特許第6553735号(P6553735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553735
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】ナノ構造材料の方法及び素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20190722BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20190722BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20190722BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20190722BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   G02B5/20
   H01L33/58
   H01L33/50
   G02B5/18
   G02B5/30
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-548174(P2017-548174)
(86)(22)【出願日】2016年3月10日
(65)【公表番号】特表2018-511080(P2018-511080A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】US2016021827
(87)【国際公開番号】WO2016149043
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2017年9月28日
(31)【優先権主張番号】62/132,767
(32)【優先日】2015年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】517002270
【氏名又は名称】ザ・ボード・オブ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・イリノイ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・カムニンガム
(72)【発明者】
【氏名】グロリア・ジー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・トレフォナス
(72)【発明者】
【氏名】ジェチアン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・クン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ホワード
(72)【発明者】
【氏名】キショリ・デシュパンデ
(72)【発明者】
【氏名】トレボール・エワーズ
【審査官】 岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/137583(WO,A1)
【文献】 特表2012−518808(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/034827(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0299001(US,A1)
【文献】 特開2001−318370(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0190068(US,A1)
【文献】 特表2010−509590(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0219615(US,A1)
【文献】 特開2014−082262(JP,A)
【文献】 特表2011−507302(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0270572(US,A1)
【文献】 特開2006−245580(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0192225(US,A1)
【文献】 特開2012−186414(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0228653(US,A1)
【文献】 特開2009−282424(JP,A)
【文献】 特開2005−189393(JP,A)
【文献】 特表2011−511442(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0111599(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0015757(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0007000(US,A1)
【文献】 特表2009−510391(JP,A)
【文献】 特表2016−527571(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/023536(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02B 5/18
G02B 5/30
H01L 33/50
