(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
−構成−
まず、
図1〜
図4を参照して、本発明の一実施形態によるフィルム巻取装置100の構成について説明する。
【0015】
フィルム巻取装置100は、フィルム(図示省略)を巻取軸1に直接巻き取るコアレス型であり、巻取軸1を切り替えながらフィルムを連続的に巻き取るように構成されている。フィルムは、たとえば樹脂製の帯状フィルムであり、フィルム巻取装置100に供給されるようになっている。
【0016】
フィルム巻取装置100は、
図1に示すように、複数の巻取軸1と、巻取軸1を保持するチャック機構2と、複数のチャック機構2が設けられたターレット機構3とを備えている。なお、
図1では、ターレット機構3における複数の巻取軸1およびチャック機構2のうち、1つの巻取軸1およびチャック機構2を示している。
【0017】
[巻取軸]
巻取軸1は、フィルムが巻き付けられる外周面1aを有し、その外周面1aの直径を変更可能に構成されている。この巻取軸1は、シャフト本体11と、ロッド12と、ガイド部材13と、ラグ14と、リーフプレート15と、圧縮コイルばね16と、エアパイプ17とを含んでいる。なお、リーフプレート15は、本発明の「外殻部材」の一例であり、圧縮コイルばね16は、本発明の「付勢部材」の一例である。
【0018】
シャフト本体11は、軸方向(X1およびX2方向)に延びるように形成されている。シャフト本体11の軸方向における両端部以外の大部分には、ロッド12およびガイド部材13などが配置される中空部111(
図2参照)が設けられている。このシャフト本体11には、
図2に示すように、ラグ14が配置される複数の配置孔112が形成されている。配置孔112は、中空部111と外部とを連通するように、径方向に延びるように形成されている。この配置孔112は、周方向に所定の間隔を隔てて複数配置されるとともに、軸方向に所定の間隔を隔てて複数配置されている。
【0019】
図1に示すように、シャフト本体11の軸方向の一方端部(X1方向側の端部)には、チャック機構2が嵌合されるボス部113が形成され、シャフト本体11の軸方向の他方端部(X2方向側の端部)には、チャック機構2が嵌合されるボス部114が形成されている。また、シャフト本体11には、軸方向の一方端部に貫通孔115(
図4参照)が形成され、軸方向の他方端部にばね収容部116(
図3参照)が設けられている。
【0020】
ロッド12は、シャフト本体11の中心に配置され、シャフト本体11に対して軸方向に移動可能に構成されている。このロッド12は、圧縮コイルばね16により軸方向の一方側(X1方向側)に付勢されている。具体的には、
図3に示すように、ロッド12の軸方向の他方端部(X2方向側の端部)にフランジ121が設けられ、そのフランジ121および圧縮コイルばね16がばね収容部116に収容され、圧縮コイルばね16によりフランジ121が付勢されている。ばね収容部116にはストッパ116aが設けられ、そのストッパ116aによりフランジ121の軸方向の一方側への移動が規制されている。
【0021】
また、
図4に示すように、ロッド12の軸方向の一方端部(X1方向側の端部)は、シャフト本体11の貫通孔115に配置されている。このため、ロッド12の一方端部は、シャフト本体11の外部から接触可能である。
【0022】
ガイド部材13は、ロッド12の軸方向への移動に応じてラグ14を径方向に移動させるために設けられている。このガイド部材13は、軸方向に所定の間隔を隔てて複数配置されている。ガイド部材13は、
図2に示すように、円筒状に形成され、内部にロッド12が配置されている。ガイド部材13は、ロッド12に固定され、ロッド12と一体的に移動するように構成されている。
【0023】
また、ガイド部材13には、周方向に所定の間隔を隔ててガイド溝131が形成され、ガイド溝131には、ラグ14が配置されている。ガイド溝131の側面の下端部には、ラグ14の係合部141が係合されるレール131aが形成されている。ガイド溝131は、
図3に示すように、他方側(X2方向側)に向けて深さが大きくなるように形成されている。すなわち、ガイド溝131の底面131bが、他方側に向けて径方向の内側に傾斜するように形成されている。
【0024】
