【文献】
MIDUTURU, Chandrasekhar V. , et al.,Chemistry & Biology,2011年,18(7),pp. 868-879
【文献】
KWIATKOWSKI, Nicholas, et al.,ACS Chemical Biology,2012年,7(1),pp. 185-196
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記疾患が、肺、結腸、乳房、前立腺、肝臓、膵臓、脳、腎臓、卵巣、胃、皮膚、および骨の癌、胃腸、乳房、膵臓の癌、神経膠腫、および肝細胞癌、乳頭状腎細胞癌、頭頸部扁平上皮癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、および固形腫瘍である、請求項7に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【発明を実施するための形態】
【0044】
定義
以下の記載は本発明を記載するために用いられている様々な用語の定義である。これらの定義は、本明細書および特許請求の範囲を通して用いられる場合に、個々にまたは大きなグループの一部として、特定の場合において別段に限定されない限り、その用語に適用される。
【0045】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、飽和の、直鎖または分岐鎖の炭化水素基であり、特定の実施形態では、それぞれに1〜6個、または1〜8個の炭素原子を含有する。C
1−C
6アルキル基の例は、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル基を包含し;C
1−C
8アルキル基の例は、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチル基を包含する。
【0046】
本明細書で使用される用語「アルケニル」は、炭化水素残基由来の1価の基を示し、特定の実施形態では、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する2〜6個、または2〜8個の炭素原子を含有する。二重結合は、他の基への結合部位であってもなくてもよい。アルケニル基は、限定されないが、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル、ヘプテニル、オクテニル等を包含する。
【0047】
本明細書で使用される用語「アルキニル」は、炭化水素残基由来の1価の基を示し、特定の実施形態では、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する2〜6個、または2〜8個の炭素原子を含有する。アルキニル基は他の基への結合部位であってもなくてもよい。代表的なアルキニル基は、限定されないが、例えば、エチニル、1−プロピニル、1−ブチニル、ヘプチニル、オクチニル等を包含する。
【0048】
用語「アルコキシ」は、−O−アルキル基を示す。
【0049】
本明細書で使用される用語「アリール」は、縮合しているかまたは非縮合である、1つまたはそれ以上の芳香族環を有する単環式または多環式炭素環系を示し、限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル等を包含する。
【0050】
本明細書で使用される用語「アラルキル」は、アリール環に結合したアルキル残基を示す。例は、限定されないが、ベンジル、フェネチル等を包含する。
【0051】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、単環式または多環式の飽和または部分飽和の炭素環化合物由来の1価の基を示す。C
3−C
8シクロアルキルの例は、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、およびシクロオクチルを包含し;C
3−C
12シクロアルキルの例は、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]へプチル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルを包含する。1個の水素原子を除去することによる炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する単環式または多環式の炭素環化合物由来の1価の基も意図されている。このような基の例は、限定されないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル等を包含する。
【0052】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの芳香環を有する、単環式または多環式(例えば2−、または3−環またはそれ以上)の縮合または非縮合の基または環系を示し、1つの環原子がS、OおよびNから選ばれ;0、1または2個の環原子がS、OおよびNから独立して選ばれるさらなるヘテロ原子であり;残りの環原子が炭素である5〜10個の環原子を有する。ヘテロアリールは、限定されないが、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニル等を包含する。
【0053】
本明細書で使用される用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール環に結合したアルキル残基を示す。例は、限定されないが、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチル等を包含する。
【0054】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクロアルキル」は、非芳香族の3−、4−、5−、6−または7−員の環または2−または3−環基の縮合または非縮合系を示し、ここで、(i)それぞれの環が、酸素、硫黄および窒素から独立して選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含有し、(ii)それぞれの5員環は0〜1個の二重結合を有して、それぞれの6員環は0〜2個の二重結合を有し、(iii)窒素および硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよく、(iv)窒素ヘテロ原子は4級化されていてもよく、(iv)上記の環のいずれかがベンゼン環に縮合していてもよい。代表的なヘテロシクロアルキル基は、限定されないが、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニルおよびテトラヒドロフリルを包含する。
【0055】
用語「アルキルアミノ」は、構造−−NH(C
1−C
12アルキル)を有する基を示し、ここでC
1−C
12アルキルは既に定義した通りである。
【0056】
用語「アシル」は、限定されないが、カルボン酸、カルバミン酸、炭酸、スルホン酸、および亜リン酸を包含する、酸由来の残基を包含する。例は、脂肪族カルボニル、芳香族カルボニル、脂肪族スルホニル、芳香族スルフィニル、脂肪族スルフィニル、芳香族リン酸エステルおよび脂肪族リン酸エステルを包含する。脂肪族カルボニルの例は、限定されないが、アセチル、プロピオニル、2−フルオロアセチル、ブチリル、2−ヒドロキシアセチル等を包含する。
【0057】
本発明にしたがって、本明細書に記載されるアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールのいずれも、いずれかの芳香族基であり得る。芳香族基は置換されているかまたは非置換であり得る。
【0058】
本明細書で使用される用語「ハロ」および「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を示す。
【0059】
本明細書に記載されるように、本発明の化合物は、上に一般的に説明されているような、または本発明の特定のクラス、サブクラスまたは種に例示されているような、1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい。当然のことながら、表現「場合により置換されている」は表現「置換されているかまたは非置換である」と同義である。一般に、用語「場合により」によって先行されようとなかろうと、用語「置換されている」は、所定の構造中の水素基の特定の置換基の基との置き換えを示す。特段指示されない限り、場合により置換されている基は、その基の置換可能な各位置に置換基を有していてもよく、所定の構造のいずれかにある1つ以上の位置が特定の基から選択される1つ以上の置換基で置換できるときは、あらゆる位置における置換基は同一でも異なっていてもよい。本明細書で使用される用語「場合により置換されている」、「場合により置換されているアルキル」、「場合により置換されているアルケニル」、「場合により置換されているアルキニル」、「場合により置換されているシクロアルキル」、「場合により置換されているシクロアルケニル」、「場合により置換されているアリール」、「場合により置換されているヘテロアリール」、「場合により置換されているアラルキル」、「場合により置換されているヘテロアラルキル」、「場合により置換されているヘテロシクロアルキル」、および他の場合により置換されている基は、1個、2個、または3個あるいはそれ以上のそれらの水素原子の、限定されないが、
−F、−Cl、−Br、−I、
−OH、保護されたヒドロキシ、
−NO
2、−CN、
−NH
2、保護アミノ、−NH−C
1−C
12アルキル、−NH−C
2−C
12アルケニル、−NH−C
2−C
12アルケニル、−NH−C
3−C
12シクロアルキル、−NH−アリール、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクロアルキル、−ジアルキルアミノ、−ジアリールアミノ、−ジヘテロアリールアミノ、
−O−C
1−C
12アルキル、−O−C
2−C
12アルケニル、−O−C
2−C
12アルケニル、−O−C
3−C
12シクロアルキル、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクロアルキル、
−C(O)−C
1−C
12アルキル、−C(O)−C
2−C
12アルケニル、−C(O)−C
2−C
12アルケニル、−C(O)−C
3−C
12シクロアルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロアリール、−C(O)−ヘテロシクロアルキル、
−CONH
2、−CONH−C
1−C
12アルキル、−CONH−C
2−C
12アルケニル、−CONH−C
2−C
12アルケニル、−CONH−C
3−C
12シクロアルキル、−CONH−アリール、−CONH−ヘテロアリール、−CONH−ヘテロシクロアルキル、
−OCO
2−C
1−C
12アルキル、−OCO
2−C
2−C
12アルケニル、−OCO
2−C
2−C
12アルケニル、−OCO
2−C
3−C
12シクロアルキル、−OCO
2−アリール、−OCO
2−ヘテロアリール、−OCO
2−ヘテロシクロアルキル、
−OCONH
2、−OCONH−C
1−C
12アルキル、−OCONH−C
2−C
12アルケニル、−OCONH−C
2−C
12アルケニル、−OCONH−C
3−C
12シクロアルキル、−OCONH−アリール、−OCONH−ヘテロアリール、−OCONH−ヘテロシクロアルキル、
−NHC(O)−C
1−C
12アルキル、−NHC(O)−C
2−C
12アルケニル、−NHC(O)−C
2−C
12アルケニル、−NHC(O)−C
3−C
12シクロアルキル、−NHC(O)−アリール、−NHC(O)−ヘテロアリール、−NHC(O)−ヘテロシクロアルキル、
−NHCO
2−C
1−C
12アルキル、−NHCO
2−C
2−C
12アルケニル、−NHCO
2−C
2−C
12アルケニル、−NHCO
2−C
3−C
12シクロアルキル、−NHCO
2−アリール、−NHCO
2−ヘテロアリール、−NHCO
2−ヘテロシクロアルキル、
−NHC(O)NH
2、−NHC(O)NH−C
1−C
12アルキル、−NHC(O)NH−C
2−C
12アルケニル、−NHC(O)NH−C
2−C
12アルキニル、−NHC(O)NH−C
3−C
12シクロアルキル、−NHC(O)NH−アリール、−NHC(O)NH−ヘテロアリール、−NHC(O)NH−ヘテロシクロアルキル、
−NHC(S)NH
2、−NHC(S)NH−C
1−C
12アルキル、−NHC(S)NH−C
2−C
12アルケニル、−NHC(S)NH−C
2−C
12アルキニル、−NHC(S)NH−C
3−C
12シクロアルキル、−NHC(S)NH−アリール、−NHC(S)NH−ヘテロアリール、−NHC(S)NH−ヘテロシクロアルキル、
−NHC(NH)NH
2、−NHC(NH)NH−C
1−C
12アルキル、−NHC(NH)NH−C
2−C
12アルケニル、−NHC(NH)NH−C
2−C
12アルキニル、−NHC(NH)NH−C
3−C
12シクロアルキル、−NHC(NH)NH−アリール、−NHC(NH)NH−ヘテロアリール、−NHC(NH)NH−ヘテロシクロアルキル、
−NHC(NH)−C
1−C
12アルキル、−NHC(NH)−C
2−C
12アルケニル、−NHC(NH)−C
2−C
12アルキニル、−NHC(NH)−C
3−C
12シクロアルキル、−NHC(NH)−アリール、−NHC(NH)−ヘテロアリール、−NHC(NH)−ヘテロシクロアルキル、
−C(NH)NH−C
1−C
12アルキル、−C(NH)NH−C
2−C
12アルケニル、−C(NH)NH−C
2−C
12アルケニル、−C(NH)NH−C
3−C
12シクロアルキル、−C(NH)NH−アリール、−C(NH)NH−ヘテロアリール、−C(NH)NH−ヘテロシクロアルキル、
−S(O)−C
1−C
12アルキル、−S(O)−C
2−C
12アルケニル、−S(O)−C
2−C
12アルケニル、−S(O)−C
3−C
12シクロアルキル、−S(O)−アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロシクロアルキル、
−SO
2NH
2、−SO
2NH−C
1−C
12アルキル、−SO
2NH−C
2−C
12アルケニル、−SO
2NH−C
2−C
12アルケニル、−SO
2NH−C
3−C
12シクロアルキル、−SO
2NH−アリール、−SO
2NH−ヘテロアリール、−SO
2NH−ヘテロシクロアルキル、
−NHSO
2−C
1−C
12アルキル、−NHSO
2−C
2−C
12アルケニル、−NHSO
2−C
2−C
12アルケニル、−NHSO
2−C
3−C
12シクロアルキル、−NHSO
2−アリール、−NHSO
2−ヘテロアリール、−NHSO
2−ヘテロシクロアルキル、
−CH
2NH
2、−CH
2SO
2CH
3、−アリール、−アリールアルキル、−ヘテロアリール、−ヘテロアリールアルキル、−ヘテロシクロアルキル、−C
3−C
12シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、−メトキシメトキシ、−メトキシエトキシ、
−SH、−S−C
1−C
12アルキル、−S−C
2−C
12アルケニル、−S−C
2−C
12アルケニル、−S−C
3−C
12シクロアルキル、−S−アリール、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクロアルキル、またはメチルチオメチル、
を包含する置換基による独立した置換によって、置換されているかまたは非置換である基を示す。
【0060】
当然ながら、アリール、ヘテロアリール、アルキル等はさらに置換することができる。
【0061】
用語「癌」は、限定されないが、以下の癌を包含する:扁平上皮口腔:口腔、口唇、舌、口、咽頭;心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支癌(扁平上皮細胞または類表皮、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(気管支)癌、気管支腺癌、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、喉頭、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、膵島細胞腫、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポシ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結腸−直腸、結腸直腸、直腸;泌尿生殖器:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍(腎芽細胞腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行細胞癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、睾丸(精上皮癌、奇形種、胎生期癌、奇形癌、繊毛腫、肉腫、間質細胞腫、線維腫、線維線腫、線腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝臓癌(肝細胞腫)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞線腫、血管種、胆汁道;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫、脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨腫)、良性脊索腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫瘍;神経系:頭蓋骨(骨腫、血管種、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(骨髄腫、骨髄肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄(神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前癌性子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、ムチン性嚢胞腺癌、未分類癌]、顆粒−莢膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形種)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫、胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌)、乳房;血液:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];毛様細胞;リンパ疾患;皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌
腫(basal cell carcinoma)、扁平上皮癌、カポシ肉腫、角化棘細胞腫、ほくろ、異形成母斑、脂肪腫、血管種、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;甲状腺:甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、未分化甲状腺癌、多発性内分泌腫瘍症2A型、多発性内分泌腫瘍症2B型、家族性甲状腺髄様癌、褐色細胞腫、傍神経節腫;および副腎:神経芽細胞腫。したがって、本明細書で提供される用語「癌細胞」は、上で特定した疾患のいずれか1つに冒されている細胞を包含する。
【0062】
