特許第6553914号(P6553914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553914
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20190722BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   A41D13/11 Z
   A62B18/02 C
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-72206(P2015-72206)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-191172(P2016-191172A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 久之
【審査官】 冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−227194(JP,A)
【文献】 特開2003−175121(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3049954(JP,U)
【文献】 特開2011−30601(JP,A)
【文献】 特開2007−89797(JP,A)
【文献】 特許第4986719(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/11
A62B18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体部と、このマスク本体部を前記着用者の耳に係止するための左右一対の耳掛け部と、前記着用者の対象部位に接触する内部シートとを備えるマスクであって、
前記内部シートは、
層された複数のシート材を有し、
前記シート材は複数の貫通孔が形成され、当該複数の貫通孔に沿って部分切除可能とされ、
前記マスク本体部と前記シート材及び前記シート材と前記シート材との間に、消臭剤又は芳香剤が配置されたことを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記消臭剤又は前記芳香剤は、シクロデキストリン又はマイクロカプセルを利用することを特徴とする請求項記載のマスク。
【請求項3】
前記消臭剤は口臭防止剤であることを特徴とする請求項記載のマスク。
【請求項4】
前記複数の貫通孔は、前記シート材の平面上に分散配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のマスク。
【請求項5】
前記複数の貫通孔は、ライン状に配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のマスク。
【請求項6】
前記複数の貫通孔は、スリット状であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のマスク。
【請求項7】
前記複数のスリット状の貫通孔は、縦方向、横方向又は斜め方向のいずれか沿った状態で形成されていることを特徴とする請求項記載のマスク。
【請求項8】
前記複数のスリット状の貫通孔は、縦方向、横方向又は斜め方向の内の二以上の方向に沿った状態で形成されたものが混在していることを特徴とする請求項記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の顔面の鼻や口等を覆うマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
疾病時や花粉、黄砂等の粉塵飛来時、その他の日常生活において使用されるマスクとしては、マスク本体の左右又は上下の外縁部を折り返して隙間を形成し、当該両側の隙間にシート材を差し込むことで装着可能とするものがある。このシート材は、その両端部を隙間に差し込むだけで装着できるので、必要に応じて交換を行うことができるようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他のマスクとしては、マスク本体の内側に複数のシートが積層されて形成されたシート材を配置し、汚れが付着すると、シート材の最外層のシートを剥離して下層のシートに交換可能としていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−321454号公報
【特許文献2】特許第4986719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2のマスクは、いずれも、シート材の一部のみが汚れた場合であっても、シート材の平面全体について交換或いは剥離させる必要があり、シート材の消費が激しく、マスクの寿命も短いという問題があった。
【0006】
