(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補正手段は、前記推定位置が前記移動方向変更領域内に進入したときからの前記移動距離の変位が所定距離以内である間に前記方向変更検知手段により前記曲折移動が検知されない場合、前記推定位置が前記移動方向変更領域内に進入したときからの前記移動距離の変位に基づいた前記ルートの外の位置に前記推定位置を変更する、請求項1に記載の情報処理装置。
センサにより検知されたユーザの動きの情報に基づいて取得された前記ユーザの移動距離の情報と、前記センサにより検知された前記ユーザの動きの情報に基づいて取得された移動方向の変更角度の情報とに応じて、前記ユーザの推定位置を示す画像を表示する制御部を備え、
前記制御部は、
地図におけるルート上の位置であって、前記移動距離の情報に基づいて特定された位置に前記画像を表示し、
前記特定された位置が前記ルート上で移動方向が変わる領域である移動方向変更領域内に進入した場合、前記移動距離の情報に関わらず、前記変更角度の累積値が所定角度以上になるまで前記画像を前記移動方向変更領域内の所定位置に表示し、前記変更角度の累積値が所定角度以上になった場合、前記変更角度の累積値が所定角度以上になったときからの移動距離だけ前記所定位置から前記ルートに沿って進めた位置に前記画像を表示する
ように制御する、表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、発明の範囲をこれらに限定するものではない。
【0012】
図1を参照して、一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。情報処理装置である携帯端末10は、携帯電話機(スマートフォンを含む)、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistants)、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータなどにより構成される。携帯端末10は、制御部11、通信部12、記憶部13、操作部14、表示部15、センサ16及びスピーカ17を主に備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a及びメモリ11bを主に備えて構成される。
【0013】
制御部11では、CPU11aは、記憶部13等に記憶されたプログラムをメモリ11bに展開して実行することにより、携帯端末10が備える各種構成の動作を制御し、また、各種処理の実行を制御する。制御部11において実行される処理の詳細は後述する。
【0014】
通信部12は、外部装置と通信するための通信インタフェースである。通信部12は、例えば、外部装置からデータやコマンドを受信したり、携帯端末10による処理結果を外部へ送信する。
【0015】
記憶部13は、不揮発性の記憶装置であり、例えば、半導体メモリ等により構成される。記憶部13は、制御部11における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報を記憶する。
【0016】
操作部14は、携帯端末10のユーザの指示を受け付け、制御部11へ出力するためのユーザインタフェースである。操作部14は、例えば、操作キー、及びタッチパネルなどにより構成される。
【0017】
表示部15は、携帯端末10による処理結果を表示するためのユーザインタフェースである。表示部15は、液晶、又はLED(Light Emitting Diode)などを用いた表示装置により構成される。
【0018】
センサ16は、各種のセンサにより構成される。センサ16は、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ、及び気圧センサ等を含むことができる。センサ16は、携帯端末10を携帯するユーザの各種の動作を検知することができる。
【0019】
スピーカ17は、制御部11による処理制御に応じて、音声、音楽及び効果音など、各種の音を出力する。
【0020】
なお、本実施形態では、単一の情報処理装置により携帯端末10を構成しているが、これに限定せず、相互に通信可能な複数の情報処理装置により、携帯端末10が有する構成及び機能を実現してもよい。