用語「キナーゼパネル」は以下のものを含有するキナーゼのリストである:MPS1(TTK)、ERK5(BMK1、MAPK7)、ポロキナーゼ1、2、3、または4、Ack1、Ack2、Abl、DCAMKL1、ABL1、Abl変異体、DCAMKL2、ARK5、BRK、MKNK2、FGFR4、TNK1、PLK1、ULK2、PLK4、PRKD1、PRKD2、PRKD3、ROS1、RPS6KA6、TAOK1、TAOK3、TNK2、Bcr−Abl、GAK、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、Aurora、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKC、Raf、ROCK−H、Rsk1、SGK、TrkA、TrkB、TrkC、AAK1、ABL1、ABL1(E255K)、ABL1(F317I)、ABL1(F317L)、ABL1(H396P)、ABL1(M351T)、ABL1(Q252H)、ABL1(T315I)、ABL1(Y253F)、ABL2、ACVR1、ACVR1B、ACVR2A、ACVR2B、ACVRL1、ADCK3、ADCK4、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、AMPK−α1、AMPK−α2、ANKK1、ARK5、ASK1、ASK2、AURKA、AURKB、AURKC、AXL、BIKE、BLK、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、BMX、BRAF、BRAF(V600E)、BRK、BRSK1、BRSK2、BTK、CAMK1、CAMK1D、CAMK1G、CAMK2A、CAMK2D、CAMK2G、CAMK4、CAMKK1、CAMKK2、CDC2L1、CDC2L2、CDK11、CDK2、CDK3、CDK5、CDK7、CDK8、CDK9、CDKL2、CDKL3、CDKL5、CHECK1、CHEK2、CIT、CLK1、CLK2、CLK3、CLK4、CSF1R、CSK、CSNK1A1L、CSNK1D、CSNK1E、CSNK1G1、CSNK1G3、CSNK2A1、CSNK2A2、CTK、DAPK1、DAPK2、DAPK3、DCAMKL1、DCAMKL2、DCAMKL3、DDR1、DDR2、DLK、DMPK、DMPK2、DRAK1、DRAK2、DYRK1A、DYRK1B、DYRK2、EGFR、EGFR(E746−A750DEL)、EGFR(G719C)、EGFR(G719S)、EGFR(L747−E749del、A750P)、EGFR(L747−S752del、P753S)、EGFR(L747−T751del、Sins)、EGFR(L858R)、EGFR(L858R、T790M)、EGFR(L861Q)、EGFR(S752−I759del)、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB6、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ERK1、ERK2、ERK3、ERK4、ERK5、ERK8、ERN1、FAK、FER、FES、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR3(G697C)、FGFR4、FGR、FLT1、FLT3、FLT3(D835H)、FLT3(D835Y)、FLT3(ITD)、FLT3(K663Q)、FLT3(N841I)、FLT4、FRK、FYN、GAK、GCN2(Kin.Dom.2,S808G)、GRK1、GRK4、GRK7、GSK3A、GSK3B、HCK、HIPK1、HIPK2、HIPK3、HIPK4、HPK1、HUNK、ICK、IGF1R、IKK−ALPHA、IKK−BETA、IKK−EPSILON、INSR、INSRR、IRAK1、IRAK3、ITK、JAK1(JH1ドメイン−触媒的)、JAK1(JH2ドメイン−偽キナーゼ)、JAK2(JH1ドメイン−触媒的)、JAK3(JH1ドメイン−触媒的)、JNK1、JNK2、JNK3、KIT、KIT(D816V)、KIT(L576P)、KIT(V559D)、KIT(V559D、T670I)、KIT(V559D、V654A)、LATS1、LATS2、LCK、LIMK1、LIMK2、LKB1、LOK、LTK、LYN、LZK、MAK、MAP3K1、MAP2K15、MAP3K2、MAP3K3、MAP3K4、MAP4K2、MAP4K3、MAP4K5、MAPKAPK2、MAPKAPK5、MARK1、MARK2、MARK3、MARK4、MAST1、MEK1、MEK2、MEK3、MEK4、MEK6、MELK、MERTK、MET、MET(M1250T)、MET(Y1235D)、MINK、MKNK1、MKNK2、MLCK、MLK1、MLK2、MLK3、MRCKA、MRCKB、MST1、MST1R、MST2、MST3、MST4、MUSK、MYLK、MYLK2、MYO3A、MYO3B、NDR1、NDR2、NEK1、NEK2、NEK5、NEK6、NEK7、NEK9、NIM1、NLK、OSR1、p38−α、p38−β、p38−δ、p38−γ、PAK1、PAK2、PAK3、PAK4、PAK6、PAK7、PCTK1、PCTK2、PCTK3、PDGFRA、PDGFRB、PDPK1、PFTAIRE2、PFTK1、PHKG1、PHKG2、PIK3C2B、PIK3C2G、PIK3CA、PIK3CA(C420R)、PIK3CA(E542K)、PIK3CA(E545A)、PIK3CA(E545K)、PIK3CA(H1047L)、PIK3CA(H1047Y)、PIK3CA(M1043I)、PIK3CA(Q546K)、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、PIK4CB、PIM1、PIM2、PIM3、PIP5K1A、PIP5K2B、PKAC−ALPHA、PKAC−BETA、PKMYT1、PKN1、PKN2、PLK1、PLK2、PLK3、PLK4、PRKCD、PRKCE、PRKCH、PRKCQ、PRKD1、PRKD3、PRKG1、PRKG2、PRKR、PRKX、PRP4、PYK2、QSK、RAF1、RET、RET(M918T)、RET(V804L)、RET(V804M)、RIOK1、RIOK2、RIOK3、RIPK1、RIPK2、RIPK4、ROCK1、ROCK2、ROS1、RPS6KA1(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA1(Kin.Dom.2−C−末端)、RPS6KA2(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA2(Kin.Dom.2−C−末端)、RPS6KA3(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA4(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA4(Kin.Dom.2−C−末端)、RPS6KA5(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA5(Kin.Dom.2−C−末端)、RPS6KA6(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA6(Kin.Dom.2−C−末端)、SBK1、SgK085、SgK110、SIK、SIK2、SLK、SNARK、SRC、SRMS、SRPK1、SRPK2、SRPK3、STK16、STK33、STK39、SYK、TAK1、TAO1、TAOK2、TAOK3、TBK1、TEC、TESK1、TGFBR1、TGFBR2、TIE1、TIE2、TLK1、TLK2、TNIK、TNK1、TNK2、TNNI3K、TRKA、TRKB、TRKC、TSSK1B、TTK、TXK、TYK2(JH1ドメイン−触媒的)、TYK2(JH2ドメイン−偽キナーゼ)、TYRO3、ULK1、ULK2、ULK3、VEGFR2、WEE1、WEE2、YANK2、YANK3、YES、YSK1、YSK4、ZAKおよびZAP70。本発明の化合物はこのキナーゼパネル(野生型および/またはこれらの変異体)に対してスクリーニングされて、前記パネルメンバーの少なくとも1つの活性を阻害する。特定の実施形態では、キナーゼは、ERK5、LRRK2またはEphA2から選択される。
【0063】
キナーゼの変異形態は、野生型配列からの単一または複数のアミノ酸変更を意味する。
【0064】
本明細書で使用される用語「被験体」は哺乳動物を示す。したがって、被験体は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット等を示す。好ましくは、被験体はヒトである。被験体がヒトの場合は、被験体は本明細書で患者として示すことができる。
【0065】
「治療する」、「治療すること」および「治療」は、疾患および/またはそれに付随する症候を緩和または除去する方法を示す。
【0066】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容され得る塩」は、適切な医学的判断の範囲内にある、過度な毒性、刺激、アレルギー反応等なしで、ヒトおよび下等動物の組織に接触させて用いるのに適していて、合理的な便益/リスクの比と釣り合っている、本発明の方法で形成される化合物の塩を示す。薬学的に許容され得る塩は当技術分野において周知である。例えば、S.M.Berge,et al.はJ.Pharmaceutical Sciences,66:1−19(1977)で薬学的に許容され得る塩を詳細に記載している。これらの塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間に、あるいは別に遊離の塩基性官能基を適切な有機酸と反応させることによってインサイチューで製造できる。薬学的に許容され得る非毒性酸付加塩の例は、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、過塩素酸などの無機酸、あるいは酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸を使用して、あるいはイオン交換などの当技術分野で用いられる別の方法を使用して、形成されたアミノ基の塩である。他の薬学的に許容され得る塩は、限定されないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を包含する。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の塩を包含する。適切な場合には、薬学的に許容され得る塩はさらに、ハライド、ヒドロキシド、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩、およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される、非毒性のアンモニウム塩、4級アンモニウム塩、およびアミンカチオンを包含する。
【0067】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容され得るエステル」は、インビボで加水分解されて、人体内で容易に分解されて親化合物またはそれらの塩を残すものを含む、本発明の方法で形成される化合物のエステルを示す。適切なエステル基は、例えば、薬学的に許容され得る脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカン二酸(ここで、それぞれのアルキルまたはアルケニル部分が6個を越えない炭素原子を有することが有利である)に由来するようなものを包含する。特定のエステルの例は、限定されないが、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルコハク酸エステルを包含する。
【0068】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容され得るプロドラッグ」は、適切な医学的判断の範囲内にある、過度な毒性、刺激、アレルギー反応等ありで、ヒトおよび下等動物の組織に接触させて用いるのに適していて、合理的な便益/リスクの比と釣り合っていて、それらの意図している用途に効果があり、さらに、可能ならば、本発明の化合物の両性イオン形態である、本発明の方法で形成される化合物のプロドラッグを示す。本明細書で使用される「プロドラッグ」は、代謝手段によって(例えば加水分解によって)本発明の式で表されるいずれかの化合物をもたらすようにインビボで変換可能である化合物を意味する。例えば、Bundgaard,(ed.),Design of Prodrugs,Elsevier(1985);Widder,et al.(ed.),Methods in Enzymology,vol.4,Academic Press(1985);Krogsgaard−Larsen,et al.,(ed).「Design and Application of Prodrugs,Textbook of Drug Design and Development,Chapter 5,113−191(1991);Bundgaard,et al.,Journal of Drug Deliver Reviews,8:1−38(1992);Bundgaard,J.of Pharmaceutical Sciences,77:285 et seq.(1988);Higuchi and Stella(eds.)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems,American Chemical Society(1975);and Bernard Testa&Joachim Mayer,「Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry And Enzymology,」John Wiley and Sons,Ltd.(2002)に記載されているように、様々な形態のプロドラッグが当技術分野で公知である。
【0069】
本発明は、本発明の化合物の薬学的に許容され得るプロドラッグを含有する医薬組成物、およびこれを投与することによって障害を治療する方法も包含する。例えば、遊離のアミノ、アミド、ヒドロキシまたはカルボン酸基を有する本発明の化合物をプロドラッグに変換することができる。プロドラッグは、アミノ酸残基、または2つ以上の(例えば、2個、3個または4個の)アミノ酸残基のポリペプチド鎖がアミドまたはエステル結合を介して、本発明の化合物の遊離のアミノ、ヒドロキシまたはカルボン酸基に共有結合している、化合物を包含する。このアミノ酸残基は、限定されないが、通常3文字記号で表される20の天然由来アミノ酸を包含し、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチンおよびメチオニンスルホンも包含する。プロドラッグのさらなる種類も包含する。例えば、遊離のカルボキシル基をアミドまたはアルキルエステルとして誘導体化することができる。遊離のヒドロキシ基を、Advanced Drug Delivery Reviews,1996,19,115に概説されているように、限定されないが、ヘミコハク酸エステル、リン酸エステル、ジメチルアミノ酢酸エステル、およびホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを包含する基を使用して誘導体化することができる。ヒドロキシおよびアミノ基のカルバミン酸エステルプロドラッグも、ヒドロキシ基のスルホン酸エステルおよび硫酸エステルの炭酸エステルプロドラッグと同様に、包含される。アシル基がアルキルエステルであり得、限定されないが、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を包含する基で場合により置換されている場合、あるいはアシル基が上記のようなアミノ酸エステルである場合の(アシルオキシ)メチルおよび(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化も包含される。このタイプのプロドラッグは、J.Med.Chem.1996,39,10に記載されている。遊離のアミンもアミド、スルホンアミドまたはホスホンアミドとして誘導体化できる。これらのプロドラッグ部分のすべては、限定されないが、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含有する基を組み込んでいてもよい。
【0070】
本発明が想定している置換基および可変基の組み合わせは、安定な化合物の形成をもたらすようなものだけである。本明細書で使用される用語「安定な」は、製造を可能にするのに十分な安定性を保有し、十分な期間に渡って本明細書に詳述されている目的(例えば、被験体への治療的または予防的な投与)に有用であるように化合物の信頼性を保持する、化合物を示す。
【0071】
本発明の化合物
特定の態様では、本発明は、式I〜IX(または式AもしくはF)の化合物を提供する。
【0074】
(式中、
Aは、単結合または二重結合であり;
R’は、Hまたはアルキルであり;
Lは存在しないか、またはS、SO、SO
2もしくはCOであり;
Xは、任意選択の置換基(例えば、ハロゲン、−OH、−NO
2、−CN、−NH
2、保護アミノ、−NH−C
1−C
12−アルキル、−NH−C
2−C
12−アルケニル、−NH−C
2−C
12−アルケニル、−NH−C
3−C
12−シクロアルキル、−NH−アリール、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクロアルキル、−ジアルキルアミノ、−ジアリールアミノ、−ジヘテロアリールアミノ、−O−C
1−C
12−アルキル、−O−C
2−C
12−アルケニル、−O−C
2−C
12−アルケニル、−O−C
3−C
12−シクロアルキル、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクロアルキル、−C(O)−C
1−C
12−アルキル、−C(O)−C
2−C
12−アルケニル、−C(O)−C
2−C
12−アルケニル、−C(O)−C
3−C
12−シクロアルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロアリール、−C(O)−ヘテロシクロアルキル、−CONH
2、−CONH−C
1−C
12−アルキル、−CONH−C
2−C
12−アルケニル、−CONH−C
2−C
12−アルケニル、−CONH−C
3−C
12−シクロアルキル、−CONH−アリール、−CONH−ヘテロアリール、−CONH−ヘテロシクロアルキル、−OCO
2−C
1−C
12−アルキル、−OCO
2−C
2−C
12−アルケニル、−OCO
2−C
2−C
12−アルケニル、−OCO
2−C
3−C
12−シクロアルキル、−OCO
2−アリール、−OCO
2−ヘテロアリール、−OCO
2−ヘテロシクロアルキル、−OCONH
2、−OCONH−C
1−C
12−アルキル、−OCONH−C
2−C
12−アルケニル、−OCONH−C
2−C
12−アルケニル、−OCONH−C
3−C
12−シクロアルキル、−OCONH−アリール、−OCONH−ヘテロアリール、−OCONH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(O)−C
1−C
12−アルキル、−NHC(O)−C
2−C
12−アルケニル、−NHC(O)−C
2−C
12−アルケニル、−NHC(O)−C
3−C
12−シクロアルキル、−NHC(O)−アリール、−NHC(O)−ヘテロアリール、−NHC(O)−ヘテロシクロアルキル、−NHCO
2−C
1−C
12−アルキル、−NHCO
2−C
2−C
12−アルケニル、−NHCO
2−C
2−C
12−アルケニル、−NHCO
2−C
3−C
12−シクロアルキル、−NHCO
2−アリール、−NHCO
2−ヘテロアリール、−NHCO
2−ヘテロシクロアルキル、−NHC(O)NH
2、−NHC(O)NH−C
1−C
12−アルキル、−NHC(O)NH−C
2−C
12−アルケニル、−NHC(O)NH−C
2−C
12−アルケニル、−NHC(O)NH−C
3−C
12−シクロアルキル、−NHC(O)NH−アリール、−NHC(O)NH−ヘテロアリール、−NHC(O)NH−ヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH
2、−NHC(S)NH−C
1−C
12−アルキル、−NHC(S)NH−C
2−C
12−アルケニル、−NHC(S)NH−C
2−C
12−アルケニル、−NHC(S)NH−C
3−C
12−シクロアルキル、−NHC(S)NH−アリール、−NHC(S)NH−ヘテロアリール、−NHC(S)NH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(NH)NH
2、−NHC(NH)NH−C
1−C
12−アルキル、−NHC(NH)NH−C
2−C
12−アルケニル、−NHC(NH)NH−C
2−C
12−アルケニル、−NHC(NH)NH−C
3−C
12−シクロアルキル、−NHC(NH)NH−アリール、−NHC(NH)NH−ヘテロアリール、−NHC(NH)NH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(NH)−C
1−C
12−アルキル、−NHC(NH)−C
2−C
12−アルケニル、−NHC(NH)−C
2−C
12−アルケニル、−NHC(NH)−C
3−C
12−シクロアルキル、−NHC(NH)−アリール、−NHC(NH)−ヘテロアリール、−NHC(NH)−ヘテロシクロアルキル、−C(NH)NH−C
1−C
12−アルキル、−C(NH)NH−C
2−C
12−アルケニル、−C(NH)NH−C
2−C
12−アルケニル、−C(NH)NH−C
3−C
12−シクロアルキル、−C(NH)NH−アリール、−C(NH)NH−ヘテロアリール、−C(NH)NH−ヘテロシクロアルキル、−S(O)−C
1−C
12−アルキル、−S(O)−C
2−C
12−アルケニル、−S(O)−C
2−C
12−アルケニル、−S(O)−C
3−C
12−シクロアルキル、−S(O)−アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロシクロアルキル、−SO
2NH
2、−SO
2NH−C
1−C
12−アルキル、−SO
2NH−C
2−C
12−アルケニル、−SO
2NH−C
2−C
12−アルケニル、−SO
2NH−C
3−C
12−シクロアルキル、−SO
2NH−アリール、−SO
2NH−ヘテロアリール、−SO
2NH−ヘテロシクロアルキル、−NHSO
2−C
1−C
12−アルキル、−NHSO
2−C
2−C
12−アルケニル、−NHSO
2−C
2−C
12−アルケニル、−NHSO
2−C
3−C
12−シクロアルキル、−NHSO
2−アリール、−NHSO
2−ヘテロアリール、−NHSO
2−ヘテロシクロアルキル、−CH
2NH
2、−CH
2SO
2CH
3、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、−C
3−C
12−シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、−メトキシメトキシ、−メトキシエトキシ、−SH、−S−C
1−C
12−アルキル、−S−C
2−C
12−アルケニル、−S−C
2−C
12−アルケニル、−S−C
3−C
12−シクロアルキル、−S−アリール、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクロアルキルまたはメチルチオメチル)であり;
R
1はHであるか、またはO、SもしくはNから選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子をそれぞれが含有するアルキル、アルケニル、アルキニルであり;またはR
1は、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環または炭素環であり;ここで、R
1は、場合により置換されていてもよく;
R
2は、水素、場合により置換されているアルキル(アラルキルを含む)、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されているヘテロシクリルであり;ならびに
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルである)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0075】
特定の実施形態では、R
1は、それぞれが場合により置換されていてもよいフェニルまたはピリジルである。
【0076】
特定のさらなる実施形態では、R
1は、それぞれがさらに置換されていてもよいN(R
A)(R
A)、C(O)NH(R
A)、アルコキシおよび複素環(式中、各R
Aは、アルキルおよび複素環から独立して選択される)から選択される0〜4個の置換基で置換されている。
【0077】
特定のさらなる実施形態では、R
1は、アルコキシ、
【0079】
から選択される0〜4個の置換基で置換されている。
【0080】
特定の実施形態では、R
2は、H、メチルまたはエチルである。
【0081】
特定の実施形態では、R
6はHである。
【0083】
特定の実施形態では、R’はHである。
【0084】