ラグ14は、リーフプレート15を径方向に移動させるために設けられている。このラグ14は、ガイド部材13のガイド溝131およびシャフト本体11の配置孔112に配置されている。ラグ14の上端部(径方向の外側の端部)には、ボルト18によってリーフプレート15が連結されている。
【0025】
ラグ14の下端部(径方向の内側の端部)には、ガイド溝131の底面131bと対応する傾斜面142が形成されている。すなわち、傾斜面142は、一方側(X1方向側)に向けて径方向の外側に傾斜するように形成されている。このため、ガイド部材13が軸方向に移動される場合に、ラグ14の傾斜面142がガイド溝131の底面131bに沿って摺動されることにより、ラグ14が径方向に移動されるようになっている。また、
図2に示すように、ラグ14の下端部には係合部141が形成され、その係合部141がガイド溝131のレール131aに係合されている。
【0026】
リーフプレート15は、軸方向から見て円弧状に形成され、周方向に間隔を隔てて複数配置されている。このため、複数のリーフプレート15により、フィルムが巻き付けられるほぼ円形の外周面1aが構成されている。なお、リーフプレート15は、周方向のラグ14毎に設けられている。また、リーフプレート15は、ボルト18によりラグ14に連結され、ラグ14と一体的に移動するように構成されている。リーフプレート15は、軸方向に延びるように形成され、シャフト本体11の軸方向における両端部以外の大部分に配置されている。
【0027】
また、リーフプレート15の外周部には、複数の吸引孔151が形成されている。この吸引孔151は、フィルムを外周面1aに吸着させるために設けられている。
図3に示すように、リーフプレート15にはエアパイプ17の一方端部が接続され、吸引孔151がエアパイプ17に連通されている。エアパイプ17の他方端部は、シャフト本体11のエア通路117に接続されている。
【0028】
[チャック機構]
チャック機構2は、
図1に示すように、巻取軸1の一方端部を保持するチャック21と、巻取軸1の他方端部を保持するチャック22と、チャック21を軸方向に移動させるためのエアシリンダ23と、チャック22を軸方向に移動させるためのエアシリンダ24とを含んでいる。
【0029】
エアシリンダ23は、チャック21を保持位置と退避位置との間で移動させるように構成されている。このエアシリンダ23は、ターレット機構3のターレット盤31に設けられたシリンダ本体231と、シリンダ本体231内を移動可能なピストン232と、ピストン232に連結されたピストンロッド233とを含んでいる。ピストンロッド233には、ベアリング25を介してチャック21が設けられている。
【0030】
チャック21は、エアシリンダ23のピストンロッド233に回転可能に設けられている。チャック21には、巻取軸1のボス部113が嵌合される凹部211が形成されるとともに、巻取軸1を回転させる動力が入力されるギヤ212が形成されている。ギヤ212に入力される動力によって巻取軸1が回転されることにより、その巻取軸1にフィルムが巻き取られるようになっている。凹部211の中心には、
図4に示すように、孔部211aが形成されている。また、チャック21には、エアシリンダ213が設けられている。
【0031】
エアシリンダ213は、巻取軸1のロッド12を押圧するために設けられている。このエアシリンダ213は、シリンダ本体213aと、シリンダ本体213a内を移動可能なピストン213bと、ピストン213bに連結されたピストンロッド213cと、ピストン213bを付勢する圧縮コイルばね213dとを含んでいる。ピストンロッド213cは、凹部211の孔部211aに配置され、凹部211の底面から他方側(X2方向側)に突出されている。ピストン213bは、ピストンロッド213cの突出量が小さい第1位置と、ピストンロッド213cの突出量が大きい第2位置との間で軸方向に移動可能に構成されている。第1位置は軸方向の一方側(X1方向側)であり、第2位置は軸方向の他方側(X2方向側)である。圧縮コイルばね213dは、ピストン213bを第1位置側に付勢するように構成されている。なお、ピストンロッド213cは、本発明の「押圧部材」の一例である。
【0032】