本発明は、シート材の消費が抑え、マスクの長寿命化を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体部と、このマスク本体部を前記着用者の耳に係止するための左右一対の耳掛け部と、前記着用者の対象部位に接触する内部シートとを備えるマスクであって、
前記内部シートは、
層された複数のシート材を有し、
前記シート材は複数の貫通孔が形成され、当該複数の貫通孔に沿って部分切除可能とされ、
前記マスク本体部と前記シート材及び前記シート材と前記シート材との間に、消臭剤又は芳香剤が配置されたことを特徴とする。
【0009】
請求項記載の発明は、請求項記載のマスクにおいて、
前記消臭剤又は前記芳香剤は、シクロデキストリン又はマイクロカプセルを利用することを特徴とする。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項記載のマスクにおいて、
前記消臭剤は口臭防止剤であることを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載のマスクにおいて、
前記複数の貫通孔は、前記シート材の平面上に分散配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載のマスクにおいて、
前記複数の貫通孔は、ライン状に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載のマスクにおいて、
前記複数の貫通孔は、スリット状であることを特徴とする。
【0014】
請求項記載の発明は、請求項記載のマスクにおいて、
前記複数のスリット状の貫通孔は、縦方向、横方向又は斜め方向のいずれか沿った状態で形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項記載のマスクにおいて、
前記複数のスリット状の貫通孔は、縦方向、横方向又は斜め方向の内の二以上の方向に沿った状態で形成されたものが混在していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、内部シートは、複数の貫通孔が形成され、当該複数の貫通孔に沿って部分切除可能である単数のシート材又は積層された複数のシート材を有するので、シート材における汚れが付着した部分のみを切除して除去することができ、シート材を一枚全て廃棄する場合に比べてシート材の消費量を低減することができ、コスト性の高いマスクを提供することができる。
また、シート材を部分的に切除するので、新たな汚れの付着箇所が発生しても、その部分をあらためて切除することができ、長期にわたって使用することが可能なマスクを提供することが可能となる。
さらに、マスク本体部とシート材又はシート材とシート材との間に、消臭剤又は芳香剤を配置した場合には、着用者側のシート材を切除すると、消臭効果又は芳香効果が発現し、新規のマスクに交換したかのような清爽感を得ることが可能となる。
また、シート材は部分切除可能なので、その切除量に応じて消臭効果又は芳香効果を調整することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一の実施形態のマスクを示す斜視図である。
図2】プリーツを広げていない状態のマスク本体部とその後面に設けられた内部シートの側面図である。
図3】マスクの背面図である。
図4図4(A)〜図4(D)は内部シートに形成する貫通孔の具体例を示す説明図である。
図5】内部シートのシート材を部分的に切除したマスクの背面図である。
図6】第二の実施形態たるマスクの背面図である。
図7】内部シートのシート材を部分的に切除したマスクの背面図である。
図8】第三の実施形態たるマスクの上下及び前後方向に沿った断面による断面図である。
図9】第三の実施形態の変形例のマスクの上下及び前後方向に沿った断面による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0019】
[第一の実施形態]
図1は本発明を適用した発明の第一の実施形態のマスク100を示す斜視図である。
なお、以下の説明では、顔面側を後側とし、その反対側を前側とする。さらに、マスク100を装着した状態における上側を上部、下側を下部とし、着用者の左手側を左、右手側を右とする。
【0020】
マスク100は、例えば、使い捨てのプリーツ型のマスク100であり、具体的には、図1及び図2に示すように、着用者の顔面の鼻や口や顎(対象部位)等を覆うマスク本体部1と、このマスク本体部1を着用者の耳に係止するための左右一対の耳掛け部2、2と、マスク本体部1の後面側(内側)に設けられ、マスク100の着用者の顔面の鼻や口等の対象部位に接触する内部シート3とを備えている。
【0021】
マスク本体部1は、例えば、正面視にて略矩形状に形成され、左右方向に沿って形成されたプリーツ11が上下方向に複数形成されている。また、マスク本体部1の左右両側の端縁部はプリーツ11が拡開しないように固着されている。
