特許第6553849号(P6553849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553849
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】口臭抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20190722BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20190722BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   A61K8/9789
   A61Q11/00
   A61K8/49
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-146112(P2014-146112)
(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-23142(P2016-23142A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年7月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】磯村 遼
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 さとみ
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭司郎
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−263332(JP,A)
【文献】 特開2008−273938(JP,A)
【文献】 特開2008−289899(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0009063(US,A1)
【文献】 特開2013−075880(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/117029(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0202545(US,A1)
【文献】 特開2010−083795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
A61P1/00−43/00
A61K31/00−31/327
A61K31/33−33/44
A61K 36/00−36/05
A61K 36/07−36/9068
A61K 9/00−9/72
A61K47/00−47/48
Japio−GPG/FX
JSTPlus/JMEDPlusCAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリーブ葉エキスを含み、プロテアーゼの活性を阻害するプロテアーゼ活性阻害剤であって、該プロテアーゼがBApNA分解酵素またはペプチダーゼであることを特徴とするプロテアーゼ活性阻害剤。
【請求項2】
口腔内細菌のプロテアーゼ活性を阻害することを特徴とする請求項1のプロテアーゼ活性阻害剤。
【請求項3】
前記オリーブ葉エキスがオレウロペインを18%(重量)以上含むことを特徴とする請求項1または2に記載のプロテアーゼ活性阻害剤。
【請求項4】
前記オリーブ葉エキスがオレウロペインを50%(重量)以上含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプロテアーゼ活性阻害剤。
【請求項5】
オレウロペインを含み、プロテアーゼの活性を阻害するプロテアーゼ活性阻害剤であって、該プロテアーゼがBApNA分解酵素またはペプチダーゼであることを特徴とするプロテアーゼ活性阻害剤。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
口臭は他人に不快感を与えるものであり、口臭を除去または低減するための消臭剤が望まれる。口臭の主成分は硫化水素やメチルメルカプタン等の揮発性硫黄化合物(VSCs:volatile sulfur compounds)である。VSCsは口腔内細菌により、剥離上皮細胞、白血球や、食物残渣などのタンパク質が分解されて産生される(非特許文献1)。タンパク質は、細菌等に由来するプロテアーゼによって分解され、さらに、ペプチドや遊離アミノ酸が、さらに分解され、VSCsが発生する。
【0002】
口臭の抑制方法として、臭いのマスキング、化学反応による臭い成分の不揮発化、抗菌などが知られている。これらのうち、マスキングや不揮発化による消臭は、臭いの発生を元から絶つことができず、効果が長続きしないという問題がある。また、抗菌については、過度の抗菌は、口腔内の菌叢に悪影響を与える恐れがある。
【0003】
臭いのマスキング、化学反応による臭い成分の不揮発化、抗菌以外の方法として、口臭発生に関わる酵素の阻害が上げられる。酵素阻害は、臭いの元を断つことができ、菌叢への影響も少なく、安全である。
【0004】