図1に示すように、エアシリンダ24は、チャック22を保持位置と退避位置との間で移動させるように構成されている。このエアシリンダ24は、ターレット機構3のターレット盤32に設けられたシリンダ本体241と、シリンダ本体241内を移動可能なピストン242と、ピストン242に連結されたピストンロッド243とを含んでいる。ピストンロッド243には、ベアリング26を介してチャック22が設けられている。
【0033】
チャック22は、エアシリンダ24のピストンロッド243に回転可能に設けられている。チャック22には、巻取軸1のボス部114が嵌合される凹部221が形成されるとともに、シャフト本体11のエア通路117(
図3参照)に接続されるエア通路222が形成されている。また、ピストンロッド243には、エア通路222に接続されるエア通路243aが形成されている。このため、リーフプレート15の吸引孔151は、エアパイプ17、エア通路117、222および243aを介してエア吸引源(図示省略)に接続されている。
【0034】
[ターレット機構]
ターレット機構3は、複数の巻取軸1を回転可能に支持するとともに回動可能に構成されている。このターレット機構3は、巻取軸1の軸方向の一方側(X1方向側)に配置されるターレット盤31と、巻取軸1の軸方向の他方側(X2方向側)に配置されるターレット盤32とを含んでいる。ターレット盤31および32は、巻取軸1を挟んで対向するように配置されている。
【0035】
−動作−
次に、
図1〜
図12を参照して、本実施形態によるフィルム巻取装置100の動作について説明する。以下では、巻取軸1の直径の拡縮動作を説明した後に、フィルムの巻取動作を説明する。なお、フィルムの巻取動作における巻取軸の切替動作は従来と同様であるため説明を省略する。
【0036】
[巻取軸の直径の拡縮動作]
まず、
図9に示す巻取軸1がチャック機構2に保持される前の状態では、圧縮コイルばね16の付勢力により、
図11に示すように、ロッド12のフランジ121がストッパ116aに当接されている。このため、シャフト本体11に対してロッド12が最も一方側(X1方向側)に配置されており、
図12に示すようにロッド12の一方端部がシャフト本体11の端面にほぼ臨むように配置されている。また、
図10に示すように、ラグ14が径方向の最も内側に配置されるので、外周面1aの直径が最も小さい第1値になる。
【0037】
次に、
図1に示す巻取軸1がチャック機構2に保持された場合には、
図4に示すように、巻取軸1の貫通孔115にピストンロッド213cが挿入される。このため、ピストンロッド213cにより、
図3に示すように、ロッド12が圧縮コイルばね16の付勢力に抗して他方側(X2方向側)に移動される。このとき、
図4に示すように、ピストン213bは、圧縮コイルばね213dの付勢力により第1位置に配置されている。そして、ロッド12とともにガイド部材13が他方側(X2方向側)に移動されることにより、
図2に示すように、ラグ14が径方向の外側に移動され、外周面1aの直径が第1値よりも大きい第2値になる。
【0038】
次に、
図5に示す巻取軸1がチャック機構2に保持された状態でピストン213bが第1位置から第2位置に移動された場合には、
図7および
図8に示すように、ピストンロッド213cにより圧縮コイルばね16の付勢力に抗してロッド12がさらに他方側(X2方向側)に移動される。そして、ロッド12とともにガイド部材13が他方側(X2方向側)に移動されることにより、
図6に示すように、ラグ14がさらに径方向の外側に移動され、外周面1aの直径が第2値よりも大きい第3値になる。
【0039】
上記したように、本実施形態のフィルム巻取装置100では、巻取軸1の外周面1aの直径を三段階に変更可能に構成されている。
【0040】
[フィルムの巻取動作]
まず、巻取軸1に対するフィルムの巻き付け前には、
図1に示すように、巻取軸1がチャック機構2に保持されている。具体的には、エアシリンダ23によってチャック21が保持位置に配置されることにより、チャック21の凹部211に巻取軸1のボス部113が嵌合されるとともに、エアシリンダ24によってチャック22が保持位置に配置されることにより、チャック22の凹部221に巻取軸1のボス部114が嵌合されている。このとき、エアシリンダ213では、
図4に示すように、圧縮コイルばね213dの付勢力によりピストン213bが第1位置に配置されている。そして、ピストンロッド213cによりロッド12が他方側(X2方向側)に移動されることにより、
