(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6553947
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】エンジンの熱電発電システム
(51)【国際特許分類】
F01N 5/02 20060101AFI20190722BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20190722BHJP
F01N 13/14 20100101ALI20190722BHJP
【FI】
F01N5/02 B
F01N5/02 J
H02N11/00 A
F01N13/14
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-105145(P2015-105145)
(22)【出願日】2015年5月25日
(65)【公開番号】特開2016-102492(P2016-102492A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2018年3月20日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0167587
(32)【優先日】2014年11月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 眞 佑
(72)【発明者】
【氏名】呂 寅 雄
(72)【発明者】
【氏名】李 太 源
(72)【発明者】
【氏名】白 洪 吉
(72)【発明者】
【氏名】李 ハンセム
(72)【発明者】
【氏名】盧 水 晶
(72)【発明者】
【氏名】李 昇 祐
(72)【発明者】
【氏名】宋 京 花
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−019674(JP,A)
【文献】
特開2012−225280(JP,A)
【文献】
特開2012−191043(JP,A)
【文献】
特開2012−174940(JP,A)
【文献】
特表2015−527729(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/034179(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0000670(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 5/00−13/20
H02N 11/00
F02B 77/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに装着される断熱用ヒートプロテクトカバーと、
前記ヒートプロテクトカバーの上端に備えられて熱エネルギーを均一に配分する単位ユニットと、を含み、
前記単位ユニットは、
ホットヒートスプレッダ及びコールドヒートスプレッダからなるヒートスプレッダと、前記ヒートスプレッダの上部に備えられて熱電発電を可能にする熱電発電モジュールと、前記熱電発電モジュールの上部に備えられて冷却させる冷却ジャケットと、を含み、
前記ヒートプロテクトカバーは、前記エンジンの排気マニホールドに挟まれるように形成され、前記ヒートプロテクトカバーの上端には前記単位ユニットが装着され、前記ヒートプロテクトカバーの熱エネルギーを前記単位ユニットに伝達するバイパス装置が設けられ、
前記バイパス装置は、内部構造がヒートパイプからなり、移動可能に備えられる高熱伝導性ピラーと、前記ピラーの上部に備えられるクーリングウォーターと、高圧スチームを介して前記ピラーを上下方向に移動させるコンテナと、を含んで構成され、特定の温度以上では伝導により熱エネルギーを伝達し、それ以下の温度では輻射と対流によって熱エネルギーを伝達することを特徴とするエンジンの熱電発電システム。
【請求項2】
前記ヒートプロテクトカバーは、平たいアルミニウムの表面にグラファイトシートを含んで熱伝導及び輻射熱の吸収を可能にすることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの熱電発電システム。
【請求項3】
前記単位ユニットは、前記ホットヒートスプレッダと、前記グラファイトシートと、前記熱電発電モジュールと、前記グラファイトシートと、前記コールドヒートスプレッダと、前記冷却ジャケットとの順に積層されることを特徴とする請求項2に記載のエンジンの熱電発電システム。
【請求項4】
前記冷却ジャケットは、Uタイプの水冷管が挿入されることを特徴とする請求項3に記載のエンジンの熱電発電システム。
【請求項5】
前記コンテナは、
コンデンスウォーターが収容された第1チャンバと、
前記第1チャンバと連動されて前記ピラーが挿入された第2チャンバと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの熱電発電システム。
【請求項6】
前記ピラーが接触される前記ホットヒートスプレッダと前記コールドヒートスプレッダとの間に前記熱電発電モジュールが挿入され、各界面に前記グラファイトシートを付着させて熱伝達界面抵抗を最小化することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの熱電発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの熱電発電システムに係り、より詳しくは、エンジンで発生する高温の廃熱を活用して電気エネルギーに変換することにより、内燃機関の燃費を向上させるエンジンの熱電発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用熱電発電技術は、車両の高温熱源部、すなわち、排気系またはエンジン部などに冷却システムとともに装着し、温度勾配により電子が移動する熱電素子を用いて電気を発生させて燃費を向上させる技術である。