また一方で、口臭の抑制剤を経口摂取可能なものとする場合は、摂取した際の安全性が高く、なおかつイメージのよいものが望まれる。そのようなものとして、天然物の抽出物が挙げられる。
【0005】
オリーブはモクセイ科の植物で学名をOlea europaeaという。オリーブの葉は、古くから、マラリアなどの発熱に対する民間治療薬として使用されてきた。イタリアでは、オリーブ葉の茶を利尿や降圧剤として、薬用に用いていたとの報告がある。日本でもオリーブの葉は菓子や茶として、食用、飲用に用いられている。
【0006】
我が国では、オリーブ葉エキスは、エーザイフード・ケミカル社をはじめとする複数の会社からサプリメントとして市販されており、健康被害などの報告はない。オリーブ葉エキスをヒトが1600 mg/日で3ヶ月摂取した例、あるいは1000 mg/日で8週間摂取して、毒性が認められなかったことが報告されている(非特許文献2、3)。
【0007】
オレウロペインはオリーブ葉に高濃度に含まれるポリフェノールである。オリーブ葉エキスに含まれるオレウロペインの含量はオリーブ葉エキスの製造方法によって異なり、葉抽出物中、オレウロペインの割合が数%から50%(重量)占めるものを市販で入手できる。オリーブ葉エキスとしてはエーザイフード・ケミカル株式会社がオピエースを市販するほか、表11に挙げるように、複数の会社の市販品を入手することができる。
【0008】
オレウロペインは加水分解されてヒドロキシチロソール(3,4-dihydroxyphenylethanol: DOPET)になる。なお、本発明者らが確認したところ、ヒドロキシチロソールには口臭抑制・改善効果は認められなかった。
【0009】
オレウロペインを含む植物として最もよく知られているのは上記のオリーブ葉であるが、オリーブ葉以外にオレウロペインを含む植物としてOlea lancea、モクセイ(Osmanthus asiaticus)、ヒイラギ(Osmanthus ilicifolius)、ジャスミン(Jasminum officinale)、トネリコ(Fraxinus rhychophylla)、チョウセントネリコ(Fraxinus rhynchophylla)、セイヨウトネリコ(Fraxinus excelsior)、ホワイトアッシュ(Fraxinus americana)、コーカサスアッシュ(Fraxinus angustifolia)、チャイニーズアッシュ(Fraxinus chinensis)、ヤチダモ(Fraxinus mandshurica)、ハシドイ(Syringa reticulata)、ムラサキハシドイ(Syringa vulgaris)、ウスゲハシドイ(Syringa velutina)、ハンガリーハシドイ(Syringa josikana)、ヒロハハシドイ(Syringa oblata)、イボタノキ(Ligustrum obtusifolium)、オオハイボタ(Ligustrum ovalifolium)、セイヨウイボタ(Ligustrum vulgare)、トウネズミモチ(Ligustrum lucidum)、ニイタカイボタ(Ligustrum delavayanum)、Phillyrea latifolia、マスティックツリー(Pistacia lentiscus) 、フリンジツリーまたはアメリカヒトツバタゴ(Chionanthus virginicus)、アルガンツリー(Argania spinosa)、ニガキモドキ(Brucea amarissima)などが知られている。しかしながら、以上の植物由来物質について、口臭抑制効果に関する報告はない。
【0010】
オレウロペインを有効成分としたオリーブ葉エキスの生理活性については、血圧低下作用(非特許文献5)、血糖降下作用(非特許文献4)、血中コレステロールおよび中性脂肪値低下作用(非特許文献6)、歯槽骨吸収抑制作用(特許文献1、2)などが開示されている。しかしオレウロペインを有効成分としたオリーブ葉エキスのロ臭抑制・改善効果、あるいは、オレウロペインのロ臭抑制・改善効果についての報告はない。
【0011】
オリーブに関連する口臭抑制剤としては、オリーブオイルを含有するマウスウォッシュの口臭抑制効果が報告されている。しかし、これはオイルの口腔内洗浄効果によってロ臭を低減するものであり、口臭原因菌の酵素阻害については開示も示唆もない(非特許文献5、特許文献3、4)。オリーブの未熟果にオレウロペインは存在するが、果実の成熟に伴ってオレウロペインは分解されることが知られ、オリーブ果実を絞って製造したオリーブオイルには、オレウロペインの含まれる量は微量であることが分かっている(非特許文献7、8、9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】再表2010/082600号公報
【特許文献2】特開2009−263332号公報
【特許文献3】特許第4511028号公報
【特許文献4】特開2004−511506号公報
【特許文献5】特開2002−128678号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】第一歯科出版発行 季刊歯科医療 20(1) pp.31-39, (2006)
