(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553705
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】熱成形可能容量性回路のための高K誘電組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 75/04 20060101AFI20190722BHJP
C08L 71/10 20060101ALI20190722BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20190722BHJP
H01G 4/20 20060101ALI20190722BHJP
C09D 11/00 20140101ALI20190722BHJP
【FI】
C08L75/04
C08L71/10
C08K3/22
H01G4/20 600
C09D11/00
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-501248(P2017-501248)
(86)(22)【出願日】2015年6月18日
(65)【公表番号】特表2017-528549(P2017-528549A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】US2015036412
(87)【国際公開番号】WO2016007268
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2018年4月18日
(31)【優先権主張番号】14/324,760
(32)【優先日】2014年7月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ ロバート ドーフマン
【審査官】
松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−049092(JP,A)
【文献】
特開2001−002970(JP,A)
【文献】
特開2000−319567(JP,A)
【文献】
特開2005−132871(JP,A)
【文献】
特開2004−059716(JP,A)
【文献】
特開2013−105067(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0068512(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
C09D 11/00 − 13/00
H01G 4/00 − 4/10
H01G 4/14 − 4/22
H01G 4/255 − 4/30
H01G 4/32 − 4/40
H01G 13/00 − 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)50〜90重量%の第1の有機溶媒に溶解された10〜50重量%のウレタン樹脂を含む15〜50重量%の第1の有機媒体であって、前記ウレタン樹脂と前記第1の有機溶媒の重量パーセントは、前記第1の有機媒体の総重量に基づく、第1の有機媒体と、
(b)50〜90重量%の第2の有機溶媒に溶解された10〜50重量%の熱可塑性フェノキシ樹脂を含む15〜50重量%の第2の有機媒体であって、前記熱可塑性フェノキシ樹脂と前記第2の有機溶媒の重量パーセントは、前記第2の有機媒体の総重量に基づく、第2の有機媒体と、
(c)少なくとも40の比誘電率(K)を有する高比誘電率(K)材料の1〜70重量%の粉末と、
を含むポリマー厚膜高比誘電率(K)熱成形可能誘電組成物であって、
前記第1の有機媒体、前記第2の有機媒体、及び前記高比誘電率(K)材料の粉末の重量%は、前記誘電組成物の総重量に基づき、
前記ウレタン樹脂は、ウレタンエラストマー、又は、ポリエステル系コポリマーであり、
前記高比誘電率(K)材料は、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウム鉛、チタン酸ストロンチウムバリウム、及びチタン酸ジルコニウムランタン鉛からなる群から選択される、ポリマー厚膜高比誘電率(K)熱成形可能誘電組成物。
【請求項2】
前記高比誘電率(K)材料は、少なくとも500の比誘電率(K)を有する、請求項1に記載のポリマー厚膜高比誘電率(K)熱成形可能誘電組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のポリマー厚膜高比誘電率(K)熱成形可能誘電組成物から形成された高比誘電率(K)誘電層を含む容量性スイッチ回路。