従来の車両用熱電発電システムは、排気管に熱電発電モジュールを装着させて熱電発電を可能にした。
一方、排気管の円形パイプに熱電発電モジュールを取り囲む形態に装着する技術が開発されているが、既存の円形パイプにモジュールを取り囲む形式に装着する場合、エンジン部で発生する最高温の廃熱を用いることに限界があり、また、従来は屈曲のある円形パイプと平面形態のモジュールとの間の装着が容易ではなく、排気管の温度領域が定められると、温度領域に適する熱電発電モジュールのみ使用可能であるため、出力向上に限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1138526号公報
【特許文献2】特開2006−220005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、エンジンで発生する高温の廃熱を活用して電気エネルギーに変換することにより、内燃機関の燃費を向上させるエンジンの熱電発電システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるエンジンの熱電発電システムは、エンジンに装着される断熱用ヒートプロテクトカバーと、前記ヒートプロテクトカバーの上端に備えられて熱エネルギーを均一に配分する単位ユニットと
、を含
み、前記単位ユニットは、ホットヒートスプレッダ及びコールドヒートスプレッダからなるヒートスプレッダと、前記ヒートスプレッダの上部に備えられて熱電発電を可能にする熱電発電モジュールと、前記熱電発電モジュールの上部に備えられて冷却させる冷却ジャケットと、を含み、前記ヒートプロテクトカバーは、前記エンジンの排気マニホールドに挟まれるように形成され、前記ヒートプロテクトカバーの上端には前記単位ユニットが装着され、前記ヒートプロテクトカバーの熱エネルギーを前記単位ユニットに伝達するバイパス装置が設けられ、前記バイパス装置は、内部構造がヒートパイプからなり、移動可能に備えられる高熱伝導性ピラーと、前記ピラーの上部に備えられるクーリングウォーターと、高圧スチームを介して前記ピラーを上下方向に移動させるコンテナと、を含んで構成され、特定の温度以上では伝導により熱エネルギーを伝達し、それ以下の温度では輻射と対流によって熱エネルギーを伝達することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、内燃機関の燃費を向上させ、特定の温度以上では伝導により熱を伝達し、それ以下の温度では輻射と対流により熱を伝達して、効率を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のエンジンの熱電発電システムを示す斜視図である。
【
図2】本発明のエンジンの熱電発電システムのヒートプロテクトカバーを示す図である。
【
図3】本発明のエンジンの熱電発電システムのバイパス装置のピラーを示す図である。
【
図4】本発明のエンジンの熱電発電システムのヒートプロテクトカバーのバイパス装置を示す正面図である。
【
図5】本発明のエンジンの熱電発電システムのヒートプロテクトカバーのバイパス装置を示す側面図である。
【
図6】本発明のエンジンの熱電発電システムのヒートプロテクトカバーに適用される単位ユニットを示す図である。
【
図7】本発明のエンジンの熱電発電システムのヒートプロテクトカバーに適用される単位ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について図面を参照して詳しく説明する。
本発明のエンジンの熱電発電システムは、
図1から
図7に示すように、エンジン10に装着されるヒートプロテクトカバー100と、ヒートプロテクトカバー100に備えられる単位ユニット200とを含む。
図1及び
図2に示すように、ヒートプロテクトカバー100は、エンジン10の廃熱を活用した熱電変換モジュールをエンジン部に装着するため、排気マニホールドの高温からワイヤリングを保護するために装着される断熱用部材である。
【0009】
図6に示すように、単位ユニット200は、ヒートプロテクトカバー100の上端に備えられて熱エネルギーを均一に配分する。
このとき、単位ユニット200はヒートスプレッダ210と、熱電発電モジュール220と、冷却ジャケット230とからなり、ヒートプロテクトカバー100に締結されて発電システムを稼動できるようにする。
ヒートスプレッダ210は下部に備えられ、ホットヒートスプレッダ211及びコールドヒートスプレッダ212からなり、熱電発電モジュール220はヒートスプレッダ210の上部に備えられて熱電発電を可能とし、冷却ジャケット230は熱電発電モジュール220の上部に備えられて冷却させることを可能にする。
【0010】
一方、従来はアルミニウム二重層でエアをトラップして断熱性能を向上させるカバーを用いたが、本発明のヒートプロテクトカバー100は平たいアルミニウムの表面にグラファイトシートを含んで熱伝導及び輻射熱の吸収を可能にすることを特徴とする。
このとき、単位ユニット200は、ヒートプロテクトカバー100の上部にホットヒートスプレッダ211と、グラファイトシートと、熱電発電モジュール220と、グラファイトシートと、コールドヒートスプレッダ212と、冷却ジャケット230とが順次積層されるようにするのが好ましい。
ここで、冷却ジャケット230は、Uタイプの水冷管が挿入されるようにする。
【0011】
一方、グラファイトシートは、界面での熱伝達抵抗を最小化し、振動を吸収する用途として挿入され、ヒートスプレッダ210は熱電素子に熱が均一に伝達され得るように挿入される層である。
このとき、ヒートスプレッダ210と熱電発電モジュール220との締結は、熱伝達を最大化するため、最小200psi以上に加圧して締結されなければならない。