【非特許文献2】J. Pharm. Berg., 51, pp.69-71 (1996)
【非特許文献3】Phytother. Res.,22(9),pp.1239-1242 (2008)
【非特許文献4】Life Sci.,78(12),pp.1371-1377 (2006)
【非特許文献5】J. Nutr.,136(8),pp.2213-2219 (2006)
【非特許文献6】Clin. Prev. Dent.,14(1),pp.5-9 (1992)
【非特許文献7】Food Chem.,138(2-3),pp.1663-1669 (2013)
【非特許文献8】Electrophoresis., 34(12), pp.1836-1843(2013)
【非特許文献9】Plant Foods Hum. Nutr.,67(4),pp.326-336 (2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
経口摂取が可能な安全性の高い口臭抑制剤の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、オリーブ葉エキスが口臭を抑制する効果を有することを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0016】
本発明の口臭抑制剤は、口腔内の菌叢に悪影響を与えることなく、口臭の発生を元から絶つことができ、また、安全性が高く、経口摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】オレウロペイン及びオピエースのVSCs抑制効果を示す。
図2】オピエースおよび消臭素材のVSCs抑制効果を示す。
図3】オピエース、オレウロペイン及び消臭素材のコラゲナーゼ活性阻害効果 (P. g)を示す。
図4】オピエース、オレウロペイン及び消臭素材のBApNA分解活性阻害効果(P. g)を示す。
図5】オピエース、オレウロペイン及び消臭素材のペプチダーゼ活性阻害効果(S. a)を示す。
図6】オピエース、オレウロペイン及び消臭素材のペプチダーゼ活性阻害効果(P. i)を示す。
図7】オピエース、オレウロペイン及び消臭素材の硫化水素産生酵素活性阻害効果(P. i)を示す。
図8】オピエース、オレウロペイン及び消臭素材の硫化水素産生酵素活性阻害効果(S. a)を示す。
図9】オピエース、オレウロペイン及び消臭素材の硫化水素産生酵素活性阻害効果(F. n)を示す。
図10】オピエース、オレウロペイン及び消臭素材のメチルメルカプタン産生酵素活性阻害効果(F. n)を示す。
図11】オピエース、オレウロペイン及び消臭素材のメチルメルカプタン産生酵素活性阻害効果(P. g)を示す。
図12】EGCg配合ガム、オピエース配合ガム、グルコン酸亜鉛配合ガムのガム咀嚼唾液を用いたVSCsの抑制効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明はオリーブ葉エキスを含むことを特徴とする口臭抑制剤を提供する。オリーブ葉エキスとはオリーブの葉を有機溶媒などで抽出して得られる抽出物を指し、例えば、オリーブ葉の裁断、温水抽出、ろ過、ろ液からの精製、濃縮、乾燥、篩い分け等により得ることができる。好ましい抽出方法の一例は、特許文献5を参照することができる。オリーブ葉エキスは好ましくはオレウロペインがオリーブ葉エキス中18%(重量)以上含まれ、さらに好ましくは50%(重量)以上含まれる。あるいは、オリーブ葉エキスは、オレウロペインそのものであってもよい。オリーブ葉エキスは、様々な会社より市販されており、それらを適宜用いることができる。なお、市販品には、オリーブ葉抽出物に、さらに、デキストリン等が加えられている場合があるが、それらは本発明の口臭抑制剤に含まれてもよいが、必ずしも、本発明の口臭抑制剤に含まれる必要はない。
【0019】
本発明の口臭抑制剤は、特に、口腔内細菌の酵素活性を阻害することを特徴とする。口腔内細菌は口腔内に存在する菌全てを指し、例としては、Fusobacterium nucleatum, Prevotella melaninogenica, Prevotella nigrescens, Prevotella intermedia, Veillonella parvula, Veillonella dispar, Veillonella atypica, Streptococcus anginosus, Porphyromonas gingivalisおよびTreponema denticolaを挙げることができる。
【0020】
本発明の口臭抑制剤は、酵素活性を阻害することにより、口臭抑制効果を発する。本発明の口臭抑制剤によって活性が阻害される酵素の例として、プロテアーゼ活性またはVSCs産生酵素を挙げることができ、さらに、プロテアーゼとしては、コラゲナーゼ、BApNA(Nα-benzoyl-DL-arginine 4-nitroanilide hydrochloride(BApNA))分解酵素またはペプチダーゼを挙げることができ、VSCs産生酵素の例としては硫化水素産生酵素またはメチルメルカプタン産生酵素を挙げることができる。
【0021】
