(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インパルス検出回路からのトリガ信号に応答して、前記第1のモード及び前記第2のモードで前記スイッチ・マトリクスを動作させるように構成及び配設されたドライバ回路をさらに備え、
前記インパルス検出回路は、電気的除細動パルスのエネルギーを使用して、前記ドライバ回路に前記トリガ信号を送達するようにさらに構成及び配設される、請求項1に記載の電子スイッチボックス。
前記カテーテル電極、前記複数の電極チャネル、及び前記スイッチ・マトリクスは、電気生理学的診断及び電気的除細動治療を同時に行うことを可能にするように構成及び配設される、請求項8に記載の電子スイッチボックス。
前記電子スイッチボックスは、前記インパルス検出回路からのトリガ信号に応答して、前記第1のモードと前記第2のモードの間で前記スイッチ・マトリクスを切り替えるように構成及び配設されたドライバ回路をさらに備え、
前記インパルス検出回路は、前記電気パルスのエネルギーを使用して、前記ドライバ回路に前記トリガ信号を送達するようにさらに構成及び配設される、請求項11又は12に記載の心臓血管カテーテル・システム。
前記電子スイッチボックスが、前記ドライバ回路と前記インパルス検出回路の間に電気的に結合された集電回路をさらに含み、前記集電回路が、前記電気パルスのエネルギーを蓄積して、前記ドライバ回路に給電するように構成及び配設される、請求項13に記載の心臓血管カテーテル・システム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の態様は、受信機能と送信機能を自動的に切り替える電子スイッチボックスを対象とする。一実施形態では、本開示は、心電図信号の受信と電気的除細動インパルスの送信とを自動的に切り替える電子スイッチボックスに関する。本開示のさらに他の実施形態は、心電図信号の受信と直流不可逆電気穿孔インパルスの送信の切替えを対象とする。心臓の適用分野に関連して本開示の様々な実施形態について説明するが、これらの実施形態は例示を目的として与えたものであり、本開示の範囲を限定するためのものではない。
【0021】
本開示の態様は、給電型電子スイッチボックス及び無給電型電子スイッチボックスの両方を対象とする。無給電型の実施態様では、スイッチボックスは、除細動器インパルス信号を検出し、除細動器インパルス信号からスイッチボックスを充電し、スイッチ・マトリクスを起動する、電気回路を含む。多くの実施形態では、スイッチ・マトリクスは、電気的除細動信号とECG記録信号の間の切替えを実行する。その結果として、臨床医は、いかなる手作業による切替えも行わずに、電気的除細動の直前及び直後にECGモニタ上でECG信号を見ることができる。本開示の給電型の実施態様では、スイッチボックスは、除細動器インパルス信号を検出し、専用電源からスイッチボックスを充電し、スイッチ・マトリクスに給電するために除細動器インパルス信号を利用せずにスイッチ・マトリクスを起動する、電気回路を含むことがある。
【0022】
本開示の特定の実施形態では、無給電型スイッチボックスを、ECG信号及び電気的除細動信号が診断及び電気的除細動の両方のために必要となる様々なバンド電極構成と組み合わせて使用することができる。スイッチボックスの電力需要により、電気的除細動信号のエネルギーの一部を使用して、電気的除細動信号とECG信号の間の切替えを可能にする電子スイッチを起動することになる。インパルス信号は、5ジュール(「J」)から30Jの間とすることができ、30Jは、いくつかの適用分野では最大電力である。電気的除細動信号の立ち上がり縁部のピーク電流は、スイッチボックスを起動するために必要なエネルギー消費により、低下することになる。
【0023】
本開示による無給電型スイッチボックスは、インパルス検出回路及びスイッチ・マトリクスを含むことがある。インパルス検出回路は、除細動パルスを検出し、除細動器インパルス信号から引き抜かれる電力を制御し、起動信号をスイッチ・マトリクスに供給する。インパルス検出回路からの起動信号に応答して、スイッチ・マトリクスは、カテーテル電極を除細動回路に結合する状態と心電図記録回路(ECGモニタとも呼ばれる)に結合する状態の間で切り替える。具体的には、スイッチ・マトリクスは、除細動器を起動してスイッチ・マトリクスに給電する電気的除細動モードでは患者を除細動器に接続し、除細動器信号を消滅させて、スイッチ・マトリクスの給電を停止するときには、患者をECG記録システムに接続する。
【0024】
無給電型スイッチ・マトリクスの様々な実施形態では、除細動器インパルスとスイッチボックスの付勢及び状態切替えとの間の遅延を最小限に抑えることが特に重要である。スイッチボックスが電源投入されて状態を変化させるのに過度な時間を要する場合には、除細動インパルスの立ち上がり縁部がカットオフされて、患者に送達されないことがある。さらに、スイッチ・マトリクスを所望の状態に維持するためにスイッチ・マトリクスが除細動器インパルスから過度な電力を引き抜く場合には、このスイッチ・マトリクスのエネルギー引抜きにより、治療の有効性が低下する可能性もある。本開示の様々な態様は、スイッチ・マトリクスの遅延時間、及び無給電型スイッチ・マトリクスの実施形態におけるスイッチ・マトリクスの電力引抜きの両方を最小限に抑えることを対象とする。
【0025】
いくつかの給電型スイッチボックスの実施態様では、インパルス検出回路は、独立した電源を含む。このような実施形態では、除細動インパルスの後でECG信号を回復する際の遅延が所望の適用分野で許容できる場合には、スイッチ・マトリクスを高速リレー・スイッチで置き換えることができる。
【0026】
以下、図面を詳細に参照して、本開示の様々な実施形態の詳細について説明する。
【0027】
図1は、本開示の様々な態様による、給電型電子スイッチ・マトリクス115を含むカテーテル・システム100を示すブロック図である。除細動器105が起動されると、除細動パルスが、インパルス検出器120と、複数のスイッチ116
