(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図4を参照して、第1実施形態を説明する。
【0011】
図1は、回路モジュール1の斜視図である。回路モジュール1は、回路基板2と、コネクタ3(電子部品)と、接着層4と、を備える。
【0012】
回路基板2は、絶縁基板5(基板)と、複数の導電パターン6と、を有する。絶縁基板5は、例えば、ガラスエポキシ樹脂や紙フェノール等によって形成されている。複数の導電パターン6は、絶縁基板5のコネクタ搭載面7に形成されている。複数の導電パターン6は、例えば、銅箔やアルミニウム箔等によって形成されている。
【0013】
コネクタ3は、ハウジング8と、複数の端子9と、を有する。ハウジング8は、絶縁樹脂によって形成されている。複数の端子9は、Cu系又はAu系の金属によって形成されている。本実施形態では、複数の端子9は、Cu系の金属によって形成されており、金メッキが施されている。
図2は、
図1のA部拡大図である。
図2に示すように、各端子9は、固定部10を有する。固定部10は、各端子9の先端部分である。固定部10の板厚方向は、絶縁基板5のコネクタ搭載面7に対して直交している。固定部10は、絶縁基板5のコネクタ搭載面7に対して平行な方向に細長く延びている。固定部10は、上面11(レーザ照射面)及び2つの側面12、下面13を有する。そして、各端子9の固定部10が、接着層4を介して各導電パターン6に固定されている。絶縁基板5と導電パターン6と接着層4と固定部10は、固定構造Eを構成する。
【0014】
接着層4は、ろう材Fによって形成されている。本実施形態において、接着層4を形成するろう材Fは、ハンダである。
【0015】
以下、
図3及び
図4を参照して、固定構造Eを詳しく説明する。
図3は、固定構造Eの一部切り欠き斜視図である。
図4は、固定構造Eの断面図である。
【0016】
図3及び
図4において、接着層4と導電パターン6は、濡れ現象(wetting phenomena)により相互に固定されている。接着層4と導電パターン6は、接着層4が溶融凝固したことにより、相互に固定されている。
【0017】
これに対し、接着層4と固定部10は、ろう材Fが絶縁基板5から離れるにつれて太くなるようにろう材Fが固定部10の内部で延びることにより、相互に固定されている。即ち、ろう材Fが、接着層4から固定部10の内部に突出し、固定部10の内部に存在するろう材Fは絶縁基板5から離れるにつれて太くなる。
【0018】
具体的には、固定部10には、コネクタ搭載面7に対して直交する方向において固定部10を貫通する貫通孔14が形成されている。
図4に示すように、貫通孔14は、上面11で開口する略円形の上開口15と、下面13で開口する略円形の下開口16を有する。上開口15の直径は、下開口16の直径よりも大きい。即ち、上開口15の開口面積は、下開口16の開口面積よりも大きい。従って、貫通孔14は、絶縁基板5から離れるにつれて広くなる。また、貫通孔14の内周面17は、内側に凸となるように湾曲している。即ち、固定構造Eの断面において、固定部10の内部で延びるろう材Fと固定部10との間の2つの境界線K(境界)は、内側に凸となるように湾曲している。固定構造Eの断面において、固定部10の貫通孔14内で延びるろう材Fと固定部10との間の2つの境界線K(境界)は、内側に凸となるように湾曲している。ろう材Fは、接着層4から上方に延びる。ろう材Fは、固定部10の貫通孔14を上下に貫通している。ろう材Fは、固定部10の上面11に露出している。ろう材Fは、固定部10の貫通孔14に充填されている。ろう材Fは、絶縁基板5から離れるにつれて太くなる。ろう材Fは、絶縁基板5に近づくにつれて狭くなる貫通孔14内で、絶縁基板5から離れるにつれて太くなるように延びている。これにより、固定部10と接着層4が相互に固定されている。
【0019】
なお、固定部10の下面13近傍には、端子9の金属成分と同一の金属成分を有する金属Gがろう材F内において僅かに不規則に存在している。
【0020】
以上に説明した第1実施形態は、以下の特長を有する。
【0021】
固定構造Eは、絶縁基板5(基板)と、絶縁基板5に形成された導電パターン6と、ろう材Fによって構成された接着層4と、端子9と、を備える。接着層4によって端子9が導電パターン6に固定されている。端子9と接着層4は、ろう材Fが絶縁基板5から離れるにつれて太くなるように端子9の内部で延びることにより、相互に固定されている。以上の構成によれば、端子9と接着層4が相互に強力に固定される。
【0022】
固定構造Eは、少なくとも、1つの絶縁基板5と、1つの導電パターン6と、1つの接着層4と、1つの端子9と、を含んで構成される。
【0023】
また、ろう材Fは、端子9を貫通し、端子9の上面11近傍に至っている。以上の構成によれば、端子9の上面11を上方から見てろう材Fを視認することで、端子9と接着層4が相互に固定されていることを確認することができる。
【0024】
また、
図4に示すように、端子9の内部で延びるろう材Fと端子9との境界線Kは湾曲している。以上の構成によれば、境界線Kが直線である場合と比較して、端子9と接着層4の接触面積が大きくなるので、端子9と接着層4が相互に更に強力に固定される。
【0025】
また、
図4に示すように、端子9の内部で延びるろう材Fと端子9との境界線Kは内側に凸となるように湾曲している。以上の構成によれば、境界線Kが外側に凸となるように湾曲している場合と比較して、貫通孔14の内部空間の体積が抑えられ、もって、ろう材Fの使用量を抑制することができる。
【0026】
なお、境界線Kは、実線のように見える場合もあれば、破線や点線、一点鎖線、二点鎖線のように見える場合もある。
【0027】
