特許第6553731号(P6553731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553731
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】N型両面電池のウェットエッチング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/068 20120101AFI20190722BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   H01L31/06 300
   H01L21/308 B
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-538279(P2017-538279)
(86)(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公表番号】特表2017-531926(P2017-531926A)
(43)【公表日】2017年10月26日
(86)【国際出願番号】CN2015078932
(87)【国際公開番号】WO2016054917
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2017年9月15日
(31)【優先権主張番号】201410525546.9
(32)【優先日】2014年10月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516014247
【氏名又は名称】上海神舟新能源▲発▼展有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】ジュヨン、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン、ジョーンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シー、レイ
(72)【発明者】
【氏名】ルワン、ジョーンリー
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ、ユイシュエ
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−258734(JP,A)
【文献】 再公表特許第2012/102368(JP,A1)
【文献】 再公表特許第2007/088848(JP,A1)
【文献】 特開2004−172271(JP,A)
【文献】 特表2013−505562(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103904164(CN,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02466650(EP,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103618020(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
H01L 31/04−31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの正面、裏面及びエッジを含む表面にPN接合を形成するステップ(1)と、
第1回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチングするステップ(2)と、
第1回の純水洗と第1回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの前記表面に残留された酸液を除去するステップ(3)と、
第2回の純水洗と第2回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの前記表面に残留された不純物を除去するステップ(4)と、
第3回の純水洗と風乾を行うステップ(5)と、
前記N型シリコンウェハの正面に水膜を被覆するステップ(6)と、
第3回の混酸エッチング処理を行い、前記N型シリコンウェハの裏面のパッシベーション効果を増加させるステップ(7)と、
第4回の純水洗と第2回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの前記表面に残留された酸液を除去するステップ(8)と、
第5回の純水洗と第4回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの前記表面に残留された不純物を除去するステップ(9)と、
第6回の純水洗と風乾を行うステップ(10)と、
風乾した後、N型両面電池に対するエッチングが完了するステップ(11)と、
を含むことを特徴とするN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項2】
前記第1回の混合酸洗は、HF溶液、HNO3溶液及びH2SO4溶液を体積比が1:2:1〜1:10:5になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、H2SO4溶液の濃度が99wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項3】
前記第1回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%である強アルカリ性溶液を採用し、前記強アルカリ性溶液はNaOH溶液又はKOH溶液を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項4】
前記第2回の混合酸洗は、HF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HCl溶液の濃度が37wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項5】
純水で前記N型シリコンウェハの正面に前記水膜を被覆し、前記水膜が前記N型シリコンウェハの正面を完全に被覆する、ことを特徴とする請求項1に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項6】
前記第3回の混合酸洗は、HF溶液及びHNO3溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項7】
前記第2回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%であるアルカリ性溶液を採用し、前記アルカリ性溶液はNaOH溶液、KOH溶液又は炭酸ナトリウム溶液を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項8】
