特許第6553651号(P6553651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6553651仕上げ材を形成するための同様のパネルと相互結合可能なパネル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553651
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】仕上げ材を形成するための同様のパネルと相互結合可能なパネル
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20190722BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   E04F15/02 G
   E04F13/08 N
【請求項の数】25
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-572223(P2016-572223)
(86)(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公表番号】特表2017-511851(P2017-511851A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】NL2015050120
(87)【国際公開番号】WO2015130169
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2018年1月29日
(31)【優先権主張番号】PCT/NL2014/050118
(32)【優先日】2014年2月26日
(33)【優先権主張国】NL
(31)【優先権主張番号】20150107
(32)【優先日】2015年2月23日
(33)【優先権主張国】BY
(73)【特許権者】
【識別番号】516257578
【氏名又は名称】イノヴェーションズ・フォー・フロアリング・ホールディング・エン・フェー
【氏名又は名称原語表記】INNOVATIONS 4 FLOORING HOLDING N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ブーケ,エディ・アルベリック
(72)【発明者】
【氏名】リートフェルト,ヨハン・クリスチアーン
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/016654(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102005028072(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102011086846(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0260253(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0056167(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/084604(WO,A1)
【文献】 国際公開第01/075247(WO,A1)
【文献】 米国特許第06006486(US,A)
【文献】 特開2002−004552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕上げ材を形成するための同様のパネル(1、42、43、46、53、57)と相互結合可能なパネル(1、42、43、46、53、57)であって、
表側(3、58a)および裏側(4、58b)が備えられた中央に配設されたコア(2、58)であって、前記コア(2、58)には、
対向する縁部(5、6、40、41、44、45、47、48)から成る第一のペアであって、
前記パネル(1、42、43、46、53、57)の前記表側(3、58a)に対して実質的に平行な方向に延びている側方さね(9、49、54)を備える第一の縁部(5、40、44、47)であって、前記側方さね(9、49、54)の底部前方領域が、少なくとも部分的に丸みを帯びており、前記さねの底部後方領域が支持領域(12)として構成され、前記底部後方領域は、前記パネル(1、42、43、46、53、57)の前記表側(3、58a)のレベルに対して、前記底部前方領域の最下部よりも近くに配設されている第一の縁部と、
追加的なパネル(1、42、43、46、53、57)の前記側方さね(9、49、54)の少なくとも一部を収容するための凹部(15)を備える反対側の第二の縁部(6、41、45、48)であって、前記凹部(15)が、上方縁(13、52)および下方縁(14)によって画成され、前記下方縁(14)には、前記側方さね(9、49、54)の前記支持領域(12)を支持するための上方に突出する肩部(17)が備えられている、反対側の第二の縁部とを備える第一のペアであって、
前記側方さね(9、49、54)は、前記側方さね(9、49、54)の前記凹部(15)への追加的なパネル(1、42、43、46、53、57)の導入動作と、前記第一の縁部(5、40、44、47)に平行な軸周りで下に曲げる動作とによって固定が行われ、その結果として、前記側方さね(9、49、54)の上面が前記上方縁(13、52)に係合し、および前記側方さね(9、49、54)の前記支持領域(12)は、前記下方縁(14)の前記肩部(17)によって支持され、および/またはその肩部に対向し、水平方向および垂直方向の両方向における前記第一の縁部(5、40、44、47)および第二の縁部(6、41、45、48)での隣接するパネルの固定につながるように設計される、対向する縁部から成る第一のペアと、
対向する縁部(7、8)から成る第二のペアであって、
単一の上方さね(19、61)と、前記上方さね(19、61)から一定の距離にある少なくとも一つの上方フランク(20、62)と、前記上方さね(19、61)と前記上方フランク(20、62)との間に形成された単一の上方溝(21、63)とを備える第三の縁部(7)であって、前記上方フランク(20、62)から離れて対向している前記上方さね(19、61)の側面(19e、61e)の少なくとも一部が、十分に堅い第一の固定要素(23、64)を備える第三の縁部と、
単一の下方さね(25、66)と、前記下方さね(25、66)から一定の距離にある少なくとも一つの下方フランク(26、67)と、前記下方さね(25、66)と前記下方フランク(26、67)との間に形成された単一の下方溝(27、68)とを備える第四の縁部(8)であって、前記下方フランク(26、67)は、さらに追加的なパネル(1、42、43、46、53、57)の第三の縁部(7)の第一の固定要素(23、64)との共同動作に適応された、第二の固定要素(30、69)を備える第四の縁部とを備える第二のペアであって、
前記第三の縁部(7)および第四の縁部(8)は、第一の縁部(5、40、44、47)において、追加的なパネル(1、42、43、46、53、57)の第二の縁部(6、41、45、48)に結合されるパネル(1、42、43、46、53、57)の下への曲げの最中に固定が行われるように設計され、結合されるパネル(1、42、43、46、53、57)の前記第四の縁部(8)は、さらに別のパネル(1、42、43、46、53、57)の第三の縁部(7)に対する下向きの動きを実行し、その結果、前記結合されるパネル(1、42、43、46、53、57)の前記第四の縁部(8)の前記下方さね(25、66)が、前記他のパネル(1、42、43、46、53、57)の前記第三の縁部(7)の前記上方溝(21、63)に押し込まれ、および前記他のパネル(1、42、43、46、53、57)の前記上方さね(19、61)は、前記第三の縁部(7)および/または前記第四の縁部(8)の変形により、前記結合されるパネル(1、42、43、46、53、57)の前記下方溝(27、68)に押し込まれ、水平方向および垂直方向の両方向における前記第三の縁部(7)および第四の縁部(8)での隣接するパネル(1、42、43、46、53、57)の固定がもたらされる、対向する縁部から成る第二のペアとが設けられている、中央に配設されたコアを備えるパネルであって、
前記上方フランク(20、62)に向かって対向している前記上方さね(19、61)の側面(19a、61a)の少なくとも一部が前記上方フランク(20、62)に向かって傾斜され、および前記コア(2、58)の前記表側(3、58a)の垂直方向(N)に延びていること、および
前記下方フランク(26、67)に向かって対向している前記下方さね(25、66)の側面(25a)の少なくとも一部が前記下方フランク(26、67)に向かって傾斜され、および前記コア(2、58)の前記裏側(4、58b)の垂直方向(N)に延びていることを特徴とするパネル。
【請求項2】
前記コア(2、58)に対向している前記肩部(17)の側面は、二つのパネル(1、42、43、46、53、57)を組み付け状態で互いに向けて押し付けるための傾斜した方向性を有する、請求項1に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項3】
前記パネル(1、42、43、46、53、57)は、実質的に矩形形状を有し、前記対向する縁部(5、6、40、41、44、45、47、48)の第一のペアは、パネル(1、42、43、46、53、57)の長辺に配設され、前記対向する縁部(7、8)の第二のペアは、パネル(1、42、43、46、53、57)の短辺に配設される、請求項1又は2に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項4】
前記上方フランク(20、62)に向かって対向する前記上方さね(19、61)の側面(19b)の少なくとも一部は、前記第三の縁部(7)を隣接するパネル(1、42、43、46、53、57)の第四の縁部(8)に結合するための上方位置合わせ縁部(19b)を形成し、および/または前記下方フランク(26、67)から離れて対向している前記下方さね(25、66)の側面(25b)の少なくとも一部は、前記第四の縁部(8)を隣接する前記パネル(1、42、43、46、53、57)の第三の縁部(7)に結合するための傾斜した下方位置合わせ縁部(25b)を形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項5】
前記上方さね(19、61)および前記下方さね(25、66)の各々は、かなり堅いおよび/またはかなり頑丈である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項6】
前記パネル(1、42、43、46、53、57)の表側(3、58a)に隣接する上方フランク(20、62)の少なくとも一部は、組み付け状態で、別のパネル(1、42、43、46、53、57)の表側(3、58a)に隣接する下方さね(25、66)の少なくとも一部に接触するように適応される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項7】