【0021】
図2を参照して、一実施形態に係る携帯端末10の機能構成を説明する。携帯端末10は、機能構成として、データベース110、経路案内部111、信号測位部112、自律航法測位部113、移動距離特定部114、マッチング部115、表示制御部116、方向変更検知部117及び補正部118を主に備える。これらの機能は、例えば、制御部11において、CPU11aが、記憶部13等に記憶されたプログラムをメモリ11bに展開して実行することにより実現される。以下に、携帯端末10が備える各機能構成の詳細を説明する。
【0022】
データベース110は、携帯端末10において実行される処理に必要な情報、及び当該処理により生成された情報など、各種情報を記憶する。
【0023】
経路案内部111は、入力された経路探索条件に従った出発地から目的地までの最適経路の情報を取得し、表示部15を介して当該最適経路を提示すること等により、ユーザに対して経路案内を行う。
【0024】
最適経路の探索に関し、経路案内部111は、例えば、ユーザにより入力された経路探索条件に従って、データベース110に記憶された(または通信部12を介して外部装置から取得した)地図データ等を参照し、経路探索を実行することにより、最適経路の情報を取得する。もしくは、入力された経路探索条件に従った経路探索の処理を外部装置により行い、経路案内部111は、当該経路探索の処理結果を取得することとしてもよい。経路探索の手法としてはラベル確定法やダイクストラ法など、任意の手法を利用することができる。なお、最適な経路とは、出発地点から目的地点までのコスト情報が最小であることをいう。リンクのコスト情報は、距離、所要時間、料金、その他のパラメータ、及び各種パラメータを任意に組み合わせたもの等、目的に応じて設定可能である。
【0025】
また、経路案内部111は、経路案内のために、表示部15を介した経路の提示と共に、後述する処理により特定されたユーザの現在地の情報の表示及びスピーカ17を介した音声案内の出力を行うこともできる。
【0026】
信号測位部112は、GPS受信機(図示せず)により受信したGPS衛星信号に基づいて、携帯端末10(又は携帯端末10のユーザ)の現在位置を測位し、測位した位置の情報(例えば、緯度及び経度の情報)を測位時間の情報と共に出力する。また、信号測位部112は、携帯端末10の近くに設置されたアクセスポイントから受信した信号に応じて、携帯端末10の現在位置を測位することができる。また、携帯端末10は、RFID(Radio Frequency Identifier)やBluetooth(登録商標)等の無線信号の発信装置の信号を受信し、当該受信した信号に応じて、携帯端末10の現在位置を測位することもできる。信号測位部112は、任意のタイミング及び時間間隔(例えば、1秒毎)で測位の処理を行う。以下、本実施形態において、このようにGPS衛星信号、アクセスポイントからの信号、及びRFIDの無線信号など、外部装置から受信した信号に応じて実施される測位処理を信号測位と称する。
【0027】
自律航法測位部113は、センサ16により検知された携帯端末10のユーザの動きの情報に基づいて、携帯端末10(又は携帯端末10のユーザ)の現在位置を検知位置として測位(つまり、自律航法により測位)し、測位した位置の情報(例えば、緯度、経度及び標高の情報)を測位時間の情報と共に出力する。すなわち、自律航法測位部113は、センサ16からの情報に基づいて特定されたユーザの位置の情報を検知位置の情報として取得する検知位置取得手段として機能する。自律航法測位部113による測位は、センサ16等を用いた従来の自律航法技術を採用することができる。
【0028】
例えば、測位を行うために、自律航法測位部113は、例えば、センサ16により検知されたユーザの動きによりユーザの歩行移動時における基準位置からの移動の歩数及び移動方向を特定し、特定された歩数及び移動方向に基づいて、基準位置からの相対的な移動距離及び移動方向の情報を算出する。当該相対的な移動距離は、例えば、人の歩行時の標準的な歩幅(若しくは予め測定された携帯端末10のユーザの歩幅)(例えば、65cm)に対して、上記特定された歩数を乗じることによって算出される。自律航法測位部113は、例えば、センサ16により検知された標高の変化に基づいて、垂直方向の移動距離を算出することができる。自律航法測位部113は、基準位置からの当該算出された移動距離及び移動方向の情報に基づいて携帯端末10の現在位置を測位する。