本発明の口臭抑制剤は、経口摂取が可能であることから、本発明の口臭抑制剤を含む飲食品も本発明の実施形態に含む。飲食品は特に限定されることなく、例としては、菓子、冷菓、乳製品、肉類、魚類、野菜類、それらの加工食品、清涼飲料、酒類、水、さらには家畜やペットの飼料などを挙げることができる。
【0022】
実施例1
培養唾液から発生するVSCsの各サンプルによる抑制効果を確認するための試験を行った。
試験方法は以下のとおりであった。
3名の口腔疾患を有さない被験者(平均29.7±4.0歳)が、午後4時から6時にパラフィンを咀嚼し、刺激唾液10〜15mLをチューブに吐出した。3名分の唾液は、それぞれボルテックスし、ガーゼでろ過後、等量ずつ混合した。18mL容の密閉試験管(テフロン(登録商標)コーティング済)中、試験唾液1mLとサンプル溶液1mLを混合し、あるいは、コントロールとして、サンプル溶液を加えずに、蒸留水1mLを加え、37℃で嫌気条件下にて約20時間インキュベートした。サンプル溶液は、オレウロペイン(オリーブ葉から精製)、オリーブ葉エキスとして、オピエース(エーザイフード・ケミカル株式会社)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、グルコン酸亜鉛を用い、オレウロペインは最終濃度が50ppmとなるよう、その他は、最終濃度が100ppmとなるように調製された。
なお、オピエースはオリーブ葉エキス70%と賦形剤であるデキストリン30%からなる。オリーブ葉エキス中の50%がオレウロペインであり、賦形剤を含むオピエース中のオレウロペイン含量は35%と換算される。本実験では、オリーブ葉エキス濃度が反応液中で100ppmとなるよう調製された、すなわち、オピエースとしての、反応液中の濃度は143ppmである。
【0023】
試験管を氷中に10分間以上静置し、37℃にて20分間振とう後、容器中のヘッドスペースガスをガスクロマトグラフィー(GC)分析した。GC分析条件は、GC6890N (Agilent, Santa Clara, USA)、カラムDB-1 (Agilent, Santa Clara, USA), 注入口温度 200℃, 検出器温度200℃, カラム温度35℃、H2流量 50mL/min、Air流量 60mL/min、定流量カラム+N2メークアップ流量 15mL/minとした。
【0024】
結果を図1及び2に示す。図1から分かるように、コントロールの培養唾液から発生したVSCsは硫化水素が204ng/mL、メチルメルカプタンが42ng/mLだった。オレウロペイン50ppmを添加した培養唾液からは硫化水素が49ng/mLとメチルメルカプタンが8ng/mL、オピエースをオリーブ葉エキス換算量で最終濃度100ppmとなるように添加した培養唾液からは硫化水素が31ng/mLとメチルメルカプタンが5ng/mL発生した。以上より、オレウロペイン並びにオピエースにVSCs抑制効果が認められた。
【0025】
図2から分かるように、コントロールの培養唾液においては、硫化水素は66ng/mL、メチルメルカプタンは43ng/mL検出された。EGCgを添加した培養唾液においては、硫化水素は55ng/mL、メチルメルカプタンは29ng/mL、オリーブ葉エキス換算量で最終濃度100ppmとなるように添加した培養唾液においては、硫化水素は12ng/mL、メチルメルカプタンは6ng/mL、グルコン酸亜鉛100ppmを添加した培養唾液においては、硫化水素は10ng/mL、メチルメルカプタンは0ng/mLが検出された。以上より、オピエースのVSCs抑制効果はEGCgよりも優れ、グルコン酸亜鉛と同水準であることが確認された。
【0026】
実施例2
プロテアーゼ活性阻害試験
各サンプルによる抑制効果を確認するための試験を菌の粗酵素液を用い、プロテアーゼ(コラゲナーゼ、BApNA分解酵素、ペプチダーゼ)阻害試験あるいは、VSCs産生酵素活性阻害試験を行った。
実施例2および3で使用した菌株は以下のとおりである。
【表1】
【0027】
1)粗酵素液の調製
次の菌株の粗酵素液を以下のとおり調製した。
P. g(菌体外成分由来の粗酵素液の調製)
P. gを3.0g/Lのイーストエクストラクトと5mg/Lのへミンおよび0.5mg/Lのメナジオンを含むトリプチケースソイブロス培地中で培養した。はじめに、嫌気条件下で37℃にて2日間前々培養し、前培養用の培地に前々培養液を10%植菌し、嫌気条件下で37℃にて2日間前培養した。本培養用の培地に前培養液を10%植菌し、嫌気条件下で37℃にて3日間培養した。10,000×g、4℃で20分間遠心分離して上清を回収した。上清に飽和硫酸アンモニウム溶液を加えて飽和硫酸アンモニウム溶液80%とし、4℃にて一晩静置した。12,000×g、4℃で30分間遠心分離して沈殿を回収後、5mM塩化カルシウム含有50mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)に懸濁した。5mM塩化カルシウム含有50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)に対して4℃にて2日間透析した。透析内液を25,000×g、4℃にて30分間遠心分離して上清を回収後-80℃保存し、使用時に溶解して使用した。粗酵素液はBCAプロテインアッセイキット(Thermo Scientific, Rockford, IL., USA.)を用い、タンパク濃度を算出した。粗酵素液のタンパク濃度は0.27mg/mLであり、反応系で0.04mg protein/mLに希釈して用いた。