図2に示すように、巻取軸1の外周面1aの直径が第2値になっている。
【0041】
この状態で、巻取軸1に対するフィルムの巻き付けが行われる。このとき、エア吸引源(図示省略)によって吸引孔151からエアが吸引されることにより、フィルムが巻取軸1の外周面1aに吸着される。そして、フィルムが巻取軸1に巻き付けられた後に、エアシリンダ213では、ピストン213bが第1位置から第2位置に移動されるように駆動される。これにより、巻取軸1の外周面1aの直径が第2値から第3値に拡径しようとする。したがって、フィルムの巻き取りにより形成される巻取ロールがリーフプレート15によって内周面側から押圧される。すなわち、拡径しようとするリーフプレート15によって巻取ロールの内周面が保持される。この状態で、フィルムが巻取軸1に巻き取られる。なお、このときの外周面1aの直径は、エアシリンダ213の推力および巻取ロールの硬さなどによって決まる。
【0042】
その後、巻取軸1によるフィルムの巻き取りが完了された場合には、
図9に示すように、チャック機構2による巻取軸1の保持が解除される。具体的には、エアシリンダ23によってチャック21が退避位置に移動されることにより、チャック21の凹部211と巻取軸1のボス部113との嵌合が解除されるとともに、エアシリンダ24によってチャック22が退避位置に移動されることにより、チャック22の凹部221と巻取軸1のボス部114との嵌合が解除される。このとき、ピストンロッド213cが貫通孔115から抜き出されるので、圧縮コイルばね16の付勢力により、ロッド12が一方側(X1方向側)に移動され、外周面1aの直径が第1値になる。これにより、巻取軸1に直接形成された巻取ロールから巻取軸1を抜き出すことが可能になる。
【0043】
−効果−
本実施形態では、上記のように、巻取軸1の外周面1aの直径を三段階に変更可能にすることによって、巻取軸1の直径が第2値の状態で巻取軸1に対するフィルムの巻き付けを開始し、巻取軸1にフィルムが巻き付けられた後に巻取軸1の直径を第3値になるようにすることにより、フィルムの巻き取りにより形成される巻取ロールを内周面側から押圧することができるので、巻取軸1に対して巻取ロールが滑るのを抑制することができる。したがって、フィルムが滑りやすい場合であっても、巻取軸1の回転を巻取ロールに適切に伝達することができる。なお、巻取軸1によるフィルムの巻き取りが完了された場合には、チャック機構2による巻取軸1の保持が解除されることにより、巻取軸1の直径が第1値になるので、巻取ロールから巻取軸1を抜き出すことができる。すなわち、三段階の直径のうち、最も小さい第1値が巻取軸1の抜き出し用であり、中間の第2値がフィルムの巻き付け用であり、最も大きい第3値がフィルムの巻き取り用である。
【0044】
また、本実施形態では、フィルムを吸引する吸引孔151をリーフプレート15に形成することによって、巻取軸1に対して巻取ロールが滑るのをより抑制することができる。
【0045】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0046】
たとえば、上記実施形態では、フィルム巻取装置100に複数の巻取軸1およびチャック機構2が設けられる例を示したが、これに限らず、フィルム巻取装置に1つの巻取軸およびチャック機構が設けられるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、圧縮コイルばね16によってロッド12を付勢する例を示したが、これに限らず、圧縮コイルばね以外の付勢部材によってロッドを付勢するようにしてもよい。
【解決手段】フィルム巻取装置は、巻取軸とチャック機構とを備える。巻取軸がチャック機構に保持されていない場合には、巻取軸の外周面の直径が第1値になる。巻取軸がチャック機構に保持される場合には、押圧部材により付勢部材の付勢力に抗してロッドが軸方向の他方側に移動され、外殻部材が径方向の外側に移動されることにより、巻取軸の外周面の直径が第1値よりも大きい第2値になる。巻取軸がチャック機構に保持された状態で押圧部材が第1位置から第2位置に移動される場合には、押圧部材により付勢部材の付勢力に抗してロッドが軸方向の他方側に移動され、外殻部材が径方向の外側に移動されることにより、巻取軸の外周面の直径が第2値よりも大きい第3値になる。