(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水添スチレン系ブロック共重合体Aと、該水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、ゴム用軟化剤B 50〜300質量部、及びポリオレフィン樹脂C 2〜100質量部を含有してなる、熱可塑性エラストマー組成物であって、
前記水添スチレン系ブロック共重合体Aが、〔スチレン系炭化水素重合体ブロックa−共役ジエン化合物重合体ブロックb−スチレン系炭化水素重合体ブロックa〕型のトリブロック共重合体A’の水素添加物であり、重量平均分子量が350,000〜500,000であり、スチレン系炭化水素重合体ブロックaの含有量が10〜40質量%であり、共役ジエン化合物重合体ブロックbの重量平均分子量が250,000〜400,000である、水添スチレン系ブロック共重合体であり、
前記ゴム用軟化剤Bが、重量平均分子量が700以上、重量平均分子量/数平均分子量で表される分子量分布が4.0以下であるゴム用軟化剤であり、
前記ポリオレフィン樹脂Cがポリプロピレン樹脂であり、
A硬さが5〜50である、熱可塑性エラストマー組成物と、融点が155℃以上、曲げ弾性率が1200MPa以上の、ポリプロピレン樹脂又はエチレン−プロピレンブロック共重合体との複合成形体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の複合成形体用熱可塑性エラストマー組成物は、水添スチレン系ブロック共重合体A、ゴム用軟化剤B、及びポリオレフィン樹脂Cを含有するものである。
【0012】
水添スチレン系ブロック共重合体、ゴム用軟化剤、及びポリオレフィン樹脂は、いずれも非極性であり、それぞれのsp値も8前後で離れていない。そのため、溶融によりよく混ざり合うが、冷却すると、水添スチレン系ブロック共重合体のハードセグメントであるスチレン系炭化水素重合体ブロックは寄り集まって疑似架橋体となり、軟化剤はソフトセグメントに移行する。しかしながら、ソフトセグメントである共役ジエン化合物重合体ブロックも時間とともに徐々にミクロ結晶化が起きると言われており、溶けきれなくなった軟化剤が組成物の表面に滲んでくる。これが軟化剤の表面ブリードアウトである。そこで、本発明では、水添スチレン系ブロック共重合体のスチレン系炭化水素単位の含有量を低くし、軟化剤を吸収するソフトセグメントの割合を高くしている。さらに、複合成形体とした際の被着体への浸透性は、軟化剤の分子量が小さいほど大きくなることから、低分子量成分の少ない軟化剤、即ち分子量が大きく、かつ分子量分布のシャープな軟化剤を組み合わせている。これにより、軟化剤のブリードアウト自体を制御し、かつブリードアウトした軟化剤の被着体への浸透も抑制している。
【0013】
水添スチレン系ブロック共重合体Aは、柔軟性と成形性の観点から、スチレン系炭化水素重合体ブロックaと共役ジエン化合物重合体ブロックbとからなるブロック共重合体A’の水素添加物である。
【0014】
重合体ブロックaを構成するスチレン系炭化水素としては、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。
【0015】
重合体ブロックbを構成する共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられる。
【0016】
重合体ブロックbの重量平均分子量が高いと、ゴム用軟化剤Bの保持力が高くなるため好ましく、好ましくは200,000〜400,000、より好ましくは200,000〜350,000、さらに好ましくは250,000〜350,000である。重合体ブロックbの重量平均分子量は、例えば、〔重合体ブロックa−重合体ブロックb−重合体ブロックa〕型のトリブロック共重合体や〔重合体ブロックa−重合体ブロックb〕型のジブロック共重合体の場合、水添スチレン系ブロック共重合体Aの重量平均分子量とスチレン系炭化水素単量体単位の含有量(質量%)との積から算出された重合体ブロックaの重量平均分子量と、水添スチレン系ブロック共重合体Aの重量平均分子量との差分から算出することができる。
【0017】
従って、水添スチレン系ブロック共重合体Aは、単独の重合体ブロックbを含むものすなわち、〔重合体ブロックa−重合体ブロックb−重合体ブロックa〕型のトリブロック共重合体又は〔重合体ブロックa−重合体ブロックb〕型のジブロック共重合体であることが好ましく、一方、重合体ブロックaの分子量は小さい方が溶融流動性が高く、成形性に優れる観点、及び耐熱性の観点から、トリブロック共重合体であることがより好ましい。同じ分子量の水添スチレン系ブロック共重合体Aであっても、複数の重合体ブロックbを含むマルチブロック構造や、制御分布構造を有する場合は、含まれる重合体ブロックbの分子量が小さくなるため、ゴム用軟化剤Bの保持力は小さくなる傾向にある。
【0018】