【0028】
P. i(菌体外成分由来の粗酵素液の調製)
P. iを3.0g/Lのイーストエクストラクトと5mg/Lのへミンおよび0.5mg/Lのメナジオンを含むトリプチケースソイブロス培地で培養した。はじめに、嫌気条件下で37℃にて2日間前々培養し、前培養用の培地に前々培養液を10%植菌し、嫌気条件下で37℃にて2日間前培養した。本培養用の培地に前培養液を10%植菌し、嫌気条件下で37℃にて3日間培養した。10,000×g、4℃で20分間遠心分離して上清を回収した。上清に飽和硫酸アンモニウム溶液を加えて飽和硫酸アンモニウム溶液80%とし、4℃にて一晩静置した。12,000×g、4℃で30分間遠心分離して沈殿を回収後、5mM塩化カルシウム含有50mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)に懸濁した。5mM塩化カルシウム含有50mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)に対して4℃にて2日間透析した。透析内液を25,000×g、4℃にて30分間遠心分離して上清を回収後-80℃保存した。これを菌体外成分由来のペプチダーゼ粗酵素とした。粗酵素液はBCAプロテインアッセイキットを用い、タンパク濃度を算出したところ、0.34mg/mLであった。
【0029】
P. i(菌体破砕液由来の粗酵素液の調製)
P. i ATCC25611を3.0g/Lのイーストエクストラクトと5mg/Lのへミンおよび0.5mg/Lのメナジオンを含むトリプチケースソイブロス培地中、嫌気条件下で37℃にて1日間前培養した。その後本培養用のトリプチケースソイブロス培地に前培養液を20%植菌し、嫌気性条件下で37℃にて2日間培養した。8,000×g、4℃で遠心分離して菌体を回収し、100mM リン酸バッファー (pH 7.6)に懸濁、超音波破砕機(model UR-200P, トミー精工, 東京, 日本)を用い、出力20Wにて0℃で7.5分間処理した。20,000×g、4℃にて20分間遠心分離して上清を回収後-80℃保存した。粗酵素液はBCAプロテインアッセイキットを用い、タンパク濃度を算出したところ、1.86mg/mLであった。
【0030】
S. a(菌体破砕液由来の粗酵素液の調製)
S. aを3.0g/Lのイーストエクストラクトと5mg/Lのへミンおよび0.5mg/Lのメナジオンを含むトリプチケースソイブロス培地中、嫌気条件下で37℃にて1日間前培養した。その後本培養用の培地に前培養液を20%植菌し、嫌気性条件下で37℃にて2日間培養した。8,000×g、4℃で遠心分離して菌体を回収し、100mM リン酸バッファー(pH 7.6)に懸濁、超音波破砕機(model UR-200P, トミー精工, 東京, 日本)を用い、出力170Wにて0℃で20分間処理した。20,000×g、4℃にて20分間遠心分離して上清を回収後-80℃保存した。粗酵素液はBCAプロテインアッセイキットを用い、タンパク濃度を算出したところ、0.89mg/mLであった。
【0031】
2)コラゲナーゼ活性阻害試験
コラゲナーゼ活性を有する対象として上記P. g粗酵素液を用いた。実験ではP. g粗酵素液は0.04mg protein/mLに希釈して用いた。コラゲナーゼ活性測定はコラゲノキットCLN100(コラーゲン技術研修会, 東京, 日本)を用いた。黒色エッペンドルフチューブ中に基質溶液0.2mLとサンプル0.1mLを加え、35℃で5分間保温後、P. g粗酵素液0.1mLを加えて35℃で2時間反応させた。反応停止液を0.01mL加えた後、35℃で1時間静置した。抽出液を0.4mL加えて3,000×g、4℃にて10分間遠心分離し、上清を回収した。上清を5mM塩化カルシウム含有50mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)を用いて5倍希釈してから蛍光強度(Ex. 495nm, Em. 520nm)を蛍光分光光度計(RF-5000, 島津製作所, 京都, 日本)を用いて測定した。
【0032】
結果を図3および表2に示す。図3および表2から判るように、オピエース及びオレウロペインは濃度依存的にコラゲナーゼ活性を阻害した。
【表2】
結果はコラゲナーゼ活性阻害率(%)で示す。本明細書中、オピエースの濃度は、オリーブ葉エキスの換算量として計算されている。すなわち、表4から表10において、サンプル濃度0.625, 1.25, 2.5, 5, 10, 20, 31.25, 62.5, 125, 250, 500μg/mLは、それぞれ、賦形剤を含むオピエースの濃度としては、0.893, 1.79, 3.57, 7.14, 14.3, 28.6, 44.64, 89.29, 178.6, 357.1, 714.3μg/mLに相当する。
【0033】
3)BApNA分解活性阻害試験
