特許第6553722号(P6553722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6553722熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張した熱可塑性マイクロスフェアに膨張させるための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553722
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張した熱可塑性マイクロスフェアに膨張させるための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/02 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   B01J13/02
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-530080(P2017-530080)
(86)(22)【出願日】2015年12月8日
(65)【公表番号】特表2018-501089(P2018-501089A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】EP2015078914
(87)【国際公開番号】WO2016091847
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年6月28日
(31)【優先権主張番号】62/090,650
(32)【優先日】2014年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15152251.3
(32)【優先日】2015年1月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】アクゾ ノーベル ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel Chemicals International B.V.
(73)【特許権者】
【識別番号】503343336
【氏名又は名称】コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Construction Research & Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ノーディン,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】スヴェドバーグ,ラース−オロフ
(72)【発明者】
【氏名】アジェデン,パー
(72)【発明者】
【氏名】オング,フランク シャオデ
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−191614(JP,A)
【文献】 特開昭57−140322(JP,A)
【文献】 特開2004−237470(JP,A)
【文献】 特開2004−137293(JP,A)
【文献】 特開平04−178442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/02−22
C08J 9/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための装置であって:
−最低4barの圧力に耐えることができる、入口パイプ(10)及び出口パイプ(8)を有する加熱ゾーン(4)と、
−熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを前記加熱ゾーン(4)内に供給し、前記加熱ゾーン(4)内に最低4barの圧力を発生させることができるポンプ(1)と;
−前記加熱ゾーン(4)内の前記熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを最低60℃の温度まで、いかなる液体伝熱媒体との前記スラリーの直接接触もなく加熱するための手段とを備え;及び
−前記出口パイプ(8)が、分配パイプ(12)に、前記分配パイプ(12)の入口(13)と出口(14)との間で取り付けられている、前記装置。
【請求項2】
前記出口パイプ(8)が、一定の内径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記出口パイプ(8)の開口部への端部が、内径において、前記出口パイプ(8)の内径の少なくとも2倍まで増加するように、前記出口パイプ(8)が内径において増加する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記分配パイプ(12)が、少なくとも1つの混合要素(15)を内部に備え、又はこれらの組み合わせを、前記出口パイプ(8)の前記分配パイプ(12)との取り付けの下流に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの混合要素(15)が、回転ミキサー、スタティックミキサー、回転ナイフ、流れ分割ユニット又はふるいから選択される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記スラリーを加熱するための前記手段が、少なくとも1つの電気加熱要素、熱交換器又は電磁放射源である、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ポンプ(1)と前記加熱ゾーン(4)との間に位置するパルセーションダンパー(2)をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための方法であって:
−熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを加熱ゾーン(4)内に供給する工程と、
−前記加熱ゾーン(4)内の前記熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを最低60℃の温度まで加熱し、及び最低4barの圧力を発生させる工程であって、前記加熱が、いかなる液体伝熱媒体との前記スラリーのいかなる直接接触もなく実現される工程と、
−前記熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアが完全に膨張しないように、前記加熱ゾーン(4)内の前記圧力を維持する工程と;及び
−前記分配パイプ(12)に、前記分配パイプ(12)の入口(13)と出口(14)との間で取り付けられている出口パイプ(8)を通じて、次いで、分配パイプ(12)を通じて、前記加熱ゾーン(4)からさらに低圧のゾーン内に前記スラリーを回収して、前記熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを完全に膨張させる工程とを含む、方法。
