特許第6553756号(P6553756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553756
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】化学物質の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 7/08 20060101AFI20190722BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20190722BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   C12P7/08ZAB
   B09B3/00 302E
   C08J11/12
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-2364(P2018-2364)
(22)【出願日】2018年1月11日
(62)【分割の表示】特願2014-536902(P2014-536902)の分割
【原出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2018-93878(P2018-93878A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】特願2012-206979(P2012-206979)
(32)【優先日】2012年9月20日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、環境省「地球温暖化対策技術開発・実証研究事業(廃棄物系バイオマス熱分解ガスからのエタノール製造に関する技術開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の規定の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤森 洋治
(72)【発明者】
【氏名】正角 彰朗
【審査官】 金田 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−514236(JP,A)
【文献】 Jie He,Techno-economic evaluation of thermo-chemical biomass-to-ethanol,Applied Energy,英国,2010年11月 3日,88(4),p.1224-1232
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 1/00−41/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPI(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の熱分解と化学反応とによって、一酸化炭素及び水素を含む原料ガスを得る第1の工程と、前記第1の工程において得られた原料ガスを、微生物触媒を含む反応器に導入して、前記原料ガスから化学物質を合成する第2の工程とを含む化学物質の製造方法であって、
前記第1の工程の前に、前記廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する第1の炭素質量算出段階と、
前記第2の工程の後に、前記第2の工程において合成された前記化学物質に含まれる炭素の質量を算出する第2の炭素質量算出段階と、
前記第1の炭素質量算出段階で算出した炭素の質量と、前記第2の炭素質量算出段階で算出した炭素の質量とに基づいて、前記化学物質の生産性を評価し、前記生産性に基づいて、前記廃棄物に対する課金料金を決定する段階と
を含む
化学物質の製造方法。
【請求項2】
前記第1の工程と第2の工程との間に、前記原料ガスに含まれる炭素の質量を算出する第3の炭素質量算出段階を更に含み、前記化学物質の生産性を更に前記第3の炭素質量算出段階で算出した炭素の質量に基づいて評価する請求項1に記載の化学物質の製造方法。
【請求項3】
前記第1の工程におけるエネルギー利用による二酸化炭素の排出量を算出する二酸化炭素排出量算出段階を更に含み、前記化学物質の生産性を更に前記二酸化炭素排出量算出段階で算出した二酸化炭素の排出量に基づいて評価する請求項1または2に記載の化学物質の製造方法。
【請求項4】
前記化学物質が、CxHyOzで表される化合物である請求項1から3のいずれか一項に記載の化学物質の製造方法。
【請求項5】
前記化学物質が、エタノールである請求項1から4のいずれか一項に記載の化学物質の製造方法。
【請求項6】
前記廃棄物が、木質チップ以外の廃棄物である請求項1から5のいずれか一項に記載の化学物質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学物質の製造方法に関する。
本願は、2012年9月20日に、日本に出願された特願2012−206979号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
エタノール等の化学物質の生産技術においては、廃棄物をガス化した後、触媒反応によって化学物質に変換する技術の開発が進んでいる。このような背景に関連する技術としては、様々なものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
例えば、特許文献1には、食品残渣、木質バイオマス、籾殻、農業残渣、活性汚泥、廃プラスチック等の各種の廃棄物を炭化すると共に、有用な液体燃料を再生する廃棄物再生処理方法が記載されている。より具体的に説明すると、この方法は、固形廃棄物を過熱水蒸気と共に入口側から出口側へ向かって下向きに傾斜させた炭化ガス化炉内に投入する。 そして、この方法では、この炭化ガス化炉内で電気ヒータにより空気遮断状態で間接的に加熱して、燃焼させることなく熱分解により廃棄物を炭化させる。その炭化物の炉内での堆積量を出口側へ向かって多くして、炭化物の熱で水性ガスシフト反応を起こし、水素と一酸化炭素を主体とした乾留ガスを生成する。そして、この方法は、この乾留ガスを、フィッシャートロプシュ合成触媒を用いて液体燃料化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−260832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような、廃棄物からエタノール等の化学物質を生産するビジネスにおいては、化学物質の生産性を可視化したいという要望がある。しかしながら、このような分野においては、廃棄物からエタノール等の化学物質を生産するにあたり、化学物質の生産性を合理的に評価する手法は知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の第1の形態における生産評価方法は、廃棄物からガスを得る第1の工程と、第1の工程において得られたガスを原料として触媒を用い化学物質に合成する第2の工程とを含む生産方法によって、化学物質を生産するにあたり、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する第1の炭素質量算出段階と、生産方法によって生産された化学物質に含まれる炭素の質量を算出する第2の炭素質量算出段階と、第1の炭素質量算出段階において算出された炭素の質量と、第2の炭素質量算出段階において算出された炭素の質量とに基づいて、化学物質の生産性を評価する生産性評価段階とを備える。
【0007】
(2)本発明の第1の形態における生産評価方法は、第1の工程において得られたガスに含まれる炭素の質量を算出する第3の炭素質量算出段階と、第1の工程において排出された残渣に含まれる炭素の質量を算出する第4の炭素質量算出段階とを更に備え、第1の炭素質量算出段階においては、第3の炭素質量算出段階において算出された炭素の質量と、第4の炭素質量算出段階において算出された炭素の質量とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する(1)に記載の生産性評価方法である。
【0008】
(3)本発明の第1の形態における生産評価方法は、第1の工程において助燃剤が使用される場合、第1の工程において使用された助燃剤に含まれる炭素の質量を算出する第5の炭素質量算出段階を更に備え、第1の炭素質量算出段階においては、第5の炭素質量算出段階において算出された炭素の質量に更に基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する(2)に記載の生産性評価方法である。
即ち、本発明の第1の形態における生産評価方法は、第1の工程において助燃剤が使用される場合、第1の工程において使用された助燃剤に含まれる炭素の質量を算出する第5の炭素質量算出段階を更に備え、第1の炭素質量算出段階においては、前記第3の炭素質量算出段階において算出された炭素の質量と、前記第4の炭素質量算出段階において算出された炭素の質量と、第5の炭素質量算出段階において算出された炭素の質量に基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する(2)に記載の生産性評価方法である。
【0009】