BApNA分解活性を有する対象として上記P. g粗酵素液を用いた。実験ではP. g粗酵素液は0.1mg protein/mLに希釈して用いた。サンプルを蒸留水に溶解し、96ウェルプレートにてサンプル液50μLを蒸留水を用いて2倍段階希釈した。Nα-benzoyl-DL-arginine 4-nitroanilide hydrochloride(BApNA)を100mMとなるようにDMSOに溶解後、蒸留水を用いて4mM BApNA溶液を調製した。各ウェルに4 mM BApNAを50μLずつ添加後、P.g FDC381菌体破砕液を終濃度0.1mg/mLとなるように100μLを添加し、37℃で60分間反応させた。反応後、直ちにマイクロプレートリーダー(SH-1000, コロナ電気, 茨城, 日本)を用いてOD405を測定した。サンプル無添加の吸光度に対する吸光度の減少率から各濃度における阻害率を算出した。
【0034】
結果を図4および表3に示す。図4および表3から判るように、オピエース及びオレウロペインは濃度依存的にBApNA分解活性を阻害した。
【表3】
結果はBApNA分解活性阻害率(%)で示す。
【0035】
4)ペプチダーゼ活性阻害試験
ペプチダーゼ活性を有する対象として上記P. i(菌体外成分由来および菌体破砕液由来)、粗酵素液、及びS. a粗酵素液を用いた。サンプルを蒸留水に溶解し、96ウェルプレートにてサンプル液100μLを蒸留水を用いて2倍段階希釈した。H-Ala-Pro-pNAまたはH-Lys-Ala-pNAを4mMとなるように蒸留水に溶解し、基質液とした。各ウェルに基質液を50μLずつ添加後、粗酵素液を100 μL添加(終濃度がP. i菌体外成分由来は0.05mg/mL、P. i菌体破砕液は0.03mg/mL、S. a は0.02mg/mLであった)し、37℃で60分間反応させた。反応後、直ちにマイクロプレートリーダー(SH-1000, コロナ電気, 茨城, 日本)を用いてOD405を測定した。サンプル無添加の吸光度に対する吸光度の減少率から各濃度における阻害率を算出した。
【0036】
結果を図5、6および表4、5に示す。図5および表4はS. a由来のペプチダーゼを用いてH-Ala-Pro-pNAの分解活性阻害効果、図6および表5はP. i菌体外成分由来のペプチダーゼを用いてH-Ala-Pro-pNAの分解活性阻害効果を評価した。図5、6および表4、5から判るように、オピエースは濃度依存的にペプチダーゼ活性を阻害した。しかし、オレウロペインにはペプチダーゼ活性阻害効果はほとんど認められなかった。なお、P. i菌体破砕液由来の粗酵素液を用いた結果は示さないが、菌体外成分由来とほぼ同様の結果であった。
【0037】
【表4】
結果はH-Ala-Pro-pNA分解活性阻害率(%)で示す。
【0038】
【表5】
結果はH-Ala-Pro-pNA分解活性阻害率(%)で示す。
【0039】
実施例3
VSCs産生酵素活性阻害試験
1)粗酵素液の調製
次の菌株の粗酵素液を以下のとおり調製した。
F. n、P. i、S. a、P. g(菌体破砕液由来の粗酵素液の調製)
F. n、P. i、S. aまたはP. gは以下のとおり調製された。すなわち、それぞれの菌株は、3.0g/Lのイーストエクストラクトと5 mg/Lのへミンおよび0.5mg/Lのメナジオンを含むトリプチケースソイブロス培地中で培養された。はじめに、嫌気条件下で37℃にて1日間前培養した。その後本培養用のトリプチケースソイブロス培地に前培養液を20%植菌し、嫌気性条件下で37℃にて2日間培養した。8,000×g、4℃で遠心分離して菌体を回収し、100 mM リン酸バッファー(pH 7.6)に懸濁、超音波破砕機(model UR-200P, トミー精工, 東京, 日本)を用い、出力20Wにて0℃で7.5分間処理した。20,000×g、4℃にて20分間遠心分離して上清を回収後-80℃保存し、使用時に溶解して使用した。粗酵素液はBCAプロテインアッセイキット(Pierce, Rockford, IL, USA)を用い、タンパク濃度を算出した。粗酵素液のタンパク濃度はF. nは2.7mg/mL、P. iは0.81mg/mL、S. aは0.89mg/mL、P. gは2.2mg/mLであり、以下の測定ではそれぞれ0.3mg protein/mLに希釈して用いた。
【0040】
2)硫化水素産生酵素活性阻害試験
上記で調製されたF. n、P. i、S. aの粗酵素液を対象に、メチレンブルー法により産生した硫化水素濃度を測定した。0.3mg protein/mL粗酵素、1mMシステイン、10μMピリドキサールリン酸、2.5mMジチオエリトリトール及びサンプルを1mLの10mMリン酸緩衝液(pH 7.5)中で混合し、37℃で60分間反応させた。0.1mLの20mM N’-N’-ジメチル-p-フェニレンジアミン塩酸塩/7.2 N塩酸、0.1mLの30mM塩化鉄(III)/1.2 N塩酸を添加して反応を停止後、室温で30分間静置してからOD670を測定した。上記反応でシステインだけを除いた反応液をサンプルブランクとした。
【0041】