また、上記各実施形態において、固定部10には、コネクタ搭載面7に対して直交する方向において固定部10を貫通する貫通孔14が形成されているとした。しかし、これに代えて、貫通孔14は、コネクタ搭載面7に対して斜めの方向において固定部10を貫通するように形成されてもよい。
【0028】
(第2実施形態)
次に、
図5及び
図6を参照して、第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0029】
図3に示すように、上記第1実施形態において、ろう材Fは、端子9を貫通し、固定部10の上面11近傍に至っているとした。
【0030】
これに対し、本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、ろう材Fは、端子9を貫通し、固定部10の上面11上で略円形状に広がっている。具体的には、
図6に示すように、ろう材Fは、貫通孔14の上開口15の外側に至るまで略円形状に広がっている。そして、ろう材Fは、貫通孔14の上開口15の外側において固定部10の上面11に付着している。
【0031】
以上の構成によれば、端子9の上面11を上方から見てろう材Fを視認することで、端子9と接着層4が相互に固定されたことを確認することができる。また、端子9の上面11を上方から見たときのろう材Fの面積が上記第1実施形態のそれと比較して大きいので、端子9の上面11を上方から見てろう材Fを容易に視認することができる。更には、ろう材Fが固定部10の上面11で広がっているので、ろう材Fが固定部10の上面11で広がっていない上記第1実施形態と比較して、固定部10と接着層4が相互に更に強力に固定される。
【0032】
(第3実施形態)
次に、
図7及び
図8を参照して、第3実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0033】
図3に示すように、上記第1実施形態において、ろう材Fは、端子9を貫通し、固定部10の上面11近傍に至っているとした。
【0034】
これに対し、本実施形態では、
図7及び
図8に示すように、ろう材Fは、端子9を貫通し、固定部10の上面11上で略円形状に広がっている。具体的には、
図8に示すように、ろう材Fは、貫通孔14の上開口15の外側に至るまで略円形状に広がっており、2つの側面12に至っている。そして、ろう材Fは、貫通孔14の上開口15の外側において固定部10の上面11及び2つの側面12に付着している。
【0035】
以上の構成によれば、端子9の上面11を上方から見てろう材Fを視認することで、端子9と接着層4が相互に固定されたことを確認することができる。また、端子9の上面11を上方から見たときのろう材Fの面積が上記第1実施形態のそれと比較して大きいので、端子9の上面11を上方から見てろう材Fを容易に視認することができる。更には、ろう材Fが固定部10の上面11で広がっているので、ろう材Fが固定部10の上面11で広がっていない上記第1実施形態と比較して、固定部10と接着層4が相互に更に強力に固定される。
【0036】
(固定方法)
以下、
図9〜
図16を参照して、導電パターン6にろう材Fを介して端子9を固定する固定方法を説明する。
図9は、固定方法のフローチャートである。
図10〜
図16は、固定方法の各工程の様子を示す図である。
【0037】
図9に示すように、固定方法は、第1のステップ(S300)、第2のステップ(S310)、第3のステップ(S320)をこの順に含む。以下、第1のステップ(S300)、第2のステップ(S310)、第3のステップ(S320)を順に説明する。
【0038】
(第1のステップ:S300)
第1のステップでは、導電パターン6にろう材Fを配置する。具体的には、以下の通りである。
【0039】
図10に示すように、複数の導電パターン6が絶縁基板5のコネクタ搭載面7に形成されている。
図11に示すように、図示しないクリームハンダ印刷機が各導電パターン6上にクリームハンダCを塗布する。次に、回路基板2を図示しないリフロー炉に入れて、リフロー処理を実行する。これにより、
図12に示すように、導電パターン6上には、表面張力により若干丸みを帯びるように凝固したろう材Fが形成される。このとき、ろう材Fは導電パターン6を濡らしている。
【0040】
(第2のステップ:S310)
第2のステップでは、ろう材Fに各端子9を接触させる。具体的には、以下の通りである。
【0041】
図13に示すように、図示しない表面実装機が吸着ノズル18でコネクタ3を吸引保持し、コネクタ3を回路基板2上の所望の位置に配置する。具体的には、
図14に示すように、各端子9の固定部10が、ろう材Fと上下に対向し、ろう材Fと接触するように、表面実装機はコネクタ3を回路基板2上に配置する。このとき、表面実装機は、各端子9の固定部10をろう材Fに押し当てるように、コネクタ3を回路基板2上に配置する。各端子9の固定部10をろう材Fに押し当てると、各端子9は、上下方向に若干曲げ変形した状態となる。
【0042】
(第3のステップ:S320)
第3のステップでは、各端子9の固定部10にレーザLを照射することにより各端子9の固定部10に貫通孔14を形成する。具体的には、以下の通りである。
【0043】
図15に示すように、図示しないレーザ発振器は、各端子9の固定部10の上面11(レーザ照射面)にレーザLを照射する。各端子9の固定部10の上面11に照射されるレーザLの波長は、例えば600nm以下であることが好ましい。600nm以下の波長を有するレーザLは、Cu系又はAu系の金属に対する吸収率が高いので、各端子9を短時間で溶融させることができる。600nm以下の波長を有するレーザLとしては、例えば、YAGレーザの第2高調波(Second Harmonic)が挙げられる。YAGレーザの第2高調波の波長は、532nmである。YAGレーザの第2高調波に代えて、YAGレーザの第3高調波でもよいし、第4高調波を用いてもよい。YAGレーザに代えて、例えば、CO