前記第4回の混合酸洗は、HF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HCl溶液の濃度が37wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項9】
N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの正面、裏面及びエッジを含む表面にPN接合を形成するステップ(1)と、
前記N型シリコンウェハの正面に水膜を被覆するステップ(2)と、
第1回の混酸エッチング処理を行い、前記N型シリコンウェハの裏面のパッシベーション効果を増加させるステップ(3)と、
第1回の純水洗と第1回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの前記表面に残留された酸液を除去するステップ(4)と、
第2回の純水洗と第2回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの前記表面に残留された不純物を除去するステップ(5)と、
第3回の純水洗と風乾を行うステップ(6)と、
第3回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチングするステップ(7)と、
第4回の純水洗と第2回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの前記表面に残留された酸液を除去するステップ(8)と、
第5回の純水洗と第4回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの前記表面に残留された不純物を除去するステップ(9)と、
第6回の純水洗と風乾を行うステップ(10)と、
風乾した後、N型両面電池に対するエッチングが完了するステップ(11)と、
を含むことを特徴とするN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項10】
純水で前記N型シリコンウェハの正面に前記水膜を被覆し、前記水膜が前記N型シリコンウェハの正面を完全に被覆する、ことを特徴とする請求項9に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項11】
前記第1回の混合酸洗は、HF溶液及びHNO3溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%である、ことを特徴とする請求項9に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項12】
前記第1回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%であるアルカリ性溶液を採用し、前記アルカリ性溶液はNaOH溶液、KOH溶液又は炭酸ナトリウム溶液を含む、ことを特徴とする請求項9に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項13】
前記第1回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%であるアルカリ性溶液を採用し、前記アルカリ性溶液はNaOH溶液、KOH溶液又は炭酸ナトリウム溶液を含む、ことを特徴とする請求項9に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項14】
前記第3回の混合酸洗は、HF溶液、HNO3溶液及びH2SO4溶液を体積比が1:2:1〜1:10:5になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、H2SO4溶液の濃度が99wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%である、ことを特徴とする請求項9に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項15】
前記第2回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%である強アルカリ性溶液を採用し、前記強アルカリ性溶液はNaOH溶液又はKOH溶液を含む、ことを特徴とする請求項9に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【請求項16】
前記第4回の混合酸洗は、HF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HCl溶液の濃度が37wt%である、ことを特徴とする請求項9に記載のN型両面電池のウェットエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池の技術分野に関し、特にN型両面電池のウェットエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
N型シリコンウェハとは、シリコンウェハにリンがドープされたものである。N型シリコンウェハが長い少数キャリア寿命を有するので、製造された電池は、より高い光電変換効率を得ることができる。近年、N型太陽電池はますます注目されているようになる。また、N型電池の金属汚染に対する許容度がより強く、より優れた耐久性を有し、強い安定性がある。N型シリコンウェハにはリンがドープされているので、ホウ素-酸素対がなく、光劣化効果がない。N型結晶シリコンはこれらの利点により、高効率な太陽電池の製造に非常に適合する。N型両面電池を製造する一般的なプロセスは、N型シリコンウェハを表面テクスチャリング処理した後、高温でホウ素を拡散させた後シリコンウェハの正面にPN接合を形成し、シリコンウェハのエッジと裏面のPN接合をエッチング除去し、裏面にリンを拡散させることによりN+層を製造し、両面に反射防止膜を堆積し、両面で印刷した後焼結し、最後に、N型両面太陽電池を製造することである。上記両面電池の製造プロセスの過程から分かるように、エッチングは重要なステップであり、N型両面電池の正面にはホウ素が拡散され、裏面にはリンが拡散されるので、エッジのPN接合の絶縁が良くないと、電池のエッジの漏電を引き起こし、電池の電気的性能の表現に極めて影響を与えるからである。現在、両面電池のエッチング方法はプラズマエッチングとレーザエッチング等の方法があるが、上記2種の方法にはいずれもいくつかの欠点が存在する。プラズマエッチングの欠点は、エッジのPN接合の除去が不完全で、機械によるエッチング効果が不安定である問題が存在することであり、一方、レーザエッチングの場合、機器の特徴により、エッチング過程にはある程度で電池の受光面積の減少を引き起こし、それにより両面電池の光電変換効率を低下させる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、上記従来技術に存在する欠陥を克服するために、シリコンウェハの裏面のポリッシング効果を増加させ、裏面のパッシベーション作用を増加させ、電池の変換効率を向上させるN型両面電池のウェットエッチング方法を提供することである。