H01L 33/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1次元の周期的な複数の層であって、前記層のうちの少なくとも2つが、有効なコントラストを提供するのに十分な屈折率示差を有する、複数の層と、
(b)前記屈折率示差インターフェースに対して有効に位置付けられる1つ以上の発光ナノ構造材料と、を備える構造であって、
前記構造が、偏光出力発光を提供する、構造。
【請求項2】
a)基材に配置されるポリマー層であって、1つ以上のポリマーを含み、複数の陥凹部を備えるパターン化表面を有する、ポリマー層と、
b)前記ポリマー層の前記パターン化表面にわたって配置される前記ポリマー層よりも高い屈折率を有する材料の層と、を備える、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記1つ以上の発光ナノ構造材料が、1つ以上の直線格子で構成される、請求項1または2に記載の構造。
【請求項4】
前記構造が、2つ以上のフォトニック結晶領域を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造。
【請求項5】
前記より高い屈折率の材料層が、前記1つ以上の発光ナノ構造材料を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造。
【請求項6】
前記ポリマー層が、前記1つ以上の発光ナノ構造材料を備える、請求項2に記載の構造。
【請求項7】
前記より高い屈折率の材料層上にさらなる層をさらに備える、請求項2に記載の構造。
【請求項8】
前記さらなる層が、前記1つ以上の発光ナノ構造材料を備える、請求項7に記載の構造。
【請求項9】
前記1つ以上の発光ナノ構造材料が、量子ドット、蛍光色素、または蛍光体を備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の構造。
【請求項10】
前記構造が、発光素子、光検出器素子、化学センサ、光起電力素子、蛍光バックライトフィルム、ダイオード、トランジスタ、または生物活性表面を提供する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の構造。
【請求項11】
前記構造が、対照構造と比べて増加した出力発光を提供する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の構造。
【請求項12】
前記構造が、直線偏光の出力を提供する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の構造。
【請求項13】
前記構造が、円偏光または楕円偏光の出力を提供する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の構造。
【請求項14】
偏光出力発光を有するフォトニック結晶システムを形成する方法であって、
1つ以上のポリマー及び複数の発光ナノ結晶を含むポリマー層を基材表面に適用することと、
前記ポリマー層よりも高い屈折率を有する材料の層を前記ポリマー層上に配置して、フォトニック結晶システムを提供することと、を含み、
前記フォトニック結晶システムが、偏光出力発光を提供する、方法。
【請求項15】
前記ポリマー層を前記基材から除去し、次いで、前記除去されたポリマー層を別個の基材に移すことをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリマー層を硬化させることをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマー層が、電気流体力学的ジェット印刷によって適用される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願
本出願は、35U.S.C.§119(e)において、2015年3月13日出願の米国仮出願第62/132,767号に対する優先権の利益を主張し、この出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
一態様では、(a)1次元の周期的な複数の層であって、層のうちの少なくとも2つが、有効なコントラストを提供するのに十分な屈折率示差を有する、層と、(b)屈折率示差インターフェースに対して有効に位置付けられる1つ以上の発光ナノ構造材料と、を備える構造であって、該構造が、偏光出力発光を提供する、構造が提供される。
【背景技術】
【0003】
家庭、職場、及び消費者製品で使用される照明及び表示技術に対する広範囲にわたる用途固有の必要性がある。照明及び表示用途は、それらの出力の色純度及び光特性の調整された制御を必要とする。例えば、光源の指向性または拡散性は、様々な照明条件下で利用者の快適性に影響し、表示器からの光出力の指向性は、視野角に影響し、プライバシーまたはグループへのアクセス性のいずれかを可能にする。
【0004】
発光ダイオード(LED)は、固体照明、背面照明、信号伝達、及び表示器などの多数の用途において重要な光源である。従来の光源におけるように、LEDは、非干渉性及び非偏光性の光源であり、すなわち、光は、特定の偏光状態について著しい優先傾向を所有しない。しかしながら、液晶表示バックライト、液晶表示投影、及びLED点光源によって発光される光ビームが液晶セルを用いて操作される液晶ビームステアリング素子などのある特定の用途について、LEDからの非偏光は、液晶の次の層がLEDからの光を点けたり消したりできるように、偏光子を通して偏光にコンバートされなければならない。必要とされる偏光子は、コスト及び複雑性をそのような表示器に追加する。
【0005】