2レーザ、エキシマレーザなどの他のレーザであってもよい。なお、レーザLの照射位置は、各端子9の固定部10とろう材Fと導電パターン6がレーザLの照射方向で重複した領域内である。
【0044】
各端子9の固定部10の上面11にレーザLを照射することで、各端子9の固定部10が局所的に気化し、
図16に示すように、各端子9の固定部10には上下に延びる貫通孔14(キーホール)が形成される。貫通孔14は、導電パターン6に近づくにつれて狭くなるように形成される。
【0045】
そして、レーザLの照射を終えると、
図3〜
図8に示すように、溶融したろう材Fが貫通孔14内に入り、ろう材Fが貫通孔14内で固化する。これにより、各端子9の固定部10とろう材Fが相互に固定される。レーザLの波長や照射時間等の照射条件は、
図3〜
図8に示すように、レーザLの照射により溶融したろう材Fが貫通孔14を通って貫通孔14の上開口15(上端)近傍に至るように設定するとよい。
【0046】
なお、溶融したろう材Fが貫通孔14内に入る原理としては、種々の原理が考えられるが、本願発明者らは、以下のように考えている。
【0047】
即ち、第1に、各端子9の固定部10にレーザLを照射すると、各端子9の固定部10が局所的に気化して貫通孔14が形成されると共に、ろう材F全体が一旦溶融状態となる。各端子9の固定部10にレーザLを照射する際、各端子9の固定部10はろう材Fに押し当てられた状態となっているので、一旦溶融状態となったろう材Fには、ろう材Fを圧縮するような外力が作用している。そして、この外力に起因して、溶融したろう材Fは貫通孔14内に押し退けられるように、貫通孔14内に押し込まれるように、貫通孔14内に入る。なお、各端子9の固定部10がろう材Fに押し当てられるとは、表面実装機や各端子9のバネ復元力で積極的に各端子9の固定部10をろう材Fに押し当てる場合と、コネクタ3の自重により各端子9の固定部10がろう材Fに押し当てられる場合と、の少なくとも何れか一方を含む。
【0048】
なお、第1のステップ(S300)で導電パターン6に配置したろう材Fの厚みは、メッキ処理で実現されるような0.1〜数マイクロメートル程度の厚みではなく、例えばリフロー処理などで実現されるような数十〜数百マイクロメートル程度の厚みとしている。このような厚みによって、各端子9にレーザLを照射することで各端子9に発生した熱が導電パターン6や絶縁基板5に拡散する前に、ろう材Fが溶融して各端子9の貫通孔14内に流入したものと推定している。
【0049】
第2に、レーザLの照射に伴って発生した貫通孔14に、溶けたろう材Fが吸い込まれる。
【0050】
上記固定方法は、以下の特長を有する。
【0051】
導電パターン6(固定対象物)にろう材Fを介して端子9を固定する固定方法は、導電パターン6にろう材Fを配置する、第1のステップ(S300)と、ろう材Fに端子9を接触させる、第2のステップ(S310)と、端子9にレーザLを照射することにより端子9に貫通孔14を形成する、第3のステップ(S320)と、を含む。第3のステップ(S320)において、レーザLの照射により溶融したろう材Fが貫通孔14を通って貫通孔14の上開口15(上端)近傍に至るように端子9にレーザLを照射する。以上の方法によれば、ろう材Fが貫通孔14に入ることで、端子9がろう材Fを介して導電パターン6に固定される。また、本願発明者らは、端子9とろう材Fとの間の固定は濡れ現象に依るものではないと考えている。従って、端子9とろう材Fとの間の固定が濡れ現象に依る場合と比較して、1端子あたりのレーザLの照射時間を短縮させることができる。また、以上の方法によれば、ろう材Fが貫通孔14の上開口15(上端)近傍に至っているので、端子9の上面11(レーザ照射面)を上方から見れば、端子9とろう材Fが相互に固定されているかを確認することができる。
【0052】
また、第3のステップ(S320)において、レーザLの照射により溶融したろう材Fが貫通孔14を通って貫通孔14の上開口15(上端)から溢れ出て端子9の上面11(レーザ照射面)上で広がるように端子9にレーザLを照射してもよい。以上の方法によれば、端子9の上面11(レーザ照射面)を上方から見たときに、端子9とろう材Fが相互に固定されているかを一層容易に確認することができる。更には、ろう材Fが固定部10の上面11で広がっているので、ろう材Fが固定部10の上面11で広がっていない場合と比較して、固定部10とろう材Fが相互に更に強力に固定される。
【0053】
また、第3のステップ(S320)において、端子9をろう材Fに押し当てながら端子9にレーザLを照射する。以上の方法によれば、第3のステップ(S320)において、端子9をろう材Fに押し当てずに端子9にレーザLを照射する場合と比較して、貫通孔14にろう材Fが入り易い。
【0054】
また、本実施形態において、ろう材Fは、ハンダである。第1のステップ(S300)において、導電パターン6にクリームハンダCを塗布した上でリフロー処理を実行することで、導電パターン6にろう材Fを配置する。即ち、リフロー処理は、回路基板2に他の部品を表面実装するために一度は実行される。従って、導電パターン6にろう材Fを配置するに際し、リフロー処理を利用することで、回路モジュール1の製造工程を簡素にすることができる。
【0055】
また、端子9は、Cu系又はAu系の金属である。ろう材Fは、ハンダである。以上の方法によれば、端子9とろう材Fの色が大きく異なるので、端子9の上面11(レーザ照射面)を上方から見たときに、端子9とろう材Fを容易に区別して認識することができる。
【0056】
なお、上記実施形態において、ろう材Fは、ハンダであるとし、ハンダは軟鑞である。しかし、これに代えて、ろう材Fは例えば銀鑞・金鑞・銅鑞・黄銅鑞などの硬鑞であってもよい。
【0057】
(実施例)
以下、実施例を説明する。
【0058】