【0004】
本発明の目的は以下の技術的手段により実現することができる。
【0005】
本発明は、N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面にPN接合を形成するステップ(1)と、
第1回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチングするステップ(2)と、
第1回の純水洗と第1回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(3)と、
第2回の純水洗と第2回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(4)と、
第3回の純水洗と風乾を行うステップ(5)と、
風乾した後、N型両面電池に対するエッチングが完了するステップ(6)と、
を含むN型両面電池のウェットエッチング方法を提供する。
【0006】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法によれば、電池効率が低減しないことを確保する前提で、第1混酸の腐食作用により、裏面のポリッシング・パッシベーション効果を改善し、更にN型両面電池の光電変換効率を向上させる。また、エッジ及び裏面に対するエッチングプロセスを増加することにより、ホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハのエッジに拡散されたPN接合及びホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハの表面に生成したホウケイ酸ガラスを除去し、完成したN型両面電池はエッジの漏電が発生するという問題を防止することができる。
【0007】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、ステップ(2)〜ステップ(5)を繰り返して実施することである。ステップ(2)〜ステップ(5)を複数回実施することにより、より良いエッチングによるポリッシング・パッシベーション効果を達成する。
【0008】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第1回の混合酸洗は、HF溶液、HNO3溶液及びH2SO4溶液を体積比が1:2:1〜1:10:5になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、H2SO4溶液の濃度が99wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%であることである。
【0009】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第1回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%である強アルカリ性溶液を採用し、前記強アルカリ性溶液はNaOH溶液又はKOH溶液を含むことである。
【0010】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第2回の混合酸洗は、HF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HCl溶液の濃度が37wt%であることである。
【0011】
本発明は、N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面にPN接合を形成するステップ(1)と、
前記N型シリコンウェハの正面に水膜を被覆するステップ(2)と、
第1回の混酸エッチング処理を行い、前記N型シリコンウェハの裏面のパッシベーション効果を増加させるステップ(3)と、
第1回の純水洗と第1回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(4)と、
第2回の純水洗と第2回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(5)と、
第3回の純水洗と風乾を行うステップ(6)と、
風乾した後、N型両面電池に対するエッチングが完了するステップ(7)と、
を含むN型両面電池のウェットエッチング方法を更に提供する。
【0012】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法によれば、水膜はN型シリコンウェハの正面を保護する作用を果たすことができ、電池効率が低減しないことを確保する前提で、第1混酸の腐食作用により、裏面のポリッシング・パッシベーション効果を改善し、更にN型両面電池の光電変換効率を向上させる。また、エッジ及び裏面に対するエッチングプロセスを増加することにより、ホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハのエッジに拡散されたPN接合及びホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハの表面に生成したホウケイ酸ガラスを除去し、完成したN型両面電池はエッジの漏電が発生するという問題を防止することができる。
【0013】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、ステップ(2)〜ステップ(6)を繰り返して実施することである。ステップ(2)〜ステップ(6)を複数回実施することにより、より良いエッチングによるポリッシング・パッシベーション効果を達成する。
【0014】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、純水で前記N型シリコンウェハの正面に前記水膜を被覆し、前記水膜が前記N型シリコンウェハの正面を完全に被覆することである。
【0015】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第1回の混合酸洗は、HF溶液及びHNO3溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%であることである。
【0016】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第1回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%であるアルカリ性溶液を採用し、前記アルカリ性溶液はNaOH溶液、KOH溶液又は炭酸ナトリウム溶液を含むことである。
【0017】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第2回の混合酸洗は、HF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HCl溶液の濃度が37wt%であることである。
【0018】
