(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
筒状フィルムの進行方向の両側面の一部を押し込み手段によって所定の折り畳み位置で折り畳むとともにトップシール部を形成するコーナーシール包装機におけるトップシール方法であって、
前記筒状フィルムの上下面の端部にコーナーシール部を形成し、
前記トップシール部の形成前に、前記折り畳み位置よりも前記筒状フィルムの進行方向の前記上下面に近い位置であって前記筒状フィルム側方の前記コーナーシール部の近傍に対し、前記筒状フィルムの外側から内側に向かってエアノズルからエアを吹き付ける、
ことを特徴とするトップシール方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば特許文献3の製袋包装機では、折り襞を起立させた状態でフィルムに対してコーナーシール部を形成しているが、その下流に配置されたローラー等により、コーナーシール部は、いずれか一方のみに横倒しされて折り癖が付いてしまう。
【0008】
コーナーシール部に折り癖が付いた状態のフィルムの例を
図9(A)に示す。このように、従来の製袋機では、フィルムに形成されるコーナーシール部が、一方向に強く横倒しされて折り癖が付く。従って、本出願時において未公知の課題であるが、このフィルムを筒状にして包装機で物品を包み込んでセンターシールを行うと、
図9(B)に示すように、コーナーシール部が、ガゼットが形成される側面に向かって倒れ込む(矢印参照)。
【0009】
図11に、このコーナーシール部付の筒状フィルムを用いて、包装機でトップシールを行う際のトップシール部近傍の変形過程を示す。
【0010】
図11(A)に示すように、筒状フィルムのコーナーシール部が、その強い折り癖によって、ガゼットが形成される側面に対して鋭角Aを成すように倒れ込む。この状態で
図11(B)に示すように、トップシーラーが筒状フィルムの上面に当接して更に挟み込もうとする。コーナーシール部は、トップシーラーの当接面に沿うように変形して水平状態になる(矢印参照)。コーナーシール部近傍には折り癖(角度A参照)が残存しているため、コーナーシール部が水平になると、近傍の側面フィルムが鋭角Aの折り癖につられるように外側に向かって湾曲する。
【0011】
次いで
図11(C)に示すように、トップシーラーが筒状フィルムを挟み込むと同時に、側面中央に折り目を付ける為に、両脇からガゼット爪を挿入する。このガゼット爪によって、筒状フィルムの側面中央のみが内側に向かって湾曲し、依然としてコーナーシール部近傍のフィルムは、外側に向かって湾曲しているため、トップシール時において、コーナーシール部近傍のフィルムが折り重なった皺状態のままトップシールされてしまう。本発明者らによれば、この事象は特に製品高さが高いもの(ガゼットの幅が大きいもの)の場合に顕著であることが明らかとなっている。
【0012】
また、コーナーシール部を有する包装体に限らず、例えば円柱状の物品を包装する包装体など、コーナーシール部を有していない(コーナー部分に折り目がついていない)包装体であっても、側面(に相当する部分)を内方に押し込んで折り畳むとともにトップシールをする際に、フィルムが折り重なった皺状態のままトップシールされてしまう場合もある。
【0013】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、包装体の仕上がりを向上させることができるコーナーシール装置及び包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明は、筒状フィルムの進行方向の両側面の一部の所定の折り畳み位置を前記筒状フィルムの外側から内側に向かって押し込む押し込み手段と、前記筒状フィルムを前記折り畳み位置で折り畳むとともに前記筒状フィルムを進行方向の上下からトップシーラーで挟んでトップシール部を形成する際、前記折り畳み位置よりも前記筒状フィルムの上下面に近い位置に対して、前記筒状フィルムの外側から内側に向かってエアを吹き付けるエアノズルとを有