改善された発光構造を有することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【0006】
ここで、発明者らは、新しい発光構造及び素子、ならびにそのような構造及び素子を作製する方法を提供する。
【0007】
第1の態様では、(a)1次元の周期的な複数の層であって、層のうちの少なくとも2つが、有効なコントラストを提供するのに十分な屈折率示差を有する、層と、(b)屈折率示差インターフェースに対して有効に位置付けられる1つ以上の発光ナノ構造材料と、を備える構造であって、該構造が、偏光出力発光を提供する、構造が提供される。
【0008】
本明細書において参照されるときに、ナノ構造材料は、とりわけ、量子ドット材料、ならびに制限なく、ナノ結晶性ナノ粒子、色素、及び蛍光体を含む。複数の層が、1次元で周期的であると述べることによって、特定の層の最も近く隣接する特徴同士が、その層の表面に沿った一方向においては等間隔であるが、その層の直交方向に沿っては等間隔でないことが理解される。
【0009】
好ましい態様では、a)1つ以上のポリマーを含む1次元のポリマー層であって、複数の陥凹部を含むパターン化表面を有する、ポリマー層と、b)ポリマー層のパターン化表面にわたって配置されるポリマー層よりも高い屈折率を有する材料の層と、c)層a)及びb)の屈折率示差インターフェースに対して有効に位置付けられる1つ以上の発光ナノ構造材料と、を備える構造であって、該構造が、偏光出力発光を提供する、構造が提供される。ここでもまた、ポリマー層が1次元であると述べることによって、ポリマー層の最も近く隣接する陥凹部同士が、ポリマー層の表面に沿った一方向においては等間隔であるが、そのポリマー層の直交方向に沿っては等間隔でないことが理解される。
【0010】
発明者らは、そのような構成が、高偏光の発光を有する大きなサイズの構造を可能にし得ることを見出した。
【0011】
特に好ましい態様では、1つ以上の発光ナノ構造材料は、1つ以上の直線格子配置で構成される。追加の好ましい態様では、構造の1次元格子は、三角形の格子、正弦の格子他などの長方形以外の様々な構成のものであり得る。
【0012】
好ましい構造及び素子において、発光ナノ構造材料は、フォトニック構造の十分に近くに位置付けられ、そのため、発光ナノ構造材料の発光は、フォトニック結晶の共振モードに実質的にまたは完全に結合されて、それによって、実質的な、またさらには100%の偏光制御を達成する。例えば、好ましい構造及び素子において、発光ナノ構造材料は、フォトニック結晶構造内またはその近く(例えば、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1ミクロン、またはそれ未満)に位置付けられて、それによって、増強された偏光を可能にし得る。好ましい構造はまた、例えば、構造が複数の波長の発光を提供することを可能にするために、2つ以上の異なる発光ナノ構造材料、例えば、2つ以上の異なる量子ドットを含み得る。
【0013】
本発明の好ましい構造及び素子は、例えば、構造または素子から発光される少なくとも60%、70%、80%、90%、またはさらに最大で約100%の光が偏光される、実質的に偏光される発光を提供し得る。
【0014】
ある好ましい態様では、本発明の構造及び素子は、直線偏光の光出力を提供し得る。他の態様では、本発明の構造及び素子は、円偏光または楕円偏光の光出力を提供し得る。
【0015】
本発明の特に好ましい構造はまた、著しく増強されたエネルギー効率を提供し得る。この点について、本発光構造及び素子は、別個の偏光子素子を使用することなく偏光出力を提供し得る。例えば、偏光バックライトを利用する表示素子として構成される本発明の構造は、偏光フィルタのあらゆる必要性を取り除くことによって、著しく増強されたエネルギー効率を提供し得、すなわち、偏光フィルタを必要としない本発明の表示素子は、さもなければ偏光フィルタにより損失し得る光強度を利得することができる。
【0016】
ある態様では、本発明の好ましい構造は、対照構造と比べて増加し、例えば、40、50、100、200、300、400、500、600、700、800パーセント、またはそれよりも多く増加した出力発光を提供し得る。対照構造は、本発明の構造と同等であり、本発明の構造と同じポリマー層、ならびに発光ナノ構造材料及びその構成を含むであろうが、対照構造は、1次元の周期的な複数の層及び/または層間の屈折率示差を含まないであろう。
【0017】
またさらなる態様では、フォトニック結晶システムを形成するための方法であって、ポリマー及び複数のナノ結晶を含むポリマー層を基材表面に適用することと、ポリマー層よりも高い屈折率を有する材料の層をポリマー層上に配置して、フォトニック結晶システムを提供することと、を含み、フォトニック結晶システムが、偏光出力発光を提供する、方法が提供される。
【0018】
発明者らは、そのような方法において、構造の1つ以上の層または材料が、好ましくは、とりわけ、電気流体力学ジェット(E−ジェット)印刷、インクジェット印刷、転写、及びスピンコーティングを含む、制御された量の材料の堆積によって基材に適用され得ることを見出した。好ましくは、ポリマー層は、基材表面に別々に適用される。本明細書において、材料が別々に適用されると述べることによって、特に、E−ジェット印刷、インクジェット印刷、及び転写を含む、制御された量の材料の堆積を伴う適用方法を包含することが意図される。
【0019】