以下の条件で、回路モジュール1を製造した。
・絶縁基板5:ガラスエポキシ樹脂製
・導電パターン6:銅箔(厚み18マイクロメートル)
・ろう材F:SnAgCu系やSnZnBi系の鉛フリーはんだ(厚み100マイクロメートル)
・端子9:金メッキされたCu系の金属(厚み80マイクロメートル)
・レーザL:YAGレーザの第2高調波(波長:532nm)
・レーザ照射のエネルギー密度:19.1J/mm
2
・レーザ照射時、各端子9が若干曲げ変形する程度に、各端子9の固定部10をろう材Fに押し当てることにした。
【0059】
上記条件下で回路モジュール1を製造したところ、
図3、
図5、
図7に示されるような固定構造Eが形成された。
【0060】
上記の各実施形態は、以下のように変更できる。
【0061】
上記各実施形態では、回路基板2にコネクタ3を実装しているが、これに代えて、回路基板2にFPIC(Flat Package Integrated Circuit)を実装してもよい。この場合、コネクタ3のハウジング8はFPICの封止樹脂に対応し、コネクタ3の複数の端子9はFPICが有する複数のリードフレームに対応する。
【0062】
上記第3のステップ(S320)において、表面実装機が各端子9の固定部10をろう材Fに押し当てつつ、レーザLを各端子9の固定部10に照射している。しかしながら、各端子9の固定部10をろう材Fに押し当てる手段はこれに限定されない。例えば、コネクタ3が、回路基板2の第1の面に接触する第1端子と、回路基板2の第1の面と反対の第2の面に接触する第2端子とを有し、第1端子と第2端子の弾性復元力により、第1端子と第2端子が回路基板2を弾性的に挟み込む構成を採用することができる。また、各端子9の固定部10にレーザLを照射する際、各端子9の固定部10の板厚方向が回路基板2の絶縁基板5のコネクタ搭載面7に対して厳密に直交している必要はなく、各端子9の固定部10は回路基板2に対して若干傾斜していてもよい。各端子9の固定部10をろう材Fと単に対向させつつ、各端子9の固定部10に対してレーザLを照射するようにしてもよい。
【0063】
(第4実施形態)
以下、
図17〜
図23を参照して、第4実施形態を説明する。
【0064】
図17に示すように、ハーネス30は、コネクタ31と、2つの電線32と、を備える。
【0065】
図18に示すように、コネクタ31は、2つの端子33と、ハウジングS(固定構造本体)と、を有する。ハウジングSは、端子保持体34と、電線保持体35と、を有する。
【0066】
図19に示すように、端子保持体34は、2つの端子33を保持する部分である。端子保持体34は、略直方体状の嵌合部36と、2つの後方突出部37と(
図17を併せて参照)、連結梁38と、を有する。嵌合部36は、相手コネクタと嵌合する部分である。嵌合部36の正面36Aには、2つの嵌合窪み39が形成されている。2つの後方突出部37は、嵌合部36の背面36Bから後方に突出して形成されている。2つの後方突出部37は、左右に離れて配置されている。各後方突出部37の内面37Aには、ロック窪み40が形成されている。連結梁38は、各後方突出部37の後端部37Bの上端部37C同士を連結している。連結梁38は、下面38Aを有する。端子保持体34は、絶縁樹脂によって形成されている。
【0067】
各端子33は、前後に細長く延びている。各端子33は、インサート成形により端子保持体34に保持されている。各端子33は、嵌合窪み39内に突出する接触部33Aと、端子保持体34内に埋められている埋部33Fと、背面36Bから後方に突出する固定部33Bと、を有する。固定部33Bは、上面33C及び下面33D(固定面)、2つの側面33Eを有する。各端子33は、Cu系又はAu系の金属によって形成されている。本実施形態では、各端子33は、Cu系の金属によって形成されており、金メッキが施されている。
【0068】
図20に示すように、各電線32は、導体41と、導体41を被覆する絶縁被覆42と、を有する。導体41は、例えばCu系又はAl系の金属によって形成されており、単線又は撚り線である。本実施形態では、導体41は、Cu系の金属であって、撚り線として構成されている。導体41は、絶縁被覆42を部分的に除去することで、所定長露出している。
図20に示すように、各電線32の導体41には、ろう材Fが濡れ現象により付着している。
【0069】
電線保持体35は、2つの電線32を保持する部分である。電線保持体35は、上面35A、下面35B、正面35C、背面35D、2つの側面35Eを有する。2つの側面35Eは互いに平行である。下面35Bには、前後に延びる2つの電線保持溝43が形成されている。各電線保持溝43は、各電線保持溝43内に収容した各電線32が各電線保持溝43から抜け落ちないように、断面略オーム状に形成されている。即ち、各電線32を各電線保持溝43に挿入すると各電線32は電線保持体35によって保持される。各側面35Eには、ロック爪44が形成されている。電線保持体35は、例えばナイロン系、ポリエステル系などの柔軟性を有する絶縁樹脂によって形成されている。
【0070】
以上の構成で、
図20の矢印Pの向きで各電線32を各電線保持溝43に挿入し、
図19の矢印Qの向きで電線保持体35を端子保持体34の2つの後方突出部37の間に挿入する。すると、電線保持体35の上面35Aが端子保持体34の連結梁38の下面38Aと対向し、電線保持体35の2つの側面35Eが端子保持体34の2つの後方突出部37の内面37Aと夫々対向し、電線保持体35の2つのロック爪44が端子保持体34の2つのロック窪み40に夫々引っ掛かり、もって、電線保持体35が端子保持体34と嵌合し、電線保持体35が端子保持体34によって保持される。ロック爪44の代わりに、端子保持体34へ嵌合後に電線保持体35の抜けを規制するような嵌め込み機構を設けてもよい。
【0071】
図21は、
図18のC部拡大図を示している。