そして、マスク100の着用時には左右方向における中央部でプリーツ11が上下方向に広がることによりマスク本体部1が外側に膨出するように山型の立体的形状となって、着用者の顔面の鼻や口や顎等が覆われるようになっている。
【0022】
また、マスク本体部1はシート材から形成されており、当該シート材は、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンレース不織布、ガーゼ、タオル地等による一枚生地又は複数重ね合わせの生地から形成されている。
なお、マスク本体部1の製造方法は、公知のものであれば如何なるものであっても良く、詳細な説明は省略する。
【0023】
また、マスク本体部1の左右方向の両縁部12には、左右一対の耳掛け部2、2が設けられている。
左右一対の耳掛け部2、2の各々は、例えば、平紐であり、ゴム紐が縫い込まれて全体が伸縮性を有するものであっても良い。
左側の耳掛け部2の一端部はマスク本体部1の左縁部の上端に、他端部はマスク本体部1の左縁部の下端に縫い付け、接着又は溶着より固定されている。
また、右側の耳掛け部2の一端部はマスク本体部1の右縁部の上端に、他端部はマスク本体部1の右縁部の下端に縫い付け、接着又は溶着より固定されている。
【0024】
[内部シート]
図2はプリーツ11を広げていない状態のマスク本体部1とその後面に設けられた内部シート3の側面図、図3はマスク100の背面図である。
内部シート3は、マスク本体部1の後面側に配置されるシート材32と当該シート材32をマスク本体部1の後面に貼着する粘着剤層31とが二重に積層されており、着用者から見て内側(前側)となるシート材32の後面側には消臭剤33が配置されている。
【0025】
シート材32は、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンレース不織布、難水溶性の紙等から形成されている。
シート材32は、図示を省略しているが、マスク本体部1と同様に、左右方向に沿って形成されたプリーツが上下方向に複数形成されている。このため、マスク本体部1のプリーツ11が上下方向に広がる際には、シート材32も上下方向に広げることができ、山型の立体的形状となって、着用者の顔面の鼻や口や顎等を覆うことができる。
【0026】
また、シート材32は、その表裏に貫通する無数の貫通孔hがシート材32の平面全体に分散した配置で形成されている。複数の貫通孔hは、シート材32を部分的に切除するためのものであり、一定の間隔で規則性を持った配置で形成しても良いし、ランダムな配置で形成しても良い。
【0027】
複数の貫通孔hとして好ましい具体例を説明すると、図4(A)に示すように、貫通孔hは、マスクの左右方向に1mm〜5mmの長さを有するスリット状とすることが好ましい。
また、図4(B)のように、貫通孔hは、左右方向に1mm〜5mmの長さを有するスリットと上下方向に1mm〜5mmの長さを有するスリットとを混在させても良い。
また、図4(C)のように、貫通孔hは、マスクの左右方向に1mm〜5mm、上下方向に1mm〜5mmの長さを有する十字型のスリットから形成しても良い。
また、スリット状の貫通穴hは図4(D)のように、斜めに傾斜した方向で形成しても良い。
また、貫通孔hは、スリット状に限らず、マスクの左右方向に1〜2mm、上下方向に1mm〜2mmの円形などから形成しても良い。
いずれの場合でも、シートを形成する繊維が3mm〜7mmの範囲で切断される配置及び間隔で貫通孔hを形成することが好ましい。
【0028】
シート材32の前面全体には粘着剤層31が形成されている。
この粘着剤層31を構成する粘着剤は、アレルギー性の低い感圧性接着剤であって臭いや揮発成分の有無等も考慮して人体に対する影響が十分に小さいものが使用される。感圧性であるため、化学反応による硬化等が生じにくく、長期間の粘着性を維持することができる。
シート材32は部分的に切除されることが予定されているので、粘着剤層31の粘着力は、シート材32を手で引っ張れば容易に剥離できる程度に調整されている。
なお、粘着剤層31は、粘着剤が面全体に層状をなす場合に限らず、面全体にドット状に分散配置しても良い。
【0029】
また、消臭剤33は、前側のシート材32の後面全体に分散又は含浸せしめられている。消臭剤33としてはシクロデキストリンを利用する。かかるシクロデキストリンからなる消臭剤は、外部の水分に触れると、口臭の悪臭成分であるメルカプタンやその他の悪臭成分を取り込むことができ、これにより消臭効果を発現する。
また、シクロデキストリンに予め香料を包接させても良い。その場合には、シクロデキストリンは悪臭成分を取り込むと共に替わりにその内部の香料を放出する。これにより、シクロデキストリンは、芳香の効果も得ることが出来、芳香剤としても機能する。
【0030】
