【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、説明および特許請求の範囲の主題によって達成される。
【0013】
第1の態様において、本発明は、以下の構成成分を含む鋳造スラグに関する:
30〜50重量%のCaO;
20〜45重量%のAl
2O
3;
7〜15重量%のF
−(フッ素イオン);
5〜15重量%のNa
2O;
3〜6.5重量%のSiO
2;
2〜5%重量%のLi
2O。
【0014】
この鋳造スラグは、CaOおよびAl
2O
3構成成分を、特に予備融解されたカルシウムアルミネートの形態において含む鋳造粉末から得られる。本質的に予備融解とは、本発明の意味において、カルシウムアルミネートは>50%、好ましくは>60%、より好ましくは>70%、非常に好ましくは>80%、最も好ましくは>90%で、100%まで予備融解されることを意味する。
【0015】
さらに、鋳造粉末は、フッ化物含有構成成分、好ましくはCaF
2、SiO
2(同様にCaSiO
3の形態であってもよい)、Na
2O(Na
2CO
3の形態であってもよい)、Li
2O(Li
2CO
3の形態であってもよい)を含む(およびさらにAl
2O
3を含んでいてもよい)。
【0016】
この鋳造粉末はまた、例えば加熱時に脱ガスされる揮発性成分、例えば水またはCO
2を含んでいてもよい。
【0017】
したがってさらなる態様において、本発明は、以下の構成成分を含む鋳造粉末に関する:
40〜60重量%の予備融解カルシウムアルミネート;
10〜30重量%フッ化物含有構成成分、好ましくはCaF
2;
3〜6.5重量%のSiO
2;
5〜15重量%のNa
2O;
2〜5.5重量%のLi
2O;
≦10.5重量%のAl
2O
3;
≦15重量%の炭素。
【0018】
予備融解カルシウムアルミネート中のCaOとAl
2O
3との比が約40/60(2:3)〜約50/50(1:1)の範囲にあることが、所望の鋳造スラグ組成を達成し、必須の鋳造スラグ特性、例えば粘度を得るために重要である。予備融解カルシウムアルミネート中のCaOとAl
2O
3との比は、そうでなければカルシウムアルミネートの液相線温度が高過ぎ、鋳造粉末の構成要素としてのカルシウムアルミネートが溶融し、したがって鋳造粉末は十分溶融されないので、顕著に0.6未満または顕著に1.0超過となるべきではない。比は、好ましくは0.6〜1.1、より好ましくは0.65〜1.05、非常に好ましくは0.7〜1または0.7〜0.9である。
【0019】
さらに、カルシウムアルミネートは鋳造粉末において予備融解形態であることが重要である。カルシウムアルミネートの好ましい組成は、実質的に共晶組成であり、これは結果として、鋳造粉末のより迅速な溶融、およびさらにこの鋳造粉末から得られた鋳造スラグでは低い結晶化傾向をもたらし、それによって操作上の信頼性を上げる。予備融解カルシウムアルミネートの使用に対する別の理由は、CaO添加の容易な取扱いにある。生石灰(CaO)の使用では、生石灰は高度に吸湿性であり、湿分を吸収することによってその重量を変更し得るので、鋳造粉末を製造することがより困難である。これは、鋳造粉末または鋳造スラグ組成においてCaO/Al
2O
3比のシフトを導く場合があり、その特性が損なわれ得る。
【0020】
ケイ素は、非晶質状態を安定化することに寄与し、鋳造スラグの非晶質凝固を促進する。鋳造粉末におけるSiO
2フラクションは、そうでなければ得られた鋳造スラグの非晶質フラクションが60%未満であるので、3重量%未満になるべきではない。鋳造粉末中のSiO
2フラクションは、そうでなければSiO
