(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553732
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】無指向性スピーカーシステム用の音響ディフレクタ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/34 20060101AFI20190722BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20190722BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
H04R1/34 310
H04R1/28 310E
H04R1/02 101Z
【請求項の数】28
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-540127(P2017-540127)
(86)(22)【出願日】2016年1月29日
(65)【公表番号】特表2018-504056(P2018-504056A)
(43)【公表日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】US2016015521
(87)【国際公開番号】WO2016123428
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2017年8月22日
(31)【優先権主張番号】62/110,493
(32)【優先日】2015年1月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/643,216
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウォンタク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・イー・ピー・シュート
【審査官】
須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−527719(JP,A)
【文献】
特開2009−141657(JP,A)
【文献】
特開平05−268690(JP,A)
【文献】
特表2013−509801(JP,A)
【文献】
実開昭48−047304(JP,U)
【文献】
特開2010−093767(JP,A)
【文献】
実開昭54−003930(JP,U)
【文献】
特開昭61−264897(JP,A)
【文献】
特開昭61−264896(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0076328(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00 − 1/08
H04R 1/12 − 1/14
H04R 1/20 − 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
概して円錐形の外面と、上面と、円錐軸と、を含む円錐台形状を有し、音響反射面を備えた音響反射体であって、前記円錐軸を中心とする開口部を前記上面に有する音響反射体と、
音響反射を抑えるための吸音材であって、前記吸音材が前記音響反射面に沿って配置されるように、前記上面における前記開口部に配置された吸音材と、
前記音響反射体の径方向外側に設けられる脚部であって、前記脚部の取付面上に音響エンクロージャが取り付け可能な脚部と、
前記概して円錐形の外面から前記脚部の前記取付面まで半径方向に延在する半径方向橋渡し延長部と、を備えることを特徴とする無指向性音響ディフレクタ。
【請求項2】
前記概して円錐形の外面は、非線形傾斜プロファイルを備えることを特徴する請求項1に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項3】
前記吸音材は、発泡体を備えることを特徴とする請求項1に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項4】
前記吸音材は、吸音布を備えることを特徴とする請求項1に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項5】
前記音響反射体は、音響共振モードの最大の圧力に関連する円錐形半径において前記概して円錐形の外面の円周に沿って配置された少なくとも1つの開口部を備えることを特徴とする請求項1に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項6】
前記音響共振モードは、円対称モードであることを特徴とする請求項5に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項7】