なお、消臭剤33としては、口臭防止剤としての茶カテキン、ポリフェノール、ポピドンヨード等の試薬を封入したマイクロカプセル利用しても良い。また、口臭防止に限らず、他の消臭成分をマイクロカプセルに封入しても良い。
また、消臭剤に替えて、香料を封入したマイクロカプセルからなる芳香剤を上記のシート材32に分散又は含浸せしめても良い。
【0031】
[マスクの着用方法]
マスク100の着用時には、マスク本体部1の後面側を着用者に向けて、左右の耳掛け部2,2をそれぞれ左右の耳に引っ掛ける。また、左右の耳掛け部2,2を引っ掛けた後には、マスク本体部1の各プリーツ11及び内部シート3のプリーツを上下に引っ張り、マスク本体部1及び内部シート3を前方に凸となる立体形状に変形させる。
【0032】
そして、着用開始から時間が経過して内部シート3の後側のシート材32に唾液、口紅、鼻水、汗等の汚れが部分的に付着した場合には、図5に示すように、汚れの付着部分のみをシート材32の貫通孔hに沿って部分的に切除する。これにより、汚れのない面が露出し、マスク100の内部に清浄に維持することができる。
また、後側のシート材32を部分切除することにより、前側のシート材32の後面の一部が露出する。当該シート材32の後面には、消臭剤33が分散又は含浸されているので、その消臭効果が発現する。
また、前側のシート材32の後面に芳香剤を分散又は含浸させていた場合には、その芳香効果が発現する。
【0033】
[実施形態の技術的効果]
このように、上記マスク100は、複数の貫通孔hが形成され、当該複数の貫通孔hに沿って部分切除可能であるシート材32を備えるので、シート材32における汚れが付着した部分のみを切除して除去することができ、シート材32を一枚全て廃棄する場合に比べてシート材32の消費量を低減することができ、コスト性の高いマスクを提供することができる。
また、シート材32を部分的に切除するので、新たな汚れの付着箇所が発生しても、その部分をあらためて切除することができ、長期にわたって使用することが可能なマスクを提供することが可能となる。
【0034】
また、シート材32に形成された複数の貫通孔hは、シート材の平面に沿って分散配置されているので、貫通孔hの配置に拘わらず汚れが付着した部分のみを切除することができ、余分な範囲の除去を回避できるので、さらにコスト性が高く、長寿命化を図ることが可能となる。
特に、貫通孔hをスリット状とした場合には、スリットに沿った方向の切除が容易となる。また、方向が異なるスリットを混在させた場合には任意の形状にシート材32を切除することが容易となる。
【0035】
さらに、前側のシート材32の後面に消臭剤33(又は芳香剤)が分散又は含浸により配置されているので、後側のシート材32の部分切除により消臭効果(又は芳香効果)が発現し、着用者は新規のマスクを新たに装着したかのような清爽感を得ることが出来る。その際、後側のシート材32の切除量に応じて、消臭効果(又は芳香効果)を調整することも可能である。
【0036】
[第二の実施形態]
この第二の実施形態以降で説明するマスクについては、全て、図1のマスク100と異なる点について専ら説明するものとし、図1のマスクと同じ構成については説明を省略する。
図6は第二の実施形態たるマスク100Aの背面図である。このマスク100Aは、貫通孔hの配置が異なる二層のシート材32Aを有する内部シート3Aを備えている。
【0037】
上記内部シート3Aの各シート材32Aは、その平面の上下方向の中央部に左右方向沿ったライン状に複数の貫通孔hが並んで形成されている。
また、各シート材32Aの前面側にはマスク100と同じ粘着剤層が形成されている。
また、前側のシート材32Aの後面側には、前述した消臭剤33と同じ消臭剤33Aが分散又は含浸せしめられている。
【0038】
上記内部シート3Aは、ライン状の貫通孔hによりそれぞれのシート材32Aを上下に二分することができる。従って、マスク100Aの着用時にシート材32Aの上下いずれかの範囲に汚れが付着した場合に、上下いずれかの汚れた方の部分を貫通孔hに沿って切除することができる。例えば、シート材32Aの下側部分に汚れが付着した場合には、図7に示すように、貫通孔hのラインに沿ってシート材32Aの下半分を切除する。
また、後側のシート材32Aについて上記切除が行われると、前側のシート材32Aの後面側の上半分に配置された消臭剤33Aが露出し、消臭効果が発現する。
【0039】
このように、上記マスク100Aは、汚れが付着した上下いずれかの部分のみを切除して除去することができるので、シート材32Aを一枚全て廃棄する場合に比べてシート材の消費量を低減することができ、コスト性の高いマスクを提供することができる。
また、シート材32Aを部分的に切除するので、残り部分に新たな汚れの付着箇所が発生しても、その部分をあらためて切除することができ、長期にわたって使用することが可能なマスクを提供することが可能となる。
さらに、前側のシート材32Aの後面に消臭剤33Aが配置されているので、後側のシート材32の部分切除により消臭効果が発現し、着用者は清爽感を得ることが出来る。