前記パネル(1、42、43、46、53、57)の表側(3、58a)は、別のパネル(1、42、43、46、53、57)の表側(3、58a)に実質的にシームレスで係合するように適応される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項8】
前記第一の固定要素(23、64)は、前記上方さね(19、61)の上面から一定の距離に配置され、および/または前記第一の固定要素(23、64)は、上方さね(19、61)の下面から一定の距離に配置される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項9】
前記第二の固定要素(30、69)は、前記下方溝(27、68)の上面から一定の距離に配置され、および/または前記第二の固定要素(30、69)は、前記下方溝(27、68)の下面から一定の距離に配置される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項10】
一方において、前記上方フランク(20、62)に向かって対向する前記上方さね(19、61)の側面(19a、61a)の少なくとも一部が延びている方向と、他方において、前記コア(2、58)の表側(3、58a)の垂線(N1)とによって包囲される角度は、0〜60度であり、および/または一方において、前記下方フランク(26、67)に向かって対向する前記下方さね(25、66)の側面(25a)の少なくとも一部が延びている方向と、他方において、前記コアの裏側(4、58b)の垂線(N)とによって包囲される角度は、0〜60度である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項11】
前記上方さね(19、61)の表側(19d、61d)の少なくとも一部は、上方フランク(20、62)から離れて対向する前記上方さね(19、61)の側面(19e)の方向に下方に傾斜して及んでおり、および前記下方溝(27、68)の上側(68a)は、下方フランク(26、67)に向かって対向する前記下方さね(25、66)の側面(25a)の方向における同様の上方へ傾斜した方向性を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項12】
前記第四の縁部(8)の位置合わせ縁部(66b)の少なくとも一部は、前記第三の縁部(7)の上方フランク(20、62)の少なくとも一部よりも実質的に平らな方向性を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項13】
前記コア(2、58)に接続する前記第三の縁部(7)の前記上方フランク(20、62)の一部は、前記下方フランク(26、67)から離れて対向する前記下方さね(25、66)の前記側面の少なくとも一部のための停止面(20b)を形成する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項14】
前記コア(2、58)に接続する前記第三の縁部(7)の前記上方フランク(20、62)の一部は、実質的に垂直方向に向けられ、および/または前記下方フランク(26、67)から離れて対向する前記下方さね(25、66)の前記側面の少なくとも一部は、実質的に垂直方向に向けられる、請求項1〜13のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項15】
前記上方溝(21、63)には、この上方溝(21、63)が、隣接するパネル(1、42、43、46、53、57)の下方さね(25、66)の少なくとも一部を固定状態で収容するのに適応されるような形態が与えられ、前記上方溝(21、63)は、隣接するパネル(1、42、43、46、53、57)の下方さね(25、66)を締付け嵌合で収容するように適応され、および前記下方溝(27、68)は、隣接するパネル(1、42、43、46、53、57)の上方さね(19、61)を締付け嵌合で収容するように適応される、請求項1〜14のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項16】
前記上方フランク(20、62)と前記下方フランク(26、67)は、実質的に平行に延びている、請求項1〜15のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項17】
前記第一の固定要素(23、64)は、少なくとも一つの外側突出部(23、64)を備え、前記第二の固定要素(30、69)は、少なくとも一つの凹部(30、69)を備え、その外側突出部(23、64)は、固定結合を実現するために、隣接する結合されたパネル(1、42、43、46、53、57)の凹部(30、69)に少なくとも部分的に収容されるように適応される、請求項1〜16のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項18】
前記第二の固定要素(30、69)は、少なくとも一つの外側突出部を備え、前記第一の固定要素(23、64)は、少なくとも一つの凹部を備え、その外側突出部は、固定結合を実現するために、隣接する結合されたパネル(1、42、43、46、53、57)の凹部に少なくとも部分的に収容されるように適応される、請求項1〜17のいずれか1項に記載のパネル。
【請求項19】
前記下方フランク(26、67)から離れて対向する前記下方さね(25、66)の側面(25c)には、第三の固定要素(24)が設けられ、前記上方フランク(20、62)には、第四の固定要素(29)が設けられ、前記第三の固定要素(24)は、別のパネル(1、42、43、46、53、57)の第四の固定要素(29)と協働するように適応される、請求項1〜18のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項20】
前記縁部(5、6、7、8)は、前記コア(2、58)に一体的に接続される、請求項1〜19のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項21】
前記パネル(1、42、43、46、53、57)は、木材からおよび/またはプラスチックから少なくとも部分的に製造される、請求項1〜20のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項22】
前記パネル(1、42、43、46、53、57)は、バランシング層と、コア層と、前記コア層の上部に配置された上部構造とから成る積層体を備え、前記上部構造は、装飾層と、前記装飾層の上部に配置された保護層とを備える、請求項1〜21のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項23】
前記第一の固定要素(23、64)は、前記上方さね(19、61)の前記上方位置合わせ縁部(19b、61b)よりも低いレベルに配置される、請求項1〜22のいずれか1項に記載のパネル(1、42、43、46、53、57)。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の相互に結合されたパネル(1、42、43、46、53、57)から成る仕上げ材。
【請求項25】
仕上げ材を形成するための、請求項1〜23のいずれか1項に記載の相互接続可能なパネル(1、42、43、46、53、57)を組み付ける方法であって、
A)第一のパネル(1、42、43、46、53、57)を用意するステップと、
B)第二のパネル(1、42、43、46、53、57)の第一の縁部(5、40、44、47)の側方さね(9、49、54)を、傾斜状態で、前記第一のパネル(1、42、43、46、53、57)の第二の縁部(6、41、45、48)の凹部(15)に挿入するステップと、
C)両パネル(1、42、43、46、53、57)が同じ平面内に位置するまで、前記第二のパネル(1、42、43、46、53、57)を前記第一のパネル(1、42、43、46、53、57)に対して下に曲げるステップと、
D)第三のパネル(1、42、43、46、53、57)の第一の縁部(5、40、44、47)の側方さね(9、49、54)を、傾斜状態で、前記第一のパネル(1、42、43、46、53、57)の第二の縁部(6、41、45、48)の凹部(15)に挿入するステップと、
E)パネル(1、42、43、46、53、57)が同じ平面内に位置するまで、前記第三のパネル(1、42、43、46、53、57)を前記第一および第二のパネル(1、42、43、46、53、57)に対して下に曲げるステップであって、前記第三のパネル(1、42、43、46、53、57)の第四の縁部(8)の下方さね(25、66)は、第二のパネル(1、42、43、46、53、57)の第三の縁部(7)の上方溝(21、63)にファスナー式で固定され、および前記第二のパネル(1、42、43、46、53、57)の前記第三の縁部(7)の上方さね(19、61)は、前記第三のパネル(1、42、43、46、53、57)の前記第四の縁部(8)の下方溝(27、68)にスナップ式で固定され、水平方向および垂直方向の両方向において、前記第一および第二の縁部(5、6、40、41、44、45、47、48)における前記第一のパネル(1、42、43、46、53、57)に対する第三のパネル(1、42、43、46、53、57)の固定と、前記第三および第四の縁部(5、6、40、41、44、45、47、48)における前記第二のパネル(1、42、43、46、53、57)に対する前記第三のパネル(1、42、43、46、53、57)の固定がもたらされるステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕上げ材を形成するための同様のパネルと相互結合可能なパネル、特にフロアパネル、より具体的には積層フロアパネルに関する。また、本発明は、本発明による相互結合されたフロアパネルから成る仕上げ材に関する。本発明はさらに、仕上げ材を形成するための複数のフロアパネルを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ十年間は、硬い積層床仕上げ材の市場において、大きな進歩が見られた。下部の床の上に、さまざまな方法でフロアパネルを設置することが知られている。例えば、フロアパネルが、接着またはくぎ打ちのいずれかによって、下部の床に取り付けられることが知られている。この方法には、かなり複雑であるという欠点、およびフロアパネルを壊して取り外すことでしか後の変更を行えないという欠点がある。代替的な設置方法によれば、フロアパネルは、床下張材上に大まかに設置され、それにより、フロアパネルは、さねはぎ結合によって互いに合致し、それにより、それらのフロアパネルは、さねはぎ継ぎでも共に接合される。フローティング寄木張りとも呼ばれる、このようにして得られた床には、設置するのが容易であるという利点、および起こり得る膨張および収縮現象を受けるためにしばしば便利な、すべての床面が動くことができるという利点がある。上述したタイプの床仕上げ材に関する欠点は、とりわけ、フロアパネルが、床下張材上に大まかに設置される場合、床の膨張中、およびそれのその後の収縮中に、フロアパネル自体が離れ離れになる可能性があり、その結果として、例えば、接着接続が壊れた場合には、望ましくないギャップが形成される可能性があるということにある。この欠点を克服するために、フロアパネルを一緒に保持するために、金属製の接続要素が、個々のフロアパネルの間に設けられるという方法が既にある。しかし、このような接続要素は、製造するのにかなりコストがかかり、さらに、その備え付けまたは取付けは、時間がかかる仕事である。パネル、特にフロアパネルの結合プロファイルを改善する必要があり、そのことが、好ましくは、接着剤または金属接続要素等の追加的な接続手段を要することなく、比較的容易に取り付けることができる、すべての縁部での比較的信頼性が高くかつ耐久性のある接続につながる。