発明者らは、E−ジェット印刷が、フォトニック結晶格子の所望の近接近でのナノ構造材料の標的配置を可能にし、それによって、共振エバネッセント場容積外のナノ構造材料の発光を最小化し得ることを見出した。これは、フォトニック結晶の垂直偏波(TM)または水平偏波(TE)モードと相互作用するように配向される光子に対して存在する著しくより高い増強のため、高偏光の出力発光を可能にし得る。
【0020】
好ましい方法において、ポリマー層は、素子特徴を画定するために、成形マスター基材上に堆積され得る。そのような成形基材に堆積後、ポリマー層は、基材から除去され得、除去されたポリマー層は、別個の基材に移され得る。好適には、成形基材または他の基材への堆積後、ポリマー層は、熱処理などによって硬化され得る。
【0021】
1つ以上のナノ構造材料が、様々な構造位置内に位置付けられ得る。好適には、1つ以上のナノ構造材料は、構造の屈折率示差インターフェースに近接して位置付けられて、それによって、有効な発光出力を提供する。例えば、1つ以上のナノ構造材料は、本発明の構造の1つ以上のポリマー層または他の層の構成要素であり得る。より具体的には、a)1つ以上のポリマーを含むポリマー層であって、複数の陥凹部を含むパターン化表面を有するポリマー層と、b)ポリマー層のパターン化表面にわたって配置されるポリマー層よりも高い屈折率を有する材料の層と、を含む、本明細書で開示される構造において、1つ以上の発光ナノ構造材料は、好適には、ポリマー層またはポリマー層にわたって配置されるより高い屈折率の層のいずれか、またはその両方の構成要素であり得る。
【0022】
本発明はまた、様々な発光素子、光検出器、化学センサ、光起電力素子(例えば、太陽電池)、トランジスタ、及びダイオード、ならびに本明細書で開示されるシステムを備える生物活性表面を含む、本明細書で開示される方法によって得られる、または得ることが可能な素子も提供する。
【0023】
本明細書で使用されるとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形態を含む。したがって、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」はそれぞれ、文脈が別途明確に指示しない限り、「1つ以上の」を指す。
【0024】
特に述べられるか、または文脈から明らかでない限り、本明細書で使用されるとき、「または」という用語は、包括的であると理解される。
【0025】
本発明の他の態様は、下で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1(a)】本発明による例示的な素子を示す図である。
図1(b)】本発明の過程に有用である成形マスターテンプレート構造の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図1(c)】本発明の過程に有用である成形マスターテンプレート構造の走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
図1(d)】本発明の素子を生産するための参照される過程を模式的に示す。
図2】TM(左)及びTE(右)偏光によって、λ=613nmで励起下で有限差分時間領域分析を使用してシミュレーションされたフォトニック結晶の2つの周期の界分布を示す。
図3】フォトニック結晶からの量子ドット発光及び増強の角度依存性を示す。
図4(a)】(TM偏光を測定した)において、フォトニック結晶からの偏光出力を示す。
図4(b)】(TE偏光を測定した)において、フォトニック結晶からの偏光出力を示す。
図4(c)】フォトニック結晶の成形し、測定された透過スペクトルを示す。
図5】本発明のE−ジェット印刷された素子の蛍光顕微鏡画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、発明者らは、レプリカ成形したフォトニック結晶の特定の 領域内で量子ドットの正確な配置を実証した。素子は、フォトニック結晶構造を伴わない出力と比較して、偏光発光及び出力強度における実質的な増加を呈し得る。これらの改善は、バックライト表示技術から偏光子を排除するための可能性を有し、光効率を実質的に増加させる。
【0028】
本発明の好ましい構造は、複数の層を含む1つ以上の1次元フォトニック結晶を含み、層のうちの少なくとも2つが、有効なコントラストを提供するのに十分な屈折率示差、及び屈折率示差インターフェースに対して有効に位置付けられる1つ以上の発光ナノ構造材料を有し、該構造が、偏光出力発光を提供する。
【0029】
上で考察されるように、特に好ましい態様では、1つ以上の発光ナノ構造材料は、1つ以上の直線格子で構成される。そのような構成は、例えば、本明細書において開示されるレプリカテンプレート成形基材の使用によるか、または他の方法、例えば、WO2005/112210に概して開示される添加構築によって提供され得る。
【0030】
好ましい構造はまた、例えば、発光の波長または角分散を調整するように、複数の直線格子、または三角形格子もしくは正弦格子などの他の構成の複数の格子を含み得る。そのような複数の格子は、例えば、ピッチにおいて異なり得る。
【0031】
ある好ましい態様では、本発明の構造及び素子は、直線偏光の光出力を提供し得る。他の態様では、本発明の構造及び素子は、円偏光または楕円偏光の光出力を提供し得る。円偏光の光出力は、本明細書において開示されるように、四分の一波長のプレートまたはフィルタの構造または素子への追加によって提供され得る。構造または素子のトップコーティング層は、円偏光の光出力を提供するために四分の一波長のフィルタとして機能し得る。同様に、楕円偏光の光出力は、本明細書において開示されるように、適切なプレートまたはフィルタの構造または素子への追加によって提供され得る。