【0040】
また、シート材32Aに形成された複数の貫通孔hは、シート材32Aの平面に沿って分散配置されているので、貫通孔hの配置に拘わらず汚れが付着した部分のみを切除することができ、余分な範囲の除去を回避できるので、さらにコスト性が高く、長寿命化を図ることが可能となる。
また、シート材32Aの複数の貫通孔hはライン状に並んで形成されているので、切除の際には、当該ラインに沿って行えば良く、切除作業を容易に行うことが可能である。
【0041】
なお、図6では左右方向に沿った一本のラインのみに沿って貫通孔hを形成した場合を例示したが、ラインの方向や本数は任意であり、使用の目的に応じて貫通孔hのラインにより、より複雑に区画しても良い。
また、このマスク100Aの場合にも、消臭剤33Aに替えて芳香剤を配置しても良いことは勿論である。
【0042】
[第三の実施形態]
図8は第三の実施形態たるマスク100Bの上下及び前後方向に沿った断面による断面図である。
このマスク100Bは、前側のシート部材32Bの後面に消臭剤を含ませた消臭シート33Bを備えている。
【0043】
マスク本体部1Bは、前述したマスク本体部1と同じ素材で同じ構造からなる。
また、内部シート3Bは、前述したシート材32及び粘着剤層31と同じ素材で同じ構造からなるシート材32B及び粘着剤層31Bが二重に積層されている。
そして、マスク本体部1Bの後面側にシート材32Bの複数の貫通孔hを避ける配置で複数の消臭シート33Bが固着されている。この消臭シート33Bにはマスク100の消臭剤33と同じ消臭剤が分散又は含浸させられている。
【0044】
上記構成のマスク100Bのマスク本体部1Bの内部では、着用者の呼気に含まれる水分が消臭シート33Bの消臭剤に曝され、口臭成分がシクロデキストリン内の消臭剤や香料と置換され、口臭が消臭され或いは香料がマスク本体部1Bの内部に拡散される。また、消臭剤としてマイクロカプセルを利用した場合も、試薬による消臭効果や芳香効果が発揮される。
【0045】
従って、マスク100Bでは、シート材32Bの消費量低減及びマスクの長寿命化に加えて、悪臭、特に口臭を低減すると共に、マスク内に良好な芳香を供給することが可能となる。
また、消臭シート33Bを着用者に対して二層分のシート材32B及び粘着剤層31Bを介して配置しているので、消臭剤や香料が着用者に直接触れることを回避することができる。
【0046】
なお、消臭シート33Bに替えて前述した芳香剤を分散又は含浸させた芳香シートを配置しても良いことは勿論である。
【0047】
また、図9に示すように、シート材32及び粘着剤層31を三重に設け、最も前側のシート材32と前から二番目の粘着剤層31との間に消臭シート33Bを配置しても良い。この場合も、消臭シート33Bは貫通孔hを避ける配置とすることが望ましい。
この構成の場合も、着用者に対して二層分のシート材32B及び粘着剤層31Bが介在するので、消臭剤や香料が着用者に直接触れることを回避することができる。
【0048】
[その他]
本発明は、上記各実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、各実施形態で示したマスクの形状や素材等は、一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0049】
例えば、マスク本体部1,1Bは、着用者の顔面の鼻や口や顎を覆う場合を例示したが、顎までは覆わない大きさとしても良い。
また、マスク100,100A,100Bではプリーツ型を例示したが、これに限られない。
また、マスク100,100A,100Bでは、マスク本体部1,1Bと耳掛け部2とを別部材としたが、マスク本体部と耳掛け部とが耳を通す開口が形成された一枚のシートで連接されている構造としても良い。
【0050】
また、内部シート3,3A,3Bにおいては、二重のシート材及び粘着剤層を備える構成としたが、一重としても良いし、三重以上としても良い。
一重の場合には、消臭剤や芳香剤又は消臭シートや芳香シートは、マスク本体部1の後面に配置することが望ましい。
また、三重以上とした場合には、最も後方のシート材を除く他の全てのシート材の前面に芳香剤又は消臭シートや芳香シートは、マスク本体部1の後面に配置することが望ましい。
また、前述したシート材及び粘着剤層を二重とした場合や三重以上とした場合でも、マスク本体部1の後面に消臭剤や芳香剤又は消臭シートや芳香シートを配置しても良い。
【符号の説明】
【0051】
1,1B マスク本体
2 耳掛け部
3,3A,3B 内部シート
11 プリーツ
31,31B 粘着剤層
32,32A,32B シート材
33 消臭剤(芳香剤)
33B 消臭シート
100,100A,100B マスク
h 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9