【請求項9】
前記出口パイプ(8)が、一定の内径で使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記出口パイプ(8)の開口部への端部が、内径において、前記出口パイプ(8)の内径の少なくとも2倍まで増加するように、内径において増加する前記出口パイプ(8)が使用される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記分配パイプ(12)が、少なくとも1つの混合要素(15)を内部に備え、又はこれらの組み合わせを、前記出口パイプ(8)の前記分配パイプ(12)との取り付けの下流に備える、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記入口(13)を介して冷却媒体を加える工程をさらに含み、
前記冷却媒体が、空気、水、窒素ガス、チョーク粒子、炭酸カルシウム粒子、シリカ粒子、粘土粒子及びTiO粒子から選択される、気体、液体又は微粒子あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれか1つである、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱ゾーン(4)内の前記圧力が、4〜50barの間に維持される、請求項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
膨張性マイクロスフェアのスラリーが、前記加熱ゾーン内で最低60〜250℃の温度まで加熱される、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリー中の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの含有量が、5〜50重量%の間である、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリー中の担体液体が、水性液体又は油性液体である、請求項8から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーの加熱が、電気加熱要素、熱交換器又は電磁放射源のうちの少なくとも1つによって行われる、請求項8から16のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させて、膨張した熱可塑性マイクロスフェアを得るための装置及び方法に関する。特に、本装置及び方法は、膨張した熱可塑性マイクロスフェアが凝集塊を含まず、均一な密度分布を持ち、膨張後に急速に冷却されるようにする。
【背景技術】
【0002】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、熱可塑性ポリマーシェル内にカプセル化された発泡剤を含む。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、例えば、米国特許第3615972号明細書に開示されている。
【0003】
加熱時、発泡剤が気化して熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの内圧を上昇させ、同時に、熱可塑性ポリマーシェルが軟化して熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアが膨張し、膨張した熱可塑性マイクロスフェアを生成する。膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、しばしば、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの少なくとも2〜5倍の直径を有する。
【0004】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、自由に流動する乾燥した熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアとして、又は熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリー(すなわち、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは担体液体中に存在する。)として利用できる。
【0005】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェア又は膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、さまざまな用途で利用される。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、例えば、感熱記録紙、多孔質セラミックス、射出成形、熱可塑性材料の押出、印刷インク、紙及びボードにおいて使用される。膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、例えば、エマルション爆薬中の鋭感剤、液体塗料、液体コーティング並びにさまざまな熱硬化性材料、例えば、人工大理石、ポリエステルパテ及び人工木材として使用される。膨張する熱膨張性熱可塑性マイクロスフェア及び/又は膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、セメント系組成物においても、例えば、セメント系組成物に凍結融解耐久性を与えるために使用されることがある。
【0006】
膨張した熱可塑性マイクロスフェアの輸送は商業的に実現可能ではないが、それは、膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、その膨張したサイズのために、かなりの体積を要するからである。したがって、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、膨張した熱可塑性マイクロスフェアを現場で熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーから製造するエンドユーザーまで輸送される。次いで、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、最終用途、例えば、前述の用途のいずれかのために膨張され、プロセスの近くで、又はプロセス内へ直接、膨張した熱可塑性マイクロスフェアを生成する。
【0007】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させて、膨張した熱可塑性マイクロスフェアを生成するための装置及び方法は当分野において公知である。