【0003】
例えば、フロアパネルとその結合が、フロアパネルのための締結システムを開示する国際公開第2003/016654号において公知となっている。当該システムは、パネルの小面上に配置される輪郭を保持する工程を包含し、ここで、反対側の保持輪郭は、同様のパネルが連結するように前記保持輪郭と一致する。これらのパネルには、反対側の第1の保持輪郭が設けられており、当該第1の保持輪郭は、最初の列にあるパネル上で、設置パネルに対して一時的な角度で設置パネルに新しいパネルが取り付けられ、次いでその設置パネルの平面に回転して下すことによって、新しいパネルが第2列に固定されるように構成される。該パネルは、さらに、対応する鉤要素を備える反対側の第2保持要素を備える。鉤結合は、新しいパネルの鉤要素の一つと、新しいパネルを回転させて下げることによってすでに第2列に取り付けられているパネルの鉤要素とによって確立される。いずれの鉤結合も、付加的固定要素と関連しており、当該付加的固定要素は、二つのパネルが接続された状態で、鉤結合が、設置パネルの平面に対して垂直方向に解除されることを防ぐ
【0004】
米国特許出願公開第2011/056167号明細書は、弾力のある床板の組み立て方法を開示しており、該方法は、組み立て中に床板の縁を曲げる工程を含む。当該曲げ工程は、床板の縁を、並置された床板の別の縁に連結させるのに要求される力を軽減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2003/016654号
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/056167号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、改良された方法で他のパネルに結合することができ、それによって、好ましくは、上述した欠点のうちの一つ以上がなくなる、改良されたフロアパネルを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、比較的容易な方法で同様のパネルに接続することができるとともに、比較的信頼性が高くかつ堅固なパネル間の接続をもたらす、改良されたパネル、特に改良されたフロアパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、仕上げ材を形成するための同様のパネルと相互結合可能なパネル、具体的にはフロアパネル、より具体的には積層フロアパネルであって、
表側および裏側が備えられた、中央に配設されたコアであって、前記コアには、
対向する縁部から成る第一のペアであって、
パネルの表側に対して実質的に平行な方向に延びている側方さねを備える第一の縁部であって、前記側方さねの底部前方領域が、少なくとも部分的におよび好ましくは実質的に全面的に丸みを帯びており、前記さねの底部後方領域が支持領域として構成され、その底部後方領域は、パネルの表側のレベルに対して、底部前方領域の最下部よりも近くに配設されている第一の縁部と、
追加的なパネルの側方さねの少なくとも一部を収容するための凹部を備える反対側の第二の縁部であって、前記凹部が、上方縁および下方縁によって画成され、前記下方縁には、側方さねの支持領域を支持するための、および/またはその支持領域に対向するための上方に突出する肩部が備えられている、第二の縁部と、を備える第一のペアであって、
側方さねは、側方さねの凹部への追加的なパネルの導入動作と、第一の縁部に平行な軸周りで下に曲げる動作とによって固定が行われ、その結果として、側方さねの上面が上方縁に係合し、および側方さねの支持領域は、下方縁の肩部によって支持され、および/またはその肩部に対向し、水平および垂直の両方向における第一および第二の縁部での隣接するパネルの固定につながるように設計される、対向する縁部から成る第一のペアと、
対向する縁部から成る第二のペアであって、
単一の上方さねと、その上方さねから一定の距離にある少なくとも一つの上方フランクと、上方さねと上方フランクとの間に形成された単一の上方溝とを備える第三の縁部であって、上方フランクに向かって対向している上方さねの側面の少なくとも一部が上方フランクに向かって傾斜され、およびコアの表側の垂直方向に延びており、および上方フランクから離れて対向する上方さねの側面の少なくとも一部が、十分に堅い第一の固定要素を備える第三の縁部と、
単一の下方さねと、その下方さねから一定の距離にある少なくとも一つの下方フランクと、下方さねと下方フランクとの間に形成された単一の下方溝とを備える第四の縁部であって、下方フランクに向かって対向する下方さねの側面の少なくとも一部が下方フランクに向かって傾斜され、およびコアの裏側の垂直方向に延びており、および下方フランクは、さらに追加的なパネルの第三の縁部の第一の固定要素との共同動作に適応された、好ましくは十分に堅い第二の固定要素を備える第四の縁部と、を備える第二のペアであって、
第三および第四の縁部は、第一の縁部において、追加的なパネルの第二の縁部に結合されるパネルの下への曲げの最中に固定が行われるように設計され、結合されるパネルの第四の縁部は、さらに別のパネルの第三の線部の方への切取動作を実行し、その結果、結合されるパネルの第四の縁部の下方さねが、前記他のパネルの第三の縁部の上方溝に押し込まれることになり、および前記他のパネルの上方さねは、第三の縁部および/または第四の縁部の変形により、結合されるパネルの下方溝に押し込まれることになり、水平および垂直の両方向における第三および第四の縁部での隣接するパネルの固定がもたらされ、および第一の固定要素が第二の固定要素と共同して動作して、垂直方向ならびに固定回転方向におけるさらなる固定を実現することにつながる、対向する縁部から成る第二のペアとが設けられている、中央に配設されたコアを備える、パネルを提供する。
【0009】
本発明によるパネルは、対向する縁部から成る第一のペアに、相補的な結合プロファイルから成る第一のセットを、および対向する縁部から成る第二のペアに、相補的な結合プロファイルから成る異なる第二のセットを備えている。第一および第二の縁部は、結合されるパネルの第一の縁部の側方さねを傾斜状態で、既に設置されているパネルの第二の縁部の凹部に挿入することにより、パネルの容易な設置を可能にし、その後、そのパネルは、両パネルが同じ平面内に位置するまで、下方に曲げられる(枢動される)ことになる。この下方への曲げプロセスは、第一および第二の縁部での水平方向および垂直方向の両方向における両パネルの固定をもたらすが、実質的に改善された固定は、第三および第四の縁部の存在により、およびより具体的には、結合されるパネルの下方への曲げ動作中に、結合されるパネルの第四の縁部を、別のパネルの第三の縁部にスナップ式で押し込むことによって実現されることになり、この場合、下方さねは、閉じた上方溝にスナップ式で嵌合され、および第一の固定要素は、上方溝から一定の距離における追加的な固定をもたらすように、第二の固定要素に接触させられる。第三の縁部と、隣接するパネルの相補的な第四の縁部との結合は、前記パネル間での三重固定、具体的には、(i)水平方向における固定、(ii)垂直方向における固定、および(iii)回転方向における固定をもたらす。水平方向における固定は、第三および第四の縁部のさねの実質的に垂直方向の方向性により引き起こされ、それらのさねは、結合状態での第三の縁部および第四の縁部の(水平方向において)離れ離れになることを防ぐ鉤状要素として作用する。垂直方向の固定は、まず、(上方さねの上述した傾斜した側面(内側面)による)前記閉じた上方溝と、(下方さねの上述した傾斜した側面(内側面)による)前記閉じた下方溝との適用によって引き起こされ、そのことが、結合中のスナップ式動作と、上方溝による下方さねの少なくとも一部の収容ならびに結合後の下方溝による上方さねの側面の少なくとも一部の収容をもたらして、垂直方向における固定を生じさせる。したがって、第三のプロファイルに閉じた上方溝が設けられ、それに対して、上方フランクに向かって対向する上方さねの側面の少なくとも一部は、コアの表側の垂線の方向に延びているため、および第四のプロファイルに閉じた下方溝が設けられ、それに対して、下方フランクに向かって対向する下方さねの側面の少なくとも一部は、コアの裏側の垂線の方向に延びているため、隣接するパネルの第三の縁部および第四の縁部の相互接続を、第三の縁部および/または第四の縁部の先端の(一時的な)好ましくは弾性的な変形後に限って確立することができる。この垂直方向の固定は、第二には、第三の縁部と第四の縁部の結合状態における、第一の固定要素と第二の固定要素との共同動作によって引き起こされ、および補助される。両垂直方向の固定の効果により、実現される垂直方向の固定自体は、比較的堅固なものである。一般的には、第一の固定要素と第二の固定要素との間の共同動作によって生じる第二の垂直方向の固定は、隣接するパネル自体の間の垂直方向の固定を実現する必要があるが、このことは、上方さねおよび下方さねのそれぞれの(内)側面の傾斜の度合いに依存する。この傾斜は、垂直面に対して、通常、および好ましくは、1〜10度に、より好ましくは、1〜5度の範囲に制限され、そのことが、第三の縁部および第四の縁部の容易な結合を確実にしているため、この傾斜自体は、結合されたパネルの分離をある程度より困難にしているが、一般的には、パネル自体の間の目的とする(安定した)垂直方向の固定にはつながらず、この場合、目的とする(安定した)垂直方向の固定は、第一の固定要素と第二の固定要素が共同動作することを追加的に可能にすることによってのみ実現される。回転方向の固定は、それぞれ第三の縁部および第四の縁部において接続されたパネル間の旋回を防ぎ、または少なくとも妨げる。この回転固定は、主に、上方溝から離れた第一の固定と、下方溝の内部に配置された第二の固定要素との適用によって引き起こされる。この三重固定機構により、隣接するパネルの第三の縁部と第四の縁部との間に、比較的堅固で信頼性が高く、耐久性のある接続を実現することができ、それにより、さらに、第三の縁部と第四の縁部の容易な結合が可能になる。そのため、第三の縁部と第四の縁部との間の接続は、好ましくは、弛みがない。第三の縁部および第四の縁部は、通常、第一および第二の縁部に対して直角になっているため、結合されるパネルの下方への曲げの間に切取動作が生じて、結合されるパネルの第四の縁部と、既に設置されたパネルの第三の縁部との互いの嵌合またはファスナー式固定をもたらす。したがって、本発明によるパネルは、追加的な接続要素を要することなく、比較的容易な方法で組み付けることができるとともに、堅固で耐久性のある接続をもたらすことができる。