(4)本発明の第1の形態における生産評価方法は、第1の工程におけるエネルギー利用による二酸化炭素の排出量を算出する二酸化炭素排出量算出段階を更に備え、生産性評価段階においては、二酸化炭素排出量算出段階において算出された二酸化炭素の排出量に更に基づいて、化学物質の生産性を評価する(1)〜(3)のいずれか一つに記載の生産性評価方法である。
即ち、本発明の第1の形態における生産評価方法は、第1の工程におけるエネルギー利用による二酸化炭素の排出量を算出する二酸化炭素排出量算出段階を更に備え、生産性評価段階においては、前記第1の炭素質量算出段階において算出された炭素の質量と、前記第2の炭素質量算出段階において算出された炭素の質量と、二酸化炭素排出量算出段階において算出された二酸化炭素の排出量に基づいて、化学物質の生産性を評価する(1)〜(3)のいずれか一つに記載の生産性評価方法である。
【0010】
(5)本発明の第1の形態における生産評価方法は、第2の炭素質量算出段階においては、化学物質として、CxHyOzの化合物に含まれる炭素の質量を算出し、生産性評価段階においては、化学物質として、CxHyOzの化合物の生産性を評価する(1)〜(4)のいずれか一つに記載の生産性評価方法である。
【0011】
(6)本発明の第2の形態における課金システムは、(1)〜(5)に記載の生産性評価方法により得られた前記化学物質の生産性に基づいて、前記廃棄物に対する課金料金を変動させる。
【0012】
(7)本発明の第3の形態における生産性評価装置は、廃棄物からガスを得る第1の工程と、第1の工程において得られたガスを原料として触媒を用い化学物質に合成する第2の工程とを含む生産方法によって、化学物質を生産するにあたり、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する第1の炭素質量算出部と、生産方法によって生産された化学物質に含まれる炭素の質量を算出する第2の炭素質量算出部と、第1の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、第2の炭素質量算出部が算出した炭素の質量とに基づいて、化学物質の生産性を評価する生産性評価部とを備える。
【0013】
(8)本発明の第4の形態におけるプログラムは、コンピュータを、廃棄物からガスを得る第1の工程と、第1の工程において得られたガスを原料として触媒を用い化学物質に合成する第2の工程とを含む生産方法によって、化学物質を生産するにあたり、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する第1の炭素質量算出部、生産方法によって生産された化学物質に含まれる炭素の質量を算出する第2の炭素質量算出部、第1の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、第2の炭素質量算出部が算出した炭素の質量とに基づいて、化学物質の生産性を評価する生産性評価部として機能させる。
【0014】
(9)本発明の第5の形態は、コンピュータを機能させるプログラムを記録した記録媒体であって、コンピュータを、廃棄物からガスを得る第1の工程と、第1の工程において得られたガスを原料として触媒を用い化学物質に合成する第2の工程とを含む生産方法によって、化学物質を生産するにあたり、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する第1の炭素質量算出部、生産方法によって生産された化学物質に含まれる炭素の質量を算出する第2の炭素質量算出部、第1の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、第2の炭素質量算出部が算出した炭素の質量とに基づいて、化学物質の生産性を評価する生産性評価部として機能させるプログラムを記録している。
【0015】
なおまた、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。
また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から明らかなように、この発明によっては、廃棄物からエタノール等の化学物質を生産するにあたり、化学物質の生産性を合理的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る生産性評価方法の手順の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る生産性評価装置110のブロック構成の一例を示す図 である。
図3】第2の実施形態に係る生産性評価方法の手順の一例を示す図である。
図4】第2の実施形態に係る生産性評価装置210のブロック構成の一例を示す図 である。
図5】第3の実施形態に係る生産性評価方法の手順の一例を示す図である。
図6】第3の実施形態に係る生産性評価装置310のブロック構成の一例を示す図 である。
図7】第4の実施形態に係る生産性評価方法の手順の一例を示す図である。
図8】第4の実施形態に係る生産性評価装置410のブロック構成の一例を示す図 である。
図9】本実施形態に係る生産性評価装置110、210、310、410を構成す るコンピュータ800のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
エタノールの生産方法は、廃棄物からガスを得る第1の工程と、第1の工程において得られたガスを原料として触媒を用い化学物質を合成する第2の工程とを含む。ここで、廃棄物は、例えば、家庭より出される可燃ごみなどの一般廃棄物、紙屑、木屑、下水汚泥、繊維屑、剪定枝、動植物残渣、動植物油、肉骨粉、廃棄物固形燃料、糞尿、木質チップ、有機性汚泥等の生物資源由来の廃棄物と、プラスチック等の石油由来の廃棄物とに大別することができる。なおまた、エタノールは、この発明における「化学物質」、及び「CxHyOzの化合物」の一例であってよい。
【0020】
第1の工程は、高温場において熱分解と化学反応によって、廃棄物を、一酸化炭素と水素とを含むガス状態に変換するプロセスである。ここで、高温場としては、例えば、熱分解炉、溶融炉等が挙げられる。第1の工程においては、廃棄物が完全にガス状態に変換されずに、残渣が排出されることがある。また、第1の工程においては、助燃剤が使用されることもある。ここで、助燃剤としては、例えば、液化石油ガス、軽油、コークス、鉱物油、重油、石炭、天然ガス、灯油、廃食用油等が挙げられる。
【0021】
第2の工程は、第1の工程において生成されたガスに含まれる一酸化炭素と水素との組成比を調整した合成ガスを、各種の触媒が充填された反応器に導入して、金属触媒下で加熱、又は微生物触媒下で加熱又は冷却してエタノールを合成する反応を行うプロセスである。ここで、エタノールは、金属触媒を用いる場合、高温にて合成反応が行われるため、気体の状態で生成される。微生物触媒を用いる場合、微生物が死滅しない程度の温度にて合成反応が行われるため、エタノールは、液体の状態で生成される。また、第2の工程においては、エタノールの他に、アセトアルデヒド、酢酸、メタノール、メタン等の様々な副反応生成物が生成される。
【0022】
図1は、第1の実施形態に係る生産性評価方法の手順の一例を示す。この手順においては、上述した生産方法によってエタノールを生産するにあたり、エタノールの生産性を評価する方法について詳述する。
【0023】
先ず、この方法においては、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する(S101)。例えば、廃棄物に含まれる炭素の質量M1は、廃棄物の重量と、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる炭素の割合とを乗じることによって算出することができる。
【0024】
ここで、廃棄物の重量は、例えば、廃棄物を積載しているときのごみ収集車の重量から、廃棄物を積載していないときのごみ収集車の重量を減じることによって算出することができる。また、廃棄物に含まれる物の種類が一様である場合、廃棄物の重量は、例えば、廃棄物の容積と、廃棄物に含まれる物の密度とを乗じることによって算出することができる。
【0025】
一方、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる炭素の割合は、例えば、元素分析法により算出することができる。ここで、元素分析法とは、化合物の中の特定の元素の組成比を求める方法である。例えば、C,H,Oからなる有機化合物は、完全燃焼すると、化合物中のCはすべてCOに、HはすべてHOになる。そのため、C,H,Oからなる有機化合物を燃焼して、生成した水と二酸化炭素の質量からこの有機化合物の組成式を求めることができる。炭素に関しては二酸化炭素を捕集してその総量を計測し、その総量にCの原子量/COの分子量をかけることにより算出することができる。また、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる生物資源由来の廃棄物の割合と石油由来の廃棄物の割合が分かっている場合、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる炭素の割合は、例えば、廃棄物に含まれる生物資源由来の廃棄物の割合に、その生物資源由来の廃棄物に含まれる炭素の割合を乗じた値と、廃棄物に含まれる石油由来の廃棄物の割合に、その石油由来の廃棄物に含まれる炭素の割合を乗じた値とを加算することによって、算出することができる。また、廃棄物の回収先が分かっている場合、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる炭素の割合は、例えば、上述したような方法によって予め算出しておいた回収先毎の廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる炭素の割合を示すデータベースを作成しておき、そのデータベースを参照して特定することができる。