水添スチレン系トリブロック共重合体の含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
【0019】
ブロック共重合体A’は、重合体ブロックaからなるハードセグメント(硬い部分)と、重合体ブロックbからなるソフトセグメント(柔らかい部分)とから構成されている。ゴム用軟化剤Bを保持しやすく耐熱性も維持する観点から、水添スチレン系ブロック共重合体Aにおける重合体ブロックaの含有量は、10〜40質量%であり、15〜35質量%が好ましい。
【0020】
ブロック共重合体A’は、水素添加することにより不飽和結合が減少し、耐熱性、耐候性及び機械的特性が向上することから、その一部又は全部が水素添加されている。水素添加率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。本発明において、水素添加率は、ブロック共重合体中の共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の含有量を、水素添加の前後において、
1H-NMRスペクトルによって測定し、該測定値から求めることができる。
【0021】
水添スチレン系ブロック共重合体Aの重量平均分子量は、大きい方が組成物の圧縮成形歪みが小さくなる傾向があり、複合体の変形を抑制することができる観点から、50,000以上、好ましくは250,000以上、より好ましくは350,000以上であり、成形性の観点から、500,000以下、より好ましくは450,000以下である。水添スチレン系ブロック共重合体Aの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した値である。なお、上記重量平均分子量は、水添スチレン系ブロック共重合体Aが2種以上の水添スチレン系ブロック共重合体からなる場合は、水添スチレン系ブロック共重合体全体での重量平均分子量である。
【0022】
ブロック共重合体A’の水素添加物、即ち水添スチレン系ブロック共重合体Aの具体例としては、スチレン−エチレン・ブチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン・プロピレンブロック共重合体、スチレン−(エチレン−エチレン・プロピレン)−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−イソブチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、(α-メチルスチレン)−エチレン・ブチレンブロック共重合体、(α-メチルスチレン)−エチレン・ブチレン−(α-メチルスチレン)ブロック共重合体等が挙げられる。これらは、単独であっても、2種以上の混合物であってもよい。
【0023】
前記水添スチレン系ブロック共重合体Aのなかで、水添スチレン系トリブロック共重合体としては、SEBS、SEPS、SEEPS、スチレン−エチレン−エチレン・プロピレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、(α-メチルスチレン)−エチレン・ブチレン−(α-メチルスチレン)ブロック共重合体等が挙げられる。
【0024】
水添スチレン系ブロック共重合体Aの含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。
【0025】
ゴム用軟化剤Bとしては、パラフィンオイル、ナフテンオイル、芳香族系オイル等が挙げられ、本発明では、ゴム用軟化剤が挙げられるが、これらのなかでは、水添スチレン系ブロック共重合体Aとの親和性が良好で、移行が起きにくいという観点から、パラフィンオイルが好ましい。
【0026】
ゴム用軟化剤Bの重量平均分子量は、700以上、好ましくは900以上であり、好ましくは1500以下である。
【0027】
また、重量平均分子量/数平均分子量で表されるゴム用軟化剤Bの分子量分布は、4.0以下、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下であり、また、1.0以上であり、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.2以上である。
ゴム用軟化剤Bの重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法を用い市販のポリスチレン分子量標準を用いて測定する。
【0028】
ゴム用軟化剤Bの重量平均分子量が700以上で、分子量分布が4.0以下であるということは、分子量分布が狭く、低分子量成分が少ないことを意味する。低分子量成分は高温下では比較的容易にポリオレフィン樹脂に浸透しやすく、浸透した部分では可塑剤として高温下のポリオレフィン樹脂を軟化するため、熱変形が起きやすくなると推察される。
【0029】
ゴム用軟化剤Bの40℃における動粘度は、高い方が、加熱溶融時の揮発を防ぎ、耐移行性も良くなることから、好ましくは150mm