【0008】
特開2005−254213号公報には、熱膨張したマイクロカプセルを製造するための装置及び方法が開示されている。この装置及び方法は、加熱/発泡管を使用する。特開2005−254213号公報には、熱膨張性マイクロカプセルの水スラリーが、高温の水蒸気を用いて、水蒸気の圧力を超える背圧をかけることにより、加熱/発泡管に圧入されることが開示されている。熱膨張性マイクロカプセルは大気中に排出され、次いで、膨張する。
【0009】
米国特許第4513106号明細書には、膨張した熱可塑性マイクロスフェアを熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアから生成するための装置及び方法が開示されている。米国特許第4513106号明細書には、水蒸気が、圧力ゾーン内の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーに、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを加熱し、且つ少なくとも部分的に膨張させるのに十分な量で導入されることが開示されている。次いで、部分的に膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、圧力低下した圧力ゾーンを離れ、これにより、マイクロスフェアはさらに膨張され、少なくとも1m/sの速度を有する流れ内に加速される。
【0010】
国際公開第03/051793号パンフレットには、熱膨張性マイクロスフェアを水蒸気と共に供給してマイクロスフェアを熱膨張させ、湿った膨張したマイクロスフェアを生成する工程による爆薬の製造方法が開示されている。
【0011】
特開2005−254213号公報、米国特許第4513106号明細書及び国際公開第03/051793号パンフレットの装置及び方法は、生じる膨張した熱可塑性マイクロスフェアがくっついて、装置内及び最終製品中で凝集塊を生成するという欠点を有する。さらに、それらに開示されている膨張した熱可塑性マイクロスフェアに加えられる水蒸気又は水分は、しばしば、膨張した熱可塑性マイクロスフェア中の水分と最終用途におけるその使用とが両立しないということにつながる。
【0012】
膨張した熱可塑性マイクロスフェアは良好な断熱材であり、製造されるとき、このことが、製造及び保管されるときに問題を引き起こす。膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、しばしば、保管中に膨張し続ける。さらに、膨張した熱可塑性マイクロスフェアは熱可塑性ポリマーシェルを有するため、このシェルが高温であるとき、このことが、膨張した熱可塑性マイクロスフェアがくっついて、製造及び/又は貯蔵中に凝集塊を形成する原因となる。凝集し、膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、均一分散した膨張した熱可塑性マイクロスフェアが必要とされる用途では望ましくない。
【0013】
製造した膨張した熱可塑性マイクロスフェアの凝集が回避され、高分散の均一に膨張した熱可塑性マイクロスフェアを提供するように、スラリー中の膨張する熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの技術を改善することが望ましいであろう。
【0014】
追加で水、すなわち、水蒸気を導入する必要のない、スラリー中の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための装置及び方法を提供することが望ましいであろう。
【0015】
担体液体が熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリー中で使用される点で柔軟である、スラリー中の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための装置及び方法を提供することが望ましいであろう。
【0016】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを加熱して、膨張した熱可塑性マイクロスフェアを生成するための手段に関して柔軟である、スラリー中のマイクロスフェアを膨張させるための装置及び方法を提供することが望ましいであろう。
【0017】
装置内で、生成された膨張した熱可塑性マイクロスフェアの凝集を回避する、スラリー中の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための装置及び方法を提供することが望ましいであろう。
【0018】
さまざまな膨張温度を有する幅広いマイクロスフェアのグレードに使用することができる、スラリー中の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための装置及び方法を提供することが望ましいであろう。
【0019】
スラリー中の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアが膨張装置を一旦離れたら膨張し続けない、スラリー中の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための装置及び方法を提供することが望ましいであろう。
【0020】
少なくとも上述の欠点を克服する、スラリー中の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための装置及び方法を提供することが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第3615972号明細書
【特許文献2】特開2005−254213号公報
【特許文献3】米国特許第4513106号明細書
【特許文献4】国際公開第03/051793号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明によれば、本明細書に記載の装置及び方法を提供することにより、これら及び他の目的を達成できることが明らかになった。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1の態様において、本発明は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための装置に関する。装置は、最低4barの圧力に耐えることができる加熱ゾーンを備える。加熱ゾーンは、入口パイプ及び出口パイプを有する。装置は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを加熱ゾーン内に供給するためのポンプを備える。ポンプは、加熱ゾーン内に最低4barの圧力を発生させることができる。装置は、加熱ゾーン内の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを最低60℃の温度まで、いかなる液体伝熱媒体とのスラリーのいかなる直接接触もなく加熱するための手段を備える。装置の出口パイプは、分配パイプに、分配パイプの入口と出口との間で取り付けられている。