し、前記筒状フィルムは前記上下面の端部にコーナーシール部が設けられ、前記エアノズルは前記筒状フィルム側方の前記コーナーシール部の近傍にエアを吹き付ける、ことを特徴とするエア吹き付け機構である。
【0015】
(2)本発明はまた、前記エアノズル
を前記トップシーラーとともに上下方向に移動可能に取り付けた、ことを特徴とする上記(1)に記載のエア吹き付け機構である。
【0016】
(3)本発明はまた、
筒状フィルムの進行方向の両側面の一部の所定の折り畳み位置を前記筒状フィルムの外側から内側に向かって押し込む押し込み手段と、前記筒状フィルムを前記折り畳み位置で折り畳むとともに前記筒状フィルムを進行方向の上下からトップシーラーで挟んでトップシール部を形成する際、前記折り畳み位置よりも前記筒状フィルムの上下面に近い位置に対して、前記筒状フィルムの外側から内側に向かってエアを吹き付けるエアノズルとを有し、前記エアノズルを前記トップシーラーとともに上下方向に移動可能に取り付けた、ことを
特徴とするエア吹き付け機構である。
【0017】
(4)本発明はまた、前記エアノズルは、前記トップシーラーが前記筒状フィルムの前記上下面に接触する際にエアを吹き付ける、ことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエア吹き付け機構である。
【0018】
(5)本発明はまた、前記エアノズルは、エアを吹き付ける際に前記トップシーラーのシール面よりも前記筒状フィルムの中心よりに位置する、ことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエア吹き付け機構である。
【0019】
(6)本発明はまた、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエア吹き付け機構と、前記トップシーラーを有し、前記筒状フィルムに対して所定の間隔で幅方向にシールとカットを施すトップシール装置である。
【0020】
(7)本発明はまた、フィルムを供給するサプライ装置と、前記サプライ装置から供給された前記フィルムにコーナーシール部を形成するコーナーシール装置と、前記コーナーシール部が形成された前記フィルムを、幅方向に曲げて筒状フィルムを形成する製袋装置と、同製袋装置の下流において、前記筒状フィルムにセンターシールを施すセンターシール装置と、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエア吹き付け機構と、前記センターシールが施された前記筒状フィルムに対して所定の間隔で幅方向にシールとカットを施す前記トップシーラーと、を備える、ことを特徴とするコーナーシール包装機である。
【0021】
(8)本発明はまた、前記トップシーラーと前記エア吹き付け機構は、同じ軌跡で移動する、ことを特徴とする上記(7)に記載のコーナーシール包装機である。
【0022】
(9)本発明はまた、筒状フィルムの進行方向の両側面の一部を押し込み手段によって所定の折り畳み位置で折り畳むとともにトップシール部を形成するコーナーシール包装機におけるトップシール方法であって、
前記筒状フィルムの上下面の端部にコーナーシール部を形成し、前記トップシール部の形成前に、前記折り畳み位置よりも前記筒状フィルムの進行方向の
前記上下面に近い位置であって前記筒状フィルム側方の前記コーナーシール部の近傍に対し、前記筒状フィルムの外側から内側に向かって
エアノズルからエアを吹き付ける、ことを特徴とするトップシール方法である。
【0024】
(1
0)本発明はまた、前記筒状フィルムを進行方向の上下から挟んで前記トップシール部を形成するトップシーラーが前記筒状フィルムの上下面に接触する際にエアを吹き付ける、ことを特徴とする上記
(9)に記載のトップシール方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の上記(1)〜(11)に記載のエア吹き付け機構、トップシール装置、コーナーシール包装装置、及びトップシール方法によれば、トップシール時において、コーナーシール部近傍のフィルムが折り重なってシールされてしまい、皺になることを防止できるため、包装体の仕上がりを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るコーナーシール包装機1の構成について説明する。