本発明は、N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面にPN接合を形成するステップ(1)と、
第1回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチングするステップ(2)と、
第1回の純水洗と第1回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(3)と、
第2回の純水洗と第2回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(4)と、
第3回の純水洗と風乾を行うステップ(5)と、
前記N型シリコンウェハの正面に水膜を被覆するステップ(6)と、
第3回の混酸エッチング処理を行い、前記N型シリコンウェハの裏面のパッシベーション効果を増加させるステップ(7)と、
第4回の純水洗と第2回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(8)と、
第5回の純水洗と第4回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(9)と、
第6回の純水洗と風乾を行うステップ(10)と、
風乾した後、N型両面電池に対するエッチングが完了するステップ(11)と、
を含むN型両面電池のウェットエッチング方法を更に提供する。
【0019】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法によれば、水膜はN型シリコンウェハの正面を保護する作用を果たすことができ、電池効率が低減しないことを確保する前提で、第1混酸と第3混酸の腐食作用により、裏面のポリッシング・パッシベーション効果をより良く改善し、更にN型両面電池の光電変換効率を向上させる。また、エッジ及び裏面に対するエッチングプロセスを増加することにより、ホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハのエッジに拡散されたPN接合及びホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハの表面に生成したホウケイ酸ガラスを除去し、完成したN型両面電池はエッジの漏電が発生するという問題を防止することができる。
【0020】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第1回の混合酸洗は、HF溶液、HNO3溶液及びH2SO4溶液を体積比が1:2:1〜1:10:5になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、H2SO4溶液の濃度が99wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%であることである。
【0021】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第1回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%である強アルカリ性溶液を採用し、前記強アルカリ性溶液はNaOH溶液又はKOH溶液を含むことである。
【0022】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第2回の混合酸洗は、HF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HCl溶液の濃度が37wt%であることである。
【0023】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、純水で前記N型シリコンウェハの正面に前記水膜を被覆し、前記水膜が前記N型シリコンウェハの正面を完全に被覆することである。
【0024】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第3回の混合酸洗は、HF溶液及びHNO3溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%であることである。
【0025】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第2回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%であるアルカリ性溶液を採用し、前記アルカリ性溶液はNaOH溶液、KOH溶液又は炭酸ナトリウム溶液を含むことである。
【0026】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第4回の混合酸洗は、HF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HCl溶液の濃度が37wt%であることである。
【0027】
本発明は、N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面にPN接合を形成するステップ(1)と、
前記N型シリコンウェハの正面に水膜を被覆するステップ(2)と、
第1回の混酸エッチング処理を行い、前記N型シリコンウェハの裏面のパッシベーション効果を増加させるステップ(3)と、
第1回の純水洗と第1回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(4)と、
第2回の純水洗と第2回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(5)と、
第3回の純水洗と風乾を行うステップ(6)と、
第3回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチングするステップ(7)と、
第4回の純水洗と第2回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(8)と、
第5回の純水洗と第4回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(9)と、
第6回の純水洗と風乾を行うステップ(10)と、
風乾した後、N型両面電池に対するエッチングが完了するステップ(11)と、
を含むN型両面電池のウェットエッチング方法を更に提供する。
【0028】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法によれば、水膜はN型シリコンウェハの正面を保護する作用を果たすことができ、電池効率が低減しないことを確保する前提で、第1混酸と第3混酸の腐食作用により、裏面のポリッシング・パッシベーション効果をより良く改善し、更にN型両面電池の光電変換効率を向上させる。また、エッジ及び裏面に対するエッチングプロセスを増加することにより、ホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハのエッジに拡散されたPN接合及びホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハの表面に生成したホウケイ酸ガラスを除去し、完成したN型両面電池はエッジの漏電が発生するという問題を防止することができる。