【0029】
このとき、絶対位置(例えば、緯度経度により示される位置)として携帯端末10の位置を測位するためには、基準位置が絶対位置である必要がある。基準位置の絶対位置の情報は、任意の方法により取得することができ、例えば、信号測位部112の測位処理により取得することができ、若しくはユーザ入力に応じて取得することもできる。また、自律航法測位部113は、任意のタイミング及び時間間隔(例えば、1秒毎)で測位の処理を行う。
【0030】
また、自律航法測位部113は、上述のように、センサ16により検知された携帯端末10のユーザの動きの情報に基づいて測位の処理を行うが、センサ16により検知された携帯端末10のユーザの動きの情報は所定期間(例えば、1秒)蓄積され、当該蓄積された情報が測位の処理のために用いられる。その結果、自律航法測位部113により特定される測位位置と、携帯端末10の実際の現在位置との間には、この蓄積期間に応じたタイムラグ(例えば、1秒又は2秒)が生じる。そのため、自律航法測位部113は、この蓄積期間に応じた距離で補正した位置を測位位置(検知位置)として出力する。例えば、自律航法測位部113は、蓄積期間が1秒である場合、特定された位置からユーザの移動方向に向かって当該蓄積期間で徒歩により移動することが想定される距離である例えば10cmだけ進めた位置を補正後の測位位置(検知位置)として出力する。なお、この補正は、自律航法測位部113により行ってもよいし、後述するマッチング部115において行ってもよい。
【0031】
なお、自律航法測位部113による測位は、携帯端末10がGPS信号やアクセスポイントからの信号を受信できないとき(例えば、携帯端末10を携帯するユーザが屋内や地下にいるとき)に有効である。もしくは、携帯端末10が上記信号を受信できるが信号測位部112による測位精度が低いと考えられるとき(例えば、携帯端末10を携帯するユーザが屋外の高層ビルに囲まれた場所にいるとき)にも自律航法測位部113による測位は有効である。そのため、携帯端末10は、例えば、GPS信号やアクセスポイントからの信号の受信状況に応じて、信号測位部112及び自律航法測位部113のどちらにより測位を行うかを切り替えることができる。
【0032】
移動距離特定部114は、携帯端末10のユーザが移動の起点となる任意の位置(起点位置)から移動を開始したときから所定時間経過後において、自律航法測位部113により特定された携帯端末10の測位位置(移動後位置)と、起点位置との間の距離の情報(移動距離の情報)を特定する。移動距離特定部114は、自律航法測位部113により携帯端末10の測位が行なわれる度に、起点位置からの移動距離の情報を特定する処理を行うことができる。
【0033】
上記の起点位置として、携帯端末10のユーザが通過した(又はユーザが移動を開始した)ルート上における位置が設定される。また、起点位置の情報は、実際にユーザが通過した(又はユーザが移動を開始した)位置の情報としてなるべく信頼性の高い情報が設定されることが望ましい。例えば、信号測位部112による測位の精度が高いとき(例えば、受信したGPS信号の強度が強いとき)に信号測位部112が測位した携帯端末10の位置を起点位置として設定することができる。このとき、信号測位部112は、起点位置取得手段として機能する(なお、信号測位部112からの出力の位置情報を起点位置の情報として取得する起点位置取得手段を別途設けてもよい。)。
【0034】
また、本実施形態において、ルートには、道路、広場、並びに屋内及び地下の廊下などに設定される、ユーザが移動可能なあらゆる経路が含まれる。
【0035】
図3を参照して、移動距離特定部114による移動距離の情報の特定方法について説明する。
図3には、携帯端末10の起点位置A0が示されている。また、携帯端末10が起点位置A0にいたとき(または起点位置A0から移動を開始したとき)(時刻t0)から所定時間経過後(時刻t1)において、自律航法測位部113により特定された携帯端末10の測位位置(移動後位置)A1が示されている。また、A1の測位後、時刻t2、t4、t4のそれぞれにおける自律航法測位部113による測位位置A2、A3、A4が測位の順(時間の経過の順)に示されている。