図1は、コーナーシール包装機1の概略図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0028】
図1に示されるコーナーシール包装機1は、食品や日用品などの物品XA1をフィルムYA1で順次包装するラインで使用される。このコーナーシール包装機1は、物品供給装置2と、フィルム供給装置3と、包装機本体4と、制御ユニット(図示省略)と、などを備えている。
【0029】
これらコーナーシール包装機1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0030】
物品供給装置2は、物品XA1を等間隔で搬送すると共に、当該物品XA1を下流の包装機本体4に順次搬送する。この物品供給装置2は、フィンガーコンベアから構成される。具体的に、物品供給装置2は、スリットを有する搬送面(符号省略)と、この搬送面上の物品XA1を側方からガイドするサイドガイド(図示省略)と、駆動用のスプロケット5と、従動用のスプロケット(図示省略)と、これらスプロケットに架け渡されて走行する環状のチェーン6と、このチェーン6に等間隔のピッチで取り付けられた複数のフィンガー7と、動力源となるサーボモーター(図示省略)と、などを備えている。
【0031】
駆動用のスプロケットは、サーボモーターの駆動によって回転する。従動用のスプロケット5は、チェーン6の走行によって、駆動用のスプロケットに連動して回転する。チェーン6は、駆動用のスプロケットの回転によって循環するように走行する。複数のフィンガー7は、スリットを介して搬送面の下方から上方に突出する。これら複数のフィンガー7は、チェーン6の走行によって、搬送面上を走行する。これにより、複数のフィンガー7は、搬送面上の物品XA1を押送して包装機本体4に送り出す。
【0032】
フィルム供給装置3は、帯状を呈するフィルムYA1にコーナーシール部(ヘムシール部)HE1〜HE4(
図2参照)を形成してから、当該フィルムYA1を下流の包装機本体4に連続して供給する。すなわち、フィルム供給装置3は、フィルムYA1を供給するサプライ装置として機能すると共に、同サプライ装置から供給されたフィルムYA1にコーナーシール部HE1〜HE4を形成するコーナーシール装置として機能する。
【0033】
ここで、
図2を用いて、コーナーシール部HE1〜HE4が形成されたフィルムYA1の構成について説明する。
図2は、コーナーシール部HE1〜HE4が形成されたフィルムYA1の裏面の斜視図である。
【0034】
図2に示されるように、フィルムYA1には、流れ方向に沿った複数(本実施形態では、4本)のコーナーシール部HE1〜HE4が、互いの間隔を空けるように形成されることになる。
【0035】
図1に戻って説明する。具体的に、フィルム供給装置3は、原反軸8と、サーボモーター(図示省略)と、ガイドローラー9と、コーナーシール部形成手段10と、ガイドローラー13などを備えている。
【0036】
原反軸8は、原反ロールYB1を回転自在に保持する。この原反軸8は、サーボモーターに動力が与えられて回転し、保持している原反ロールYB1を回転させる。これにより、原反ロールYB1からフィルムYA1が繰り出される(引き伸ばされる)。ガイドローラー9は、原反ロールYB1から繰り出されたフィルムYA1をガイドしてコーナーシール部形成手段10に送り出す。
【0037】
コーナーシール部形成手段10は、ガイドローラー9を経由して連続して引き出されたフィルムYA1に、流れ方向(長手方向)に沿った複数(本実施形態では、4本)のコーナーシール部HE1〜HE4(
図2参照)を、同時に、互いに間隔を空けるように形成する。具体的に、コーナーシール部形成手段10は、帯状のフィルムYA1をその長手方向に連続するように少なくとも外三つ折りにして横倒しすることによって、所定の方向(
