(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3に記載のゼリー製品において中身を豆腐に変えると、容器の開口部が蓋材で密閉されている充填豆腐になる。
【0006】
この充填豆腐では、容器内の空間の総てが豆腐で満たされていて、容器内にヘッドスペースが存在しないので、蓋材を容器からはがして開封したときに、豆腐の一部が容器からこぼれてしまうおそれがある。したがって、容器を開封して豆腐を食べるときに、容器内の豆腐を別の容器に移し替える必要がある。
【0007】
そこで、容器内の開口部側の部位(容器内の上側部位)にヘッドスペース(豆腐が不存在な空間)を設けることが考えられる。ヘッドスペースを容器内に設けることで、蓋材を容器からはがして容器を開封したときに、豆腐の一部が容器からこぼれることが無くなる。そして、容器を開封した後に豆腐を容器から取り出して別の容器に移し替える必要が無くなり、容器から直接掬う等して容器内の豆腐を食べることが可能になる。
【0008】
容器内にヘッドスペースを設ける方法として、容器に豆腐の主原料と凝固剤とを容器の容積よりも少ない量だけ入れ、これを加熱して豆腐の主原料を凝固させた後、容器を蓋材で密閉する方法がある。
【0009】
しかし、栄養価が高く雑菌が繁殖しやすい豆腐では、殺菌のために、豆腐の主原料と凝固剤とが入っている容器を密閉した後に、容器や豆腐の原料を加熱することが重要である。密閉した状態で容器内にヘッドスペースが存在すると、加熱や加熱後の冷却によるヘッドスペースの空気の膨張・収縮で容器が変形してしまう。
【0010】
本発明は、容器内での雑菌の繁殖を抑えることができるとともに、容器内部にヘッドスペースを
有する容器入り豆腐の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、豆腐の主原料に凝固剤を添加する凝固剤添加工程と、前記凝固剤添加工程で凝固剤が添加された豆腐の主原料を、容器内に、この容器の容積よりも少ない量入れる原料入れ工程と、前記原料入れ工程で凝固剤が添加された主原料を容器内に入れた後、蓋材で前記容器を密閉する容器密閉工程と、前記容器密閉工程で容器を密閉した後、前記容器と前記蓋材とともに凝固剤が添加された主原料を加熱して、前記容器内の主原料を凝固させるとともに、前記加熱による前記容器内の圧力の上昇に応じて、前記容器の外部の圧力を調整する加熱圧力調整工程と、前記加熱圧力調整工程で前記容器内の主原料を凝固させた後、前記容器と前記蓋材と前記凝固した主原料を冷却するとともに、この冷却による前記容器内の圧力の降下に応じて、前記容器の外部の圧力を調整する冷却圧力調整工程とを有する容器入り豆腐の製造方法である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の容器入り豆腐の製造方法において、前記原料入れ工程は、前記凝固剤添加工程で凝固剤が添加された豆腐の主原料を、前記容器の容積の50%〜90%の範囲内の所定量入れる工程である容器入り豆腐の製造方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器内での雑菌の繁殖を抑えることができるとともに、容器内部にヘッドスペースを
有する容器入り豆腐の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る容器入り豆腐1は、
図1〜
図3で示すように、容器3と豆腐5と蓋材7とを備えて構成されている。
【0017】
豆腐5は、容器3の下側の空間に隙間なく充填されており、蓋材7は、容器3上方の開口部9を塞いでいる。
【0018】
すなわち、
図2で示すように、蓋材7が設けられている容器3の内部の空間11は、密閉されており(気密シールされており)、容器3の外部から遮断されている。豆腐5は容器3や蓋材7の内部空間11の下側の部位に隙間なく入っている。容器3や蓋材7の内部空間11の上側の部位は、ヘッドスペース13になっており、ヘッドスペース13には、大気圧とほぼ等しい空気圧になっている。
【0019】