2の追加のフラクションが鋼溶融物に存在するアルミニウムと反応するので、6.5重量%を超えるべきではない。遊離酸素は、アルミニウムと結合し、こうしてスラグは、追加的にAl
2O
3を構成する。スラグシステムは、もはや化学的に安定ではなくなり、この場合もはやCaOとAl
2O
3との目標最適比ではないことを意味する。
【0021】
鋳造粉末中のフッ化物含有構成成分は、Na
2OおよびLi
2Oは、凝固温度に影響し、さらに得られた鋳造スラグの結晶化挙動に影響する。そうでなければ凝固温度が上昇し、結晶形態で凝固するスラグのフラクションが増大することになるので、フッ化物含有構成成分のフラクションは10重量%未満になるべきではなく、Na
2Oのフラクションは5重量%未満になるべきではなく、Li
2Oのフラクションは2重量%未満になるべきではない。この文脈においてLi
2Oの影響はNa
2Oの場合を超えるので、Li
2Oが少量でのみ混合されなければならない。しかし、Na
2Oと比較して、Li
2Oは非常に高価であるので、コストの理由からLi
2Oの効果はNa
2Oを用いて可能である限り補われる。
【0022】
そうでなければ凝固温度は低過ぎ、鋳造スラグの粘度が低過ぎることになるので、フッ化物含有構成成分のフラクションは、30重量%を超えるべきではなく、Na
2Oのフラクションは15重量%を超えるべきではなく、Li
2Oのフラクションは5.5重量%を超えるべきではない。低粘度鋳造スラグは鋼表面から流れ落ち、これはスラグの潤滑効果が、鋼ストランドシェルとモールド壁との間の接触領域の全体にわたってもはや提供されないことを意味する。これは、依然として薄いストランドシェルの破壊を導き得、ストランド破壊の結果として製造損失を導く。さらに、不完全に形成されたスラグ膜は、不均一な徐熱条件を導き、したがってこれは結果として、ストランドシェル内の熱応力をもたらし、したがってストランド破壊と同様の可能性がある。
【0023】
予備融解カルシウムアルミネート内で結合したAl
2O
3に加えてさらにAl
2O
3を鋳造粉末に添加できる。追加のAl
2O
3は、カルシウム含有構成要素のレベル、特にCaF
2のレベルが相対的に高い場合に、カルシウム含有構成成分、特にCaF
2の添加がカルシウムアルミネートによって導入されるCaOとAl
2O
3との初期比をシフトさせるので、CaOとAl
2O
3との比を約0.6〜約1.0の目標最適範囲内に維持するために、鋳造粉末に添加される。追加のAl
2O
3のフラクションは、CaOとAl
2O
3との比がAl
2O
3に有利になるように強くシフトし過ぎないように(したがってこれは鋳造スラグの形成および機能性について負の結果を有し得る)、10.5重量%を超えるべきではない。追加のAl
2O
3の添加時に、鋳造粉末において0.7〜0.9のCaOとAl
2O
3との比が、特に有利であることが証明されている。
【0024】
炭素を、鋳造粉末の溶融を加速するために鋳造粉末に添加できる。鋳造粉末の炭素含有量は、鋼溶融物の炭化を防止するために、15重量%を超えるべきではない。炭素は、鋳造粉末において、好ましくは4〜10重量%、より好ましくは5〜7重量%で存在してもよい。この炭素は、当業者に既知の慣習的な形態、例えばカーボンブラック、グラファイト、またはコークダストの形態で使用されてもよい。
【0025】
当業者は、本発明の鋳造粉末が、厳密に粉末形態である必要はないが、代わりに少なくとも一部またはさらには完全に、別の形態、例えば顆粒の形態または中空ビーズの形態(およびさらには液体の形態であってもよい)で存在してもよいことを理解する。
【0026】