2/s以上、より好ましくは200mm
2/s以上、さらに好ましくは250mm
2/s以上であり、上限は特に限定されないが、一方で動粘度が低い方が溶融流動性が良くなり、成形性が向上することから、好ましくは500mm
2/s以下、より好ましくは450mm
2/s以下、さらに好ましくは400mm
2/s以下である。ゴム用軟化剤Bの動粘度は、高分子量成分の分子量が高いほど大きくなる傾向があり、重量平均分子量の大きさと傾向が一致するが、低分子量成分はそれほど影響しないので、複合成形体の変形防止の効果については動粘度の規定だけでは不十分である。
【0030】
ゴム用軟化剤Bの含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、少なすぎるとエラストマー組成物の柔軟性が低下し、配合成分の分散性が低下することから、50質量部以上、好ましくは100質量部以上、より好ましくは150質量部以上であり、多すぎると、移行が生じやすくなる観点から、300質量部以下、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下である。
【0031】
ゴム用軟化剤Bの含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜60質量%である。
【0032】
ポリオレフィン樹脂Cとしては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、その他のα−オレフィンのポリマー等が挙げられ、これらの中では、耐熱性及び相溶性の観点から、ポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0033】
ポリオレフィン樹脂はホモポリマーのみならず、他のα−オレフィンとの共重合体であってよい。例えば、エチレン−プロピレン共重合体が挙げられるが、この場合、エチレンの含有量は、20質量%以下が好ましい。
【0034】
共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
【0035】
ポリオレフィン樹脂Cは、エラストマー組成物の分散性及び成形性の観点から溶融流動性が高い方が好ましい。溶融流動性はメルトマスフローレイト(MFR)によって評価することができ、ASTM D1238に準拠し、230℃、荷重21.2Nの条件で、0.1g/10min以上が好ましく、より好ましくは1g/10min以上、さらに好ましくは5g/10min以上であり、組成物の製造工程での混錬のしやすさから、100g/10min以下が好ましい。
【0036】
ポリオレフィン樹脂Cの含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A 100質量部に対して、分散性・成形性の観点から、2質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり、柔軟性の観点から、100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
【0037】
ポリオレフィン樹脂Cの含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは2〜60質量%、より好ましくは5〜40質量%である。
【0038】
本発明のエラストマー組成物は、成形時の熱劣化や長期使用の観点から、酸化防止剤を含有していてもよい。
【0039】
酸化防止剤としては、硫黄系、ヒンダートフェノール系、リン系等の公知の酸化防止剤から任意に選択して用いることができる。なお、これらの酸化防止剤は1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
硫黄系酸化防止剤とは、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオンエステル系等の硫黄を含む化合物であり、これらの中ではチオジプロピオンエステル系化合物が好ましい。
【0041】
ヒンダートフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ヒドロキシメチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、2,5-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、4,4’-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-4-メチル-6-t-ブチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルベンジル)スルフィド、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-o-クレゾール