1〜Nのうちの少なくとも一つを含むスイッチ・マトリクス115とに印加される。インパルス検出器回路120は、除細動パルスを検出し、この除細動パルスのエネルギーを使用して、除細動パルスの単相性又は二相性の波形全体にわたってドライバ回路125をトリガする。電源/バッテリ121は、ドライバ回路125へ動作に必要なエネルギーを供給する。ドライバ回路125は、インパルス検出器120からの起動信号に応答して、スイッチ・マトリクス115をトリガする。スイッチ・マトリクス115は、通常時、開状態又は高インピーダンス状態である。ドライバ回路125によって起動されると、スイッチ・マトリクス115は閉状態又は低インピーダンス状態に駆動され、この状態では、除細動パルスはカテーテル150に向けられる。ECGモニタ・スイッチ130は、通常時、低インピーダンス状態であって、様々なECG波形をカテーテル150からECGモニタ110に向ける。高エネルギーの除細動パルスが検出されると、ECGモニタ・スイッチ130が高インピーダンス状態に切り替わり、この状態では、ECGモニタ110に送達される除細動パルスからのエネルギーを低減して、ECGモニタ110が除細動パルスに起因する損傷を受けないように保護しながら、除細動施術中に(ほぼ)継続的に患者をモニタリングすることができる。
【0028】
図1を参照して説明したカテーテル・システム100を実装することにより、カテーテル150の複雑さを大幅に低減することができる。例えば、除細動パルスの送信と電極151
A〜PからのECG信号の受信の両方に同じリード線を使用することができるので、カテーテル150内に延びるリード線の数を減らすことができる。さらに、所望の治療及び診断機能を提供するために必要な電極151
A〜Pの数も減少する。このカテーテルの複雑さの軽減は、全て、カテーテル・システム100の機能性を高めて、除細動施術中に(ほぼ)継続的に患者をモニタリングすることができるようにしながら実現することができる。
【0029】
本開示の様々な実施形態では、スイッチ・マトリクス115は、複数のスイッチ116
1〜Nを含む。この複数のスイッチにより、カテーテル・システム100の機能性のいくつかの変形形態が可能になる。例えば、除細動手施術(電気的除細動とも呼ぶ)中にECG信号を受信する必要がない場合には、スイッチ・マトリクス115は、スイッチ116
1を使用して、ECGモニタ110を電極151
A〜Pのうちの一つ又は複数から電気的に切断する一方で、スイッチ116
2によって、一つ又は複数の電極151
A〜Pを除細動器105に電気的に結合して、電極151と接触している組織に除細動器インパルスを送達することができる。このような実施形態では、スイッチ・マトリクス115によってECGモニタ110が既に除細動器インパルスから切り離されているので、ECGモニタ・スイッチ130は不要である。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態は、除細動パルスの検出とスイッチ・マトリクス115の起動との間の時間遅延を最小限に抑えることを対象とする。このような実施形態では、インパルス検出器回路120に依拠してドライバをトリガするのに十分なエネルギーを除細動パルスから収集する代わりに、電源121によってインパルス検出器回路120に給電することにより、関連する充電時間が短縮される。さらに、ドライバ回路125へのトリガ及び給電の両方を行うために、インパルス検出器回路120が消費する電気量に関連する除細動パルスの前端の歪みが防止される。これは、例えば除細動パルスから電極151
A〜Pに送達される実際の電力が分かっていることが望ましい精密な適用分野で有利である。重要な点は、インパルス検出器回路120が除細動パルスのエネルギーを使用する場合には、電極151と接触している組織に送達される全エネルギーが、所期の量より少なくなり、電気的除細動治療の有効性を無効にする可能性があることである。しかし、これは、あるいは、無給電型構成では、除細動器105が生成する除細動パルスにおいてインパルス検出器120による予想される消費を補償することによって解決することができる。特定の実施形態では、除細動器105は、インパルス検出器回路120の後で除細動パルスを実時間で測定し、パルスの長さを延長して所望のエネルギーを電極151に送達することによって、除細動パルスからのインパルス検出器回路120による消費を補償することができる。さらに他の実施形態では、カテーテル・システム100は、インパルス検出器120の引抜きの実行時平均を保持し、以前のパルス(又は直前のパルス)から得られる実行時平均に基づいて各除細動パルスにおける引抜きを補償することができる。
【0031】
本開示の様々な実施形態では、ECGモニタ・スイッチ130は、給電型であることも、無給電型であることもある。
図1に示す実施形態では、ECGモニタ・スイッチ130は、無給電型であり、高エネルギーの除細動パルスに依拠して、ECGモニタ・スイッチ130に給電して起動して高インピーダンス状態にし、これによりECGモニタ110を除細動パルスに関連する損傷から保護する。ただし、上述のように、除細動パルスからのエネルギーを引抜きは、電気的除細動治療中に組織に送達されるエネルギーの総量にも影響を及ぼす。したがって、本開示によるいくつかの実施形態は、電源121に依拠してECGモニタ・スイッチ130に給電し、それにより除細動器105によって生成される除細動パルスを維持することもできる。
【0032】
図1のECGモニタ・スイッチ130はスイッチ・マトリクス115及びその複数のスイッチ116
1〜N(
図1に示す)から独立して動作可能であることもあるが、別法として、ECGモニタ・スイッチを、スイッチ・マトリクス115と一体化することもできる。このような実施形態では、第1のスイッチ116
1を、ドライバ回路125によって除細動パルスをカテーテル150に向ける、閉状態又は低インピーダンス状態に駆動することができる。ドライバ回路125は、同時に、第2のスイッチ116
2を、ECGモニタ110へのエネルギーを低減させ、ECGモニタ110を除細動パルスに関連する損傷から保護しながら、除細動施術中に(ほぼ)継続的な患者のモニタリングできるようにする、高インピーダンス状態に駆動することもできる。ドライバ回路125がインパルス検出器回路120によって駆動されなくなると、第1のスイッチ116
1が高インピーダンス状態に戻り、第2のスイッチ116
2が低インピーダンス状態に戻って、除細動器がカテーテル150から電気的に切断され、ECGモニタ110がECG信号を受信できるようになる。
【0033】
図1のようの様々な実施形態では、電源121がバッテリであるが、スイッチ・マトリクス115が除細動器105からの除細動パルスに応答できなくなる低バッテリ状態に起因するECGモニタ110の損傷を防止することができる。一つの例示的な実施形態では、スイッチ・マトリクス115は、ドライバ125から給電されないときに常時開状態又は高インピーダンス状態のままとなる少なくとも第1のスイッチ116
1を含み、これによって、除細動器105がカテーテル150から電気的に切断される状態となるようにしてもよい。このような構成では、電源121がスイッチ・マトリクス115を起動するのに必要な電力をドライバ回路125に供給することができないときに、除細動パルスがECGモニタ110に到達することが防止される。上述のように、除細動パルスは、ECGモニタ110を損傷させて、電極151が受信するECG信号をモニタリングできないようにする可能性がある。