特定の実施形態では、Lは存在しない。
【0085】
特定の実施形態では、Aは単結合である。
【0088】
(式中、
R’は、Hまたはアルキルであり;
Lは存在しないか、またはS、SO、SO
2もしくはCOであり;
Xは、式Iについて定義した任意選択の置換基であり;
Eは、NR
2またはCHR
2であり;
R
1はHであるか、またはO、SもしくはNから選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子をそれぞれが含有するアルキル、アルケニル、アルキニルであり;またはR
1は、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環または炭素環であり;ここで、R
1は、場合により置換されていてもよく;
R
2は、出現ごとに独立して、水素、場合により置換されているアルキル(アラルキルを含む)、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されているヘテロシクリルであり;ならびに
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルである)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0089】
特定の実施形態では、R
1は、それぞれが場合により置換されていてもよいフェニルまたはピリジルである。
【0090】
特定のさらなる実施形態では、R
1は、それぞれがさらに置換されていてもよいN(R
A)(R
A)、C(O)NH(R
A)、アルコキシおよび複素環(式中、各R
Aは、アルキルおよび複素環から独立して選択される)から選択される0〜4個の置換基で置換されている。
【0091】
特定のさらなる実施形態では、R
1は、アルコキシ、
【0093】
から選択される0〜4個の置換基で置換されている。
【0094】
特定の実施形態では、EはNR
2である。
【0095】
特定の実施形態では、R
2は、H、メチルまたはエチルである。特定の実施形態では、各R
2は、H、メチル、場合により置換されているベンジル、シクロペンチルまたはピラニルである。特定の実施形態では、EがNR
2である場合、一方のR
2は、Hまたはメチルであり、他方のR
2は、H、メチル、場合により置換されているベンジル、シクロペンチルまたはピラニルである。特定の実施形態では、場合により置換されているベンジルは、2−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、2−クロロ,4−フルオロベンジルまたは2−メチルベンジルである。
【0096】
特定の実施形態では、R
6はHである。
【0098】
特定の実施形態では、R’はHである。
【0099】
特定の実施形態では、Lは存在しない。
【0102】
(式中、
R’は、Hまたはアルキルであり;
Lは存在しないか、またはS、SO、SO
2もしくはCOであり;
Xは、式Iについて定義した任意選択の置換基であり;
R
1はHであるか、またはO、SもしくはNから選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子をそれぞれが含有するアルキル、アルケニル、アルキニルであり;またはR
1は、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環または炭素環であり;ここで、R
1は、場合により置換されていてもよく;
R
2は、出現ごとに独立して、水素、場合により置換されているアルキル(アラルキルを含む)、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されているヘテロシクリルであり;ならびに
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルである)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0103】
特定の実施形態では、R
1は、それぞれが場合により置換されていてもよいフェニルまたはピリジルである。
【0104】
特定のさらなる実施形態では、R
1は、それぞれがさらに置換されていてもよいN(R
A)(R
A)、C(O)NH(R
A)、アルコキシおよび複素環(式中、各R
Aは、アルキルおよび複素環から独立して選択される)から選択される0〜4個の置換基で置換されている。
【0105】
特定のさらなる実施形態では、R
1は、アルコキシ、
【0107】
から選択される0〜4個の置換基で置換されている。
【0108】
特定の実施形態では、R
2は、H、メチルまたはエチルである。
【0109】
特定の実施形態では、R
6はHである。
【0111】
特定の実施形態では、R’はHである。
【0112】
特定の実施形態では、Lは存在しない。
【0115】
(式中、
R’は、Hまたはアルキルであり;
Lは存在しないか、またはS、SO、SO
2もしくはCOであり;
Xは、式Iについて定義した任意選択の置換基であり;
R
1はHであるか、またはO、SもしくはNから選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子をそれぞれが含有するアルキル、アルケニル、アルキニルであり;またはR
1は、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環または炭素環であり;ここで、R
1は、場合により置換されていてもよく;
R
2は、出現ごとに独立して、水素、場合により置換されているアルキル(アラルキルを含む)、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されているヘテロシクリルであり;ならびに
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルである)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0116】
特定の実施形態では、R
1は、それぞれが場合により置換されていてもよいフェニルまたはピリジルである。
【0117】
特定のさらなる実施形態では、R
1は、それぞれがさらに置換されていてもよいN(R
A)(R
A)、C(O)NH(R
A)、アルコキシおよび複素環(式中、各R
Aは、アルキルおよび複素環から独立して選択される)から選択される0〜4個の置換基で置換されている。
【0118】
特定のさらなる実施形態では、R
1は、アルコキシ、
【0120】
から選択される0〜4個の置換基で置換されている。
【0121】
特定の実施形態では、R
2は、H、メチルまたはエチルである。
【0122】
特定の実施形態では、R
6はHである。
【0124】
特定の実施形態では、R’はHである。
【0125】
特定の実施形態では、Lは存在しない。
【0128】
(式中、
Xは、式Iについて定義した任意選択の置換基であり;
R
2は、水素または場合により置換されているアルキルであり;
R
3は、−OHまたは−O−(場合により置換されているアルキル)であり;
R
4は、水素または場合により置換されているアルキルであり;ならびに
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルである)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0129】
特定の実施形態では、R
2は、H、メチルまたはエチルである。
【0130】
R
3は、−OCH
3または−OCH
2CH
3である。
【0132】
特定の実施形態では、R’はHである。
【0133】
特定の実施形態では、R
4は、メチルまたはエチルである。
【0136】
(式中、
R’は、Hまたはアルキルであり;
Lは存在しないか、またはS、SO、SO
2もしくはCOであり;
Xは、式Iについて定義した任意選択の置換基であり;
R
1はHであるか、またはO、SもしくはNから選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子をそれぞれが含有するアルキル、アルケニル、アルキニルであり;またはR
1は、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環または炭素環であり;ここで、R
1は、場合により置換されていてもよく;
R
2は、出現ごとに独立して、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されているヘテロシクリルであり;または前記チオフェン環の隣接原子上の2個のX部分は、それらが結合している原子と一緒にフェニル環を形成し得;ならびに
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルである)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0139】
(式中、
R’は、Hまたはアルキルであり;
Lは存在しないか、またはS、SO、SO
2もしくはCOであり;
Xは、式Iについて定義した任意選択の置換基であり;
R
1はHであるか、またはO、SもしくはNから選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子をそれぞれが含有するアルキル、アルケニル、アルキニルであり;またはR
1は、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環または炭素環であり;ここで、R
1は、場合により置換されていてもよく;
R
2は、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されているヘテロシクリルであり;ならびに
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルである)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0140】
別の態様では、本発明は、式VIII:
【0142】
(式中、
R’は、Hまたはアルキルであり;
Lは存在しないか、またはS、SO、SO
2もしくはCOであり;
Xは、式Iについて定義した任意選択の置換基であり;
Zは、OまたはSであり;
R
1はHであるか、またはO、SもしくはNから選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子をそれぞれが含有するアルキル、アルケニル、アルキニルであり;またはR
1は、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環または炭素環であり;ここで、R
1は、場合により置換されていてもよく;
R
2は、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されているヘテロシクリルであり;ならびに
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルである)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0145】
(式中、
Aは、単結合または二重結合であり;
R’は、Hまたはアルキルであり;
Lは存在しないか、またはS、SO、SO
2もしくはCOであり;
Yは、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されているヘテロシクリルであり;
R
1はHであるか、またはO、SもしくはNから選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子をそれぞれが含有するアルキル、アルケニル、アルキニルであり;またはR
1は、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環または炭素環であり;ここで、R
1は、場合により置換されていてもよく;
R
2およびR
2’は、それぞれ独立して、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているシクロアルキルおよび場合により置換されているヘテロシクリルであり;
またはYおよびR
2’は、それらが結合している原子と一緒に5員環を形成し得;ならびに
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルである)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0148】
(式中、
Xは、CHR
4、CR
4、NH、NR
4またはNであり;
Yは、NR
5、N、S、SO、SO
2、O、CHR
5またはCR
5であり;ここで、XおよびYの少なくとも一方は、NH、NR
4、NR
5、N、S、SO、SO
2またはOであり;
Aは、単結合または二重結合であり;
Bは、単結合または二重結合であり、ここで、AおよびBの両方が二重結合ではなく;
R’は、Hまたはアルキルであり;
Lは存在しないか、またはS、SO、SO
2もしくはCOであり;
R
1はHであるか、またはO、SもしくはNから選択される0個、1個、2個もしくは3個のヘテロ原子をそれぞれが含有するアルキル、アルケニル、アルキニルであり;またはR
1は、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環または炭素環であり;ここで、R
1は、場合により置換されていてもよく;
R
2は、水素または場合により置換されているアルキルであり;
R
3は水素であるか、またはそれぞれが場合により置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環もしくは炭素環であり;R
4は水素であるか、またはそれぞれが場合により置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環もしくは炭素環であり;R
5は水素であるか、またはそれぞれが場合により置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環もしくは炭素環であり;またはR
3およびXは、それらが結合している原子と一緒に、それぞれが場合により置換されていてもよい3〜8員炭素環、アリール、複素環またはヘテロアリールを形成し;
またはXおよびYは、それらが結合している原子と一緒に、それぞれが場合により置換されていてもよい3〜8員炭素環、アリール、複素環またはヘテロアリールを形成し;
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルである)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0151】
(式中、
R
1は、アルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環または炭素環であり;ここで、R
1は、場合により置換されていてもよく;
R
2は、水素または場合により置換されているアルキルであり;
R
5は、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアラルキルまたは場合により置換されている炭素環であり;ならびに
R
6は、水素または場合により置換されているアルキルであり;
各R
7は、独立して、それぞれがハロ、ニトロまたはシアノで場合により置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、複素環、炭素環、アルコキシ、NH(アルキル)、NH(アリール)、N(アルキル)(アルキル)またはN(アルキル)(アリール)であり;pは、0〜4であり;
またはpが2、3もしくは4である場合、出現する2個のR
7は結合して、それらが結合している炭素原子と一緒に、(例えば、アリールまたはヘテロアリール環中に5個または6個の原子を有する)アリールまたはヘテロアリール環、例えば縮合フェニル環を形成し得る)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはプロドラッグを提供する。
【0152】
特定の実施形態では、R
1は、それぞれが場合により置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ピペリジニル、ピロリジノ、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリジジニル、キノリニル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、フラニル、イソキノリニル、イミアゾリルまたはトリアゾリルである。
【0153】
さらなる実施形態では、R
1は、それぞれが場合により置換されていてもよいフェニルまたはピリジルである。さらなる実施形態では、R
1はピラゾリルである。特定の実施形態では、R
1は、
【0156】
別の実施形態では、R
1は、ハロ、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、それぞれがさらに置換されていてもよいNH(R
A)、N(R
A)(R
A)、CO
2H、C(O)R
A、C(O)OR
A、C(O)NH
2、C(O)NH(R
A)、C(O)N(R
A)(R
A)、アルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、複素環および炭素環(式中、各R
Aは、アルキル、炭素環、アリール、ヘテロアリールおよび複素環から独立して選択される)から選択される0〜4個の置換基で置換されている。
【0157】
特定の実施形態では、出現する2個のR
7は結合して、フェニル環を形成する。
【0161】
本発明の代表的な化合物としては、限定されないが、以下の実施例のように、表1〜6の以下の化合物が挙げられる。
【0162】
本発明の化合物に適切な合成方法は、以下の実施例に見られ得る。加えて、米国特許出願公開第2012−0040961号(この内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている合成を適切に改変して使用して、本発明の化合物を調製し得る。
【0163】
別の実施形態は、本明細書で説明される反応のいずれか1つ、またはその組み合わせを使用して、本明細書の式の化合物のいずれかを製造する方法である。前記方法は、本明細書で説明される1つ以上の中間体または化学試薬の使用を含み得る。
【0164】
別の態様は、本明細書で説明される式のいずれかの同位体標識化合物である。このような化合物は、化合物に導入された放射性があってもなくてもよい1つ以上の同位元素(例えば、
3H、
2H、
14C、
13C、
35S、
32P、
125I、および
131I)を有する。このような化合物は、薬物代謝検討および診断に、さらには治療適用にも有用である。
【0165】
本発明の化合物は、化合物の遊離塩基形態を薬学的に許容され得る無機または有機の酸と反応させて、薬学的に許容され得る酸付加塩として製造することができる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩基付加塩は、化合物の遊離酸形態を薬学的に許容され得る無機または有機の塩基と反応させて、製造することができる。
【0166】
あるいは、本発明の化合物の塩形態は、出発物質または中間体の塩を使用して製造することができる。
【0167】
本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態は、対応する塩基付加塩または酸付加塩形態から、それぞれ、製造することができる。例えば、酸付加塩形態の本発明化合物は、適切な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウム等)で処理して、対応する遊離塩基に変換することができる。塩基付加塩形態の本発明化合物は、適切な酸(例えば、塩酸等)で処理することによって、対応する遊離酸に変換することができる。
【0168】
本発明化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に公知の方法で製造することができる(例えば、さらに詳細についてはSaulnier et al.,(1994),Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,Vol.4,p.1985を参照のこと)。例えば、本発明の非誘導体化化合物を適切なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリダート、パラ−ニトロフェニルカルボネート等)と反応させることによって適切なプロドラッグを製造することができる。
【0169】
本発明化合物の保護化誘導体は、当業者に公知の手段によって作成することができる。保護基の作成およびそれらの除去に適用可能な技術の詳細な記述は、T.W.Greene,「Protecting Groups in Organic Chemistry」,3rd edition,John Wiley and Sons,Inc.,1999に見られ得る。
【0170】
本発明の化合物は、溶媒和物(例えば、水和物)として、本発明の工程中で、都合良く製造、または形成することができる。本発明化合物の水和物は、ダイオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールなどの有機溶媒を用いる、水性/有機溶媒混合物から再結晶して都合良く製造できる。
【0171】
本明細書の方法で有用な酸および塩基は当技術分野で公知である。酸触媒は、いずれかの酸性化学物質であって、天然の無機物(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、三塩化アルミニウム)または有機物(例えば、カンファースルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、イッテルビウムトリフラート)であり得る。酸は、化学反応を促進するための触媒量または化学両論量のいずれかで、有用である。塩基は、塩基性化学物質であって、天然の無機物(例えば、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム)または有機物(例えば、トリエチルアミン、ピリジン)であり得る。塩基は、化学反応を促進するための触媒量または化学両論量のいずれかで、有用である。
【0172】