【0036】
このとき、移動距離特定部114は、起点位置A0から測位位置A1、A2、A3、A4のそれぞれまでの移動距離L1、L2、L3、L4をそれぞれ特定する。なお、移動距離特定部114は、測位位置間の距離をそれぞれ特定することもできる。例えば、A1−A2間の距離をL12、A2−A3間の距離をL13、A3−A4間の距離の距離をL14として特定することができる。
【0037】
図2の説明に戻る。マッチング部115は、上記の起点位置からルートに沿って、移動距離特定部114により特定された移動距離だけ進めた位置を、携帯端末10の推定位置(又は携帯端末10のユーザの推定位置)として特定する。なお、起点位置からルートに沿って進めるときの進行方向が不明であるときは、自律航法測位部113により特定された移動方向に最も近い方向に位置を進める。また、経路案内部111によりユーザに対して経路案内(経路の提示)が行なわれているときは、マッチング部115は、起点位置から、当該提示されている経路に沿って、経路案内における目的地の方向に進めた場所にユーザの推定位置を特定すること(ルートマッチング)が望ましい。なお、マッチング部115は、経路案内部111により提示されている経路であるか否かに関わらず、任意のルート上にユーザの推定位置を特定すること(マップマッチング)もできる。
【0038】
図4を参照して、
図3に示す起点位置A0、測位位置A1、A2、A3、A4を用いて、マッチング部115によりユーザの推定位置の特定方法の例について説明する。
図4には、経路案内部111により提示された経路R(ルート)上に、起点位置A0が示されている。マッチング部115は、起点位置A0から経路Rに沿ってL1だけ進めた位置B1を、時刻t1におけるユーザの推定位置として特定する。同様に、マッチング部115は、起点位置A0から経路Rに沿ってL2だけ進めた位置B2、起点位置A0から経路Rに沿ってL3だけ進めた位置B3、起点位置A0から経路Rに沿ってL4だけ進めた位置B4をそれぞれ時刻t2、t3、t4におけるユーザの推定位置として特定する。なお、上述のとおり、測位位置間の距離として、L12、L13、L14がそれぞれ特定されているときは、B1から経路Rに沿ってL12だけ進めることで位置B2、B2から経路Rに沿ってL13だけ進めることで位置B3、B3から経路Rに沿ってL14だけ進めることで位置B4をそれぞれ特定することもできる。
【0039】
マッチング部115により特定された推定位置は、特定されたそれぞれの時刻におけるユーザの位置として、表示部15に表示されるように(例えば、表示部15に表示された地図上の対応する位置にユーザの位置を表示するように)制御することができる。
【0040】
以上のように本実施形態によれば、マッチング部115は、自律航法測位部113による測位位置をルート上の最も近い位置にマッチングさせる等するのではなく、移動距離特定部114により特定されたユーザの移動距離に基づいたルート上の位置に、ユーザの位置を特定する。
【0041】
図5を参照して、本実施形態によるユーザの位置の特定方法の意義について説明する。
図5には、起点位置A0、自律航法測位部113による測位位置A1、A2、A3、A4が示されている。また、C1、C2、C3、C4は、経路R上において、測位位置A1、A2、A3、A4のそれぞれから最も近い位置を示している。さらに、この例では、自律航法測位部113による測位の開始の時点でユーザの移動方向の特定に誤差があったことにより、時間の経過とともに、ユーザが実際に移動している経路Rから、自律航法測位部113による測位位置が離れていくことが示されている。このような場合において、測位位置A1、A2、A3、A4のそれぞれに対応するユーザの位置を位置C1、C2、C3、C4として特定(ルートマッチング)すると、時間の経過とともに、ルートマッチングされた結果のユーザの移動距離と、ユーザの実際の移動距離との間の誤差が累積されていくことになる。
【0042】
これに対し、本実施形態によれば、マッチング部115は、自律航法測位部113による測位位置(検知位置)をルート上の最も近い位置にマッチングさせる等するのではなく、移動距離特定部114により特定されたユーザの移動距離に基づいたルート上の位置に、ユーザの位置を特定(マッチング)する。その結果、
