の画像を取得すること、及び/または
b)第1のシーケンスにおいて、第2の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査し、第2の感光表面要素が、複数の瞬間において、第2の領域によって放出された赤外放射の複数の画像を取得すること、で画定され、
第1の処理ステップが以下の操作、
c)第2のシーケンスにおいて取得された各画像について、画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、画像から、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい第2の所定の瞬間において、第1の熱入力要素の位置に対応する複数の第1の点を抽出し、第2のシーケンスにおいて取得された画像の全てから抽出された第1の点を重畳することによって、第1の最終画像を構成すること、及び/または
d)第1のシーケンスにおいて取得された各画像について、画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、画像から、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい第2の所定の瞬間における第2の熱入力要素の位置に対応する複数の第2の点を抽出し、第1のシーケンスにおいて取得された画像の全てから抽出された第2の点を重畳することによって、第2の最終画像を構成すること、
を含む。
【0019】
第1のシーケンスにおいて、第1の感光表面要素が、第1の領域を含む第1の対象フィールドによって放出された赤外放射の画像を取得し、第2の感光表面要素が、第2の領域を含む第2の対象フィールドによって放出された赤外放射の画像を取得し、第1及び第2の対象フィールドが第1のシーケンスにおいて固定される。
【0020】
第1のシーケンスにおいて、第1の感光表面要素が、第1の領域の少なくともすべてによって放出された赤外放射の画像を取得し、第2の感光表面要素が、第2の領域の少なくともすべてによって放出された赤外放射の画像を取得する。
【0021】
部品の表面の各領域が、1つのシーケンスにおいて、第1の方向に対して平行な複数の直線に沿って、第1の熱入力要素で走査され、別のシーケンスにおいて、第2の方向に対して平行な複数の直線に沿って第2の熱入力要素で走査され、領域によって放出された赤外放射の画像が、シーケンスにおいて第1の感光表面要素によって取得され、別のシーケンスにおいて、第2の感光表面要素によって取得される。
【0022】
第1及び第2の熱入力要素が、画定された幾何形状を有するレーザー、連続的若しくはパルス発光バルブ、または誘導巻線によって発生する。
【0023】
第2の方向が第1の方向と実質的に平行であり、第1の熱入力要素が、第1の方向と、20°から70°の角度を成す直線であり、第2の熱入力要素が、第2の方向と、110°から160°の角度を成す直線である。
【0024】
本発明は、以下のように画定される。
a)第2のシーケンスにおいて、第1の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査し、第1の感光表面要素が、複数の瞬間において第2の領域によって放出された赤外放射の複数の第1の画像を取得し、
第1の処理ステップが、以下の操作、
c1)第2のシーケンスにおいて取得された第1の画像のそれぞれについて、第1の画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、第1の画像から、第2の所定の瞬間において第1の熱入力要素の位置に対応する第1の点の直線を抽出し、直線が、第1の方向に沿って最も遠くに配された第1の上流端点及び、第1の方向と反対に、第1の方向に対して垂直な第1の横断方向に沿って、第1の上流端点に対してシフトされた第1の下流端点と、を含み、各第1の点が第1の点に対応する領域における部品の表面の温度を表す測定された強度を有する、操作と、
c2)第1の点それぞれに、測定強度から、第1の点に対して第1の横断方向に沿ってシフトされ、直線に対して第1の方向に沿ってシフトされた第1の画像の別の点の強度を差し引いた差分強度を割り当てることによって、第1の差分直線を確立する操作と、
c3)第2のシーケンスにおいて取得された第1の画像の全てについて確立された第1の差分直線を重畳することによって、第1の最終画像を構成する操作と、を含む。
【0025】
ステップc2)において、別の点が、直線の第1の点の1つである。
【0026】
本発明は、以下のように画定される。
b)第1のシーケンスにおいて、第2の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査し、第2の感光表面要素が、複数の瞬間において、第2の領域によって放出された赤外放射の複数の第2の画像を取得し、