図4(B)における矢印の方向)の折り襞を形成後、同折り襞を横倒し状態でヒートシールすることによってコーナーシール部HE1〜HE4を形成する。すなわち、コーナーシール部形成手段10は、帯状のフィルムYA1をその長手方向に連続する折り襞を形成し、同折り襞を横倒した状態でフィルムYA1をヒートシールすることによって折り襞をヒートシールし、コーナーシール部HE1〜HE4を形成する。結果、
図2に示されるように、コーナーシール部HE1〜HE4は、所定の方向に倒れた状態となるように形成される。その後、コーナーシール部形成手段10は、コーナーシール部HE1〜HE4を形成したフィルムYA1を、ガイドローラー13に送り出す。ガイドローラー13は、フィルムYA1を、包装機本体4に送り出す。
【0038】
なお、原反ロールYB1からフィルムYA1を繰り出す方法として、上述のような原反駆動式の方法を採用する代わりに、フィードローラーを別途設け、当該フィードローラーを動かしてフィルムYA1を引き出すフィードローラー駆動式の方法を採用してもよい。
【0039】
包装機本体4は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、フィルム供給装置3から供給されるフィルムYA1で包装する。具体的に、包装機本体4は、製袋器14と、ピンチローラー15と、センターシール装置16と、第一の搬送装置17と、上部抑え装置18と、トップシール装置(エンドシール装置)19と、第二の搬送装置20と、などを備えている。
【0040】
製袋器14は、フィルム供給装置3から供給されるフィルムYA1を、幅方向の両端縁が互いに重なるように筒状に製袋する。また、製袋器14は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、筒状に製袋されるフィルムYA1に供給する。これにより、物品XA1は、筒状に製袋されたフィルムYA1に包まれる。すなわち、製袋器14は、コーナーシール部HE1〜HE4が形成されたフィルムYA1を、幅方向に曲げて筒状に形成する製袋装置として機能する。
【0041】
ピンチローラー15は、互いに重なるフィルムYA1の両端縁(以下、センターシール部CE1(
図3参照)という。)を挟み込んで、当該センターシール部CE1に搬送力を付与する。
【0042】
センターシール装置16は、一対のバーシーラー16aと、プレスローラー16bと、を備えている。このセンターシール装置16は、一対のバーシーラー16aでセンターシール部を挟んで加熱する。そして、センターシール装置16は、加熱されたセンターシール部をプレスローラー16bで圧着してセンターシールする。すなわち、センターシール装置16は、製袋器14の下流において、筒状に形成されたフィルムYA1にセンターシールを施す。
【0043】
第一の搬送装置17は、センターシールされた筒状のフィルムYA1を、当該フィルムYA1に包まれた物品XA1と共に、搬送面(符号省略)に載せてトップシール装置19に向けて搬送する。この第一の搬送装置17は、トップシール装置19のボックスモーションに合わせて、搬送面を搬送方向に伸縮させる。
【0044】
上部抑え装置18は、第一の搬送装置17の上方に配置されており、第一の搬送装置17に搬送される物品XA1をフィルムYA1ごと上方から抑える。これにより、物品XA1は、水平状態を保持しながら搬送される。
【0045】
トップシール装置19は、筒状のフィルムYA1の進行方向における両側面(ガゼット)の一部を所定の折り畳み位置で折り畳むとともにフィルムYA1を進行方向における上下方向からトップシーラー19a,19bで挟む。すなわち、上下一対のトップシーラー19a,19bを所定の軌跡で公転移動させる周知のボックスモーションにより、物品XA1の長さに応じたピッチ毎に、フィルムYA1の幅方向にトップシール(エンドシール、横シール)とカットを行い、包装体ZA1(
図3(A)及び
図3(B)参照)が製造される。すなわち、トップシール装置19は、センターシールされたフィルムYA1に対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施し、トップシール部TO1を形成する。なお、トップシール装置19の詳細は、例えば特開平09−286413号公報を参照されたい。そして、トップシール装置19は、回転式のトップシール装置でも良い。