【0034】
図1の様々な実施形態では、電極151
A〜Pを分割して、診断(例えばECGモニタリング)又は治療(例えば電気的除細動)の専用にすることができる。このような実施形態では、診断用の回路と治療用の回路を互いに絶縁することができるが、電気的除細動中には、除細動インパルスが、専用電極151にわたってアークを生じるのに十分なエネルギーを有することがある。治療用電極(例えば151
A)からのアークが診断用電極(例えば151
B)に導通する場合には、ECGモニタ110に送達される電力が、モニタの損傷を引き起こす可能性がある。したがって、このような実施形態では、カテーテル・システム100は、治療中に診断専用電極をECGモニタ110から絶縁する、又は高出力除細動インパルスに応答して診断ラインに沿って高インピーダンスを提供するECGモニタ・スイッチ130を依然として含むことがある。
【0035】
いくつかの特定の実施形態では、スイッチ・マトリクス115は、電極151
A〜Pの個別式、対式、区分式、偶奇式、又はその他のタイプのアドレッシングを可能にする複数のスイッチ116
1〜Nを含むことがある。このような実施形態では、臨床医は、カテーテル150の遠位部分(電極を含む)を1本の肺静脈に接触した状態で静的に位置付けることもできるし、あるいはその遠位部分を操作して肺静脈の周面に接触するループにすることもできる。臨床医は、次いで、カテーテルの長さに沿って組織の様々な部分に個別にアクセスし、診断を行い、それらの部分のそれぞれについて、その部分の個別の診断データに基づいて治療を実施することができる。このような実施形態では、スイッチ・マトリクス115は、
図1に示すブロック図とは位置が異なり、電極151とECGモニタ110の間の信号の移動も調整して、選択した電極のみからECG信号を受信できるようにする。このような実施形態では、スイッチ・マトリクス115にいくつかの追加のスイッチ層が必要になるが、その結果得られる制御では、カテーテル・シャフト150に沿った診断及び治療の両方を細かく制御できるようになる。一つの具体的な例として、カテーテル・システム100では、診断手順と治療施術を同時に行うことができることもある。このような実施形態では、スイッチ・マトリクス115は、カテーテル150沿いの一つ又は複数の中間電極(例えば151
F)を除細動器105に電気的に結合して、それらの中間電極と接触している組織に除細動パルスを送達する一方で、それらの中間電極のいずれかの側の一つ又は複数の電極(例えば151
A及び151
P)をスイッチ・マトリクス115がECGモニタに電気的に結合して、電気的除細動施術の実時間診断モニタリングを可能にすることができる。このような実施形態では、モニタ110が受信するECG信号が、中間電極と接触している組織が十分にアブレーションされたことを示している場合には、ECGモニタは、電気的除細動治療の長さを無効にすることができる。
【0036】
図2は、本開示の様々な態様による、無給電型電子スイッチ・マトリクス215を含むカテーテル・システム200を示すブロック図である。除細動器205は、起動すると、インパルス検出器回路220、及びスイッチ・マトリクス215のスイッチ216のうちの一つに除細動パルスを送達する。インパルス検出器回路220は、除細動パルスを検出し、その除細動パルスのエネルギーを使用して、集電回路222に給電する。集電回路222は、インパルス検出器220を介して向け直された除細動パルスのエネルギーを、除細動パルスの単相性又は2相性の波形の全体にわたってドライバ回路225に給電するために蓄積する。ドライバ回路225は、集電回路222からの蓄積エネルギーを調整し、除細動パルスの持続時間にわたってスイッチ・マトリクス215を起動するのに必要な駆動電圧を供給し、その後、スイッチ・マトリクスは、通常時の開状態又は高インピーダンス状態に戻る。スイッチ216
Nは、ドライバ回路225によって起動されると、除細動パルスをカテーテル250の電極251に向ける閉状態又は低インピーダンス状態に駆動される。ECGモニタ・スイッチ230は、通常時は低インピーダンス状態であり、様々なECG波形をカテーテルからECGモニタに向ける。高エネルギーの除細動パルスが検出されると、ECGモニタ・スイッチ230は、ECGモニタ210へのエネルギーを低減する高インピーダンス状態に切り替わって、除細動施術中に継続的に患者をモニタリングできるようにする、又はECGモニタ210をカテーテル250から完全に電気的に切断し、いずれにしても、ECGモニタ210を高エネルギーの除細動パルスに関連する損傷から保護する。
【0037】
図1を参照して説明したように、
図2の実施形態も、電極251への除細動パルスの流れの制御、及びECGモニタへの除細動パルスの流れの制御(通常はECGモニタ・スイッチ230によって実施される)の両方を行うスイッチを含むスイッチ・マトリクス215を利用することができる。インパルス検出器回路220によってECGモニタ・スイッチ230を制御することにより、ECGモニタへの電気的経路をスイッチ・マトリクス215の別のスイッチ216から同時に切断して、除細動インパルスがスイッチ・マトリクスの先に進むことができるようにすることができる。これは、ECGモニタ・スイッチ230で除細動パルスの識別と高インピーダンス状態の起動の間に遅延がある場合に、特に有利であることがある。これによっても、必要となる所要の回路が減少する。
【0038】
図2の集電回路222は、インパルス検出器回路220を介して向け直された除細動パルスのエネルギーを、除細動パルスの単相性又は2相性の波形の全体にわたってドライバ回路225に給電するために蓄積する。いくつかの実施形態では、上述のように、蓄積したエネルギーを直ちに使用して、ドライバ回路225に給電して、スイッチ・マトリクスを、除細動パルスをその除細動パルスの持続時間にわたってカテーテル250の電極251に向ける閉状態又は低インピーダンス状態に維持することができる。ただし、集電回路222の充電時間により、インパルス検出器回路220が除細動パルスを感知してからドライバ回路225がスイッチ・マトリクス215を起動するまでの間に時間遅延が生じることがある。したがって、本開示の様々な態様は、以前の除細動パルスのエネルギーを蓄積して後のパルスで使用することにより、除細動パルスを感知してからスイッチ・マトリクス215を起動するまでの間の遅延を短縮することを対象とする。いくつかの実施形態では、集電器222は、除細動パルスから取り込んだエネルギーを蓄積する一つ又は複数のコンデンサを含むことがある。