【0024】
別の態様において、本発明は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための方法に関する。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを加熱ゾーン内に供給する工程を含む方法。次いで、スラリーを加熱ゾーン内で最低60℃の温度まで加熱し、最低4barの圧力を発生させる。加熱は、いかなる液体伝熱媒体とのスラリーのいかなる直接接触もなく達成される。加熱ゾーン内の圧力は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアが完全に膨張しないように維持される。スラリーは、出口パイプを通じて、次いで、分配パイプを通じて、加熱ゾーンから回収される。出口パイプは、分配パイプに、分配パイプの入口と出口との間で取り付けられている。スラリーは、さらに低圧のゾーン内に回収され、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを完全に膨張させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示による熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための装置を示す。
【0026】
図2】本開示による出口パイプの端部及び分配パイプの拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明及びその利点を完全に理解するために、以下の詳細な説明及び添付図を参照する。
【0028】
本明細書に開示されている詳細な説明及び添付図のさまざまな態様及び実施形態は、本発明を実施するための特定の方法を例示するものであって、特許請求の範囲及び詳細な説明及び添付図と共に考慮に入れるとき、本発明の範囲を限定しないと理解されるべきである。また、本発明のさまざまな態様及び実施形態による特徴は、本発明のさまざまな態様及び実施形態による特徴と組み合わせられてもよいことも理解されたい。
【0029】
本発明による装置及び方法は、あらゆる種類の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアに使用することができる。
【0030】
本明細書において用いられるとき、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、発泡剤をカプセル化する熱可塑性ポリマーシェルを指す。熱により膨張したとき、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、膨張した熱可塑性マイクロスフェアと呼ばれる。
【0031】
第1の態様において、本発明は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させるための装置に関する。装置を図1に示す。装置は、最低4barの圧力に耐えることができる加熱ゾーン4を備える。加熱ゾーン4は、入口パイプ10及び出口パイプ8を有する。装置は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを加熱ゾーン4内に供給するためのポンプ1を備える。ポンプ1は、加熱ゾーン4内に最低4barの圧力を発生させることができる。装置は、加熱ゾーン4内の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを最低60℃の温度まで、いかなる液体伝熱媒体とのスラリーの直接接触もなく加熱するための手段を備える。装置の出口パイプ8は、分配パイプ12に、分配パイプ12の入口13と出口14との間で取り付けられている。
【0032】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、商標Expancel(商標)でAkzoNobelにより市場に出されているものにすることができる。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェア及びその製造は、例えば、米国特許第3615972号明細書、米国特許第3945956号明細書、米国特許第4287308号明細書、米国特許第5536756号明細書、米国特許第6235800号明細書、米国特許第6235394号明細書、米国特許第6509384号明細書、米国特許第6617363号明細書、米国特許第6984347号明細書、米国特許出願公開第2004/0176486号明細書、欧州特許第486080号明細書、欧州特許第566367号明細書、欧州特許第1067151号明細書、欧州特許第1230975号明細書、欧州特許第1288272号明細書、欧州特許第1598405号明細書、欧州特許第1811007号明細書、欧州特許第1964903号明細書、国際公開第2002/096635号パンフレット、国際公開第2004/072160号パンフレット、国際公開第2007/091960号パンフレット、国際公開第2007/091961号パンフレット、国際公開第2007/142593号パンフレット、特開昭62−286534号公報及び特開2005−272633号公報に開示されており、これらは、ここに参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
熱可塑性ポリマーシェルは、ポリマー又はコポリマーから、さまざまなエチレン性不飽和モノマーを重合することにより調製することができる。エチレン性不飽和モノマーは、モノマーを含むニトリル、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル及びクロトニトリル、アクリル酸エステル、例えば、メチルアクリレート又はエチルアクリレート、メタクリル酸エステル、例えば、メチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート及びエチルメタクリレート、ハロゲン化ビニル、例えば、ビニルクロライド、ハロゲン化ビニリデン、例えば、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、ビニルエステル、例えば、ビニルアセテート、任意選択で置換されたスチレン、例えば、スチレン、ハロゲン化スチレン及びα−メチルスチレン、ジエン、例えば、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレン、並びにこれらの任意の混合物にすることができる。