図21に示すように、各端子33の固定部33Bは、ろう材Fを介して各電線32の導体41に固定されている。導体41を有する1つの電線32と、導体41を濡らしているろう材Fと、1つの端子33の固定部33Bは、固定構造Eを構成する。本実施形態において、ろう材Fは、ハンダである。
【0072】
以下、
図22及び
図23を参照して、固定構造Eを詳しく説明する。
図22は、固定構造Eの一部切り欠き斜視図である。
図23は、固定構造Eの断面図である。
【0073】
図22及び
図23に示すように、導体41は、固定部33Bの下面33Dに対向している。導体41は、前後方向に延びている。従って、端子33の長手方向と導体41の長手方向は互いに平行である。
【0074】
ろう材Fと導体41は、濡れ現象(wetting phenomena)により相互に固定されている。ろう材Fと導体41は、ろう材Fが溶融凝固したことにより、相互に固定されている。
【0075】
これに対し、ろう材Fと固定部33Bは、ろう材Fが導体41の中心軸41Cから離れるにつれて太くなるようにろう材Fが固定部33Bの内部で延びることにより、相互に固定されている。固定部33Bの内部に存在するろう材Fは導体41の中心軸41Cから離れるにつれて太くなる。
【0076】
具体的には、固定部33Bには、下面33Dに対して直交する方向において固定部33Bを貫通する貫通孔45が形成されている。
図23に示すように、貫通孔45は、上面33Cで開口する略円形の上開口46(上端)と、下面33Dで開口する略円形の下開口47を有する。上開口46の直径は、下開口47の直径よりも大きい。即ち、上開口46の開口面積は、下開口47の開口面積よりも大きい。従って、貫通孔45は、導体41の中心軸41Cから離れるにつれて広くなる。また、貫通孔45の内周面48は、内側に凸となるように湾曲している。即ち、固定構造Eの断面において、固定部33Bの内部で延びるろう材Fと固定部33Bとの間の2つの境界線K(境界)は、内側に凸となるように湾曲している。ろう材Fは、固定部33Bの貫通孔45を上下に貫通している。ろう材Fは、固定部33Bの上面33Cに露出している。ろう材Fは、固定部33Bの貫通孔45に充填されている。ろう材Fは、導体41の中心軸41Cから離れるにつれて太くなる。ろう材Fは、導体41の中心軸41Cに近づくにつれて狭くなる貫通孔45内で、導体41の中心軸41Cから離れるにつれて太くなるように延びている。これにより、固定部33Bとろう材Fが相互に固定されている。
【0077】
なお、固定部33Bの下面33D近傍には、端子33の金属成分と同一の金属成分を有する金属Gがろう材F内において僅かに不規則に存在している。
【0078】
以上に説明した第4実施形態は、以下の特長を有する。
【0079】
固定構造Eは、導体41を有する電線32と、導体41を濡らしているろう材Fと、端子33と、を備える。ろう材Fによって端子33が導体41に固定されている。端子33とろう材Fは、ろう材Fが導体41の中心軸41Cから離れるにつれて太くなるように端子33の内部で延びることにより、相互に固定されている。以上の構成によれば、端子33とろう材Fが相互に強力に固定される。
【0080】
固定構造Eは、少なくとも、導体41を有する1つの電線32と、ろう材Fと、1つの端子33と、を含んで構成される。
【0081】
また、ろう材Fは、端子33を貫通し、端子33の上面33C近傍に至っている。以上の構成によれば、端子33の上面33Cを上方から見てろう材Fを視認することで、端子33とろう材Fが相互に固定されていることを確認することができる。
【0082】
また、
図23に示すように、端子33の内部で延びるろう材Fと端子33との境界線Kは湾曲している。以上の構成によれば、境界線Kが直線である場合と比較して、端子33とろう材Fの接触面積が大きくなるので、端子33とろう材Fが相互に更に強力に固定される。
【0083】
また、
図23に示すように、端子33の内部で延びるろう材Fと端子33との境界線Kは内側に凸となるように湾曲している。以上の構成によれば、境界線Kが外側に凸となるように湾曲している場合と比較して、貫通孔45の内部空間の体積が抑えられ、もって、ろう材Fの使用量を抑制することができる。
【0084】
なお、境界線Kは、実線のように見える場合もあれば、破線や点線、一点鎖線、二点鎖線のように見える場合もある。
【0085】
また、固定構造Eは、2つの電線32を保持する電線保持体35と、2つの端子33を保持する端子保持体34と、を有するハウジングS(固定構造本体)を更に備える。電線保持体35と端子保持体34は互いに嵌合している。以上の構成によれば、端子33と導体41を相互に固定するに際し、導体41を端子33に対して精度よく位置決めすることができる。
【0086】
また、上記各実施形態において、固定部33Bには、下面33Dに対して直交する方向において固定部33Bを貫通する貫通孔45が形成されているとした。しかし、これに代えて、貫通孔45は、下面33Dに対して斜めの方向において固定部33Bを貫通するように形成されてもよい。
【0087】
(第5実施形態)
次に、
図24及び
図25を参照して、第5実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第4実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0088】
図23に示すように、上記第4実施形態において、ろう材Fは、端子33を貫通し、固定部33Bの上面33C近傍に至っているとした。
【0089】
これに対し、本実施形態では、
図24及び
図25に示すように、ろう材Fは、端子33を貫通し、固定部33Bの上面33C上で略円形状に広がっている。具体的には、
