特許第6553767号(P6553767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553767
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】消火栓装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   A62C35/20
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-81018(P2018-81018)
(22)【出願日】2018年4月20日
(62)【分割の表示】特願2014-31502(P2014-31502)の分割
【原出願日】2014年2月21日
(65)【公開番号】特開2018-110954(P2018-110954A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−104032(JP,A)
【文献】 特開2012−213414(JP,A)
【文献】 特開2007−275479(JP,A)
【文献】 特開2007−275476(JP,A)
【文献】 特開2009−279294(JP,A)
【文献】 特表2003−504658(JP,A)
【文献】 特開2000−321414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内部に配置された、ホース、ホース取出口、及び給水栓
前記装置前面に配置され、通常時は閉鎖し、ホース取出時に開放して前記ホース取出口を露出させる消火栓扉と、
前記消火栓扉とは異なる前記装置前面に配置され、通常時は閉鎖し、開放時に前記給水栓を露出させる給水栓扉と、
前記給水栓扉の前面、且つ前記消火栓扉が開放された状態でも前記装置前面側から視認可能な位置に配置され、前記給水栓の存在を示す所定の形状と色彩の消防章と、
を備え
前記消防章は、第1の色彩の再帰反射シートの上に、前記第1の色彩とは異なる第2の色彩の印刷層が形成されたことを特徴とする消火栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災時に扉を開いてノズル付きホースを引き出して消火すると共に消防隊が使用する給水栓を備えた消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消火栓装置として、例えば自動車専用道路などのトンネル内には、火災発生時に備えて例えば50メートル間隔で消火栓装置を設置している。
【0003】
消火栓装置は、火災を伴う車両事故の発生時に、消火栓扉を開いて放水ノズルを装着したホースを引き出し、筐体内又は扉内に設けている消火栓弁開閉レバーを操作することで消火栓弁を開き、同時にポンプ起動スイッチがレバー開位置でオンし、消火ポンプ設備を起動して放水を行うことができる。
【0004】
また、消火栓装置には、消防隊が使用する給水栓を設けており、消防隊員は火災が起きている事故現場に近い消火栓装置の給水栓に消防ホースを接続し、ポンプ起動スイッチの操作により消火ポンプを起動し、消火ポンプから供給される消火用水により消火活動を行うようにしている。
【0005】
トンネル内に設置している消火栓装置には、筐体内に配置した給水栓に相対した給水栓扉の前面に、消防隊に給水栓の場所を示す目印として消防章を表示している。
【0006】
消防章は、一般的には直径10センチメートル程度の大きさのものが用いられ、消防吏員服制基準(消防庁告示)では、帽子のき章として、「銀色金属製消防章をモール性金属桜で抱擁する。台地は濃紺とする。形状及び寸法は、図のとおりとする。」と定めている。
【0007】
また、消火栓装置に給水栓を設けていることを示すために、例えば消火栓扉に縦10センチメートル、横250センチメートルの「給水栓」と表記した給水栓銘板を設けている。
【0008】
このためトンネル内に50メートル間隔で設置している消火栓装置に給水栓を設けていることを知っている消防隊員であれば、トンネル内の事故現場に到着したら、近くに設置している消火栓装置の消防章を見つけ、給水栓扉を開いて、その中にある給水栓にホースを接続して消火活動を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−279294号公報
【特許文献2】特表2003−504658号公報
【特許文献3】特表2013−533985号公報