さらに説明すると、容器3内の空間11は、豆腐5の平面状の上面15を境にして、上側がヘッドスペース13になっており、下側が豆腐5で充填されている。これにより、容器3の内部空間11における豆腐5の上面15よりも下側は、豆腐5で満たされている。
【0020】
容器3は、たとえば、ポリプロピレン等の合成樹脂で、カップ状に形成されている。容器3は、内部に豆腐5を入れたり、また、人が指で軽く押す程度の外力を加えただけでは、変形しない剛性を備えている。すなわち、容器3は、人が指で軽く押す程度の外力等を加えただけでは、僅かに弾性変形するが見た目には変形しないようになっている。
【0021】
しかし、容器3は、人が指で強く押したときには、押された部分で凹む等の変形をするようになっている。
【0022】
蓋材7は、たとえば、合成樹脂でフィルム状に形成されており、容器3よりも剛性が低くなっている。蓋材7は、容器3の上端の開口部9を塞いでいる。これにより、容器3や蓋材7の内部の空間11が、容器3や蓋材7の外部から遮断されている。
【0023】
さらに説明すると、容器3は、一体成形されており、たとえば、薄い肉厚の側壁部17と薄い肉厚の底壁部19とを備えて、円錐台状でカップ状に形成されている。側壁部17は円錐台側面状に形成されており、底壁部19は円板状に形成されている。また、底壁部19は、円錐台側面状の側壁部17の小さいほうの円形状の部位(円錐台では上面に相当する部位)を塞いでいる。
【0024】
このように構成されていることで、容器3では、円錐台側面状の側壁部17の大きいほうの円形状の部位(円錐台では下面に相当する部位)が、開口部9を形成している。容器3は、開口部9が上になり、底壁部19が下になる態様で用いられる。開口部9よりも下方の、円錐台状の容器3内の体積が、容器3の容積になる。
【0025】
また、容器3には鍔部21が設けられている。鍔部21は、薄い円板の中央部に円形状の貫通孔(直径が開口部9とほぼ等しい貫通孔)が設けられたリング状に形成されており、容器3上端の開口部9の縁から外側に突出している。鍔部21の上面は、円環状の平面23になっており、この平面23の内側に、容器3の円形の開口部9が位置している。
【0026】
蓋材7は、外径が鍔部21の外径とほぼ等しい円形状に形成されている。蓋材7が容器3の開口部9を塞いでいる状態では、蓋材7の外周縁部が全周にわたって鍔部21の上面23に、たとえば、熱融着によって接着されている。これによって、容器3の内部空間11が密閉されている。
【0027】
また、蓋材7は、この面内方向で外側に突出しているタブ部25を備えている。タブ部25をつまんで蓋材7を容器3から剥離することで、容器3の開封がしやすくなっている(
図3参照)。
【0028】
また、容器入り豆腐1には、
図1、
図2で示すように、外蓋27が設けられている。外蓋27は、蓋材7が設けられている容器3に着脱自在になっている。なお、外蓋27は、蓋材7が除かれた容器3に対しても着脱自在になっている。また、蓋材7が除かれた容器3に外蓋27が設けられている状態では、容器3の開口部9は塞がれるが、容器3の内部空間11の気密性は確保されていない。
【0029】
次に、容器入り豆腐1の製造方法について
図4を参照しつつ説明する。
【0030】
容器入り豆腐1の製造方法は、凝固剤添加工程と原料入れ工程と容器密閉工程と加熱圧力調整工程と冷却圧力調整工程とを備えている。
【0031】
凝固剤添加工程では、常温下において、豆腐の主原料(たとえば、豆乳クリーム)に凝固剤を添加する(ステップS1,S3)。ここで、常温とは、たとえば、5℃〜35℃の範囲内の温度である。
【0032】
なお、豆腐の主原料として、豆乳クリームを掲げているが、豆乳クリームに代えてもしくは加えて、豆乳に油脂を混合した物(成分調整がなされた豆乳)や豆乳等を採用することができる。
【0033】
成分調整がなされた豆乳では、油脂が乳化した状態で豆乳に混ざっている。油脂の乳化は、たとえば、乳化剤を用いたり、超音波を用いてなされている。
【0034】