【請求項4】
(a)基板と、
(b)前記基板に堆積された第1の電気導電体と、
(c)第2の電気導電体と、
を更に含み、前記高比誘電率(K)誘電層は、前記第1の電気導電体と前記第2の電気導電体の間に堆積され、これによりキャパシタを形成する、請求項3に記載の容量性スイッチ回路。
【請求項5】
請求項1に記載のポリマー厚膜高比誘電率(K)熱成形可能誘電組成物に使用された前記高比誘電率(K)材料は、少なくとも500の比誘電率(K)を有する、請求項4に記載の容量性スイッチ回路。
【請求項6】
前記容量性スイッチ回路は熱成形される、請求項3に記載の容量性スイッチ回路。
【請求項7】
前記容量性スイッチ回路は射出成形される、請求項6に記載の容量性スイッチ回路。
【請求項8】
請求項1に記載のポリマー厚膜高比誘電率(K)熱成形可能誘電組成物から形成された高比誘電率(K)誘電層によって分離された2つの電気導電体を含むキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高誘電率(K)を有するポリマー厚膜熱成形可能誘電組成物に関する。この組成物から作製された誘電体は、様々な電子用途で使用されて、電気素子を保護することができ、特に高誘電率を与え、この結果、容量性スイッチにおけるキャパシタンスを向上させることができる。
【背景技術】
【0002】
誘電体は、電気素子を保護するために長い間使用されてきた。又、誘電体は、分離層として使用されてきた。誘電体は、こうしたタイプの用途で長年に渡り使用されてきたが、熱成形手順の間、高K層としての誘電体の使用は、一般的でない。これは、高導電性の銀が使用される熱成形可能容量性回路において特に重要であり、且つ、キャパシタンスを増加させるものは、特に回路を熱成形することの厳密さに続いて非常に有利な特性である。高K(誘電率又は比誘電率として通常知られている)は、回路の性能に有益な影響を及ぼすことができ、多くの場合に向上した信号/ノイズをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的の一つは、熱成形可能回路の容量性特性を向上させ、向上した電気特性を有する熱成形可能容量性構造を生じさせることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
(a)50〜90重量%の第1の有機溶媒に溶解された10〜50重量%のウレタン樹脂を含む15〜50重量%の第1の有機媒体であって、ウレタン樹脂と第1の有機溶媒の重量パーセントは、第1の有機媒体の総重量に基づく、第1の有機媒体と、
(b)50〜90重量%の第2の有機溶媒に溶解された10〜50重量%の熱可塑性フェノキシ樹脂を含む15〜50重量%の第2の有機媒体であって、熱可塑性フェノキシ樹脂と第2の有機溶媒の重量パーセントは、第2の有機媒体の総重量に基づく、第2の有機媒体と、
(c)少なくとも40のKを有する高K材料の1〜70重量%の粉末と、
を含むポリマー厚膜高K熱成形可能誘電組成物に関し、この場合に、第1の有機媒体、第2の有機媒体、及び高K材料の粉末の重量%は、誘電組成物の総重量に基づく。
【0005】
本発明は、ポリマー厚膜高K熱成形可能誘電組成物を用いて、熱成形可能容量性電気回路における保護及び/又は絶縁層を形成することに更に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、電気回路を熱成形することに使用されるポリマー厚膜高K熱成形可能誘電組成物に関する。
【0007】
ポリマー厚膜熱成形可能容量性回路に通常使用される基板は、ポリカーボネート(PC)である。容易に熱成形されることができることから、一般的に、PCが好ましい。しかしながら、PCは、それに堆積される層に使用される溶媒に非常に影響される。誤った溶媒によって、PC基板の割れ又はひびが生じる場合がある。
【0008】
ポリマー厚膜(PTF)高K熱成形可能誘電組成物は、有機溶媒に溶解されたポリマー樹脂と、高K材料の粉末と、をそれぞれ含む2つの有機媒体からなる。更に、粉末及び印刷助剤を加えて、組成物を改良することができる。本明細書においては、重量パーセントは、重量%として書かれる。
【0009】
有機媒体