【0026】
次に、この方法においては、上述した生産方法によって生産されたエタノールに含まれる炭素の質量M2を算出する(S102)。例えば、エタノールに含まれる炭素の質量M2は、エタノールの重量と、エタノール分子の質量のうち炭素原子の質量が占める割合とを乗じることによって算出することができる。
【0027】
次に、この方法においては、ステップS101において算出された炭素の質量M1と、ステップS102において算出された炭素の質量M2とに基づいて、エタノールの生産性を評価する(S103)。例えば、エタノールの生産性は、炭素の質量M1を、炭素の質量M2で除した値、即ち、廃棄物に含まれる炭素の質量M1に対する、その廃棄物から生産されたエタノールに含まれる炭素の質量M2の割合に基づいて評価する。例えば、廃棄物に含まれる炭素の質量M1に対する、その廃棄物から生産されたエタノールに含まれる炭素の質量M2の割合がX(%)の場合、エタノールの生産性、即ち、廃棄物からエタノールを生産する際の効率の程度は、X(%)であると評価する。
【0028】
図2は、第1の実施形態に係る生産性評価装置110のブロック構成の一例を示す。生産性評価装置110は、エタノールの生産性を評価する装置である。第1の実施形態に係る生産性評価装置110は、第1の炭素質量算出部111、第2の炭素質量算出部112、及び生産性評価部113を有する。以下の説明においては、各構成要素の機能、及び動作を詳述する。
【0029】
第1の炭素質量算出部111は、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する。
【0030】
第2の炭素質量算出部112は、エタノールに含まれる炭素の質量M2を算出する。
【0031】
生産性評価部113は、第1の炭素質量算出部111が算出した炭素の質量M1と、第2の炭素質量算出部112が算出した炭素の質量M2とに基づいて、エタノールの生産性を評価する。
【0032】
以下の説明においては、図1、及び図2を参照して、第1の実施形態に係る生産性評価装置110がエタノールの生産性を評価する処理について詳述する。
【0033】
生産性評価装置110の第1の炭素質量算出部111は、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する(S101)。例えば、第1の炭素質量算出部111は、廃棄物の重量と、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる炭素の割合とを乗じることによって、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する。
【0034】
例えば、第1の炭素質量算出部111は、廃棄物を積載しているときのごみ収集車の重量の情報、及び廃棄物を積載していないときのごみ収集車の重量の情報の入力を受け付ける。これらの情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、ごみ収集車の重量を計測する計測装置から入力されてもよい。そして、第1の炭素質量算出部111は、廃棄物を積載しているときのごみ収集車の重量から、廃棄物を積載していないときのごみ収集車の重量を減じることによって、廃棄物の重量を算出する。
【0035】
また、例えば、第1の炭素質量算出部111は、廃棄物の容積の情報、及び廃棄物に含まれる物の密度の情報の入力を受け付ける。廃棄物の容積の情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、廃棄物の容積を計測する計測装置から入力されてもよい。また、廃棄物に含まれる物の密度の情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、廃棄物に含まれる物の密度を計測する計測装置から入力されてもよい。そして、第1の炭素質量算出部111は、廃棄物の容積と、廃棄物に含まれる物の密度とを乗じることによって、廃棄物の重量を算出する。
【0036】
また、例えば、第1の炭素質量算出部111は、元素分析法により算出された、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる炭素の割合の情報の入力を受け付ける。この情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、元素分析装置から入力されてもよい。
【0037】
また、例えば、第1の炭素質量算出部111は、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる生物資源由来の廃棄物の割合と石油由来の廃棄物の割合の情報、生物資源由来の廃棄物全体に対する生物資源由来の廃棄物に含まれる炭素の割合の情報、及び石油由来の廃棄物全体に対する石油由来の廃棄物に含まれる炭素の割合の情報の入力を受け付ける。これらの情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力される。そして、第1の炭素質量算出部111は、例えば、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる生物資源由来の廃棄物の割合に、生物資源由来の廃棄物全体に対する生物資源由来の廃棄物に含まれる炭素の割合を乗じた値と、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる石油由来の廃棄物の割合に、石油由来の廃棄物全体に対する石油由来の廃棄物に含まれる炭素の割合を乗じた値とを加算することによって、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる炭素の割合を算出する。
【0038】
また、例えば、第1の炭素質量算出部111は、廃棄物の回収先の情報の入力を受け付ける。この情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力される。そして、第1の炭素質量算出部111は、上述したような方法によって予め算出しておいた回収先毎の廃棄物に含まれる炭素の割合を示すデータベースを参照して、廃棄物に含まれる炭素の割合を特定する。
【0039】
そして、第1の炭素質量算出部111は、廃棄物の重量と、廃棄物に含まれる炭素の割合とを乗じることによって、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する。そして、第1の炭素質量算出部111は、算出された炭素の質量M1を示すデータを、生産性評価部113へ送る。
【0040】
生産性評価装置110の第2の炭素質量算出部112は、上述した生産方法によって生産されたエタノールに含まれる炭素の質量M2を算出する(S102)。例えば、第2の炭素質量算出部112は、エタノールの重量の情報の入力を受け付ける。この情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、エタノールの重量を計測する計測装置から入力されてもよい。そして、第2の炭素質量算出部112は、エタノールの重量と、エタノール分子の質量のうち炭素原子の質量が占める割合とを乗じることによって、エタノールに含まれる炭素の質量M2を算出する。そして、第2の炭素質量算出部112は、算出した炭素の質量M2を示すデータを、生産性評価部113へ送る。
【0041】
生産性評価装置110の生産性評価部113は、第1の炭素質量算出部111から送られたデータと、第2の炭素質量算出部112から送られたデータとをそれぞれ受け取る。生産性評価部113は、第1の炭素質量算出部111から受け取ったデータによって示される炭素の質量M1と、第2の炭素質量算出部112から受け取ったデータによって示される炭素の質量M2とに基づいて、エタノールの生産性を評価する(S103)。例えば、生産性評価部113は、炭素の質量M1を、炭素の質量M2で除した値、即ち、廃棄物に含まれる炭素の質量M1に対する、その廃棄物から生産されたエタノールに含まれる炭素の質量M2の割合に基づいて、エタノールの生産性を評価する。例えば、生産性評価部113は、廃棄物に含まれる炭素の質量M1に対する、その廃棄物から生産されたエタノールに含まれる炭素の質量M2の割合がX(%)の場合、エタノールの生産性、即ち、廃棄物からエタノールを生産する際の効率の程度がX(%)であると評価する。
【0042】
以上、説明したように、第1の実施形態に係る生産性評価方法は、廃棄物からガスを得る第1の工程と、第1の工程において得られたガスを触媒によって反応させ、エタノールを化学合成する第2の工程とを含む生産方法によって、エタノールを生産するにあたり、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する。そして、この方法は、この生産方法によって生産されたエタノールに含まれる炭素の質量を算出する。そして、この方法は、廃棄物に含まれる炭素の質量と、エタノールに含まれる炭素の質量とに基づいて、エタノールの生産性を評価する。