【0032】
ここで、図を参照すると、図1(a)は、層12上に配置される、層12と異なる屈折率を有する層16を有する基材14にポリマー層12を含む、素子構造10の模式図である。
【0033】
ポリマー層12は、好適には、1つ以上の発光ナノ構造材料を備え得る。例えば、層12の好ましい材料は、発光量子ドットを用いて埋め込まれるポリマーである。層12は、好適には、図1(d)に対して以下にさらに考察される成形基材にレプリカ成形される。
【0034】
層16は、層12に対しての屈折率示差を提供し、それによって、十分なコントラストを提供する。したがって、層16は、層12の屈折率よりも低い屈折率を有し得るか、または層16は、層12の屈折率よりも高い屈折率を有し得る。少なくともある特定の用途について、層16の好ましい材料は、二酸化チタン(TiO)または他の適切な高屈折率の無機酸化物を含む。層16は、コーティング(例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング)、スパッタリング、またはポリマー層のパターン化を妨げることなく材料の層をポリマー層上に堆積するための他の方法によって堆積することができる。層16の厚さは、周期的な陥凹部の共振波長を調整するために使用することができる。層16がTiOであるとき、適切な厚さは、約50nm〜約500nmである。
【0035】
図1(a)に示される光源18は、任意の適切な紫外線(UV)源または可視光源、例えば、LEDを含む200nm<λ<700nmの範囲の光とすることができる。
【0036】
基材14は、任意の剛体材料または軟質材量、好適には、所望の波長範囲において光透過性である材料で作製することができる。例えば、基材は、ガラス、酢酸セルロース、またはポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、及び同類のもの等のポリマー材料で作製することができる。基材は、例えば、1ミクロン〜1mmの厚さの任意の適切な厚さを有することができる。
【0037】
層12のポリマーのうちの1つ以上は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、及び同類のものを含む、任意の適切なポリマー材料から選択することができる。好ましいポリマー材料としては、メタクリル酸ラウリル(LMA)、エチルグリコールジメタクリレート(EGDMA)、及びそれらの混合物が挙げられる。ポリマー層は、随意に、NOA61(Norland Products,Inc.)等の光透過性接着剤によって基材に接着することができる。
【0038】
ポリマー層12は、好適には、パターン化され得、例えば、層12は、複数の陥凹部12’を備え得る。本明細書において参照される陥凹部は、直線プリズム、伸長された突条、及び直線格子などの様々な構成を有する周期的な構造を備え得る。パターン化領域において、好ましくは、複数の陥凹部は、周期性を有し、例えば、複数の陥凹部は、表面の指定の次元に沿って等間隔であるか、または他の規則的もしくは繰り返し配置である。複数の陥凹部は、例えばパターン化したマスターテンプレート上へポリマー溶液をコーティングすることによって、ポリマー層と一体的に形成することができる。代替として、複数の陥凹部は、最初に、実質的に平坦なまたは平面のポリマー層を基材の上に形成し、次いで、例えばパターン化したダイで型押しすることによりポリマー層をパターン化することによって形成することができる。さらなる代替では、ポリマー層の表面に材料を堆積させ、それによって、複数の陥凹部をポリマー層上に画定することによって、突条形状、レンズレット形状、角錐形状、台形状、円形状、もしくは正方形状のポスト、または曲線の辺を有する錐体構造(例えば、米国特許出願第2010/0128351号を参照されたい)等の微細構造がポリマー層上に形成または適用される。
【0039】
陥凹部は、好適には、基材に適用される層に、基材と一体的に形成することができる。例えば、陥凹部は、基材、コーティング層に適用し、続いて適用された層をパターン化することによって基材に形成することができる。
【0040】
考察されるように、陥凹部は、好適には、1次元であり、そこにおいて陥凹部は、一方向でのみ周期的であり、すなわち、最も近く隣接する特徴同士が、表面に沿った一方向においては等間隔であるが、直交方向に沿っては等間隔でない。1次元の周期的な陥凹部の場合において、隣接する周期的な特徴の間の間隔は、好適には、1ミクロン未満である。上で考察されるように、例えば、レンズレット形状、角錐形状、台形状、円形状、もしくは正方形状のポスト、連続するかまたは伸長されたプリズムもしくは突条、あるいは直線格子を含む様々な構成の1次元の構造が利用され得る。
【0041】
陥凹部の間隔は、選択される波長で共振を生成するために、構造の屈折率示差と組み合わせて選択され得る。厳密結合波解析は、所与の間隔または陥凹部に対する、共振波長及び共振波長での電磁界分布を予測するために使用することができる。したがって、 例えば、ある特定の構造について、250nmの間隔を有する陥凹部は、490nmで共振を提供することができ、一方で、340nmの間隔を有する陥凹部は、590nmで共振を提供することができる。その構造の屈折率示差と組み合わせた構造の陥凹部の間隔は、特定の共振波長を提供する。
【0042】
ある実施形態において、ポリマー層は、複数の第1の領域及び複数の第2の領域を備える。複数の第1及び第2の領域は、チェッカーボードパターン等の任意の所望のパターンでの基材上に配置することができる。ある実施形態において、第1及び第2の領域は、互いに交互の関係にある。