前記音響反射体は、音響共振モードの最大の圧力に関連する円錐形半径で前記円錐形の外面の円周の周りに延在する開口部を備えることを特徴とする請求項1に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項8】
前記音響共振モードは、円対称モードであることを特徴とする請求項7に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの開口部に配置された吸音材をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項10】
前記円錐形の外面の周囲に延在する前記開口部に配置された吸音材をさらに備えること特徴とする請求項7に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項11】
前記円錐形の外面は、頂部を落とした回転双曲面によって画定されることを特徴とする請求項1に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項12】
前記概して円錐形の外面から半径方向に延在する少なくとも1つの非円対称面をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の無指向性音響ディフレクタ。
【請求項13】
音響エンクロージャ;
前記音響エンクロージャ内に配置された下方に音を出す音響ドライバ; 及び、
前記音響エンクロージャ内において前記音響ドライバの下方に配置されて前記音響ドライバから伝搬する音響エネルギーを受ける無指向性音響ディフレクタ
を備えるスピーカーシステムであって、
前記無指向性音響ディフレクタが、
概して円錐形の外面と、上面と、円錐軸と、を含む円錐台形状を有し、音響反射面を備えた音響反射体であって、前記円錐軸を中心とする開口部を前記上面に有する音響反射体と、
音響反射を抑えるための吸音材であって、前記吸音材が前記音響反射面に沿って配置されるように、前記上面の前記開口部に配置された吸音材と、
前記音響反射体の径方向外側に設けられる脚部であって、前記脚部の取付面上に前記音響エンクロージャが取り付け可能な脚部と、
前記概して円錐形の外面から前記脚部の前記取付面まで半径方向に延在する半径方向橋渡し延長部と、を備える、ことを特徴とするスピーカーシステム。
【請求項14】
少なくとも1つのパッシブラジエーターをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のスピーカーシステム。
【請求項15】
前記音響エンクロージャは、音源からのオーディオ信号によって駆動されるように構成された一対の対向するパッシブラジエーターを備え、これにより、前記各対向する一対のパッシブラジエーターは、互いに同相で音響的に駆動され、前記音響エンクロージャの振動を最小にすることができることを特徴とする請求項13に記載のスピーカーシステム。
【請求項16】
前記無指向性音響ディフレクタの前記概して円錐形の外面は、非線形の傾斜プロファイルを備えることを特徴とする請求項13に記載のスピーカーシステム。
【請求項17】
前記音響反射体は、音響共振モードの最大の圧力に関連する円錐形半径で前記円錐形の外面の円周に沿って配置された少なくとも1つの開口部を備えることを特徴とする請求項13に記載のスピーカーシステム。
【請求項18】
前記音響共振モードは、円対称モードであることを特徴とする請求項17に記載のスピーカーシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの開口部に配置された吸音材をさらに備えることを特徴とする請求項17に記載のスピーカーシステム。
【請求項20】
前記音響反射体は、音響共振モードの最大の圧力と関連する円錐形の半径で前記円錐形の外面の円周の周りに延在する開口部を備えることを特徴とする請求項13に記載のスピーカーシステム。
【請求項21】
前記音響共振モードは円対称モードであることを特徴とする請求項20に記載のスピーカーシステム。
【請求項22】
前記開口部に配置され、前記円錐形の外面の円周の周りに延在する吸音材をさらに備えることを特徴とする請求項20に記載のスピーカーシステム。
【請求項23】
前記概して円錐形の外面から半径方向に延びる少なくとも1つの非円対称面をさらに備える、請求項13に記載のスピーカーシステム。
【請求項24】
音響エンクロージャ;
前記音響エンクロージャ内に配置された下方に音を出す音響ドライバ;
前記音響エンクロージャに配置され、前記下方に音を出す音響ドライバに隣接する上方に音を出す音響ドライバ;
前記下方に音を出す音響ドライバの前記下方で前記音響エンクロージャ内に配置され、そこから伝搬する音響エネルギーを受ける第1の無指向性音響ディフレクタ; 及び、