蓄積したエネルギーを使用して、除細動パルス間でインパルス検出器220に給電することができ、インパルス検出器からのウェイクアップ信号に応答して、集電器は、(インパルス検出器220によって感知された)除細動パルスの存在を示す電気信号をドライバ225に送信することができる。集電器からの電荷を使用して、ドライバ回路225は、以前の除細動パルスの蓄積エネルギーの残りを用いて、スイッチ・マトリクス215に給電する。現在感知されている除細動パルスは、集電器222内のコンデンサの容量を補充し、次の除細動パルスを受信するまでインパルス検出器回路220及びドライバ回路225に給電する。除細動パルス間の時間の長さがコンデンサの容量で対応できる長さより長い場合には、回路の電源が落ちる。以前の実施形態と同様に、インパルス検出器220は、除細動パルスを検出し、その除細動パルスのエネルギーを使用して、集電回路222に給電することができる。集電器222は、インパルス検出器220を介して向け直された除細動パルスのエネルギーを、除細動パルスの全体にわたってドライバ回路225に給電するために蓄積する。ドライバ回路225は、集電器からの蓄積エネルギーを調整し、除細動パルスの持続時間にわたってスイッチ・マトリクス215を起動するのに必要な駆動電圧を供給し、その後、スイッチ・マトリクスは、通常時の開状態又は高インピーダンス状態に戻る。集電器222は、次の除細動パルスを受信するまで、インパルス検出器回路220及びドライバ回路225に給電する。
【0039】
図3は、本開示の様々な態様による、給電型電子スイッチボックス315、除細動器/電気穿孔生成器305、ECGモニタ310、及びカテーテル350を含む診断/治療用カテーテル・システム300を示すブロック図である。
【0040】
図3に示すように、スイッチ・マトリクス316のスイッチ・マトリクス316
1〜2は、少なくとも二つの位置を有する。第1の位置では、これらのスイッチ・マトリクスは、ECGモニタ310を(スイッチボックス315のモニタ出力ポート317
2を介して)カテーテル350に接続する、通常時の開(無給電)位置である。第2の位置、すなわち閉(給電)位置では、除細動器305が、カテーテル350に電気的に結合され、モニタ310が、切断される(又は高インピーダンス状態になって、生成器信号から受け取るエネルギーを制限する)。
【0041】
スイッチ・マトリクス316が閉位置にあると、カテーテル350のいくつかの電極351がECGモニタ310から電気的に切断され、これらの電極は、除細動/電気穿孔パルスの間、生成器305に電気的に結合される。ただし、このようなモード中にも、少なくとも一つの電極351は、フィルタ318を介して引き続きECGモニタ310に電気的に結合され、それによりカテーテル電極と接触している組織をモニタリングし続ける。フィルタ318により、ECGモニタ310は、インパルスが組織に送達される間、ECGモニタ310をインパルスから保護しながら、組織をモニタリングし続けることができる。
【0042】
生成器305が除細動器である場合には、除細動器インパルスは、カテーテル350の電極351と接触している組織の電気的除細動をもたらす。生成器が電気穿孔生成器である場合には、生成器は、カテーテル350の電極351と接触している組織のアブレーションをもたらす直流を生成する。
【0043】
電源321は、スイッチボックス315の入力ポート317
3を介して生成器305からインパルスを受信する。インパルスを最初に受信したとき、スイッチ・マトリクス316のスイッチ・マトリクス316
1〜2は、インパルスがカテーテル350の電極351まで進むことを防止する開位置にある。電源321は、所望のしきい値電圧に到達するまで、コンデンサを付勢し、コンデンサは、電荷を放出して、スイッチ・マトリクス316のスイッチ・マトリクス316
1〜2のモード変化を起動し、それらのスイッチ・マトリクスを、生成器305を一つ又は複数のカテーテル電極351に電気的に結合する閉位置に移行させる。生成器305からのインパルスが終了すると、電源321は除勢し、スイッチ・マトリクス316のスイッチ・マトリクス316
1〜2は、開位置に復帰する。したがって、電源は、生成器からのインパルスに応答して、診断モードから電気的除細動(除細動)モードに切り替わり、診断モードに戻る。
【0044】
図3に示すシステムの一つの例示的な用途では、電源回路321が生成器305からのインパルスを検出すると、電源システムが、スイッチ・マトリクス316に閉位置(位置2)になるように指令し(又はその他の形で給電し)、インパルスの持続時間の間、(スイッチボックス出力ポート317
1を介して)除細動器をカテーテルに接続する。除細動器インパルスが停止すると、スイッチ・マトリクスのスイッチは、開位置(位置1)に復帰して、電気的除細動治療が停止した直後にECG記録信号を復元できるようにする。
【0045】
様々な実施形態では、インパルス検出回路(
図1及び
図2を参照して上述した)及びスイッチ・マトリクス316は、ECGモニタ310及び生成器305の両方をカテーテル350に接続することになる無給電型電子スイッチボックス315内に配置することができる。いくつかの特定の実施形態では、インパルス検出回路は、電源回路321と一体化することもできる。
【0046】
上述のように、いくつかの電極351
1〜Nを、生成器305からの電気的除細動インパルスにさらすことなく、ECG信号をECGモニタ310に送達するためだけに使用することもできる(例えば、マッピング電極)。電極351からのECG信号は、スイッチボックス315に入るが、スイッチ・マトリクス316は迂回する。ECGモニタ310を生成器のインパルスからさらに保護するために、ECG信号は、インパルス保護フィルタ318を通過させる。残りの電極351(例えば広帯域電極のみ)は、スイッチボックス315(スイッチ・マトリクス316を含む)を通してECG信号及び電気的除細動インパルスの両方を送信する。さらに別の特定の実施形態では、スイッチ・マトリクス316は、各電極351ごとにスイッチ・マトリクスを含んで、各電極を独立してアドレッシング(して治療又は診断を行うことが)できるようにすることができる。
【0047】
図4は、本開示の様々な態様による、スイッチ416
1〜4を含む無給電型電子スイッチ・マトリクスを含む診断/治療用カテーテル・システム400を示す回路図であり、このスイッチ・マトリクスは、除細動器405と、診断/治療用カテーテル450と、ECGモニタ410との間に電気的に結合される。
【0048】
診断モニタリング・モードでは、スイッチ419によって、除細動器405を、スイッチ・マトリクス416から電気的に切断する。診断モードでは、スイッチ416