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ビス(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸のジエチルエステル、2,2’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ(α-メチルシクロヘキシル)-5,5’-ジメチル-ジフェニルメタン、α-オクタデシル-3(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6-(ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチル-チオ-1,3,5-トリアジン、ヘキサメチレングリコール-ビス[β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレン-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2-チオ[ジエチル-ビス-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンホスホン酸のジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ジ-t-ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス[β-(3,5-ジ-t-ブチル-4ヒドロキシフェニル)プロピオニル-オキシエチル]イソシアヌレート等が挙げられる。これらの中では、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものが好ましい。
【0042】
リン系酸化防止剤とは、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸誘導体、フェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリンを含む化合物である。これらの中では、分子中にリン原子とともに硫黄原子も有する化合物、及び分子中に2つ以上のリン原子を有する化合物が好ましい。
【0043】
酸化防止剤の含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A、ゴム用軟化剤B、及びポリオレフィン樹脂Cの合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜6質量部、より好ましくは0.05〜3.0質量部、さらに好ましくは0.1〜1.5質量部である。
【0044】
酸化防止剤の含有量は、本発明のエラストマー組成物中、好ましくは0.01〜6質量%、より好ましくは0.05〜3質量%である。
【0045】
本発明のエラストマー組成物は、加熱条件下での本発明のエラストマー組成物の特性の変化が抑制される観点から、熱安定剤を含有していてもよい。
【0046】
熱安定剤としては、リン含有化合物、ヒドラジド化合物、有機イオウ系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられるが、その他エステル交換触媒とキレート形成する等して該触媒の活性を低減させる化合物も利用可能である。本発明では、熱可塑性エラストマーの熱老化に対する耐性が格段に向上するため、使用条件の自由度がより大きくなる観点から、リン含有化合物及びヒドラジド化合物が好ましい。これらは、併用されていてもよい。
【0047】
熱安定剤の含有量は、水添スチレン系ブロック共重合体A、ゴム用軟化剤B、及びポリオレフィン樹脂Cの合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.05〜10質量部である。なお、熱老化は主に2つの現象を含み、1つ目は熱分解で生成する低分子量成分の割合増大に起因する強度の低下であり、2つ目は熱分解で生成するフリーラジカル等の活性点の架橋形成に起因する伸び率の低下である。
【0048】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、アクリルゴム、シリコーン変性のアクリルゴム、ブチルゴム、シリコーン変性のブチルゴム等の架橋ゴム、アクリルゴム−g−メチルメタクリレート、MAS(アクリルゴム−g−メチルメタクリレート/スチレン)、MBS(ブタジエンゴム−g−メチルメタクリレート/スチレン)等のグラフト共重合体、アクリル系以外のブロック共重合体、例えばポリエステル系ブロック共重合体等を含有していてもよい。
【0049】
本発明のエラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーを含有していてもよい。
【0050】
