特許第6553770号(P6553770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6553770アイプレートユニット、及びこれを具えるラッシングアイアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553770
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】アイプレートユニット、及びこれを具えるラッシングアイアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/04 20060101AFI20190722BHJP
   B63B 25/00 20060101ALI20190722BHJP
   B63B 25/28 20060101ALI20190722BHJP
   F16B 7/06 20060101ALI20190722BHJP
   B63B 25/24 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   F16B7/04 301M
   B63B25/00 101A
   B63B25/00 101K
   B63B25/28
   F16B7/06 Z
   B63B25/24 Z
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-89459(P2018-89459)
(22)【出願日】2018年5月7日
(65)【公開番号】特開2019-74200(P2019-74200A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2018年5月7日
(31)【優先権主張番号】106135152
(32)【優先日】2017年10月13日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502181816
【氏名又は名称】謝榮▲寛▼
(73)【特許権者】
【識別番号】518159326
【氏名又は名称】オスキャル マグヌス オールストローム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】謝榮▲寛▼
(72)【発明者】
【氏名】オスキャル マグヌス オールストローム
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2018/193052(WO,A1)
【文献】 国際公開第92/005049(WO,A1)
【文献】 特開昭61−108088(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0069465(KR,A)
【文献】 実開平03−033793(JP,U)
【文献】 実開平01−089605(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/00− 7/22
B63B 25/00
B63B 25/24
B63B 25/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1対のラッシングロッドアセンブリを取り付けユニットに据え付けるためのアイプレートユニットであって、各前記ラッシングロッドアセンブリは、輸送用コンテナの隅金具に連結される上端と、各前記ラッシングロッドアセンブリの長手方向において前記上端の反対側にある下端とを有し、
前記取り付けユニットは、
基台に取り付けられたベースと、
それぞれ前記ベースの上主面から延伸すると共に、それぞれ内面と軸線方向において前記内面の反対側にある外面とを有し、それぞれの前記内面同士が前記軸線方向において互いに間隔を空けている第1の耳金部材及び第2の耳金部材と、
前記軸線に沿って延伸すると共に、前記第1及び第2の耳金部材それぞれの前記内面の間に配置される回動軸と、を含み、
前記アイプレートユニットは、
前記軸線の周りに互いに角度をなして配置される第1のウイング部材及び第2のウイング部材と、ブリッジ部材とを具え、
前記第1及び第2のウイング部材は、
中心線を規定すると共に、対応する1つの前記ラッシングロッドアセンブリの前記下端と連結されるように構成されたラッシングアイが形成されている本体部と、
前記中心線の周りに延伸し、且つ、内側領域と、外側領域と、前記内側及び外側領域を繋ぐ連接領域とを有するリム部と、をそれぞれ有し、