【0043】
このようにして、第1の実施形態に係る生産性評価方法によっては、廃棄物からエタノールを生産するにあたり、エタノールの生産性を合理的に評価することができる。
【0044】
図3は、第2の実施形態に係る生産性評価方法の手順の一例を示す。この手順においては、第1の実施形態とは異なる手順にて廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出して、エタノールの生産性を評価する方法について詳述する。なおまた、この手順の説明においては、図1を共に参照する。また、図3に示す手順のうち、図1に示す手順と同じ符号を付している手順は、同様の手順を示す。
【0045】
先ず、この方法においては、上述した生産方法の第1の工程において得られたガスに含まれる炭素の質量M3を算出する(S201)。例えば、ガスに含まれる炭素の質量M3は、ガスに含まれる炭素原子を含む分子の質量と、その分子の質量のうち炭素原子の質量が占める割合とを乗じることによって算出することができる。炭素原子を含む複数種類の分子がガスに含まれている場合、ガスに含まれる炭素の質量M3は、各分子について、その分子の質量と、その分子の質量のうち炭素原子の質量が占める割合とを乗じて、その各値を加えることによって算出することができる。
【0046】
ここで、ガスに含まれる各分子の質量は、例えば、ガス全体に対するガスに含まれる各分子の割合と、ガスの質量とを乗じることによって算出することができる。ガス全体に対するガスに含まれる各分子の割合は、例えば、ガスクロマトグラフィーの検出装置を用いて分析することができる。一方、ガスの質量は、例えば、配管内を流れるガスの圧力、温度、及び体積が分かれば、気体の状態方程式によって算出することができる。ガスの体積は、例えば、配管の断面積と、ガスの流速と、ガスが流れ続けた時間とを乗じることによって算出することができる。
【0047】
次に、この方法においては、上述した生産方法の第1の工程において排出された残渣に含まれる炭素の質量M4を算出する(S202)。例えば、残渣に含まれる炭素の質量M4は、残渣の質量と、残渣に含まれる各原子の種類と、残渣に含まれる炭素の割合とに基づいて算出することができる。ここで、残渣に含まれる各原子の種類、及び残渣に含まれる炭素の割合は、例えば、元素分析法によって分析することができる。
【0048】
次に、この方法においては、ステップS201において算出された炭素の質量M3と、ステップS202において算出された炭素の質量M4とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する(S203)。例えば、廃棄物に含まれる炭素の質量M1は、ガスに含まれる炭素の質量M3と、残渣に含まれる炭素の質量M4とを加えることによって算出することができる。また、例えば、廃棄物に含まれる炭素の質量M1は、ガスに含まれる炭素の質量M3と、残渣に含まれる炭素の質量M4とを単純に加えることによって算出するのではなく、実験等によって予め算出された廃棄物からガスを得る効率等を参照して算出してもよい。
【0049】
そして、この方法においては、第1の実施形態に係る生産性評価方法と同様に、エタノールに含まれる炭素の質量M2を算出して(S102)、廃棄物に含まれる炭素の質量M1と、エタノールに含まれる炭素の質量M2とに基づいて、エタノールの生産性を評価する(S103)。
【0050】
図4は、第2の実施形態に係る生産性評価装置210のブロック構成の一例を示す。第2の実施形態に係る生産性評価装置210は、第3の炭素質量算出部211、第4の炭素質量算出部212、第1の炭素質量算出部213、第2の炭素質量算出部112、及び生産性評価部113を有する。以下の説明においては、各構成要素の機能、及び動作を詳述する。
【0051】
なおまた、図4に示す生産性評価装置210の構成要素のうち、図2に示す生産性評価装置110の構成要素と同じ符号を付している同名の構成要素は、同様の機能、及び動作を示す。
【0052】
第3の炭素質量算出部211は、上述した生産方法の第1の工程において得られたガスに含まれる炭素の質量M3を算出する。
【0053】
第4の炭素質量算出部212は、上述した生産方法の第1の工程において排出された残渣に含まれる炭素の質量M4を算出する。
【0054】
第1の炭素質量算出部213は、第3の炭素質量算出部211が算出した炭素の質量M3と、第4の炭素質量算出部212が算出した炭素の質量M4とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する。
【0055】
以下の説明においては、図3、及び図4を参照して、第2の実施形態に係る生産性評価装置210がエタノールの生産性を評価する処理について詳述する。
【0056】
生産性評価装置210の第3の炭素質量算出部211は、上述した生産方法の第1の工程において得られたガスに含まれる炭素の質量M3を算出する(S201)。例えば、第3の炭素質量算出部211は、ガスに含まれる炭素原子を含む分子の質量と、その分子の質量のうち炭素原子の質量が占める割合とを乗じることによって、ガスに含まれる炭素の質量M3を算出する。炭素原子を含む複数種類の分子がガスに含まれている場合、第3の炭素質量算出部211は、以下のようにガスに含まれる炭素の質量M3を算出する。まず、複数種類の各分子について、その分子の質量と、その分子の質量のうち炭素原子の質量が占める割合とを乗じる。得られた各値を加えることによって、ガスに含まれる炭素の質量M3が算出される。
【0057】
例えば、第3の炭素質量算出部211は、ガスに含まれる各分子の割合と、ガスの質量とを乗じることによって、ガスに含まれる各分子の質量を算出する。
【0058】
例えば、第3の炭素質量算出部211は、ガスに含まれる各分子の割合の情報の入力を受け付ける。この情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、ガスクロマトグラフィーの検出装置から入力されてもよい。
【0059】
また、例えば、第3の炭素質量算出部211は、配管内を流れるガスの圧力、温度、及び体積の各情報の入力を受け付ける。圧力の情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、配管内の圧力を計測する計測装置から入力されてもよい。温度の情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、配管内の温度を計測する計測装置から入力されてもよい。体積の情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、配管内の体積流量を計測する計測装置から入力されてもよいし、配管の断面積と、ガスの流速と、ガスが流れ続けた時間とを乗じることによって算出してもよい。そして、第3の炭素質量算出部211は、これらの情報に基づいて、気体の状態方程式によって、ガスの質量を算出する。
【0060】
そして、第3の炭素質量算出部211は、ガスに含まれる炭素原子を含む分子の質量と、その分子の質量のうち炭素原子の質量が占める割合とを乗じることによって、ガスに含まれる炭素の質量M3を算出すると、算出した炭素の質量M3を示すデータを、第1の炭素質量算出部213へ送る。
【0061】
生産性評価装置210の第4の炭素質量算出部212は、上述した生産方法の第1の工程において排出された残渣に含まれる炭素の質量M4を算出する(S201)。例えば、第4の炭素質量算出部212は、残渣の質量と、残渣に含まれる各原子の種類と、残渣に含まれる炭素の割合とに基づいて、残渣に含まれる炭素の質量M4を算出する。
【0062】
例えば、第4の炭素質量算出部212は、残渣の質量の情報、残渣に含まれる各原子の種類の情報、及び残渣に含まれる炭素の割合の情報の入力を受け付ける。残渣の質量の情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、残渣の質量を計測する計測装置から入力されてもよい。残渣に含まれる各原子の種類の情報、及び残渣に含まれる炭素の割合の情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、元素分析装置から入力されてもよい。
【0063】
そして、第4の炭素質量算出部212は、残渣の質量と、残渣に含まれる各原子の種類と、残渣に含まれる炭素の割合とに基づいて、残渣に含まれる炭素の質量M4を算出すると、算出した炭素の質量M4を示すデータを、第1の炭素質量算出部213へ送る。
【0064】
生産性評価装置210の第1の炭素質量算出部213は、第3の炭素質量算出部211から送られたデータと、第4の炭素質量算出部212から送られたデータとをそれぞれ受け取ると、第3の炭素質量算出部211から受け取ったデータによって示される炭素の質量M3と、第4の炭素質量算出部212から受け取ったデータによって示される炭素の質量M4とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する(S203)。例えば、第1の炭素質量算出部213は、ガスに含まれる炭素の質量M3と、残渣に含まれる炭素の質量M4とを加えることによって、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する。また、例えば、第1の炭素質量算出部213は、実験等によって予め算出された廃棄物からガスを得る効率等の情報を更に参照して、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する。