その他の添加剤としては、重金属不活性化剤、脂肪酸エステル等の滑剤;ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート化合物やヒンダードフェノール系化合物等の光安定剤;カルボジイミド化合物やオキサゾリン化合物等の加水分解防止剤;フタル酸エステル系化合物、ポリエステル化合物、(メタ)アクリルオリゴマー、プロセスオイル等の可塑剤;重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム等の無機系発泡剤;ニトロ化合物、アゾ化合物、スルホニルヒドラジド等の有機系発泡剤;カーボンブラック、炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維等の充填剤;テトラブロモフェノール、ポリリン酸アンモニウム、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の難燃剤;シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤や酸変性ポリオレフィン樹脂等の相溶化剤;そのほか顔料や染料等が挙げられる。
【0051】
本発明の発泡成形用エラストマー組成物は、水添スチレン系ブロック共重合体A、ゴム用軟化剤B、及びポリオレフィン樹脂C、さらに必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤等を含む原料を混合し、冷却により固化させて得られる。
【0052】
本発明でいう「混合」とは、各種成分が良好に混合される方法であれば特に限定されず、各種成分を溶解可能な有機溶媒中に溶解させて混合してもよいし、溶融混練によって混合してもよい。
【0053】
溶融混練する場合には、一般的な押出機を用いることができ、混練状態の向上のため、二軸の押出機を使用することが好ましい。押出機への供給は、予めヘンシェルミキサー等の混合装置を用いて各種成分を混合したものを一つのホッパーから供してもよいし、二つのホッパーにそれぞれの成分を仕込みホッパー下のスクリュー等で定量しながら供してもよい。
【0054】
本発明のエラストマー組成物は、用途に応じて、ペレット、粉体、シート等の形状とすることができる。例えば、押出機によって溶融混練してストランドに押出し、冷水中で冷却しつつカッターによって円柱状や米粒状等のペレットに切断される。得られたペレットは、通常、射出成形、押出成形によって所定のシート状成形品や金型成形品とする。また、溶融混練物をルーダー等でペレットにし成形加工原料とすることもできる。シート状の組成物に、台紙等を貼付した中間製品としてもよい。
【0055】
本発明のエラストマー組成物のA硬さは、ベタツキの観点から、5以上、好ましくは10以上、より好ましくは30以上であり、柔軟性の観点から、50以下、好ましくは45以下、より好ましくは40以下である。
【0056】
本発明のエラストマー組成物の230℃、荷重21.2Nでのメルトマスフローレイトは、成形性の観点から好ましくは0.01〜200g/10min、より好ましくは0.1〜100g/10minである。
【0057】
本発明のエラストマー組成物の後述の実施例に記載の方法により測定する100℃での圧縮永久歪みは、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下である。エラストマー組成物は室温ですでにガラス転移温度を超えているため、線膨張係数は複合成形体とした際の被着体であるポリオレフィン樹脂の方が小さく、引張又は圧縮強度はポリオレフィン樹脂の方が大きいのが普通である。そうすると、ポリオレフィン樹脂とエラストマー組成物を複合化したものに熱履歴を与えると、高温ではエラストマー組成物が圧縮され、エラストマー組成物の圧縮永久歪みが0でない限りは圧縮歪みが保持されるために、室温に戻る際にポリオレフィン樹脂を逆に引っ張り力を与えることになる。これが、軟化剤の移行と並んで熱履歴による複合体の変形現象の原動力になると考えられ、かかる観点から、エラストマー組成物の圧縮永久歪みは小さい方が変形を起こし難いため好ましい。
【0058】
さらに、熱履歴によって複合成形体に歪みが残った場合、ポリオレフィン樹脂の厚み、強度等により引き起こされる変形量は異なるが、エラストマー組成物からポリオレフィン樹脂へゴム用軟化剤の移行や浸透がある場合は、軟化剤がポリオレフィン樹脂の可塑剤として作用するために少量の移行であっても変形量を大きくする効果がある。従って、エラストマー組成物からのオイルブリードへの抑制は、熱履歴による複合成形体の変形を抑える効果も奏する。
【0059】
本発明の複合成形体用熱可塑性エラストマー組成物は、ポリオレフィン樹脂との複合成形体用材料として用いることが好ましい。
【0060】
本発明のエラストマー組成物は、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン等の極性樹脂とも複合化することができるが、複合体としてその効果を奏する被着体はポリオレフィン樹脂であり、従来公知のスチレン系エラストマーでは融着強度は高いものの、高温に曝された場合、エラストマー組成物と被着体との熱膨張率の差による熱変形が生じてしまう問題が起きやすかったが、本発明のエラストマー組成物は、柔軟性や融着性は維持したまま、変形の発生を防止することができる。