【0010】
第一および第二の縁部において、二つのパネル間の水平方向における固定が、上方に突出する肩部の存在によって確立され、そのことは、側方さねの底部前方領域(雄型部分)が、相補的な凹部(雌型部分)および上方に突出する肩部に対して水平方向にずれることを防止する。したがって、その肩部は、側方さねの底部前方領域を定位置に固定する。好ましくは、肩部は、実質的に平坦な上面を有している。肩部の上面は、好ましくは、実質的に水平方向に向けられている。パネルコアに向かって対向する、またはパネルコアに向けられている肩部の壁部は、好ましくは、接続されたパネルを水平方向に固定するための固定面として作用するように、十分に傾斜(急勾配に)されている。好ましくは、肩部上面に接続する前記(内側の)肩部の壁部の少なくとも上端部は、水平面に対して、少なくとも45度、より好ましくは、少なくとも60度の方向に延びており、そのことが、水平方向における堅固な固定を確実にする。湾曲した肩部の壁部は、第二のパネルの第二の縁部の凹部への第一のパネルの側方さねの挿入を容易にするため、前記肩部の壁部は、平坦にすることができるが、好ましくは、湾曲させることができる。好ましくは、コアと肩部との間に延びている下方縁の底部領域は、少なくとも部分的に湾曲されて(丸みを帯びて)おり、この場合、より好ましくは、下方縁の前記底部領域の形状は、側方さねの少なくとも部分的に丸みを帯びた底部前方領域の形状に対して実質的に相補的になっている。相補的な丸みを帯びた面は、パネルの結合中に滑動面として作用する。その上面は、下方縁の対応する底部領域に対して実質的に相補的な形状を有している。二つのパネルの第一および第二の縁部における垂直方向の固定は、固定面として作用する上方縁の底面への側方さねの上面の係合によって確立される。実際には、上方縁は、挿入された側方さねが垂直方向にずれるのを防ぐ。結合後、側方さねの上面は、好ましくは、上方縁の底面に少なくとも部分的に係合する。結合後、側方さねの上面は、好ましくは、上方縁の完全な底面に係合する。この部分的または完全な係合は、結合されるパネル間の弛みを防ぐ。したがって、パネルは、第一の縁部および第二の縁部に、弛みがない状態で結合することができる。
【0011】
第三および第四の縁部において、二つのパネル間の水平方向における固定は、(別のパネルの)第四の縁部において、下方さねに係合する、第三の縁部における上方さねの存在によって確立され、そのことは、二つのパネルが離れ離れになることを防ぐ。第三および第四の縁部において、二つのパネル間の垂直方向における固定は、上述したような閉じた溝の適用によって、さらに、追加的な第一および第二の固定要素の存在によって確立される。また、第三および第四の縁部の特定の形状により、一般的に、回転方向における固定も確立されることになる。第三の縁部と第四の縁部は、結合されるパネルの下方への曲げの間の切取動作(ファスナー式固定動作)によって相互に接続することができるが、第三の縁部と第四の縁部を、垂直方向の移動によって接続することも想定され、この場合、下方さねは(全体として)、上方溝に対して下方に押し込まれる。設置方法に関係なく、第三の縁部および/または第四の縁部はいずれも、それらのさねを相補的な閉じた溝に挿入できるように、結合中にわずかに変形することになる。結合の確立後、第三および第四の両縁部は、好ましくは、それらの最初の形状を再び有しており、もはや変形してはいない。好ましくは、第三の縁部および第四の縁部は、実質的に相補的な形状を有しており、そのため、第三の縁部と第四の縁部は、一旦結合されると、互いに(圧縮)力を及ぼさないことになる。第三の縁部と第四の縁部の結合状態で何らかの(プレ)テンションがないことが、材料応力を事実上ゼロまで低減し、そのことは、第三の縁部自体、第四の縁部自体の耐久性に有利であり、その結果として、結合状態でのそれらの縁部間の接続に対して有利になる。(また、)好ましくは、第三の縁部と第四の縁部は、弛みのない状態で接続することができる。
【0012】
本発明による(フロア)パネルは、主として、いわゆる積層フロアを対象としているが、一般的には、そのパネルは、べニア寄木細工、作製済みの寄木細工、または、積層床張材と同等であると見なすことができる他のフロアパネル等の堅いフロアパネルから成る他の種類の仕上げ材に対しても適用することができる。したがって、本発明によるパネルは、好ましくは、積層フロアパネルである。積層フロアパネルは、複数の材料層から成るフロアパネルであると考えられる。典型的な積層フロアパネルは、少なくとも一つの中央コア層と、前記コア層の底面および/または上面のいずれかに付着された少なくとも一つのさらなる層とを備えている。底面の少なくとも一部に付着された裏張り層は、バランシング層とも呼ばれている。この裏張り層は、通常、パネルのコアを覆っているが、必ずしも必要ではないが、必要に応じて、パネルの一つ以上の縁部も覆っている。コアの上部には、通常、好ましくは、実質的に透明な保護層によって覆われている少なくとも一つのデザイン層(装飾層)を含む一つ以上の追加的な層が施されている。装飾層は、装飾パターンがその上に印刷されている紙層によって形成することができるが、装飾デザインが、コア上またはコアコーティング上に直接印刷されることも考えられる。保護層は、保護層の下に視覚化された装飾パターン(デザイン)に相当するエンボス加工を含むことができる、フロアパネルに向上した触感を与えるための特殊な輪郭形状の上面を有してもよい。これらの層に対しては、異なる材料を使用してもよい。例えば、コアは、保護層が設けられているMDFまたはMDF製品で形成することができる。また、コアは、ポリ塩化ビニル(PVC)のような熱可塑性物質等の合成材料、および/または一つ以上の添加物で強化されている熱可塑性材料で形成することもできる。熱可塑性材料は、繊維および/または粉末で強化してもよい。この目的のために、粉末―(熱)可塑性複合材をコア材料として使用してもよい。「粉末」という表現は、粒子(パウダー)、木材粉塵、コルク粉末等の、あるいは、石粉、特にセメントのような非木材粉塵等の小さな粉末であると理解されたい。竹の粉末、木材粉塵またはコルク粉末、またはそれらの組合せを、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、または、(未使用の、リサイクルされた、またはそれらの混合物の)ポリ塩化ビニルと組み合わせることにより、湿気を吸収せず、および膨張または収縮せず、ピークおよびギャップを生じさせる堅くて不活性のコアが形成される。本発明によるフロアパネルの少なくとも一部、特にコア層を製造するのに使用できる代替的な材料は、セラミックまたはセメントである。積層フロアパネルの代わりに、本発明によるフロアパネルは、例えば、木材で形成してもよい単一層のフロアパネルによって形成してもよい。好ましくは、それらの縁部は、コアに一体的に接続される。
【0013】
また、本発明によるパネルは、代替的な仕上げ材、例えば、壁仕上げ材または天井仕上げ材を形成するためにも適用することができる。
【0014】
凹部は、好ましくは、肩部によって終わらされる。この画成により、凹部は、さねのその前方領域を収容するように構成され、支持領域として作用する後方領域は、凹部の外側に配置されることになる。そのため、凹部は、垂直方向において、上方縁および下方縁によって制限および画成され、および水平方向においては、コアおよび肩部によって制限および画成される。上述したように、側方さねの前方領域の底面は、少なくとも部分的に丸みを帯びており、そのことが、パネルを下に曲げることを容易にし、この場合、側方さねの前方領域のおおよそ中央部分は、枢動軸として作用する。側方さねは、下方への曲げの間に凹部に挿入されるため、その枢動軸は、下に曲げるプロセス中にわずかにずれる。一般に、側方さねの前方領域を支持するために構成された、凹部を画成する下方縁の底面の形状は、好ましくは、側方さねの底部前方領域の形状に対して相補的である。このようにして、側方さねと、凹部を画成する下方縁の底面との間のギャップの数を最小限に維持することができ、そのことは、一般に、縁部間の弛みの防止に有利であり、したがって、接続の堅さにも有利になる。そのため、凹部の底面も、好ましくは、少なくとも部分的に丸みを帯びている。合致面の丸みは、例えば、丸みを帯びた形状を形成するために、鉤状面セグメントによって、滑らかにまたは(ある程度)鉤状にすることができる。別法として、凹部を画成する下方縁の底面には、別の形状、例えば、実質的に平坦な形状を与えることもでき、そのことは、下に曲げるプロセス中に、二つのパネル間の抵抗を最小限にするのに有利になる可能性があり、それによって、設置プロセスを容易にすることができる。
【0015】
上方縁および下方縁は、コアに接続され、好ましくは、コアの表側に実質的に平行な方向に延びている。好ましくは、下方縁は、上方縁よりも実質的に長く、より好ましくは、少なくとも四倍長い。上方縁と下方縁との間には、キャビティが形成され、そのキャビティは、凹部の一部を形成する。このキャビティは、通常、凹部の固定部として作用し、この場合、前記固定部の上面は、固定面として作用し、および別のパネルの側方さねの前方領域の上面と共同動作するように構成されている。この固定面は、好ましくは、傾斜した方向性を有し、この場合、側方さねの上面の少なくとも前方領域は、対応する傾斜した方向性を有している。固定面の傾斜した方向性は、一般的に、第一および第二の縁部におけるパネルの結合を容易にする。
【0016】
一般的には、コアに対向する肩部の側面が、二つのパネルを組み付け状態で互いに対して押し付ける傾斜した方向性を有することが有利である。好ましくは、側方さねの支持領域の相補的な面は、実質的に同一の傾斜した方向性を有する。この傾斜は、好ましくは、コアの方向において、肩部から下方に及んでいる。このような傾斜した方向性を適用することにより、パネルのコアの方向に、挿入された側方さねを推し進める(押し込む)ための駆動面が形成され、そのことは、第一および第二の縁部における結合の堅さにとって有利になる。
【0017】
好適な実施形態において、側方さねの支持領域の幅は、肩部の幅よりも大きい。その幅は、側方さねおよび肩部の長さに対して直角であり、したがって、第一および第二の縁部の長手方向軸に対して直角である。肩部の幅よりも大きい幅を有する支持領域を適用することにより、隣接するパネルの肩部とコアとの間にギャップが形成されることになる。より多くの空間が、下に曲げるプロセス中に生じるため、このギャップは、一般に、下に曲げるプロセスを容易にする。
【0018】