d1)第1のシーケンスにおいて取得された第2の画像のそれぞれについて、第2の画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、第2の画像から、第2の所定の瞬間において、第2の熱入力要素の位置に対応する第2の点の直線を抽出し、直線が、第2の方向に沿って最も遠い位置に配された第2の上流端点と、第2の方向と反対に、第2の方向に対して垂直な第2の横断方向に沿って、第1の上流端点に対してシフトされた第2の下流端点と、を含み、各第2の点が、第2の点に対応する領域における部品の表面の温度を表す測定された強度を有し、
d2)測定された強度から、第2の点に対して第2の横断方向に沿ってシフトされ、直線に対して、第2の方向に沿ってシフトされた第2の画像の別の点の強度を差し引いたものに等しい差分強度を、各第2の点に割り当てることによって、第2の差分直線を確立し、
d3)第1のシーケンスにおいて取得された第2の画像の全てについて確立された第2の差分直線を重畳することによって、第2の最終画像を構成する。
【0027】
ステップd2)において、別の点が、直線の第2の点の1つである。
【0028】
第2の所定の瞬間が、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい。
【0029】
部品は、各シーケンスにおいて、不動である。
【0030】
第2の態様によれば、本発明は、部品についての光熱試験ユニットに関し、本ユニットが、
−部品の表面の第1の領域を、第1の熱入力要素で走査するための、第1の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を行うように構成された第1の走査デバイスと、
−第1の領域によって放出された赤外放射の画像を取得するように構成された第1の感光表面要素を含む取得デバイスと、
−部品の表面の第2の領域を、第2の熱入力要素で走査するための、第2の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を行うように構成された第2の走査デバイスと、
−第2の領域によって放出された赤外放射の画像を取得するように構成された第2の感光表面要素を有する取得デバイスと、を含み、
第1及び第2の走査デバイスが、第1及び第2の領域を同時に走査するように構成され、第1及び第2の感光表面要素が互いに分離され、
第2の方向が第1の方向と第1の非ゼロの角度を成し、第1の角度が好適には30°より大きく、または、
第2の方向が、第1の方向と実質的に平行であり、第1及び第2の熱入力要素が、それらの間で第2の非ゼロの角度を成す直線であり、第2の角度が好適には30°より大きい。
【0031】
本ユニットは、個別に、または任意の技術的に可能な組合せに従って考慮される、1つまたは複数の以下の特徴をさらに有しうる。
【0032】
本ユニットは、
−第1の走査デバイスが、部品の表面の第2の領域を第1の熱入力要素で走査することができ、第1の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を実施することができ、
−第1の感光表面要素が、第2の領域によって放出された赤外放射の画像を取得することができ、
−第2の走査デバイスが、部品の表面の第3の領域を第1の熱入力要素で走査することができ、第2の方向に対して実質的に平行な複数の直線に沿って走査を実施することができ、
−第2の感光表面要素が、第3の領域によって放出された赤外放射の画像を取得することができ、
第1及び第2の走査デバイスが、第2及び第3の領域を同時に走査するように構成される。
【0033】
本ユニットは、
−第2の領域の第1及び/または第2の最終画像が、第2の領域によって放出され、それぞれ第1及び/または第2のシーケンスにおいて、第1及び/または第2の感光表面要素によってそれぞれ収集された、赤外放射の画像からそれぞれ計算される、第1の処理ステップと、
−第2の領域における任意の構造的欠陥が、第1の処理ステップにおいて得られた第1及び/または第2の最終画像を用いることによって検出される、第2の処理ステップと、
を実行するようにプログラムされたコンピュータを含む。
【0034】
本ユニットは、
a)第1の走査デバイスが、第1の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査するように構成され、取得デバイスが、第1の感光表面要素が複数の瞬間において第2の領域によって放出された赤外放射の複数の画像を取得するようにプログラムされ、及び/または、
b)第2の走査デバイスが、第2の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査するように構成され、取得デバイスが、第2の感光表面要素が複数の瞬間において第2の領域によって放出された赤外放射の複数の画像を取得するようにプログラムされ、
コンピュータが、第1の処理ステップにおいて、以下の操作、