前記上方に音を出す音響ドライバの前記上方で前記音響エンクロージャ内に配置され、そこから伝搬する音響エネルギーを受ける第2の無指向性音響ディフレクタ;
を備えるスピーカーシステムであって、
前記第1および第2の無指向性音響ディフレクタそれぞれは、
概して円錐形の外面と、上面と、円錐軸と、を含む円錐台形状を有し、音響反射面を備えた音響反射体であって、前記円錐軸を中心とする開口部を上面に有する音響反射体と、
音響反射を抑えるための吸音材であって、前記吸音材が前記音響反射面に沿って配置されるように、前記上面の開口部に配置された吸音材と、
前記音響反射体の径方向外側に設けられる脚部であって、前記脚部の取付面上に前記音響エンクロージャが取り付け可能な脚部と、
前記概して円錐形の外面から前記脚部の前記取付面まで半径方向に延在する半径方向橋渡し延長部と、を備えることを特徴とするスピーカーシステム。
【請求項25】
前記第1および前記第2の無指向性音響ディフレクタそれぞれの前記音響反射体は、音響共振モードの最大の圧力に関連する円錐形半径で前記円錐形の外面の円周に沿って配置された少なくとも1つの開口部を備えることを特徴とする請求項24に記載のスピーカーシステム。
【請求項26】
前記音響共振モードは、円対称モードであることを特徴とする請求項25に記載のスピーカーシステム。
【請求項27】
前記少なくとも1つの開口部に配置された吸音材をさらに備えることを特徴とする請求項25に記載のスピーカーシステム。
【請求項28】
前記概して円錐形の外面から半径方向に延在する少なくとも1つの非円対称面をさらに備えることを特徴とする請求項25に記載のスピーカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年1月31日に出願され、「Acoustic Deflector for Omni−Directional Speaker System」と題する米国仮特許出願第62/110,493号の利益を主張し、その内容は参照により本願明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
スピーカーシステムにおける従来の音響ディフレクタは、スピーカーと音響ディフレクタとの間に存在する音響モードのために、音響スペクトルにアーチファクトを呈し得る。本開示は、無指向性スピーカーシステムの共振応答(resonant response)を均一化するための音響ディフレクタに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無指向性スピーカーシステムの共振応答を均一化するための音響ディフレクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、無指向性音響ディフレクタは、概して円錐形の外面、上面および円錐軸を含む円錐台形状を有する音響反射体を含む。音響反射体は、円錐軸を中心とする上面に開口部を有する。無指向性音響ディフレクタは、上面の開口部に配置された吸音材をさらに含む。
【0005】
実施形態は、以下の特徴の1つ、または、これらの任意の組み合わせを含み得る。概して円錐形の外面は、非線形傾斜プロファイルを含み得、切頭双曲面の回転によって画定され得る。少なくとも1つの非円対称面は、概して円錐形の外面から半径方向に延在し得る。吸音材料は、発泡体または吸音布であり得る。音響反射体は、音響共振モードの最大圧力に関連する円錐半径で概して円錐形の外面の円周に沿って配置された少なくとも1つの開口部を含み得る。吸音材は、1つ以上の開口部内に配置され得る。音響反射体は、音響共振モードの最大圧力に関連する円錐半径で円錐形外面の円周の周りに延在する開口部を有し得る。音響共振モードは、円対称モードになり得る。吸音材は、円錐状の外面の周囲に延在する開口部に配置され得る。
【0006】
別の態様では、スピーカーシステムは、音響エンクロージャと、音響エンクロージャ内に配置された下方に音を出す音響ドライバと、無指向性音響ディフレクタと、を含む。無指向性音響ディフレクタは、音響ドライバの下方の音響エンクロージャ内に配置され、音響ドライバから伝播する音響エネルギーを受ける。無指向性音響ディフレクタは、概して円錐形の外面、上面および円錐軸を含む切頭円錐形を有する音響反射体を含む。音響反射体は、円錐軸を中心とする上面に開口部を有する。無指向性音響ディフレクタは、上面の開口部に配置された吸音材をさらに含む。
【0007】
スピーカーシステムの実施形態は、上記および/または以下の特徴の1つ、または、これらの任意の組み合わせを含み得る。スピーカーシステムは、少なくとも1つのパッシブラジエーターを含み得る。音響エンクロージャは、それぞれの対向する一対のパッシブラジエーターが互いに同相でかつ機械的に位相がずれて駆動されるように、音源からのオーディオ信号によって駆動されるように構成された一対の対向するパッシブラジエーターを含み得、音響エンクロージャの振動を最小化する。