第1の有機媒体は、第1の有機溶媒に溶解されるウレタン樹脂からなる。ウレタン樹脂は、例えば、それに堆積される銀層などの電気素子、及び、下側の基板の両方に、良好な粘着を実現しなければならない。又、ウレタン樹脂は、熱成形のための弾性を付与しなければならない。ウレタン樹脂は、電気素子の性能に適合しなければならず、且つ、悪影響を与えてはいけない。一実施形態においては、ウレタン樹脂は、10〜50重量%であり、且つ、第1の有機溶媒は、50〜90重量%の第1の有機媒体の総重量である。別の実施形態においては、ウレタン樹脂は、15〜35の重量%であり、且つ、第1の有機溶媒は、65〜85重量%の第1の有機媒体の総重量である。更に別の実施形態においては、ウレタン樹脂は、15〜25重量%であり、且つ、第1の有機溶媒は、75〜85重量%の第1の有機媒体の総重量である。一実施形態においては、ウレタン樹脂は、ウレタンエラストマーである。別の実施形態においては、ウレタン樹脂は、ポリエステル系コポリマーである。
【0010】
第2の有機媒体は、第2の有機溶媒に溶解されるフェノキシ樹脂からなる。第2の有機溶媒は、第1の有機溶媒と同一であることができ、又は、異なる溶媒を使用することができる。フェノキシ樹脂は高温能力を組成物に加えて、水分透過性を向上させる、即ち、組成物を通る水分の進行を妨げるのを助ける。一実施形態においては、熱可塑性フェノキシ樹脂は、10〜50重量%であり、且つ、第2の有機溶媒は、50〜90重量%の第2の有機媒体の総重量である。別の実施形態においては、熱可塑性フェノキシ樹脂は、15〜45重量%であり、且つ、第2の有機溶媒は、55〜85重量%の第2の有機媒体の総重量である。更に別の実施形態においては、熱可塑性フェノキシ樹脂は、15〜35重量%であり、且つ、第2の有機溶媒は、65〜85重量%の第2の有機媒体の総重量である。
【0011】
典型的には、ポリマー樹脂は、機械的な混合によって有機溶媒に加えられて媒体を形成する。ポリマー厚膜組成物への使用に適する溶媒は、当業者によって認識されており、酢酸、並びに、カルビトール酢酸、及びα−又はβ−テルピネオールなどのテルペン、又はケロシン、ジブチルフタル酸、ブチルカルビトール、ブチルカルビトール酢酸、ヘキシレングリコール、及び高沸点アルコール、及びアルコールエステルなどのその他の溶媒とのこれらの混合物が挙げられる。更に、基板における塗布後の迅速な硬化を促進するための揮発性液体を含むことができる。本発明の多くの実施形態においては、グリコールエーテル、ケトン、エステルなどの溶媒、及び、同様な沸点(180℃〜250℃の範囲における)のその他の溶媒、並びに、これらの混合物を使用することができる。要求される粘度及び揮発性の要件を得るために、これらの及びその他の溶媒の様々な組合せが処方される。使用される溶媒は、樹脂を可溶化しなければならない。堆積がポリカーボネートになされる場合、溶媒ジアセトンアルコールが、ひびを防止することに特に効果的である。
【0012】
一実施形態においては、ポリマー厚膜(PTF)高K熱成形可能誘電組成物は、15〜50重量%の第1の有機媒体、及び、15〜50重量%の第2の有機媒体からなる。別の実施形態においては、ポリマー厚膜(PTF)高K熱成形可能誘電組成物は、20〜45重量%の第1の有機媒体、及び、20〜45重量%の第2の有機媒体からなる。
【0013】
高K粉末
ポリマー厚膜(PTF)高K熱成形可能誘電組成物は、少なくとも40のKを有する高K材料の粉末からなる。一実施形態においては、高K材料は、少なくとも100のKを有する。別の実施形態においては、高K材料は、少なくとも500のKを有する。いくつかの高K材料の例は、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウム鉛(lead zirconium titanate)、チタン酸ストロンチウムバリウム(barium strontium titanate)、チタン酸ジルコニウムランタン鉛(lead lanthanum zirconium titanate)、二酸化チタン、及び特定のガラスフリットである。一実施形態においては、高K材料粉末の量は、組成物の1〜70%である。別の実施形態においては、高K材料粉末は、全組成物の総重量の20〜60重量%であり、且つ、更に別の実施形態においては、高K材料粉末は、全組成物の総重量の35〜50重量%である。いかなる割れの問題をも回避するために、高K材料粉末の粒径を0.5〜10ミクロンの範囲に維持することが好ましい。
【0014】
更なる粉末
様々な粉末が、PTF高K熱成形可能誘電組成物に加えられて、接着性を向上し、レオロジーを改良し、低せん断粘度を増加させ、これにより、印刷適性を向上させる。こうした粉末の一つは、水分浸透に対する耐性を顕著に向上させることが判明しているヒュームドシリカである。
【0015】
PTF高K熱成形可能誘電組成物の塗布
典型的には、「ペースト」とも称されるPTF高K熱成形可能誘電組成物は、気体及び水分にいくらか不浸透性である、ポリカーボネートなどの基板に堆積される。又、基板は、そこに堆積される任意の金属層又は誘電層を有するプラスチックシートの組合せからなる複合材料のシートであることができる。その他の構造においては、PTF高K熱成形可能誘電組成物は、既存の銀/誘電構造に渡り堆積されることができる。
【0016】
典型的には、PTF高K熱成形可能誘電組成物の堆積は、スクリーン印刷によって実施されるが、孔版印刷、シリンジ分注、又は被覆技術などのその他の堆積技術を利用することができる。スクリーン印刷の場合、スクリーンメッシュサイズは、堆積された厚膜の厚さを制御する。
【0017】
一般的には、厚膜組成物は、適切な電気機能特性を組成物に付与する機能性相を含む。機能性相は、機能性相のためのキャリアとして作用する有機媒体において分散された電気機能性粉末を含む。本発明においては、機能性相は、高K材料である。一般的には、組成物を焼いて、有機媒体のポリマー及び溶媒をともに燃焼させて、電気機能特性を付与する。しかしながら、本発明のポリマー厚膜高K熱成形可能誘電組成物などのポリマー厚膜の場合、有機媒体のポリマー部分は、乾燥後に組成物の構成部分として残留する。
【0018】
PTF高K熱成形可能誘電組成物は、ある時間の間、すべての溶媒を除去するのに必要な温度で加工される。例えば、堆積した厚膜は、典型的には130℃で10〜15分間、熱にさらすことによって乾燥されて高K誘電層を形成する。高K誘電層のKは、PTF高K熱成形可能誘電組成物において使用される高K材料のKに依る。
【0019】
容量性回路構造
使用されるベース基板は、典型的には厚さ10ミルのポリカーボネートである。DuPont 5043(DuPont Co.,Wilmington,DE)などの熱成形可能導電銀組成物は、前述の条件に従って印刷され乾燥される。次いで、PTF高K熱成形可能誘電組成物は、銀層において使用された同一の条件の下で印刷され乾燥される。次いで、第2の高K誘電層は、同様に銀導体の上に印刷されることができる。最後に、DuPont 5043銀の上層は、印刷され乾燥されてキャパシタを形成する。全てのユニットの熱成形を含むことができる次の工程は、3D回路の製造において典型的である。高K誘電体が使用されない場合、容量性回路は、電気性能の減少を受けることなり、且つ、機能性回路は、被害を被ることになり、多くの場合に、感度及び反応性が減少する。
【0020】
三次元容量性回路を作製する過程においては、熱成形工程の後、多くの場合に、最終工程は、成形工程となり、この場合に、ポリカーボネートなどの樹脂を用いた射出成形によって、完成した回路が形成される。このプロセスは、インモールドと称され、より高い温度を伴う。選択された樹脂に応じて、これらの温度は、典型的には10〜30秒間、250℃を超えることができる。このように、PTF組成物において使用される樹脂の選択が重要である。本PTF組成物において使用された樹脂の組合せは、インモールドプロセスを乗り切ることを示しており、完全に機能性回路を作製し、一方、PTF組成物において典型的に使用されたほとんどの樹脂では、そうではない。
【実施例】
【0021】
実施例及び比較実験
実施例1
PTF高K熱成形可能誘電組成物を、以下の方法で調製した。第1の有機媒体を、80.0重量%の二塩基性エステル(DuPont Co.,Wilmington,DE)有機溶剤と、20.0重量%のDesmocoll 540ポリウレタン(Bayer Material Science LLC,Pittsburgh,PA)を混合することによって調製した。樹脂の分子量は、約40,000であった。この混合物を、1〜2時間、90℃で加熱して、すべての樹脂を溶解した。第2の有機媒体を、27.0%のPKHH樹脂(InChem Corp.,Rock Hill,SC)を、73.0%の二塩基性エステルに加えて、前述の通り加熱することによって調製した。次いで、40.0重量%のチタン酸バリウム粉末(Fuji Corp)を、高K材料として加え、すべての組成物を混合した。次いで、組成物を、150psiで2つのサイクルの間、3−ロール−ミル(three−roll−mill)にかけた。
【0022】
組成物は、組成物の総重量に基づいて、
30.0重量% 第1の有機媒体
30.0重量% 第2の有機媒体
40.0重量% チタン酸バリウム粉末
であった。
【0023】
次いで、回路を、以下の通りに作製した。
【0024】
デュポン銀ペースト5043(DuPont silver paste 5043)(DuPont Co.,Wilmington,DE)のパターンを、280メッシュステンレス鋼スクリーンを使用して、厚さ10ミルのポリカーボネート基板に印刷した。銀パターンを、130℃で10分間、乾燥した。次いで、前述で調製したPTF高K熱成形可能誘電組成物のプリントを、200メッシュステンレス鋼スクリーンで印刷し、130℃で10分間、乾燥した。次いで、PTF高K熱成形可能誘電組成物の第2のプリントを印刷し、130℃で10分間、乾燥した。これらの2つの乾燥したプリントは、高K誘電層を形成した。デュポン銀ペースト5043の別の層を、280メッシュステンレス鋼スクリーンで印刷し、130℃で10分間、乾燥した。得られた回路を検査し、下側の基板のひび又は変形の形跡は見られなかった。K値を、測定したキャパシタンス及び誘電層の厚さから算出した。
【0025】
比較実験A
回路を、実施例1に記載の通り作製した。唯一の違いは、PTF高K熱成形可能誘電組成物の代わりに、PTF水分バリア層誘電組成物を使用したことであった。
【0026】
PTF水分バリア層誘電組成物を、以下の方法で調製した。第1の有機媒体を、80.0重量%の二塩基性エステル(DuPont Co.,Wilmington,DE)有機溶剤と、20.0重量%のDesmocoll 540ポリウレタン(Bayer Material Science LLC,Pittsburgh,PA)を混合することによって調製した。樹脂の分子量は、約40,000であった。この混合物を、90℃で1〜2時間、加熱して、すべての樹脂を溶解した。第2の有機媒体を、27.0重量%のPKHH樹脂(InChem Corp.,Rock Hill,SC)を、73.0重量%の二塩基性エステル(DuPont Co.,Wilmington,DE)有機溶媒に加えて、前述の通り加熱することによって調製した。次いで、0.5%のヒュームドシリカ(Cabot Corp)を加えた。5%のジアセトンアルコール(Eastman Chemical,Kingsport,TN)を加え、すべての組成物を混合した。次いで、組成物を、150psiで1つのサイクルの間、3−ロール−ミルにかけた。
【0027】
組成物は、組成物の総重量に基づいて、
47.50重量% 第1の有機媒体
47.00重量% 第2の有機媒体
5.00重量% ジアセトンアルコール溶媒
0.50重量% ヒュームドシリカ
であった。
【0028】
K値を、実施例1に記載の通り算出した。
【0029】
比較実験B
回路を、実施例1に記載の通り作製した。唯一の違いは、PTF高K熱成形可能誘電組成物の代わりに、UV硬化可能誘電組成物を使用したことであった。
【0030】
PTFUV硬化可能誘電組成物を、以下の方法で調製した。有機成分を最初に加え、その後、無機粉末を加えた。組成物を、中速で45分間、混合した。次いで、組成物を、150psiで1つのサイクルの間、3−ロール−ミルにかけた。
【0031】
組成物は、組成物の総重量に基づいて、
38.35重量% Ebecryl(登録商標)8413(Cytec,Inc.)
15.00重量% Ebecryl(登録商標)110(Cytec,Inc.)
5.50重量% Ebecryl(登録商標)1300(Cytec,Inc.)
7.20重量% Ebecryl(登録商標)7100(Cytec,Inc.)
0.50重量% シリコーン流動添加物(Silicone Flow Additive)
3.00重量% Ciba(登録商標)Darocur(登録商標)1173(Ciba Specialty(Chemicals,Inc.)
0.65重量% 2,2ジエトキシアセトフェノン
1.00重量% アクリル緑色染料(Acrylic green dye)(Penn Color,Inc.)
25.00重量% Mistron(登録商標)Vapor Talc(Imerys Talc)
3.80重量% Mistron(登録商標)Ultramix Talc(Imerys Talc)
【0032】
PTF UV硬化可能熱成形可能誘電組成物を使用した結果として、印刷された誘電印刷層を、乾燥ではなくHg蒸気バルブを使用して750mJ/cm
2でUV硬化した。
【0033】
K値を、実施例1に記載の通り算出した。
【0034】
PTF高K熱成形可能誘電組成物を使用した結果としての性能の向上は、表1に示した結果から明らかである。
【0035】
【表1】