【0046】
エア吹き付け機構60は、トップシール装置19に設けられる。エア吹き付け機構60は、トップシール部TO1を形成する際、ガゼットの折り畳み位置よりもフィルムYA1の上下面に近い位置に対して、フィルムYA1の外側から内側に向かってエアを吹き付ける。エア吹き付け機構60については、後に詳述する。
【0047】
ここで、
図3(A)及び
図3(B)を用いて、包装体ZA1の構成について説明する。
図3(A)は、包装体ZA1を下方から視た外観斜視図である。
図3(B)は、包装体ZA1の断面図である。
【0048】
図3に示されるように、包装体ZA1の長手方向に沿った四つ角には、コーナーシール部HE1〜HE4が形成されている。そして、包装体ZA1の底面には、コーナーシール部HE1〜HE4と平行となるように、長手方向に沿った1本のセンターシール部CE1が形成されている。また、包装体ZA1の長手方向の両端には、短手方向に沿った一対のトップシール部TO1が形成されている。
【0049】
図1に戻って説明する。第二の搬送装置20は、包装体ZA1をトップシール装置19から引き継いで、搬送面20aに載せて搬送する。この第二の搬送装置20は、トップシール装置19のボックスモーションに合わせて、搬送面20aを搬送方向に伸縮させる。
【0050】
次に、
図4(A)、(B)を用いて、フィルムYA1にコーナーシール部HE1〜HE4が形成される過程を説明する。
図4(A)、(B)は、コーナーシール部HE1〜HE4が形成される過程を説明する。
【0051】
図4(A)に示されるように、フィルムYA1は、原反ロールYB1(
図1参照)から繰り出され、展開された状態になる。
【0052】
そして、展開された状態のフィルムYA1は、コーナーシール部形成手段10(
図1参照)に送られる。
図4(B)に示されるように、フィルムYA1には、所定の方向(矢印の方向)に折り癖が付くように複数(本実施形態では、4本)のコーナーシール部HE1〜HE4が形成される。
【0053】
図5を用いて、エア吹き付け機構60およびトップシール装置19について説明する。
図5(A)は、
図3(A)に示す包装体ZA1の矢視V1におけるトップシール装置19を示す側面図(
図3(B)の断面に対応する側面図)であり、
図5(B)は、矢視V2におけるトップシール装置19を示す側面図である。
図5(C)は、
図5(B)に対応する側面図であってエア吹き付け機構60によるエアの吹き付け位置SPを示している。なお、いずれの図も、トップシーラー19a、19bがフィルムYA1を押圧する前(フィルムYA1に接触した時)の状態を示している。
【0054】
同図(A)、(B)に示すように、トップシール装置19は、筒状のフィルムYA1の進行方向における両側面S1、S2の一部を、破線で示す折り畳み位置FP(包装体ZA1の厚み方向)の略中心位置、すなわち同図(A)、(B)では側面S1,S2の上下方向の中心位置で折り畳むとともに筒状のフィルムYA1を進行方向の上下からトップシーラー19a、19bで挟んでトップシール部TO1を形成する。
【0055】
そして同図(A)〜(C)に示すように、エア吹き付け機構60は、トップシール部TO1を形成する際、折り畳み位置FPよりもフィルムYA1の上面S3、下面S4に近い吹き付け位置SPに対して、フィルムYA1の外側から内側に向かってエアを吹き付ける。
【0056】
エア吹き付け機構60は、エアノズル61a、61b、61c、61dを有する。エアノズル61a〜61dは、それぞれブラケット62a、62b、62c、62dにより、トップシーラー19a、19bの取り付け台70a、70bに取り付けられている。
【0057】
具体的には、
図5(A)に示すように上側の取り付け台70aには、トップシーラー19aを挟んだ両側に、下方に伸びるブラケット62a、62cが固定され、それぞれの先端にエアノズル61a、61cが取り付けられる。また同図に示す下側の取り付け台70bには、トップシーラー19bを挟んだ両側に、上方に伸びるブラケット62b、62dが固定され、それぞれの先端にエアノズル61b、61dが取り付けられる。これによりエアノズル61a〜61dは、トップシーラー19a、またはトップシーラー19bと同じ軌跡で移動する。