加えて、本発明のいくつかの化合物は、1つ以上の二重結合、または1つ以上の不斉中心を有する。このような化合物は、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、個々のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、およびシス−またはトランス−あるいはE−またはZ−の二重異性体、および絶対立体化学の観点から、(R)−または(S)−、またはアミノ酸に対する(D)−または(L)−と定義できる他の立体異性形態として生じてよい。これらの化合物のこのような異性体のすべては本発明内に明確に含まれる。光学異性体を、それらそれぞれの光学活性前駆物質から上記の手順によって、あるいはラセミ混合物を分割することによって調製することができる。分割は、分割剤の存在下に、クロマトグラフィーによってまたは反復再結晶によってまたは当業者に公知のこれらの技術のいくつかの組み合わせによって実施することができる。分割に関するさらなる詳細は、 Jacques,et al.,Enantiomers,Racemates,and Resolutions(John Wiley&Sons,1981)に見られ得る。本発明の化合物は複数の互変異性型で表すこともでき、このような場合には、本発明は、本明細書に記載される化合物のすべての互変異性型を明確に包含する(例えば、環系のアルキル化は複数部位のアルキル化をもたらし得、本発明はこのような反応産物のすべてを明確に包含する)。本明細書に記載される化合物がオレフィン二重結合または他の幾何学的不斉中心を含有していて、他に特に規定されない場合には、化合物はEおよびZの幾何異性体の両方を包含することが意図されている。同様に、すべての互変異性体を包含することが意図されている。本明細書に現れるいずれの炭素−炭素二重結合の配座も便宜的にのみ選択されていて、文脈上そのように記されていない限り、特定の配座を示すことを意図していない;したがって、本明細書で任意にトランスと表された炭素−炭素二重結合は、シス、トランス、あるいはいずれかの比率のその2つの混合物であり得る。このような化合物のこのような異性体のすべては、本発明に明確に包含される。本明細書に記載される化合物のすべての結晶形態は本発明に明確に包含される。
【0173】
合成された化合物は、反応混合物から分離されて、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、または再結晶などの方法によってさらに精製することができる。当業者には認識され得るように、本明細書の式の化合物を合成するさらなる方法は当業者に明白であろう。また、多様な合成工程を別の順序または順番で実施して所望の化合物を得ることができる。さらに、本明細書で詳述される溶媒、温度、反応時間等は説明のみを目的としていて、反応条件を変えると、所望の本発明の架橋された多環式産生物を生産することができるということを当業者は認識するだろう。本明細書に記載される化合物を合成するのに有用な合成化学変換および保護基手法(保護および脱保護)は当技術分野で公知であり、例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d.Ed.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);and L.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)およびこれらの続刊に記載されているようなものを包含する。
【0174】
本発明の化合物は、本明細書で詳述される合成手段のいずれかを使用して、様々な機能性を付加することにより改変して、選択的生物学的特性を増強することができる。このような改変は、当技術分野で公知であり、所定の生体系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)内への生物学的な浸透を増大し、経口利用性を増大し、注射による投与を可能にするように溶解性を増大し、代謝を改善し、排泄速度を改善するようなものを包含する。
【0175】
本発明の化合物は、それらの化学構造および化学名によって本明細書で定義される。化合物が化学構造および化学名の両方で示され、化学構造と化学名が矛盾している場合は、化学構造が化合物の同定に決定力がある。
【0176】
本明細書の可変基のいずれかの定義における化学基のリストの列挙は、あらゆる単一の基または挙げられた基の組み合わせとしての可変基の定義を包含する。本明細書の可変基に対する実施形態の列挙は、いずれかの単一の実施形態または別のいずれかの実施形態あるいはその部分との組み合わせとしての実施形態を包含する。
【0177】
本発明の方法
別の態様では、本発明は、被験体における疾患を治療する方法であって、式I〜IX(または式AもしくはF)の化合物、薬学的に許容され得る塩、エステルまたはプロドラッグを前記被験体に投与することを含む方法を提供する。
【0178】
一実施形態では、本発明は、疾患が、MAPキナーゼ、有糸分裂紡錘体キナーゼ、およびポロキナーゼから選択されるキナーゼによって媒介される方法を提供する。
【0179】
別の実施形態では、本発明は、疾患が、MPS1、ERK5、BMK1、MAPK7、ポロキナーゼ1、2、3、または4、Ack1、Ack2、Abl、DCAMKL1、ABL1、Abl変異体、DCAMKL2、ARK5、BRK、MKNK2、FGFR4、TNK1、PLK1、ULK2、PLK4、PRKD1、PRKD2、PRKD3、ROS1、RPS6KA6、TAOK1、TAOK3、TNK2、Bcr−Abl、GAK、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、Aurora、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKC、Raf、ROCK−H、Rsk1、SGK、TrkA、TrkBおよびTrkCから選択されるキナーゼによって媒介される方法を提供する。さらなる実施形態では、キナーゼは、ERK−5、MPS1またはBMK−1である。さらなる実施形態では、キナーゼは、ERK5、LRRK2またはEphA2である。
【0180】
別の実施形態では、本発明は、疾患が癌または増殖性疾患である方法を提供する。
【0181】
さらなる実施形態では、疾患は、肺、結腸、乳房、前立腺、肝臓、膵臓、脳、腎臓、卵巣、胃、皮膚、および骨の癌;胃腸、乳房、膵臓の癌;神経膠腫、および肝細胞癌、乳頭状腎細胞癌、頭頸部扁平上皮癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、および固形腫瘍である。
【0182】
別の実施形態では、疾患は、炎症、関節炎、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、若年性関節炎、および他の関節炎疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚関連疾患、乾癬、皮膚炎、熱傷、皮膚炎、神経炎症、アレルギー、疼痛、神経因性疼痛、発熱、肺疾患、肺の炎症、成人呼吸窮迫症候群、肺サルコイドーシス、喘息、珪肺、慢性炎症性肺疾患、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心臓血管疾患、動脈硬化症、心筋梗塞(心筋梗塞後症を包含する)、血栓症、鬱血性心不全、心臓再環流傷害ならびに高血圧および/または心不全に関連する合併症、例えば血管臓器損傷、再狭窄、心筋症、虚血および脳出血を含む卒中、再環流傷害、腎臓再環流傷害、卒中および脳虚血を含む虚血、および心臓/環血管バイパスに由来する虚血、神経変性疾患、肝疾患および腎炎、胃腸疾患、炎症性大腸炎、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、潰瘍性疾患、胃潰瘍、ウイルスおよび細菌感染症、敗血症、敗血性ショック、グラム陰性菌敗血症、マラリア、髄膜炎、HIV感染症、日和見感染症、感染症または悪性腫瘍に続発する悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発する悪液質、AIDS、ARC(AIDS関連症候群)、肺炎、ヘルペスウイルス、感染に起因する筋肉痛、インフルエンザ、自己免疫疾患、移植片対宿主反応および同種移植拒絶、骨吸収疾患の治療、骨粗しょう症、多発性硬化症、癌、白血病、リンパ腫、結腸直腸癌、脳の癌、骨の癌、上皮細胞由来新生物(上皮癌)、基底細胞癌
腫(basal cell carcinoma)、腺癌、消化器癌、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌、結腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、扁平上皮細胞および/または基底細胞癌
(basal cell cancers)、前立腺癌、腎細胞癌、および体内の上皮細胞に影響を及ぼす他の公知の癌、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)および急性前骨髄球性白血病(APL)、新生物を含む血管形成、転移、中枢神経系疾患、炎症およびアポトーシス成分を有する中枢神経系疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、
ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄損傷、および末梢神経障害、イヌB−細胞リンパ腫である。
【0183】
さらなる実施形態では、疾患は、炎症、関節炎、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、若年性関節炎、および他の関節炎状態、全身性エリテマトーデス(SLE)、皮膚関連疾患、乾癬、湿疹、皮膚炎、疼痛、肺疾患、肺の炎症、成人呼吸窮迫症候群、肺サルコイドーシス、喘息、慢性炎症性肺疾患、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心臓血管疾患、動脈硬化症、心筋梗塞(心筋梗塞後症を包含する)、鬱血性心不全、心臓再環流傷害、炎症性大腸炎、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、白血病、リンパ腫である。
【0184】
別の態様では、本発明は、被験体におけるキナーゼ媒介性障害を治療する方法であって、それを必要とすると判定された被験体に、式I〜IX(または式AもしくはF)の化合物、薬学的に許容され得る塩、エステルまたはプロドラッグを投与することを含む方法を提供する。
【0185】
一実施形態では、化合物は、MPS1、ERK5、BMK1、MAPK7、ポロキナーゼ1、2、3、または4、Ack1、Ack2、Abl、DCAMKL1、ABL1、Abl変異体、DCAMKL2、ARK5、BRK、MKNK2、FGFR4、TNK1、PLK1、ULK2、PLK4、PRKD1、PRKD2、PRKD3、ROS1、RPS6KA6、TAOK1、TAOK3、TNK2、Bcr−Abl、GAK、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、Aurora、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKC、Raf、ROCK−H、Rsk1、SGK、TrkA、TrkBまたはTrkCの阻害剤である。さらなる実施形態では、化合物は、ERK−5、MPS1、またはBMK−1の阻害剤である。さらなる実施形態では、キナーゼは、ERK−5、LRRK2またはEphA2である。
【0186】
特定の実施形態では、被験体にさらなる治療剤を投与する。
【0187】
さらなる実施形態では、化合物およびさらなる治療剤を同時投与または逐次投与する。
【0188】
別の態様では、本発明は、キナーゼ依存性細胞成長を減少させるための方法であって、細胞を、式I〜IX(または式AもしくはF)のキナーゼ阻害剤化合物と接触させることを含む方法を提供する。
【0189】
他の態様では、本発明は、このような治療を必要とすると判定された被験体におけるキナーゼを阻害する方法であって、式I〜IX(または式AもしくはF)の化合物を投与することを含む方法を提供する。
【0190】
特定の実施形態では、本発明は、被験体がヒトである方法を提供する。
【0191】
別の実施形態では、本発明は、キナーゼ阻害剤が、キナーゼの阻害について約1マイクロモル未満のKiを有する方法を提供する。
【0192】
一実施形態では、本発明は、式I〜IX(または式AもしくはF)の化合物を合成する方法を提供する。
【0193】
本発明の別の態様は、タンパク質キナーゼの阻害剤である化合物または組成物であって、それにより疾患、障害および症状の治療に有用な化合物または組成物と、それに加えて本明細書に記載される他の使用を提供する。特定の実施形態では、これらの組成物は、1つ以上のさらなる治療剤を場合によりさらに含む。
【0194】
本発明は、タンパク質キナーゼの阻害剤として有用な化合物および組成物を提供する。特定の実施形態では、本発明は、AAK1、ABL1、ABL1(E255K)、ABL1(F317I)、ABL1(F317L)、ABL1(H396P)、ABL1(M351T)、ABL1(Q252H)、ABL1(T315I)、ABL1(Y253F)、ABL2、ACVR1、ACVR1B、ACVR2A、ACVR2B、ACVRL1、ADCK3、ADCK4、AKT1、AKT2、AKT3、ALK、AMPK−αl、AMPK−α2、ANKK1、ARK5、ASK1、ASK2、AURKA、AURKB、AURKC、AXL、BIKE、BLK、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、BMX、BRAF、BRAF(V600E)、BRK、BRSK1、BRSK2、BTK、CAMK1、CAMK1D、CAMK1G、CAMK2A、CAMK2D、CAMK2G、CAMK4、CAMKK1、CAMKK2、CDC2L1、CDC2L2、CDK11、CDK2、CDK3、CDK5、CDK7、CDK8、CDK9、CDKL2、CDKL3、CDKL5、CHECK1、CHEK2、CIT、CLK1、CLK2、CLK3、CLK4、CSF1R、CSK、CSNK1A1L、CSNK1D、CSNK1E、CSNK1G1、CSNK1G3、CSNK2A1、CSNK2A2、CTK、DAPK1、DAPK2、DAPK3、DCAMKL1、DCAMKL2、DCAMKL3、DDR1、DDR2、DLK、DMPK、DMPK2、DRAK1、DRAK2、DYRK1A、DYRK1B、DYRK2、EGFR、EGFR(E746−A750DEL)、EGFR(G719C)、EGFR(G719S)、EGFR(L747−E749del、A750P)、EGFR(L747−S752del、P753S)、EGFR(L747−T751del、Sins)、EGFR(L858R)、EGFR(L858R、T790M)、EGFR(L861Q)、EGFR(S752−I759del)、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB6、ERBB2、ERBB3、ERBB4、ERK1、ERK2、ERK3、ERK4、ERK5、ERK8、ERN1、FAK、FER、FES、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR3(G697C)、FGFR4、FGR、FLT1、FLT3、FLT3(D835H)、FLT3(D835Y)、FLT3(ITD)、FLT3(K663Q)、FLT3(N841I)、FLT4、FRK、FYN、GAK、GCN2(Kin.Dom.2,S808G)、GRK1、GRK4、GRK7、GSK3A、GSK3B、HCK、HIPK1、HIPK2、HIPK3、HIPK4、HPK1、HUNK、ICK、IGF1R、IKK−ALPHA、IKK−BETA、IKK−EPSILON、INSR、INSRR、IRAK1、IRAK3、ITK、JAK1(JH1ドメイン−触媒的)、JAK1(JH2ドメイン−偽キナーゼ)、JAK2(JH1ドメイン−触媒的)、JAK3(JH1ドメイン−触媒的)、JNK1、JNK2、JNK3、KIT、KIT(D816V)、KIT(L576P)、KIT(V559D)、KIT(V559D、T670I)、KIT(V559D、V654A)、LATS1、LATS2、LCK、LIMK1、LIMK2、LKB1、LOK、LTK、LYN、LZK、MAK、MAP3K1、MAP2K15、MAP3K2、MAP3K3、MAP3K4、MAP4K2、MAP4K3、MAP4K5、MAPKAPK2、MAPKAPK5、MARK1、MARK2、MARK3、MARK4、MAST1、MEK1、MEK2、MEK3、MEK4、MEK6、MELK、MERTK、MET、MET(M1250T)、MET(Y1235D)、MINK、MKNK1、MKNK2、MLCK、MLK1、MLK2、MLK3、MRCKA、MRCKB、MST1、MST1R、MST2、MST3、MST4、MUSK、MYLK、MYLK2、MYO3A、MYO3B、NDR1、NDR2、NEK1、NEK2、NEK5、NEK6、NEK7、NEK9、NIM1、NLK、OSR1、p38−α、p38−β、p38−δ、p38−γ、PAK1、PAK2、PAK3、PAK4、PAK6、PAK7、PCTK1、PCTK2、PCTK3、PDGFRA、PDGFRB、PDPK1、PFTAIRE2、PFTK1、PHKG1、PHKG2、PIK3C2B、PIK3C2G、PIK3CA、PIK3CA(C420R)、PIK3CA(E542K)、PIK3CA(E545A)、PIK3CA(E545K)、PIK3CA(H1047L)、PIK3CA(H1047Y)、PIK3CA(M1043I)、PIK3CA(Q546K)、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、PIK4CB、PIM1、PIM2、PIM3、PIP5K1A、PIP5K2B、PKAC−ALPHA、PKAC−BETA、PKMYT1、PKN1、PKN2、PLK1、PLK2、PLK3、PLK4、PRKCD、PRKCE、PRKCH、PRKCQ、PRKD1、PRKD3、PRKG1、PRKG2、PRKR、PRKX、PRP4、PYK2、QSK、RAF1、RET、RET(M918T)、RET(V804L)、RET(V804M)、RIOK1、RIOK2、RIOK3、RIPK1、RIPK2、RIPK4、ROCK1、ROCK2、ROS1、RPS6KA1(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA1(Kin.Dom.2−C−末端)、RPS6KA2(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA2(Kin.Dom.2−C−末端)、RPS6KA3(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA4(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA4(Kin.Dom.2−C−末端)、RPS6KA5(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA5(Kin.Dom.2−C−末端)、RPS6KA6(Kin.Dom.1−N−末端)、RPS6KA6(Kin.Dom.2−C−末端)、SBK1、SgK085、SgK110、SIK、SIK2、SLK、SNARK、SRC、SRMS、SRPK1、SRPK2、SRPK3、STK16、STK33、STK39、SYK、TAK1、TAO1、TAOK2、TAOK3、TBK1、TEC、TESK1、TGFBR1、TGFBR2、TIE1、TIE2、TLK1、TLK2、TNIK、TNK1、TNK2、TNNI3K、TRKA、TRKB、TRKC、TSSK1B、TTK、TXK、TYK2(JH1ドメイン−触媒的)、TYK2(JH2ドメイン−偽キナーゼ)、TYRO3、ULK1、ULK2、ULK3、VEGFR2、WEE1、WEE2、YANK2、YANK3、YES、YSK1、YSK4、ZAKおよびZAP70から選択されるタンパク質キナーゼの阻害剤として有用な化合物および組成物を提供する。さらなる実施形態では、キナーゼは、ERK5、LRRK2またはEphA2である。
【0195】
いくつかの実施形態では、本発明は、MPS1、ERK5、BMK1、MAPK7、ポロキナーゼ1、2、3、または4、Ack1、Ack2、Abl、DCAMKL1、ABL1、Abl変異体、DCAMKL2、ARK5、BRK、MKNK2、FGFR4、TNK1、PLK1、ULK2、PLK4、PRKD1、PRKD2、PRKD3、ROS1、RPS6KA6、TAOK1、TAOK3、TNK2、Bcr−Abl、GAK、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、Aurora、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKC、Raf、ROCK−H、Rsk1、SGK、TrkA、TrkBおよびTrkCから選択されるタンパク質キナーゼの阻害剤として有用な化合物および組成物を提供する。さらなる実施形態では、キナーゼは、ERK−5、LRRK2またはEphA2である。
【0196】
タンパク質キナーゼの阻害剤として、本発明の化合物および組成物は、タンパク質キナーゼが関与する疾患、症状または障害を治療するかまたはこれらの重症度を軽減するために特に有用である。一態様では、本発明は、疾患、症状または障害を治療するかまたはこれらの重症度を軽減する方法であって、タンパク質キナーゼが疾患状態に関与する方法を提供する。別の態様では、本発明は、キナーゼ疾患、症状または障害を治療するかまたはこれらの重症度を軽減する方法であって、酵素活性の阻害が疾患の治療に関与する方法を提供する。別の態様では、本発明は、タンパク質キナーゼと結合することによって酵素活性を阻害する化合物を用いて、疾患、症状または障害を治療するかまたはこれらの重症度を軽減する方法を提供する。別の態様は、タンパク質キナーゼ阻害剤を用いてキナーゼの酵素活性を阻害することによって、キナーゼ疾患、症状または障害を治療するかまたはこれらの重症度を軽減する方法を提供する。
【0197】
いくつかの実施形態では、前記方法は、自己免疫疾患、炎症性疾患、増殖性および過剰増殖性疾患、免疫介在性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経−神経変性疾患、心臓血管疾患、ホルモン関連疾患、アレルギー、喘息およびアルツハイマー病から選択される疾患を治療または予防するために用いられる。他の実施形態では、前記疾患は増殖性疾患および神経変性疾患から選択される。
【0198】