凝固時、本発明の鋳造スラグは、実質的に非晶質の構造を有するはずである、すなわち鋳造スラグ中の非晶質フラクションは、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%であるはずである。特に良好な特性は、少なくとも90%の非晶質フラクションを有するスラグによって保持される。高い非晶質フラクションは、良好な潤滑特性および均一な熱伝導を維持するために重要である。
【0027】
本発明の鋳造スラグは、これらの鋳造スラグがAl含有量≧1重量%を有する鋼を用いても化学的に安定であるので、特に、Al含有量≧1重量%を有する鋼の製造に有利である。化学的に安定とは、鋳造過程のスラグが鋼溶融物中に溶解したアルミニウムと反応せず、その化学組成が実質的に変化しないままであることを意味する。これにより、操作の信頼性および製品の品質を向上させる。
【0028】
例えば≧15重量%の高マンガン含有量をさらに有する鋼を用いると、高い操作の信頼性も、本発明の鋳造スラグを用いて達成できる。Mn含有量≧15重量%を有する鋼は、低いMn含有量の鋼よりも相当低い液相線温度を有する。Mn含有量≧15重量%を有する鋼に典型的な液相線温度は、1400〜1430℃である。
【0029】
例えばAl含有量≧1重量%および≧0.2重量%の追加の高チタン含有量を有する鋼は、化学的に活性な元素としてAlだけでなく、化学的に活性な元素としてTiも相当高い割合で存在するので、操作上での問題がある。こうした鋼を製造するために使用される鋳造スラグは、AlおよびTiに関して良好な化学的安定性を示さなければならない。これは、本発明の鋳造スラグにあてはまる。
【0030】
チタンは化学的に活性な元素であり、SiまたはMnに結合した酸素と結合することによって、スラグからSiまたはMnを浸出し得る。二酸化チタン含有量が高い場合、チタンカルシウムオキシド化合物(TiO
2−CaO)が形成する場合があり、鋳造スラグの結晶性凝固を促進する。この問題を防止するために、こうした構成要素、例えば酸化マンガンおよび酸化鉄を本発明の鋳造粉末に加えないことが有利である。したがってこれらの構成成分は、意図的には添加されないが、本発明の鋳造粉末において、ひいては本発明の鋳造スラグにおいて所望でない付随元素として存在し得る。
【0031】
本発明の鋳造スラグ組成はさらに、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物または遷移金属酸化物を含んでいてもよい。したがって本発明の鋳造スラグ組成は、以下の構成成分の1つ以上を含む:
≦5.0重量%のTiO
2;
≦5.0重量%のMgO;
≦3.0重量%のMnO;
≦2.0重量%のFeO。
【0032】
したがって関連して好ましい鋳造粉末組成はさらに、以下の構成成分の1つ以上を含む:
≦5.0重量%のTiO
2;
≦5.0重量%のMgO;
≦3.0重量%のMnO;
≦1.0重量%のFe
2O
3;
≦1.0重量%のFeO。
【0033】
TiO
2は、本発明の鋳造粉末に添加されてもよい。しかし、鋳造粉末中のTiO
2のフラクションは、この数字を超えるTiO
2のフラクションが鋼溶融物中に存在するアルミニウムと反応し得るので、5.0重量%を超えるべきではない。遊離酸素は、アルミニウムと結合し、スラグは追加的にAl
2O
3を吸収する。スラグシステムは、もはや化学的に安定ではなくなり、すなわちこの場合もはやCaOとAl
2O
3との目標最適比はあてはまらない。さらに、>5重量%のTiO
2フラクションにおいて、元素形態のチタンは、鋼溶融物に移動し、その化学組成を不必要に変更し得る。
【0034】
MgO、MnO、Fe
2O
3、およびFeOは、鋳造粉末中に付随元素として存在し得るが、鋳造スラグ特性を調整するためには意図的に添加されない。