また、成分調整がなされた豆乳では、油脂の含有量が5質量%〜15質量%の範囲内であることが望ましいが、上記範囲よりも広い範囲であってもよい。たとえば、油脂の含有量が5質量%〜25質量%であってもよいし、5質量%〜40質量%であってもよいし、1質量%〜40質量%であってもよい。
【0035】
原料入れ工程では、常温下において、容器3内に、凝固剤添加工程で凝固剤が添加された豆乳クリーム(凝固剤入り主原料)を、容器3の容積よりも少ない規定量だけ容器3内に入れる(ステップS5)。
【0036】
原料入れ工程で、凝固剤入り主原料を容器3内に入れることで、容器3の上部には、ヘッドスペース(主原料が不存在である空気層)13が確保される。
【0037】
原料入れ工程で、容器3内に入れるべき凝固剤入り主原料(凝固剤が添加された豆腐の主原料)の量は、たとえば、容器3の容積の60%〜80%の範囲内の所定量(たとえば70%)であることが望ましいが、上記範囲よりも広い範囲であってもよい。すなわち、容器3内に入れる凝固剤入り主原料の量が、容器3の容積の50%〜90%の範囲内であってもよいし、容器3の容積の45%〜98%の範囲内であってもよい。
【0038】
さらに、原料入れ工程で、容器3内に入れるべき凝固剤入り主原料の最大量を、蓋材7を容器3からはがして開封したときに、豆腐(凝固した主原料)5の一部が容器3からこぼれない量、もしくは、蓋材7を容器3からはがして開封しさらにソースを加えたときに、豆腐5やソースの一部が容器3からこぼれない量とすることができる。
【0039】
なお、凝固剤添加工程と原料入れ工程とは、いずれが先であってもよい。すなわち、上述したように、豆乳クリームと凝固剤とが予め混合されている凝固剤入り主原料を容器3に入れてもよいし、また、容器3内に豆乳クリームを入れた後に容器3内に凝固剤を入れて、豆乳クリームと凝固剤と混合してもよいし、また、容器3内に凝固剤を入れた後に、容器3内に豆乳クリームを入れて、豆乳クリームと凝固剤と混合してもよい。
【0040】
原料入れ工程で凝固剤入り主原料が容器3内に入れられた後、容器3の包装、すなわち、容器密閉工程がなされる(ステップS7)。容器密閉工程では、常温下、蓋材7で容器3が密閉される。これにより、容器3内にヘッドスペース13が設けられている豆腐原料入り容器29が生成される。
【0041】
加熱圧力調整工程では、容器密閉工程で容器3を密閉した後、容器3と蓋材7とともに凝固剤が添加された主原料(豆腐原料入り容器29)を加熱して、容器3内の主原料を凝固させて密閉された容器3内で豆腐5を生成するとともに、容器3内を殺菌する(ステップS9)。なお、必要に応じ、殺菌に代え、加熱圧力調整工程で容器3内を滅菌してもよい。これにより、容器入り豆腐1を常温で流通させることができる。
【0042】
また、加熱圧力調整工程では、上記加熱のときにおける容器3内の圧力の上昇(主に、ヘッドスペース13の空気の温度上昇による空気圧の上昇)に応じて、容器3の外部の圧力(空気圧)を調整する。
【0043】
たとえば、加熱圧力調整工程では、加熱による容器3内の温度の上昇に応じた容器3内の圧力の上昇に合わせて、容器3の外部の圧力を上昇させる。さらには、加熱圧力調整工程では、容器3内の圧力と容器3外の圧力との差が、容器3や蓋材7が、復元しない程度に変形してしまわないようにするために、容器3内の圧力と容器3外の圧力との差を所定の閾値内にしている。たとえば、加熱圧力調整工程では、容器3内の圧力と容器3外の圧力とが、お互いにほぼ等しくなるようにしている。
【0044】
冷却圧力調整工程では、加熱圧力調整工程で容器3内の主原料を凝固させた後、容器3と蓋材7とともに凝固剤が添加された凝固した主原料(豆腐)5を常温まで冷却し、この冷却のときにおける容器3内の圧力の降下に応じて、容器3の外部の圧力を調整する(ステップS11)。
【0045】
また、冷却圧力調整工程では、加熱圧力調整工程の場合と同様にして、たとえば、冷却による容器3内の温度の低下に応じた容器3内の圧力の降下に合わせて、容器3の外部の圧力を降下させる。
【0046】