本発明の一態様は、過剰なまたは異常な細胞増殖を特徴とする疾患、症状または障害の治療に有用である化合物を提供する。このような疾患は、増殖性または過剰増殖性疾患、および神経変性疾患を包含する。増殖性および過剰増殖性疾患の例は、限定されないが、癌を包含する。用語「癌」は、限定されないが、以下の癌を包含する:乳房、卵巣、子宮頸部、前立腺;睾丸、尿生殖路;食道;喉頭、膠芽腫;神経芽細胞腫;胃;皮膚、角化棘細胞腫;肺、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌、肺腺癌;骨;結腸;結腸直腸;線腫;膵臓、腺癌;甲状腺、濾胞腺癌、未分化癌、乳頭癌;精上皮腫;黒色種;肉腫;膀胱癌;肝臓癌および胆汁道;腎臓癌;骨髄疾患;リンパ疾患、ホジキン、毛様細胞;口腔および咽頭(口腔)、口唇、舌、口、咽頭;小腸;結腸−直腸、大腸、直腸、脳および中枢神経系;慢性骨髄性白血病(CML)、および白血病。用語「癌」は、限定されないが、以下の癌を包含する:骨髄腫、リンパ腫、または胃、腎臓から選択される癌、および/または以下の癌:頭頸部、口腔咽頭、非小細胞肺癌(NSCLC)、子宮内膜、肝細胞癌、非ホジキンリンパ腫、および肺。
【0199】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、結腸直腸、甲状腺、乳房、および肺癌などの癌;および真正赤血球増加症、血小板血症、骨髄線維症を伴う骨髄様化生症、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、好酸球増加症候群、若年性骨髄単球性白血病、および全身性肥満細胞症などの骨髄増殖性疾患の治療に有用である。
【0200】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、造血障害、特に、急性骨髄性白血病(AMLi)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性前骨髄球性白血病、および急性リンパ性白血病(ALL)を治療するために有用である。
【0201】
神経変性疾患の例は、限定されないが、アルツハイマー病を包含する。
【0202】
本発明の別の態様は、増殖性疾患もしくは過剰増殖性疾患または神経変性疾患から選択される疾患を治療するかまたはこれらの重症度を軽減するための方法であって、有効量の化合物、または化合物を含む薬学的に許容され得る組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。
【0203】
本発明は、キナーゼ関連疾患、特に、MPS1、ERK5、BMK1、MAPK7、ポロキナーゼ1、2、3、または4、Ack1、Ack2、Abl、DCAMKL1、ABL1、Abl変異体、DCAMKL2、ARK5、BRK、MKNK2、FGFR4、TNK1、PLK1、ULK2、PLK4、PRKD1、PRKD2、PRKD3、ROS1、RPS6KA6、TAOK1、TAOK3、TNK2、Bcr−Abl、GAK、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、Aurora、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKC、Raf、ROCK−H、Rsk1、SGK、TrkA、TrkBおよびTrkCキナーゼ関連疾患の治療のための化合物、組成物および方法を提供する。さらなる実施形態では、キナーゼは、ERK−5、LRRK2またはEphA2である。
【0204】
本発明の化合物は、キナーゼの活性を調節し、例えば、キナーゼが疾患の病状および/または兆候の原因となっている疾患または障害を治療するために有用である。本明細書に記載される化合物および組成物によって阻害されるキナーゼであって、本明細書に記載される方法が有用であるキナーゼの例は、限定されないが、MPS1、ERK5、BMK1、MAPK7、ポロキナーゼ1、2、3、または4、Ack1、Ack2、Abl、DCAMKL1、ABL1、Abl変異体、DCAMKL2、ARK5、BRK、MKNK2、FGFR4、TNK1、PLK1、ULK2、PLK4、PRKD1、PRKD2、PRKD3、ROS1、RPS6KA6、TAOK1、TAOK3、TNK2、Bcr−Abl、GAK、cSrc、TPR−Met、Tie2、MET、FGFR3、Aurora、Axl、Bmx、BTK、c−kit、CHK2、Flt3、MST2、p70S6K、PDGFR、PKB、PKC、Raf、ROCK−H、Rsk1、SGK、TrkA、TrkBおよびTrkCキナーゼを包含する。さらなる実施形態では、キナーゼは、ERK−5、LRRK2またはEphA2である。
【0205】
タンパク質キナーゼの阻害剤として、本発明の化合物および組成物は生体試料にも有用である。本発明の一態様は、生体試料中のタンパク質キナーゼ活性を阻害することであって、前記生体試料を、本発明の化合物または前記化合物を含む組成物と接触させることを含む方法に関する。本明細書で使用される用語「生体試料」は、限定されないが、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られた生検物質またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液または他の体液またはその抽出物を包含する、インビトロまたはエクスビボのサンプルを意味する。生体試料におけるタンパク質キナーゼ活性の阻害は、当業者に公知である様々な目的に対して有用である。このような目的の例は、限定されないが、輸血、臓器移植、および生物試料の保管を包含する。
【0206】
本発明の別の態様は、生物学的および病理学的な事象におけるタンパク質キナーゼの検討;このようなタンパク質キナーゼによって媒介される細胞内信号伝達経路の検討;および新規なタンパク質キナーゼ阻害剤の比較評価に関する。このような使用の例は、限定されないが、酵素アッセイおよび細胞に基づいたアッセイなどの生物学的アッセイを包含する。
【0207】
タンパク質キナーゼ阻害剤としての化合物の活性は、インビトロ、インビボまたは細胞株においてアッセイできる。インビトロアッセイは、キナーゼ活性または活性化キナーゼのATPアーゼ活性のいずれかの阻害を確認するアッセイを包含する。あるいは、インビトロアッセイは、阻害剤のタンパク質キナーゼに結合する能力を定量し、これは、阻害剤を結合前に放射標識し、阻害剤/キナーゼ複合体を単離して、結合した放射標識の量を測定することによって、あるいは新規な阻害剤を公知の放射性リガンドと結合しているキナーゼと共に培養するような競合実験を行うことのいずれかによって測定できる。様々なキナーゼの阻害剤として本発明で用いられる化合物をアッセイするための詳細な条件は、下記の実施例に記載されている。
【0208】
前記にしたがって、本発明はさらに、このような治療を必要とする被験体における上記疾患または障害のいずれかを予防または治療するための方法であって、治療有効量の本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を前記被験体に投与することを含む方法を提供する。上記使用のいずれの場合にも、必要用量は、投与方法、治療される特定の症状および所望の効果によって変化するだろう。
【0209】
医薬組成物
別の態様では、本発明は、薬学的に許容され得る担体と共に、式I〜IX(または式AもしくはF)の化合物またはそれらの薬学的に許容され得るエステル、塩もしくはプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【0210】
本発明の化合物は、医薬組成物として、いずれかの通常の経路で、特に経腸的に、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセルの形態で、あるいは非経口的に、例えば、注射溶液または懸濁液の形態で、局所的に、例えば、ローション、ゲル、軟膏またはクリームの形態で、あるいは経鼻的にまたは坐薬形態で、投与することができる。少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体または希釈剤と共に、遊離形態または薬学的に許容され得る塩の形態の本発明の化合物を含む医薬組成物は、混合、顆粒またはコーティングの方法により従来通りに製造することができる。例えば、経口用組成物は、活性成分をa)希釈剤、例えば、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルカン、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤にはc)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドンも;所望によりd)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、着香剤および甘味剤と共に含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得る。注射用組成物は、水性等張溶液または懸濁液であってよく、坐薬は、脂肪乳剤または懸濁液から調製できる。組成物は滅菌することができ、および/または保存剤、安定化剤、湿潤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節する塩および/または緩衝剤などの補助剤を含有することができる。さらに、これらは他の治療に役立つ物質も含有することができる。経皮投与に適切である製剤は、本発明の化合物の有効量を担体と共に含有する。担体は、宿主の皮膚を介する浸透を補助する吸収性の薬学的に許容され得る溶媒を含有できる。
例えば、経皮用のデバイスは、裏打ち材、場合により担体と共に化合物を含有する貯留層、宿主の皮膚へ長期間に渡って制御された所定の速度で化合物を送達する速度制御バリアーを場合により、デバイスを皮膚に固定する手段を含有する包帯の形態にある。マトリックス経皮用製剤を用いることもできる。局所投与、例えば皮膚および目への投与に適切である製剤は、当技術分野で周知である、水溶液、軟膏、クリームまたはゲルが好ましい。このようなものは、可溶化剤、安定化剤、等張化増強剤、緩衝剤および保存剤を含有できる。
【0211】
本発明の化合物は、治療有効量で、1つ以上の治療剤と組み合わせて(医薬コンビネーション)投与することができる。例えば、他の免疫調節または抗炎症物質、例えばシクロスポリン、ラパマイシン、またはアスコマイシン、またはこれらの免疫抑制類縁体、例えば、シクロスポリンA(CsA)、シクロスポリンG、FK−506、ラパマイシン、または同等化合物、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキセート、ブレキナル、レフルノミド、ミゾリビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスペルグアリン、免疫抑制抗体、特に白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD25、CD28、B7、CD45、CD58またはそれらのリガンド、または他の免疫調節化合物、例えばCTLA41gと組み合わせて使用する場合に、相乗効果が生じ得る。本発明の化合物を他の治療剤と併用して投与する場合、併用投与する化合物の用量は勿論、用いられる併用薬のタイプによって、用いられる特定の薬剤によって、治療される症候等によって変化するだろう。
【0212】
本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る担体と共に製剤化された治療有効量の本発明の化合物を含む。本明細書で使用される用語「薬学的に許容され得る担体」は、非毒性で不活性な、固体、半固体または液体の、充填剤、希釈剤、封入剤またはいずれかのタイプの製剤補助剤を意味する。本発明の医薬組成物は、ヒトおよび他の動物に、経口で、直腸内に、非経口で、嚢内に、膣内に、腹腔内に、局所に(粉末、軟膏、または滴下で)、口腔に、または経口あるいは経鼻スプレーとして投与することができる。
【0213】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルを包含する。活性化合物に加えて、液体の剤形は、例えば、水あるいは他の溶媒、可溶化剤およびエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、キャスター、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類およびソルビタンの脂肪酸エステルなどの乳化剤、およびこれらの混合物のような、当技術分野で従来用いられている不活性希釈剤を含有することができる。不活性希釈剤に加えて、経口用組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味剤、着香剤、および芳香剤などの補助剤も含有することができる。
【0214】
注射製剤、例えば、滅菌注射用水性液または油性懸濁液は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知技術にしたがって製剤化できる。滅菌注射用製剤は、非毒性で非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液、またはエマルジョン、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液であり得る。使用してもよい許容され得る賦形剤および溶媒には、水、リンゲル溶液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌、固定油は溶媒または懸濁化媒体として一般に用いられている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを包含する、あらゆる無刺激性の固定油を用いることができる。また、オレイン酸などの脂肪酸は注射剤の調製に使用される。
【0215】
薬剤の効果を長期化するために、皮下または筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅くすることが望ましい場合が多い。これは、難水溶性の結晶または非晶質物質の液体懸濁液を使用して達成できる。その際、薬剤の吸収速度はその解離速度によって決まり、これは今度は、結晶サイズおよび結晶形によって決まり得る。あるいは、非経口で投与された薬剤形態の遅延吸収は、薬剤を油性賦形剤に溶解または懸濁することによって達成される。
【0216】
直腸または膣内投与するための組成物は、本発明の化合物を、常温では固体であるが体温では液体であるので直腸または膣腔内で溶解して活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬用ワックスなどの適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより調製できる坐薬が好ましい。
【0217】
同じタイプの固形組成物は、ラクトースまたは乳糖、さらに高分子量のポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いる、軟および硬ゼラチンカプセルに充填剤としても用いることができる。
【0218】
活性化合物は、上記のような1つ以上の賦形剤と共にマイクロカプセル化形態にすることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、および顆粒の固体剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよび医薬製剤技術分野において周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを使用して調製することができる。このような固体剤形では、活性化合物は、蔗糖、乳糖またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性充填剤と混合することができる。このような剤形は、通常実施するように、不活性充填剤以外のさらなる物質、例えば、錠剤用滑沢剤、およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースなどの他の錠剤化助剤も含有することができる。カプセル、錠剤およびピルの場合は、剤形は緩衝剤を含有することもできる。
【0219】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチを包含する。活性成分は滅菌条件下で薬学的に許容され得る担体および必要な保存剤または必要に応じて緩衝剤と混合する。眼科用製剤、点耳薬、眼軟膏、粉末および溶液も本発明の範囲内にあることが意図されている。
【0220】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性および植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの組み合わせなどの賦形剤を含有してもよい。
【0221】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含有してもよい。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素などの、通常の高圧ガスをさらに含有してもよい。
【0222】
経皮パッチは、化合物の身体への制御された送達をもたらすさらなる利点を有する。このような剤形は、化合物を適切な媒体に溶解または調合させて作成することができる。吸収促進剤も皮膚を通る化合物の流動を増大するために用いることができる。速度制御膜を備えるか、あるいは化合物をポリマーマトリックスまたはゲルに分散させるかして、速度を制御することができる。
【0223】
本発明の治療方法にしたがって、治療有効量の本発明の化合物を、所望の結果をもたらすのに必要な量および期間で、被験体に投与することによって、ヒトまたは他の動物などの被験体において、障害を治療または予防する。本明細書で使用される用語、本発明の化合物の「治療有効量」は、被験体における障害の症候を減少するために十分な化合物の量を意味する。医学の分野で十分に理解されているように、本発明化合物の治療有効量はいずれの薬物療法にも適用可能な妥当な便益/リスクの比にあるだろう。
【0224】
一般に、本発明の化合物は、単独であるいは1つ以上の治療剤と併用して、当技術分野で公知の通常の、許容され得る方法によって、治療有効量を投与されるだろう。治療有効量は、疾患の重症度、被験体の年齢および相対的な健康、用いられる化合物の有効性、および他の因子によって大きく変化してよい。一般に、1日当たり約0.03〜2.5mg/体重kgの用量で満足な結果が全身に得られることが示されている。より大きい哺乳動物、例えばヒトにおける示される1日用量は、約0.5mg〜約100mgの範囲で、例えば、1日に4回までの分割用量でまたは遅延形態で都合良く投与される。経口投与用の適切な単位剤形は約1〜50mgの活性成分を含む。
【0225】
特定の実施形態では、本発明化合物の治療量または用量は、約0.1mg/Kg〜約500mg/Kg、あるいは約1〜約50mg/Kgの範囲でよい。一般に、本発明による治療レジメンは、1日当たり、本発明化合物(複数も)の約10mg〜約1000mgを単一または複数用量で、このような治療を必要としている患者に投与することを含有する。治療量または用量は、投与経路によって、さらには併用する他の薬剤の可能性によっても変化するだろう。
【0226】
被験体の状態が改善されると、必要により、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持用量を投与することができる。その後、用量または投与頻度、あるいは両方を、症候に応じて、改善された状態が維持されるレベルまで減少でき、症候が所望のレベルまで軽減されたら、治療を中止すべきである。しかしながら、被験体は、いずれかの病状の再発に基づいて長期に渡る間欠治療が必要であり得る。
【0227】
しかしながら、当然のことながら、本発明の化合物および組成物の1日の総使用量は、主治医によって正しい医学判断の範囲内で決定されるべきである。あらゆる特定の患者に対する特定の阻害用量は、治療する疾患および疾患の重症度;用いる特定化合物の活性;用いる特定組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食生活;用いる特定化合物の投与時間、投与経路、および排泄速度;治療期間;用いる特定化合物と組み合わせてまたは同時に存在して使用される薬剤;および医薬分野において周知の同様な因子によって決まるだろう。
【0228】
本発明はまた、a)本明細書に開示される本発明の化合物である第1薬剤であって、遊離形態または薬学的に許容され得る塩の形態の第1薬剤、およびb)少なくとも1つの併用薬剤を含む医薬コンビネーション(例えば、キット)を提供する。キットはその投与に関する使用説明書を含有することができる。
【0229】
本明細書で使用される用語「同時投与」または「併用投与」等は、選択された治療剤を単一の患者に投与することを包含することを示していて、およびその薬剤を必ずしも同じ投与経路であるいは同時に投与する必要はないような治療レジメンを包含するように意図されている。
【0230】
本明細書で使用される用語「医薬コンビネーション」は、1つ以上の活性成分を混合または組み合わせて生じる産物を意味して、活性成分の固定および非固定コンビネーションの両方を包含する。用語「固定コンビネーション」は、活性成分、例えば、本発明化合物および併用薬剤の両方を患者に単一体または単一用量の形態で同時に投与することを意味する。用語「非固定コンビネーション」は、活性成分、例えば、本発明化合物および併用薬剤の両方を患者に別個の形態として、同時に、並行して、または特定の時間制限なしで連続して、投与することを意味して、このような投与は患者の体内で2つの化合物の治療効果的なレベルをもたらす。後者はカクテル療法、例えば、3つまたはそれ以上の活性成分の投与にも適用される。
【0231】
特定の実施形態では、これらの組成物は、1つ以上のさらなる治療剤を場合によりさらに含む。例えば、増殖性疾患および癌を治療するために、化学療法剤または他の抗増殖性の薬剤を本発明の化合物と併用することができる。公知の化学療法剤の例は、限定されないが、Gleevec(商標)、アドリアマイシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、タクソール、インターフェロン、および白金誘導体を包含する。
【0232】