【0034】
エチレン性不飽和モノマーは、架橋多官能性モノマーを含んでもよい。架橋多官能性モノマーには、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシグリコールモノアクリレート、トリアクリルホルマール又はトリアリルイソシアネート、トリアリルイソシアヌレートあるいはこれらの任意の混合物のいずれか1つが含まれる。架橋多官能性モノマーは、熱可塑性ポリマーシェルのエチレン性不飽和モノマーの総量の0.1〜1重量%、最も好ましくは0.2〜0.5重量%を構成する。
【0035】
熱可塑性ポリマーシェルが、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの60〜95重量%、より好ましくは75〜85重量%を構成することが好ましい。
【0036】
熱可塑性ポリマーシェルの軟化温度は、そのガラス転移温度(T)に対応する。Tは、50〜250℃の範囲内にあり、より好ましくは70〜200℃の範囲内にある。
【0037】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェア内の発泡剤は、Tを超えない沸点(室温及び室内圧力における。)を有する液体にすることができる。発泡剤は、少なくとも1つの炭化水素又はその任意の混合物にすることができる。炭化水素は、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、イソヘキサン、ネオヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン及びイソオクタンから選択することができる。炭化水素は、石油エーテル、塩素化又はフッ素化炭化水素、例えば、メチルクロライド、メチレンクロライド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン及びトリクロロフルオロメタンにすることもできる。発泡剤は、好ましくは、イソブタン、イソペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、イソドデカン、及びこれらの任意の混合物のうちの少なくとも1つである。発泡剤は、より好ましくは、イソブタン及びイソペンタンである。
【0038】
発泡剤は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの5〜40重量%の量で存在する。
【0039】
発泡剤の沸点(室温及び室内圧力における。)は、好ましくは−20〜200℃の間、より好ましくは−20〜150℃の間、さらにより好ましくは−20〜100℃の間である。
【0040】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアが大気圧で膨張し始める温度をTstartと呼ぶ。Tstartは、熱可塑性ポリマーシェル及び発泡剤のタイプ及び組み合わせに依存する。本発明において使用される熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、好ましくは40〜230℃の間、より好ましくは60〜180℃の間のTstartを有する。
【0041】
装置は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーが内部を流れる加熱ゾーン4を備える。加熱ゾーン4は、容器、パイプ又はチューブの形態にすることができる。加熱ゾーン4は、入口パイプ10及び出口パイプ8を備える。
【0042】
加熱ゾーン4は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーをそこで、いかなる液体伝熱媒体、すなわち、水蒸気、又は加熱された気体とのスラリーのいかなる直接接触もなく加熱する。
【0043】
加熱ゾーン4は熱交換器でもよい。加熱ゾーン4は、熱交換器の形態のときは、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーと直接接触していない伝熱媒体に取り囲まれている少なくとも1本のパイプ又はチューブを備える。熱交換器は、例えば、好ましくは共通の入口及び共通の出口に接続された、数本の好ましくは平行なパイプ又はチューブ、例えば、2〜10本又は3〜7本のパイプ又はチューブを備えてもよい。パイプ又はチューブは、それぞれ、2〜25mm、又は好ましくは4〜15mm、又はさらにより好ましくは6〜12mmの内径を有してもよい。ただ1本のパイプ又はチューブを有することもできる。単一のパイプ又はチューブの使用は、数本の平行なパイプ又はチューブのうちの1本における部分的な詰まりによって引き起こされる不均一な流れ分布のリスクを低減する利点を有する。このような単一のパイプ又はチューブは、好ましくは、伝熱媒体を含む容器又はタンク内に位置する伝熱媒体に取り囲まれている。伝熱媒体は、任意の適した液体媒体、例えば、熱水、水蒸気又は油でもよい。
【0044】
加熱ゾーン4は、少なくとも1つの電気加熱要素を備えてもよい。少なくとも1つの電気加熱要素は、加熱ゾーン4の内部又は外部、あるいはこれらの任意の組み合わせに位置してもよい。電気加熱要素は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーが、加熱ゾーン4内のその電気加熱要素周辺の隙間を流れるように、加熱ゾーン4の中心に備えられてもよい。電気加熱要素が、少なくとも1本のパイプ又はチューブの内部と外部の両方に備えられることが好ましい。
【0045】
加熱ゾーン4は、電磁放射マイクロ波源、例えば、電子レンジを備えてもよい。
【0046】
加熱ゾーン4は、好ましくは、熱伝導性の金属、例えば、鋼又は銅で作られる。熱伝導性の金属は、液体伝熱媒体又は電気加熱要素によりスラリーが加熱される場合に有利である。
【0047】
電磁放射源により加熱される場合、加熱ゾーン4は、電磁放射源から生じるこのような放射が透過できる材料、例えば、ポリマー材料でできている。
【0048】
加熱ゾーン4は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを最低60℃の温度まで加熱する。加熱ゾーン4の温度は、温度計7により測定される。しかし、本発明の加熱ゾーン4があれば、例えば、電気加熱要素、又は伝熱媒体として熱油を使用することにより、水蒸気によって実際に実現可能な温度よりも高い温度を必要とする熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させることが可能である。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーが加熱ゾーン4内で加熱される温度は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのタイプに依存する。この温度は、最低60℃、好ましくは60〜250℃、より好ましくは80〜230℃、さらにより好ましくは80〜200℃の範囲内にある。