1及び416
4は、ECGモニタ410からの信号及び帰線が、それぞれリード線442及び441を介してカテーテル450の信号電極及び戻り電極に電気的に結合することを可能にする閉/導通状態である(ライン5と6が結合される)。スイッチ416
1及び416
4の閉/導通状態は、除細動器405がスイッチ419によって回路から切断されることによって、スイッチ416
1及び416
4のライン1とライン2の間のダイオードを横切る電圧信号がなくなることに応答する。診断モニタリング・モードでは、スイッチ416
2及び416
3は、両方とも開/非導通状態であり、除細動器405からの帰線も信号線も、カテーテル450に電気的に結合されない。その結果として、回路400は、カテーテル電極からECG信号がECGモニタ410に送達される診断モードでカテーテル・システムが動作することを可能にする。
【0049】
電気的除細動モードでは、除細動器405は、スイッチ419によってスイッチ・マトリクス416に電気的に接続される。電気的除細動モードでは、スイッチ416
1及び416
4は、ECGモニタ410からの信号線及び帰線がそれぞれリード線442及び441を介してカテーテル450の信号電極及び戻り電極に電気的に結合することを防止する開/非導通状態である(ライン5と6が切断される)。スイッチ416
1及び416
4の開/非導通状態は、除細動器405がスイッチ419によってスイッチ416
1〜4に電気的に結合されることによるスイッチ416
1及び416
4のライン1とライン2の間のダイオードを横切る電圧に応答した状態である。電気的除細動モードでは、スイッチ416
2及び416
3は、両方とも閉構成であり、除細動器405からの信号線及び帰線を、閉/導通状態である(ライン4と5が結合される)スイッチ416
2及び416
3を介してカテーテル450のリード線441及び443に電気的に結合する。その結果として、カテーテル・システム400は、ECGモニタ410を除細動パルスから電気的に隔離しながら、除細動パルスをカテーテル450の電極に送達することができる電気的除細動モードで動作することができる。
【0050】
図5は、本開示の様々な態様による、心電図モニタ510と、患者551と、除細動器505との間に電気的に結合される無給電型電子スイッチボックスを示す回路
図500である。
【0051】
一つの例示的な実施形態では、臨床医は、患者551に電気的除細動治療を提供したいと考える。
図5の回路500を介して所望の治療を適用するためには、除細動器信号が、除細動器505からスイッチ・マトリクス516のスイッチ516
1を通って患者551まで進行しなければならない。これを行うためには、患者551をモニタ510に電気的に結合するスイッチ516
2を、開/非導通状態に切り替えて、除細動インパルスがモニタ510の入力に流入することを防止しなければならない。これは、スイッチ516
1を通常時の開/非導通状態にし、スイッチ516
2を通常時の閉/導通状態にすることによって実現する。除細動インパルスに応答して、インパルス検出/集電/ドライバ回路520が、スイッチ516
1及び516
2を起動して、スイッチ状態をそれぞれ閉/導通状態及び開/非導通状態に変化させ、これによりモニタ510を絶縁し、除細動インパルスを患者551の体内に向ける。本開示による様々な実施形態では、患者を不慮の除細動パルスから絶縁するためのボタン/スイッチ519を、除細動器505とスイッチ回路516の間に配置することができ、この場合には、スイッチ519を閉位置にして、電気的除細動治療を可能にするようにしなければならない。多くの内部電気的除細動治療では、除細動インパルスは、30ジュールと高くなることがある。
【0052】
図5の回路は、カテーテル・システムの各電極チャネルごとに二重化することができる。すなわち、カテーテル先端の各電極が専用回路500を有することができ、これにより、調整した治療適用業務のために各電極を独立して扱い得るようになり、また、異なる電極で同時に治療モードと診断モードにすることもできるようになる。カテーテルの様々な電極と接触している組織の電気生理学的マッピングに基づいて、一つ又は複数の電極を同時に駆動して、組織部位に電気的除細動治療を施すことができる。例えば、心房細動を患う患者の体内などで、心筋の心筋組織がその組織を通って進行する電気信号の導電性経路を形成している場合には、一つ又は複数の電極を同時に駆動して、その組織をアブレーションすることができる。電気的除細動治療は、このような望ましくない電気インパルスの源を心筋から電気的に絶縁する。このような電気的インパルスの一つの源は、肺静脈内に位置する不整脈起源である。電極と接触している組織をアブレーションする電気的除細動治療による心筋からのこれらの電気的インパルスを絶縁することにより、心房細動に関連する症状を緩和することができる。
【0053】
図6は、本開示の様々な態様による、心電図モニタ610と、電極を備えたカテーテル650と、除細動器605との間に電気的に結合された、無給電型電子スイッチ・マトリクス(スイッチ・マトリクス部分616
1〜2を含む)を示す回路
図600である。
【0054】
第1のスイッチ・マトリクス部分616
1は、除細動インパルスに応答して、それぞれが個別に除細動器605からの帰線及び信号線のうちの一つをカテーテル650の電極に電気的に結合することができる、半導体スイッチ617
1〜2を含む。除細動器605が生成する除細動インパルスがないときには、半導体スイッチ617
1〜2は、開/非導通状態となり、除細動器605をカテーテル650の電極及びモニタ610から電気的に絶縁する。
【0055】
除細動器605によって除細動インパルスが生成されるときには、半導体スイッチ617
1〜2は、閉/導通状態となり、除細動器605からの除細動パルスがカテーテル650まで進行する。第2の半導体スイッチ・マトリクス部分616
2は、除細動インパルスに応答して起動されて、除細動インパルスをモニタ610から電気的に絶縁する開/非導通状態になる。
【0056】
図6の回路600と整合するいくつかの実施形態では、第2の半導体スイッチ・マトリクス部分616
2は、除細動インパルスに応答して、モニタ610とカテーテル650の間の電気的接続を維持するが、電気的除細動治療中にモニタ610がECG信号を受信することを可能にしながらモニタ610を除細動インパルスから保護する高インピーダンス・モードで動作する。
【0057】
図5と同様に、
図6の回路600も、システム内の各電極チャネルごとに二重化することができる。多チャネル・モニタリング及び治療の適用を可能にするために、診断用電極及び治療用電極の両方として機能するカテーテル650の各電極ごとに、各電極は、半導体スイッチ617