前記ブリッジ部材は、前記第1及び第2の耳金部材の間に配置され、前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記連接領域同士を繋ぐように延伸し、
前記ブリッジ部材は、外側接続面と内側接続面とを有し、
前記外側接続面は、前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記外側領域同士を相互接続し、
前記内側接続面は、前記軸線周りの周方向に延伸して前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記内側領域同士を相互接続し、且つ、前記第1及び第2のウイング部材がそれぞれの前記内側領域の間に間隙を挟んで離間するよう前記回動軸を前記内側接続面に支承するように構成されていて、これにより、前記輸送用コンテナの傾斜挙動の結果として前記1対のラッシングロッドアセンブリを介して前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記ラッシングアイにかかる力の急激な変化に起因して前記第1及び第2のウイング部材が前記周方向に屈曲可能となっている、アイプレートユニット。
【請求項2】
それぞれ対応する一方の前記第1又は第2のウイング部材の前記本体部における前記連接領域と前記外側領域との間に設けられ、前記ブリッジ部材の両側に配置される第1のストッパー部材及び第2のストッパー部材を更に含み、
前記第1及び第2のストッパー部材はそれぞれ、前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記内側領域の間の夾角が所定の最大値に達したときに前記間隙が前記力の急激な変化により更に広げられるのを防ぐように前記第1及び第2の耳金部材とに係合できるように構成されている、請求項1に記載のラッシングアイユニット。
【請求項3】
それぞれ対応する一方の前記第1又は第2のウイング部材の前記リム部から径方向に延伸する第1の保持部材及び第2の保持部材を更に含み、
前記第1及び第2の保持部材はそれぞれ、前記1対のラッシングロッドアセンブリそれぞれの前記下端同士が所定の範囲内の距離で間隔をあけた状態を維持するように、対応する1つの前記ラッシングロッドアセンブリの前記下端を保持できるように配置されている、請求項1又は2に記載のラッシングアイユニット。
【請求項4】
前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記内側領域の間に配置されている弾性スペーサーを更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のラッシングアイユニット。
【請求項5】
前記弾性スペーサーは、前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記内側領域にそれぞれ確実に係止される2つの相対する面を有する、請求項4に記載のラッシングアイユニット。
【請求項6】
前記外側接続面及び前記内側接続面は、それぞれ弓状面である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のラッシングアイユニット。
【請求項7】
1対のラッシングロッドアセンブリを基台に据え付けるためのラッシングアイアセンブリであって、各前記ラッシングロッドアセンブリは、輸送用コンテナの隅金具に連結される上端と、各前記ラッシングロッドアセンブリの長手方向において前記上端の反対側にある下端とを有し、前記ラッシングアイアセンブリは、
取り付けユニットと、アイプレートユニットとを具え、
前記取り付けユニットは、
基台に取り付けられたベースと、
それぞれ前記ベースの上主面から延伸すると共に、それぞれ内面と軸線方向において前記内面の反対側にある外面とを有し、それぞれの前記内面同士が前記軸線方向において互いに間隔を空けている第1の耳金部材及び第2の耳金部材と、
前記軸線に沿って延伸すると共に、前記第1及び第2の耳金部材それぞれの前記内面の間に配置される回動軸と、を含み、
前記アイプレートユニットは、
前記軸線の周りに互いに角度をなして配置される第1のウイング部材及び第2のウイング部材と、ブリッジ部材とを具え、
前記第1及び第2のウイング部材は、
中心線を規定すると共に、対応する1つの前記ラッシングロッドアセンブリの前記下端と連結されるように構成されたラッシングアイが形成されている本体部と、
前記中心線の周りに延伸し、且つ、内側領域と、外側領域と、前記内側及び外側領域を繋ぐ連接領域とを有するリム部と、をそれぞれ有し、
