特許第6553684号(P6553684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553684
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】入力装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G04G 21/08 20100101AFI20190722BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20190722BHJP
   G04G 21/00 20100101ALI20190722BHJP
   G04G 21/04 20130101ALI20190722BHJP
   G06F 3/044 20060101ALN20190722BHJP
【FI】
   G04G21/08 Z
   G06F3/041 400
   G06F3/041 662
   G04G21/00 304P
   G04G21/04
   !G06F3/044 122
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-155049(P2017-155049)
(22)【出願日】2017年8月10日
(65)【公開番号】特開2018-155727(P2018-155727A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2017年8月10日
(31)【優先権主張番号】106109007
(32)【優先日】2017年3月17日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】310003669
【氏名又は名称】巨擘科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】邱 丕良
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−202386(JP,A)
【文献】 特開2016−102950(JP,A)
【文献】 特開2010−243179(JP,A)
【文献】 特表2016−504579(JP,A)
【文献】 特開2013−195268(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/190119(WO,A1)
【文献】 特開昭50−155263(JP,A)
【文献】 特開2016−006562(JP,A)
【文献】 特開2016−045910(JP,A)
【文献】 特開2011−066610(JP,A)
【文献】 特開2012−248982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 21/08
G04G 21/00
G04G 21/04
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部と、
ケース部と、
前記カバー部、前記ケース部と共に上から下へ順番に構成されて収容空間を形成する裏蓋と、
前記カバー部の下面に形成され、前記カバー部の前記下面に形成された後に前記カバー部との組み合わせ構造が70%以上の透過率を有し、前記カバー部との組み合わせ構造において映像が表示されないメッシュ状の透明導電膜と、
前記収容空間内に設置される機能モジュールと、を含み、
前記透明導電膜は、微細な金属ワイヤからなるメッシュ状の構造を有することで、70%以上の透過率とされ、
前記機能モジュールは、
前記透明導電膜により移動端末と無線通信を行う無線通信ユニットと、
前記カバー部または前記カバー部の上方において操作を行うことによって発生する信号変化を、前記透明導電膜により検出するためのタッチ検出ユニットと、
前記信号変化を受けて、前記信号変化に応じて対応するコマンドを出力するプロセッサと、を含み、
1つの前記メッシュ状の透明導電膜が通信部及びセンサ部に分割されて、前記通信部は前記無線通信ユニットに電気的に接続され、前記センサ部は前記タッチ検出ユニットに電気的に接続されることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記透明導電膜の前記センサ部は、互いに電気的に切り離される複数の領域に仕切られることを特徴とする請求項に記載の入力装置。
【請求項3】
前記透明導電膜の前記通信部は、短距離の通信アンテナであることを特徴とする請求項に記載の入力装置。
【請求項4】
前記収容空間内に設置される表示素子をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記収容空間内に設置される時間表示素子をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記時間表示素子は、実体の時間目盛りと、前記時間目盛りの上方に設置される少なくとも1つのインジケーターとを含むことを特徴とする請求項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記時間表示素子は、時間をデジタル表示する表示装置であることを特徴とする請求項に記載の入力装置。
【請求項8】
透明基材と、
前記透明基材の一面に形成され、前記透明基材の前記一面に形成された後に前記透明基材との組み合わせ構造が70%以上の透過率を有し、前記透明基材との組み合わせ構造において映像が表示されないメッシュ状の透明導電膜と、
前記透明導電膜に電気的に接続される機能モジュールと、を含み、
前記透明導電膜は、微細な金属ワイヤからなるメッシュ状の構造を有することで、70%以上の透過率とされ、
前記機能モジュールは、
前記透明導電膜により移動端末と無線通信を行う無線通信ユニットと、
前記透明基材または前記透明基材の上方において操作を行うことによって発生する信号変化を、前記透明導電膜により検出するためのタッチ検出ユニットと、
前記信号変化を受けて、前記信号変化に応じて対応するコマンドを出力するプロセッサと、を含み、
1つの前記メッシュ状の透明導電膜が通信部及びセンサ部に分割されて、前記通信部は前記無線通信ユニットに電気的に接続され、前記センサ部は前記タッチ検出ユニットに電気的に接続されることを特徴とする入力装置。
【請求項9】
前記透明導電膜は、互いに電気的に切り離される複数の領域に仕切られることを特徴とする請求項に記載の入力装置。
【請求項10】
上から下へ順番に構成して収容空間を形成するカバー部と、ケース部と、裏蓋とを用意する工程と、
微細な金属ワイヤからなるメッシュ状の構造を有することで、70%以上の透過率とされ、前記カバー部の下面に形成された後に前記カバー部との組み合わせ構造も70%以上の透過率を有し、前記カバー部との組み合わせ構造において映像が表示されないメッシュ状の透明導電膜を前記カバー部の下面に形成する工程と、
レーザーパターニングにより1つの前記メッシュ状の透明導電膜を通信部及びセンサ部に分割する工程と、
前記透明導電膜により移動端末と無線通信を行う無線通信ユニットと、前記カバー部または前記カバー部の上方において操作を行うことによって発生する信号変化を、前記透明導電膜により検出するためのタッチ検出ユニットと、前記信号変化を受けて前記信号変化のパターンに応じて対応するコマンドを出力するプロセッサとを含む機能モジュールを前記収容空間内に設置する工程と、を含むことを特徴とする入力装置の製造方法。
【請求項11】
透明基材を用意する工程と、
微細な金属ワイヤからなるメッシュ状の構造を有することで、70%以上の透過率とされ、前記透明基材の一面に形成された後に前記透明基材との組み合わせ構造も70%以上の透過率を有し、前記透明基材との組み合わせ構造において映像が表示されないメッシュ状の透明導電膜を前記透明基材の一面に形成する工程と、
レーザーパターニングにより1つの前記メッシュ状の透明導電膜を通信部及びセンサ部に分割する工程と、
前記透明導電膜により移動端末と無線通信を行う無線通信ユニットと、前記透明基材または前記透明基材の上方において操作を行うことによって発生する信号変化を、前記透明導電膜により検出するためのタッチ検出ユニットと、前記信号変化を受けて前記信号変化のパターンに応じて対応するコマンドを出力するプロセッサとを含む機能モジュールを、前記透明導電膜に電気的に接続させる工程と、を含むことを特徴とする入力装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力分野に関し、特に、入力装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ウェアラブル装置は、外部装置(例えば、携帯電話)と通信可能な入力装置となり得るように開発されてきた。例えば、腕時計をスマート腕時計にするために、無線アンテナ及び機能モジュールを従来の腕時計(すなわち、指針式腕時計)に取付けることは一般的となっている。従来のスマート腕時計に用いる無線アンテナは、通常、チップアンテナ(chip antenna)、螺旋状や渦巻き状アンテナ(Helix or Spiral antenna)、パッチアンテナ(patch antenna)またはループアンテナ(loop antenna)等により信号を送受信する。また、チップアンテナ等は、電磁界アンテナであり、即ち、電磁界を利用して信号を送受信する。
【0003】
従来のスマート腕時計構造は、腕時計表面、文字盤、腕時計ケース、及び底部ケースを含む。なお、文字盤、腕時計ケース、及び底部ケースは上から下へ順番に構成されて収容空間を形成する。アンテナは、腕時計内部の収容空間または腕時計ケース内に設けられる。通常、従来の腕時計の腕時計ケースや底部ケース、文字盤等の、収容空間を形成する部品は金属から製造される。金属が信号を遮断する特徴を有するため、従来のスマート腕時計の収容空間または腕時計ケース内のアンテナにより送受信される信号は、金属から製造される腕時計ケースや底部ケース、文字盤等の部品からの影響を受けてしまう。
【0004】
収容空間を形成する文字盤や腕時計ケース、底部ケースのうちの少なくとも1つの部品が非金属から製造されたり、少なくとも1つの部品の一部が非金属から製造されたりした場合でも、アンテナは収容空間または腕時計ケース内に設置されると、例えば、収容空間を形成する文字盤、腕時計ケース、底部ケース、または収容空間内に配置されるムーブメント、機能モジュール、電池からの影響を受け、その結果、移動端末との無線通信距離を大幅に短縮してしまう。
【0005】
また、従来の腕時計は、タッチパネルや電子ダイヤル(押しボタン)を有していない。腕時計内に種々の通信や演算モジュールを増設しても、ジェスチャー認識以外、他の形態で操作することができない。使用者にとっては、腕時計の操作になじむとは限らず、例えば、使用者が腕時計を三回まわすことで携帯電話の音を鳴らす場合に、腕時計に対する正確な操作を熟知していないおそれがあり、それによって腕時計を正しく操作することができないことがある。
【0006】
そのため、従来技術の問題点を解決する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の問題を解決可能な入力装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る入力装置は、カバー部と、ケース部と、前記カバー部、前記ケース部と共に上から下へ順番に構成されて収容空間を形成する裏蓋と、前記カバー部の下面に形成され、前記カバー部との組み合わせ構造が70%以上の透過率を有する透明導電膜と、前記収容空間内に設置される機能モジュールと、を含む。前記機能モジュールは、前記カバー部または前記カバー部の上方において操作を行うことによって発生する信号変化を、前記透明導電膜により検出するためのタッチ検出ユニットと、前記信号変化を受けて、前記信号変化のパターンに応じて対応するコマンドを出力するプロセッサと、を含む。
【0009】
本発明の他の実施形態に係る入力装置は、カバー部と、ケース部と、前記カバー部、前記ケース部と共に上から下へ順番に構成されて収容空間を形成する裏蓋と、前記カバー部の下面に形成され、前記カバー部の前記下面に形成された後に前記カバー部との組み合わせ構造が70%以上の透過率を有し、前記カバー部との組み合わせ構造において映像が表示されない透明導電膜と、前記収容空間内に設置される機能モジュールと、を含む。前記機能モジュールは、前記透明導電膜により移動端末と無線通信を行う無線通信ユニットと、前記カバー部または前記カバー部の上方において操作を行うことによって発生する信号変化を、前記透明導電膜により検出するためのタッチ検出ユニットと、前記信号変化を受けて、前記信号変化に応じて対応するコマンドを出力するプロセッサと、を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態に係る入力装置は、透明基材と、前記透明基材の一面に形成され、前記透明基材の前記一面に形成された後に前記透明基材との組み合わせ構造が70%以上の透過率を有し、前記透明基材との組み合わせ構造において映像が表示されない透明導電膜と、前記透明導電膜に電気的に接続される機能モジュールと、を含む。前記機能モジュールは、前記透明基材または前記透明基材の上方において操作を行うことによって発生する信号変化を、前記透明導電膜により検出するためのタッチ検出ユニットと、前記信号変化を受けて、前記信号変化に応じて対応するコマンドを出力するプロセッサと、を含む。
【0011】
本発明の一実施形態に係る入力装置の製造方法は、上から下へ順番に構成して収容空間を形成するカバー部と、ケース部と、裏蓋とを用意する工程と、前記カバー部の前記下面に形成された後に前記カバー部との組み合わせ構造が70%以上の透過率を有し、前記透明導電膜と前記カバー部との組み合わせ構造において映像が表示されない透明導電膜を前記カバー部の下面に形成する工程と、前記カバー部または前記カバー部の上方において操作を行うことによって発生する信号変化を、前記透明導電膜により検出するためのタッチ検出ユニットと、前記信号変化を受けて前記信号変化のパターンに応じて対応するコマンドを出力するプロセッサとを含む機能モジュールを前記収容空間内に設置する工程と、を含む。
【0012】
本発明の他の実施形態に係る入力装置の製造方法は、透明基材を用意する工程と、前記透明基材の前記一面に形成された後に前記透明基材との組み合わせ構造が70%以上の透過率を有し、前記透明基材との組み合わせ構造において映像が表示されない透明導電膜を前記透明基材の一面に形成する工程と、前記透明基材または前記透明基材の上方において操作を行うことによって発生する信号変化を、前記透明導電膜により検出するためのタッチ検出ユニットと、前記信号変化を受けて前記信号変化のパターンに応じて対応するコマンドを出力するプロセッサとを含む機能モジュールを、前記透明導電膜に電気的に接続させる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る入力装置では、透明導電膜がカバー部またはカバー部の上方において行われる操作を検出することができ、すなわち、タッチパネルが設置されなくても、透明導電膜によりカバー部またはカバー部の上方において行われる操作を検出することができ、使用者による装置、例えば、腕時計、電気メーターまたはメガネの操作を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る入力装置の平面図である。
図2図1の入力装置の分解図である。
図3図1の入力装置の断面図である。
図4】本発明の一実施形態の制御ユニットが移動端末と無線通信を行う状態を示す図である。
図5】本発明の一実施形態の透明導電膜をカバー部に貼り付けた状態を示す図である。
図6図5の範囲Aの拡大図である。
図7】本発明の一実施形態の透明導電膜をメガネのレンズに貼り付けた状態を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る入力装置の製造方法を示すフローチャートである。
図9】本発明の他の実施形態に係る入力装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る入力装置は、それに内蔵される短距離通信モジュールを含み、腕時計であってもよいが、これに限定されない。図1は、本発明の一実施形態に係る入力装置の平面図である。図2は、図1の入力装置の分解図である。図3は、図1の入力装置の断面図である。図1図3を参照しながら、本発明に係る入力装置を詳しく説明する。
【0016】
この入力装置は、カバー部10、透明導電膜12、時間表示素子14、ムーブメント16、機能モジュール18、ケース部20、クラウン22、電池24及び裏蓋26を含む。
【0017】
カバー部10、ケース部20及び裏蓋26は、上から下へ順番に構成されて収容空間28を形成し、装置内部の機械及び/または電子部品を保護する。
【0018】
好ましくは、カバー部10は透明材質(例えば、ガラス)からなり、透明導電膜12はカバー部10の下面に貼り付けられて形成される。なお、透明導電膜12は短距離通信機能を有する。好ましくは、透明導電膜12は、光透過性の高い構造である。透明導電膜12がカバー部10の下面に形成された後でも、カバー部10と透明導電膜12との組合せ構造が70%以上の透過率(transmittance)を有するため、使用者はカバー部10を通して時間を確認する場合に透明導電膜12による影響を受けることがない。
【0019】
本実施形態では、時間表示素子14は、収容空間28内に設置されて機能モジュール18の上方に位置し、実体の時間目盛り140(例えば、1時から12時)と、時間目盛り140の上方に設置される少なくとも1つのインジケーター30(例えば、実体の時針、分針及び秒針)とを含む。インジケーター30は、ムーブメント16によって駆動され、これにより時間表示素子14上の時間目盛り140と合わせて時間を表示する。使用者は、透明のカバー部10及び透明導電膜12を介して時間目盛り140で示された位置情報(すなわち、時間情報)を見ることができる。
【0020】
なお、本実施形態では、入力装置が指針式腕時計であり、時間表示素子14が文字盤である。また、他の実施形態では、腕時計がデジタル式腕時計であり、時間表示素子14が時間を画面で表示する表示装置である。
【0021】
クラウン22は、入力装置の側面に設置される。使用者は、クラウン22の摘みを回すことで時間を調整したりアラームの時間を設定したりすることができる。
【0022】
電池24は、ムーブメント16及び/又は機能モジュール18に必要な電力を供給し、使い捨て電池であってもよいし、充電式電池であってもよい。
【0023】
機能モジュール18は、収容空間28内に設置される。図2に示すように、機能モジュール18は、電気接続基板180と、電気接続基板180に設置される制御ユニット182とを含む。図4は、本発明の一実施形態の制御ユニット182が移動端末40と無線通信を行う状態を示す図である。本発明の制御ユニット182は、プロセッサ1820、センサ1822、無線通信ユニット1824及びタッチ検出ユニット1826を含む。
【0024】
この無線通信ユニット1824は、プロセッサ1820に電気的に接続され、透明導電膜12を介して移動端末と無線通信を行う。移動端末40は、無線信号を送受信する無線信号送受信部42を有する。無線信号送受信部42は、例えば、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)トランシーバまたはNFC(Near Field Communication,近距離無線通信)トランシーバであってもよい。なお、入力装置が腕時計構造の場合には、機能モジュール18が腕時計構造のベルトに設置されてもよい。
【0025】
この機能モジュール18は、記憶ユニット1828をさらに含んでもよい。記憶ユニット1828は、プロセッサ1820に必要な関連データを記憶する。また、記憶ユニット1828は、プロセッサ1820に整合されてもよい。
【0026】
本発明の特徴としては、タッチ検出ユニット1826が透明導電膜12及びプロセッサ1820に電気的に接続されることである。使用者が図2のカバー部10またはカバー部10の上方において操作を行った場合(例えば、カバー部10を叩いたり、カバー部10をスライドしたりした場合)、タッチ検出ユニット1826は透明導電膜12により信号変化(例えば、電流変化)を検出する。この信号変化は、カバー部10またはカバー部10の上方において操作を行うことによって発生する。プロセッサ1820は、信号変化を受けて、当該信号変化に応じて対応するコマンドを出力する。
【0027】
例えば、使用者が図2のカバー部10を一回叩くと、タッチ検出ユニット1826は、透明導電膜12の信号変化(例えば、電流変化)を検出してプロセッサ1820に送信する。プロセッサ1820は、信号変化に応じて、入力装置をスリープモードから通常動作モードに切り換える。スリープモードとは、入力装置が省電力化を図るために無線通信ユニット1824をオフにすることで移動端末40と通信不能なモードである。また、通常動作モードとは、入力装置が無線通信ユニット1824をオンにすることで移動端末40と通信可能なモードである。
【0028】
図5と6を参照すると、図5は、本発明の一実施形態の透明導電膜をカバー部に貼り付けた状態を示す図である。図6は、図5のAの拡大図である。
【0029】
図5に示すように、透明導電膜12は、メッシュ状の導電膜であり、実質的に極めて微細な金属ワイヤからなるメッシュ状の構造を有する。このため、使用者はメッシュ状の透明導電膜12を見ることができない。使用者から見える透明導電膜は、ほぼ透明である。
【0030】
透明導電膜12は、通信部120及びセンサ部122を含んでもよい。通信部120は、カバー部10の下面の一部に貼り付けられて形成される。センサ部122は、カバー部10の下面の他の部分に貼り付けられて形成される。通信部120は、センサ部122から電気的に切り離される。通信部120は、無線通信ユニット1824と移動端末40と間に電気的に接続され、無線通信ユニット1824と移動端末40との間の信号を送受信する。センサ部122は、タッチ検出ユニット1826に電気的に接続され、信号伝送部32により信号変化(例えば、電流変化)を図4のタッチ検出ユニット1826に送信する。
【0031】
通信部120及びセンサ部122の製造方法では、まず、カバー部10の下面に導電膜を形成し、次に、レーザーパターニング(laser patterning)により完全な導電膜を通信部120及びセンサ部122に分割する。センサ部122は、微少隙間により通信部120と区分され、通信部120と互いに影響を及ぼさないようになる。
【0032】
また、図5に示す実施形態では、センサ部122は、第1領域1220及び第2領域1222に仕切られる。第1領域1220及び第2領域1222は、電気的に切り離される。使用者が第1領域1220から第2領域1222にスライドした場合には、第1領域1220のセンサ部122が信号変化をタッチ検出ユニット1826に送信し、第2領域1222のセンサ部122が信号変化をタッチ検出ユニット1826に送信する。プロセッサ1820は、両者の信号変化を読み取るとともに、両者の信号変化に応じて対応する操作コマンドを出力する。例えば、プロセッサ1820は、入力装置を待機モードから通常動作モードに切り換えたり、特定の制御コマンドを実行したりする。例えば、使用者がカバー部10を2秒以上押すと、プロセッサ1820は対応する操作コマンドを無線通信ユニット1824に出力し、これにより、無線通信ユニット1824は、ダイヤルするように移動端末40を通信部120により制御する。
【0033】
他の実施形態では、センサ部122は、2つの領域に仕切られずに1つの領域のみを有してもよい。また、別の実施形態では、センサ部122は、互いに電気的に切り離される複数の領域に仕切られてもよい。なお、複数の領域の面積は同じであってもよいし、異なってもよい。
【0034】
なお、図2では、カバー部10と透明導電膜12との組合せ構造は、映像表示機能を有していない。より明確に説明すると、本発明に係る入力装置の操作原理は、液晶表示装置やタッチデバイスと異なる。
【0035】
また、図1に示す入力装置は、腕時計構造である。他の実施形態では、入力装置は、カバー部10、透明導電膜12、機能モジュール18、ケース部20及び裏蓋26のみを含んでもよい。すなわち、この装置は、時間表示機能を有さずに入力機能を有する。別の実施形態では、入力装置の機能モジュール18は、無線通信ユニット1824を含まなくてもよい。すなわち、この入力装置は、通信機能及び時間表示機能を有さず、入力機能のみを有する。
【0036】
図7は、本発明の他の実施形態に係る入力装置を示す図である。
【0037】
本実施形態では、入力装置はメガネである。入力装置は、透明基材50及び透明導電膜52を含む。透明導電膜52は、透明基材50の一面に形成され、透明基材50の一面に形成された後に透明基材50との組み合わせ構造が70%以上の透過率を有する。なお、透明導電膜52と透明基材50との組み合わせ構造は、映像表示機能を有していない。
【0038】
一実施形態では、この透明導電膜52は、一つの領域のみを有してもよい。他の一実施形態では、複数の透明導電膜52は、互いに電気的に切り離される複数の領域に仕切られてもよい。なお、複数の領域の面積は同じであってもよいし、異なってもよい。
【0039】
図2図4図7に示すように、機能モジュール18は、透明導電膜52に電気的に接続され、少なくとも、タッチ検出ユニット1826、プロセッサ1820及び無線通信ユニット1824を含む。より明確に説明すると、機能モジュール18は、無線通信で透明導電膜52に電気的に接続される。
【0040】
タッチ検出ユニット1826は、透明導電膜52により信号変化を検出する。この信号変化は、透明基材50または透明基材50の上方において操作を行うことによって発生する。透明導電膜52で検出される信号変化は、無線信号送受信部54を介して機能モジュール18のプロセッサ1820に送信される。プロセッサ1820は、信号変換を受けて、当該信号変化に応じて対応するコマンドを出力する。
【0041】
なお、図7に示す実施形態では、2つのレンズには、透明導電膜52が設置される。他の実施形態では、透明導電膜52は、2つのレンズのいずれかに設置されてもよい。また、透明導電膜52は、透明基材50の大部分の領域(左レンズ)に形成されてもよいし、透明基材50の一部の領域(右レンズ)に形成されてもよい。
【0042】
図8は、本発明の一実施形態に係る入力装置の製造方法を示すフローチャートである。図8を参照しながら、本実施形態に係る入力装置の製造方法を説明する。
【0043】
ステップS80では、上から下へ順番に構成して収容空間を形成するカバー部と、ケース部と、裏蓋とを用意する。
【0044】
ステップS82では、カバー部の下面に透明導電膜を形成する。カバー部の下面に透明導電膜を形成した後、カバー部と透明導電膜との組合せ構造が70%以上の透過率を有する。カバー部と透明導電膜との組み合わせ構造は、映像表示機能を有していない。
【0045】
ステップS84では、収容空間内に機能モジュールを設置する。機能モジュールは、タッチ検出ユニット及びプロセッサを含む。タッチ検出ユニットは、透明導電膜により信号変化を検出する。信号変化は、カバー部またはカバー部の上方において操作を行うことによって発生する。プロセッサは、信号変化を受けて、当該信号変化のパターンに応じて対応するコマンドを出力する。
【0046】
図9は、本発明の他の実施形態に係る入力装置の製造方法を示すフローチャートである。図9を参照しながら、本実施形態に係る入力装置の製造方法を説明する。
【0047】
ステップS90では、透明基材を用意する。
【0048】
ステップS92では、透明基材の一面に透明導電膜を形成する。透明基材の一面に透明導電膜を形成した後、透明導電膜と透明基材との組合せ構造が70%以上の透過率を有する。透明導電膜と透明基材との組み合わせ構造は、映像表示機能を有していない。
【0049】
ステップS94では、透明導電膜に機能モジュールを電気的に接続させる。機能モジュールは、タッチ検出ユニット及びプロセッサを含む。タッチ検出ユニットは、透明導電膜により信号変化を検出する。信号変化は、透明基材または透明基材の上方において操作を行うことによって発生する。プロセッサは、信号変化を受けて、当該信号変化のパターンに応じて対応するコマンドを出力する。
【0050】
本発明の入力装置では、透明導電膜が収容空間またはケース部の内部に設けられず、カバー部の下面に貼り付けられることでアンテナ構造を形成するため、透明導電膜が信号を送受信する場合、信号がケース部により遮蔽または影響されることはない。また、本発明の透明導電膜構造は、入力装置と外部装置との間の信号を送受信することができるほか、カバー部において行われる操作を検出することもできる。すなわち、本発明に係る入力装置は、タッチパネルが設置されなくても、透明導電膜によりカバー部またはカバー部の上方において行われる操作を検出することができ、使用者による入力装置の操作をより容易にすることができる。
【0051】
上述したように、本発明は好ましい実施例を開示しているが、該実施例は本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の趣旨と範囲を逸脱しない前提で、各種の変更と改良を行うことができ、そのため、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に記載されている技術案に準ずる。
【符号の説明】
【0052】
10 カバー部
12、52 透明導電膜
14 時間表示素子
16 ムーブメント
18 機能モジュール
20 ケース部
22 クラウン
24 電池
26 裏蓋
28 収容空間
30 インジケーター
32 信号伝送部
40 移動端末
42 無線信号送受信部
50 透明基材
54 無線信号送受信部
120 通信部
122 センサ部
140 時間目盛り
180 電気接続基板
182 制御ユニット
1220 第1領域
1222 第2領域
1820 プロセッサ
1822 センサ
1824 無線通信ユニット
1826 タッチ検出ユニット
1828 記憶ユニット
A 範囲
S80〜S84、S90〜S94 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9