【0058】
包装体ZA1の厚み方向においては、エアノズル61a、61cは、フィルムYA1を押圧前のトップシーラー19aのシール面よりも包装体ZA1の中心(折り畳み位置FP)よりに下がり(突出し)、且つ、折り畳み位置FPより上方の位置に取り付けられる。また、エアノズル61b、61dは、フィルムYA1を押圧前のトップシーラー19bのシール面よりも包装体ZA1の中心(折り畳み位置FP)よりに上がり(突出し)、且つ、折り畳み位置FPより下方の位置に取り付けられる。
【0059】
図5(A)〜(C)を参照してより詳細に説明する。エアノズル61aは、噴出するエアの吹き付け位置SPが、トップシーラー19aがフィルムYA1に接触した時(押圧前)の、コーナーシール部HE2よりもわずかに(例えば、5mm程度)厚み方向の中心(折り畳み位置FP)に寄った位置となり、エアノズル61bは噴出するエアの吹き付け位置SPが、トップシーラー19bがフィルムYA1に接触した時(押圧前)の、コーナーシール部HE1よりもわずかに(例えば、5mm程度)厚み方向の中心に寄った位置となり、エアノズル61cは噴出するエアの吹き付け位置SPが、トップシーラー19aがフィルムYA1に接触した時(押圧前)の、コーナーシール部HE3よりもわずかに(例えば、5mm程度)厚み方向の中心に寄った位置となり、エアノズル61dは噴出するエアの吹き付け位置SPが、トップシーラー19aがフィルムYA1に接触した時(押圧前)の、コーナーシール部HE4よりもわずかに(例えば、5mm程度)厚み方向の中心に寄った位置となるように、取り付けられる。なお、
図5(B)では、図示の状態において奥側に位置するブラケット62cとエアノズル61c、およびブラケット62dとエアノズル61dを破線で示している。
【0060】
また、同図(B)、(C)に示すように包装体ZA1の搬送方向においては、フィルムYA1の側面S1側のエアノズル61a、61bの吹き付け位置SPは、トップシール部TO1の中心線C0を挟んで前後に略等距離の位置であり、フィルムYA1の側面S2側のエアノズル61c、61dの吹き付け位置は、トップシール部TO1の中心位置C0を挟んで前後に略等距離の位置である。
【0061】
これにより、トップシール部TO1の形成前に、同図(C)のハッチングで示す形成予定のトップシール部TO1の中心位置付近に対してエアを吹き付けることができる。
【0062】
図6および
図7を用いて本実施形態のトップシール部TO1の形成方法についてさらに説明する。
図6は、
図5(B)に対応する側面図であり、
図7は、
図5(A)に対応する側面図であってエアの吹き付けを開始してからの様子を示す。また両図とも、説明に必要な主な構成のみを抜き出して示している。
【0063】
図6(A)は、トップシーラー19a、19bが待機位置にある状態を示している。この状態で、フィルムYA1が所定位置まで搬送されると、トップシーラー19aは下降を開始し,トップシーラー19bは上昇を開始する。そして、同図(B)に示すようにフィルムYA1の上面S3、下面S4にそれぞれ接触したタイミングでは、エアノズル61a〜61dの位置がそれぞれ、コーナーシール部HE1〜HE4から折り畳み位置FP側に5mm程度寄った位置となる。エアノズル61a〜61dは同図(B)に示すタイミングで、フィルムYA1にエアを吹き付ける。
【0064】
そして、エアノズル61a〜61dからエアを吹き付けつつ、同図(C)に示すように、トップシーラー19a,19bでフィルムYA1を上下から挟んで押圧する。なお、エアは、少なくとも同図(B)に示すタイミングで吹き付けを開始し、同図(C)に示すタイミングより前まで、吹き付けを継続する。すなわち、コーナーシール部HE1〜HE4が、一方向に強く横倒しされて折り癖が付き、ガゼットが形成される側面に対して鋭角Aを成すように倒れ込むのは、トップシーラー19a,19bが筒状のフィルムYA1の上面S3および下面S4に接触して押圧を始めた場合であるので、少なくともこのタイミングでエアを吹き付ける。