【0029】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、純水で前記N型シリコンウェハの正面に前記水膜を被覆し、前記水膜が前記N型シリコンウェハの正面を完全に被覆することである。
【0030】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第1回の混合酸洗は、HF溶液及びHNO3溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%であることである。
【0031】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第1回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%であるアルカリ性溶液を採用し、前記アルカリ性溶液はNaOH溶液、KOH溶液又は炭酸ナトリウム溶液を含むことである。
【0032】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第2回の混合酸洗は、HF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HCl溶液の濃度が37wt%であることである。
【0033】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第3回の混合酸洗は、HF溶液、HNO3溶液及びH2SO4溶液を体積比が1:2:1〜1:10:5になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、H2SO4溶液の濃度が99wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%であることである。
【0034】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第2回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%である強アルカリ性溶液を採用し、前記強アルカリ性溶液はNaOH溶液又はKOH溶液を含むことである。
【0035】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法の更なる改良は、該技術的手段において、前記第4回の混合酸洗は、HF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HCl溶液の濃度が37wt%であることである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の目的、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本発明を更に詳しく説明する。ここで記載された具体的な実施例は単に本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0037】
実施例1
第1実施例において、本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法は、
N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面にPN接合を形成するステップ(1)と、
第1回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチング除去するステップ(2)と、
第1回の純水洗と第1回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(3)と、
第2回の純水洗と第2回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(4)と、
第3回の純水洗と風乾を行うステップ(5)と、
風乾した後、N型両面電池に対するエッチングが完了するステップ(6)と、を含む。
好ましくは、前記第1回の混合酸洗は、HF溶液、HNO3溶液及びH2SO4溶液を体積比が1:2:1〜1:10:5になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、H2SO4溶液の濃度が99wt%であり、HNO3溶液の濃度が70wt%であり、前記第1回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%である強アルカリ性溶液を採用し、前記強アルカリ性溶液はNaOH溶液又はKOH溶液を含み、前記第2回の混合酸洗は、HF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10〜10:1になるように混合した混合溶液を採用し、HF溶液の濃度が49wt%であり、HCl溶液の濃度が37wt%である。
【0038】
具体的には、N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面(正面、裏面及びエッジを含む)にPN接合を形成する。まず、HF溶液、HNO3溶液及びH2SO4溶液を混合してなる第1混酸により、N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチング除去し、正面のPN接合を残し、裏面のポリッシング・パッシベーション効果を増加させる。そして、第1回の純水洗及びKOH溶液の洗浄により、N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去する。更に第2回の純水洗とHF溶液及びHCl溶液を体積比が3:1になるように混合した第2混酸により、N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去する。最後に、第3回の純水洗と風乾を行い、N型両面電池のウェットエッチング過程が完了する。
【0039】
表1は本発明の逆方向リーク電流と比較例の逆方向リーク電流との比較データであり、表1における逆方向リーク電流データから分かるように、本発明の逆方向リーク電流が比較例の逆方向リーク電流より明らかに小さい。
【0040】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法によれば、電池効率が低減しないことを確保する前提で、第1混酸の腐食作用により、裏面のポリッシング・パッシベーション効果を改善し、更にN型両面電池の光電変換効率を向上させる。また、エッジ及び裏面に対するエッチングプロセスを増加することにより、ホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハのエッジに拡散されたPN接合及びホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハの表面に生成したホウケイ酸ガラスを除去し、完成したN型両面電池はエッジの漏電が発生するという問題を防止することができる。且つ、ステップ(2)〜ステップ(5)を繰り返して実施することができ、ステップ(2)〜ステップ(5)を複数回実施することにより、より良いエッチングによるポリッシング・パッシベーション効果を達成する。
【0041】
実施例2
第2実施例において、本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法は、
N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面にPN接合を形成するステップ(1)と、
前記N型シリコンウェハの正面に水膜を被覆するステップ(2)と、
第1回の混酸エッチング処理を行い、前記N型シリコンウェハの裏面のパッシベーション効果を増加させるステップ(3)と、
第1回の純水洗と第1回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(4)と、
第2回の純水洗と第2回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(5)と、
第3回の純水洗と風乾を行うステップ(6)と、
風乾した後、N型両面電池に対するエッチングが完了するステップ(7)と、を含む。
【0042】
前記第1回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%であるアルカリ性溶液を採用し、前記アルカリ性溶液はNaOH溶液、KOH溶液又は炭酸ナトリウム溶液を含み、
【0043】
具体的には、N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面(正面、裏面及びエッジを含む)にPN接合を形成する。N型シリコンウェハの正面に1層の純水の水膜を被覆する。まず、HF溶液及びHNO3溶液を混合してなる第1混酸により、N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチング除去し、正面のPN接合を残し、裏面のポリッシング・パッシベーション効果を増加させる。そして、第1回の純水洗及びKOH溶液の洗浄により、N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去する。更に第2回の純水洗とHF溶液及びHCl溶液を体積比が5:1になるように混合した第2混酸により、N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去する。最後に、第3回の純水洗と風乾を行い、N型両面電池のウェットエッチング過程が完了する。
【0044】
表2は本発明の逆方向リーク電流と比較例の逆方向リーク電流との比較データであり、表2における逆方向リーク電流データから分かるように、本発明の逆方向リーク電流は比較例の逆方向リーク電流より明らかに小さい。
【0045】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法によれば、水膜がN型シリコンウェハの正面を保護する作用を果たすことができ、電池効率が低減しないことを確保する前提で、第1混酸の腐食作用により、裏面のポリッシング・パッシベーション効果を改善し、更にN型両面電池の光電変換効率を向上させる。また、エッジ及び裏面に対するエッチングプロセスを増加することにより、ホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハのエッジに拡散されたPN接合及びホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハの表面に生成したホウケイ酸ガラスを除去し、完成したN型両面電池はエッジの漏電が発生するという問題を防止することができる。且つ、ステップ(2)〜ステップ(6)を繰り返して実施することができ、ステップ(2)〜ステップ(6)を複数回実施することにより、より良いエッチングによるポリッシング・パッシベーション効果を達成する。
【0046】
実施例3
第3実施例において、本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法は、
N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面にPN接合を形成するステップ(1)と、
第1回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチング除去するステップ(2)と、
第1回の純水洗と第1回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(3)と、
第2回の純水洗と第2回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(4)と、
第3回の純水洗と風乾を行うステップ(5)と、
前記N型シリコンウェハの正面に水膜を被覆するステップ(6)と、
第3回の混酸エッチング処理を行い、前記N型シリコンウェハの裏面のパッシベーション効果を増加させるステップ(7)と、
第4回の純水洗と第2回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(8)と、
第5回の純水洗と第4回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(9)と、
第6回の純水洗と風乾を行うステップ(10)と、
風乾した後、N型両面電池に対するエッチングが完了するステップ(11)と、を含む。
【0047】
前記第2回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%であるアルカリ性溶液を採用し、前記アルカリ性溶液はNaOH溶液、KOH溶液又は炭酸ナトリウム溶液を含み、
【0048】