1〜2を含む専用の第1のスイッチ・マトリクス部分616
1と、第2の半導体スイッチ・マトリクス部分616
2とを有することができる。このような構成では、各電極を独立して除細動器605がアドレッシングして、カスタマイズ可能な電気的除細動処置を行うことができるようにしながら、同時に各電極が、その電極が除細動インパルスを受信しているかどうかに応じて高インピーダンス状態又は低インピーダンス状態で、依然として診断のためにモニタ610にECG信号を通信できるようにすることができる。
【0058】
カテーテルの様々な電極と接触している組織の電気生理学的マッピングに基づいて、一つ又は複数の電極を同時に駆動して、組織部位に電気的除細動治療を施すことができる。電気的除細動治療は、このような望ましくない電気インパルスの源を心筋から電気的に絶縁する。
【0059】
電気的除細動は、特定のタイプの異常心拍(例えば不整脈)を有する患者の正常な心調律を回復するために行われる医療施術である。電気的除細動は、患者の胸部に置かれた電極を通して心臓に電気ショックを送ることによって行うことができる。心臓アブレーションは、心調律の問題(例えば不整脈)を矯正することができる施術である。心臓アブレーションは、そのままにしておけば異常心調律を引き起こす患者の心臓に、瘢痕を生じる、又は組織を破壊することができる。場合によっては、アブレーションは、異常な電気信号が患者の心臓を通って進行するのを防止することによって、不整脈を停止する。
【0060】
図7は、本開示の様々な態様による、心電図モニタ710と、電極を備えたカテーテル750と、除細動器705との間に電気的に結合された無給電型電子スイッチ・マトリクス(スイッチ・マトリクス部分716
1〜2を含む)を示す回路
図700である。
【0061】
第1のスイッチ・マトリクス部分716
1は、除細動インパルスに応答して、それぞれが個別に除細動器705からの帰線及び信号線のうちの一つをカテーテル750の電極に電気的に結合することができる、半導体スイッチ717
1〜2を含む。除細動器705が生成する除細動インパルスがないときには、半導体スイッチ717
1〜2は、開/非導通状態となり、除細動器705をカテーテル750の電極及びモニタ710から電気的に絶縁する。
【0062】
除細動器705によって除細動インパルスが生成されるときには、半導体スイッチ717
1〜2は、閉/導通状態となり、除細動器705からの除細動パルスがカテーテル750まで進行する。第2の半導体スイッチ・マトリクス部分716
2は、除細動インパルスに応答して起動されて、除細動インパルスをモニタ710から電気的に絶縁する開/非導通状態になる。
【0063】
図7の回路700と整合するいくつかの実施形態では、第2の半導体スイッチ・マトリクス部分716
2は、除細動インパルスに応答して、モニタ710とカテーテル750の間の電気的接続を維持するが、電気的除細動治療中にモニタ710がECG信号を受信することを可能にしながらモニタ710を除細動インパルスから保護する高インピーダンス・モードで動作する。
【0064】
図5と同様に、
図7の回路700も、システム内の各電極チャネルごとに二重化することができる。多チャネル・モニタリング及び治療の適用を可能にするために、診断用電極及び治療用電極の両方として機能するカテーテル750の各電極ごとに、各電極は、半導体スイッチ717
1〜2を含む専用の第1のスイッチ・マトリクス部分716
1と、第2の半導体スイッチ・マトリクス部分716
2とを有することができる。このような構成では、各電極を独立して除細動器705が取り扱い、カスタマイズ可能な電気的除細動処置を行うことができるようにしながら、同時に各電極が、その電極が除細動インパルスを受信しているかどうかに応じて高インピーダンス状態又は低インピーダンス状態で、依然として診断のためにモニタ710にECG信号を通信できるようにすることができる。
【0065】
回路
図700は、インパルス検出/電荷蓄積サブ回路701をさらに含む。インパルス検出/電荷蓄積サブ回路701は、除細動信号の正パルスを積分することによってインパルス検出回路として機能する、抵抗器R2、ダイオードD1、及びコンデンサC1という構成要素を含む。積分のレベルは、R2及びC1の値によって設定され、このレベルを使用して、信号線上のノイズによる誤トリガを防止する。構成要素D1及びC1は、インパルス検出/電荷蓄積サブ回路701の電荷蓄積要素としても機能する。ここで、C1は、除細動サイクルの正の部分の間に充電されて、除細動サイクルの負の部分の間にスイッチ・マトリクスへの電力を維持するために使用される。蓄積される電荷の量は、正の除細動パルスの大きさ及び持続時間と、R2及びC1によって設定される積分のレベルとによって決まる。この回路中のR1は、以下でさらに詳細に述べるように、単なるスイッチ・マトリクス駆動回路702のための電流リミッタである。
【0066】
回路
図700は、スイッチ・マトリクス駆動回路702も含む。スイッチ・マトリクス駆動回路702は、二つの抵抗器R3及びR4と、ダイオードD2(いくつかの実施形態では、ツェナー・ダイオードであることもある)と、トランジスタT1とを含む。スイッチ・マトリクス駆動回路702は、スイッチ要素717
1〜2内の光絶縁制御回路のための定電流(電流源)を生成する。スイッチ・マトリクス駆動回路702は、また、C1に蓄積された電荷がスイッチ・マトリクス716
1を活性状態に維持できなくなる点まで消耗するまで、スイッチ・マトリクス716を閉/導通(活性)状態に保つ。スイッチ・マトリクス716
1を活性状態に維持する持続時間は、C1に蓄積された電荷、R2によって設定される駆動電流、及びスイッチ・マトリクス716
1内のスイッチ要素の数によって決まる。
【0067】
図7に開示するインパルス検出/電荷蓄積サブ回路701及びスイッチ・マトリクス駆動回路702を使用して、さらに、電流源を介して制御される他のタイプのスイッチを駆動することもできる。あるいは、これらの回路一方又は両方を電圧源になるように修正して、電圧源を介して制御されるスイッチを駆動することもできる。
【0068】
特定の具体度でいくつかの実施形態について上記で説明したが、当業者なら、本開示の趣旨を逸脱することなく、開示した実施形態に多数の改変を加えることができる。上記の説明に含まれる、又は添付の図面に示される全てのものは、限定的なものではなく、単に例示的なものとして解釈されるものとして意図されている。詳細又は構造の様々な変更を、本教示を逸脱することなく行うことができる。上記の説明及び後記の特許請求の範囲は、このような修正及び変更の全てをカバーするものとして意図されている。