【0061】
被着体としてのポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、その他のα−オレフィンのポリマー等が挙げられ、これらの中では、耐熱性及び相溶性の観点から、ポリプロピレン樹脂が好ましい。
【0062】
ポリオレフィン樹脂はホモポリマーのみならず、他のα−オレフィンとの共重合体であってよい。例えば、エチレン−プロピレン共重合体が挙げられるが、この場合、エチレンの含有量は、20質量%以下が好ましい。
【0063】
共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体のいずれでもよいが、耐熱性の観点から、ブロック共重合体が好ましい。
【0064】
ポリオレフィン樹脂の融点は、耐熱性の観点から、好ましくは140℃以上、より好ましくは155℃以上、さらに好ましくは157℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、成形性の観点から、好ましくは220℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下である。
【0065】
ポリオレフィン樹脂の230℃、荷重21.2Nでのメルトマスフローレイトは、好ましくは0.01〜500g/10min、より好ましくは1〜50g/10minである。
【0066】
ポリオレフィン樹脂は、エラストマー組成物から移行してきたオイルを吸収し難い観点から、結晶性であることが好ましい。結晶化度は、機械的強度の観点から、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上である。結晶化度は、X線回折法で測定する。また、結晶化度の高いポリオレフィン樹脂は弾性率が高い傾向があり、変形を抑制するという効果の上からも、被着体としては弾性率の高いポリオレフィン樹脂を選択することが好ましい。特に曲げ弾性率が高いポリオレフィン樹脂は変形が抑えられるため、JIS K6921-2に準拠して測定した曲げ弾性率が、900MPa以上のものが好ましく、より好ましくは1200MPa以上、さらに好ましくは1400MPa以上である。
【0067】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物とポリオレフィン樹脂との複合成形体は、エラストマー組成物とポリオレフィン樹脂との少なくともいずれかの、全体又は少なくとも一部を熱溶融させ、両者を融着させて得られる。
【0068】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が部材に融着した複合成形体は、射出成形、射出圧縮成形、インサート成形、多色成形、真空成形、圧空成形、ブロー成形、熱プレス成形、発泡成形、レーザー溶着成形、押出成形等の方法により、成形加工して得ることができるが、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、接着剤のように自身が粘着性を有するものではなく、取り扱いが容易であるため、射出成形にも適用することができる。
【0069】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物がポリオレフィン樹脂に融着した複合成形体としては、熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体にポリオレフィン樹脂がインサートされたインサート成形体、熱可塑性エラストマー組成物とポリオレフィン樹脂とを多色成形して得られる複合成形体等が挙げられる。
【実施例】
【0070】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。実施例及び比較例で使用した原料等の各種物性は、以下の方法により測定した。
【0071】
<成分A(水添スチレン系ブロック共重合体)及び成分A’>
〔スチレン系炭化水素重合体ブロックの含有量〕
核磁気共鳴装置(ドイツ国BRUKER社製、DPX-400)によって、プロトンNMR測定を行い、スチレンの特性基の定量を行うことによってスチレン及び/又はスチレン誘導体の含有量を決定する。
【0072】
〔重量平均分子量(Mw)〕
以下の測定条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量を求める。
【0073】
測定装置
・ポンプ:JASCO(日本分光株式会社)製、PU-980
・カラムオーブン:昭和電工株式会社製、AO-50
・検出器:日立製、RI(示差屈折計)検出器 L-3300
・カラム種類:昭和電工株式会社製「K-805L(8.0×300mm)」及び「K-804L(8.0×300mm)」各1本を直列使用