【0065】
そして、エアの吹き付けと、ガゼット爪72などの押し込み手段を用いて、筒状のフィルムYA1の側面を外側から内側に向かって押し込む。ここで、ガゼット(側面)の折り畳みの際は、エアの吹き付けを行ってから、押し込み手段によって、フィルムYA1の側面を外側から内側に向かって押し込む。また、エアの吹き付けと、押し込み手段による押し込みとを同時に行うようにしてもよい。更に、エアの吹き付けは、少なくとも上下のトップシーラー19a、19bが筒状フィルムの上面S3と下面S4に接触したときに一時的に吹き付ければよいが、上下に配置したエアノズル61a〜61dの開口部(エアの吹き出し部)の位置が移動方向において一致するまでの間、吹きつけを継続してもよい。トップシーラー19a,19bでフィルムYA1を挟み込んでトップシール部TO1を形成した後は、トップシーラー19a,19bは再び離間するように上下に移動し、同図(C)に示す待機位置に戻る。
【0066】
図7を用いて、
図6(B)のタイミングでエアの吹き付けを開始してからのフィルムYA1の状態を説明する。
【0067】
図7(A)に示すように、エアは、フィルムYA1の側面S1、S2に対して、外側から内側に向かって吹き付けられる。従って、コーナーシール部HE1〜HE4が、一方向に強く横倒しされて折り癖が付き、ガゼットが形成される側面に対して鋭角Aを成すように倒れ込んでいた場合であっても(
図9、
図10参照)、コーナーシール部HE1〜HE4が水平になった場合に、エアの圧力によって、
図7(B)に示すように、筒状のフィルムYA1側方のコーナーシール部HE1〜HE4の近傍のフィルムYA1側面S1、S2を内側に押圧できる。このため、破線で示す従来のように、コーナーシール部HE1〜HE4の近傍のフィルムYA1側面S1、S2が外側に湾曲することを回避できる。
【0068】
そしてこの状態で、
図7(C)に示すようにトップシーラー19a、19bがフィルムYA1を挟み込むと同時に、側面(ガゼット)中央の折り畳み位置FPで折り畳む。本実施形態では、コーナーシール部HE1〜HE4の近傍のフィルムは、外側への湾曲が無いため、トップシール時において、コーナーシール部HE1〜HE4近傍のフィルムが折り重なった皺状態のままトップシールされてしまうことを抑制でき、包装体ZA1の仕上がりを向上させることができる(
図3(B)参照)。なお、ガゼットの折り畳みの際は、
図7(D)に示すように、ガゼット爪72などの押し込み手段を用いて、側面を外側から内側に向かって押し込むことが望ましい。
【0069】
ここで、エアを吹き付けるタイミング(期間)は、トップシール部TO1の形成前であればよいが、トップシーラー19a、19b同士の距離がなるべく離れているタイミングが好ましく、
図5、
図6(B)、
図7(A)、(B)に示すように、トップシーラー19a、19bがフィルムYA1に接触したタイミングからトップシール部TO1が形成される前までの期間が最も望ましい。なお、エアの吹き付け時間は長い方が好ましいが、
図6(C)に示すようにトップシール部TO1が形成された後の吹き付けは不要である。本実施形態では、トップシーラー19a、19bがフィルムYA1を押圧前(接触時)の状態でそのシール面よりも筒状のフィルムYA1の内方側に突出するようにエアノズル61a〜61dを配置し、エアノズル61a〜61dをトップシーラー19a、19bに合わせて上下動させることで、トップシーラー19a、19bがフィルムYA1に接触したタイミングから、エアノズル61a〜61dから噴出されるエアが上下に移動するトップシーラー19a、19bによって遮られるタイミング(
図6(C))まで、フィルムYA1の両側面S1、S2に対してエアを吹き付けることができる。
【0070】
ここで、コーナーシール部HE1〜HE4近傍が外側に湾曲(
図10(C)参照)することによるトップシール部TO1の皺を防ぐには、トップシール部TO1の中心C0にエアを吹き付ける(エアノズル61aとエアノズル61b、およびエアノズル61cとエアノズル61dをそれぞれトップシール部TO1の中心線C0上(