【0049】
本発明によれば、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーが使用される。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを使用することにより、ダスティングが回避される。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを使用することにより、乾燥した膨張した熱可塑性マイクロスフェアによる装置の閉塞が回避される。
【0050】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーは、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを担体液体に供給することによって得られる。担体液体は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアに対して不活性である。担体液体は、スラリーが加熱される温度に耐えることができる。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの水性スラリーを生成するために、担体液体は、水又は水性液体にすることができる。担体液体は、有機液体、例えば、植物油、鉱油及びグリセロール又はこれらの任意の混合物にすることができる。有機液体は水を含まないため、且つ水蒸気又は水がスラリーに加えられる必要がないため、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの水を含まないスラリーを調製することが可能であり、このことは、生じる膨張した熱可塑性マイクロスフェアが、水を含まないことが必要な用途において必要とされる場合に有利である。
【0051】
さらに、他の液体媒体がスラリーに加えられる必要がないため、制御された高固形分の膨張した熱可塑性マイクロスフェアを含む膨張したマイクロスフェアのスラリーを調製することが可能である。
【0052】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリー中の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの含有量は、5〜50重量%の間、好ましくは5〜30重量%の間、より好ましくは10〜20重量%の間である。含有量がこれらの範囲内であるとき、装置内のスラリーのポンプ能力及び/又は熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーの輸送は最適である。
【0053】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーは、入口パイプ10を通じてポンプ1により加熱ゾーン4内に供給される。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアが加熱ゾーン4内で加熱されたときに完全に膨張しないように、ポンプ1は、加熱ゾーン4内に十分に高い圧力(最低4bar)を与える。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、加熱ゾーン4内で部分的に、例えば、加熱ゾーン4の外部での完全膨張後の体積の10〜80%又は20〜70%の体積まで膨張してもよいが、ポンプ1によって与えられる圧力を操作することにより、加熱ゾーン4内でまったく膨張しないようにしてもよい。ポンプ1は、油圧ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、スクリューポンプ(例えば、偏心スクリューポンプ)、ギヤポンプ、ロータリーローブポンプ及び遠心ポンプのいずれか1つにすることができる。油圧ダイヤフラムポンプが特に好ましい。ポンプ1は、装置内で熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを運ぶのに必要な力を提供する。
【0054】
装置内の圧力は、圧力計3により測定される。
【0055】
装置は、さらに、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーをポンプ1まで、例えば、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを貯蔵するタンク(図示せず)から運ぶための導管(図示せず)を備えてもよい。導管(図示せず)は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを装置内に導く三方弁9に接続されるであろう。
【0056】
ポンプ1によって与えられ、加熱ゾーン4内で必要とされる圧力は、特定の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアに依存する。好ましくは、圧力は最低10barである。圧力上限は、実際的に考慮して決定され、例えば、最高40bar又は最高50barでもよい。
【0057】
上で述べたように、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、加熱ゾーン4内で加熱されたときに完全に膨張しない。熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアが分配パイプ12の出口14まで運ばれるとき、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアは、圧力が出口14で低下するとき、最後に完全に膨張するが、それは、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアが、最後の膨張を容易にするのに十分な低圧(例えば、大気圧)の領域に達するからである。
【0058】
図2に示す通り、分配パイプ12は、出口パイプ8に取り付けられている。分配パイプ12は、分配パイプ12の入口13と出口14との間で取り付けられている。図2bは図2aの断面図を示す。
【0059】
図2に示す構成では、膨張した熱可塑性マイクロスフェアが分配パイプ12に入ると、これらは、分配パイプ12の内壁内を跳ね回ってから、出口14を介して分配パイプ12を離れる。これが、膨張した熱可塑性マイクロスフェアの凝集が少ないことにつながることが明らかになっている。これは、分配パイプ12の内壁にぶつかる膨張した熱可塑性マイクロスフェア、及び空気流が分配パイプ12に入りやすくする入口13を有することにより分配パイプ12内で引き起こされるボルテックス効果の一種による結果であると考えられる。分配パイプ12に入る空気流は、膨張した熱可塑性マイクロスフェアが分配パイプ12に入るときの膨張した熱可塑性マイクロスフェアの冷却を容易にする。