【0008】
別の態様では、スピーカーシステムは、音響エンクロージャと、音響エンクロージャ内に配置された下方に音を出す音響ドライバと、第1の無指向性音響ディフレクタと、第2の無指向性音響ディフレクタと、を含む。第1の無指向性音響ディフレクタは、音響エネルギーを受けるために下方に音を出す音響ドライバの下方の音響エンクロージャ内に配置され、第2無指向性音響ディフレクタは、音響エネルギーを受けるために上方に音を出す音響ドライバの上方の音響エンクロージャ内に配置される。第1および第2の無指向性音響ディフレクタそれぞれは、概して円錐形の外面、上面および円錐軸を含む円錐台形状を有する音響反射体を含む。各音響反射体は、円錐軸を中心とする上面に開口部を有する。無指向性音響ディフレクタそれぞれは、上面の開口部に配置された吸音材をさらに含む。スピーカーシステムの実施形態は、上記の特徴の1つ、または、これらの任意の組み合わせを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】垂直音響エンクロージャ内に単一の音響ドライバを有する無指向性スピーカーシステムの斜視図である。
【
図1B】
図1Aに示す無指向性スピーカーシステムの断面図である。
【
図1C】
図1Aに示す無指向性スピーカーシステムの切り欠き斜視図である。
【
図2】
図1Aのスピーカーシステムにおける無指向性音響ディフレクタの斜視図である。
【
図3A】
図1Aのスピーカーシステムにおける無指向性音響ディフレクタおよび音響ドライバの断面図である。
【
図3B】
図1Aのスピーカーシステムにおける無指向性音響ディフレクタおよび音響ドライバの切り欠き斜視図である。
【
図4】従来の無指向性音響ディフレクタと、本願明細書に記載の原理による無指向性音響ディフレクタの一例と、の音響周波数の関数としての音響近接場エネルギーレベルのプロットである。
【
図5A】本願明細書に記載された原理による音響スペクトルに対する共振の悪影響を低減する無指向性音響ディフレクタを有する無指向性スピーカーシステムの一例の斜視図である。
【
図5B】
図5Aの無指向性スピーカーシステムの断面図である。
【
図5C】
図5Aの無指向性スピーカーシステムの切り欠き斜視図である。
【
図6A】
図5Aの無指向性スピーカーシステムにおける無指向性音響ディフレクタの斜視図であり、吸音材の領域を示す。
【
図6B】吸音材のなしの
図6Aに示される無指向性音響ディフレクタの切り欠き斜視図である。
【
図7】本願明細書に記載の原理による音響スペクトルに対する共振の悪影響を低減するために、一対の音響ドライバと一対の無指向性音響ディフレクタとを有する無指向性衛星スピーカーシステムの一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
無指向性スピーカーシステムについて複数の利点が知られている。これらの利点には、スピーカーシステムが、反射のために部屋の壁のような境界の近くに配置された際のより広々とした音像を含む。別の利点は、スピーカーシステムが、最適な高周波到達範囲を達成するために特定の方向に向ける必要がないことである。この第2の利点は、スピーカーシステムおよび/または聴取者が動いていることがあるモバイルスピーカーシステムにとって非常に望ましいことである。
【0011】
また、
図1A、
図1Bおよび
図1Cは、垂直音響エンクロージャ14に固定された単一の下方に音を出す音響ドライバ12を含むスピーカーシステム10の斜視図、断面図および切り欠き斜視図をそれぞれ示す図である。エンクロージャ14の各側壁15はパッシブラジエーター16を含む。いくつかの例では、2つの対向するパッシブラジエーター16は、音源(図示せず)からのオーディオ信号によって駆動されるように構成され、その結果、対向する各対のパッシブラジエーター16は、図に示すように、2つの対向する対のパッシブラジエーター16(合計で4つのパッシブラジエーター)が使用され得る。パッシブラジエーター16は、図示されるようにエンクロージャ14の外側壁15に配置されてもよく、または、エンクロージャ14内に配置され、エンクロージャ14(図示せず)に配置されたスロットを介して音響エネルギーを放射するように構成されてもよい。1つ以上のパッシブラジエーター16は、エンクロージャ14内で垂直方向または水平方向に向けられてもよい。パッシブラジエーター16で「密閉」された音響ドライバ12の上方およびエンクロージャ14内の領域内の容積は、音響チャンバ―を画定する。パッシブラジエーター16のダイアフラムは、音響チャンバ内の圧力変化によって駆動される。スピーカーシステム10は、エンクロージャ14が取り付けられる4つの垂直脚部19を有する無指向性音響ディフレクタ18をさらに含む。音響ドライバ12によって生成された音響エネルギーは、下方に伝播し、音響ディフレクタ18の内側部分の概して円錐形の外面22によって名目的に水平方向に偏向される。4つの概して矩形の開口部20がある。各開口部20は、エンクロージャ14の基部、音響ディフレクタ18の基部、及び、一対の垂直脚部19を有する。これらの4つの開口部20は、水平方向に伝搬する音響エネルギーを通過させる音響開口である。所与の方向における音響エネルギーの伝搬には、例えば回折による伝搬音響エネルギーの広がりが含まれることを理解されたい。