本発明によるパネルは、正方形形状または矩形形状のいずれかを有することができる。対向する縁部から成る第一のペアは、実質的に平行な方向性を有している。同じことが、互いに実質的に平行な方向性も有する、対向する縁部から成る第二のペアに当てはまる。第一のペアの縁部および第二のペアの縁部によって包囲された角度は、実質的に直角である。好適な実施形態において、パネルは、実質的に矩形形状を有し、この場合、対向する縁部から成る第一のペアは、パネルの長辺に配設され、また、対向する縁部から成る第二のペアは、パネルの短辺に配設されている。この方向性は、第一のパネルおよび第二のパネルの長い縁部をまず係合できるようにし、その後、第一のパネルおよび第三のパネルの短い縁部が、第一のパネルの下降の(下に曲げる)間に接続されることになる。第一および第二の縁部を短い縁部に、および第三および第四の縁部を長い縁部に適用することによって、この実施形態を変更することが考えられる。この後者の実施形態においては、まず、異なるパネルの短い縁部が互いに接触させられて、その後、一方のパネルを下に曲げる間に、パネルの長辺が、別のパネルに接続されることになる。
【0019】
好適な実施形態において、上方フランクに向かって対向する上方さねの側面の少なくとも一部は、第三の縁部を隣接するパネルの第四の縁部に結合するための(傾斜した)上方位置合わせ縁部を形成している。この上方位置合わせ縁部は、平坦にする、および/または丸みを付けることができる。上方位置合わせ縁部は、隣接するパネルの第三の縁部に対するパネルの第四の縁部の正しい位置決め(位置合わせ)を容易にし、そのことは、一般に、第三の縁部および第四の縁部の相互結合を容易にする。上方位置合わせ縁部は、上方さねの(内側)側壁の一部であると考えることができる。上方位置合わせ縁部は、好ましくは、上方さねの(内側)側壁の傾斜した残りの部分よりも(実質的に)小さい。より好ましくは、上方位置合わせ縁部と、上方さねの上面の残りの部分は、一定の角度、好ましくは、75〜165度の角度を相互に包囲している。上方位置合わせ縁部は、上方さねの上面に結合する。好ましくは、この上面は、上方フランクから離れて実質的に完全に対向する。好ましくは、この(完全な)上面は、傾斜した方向性を有し、この場合、より好ましくは、この上面は、上方フランクから離れる方向において下方に及んでいる。したがって、この傾斜した上面は、上述したような(内側)上方位置合わせ縁部に隣接する(外側)上方位置合わせ縁部として作用することもでき、それによって、第三の縁部および第四の縁部でパネルの結合をさらに容易にする。「位置合わせ縁部」という表現は、「案内縁部」または「案内面」という表現に置換えることができる。上方さねの上面は、上方さねの外側面に隣接しており、前記外側面には、第一の固定要素が設けられている。前記外側面は、好ましくは、実質的に垂直な方向性を有する。したがって、好ましくは、第一の固定要素は、上方さねの実質的に垂直な部分に配設され、その結果、固定要素の上下において、上方さねは、実質的に垂直に向けられた面を有している。上方さねの上面の傾斜は、水平面に対して、好ましくは、15〜45度、より好ましくは、25〜35度の範囲にあり、および最も好ましくは、約30度である。上方さねの上面の傾斜は、好ましくは一定であり、このことは、その上面が平坦な方向性を有していることを意味している。好ましくは、下方溝の上側は、より好ましくは、下方フランクに向かって対向する下方さねの側面の方向における上方である、((適用される場合に)上方さねの上面の傾斜と比較して)好ましくは同様の傾斜方向性を有する。下方さねをコアに接続するブリッジの下面は、下方溝の上面によって形成されている。下方溝の傾斜した上面を適用することにより、コアから第三の縁部の外端部まですぐにブリッジの可変厚さを生じさせる。上述したように、下方溝の上面は、好ましくは、下方フランクに向かって対向する下方さねの側面の方向において、傾斜して上方に及んでおり、それにより、ブリッジの厚さが、下方さねの方向において減少するということになる。この位置依存ブリッジ厚さの場合、ブリッジ厚さは、コアの近くで比較的大きく、また、下方さねの近くで比較的小さく、ブリッジ厚さには、多くの利点がある。コアに近いブリッジのより厚い部分は、ブリッジにより大きくかつ十分な強度およびロバスト性を与え、一方、下方さねに近いブリッジのより薄い部分は、ブリッジの最も弱い部分を形成し、そのため、結合中の最初の変形の位置(旋回点)の決め手になる。この変形箇所は、下方さねの近くに位置しているため、下方さねを上方溝に挿入できるように変形される材料の量を最小限に維持することができる。変形が少ないと、結合部分およびフロアパネルの寿命に有利である材料応力も小さくなる。隣接するフロアパネルの結合状態において、下方溝の上面は、好ましくは、少なくとも部分的に、および好ましくは、実質的に完全に、上方さねの上面によって支持され、このことは、結合自体に追加的な強度を与える。この目的のためには、下方溝の上面の傾斜が、上方さねの上面の傾斜に実質的に一致することが有利である。このことは、下方溝の上面の傾斜が水平面に対して、好ましくは、15〜45度の範囲、より好ましくは、25〜35度の範囲にあり、および最も好ましくは、約30度であることを意味する。既に述べたように、この傾斜は、平坦であるか、または、丸みを帯びていてもよく、または、最終的には鉤状であってもよい。
【0020】
フロアパネルは、単一の上方さねと、単一の下方さねとを備えている。「単一のさね」という表現は、複数のさねではなく、および/または粉末および/または独立したシーリング要素のための一つ以上の収容空間を包囲する叉または突起(平行または分岐スパイク)を有するセグメント化された(フォーク状)さねではなく、単に明確に認識可能な単一の部材である、セグメント化されていないさねが適用されているということを意味している。上方さねおよび下方さねの各々は、好ましくは、かなり頑丈であり、そのことは、それらのさねが、典型的には、変形を受けるように構成されていないことを意味している。さね自体は、好ましくは、比較的堅く、そのため、それらの比較的ロバストなデザインにより、事実上、フレキシブルではない。さらに、さねは、好ましくは、実質的に中実であり、そのことは、それらのさねが、かなり重く、従って、材料で完全に充填されており、そのため、それらのさねには、上面に溝が設けられておらず、そのことは、さねの構造、従って、実現すべきフロアパネルの接続の構造を弱くすることになる。堅くて中実のさねを適用することにより、比較的堅固で耐久性のあるさねが得られ、それを用いて、信頼性が高く、耐久性のあるフロアパネル接続を、耐久性のある接続を実現するために、独立した追加的なコンポーネントを用いることなく実現することができる。下方さねが、上述したように、ブリッジを用いてコアに接続されているのと同様に、上方さねも、(別の)ブリッジを用いてコアに接続される。好ましくは、ブリッジの少なくとも一部は、それらの限定された厚さにより、第三および第四の縁部の結合中のそれらの縁部のわずかで通常は一時的な変形を可能にするように、ある程度、弾性的である。好ましくは、下方さねをコアに接続する少なくともブリッジの厚さは、第四の縁部に直角な方向に変化する。より好ましくは、下方さねをコアに接続する少なくともブリッジの厚さは、第四の縁部に直角で、下方さねに向かう方向に小さくなっている。ブリッジのこの、好ましくは、連続的に小さくなる厚さには、二つの利点、すなわち、ブリッジのより厚い部分がブリッジに十分なロバスト性を与えるとともに、ブリッジのより薄い部分は最も弱い箇所となり、そのため、パネルの結合中に、最も容易に変形することができる、という利点がある。好ましくは、この変形箇所(または、旋回点)は、下方さねの近くに位置している。また、フロアパネルのコアも、好ましくは、かなり堅く、そのことは、コアが、変形を受けるように構成されていないことを意味している。堅いパネルを適用することにより、比較的堅固で耐久性のあるパネルを、耐久性のある接続を実現するために、独立した追加的なコンポーネントを用いることなく得ることができる。
【0021】
好ましくは、下方フランクから離れて対向する下方さねの側面の少なくとも一部は、第四の縁部を、隣接するパネルの第三の縁部に結合するための傾斜した下方位置合わせ縁部を形成している。また、平坦であってもよく、および/または丸みを帯びていてもよいこの傾斜した位置合わせ縁部は、第四の縁部と第三の縁部の適切な相互位置決めを容易にするように、および両縁部の相互結合を容易にするように作用する。好ましくは、上方および/または下方位置合わせ縁部は、実質的に平坦であり、および直線状の位置合わせ面を形成している。この面も同様に、縁部を丸くすることができる。実質的に平坦で直線状の位置合わせ縁部は、結合時の異なるフロアパネルの適切な位置決めを容易にする。また別の実施形態においては、傾斜した下方位置合わせ縁部の有効高さは、上方さねの有効高さよりも大きい。このことは、通常、フロアパネルの下方位置合わせ縁部が、予備位置合わせ状態(中間状態)の場合には、別のフロアパネルに係合していないという状況をもたらす。位置選択非接触事前位置合わせは、フロアパネルの下方位置合わせ縁部を、別のフロアパネルの上面に沿って押し付けることを防ぎまたは妨げ、それによって、フロアパネルに損傷を与える可能性がある。
【0022】
フロアパネルの実施形態において、フロアパネルの表側に隣接する上方フランクの少なくとも一部は、別のフロアパネルの表側に隣接する下方さねの少なくとも一部に、それらのフロアパネルの結合状態において接触するように適応されている。これらの面の係合は、結合要素間の有効接触面の増加に、ひいては二つのフロアパネル間の接続の安定性および堅牢性の増加につながる。好適な実施形態において、フロアパネルの表側は、別のフロアパネルの表側に実質的にシームレスで係合するように適応されており、その結果として、二つのフロアパネル間、特にその上面間のシームレス接続を実現することができる。
【0023】
別の実施形態では、第一の固定要素は、上方さねの上側から一定の距離に配置されている。このことは、通常、このことが、フロアパネルの上方位置合わせ縁部よりも下方のレベルに第一の固定要素が配置されるという状況を生じるため、そのことには、第四の縁部の最大変形が低減されるという利点があり、それに対して、接続プロセスおよび変形プロセスは、連続する工程で実行することができるため、好ましい。より少ない変形は、より少ない材料応力をもたらし、そのことは、結合部分ひいてはフロアパネルの寿命に有利である。この実施形態において、第二の固定要素は、下方溝の上面から一定の距離に相補的に配置されている。代替的な実施形態では、第一の固定要素は、上方さねの下面から一定の距離に配置され、このことも結合を容易にすることができる。相補的な第二の固定要素の位置決めは、両固定要素が、第三および第四の縁部の結合状態において、共同的に動作するようになっている。好ましくは、第一の固定要素は、上方さねの実質的に垂直な部分に配置され、その結果、固定要素の上下において、上方さねは、実質的に垂直に向けられた面を有している。このことは、固定要素とさねの明確な区別、および二つのフロアパネルのきれいな結合を可能にする。第一の固定要素の上の実質的に垂直な面は、相補的な逆の輪郭を、比較的安定した中間結合位置に、より容易に位置合わせできるようにする(図7cも参照)。さらに、第一の固定要素を、上方さねの上面から一定の距離に配置することは、それらの輪郭が受けなければならない最大変形を低減し、それによって、破損のリスクを低下させ、また、それらの輪郭およびそれらの接続の耐久性を向上させる。加えて、第一の固定要素を、上方さねの上面から一定の距離に配置することは、第一の固定要素と第二の固定要素の共同動作によって引き起こされる回転固定効果を少なくとも向上させる。