図25に示すように、ろう材Fは、貫通孔45の上開口46の外側に至るまで略円形状に広がっている。そして、ろう材Fは、貫通孔45の上開口46の外側において固定部33Bの上面33Cに付着している。
【0090】
以上の構成によれば、端子33の上面33Cを上方から見てろう材Fを視認することで、端子33とろう材Fが相互に固定されたことを確認することができる。また、端子33の上面33Cを上方から見たときのろう材Fの面積が上記第4実施形態のそれと比較して大きいので、端子33の上面33Cを上方から見てろう材Fを容易に視認することができる。更には、ろう材Fが固定部33Bの上面33Cで広がっているので、ろう材Fが固定部33Bの上面33Cで広がっていない上記第4実施形態と比較して、固定部33Bとろう材Fが相互に更に強力に固定される。
【0091】
(第6実施形態)
次に、
図26及び
図27を参照して、第6実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第4実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0092】
図23に示すように、上記第4実施形態において、ろう材Fは、端子33を貫通し、固定部33Bの上面33C近傍に至っているとした。
【0093】
これに対し、本実施形態では、
図26及び
図27に示すように、ろう材Fは、端子33を貫通し、固定部33Bの上面33C上で略円形状に広がっている。具体的には、
図27に示すように、ろう材Fは、貫通孔45の上開口46の外側に至るまで略円形状に広がっており、2つの側面33Eに至っている。そして、ろう材Fは、貫通孔45の上開口46の外側において固定部33Bの上面33C及び2つの側面33Eに付着している。
【0094】
以上の構成によれば、端子33の上面33Cを上方から見てろう材Fを視認することで、端子33とろう材Fが相互に固定されたことを確認することができる。また、端子33の上面33Cを上方から見たときのろう材Fの面積が上記第4実施形態のそれと比較して大きいので、端子33の上面33Cを上方から見てろう材Fを容易に視認することができる。更には、ろう材Fが固定部33Bの上面33Cで広がっているので、ろう材Fが固定部33Bの上面33Cで広がっていない上記第4実施形態と比較して、固定部33Bとろう材Fが相互に更に強力に固定される。
【0095】
(固定方法)
以下、
図28〜
図30を参照して、電線32の導体41にろう材Fを介して端子33を固定する固定方法を説明する。
図28は、固定方法のフローチャートである。
図29及び
図30は、固定方法の各工程の様子を示す図である。
【0096】
図28に示すように、固定方法は、第1のステップ(S400)、第2のステップ(S410)、第3のステップ(S420)をこの順に含む。以下、第1のステップ(S400)、第2のステップ(S410)、第3のステップ(S420)を順に説明する。
【0097】
(第1のステップ:S400)
第1のステップでは、導体41にろう材Fを配置する。具体的には、導体41をろう材Fで濡らすことで、導体41にろう材Fを配置する。
【0098】
(第2のステップ:S410)
第2のステップでは、ろう材Fに端子33を接触させる。具体的には、以下の通りである。
【0099】
即ち、
図19の矢印Qの向きで、電線保持体35と端子保持体34を互いに嵌合させることにより、ろう材Fに端子33を接触させる。このとき、導体41の僅かな曲げ変形を伴ってろう材Fは端子33に押し当てられる。
【0100】
(第3のステップ:S420)
第3のステップでは、各端子33の固定部33BにレーザLを照射することにより各端子33の固定部33Bに貫通孔45を形成する。具体的には、以下の通りである。
【0101】
即ち、
図29に示すように、図示しないレーザ発振器は、各端子33の固定部33Bの上面33C(レーザ照射面)にレーザLを照射する。各端子33の固定部33Bの上面33Cに照射されるレーザLの波長は、例えば600nm以下であることが好ましい。600nm以下の波長を有するレーザLは、Cu系又はAu系の金属に対する吸収率が高いので、各端子33を短時間で溶融させることができる。600nm以下の波長を有するレーザLとしては、例えば、YAGレーザの第2高調波(Second Harmonic)が挙げられる。YAGレーザの第2高調波の波長は、532nmである。YAGレーザの第2高調波に代えて、YAGレーザの第3高調波でもよいし、第4高調波を用いてもよい。YAGレーザに代えて、例えば、CO
2レーザ、エキシマレーザなどの他のレーザであってもよい。なお、レーザLの照射位置は、各端子33の固定部33Bと、導体41に配置されたろう材Fと、導体41と、がレーザLの照射方向で重複した領域内である。
【0102】
各端子33の固定部33Bの上面33CにレーザLを照射することで、各端子33の固定部33Bが局所的に気化し、
図30に示すように、各端子33の固定部33Bには上下に延びる貫通孔45(キーホール)が形成される。貫通孔45は、導体41の中心軸41Cに近づくにつれて狭くなるように形成される。
【0103】
そして、レーザLの照射を終えると、
図22〜
図27に示すように、溶融したろう材Fが貫通孔45内に入り、ろう材Fが貫通孔45内で固化する。これにより、各端子33の固定部33Bとろう材Fが相互に固定される。レーザLの波長や照射時間等の照射条件は、
図22〜
図27に示すように、レーザLの照射により溶融したろう材Fが貫通孔45を通って貫通孔45の上開口46(上端)近傍に至るように設定するとよい。
【0104】
なお、溶融したろう材Fが貫通孔45内に入る原理としては、種々の原理が考えられるが、本願発明者らは、以下のように考えている。
【0105】