【0012】
図2は、無指向性音響ディフレクタ18の斜視図であり、円錐形外面22と上面24とを示している。無指向性音響ディフレクタ18および音響ドライバ12の断面図および切り欠き斜視図をそれぞれ示す
図3A及び
図3Bも参照されたい。音響ディフレクタ18の上面24は、スピーカーシステムの差動中に、音響ドライバ12の面27の中央に配置された中央ダストキャップ25の変動に適合するように形状化される。音響ディフレクタ18の従来の円錐形は、音響ドライバ12の面27及びダストキャップ25と、音響ディフレクタ18の円錐状の外面22及び上面24と、の間の容積における共振により、特に
図4の破線曲線26で示されるようなより高い音響周波数において、音響スペクトルの顕著な色付けをもたらす。
【0013】
図5A、5Bおよび5Cは、単一の下向き音を出す音響ドライバ12の下に配置された無指向性音響ディフレクタ30を有する無指向性スピーカーシステム50の一例の斜視図、断面図および切り欠き斜視図をそれぞれ示す図である。無指向性音響ディフレクタ30は、以下に説明するように、音響スペクトルに対する共振の悪影響を低減するように構成される。図示されたスピーカーシステム50は、異なる構造的かつ材料的な特徴を有する無指向性音響ディフレクタ30を除いて、
図1A、1B、および
図1Cに示すスピーカーシステム10と概して同様である。
【0014】
図6Aは、無指向性音響ディフレクタ30の斜視図であり、以下に説明する吸音材44を有する領域を含む。
図6Bは、吸音材44なしで示された無指向性音響ディフレクタ30の切り欠き斜視図である。
図4を参照すると、実線の曲線28は、音響ディフレクタ30を備える、図示された無指向性スピーカーシステム50によって達成される音響スペクトルを示す。
図2の指向性音響ディフレクタ18を有する無指向性スピーカーシステム10についての音響スペクトルを表す破線26との比較は、音響ディフレクタ30の使用に起因する改善された性能(すなわち、より平坦なスペクトル)を実証する。より長い音響波長(例えば、約1KHz未満の周波数)での性能は、著しく異なることはない。
【0015】
図示された音響ディフレクタ30は名目的な円錐台形状を有する。他の例では、円錐の基部と頂点との間の円錐形外面32の傾斜は一定ではない。例えば、表面32は、放物線輪郭のような非線形傾斜輪郭、または、頂部を落とした回転双曲面によって説明される輪郭を有し得る。音響ディフレクタ30の本体は、任意の適切な音響反射材料で作ることができる。例えば、本体は、プラスチック、石、金属または他の剛性材料、または、これらの任意の適切な組み合わせから形成され得る。
【0016】
図示する例では、無指向性音響ディフレクタ30は、音響スペクトルの改善に寄与する2つの特徴を含む。第1に、円錐形外面32から4つの脚部38の取付面36までの半径方向延長部34がある。音響ディフレクタ30の本体内のこれらの「橋渡し」延長部34は、音響反射面の円対称性を乱し、これにより、音響ドライバ12と音響ディフレクタ30との間の容積が円対称モードをサポートする能力を削減または排除することができる。他の例では、脚部38および延長部34の数、または、円錐の軸線(垂直な破線40)から半径方向に延びる他の特徴部の数が異なる。
【0017】
音響スペクトルの改善をもたらす無指向性音響ディフレクタ30の第2の特徴は、音響反射面に沿って配置された吸音領域の存在である。
図6Bは、吸音材44が配置された(
図6A)円錐台の頂部における円錐軸40の中心にある開口部42におけるこれらの領域の1つを示す。この吸音材44は、最も低い次数の円対称共振モードのピーク付近および近傍に存在する音響エネルギーを減衰させる。いくつかの実施形態では、開口部42の直径は、音響スペクトルの望ましいレベルの平滑化を達成しながら、スピーカー12から伝播する音響エネルギーの結果的な減衰が許容レベルに制限されるように選択される。
【0018】
吸音材44をそれぞれ含むスロットの形態の追加的な開口部46は、名目的に円錐の外面32の円周の部分に沿って配置される。一例では、円周は、円対称の音響共振モードの最大の圧力に対応する円錐半径である。例えば、円周は、共振モードの第2の高調波のピークにあり得る別の例では、円周は、円錐の基部半径の約半分の半径にある。