【0065】
そして、第2の実施形態に係る生産性評価装置210は、第1の実施形態に係る生産性評価装置110と同様に、エタノールに含まれる炭素の質量M2を算出して(S102)、廃棄物に含まれる炭素の質量M1と、エタノールに含まれる炭素の質量M2とに基づいて、エタノールの生産性を評価する(S103)。
【0066】
以上、説明したように、第2の実施形態に係る生産性評価方法は、上述した生産方法の第1の工程において得られたガスに含まれる炭素の質量M3を算出する。そして、この方法は、上述した生産方法の第1の工程において排出された残渣に含まれる炭素の質量M4を算出する。そして、この方法は、ガスに含まれる炭素の質量M3と、残渣に含まれる炭素の質量M4とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する。
【0067】
このようにして、第2の実施形態に係る生産性評価方法によっては、上述した生産方法の第1の工程において得られたガスに含まれる炭素の質量M3と、この第1の工程において排出された残渣に含まれる炭素の質量M4とを容易に算出することができる。このことから、第1の実施形態に係る生産性評価方法と比較して、廃棄物に含まれる炭素の質量M1をより容易且つ精確に算出することができる。以て、エタノールの生産性を、より容易且つ精確に評価することができる。
【0068】
図5は、第3の実施形態に係る生産性評価方法の手順の一例を示す。この手順においては、上述した生産方法の第1の工程において助燃剤が使用される場合の、エタノールの生産性を評価する方法について詳述する。なおまた、この手順の説明においては、図1、及び図3を共に参照する。また、図5に示す手順のうち、図1図3に示す手順と同じ符号を付している手順は、同様の手順を示す。
【0069】
先ず、この方法においては、第2の実施形態に係る生産性評価方法と同様に、上述した生産方法の第1の工程において得られたガスに含まれる炭素の質量M3を算出して(S201)、上述した生産方法の第1の工程において排出された残渣に含まれる炭素の質量M4を算出する(S202)。
【0070】
次に、この方法においては、上述した生産方法の第1の工程において使用された助燃剤に含まれる炭素の質量M5を算出する(S301)。例えば、助燃剤に含まれる炭素の質量M5は、助燃剤の質量と、助燃剤を構成する炭素原子の質量が占める割合とを乗じることによって算出することができる。
【0071】
次に、この方法においては、ステップS201において算出された炭素の質量M3と、ステップS202において算出された炭素の質量M4と、ステップS301において算出された炭素の質量M5とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する(S302)。例えば、廃棄物に含まれる炭素の質量M1は、ガスに含まれる炭素の質量M3と、残渣に含まれる炭素の質量M4とを加えた質量から、助燃剤に含まれる炭素の質量M5を減じることによって算出することができる。
【0072】
そして、この方法においては、第1の実施形態に係る生産性評価方法と同様に、エタノールに含まれる炭素の質量M2を算出して(S102)、廃棄物に含まれる炭素の質量M1と、エタノールに含まれる炭素の質量M2とに基づいて、エタノールの生産性を評価する(S103)。
【0073】
図6は、第3の実施形態に係る生産性評価装置310のブロック構成の一例を示す。第3の実施形態に係る生産性評価装置310は、第3の炭素質量算出部211、第4の炭素質量算出部212、第5の炭素質量算出部311、第1の炭素質量算出部312、第2の炭素質量算出部112、及び生産性評価部113を有する。以下の説明においては、各構成要素の機能、及び動作を詳述する。
【0074】
なおまた、図6に示す生産性評価装置310の構成要素のうち、図2に示す生産性評価装置110、図4に示す生産性評価装置210の構成要素と同じ符号を付している同名の構成要素は、同様の機能、及び動作を示す。
【0075】
第5の炭素質量算出部311は、上述した生産工程の第1の工程において使用された助燃剤に含まれる炭素の質量M5を算出する。
【0076】
第1の炭素質量算出部312は、第3の炭素質量算出部211が算出した炭素の質量M3と、第4の炭素質量算出部212が算出した炭素の質量M4と、第5の炭素質量算出部311が算出した炭素の質量M5とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する。
【0077】
以下の説明においては、図5、及び図6を参照して、第3の実施形態に係る生産性評価装置310がエタノールの生産性を評価する処理について詳述する。
【0078】
先ず、第3の実施形態に係る生産性評価装置310は、第2の実施形態に係る生産性評価装置210と同様に、上述した生産方法の第1の工程において得られたガスに含まれる炭素の質量M3を算出する(S201)。また、生産性評価装置310は、上述した生産方法の第1の工程において排出された残渣に含まれる炭素の質量M4を算出する(S202)。
【0079】
そして、生産性評価装置310の第5の炭素質量算出部311は、上述した生産方法の第1の工程において使用された助燃剤に含まれる炭素の質量M5を算出する(S301)。例えば、第5の炭素質量算出部311は、助燃剤の質量と、助燃剤を構成する炭素原子の質量が占める割合とを乗じることによって、助燃剤に含まれる炭素の質量M5を算出する。
【0080】
例えば、第5の炭素質量算出部311は、助燃剤の質量の情報と、助燃剤を構成する炭素原子の質量が占める割合の情報の入力を受け付ける。これらの情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、予め設定されていてもよい。
【0081】
そして、第5の炭素質量算出部311は、助燃剤の質量と、助燃剤を構成する炭素原子の質量が占める割合とを乗じることによって、助燃剤に含まれる炭素の質量M5を算出すると、算出した炭素の質量M5を示すデータを、第1の炭素質量算出部312へ送る。
【0082】
生産性評価装置310の第1の炭素質量算出部312は、第3の炭素質量算出部211から送られたデータと、第4の炭素質量算出部212から送られたデータと、第5の炭素質量算出部311から送られたデータとをそれぞれ受け取る。第1の炭素質量算出部312は、第3の炭素質量算出部211から受け取ったデータによって示される炭素の質量M3と、第4の炭素質量算出部212から受け取ったデータによって示される炭素の質量M4と、第5の炭素質量算出部311から受け取ったデータによって示される炭素の質量M5とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する(S302)。例えば、第1の炭素質量算出部312は、ガスに含まれる炭素の質量M3と、残渣に含まれる炭素の質量M4とを加えた質量から、助燃剤に含まれる炭素の質量M5を減じることによって、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する。
【0083】
そして、第3の実施形態に係る生産性評価装置310は、第1の実施形態に係る生産性評価装置110と同様に、エタノールに含まれる炭素の質量M2を算出して(S102)、廃棄物に含まれる炭素の質量M1と、エタノールに含まれる炭素の質量M2とに基づいて、エタノールの生産性を評価する(S103)。
【0084】
以上、説明したように、第3の実施形態に係る生産性評価方法は、上述した生産工程の第1の工程において助燃剤が使用される場合、第1の工程において使用された助燃剤に含まれる炭素の質量を算出する。そして、この方法は、ガスに含まれる炭素の質量M3と、残渣に含まれる炭素の質量M4と、助燃剤に含まれる炭素の質量M5とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する。
【0085】
このようにして、第3の実施形態に係る生産性評価方法によっては、廃棄物からガスを得るにあたり、助燃剤が使用された場合であっても、エタノールの生産性を合理的に評価することができる。
【0086】
図7は、第4の実施形態に係る生産性評価方法の手順の一例を示す。この手順においては、上述した生産方法の第1の工程におけるエネルギー利用による二酸化炭素の排出量を考慮に入れて、エタノールの生産性を評価する方法について詳述する。なおまた、この手順の説明においては、図1を共に参照する。また、図7に示す手順のうち、図1に示す手順と同じ符号を付している手順は、同様の手順を示す。
【0087】
先ず、この方法においては、上述した第1の実施形態に係る生産性評価方法と同様に、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出して(S101)、上述した生産方法によって生産されたエタノールに含まれる炭素の質量M2を算出する(S102)。
【0088】