・カラム温度:40℃
・ガードカラム:K-G(4.6×10mm)
・溶離液:クロロホルム
・溶離液流量:1.0ml/分
・試料濃度:約1mg/ml
・試料溶液ろ過:ポリテトラフルオロエチレン製0.45μm孔径ディスポーザブルフィルタ
・検量線用標準試料:昭和電工株式会社製ポリスチレン
【0074】
<成分B(ゴム用軟化剤)及び成分B’>
〔メルトマスフローレイト(MFR)〕
ASTM D1238に準拠して、230℃、荷重21.2Nの条件で測定する。
【0075】
〔重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)〕
以下の測定条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量及び数平均分子量を求める。
【0076】
測定装置
・ポンプ:JASCO(日本分光株式会社)製、PU-980
・カラムオーブン:昭和電工株式会社製、AO-50
・検出器:日立製、RI(示差屈折計)検出器 L-3300
・カラム種類:昭和電工株式会社製「K-805L(8.0×300mm)」及び「K-804L(8.0×300mm)」各1本を直列使用
・カラム温度:40℃
・ガードカラム:K-G(4.6×10mm)
・溶離液:クロロホルム
・溶離液流量:1.0ml/分
・試料濃度:約1mg/ml
・試料溶液ろ過:ポリテトラフルオロエチレン製0.45μm孔径ディスポーザブルフィルタ
・検量線用標準試料:昭和電工株式会社製ポリスチレン
【0077】
〔動粘度〕
JIS Z 8803に従って、40℃の温度で測定する。
【0078】
<成分C(ポリオレフィン樹脂)>
〔融点〕
試料約10mgをアルミパンに入れてアルミ蓋を圧着する。アルミパンを示差走査熱量分析計(パーキンエルマー社DSC8000)の装置測定部に設置し、JIS K 7121で規定される方法に準拠して空気中・昇温速度20℃/分の条件で測定する。
【0079】
<熱可塑性エラストマー組成物>
〔A硬さ〕
2mm厚さのプレートを恒温恒湿室(温度23℃、相対湿度50%)に24時間以上静置し、状態を安定させた後、プレートを3枚重ね、JISK7215「プラスチックのデュロメータ硬さ試験法」に準じて測定する。
【0080】
〔メルトマスフローレイト(MFR)〕
ASTM D1238に準拠して、230℃、荷重21.2Nの条件で測定する。
【0081】
〔圧縮永久歪み(CS)〕
円盤状成形体を試験片として用い、JIS K6262に規定される圧縮永久ひずみ試験によって測定する。具体的には、標準温度(23.2±2℃)において、試験片の直径及び厚さがそれぞれ、29.0±0.5mm(直径)、12.5mm±0.5mm(厚さ)であることを確認し、厚さ9.3〜9.4mmのスペーサをかませた圧縮板に試験片を挟んで、25体積%圧縮の条件で、高温試験としては70℃または100℃で24時間保持した後、標準温度で圧縮板を外して30分放置した後の試験片中央部の厚さを測定する。
【0082】
測定結果を下記の圧縮永久歪算出式にあてはめて、圧縮永久歪CS(%)の数値を算出する。
CS(%)=t0−t2/(t0−t1)×100
(式中、t0は試験片の元の厚さ(mm)、t1はスペーサの厚さ(mm)、t2は圧縮装置から取り外してから30分後の試験片の厚さ(mm)を示す)
圧縮解放後、エラストマーが完全に圧縮前の寸法形状に戻ったときのCSの値は0%であり、圧縮から開放しても圧縮されたままの形状で寸法形状が元に戻らない場合のCSの値は100%であるから、CSの値は0から100%の間で小さいほど回復が優れていることを意味する。
【0083】
<ポリオレフィン樹脂(被着体)>
〔融点〕
試料約10mgをアルミパンに入れてアルミ蓋を圧着する。アルミパンを示差走査熱量分析計(パーキンエルマー社 DSC8000)の装置測定部に設置し、空気中・昇温速度20℃/分の条件で測定する。得られる融解ピークをJIS K 7121で規定される方法に準拠して解析し、融点を決定する。
【0084】
〔曲げ弾性率〕
JIS K6921-2に準拠して測定する。
【0085】
〔メルトマスフローレイト(MFR)〕
ASTM D 1238に準拠した方法により、230℃、荷重21.2Nの条件で測定する。
【0086】
実施例1〜9及び比較例1〜5
(実施例6、7、9は参考例である)
(1) 熱可塑性エラストマー組成物(ペレット)の作製
表5〜7に示す材料をドライブレンドして混合物を調製した。ただし、パラフィンオイルを使用する場合は、パラフィンオイル以外の材料をドライブレンドし、これにパラフィンオイルを含浸させて混合物を調製した。
その後、得られた混合物を下記の条件で押出機(連続式混練機)で溶融混練して、ストランドに押出し、冷水中で冷却しつつカッターによって、直径3mm程度、厚さ3mm程度に切断し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
【0087】
〔溶融混練条件〕