【0043】
上で考察されるように、本構造及び方法において、ポリマー層、ナノ構造材料、異なる屈折率を有する層などの他の層は、とりわけ、E−ジェット印刷、インクジェット印刷、転写、及びスピンコーティングを含む様々な堆積方法によって適用され得る。少なくともある特定の構造を生産することについて、E−ジェット印刷は、好ましいであろう。概して、E−ジェット印刷は、印刷ノズルと材料が堆積される基材との間の電圧差を利用する。好ましいE−ジェット印刷手順はまた、量子ドット溶液を含有するポリマーが、レプリカ成形のために指定された領域にわたってE−ジェット印刷された箇所を伴う実施例1に記載される。E−ジェット印刷プロトコールはまた、米国特許第8,562,095号及び米国特許出願公開第2011/0187798に開示される。
【0044】
簡潔に、E−ジェット印刷は、流体流量を作成して材料を基材に送達するために、伝統的な熱性または超音波方式インクジェットシステムよりもむしろ電界を使用する。E−ジェット印刷システムは、堆積される材料(例えば、ポリマー溶液)を含有するノズルと、材料が移される基材との間に電界を確立することを関与し得る。ある特定の適切なシステムにおいて、これは、プラテン及びノズルのそれぞれを電圧電源に接続し、導電性の基材をプラテンに対して静止させることによって達成することができる。電圧パルスは、プラテンとノズルとの間に作成され、堆積される材料上の電荷の分布を作成する。閾値電圧を超える電圧パルスで、電界は、材料のジェットを、連続的な流れまたは一連の個別的な液滴の形態のいずれかで、ノズルから基材上に流動させる。
【0045】
上で考察されるように、「ナノ構造材料」という用語は、本明細書で使用されるときに、量子ドット材料、ならびにヘテロ接合ナノロッド等の1つ以上のヘテロ接合を含むナノ結晶性ナノ粒子(ナノ粒子またはナノ結晶)を含む。ナノ結晶及び量子ドットを含むナノ構造材料は、ナノ結晶構造を有し、かつ量子機械特性を呈するのに十分に小さい半導体材料を包含する。米国特許出願公開第2013/0056705号及び米国特許第8,039,847号を参照されたい。また、米国特許出願公開第2012/0234460号及び同第2013/0051032号も参照されたい。ナノ構造材料はまた、蛍光色素及びアップコンバートする蛍光体を含む蛍光体を含み得る。
【0046】
量子ドットは、好適には、II〜VI族の材料、III〜V族の材料、V族の材料、またはそれらの組み合わせであり得る。量子ドットは、好適には、例えばCdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InP、及びInAsから選択される少なくとも1つを含み得る。異なる条件の下で、量子ドットは、上記の材料の2つ以上を含む化合物を含み得る。例えば、化合物は、単純に混合した状態で存在する2つ以上の量子ドット、2つ以上の化合物結晶が同じ結晶に、例えばコア−シェル構造または勾配構造を有する結晶に部分的に分割される混合結晶、または2つ以上のナノ結晶を含む化合物を含み得る。例えば、量子ドットは、貫通孔を伴うコア構造、またはコア及びコアを収容するシェルを伴う収容構造を有し得る。そのような実施形態において、コアは、例えば、CdSe、CdS、ZnS、ZnSe、CdTe、CdSeTe、CdZnS、PbSe、AgInZnS、及びZnOのうちの1つ以上の材料を含み得る。例えば、シェルは、CdSe、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdTe、PbS、TiO、SrSe、及びHgSeから選択される1つ以上の材料を含み得る。
【0047】
複数のヘテロ接合を含む不活性化ナノ結晶性ナノ粒子(ナノ粒子)は、好適には、素子として使用したときに光放射を増強する電荷担体注入過程を促進する。そのようなナノ粒子はまた、半導体ナノ粒子とも称され得、1次元ナノ粒子に接触する単一のエンドキャップまたは複数のエンドキャップを各端部に配置した、1次元ナノ粒子を含み得る。エンドキャップはまた、互いに接触し、1次元ナノ粒子を不活性化する役割も果たし得る。ナノ粒子は、少なくとも1つの軸を中心に対称または非対称であり得る。ナノ粒子は、組成、幾何学的構造、及び電子構造において、または組成及び構造の双方において非対称であり得る。ヘテロ接合という用語は、別の半導体材料の結晶格子上で成長させた1つの半導体材料を有する構造を意味する。1次元ナノ粒子という用語は、ナノ粒子の質量が、第1の電力に対するナノ粒子の特性寸法(例えば、長さ)によって変動する物体を含む。これは、次式(1)で示される。MαLd、式中、Mは、粒子の質量であり、Lは、粒子の長さであり、dは、粒子の次元を決定する指数である。したがって、例えば、d=1のとき、粒子の質量は、粒子の長さに正比例し、この粒子は、1次元ナノ粒子と称される。d=2のとき、粒子は、プレート等の2次元物体であり、一方で、d=3のときには、円筒または球体等の3次元の物体を画定する。1次元ナノ粒子(d=1である粒子)としては、ナノロッド、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノウィスカー、ナノリボン、及び同類のものが挙げられる。一実施形態において、1次元ナノ粒子は、曲線または波状(蛇行)であり得、すなわち、1〜1.5のdの値を有する。例示的な好ましい材料は、米国特許第8,937,294号で開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