本発明の化合物と併用できる薬剤の他の例は、限定されないが、Aricept18およびExcelon(R)などのアルツハイマー病の治療薬;L−DOPA/カルビドバ(carbidopa)、エンタカポン(entacapone)、ロピニロール(ropinirole)、プラミペクソール(pramipexole)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ペルゴリド(pergolide)、トリヘキシフェンジル(trihexephendyl)、およびアマンタジンなどのパーキンソン病治療薬;βインターフェロン(例えば、Avonex(R)およびRebif(R))、Copaxone(R)、およびミトキサントロン(mitoxantorone)などの多発性硬化症(MS)の治療薬;アルブテロールおよびSingulair(R)などの喘息治療薬;ジプレキサ、リスパダール(risperdal)、セロクエル、およびハロペリドールなどの総合失調症の治療薬;コルチコステロイド、TNF遮断薬、IL−IRA、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびスルファサラジンなどの抗炎症剤;シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、およびスルファサラジンなどの免疫調節および免疫抑制剤;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、MAO阻害剤、インターフェロン、抗痙攣剤、イオン・チャネル遮断剤、リルゾール(riluzole)、および抗パーキンソン病薬などの神経栄養因子;β遮断薬、ACE阻害剤、利尿剤、硝酸塩、カルシウムチャネル遮断薬、およびスタチン類などの心臓血管疾患の治療薬;コルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロン、および抗ウイルス剤などの肝臓疾患の治療薬;コルチコステロイド、抗白血病薬、および成長因子などの血液疾患の治療薬;およびガンマグロブリンなどの免疫不全疾患の治療薬を包含する。薬学的に許容され得る担体として働く物質のいくつかの例は、限定されないが、イオン交換体;アルミナ;ステアリン酸アルミニウム;レシチン;ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質;リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウムなどの緩衝物質;飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物;水;硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩などの塩または電解質;コロイド状シリカ;三ケイ酸マグネシウム;ポリビニルピロリドン;ポリアクリル酸塩;ワックス;ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体;羊毛脂;乳糖、ブドウ糖および蔗糖などの糖;トウモロコシデンプンおよび馬鈴薯デンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐薬用ワックスなどの賦形剤;落花生油および綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油類;プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール類;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル類;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質が含まれていない水(パイロジェンフリー水);等張食塩液;リンゲル溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝溶液を包含し、さらにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性適合性の滑沢剤、さらに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、着香剤および芳香剤、保存剤、および抗酸化剤も、製剤者の判断にしたがって、組成物中に存在させることができる。タンパク質キナーゼ阻害剤またはそれらの薬学的塩は、動物またはヒトへ投与するための医薬組成物中に製剤化することができる。タンパク質キナーゼ媒介性症状を治療または予防するのに有効なタンパク質阻害剤の量および薬学的に許容され得る担体を含むこれらの医薬組成物は、本発明の別の実施形態である。
【0233】
別の態様では、本発明は、式I〜IX(または式AもしくはF)の1つ以上の化合物から選択される、キナーゼ活性を阻害することができる化合物と、癌治療の使用説明書とを含むキットを提供する。
【実施例】
【0234】
本発明の化合物および方法は、以下の実施例との関連でより良く理解できるだろう。これらは説明することのみを意図していて、本発明の範囲を限定するものではない。開示されている実施形態に対する多様な変更および改変は当業者に明らかであり、限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、製剤および/または方法に関するものを含むこのような変更および改変は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0235】
以下の合成例は、本発明の化合物の適切な調製方法を説明する。
実施例1:式IVのチオフェン化合物の合成
【0236】
【化27】
【0237】
メチル3−アミノチオフェン−2−カルボキシレート(2.36g、15mmol)およびDIEA(5.22mL、30mmol)の2−PrOH(60mL)撹拌溶液に、2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(3.78g、19.5mmol)を室温で少しずつ追加した。次いで、反応物を室温(RT)で撹拌した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了した後、得られた混合物を酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、真空中で濃縮した。残留物をさらに精製せずに次の工程に直接使用した。
【0238】
メチル3−(2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)チオフェン−2−カルボキシレートおよび鉄粉(8.4g、150mmol)の酢酸(220mL)混合物を55℃で加熱した。反応が完了した後、混合物を真空中で濃縮した。次いで、メタノールおよびジクロロメタンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、メチル3−(5−アミノ−2−クロロピリミジン−4−イルアミノ)チオフェン−2−カルボキシレート(4.2g、98%)を得た。
【0239】
メチル3−(5−アミノ−2−クロロピリミジン−4−イルアミノ)チオフェン−2−カルボキシレートのメタノール/テトラヒドロフラン(30mL/30mL)懸濁液に、LiOH溶液(水30mL中、3.99g(95mmol))を室温で追加した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了した後、反応混合物を濃縮し、6N HClを用いてPH5まで中和した。沈殿した固体を回収した。CHC13/i−PrOH(4/1)で水層を2回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を真空中で除去した。生成物のこの部分を沈殿した固体と合わせた。
【0240】
3−(5−アミノ−2−クロロピリミジン−4−イルアミノ)チオフェン−2−カルボン酸(1.17g、4.33mmol)、HATU(2.47g、6.5mmol)およびDIEA(2.27mL、13mmol)の反応混合物のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液25.0mLを室温で撹拌した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了した後、この溶液を氷水に注いだ。沈殿した固体を回収し、凍結乾燥した。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0241】
出発物質(25mg、0.1mmol)、2−メトキシ−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン(22mg、0.1mmol)、X−Phos(4.3mg)、Pd
2(dba)
3(5.5mg)およびK
2CO
3(41.5mg、0.3mmol)のt−BuOH(1.5mL)混合物を密封チューブ中、100℃で4時間加熱した。次いで、反応物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタンで溶出した。溶媒を真空中で除去し、ISCOによって残留物を精製して、表題化合物(24.7mg)を得た。
【0242】
実施例2:式IIIのスルホン化合物の合成
【0243】
【化28】
【0244】
2,4−ジクロロピリミジン−5−アミン(328mg、2.0mmol)およびTEA(0.42mL、3.0mmol)のジクロロメタン(6.0mL)撹拌溶液に、2−ニトロベンゼン−1−スルホニルクロリド(443mg、2.0mmol)を0℃で少しずつ追加した。反応混合物を撹拌し、室温に近づけた。LC−MSによるモニタリングで反応が完了した後、得られた混合物をジクロロメタンで希釈し、水およびブラインで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、真空中で濃縮した。ジクロロメタン:メタノールを用いてシリカゲルクロマトグラフィーによって残留物を精製して、所望の化合物N−(2,4−ジクロロピリミジン−5−イル)−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(359mg、52%)を得た。
【0245】
N−(2,4−ジクロロピリミジン−5−イル)−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(190mg、0.55mmol)および鉄粉(560mg、10mmol)の酢酸(8mL)混合物を60℃で加熱した。反応が完了した後、混合物を真空中で濃縮し、氷水に注いだ。沈殿した固体を回収し、凍結乾燥した。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0246】
出発物質(28mg、0.1mmol)、2−メトキシ−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン(22mg、0.1mmol)、X−Phos(4.3mg)、Pd
2(dba)
3(5.5mg)およびK
2CO
3(41.5mg、0.3mmol)のt−BuOH(1.5mL)混合物を密封チューブ中、100℃で4時間加熱した。次いで、反応物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタンで溶出し、真空中で濃縮した。次いで、逆相分取HPLCによって残留物を精製して、TFA塩(7.2mg、15%)として表題化合物を得た。
【0247】
実施例3:式Iの四環系化合物の合成
【0248】
【化29】
【0249】
1−(tert−ブトキシカルボニル)インドリン−7−カルボン酸(460mg、1.75mmol)、MeI(0.22mL、3.5mmol)および炭酸カリウム(484mg、3.5mmol)のアセトン(20mL)混合物を60℃で加熱した。反応が完了した後、反応混合物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタンで溶出し、真空中で濃縮した。ヘキサン:酢酸エチルを用いてシリカゲルクロマトグラフィーによって残留物を精製して、1−tert−ブチル7−メチルインドリン−1,7−ジカルボキシレート(390mg、80%)を得た。
【0250】
1−tert−ブチル7−メチルインドリン−1,7−ジカルボキシレート(390mg、1.41mmol)およびTFA(2.5mL)のジクロロメタン(8mL)混合物を室温で撹拌した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了した後、混合物を真空中で濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、真空中で濃縮した。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0251】
メチル1−インドリン−7−カルボキシレート(244mg、1.37mmol)、2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(400mg、2.06mmol)およびDIEA(0.72mL、4.1mmol)のジオキサン(17mL)混合物を50℃で撹拌した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了した後、得られた混合物を真空中で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、メチル1−(2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イル)インドリン−7−カルボキシレート(433mg、94%)を得た。
【0252】
メチル1−(2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イル)インドリン−7−カルボキシレート(188mg、0.69mmol)および鉄粉(800mg、14.3mmol)の酢酸(12mL)混合物を55℃で加熱した。反応が完了した後、混合物を真空中で濃縮し、氷水に注いだ。沈殿した固体を回収し、凍結乾燥した。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0253】
出発物質(27mg、0.1mmol)、2−メトキシ−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン(22mg、0.1mmol)、X−Phos(4.3mg)、Pd
2(dba)
3(5.5mg)およびK
2CO
3(41.5mg、0.3mmol)のt−BuOH(1.5mL)混合物を密封チューブ中、100℃で4時間加熱した。次いで、反応物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタンで溶出し、真空中で濃縮した。次いで、逆相分取HPLCによって残留物を精製して、TFA塩(21.5mg、47%)として表題化合物を得た。
【0254】
実施例4:式IIの化合物の合成
【0255】
【化30】
【0256】
【化31】
【0257】
2,4−ジクロロピリミジン−5−アミン(246mg、1.5mmol)、2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンアミン(219mg、1.0mmol)、Pd(dppb)Cl
2(60mg、0.1mmol)およびNa
2CO
3(4mL、1.0M溶液)のトルエン/EtOH(2.0mL/3.0mL)混合物を密封チューブ中、100℃で3時間加熱した。次いで、反応物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタンで溶出し、ブラインで洗浄し、真空中で濃縮した。次いで、3.5NアンモニアMeOH溶液:ジクロロメタンを用いてシリカゲルクロマトグラフィーによって残留物を精製して、4−(2−アミノフェニル)−2−クロロピリミジン−5−アミン(158mg、48%)を得た。
【0258】
4−(2−アミノフェニル)−2−クロロピリミジン−5−アミン(17mg、0.077mmol)のジオキサン(2.5mL)撹拌溶液に、DIEA(0.04mL)およびトリホスゲン(11mg、0.039mmol)を室温で追加した。次いで、反応物を100℃で撹拌した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了した後、この溶液を氷水に注いだ。沈殿した固体を回収し、凍結乾燥した。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0259】
出発物質(12mg、0.05mmol)、1−(4−アミノフェニル)ピペリジン−4−オール(10mg、0.05mmol)、X−Phos(4.3mg)、Pd
2(dba)
3(5.5mg)およびK
2CO
3(30mg、0.22mmol)のt−BuOH(1.0mL)混合物を密封チューブ中、85℃で4時間加熱した。次いで、反応物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタンで溶出し、真空中で濃縮した。次いで、逆相分取HPLCによって残留物を精製して、TFA塩(8.2mg、40%)として表題化合物を得た。
【0260】
実施例5:式Vの化合物の合成
【0261】
【化32】
【0262】
a試薬および条件:(a)4N HClジオキサン溶液、ジオキサン、60℃;(b)Fe/HOAc、60℃;(c)MeI/NaH、DMA、0℃;(d)X−Phos(9%mol)、Pd
2(dba)
3(6%mol)、K
2CO
3(3.0当量)、t−BuOH、100℃
【0263】
化学反応。ベンゾ[e]ピリミド−[5,4−b]ジアゼピン−6(11H)−オンの合成を可能にするために、効率的な4段階合成経路を開発した。改変した合成手順を使用する25の合成は、スキーム5に概説されている。最初に、酸性条件下で、4N塩酸ジオキサン溶液を使用して、2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジンをN−シクロペンチルアントラニルエチルエステルと60℃で反応させて、優れた収率でアミノ化生成物12を得た。ジイソプロピルエチルアミンによる塩基性条件を使用して、ごく微量のアミノ化生成物12を得、2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジンを完全に加水分解した。本発明者らは、塩基性条件下における置換反応が、大量のN−シクロペンチルアントラニルエチルエステル基質によって課せられた立体障害によって妨げられたと考える。本発明者らはまた、N−イソプロピルアントラニルエチルエステルを基質として使用する場合、酸性条件下における置換反応の収率が、塩基性条件下で得られたものよりも高いことを観察した。置換反応の後、12を鉄によって還元し、60℃の酢酸中でインサイチュー環化して、優れた収率で7員ラクタム中間体13を得た。ラクタム13をメチル化し、続いて、(4−アミノ−3−メトキシフェニル)(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)メタノンを用いて14をパラジウムによってアミノ化して、化合物25を得た。
【0264】
より詳細には:
エチル2−(シクロペンチルアミノ)ベンゾエート(1.40g、6.0mmol)、4N HClジオキサン溶液(2.25mL、9.0mmol)および2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(1.74g、9.0mmol)のジオキサン(40mL)混合物を60℃で90時間加熱した。薄層クロマトグラフィー(TLC)によるモニタリングで反応が完了した後、反応溶液を濃縮し、酢酸エチルおよびヘキサン(1/20、v/v)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、アミノ化生成物12(1.84g、79%)を得た。MS(ESI)m/z391(M+H)
+。
【0265】
化合物12(1.79g、4.59mmol)および鉄粉(2.57g、45.9mmol)の酢酸(80mL)混合物を60℃で9時間加熱した。逆相分析液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析法(LC−MS)によるモニタリングで反応が完了した後、溶媒を真空中で除去した。得られた残留物を氷水に注いで固体沈殿物を得、これをろ過によって回収し、水で洗浄し、空気乾燥して、中間体13(1.21g、84%)を得た。
1H NMR(600MHz,DMSO−d
6)δ 10.48(s,1H),8.18(s,1H),7.57(d,J=7.2Hz,1H),7.50(s,1H),7.30(d,J=7.2Hz,1H),7.17(s,1H),4.61(brs,1H),2.30−1.90(m,2H),1.70−1.40(m,4H),1.38−1.20(m,2H)。MS(ESI)m/z315(M+H)
+。
【0266】
化合物13(314mg、1.0mmol)およびMeI(0.13mL、2.0mmol)のジメチルアセトアミド(DMA、10.0mL)撹拌懸濁液に、NaH(80mg、60%鉱油懸濁液)を−10℃で追加し、反応物を0℃に徐々に加温した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了した後、この溶液を氷水に注いで固体沈殿物を得た。沈殿物をろ過によって回収し、水で洗浄し、空気乾燥して、中間体14(273mg、83%)を得た。
1H NMR(600MHz,DMSO−d
6)δ 8.64(s,1H),7.58(dd,J=1.8,7.8Hz,1H),7.49(t,J=7.8Hz,1H),7.33(d,J=8.4Hz,1H),7.19(t,J=7.2Hz,1H),4.68−4.64(m,1H),3.44(s,3H),2.28−2.20(m,1H),2.10−2.02(m,1H),1.64−1.54(m,4H),1.50−1.34(m,2H)。MS(ESI)m/z329(M+H)
+。
【0267】
14(33mg、0.1mmol)、(4−アミノ−3−メトキシフェニル)(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)メタノン(33mg、0.1mmol)、X−Phos(4.3mg)、Pd
2(dba)
3(5.5mg)およびK
2CO
3(41.5mg、0.3mmol)のt−BuOH混合物1.2mLを密封チューブ中、100℃で4時間加熱した。次いで、反応物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタンで溶出した。ジクロロメタンを真空中で除去し、得られた粗生成物を、水(0.05%TFA)/アセトニトリル(0.05%TFA)勾配を使用して逆相分取HPLCによって精製して、表題化合物25(35.3mg、57%)を得た。
1H NMR(600MHz,DMSO−d