押出機:KZW32TW-60MG-NH(商品名、(株)テクノベル製)
シリンダー温度:180〜220℃
スクリュー回転数:300r/min
【0088】
実施例及び比較例で使用した表5〜8に記載の原料の詳細は以下の通り。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
(2) 熱可塑性エラストマー組成物の成形体の作製
ペレットを、下記の条件で射出成形し、厚さ2mm×幅125mm×長さ125mmのプレートを作製した。
【0094】
〔射出成形条件〕
射出成形機:100MSIII-10E(商品名、三菱重工業(株)製)
射出成形温度:200℃
射出圧力:30%
射出時間:3sec
金型温度:40℃
【0095】
(3) 複合成形体の作製
ポリプロピレンホモポリマー(PP)(PM802(サンアロマー社製)、融点:162℃、曲げ弾性率:1550MPa、MFR:20g/min)のペレットを、まず下記の条件で射出成形し、厚さ2mm×幅125mm×長さ125mmで、片面に厚さ1mm×幅20mm×長さ125mmの溝を持つPPプレートを作製した。
【0096】
〔PPプレート成形条件〕
ゲート:フィルムゲート
シリンダー温度:200℃
計量値:55mm
保圧切替位置:3.8mm
【0097】
次に、片側の金型を溝無し平板に替えて、上記の溝内に熱可塑性エラストマー組成物を充填するように複合射出成形した。
【0098】
〔熱可塑性エラストマー組成物の成形条件〕
シリンダー温度:200℃
射出速度:10%
射出圧力:50%
計量値:28mm
保圧切替位置:8mm
保圧条件:0sec,0%(=保圧なし)
金型温度:40℃
【0099】
取り出した複合成形体は、
図1に示すように、PPプレート1(全体の厚さ2mm、幅125mm×長さ125mm)の片面に設けられた、厚さ1mm×幅20mm×長さ125mmの2本の溝内に熱可塑性エラストマー組成物2が充填された複合成形体3であり、PPプレートとエラストマー組成物とは完全に密着しており、変形はなかった。
【0100】
実施例10、11
(実施例10は参考例である)
実施例1で得られた熱可塑性エラストマー組成物を用い、複合成形体の被着体として、ポリプロピレンホモポリマー(PP)の代わりに、
実施例10ではエチレン・プロピレンランダム共重合体(PB222A(サンアロマー社製)、融点:146℃、曲げ弾性率:1000MPa、MFR:0.8g/min)を、
実施例11ではエチレン・プロピレンブロック共重合体(PM870A(サンアロマー社製)融点:161℃、曲げ弾性率:1350MPa、MFR:17g/min)を、それぞれ使用して、複合成形体を得た。
【0101】
実施例及び比較例で得られた複合成形体の加熱条件下での変形試験を下記方法により、行い、評価した。結果を表5〜8に示す。
【0102】
複合成形体を140℃のギヤーオーブン中に1時間静置した後、取り出して室温で1時間放冷したところ、上記溝の長手方向をヒンジとするような形に、複合成形体全体が反りかえって変形した。変形した複合成形プレートを水平台上に平置きして高さを測定し、ギヤオーブンで熱処理をする前の高さとの変化量をノギスで測定した。
【0103】
各実施例、比較例において、同じ複合成形体を10枚作製し、変化量が最大であった1枚と最小であった1枚の結果を除いた、8枚の結果の平均値を算出した。すべての実施例及び比較例において、8枚の複合成形体の個々の変形量の結果は極めて再現性良く一致しており、実施例1〜11では平均値との差の絶対値はいずれも0.2mm以内であり、比較例1〜5では0.5mm以内だった。
【0104】
〔140℃、1時間での評価基準〕
◎:変化量の平均値が、0mm以上、13.0mm以下
○:変化量の平均値が、13.0mmを超えて、15.0mm以下
×:変化量の平均値が、15.0mmを超える
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
【表7】
【0108】
【表8】
【0109】
以上の結果より、実施例1〜11で得られた複合成形体は、比較例1〜5と対比して、加熱後の変形が極めて小さいことが分かる。
また、実施例1と実施例10、11の対比により、複合成形体の被着体としては、ポリプロピレン系の樹脂であっても、ホモポリプロピレン樹脂が最も変形が小さく、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体の順に、変形が大きくなることが分かる。
【0110】
これは、比較例1〜4では、熱可塑性エラストマー組成物における軟化剤の重量平均分子量が低いため、低分子量成分によるオイルブリードが顕著であるためと推察される。
また、比較例5では、熱可塑性エラストマー組成物における水添スチレン系ブロック共重合体中のスチレン単位の含有量が高いため、その分軟化剤を保持するソフトセグメントの割合が低くなり、保持できなかった軟化剤によるオイルブリードが顕著であるためと推察される。