次に、この方法においては、上述した生産方法の第1の工程におけるエネルギー利用による二酸化炭素の排出量を算出する(S401)。例えば、エネルギー利用による二酸化炭素の排出量は、熱分解炉や溶融炉において利用されるエネルギーの単位消費量あたりの二酸化炭素の排出量と、熱分解炉や溶融炉において実際に利用されたエネルギーの消費量とを乗じることによって算出することができる。
【0089】
次に、この方法においては、ステップS101において算出された炭素の質量M1と、ステップS102において算出された炭素の質量M2と、ステップS401において算出された二酸化炭素の既知の排出量とに基づいて、エタノールの生産性を評価する(S402)。例えば、エタノールの生産性は、炭素の質量M1に、排出された二酸化炭素に含まれる炭素の質量を加えた質量を、炭素の質量M2で除した値に基づいて評価する。即ち、エタノールの生産性は、廃棄物に含まれる炭素の質量M1と排出された二酸化炭素に含まれる炭素の質量との総質量に対する、その廃棄物から生産されたエタノールに含まれる炭素の質量M2の割合に基づいて評価する。
【0090】
図8は、第4の実施形態に係る生産性評価装置410のブロック構成の一例を示す。第4の実施形態に係る生産性評価装置410は、第1の炭素質量算出部111、第2の炭素質量算出部112、二酸化炭素排出量算出部411、及び生産性評価部412を有する。以下の説明においては、各構成要素の機能、及び動作を詳述する。
【0091】
なおまた、図8に示す生産性評価装置410の構成要素のうち、図2に示す生産性評価装置110と同じ符号を付している同名の構成要素は、同様の機能、及び動作を示す。
【0092】
二酸化炭素排出量算出部411は、上述した生産方法の第1の工程におけるエネルギー利用による二酸化炭素の排出量を算出する。
【0093】
生産性評価部412は、第1の炭素質量算出部111が算出した炭素の質量と、第2の炭素質量算出部112が算出した炭素の質量と、二酸化炭素排出量算出部411が算出した二酸化炭素の排出量とに基づいて、エタノールの生産性を評価する。
【0094】
以下の説明においては、図7、及び図8を参照して、第4の実施形態に係る生産性評価装置410がエタノールの生産性を評価する処理について詳述する。
【0095】
先ず、第4の実施形態に係る生産性評価装置410は、第1の実施形態に係る生産性評価装置110と同様に、廃棄物に含まれる炭素の質量M1を算出する(S101)。生産性評価装置410は、上述した生産方法によって生産されたエタノールに含まれる炭素の質量M2を算出する(S102)。
【0096】
そして、生産性評価装置410の二酸化炭素排出量算出部411は、上述した生産方法の第1の工程におけるエネルギー利用による二酸化炭素の排出量を算出する(S401)。例えば、二酸化炭素排出量算出部411は、熱分解炉や溶融炉において利用されるエネルギーの単位消費量あたりの二酸化炭素の既知の排出量と、熱分解炉や溶融炉において実際に利用されたエネルギーの消費量とを乗じることによって、エネルギー利用による二酸化炭素の排出量を算出する。
【0097】
例えば、二酸化炭素排出量算出部411は、熱分解炉や溶融炉において実際に利用されたエネルギーの消費量の情報の入力を受け付ける。この情報は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置から入力されてもよいし、熱分解炉や溶融炉の制御装置から入力されてもよい。
【0098】
そして、二酸化炭素排出量算出部411は、熱分解炉や溶融炉において利用されるエネルギーの単位消費量あたりの二酸化炭素の既知の排出量と、熱分解炉や溶融炉において実際に利用されたエネルギーの消費量とを乗じることによって、エネルギー利用による二酸化炭素の排出量を算出する。二酸化炭素排出量算出部411は、算出した二酸化炭素の排出量を示すデータを、生産性評価部412へ送る。
【0099】
生産性評価部412は、第1の炭素質量算出部111から送られたデータと、第2の炭素質量算出部112から送られたデータと、二酸化炭素排出量算出部411から送られたデータとをそれぞれ受け取る。生産性評価部412は、第1の炭素質量算出部111から受け取ったデータによって示される炭素の質量M1と、第2の炭素質量算出部112から受け取ったデータによって示される炭素の質量M2と、二酸化炭素排出量算出部411から受け取ったデータによって示される二酸化炭素の排出量とに基づいて、エタノールの生産性を評価する(S402)。例えば、生産性評価部412は、炭素の質量M1に、排出された二酸化炭素に含まれる炭素の質量を加えた質量を、炭素の質量M2で除した値に基づいて、エタノールの生産性を評価する。即ち、生産性評価部412は、廃棄物に含まれる炭素の質量M1と排出された二酸化炭素に含まれる炭素の質量との総質量に対する、その廃棄物から生産されたエタノールに含まれる炭素の質量M2の割合に基づいて、エタノールの生産性を評価する。
【0100】
以上、説明したように、第4の実施形態に係る生産性評価方法は、上述した生産方法の第1の工程におけるエネルギー利用による二酸化炭素の排出量を算出する。そして、この方法は、廃棄物に含まれる炭素の質量と、エタノールに含まれる炭素の質量と、上述した生産方法の第1の工程におけるエネルギー利用による二酸化炭素の排出量とに基づいて、エタノールの生産性を評価する。
【0101】
このようにして、第4の実施形態に係る生産性評価方法によっては、廃棄物からガスを得るにあたり、エネルギー利用による二酸化炭素の排出があることから、その二酸化炭素の排出量を考慮に入れて、エタノールの生産性をより合理的に評価することができる。
【0102】
第5の実施形態は、上述の生産性評価方法を用いた課金システムに関する。
【0103】
一般的に廃棄物の処理を依頼するにあたり、料金が支払われる。この料金は、廃棄物の重量や種類に応じて設定されている。例えば、廃水処理場から発生する活性汚泥の処理は、通常2種類の処理法にて処分される。活性汚泥は、脱水および乾燥を経てごみ焼却場に持ち込まれて処理されるか、もしくは脱水後、肥料化もしくは埋め立てにて処分されるが、いずれのケースも高額な処理料金が発生する。料金は、処理場のシステムや処理する場所、水分の含有量により大きく異なる。
【0104】
実際の廃棄物の中には、単に原料となる成分(水素および一酸化炭素)以外に上述のエタノールの生産方法の第2の工程における触媒の反応を阻害するような成分、例えば硫化水素などのS成分や塩化水素などのCl成分が含まれる。廃棄物全体に対する触媒の反応を阻害するような成分の混合割合は、原料である廃棄物に大きく依存することになる。第2の工程のプロセスでは、これらの阻害成分が少々混入しても良いように、阻害成分をトラップする仕組みが組み込まれているのが通例である。しかしながら、仮に廃棄物全体に対する阻害成分の割合が、阻害成分をトラップする仕組みの許容量を大きく上回る場合、第2工程まで阻害成分が混入し、触媒の反応に影響を与えることが想定される。この場合、エタノールの生産性が落ち込むことになる。
【0105】
つまり、廃棄物全体に対する廃棄物に含まれる炭素の割合が多い場合であっても、廃棄物に含まれる阻害成分が多いとエタノールの生産性は低くなる。したがって、廃棄物に含まれる炭素量とエタノールの生産性とを鑑みて、課金料金を変動させるシステムを構築することが好ましい。
【0106】
このような状況を鑑み、本実施形態の課金システムは、第1〜第4実施形態における生産性評価方法により得られた生産性に基づいて、廃棄物処理のための課金料金を変動させる。具体的には、第1〜第4実施形態における生産性評価方法に記載されるように、廃棄物に含まれる炭素の質量と、前記生産方法により生産されたエタノールに含まれる炭素の質量に基づいて、エタノールの生産性を算出する。算出されたエタノールの生産性が、予め設定された値より高い場合、廃棄物処理のための料金からある一定額を減額する。
【0107】
廃棄物処理のための料金からある一定額を減額するか否かは、以下の方法により判定される。
初めに、触媒の反応の阻害要因となる硫黄成分や塩素成分をほとんど含まない稲藁や、木材を原料として、本エタノール合成を行う。この際、原料に含まれる炭素の質量と、変換されたエタノールに含まれる炭素の質量に基づいて、エタノールの生産性を算出する。算出されたエタノール生産性を、ベンチマークとなるエタノールの生産性として記録しておく。この後、第1〜第4実施形態における生産性評価方法により、実際処理される廃棄物に含まれる炭素の質量と、前記生産方法により生産されたエタノールに含まれる炭素の質量に基づいて、エタノールの生産性を算出する。 記録しておいたベンチマークとなるエタノールの生産性と、実際処理される廃棄物のエタノールの生産性とを比較し、阻害物質が含まれていると推定されるエタノールの生産性の低い廃棄物に対しては、処理費を増額する。ベンチマークとなるエタノールの生産性より高いエタノールの生産性を示した廃棄物に対しては、処理費を減額する。増額または減額する程度は、一次の変換式や、予め設定されたエタノールの生産性と増減額との相関を示すテーブルに基づいて決定してもよい。例えば、廃棄物処理のための料金は、以下の式(1)で算出してもよい。
廃棄物処理のための料金=基準処理費×(ベンチマークとなるエタノールの生産性−実際処理される廃棄物のエタノールの生産性)・・・(1)
【0108】
本実施形態の課金システムにより、正確なエタノール生産性を反映させた料金体系を構築することができる。
【0109】