1次元ナノ粒子は、好適には、直径約1nm〜10000ナノメートル(nm)、好ましくは、2nm〜50nm、より好ましくは、5nm〜20nm(約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20nm等)の断面積または特性厚さ寸法(例えば、円形断面積の場合の直径、または正方形断面積もしくは長方形断面積の四角形の場合の対角線)を有する。ナノロッドは、好適には、その特性寸法が上述した範囲内にある円形断面積を有する剛体ロッドである。ナノワイヤまたはナノウィスカーは、曲線状であり、異なる形状またはうねり形状を有する。ナノリボンは、4つまたは5つの直線側部によって囲まれた断面積を有する。そのような断面積の例としては、正方形、長方形、平行六面体、菱面体、及び同類のものが挙げられる。ナノチューブは、実質的に同心の穴を有し、該穴は、ナノチューブの全長にわたって横断し、それによって、該穴をチューブ状にする。このような1次元ナノ粒子のアスペクト比は、2以上、好ましくは、5以上、より好ましくは、10以上である。
【0049】
1次元ナノ粒子は、半導体を含み、該半導体としては、好適には、II〜VI族(ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、及び同類のもの)、及びIII〜V族(GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlAs、AlP、AlSb、及び同類のもの)、及びIV族(Ge、Si、Pb、及び同類のもの)の材料、それらの合金、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
量子ドット材料を含むナノ構造材料は、商業的に入手可能であり、また、例えば、金属前駆体を使用した標準的な化学的ウェット法によって、ならびに金属前駆体を有機溶液に注入し、金属前駆体を成長させることによっても準備され得る。量子ドットを含むナノ構造材料のサイズは、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)波長の光を吸収または放射するように調整され得る。したがって、発光ナノ結晶は、選択された波長または波長範囲の光を吸収または放射するように選択され得る。
【0051】
ナノ結晶または量子ドット等の発光ナノ構造材料は、ナノ構造材料(例えば、ナノ結晶または量子ドット)の懸濁液または溶液をモノマー溶液に加え、続いて、ポリマー溶液を基材上へ別々に適用し、ポリマー溶液を硬化させて、ナノ結晶または量子ドットが埋め込まれたポリマーを提供することによって、ポリマー層の中へ組み込むことができる。
【0052】
以下の実施例は、本発明の実例となる。
【実施例1】
【0053】
図1(a)に示されるフォトニック結晶構造は、量子ドットを用いてドープされるポリマーによって形成され、透過性プラスチック基材をカバーするレプリカ成形した格子のものを含む。TiOの高屈折率の層(t=105nm)は、表面に対して横方向に素子の屈折率で周期的な変動を作成するために、ポリマー格子の表面にわたって堆積される。図1(c)におけるシリコンレプリカ成形マスターのSEMに示される格子は、67%のデューティサイクルを有する340nmのピッチ及び120nmの深さを有する。
【0054】
素子の構造は、図1(b)における素子のSEMに示されるブロック図を形成するために配置される複数の別々のフォトニック結晶領域を含む。フォトニック結晶領域は、例えば、一辺が最小で40μm以下であるが、最大で320μm以上であり得る。また、素子は、フォトニック結晶格子が他の領域の格子に対して平行または垂直のいずれかで作動し得る別の別個の格子構造を含有する領域を含むことが可能である。
【0055】
フォトニック結晶は、実証としてスペクトル(λ=575nm)の可視領域に1つの選択される波長でQD発光と重複する垂直偏波(TM)偏光共振条件を有する構造に必要なフォトニック結晶次元を決定するように、電磁気学シミュレーションソフトウェア(Lumerical FDTD)の補助と共に設計された。可視スペクトルにわたって屈折率値を使用するが、標的波長λ=575nmに特に注目し、TiO(n=2.625)及びUV硬化型ポリマー(n=1.524、Woolam VAS Ellipsometer)のRI値を使用してシミュレーションを行った。λ=575nmの励起でのTM及び水平偏波(TE)偏光の両方をモデル化し、電界強度の比較は図2に示される。シミュレーションは、異なる偏光条件下での格子横断面の強度における明確な差を示す。
【0056】
素子を製作するために、図1(b)及び1(c)に示されるレプリカ成形マスターを、熱成長させたSiOの層を有するシリコンウエハ上の電子ビームリソグラフィを使用してパターン化した。反応性イオンエッチング(PlasmaLab Freon/O2 Reactive Ion Etcher System)を、次いで、格子のための120nmの深さの溝をエッチングするために使用した。マスターを、ピラニアエッチングを用いて洗浄し、1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチルトリクロロシラン(Alfa AesarからのNo−Stick)を用いてコーティングし、ポリマーを電気流体力学ジェット(E−ジェット)印刷によって表面に適用した。
【0057】
シリコン表面の状態は、印刷過程の質に大きな影響を有する。ウエハ表面が疎水性でありすぎる場合、印刷された液滴は、連続する列を形成する代わりに点在する。表面が親水性でありすぎる場合、硬化したポリマーは、マスターから剥離するのが困難である。No−Stickの使用は、繰り返し可能なE−ジェット印刷のために適切な疎水性を提供する。