6)δ 9.53(s,1H),8.44(s,1H),8.20(d,J=7.8Hz,1H),8.14(s,1H),7.56(d,J=8.4Hz,1H),7.45(t,J=7.8Hz,1H),7.28(d,J=9.0Hz,1H),7.15(t,J=7.8Hz,1H),6.99(d,J=8.4Hz,1H),4.68−4.64(m,1H),3.86(s,3H),3.42(s,3H),3.40−3.28(m,6H),3.08−2.90(m,5H),2.76(s,3H),2.60−2.52(m,1H),2.46−2.38(m,1H),2.30−2.27(m,1H),2.09−2.06(m,1H),1.85−1.65(m,2H),1.57−1.52(m,4H),1.50−1.47(m,1H),1.42−1.32(m,3H)。MS(ESI)m/z625(M+H)
+。
【0268】
実施例6:式VIIの化合物の合成
【0269】
【化33】
【0270】
【化34】
【0271】
2,4−ジクロロ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン(1.01g、5.4mmol)のDMF(40mL)撹拌溶液に、水素化ナトリウム(0.43g、10.8mmol)を0℃で追加した。15分後、2−ニトロベンゾイルクロリド(0.864mL、6.5mmol)を滴下した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了するまで、反応物を0℃で撹拌した。飽和NH
4Cl溶液によって反応物をクエンチし、氷水に注いだ。固体を回収し、真空下で乾燥し、さらに精製せずに次の工程に直接使用した。
【0272】
(2,4−ジクロロ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−5−イル)(2−ニトロフェニル)メタノン(1.04g、3.1mmol)および鉄粉(1.8g、32.1mmol)の酢酸(50mL)混合物を55℃で加熱した。反応が完了した後、混合物を真空下で濃縮し、氷水に注いだ。沈殿した固体を回収し、凍結乾燥した。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0273】
4−クロロ−3,5,6,11a−テトラアザジベンゾ[cd,g]アズレン−11(6H)−オン(270mg、1mmol)のDMA(8mL)撹拌懸濁液に、MeI(0.094mL、1.5mmol)を追加した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了するまで、反応物を0℃で撹拌した。次いで、飽和NH
4Cl溶液によって反応物をクエンチし、氷水に注いだ。沈殿した固体を回収した。酢酸エチルで水層を抽出した。ブラインで有機層を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を真空中で除去した。生成物のこの部分を沈殿した固体と合わせ、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物(210mg、74%)を得た。
【0274】
出発物質(29mg、0.1mmol)、2−メトキシ−4−(4−メチルピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン(22mg、0.1mmol)、X−Phos(4.3mg)、Pd
2(dba)
3(5.5mg)およびK
2CO
3(41.5mg、0.3mmol)のt−BuOH(1.5mL)混合物を密封チューブ中、85℃で1.5時間加熱した。次いで、反応物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタンで溶出した。溶媒を真空中で除去し、ISCOによって残留物を精製して、表題化合物(8.1mg)を得た。
【0275】
実施例7:式VIIIの化合物の合成
【0276】
【化35】
【0277】
2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(2.91g、65mmol)、エチル2−ヒドロキシベンゾエート(1.66g、10mmol)およびDIEA(3.5mL、20mmol)のジクロロメタン(45mL)反応混合物を、LC−MSによるモニタリングで反応が完了するまで0℃で撹拌した。酢酸エチルで反応物を希釈し、水およびブラインで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、真空中で濃縮し、さらに精製せずに次の工程に直接使用した。
【0278】
エチル2−((2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イル)オキシ)ベンゾエート(3.2g、10mmol)および鉄粉(5.6g、100mmol)の酢酸(140mL)混合物を60℃で加熱した。反応が完了した後、混合物を真空下で濃縮し、氷水に注いだ。沈殿した固体を回収し、凍結乾燥した。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0279】
エチル2−((5−アミノ−2−クロロピリミジン−4−イル)オキシ)ベンゾエート(1.47g、5.0mmol)のCH
2Cl
2(50mL)撹拌溶液に、Al(CH
3)
3溶液(0.15mmol)を0℃で追加した。反応混合物を45℃にゆっくりと加熱した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了したら、それを0℃に冷却し、1N HClを追加することによってクエンチした。混合物を真空中で濃縮し、氷水に注いだ。沈殿した固体を回収し、凍結乾燥した。粗生成物をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0280】
2−クロロベンゾ[f]ピリミド[4,5−b][1,4]オキサゼピン−6(5H)−オン(247mg、1mmol)のDMA(10mL)撹拌懸濁液に、MeI(0.08mL、1.5mmol)を追加した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了するまで、反応物を−10℃で撹拌した。次いで、飽和NH
4Cl溶液によって反応物をクエンチし、氷水に注いだ。沈殿した固体を回収した。酢酸エチルで水層を抽出した。ブラインで有機層を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を真空中で除去した。生成物のこの部分を沈殿した固体と合わせ、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物を得た。
【0281】
出発物質(29mg、0.1mmol)、4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)アニリン(29mg、0.1mmol)、X−Phos(4.3mg)、Pd
2(dba)
3(5.5mg)およびK
2CO
3(41.5mg、0.3mmol)のt−BuOH(1.5mL)混合物を密封チューブ中、100℃で4時間加熱した。次いで、反応物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタンで溶出した。溶媒を真空中で除去し、HPLCによって残留物を精製して、表題化合物(26.3mg)を得た。
【0282】
実施例8:さらなる化合物の合成
スキーム8.4,5,13−トリメチル−2−((1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ)−5,13−ジヒドロ−6H−ナフト[2,3−e]ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6−オン(HTH−01−015)
aの合成
【0283】
【化36】
【0284】
a試薬および条件:(a)TMSCH
2N
2(1.2当量)、MeOH/トルエン(1:4)、0℃;(b)DIEA(2.0当量)、2−プロパノール;(c)Fe(14.5当量)、HOAc、60℃;(d)MeI(5.0当量)、NaH(3.6当量)、DMA、0℃;(e)X−Phos(20%mol)、Pd
2(dba)
3(10%mol)、K
2CO
3(3.0当量)、t−BuOH、85℃;(f)TFA(50当量)、DCM。
【0285】
【化37】
【0286】
メチル3−アミノ−2−ナフテート:3−アミノ−2−ナフトエ酸(562mg、3.0mmol、1.0当量)のメタノール/トルエン(1:4、10mL)溶液に、2.0M TMSCH
2N
2ヘキサン溶液(1.8mL、3.6mmol、1.2当量)を0℃で追加した。反応物を室温(rt)で一晩撹拌した。翌日、発泡が見られなくなるまで、過剰な酢酸で反応物をクエンチした。この混合物を真空中で直接濃縮した。酢酸エチルおよびヘキサン(0%〜25%勾配、v/v)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、化合物1(500mg、83%)を得た。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ 8.46(s,1H),7.70(d,J=8.2Hz,1H),7.51(d,J=8.2Hz,1H),7.37(ddd,J=8.2,6.8,1.2Hz,1H),7.15(ddd,J=8.2,6.8,1.2Hz,1H),7.05(s,1H),3.93(s,3H)。[C
12H
12NO
2]
+のMS(ESI)計算値:202;実測値202。
【0287】
【化38】
【0288】
メチル3−((2−クロロ−6−メチル−5−ニトロピリミジン−4−イル)アミノ)−2−ナフテート:化合物1(480mg、2.4mmol、1.0当量)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(0.83mL、4.8mmol、2.0当量)および2,4−ジクロロ−6−メチル−5−ニトロピリミジン(0.76g、3.6mmol、1.5当量)の2−プロパノール(43mL)混合物を室温(rt)で一晩撹拌した。2−プロパノールからクラッシュアウトした生成物をろ過によって回収し、真空中で乾燥した。粗化合物2(0.79g、88%)をさらに精製せずに次の工程に使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 12.04(s,1H),8.94(s,1H),8.68(s,1H),7.89(d,J=8.2Hz,2H),7.63(ddd,J=8.2,7.0,1.2Hz,1H),7.51(ddd,J=8.2,7.0,1.2Hz,1H),4.05(s,3H),2.73(s,3H)。[C
17H
14ClN
4O
4]
+のMS(ESI)計算値:373;実測値373。
【0289】
【化39】
【0290】
2−クロロ−4−メチル−5,13−ジヒドロ−6H−ナフト[2,3−e]ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6−オン:化合物2(0.79g、2.1mmol、1.0当量)の酢酸(90mL)溶液に、鉄粉(1.7g、30.4mmol、14.5当量)を追加した。反応物を60℃で一晩撹拌した。逆相分析液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析法(LC−MS)によるモニタリングで反応が完了した後、溶媒を真空中で除去した。得られた残留物を氷水に注いで撹拌して固体沈殿物を得、これをろ過によって回収し、水で洗浄し、空気乾燥して、化合物3(0.64g、98%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 8.63(s,1H),7.85(d,J=8.2Hz,1H),7.68(d,J=8.2Hz,1H),7.54(ddd,J=8.2,7.0,1.4Hz,1H),7.42(ddd,J=8.2,7.0,1.2Hz,1H),7.17(s,1H),7.15(s,1H),6.88(s,1H),2.52(s,3H)。[C
16H
12ClN
4O]
+のMS(ESI)計算値:311;実測値311。
【0291】
【化40】
【0292】
2−クロロ−4,5,13−トリメチル−5,13−ジヒドロ−6H−ナフト[2,3−e]ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6−オン:化合物3(0.64g、2.1mmol、1.0当量)およびMeI(0.64mL、10.3mmol、5.0当量)のジメチルアセトアミド(DMA、20.0mL)撹拌懸濁液に、NaH(300mg、60%鉱油懸濁液、3.6当量)を0℃で追加した。LC−MSによるモニタリングで反応が完了した後、この溶液を氷水に注いで固体沈殿物を得た。ろ過によって沈殿物を回収し、水で洗浄し、空気乾燥して、粗生成物を得た。酢酸エチルおよびヘキサン(0%〜80%勾配、v/v)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、化合物4(67mg、10%)を得た。
1H NMR(400MHz,MeOD)δ 8.30(s,1H),7.88(d,J=8.2Hz,1H),7.84(d,J=8.2Hz,1H),7.61(s,1H),7.54(ddd,J=8.2,7.0,1.2Hz,1H),7.45(ddd,J=8.2,7.0,1.2Hz,1H),3.51(s,3H),3.37(s,3H),2.48(s,3H)。[C
18H
16ClN
4O]
+のMS(ESI)計算値:339;実測値339。
【0293】
【化41】
【0294】
4,5,13−トリメチル−2−((1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ)−5,13−ジヒドロ−6H−ナフト[2,3−e]ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6−オン:4(34mg、0.1mmol、1.0当量)、tert−ブチル4−(4−アミノ−1H−ピラゾール−1−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート(27mg、0.1mmol、1.0当量)、X−Phos(8.6mg、20%)、Pd
2(dba)
3(11mg、10%)およびK
2CO
3(41.5mg、0.3mmol)のt−BuOH混合物1.2mLを密封チューブ中、85℃で3.5時間加熱した。次いで、反応物をセライトに通してろ過し、ジクロロメタン(DCM)で溶出した。DCMを真空中で除去した。得られた粗生成物をトリフルオロ酢酸(TFA、0.38mL、5mmol、50当量)のDCM(2mL)溶液と共に室温(rt)で一晩撹拌して、Bocを脱保護した。溶媒を真空中で除去した。水(0.05%TFA)/メタノール(0.05%TFA)勾配を使用して逆相分取HPLCによって残留物を精製して、TFA塩(18mg、収率:31%)として表題化合物HTH−01−015を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ 9.72−9.40(br,1H),8.74−8.61(br,1H),8.54−8.37(br,1H),8.29(s,1H),7.97(d,J=8.2Hz,1H),7.92(s,1H),7.88(d,J=8.2Hz,1H),7.67(s,1H),7.60(s,1H),7.56(ddd,J=8.2,7.0,1.2Hz,1H),7.46(ddd,J=8.2,7.0,1.2Hz,1H),4.54−4.41(br,1H),3.54−3.38(br,5H),3.27(s,3H),3.17−3.02(br,2H),2.33(s,3H),2.26−2.04(br,4H)。[C
26H
29N
8O
+]
+のMS(ESI)計算値:469;実測値469。
【0295】
スキーム8に示されているのと同様の戦略にしたがって、XMD18−42およびXMD17−51を合成した。
【0296】
【化42】
【0297】
5,13−ジメチル−2−((1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ)−5,13−ジヒドロ−6H−ナフト[2,3−e]ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6−オン:
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ 9.77−9.44(br,1H),9.18−8.96(br,2H),8.39(s,1H),8.33(s,1H),7.98(d,J=8.2Hz,1H),7.95(s,1H),7.91(d,J=8.2Hz,1H),7.75(s,1H),7.60(s,1H),7.57(t,J=8.2Hz,1H),7.46(t,J=8.2Hz,1H),4.56−4.43(br,1H),3.55−3.47(br,3H),3.45(s,3H),3.43−3.34(br,2H),3.13−2.99(br,2H),2.27−2.09(br,4H)。[C
25H
27N
8O
+]
+のMS(ESI)計算値:455;実測値455。
【0298】
【化43】
【0299】
5,11−ジメチル−2−((1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ)−5,11−ジヒドロ−6H−ベンゾ[e]ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6−オン:
1H NMR(400MHz,DMSO−d
6)δ 9.77−9.60(br,1H),9.16−8.94(br,2H),8.35(s,1H),7.93(s,1H),7.68(dd,J=7.9,1.8Hz,1H),7.58(s,1H),7.51(td,J=7.9,1.8Hz,1H),7.28(d,J=7.9Hz,1H),7.18(t,J=7.9Hz,1H),4.52−4.44(br,1H),3.42−3.34(br,5H),3.38(s,3H),3.10−3.00(br,2H),2.21−2.12(br,4H)。[C
21H
25N
8O
+]
+のMS(ESI)計算値:405;実測値405。
【0300】
スキーム8に示されているのと同様の戦略にしたがって、XMD18−83を合成した。
【0301】
【化44】
【0302】
4,5,11−トリメチル−2−((1−(ピペリジン−4−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)アミノ)−5,11−ジヒドロ−6H−ベンゾ[e]ピリミド[5,4−b][1,4]ジアゼピン−6−オン:
1H NMR(600MHz,DMSO−d
6)δ 9.66−9.34(br,1H),8.73−8.62(br,1H),8.53−8.38(br,1H),7.89(s,1H),7.63(dd,J=7.8,1.5Hz,1H),7.56(s,1H),7.45(td,J=7.8,1.5Hz,1H),7.20(d,J=7.8Hz,1H),7.14(t,J=7.8Hz,1H),4.45(m,1H),3.42−3.28(br,5H),3.18(s,3H),3.06(m,2H),2.29(s,3H),2.20−2.12(br,2H),2.12−2.03(br,2H)。[C
22H
27N
8O
+]
+のMS(ESI)計算値:419;実測値419。
【0303】
【表1-1】
【0304】
【表1-2】
【0305】
【表2-1】
【0306】
【表2-2】
【0307】
【表2-3】
【0308】
【表2-4】
【0309】
【表2-5】
【0310】
【表2-6】
【0311】
【表2-7】
【0312】
【表2-8】
【0313】
【表3-1】
【0314】
【表3-2】
【0315】
【表4】
【0316】
【表5-1】
【0317】
【表5-2】
【0318】
【表6-1】
【0319】
【表6-2】
【0320】
【表6-3】
【0321】
【表6-4】
【0322】
【表6-5】
【0323】
【表6-6】
【0324】
【表6-7】
【0325】
【表6-8】
【0326】
【表6-9】
【0327】
【表6-10】
【0328】
【表6-11】
【0329】
【表6-12】
【0330】
【表6-13】
【0331】
【表6-14】
【0332】
【表6-15】
【0333】
【表6-16】
【0334】
【表6-17】
【0335】
【表6-18】
【0336】
【表6-19】
【0337】
【表6-20】
【0338】
【表6-21】
【0339】
【表6-22】
【0340】
【表6-23】
【0341】
【表6-24】
【0342】
【表6-25】
【0343】
【表6-26】
【0344】
【表6-27】
【0345】
【表6-28】
【0346】
【表6-29】
【0347】
【表6-30】
【0348】
【表6-31】
【0349】
【表6-32】
【0350】
【表6-33】
【0351】
【表6-34】
【0352】
【表6-35】
【0353】
実施例9:Mps1(TTK)細胞アッセイ−有糸分裂回避アッセイ
Hela(またはU2OS)細胞をおおよそ30〜35%の細胞密度でプレートに蒔いた。24時間後に培地
*を除去して、2.5mMのチミジンを補完した新鮮な培地を加えて、細胞をG1/S移行期に停止した。チミジン遮断24時間後に、培地を除去し、細胞をPBSで3回洗浄して、330nMのノコダゾール(Noc)を補完した培地と交換した。細胞をノコダゾールと16〜18時間培養して有糸分裂停止を生じさせた。次いで、注意深く培地を除去して、330nMのノコダゾールと所望の濃度の試験化合物(DMSOの最終濃度は0.2%未満で)を補完した培地と交換した。2時間後に、細胞を採取し、RIPA緩衝液中で溶解して、ウエスタンブロッティングでサイクリンBまたはリン酸化ヒストン3(Ser10)の濃度を測定した。あるいは、細胞をカバースリップ上で処理し、固定して、リン酸化ヒストン3濃度を免疫蛍光法で測定した。
*Hela/U2OS培地−ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Sigma)、10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン
【0354】
実施例10:Plk1細胞アッセイ−有糸分裂停止アッセイ
Hela細胞を、ポリリジンをコーティングしたガラスカバースリップ上におおよそ80%の細胞密度で蒔いた。24時間後に培地
*を除去して、試験化合物を補完した新鮮な培地を追加した。24時間処理した後、培地を除去して、カバースリップをリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)で1回洗浄して、細胞を室温で10分間、以下の固定液を使用して固定した:100mMのK−pipes、pH6.8、10mMのEGTA、1mMのMgCl