結果を図7、8、9および表6、7、8に示す。図7および表6はP. i由来の硫化水素産生酵素、図8および表7はS. a由来の硫化水素産生酵素、図9および表8はF. n由来の硫化水素産生酵素を用いた。図7、8、9および表6、7、8から判るように、オピエースおよびオレウロペインは濃度依存的に硫化水素産生酵素活性を阻害した。
【0042】
【表6】
結果は硫化水素産生酵素活性阻害率(%)で示す。
【0043】
【表7】
結果は硫化水素産生酵素活性阻害率(%)で示す。
【0044】
【表8】
結果は硫化水素産生酵素活性阻害率(%)で示す。
【0045】
3)メチルメルカプタン産生酵素活性阻害試験
上記で調製されたF. n、P. gの粗酵素液を対象にメチルメルカプタン産生反応の副生成物である-ケト酪酸を以下の方法により検出した。0.3mg protein/mL粗酵素、30mMメチオニン、50μMピリドキサールリン酸及びサンプルを1mLの10mMリン酸緩衝液(pH 7.5)中で混合し、37℃で60分間反応させた。0.5mLの6%過塩素酸水溶液を添加して反応を停止後、3,000×gで10分間遠心分離して上清を得た。50mLの0.05% 3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン水溶液と100mLの1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)からなる検出試薬1.2mLを上清0.4mLに添加して50℃で30分間反応後、室温に戻してOD335を測定した。上記反応でメチオニンだけを除いた反応液をサンプルブランクとした。
【0046】
結果を図10、11および表9、10に示す。図10および表9はF. n由来のメチルメルカプタン産生酵素、図11および表10はP. g由来のメチルメルカプタン産生酵素を用いた。図10、11および表9、10から判るように、オピエースおよびオレウロペインは濃度依存的にメチルメルカプタン産生酵素活性を阻害した。
【0047】
【表9】
結果はメチルメルカプタン産生酵素活性阻害率(%)で示す。
【0048】
【表10】
結果はメチルメルカプタン産生酵素活性阻害率(%)で示す。
【0049】
実施例4
様々なメーカーが市販するオリーブ葉エキス及び精製されたオレウロペインを用い、それぞれのVSCsの抑制率を測定した。それぞれのオリーブ葉エキスは、含有するオレウロペインの量も様々であった。本実施例では、実施例1と同様の試験を行い、サンプル溶液として、各製剤中の賦形剤(デキストリン、シリカ、アラビアガム、微粒二酸化ケイ素)を除いたオリーブ葉エキスおよび果実エキスの量として、最終濃度が100ppmとなるように、あるいは、オレウロペインを用い最終濃度が50ppmとなるようにした。結果を表11に示す。
結果より、オレウロペイン含有量が18%以上であれば、VSCsに対して抑制効果を示すことがわかった。なお、オレウロペイン含有量が18%とは、最終濃度でオレウロペインが18ppmである。また、オレウロペイン単独で50ppmでも、VSCsに対して高い抑制効果を示すことが分かった。
【0050】
【表11】
VSCsの抑制率は(唾液培養法における)コントロールからのVSCs発生量に対する抑制率(%)で示す。
【0051】
実施例5
オピエースまたはオレウロペインを用いて、以下の処方により、練り歯磨、含嗽剤、消臭スプレー、口臭用スプレー、錠剤、粉末剤等の組成物、チューインガム、キャンディ、錠菓、グミゼリー、チョコレート、ビスケット等の菓子、アイスクリーム、シャーベット、氷菓等の冷菓、飲料、スープ及びジャム等の飲食品を製造した。なお、これらによって本発明品の範囲を制限するものではない。
【0052】
実施例5−1
練り歯磨の処方
炭酸カルシウム 50.0重量%
グリセリン 20.0
カルボオキシメチルセルロース 2.0
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0
香料 1.0
サッカリン 0.1
オリーブ葉エキス 0.5
クロルヘキシジン 0.01
水 残
100.0
【0053】
実施例5−2
含嗽剤の処方
エタノール 2.0重量%
香料 1.0
サッカリン 0.05
塩酸クロルヘキシジン 0.01
オリーブ葉エキス 0.5
水 残
100.0
【0054】
実施例5−3
含嗽剤の処方
エタノール 2.0重量%
香料 1.0
サッカリン 0.05
塩酸クロルヘキシジン 0.01
オレウロペイン 0.25
水 残
100.0
【0055】
実施例5−4
消臭スプレーの処方
エタノール 49.5重量%
オリーブ葉エキス 0.5
水 50.0
100.0
これを噴射ガス(窒素ガス)とともにエアゾール容器に充填し、消臭スプレーを調製した。
【0056】
実施例5−5
口臭用スプレーの処方
エタノール 10.0重量%
グリセリン 5.0
オリーブ葉エキス 0.5
香料 0.05
着色料 0.001
水 残
100.0
【0057】
実施例5−6
口臭用スプレーの処方
エタノール 10.0重量%
グリセリン 5.0
オレウロペイン 0.25
香料 0.05
着色料 0.001
水 残
100.0
【0058】
実施例5−7
トローチ剤の処方
ブドウ糖 72.3重量%
乳糖 19.0
アラビアゴム 6.0
香料 1.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