前記ブリッジ部材は、前記第1及び第2の耳金部材の間に配置され、前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記連接領域同士を繋ぐように延伸し、
前記ブリッジ部材は、外側接続面と内側接続面とを有し、
前記外側接続面は、前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記外側領域同士を相互接続し、
前記内側接続面は、前記軸線周りの周方向に延伸して前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記内側領域同士を相互接続し、且つ、前記第1及び第2のウイング部材がそれぞれの前記内側領域の間に間隙を挟んで離間するよう前記回動軸を前記内側接続面に支承するように構成されていて、これにより、前記輸送用コンテナの傾斜挙動の結果として前記1対のラッシングロッドアセンブリを介して前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記ラッシングアイにかかる力の急激な変化に起因して前記第1及び第2のウイング部材が前記周方向に屈曲可能となっている、ラッシングアイアセンブリ。
【請求項8】
前記ベースの前記上主面と前記第2の耳金部材の前記内面との間の第1の夾角は75°〜80°の範囲にあり、前記ベースの前記上主面と前記内面とはそれらの間に第1の接合線を画成し、
前記ベースは、前記軸線方向において互いに反対側にあると共にそれぞれ前記第1又は第2の耳金部材に近接して配置された第1の副面と第2の副面とを有し、前記第2の副面は、鈍角をなす2つの平面領域を有し、各前記平面領域は、前記ベースの前記上主面と共に第2の接合線を画成し、前記第1及び第2の接合線の間の第2の夾角は10°〜15°の範囲にある、請求項7に記載のラッシングアイアセンブリ。
【請求項9】
前記アイプレートユニットは、第1のストッパー部材と第2のストッパー部材とを更に含み、前記第1及び第2のストッパー部材はそれぞれ、対応する一方の前記第1又は第2のウイング部材の前記本体部における前記連接領域と前記外側領域との間に設けられると共に前記ブリッジ部材の両側に配置され、且つ、前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記内側領域の間の夾角が所定の最大値に達したときに前記間隙が前記力の急激な変化により更に広げられるのを防ぐように前記第1及び第2の耳金部材とに係合できるように構成されている、請求項7または8に記載のラッシングアイアセンブリ。
【請求項10】
前記アイプレートユニットは、それぞれ対応する一方の前記第1又は第2のウイング部材の前記リム部から径方向に延伸する第1の保持部材及び第2の保持部材を更に含み、
前記第1及び第2の保持部材はそれぞれ、前記1対のラッシングロッドアセンブリそれぞれの前記下端同士が所定の範囲内の距離で間隔をあけた状態を維持するように、対応する1つの前記ラッシングロッドアセンブリの前記下端を保持できるように配置されている、請求項7〜9のいずれか一項に記載のラッシングアイアセンブリ。
【請求項11】
前記アイプレートユニットは、前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記内側領域の間に配置される弾性スペーサーを更に含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載のラッシングアイアセンブリ。
【請求項12】
前記弾性スペーサーは、前記第1及び第2のウイング部材それぞれの前記内側領域にそれぞれ確実に係止される2つの相対する面を有する、請求項11に記載のラッシングアイアセンブリ。
【請求項13】
各前記第1及び第2の耳金部材は、前記外面から前記内面に延伸する取り付け孔を有し、
前記取り付けユニットは、管状軸と、固定部材とを含み、
前記管状軸は、拡大頭部と、前記拡大頭部の反対側にある軸端部と、前記拡大頭部と前記軸端部の間に配置される中間部分とを有し、前記中間部分は、2つの被保持領域を有し、前記管状軸が前記拡大頭部と前記軸端部とを前記第1及び第2の耳金部材の外側に残して前記第1及び第2の耳金部材それぞれの前記取り付け孔に挿通されたときに、前記被保持領域が前記第1及び第2の耳金部材それぞれの前記取り付け孔内に保持されることにより、前記中間部分の前記被保持領域間にある残りの部分が前記回動軸となり、