【0024】
実施形態において、上方フランクに向かって対向する上方さねの側面の少なくとも一部と、コアの表側の垂線とによって包囲された角度は、下方フランクに向かって対向する下方さねの側面の少なくとも一部と、コアの裏側の垂線とによって包囲された角度と実質的に等しい。これにより、二つのさね部分の互いの密接嵌合接続を実現することができ、このことは、二つのフロアパネル間の結合の堅固性を全体として高める。変形例の実施形態においては、一方において、上方フランクに向かって対向する上方さねの側面の少なくとも一部が延びている方向と、他方において、コアの表側の垂線とによって包囲された角度は、0(または、1)〜60度、具体的には、0(または、1)〜45度、より具体的には、0(または、1)〜10度の範囲にある。特定の実施形態において、この角度は、0.5〜5度の範囲にある。別の変形例の実施形態においては、一方において、下方フランクに向かって対向する下方さねの側面の少なくとも一部が延びている方向と、他方において、コアの裏側の垂線とによって包囲された角度は、0〜60度、具体的には、0〜45度、より具体的には、0〜10度の範囲にある。特定の実施形態において、この角度は、0.5〜5度の範囲にある。フランクに向かって対向するさね側面の最終的な傾斜も、フロアパネルを製造するのに適用される製造手段に通常依存する。実施形態において、下方に位置合わせされた縁部の傾斜は、上方フランクの少なくとも上部の傾斜よりも小さく、その結果、両面間に膨張チャンバが形成され、そのことは、弛みを可能にするのに、および例えば、フロアパネルによる湿気吸収による膨張を補正するのに有利となる。
【0025】
別の変形例の実施形態において、第四の縁部の位置合わせ縁部の少なくとも一部は、第三の縁部の上方フランクの少なくとも一部よりも実質的に平坦な方向性を有している。この方策を適用することにより、結合位置において、第四の縁部の位置合わせ縁部と、第三の縁部のフランクとの間に空隙が概して形成される。二つの結合部の間に意図的に形成されたこの隙間は、一般に、隣接するフロアパネルの結合中に有利であり、この隙間は、結合部の一時的な変形を妨げないため、このことは、結合部の結合を容易にする。さらに、形成された隙間は、例えば、湿気吸収から生じる、フロアパネルの吸収膨張に対して有利であり、このことは、フロアパネルが、木材から少なくとも部分的に製造される場合にはあり得ないことではない。形成された隙間は、ダストチャンバとしても作用することができる。
【0026】
変形例の実施形態において、コアに接続する第三の縁部の上方フランクの一部は、下方フランクから離れて対向する下方さねの側面の少なくとも一部の停止面を形成している。このようにして、フロアパネルの少なくとも表側の密接嵌合を実現することができ、このことは、一般に、ユーザの視点からは有利である。ここでは、コアに接続する第三の縁部の上方フランクの少なくとも一部は、好ましくは、実質的に垂直方向に向けられている。また、ここでは、下方フランクから離れて対向する下方さねの側面の少なくとも一部も、好ましくは、実質的に垂直方向に向けられている。両結合部に実質的に垂直な停止面を適用することには、結合位置において、結合部を、比較的密接嵌合的および堅固に互いに接続することができるという利点がある。
【0027】
一般的には、上方溝は、隣接するパネルの下方さねを締付け嵌合で収容するように適応されることが有利である。上方溝を、または、その少なくとも一部を、締付け嵌合で下方さねに収容することには、下方さねが上方溝によって比較的密接な嵌合で包囲され、これによって、通常、結合された構造の堅固性が高まるという利点がある。同じことは、下方溝が、隣接するパネルの上方さねを締付け嵌合で収容するように適応されている変形例の実施形態に対しても当てはまる。
【0028】
変形例の実施形態において、上方フランクと下方フランクは、実質的に平行に延びている。このことは、それらのフランクならびに固定要素を、結合位置において、互いに比較的密接に接続することを可能にし、これによって、一般に、固定要素によって実現される固定効果が強まる。
【0029】
別の変形例の実施形態において、第一の固定要素は、少なくとも一つの外側突出部を備え、また、第二の固定要素は、少なくとも一つの凹部を備え、または、逆も同様であり、その外側突出部は、固定結合を実現するために、隣接する結合したフロアパネルの凹部に少なくとも部分的に収容されるように適応されている。この変形例の実施形態は、製造エンジニアリングの視点からは、概して有利である。第一の固定要素と第二の固定要素は、好ましくは、相補的な形態をとっており、それにより、隣接するフロアパネルの固定要素の互いのぴったり合った接続が実現されることになり、このことは、固定の有効性を高める。第一の固定要素が、好ましくは、突出部を備えているということは、第一の固定要素を突出部によって形成することができるということも明らかに意味し、また、第二の固定要素が、好ましくは、凹部を備えているということは、第二の固定要素を凹部によって形成することができるということも明らかに意味している。
【0030】
第三の縁部と第四の縁部は、好ましくは、コアに一体的に接続される。同じことは、第一および第二の縁部にも当てはまり、それらの縁部も、好ましくは、コアに一体的に接続される。構造的、製造エンジニアリングおよび物流的観点からは、単一部材のパネルを形成するためのコアと縁部の間のこの一体接続が概して望ましい。
【0031】
変形例の実施形態において、パネルは、少なくとも部分的に木材から製造される。本願明細書において、フロアパネルは、木製厚板および/または寄木張りフロアパネルを形成することができる。しかし、本発明によるパネルは、積層フロアパネルとしての用途にも非常に適しており、この場合、フロアパネルは、バランシング層(裏張り層)と、木材および/またはプラスチック製品から成るコア層と、担持層の表側に配置された少なくとも一つの上部構造とから成る積層体を備えている。その上部構造は、通常、装飾層を備え、その上部には、透明な保護層が施されている。上部構造は、通常、異なる特性を有する複数の層を備えている。木材またはタイル構造は、保護層に追加的に押し込むことができ、それにより、実際に、上部層がエンボス加工層も形成する。装飾層は、一般に、木材の写真、または、一般的に、メラミン樹脂が滲み込んだ紙に印刷されたタイルの写真によって形成されている。最近では、専用のプリンティング装置を用いて、装飾パターンをコア層に直接印刷することも可能である。コア層は、一般に、木質繊維板、具体的には、MDF板(Medium Density Fibreboard:中質繊維板)またはHDF板(High Density Fibreboard:高密度繊維板)から成る。フロアパネルが、木材および/またはプラスチックから製造されるのではなく、全体的に金属および/またはテキスタイルから製造されることも想定可能である。好適な変形例の実施形態において、パネルは、少なくとも部分的にプラスチック、具体的には、熱可塑性材料、好ましくは、ポリ塩化ビニル(PVC)から製造される。ここでは、本発明によるフロアパネルが、実質的に全体的にプラスチックから製造されることを想定することが可能である。好ましくは、コアは、材料層から成る積層体で形成され、この場合、中心層は、少なくとも一つの熱可塑性材料で形成され、そのコアは、上面および底面を有している。そのコアの上面には印刷層が付着されており、この場合、その印刷層は、上面および底面を有している。また、オーバーレイ層を、コアの上面に直接、付着することができ、または、印刷層の上面に付着することができる。パネルは、必要に応じて、印刷層の底面と、コアの上面との間に配設して付着された下張りを含むことができる。より詳細には、熱可塑性積層パネルのコアは、好ましくは、少なくとも一つの熱可塑性材料から成り、その少なくとも一つの熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニルである。一般的には、少なくとも一つの熱可塑性材料がポリ塩化ビニルであるそれらのいずれかの組合せ、それらの合金、または、二つ以上の熱可塑性材料から成る混合物を、コア、または、少なくともその中心層を形成するのに用いることができる。一般的には、このような熱可塑性材料は、限定されないが、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、およびその他のビニルおよびビニリデン樹脂等の熱可塑性物質およびそれらの共重合体を含有するビニル、低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレン等のポリエチレンおよびそれらの共重合体、ABS、SANおよびポリスチレン等のスチレンおよびそれらの共重合体、ポリプロピレンおよびその共重合体、飽和および不飽和ポリエステル、アクリル、ナイロン含有タイプ等のポリアミド、アセチル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレン酸化物等のエンジニアリングプラスチック、およびスルフィド樹脂等を含む。導電性フローリング等の用途がある一つ以上の導電性ポリマーを厚板を形成するのに用いることができる。より好ましくは、熱可塑性材料は、固いポリ塩化ビニルであるが、半硬質または弾力性のあるポリ塩化ビニルを用いてもよい。熱可塑性材料の柔軟性は、約20phr(parts per hundred parts of resin)未満、より好ましくは、1phr未満の量で好ましくは存在している少なくとも一つの液体または固体可塑剤を用いることによって与えることができる。本発明において、コアを形成するのに用いられる典型的な固いPVC複合物は、限定されないが、顔料、耐衝撃性改良剤、安定剤、加工助剤、潤滑剤、充填剤、木粉、他の従来の添加物等も含むことができる。
【0032】
また、本発明は、本発明による相互結合されたフロアパネルから成る相互に結合されたパネルから成る仕上げ材、特に床仕上げ材に関する。
【0033】
本発明はさらに、仕上げ材を形成するための、相互接続可能なパネル、特に本発明によるパネルを組み付ける方法に関し、その方法は、
A)第一のパネルを用意するステップと、
B)第二のパネルの第一の縁部の側方さねを、傾斜状態で、第一のパネルの第二の縁部の凹部に挿入するステップと、
C)両パネルが同じ平面内に位置するまで、第二のパネルを第一のパネルに対して下に曲げるステップと、
D)第三のパネルの第一の縁部の側方さねを、傾斜状態で、第一のパネルの第二の縁部の凹部に挿入するステップと、