オリーブ葉エキス 0.5
100.0
【0059】
実施例5−8
チューインガムの処方
ガムベース 20.0重量%
砂糖 55.0
グルコース 15.0
水飴 9.0
香料 0.5
オリーブ葉エキス 0.5
100.0
【0060】
実施例5−9
チューインガムの処方
ガムベース 22.5重量%
砂糖 55.0
グルコース 15.0
水飴 9.0
香料 0.5
オレウロペイン 0.25
100.0
【0061】
実施例5−10
キャンディの処方
砂糖 50.0重量%
水飴 34.0
香料 0.5
オリーブ葉エキス 0.5
水 残
100.0
【0062】
実施例5−11
キャンディの処方
砂糖 52.5重量%
水飴 34.0
香料 0.5
オレウロペイン 0.25
水 残
100.0
【0063】
実施例5−12
錠菓の処方
砂糖 76.4重量%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
香料 0.2
オリーブ葉エキス 0.1
水 残
100.0
【0064】
実施例5−13
錠菓の処方
砂糖 76.4重量%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
香料 0.2
オレウロペイン 0.05
水 残
100.0
【0065】
実施例5−14
グミゼリーの処方
ゼラチン 60.0重量%
水飴 23.0
砂糖 8.5
植物油脂 4.5
マンニトール 2.8
レモン果汁 1.0
オリーブ葉エキス 0.2
100.0
【0066】
実施例5−15
チョコレートの処方
粉糖 39.8重量%
カカオビター 20.0
全脂粉乳 20.9
カカオバター 17.0
マンニトール 2.0
オリーブ葉エキス 0.1
香料 0.2
100.0
【0067】
実施例5−16
ビスケットの処方
薄力粉1級 25.59重量%
中力粉1級 22.22
精白糖 4.8
食塩 0.73
ブドウ糖 0.78
パームショートニング 11.78
炭酸水素ナトリウム 0.17
重亜硫酸ナトリウム 0.16
米粉 1.45
全脂粉乳 1.16
代用粉乳 0.29
オリーブ葉エキス 0.1
水 残
100.0
【0068】
実施例5−17
アイスクリームの処方
脱脂粉乳 50.0重量%
生クリーム 25.0
砂糖 10.0
卵黄 10.0
オリーブ葉エキス 0.1
香料 0.1
水 残
100.0
【0069】
実施例5−18
シャーベットの処方
オレンジ果汁 25.0重量%
砂糖 25.0
卵白 10.0
オリーブ葉エキス 0.2
水 残
100.0
【0070】
実施例5−19
飲料の処方
オレンジ果汁 30.0重量%
異性化糖 15.24
クエン酸 0.1
ビタミンC 0.04
香料 0.1
オリーブ葉エキス 0.1
水 残
100.0
【0071】
実施例5−20
スープの処方
牛乳 60.00重量%
たまねぎ 20.00
にんじん 10.00
野菜ブイヨン 1.00
バター 0.10
コショウ 0.05
塩 0.05
オリーブ葉エキス 0.1
水 残
100.0
【0072】
実施例5−21
ジャムの処方
果肉 4.0重量%
砂糖 65.0
清澄果汁 25.0
クエン酸 0.5
オリーブ葉エキス 0.1
水 残
【0073】
実施例6
ガム咀嚼唾液を用いた、唾液から発生するVSCsの抑制効果
オリーブ葉エキスを7.86mg/粒(オピエース11.2mg/粒)配合したガムを作成した。EGCgを3mg/粒配合したガム、グルコン酸亜鉛を7.86mg/粒配合したガム、効能素材を含まないブランクガムを同様に作成し、試験に用いた。
ブランクガムと有望素材配合ガム2種類を同時に試験する場合、ガム咀嚼と唾液の吐出を繰り返すとVSCsの発生源となる剥離上皮細胞と口臭原因菌の量は減っていくと考えられる。そのため、まずパラフィン(モリタ, 東京, 日本)を咀嚼した唾液を回収して十分な剥離上皮細胞と口臭原因菌を確保した後、ガム咀嚼唾液を回収した。その際ガムから溶出した成分が口腔内に残らないように、ガム咀嚼前後に水を用いて洗口した。口腔疾患を有さない被験者3名(平均 29.74.0歳)よりパラフィン咀嚼唾液10〜15mLを50mLチューブに回収し、ボルテックスおよびガーゼろ過後、等量混合した。ガム咀嚼唾液については被験者の1名(26歳)がガム2粒を5分間咀嚼し、咀嚼開始0分から5分までの唾液を全量回収し、同様にボルテックスおよびガーゼろ過した。各種ガムの咀嚼についてはブランクガム、EGCg配合ガム、オリーブ葉エキス配合ガム、グルコン酸亜鉛配合ガムの順で行った。18mL容のテフロン(登録商標)コーティングねじ栓試験管中試験唾液1mLとサンプル唾液1mLを混合して嫌気条件下37℃にて約20時間インキュベートし、実施例1と同様に評価した。
【0074】
結果を表12、図12に示す。オピエース配合ガム咀嚼唾液を混合した唾液はブランクガム咀嚼唾液を混合した唾液と比較してVSCsを抑制した。EGCg配合ガム、グルコン酸亜鉛配合ガム咀嚼唾液においてもVSCs抑制効果が認められた。
【表12】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12