前記固定部材は、前記残りの部分が前記第1及び第2の耳金部材の間に配置されることを確保するように前記軸端部に固定される、請求項7〜12のいずれか一項に記載のラッシングアイアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送用コンテナに用いるアイプレートユニットに関し、より詳しくは、アイプレートユニットを具えるラッシングアイアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンテナは、貨物船等の船舶で輸送されるとき、船のデッキ上に積み重ねられ、且つ、積み重ねられたコンテナは不意に動いたり転落したりしないようにラッシングロッドアセンブリによって固定される。本願発明者は、これまでにラッシングロッドアセンブリを幾つか提案しており、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4などに開示されているようなラッシングロッドアセンブリを提案している。
【0003】
図1図2に示されているように、各ラッシングロッドアセンブリ3は、輸送用コンテナ6の隅金具601に連結されている上端501と、取り付け杭2の基台200に設置された従来のアイプレート1に連結されている下端401とを有する。取り付け杭2はデッキやデッキ上のラッシングブリッジに固定され得る。アイプレート1は複数の取り付け孔101を有する。通常、各ラッシングロッドアセンブリ3は、ターンバックル4とラッシングロッド5とを具える。ターンバックル4は、上側部分44と下側部分45を有し、これらは互いに相対的に移動できると共に、ラッシングロッド5がきつく張られるように互いに固定することができる。ラッシングロッド5は、それぞれのラッシングロッドアセンブリ3の上端501となる上端と、ターンバックル4の上側部分44と連結されている下端部分502とを有する。ターンバックル4の下側部分45は、それぞれ係留孔が設けられた2つの耳金451を有する。ラッシングロッドアセンブリ3の下端401においては、各取り付け孔101にピン43が通されていて、ピン43の両端はそれぞれ上記係留孔に通されていると共にそれぞれ耳金451に固定されていて、これによりターンバックル4の下側部分45をアイプレート1に連結している。
【0004】
図3では、船上にある輸送用コンテナ6及びラッシングロッドアセンブリ3が実線で示されている。船舶が矢印Fで示す方向に衝撃を受けると、輸送用コンテナ6は鎖線で示されているように反対の方向に傾く。この場合、アイプレート1は取り付け杭2に対して移動できない状態で設けられているので、輸送用コンテナ6が傾くことによって、輸送用コンテナ6又はラッシングロッドアセンブリ3が破損する恐れがある(図4も参照)。
【0005】
更に、ターンバックル4が従来のアイプレート1に対して不意に回転してしまうこともあるので、ラッシングロッドアセンブリ3を締めたり緩めたりする間に、隣り合う2つのターンバックル4間の距離が大きく変わってしまい、これにより作業者が負傷する恐れがある。
【0006】
なお、特許文献5にも、ラッシングロッドアセンブリが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7101130号明細書
【特許文献2】米国特許第7422400号明細書
【特許文献3】米国特許第7575403号明細書
【特許文献4】米国特許第9499237号明細書
【特許文献5】独国実用新案第202017103865号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、新規なアイプレートユニット及びこれを具えるラッシングアイアセンブリを提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様においては、1対のラッシングロッドアセンブリを取り付けユニットに据え付けるためのアイプレートユニットを提供する。各ラッシングロッドアセンブリは、輸送用コンテナの隅金具に連結される上端と、各ラッシングロッドアセンブリの長手方向において前記上端の反対側にある下端とを有する。取り付けユニットは、基台に取り付けられたベースと、第1の耳金部材及び第2の耳金部材と、回動軸とを含む。第1及び第2の耳金部材は、それぞれベースの上主面から延伸すると共に、それぞれ内面と軸線方向において内面の反対側にある外面とを有する。第1の耳金部材及び第2の耳金部材それぞれの前記内面同士は前記軸線方向において互いに間隔を空けている。回動軸は、前記軸線に沿って延伸すると共に、第1及び第2の耳金部材それぞれの内面の間に配置される。アイプレートユニットは、第1のウイング部材及び第2のウイング部材と、ブリッジ部材とを具える。第1及び第2のウイング部材は、前記軸線の周りに互いに角度をなして配置される。第1及び第2のウイング部材はそれぞれ本体部とリム部を有する。本体部は、中心線を規定すると共に、対応する1つのラッシングロッドアセンブリの下端と連結されるように構成されたラッシングアイが形成されている。リム部は、前記中心線の周りに延伸し、且つ、内側領域と、外側領域と、前記内側及び外側領域を繋ぐ連接領域とを有する。ブリッジ部材は、第1及び第2の耳金部材の間に配置され、第1及び第2のウイング部材それぞれの連接領域同士を繋ぐように延伸している。ブリッジ部材は、外側接続面と内側接続面とを有する。外側接続面は、第1及び第2のウイング部材それぞれの外側領域同士を相互接続する。内側接続面は、前記軸線周りの周方向に延伸して第1及び第2のウイング部材それぞれの内側領域同士を相互接続し、且つ、第1及び第2のウイング部材がそれぞれの内側領域の間に間隙を挟んで離間するよう回動軸を内側接続面に支承するように構成されていて、これにより、輸送用コンテナの傾斜挙動の結果としてラッシングロッドアセンブリを介して第1及び第2のウイング部材それぞれのラッシングアイにかかる力の急激な変化に起因して第1及び第2のウイング部材が前記周方向に屈曲可能となっている。
【0010】
本発明の第2の態様においては、1対のラッシングロッドアセンブリを基台に据え付けるためのラッシングアイアセンブリを提供する。各ラッシングロッドアセンブリは、輸送用コンテナの隅金具に連結される上端と、各ラッシングロッドアセンブリの長手方向において前記上端の反対側にある下端とを有する。ラッシングアイアセンブリは、取り付けユニットと、アイプレートユニットとを具える。取り付けユニットは、基台に取り付けられたベースと、第1の耳金部材と、第2の耳金部材と、回動軸とを含む。第1及び第2の耳金部材は、それぞれベースの上主面から延伸すると共に、それぞれ内面と軸線方向において内面の反対側にある外面とを有する。第1及び第2の耳金部材は、それぞれの内面同士が前記軸線方向において互いに間隔を空けている。回動軸は、前記軸線に沿って延伸すると共に、第1及び第2の耳金部材それぞれの内面の間に配置される。アイプレートユニットは、第1のウイング部材及び第2のウイング部材と、ブリッジ部材とを具える。第1及び第2のウイング部材は、前記軸線の周りに互いに角度をなして配置される。第1及び第2のウイング部材はそれぞれ、本体部とリム部とを有する。本体部は、中心線を規定すると共に、対応する1つのラッシングロッドアセンブリの下端と連結されるように構成されたラッシングアイが形成されている。リム部は、前記中心線の周りに延伸し、且つ、内側領域と、外側領域と、内側及び外側領域を繋ぐ連接領域とを有する。ブリッジ部材は、第1及び第2の耳金部材の間に配置され、第1及び第2のウイング部材それぞれの連接領域同士を繋ぐように延伸している。ブリッジ部材は、外側接続面と内側接続面とを有する。外側接続面は、第1及び第2のウイング部材それぞれの外側領域同士を相互接続する。内側接続面は、前記軸線周りの周方向に延伸して第1及び第2のウイング部材それぞれの内側領域同士を相互接続し、且つ、第1及び第2のウイング部材がそれぞれの内側領域の間に間隙を挟んで離間するよう回動軸を内側接続面に支承するように構成されていて、これにより、輸送用コンテナの傾斜挙動の結果としてラッシングロッドアセンブリを介して第1及び第2のウイング部材それぞれのラッシングアイにかかる力の急激な変化に起因して第1及び第2のウイング部材が前記周方向に屈曲可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】輸送用コンテナを複数の取り付け杭に複数の従来のアイプレートを介して固定するための複数のラッシングロッドアセンブリを示す概略図である。
図2図1の従来のアイプレートを示す部分拡大図である。
図3】輸送用コンテナの傾斜挙動を示す概略図である。
図4】船舶における輸送用コンテナの傾斜挙動及び輸送用コンテナの破損を示す概略図である。
図5】本発明の第1の実施形態によるラッシングアイアセンブリを示す分解斜視図である。
図6】組み立て状態にある図5のラッシングアイアセンブリを示す斜視図である。
図7図6に類似するが、他の角度から見たラッシングアイアセンブリを示す。
図8図6に類似するが、上側から見たラッシングアイアセンブリを示す。
図9】複数のラッシングロッドアセンブリの下端がそれぞれ図6に示す複数のラッシングアイアセンブリと連結された態様を示す概略図である。
図10】複数のラッシングロッドアセンブリを介して図6に示すラッシングアイアセンブリに連結された輸送用コンテナの傾斜挙動を示す概略図である。
図11】輸送用コンテナが傾いたときのラッシングアイアセンブリ及びラッシングロッドアセンブリの状態を示す概略図である。
図12】1本のラッシングロッドが1対のターンバックルに連結された態様を示す概略図である。
図13】互いに所定の間隔を空けたラッシングロッドアセンブリの下端を保持するために用いられる第1の保持部材及び第2の保持部材を示す概略図である。
図14】本発明に係るラッシングアイアセンブリに連結された1対のターンバックルを容易な操作で持ち上げ位置に保持できることを説明する概略図である。
図15】本発明の第2の実施形態によるラッシングアイアセンブリのアイプレートユニットを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る装置についていくつかの実施例を挙げて図面を参照して説明する。なお、同一構成及び機能を有する構成要素については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0013】
図5図9に示されているように、本発明の第1の実施形態によるラッシングアイアセンブリは、1対のラッシングロッドアセンブリ3を取り付け杭2の基台200に固定するために提供される。ラッシングロッドアセンブリ3はそれぞれ、輸送用コンテナ6の隅金具601に連結される上端501と、各ラッシングロッドアセンブリ3の長手方向において上端501の反対側にある下端401とを有する。ラッシングアイアセンブリは、取り付けユニット10とアイプレートユニット30を具える。各ラッシングロッドアセンブリ3は、図1図4を参考に上述の通り説明したものと同様のものである。
【0014】
取り付けユニット10は、ベース11と、第1の耳金部材12と、第2の耳金部材13と、回動軸25とを具える。
【0015】
ベース11は基台200に取り付けられる。本実施形態において、ベース11は上主面110と、第1の副面111と、第2の副面112と、第3の副面113と、第4の副面114とを有する。第1及び第2の副面111、112は、軸線(A)方向において互いに反対側にある。第3及び第4の副面113、114は、軸線(A)方向と垂直の方向において互いに反対側にある。第2の副面112は、鈍角を成す2つの平面領域120を有する。各平面領域120は、ベース11の上主面110と共に第2の接合線(L2)を画成する。
【0016】
第1及び第2の耳金部材12、13はそれぞれ、ベース11の上主面110から端面124まで延伸する部材であり、軸線(A)方向において互いに反対側となる内面121と外面122とを有する。第1及び第2の耳金部材12、13は、第1及び第2の副面111、112にそれぞれ近接して配置される。第1及び第2の耳金部材12、13の各内面121は、軸線(A)方向において互いに間隔を空けている。本実施形態において、第1及び第2の耳金部材12、13はそれぞれ、取り付け孔125と、2つの側面123とを有する。取り付け孔125は、外面122から内面121に延伸する。2つの側面123は、軸線(A)と垂直の方向において互いに反対側にある。第1及び第2の耳金部材12、13の各内面121は互いに平行する。ベース11の上主面110と、第1及び第2の耳金部材12、13それぞれの内面121とは、それらの間に第1の接合線(L1)を画成する。
【0017】
また、図7図8に示すように、ベース11の上主面110と第2の耳金部材13の内面121との間の第1の夾角(θ1)は75°〜80°の範囲にあり、第1及び第2の接合線(L1、L2)との間の第2の夾角 (θ2)は10°〜15°の範囲にある。本実施形態においては、第1の夾角(θ1)が75°、第2の夾角 (θ2)が15°となっている。
【0018】
回動軸25は、軸線(A)に沿って延伸すると共に、第1及び第2の耳金部材12、13の各内面121の間に配置される。
【0019】
本実施形態において、取り付けユニット10は、管状軸20と固定部材26とを具える。管状軸20は、拡大頭部21と、拡大頭部21の反対側にある軸端部22と、中間部分23とを有する。拡大頭部21は、直径が取り付け孔125よりも大きい。中間部分23は、拡大頭部21と軸端部22との間に配置され、且つ、2つの被保持領域24を以下のように有する。即ち、管状軸20が、拡大頭部21と軸端部22とを第1及び第2の耳金部材12、13の外側に残して第1及び第2の耳金部材12、13それぞれの取り付け孔125に挿通されたときに、上記の被保持領域24が第1及び第2の耳金部材12、13それぞれの取り付け孔125内に保持され、これにより中間部分23の被保持領域24間にある残りの部分25が上述の回動軸25となる。
【0020】
再び図5を参照されたい。図5において、アイプレートユニット30は板状のものとして示されており、ブリッジ部材31と、第1のウイング部材32と、第2のウイング部材33とを具える。アイプレートユニット30は第1及び第2の耳金部材12、13の間に回動可能に取り付けられている。
【0021】
第1及び第2のウイング部材32、33は、軸線Aの周りに互いに角度をなして配置されている。また、第1及び第2のウイング部材32、33はそれぞれ、本体部301とリム部303とを有する。
【0022】
本体部301は、ラッシングアイ302が形成されており、ラッシングアイ302は、中心線(C)を規定すると共に、対応する1つのラッシングロッドアセンブリ3の下端401が連結されるように構成されている(図9も参照)。本実施形態において、第1及び第2のウイング部材32、33のラッシングアイ302はそれぞれ長円形状の孔であり、長軸が互いに平行している。
【0023】
リム部303は、中心線(C)の周りに延伸し、且つ、内側領域304と、外側領域305と、内側領域304と外側領域305を相互接続する連接領域306とを有する。
【0024】
図5に示すように、ブリッジ部材31は、第1及び第2の耳金部材12、13の間に配置されていると共に、第1及び第2のウイング部材32、33の連接領域306を相互接続するように延伸している。ブリッジ部材31は、外側接続面307と、内側接続面308とを有する。
【0025】
外側接続面307は、第1及び第2のウイング部材32、33の外側領域305同士を相互接続する。なお、一実施例において、外側接続面307は弓状面である。
【0026】
内側接続面308は、軸線(A)周りの周方向に延伸して第1及び第2のウイング部材32、33の内側領域304同士を相互接続し、且つ、第1及び第2のウイング部材32、33がそれぞれの内側領域304の間に間隙309を挟んで離間するよう回動軸25を内側接続面308に支承するように構成されている。これにより、輸送用コンテナ6の傾斜挙動の結果としてラッシングロッドアセンブリ3を介して第1及び第2のウイング部材32、33それぞれのラッシングアイ302にかかる力の急激な変化に起因して、第1及び第2のウイング部材32、33が周方向に屈曲可能となっている(図9図11も参照)。なお、一実施例において、内側接続面308は弓状面である。
【0027】
アイプレートユニット30は、剛性材料からなるが、上述のように力の急激な変化に対応して第1及び第2のウイング部材32、33が屈曲可能となるよう構成されている。また、力の急激な変化が止まれば、アイプレートユニット30は元の形状に戻る。
【0028】
取り付けユニット10を基台200に取り付ける過程では、図5及び図8に示すように、以下の2つの状態だけ確保すればよい。即ち、(i)ベース11の複数の平面領域120の内の1つが取り付け杭2の第1の側面201と面一になっている。(ii)ベース11の第3の副面113と他の1つの平面領域120との間の第3の接合線(L3)が取り付け杭2の第2の側面202と同一平面上にある。このように配置することで、アイプレートユニット30は輸送用コンテナ6に対して所定の角度で斜めとなるよう容易に位置決めでき、よって、1対のラッシングロッドアセンブリ3が平行となるよう配置(図11参照)することが容易となる。
【0029】
例えば船舶が衝撃を受けて右方向に大きくぶれた時、各輸送用コンテナ6は図10に示すように左方向にずれようとする。この場合、ずれようとする輸送用コンテナ6の右側においては、ラッシングロッドアセンブリ3が輸送用コンテナ6に引っ張られて(図11の左半分参照)、第1及び第2のウイング部材32、33が互いの内側領域304同士が近づくように動き、その一方、ずれようとする輸送用コンテナ6の左側においては、ラッシングロッドアセンブリ3が輸送用コンテナ6に押されて(図11の右半分参照)、第1及び第2のウイング部材32、33が互いの内側領域304同士が離れるように動く。このように、アイプレートユニット30が変形するおかげで、輸送用コンテナ6やラッシングロッド3の破損が起きにくくなる。
【0030】