c)第1の感光表面要素によって取得された各画像について、画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、画像から、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい第2の所定の瞬間において第1の熱入力要素の位置に対応する複数の第1の点を抽出し、第1の感光表面要素によって取得された画像の全てから抽出された第1の点を重畳することによって、第1の最終画像を構成し、及び/または、
c)第2の感光表面要素によって取得された各画像について、画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、画像から、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい第2の所定の瞬間において、第2の熱入力要素の位置に対応する複数の第2の点を抽出し、第2の感光表面要素によって取得された画像の全てから抽出された第2の点を重畳することにより、第2の最終画像を構成する、
ことを実行するようにプログラムされる。
【0035】
第2の方向が第1の方向に対して実質的に平行であり、第1の熱入力要素が、第1の方向と、20°から70°の角度を成す直線であり、第2の熱入力要素が、第2の方向と、110°から160°の角度を成す直線である。
【0036】
本方法は、
a)第1の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ第2の領域を走査するように、第1の走査デバイスが構成され、第1の感光表面要素が、複数の瞬間において、第2の領域によって放出された赤外放射の複数の第1の画像を取得するように、取得デバイスがプログラムされることを特徴とし、
コンピュータが、第1の処理ステップにおいて、以下の操作、
c1)第1の感光表面要素によって取得された第1の画像のそれぞれについて、第1の画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、第1の画像から、第2の所定の瞬間における第1の熱入力要素の位置に対応する第1の点の直線を抽出し、直線が第1の方向に沿って最も遠くに配置された第1の上流端点と、第1の方向と反対の、第1の方向に対して垂直な第1の横断方向に沿って第1の上流端点に対してシフトされた第1の下流端点と、を含み、第1の点のそれぞれが、第1の点に対応する領域における部品の表面の温度を表す測定強度を有し、
c2)測定された強度から、第1の点に対して第1の横断方向に沿ってシフトされ、直線に対して第1の方向に沿ってシフトされた第1の画像の別の点の強度を差し引いたものに等しい差分強度を第1の点のそれぞれに割り当てることによって第1の差分直線を確立し、
c3)第1の感光表面要素によって取得された第1の画像の全てについて確立された第1の差分直線を重畳することによって第1の最終画像を構成する、
操作を実行するようにプログラムされる。
【0037】
ステップc2)において、別の点が直線の第1の点の1つである。
【0038】
本方法において、
b)第2の熱入力要素が、複数の連続する瞬間において、複数の連続する位置を占めつつ、第2の領域を走査するように、第2の走査デバイスが構成され、第2の感光表面要素が、複数の瞬間において第2の領域によって放出された赤外放射の複数の第2の画像を取得するように、取得デバイスがプログラムされ、
コンピュータが、第1の処理ステップにおいて、以下の操作、
d1)第2の感光表面要素によって取得された第2の画像のそれぞれについて、第2の画像が取得された複数の瞬間から所定の瞬間を決定し、第2の画像から、第2の所定の瞬間において第2の熱入力要素の位置に対応する第2の点の直線を抽出し、直線が、第2の方向に沿って最も遠く離れた位置に配された第2の上流端点及び、第2の方向と反対に、第2の方向に対して垂直な第2の横断方向に沿って、第2の上流端点に対してシフトされた第2の下流端点を含み、第2の点のそれぞれが、第2の点に対応する領域における部品の表面の温度を表す測定強度を有し、
d2)測定された強度から、第2の点に対して第2の横断方向に沿ってシフトされ、直線に対して第2の方向に沿ってシフトされた第2の画像の別の点の値を差し引いたものに等しい差分強度を、第2の点のそれぞれに割り当てることによって第2の差分直線を確立し、
d3)第2のシーケンスにおいて取得された第2の画像の全てについて確立された第2の差分直線を重畳することによって、第2の最終画像を構成する、
操作を実行するようにプログラムされる。
【0039】
ステップd2)において、別の点が、直線の第2の点の1つである。
【0040】
第2の所定の瞬間が、所定の瞬間に所定の時間シフトを加えたものに等しい。
【0041】
本発明の他の特徴及び利点は、添付した図面を参照して、情報のために提供され、非限定的に、以下の詳細な説明から得られるであろう。