図9は、本実施形態に係る生産性評価装置110、210、310、410を構成するコンピュータ800のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ800は、ホストコントローラ801により相互に接続されるCPU(Central Processing Unit)802、RAM(Random Access Memory)803、グラフィックコントローラ804、及びディスプレイ805を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ806により相互に接続される通信インターフェース807、ハードディスクドライブ808、及びCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ809を有する入出力部と、入出力コントローラ806に接続されるROM(Read Only Memory)810、フレキシブルディスクドライブ811、及び入出力チップ812を有するレガシー入出力部とを備える。
【0110】
ホストコントローラ801は、RAM803と、高い転送レートでRAM803をアクセスするCPU802、及びグラフィックコントローラ804とを接続する。CPU802は、ROM810、及びRAM803に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィックコントローラ804は、CPU802等がRAM803内に設けたフレームバッファ上に生成する画像データを取得し、ディスプレイ805上に表示させる。これに代えて、グラフィックコントローラ804は、CPU802等が生成する画像データを格納するフレームバッファを、内部に含んでもよい。
【0111】
入出力コントローラ806は、ホストコントローラ801と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェース807、ハードディスクドライブ808、及びCD−ROMドライブ809を接続する。ハードディスクドライブ808は、コンピュータ800内のCPU802が使用するプログラム、及びデータを格納する。CD−ROMドライブ809は、CD−ROM892からプログラム、又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808に提供する。
【0112】
また、入出力コントローラ806には、ROM810と、フレキシブルディスクドライブ811、及び入出力チップ812の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM810は、コンピュータ800が起動時に実行するブートプログラム、及び/又はコンピュータ800のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスクドライブ811は、フレキシブルディスク893からプログラム、又はデータを読み取り、RAM803を介してハードディスクドライブ808に提供する。入出力チップ812は、フレキシブルディスクドライブ811を入出力コントローラ806へと接続すると共に、例えばパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ806へと接続する。
【0113】
RAM803を介してハードディスクドライブ808に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク893、CD−ROM892、又はIC(Integrated Circuit)カード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM803を介してコンピュータ800内のハードディスクドライブ808にインストールされ、CPU802において実行される。
【0114】
第1の実施形態に係るプログラムは、コンピュータ800にインストールされ、コンピュータ800を生産性評価装置110として機能させる。第1の実施形態に係るプログラムは、ステップS101において、コンピュータ800を、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する第1の炭素質量算出部111として機能させる。第1の実施形態に係るプログラムは、ステップS102において、コンピュータ800を、生産されたエタノールに含まれる炭素の質量を算出する第2の炭素質量算出部112として機能させる。第1の実施形態に係るプログラムは、ステップS103において、コンピュータ800を、第1の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、第2の炭素質量算出部が算出した炭素の質量とに基づいて、エタノールの生産性を評価する生産性評価部113として機能させる。
【0115】
この第1の実施形態に係るプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ800に読み込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である第1の炭素質量算出部111、第2の炭素質量算出部112、及び生産性評価部113として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ800の使用目的に応じた情報の演算、又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の生産性評価装置110が構築される。
【0116】
第2の実施形態に係るプログラムは、コンピュータ800にインストールされ、コンピュータ800を生産性評価装置210として機能させる。第2の実施形態に係るプログラムは、ステップS201において、コンピュータ800を、ガスに含まれる炭素の質量を算出する第3の炭素質量算出部として機能させる。第2の実施形態に係るプログラムは、ステップS202において、コンピュータ800を、残渣に含まれる炭素の質量を算出する第4の炭素質量算出部として機能させる。第2の実施形態に係るプログラムは、ステップS203において、コンピュータ800を、第3の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、第4の炭素質量算出部が算出した炭素の質量とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する第1の炭素質量算出部213として機能させる。第2の実施形態に係るプログラムは、ステップS102において、コンピュータ800を、生産されたエタノールに含まれる炭素の質量を算出する第2の炭素質量算出部112として機能させる。第2の実施形態に係るプログラムは、ステップS103において、コンピュータ800を、第1の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、第2の炭素質量算出部が算出した炭素の質量とに基づいて、エタノールの生産性を評価する生産性評価部113として機能させる。
【0117】
この第2の実施形態に係るプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ800に読み込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である第3の炭素質量算出部211、第4の炭素質量算出部212、第1の炭素質量算出部213、第2の炭素質量算出部112、及び生産性評価部113として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ800の使用目的に応じた情報の演算、又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の生産性評価装置210が構築される。
【0118】
第3の実施形態に係るプログラムは、コンピュータ800にインストールされ、コンピュータ800を生産性評価装置310として機能させる。第3の実施形態に係るプログラムは、ステップS201において、コンピュータ800を、ガスに含まれる炭素の質量を算出する第3の炭素質量算出部として機能させる。第3の実施形態に係るプログラムは、ステップS202において、コンピュータ800を、残渣に含まれる炭素の質量を算出する第4の炭素質量算出部として機能させる。第3の実施形態に係るプログラムは、ステップS301において、コンピュータ800を、助燃剤に含まれる炭素の質量を算出する第5の炭素質量算出部311として機能させる。第2の実施形態に係るプログラムは、ステップS302において、コンピュータ800を、第3の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、第4の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、第5の炭素質量算出部311が算出した炭素の質量とに基づいて、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する第1の炭素質量算出部312として機能させる。第3の実施形態に係るプログラムは、ステップS102において、コンピュータ800を、生産されたエタノールに含まれる炭素の質量を算出する第2の炭素質量算出部112として機能させる。第3の実施形態に係るプログラムは、ステップS103において、コンピュータ800を、第1の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、第2の炭素質量算出部が算出した炭素の質量とに基づいて、エタノールの生産性を評価する生産性評価部113として機能させる。