【0069】
上記の説明及び例示に基づいて、当業者なら、本明細書に示して説明した例示的な実施形態及び適用例に厳密に従うことなく、それらの様々な実施形態に様々な修正及び変更を加えることができることを、容易に認識することができる。例えば、様々な回路図に示す様々な電子構成要素は、その機能性を再現することができる一つ又は複数の構成要素で置換することができ、かつ/又は処理の順序を入れ換えることもできる。このような修正は、特許請求の範囲に記載する態様も含む本発明の様々な態様の真の趣旨及び範囲を逸脱しない。
【0070】
様々なモジュール又はその他の回路を実施して、本明細書に記載し、かつ/又は図面に示した動作及びアクティビティのうちの一つ又は複数を実行することができる。これらの文脈において、「モジュール」は、これらの動作/アクティビティ又は関連する動作/アクティビティのうちの一つ又は複数を実行する回路(例えばスイッチ・マトリクス)である。例えば、上述した実施形態のうちの特定の実施形態では、一つ又は複数のモジュールは、これらの動作/アクティビティを実施するように構成及び配列された、離散論理回路又はプログラマブル論理回路である。特定の実施形態では、このようなプログラマブル回路は、一組又は複数組の命令(及び/又は構成データ)のセットを実行するようにプログラムされた一つ又は複数のコンピュータ回路である。これらの命令(及び/又は構成データ)は、メモリ(回路)に記憶し、メモリ(回路)からアクセスすることができる、ファームウェア又はソフトウェアの形態とすることができる。例えば、第1のモジュール及び第2のモジュールは、CPUハードウェア型回路とファームウェアの形態の命令のセットの組合せを含み、第1のモジュールが、一組の命令のセットを備えた第1のCPUハードウェア回路を含み、第2のモジュールが、別の命令のセットを備えた第2のCPUハードウェア回路を含む。
【0071】
特定の実施形態は、これらの動作/アクティビティを実行するためにコンピュータ(又はその他の電子デバイス)が実行することができる命令を記憶した機械可読又はコンピュータ可読媒体を含むコンピュータ・プログラム製品(例えば不揮発性メモリ・デバイス)を対象とする。
【0072】
本明細書では、様々な装置、システム、及び方法の様々な実施形態について説明している。本明細書に記載し、添付の図面に図示した実施形態の全体の構造、機能、製造法、及び使用法が徹底的に理解されるように、多数の特定の詳細を記載している。ただし、これらの実施形態は、これらの特定の詳細がなくても実施することができることを、当業者なら理解するであろう。他に、周知の動作、構成要素、及び要素については、本明細書に記載する実施形態が曖昧にならないように、詳細には説明していない。当業者なら、本明細書に記載及び図示する実施形態が、非限定的な例であることを理解するであろう。したがって、本明細書に開示する特定の構造的及び機能的詳細は、代表的なものであることがあるが、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるこれらの実施形態の範囲を必ずしも限定しないことも理解することができるであろう。
【0073】
本明細書を通じて、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、「実施形態」などに言及しているが、それは、その実施形態に関連して説明される特定の機能、構造、又は特徴が、少なくとも一つの実施形態に含まれるということを意味している。したがって、本明細書を通じて各所に見られる「様々な実施形態で」、「いくつかの実施形態で」、「一実施形態で」、「実施形態で」などの表現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、これらの特定の機能、構造、又は特徴は、一つ又は複数の実施形態で任意の適当な方法で組み合わせることができる。したがって、一つの実施形態に関連して図示又は記載される特定の機能、構造、又は特徴は、無制限に、その全体又は一部を、一つ又は複数の他の実施形態の機能、構造、又は特徴と組み合わせることができる。
【0074】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書を通じて、患者を処置するために使用される器具の一端を操作する臨床医を基準として用いられることがあることは理解されるであろう。「近位」という用語は、その器具の臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から最も遠くに位置する部分を指す。さらに、簡潔さ及び明確さのために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的な用語は、本明細書では、図示の実施形態を基準にして用いられることがあることも理解されるであろう。ただし、手術器具は、多くの配向及び位置で使用される可能性があり、これらの用語は、限定的及び絶対的なものとして意図したものではない。
【0075】
参照により本明細書に組み込まれると述べられる任意の特許、出版物、又はその他の開示素材の全体又は一部は、組み込まれる素材が、本開示に記載される既存の定義、記述、又はその他の開示素材と衝突しない程度までしか、本明細書に組み込まれない。したがって、必要な程度まで、本明細書に明示的に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれる任意の衝突する素材に取って代わる。参照による本明細書に組み込まれると述べられているが、本明細書に記載される既存の定義、記述、又はその他の開示素材と衝突する任意の素材又はその一部分は、その組み込まれる素材と既存の開示素材との間に衝突が生じない程度までしか組み込まれない。
本明細書の開示内容に基づいて、下記の各項目に記載された実施形態が把握される。
[項目1]
信号生成器から発信されるパルスを検出するように構成及び配設されたインパルス検出回路と、
一つ又は複数のスイッチを含むスイッチ・マトリクスと、を備え、
前記スイッチ・マトリクスは、
前記パルスが心電図モニタ及び複数のカテーテル電極から電気的に絶縁される第1のモードと、
前記パルスを示す前記インパルス検出回路からの起動信号に応答して、前記パルスが前記複数のカテーテル電極の少なくとも一つに電気的に結合され、高インピーダンス状態によって前記心電図モニタが前記パルスから保護される第2のモードと、で動作するように構成及び配設されている、
電子スイッチボックス。
[項目2]
前記インパルス検出回路からのトリガ信号に応答して、前記第1のモード及び前記第2のモードで前記スイッチ・マトリクスを動作させるように構成及び配設されたドライバ回路をさらに備え、