具体的には、N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面(正面、裏面及びエッジを含む)にPN接合を形成する。HF溶液、HNO3溶液及びH2SO4溶液を体積比が1:2:1になるように混合した第1混酸により、N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチング除去し、正面のPN接合を残し、裏面のポリッシング・パッシベーション効果を増加させる。そして、第1回の純水洗及び濃度が0.5wt%であるNaOH溶液の洗浄により、N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去する。そして、第2回の純水洗とHF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10になるように混合した第2混酸により、N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去する。そして、第3回の純水洗と風乾を行う。N型シリコンウェハの正面に1層の純水の水膜を被覆する。そして、HF溶液及びHNO3溶液を体積比が1:10になるように混合した第3混酸により、N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチング除去し、裏面のポリッシング・パッシベーション効果を増加させる。そして、第4回の純水洗及び濃度が0.5wt%であるKOH溶液の洗浄により、N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去する。更に第5回の純水洗とHF溶液及びHCl溶液を体積比が1:10になるように混合した第4混酸により、N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去する。最後に、第6回の純水洗と風乾を行い、N型両面電池のウェットエッチング過程が完了する。
【0049】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法によれば、水膜がN型シリコンウェハの正面を保護する作用を果たすことができ、電池効率が低減しないことを確保する前提で、第1混酸と第3混酸の腐食作用により、裏面のポリッシング・パッシベーション効果をより良く改善し、更にN型両面電池の光電変換効率を向上させる。また、エッジ及び裏面に対するエッチングプロセスを増加することにより、ホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハのエッジに拡散されたPN接合及びホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハの表面に生成したホウケイ酸ガラスを除去し、完成したN型両面電池はエッジの漏電が発生するという問題を防止することができる。
【0050】
実施例4
本発明は、N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面にPN接合を形成するステップ(1)と、
前記N型シリコンウェハの正面に水膜を被覆するステップ(2)と、
第1回の混酸エッチング処理を行い、前記N型シリコンウェハの裏面のパッシベーション効果を増加させるステップ(3)と、
第1回の純水洗と第1回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(4)と、
第2回の純水洗と第2回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(5)と、
第3回の純水洗と風乾を行うステップ(6)と、
第3回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチング除去するステップ(7)と、
第4回の純水洗と第2回のアルカリ洗浄を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去するステップ(8)と、
第5回の純水洗と第4回の混合酸洗を行い、前記N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去するステップ(9)と、
第6回の純水洗と風乾を行うステップ(10)と、
風乾した後、N型両面電池に対するエッチングが完了するステップ(11)と、
を含むN型両面電池のウェットエッチング方法を更に提供する。
【0051】
前記第1回のアルカリ洗浄は、濃度が0.5〜15wt%であるアルカリ性溶液を採用し、前記アルカリ性溶液はNaOH溶液、KOH溶液又は炭酸ナトリウム溶液を含み、


【0052】
具体的には、N型シリコンウェハを用意し、前記N型シリコンウェハを表面テクスチャリングし、且つホウ素拡散プロセスで前記N型シリコンウェハの表面(正面、裏面及びエッジを含む)にPN接合を形成する。N型シリコンウェハの正面に1層の純水の水膜を被覆する。HF溶液及びHNO3溶液を体積比が10:1になるように混合した第1混酸により、N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチング除去し、正面のPN接合を残し、裏面のポリッシング・パッシベーション効果を増加させる。そして、第1回の純水洗及び濃度が0.5wt%であるKOH溶液の洗浄により、N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去する。そして、第2回の純水洗とHF溶液及びHCl溶液を体積比が1:2になるように混合した第2混酸により、N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去する。そして、第3回の純水洗と風乾を行う。そして、HF溶液、HNO3溶液及びH2SO4溶液を体積比が1:7:2になるように混合した第3混酸により、N型シリコンウェハのエッジ及び裏面のPN接合をエッチング除去し、裏面のポリッシング・パッシベーション効果を増加させる。そして、第4回の純水洗及び濃度が0.5wt%であるNaOH溶液の洗浄により、N型シリコンウェハの表面に残留された酸液を除去する。更に第5回の純水洗とHF溶液及びHCl溶液を体積比が10:1になるように混合してなる第4混酸により、N型シリコンウェハの表面に残留された不純物を除去する。最後に、第6回の純水洗と風乾を行い、N型両面電池のウェットエッチング過程が完了する。
【0053】
本発明のN型両面電池のウェットエッチング方法によれば、水膜がN型シリコンウェハの正面を保護する作用を果たすことができ、電池効率が低減しないことを確保する前提で、第1混酸と第3混酸の腐食作用により、裏面のポリッシング・パッシベーション効果をより良く改善し、更にN型両面電池の光電変換効率を向上させる。また、エッジ及び裏面に対するエッチングプロセスを増加することにより、ホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハのエッジに拡散されたPN接合及びホウ素拡散過程においてN型シリコンウェハの表面に生成したホウケイ酸ガラスを除去し、完成したN型両面電池はエッジの漏電が発生するという問題を防止することができる。
【0054】
以上は単に本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明をいかなる形式で制限するためのものではない。本発明は既に好ましい実施例により以上のように開示されたが、これらの好ましい実施例は本発明を限定するためのものではない。いかなる当業者は、本発明の技術的手段から逸脱しない範囲内で、上記に開示された技術内容を利用して少し変更、又は修飾を加えて同等変更の同等実施例にすることができる。本発明の技術的実質により以上の実施例に対して行ういかなる簡単な修正、同等変更及び修飾は、本発明の技術的手段の内容から逸脱しない限り、いずれも本発明の技術的手段の範囲に属する。