【0035】
1つの好ましい実施形態において、本発明の鋳造スラグは、以下の構成成分を含む:
33〜48重量%のCaO;
23〜43重量%のAl
2O
3;
7〜13重量%のF
−(フッ素イオン);
3〜6.5重量%のSiO
2;
7〜12重量%のNa
2O;
2〜5重量%のLi
2O;
≦3重量%のTiO
2;
≦1.5重量%のMgO;
≦1.0重量%のMnO;
≦1重量%のFeO。
【0036】
関連する好ましい鋳造粉末組成は、揮発性成分を含まず計算されて、以下の構成成分を含む:
40〜60重量%の予備融解カルシウムアルミネート;
15〜30重量%のフッ化物含有構成成分、好ましくはCaF
2;
3〜6重量%のSiO
2;
7〜12重量%のNa
2O;
2〜5.5重量%のLi
2O;
≦10.5重量%のAl
2O
3;
≦15重量%の炭素;
≦3.0重量%のTiO
2;
≦1.0重量%のMgO;
≦1.0重量%のMnO;
≦1.0重量%のFe
2O
3;
≦1.0重量%のFeO。
【0037】
鋳造スラグおよび鋳造粉末の上述の組成について記述される重量数字は、いずれの場合も、鋳造スラグ組成または鋳造粉末組成のそれぞれの構成成分の総合計に基づく。
【0038】
本発明の鋳造スラグおよび鋳造粉末組成中のフッ素イオンおよびフッ化物含有構成成分は、慣習的なフッ化物の形態において、いずれの場合も添加されてもよく、例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属および/または遷移金属のフッ化物、より詳細にはCaF
2、MgF
2、NaF、LiFおよびこれらフッ化物の2つ以上の混合物からなる群から選択されるフッ化物の形態である。
【0039】
本発明の鋳造スラグおよび鋳造粉末の実施形態において、いずれの場合も、フッ素イオンおよび/またはフッ化物含有構成成分のフラクションはCaF
2(蛍石とも称される)から生じることが特に好ましい。
【0040】
構成成分カルシウムアルミネート(CaO−Al
2O
3)およびCaF
2を含む鋳造粉末の組成は、得られた鋳造スラグの特性の一貫性、特に同様にAl合金化鋼の製造の操作の信頼性を改善するために特に有利であることが明らかである。この三元CaO−Al
2O
3−CaF
2混合物の構成成分は、鋼に存在するアルミニウムとの反応に関与せず、鋳造の間に得られた鋳造スラグの一貫した特性のように、こうして鋳造粉末の化学的安定性が確実になる。
【0041】
使用された鋳造粉末の明確な組成は変動してもよく、こうして優勢な条件に、例えば鋼の組成にまたは鋳造プロセスのタイプにさらに適合されてもよい。
【0042】
原理上、鋳造粉末添加剤として三酸化ホウ素(B
2O
3)を用いることも可能である。粉末またはスラグに存在する三酸化ホウ素は、以下の反応式にしたがって、鋼に存在するアルミニウムによって還元され得る:
2Al+B
2O
3←→Al
2O
3+2B
還元されたホウ素は、所望ではない付随の元素として溶融物に混入され得る。これを防止するために、ホウ素は、好ましくは本明細書に記載された鋳造粉末および鋳造スラグ組成から取り除かれる。
【0043】
機能特性、例えば鋼とモールドとの間の鋳造ギャップ中の潤滑特性を最適化するために、例えば鋳造スラグの組成は、鋳造される鋼の等級の液相線温度に適合させてもよい。これは、例えば鋳造粉末中のフラックスの規定含有量、例えば酸化ナトリウム(Na
2O)および/または酸化リチウム(Li
2O)および/またはフッ化物含有構成成分の量を設定することによって行われる。
【0044】
高い液相線温度、例えば1500〜1530℃を有する鋼等級の鋳造において、例えば5〜11重量%のNa