前記インパルス検出回路は、電気的除細動パルスのエネルギーを使用して、前記ドライバ回路に前記トリガ信号を送達するようにさらに構成及び配設される、項目1に記載の電子スイッチボックス。
[項目3]
前記ドライバ回路と前記インパルス検出回路の間に電気的に結合された集電回路をさらに備え、
前記集電回路は、前記パルスのエネルギーを蓄積して、前記パルス中に前記ドライバ回路に給電するように構成及び配設される、項目2に記載の電子スイッチボックス。
[項目4]
前記パルス中に前記ドライバ回路に給電するように構成及び配設された電源回路をさらに備える、項目2に記載の電子スイッチボックス。
[項目5]
前記スイッチ・マトリクスは、前記第1のモード及び前記第2のモードの両方の期間において、前記心電図モニタへの心電図信号の送信を可能にするようにさらに構成及び配設される、項目1に記載の電子スイッチボックス。
[項目6]
前記スイッチ・マトリクスは、臨床医の介在しない前記第1のモードと前記第2のモードの間の自動移行を可能にするようにさらに構成及び配設されており、
前記第1のモードは、組織の電気生理学的診断に関連し、前記第2のモードは、前記組織の電気的除細動治療に関連する、項目1に記載の電子スイッチボックス。
[項目7]
前記スイッチ・マトリクスは、前記第1のモード及び前記第2のモードの両方の期間において、電気生理学的診断を可能にするようにさらに構成及び配設される、項目1に記載の電子スイッチボックス。
[項目8]
前記スイッチ・マトリクスは、心電図モニタ・スイッチをさらに備え、
前記心電図モニタ・スイッチは、前記第2のモードに応答して前記心電図モニタが前記パルスから保護される前記高インピーダンス状態に移行するように構成及び配設されている、項目1に記載の電子スイッチボックス。
[項目9]
前記スイッチ・マトリクスと前記複数のカテーテル電極の間に電気的に結合された複数の電極チャネルをさらに含み、
前記複数の電極チャネルは、前記スイッチ・マトリクスと連動しながら独立して取り扱われることにより、複数の電気生理学的診断/電気的除細動治療の構成を可能にするように構成及び配設される、項目1に記載の電子スイッチボックス。
[項目10]
前記カテーテル電極、前記複数の電極チャネル、及び前記スイッチ・マトリクスは、電気生理学的診断及び電気的除細動治療を同時に行うことを可能にするように構成及び配設される、項目9に記載の電子スイッチボックス。
[項目11]
前記信号生成器によって発信される前記パルスは、電気的除細動パルス又は直流電気穿孔パルスのうちの少なくとも一つである、項目1に記載の電子スイッチボックス。
[項目12]
組織の電気的除細動又はアブレーションをするための電気パルスを生成するように構成及び配設された信号生成器と、
心臓の電気的活動を示す心電図信号を受信及びモニタリングするように構成及び配設された心電図モニタと、
遠位部分のある長さに沿って複数の電極を含む心臓カテーテルであり、前記電極が前記電気パルスに応答して組織に電気的に結合し、前記組織の電気的除細動又はアブレーションをするように構成及び配設された心臓カテーテルと、
電子スイッチボックスと、を備え、
前記電子スイッチボックスは、
前記信号生成器に電気的に結合され、前記信号生成器から発信される前記電気パルスを検出するように構成及び配設されたインパルス検出回路と、
一つ又は複数のスイッチ、入力ポート、及び出力ポートを含むスイッチ・マトリクスと、を備え、
前記スイッチ・マトリクスは、前記インパルス検出回路及び前記信号生成器に前記入力ポートで電気的に結合されているとともに、前記複数の電極及び前記心電図モニタに前記出力ポートで電気的に結合されており、
前記スイッチ・マトリクスは、
前記電気パルスが前記心電図モニタ及び前記カテーテル電極から絶縁される第1のモードと、
前記電気パルスを示す前記インパルス検出回路からの起動信号に応答して、前記電気パルスが前記カテーテル電極のうちの少なくとも一つに電気的に結合され、高インピーダンス状態によって前記心電図モニタが前記電気パルスから保護される第2のモードと、で動作するように構成及び配設される、
心臓血管カテーテル・システム。
[項目13]
前記信号生成器によって生成される前記電気パルスは、電気的除細動パルス又は直流電気穿孔パルスのうちの少なくとも一つである、項目12に記載の心臓血管カテーテル・システム。
[項目14]
前記電子スイッチボックスは、前記インパルス検出回路からのトリガ信号に応答して、前記第1のモードと前記第2のモードの間で前記スイッチ・マトリクスを切り替えるように構成及び配設されたドライバ回路をさらに備え、
前記インパルス検出回路は、前記電気パルスのエネルギーを使用して、前記ドライバ回路に前記トリガ信号を送達するようにさらに構成及び配設される、項目12に記載の心臓血管カテーテル・システム。
[項目15]
前記電子スイッチボックスが、前記ドライバ回路と前記インパルス検出回路の間に電気的に結合された集電回路をさらに含み、前記集電回路が、前記電気パルスのエネルギーを蓄積して、前記ドライバ回路に給電するように構成及び配設される、項目14に記載の心臓血管カテーテル・システム。
[項目16]
前記スイッチ・マトリクスは、前記第1のモード及び前記第2のモードの両方の期間において、前記心電図モニタへの心電図信号の通信を可能にするようにさらに構成及び配設される、項目12に記載の心臓血管カテーテル・システム。
[項目17]
電子スイッチボックスを動作させる方法であって、
電気パルスが存在しないときに、前記スイッチボックスの入力ポートが心電図モニタから絶縁されるとともに、複数のカテーテル電極が前記スイッチボックスの出力ポートに電気的に結合される第1のモードで前記電子スイッチボックスを動作させること、及び
前記電気パルスに応答して、前記電気パルスを受信する前記入力ポートが、前記スイッチボックスの前記出力ポートを介して前記カテーテル電極のうちの少なくとも一つ及び前記心電図モニタに電気的に結合されるとともに、前記心電図モニタが、前記スイッチボックスの前記出力ポートと前記心電図モニタの間の高インピーダンスによって前記電気パルスから保護される第2のモードで前記電子スイッチボックスを動作させること、
を含む方法。
[項目18]
前記カテーテル電極からの心電図信号が、前記第1のモード及び前記第2のモードの両方の期間において、前記心電図モニタに通信可能に結合される、項目17に記載の電子スイッチボックスを動作させる方法。
[項目19]
集電回路が、前記電気パルスのエネルギーを蓄積するとともに、前記電気パルスの間、前記スイッチボックスを前記第2のモードに維持する、項目17に記載の電子スイッチボックスを動作させる方法。