即ち、第1に、各端子33の固定部33BにレーザLを照射すると、各端子33の固定部33Bが局所的に気化して貫通孔45が形成されると共に、ろう材F全体が一旦溶融状態となる。各端子33の固定部33BにレーザLを照射する際、各端子33の固定部33Bはろう材Fに押し当てられた状態となっているので、一旦溶融状態となったろう材Fには、ろう材Fを圧縮するような外力が作用している。そして、この外力に起因して、溶融したろう材Fは貫通孔45内に押し退けられるように、貫通孔45内に押し込まれるように、貫通孔45内に入る。
【0106】
なお、第1のステップ(S400)で導体41に配置したろう材Fの厚みは、メッキ処理で実現されるような0.1〜数マイクロメートル程度の厚みではなく、例えばリフロー処理などで実現されるような数十〜数百マイクロメートル程度の厚みとしている。このような厚みによって、各端子33にレーザLを照射することで各端子33に発生した熱が導体41に拡散する前に、ろう材Fが溶融して各端子33の貫通孔45内に流入したものと推定している。
【0107】
第2に、レーザLの照射に伴って発生した貫通孔45に、溶けたろう材Fが吸い込まれる。
【0108】
上記固定方法は、以下の特長を有する。
【0109】
導体41(固定対象物)にろう材Fを介して端子33を固定する固定方法は、導体41にろう材Fを配置する、第1のステップ(S400)と、ろう材Fに端子33を接触させる、第2のステップ(S410)と、端子33にレーザLを照射することにより端子33に貫通孔45を形成する、第3のステップ(S420)と、を含む。第3のステップ(S420)において、レーザLの照射により溶融したろう材Fが貫通孔45を通って貫通孔45の上開口46(上端)近傍に至るように端子33にレーザLを照射する。以上の方法によれば、ろう材Fが貫通孔45に入ることで、端子33がろう材Fを介して導体41に固定される。また、本願発明者らは、端子33とろう材Fとの間の固定は濡れ現象に依るものではないと考えている。従って、端子33とろう材Fとの間の固定が濡れ現象に依る場合と比較して、1端子あたりのレーザLの照射時間を短縮させることができる。また、以上の方法によれば、ろう材Fが貫通孔45の上開口46(上端)近傍に至っているので、端子33の上面33C(レーザ照射面)を上方から見れば、端子33とろう材Fが相互に固定されているかを確認することができる。
【0110】
また、第3のステップ(S420)において、レーザLの照射により溶融したろう材Fが貫通孔45を通って貫通孔45の上開口46(上端)から溢れ出て端子33の上面33C(レーザ照射面)上で広がるように端子33にレーザLを照射してもよい。以上の方法によれば、端子33の上面33C(レーザ照射面)を上方から見たときに、端子33とろう材Fが相互に固定されているかを一層容易に確認することができる。更には、ろう材Fが固定部33Bの上面33Cで広がっているので、ろう材Fが固定部33Bの上面33Cで広がっていない場合と比較して、固定部33Bとろう材Fが相互に更に強力に固定される。
【0111】
また、第3のステップ(S420)において、端子33をろう材Fに押し当てながら端子33にレーザLを照射する。以上の方法によれば、第3のステップ(S420)において、端子33をろう材Fに押し当てずに端子33にレーザLを照射する場合と比較して、貫通孔45にろう材Fが入り易い。
【0112】
また、本実施形態において、ろう材Fは、ハンダである。第1のステップ(S400)において、導体41をハンダで濡らすことで、導体41にろう材Fを配置することができる。
【0113】
また、端子33は、Cu系又はAu系の金属である。ろう材Fは、ハンダである。以上の方法によれば、端子33とろう材Fの色が大きく異なるので、端子33の上面33C(レーザ照射面)を上方から見たときに、端子33とろう材Fを容易に区別して認識することができる。
【0114】
また、第2のステップ(S410)において、電線32を保持する電線保持体35と端子33を保持する端子保持体34を互いに嵌合させることで、ろう材Fに端子33を接触させる。以上の方法によれば、簡単な操作で、ろう材Fを端子33に接触させることができる。
【0115】
また、第2のステップ(S410)において、電線32を保持する電線保持体35と端子33を保持する端子保持体34を互いに嵌合させることで、導体41の曲げ変形を伴いながら、ろう材Fに端子33を接触させる。以上の方法によれば、簡単な操作で、ろう材Fを端子33に接触させることができる。また、ろう材Fと端子33との安定した接触が実現される。
【0116】
なお、上記実施形態では、第2のステップ(S410)において、電線32を保持する電線保持体35と端子33を保持する端子保持体34を互いに嵌合させることで、導体41の曲げ変形を伴いながら、ろう材Fに端子33を接触させることとした。しかし、これに代えて、第2のステップ(S410)において、電線32を保持する電線保持体35と端子33を保持する端子保持体34を互いに嵌合させることで、端子33の曲げ変形を伴いながら、ろう材Fに端子33を接触させるようにしてもよい。勿論、第2のステップ(S410)において、電線32を保持する電線保持体35と端子33を保持する端子保持体34を互いに嵌合させることで、導体41及び端子33の両方の曲げ変形を伴いながら、ろう材Fに端子33を接触させるようにしてもよい。
【0117】
なお、上記実施形態において、ろう材Fは、ハンダであるとし、ハンダは軟鑞である。しかし、これに代えて、ろう材Fは例えば銀鑞・金鑞・銅鑞・黄銅鑞などの硬鑞であってもよい。
【0118】
(第1変形例)
以下、
図31を参照して、第1変形例を説明する。以下、本変形例が上記第4実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0119】
上記第4実施形態では、端子33の固定部33Bの上面33CにレーザLを照射するに際し、レーザLの照射位置は1つとした。従って、
図21に示すように、上面33Cには、ろう材Fが1つの円となって現れている。
【0120】