E)パネルが同じ平面内に位置するまで、第三のパネルを第一および第二のパネルに対して下に曲げるステップであって、第三のパネルの第四の縁部の下方さねは、第二のパネルの第三の縁部の上方溝にファスナー式で固定されることになり、第二のパネルの第三の縁部の上方さねは、第三のパネルの第四の縁部の下方溝にスナップ式で固定されて、水平方向および垂直方向の両方向において、第一および第二の縁部における第一のパネルに対する第三のパネルの固定と、第三および第四の縁部における第二のパネルに対する第三のパネルの固定がもたらされるステップと、
を含む。
【0034】
本発明による方法に関する利点およびさらなる態様は、既に包括的に記載されている。
【0035】
本発明は図示されおよびここに記載されている例示的な実施形態に限定されないが、添付クレームの範囲内で、当業者には自明である多くの変形例が可能であることは明らかである。
【0036】
本発明を、以下の図に示されている非限定的で例示的な実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、本発明による矩形状のフロアパネルを示す。
図2図2は、図1の部分A−Aによって示される断面図である。
図3図3は、図1の部分B−Bによって示される断面図である。
図4a図4aは、床仕上げ材を形成するための、図1図3による複数のフロアパネルを相互接続するための連続ステップの異なる図を示す。
図4b図4bは、床仕上げ材を形成するための、図1図3による複数のフロアパネルを相互接続するための連続ステップの異なる図を示す。
図4c図4cは、床仕上げ材を形成するための、図1図3による複数のフロアパネルを相互接続するための連続ステップの異なる図を示す。
図4d図4dは、床仕上げ材を形成するための、図1図3による複数のフロアパネルを相互接続するための連続ステップの異なる図を示す。
図4e図4eは、床仕上げ材を形成するための、図1図3による複数のフロアパネルを相互接続するための連続ステップの異なる図を示す。
図4f図4fは、床仕上げ材を形成するための、図1図3による複数のフロアパネルを相互接続するための連続ステップの異なる図を示す。
図5a図5aは、本発明によるフロアパネルの第一および第二の縁部の異なる実施形態を示す。
図5b図5bは、本発明によるフロアパネルの第一および第二の縁部の異なる実施形態を示す。
図5c図5cは、本発明によるフロアパネルの第一および第二の縁部の異なる実施形態を示す。
図5d図5dは、本発明によるフロアパネルの第一および第二の縁部の異なる実施形態を示す。
図5e図5eは、本発明によるフロアパネルの第一および第二の縁部の異なる実施形態を示す。
図6図6は、本発明によるフロアパネルの第三および第四の縁部の異なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明による矩形状のフロアパネル1を示す。パネル1は、追加的な図に図示されているように、仕上げ材を形成するための同様のパネルと相互接続可能である。フロアパネル1は、任意の材料で形成することができるが、典型的な材料は、木材、特に、HDF、MDFおよびLDF、およびプラスチック、特に熱可塑性材料、より具体的には、PVCである。通常、フロアパネル1は、裏張り構造および上部構造(図示せず)によって包囲された中心層(コア層)を備える積層体で形成されている。上部構造は、一般に、装飾層を備え、その装飾層は、中心層に印刷することができ、その上部には、保護層が施される。パネル1は、表側3および裏側4を備える、中央に配設されたコア2を備えている。コア2は、対向する縁部から成る第一のペア、具体的には、パネル1の長い側面に位置する、第一の縁部5および相補的な第二の縁部6に一体的に接続されている。また、コアは、対向する縁部から成る第二のペア、具体的には、この例示的な実施形態において、パネル1の短辺に位置する、第三の縁部7および相補的な第四の縁部8に一体的に接続されている。
【0039】
図2は、図1の部分A−Aによって示される断面図である。この断面図では、相補的な第一の縁部5および第二の縁部6の形状が詳細に図示されている。第一の縁部5は、コア2に一体的に接続されている側方さね9を備えている。垂直方向の点線を用いて、側方さね9とコア2との間の境界が視覚化されている。側方さね9の前方領域9aには、丸みを帯びた底面10が設けられている。丸みを帯びた底面10の外端部は、傾斜した固定面11に隣接している。丸みを帯びた底面10の反対側の端部は、側方さね9の後方領域9bの部分を形成する支持面12が隣接している。パネル1の第二の縁部6は、上方縁13と、凹部15を画成している下方縁14とを備えている。両縁13、14は、コア2に一体的に接続されている。垂直方向の点線を用いて、縁13、14とコア2との間の境界が視覚化されている。図2に図示されているように、上方縁13の幅は、下方縁14の幅よりも実質的に小さい。凹部15は、側方さね9の形状に対して相補的である形状を有している。より具体的には、下方縁14の後方領域14aの上面16は、側方さね9の丸みを帯びた前方領域9aと共同動作するように構成された(相補的な)丸みを帯びた形状を有し、一方、下方縁14の前方領域14bには、側方さね9の支持面12と共同動作するように構成された、上方に突出する肩部17が設けられている。上方縁13の下面18は傾斜しており、側方さね9の固定面11に対応している。結合されるパネル1の側方さね9の凹部15への挿入により、隣接するパネル1の第一の縁部5および第二の縁部6で固定され、この場合、前記パネル1は、まず、傾斜状態で保持される。側方さね9の凹部への挿入の後、結合されるパネル1は、両パネル1が、同じ、通常は水平方向の平面内に配置されるまで、第一の縁部5に平行な軸周りで下方向に旋回され(曲げられ)、この場合、側方さね9の固定面11は、上方縁18の固定面と係合し、この場合、少なくとも底部前方部分は、実質的にぴったり合って凹部15に収容され、また、支持面12は、肩部17によって支持される。第一の縁部5および第二の縁部6で固定することは、水平方向および垂直方向の両方向における、接続されたパネル1の固定をもたらす。第一および第二の縁部5、6を下に曲げて固定する原理は、それらの縁部5,6におけるパネルの相互接続を非常に容易にする比較的容易な固定原理である。この固定機構に関するさらなる詳細が、図4および図5に視覚化されている。
【0040】
図3は、図1の部分B−Bで示されている断面図である。この断面において、相補的な第三の縁部7と第二の縁部8の形状が詳細に図示されている。第三の縁部7は、上方さね19と、上方フランク20と、上方さね19と上方フランク20との間に形成されている上方溝21とを備えている。上方さね19は、好ましくは、ある程度、弾性的であるブリッジ22によってコア2に接続されている。上方フランク20に向かって対向する上方さね19の側面19aは、コア2の表側3の垂線Nの方向に延びている。したがって、接線Rと、コア2の表側3の垂線Nは、互いに向けられており(収束方向性)、この場合、RおよびNによって包囲される角度は、この例示的な実施形態においては、好ましくは、0〜10度である。上方フランク20と、上方フランク20に向かって対向する上方さね19の側面19aとの収束方向性により、上方溝22は閉じた溝であり、その溝は、上方さね19および/またはブリッジ22の変形による相補的な対応部分に対してのみアクセス可能である。上方フランク20に向かって対向する上方さね19の別の側面19bは、隣接するフロアパネル1への結合を容易に実現する位置合わせ縁部を形成している。図示されているように、位置合わせ縁部として機能するこの側面19bは、コア2の表側3の垂線Nから離れて向けられている。しかし、上方さね19の上方側面19dは、コア2の表側3の垂線Nの方向に延び、および上方フランク20から離れて対向する上方さね19の側面19eの方向において、傾斜して下方に及んでいる。この面取りは、相補的な第四の縁部8に、より頑丈で、したがってより強い形態を与えるという選択肢をもたらす。上方フランク20から離れて対向する上方さね19の側面19eの部分は、実質的に垂直方向に向けられ、および外側突出部23がさらに備えられている。上方フランク20の下方部20aは、対角線上に向けられているが、上方フランク20の上方部20bは、実質的に垂直方向であり、および第四の縁部8のための停止面を形成するように図示されている。上方フランクの傾斜した部分20aと、実質的に垂直方向の部分20bとの間には、追加的な結合要素、具体的には、追加的な突出部24が設けられている。上方溝21の下方壁部21aは、この例示的な実施形態においては、実質的に水平方向に向けられている。
【0041】
第四の縁部8は、第三の縁部7に対して実質的に相補的である。第四の縁部8は、下方さね25と、下方フランク26と、下方さね25と下方フランク26との間に形成された下方溝27とを備えている。下方さね25は、好ましくは、ある程度弾性的であるブリッジ28によってコア2に接続されている。下方フランク26に向かって対向する下方さね25の側面25aは、コア2の裏側4の垂線Nの方向に位置している。これは、下方さね25の側面25aの接線Rと、コア2の裏側4の垂線とが互いに収束していることを意味し、この場合、RおよびNによって包囲された角度は、この例示的な実施形態においては、好ましくは、0〜10度である。より好ましくは、Rの傾斜は、Rの傾斜と同一であり、したがって、RとRは、好ましくは平行である。下方フランク26と、下方フランク26に向かって対向する下方さね25の側面25aとの収束方向性により、下方溝27は閉じた溝になっており、その溝は、下方さね25および/またはブリッジ28の変形により、隣接するパネル1の上方さね19に対してのみアクセス可能であり、その結果として、下方溝の入口を(一時的に)広くすることができる。
【0042】
下方フランク26から離れて対向する下方さね25の側面25bは、対角線上に向けられているが、上方フランク20の相補的な側面20aよりも平坦な方向性を有して、それにより、ギャップ(空間)が結合位置に形成されることになり、そのことは、一般的に、二つのフロアパネル1間の結合を容易にする。下方さね25の傾斜面25bは、二つのフロアパネル1間の結合をさらに容易にするための位置合わせ縁部としても機能する。下方フランク26から離れて対向する別の側面25cは、実質的に垂直方向の形態をとっているが、別のパネル1の追加的な突出部24と共同動作するように構成された小さなキャビティ29が設けられている。下方フランク26から離れて対向する側面25cの上部は、(隣接するフロアパネルの)上方フランク20の停止面20bのための相補的な停止面を形成している。下方フランク26は、実質的に垂直方向に向けられ、および(隣接するフロアパネルの)上方さね19の外側突出部23を収容するように適応された凹部30が備えられている。
【0043】