2O含有量、約2〜3重量%のLi
2O含有量、および8〜10.5重量%のF
−含有量が鋳造スラグに設定されてもよく、Na
2O、Li
2O、およびF
−の総合計が好ましくは<25重量%である。Na
2O、Li
2OおよびF
−の総合計は、スラグの粘度が低くなり過ぎるのを防止するために、<25重量%となるべきである。
【0045】
したがってさらなる態様において、本発明は、以下の構成成分を含む、高い液相線温度を有する鋼の鋳造スラグ組成に関する:
30〜50重量%のCaO;
20〜45重量%のAl
2O
3;
8〜10.5重量%のF
−(フッ素イオン);
3〜6.5重量%のSiO
2;
5〜11重量%のNa
2O;
2〜3重量%のLi
2O;
≦3重量%のTiO
2;
≦5重量%のMgO;
≦3重量%のMnO;
≦2重量%のFeO。
【0046】
関連する鋳造粉末組成は、揮発性成分を含まず計算されて、以下の構成要素を含む:
40〜60重量%の予備融解カルシウムアルミネート;
10〜30重量%のフッ化物含有構成成分、好ましくはCaF
2;
3〜6.5重量%のSiO
2;
5〜11重量%のNa
2O;
2〜3重量%のLi
2O;
≦10.5重量%のAl
2O
3;
≦15重量%の炭素;
≦3.0重量%のTiO
2;
≦5.0重量%のMgO;
≦3.0重量%のMnO;
≦1.0重量%のFe
2O
3;
≦1.0重量%のFeO。
【0047】
1つの好ましい実施形態において、高い液相線温度を有する鋼の鋳造スラグ組成は以下の構成成分を含む:
33〜48重量%のCaO;
23〜43重量%のAl
2O
3;
8〜10.5重量%のF
−(フッ素イオン);
3〜5重量%のSiO
2;
5〜11重量%のNa
2O;
2〜3重量%のLi
2O;
≦3重量%のTiO
2;
≦1.5重量%のMgO;
≦1.0重量%のMnO;
≦1.0重量%のFeO。
【0048】
関連した好ましい鋳造粉末組成は、揮発性成分を含まずに計算されて、以下を含む:
40〜60重量%の予備融解カルシウムアルミネート;
10〜25重量%のフッ化物含有構成成分、好ましくはCaF
2の形態;
3〜5重量%のSiO
2;
5〜11重量%のNa
2O;
2〜3重量%のLi
2O;
≦8重量%のAl
2O
3;
≦5重量%の炭素;
≦3.0重量%のTiO
2;
≦1.0重量%のMgO;
≦1.0重量%のMnO;
≦1.0重量%のFe
2O
3;
≦1.0重量%のFeO。
【0049】
低い液相線温度、例えば1400〜1430℃を有する鋼について、特に想定された鋳造スラグは、9〜15重量%のNa
2O含有量、4〜5重量%のLi
2O含有量、および12.5〜15重量%のF
−含有量を有し、Na
2O、Li
2OおよびF
−の総合計は≧25重量%である。ここで、相対的に高いフラックス含有量を有する場合に関して、測定された粘度は、低温方向に約100℃シフトする(
図2)。
【0050】
したがってさらなる態様において、本発明は、以下の構成成分を含む、低い液相線温度を有する鋼の鋳造スラグ組成に関する:
30〜50重量%のCaO;
20〜45重量%のAl
2O
3;
12.5〜15重量%のF
−(フッ素イオン);
3〜6.5重量%のSiO
2;
9〜15重量%のNa
2O;
4〜5重量%のLi
2O;
≦3重量%のTiO
2;
≦5重量%のMgO;
≦3重量%のMnO;
≦2重量%のFeO。
【0051】
関連した鋳造粉末は、揮発性成分を含まずに計算されて、以下の構成成分を含む組成を有する:
40〜60重量%の予備融解カルシウムアルミネート;
15〜30重量%のフッ化物含有構成成分、好ましくはCaF
2の形態;
3〜6.5重量%のSiO
2;