図5及び図6に示すように、アイプレートユニット30は、第1のストッパー部材34と第2のストッパー部材35を更に具える。第1及び第2のストッパー部材34、35は、それぞれ対応する一方の第1又は第2のウイング部材32、33の本体部301における連接領域306と外側領域305との両方に近い箇所から延伸していて、且つ、第1及び第2のウイング部材32、33それぞれの内側領域304の間の夾角が所定の最大値に達したときに間隙309が上述の力の急激な変化により更に広げられるのを防ぐようにそれぞれ第1及び第2の耳金部材12、13に係合できるように構成されている。本実施形態においては、第1のストッパー部材34が内側接続面308に比較的近く、第2のストッパー部材35が内側接続面308から比較的離れるようそれぞれ配置されている。
【0031】
本実施形態においては、図6に最もよく示されているように、第1及び第2のストッパー部材34、35はそれぞれ2つの係止部分341を有する。各係止部分341は、第1及び第2の耳金部材12、13の側面123と係合するように、対応する一方の第1又は第2のウイング部材32、33の本体部301の反対側に延伸している。
【0032】
また、図12に示すように、第1及び第2のストッパー部材34、35は間隙309の広がりを制限するために設けられるので、アイプレートユニット30を1つの輸送用コンテナ6に固定するためにたとえラッシングロッドアセンブリ3が1つだけ用いられた場合でも、本実施形態のアイプレートユニット30を用いることができる。
【0033】
図5及び図13に示すように、アイプレートユニット30は、第1の保持部材36と第2の保持部材37を更に具える。第1及び第2の保持部材36、37はそれぞれ、対応する一方の第1又は第2のウイング部材32、33のリム部303から径方向に延伸していて、且つ、それぞれ複数のラッシングロッドアセンブリ3の下端401同士が所定の範囲内の距離で間隔をあけた状態を維持するように、対応する1つのラッシングロッドアセンブリ3の下端401を保持できるように配置されている。本実施形態においては、図5に最もよく示されているように、第1及び第2のウイング部材32、33それぞれの内側領域304に対して、第1の保持部材36が比較的近く、第2の保持部材37が比較的離れるように配置されている。
【0034】
図13及び図14に示されているように、第1及び第2の保持部材36、37を具えることにより、1対のターンバックル4同士を平行に保つことが容易となり、よってユーザーによる手作業(図14の左半分参照)が楽になる。反対に、図14の右半分に示されているように、従来のアイプレート1を用いた場合、従来のアイプレート1に対してターンバックル4がねじれやすいので、従来のアイプレート1に固定された1対のターンバックル4の扱いにユーザーはてこずることになる。
【0035】
図15には、本発明の第2の実施形態におけるアイプレートユニット30を示している。第2の実施形態におけるアイプレートユニット30は、第1の実施形態におけるアイプレートユニット30と類似するが、第1及び第2のウイング部材32、33それぞれの内側領域304の間に配置された弾性スペーサー40を更に具える点で異なる。弾性スペーサー40は、ゴムなどの弾性材料で構成することができ、間隙309を所定の幅に保つよう、第1及び第2のウイング部材31、32を付勢する。
【0036】
本実施形態では、弾性スペーサー40は、第1及び第2のウイング部材32、33それぞれの内側領域304にそれぞれ確実に係止される2つの相対する面41、42を有する。
【0037】
本実施形態において、弾性スペーサー40の相対する面41、42には、複数の突起411、421がそれぞれ形成されていて、第1及び第2のウイング部材32、33それぞれの内側領域304には、互いに確実に係止されるよう複数のくぼみ310が突起411、421を受け入れられるように形成されている。
【0038】
上記においては、説明のため、本発明の全体的な理解を促すべく多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。また、本明細書における「一つの実施形態」「一実施形態」を示す説明において、序数などの表示を伴う説明は全て、特定の態様、構造、特徴を有する本発明の具体的な実施に含まれ得るものであることと理解されたい。更に、本説明において、時には複数の変化例が一つの実施形態、図面、またはこれらの説明に組み込まれているが、これは本説明を合理化させるためのもので、また、本発明の多面性が理解されることを目的としたものである。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変化例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14
図15