図4a〜図4fは、床仕上げ材31を形成するための、図1図3による複数のフロアパネル1を相互接続するための連続ステップに関する異なる図を示す。図4aおよび図4bは、設置プロセスの第一のステップに関し、この場合、フロアパネル1の第一の列は、パネル1の第三の縁部7を、隣接するパネルの第四の縁部8に接続することにより、すなわち、結合すべきパネル1の第四の縁部8を、既に設置されているパネル1の第三の縁部7に対して、(矢印で示されているように)実質的に垂直方向に押し込むことによって形成されている。垂直方向の移動により、第三の縁部7および/または第四の縁部8はわずかに変形され、その結果、下方さね25は、上方溝21に押し込まれることになり、また、上方さね19は、下方溝27に押し込まれることになる。さらに、突出部23、24は、フロアパネル1を互いに対してより良好に固定するように、対応する凹部29、30に配置されることになる。上方溝21と下方溝27の両方が、それぞれ、下方さね25および上方さね19の挿入のために一時的に広げられることになる、この一時的な変形により、両縁部7、8は互いにスナップ嵌合する。
【0044】
図4cおよび図4dは、設置プロセスの第二のステップに関し、この場合、フロアパネルの第一の列に接続される、フロアパネル1の第二の列が形成される。この目的のために、結合すべきフロアパネル1の第一の縁部5が、既に設置されているパネル1の第二の縁部6に接触して傾斜方向で配置され、その結果、側方さね9が、第二の輪郭6の相補的な凹部15に少なくとも部分的に挿入される。この部分的挿入の後、傾斜されたパネル1は、パネル1が、パネルの第一の列によって画成されるのと同じ平面内に位置するまで、第一の縁部5と平行な軸周りで下方向に旋回され(下に曲げられ)(矢印を参照)、その結果として、側方さね9は、水平方向および垂直方向の両方向において、少なくとも一つが凹部15に固定されることになる。
【0045】
図4a〜図4dに示されている最初の二つのステップは、単一の縁部でのみではなく、複数の縁部で結合される一つ以上の後続のパネル1の設置のための予備ステップである。後続のフロアパネル1の設置は、図4eおよび図4fに視覚化されている。ここでもまた、結合すべきフロアパネル1は傾斜状態で保持され、この場合、フロアパネル1の側方さね9は、既に設置されている少なくとも一つのフロアパネルの第二の縁部の対応する凹部15に部分的に挿入されている。設置すべきフロアパネル1の第四の縁部8は、第二の列に既に設置されているパネル1の第三の縁部7の実質的に上に配置され、この場合、第四の縁部8と第三の縁部7は、(結合すべきパネルの傾斜角度である)角度を互いに包囲する。結合すべきフロアパネル1を下に曲げている(矢印を参照)間に、パネル1の第一の縁部5および第四の縁部8の両方が、隣接するパネル1に接続されることになる。より具体的には、パネル1を下に曲げている間に、側方さね9の前方領域が凹部15に収容され、および既に第一の列に設置されているパネルの制限肩部17と、第二の縁部6の上方縁13の制限固定面18とによって定位置に保持されることになる。さらに、同時に、結合されるパネル1の第四の縁部8が、下部の第三の縁部7に対して下方への切取動作を実行し、そして、第三の縁部7にファスナー式で(スナップ式で)固定され、逆もまた同様であり、パネル1間の堅固で耐久性のある接続がもたらされる。
【0046】
図5a〜図5eは、本発明によるフロアパネルの第一および第二の縁部の異なる実施形態を示す。図5aには、図1図4fによる実施形態が示されているが、図5b〜図5eには、それらの縁部の代替的な実施形態が図示されている。より具体的には、図5bは、フロアパネル42の第一および第二の縁部40、41を示し、この場合、滑らかに丸みが付いている底部の代わりに、より鉤状の(セグメント化された丸みを帯びた)底部が図示されている。図5cでは、図5aに示されているフロアパネルとほとんど同一であるフロアパネル43の実施形態が示されているが、この場合、第一および第二の縁部44、45には、傾斜した固定面の代わりに、水平方向の固定面44a、45bが設けられている。図5dでは、フロアパネル46の代替的な実施形態が示されており、この場合、第一および第二の縁部47、48は、二つの縁部47、48間の底部接触部が、部分的に滑らかな丸みを帯び、および部分的に断続的に丸みを帯びている(セグメント化された丸みを帯びている)ように形成されている。第一の縁部47の側方さね49の、および第二の縁部の上方縁52の固定面50、51は、実質的に水平方向の方向性を有している。図5eには、図5dに示されているようなフロアパネル46とほとんど同一のフロアパネル53の実施形態が示されており、側方さね54の前方底部部分54aが滑らかな丸みを帯びていないところが異なっているが、平坦であり、側方さね54の底部に、セグメント化された丸み(鉤状)の形状が与えられている。
【0047】
図6は、本発明によるフロアパネル57の第三および第四の縁部の異なる実施形態を示す。フロアパネル57は、表側58aおよび裏側58bが備えられているコア58と、コア58の両側の長手方向側部に配置され、およびコア58に一体的に接続されている結合部59、60とを備えている。第一の結合部59は、上方さね61と、上方フランク62と、上方さね61と上方フランク62との間に形成された上方溝63とを備えている。上方フランク62に向かって対向する上方さね61の側面61aは傾斜されて、コア58の表側58aの垂線N1の方向に延びている。したがって、接線R1と、コア58の表側58aの垂線N1は互いに向けられており(収束方向性)、この場合、R1およびN1によって包囲された角度は、3〜5度になる。側面61aの上部には、上方さね61の実質的に平坦な上方位置合わせ縁部61bが配置され、その位置合わせ縁部は、上方フランク62向かって対向し、および隣接するフロアパネルへの結合の容易な実現を可能にする。固定面として作用する傾斜面61aと、隣接する上方位置合わせ縁部61bは、上方さね61の内側側面を一緒に形成している。図示されているように、上方位置合わせ縁部として機能するこの側面61bは、実質的に平坦であり、また、コアの表側58aの垂線N1から離れて向けられている。しかし、上方さね61の(単一の)上側61dは、コア68の表側68aの垂線N1の方向において延長し、上方フランク62から離れて対向する上方さね61の側面61eの方向に下方に傾斜して及んでいる。その傾斜の角度は、約30度である。この面取りは、以下に説明されているように、相補的な第二の結合部60に、より頑丈で、したがってより強い形態を与えるという選択肢をもたらす。上方フランク62から離れて対向する上方さね61の側面61eは、実質的に垂直方向に向けられ、およびさらに外側突出部64が備えられ、その外側突出部は、上方さね59の外側側壁61の垂直方向に向けられている部分に関して明確に延びている。上方フランク62の下方部62aは、対角線上に向けられているが、上方フランク62の上方部62bは、実質的に垂直方向であるように図示され、および第二の結合部60の停止面を形成している。上方溝43の下方壁部63aは、この例示的な実施形態においては、実質的に水平方向に向けられている。上方溝63の下方壁部63aと、裏側59aとの間にあるブリッジ65は、ある程度の弾性的性質を有し、および上方さね61が、上方フランク62に対してわずかに旋回することを可能にするように適応され、上方溝63を(一時的に)広げ、それにより、隣接するフロアパネルへのフロアパネル57の結合を容易にすることができる。第二の結合部60は、第一の結合部59に対して実質的に相補的になっている。第二の結合部60は、下方さね66と、下方フランク67と、下方さね66と下方フランク67との間に形成された下方溝68とを備えている。下方フランク67に向かって対向する下方さね66の側面66aは、傾斜されて、コア58の裏側58bの垂線N2の方向に延びている。これは、下方さね66の側面66aの接線R2と、コア58の裏側58bの垂線とが相互に収束していることを意味している。この例示的な実施形態において、接線R2と垂線N2は、3〜5度の相互角度を包囲している。下方フランク67から離れて対向する側面66bは、対角線上に向けられているが、上方フランク62の相補的側面62aよりも平坦な方向性を有し、それにより、ギャップ(空間)が結合位置に形成されることになり、そのことは、一般的に、二つのフロアパネル57間の結合を容易にする。下方さね66の傾斜側面66bは、二つのフロアパネル57間の結合をさらに容易にするための位置合わせ縁部としても機能する。下方フランク67から離れて対向する別の側面66cは、実質的に垂直方向の形態をとっており、および(隣接するフロアパネルの)上方フランク62の停止面62bのための相補的な停止面を形成している。下方さね66にはさらに、下方フランク67に向かって対向している小さな位置合わせ縁部66dが設けられている。上方さね61の上面61dは傾斜した方向性を有しているため、下方溝68の上面68aを同様に与えることができ、およびこの実施形態において、その上面は、対応する傾斜した方向性を有し、それにより、下方溝68の上面68aと、第二の結合部60の上面60aとの間の(平均)距離は、第二の結合部60自体に十分な強度を与えるのに十分な大きさとなる。下方フランク67は、実質的に垂直方向に向けられ、および(隣接するフロアパネルの)上方さね61の外側突出部64を収容するように適応された凹部69が備えられている。
【0048】
下方溝68の上面68aと上面60aとの間にあるブリッジ70は、下方さね66に近いその低減された厚さにより(および潜在的には、材料特性にもより)、ある程度の弾性的性質を有し、および下方さね66が、下方フランク67に対してわずかに旋回することを可能にするように適応され、このことが、下方溝68を(一時的に)広げることにつながり、それにより、隣接するフロアパネルへのフロアパネル67の結合を容易にすることができる。この旋回点(変形の箇所)は、典型的には、ブリッジ70の最も弱い箇所によって形成され、その箇所は、符号「P」で示されている。図示されているフロアパネル67は、寄木張りフロアパネル、厚板、積層フロアパネルおよび/またはプラスチックフロアパネルを形成することができる。結合部59、60とコア58は、好ましくは、一体的に接続されている。
【0049】
この概要は、この開示内での広範な議論において与えられている多くの教示およびそれらの教示に対する変形例に関する網羅的なリストにはなっていない、本明細書に開示されている概念への導入をもたらすことが意図されている。したがって、この概要の内容は、以下のクレームの範囲を限定するのに用いるべきではない。
【0050】
発明の概念は、一連の実施例において例示されており、いくつかの実施例は、一つ以上の発明の概念を示している。個々の発明の概念は、特定の実施例において記載されているすべての詳細を実施することなく実施することができる。当業者は、具体的な用途に対処するために、さまざまな実施例で例示されている発明の概念を一緒に組合せることができることを正しく認識する可能性があるため、以下に記載されている発明の概念の起こりうるすべての組合せに関する実施例を記載する必要はない。
【0051】
開示した教示の他のパネル構造、組み付け方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を調べれば、当業者には明らかであり、または、明らかになるであろう。そのような追加的なパネル構造、組み付け方法、特徴および利点が、添付クレームの範囲に含まれること、および添付クレームによって保護されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図6