【0060】
出口パイプ8は、一定の内径を有してもよい。
【0061】
出口パイプ8は、出口パイプ8の開口部への端部が、出口パイプ8の内径の少なくとも2倍の内径を有するように、内径において増加してもよい。出口パイプ8の開口部への端部は、出口パイプ8の内径の最大6倍の内径を有してもよい。
【0062】
出口パイプ8の開口部への端部が、出口パイプ8の内径の少なくとも2倍の内径を有するとき、これが、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのより効率的な膨張を容易にする。出口パイプ8の開口部への端部が、出口パイプ8の内径の少なくとも2倍の内径を有するとき、これが、出口パイプ8内の製造された膨張した熱可塑性マイクロスフェアの流量制限をもたらし、加熱ゾーン4内の圧力を維持する。出口パイプ8の開口部への端部が、出口パイプ8の内径の少なくとも2倍の内径を有するとき、これが、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのより自由な三次元の膨張を可能にして、より低密度の均一に膨張した熱可塑性マイクロスフェアにつながり、膨張した熱可塑性マイクロスフェアの凝集を防いで、膨張した熱可塑性マイクロスフェアのより均一な(且つ、より密度が低い)密度分布をもたらすことが観察される。
【0063】
さらに、観察されてきたのは、出口パイプ8の内径の少なくとも2倍の内径を有する出口パイプ8の開口部への端部を有すること、これが、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアが出口パイプ8から分配パイプ12内へ離れるときに大気圧になりながら膨張するとき、出口パイプ8の開口部の閉塞を防ぐということである。
【0064】
膨張した熱可塑性マイクロスフェアは良好な断熱材であるので、膨張した熱可塑性マイクロスフェア及び特に熱可塑性ポリマーシェルが互いにくっついて凝集塊を生成するリスクが排除される。
【0065】
図2に示す構成では、膨張した熱可塑性マイクロスフェアが分配パイプ12に入ると、これらは、入口13を介して適用することができる冷却媒体によりもたらされる流れの方向を横切る。この実施形態において、分配パイプ12は、膨張した熱可塑性マイクロスフェアの瞬間冷却を可能にし、膨張した熱可塑性マイクロスフェアのさらなる膨張及び凝集を直ちに防ぐ。冷却媒体は、分配パイプ12の入口13から図2に示す流れ方向に通る。
【0066】
冷却媒体は、空気、水、窒素ガス、あるいはその他の任意の気体又は液体にすることができる。ただし、これらは膨張した熱可塑性マイクロスフェアに対して不活性であるものとする。冷却媒体は、粒子、例えば、チョーク粒子、炭酸カルシウム粒子、シリカ粒子、粘土粒子及びTiO粒子又はこれらの任意の組み合わせの流れにすることもできる。このような粒子の、分配パイプ12の入口13を通じた添加は、膨張した熱可塑性マイクロスフェアが、入口13によりもたらされる流れの方向を横切るとき、膨張した熱可塑性マイクロスフェアと粒子との均質な混合物が存在するようにする。これは、変更した膨張した熱可塑性マイクロスフェアが最終用途において必要とされるときに重要である。
【0067】
分配パイプ12は、少なくとも1つの混合/分離要素15又はこれらの組み合わせを備えてもよい。少なくとも1つの混合/分離要素15は、図2bに示す通り、出口パイプ8の分配パイプ12との取り付けの下流の混合/分離要素15内に位置する。

【0068】
少なくとも1つの混合/分離要素15は、スタティックミキサー、回転ミキサー、回転ナイフ又はふるい又は流れ分割ユニットから選択することができる。
【0069】
冷却媒体と混合/分離要素15との組み合わせを有することにより、膨張した熱可塑性マイクロスフェアを直ちに冷却し、同時に材料の高エネルギー混合をもたらすことが可能である。混合/分離要素15は、冷却媒体の膨張した熱可塑性マイクロスフェアとの効率的な混合をもたらす。冷却媒体の流れは、分配パイプ12を通じて膨張した熱可塑性マイクロスフェアを運ぶ。したがって、個々の膨張した熱可塑性マイクロスフェアを互いに分離するのに十分な機械的エネルギーが分配パイプ12に供給される。
【0070】
加熱ゾーン4内の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの均一な生産量及び加熱をさらに確実にするために、パルセーションダンパー2が存在してもよい。パルセーションダンパー2は、装置内の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーの流れを安定化する。
【0071】
加熱ゾーン4の出口パイプ8は、好ましくは、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの最大膨張を容易にするために断熱される。
【0072】
加熱ゾーン4の出口パイプ8は、硬いパイプでも、柔軟なパイプでもよい。柔軟なパイプの形態のとき、これは、装置全体を移動することなく、膨張した熱可塑性マイクロスフェアをその最終使用用途に導くことを容易にする。
【0073】
本明細書に開示の装置及び方法は、水性用途、例えば、エマルション爆薬、塗料、水性コーティング、感熱記録紙などのコーティング、多孔質セラミックス、石膏ボード、モデリングクレイ、クラック充填材及びセメント系組成物のための熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの現場での膨張に特に有用である。本明細書に開示の装置及び方法は、非水性用途、例えば、ポリエステルパテ、ポリエステル、ポリウレタン又はエポキシに基づく人工木材配合物、ポリエステルに基づく人工大理石、アンダーボディコーティング、エラストマー、シーラント、接着剤、フェノール樹脂、スタッコ、ケーブル充填用コンパウンド及びマイクロセルポリウレタンフォームのための熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの現場での膨張に特に有用である。装置を出る膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、このような製品の生産ライン内に直接加えることができる。例えば、膨張した熱可塑性マイクロスフェアの流れは、エマルション爆薬の生産中にエマルション流内にインラインで直接、又はトラックからのエマルション爆薬によるボアホールの充填中にエマルション流内に直接加えることができる。後者の場合、爆薬を採鉱現場で鋭感化させ、鋭感化させずに鉱山に運ぶことができる。