図5を参照して説明したような誤差の累積は生じない。その結果、より高い精度で携帯端末10の位置(又は携帯端末10のユーザの位置)を測位することができる。なお、マッチング部115は、移動距離特定部114により特定されたユーザの移動距離に基づいたマッチングの機能に加えて、自律航法測位部113による測位位置をルート上の最も近い位置にマッチングさせる機能を有していてもよい。すなわち、マッチング部115は、自律航法測位部113により特定された検知位置の情報に基づいて、任意の方法によりユーザの位置(推定位置)を特定することができる。
【0043】
また、上記の誤差の累積をさらに低減させるためには、移動距離特定部114による上記の処理で用いられる起点位置は所定のタイミングで更新されることが望ましい。起点位置の更新のタイミングが高頻度であるほど、上記の誤差の累積は低減される。起点位置の更新のために、例えば、マッチング部115により特定された推定位置から所定距離(例えば、20m)以上離れた信号測位位置の情報が所定回数(例えば、2回又は3回)以上、信号測位部112により連続して取得された場合、信号測位部112(または、信号測位部112からの出力の位置情報を起点位置の情報として取得するために別途設けられた上記の起点位置取得手段)は、当該信号測位位置の情報を起点位置の情報として取得し、出力する。このように出力された起点位置の情報(及び当該起点位置の測位の時間の情報)は、移動距離特定部114による上記の処理で用いられる。
【0044】
なお、上述のように、自律航法測位部113による処理のために、センサ16により検知された携帯端末10のユーザの動きの情報の蓄積期間に応じたタイムラグ(例えば、1秒又は2秒)が生じている場合において、マッチング部115は、この蓄積期間に応じた距離で補正した位置を測位位置(検知位置)として出力することができる。例えば、マッチング部115は、蓄積期間が1秒である場合、特定された位置からユーザの移動方向に向かって当該蓄積期間で徒歩により移動することが想定される距離である例えば10cm進めた位置を補正後の位置(推定位置)として出力することができる。
【0045】
図2の説明に戻る。方向変更検知部117は、センサ16により検知された携帯端末10のユーザの動きの情報に基づいて、ユーザが曲折移動を行っていることを検知する。ここで、曲折移動とは、移動方向を所定角度以上変更しながらの移動である。曲折移動には、カーブしたルートを当該カーブに沿って水平方向(右又は左)に旋回しながら進む移動、及びルート上の交差点を右折又は左折しながら進む移動が含まれる。また、曲折移動には、水平方向の移動後、エレベータ又はエスカレータに乗って上方若しくは下方に移動すること、又は階段若しくはスロープ上を移動することにより、上方又は下方に移動することが含まれる。
【0046】
曲折移動を検知するために、例えば、方向変更検知部117は、まず、自律航法測位部113による測位の実施のタイミングが連続する所定数(例えば、10個)の測位位置(検知位置)について、各測位位置間における進行方向を特定し、特定された進行方向の変化の累積変更角度が所定閾値(例えば、30度)以上であるか否かを判定する。累積変更角度が当該所定値以上であるときに、方向変更検知部117は、ユーザが曲折移動を行ったことを検知する。
【0047】
なお、上記の例では、方向変更検知部117は、累積変更角度の算出のために使用する測位位置の数を規定しているが、この方法に限定されない。例えば、方向変更検知部117は、累積変更角度を算出するための区間の距離(例えば、1m)を規定し、当該規定された距離の区間において、移動方向の累積変更角度が所定閾値(例えば、30度)以上であるか否かを判定することもできる。
【0048】
また、累積変更角度の算出のために規定される上記の測位位置の数、及び上記の区間の距離の長さは、任意に設定することができる。例えば、ユーザが移動中であるルートの幅が広いほど、測位位置の数を多く又は距離区間を長く設定し、移動中であるルートの幅が狭いほど、測位位置の数を少なく又は距離区間を短く設定することができる。
【0049】