図5(C)参照)に配置することが最も望ましい。しかし、エアノズル61a〜61dはトップシーラー19a、19bの上下動に伴って上下方向に移動するので、エアノズル61a〜61dを中心線C0上に配置すると、フィルムYA1の押圧時に上下方向において干渉してしまう(
図5(B参照)。このため、本実施形態では、エアノズル61a〜61dを保持するブラケット62a〜62dが干渉しないように、中心線C0から包装体ZA1の進行方向の前後にずらした位置にエアノズル61a〜61dを取り付ける。これにより、エアノズル61a〜61dの中心はトップシール部TO1の中心線C0からはずれた位置になるが(
図5(C))、エアは、トップシール部TO1の中心も含んでその周辺に吹き付けられるため、問題は無い。
【0071】
本実施形態では、エアノズル61a〜61dがトップシーラー19a、19bのシール面よりも僅かに(例えば、5mm程度)ガゼットの折り畳み位置FP側に寄った位置に設けられている。また、エアノズル61a〜61dがトップシーラー19a、19bと共に上下に移動する。これにより、包装体ZA1(物品XA1)の高さが変化した場合であっても、包装体ZA1の上下面にトップシーラー19a、19bが接触した時に、トップシーラー19a、19bのシール面よりも例えば、5mm程度ガゼットの折り畳み位置FP側に寄った位置にエアを吹き付けることができ、エアノズル61a〜61dの吹き付け位置SPの調整を行うことなく、コーナーシール部HE1〜HE4の近傍(コーナーシール部HE1〜HE4より5mm程度折り畳み位置FP側)にエアを吹き付けることができる。
【0072】
なお、上記実施形態では、コーナーシール部形成手段10でフィルムYA1に対してコーナーシール部HE1〜HE4を形成しているが、本発明はこれに限定されず、コーナーシール部HE1〜HE4が予め形成されたロール状のフィルムYA1を用いるようにしてもよく、この場合、コーナーシール部形成手段10は不要となる。ロール状のフィルムYA1を用いた場合も、本実施形態のエア吹き付け機構60によってトップシール部TO1の形成前にトップシール部TO1の近傍にエアを吹き付けることによって、不要な皺の発生を回避できる。
【0073】
また、コーナーシール部HE1〜HE4が形成されない、例えば円柱状など曲面を有する物品を包装する包装体であってもよく、その場合も本実施形態のエア吹き付け機構60によってトップシール部TO1の形成前に筒状のフィルムYA1の側方のトップシール部TO1の近傍にエアを吹き付けることによって、不要な皺の発生を回避できる。
【0074】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0075】
すなわち、上記実施形態において、各構成の位置、大きさ、長さ、形状、材質、向きなどは適宜変更できる。
【0076】
例えば、上記実施形態では、トップシール部TO1の中心線C0(
図5(D)参照)を挟んで上下と左右(進行方向の前後)の4箇所にエアを吹き付ける構成を例に示したが、
図8(A)に示すようにエアノズルの形状を、中心線C0を含んで進行方向の前後に長い、搬送面に平行なスリット状としてもよい。
【0077】
この場合は、トップシーラー19a、19bとの干渉を回避するため、例えば、トップシーラー19a、19bの取り付け台70とは別体の駆動手段にブラケット62を取り付け、トップシーラー19a、19bの上下動に伴って、トップシーラー19a、19bの両端側から外側に移動する、またはエアノズル61a〜61dを搬送方向に沿って移動するような構成にするとよい。この場合、エアノズル61a〜61dを高さ方向に調整可能な構成とするとよい。
【0078】
さらに、
図8(B)に示す様にエアノズル61aと61b、およびエアノズル61cと61dは、例えば、それぞれブラケット73a、73bに一体的に設けられてもよい。この場合ブラケット73a、73bはガゼット爪72が進退可能な連通孔74a、74bを設けるなどして、エアの吹き付け後にガゼット爪72で折り畳み位置FPを押し込むようにしてもよい。
【0079】
また、押し込み手段は、圧力流体を噴出するガゼット装置でもよい。また、エアノズルから吹き出すエアは、常温の空気に限定されず、熱風でもよい。