9〜15重量%のNa
2O;
3〜5重量%のLi
2O;
≦10重量%のAl
2O
3;
≦15重量%の炭素;
≦3重量%のTiO
2;
≦5重量%のMgO;
≦3重量%のMnO;
≦1重量%のFe
2O
3;
≦1重量%のFeO。
【0052】
1つの好ましい実施形態において、低い液相温度を有する鋼のための本発明の鋳造スラグ組成は以下の構成成分を含む:
33〜48重量%のCaO;
23〜43重量%のAl
2O
3;
12.5〜15重量%のF
−(フッ素イオン);
3〜5重量%のSiO
2;
11〜15重量%のNa
2O;
3〜5重量%のLi
2O;
≦3重量%のTiO
2;
≦1.5重量%のMgO;
≦1重量%のMnO;
≦1重量%のFeO。
【0053】
関連した好ましい鋳造粉末組成は、揮発性成分を含まずに計算されて、以下を含む:
40〜60重量%の予備融解カルシウムアルミネート;
15〜30重量%のフッ化物含有構成成分、好ましくはCaF
2の形態;
3〜5重量%のSiO
2;
11〜15重量%のNa
2O;
3〜5重量%のLi
2O;
≦10重量%のAl
2O
3;
≦15重量%の炭素;
≦3.0重量%のTiO
2;
≦1.5重量%のMgO;
≦1.0重量%のMnO;
≦1.0重量%のFe
2O
3;
≦1.0重量%のFeO。
【0054】
鋳造スラグの別の重要な特性は、それらの熱伝導率である。鋳造ギャップ内において、この伝導率は、鋼からモールドへの熱の移動を決定する。熱伝導率は、鋳造スラグの結晶化挙動によって主に影響を受ける。ここで、鋳造スラグは非晶質または結晶性凝固を行うかどうかが重要である。ケイ酸カルシウムに基づく典型的な鋳造スラグは、主に非晶質凝固を有し、または迅速に冷却される場合に非晶質および結晶性構成要素を形成する。鋳造スラグの非晶質フラクションは、潤滑特性に有利であり、より大きな熱移動を確実にする。
【0055】
包晶凝固を示す鋼の鋳造において、より低い熱移動は、縦方向クラックを防止するために所望される。この低い熱移動は、非晶質/結晶性比および鋳造スラグの関連熱伝導率が鋼の等級に適合される場合に、相対的に高い結晶性フラクションを有する鋳造スラグの使用を含む方法によって達成できる。したがって適合は、フラックス(Na
2O、Li
2O、F
−)の量を通して可能になる。フラックスの高いフラクションは、同時に鋳造スラグにおいてより高い非晶質フラクションを導く。
【0056】
6.5重量%以下のSiO
2の添加により、鋳造スラグにおいて過剰な非晶質フラクションを防止する。
【0057】
したがって本発明の好ましい実施形態において、上記で同定される組成において、SiO
2構成成分の量は、≦6重量%、好ましくは≦5.5重量%、より好ましくは≦5重量%である。
【0058】
相対的に低いTiO
2含有量を供給することによりさらに、上記で同定される鋳造粉末組成のSiO
2含有量を低減できる。同様にTiO
2は、鋳造スラグの非晶質フラクションの形成の利益をもたらし、さらに鋼に存在するAlとの反応に関してSiO
2よりも熱力学的により安定である。鋳造スラグの粘度は、SiO
2の低減および同時にTiO
2の添加時に変化しないままである(
図3)。
【0059】
したがってさらなる態様において、本発明は、以下の構成成分を有する鋳造スラグ組成に関する:
30〜50重量%のCaO;
20〜45重量%のAl
2O
3;
8〜15重量%のF
−(フッ素イオン);
3〜5重量%のSiO
2;
5〜15重量%のNa
2O;
2〜5重量%のLi
2O;
1.5〜5重量%のTiO
2;
≦5重量%のMgO;
≦3重量%のMnO;
≦2重量%のFeO。
【0060】
関連する鋳造粉末は、揮発性成分を含まずに計算されて、以下の構成成分を含む組成を有する:
40〜60重量%の予備融解カルシウムアルミネート;
10〜30重量%のフッ化物含有構成成分、好ましくはCaF
2の形態;
3〜5重量%のSiO
2;
5〜15重量%のNa
2O;
2〜5重量%のLi
2O;
≦10重量%のAl
2O
3;
≦15重量%の炭素;
1.5〜5重量%のTiO
2;
≦5重量%のMgO;
≦3重量%のMnO;
≦1重量%のFe
2O
3;
≦1重量%のFeO。
【0061】
1つの好ましい実施形態において、本発明の鋳造スラグ組成は、以下の構成成分を含む:
33〜48重量%のCaO;
23〜43重量%のAl
2O
3;
8〜13重量%のF
−(フッ素イオン);
3〜4重量%のSiO
2;
8〜13重量%のNa
2O;
3〜5重量%のLi
2O;
1.5〜3重量%のTiO
2;
≦1.5重量%のMgO;
≦1重量%のMnO;
≦1重量%のFeO。
【0062】
関連する好ましい鋳造粉末は、揮発性成分を含まずに計算されて、以下の構成成分を含む組成を有する:
50〜60重量%の予備融解カルシウムアルミネート;
15〜25重量%フッ化物含有構成成分、好ましくはCaF
2の形態;
3〜4重量%のSiO
2;
8〜13重量%のNa
2O;
3〜5重量%のLi
2O;
≦10重量%のAl
2O
3;
≦15重量%の炭素;
1.5〜3重量%のTiO
2;
≦1.5重量%のMgO;
≦1.0重量%のMnO;
≦1重量%のFe
2O
3;
≦1重量%のFeO。
【0063】
本発明の鋳造スラグの際立った特徴は、それらが鋼中のアルミニウムフラクションに対して反応性を有していないまたは非常にわずかにのみ反応性を有し、それによって鋳造可能な鋼等級の範囲を拡張し、高いフラクションのアルミニウムまたは高いフラクションのアルミニウムおよびマンガンを有する鋼であっても信頼性の高い製造を可能にすることである。これはまた、最終的に、これらの鋳造粉末を用いて得られる鋼の製品の品質における改善をもたらす。
【0064】
本発明のさらなる態様は、上記で記載されるような鋳造粉末を用いた鋼の鋳造方法に関する。
【0065】
本発明の鋳造粉末と関連して上記で記載された好ましい実施形態はすべて同様に、鋼の鋳造のための本発明の方法に準じて有効であり、したがってこの点において繰り返さない。
【0066】
鋼の鋳造方法は、好ましくは連続操作によって、より詳細には連続鋳造方法にしたがって行われる。
【0067】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、≧1重量%、好ましくは≧1.5重量%、より好ましくは≧3.0重量%、非常に好ましくは≧5.0重量%のアルミニウム含有量を有する鋼の鋳造のための本発明の方法に関する。
【0068】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、≧15重量%、好ましくは≧17.5重量%、より好ましくは≧20重量%のマンガン含有量を有する鋼の鋳造のための本発明の方法に関する。
【0069】
別の好ましい実施形態において、本発明は、≧0.2重量%、好ましくは≧0.5重量%のチタン含有量を有する鋼の鋳造のための本発明の方法に関する。
【0070】
1つの好ましい実施形態において、本発明は、≧1重量%、好ましくは≧1.5重量%、より好ましくは≧3.0重量%、非常に好ましくは≧5.0重量%のアルミニウム含有量を有し、≧15重量%、好ましくは≧17.5重量%、より好ましくは≧20重量%のマンガン含有量を有していてもよく、および≧0.2重量%、好ましくは≧0.5重量%のチタン含有量を有していてもよい鋼の鋳造のための本発明の方法に関する。