【特許文献4】特開2009−150522号公報
【特許文献5】特開2009−151210号公報
【特許文献6】特開2007−275479号公報
【特許文献7】特開2007−275476号公報
【特許文献8】特開2009−279294号公報
【特許文献9】特表2003−504658号公報
【特許文献10】特開2010−12032号公報
【特許文献11】特開2000−321414号公報
【特許文献12】特開2012−242608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、トンネル内での車両事故による火災はそれほど高い頻度では起きておらず、消防隊員によっては、トンネル内に50メートル置きに設置された消火栓装置に設けている給水栓の所在を把握していない場合があり、火災が起きているトンネル内の事故現場に到着した消防隊員は、手持ちライトでトンネル内を照らしながら給水栓の所在を探すことになるが、暗い中で給水栓の所在を示す消防章は見つかりにくく、給水栓を見つけるまでに時間かかかり、消防活動に支障を来たす恐れがある。
【0011】
また、消火栓装置の消火栓扉に給水栓銘板を設けているが、アクリル製の銘板で白地に赤色蛍光色で文字を表示しており、消防章と同様、見つけづらいという問題がある。また、給水栓銘板を見つけた場合にも、消火栓装置のどの場所に給水栓があるかは、消防章を探してみないと分からず、給水栓を捜すのに手間取る場合もある。これはトンネル消火栓に限らず、ビル、地下街等であっても消防隊員が消防章を探す場合に同様の課題が発生する。
【0012】
本発明は、消防隊員等が必要とする機器を迅速且つ適確に見つけ出すことを可能とする消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(再帰反射シートを用いた消防章)
装置内部に配置された、ホース、ホース取出口、及び給水栓
装置前面に配置され、通常時は閉鎖し、ホース取出時に開放してホース取出口を露出させる消火栓扉と、
消火栓扉とは異なる装置前面に配置され、通常時は閉鎖し、開放時に前記給水栓を露出させる給水栓扉と、
給水栓扉の前面、且つ消火栓扉が開放された状態でも装置前面側から視認可能な位置に配置され、給水栓の存在を示す所定の形状と色彩の消防章と、
を備え
消防章は、第1の色彩の再帰反射シートの上に、第1の色彩とは異なる第2の色彩の印刷層が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、装置内部に配置された、ホース、ホース取出口、及び給水栓、装置前面に配置され、通常時は閉鎖し、ホース取出時に開放してホース取出口を露出させる消火栓扉と、消火栓扉とは異なる装置前面に配置され、通常時は閉鎖し、開放時に前記給水栓を露出させる給水栓扉と、給水栓扉の前面、且つ消火栓扉が開放された状態でも装置前面側から視認可能な位置に配置され、給水栓の存在を示す所定の形状と色彩の消防章と、を備え消防章は、第1の色彩の再帰反射シートの上に、第1の色彩とは異なる第2の色彩の印刷層が形成されているため、消防隊員等が必要とする機器を迅速且つ適確に見つけ出すことを可能とする。
【0016】
火災発生時に消火栓ホースを用いて一般ユーザが初期消火を試み、対応が困難となった場合に避難を行った場合、消火栓扉が開いたままとなる。このとき、消火栓扉側に給水栓の位置を示す消防章が位置していた場合、消防章が見えなくなり、消防隊が到着時に給水栓の位置を探すための効果を発揮できなくなるが、本発明によれば、消火栓扉とは異なる位置として、給水栓扉に消防章を配置しているため、消火栓扉が開いたままとなっても給水栓の位置を示すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】消火栓扉を斜め下向きに開放可能な消火栓装置の実施形態を正面から示した説明図
図2図1について消火栓扉を開放して内部構造を示した平面図
図3図1について扉側を外して本体内部構造を示した正面図
図4図1について内部構造を示した平面図
図5図1について扉の開放状態で示した側面図
図6】消防章を取り出して示した説明図
図7】封入レンズ型の銀色再帰反射シートを用いた消防章の構造を示した断面図
図8】封入レンズ型の紺色再帰反射シートを用いた消防章の構造を示した断面図
図9】封入レンズ型の赤色再帰反射シートを用いた消防章の構造を示した断面図
図10】プリズム型の銀色再帰反射シートを用いた消防章の構造を示した断面図
図11】銀色、赤色及び紺色の再帰反射インクにより印刷した消防章の構造を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
[消火栓装置の概要]
図1は本発明によるトンネルに設置される消火栓装置の実施形態を示した正面図、図2図1について消火栓扉を開放して内部構造を示した平面図、図3図1について扉側を外して本体内部構造を示した正面図、図4図1について内部構造を示した平面図、及び図5図1について扉の開放状態で示した側面図である。
【0019】
(消火栓装置の外観)
図1に示すように、消火栓装置10は、消火栓側の筐体12−1と消火器側の筐体12−2に分割した構造であり、前面に化粧板14−1,14−2を装着しており、筐体12−1,12−2に対し必要な機器及び部材を組付けた後に連結固定部15で固定した状態とし、この状態でトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。
【0020】
筐体12−1の扉開口部16には、消火栓扉18と給水栓扉22を設けており、その内部がホース収納部及びバルブ類収納部としている。
【0021】
消火栓扉18は、扉開口部16に対し下側の軸となる回動軸21を中心に下向きに開閉自在に設けており、ハンドル20を手前に引いてロックを外すことで前方に開閉することができる。
【0022】
消火栓扉18を扉下部の回動軸21を軸に下向きに開放した場合、扉上端が筐体下部付近に位置し、消火栓扉18の高さ方向の幅は、扉開口部16の下端から筐体下端までの間隔より大きいため、消火栓扉18は斜め下向きの開放位置に開放される。
【0023】
消火栓扉18の上には回動軸23を中心に上向きに開閉する給水栓扉22を設け、消火栓扉18を開放した後に給水栓扉22の下端を手前に引くことで開くことができる。
【0024】
給水栓扉22には「消火栓」を示す銘板を3分割して設けている。また、給水栓扉22の右下隅には、給水栓の位置を示す標識として消防章24を設けている。更に、扉開口16の右下に「給水栓」と表記した給水栓銘板29を設けている。
【0025】
筐体12−2の扉開口部17の右側には通報装置扉25を設け、ここに赤色表示灯26、発信機28、及び応答ランプ30を設け、通報装置扉25の内側には電話ジャック31(図3参照)を設けている。
【0026】
赤色表示灯26は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機28を押してスイッチボタンをオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ30を点灯するようにしている。
【0027】
扉開口部17の左側には消火器扉32を設け、内部を消火器収納部とし、例えば2本の消火器37(図4参照)を収納している。消火器扉32にはハンドル34を設け、ハンドル34を手前に引くとラッチが外れ、消火器扉32は左側を回動軸として前方に開くことができる。また、消火器扉34の下側には覗き窓35を設け、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
【0028】
(内部構造の概要)
図2乃至図5に示すように、筐体12−1の左側にはホース収納部36を形成し、右側にバルブ類収納部38を形成している。
【0029】
ホース収納部36には、ホースバケット構造を設けている。ホースバケット構造は、フレームパイプを屈曲して水平方向で上下に配置したフレーム部分を持つバケットフレーム40を配置し、バケットフレーム40及び筐体内壁で囲まれたホース収納部36にホース44を内巻きにして収納している。
【0030】
バケットフレーム40の中央から右側にオフセットした位置にホース取出口42を形成し、ホース取出口42から取り出したホース先端に装着したノズル45をノズルホルダー46に着脱自在に保持している。
【0031】
バルブ類収納部38には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口48からホース接続口49に至る配管系統に、給水栓50を備えた給水弁52、消火栓弁を設けている。なお、消火栓弁の前方に消火栓弁開閉レバー54に対応して設けた銘板を配置している。
【0032】
消火栓弁開閉レバー54を下向きとなる開位置に操作すると、消火栓弁が開放位置に作動され、消火用水をホース44側に供給する。
【0033】
同時に消火栓弁開閉レバー54の背後に設置しているスイッチがオンし、これによってポンプ設備に信号が送られ、ポンプ設備が起動される。放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー54を元の上向き位置に戻すと消火栓弁が閉じ、同時にスイッチがオフとなってポンプ設備の運転停止が行われる。
【0034】
給水栓50の右側手前にはポンプ起動スイッチ56を設けている。給水栓50、給水弁52及びポンプ起動スイッチ56は、一般ユーザではなく、消防隊が使用する機器として設けており、給水栓50に相対する図1に示した給水栓扉22の前面に、給水栓50の位置を示す消防章24を設けている。
【0035】
消防隊員が給水栓50を使用する場合には、ハンドル20を引いてロックを外すことで、図5に示すように消火栓扉18を斜め下向きに開き、続いて、給水栓扉22の下に手を入れて上向きに開いてステー27で開放位置を維持し、図3に示すように露出した給水栓50にホースを接続し、ポンプ起動スイッチ56をオン操作して消火ポンプを起動した後に、給水弁52のハンドルを回して開くことで、消火ポンプから供給された消火用水を給水栓50に接続した消防隊のホースに供給して消火活動を可能とする。
【0036】
[消防章の構成]
(消防章の形状と色彩)
図6図1の給水栓扉に設けた消防章を取り出して示した説明図である。図6に示すように、消防章24は、消防吏員服制基準に準拠した形状の図形及び色彩とし、全体として例えば直径11.5センチメートルの円形のシールであり、その中に略正6角形の赤色領域60、赤色領域60の中心から放射状に8方向に広がると共に赤色領域60を囲み更に外周をリング状に囲む銀色領域62、及び赤色領域60の外側を囲む台地となる紺色領域64で形成している。なお、図6にあっては、赤色領域60を黒塗りとし、銀色領域62を白地とし、紺色領域64を砂地として示している。
【0037】
(銀色再帰性シートを用いた消防章)
図7は封入レンズ型の銀色再帰反射シートを用いた消防章の構造を示した断面図である。図7に示すように、消防章24は、銀色再帰反射シート70−1の表面に赤色インクによる赤色印刷層72と紺色インクによる紺色印刷層74をスクリーン印刷等で形成して図6の赤色領域60及び紺色領域64とし、銀色帰反射シート70−1が露出した部分76を図6の銀色領域62としている。
【0038】
銀色再帰反射シート70−1は、封入レンズ型の反射シート構造であり、光透過性のトップコート層78、光透過性の微小球レンズとなるガラスビーズ80を包埋する光透過性のビーズボンド層82、ガラスビーズ80の裏面に設けた光透過性のスペーサ層84、正反射層86、接着剤層88、及び剥離可能な紙またはポリマーフィルムの裏材料層90を含む。
【0039】
ここで、スペーサ層84、ビーズボンド層82、またはトップコート層78の1つ以上の中または間に染料または透明顔料を置くことで、着色シートとすることができ、本実施形態では、例えばトップコード層78の下に銀染料または銀顔料を配置することで、銀色に着色している。
【0040】
この銀色再帰反射シート70−1としては、例えばスリーエム・イノベイティブ・プロパティズ・カンパニー製の680シリーズにおけるホワイト680−10を使用することができる。ホワイト680−10は白の着色であるが、再帰反射により銀白色として視認でき、消防章24の銀色領域として使用可能である。またホワイト680−10の反射輝度(代表値)は70cpl(cd/lux/m2)となっている。
【0041】
銀色再帰反射シート70−1に入射した光線は、トップコート層78及びビーズボンド層82を通って、正反射層86の近辺に入射光線を集中させるレンズの役目をするガラスビーズ80に至り、そこで反射して入射したと同じ経路に沿って戻ってくる。
【0042】
本実施形態の消防章24は、銀色再帰反射シート70−1の上に、紺色印刷層74と赤色印刷層72を印刷して形成するようにしたため、消防隊員が手持ちライトでトンネル内を照らしながら給水栓の所在を探している場合、ライトの光が消防章24に当ると、消防章24の中の銀色再帰反射シート70−1の露出部分76が強く反射して消防章24の形が浮き出して見え、また、紺色印刷層74と赤色印刷層72の部分も、それぞれの印刷層を透過した光が裏側の銀色再帰反射シート70で反射することで明るく輝き、消防章24の色と模様を明確に認識可能とする反射表示が得られ、暗いトンネルの中であっても、給水栓50の所在を迅速且つ明確に消防隊員等に知らせることを可能とする。