補正部118は、地図情報を参照し、マッチング部115により特定された携帯端末10のユーザの推定位置が移動方向変更領域に進入したときに、自律航法測位部113により出力された検知位置の情報に関わらず、方向変更検知部117により曲折移動が検知されるまでユーザの推定位置を移動方向変更領域内とするように調整(補正)する。
【0050】
ここで、移動方向変更領域とは、ルートに沿って移動したときに移動方向が変わるルート上の領域である。移動方向変更領域には、例えば、水平方向に移動方向が変わる領域として、ルート上のカーブが存在する領域、又は目的地まで探索されたルート上において右折又は左折する交差点が含まれる。また、垂直方向に移動方向が変わる移動方向変更領域として、ルート上のエレベータ、エスカレータ、階段、又はスロープが存在する領域が含まれる。補正部118は、データベース110又は図示しない外部装置の記憶部に記憶された地図データを参照することによって、ルート上の移動方向変更領域の位置を特定することができる。
【0051】
図6及び
図7を参照して、方向変更検知部117による携帯端末10のユーザの曲折移動の検知と、補正部118によるユーザの推定位置の調整方法の一例について説明する。
【0052】
図6には、自律航法測位部113により特定された携帯端末10の測位位置D1からD10が測位の順(測位時間の経過の順)に示されている。方向変更検知部117は、測位位置D1からD10について、隣接する(矢線で結ばれた)2つの測位位置間における進行方向をそれぞれ特定し、測位位置D1の位置における携帯端末10のユーザの進行方向を基準としたときに、特定された進行方向の変化の累積変更角度が所定閾値(例えば、30度)以上となるときを特定する。この例においては、方向変更検知部117は、測位位置D8の位置のときに進行方向の変化の累積変更角度が所定閾値以上であると特定するものとする。方向変更検知部117は、累積変更角度が所定閾値以上となったときである測位位置D8の位置においてユーザが曲折移動を行っていることを検知する。
【0053】
図7には、地図上の通路に対して設定され、経路案内部111による出発地から目的地までの探索の結果特定されたルートR1が示されている。移動方向変更領域X1は、ルートR1上の移動方向変更領域を示している。
【0054】
図7(a)の移動方向変更領域X1内における位置P1は、
図6の例において、携帯端末10のユーザを測位位置D3で測位した時点でマッチング部115により特定されたユーザの推定位置を示している。すなわち、この例では、方向変更検知部117によりユーザの曲折移動が検知される前に、マッチング部115により特定されたユーザの推定位置が移動方向変更領域X1内に進入している。このとき、補正部118は、マッチング部115によりその後特定されるユーザの推定位置に関わらず(すなわち、自律航法測位部113によりその後特定される検知位置の情報に関わらず)、方向変更検知部117によりユーザの曲折移動が検知されるまでユーザの推定位置を移動方向変更領域X1内とするように調整(補正)する。
【0055】
方向変更検知部117によりユーザの曲折移動が検知されたとき、補正部118は、当該曲折移動が検知されたとき(
図6の測位位置D8の測位が行なわれたとき)からの自律航法測位部113によるその後の検知位置の変位に応じた位置にユーザの推定位置を進めるように変更する(すなわち、ユーザの推定位置を移動方向変更領域X1内とするようにする調整を解除する)。例えば、曲折移動が検知されたときからの自律航法測位部113による検知位置D9の変位(すなわち、位置D8−D9間の距離)が50cmである場合、補正部118は、曲折移動が検知された時点のユーザの推定位置から50cmだけ進めたルートR1上の位置をユーザの推定位置とするように変更する。
【0056】
図7(b)は、方向変更検知部117により曲折移動が検知されたときからの自律航法測位部113による検知位置の変位に応じた位置に変更されたユーザの推定位置である位置P2を示している。位置P2は、
図6の測位位置D9の測位が行なわれたときに対応するユーザの推定位置である。なお、自律航法測位部113は、方向変更検知部117によりユーザの曲折移動が検知されたときにおける移動方向変更領域X1内の位置を基準位置として、その後の測位の処理を行う。
【0057】