【0119】
この第3の実施形態に係るプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ800に読み込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である第3の炭素質量算出部211、第4の炭素質量算出部212、第5の炭素質量算出部311、第1の炭素質量算出部312、第2の炭素質量算出部112、及び生産性評価部113として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ800の使用目的に応じた情報の演算、又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の生産性評価装置310が構築される。
【0120】
第4の実施形態に係るプログラムは、コンピュータ800にインストールされ、コンピュータ800を生産性評価装置410として機能させる。第4の実施形態に係るプログラムは、ステップS101において、コンピュータ800を、廃棄物に含まれる炭素の質量を算出する第1の炭素質量算出部111として機能させる。第4の実施形態に係るプログラムは、ステップS102において、コンピュータ800を、生産されたエタノールに含まれる炭素の質量を算出する第2の炭素質量算出部112として機能させる。第2の実施形態に係るプログラムは、ステップS401において、コンピュータ800を、エネルギー利用による二酸化炭素の排出量を算出する二酸化炭素排出量算出部411として機能させる。第4の実施形態に係るプログラムは、ステップS402において、コンピュータ800を、第1の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、第2の炭素質量算出部が算出した炭素の質量と、二酸化炭素排出量算出部411が算出した二酸化炭素の排出量とに基づいて、エタノールの生産性を評価する生産性評価部412として機能させる。
【0121】
この第4の実施形態に係るプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ800に読み込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である第1の炭素質量算出部111、第2の炭素質量算出部112、二酸化炭素排出量算出部411、及び生産性評価部412として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ800の使用目的に応じた情報の演算、又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の生産性評価装置410が構築される。
【0122】
一例として、コンピュータ800と外部の装置等との間で通信を行う場合について説明する。CPU802は、RAM803上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェース807に対して通信処理を指示する。通信インターフェース807は、CPU802の制御を受けて、RAM803、ハードディスクドライブ808、フレキシブルディスク893、又はCD−ROM892等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェース807は、ダイレクトメモリアクセス方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU802が転送元の記憶装置、又は通信インターフェース807からデータを読み出し、転送先の通信インターフェース807、又は記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
【0123】
また、CPU802は、ハードディスクドライブ808、CD−ROM892、フレキシブルディスク893等の外部記憶装置に格納されたファイル、又はデータベース等の中から、全部、又は必要な部分をダイレクトメモリアクセス転送等によりRAM803へと読み込ませ、RAM803上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU802は、処理を終えたデータを、ダイレクトメモリアクセス転送等により外部記憶装置へと書き戻す。
【0124】
このような処理において、RAM803は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM803、及び外部記憶装置等をメモリ、記憶部、又は記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なおまた、CPU802は、RAM803の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM803の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM803、メモリ、及び/又は記憶装置に含まれるものとする。
【0125】
また、CPU802は、RAM803から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索、置換等を含む各種の処理を行い、RAM803へと書き戻す。例えば、CPU802は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数、又は定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、又は等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合、又は不成立であった場合に、異なる命令列へと分岐し、又はサブルーチンを呼び出す。
【0126】
また、CPU802は、記憶装置内のファイル、又はデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU802は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
【0127】
以上に示したプログラム、又はモジュールは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク893、CD−ROM892の他に、DVD(Digital Versatile Disk)、又はCD(Compact Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto−Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワーク、又はインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク、又はRAM等の記憶媒体を記録媒体として使用して、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ800に提供してもよい。
【0128】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更、又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更、又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0129】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した方法、装置、プログラム、及び記録媒体における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現し得ることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中のフローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の態様によれば、廃棄物からエタノール等の化学物質を生産するにあたり、化学物質の生産性を合理的に評価することができる。
【符号の説明】
【0131】
110 生産性評価装置
111 第1の炭素質量算出部
112 第2の炭素質量算出部
113 生産性評価部
210 生産性評価装置
211 第3の炭素質量算出部
212 第4の炭素質量算出部
213 第1の炭素質量算出部
310 生産性評価装置
311 第5の炭素質量算出部
312 第1の炭素質量算出部
410 生産性評価装置
411 二酸化炭素排出量算出部
412 生産性評価部
800 コンピュータ
801 ホストコントローラ
802 CPU
803 RAM
804 グラフィックコントローラ
805 ディスプレイ
806 入出力コントローラ
807 通信インターフェース
808 ハードディスクドライブ
809 CD−ROMドライブ
810 ROM
811 フレキシブルディスクドライブ
812 入出力チップ
891 ネットワーク通信装置
892 CD−ROM
893 フレキシブルディスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9