【0043】
赤色印刷層72及び紺色印刷層74は、透明インクとすることで、銀色のトップコート層78にあたった光が赤色印刷層72、紺色印刷層74を透過して消防隊員側に反射することで、消防章全面が銀、赤、紺色を識別できる状態で反射することで、暗い中でも消防隊員が消防章を視認し易くなる。また、不透明インクや透明度の低いインクを使用したとしても、トップコート層の地色部分の範囲が全体の例えば5%以上あれば消防章を視認することができる。
【0044】
(紺色再帰性シートを用いた消防章)
図8は封入レンズ型の紺色再帰反射シートを用いた消防章の構造を示した断面図である。図8に示すように、消防章24は、紺色再帰反射シート70−2の表面に赤色インクによる赤色印刷層72と銀色インクによる銀色印刷層92をスクリーン印刷等で形成して図6の赤色領域60及び銀色領域62とし、紺色再帰反射シート70−2が露出した部分74を図6の紺色領域64としている。
【0045】
紺色再帰反射シート70−2は、図7の場合と同様、封入レンズ型の反射シート構造であり、トップコート層78、ガラスビーズ80を包埋するビーズボンド層82、スペーサ層84、正反射層86、接着剤層88、及び裏材料層90を含む。
【0046】
また、スペーサ層84、ビーズボンド層82、またはトップコート層78の1つ以上の中または間に紺色染料または紺色顔料を置くことで、紺色に着色している。
【0047】
この紺色再帰反射シート70−2としては、例えばスリーエム・イノベイティブ・プロパティズ・カンパニー製の680シリーズにおけるブルー680−75を使用することができる。ブルー680−75の反射輝度(代表値)は4cplとなっている。
【0048】
本実施形態の消防章24は、紺色再帰反射シート70−2の上に、銀色印刷層94と赤色印刷層72を印刷して形成するようにしたため、消防隊員による手持ちライトの光が消防章24に当ると、消防章24の中の紺色再帰反射シート70−2の露出部分94が強く反射して消防章24の形が浮き出して見え、また、銀色印刷層92と赤色印刷層72の部分も、それぞれの印刷層を透過した光が裏側の紺色再帰反射シート70−2で反射することで明るく輝き、消防章24の色と模様を明確に認識可能とする反射表示が得られ、暗いトンネルの中であっても、給水栓50の所在を迅速且つ明確に消防隊員等に知らせることを可能とする。
【0049】
(赤色再帰性シートを用いた消防章)
図9は封入レンズ型の赤色再帰反射シートを用いた消防章の構造を示した断面図である。図9に示すように、消防章24は、赤色再帰反射シート70−3の表面に紺色インクによる紺色印刷層74と銀色インクによる銀色印刷層92をスクリーン印刷等で形成して図6の紺色領域64及び銀色領域62とし、赤色再帰反射シート70−3が露出した部分96を図6の赤色領域60としている。
【0050】
赤色再帰反射シート70−3は、図7の場合と同様、封入レンズ型の反射シート構造であり、トップコート層78、ガラスビーズ80を包埋するビーズボンド層82、スペーサ層84、正反射層86、接着剤層88、及び裏材料層90を含む。
【0051】
また、スペーサ層84、ビーズボンド層82、またはトップコート層78の1つ以上の中または間に赤色染料または赤色顔料を置くことで、赤色に着色している。
【0052】
この赤色再帰反射シート70−3としては、例えばスリーエム・イノベイティブ・プロパティズ・カンパニー製の680シリーズにおけるレッド680−72を使用することができる。レッド680−72の反射輝度(代表値)は15cplとなっている。
【0053】
本実施形態の消防章24は、赤色再帰反射シート70−3の上に、銀色印刷層94と紺色印刷層74を印刷して形成するようにしたため、消防隊員による手持ちライトの光が消防章24に当ると、消防章24の中の赤色再帰反射シート70−3の露出部分96が強く反射して消防章24の形が浮き出して見え、また、銀色印刷層94と紺色印刷層74の部分も、それぞれの印刷層を透過した光が裏側の銀色再帰反射シート70−3で反射することで明るく輝き、消防章24の色と模様を明確に認識可能とする反射表示が得られ、暗いトンネルの中であっても、給水栓50の所在を迅速且つ明確に消防隊員等に知らせることを可能とする。
【0054】
(プリズム型の再帰反射シートを用いた消防章)