一般に、自律航法による測位は、基準位置からの移動方向及び移動距離に基づいて基準位置からの相対的な変位を特定し、特定された相対変位と、基準位置とに基づいて、現在位置の絶対位置を測位する。このような測位において、測位位置に誤差が生じてしまったときに、相対変位と、基準位置のみから、より正確な測位位置となるような補正を行うことは困難である。これに対し、本実施形態では、マッチング部115により特定されたユーザの推定位置が移動方向変更領域内で特定されたとき、方向変更検知部117によりユーザの曲折移動が検知されるまで、ユーザの推定位置を移動方向変更領域内のままにするように調整(補正)を行う。すなわち、マッチング部115により特定されたユーザの推定位置がルートを曲がるタイミングと、方向変更検知部117によりユーザの曲折移動が検知されるタイミングとが対応するように調整が行われる。その結果、より高い精度でユーザの位置を測位することが可能となる。
【0058】
なお、補正部118は、マッチング部115により特定されたユーザの推定位置が移動方向変更領域内に進入した後、自律航法測位部113による検知位置の変位が所定距離以内である間に曲折移動が検知されない場合、ユーザの推定位置を移動方向変更領域内とする上記の調整を解除することができる。
【0059】
図8及び
図9を参照して、ユーザの推定位置を移動方向変更領域内とする上記の調整を解除する方法の例を説明する。
【0060】
図8には、自律航法測位部113により特定された携帯端末10の測位位置E1からE10が測位の順(測位時間の経過の順)に示されている。なお、この例では、測位位置E1からE10について、測位位置E1の位置における携帯端末10のユーザの進行方向を基準としたときに、隣接する(矢線で結ばれた)2つの測位位置間における進行方向の変化の累積変更角度が所定閾値(例えば、30度)以上とはならない。従って、測位位置E1からE10からユーザの曲折移動は検知されない。
【0061】
図9(a)には、地図上の通路に対して設定され、経路案内部111による出発地から目的地までの探索の結果特定されたルートR2が示されている。移動方向変更領域X2は、ルートR2上の移動方向変更領域を示している。移動方向変更領域X2内における位置P3は、
図8の例において、携帯端末10のユーザを測位位置E3で測位した時点でマッチング部115により特定されたユーザの推定位置を示している。
【0062】
このとき、補正部118は、まず、マッチング部115により特定されたユーザの推定位置が移動方向変更領域X2内に進入した後、方向変更検知部117による曲折移動の検知を監視する。自律航法測位部113による検知位置の変位が所定距離(例えば、1m)以内である間に曲折移動が検知されない場合、補正部118は、ユーザの推定位置を移動方向変更領域X2内とする上記の調整を解除する。そして、補正部118は、ユーザの推定位置が移動方向変更領域X2内に進入したときからの自律航法測位部113による検知位置の変位に基づいたルートR2外の位置にユーザの推定位置を変更する。
【0063】
図9(b)には、
図9(a)の例におけるユーザの推定位置を移動方向変更領域X2内とする補正部118による上記の調整の解除後、変更されたユーザの推定位置である位置P4が示されている。位置P4は、ユーザの推定位置が移動方向変更領域X2内に進入したときからの自律航法測位部113による検知位置の変位(例えば、測位位置E3からE7への変位)に基づいた位置であり、ルートR2とは異なるルートR3上の位置である。ルートR3は、ユーザの移動がルートR2から外れたことにより通路上に新たに設定されたルートであり、ユーザが移動方向変更領域X2内に進入したときの進行方向に延びるルートである。なお、このとき、経路案内部111は、ユーザは、ルートR2を外れて移動している(すなわち、ルートR2に沿って曲がるべき交差点を曲がらずに直進している)と判断し、ルートR2を外れている旨をユーザに通知することができる。
【0064】
表示制御部116は、表示部15に対する各種情報及び画像の表示の制御を行う。例えば、表示制御部116は、マッチング部115により特定されたユーザの推定位置又は補正部118により変更されたユーザの推定位置を表示部15に表示するように制御する。例えば、表示制御部116は、地図画像中のユーザの推定位置を示す位置に画像(例えば、丸形状又は三角形状の画像)を表示することができる。