2、0.2%TritonX−100、3%ホルムアルデヒド。0.1%TritonX−100を含有するトリス緩衝食塩溶液(50mMのトリスHCl、pH7.4、150mMのNaCl)(TBST)でカバースリップを3回洗浄した。2%ウシ血清アルブミン(BSA)を使用してサンプルをTBST中に遮断した。次いで、サンプルを、遮断溶液中で、リン酸化特異的抗ヒストン3(ホスホH3)セリン−10抗体(Upstate、1:500〜1:1000)と培養した。細胞を同様に適切な抗体を使用して場合によりチューブリン染色することもできる。室温で2時間(または4℃で一晩)培養した後、サンプルをTBSTで3回洗浄した。次いで、サンプルを遮断溶液中で適切な第2抗体と室温で1〜2時間(または4℃で一晩)培養した。サンプルをTBSTで3回洗浄した後、TBST中でHoechst 33342染色剤(Invitrogen、1:1000〜1:2000)と室温で15分間培養した。サンプルをTBSTで3回洗浄して、Prolong Gold Antifade Reagent(Invitrogen)を使用してガラススライド上に載せた。
*Hela/U2OS培地−ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Sigma)、10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン
【0355】
実施例11:インビトロMps1キナーゼアッセイ、Invitrogen Mps1(TTK)LanthaScreen活性アッセイ
キナーゼ反応を室温で以下の成分を使用して実施した:1×キナーゼ反応緩衝液、5μg/mL(40nM)のMps1キナーゼ、200nMのAF−647E4Y基質、および1μMのATP(K
m,app<1μM)。1時間後に、TR−FRET希釈緩衝液中のEDTA(20mM)およびEu−PY20 Tb標識抗体(4nM)の調製物を追加した。反応混合物中のEDTAおよびEu−PY20の最終濃度は、それぞれ10mMおよび2nMである。LanthaScreen(商標)TR−FRETに設定されているプレートリーダーで読み取る前に、反応混合物を室温で30分間培養した。複数濃度の阻害剤に対してキナーゼ反応を行って、用量依存曲線を得た。
【0356】
実施例12:キナーゼ選択性分析。
ベンゾ[e]ピリミド−[5,4−b]ジアゼピン−6(11H)−オン骨格のSAR調査は、相対的LRRK2選択的阻害剤24およびERK5選択的阻害剤26の発見につながった(
図1)。ラクタム位置(R
2)におけるNメチル置換の構造的特徴(4−アミド置換アニリンの2−エトキシ基、N−シクロペンチル置換(X)およびアントラニル酸のアリール環上の置換基(R
4=H)の欠如)は、ERK5に対する強力な細胞阻害活性および高い特異性を達成するのに必須であった(
図1、赤色で強調)。インドリン−7−カルボン酸基の結合(R
6)は、化合物24によって例示される改善されたLRRK2選択性を示した(
図1、青色で強調)。2−アニリノ部分の4位におけるアミド官能基の組み込みは、ERK5およびLRRK2の両方に有利である。ERK5およびLRRK2について、2−アニリノ部分のオルト位における置換基(R
5)および連結基(X)は、ベンゾ[e]ピリミド−[5,4−b]ジアゼピン−6(11H)−オンのSARを分ける重要な構造的特徴である(
図3)。特定のピリミジン誘導体、(4−((5−クロロ−4−(メチルアミノ)ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−メトキシフェニル)(モルホリノ)メタノン(HG−10−102−01)および2−アリールメチルオキシ−5−置換基−N−アリールベンズアミド(GSK2578215A)は、強力なLRRK2の阻害剤であり、ERK5を阻害しないと報告されている。
【0357】
化合物24および26の細胞LRRK2阻害効果。本発明者らは、化合物24および26が細胞環境下でLRRK2を阻害する能力を調べた。LRRK2の有効な直接のリン酸化基質がないため、本発明者らは、Ser910およびSer935(これら2つの残基のリン酸化は、LRRK2キナーゼ活性依存性であることが公知である)のリン酸化をモニタリングした(
図2)。野生型LRRK2およびLRRK2[G2019S]で安定トランスフェクトしたHEK293細胞の両方において、化合物24は、Ser910およびSer935リン酸化の用量依存的な阻害を誘導した(
図2a)。野生型LRRK2については1〜3μΜの24で、およびLRRK2[G2019S]についてはそれよりもわずかに低用量で、残基Ser910およびSer935のリン酸化(phosphrylation)レベルの有意な低下が観察されたが(
図2a)、これは、LRRK2−IN−1と比べてほぼ同じ効力であった。薬物耐性LRRK2[G2019S+A2016T]およびLRRK2[A2016T]変異体では、化合物24は、最大3μΜの濃度において、Ser910およびSer935のリン酸化に対して影響を与えなかったが(
図2a)、これは、24が、LRRK2−IN−1と比較して同じ活性プロファイルを有することを明らかにしている。生化学的結果と一致して、細胞環境下では、化合物26は、最大3μΜの濃度において、LRRK2に対するいかなる阻害効果も示さなかった(
図2b)。
【0358】
本発明者らは次に、対照者、およびLRRK2[G2019S]変異についてホモ接合性のパーキンソン病患者由来のヒトリンパ芽球細胞における内因性発現LRRK2に対する化合物24および26の効果を調べた(
図3)。本発明者らは、野生型LRRK2またはLRRK2[G2019S]を安定発現するHEK293細胞で観察されたように、漸増用量の24が、Ser910およびSer935における内因性LR
RK2のリン酸化レベルの同様の減少をもたらしたことを見出した(
図2aと
図3aを比較)。さらに、24はまた、野生型LRRK2よりもLRRK2[G2019S]変異体に対して強力であったが、これは、本発明者らがHEK293細胞で観察した傾向と一致している。同様に、化合物26は、内因性LRRK2に対する阻害効果を示さなかった(
図2bと
図3bを比較)。総合すると、化合物24は、LRRK2−IN−1と同様に強力なLRRK2阻害剤であり、インビトロおよび細胞内の両方において、改善されたLRRK2選択性で作用した。化合物26は、ERK5に対する細胞選択性がLRRK2と比べて少なくとも30倍のERK5特異的阻害剤であり、1μΜの濃度で使用した場合にLRRK2を阻害しないはずである。
【0359】
本発明者らは、442種のキナーゼのほぼ包括的なパネルに対してKINOMEscan法を使用して、この骨格の選択性を評価した。化合物24、25および26を10μΜの濃度でスクリーニングしたところ、この阻害剤クラスの高選択的なプロファイルが明らかになった。化合物24の構造を以下に示す。
【0360】
【化45】
【0361】
オルト−エトキシアニリンを有する化合物26は顕著な選択性を示し(KINOMEscan選択性スコアのS
10が0.007(3/442))、ERK5、ダブルコルチンおよびCaMキナーゼ様2(DCAMKL2)およびpolo様キナーゼ4(PLK4)との相互作用のみが検出された。オルトメトキシアニリンを有する化合物25は、0.018(8/442)のS
10を示した。これらの結果により、オルト置換基は選択性ハンドルとして役立ち得ることが明らかになった。本発明者らが以前に報告したERK5阻害剤XMD8−92(11、S
10=0.012、5/402)と比較して、化合物26は、選択性のさらなる改善を示す。化合物24は、本発明者らの以前のLRRK2阻害剤(LRRK2−IN−1)のものと同じKINOMEscan選択性スコア(S
10が0.036(16/442))を示したが、ERK5よりもLRRK2に対して選択的である。また、化学プロテオミクスアプローチKiNativを使用して、HeLaおよびPC3細胞溶解物において、選択したキナーゼパネルに対して、化合物25および26をプロファイリングした。これらの結果により、ERK5(ERK5)のみが、25および26の両方について10μΜの濃度で90%超の活性が阻害されたことが明らかになり、これにより、それらの高選択的なプロファイルがさらに裏付けられた。
【0362】
LRRK2のSARをより良く理解するために、本発明者らは、ロコキナーゼ(PDBアクセッション番号:4F1T)の最近報告された結晶構造に基づいてGlideを使用して、分子モデリング研究を実施した(
図4)このモデルは、本発明者らが観察したSARの一部について説明することを可能にする。全体として、26は、TTKに結合した構造的類似体Mps1−IN−2について観察されたものと同様の方法で、LRRK2に結合すると予測される:この化合物の三環コアは、ATP結合部位の基部のLeu2001付近で曲がって、Ala1950のヒンジ領域と2つの水素結合を形成するが、ピペリジン−ピペラジンは溶媒領域に向かって伸びる(
図4A)。シクロペンチル基は、Leu1885とは逆にグリシンリッチなループに向いており、三環をATP結合部位の基部に向けさせると思われる。
【0363】
別の置換基はLRRK2およびERK5に対する活性を失ったことから、SARは、2−アミノ部分のフェニル環が重要な相互作用を有することを示唆しており、このモデルでは、この部分はヒンジ領域に対して結合するであろう。N置換基はLeu1885でグリシンリッチなループと接触するので、シクロペンチルまでサイズを増加させた場合にN置換によって引き起こされるLRRK2親和性の減少は、この三環とAla2016とのあまり望ましくない強制的な接触が原因である可能性がある。アントラニル酸を置換すると結合が弱くなり得る理由は、Ala2016およびその近くの残基との同じ接触により説明されるであろう。次第に大きな基(エチル、イソプロピル)でアニリンをオルト置換すると、LRRK2に対する親和性が減少した。この基はLeu1949付近に結合するので(
図4B、4C)、さらなる炭素がLeu1949から離れている立体配座のみが望ましく、置換基がメトキシからエトキシ、イソプロポキシになるにつれて、エントロピーが次第に不利になるであろう。
【0364】
上記議論における重要な活性部位の残基は、ERK5では保存されているか(Leu1949、Leu2001)、または保存的に置換されている(Leu1885、Ala2016、Met1947)。最近、本発明者らは、26とLRRK2との結合モデルおよびSARの説明の両方を裏付ける、25に結合したERK5の結晶構造を決定した。
【0365】
結論
新たなケモタイプのベンゾ[e]ピリミド−[5,4−b]ジアゼピン−6(11H)−オンは、ERK5およびLRRK2キナーゼ阻害剤を開発するための特権的な骨格に相当する。包括的なSAR調査により、ERK5およびLRRK2のためのこの骨格のSARを分ける重要な構造的特徴が同定された。化合物24は、LRRK2−IN−1と同様に強力なLRRK2阻害剤であり、インビトロおよび細胞内の両方において、改善されたLRRK2選択性で作用した。化合物26は、本発明者らがこれまでに開発した最も選択的かつ強力なERK5阻害剤に相当する。顕著な特異性および優れた細胞有効性を考慮すると、26は、ERK5の生物学をさらに調査するための汎用的なツールとして役立ち得る。異種移植腫瘍モデルにおいて優れた選択性、良好な薬物動態パラメータおよび高い有効性を有するベンゾ[e]ピリミド−[5,4−b]ジアゼピン−6(11H)−オンは、ERK5をターゲティングする治療剤を開発するための特権的なテンプレートとして役立ち得る。
【0366】
ERK5自己リン酸化アッセイ。
HeLa細胞を一晩血清欠乏させ、続いて阻害剤で1時間処理した。次いで、EGF(20ng/mL)で細胞を17分間刺激し、RIPA緩衝液(1×PBS、1%NP40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.1mg/ml PMSFおよび1mMオルトバナジウム酸ナトリウム)中に回収した。6%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって、全細胞溶解物からのタンパク質を分離し、ニトロセルロース膜に転写し、5%脱脂乳でブロッキングし、抗ERK5抗体でブロッティングした。
【0367】
活性ERK5のバキュロウイルス発現および精製。Bac−to−Bac system(Invitrogen)を使用して組換えバキュロウイルスを作製するために、N末端ヘキサヒスチジンタグ付ヒトERK5およびHAタグ付ヒトMEK5−DD(構成的に活性)をコードするpFastBACベクターを使用した。両バキュロウイルスの混合物を感染多重度6でSpodoptera frugiperda 21細胞(1.5×10
6/ml)に感染させ、感染の72時間後に回収した。ペレット化した細胞を氷冷溶解緩衝液(50mMトリス/HCl、pH7.5、1mM EGTA、1mM EDTA、1mMオルトバナジウム酸ナトリウム、10mMβ−グリセロリン酸ナトリウム、50mM NaF、5mMピロリン酸ナトリウム、0.27Mスクロース、1mMベンズアミジン、2mMフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)および1%TritonX−100)に溶解し、1ラウンドの凍結/解凍で溶解し、超音波処理(4×20秒間)し、25,000gで30分間遠心分離した。Hisタグ付BRSK1について記載されているように
37、5ml Ni−NTA−アガロース樹脂(Qiagen)を使用し、続いてAKTAシステム(GE Healthcare)でSuperdex 200HRカラムによるゲルろ過クロマトグラフィーを行って、Hisタグ付ERK5を精製した。感染細胞1L当たり約5mgの収率で活性ERK5を精製し、クマシーブルー染色SDS/PAGEゲルの濃度測定走査によって判断したところ、90%超の均一性であった。
【0368】
インビトロアッセイにおけるERK5キナーゼ活性。200ngの純粋な活性ERK5および指示量の阻害剤を含有するキナーゼ緩衝液(50mMトリス−HCl、pH7.5、0.1mM EGTA、1mM 2−メルカプトエタノール)中、40μlのアッセイ容量でキナーゼ活性を決定した。10mM酢酸マグネシウムならびに基質として50μΜ[γ−
32P]−ATP(50cpm/pmol)および250μM PIMtide(ARKKRRHPSGPPTA)を追加することによって、反応を開始した。アッセイを30℃で20分間行い、反応混合物をP81ペーパーにアプライすることによって終了させ、取り込まれた放射活性を以前に記載されているように測定した。
【0369】
LRRK2[G2019S]のアダプターキナーゼアッセイ。
Invitrogen(Madison,WI)においてSelectScreen Kinase Profiling Serviceを使用して、インビトロキナーゼアッセイを行った。
【0370】
LRRK2細胞アッセイ。
試薬および一般方法。組織培養試薬は、Life Technologies製であった。プロテインGセファロースは、Amersham製であった。製造業者のプロトコールにしたがってQiagenまたはInvitrogenのプラスミドMaxiキットを使用して、トランスフェクションに使用するDNA構築物をEscherichia coli DH5αから精製した。Applied Biosystems 自動DNAシーケンサーのDYEnamic ET terminator chemistry(Amersham Biosciences)を使用して、The Sequencing Service,School of Life Sciences,University of Dundee,Scotland,U.K.が実施したDNA配列決定によって、すべてのDNA構築物を確認した。
【0371】
細胞培養、処理および細胞溶解。10%FBS(ウシ胎児血清)、2mMグルタミンおよび1×ペニシリン/ストレプトマイシン溶液を補充したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中で、HEK293を培養した。標準的な方法(European Collection of Cell Cultures)を使用して、Bリンパ球のEBV(エプスタイン・バーウイルス)形質転換によって、リンパ芽球様細胞株を作製した。細胞株ANKは、LRRK2[G2019S]変異についてホモ接合性の47歳の個体であって、パーキンソン病を示した個体に由来する。細胞株AHEは、LRRK2 Gly
2019残基における変異を欠く31歳の個体であって、疾患を示していない個体に由来する。10%FBS、2mMグルタミンおよび1×ペニシリン/ストレプトマイシン溶液を含むRPMI1640中でヒトリンパ芽球細胞を維持し、1ml当たり細胞0.3×10
6〜2×10
6個の細胞密度で維持した。1人の対照被験者、およびLRRK2[G2019S]変異についてホモ接合性の1人のパーキンソン病患者由来のエプスタイン−バーウイルス不死化一次ヒトリンパ芽球細胞は、Alastair Reith(GSK)の厚意で供与されたものであり、以前に記載されているものである。阻害剤実験のために、化合物をDMSOに溶解し、指示濃度で利用した。培養培地中のDMSO濃度は、1%を超えなかった。処理後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液で細胞を1回洗浄し、溶解緩衝液(50mMトリス/HCl、pH7.5、1mM EGTA、1mM EDTA、1mMオルトバナジウム酸ナトリウム、10mMβ−グリセロリン酸ナトリウム、50mM NaF、5mMピロリン酸ナトリウム、0.27Mスクロース、1mMベンズアミジン、2mMフェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)および1%TritonX−100)で溶解した。直ぐに使用しない場合には、すべての溶解物上清を液体窒素中で急速凍結し、使用まで−80℃で保存した。溶解物を16,000×g、4℃で20分間遠心分離した後に、標準としてBSAを用いるブラッドフォード法を使用して、タンパク質濃度を決定した。ポリエチレンイミン(PEI)法を使用して、HEK293細胞の一過性トランスフェクションを実施した。
【0372】
イムノブロットの手順。ヒトリンパ芽球細胞およびGFP−LRRK2発現安定細胞株由来の細胞溶解物を、65μlの2×LDSサンプル緩衝液(Invitrogen)中に1μg/μlの最終濃度で溶出した。70℃で10分間加熱した後、0.1%アジ化ナトリウム(Epitomics)を含む精製ウサギモノクローナル抗体(LRRK2ホスホ−セリン910クローン、LRRK2ホスホ−セリン935クローンおよびLRRK2 100−500クローン)のPBS溶液を使用して、Ser910でリン酸化されたLRRK2、Ser935でリン酸化されたLRRK2、および全LRRK2を検出するために、8%SDSポリアクリルアミドゲル上で15μlアリコートを分離し、ニトロセルロース膜に転写した。Epson 4990スキャナでイムノブロットフィルムをスキャンし、Adobe Photoshopを用いて画像を管理した。
【0373】
分子ドッキング研究
阻害剤とLRRK2キナーゼドメインとの間の相互作用を解明するための分子ドッキング研究を実施した。最初に、本発明者らは、LRRK2キナーゼドメインの相同性モデル構造を構築した。本発明者らは、ロコキナーゼ(PDBアクセッション番号:4F1T)の結晶構造を使用した。Discovery Studio 3.5 package(http://www.accelrys.com)を使用して、LRRK2およびテンプレートタンパク質の配列アラインメントを作成した。Discovery Studio 3.5 packageのModellerを使用することによってLRRK2の3Dモデル構造を構築し、CHARMM力場を使用することによってさらに微調整した。次に、Maestro build panelを使用して化合物25および26を構築し、Schrodinger suite programのインパクトモジュールMaestroを使用して最小化した。Protein Preparation Wizardを使用してOPLS力場を適用することによって、LRRK2構造を最小化した。グリッド生成のために、結合部位をATP結合部位の重心と定義した。SchrodingerのドッキングプログラムGlideを使用して、LRRK2の活性部位へのリガンドのドッキングを行った。最良のドッキングポーズを最低Glideスコアとして選択した。PyMol package(http://www.pymol.org)を使用して、阻害剤の結合ポケットの分子グラフィックスおよび微調整したドッキングモデルを作成した。
【0374】
実施例13:インビトロEphA2キナーゼアッセイ−Invitrogen EphA2 Z’−LYTE活性アッセイ:
Z’−LYTE(登録商標)Screening Protocolに記載されている方法およびLife Technologiesウェブサイトのアッセイ条件(http://www.invitrogen.comにおいて利用可能)にしたがって、EphA2キナーゼアッセイを実施した。
【0375】
インビボにおけるEphA2キナーゼ活性のウエスタン分析XMD16−95阻害:
EphrinA2(100ng/mL)(R&D systems,Cat No.7856−A2−050)でA375細胞を15分間処理し、試験化合物を60分間の処理で細胞培養物に追加した。標準的なウエスタン分析を実施して、EphA2リン酸化(Y594)(Cell Signaling Technology製の抗体、Cat.No.3970)状態をモニタリングした。
【0376】
EphA2および他のキナーゼに対する式IIの特定の化合物の活性を表7に示す。
【0377】
【表7-1】
【0378】
【表7-2】
【0379】
【表7-3】
【0380】
参照による組み込み
本出願を通して引用されているすべての参考文献(参照文献、登録特許、公開特許公報、および同時係属特許出願を包含する)の内容は、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。他に別段定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は当業者に一般に知られている意味に一致している。
【0381】
均等物
当業者であれば、通常の実験のみを使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識するか、または前記均等物を確認することができるであろう。このような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものである。