特許第6553927号(P6553927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6553927二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553927
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20190722BHJP
   B29C 55/12 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
   C08J5/18CES
   B29C55/12
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-80943(P2015-80943)
(22)【出願日】2015年4月10日
(65)【公開番号】特開2016-199686(P2016-199686A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220099
【氏名又は名称】三井化学東セロ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 敦夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵美
(72)【発明者】
【氏名】山延 健
(72)【発明者】
【氏名】上原 宏樹
【審査官】 藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/158590(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/006578(WO,A1)
【文献】 特開2013−177645(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/025047(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/047020(WO,A1)
【文献】 特開2014−129434(JP,A)
【文献】 特開平08−291236(JP,A)
【文献】 特開平07−148837(JP,A)
【文献】 特開2011−178745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00− 5/02
5/12− 5/22
B29C55/00−55/30
61/00−61/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
β晶型プロピレン系重合体組成物シートを多段二軸延伸処理する二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法であって、延伸温度(TempF)が130〜150℃で、且つ、未延伸シートを基準とした時のMDの延伸倍率(DRFMD)及びTDの延伸倍率(DRFTD)が共に1.1〜3.0倍である第1段目の二軸延伸処理工程の後、延伸温度(TempL)が150〜180℃で、且つ、未延伸シートを基準とした時の最終的なMDの総延伸倍率(DRTMD)及びTDの総延伸倍率(DRTTD)が共に6.0〜10.0倍になるように二軸延伸処理する第2段目以降の単数あるいは複数の二軸延伸処理工程を含む多段二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記β晶型プロピレン系重合体組成物シートは、β晶核剤を、プロピレン系重合体と該β晶核剤の合計を100重量%とした場合に0.001〜2重量%含み、前記β晶核剤が、N,N'―ジシクロヘキシル―2,6―ナフタレンジカルボキシアミド、N,N'―ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N'−ジフェニルヘキサンジアミドのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記β晶型プロピレン系重合体組成物シートにおいて、示差走査熱量計で測定される、β晶の全結晶部分に占める百分率が、50%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MD(縦方向)、TD(横方向)共に高い引張弾性率を有し、表面平滑性の優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムと呼ぶことがある)は、その優れた透明性、機械的強度、防湿性、剛性等を活かして包装材料をはじめ、ラベル、粘着テープ、離形フィルムの基材フィルム、コンデンサ用フィルムなどの広い分野で使用されている。
【0003】
ポリプロピレンの結晶多形のひとつである、β晶を利用したOPPフィルムは、β晶のポリプロピレン樹脂シートを逐次二軸延伸することで空隙を形成し、貫通孔を形成したフィルムを蓄電デバイス用セパレータ用途に利用できることが提案されている(特許文献1:特開2014−141644号公報)。しかしながら、このOPPフィルムの引張弾性率は極めて低いものである。また、延伸工程でβ晶をα晶に結晶変態させることによりフィルムを粗面化し、コンデンサ用フィルムに利用できることが提案されている(特許文献2:特許第5472461号公報)。しかしながら、このOPPフィルムは、TD方向の引張弾性率は高いが、MD方向の引張弾性率は高いとは言えない。また、前記記載の通り、フィルム表面が粗面化されているため、包装材料などで使用した場合、光沢度が低いことに加え、インキやコーティング剤が弾かれやすいため印刷性も劣るなどといった不具合が起こる傾向にあった。
【0004】
OPPフィルムの高引張弾性率化を図る方法として、分子量が200万以上と高く、且つ、分子量分布の広い超高分子量ポリプロピレン樹脂をポリプロピレンの製造段階で導入することで得られたシートを同時二軸延伸することで、高引張弾性率化する方法が提案されている。しかし、使用しているポリプロピレン樹脂が特殊であるため、汎用性に欠け、超高分子量のポリプロピレン樹脂を使用しなければならず、加工安定性にも欠ける可能性があった(特許文献3:特開2014−129434号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−141644号公報
【特許文献2】特許第5472461号公報
【特許文献3】特開2014−129434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、引張弾性率が高く、表面平滑性に優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、β晶核剤を有するプロピレン系重合体からなる引張弾性率がMD、TD共に3000MPa以上であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供するものである。
【0008】
また、本発明の好ましい形態として、前記β晶核剤を0.001〜2重量%(但し、プロピレン系重合体とβ晶核剤の合計が100重量%)含有することを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供するものである。
【0009】
また、本発明の好ましい形態として、前記β晶核剤がN,N’―ジシクロヘキシル―2,6―ナフタレンジカルボキシアミド、N,N’―ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’−ジフェニルヘキサンジアミドのうちの少なくとも1種であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供するものである。
【0010】
また、本発明の好ましい形態として、中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜0.08μmであることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供するものである。
さらに、本発明は、β晶型プロピレン系重合体組成物シートを多段二軸延伸処理する二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法であって、延伸温度(TempF)が130〜150℃で、且つ、未延伸シートを基準とした時のMDの延伸倍率(DRFMD)及びTDの延伸倍率(DRFTD)が共に1.1〜3.0倍である第1段目の二軸延伸処理工程の後、延伸温度(TempL)が150〜180℃で、且つ、未延伸シートを基準とした時の最終的なMDの総延伸倍率(DRTMD)及びTDの総延伸倍率(DRTTD)が共に6.0〜10.0倍になるようにさらに二軸延伸処理する第2段目以降の単数あるいは複数の二軸延伸処理工程を含む多段二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、引張弾性率が高く、表面平滑性に優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる。結晶部分に主としてβ晶を有するβ晶型ポリプロピレン系重合体組成物シートに対して、未延伸シートを基準とした時のMD及びTDの延伸倍率が3.0倍以下の第1段目の二軸延伸処理の後、未延伸シートを基準とした時の最終的なMD及びTDの総延伸倍率(多段延伸後)が6.0倍以上になるようにさらに二軸延伸する第2段目以降の単数あるいは複数の二軸延伸処理を行うことにより効率的に本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができる。なお、β晶型ポリプロピレン系重合体組成物シートを得るにあたり、β晶核剤を添加することにより容易かつ効率的にβ晶を形成することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<プロピレン系重合体>
本発明に係る二軸延伸ポリプロピレンフィルムの原料となるプロピレン系重合体は、特に限定されず、従来公知の種々のポリプロピレンを利用することができる。好ましくはポリプロピレンとしてメソペンタッド分率が90%以上のものであり、さらに好ましくは90%以上99.5%程度のものが挙げられる。
【0013】
このようなポリプロピレンは、通常、MFR(ASTM D1238 荷重2160g、温度230℃)が、0.1〜60g/10分、好ましくは0.5〜60g/10分、さらに好ましくは0.5〜10g/10分、その中でも更に好ましくは1〜5g/10分のプロピレンの単独重合体若しくはプロピレンと他の少量例えば、1重量%以下のα―オレフィンとの共重合体、あるいは単独重合体と共重合体との組成物である。プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体等のプロピレン共重合体に用いるα−オレフィンとしては、炭素数2、4〜20のα−オレフィンが挙げられる。好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等の炭素数2、4〜8のα−オレフィン、より好ましくはエチレン、1−ブテン等の炭素数2、4のα−オレフィンであり、これらのα−オレフィンは、一種類での共重合体としても、二種類以上の多元系共重合体としてもよい。具体的には、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体のような、各種二元あるいは三元共重合体が挙げられる。
【0014】
これらの中でも、プロピレンの単独重合体、若しくは1重量%以下のランダム共重合体でアイソタクティシティの高い重合体若しくはそれらの組成物が、得られる二軸延伸ポリプロピレンフィルムの耐熱性が優れ高い引張弾性率が得られるので好ましい。
【0015】
本発明に係わるプロピレン系重合体には、通常ポリオレフィンに用いる添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加しておいてもよい。添加材とは具体的には耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、β晶核剤以外の核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料、無機または有機の充填剤等をいう。
【0016】
<β晶核剤>
本発明においてβ晶核剤とは、プロピレン系重合体に六方晶構造であるβ晶を形成させることができる化合物をいう。本発明において使用するβ晶核剤は、特に限定されず、従来公知の種々のβ晶核剤を利用することができ、1種類のβ晶核剤または2種類以上のβ晶核剤を混合して用いても良い。具体的には例えば、N,N'―ジシクロヘキシル―2,6―ナフタレンジカルボキシアミド、N,N'―ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’−ジフェニルヘキサンジアミド等に代表されるアミド化合物、テトラオキサスピロ化合物、キナクリドン、キナクリドンキノン等に代表されるキナクリドン類、ナノスケールのサイズを有する酸化鉄、ピメリン酸カルシウム、1,2―ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム若しくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム若しくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物、二若しくは三塩基カルボン酸のジエステル類若しくはトリエステル類、フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料、有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物若しくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物、環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。前記β晶核剤の中でもアミド化合物のN,N'―ジシクロヘキシル―2,6―ナフタレンジカルボキシアミド、N,N'―ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’−ジフェニルヘキサンジアミドが好ましく、N,N'―ジシクロヘキシル―2,6―ナフタレンジカルボキシアミドがより好ましい。
【0017】
また、β晶核剤を添加する場合の添加量としては、プロピレン系重合体全体を基準、すなわち、プロピレン系重合体とβ晶核剤の合計を100重量%とした場合に、0.001〜2重量%であり、好ましくは0.05〜1重量%、より好ましくは0.05〜0.2重量%、さらに好ましくは0.05〜0.1重量%である。
【0018】
<β晶型プロピレン系重合体組成物の製造方法>
本明細書において、β晶型プロピレン系重合体組成物とは、プロピレン系重合体を主成分とし、結晶形成のとき主としてβ晶を形成する組成物である。β晶を形成させるための手段は特に限定されない。たとえば、製造条件を制御することによってβ晶を形成してもよいし、β晶核剤を使用させることによりβ晶を形成してもよいがβ晶を容易に形成させる観点からβ晶核剤を使用することが好ましい。また、必要に応じて前記通常ポリオレフィンに用いる添加剤を含んでいてもよい。β晶型プロピレン系重合体組成物は、種々の公知の手段により、プロピレン系重合体等を均一化および溶融混練をすることにより得ることができる。たとえば、均一化する手段として、ヘンシェルミキサーやタンブラーミキサー等で撹拌することにより均一化する手段が挙げられる。また、均一化と溶融混練を同時に行う手段として、ミキシングロール、バンバリーミキサー、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機等による均一化および溶融混練を行う手段が挙げられる。製造工程の効率化および安定化の観点から、一軸スクリュー押出機や二軸スクリュー押出機によって溶融混練するとともに均一化することが好ましい。一軸スクリュー押出機や二軸スクリュー押出機を用いる場合、混練温度はβ晶型プロピレン系重合体組成物の温度が200〜300℃、好ましくは240〜290℃、より好ましくは270〜280℃になるようにして成形することができる。
【0019】
<β晶型プロピレン系重合体組成物シートの製造方法>
前記β晶型プロピレン系重合体組成物を圧延することにより、β晶型プロピレン系重合体組成物シートが得られる。β晶型プロピレン系重合体組成物シートは全結晶部分の50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上のβ晶型のポリプロピレン結晶で占められている。β晶の形成手段としては、上述したようにβ晶核剤を用いずに製造条件によって得る方法もあるが、β晶の形成の容易性の観点から、β晶核剤を用いることが好ましい。
【0020】
β晶の形成率、すなわちβ晶の全結晶部分に占める百分率は、β晶型プロピレン系重合体組成物シート5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計[ティー・エイ・インスツルメント製DSC/Q100]を用いて測定した。窒素ガス雰囲気下で30℃で10分保持後、30℃から200℃まで40℃/分で昇温した際に観測される融解ピーク(小数点以下は四捨五入)について、145〜153℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、157℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとし、α晶の融解ピーク面積とβ晶の融解ピーク面積の和に対する、β晶の融解ピーク面積の割合から求めることができる。
【0021】
β晶型プロピレン系重合体組成物の圧延手段としては、種々の公知の手段を採ることができ、たとえば、熱プレスにより圧延する手段、カレンダーロールにより圧延する手段、さらに押出機に直結しているダイスおよびリップにより圧延する手段またはカレンダーロールと押出機に直結するダイスおよびリップによる圧延手段を併用することもできるが、製造効率の観点から、押出機に直結するダイスおよびリップにより圧延する手段を採ることが好ましい。β晶型プロピレン系重合体組成物を圧延するときはβ晶型プロピレン系重合体組成物の温度が230〜250℃、好ましくは240〜250℃の範囲で一軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機でダイスおよびリップ介して溶融させて押出すことにより圧延し、冷却ロールでシート温度が30〜100℃、好ましくは70〜100℃の範囲になるように徐冷することでβ晶型プロピレン系重合体組成物シートを得ることができる。
【0022】
<二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法>
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、前記β晶型プロピレン系重合体組成物シートを多段二軸延伸により成形することができる。二軸延伸方法は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸のどちらでもよいが、同時二軸延伸が好ましい。つまり、β晶型プロピレン系重合体組成物シートをMD、TD互いに多段同時二軸延伸をすることにより成形することができる。多段延伸の回数は2段以上が好ましく、製造効率および得られる延伸フィルムの引張弾性率の効果的な向上の観点から、2段がより好ましい。
【0023】
二軸延伸処理工程の条件については、第1段目の二軸延伸処理工程では延伸温度130℃〜150℃、好ましくは130〜140℃の条件で、未延伸シートを基準とした時のMDの延伸倍率(DRFMD)およびTDの延伸倍率(DRFTD)が各々3.0倍以下、好ましくは1.1〜3.0倍、より好ましくは1.1〜2.0倍であり、第2段目以降の二軸延伸処理工程(たとえば、3段での二軸延伸処理においては第2段目の二軸延伸処理工程と第3段目の二軸延伸処理工程)では延伸温度150〜180℃、好ましくは170〜177℃の条件で、未延伸シートを基準とした時の最終的なMDの総延伸倍率(DRTMD)およびTDの総延伸倍率(DRTTD)の各々が6.0倍以上、好ましくは6.0〜10.0倍、より好ましくは7.0〜10.0倍になるように多段二軸延伸処理する。なお、2段での二軸延伸処理においては、第1段目の延伸倍率「DRFMD」および「DRFTD」をそれぞれ、「DR1MD」および「DR1TD」と、また、第2段目以降の二軸延伸処理後の最終的な総延伸倍率「DRTMD」および「DRTTD」をそれぞれ、「DR2MD」および「DR2TD」と表記することがある。
【0024】
2段での二軸延伸処理における第1段目の二軸延伸処理工程については、延伸温度(Temp1)が130〜150℃、好ましくは130〜140℃の条件下で、且つ、未延伸シートを基準とした時のMDの延伸倍率(DR1MD)及び横方向の延伸倍率(DR1TD)が共に3.0倍以下、好ましくは1.1〜3.0倍、より好ましくは1.1〜2.0倍の条件で二軸延伸処理を行う。その後、第2段目の二軸延伸処理工程では延伸温度(Temp2)が150〜180℃、好ましくは170〜177℃で、且つ、未延伸シートを基準とした時の第2段目の二軸延伸処理後のMDの総延伸倍率(DR2MD)及びTDの総延伸倍率(DR2TD)が共に6.0倍以上、好ましくは6.0〜10.0倍、より好ましくは7.0〜10.0倍になるように二軸延伸処理を行うことによって高引張弾性率を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを成形することができる。
【0025】
β晶を有さないプロピレン系重合体シートを同様に延伸しても、高引張弾性率を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることができるが、得られる延伸フィルムの引張弾性率の効果的な向上の観点から、β晶型プロピレン系重合体組成物シートを延伸することが好ましい。β晶型プロピレン系重合体組成物シートに存在するβ晶が作用して結果として、延伸時に効果的に配向、結晶化が進行し、高引張弾性率を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムが得られるものと考えられる。
【0026】
<二軸延伸ポリプロピレンフィルム>
本発明の製造方法で得られる二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、引張弾性率がMD、TD共に3000MPa以上であることを特徴としている。また、上述したように延伸前のβ晶型プロピレン系重合体組成物シートのβ晶を形成するために、β晶核剤を用いるほうが有効であるため、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには好ましくβ晶核剤を含有している。したがって、たとえば、二軸延伸ポリプロピレンフィルム中にN,N’―ジシクロヘキシル―2,6―ナフタレンジカルボキシアミド等のβ晶核剤が含有され、MD方向およびTD方向の引張弾性率が3000MPa以上であることを確認することにより、β晶型プロピレン系重合体組成物シートを延伸処理して配向、結晶化させた二軸延伸フィルムであると判断することも可能である。
【0027】
また、本発明の製造方法で得られる二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、「本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルム」と呼称する場合がある。)の中心線平均粗さ(以下、「表面粗さ(Ra)」ということがある。)は、0.01〜0.08μm、好ましくは0.03〜0.06μmであることを特徴としている。表面粗さ(Ra)は、三次元表面粗さ測定機[(株)小坂研究所製三次元表面粗さ測定機DR―100X64]を用い、測定力;0.7mN、測定長さ;1.0mm、測定ピッチ;0.50μm、触針送り速さ;0.2mmの測定を、測定長さ方向と垂直な方向に2μmピッチで201回測定した値によって得ることができる。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、表面粗さ(Ra)が上記の範囲であることにより、フィルム表面が平滑となるため、光沢度が高く、またインキやコーティング剤の弾きを抑制できることから、インキのりがよく美麗に印刷でき、包装材料や種々の用途の基材フィルムに好適である。
【0028】
なお、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、片面、若しくは両面をコロナ処理、火災処理、プラズマ処理等の表面処理をしておいてもよい。上記表面処理を行うことにより、二軸延伸ポリプロピレンフィルムと他の層、例えばインキとの密着性が増す。
【0029】
さらに、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、スリップ剤、β晶核剤以外の核剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料、無機または有機の充填剤等の通常ポリオレフィンに用いる各種添加剤を含有していてもよい。
【0030】
耐熱安定剤(酸化防止剤)としては、例えば、3,5―ジーt−ブチルー4−ヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5―ジーt―ブチルー4―ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、n−オクタデシルー3−(4'―ヒドロキシー3,5−ジーt―ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系酸化防止剤、2(2'−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、置換ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系酸化防止剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、フェニルサルチレート、4−t−ブチルフェニルサリチレート等が挙げられる。
【0031】
帯電防止剤としては、例えば、アルキルアミンおよびその誘導体、高級アルコール、高級脂肪酸のグリセリンエステル類、ピリジン誘導体、硫酸化油、石鹸類、オレフィンの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル類、脂肪酸エチルスルフォン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、琥珀酸エステルスルフォン酸塩、リン酸エステル塩、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0032】
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、高級アルコール、流動パラフィン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、エチレン−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4オクトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0033】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを包装材料として用いる場合は、単独で用いてもよいが、その少なくとも片面に、熱接着層を積層することにより、ヒートシール可能な包装用フィルムとして好適な積層フィルムが得られる。かかる熱接着層としては、通常熱接着層として公知のエチレン、プロピレン、1―ブテン、1―ヘキセン、4―メチル―1―ペンテン、1―オクテン等のα―オレフィンの単独若しくは共重合体、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダム共重合体、ポリブテン、ポリ4―メチル―1―ペンテン、低結晶性あるいは非晶性のエチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン―1―ブテンランダム共重合体、プロピレン―1―ブテンランダム共重合体等のポリオレフィンを単独若しくは2種以上の組成物、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体あるいはその金属塩、EVAとポリオレフィンとの組成物等から得られる層である。中でも、ポリプロピレンランダム共重合体、あるいは高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン等のエチレン系重合体から得られる熱融着層が低温ヒートシール性、ヒートシール強度に優れるので好ましい。
【実施例】
【0034】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に制約されるものではない。
なお、物性値などは、以下の評価方法により求めた。
【0035】
(1)β晶形成の確認
樹脂5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計[ティー・エイ・インスツルメント製DSC/Q100]を用いて測定した。まず、窒素ガス雰囲気下で−50℃から250℃まで40℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、−50℃まで40℃/分で冷却する。10分保持後、40℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピーク(小数点以下は四捨五入)について、145〜153℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、157℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、融解ピークからβ晶が形成されているか確認した。
【0036】
なお、試料がシートの場合は、窒素ガス雰囲気下で30℃で10分保持後、30℃から200℃まで40℃/分で昇温した際に観測される融解ピークから、同様にβ晶が形成されているか確認した。
β晶の形成率、すなわちβ晶の全結晶部分に占める百分率は、α晶の融解ピーク面積とβ晶の融解ピーク面積の和に対する、β晶の融解ピーク面積の割合から求めた。
【0037】
(2)引張弾性率(MPa)
二軸延伸ポリプロピレンフィルムから短冊状フィルム片(長さ:150mm、幅:15mm)を切出し、引張り試験機[(株)エー・アンド・デイ製テンシロン型万能試験機RTG―1210]を用い、チャック間距離:100mm、クロスヘッドスピード:300mm/分の条件で引張試験を行い、引張弾性率(MPa)を求めた。
【0038】
(3)表面粗さ(Ra;中心線平均粗さ)
表面粗さ(Ra)は、三次元表面粗さ測定機[(株)小坂研究所製三次元表面粗さ測定機DR―100X64]を用い、測定力;0.7mN、測定長さ;1.0mm、測定ピッチ;0.50μm、触針送り速さ;0.2mmの測定を、測定長さ方向と垂直な方向に2μmピッチで201回測定した値である。
【0039】
(4)メソペンタッド分率 mmmm[%]
13C―NMRを用いて測定し、得られたデータをT.Hayashiらが行った方法(Polymer,29,138〜143(1988))に基づいて得られたものである。
【0040】
(5)MFR
MFR(メルトフローレート)は、ASTM―D―1238に準じて、230℃、2.16Kgの条件で測定した値である。
【0041】
[実施例1]
β晶型プロピレン系重合体組成物の製造
プロピレン系重合体として、(株)プライムポリマー社製F113A[密度:0.91、MFR:3.0g/10分(230℃)、アイソタクティシティの指標であるメソペンタッド95.0%]のプロピレン単独重合体を用い、β晶核剤として、新日本理化(株)社製エヌジェスターRNU―100[N,N’―ジシクロヘキシル―2,6―ナフタレンジカルボキシアミド]を用い、β晶核剤0.1重量%をプロピレン単独重合体に添加し、一軸スクリュー押出機で混練温度280℃で溶融押出することで、β晶型プロピレン系重合体組成物を得た。
【0042】
β晶型プロピレン系重合体組成物シートの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物を用い、一軸スクリュー押出機を用いて混練温度250℃で溶融押出し、冷却ロール(温度90℃)で徐冷することで、厚さ1.0mmのβ晶型プロピレン系重合体組成物シートを得た。β晶の形成率は、67.7%であった。
【0043】
同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物シートを原反とし、同時二軸延伸フィルム成形装置を用い、テンター(Temp1:130℃、Temp2:170℃)で、DR1MD:1.5倍、DR1TD:1.5倍、DR2MD:8.0倍、DR2TD:8.0倍に延伸して、厚さ15ミクロン(μm)の同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。この場合、DRTMDおよびDRTTDは、ともに8.0倍である。
結果を表1に示す。
【0044】
[実施例2]
β晶型プロピレン系重合体組成物の製造
プロピレン系重合体として、(株)プライムポリマー社製F133A[密度:0.91、MFR:3.0g/10分(230℃)、アイソタクティシティの指標であるメソペンタッド98.5%]のプロピレン単独重合体を用いた以外は、実施例1と同一の方法でβ晶型プロピレン系重合体組成物を得た。
【0045】
プロピレン系重合体組成物シートの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物を用いた以外は、実施例1と同一の法で厚さ1.0mmのβ晶型プロピレン系重合体組成物シートを得た。β晶の形成率は、74.8%であった。
【0046】
同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物シートを原反とし、Temp1:140℃、Temp2:177℃、DR2MD:10.0倍、DR2TD:10.0倍とした以外は、実施例1と同一の方法で厚さ10ミクロン(μm)の同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。この場合、DRTMDおよびDRTTDは、ともに10.0倍である。
結果を表1に示す。
【0047】
[実施例3]
β晶型プロピレン系重合体組成物の製造
実施例1と同一の方法でβ晶型プロピレン系重合体組成物を得た。
【0048】
β晶型プロピレン系重合体組成物シートの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物を用い、実施例1と同一の方法で厚さ1.0mmのβ晶型プロピレン系重合体組成物シートを得た。β晶の形成率は、67.7%であった。
【0049】
同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物シートを原反とし、Temp1:140℃、DR1MD:2.0倍、DR1TD:2.0倍、DR2MD:9.0倍、DR2TD:9.0倍とした以外は、実施例1と同一の方法で厚さ13ミクロン(μm)の同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。この場合、DRTMDおよびDRTTDは、ともに9.0倍である。
結果を表1に示す。
【0050】
[実施例4]
β晶型プロピレン系重合体組成物の製造
実施例2と同一の方法でβ晶型プロピレン系重合体組成物を得た。
【0051】
β晶型プロピレン系重合体組成物シートの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物を用い、実施例2と同一の方法で厚さ1.0mmのβ晶型プロピレン系重合体組成物シートを得た。β晶の形成率は、74.8%であった。
【0052】
同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物シートを原反とし、Temp1:140℃、Temp2:175℃、DR1MD:2.0倍、DR1TD:2.0倍、DR2MD:7.0倍、DR2TD:7.0倍とした以外は、実施例1と同一な方法で厚さ18ミクロン(μm)の同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。この場合、DRTMDおよびDRTTDは、ともに7.0倍である。
結果を表1に示す。
【0053】
[比較例1]
プロピレン系重合体シートの製造
プロピレン系重合体として、(株)プライムポリマー社製F113A[密度:0.91、MFR:3.0g/10分(230℃)、アイソタクティシティの指標であるメソペンタッド95.0%]のプロピレン単独重合体を用い、一軸スクリュー押出機で混練温度250℃で溶融押出し、冷却ロール(温度35℃)で急冷することで、厚さ1.0mmのプロピレン系重合体シートを得た。β晶の形成率は、0%(α晶のみ)であった。
【0054】
同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造
上記プロピレン系重合体シートを原反とし、同時二軸延伸フィルム成形装置を用い、テンター(Temp1:162℃)で、DR1MD:8.0倍、DR1TD:8.0倍に延伸して、厚さ12ミクロン(μm)の同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
結果を表1に示す。
【0055】
[比較例2]
β晶型プロピレン系重合体組成物の製造
実施例1と同一の方法でβ晶型プロピレン系重合体組成物を得た。
【0056】
ポリプロピレン樹脂シートの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物を用い、実施例1と同一の方法で厚さ1.0mmのβ晶型プロピレン系重合体組成物シートを得た。β晶の形成率は、67.7%であった。
【0057】
同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物シートを原反とし、Temp1:157℃とした以外は、比較例1と同一の方法で厚さ13ミクロン(μm)の同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
結果を表1に示す。
【0058】
[比較例3]
β晶型プロピレン系重合体組成物の製造
実施例2と同一の方法でβ晶型プロピレン系重合体組成物を得た。
【0059】
β晶型プロピレン系重合体組成物シートの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物を用い、実施例2と同一の方法で厚さ1.0mmの上記β晶型プロピレン系重合体組成物シートを得た。β晶の形成率は、74.8%であった。
【0060】
同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造
上記β晶型プロピレン系重合体組成物シートを原反とし、Temp1:163℃とした以外は、比較例1と同一の方法で厚さ9ミクロン(μm)の同時二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例及び比較例では二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造する際に、同時二軸延伸を採用しているため、得られた二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、MD、TDの引張弾性率は同一であると判断できる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、MD、TD共に高引張弾性率で、且つ、表面平滑性が高いため種々の包装材料としてばかりでなく、種々の用途の基材フィルムとしての利用が期待できる。AR/LRフィルム、プリズムシート、拡散フィルム、反射フィルム、BGテープ、DCテープ、キャリアテープ用カバーテープ、アルミ蒸着フィルムなどの種々の蒸着フィルム、透明蒸着フィルム、PVDCコートフィルム、PVAコートフィルム、アクリル酸系樹脂コートフィルム、方向性フィルム、防錆フィルムなどの種々の用途に利用が可能である。また、ナノコンポジットフィルム、ハイブリッドバリアフィルム、防曇フィルム、コンデンサ用フィルム、太陽電池バックシート、有機EL封止材料などの種々の産業材用途への利用が可能である。