【0065】
すなわち、本実施形態によれば、携帯端末10はユーザの推定位置を表示する表示装置として機能する。また、表示制御部116は、センサ16により検知されたユーザの動きの情報に基づいて自律航法測位部113により取得されたユーザの位置の情報である検知位置の情報と、センサ16により検知されたユーザの動きの情報に基づいて方向変更検知部117により取得されたユーザの移動方向の変更角度の情報とに応じて、ユーザの推定位置を示す画像を表示部15に表示する。
【0066】
具体的として、表示制御部116は、地図におけるルート上の位置であって、自律航法測位部113により出力された検知位置の情報に基づいてマッチング部115により特定された第1の位置に画像(ユーザの推定位置を示す画像)を表示するように制御する。マッチング部115により特定された第1の位置が移動方向変更領域内に進入した場合、自律航法測位部113により出力された検知位置の情報に関わらず、表示制御部116は、ユーザの移動方向の変更角度の累積値が所定角度以上になるまで画像(ユーザの推定位置を示す画像)を移動方向変更領域内に表示するように制御する。
【0067】
[処理フロー]
次に、
図10を参照して、携帯端末10において実行されるユーザの推定位置の変更処理のフローの一例を説明する。なお、以下に説明する処理フローに含まれる各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。また、各処理ステップは、制御部11において、CPU11aが記憶部13等に記憶されたプログラムをメモリ11bに展開して実行することにより行われる。なお、各処理ステップの処理の詳細は、
図2を参照して既に説明しているため省略する。
【0068】
まず、ステップS11において、制御部11は、センサ16からの情報に基づいて特定されたユーザの位置の情報を検知位置の情報として取得する。制御部11は、当該検知位置の情報の取得の処理を継続して(例えば、1秒ごとに)行う。
【0069】
ステップS12において、制御部11は、ステップS11で特定された検知位置の情報に基づいて、ユーザの位置(推定位置)を特定する。制御部11は、当該推定位置の特定の処理を検知位置の情報が取得される度に継続して行う。
【0070】
ステップS13において、制御部11は、地図情報を参照して、ステップS12で特定された携帯端末10のユーザの推定位置が移動方向変更領域に進入したことを検知する。
【0071】
ステップS14において、制御部11は、センサ16により検知された携帯端末10のユーザの動きの情報に基づいて、ユーザが曲折移動を行っているか否かを判断する。曲折移動を行っていないと判断された場合、処理はステップS15へ進み、曲折移動を行っていると判断された場合、処理はステップS17に進む。
【0072】
ステップS15において、制御部11は、ユーザの推定位置が移動方向変更領域に進入した後、検知位置の変位が所定距離(例えば、1m)以内であるか否かを判断する。当該所定距離以内である場合、処理はステップS16へ進み、所定距離以内でない場合、処理はステップS17へ進む。
【0073】
ステップS16において、制御部11は、ステップS11により取得される検知位置の情報に関わらず、ステップS13において曲折移動が検知されるまでユーザの推定位置を移動方向変更領域内とするように調整(補正)する。
【0074】
ステップS17において、制御部11は、ユーザの推定位置を移動方向変更領域内とするようにする調整を解除し、ステップS11において取得された検知位置の変位に応じて、ユーザの推定位置を進行方向に進める。
【0075】
以上のように本実施形態によれば、ステップS12において特定されたユーザの推定位置が移動方向変更領域内で特定されたとき、ユーザの曲折移動が検知されるまで、ユーザの推定位置を移動方向変更領域内のままにするように調整(補正)を行う。その結果、より高い精度でユーザの位置を測位することが可能となる。
【0076】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0077】
また、本発明のプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。