【0058】
量子ドットでドープされたポリマー溶液を調製するために、2つのモノマー、91μLのメタクリル酸ラウリル(LMA、Sigma−Aldrich)及び9μLのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA、Sigma−Aldrich)を、フラスコの中で混合し、続いて、4mLのCdSeS/ZnS合金量子ドットをトルエン溶液(Sigma−Aldrich)中に添加した。残りの溶媒を、ロータリーエバポレーターを使用して蒸発させ、次いで、1v%のDarocur1173(Sigma−Aldrich)開始剤を混合物に添加した。結果として生じた量子ドットLMA溶液を、印刷のために使用した。
【0059】
ポリマー格子を、シリコンマスターにわたって溶液をE−ジェット印刷することによって形成し、続いて、ポリマー層を硬化する(図1(d))。印刷は、5μmの先端径を有する0.1%(重量)のジメチルホルムアミドの疎水性コーティングに浸漬される、金/パラジウム(Au/Pd)コーティングされたノズルを使用し、量子ドットLMA溶液が、ノズルを詰まらせることなく連続的に印刷されることを可能にする。印刷の電圧及び速度を、PC基材に連続する列を形成するために最適化した。E−ジェットインターフェースを通して印刷過程を事前にプログラムすることによって、特定の領域及びサイズを、自動的に印刷することができた。
【0060】
印刷後、基材を、アルゴン雰囲気グローブボックスに移し、UV照明下で30分間硬化した。AFM測定(Digital Instruments Dimension 3000 Atomic Force Microscope)は、この層の厚さが、600nmであり、それは同じ材料(Dektak 3030表面形状測定装置)をスピンキャストすることによって生産された8μmの厚さの層と比べて、厚さにおける著しい減少であることを示す。今回はいかなる量子ドットも伴わないLMA溶液の別の層を、基材にドロップキャストし、Grafixアセテート基材を用いてカバーした。第2のLMA層を完全に硬化した後、二層フィルムをマスターから剥がした。最後に、高屈折率TiOの層を、パターン化したポリマー量子ドット構造にわたって堆積し、構造をフォトニック結晶にコンバートする。
【実施例2】
【0061】
上の実施例1において生産された素子の性能を、励起源としてλ=375nmの中心波長及び20nmの全幅半値を有するUV LED(Thor Labs、Ultra Bright Deep Violet LED)のコリメートされた出力を使用して特徴付けた。UV発光はまた、350<λ<390nmの帯域通過フィルタを通過させて、UV波長のみが素子中で量子ドットと相互作用したことを保証した。素子出力を、0.1°刻みで操作の制御を有する電動回転ステージにPC素子を載置することによって測定し、±20°の視野角範囲にわたって測定される素子の出力発光を可能にした。出力はUVフィルタを通過させ、USB2000+ Ocean Optics分光計に接続された光ファイバー上のコリメーティングレンズによって収集した。ステージ位置及び収集された発光データを、カスタムLabView OmniDriverソフトウェアインターフェースによって制御した。
【0062】
また、同じ装置を使用して、UV LEDを供給源としてコリメートされた非偏光広帯域タングステン−ハロゲンランプと置き換えることによって素子を通して透過を測定した。この場合、量子ドットは、励起されず、フォトニック結晶のフォトニック帯域線図は、代わりに決定され得る。同じ角度範囲を試験して、帯域線図を測定された発光と比較した。
【0063】
量子ドットでドープされたポリマーを用いて格子を製作した後、しかしTiO堆積前に、素子を最初に測定して、出力発光強度のためのベースライン測定を提供した。TiO堆積後、測定を繰り返した。図3に示されるように、λ=575nmの中心波長で、出力強度において8倍の増強がある。挿入図は、標的波長でPC増強についての±2.5°の密接な角度依存を示す。
【0064】
増強された発光はまた、偏光である。図4(a)及び4(b)は、素子と測定収集オプティクスとの間の偏光子の包含を伴う素子出力を示す。測定された発光は、図4(a)及び図4(b)それぞれにTM及びTE偏光の両方について示される。TM出力は、TEよりも5倍大きく、TE出力は、測定システムのノイズフロアと同等である。図4(c)は、素子のモデル化され、測定された透過スペクトルを示す。測定された透過は、TM及びTEモードのそれぞれのモデルによって予測されるように、非偏光透過スペクトルにおける浸漬が、λ=575nm及び620nmの波長で起こることを示す。しかしながら、測定された透過値は、モデルによって予測されたものよりも著しく大きい。これは、活性素子領域が、測定された全基材領域の7.75%であるためであり、測定よりも著しく高い透過に寄与する大きい不活性領域は、フォトニック結晶単独のために起こる。
【実施例3】
【0065】
蛍光顕微鏡画像を、実施例1のE−ジェット印刷された素子から撮影した。画像は、上の挿入図が、システムによって印刷された縁の鮮明さを示す図5に示される。下の挿入図は、印刷がレプリカ成形マスターを用いて完璧に調整されなかったよりくすんだ縁を示す。かすか領域は、増強を提供するためにフォトニック結晶構造を有さない平面の領域に起こる量子ドット発光のためである。
【0066】
本明細書において言及される全ての書類は、参照によりそれらの全体が本明細書に完全に組み込まれる。
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5