なお、加熱圧力調整工程は、予めもとめておいた条件に従って、加熱と圧力の調整とを行うようになっており、また、冷却圧力調整工程も、予めもとめておいた条件に従って、冷却と圧力の調整とを行うようになっている。予めもとめておいた条件とは、容器3や蓋材7の変形を防止しつつ、豆腐原料入り容器29の豆腐原料が凝固・殺菌等することができる条件である。
【0047】
加熱圧力調整工程や冷却圧力調整工程における加熱や冷却は、容器入り豆腐(商品)1の品質に悪影響が出ない形態でなされる。たとえば、容器3内の豆腐5の食感が悪くならないように、また、容器3と蓋材7と容器3内の豆腐5の外観が悪化しないように、また、容器3と蓋材7とに変形が発生しないように、加熱における容器3等の昇温速度、加熱時間、冷却における容器3等の冷却速度(降温速度)が制御される。
【0048】
また、ヘッドスペース13の空気層が存在することで、容器入り豆腐1では、熱伝達率が充填豆腐に比べて低くなっており、従来の充填豆腐に比べて豆腐5の殺菌がしづらい。そこで、容器入り豆腐1の製造方法では、ヘッドスペース13の空気の膨張による容器3や蓋材7の変形・破袋を抑えながら殺菌温度帯まで芯温(容器3内の豆腐5の中心部の温度)を上げるように、容器3の外部に圧力を加えながら加熱殺菌している。
【0049】
また、ヘッドスペース13の空気層が存在することで、容器入り豆腐1では、豆腐5の芯温の上昇・降下が遅くなる。したがって、加熱から冷却への切り替え時、容器3内の豆腐5の周囲と芯温の温度差が激しくなり、容器3外部の圧力調整が難しい(丁度良い条件でなければ容器3や蓋材7の変形が生じる)。そこで、容器入り豆腐1の製造方法では、容器3や蓋材7の変形が生じない態様で、加熱圧力調整工程や冷却圧力調整工程における加熱や冷却を行う。
【0050】
容器入り豆腐1によれば、容器3内に凝固剤を添加した豆腐の主原料を入れ、容器3を蓋材7で密閉した後、容器3と蓋材7とともに凝固剤が添加された主原料を加熱しているので、密閉された容器3内での雑菌の繁殖を無くすことができる。
【0051】
また、容器入り豆腐1によれば、容器3内に凝固剤が添加された豆腐の主原料を容器の容積よりも少ない量入れ、容器3を蓋材7で密閉した後、容器3と蓋材7とともに凝固剤が添加された主原料を加熱して容器3内の主原料を凝固させ、加熱のときにおける容器3内の圧力の上昇に応じて容器3の外部の圧力を調整し、また、容器3内の主原料を凝固させた後、容器3と蓋材7とともに豆腐5を冷却し、この冷却のときにおける容器3内の圧力の降下に応じて、容器3の外部の圧力を調整するので、加熱や冷却による密閉された容器3内の圧力変化があっても容器3や蓋材7を変形させることなく、密閉された容器3内にヘッドスペース13を設けることができる。
【0052】
そして、容器3内にヘッドスペース13を設けることで、容器3内の豆腐5を容器3から取り出して別の容器に移し替える必要がなくなり、蓋材7を除いて容器3が開封された状態で、容器3からスプーンで直接掬う等して容器3内の豆腐5を、いつでもどこでも気軽におしゃれに食べることができる。さらに、ソース(たとえば蜂蜜)を容器3内の豆腐5にかけても、ヘッドスペース13が存在しているのでかけたソースが容器3から外にこぼれにくい。なお、ソースは、ジャム等の流動物を含むものとする。また、ソースに代えてもしくは加えて、コーンフレークやドライフルーツ等の固形物を、容器3内の豆腐5にかけた場合でも、かけた固形物等が容器3から外にこぼれにくい。
【0053】
また、容器入り豆腐1において、豆乳クリームや成分が調整された豆乳等の脂肪の率が高いものを主原料とすると、濃厚でなめらかでクリーミーな豆腐5を得ることができる。
【0054】
また、容器入り豆腐1によれば、加熱圧力調整工程や冷却圧力調整工程では、予めもとめておいた条件に従って、豆腐原料入り容器29の加熱や冷却と容器3外部の圧力の調整とを行うので、別途センサー等を設ける必要が無く、加熱圧力調整工程や冷却圧力調整工程を実行する装置の構成を簡素化することができる。
【0055】
次に、加熱圧力調整工程と、冷却圧力調整工程とを実行する豆腐製造装置31について、
図5を参照しつつ例示する。
【0056】
豆腐製造装置31は、筐体33と温度調整部35と圧力調整部37と制御部39とを備えて構成されている。