【0019】
別の例では、半径方向延長部34は、取り付け面36からスロット付き開口部46の円周の下方にある名目的に円錐の外面32まで延在し、これにより、円周に沿って360°延在する単一の開口部を可能にする。この例では、円錐の外面32の上部および下部は、単一の開口部によって分離されている。支持のために、本体のキャビティ内の1つまたは複数の構造的特徴部を用いて上部を支持し得る。
【0020】
様々な実施態様において、吸音材44は発泡体である。一例では、コーンの下の
図6Bに示す音響ディフレクタ30の本体のキャビティ内の開口領域は、発泡体が開口部42,46に隣接するか、または、開口部42,46内に延在するように、単一の体積の発泡体で充填される。あるいは、別個の発泡体構成要素を各開口部42および46に配置し、これにより、本体のキャビティの一部のみが発泡体によって占有される。一例では、発泡体は耐水性材料で被覆されている。一実施態様では、中央の開口部42に存在する発泡体は、本体のキャビティ内に配置された円筒形状の発泡体要素の一端にある。
【0021】
別の例では、吸音材44は吸音布または吸音スクリーンである。布は、開口部42および46内に、または各開口部42または46に隣接する円錐の内部空洞の内側に配置され得る。布はある程度音響的に透過性であるが、異なる布を使用することによって、音響抵抗が調整され得る。有利なことに、布は、音響ディフレクタ本体の円錐部分の内側面(面32の反対)が布で裏打ちされ得るので、1つまたは複数の大きな容積の発泡体を使用する必要性を回避する。さらに、布は、耐水性コーティングを施す必要なく耐水性を有し得る。いくつかの実施形態に適した布の一例は、ニューヨーク州ソマーズのSaatiTech U.S.A.から入手可能なSaatifil Acoustex 145(登録商標)である。
【0022】
有利には、吸音材44によって占有されていない音響ディフレクタ本体内の空洞の容積の少なくとも一部を残すことにより、占有されていない容積を電子部品などの他のシステム構成要素によって占有されることが可能になり、無指向性スピーカーシステム50のサイズを小さくできる。
【0023】
図7に示される別の実施例では、無指向性サテライトスピーカーシステム60は、一対の音響ドライバを含む。各音響ドライバは、垂直音響エンクロージャ62内に固定される。音響ドライバの一方は、上方に音響エネルギーを提供するように構成され、他方の音響ドライバは、反対方向に向くように配置され、音響エネルギーが下方に伝播する。システムは、音響ドライバのそれぞれ1つの面の近くに配置され、上記の様々な例に記載された吸音材を有する2つの無指向性音響ディフレクタ64をさらに含む。このようなシステムは、垂直寸法は最も長い寸法でありながらコンパクトかつ細くすることができる。一例では、無指向性サテライトスピーカーシステム60は、
図5Aに示すスピーカーシステム50にそれぞれ類似する2つのスピーカサブシステムを含む。スピーカサブシステムの一方は、垂直に反転され、他方のスピーカサブシステムに隣接している。このように構成された無指向性サテライトスピーカーシステムは、より小さなアクティブドライバを採用して、単一のアクティブドライバシステムの同じ音響出力を達成することができ、したがって、より小さなフットプリントを有することができる。
【0024】
一般的に、本願明細書に記載の原理による無指向性音響ディフレクタは、スピーカーと音響ディフレクタとの間に変更された音響共振量を提供することによって、音響平滑化フィルタとして機能する。吸音領域のサイズおよび位置を調整することにより、音響スペクトルを調整して音響スペクトルを修正することが可能になることが理解されるだろう。同様に、音響反射面のプロファイルは、非線形(すなわち、完全な円錐面から変化する)であってもよく、音響スペクトルを変更するように画定され得る。さらに、音響反射面における非円対称の延長部、例えば、上述の半径方向の延長部を利用して、許容可能な音響スペクトルを達成することができる。
【0025】
多くの実施例が説明されてきた。それにもかかわらず、本願明細書で説明された発明の概念の範囲から逸脱することなく、追加的な変更がなされ得ることが理解されるだろう。
【符号の説明】
【0026】
10 無指向性スピーカーシステム
12 音響ドライバ
14 エンクロージャ
15 側壁
16 パッシブラジエーター
18 音響ディフレクタ
19 垂直脚部
20 開口部
22 円錐形外面
24 上面
25 ダストキャップ
27 面
30 無指向性音響ディフレクタ
32 円錐形外面
34 半径方向延長部
36 取付面
38 脚部
40 円錐軸
42 開口部
44 吸音材
46 開口部
50 無指向性スピーカーシステム
60 無指向性サテライトスピーカーシステム
62 垂直音響エンクロージャ
64 無指向性音響ディフレクタ