図10はプリズム型の銀色再帰反射シートを用いた消防章の構造を示した断面図である。図10に示すように、消防章24は、プリズム型の銀色再帰反射シート100−1の表面に赤色インクによる赤色印刷層72と紺色インクによる紺色印刷層74をスクリーン印刷等で形成して図6の赤色領域60及び紺色領域64とし、銀色帰反射シート100−1が露出した部分76を図6の銀色領域62としている。
【0055】
プリズム型の銀色再帰反射シート100−1は、トップコート層102、プリズムシート層104、キューブコーナ(図示せず)で囲まれるプリズム配列106を形成した正反射層108、接着剤層110及び剥離可能な裏材料層112を含む。
【0056】
ここで、トップコート層78及び又はプリズムシート層104の1つ以上の中または間に染料または透明顔料を置くことで、着色シートとすることができ、本実施形態では、例えばトップコード層102の下に銀染料または銀顔料を配置することで、銀色に着色している。
【0057】
この銀色再帰反射シート100−1としては、例えばスリーエム・イノベイティブ・プロパティズ・カンパニー製のPX8400シリーズにおけるホワイトを使用することができる。
【0058】
プリズム型の銀色再帰反射シート100−1はキューブコーナレンズにより入射光を光源方向に反射することにより、図7に示した封入レンズ型の銀色再帰反射シート70−1に比べ、約2倍の反射輝度を得ることができる。
【0059】
このプリズム型の再帰反射シートを用いた消防章24としては、図8及び図9に示した封入レンズ型の紺色再帰反射シート70−2及び赤色再帰反射シート70−3の場合と同様に、プリズム型の紺色再帰反射シート及び赤色再帰反射シートを用いた構造としても良い。
【0060】
(再帰反射インクを用いた消防章)
図11は銀色、赤色及び紺色の再帰反射インクにより印刷した消防章の構造を示した説明図である。
【0061】
図11に示すように、本実施形態の消防章24は、台紙となるシート120の上に、銀色再帰反射インクによる銀色印刷領域122、紺色再帰反射インクによる紺色印刷領域124及び赤色再帰反射インクによる赤色印刷領域126を印刷して形成し、シート120の下には剥離可能な紙またはポリマーフィルム等の裏材料層128を設けている。
【0062】
銀色、紺色及び赤色の再帰反射インクには、光透過性の微小球レンズとなるガラスビーズ130を混入しており、この再帰反射インクによる銀色印刷領域122、紺色印刷領域126及び赤色印刷領域124のそれぞれには多数のガラスビーズ130が包含されていることで、封入レンズ型の再帰反射構造を形成している。
【0063】
このため本実施形態の消防章24にあっても、消防隊員による手持ちライトの光が消防章24に当ると、消防章24の中の銀色印刷領域122、紺色印刷領域126及び赤色領域124が反射して明るく輝き、消防章24の色と模様を明確に認識可能とする反射表示が得られ、暗いトンネルの中であっても、給水栓50の所在を迅速且つ明確に消防隊員等に知らせることを可能とする。
【0064】
[本発明の変形例]
(給水栓標識)
上記の実施形態は、給水栓の所在を示す標識として消防章を表示する場合を例にとっているが、消防章以外の適宜の標識であっても良い。消防章を設置する位置は、給水栓扉の給水栓前方位置に必ずしも限るものではない。
【0065】
(給水栓以外の標識)
上記の実施形態は給水栓の所在を示す標識を例にとっているが、これ以外に、消火栓装置に設けている他の適宜の機器の所在を示す標識を、同様に再帰反射シートを用いて構成するようにしても良い。
【0066】
(その他)
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。トンネル用消火栓装置に限らず、ビル等の消防章が塗布される装置に本発明を適用すれば、消防章を認識しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0067】
10:消火栓装置
12−1,12−2:筐体
14−1,14−2:化粧板
18:消火栓扉
22:給水栓扉
24:消防章
40:バケットフレーム
44:ホース
42:ホース取出口
50:給水栓
52:給水弁
54:ポンプ起動スイッチ
60:赤色領域
62:銀色領域
64:紺色領域
70−1,100:銀色再帰反射シート
70−2:紺色再帰反射シート
70−3:赤色再帰反射シート
72:赤色印刷層
74:紺色印刷層
92:銀色印刷層
122:銀色印刷領域
124:赤色印刷領域
126:紺色印刷領域
図1
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