【0057】
筐体33は、筐体本体41とこの筐体本体41の開口部43を開閉自在な蓋45とを備えて構成されており、豆腐原料入り容器29を内部に入れることができるようになっている。蓋45が筐体本体41の開口部43を塞いだ状態では、筐体33内の空間47は密閉空間になる。
【0058】
温度調整部35は、蓋45が閉じられた状態で密閉されている筐体33内の空間47の温度を調節するようになっている。
【0059】
圧力調整部37は、蓋45が閉じられた状態で密閉されている筐体33内の空間47の圧力(筐体33の内部であって、筐体33の内にある豆腐原料入り容器29の外部の空気の圧力)を調節するようになっている。
【0060】
制御部39は、温度調整部35を制御して、豆腐原料入り容器29が筐体33内に入れられ蓋45が閉じられたときに、豆腐原料入り容器29内の凝固剤入り主原料を凝固させるために、筐体33内の温度を上昇させるようになっている。また、制御部39は、圧力調整部37を制御し、筐体33内の温度上昇に応じて、筐体33内の圧力(気圧)を上昇させるようになっている。
【0061】
さらに説明すると、温度調整部35は、たとえば、ジュール熱によって発熱するヒーターと、冷媒を用いて冷却するクーラーとを備えて構成されている。そして、ヒーターの発熱によって筐体33内の温度を上昇させ、クーラーでの冷却によって、筐体33内の温度を降下させることで、筐体33内の空間47の温度を調節するようになっている。なお、筐体33内の温度を自然冷却で低下させる場合には、クーラーは不要になる。
【0062】
圧力調整部37は、たとえば、モータで駆動する空気圧縮ポンプと圧力制御弁(比例電磁式圧力制御弁)とを備えて構成されている。そして、圧力制御弁の設定圧力を高めておいて空気圧縮ポンプによって圧縮空気を筐体33内に供給することで筐体33内の空気の圧力を上げ、圧力制御弁の設定圧力を低くすることで、筐体33内の空気の圧力を下げるようになっている。これにより、筐体33内の空気の圧力を調節するようになっている。
【0063】
制御部39は、CPU49とメモリ51とを備えて構成されている。そして予めメモリ51に格納されている動作プログラムにしたがって、温度調整部35と圧力調整部37とを、上述したように制御するのである。
【0064】
加熱圧力調整工程や冷却圧力調整工程で使用する予めもとめておいた条件は、たとえば、豆腐製造装置31を容器入り豆腐1の製造(量産)に使用する前に、豆腐製造装置31を用い、次のようにしてもとめられる。
【0065】
まず、容器入り豆腐1を量産する場合と同様にして、筐体33内に、豆腐原料入り容器29を複数個設置する。このとき、少なくとも1つの豆腐原料入り容器29の内部の圧力をセンサー(容器圧力センサー)で測定することができるようにするとともに、少なくとも1つの豆腐原料入り容器29の内部の温度をセンサー(容器温度センサー)で測定することができるようにする。また、豆腐原料入り容器29の外側で筐体33内の圧力をセンサー(筐体圧力センサー)で測定することができるようにする。
【0066】
続いて、筐体33の蓋45を閉じ、豆腐製造装置31を試し動作させる。すなわち、容器温度センサーで測定した温度を参照しつつ温度調整部35のヒーターで豆腐原料入り容器29や筐体33内を豆腐原料が凝固するまで加熱し(たとえば、最良の品質の豆腐5が得られる条件で加熱し)、この後、温度調整部35のクーラーで豆腐原料入り容器29や筐体33内を常温まで冷却する(たとえば、最良の品質の豆腐5が得られる条件で冷却する)。このときに、豆腐原料入り容器29の容器3内の圧力を、容器圧力センサーを用いて所定の短い時間間隔で測定するとともに、この測定結果に応じて、筐体圧力センサーで測定した圧力を参照しつつ、圧力調整部37で、豆腐原料入り容器29の外部における筐体33内の圧力を調整する(たとえば、容器3内の圧力と容器3の外部における筐体33内の圧力とがお互いにほぼ等しくなるようにする)。
【0067】
上記試し動作で使用した温度調整部35の出力の態様および圧力調整部37の動作の態様が、予めもとめておいた条件になる。