また、本発明で熱電発電モジュール220の縁部付近での冷却による不均一温度分布の防止と、ヒートプロテクトカバー100との締結部の確保とのため、下端のホットヒートスプレッダ211の大きさがコールドヒートスプレッダ212よりも大きく設計されるようにするのが好ましい。
【0012】
このとき、排気マニホールドから出る輻射熱によるヒートプロテクトカバー100の表面温度は運転条件によって異なるが、通常1500〜4500rpm区間で150〜350C程度の範囲を有するようにする。
一方、本発明でヒートプロテクトカバー100は、エンジン10の排気マニホールドに挟まれるように形成され、ヒートプロテクトカバー100の上端には温度によって熱エネルギーを対流/輻射または伝導に転換されるようにし、、ヒートプロテクトカバー100の上端には単位ユニット200が装着され、特定の温度以上では伝導により熱エネルギーが伝達され、それ以下の温度では輻射や対流によって熱エネルギーが伝達されることを特徴とする。
【0013】
図1に示すように、ヒートプロテクトカバー100と単位ユニット200とからなる本願発明は、エンジン10に装着されて排気マニホールドから輻射されて出る熱エネルギーを用いることができるようにする。
このとき、
図2に示すように、伝導により熱エネルギーを伝達して熱電発電が可能なヒートプロテクトカバー100は、上端部と下端集束部が分離されてクランピングされる構造で適用されるようにするのが好ましい。
一方、エンジン10で発生する排気ガスの場合、触媒活性化温度に影響を大きく及ぼすため、始動後の初期放射が発生する1870秒(FTPモード基準、phase I)の間熱電システムへの熱移動があってはならず、初期活性化以後は酸化による触媒自体の熱発生で、触媒段入口の排気ガスの温度は450度以上を維持しなければならない。
【0014】
また、本発明でヒートプロテクトカバー100は、初期始動時にヒートプロテクトカバー100から放射される熱エネルギーを介して発電システムが駆動及び発電し、伝導を介して熱電出力を向上させるバイパス装置110を含むようにすることを特徴とする。
図3から
図5に示すように、バイパス装置110は内部構造がヒートパイプ(P)からなり、移動可能に備えられる高熱伝導性ピラー111と、ピラー111の上部に備えられるクーリングウォーター112と、高圧スチームを介してピラー111を上下方向に移動させるコンテナ113とからなる。
このとき、コンテナ113は、コンデンスウォーター(w)が収容された第1チャンバ114と、第1チャンバ114と連動されてピラー111が挿入された第2チャンバ115とからなる。
【0015】
また、コンテナ113は、アルミニウムと銅のように高熱伝導性金属で形成され、上段部と下段部には熱接触面積を確保するために正方形でなるのが好ましい。
このとき、コンテナ113の上段部は、ピラー111の移動時に接触されるTEモジュールの面積よりも大きく維持してモジュールの全面積に均一な熱源が供給されるようにするのが好ましい。
一方、本発明の熱発電順序は、エンジン10の排気マニホールドからヒートプロテクトカバー100に伝導により熱エネルギーが移動し、低温の環境ではヒートパイプ(P)の上段部断面から放射される熱エネルギーにより熱電発電がなされ、高温の環境では下段部コンテナ113中の流体のB.P以上で高圧のスチームが形成され、これはピラー111に熱エネルギーを供給しながら圧力によって熱電発電モジュール220のホットサイドに接触されながら発電が行われるようになる。
【0016】
また、ピラー111は、ヒートパイプ(P)が挿入されて高い熱伝導度(〜5000W/mK)を有し、応答速度が速やかに熱エネルギーを移動させて、高温高圧のスチームは、
図5に示すように、一定の高さまで上昇した後、ピラー111の下段部の壁面に形成された通路を介して断熱材の壁面が形成された第1チャンバ114に移動して凝縮され、凝縮された流体は、第1チャンバ114の下段に形成された流路を介して再び下段部コンテナ113に移動するようになる。
【0017】
このとき、流体の流量は、低い温度でも高い圧力を維持できる程度に水位を合わせなければならず、ピラー111とモジュール(あるいはホットスプレッダ)との面着を高めるための別途のクランピングが備えられてもよい。
一方、ピラー111が接触されるホットヒートスプレッダ211とコールドヒートスプレッダ212との間に熱電発電モジュール220が挿入され、各界面にグラファイトシートを付着させて熱伝達界面抵抗を最小化させることができるようにする。
【0018】
コールドヒートスプレッダ212に冷却ジャケット230が付着された単位ユニット200は、
図6及び
図7に示すように、バイパス装置110と適正な隔離距離を維持して構成され、最終的にヒートプロテクトカバー100に付着される。
ここで、コンテナ113の内部に用いられる流体は、水を用いることを基本として、伝導される熱量とモジュールの耐久性を考慮して他の流体が適用されてもよい。
【0019】
このように、本発明は、エンジン10に装着される断熱用ヒートプロテクトカバー100と、ヒートプロテクトカバー100の上端に備えられて熱エネルギーを均一に配分する単位ユニット200とからなり、エンジン10の排気マニホールドの上端に装着されて排気熱からワイヤリングを保護するために装着されるヒートプロテクトカバー100を用いて、排気マニホールドから捨てられる熱エネルギーを吸収して発電させ、触媒に影響を与えることなく排気マニホールドから捨てられる廃熱を用いることにより内燃機関の燃費を向上させて、特定の温度以上では伝導により熱を伝達し、それ以下の温度では輻射と対流によって熱を伝達するようにして効率性を増大させ得るようにする。
【0020】
以上のように、本発明は、好ましい実施例を図によって説明したが、本発明は前述した特定の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0021】
10 エンジン
100 ヒートプロテクトカバー
200 単位ユニット
210 ヒートスプレッダ
220 熱電発電モジュール
230 冷却ジャケット