【0074】
装置内の流れを導き、装置内の圧力を維持するために、装置内の制御弁6を使用することができる。
【0075】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーの加熱ゾーン4への流れを遮断するために、且つ/又は加熱ゾーン4内の圧力を維持するために、装置内で加熱ゾーン4の前に安全弁5を使用することができる。
【0076】
熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアのスラリーを、例えば、水で置換して、安全弁5、制御弁6及び三方弁9の位置を操作することにより装置を運転することによって、装置を洗浄することができる。
【0077】
本発明の教示は、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアが均一な密度分布を有し、よく分散する(すなわち、非凝集である)ように、装置内で直接、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの膨張を可能にする。
【0078】
以下の非限定的な例は、本発明の効果を示す。
【0079】
実施例1−分配パイプを使用した膨張
対照実験として、一定の直径の出口パイプを分配パイプなしで使用した方法により、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェア(Expancel 461WU40)のスラリーを装置で膨張させた。100℃の温度に保たれた熱水を満たしたタンク内に位置する単一の長さ15mの銅管(加熱ゾーン)を備えた装置を使用することにより、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを膨張させた。銅管は、7.8mmの一定の内径を有していた。ダイヤフラムポンプを用い、80リットル/時の速度で銅管を通じて20重量%マイクロスフェアの水性スラリーをポンピングした。ダイヤフラムポンプは、6barの圧力を発生させた。膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、出口パイプを通じて銅管を出た。
【0080】
本発明による実験の通り、熱膨張性熱可塑性マイクロスフェア(Expancel 461WU40)を装置で上述の方法により膨張させた。ただし、出口パイプに取り付けられた分配パイプを使用した。
【0081】
本発明による実験で、膨張した材料の目視検査により、凝集のレベルが改善されたことが明らかになった。さらに、膨張した熱可塑性マイクロスフェアの温度が、保管袋内で、膨張の10分後、対照実験(90℃)と比べてはるかに低温(65℃)であったことが明らかになった。これは、さらなる膨張は起こらないであろうこと、及び同じ体積の膨張した熱可塑性マイクロスフェアが同じサイズの保管袋に袋詰めされた対照実験と比べて、袋詰めにおける凝集のリスクが低減することを表すものである。
【0082】
実施例2−分配パイプを使用した膨張。
凝集度(分散性)は5段階評価でランク付けすることができて、1は非常に凝集しており、5は凝集塊がまったくない。
【0083】
凝集度は、以下の方法を使用することにより検出した。膨張した熱可塑性マイクロスフェア生成物を、粘度0.95〜1.50Pas(Brookfield sp.3、10rpmで測定される。)のMowilith LDM 1871Sバインダー中に分散させ、5重量%の分散物を与える。planet mixer(57.5mm)を100rpmで5分間使用して、生じる分散物を均質化する。膨張した熱可塑性マイクロスフェアの均質化した分散物を、プラスチックシートに膜厚180μmに塗布する。膜を10分間乾燥させる。凝集塊の数を膜の10×10cmの領域で分析した。
【0084】
対照実験として、装置で、実施例1と同様の方法により、100.5℃の温度の油で加熱した加熱ゾーン内で120kgスラリー/時間の流量で、Expancel 461WU40のさまざまなスラリーを膨張させた。異なる乾燥含有量の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを用いて4種類のスラリー濃度を評価した。膨張した熱可塑性マイクロスフェアを50Lプラスチック袋内に製造した。一定の直径の出口パイプを使用し、分配パイプは出口パイプに取り付けなかった。
【0085】
生じた凝集塊を膜の10×10cmの領域で分析し、結果を表1に示した。
【表1】
【0086】
本発明による実験の通り、装置で、対照実験と同様の方法により、100.5℃の温度の油で加熱した加熱ゾーン内で120kgスラリー/時間の流量で、Expancel 461WU40のさまざまなスラリーを膨張させた。異なる乾燥含有量の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアを用いて4種類のスラリー濃度を評価した。膨張した熱可塑性マイクロスフェアを50Lプラスチック袋内に製造した。分配パイプの入口に、圧縮空気(5.3bar)の冷却媒体を施した。
【0087】
生じた凝集塊を膜の10×10cmの領域で分析し、結果を表2に示した。
【表2】
【0088】
見て分かる通り、分散性は、密度がより高いときでさえも著しく改善されている。本発明による実施例から明らかなことは、より低い乾燥含有量を有することにより、分散性が改善され、膨張が優れている(より低密度)ということである。膨張するマイクロスフェアを出口パイプからの出口で空気により直ちに冷却することにより、膨張が防止される。冷却媒体が適用されないときと比べて、より高い密度が得られる。
【0089】
分配パイプと装置と空気の冷却媒体とを組み合わせるとき、膨張した熱可塑性マイクロスフェアは、はるかに低い凝集度で製造される。
【0090】
実施例3−増加する直径を備える出口パイプ及び分配パイプ
10%の熱膨張性熱可塑性マイクロスフェアの乾燥含有量を有するスラリーを用いて、実験2と同様に実験を実施した。
【0091】
対照実験として、7.8mmの一定の内径を有する出口パイプを分配パイプと共に使用し、5.3barの圧縮空気の冷却媒体を、入口を介して適用した。
【0092】
別の実験では、出口パイプを、内径が7.8mmから16.0mmに太くなるものに置き換えた。分配パイプ及び5.3barの圧縮空気の冷却媒体を、入口を介して適用した。
【0093】
生じた凝集塊を膜の10×10cmの領域で分析し、結果を表3に示した。
【表3】
【0094】
表3は、上の行に;空気で冷却する前の一定のパイプ径を、下の行に;空気で冷却する前の増加するパイプ径を示す。
【0095】
結果は明らかに、より太い出口パイプでは、はるかに低密度且つ、より低い凝集度で熱可塑性マイクロスフェアが製造されることを示す。
図1
図2