これに対し、本変形例では、
図31に示すように、異なる複数の位置にレーザLを照射してもよい。レーザLの照射位置は、何れも、各端子33の固定部33Bとろう材Fと導体41がレーザLの照射方向で重複した領域内である。従って、
図31に示すように、上面33Cには、ろう材Fが、互いに部分的に重なり合う複数の円となって現れている。なお、レーザLの照射する位置を一定の速度で直線的に移動させた場合は、上面33Cには、ろう材Fが、楕円形や長丸形となって現れることになる。
【0121】
(第2変形例)
以下、
図32を参照して、第2変形例を説明する。以下、本変形例が上記第4実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0122】
例えば
図20に示すように、上記第4実施形態において、電線保持体35の2つの側面35Eは互いに平行であるとした。
【0123】
これに対し、本変形例では、
図32に示すように、2つの側面35Eは、電線保持体35を端子保持体34へ取り付ける方向に向かって互いに近付くように傾斜している。以上の構成によれば、電線保持体35を端子保持体34の2つの後方突出部37の間に挿入し易くなる。
【0124】
なお、本変形例のように、2つの側面35Eを傾斜させた場合は、
図19に示す2つの後方突出部37の内面37Aも同様に、電線保持体35を端子保持体34へ取り付ける方向に向かって互いに近付くように傾斜させることが好ましい。
【0125】
(第3変形例)
以下、
図33を参照して、第3変形例を説明する。以下、本変形例が上記第4実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0126】
例えば、
図20に示すように、上記第4実施形態において、電線保持体35の下面35Bに2つの電線保持溝43を形成し、2つの電線保持溝43に2つの電線32を矢印Pの向きで夫々取り付けることとした。
【0127】
これに対し、本変形例では、
図33に示すように、電線保持体35に2つの電線保持溝43を形成することに代えて、電線保持体35に2つの電線保持孔49を形成することとしている。各電線保持孔49は、前後に延びており、正面35C及び背面35Dに開口している。以上の構成によっても、電線保持体35に2つの電線32を安定して保持させることができる。
【0128】
(第4変形例)
以下、
図34を参照して、第4変形例を説明する。以下、本変形例が上記第4実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0129】
例えば、
図20に示すように、上記第4実施形態において、電線保持体35の下面35Bに2つの電線保持溝43を形成し、2つの電線保持溝43に2つの電線32を矢印Pの向きで夫々取り付けることとした。
【0130】
これに対し、本変形例では、
図34に示すように、電線保持体35の上面35Aに2つの電線保持溝43を形成し、2つの電線保持溝43に2つの電線32を夫々取り付けることとした。以上の構成によれば、電線保持体35を端子保持体34に取り付けた状態で、2つの電線保持溝43が端子保持体34の連結梁38によって閉塞されることになる。従って、各電線32が各電線保持溝43から外れることを効果的に防止することができる。
【0131】
(第5変形例)
以下、
図35を参照して、第5変形例を説明する。以下、本変形例が上記第4実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0132】
例えば
図19に示すように、上記第4実施形態において、固定部33Bは、端子保持体34によって片持ち梁状に保持されている。
【0133】
これに対し、本変形例では、
図35に示すように、固定部33Bは、ハウジングSによって両端支持されている。即ち、本変形例において、各端子33は、後方保持部33Gを更に有する。後方保持部33Gは、固定部33Bから後方に延びて形成されている。固定部33Bは、埋部33Fと後方保持部33Gの間に位置している。後方保持部33Gは、連結梁38と電線保持体35によって上下に挟まれることで、ハウジングSに保持されている。従って、固定部33Bは、端子保持体34に保持される埋部33Fと、ハウジングSによって保持される後方保持部33Gと、の間に位置することで、ハウジングSによって両端支持されている。即ち、端子33は、導体41に接続固定される部分としての固定部33Bを挟む2箇所においてハウジングS(固定構造本体)に支持されている。以上の構成によれば、端子33の意図しない変形を防止することができる。
【0134】
なお、本変形例では、固定部33Bをろう材Fに接触させるために、端子33は、更に、固定部33Bと後方保持部33Gを連結する傾斜部33Jと、固定部33Bと埋部33Fを連結する傾斜部33Kを有する。傾斜部33Jと傾斜部33Kの存在によれば、固定部33Bの高さを自由に調整することができる。
【0135】
なお、端子33の固定部33BにレーザLを照射する際は、ろう材Fの下側にろう材Fを支持する支持台を設置してもよい。
【0136】
(第6変形例)
以下、
図36を参照して、第6変形例を説明する。以下、本変形例が上記第4実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0137】
図36に示すように、本変形例では、電線保持体35を端子保持体34に嵌合させると、ろう材Fが端子33の固定部33Bの下面33D(固定面)に押し付けられるように、端子保持体34の電線保持体35に対する合わせ面である下面38Aが下面33Dに対して傾斜している。以上の構成によれば、端子保持体34や電線保持体35に多少の加工誤差があっても、電線保持体35と端子保持体34を互いに嵌合させるだけで、導体41の曲げ変形を伴いながら、ろう材Fに端子33を確実に接触させることができる。