(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554023
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】内部冷却ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 7/42 20060101AFI20190722BHJP
H01B 9/00 20060101ALI20190722BHJP
【FI】
H01B7/42 C
H01B9/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-225853(P2015-225853)
(22)【出願日】2015年11月18日
(65)【公開番号】特開2017-97965(P2017-97965A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】306013120
【氏名又は名称】昭和電線ケーブルシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】服部 真季
(72)【発明者】
【氏名】大石 智雄
(72)【発明者】
【氏名】大根田 進
(72)【発明者】
【氏名】片野 勤
(72)【発明者】
【氏名】野中 健司
【審査官】
神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−164478(JP,A)
【文献】
特開2011−076843(JP,A)
【文献】
特表2014−505325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/42
H01B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流が流れる電力線を含むケーブルコアと、前記ケーブルコアを冷却する冷媒が流通する第1の冷媒用通路と、を有する第1のケーブル部と、
前記第1の冷媒用通路に連通する第2の冷媒用通路を有し、長手方向に沿って前記第1のケーブル部に並設される第2のケーブル部と、を備え、
前記第1のケーブル部と前記第2のケーブル部は、押出成形により一体的に形成され、互いに連結された8字状の断面形状を有しており、
前記電力線は、導体を絶縁体で被覆した構成を有しており、
前記ケーブルコアは、前記第1の冷媒用通路内に配置されていることを特徴とする内部冷却ケーブル。
【請求項2】
前記第1の冷媒用通路及び前記第2の冷媒用通路は、パイプで形成されることを特徴とする請求項1に記載の内部冷却ケーブル。
【請求項3】
前記第2の冷媒用通路は、循環装置から送出される低温の冷媒が流通する冷媒用往路であり、
前記第1の冷媒用通路は、前記第2の冷媒用通路を流れる冷媒が循環して戻る冷媒用復路であることを特徴とする請求項1または2に記載の内部冷却ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒を流通させることによってケーブル内部を冷却可能な内部冷却ケーブルに関し、特に、電気自動車の急速充電用ケーブルに好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車(EV:Electric Vehicle)の普及に伴い、急速充電器の開発がさかんに行われている。急速充電器は、交流電力を直流電力に変換する電源ユニット、及び電源ユニットと電気自動車を接続する充電用ケーブルを備え、電気自動車に搭載されているバッテリーを直接充電する設備である。現状、50kWタイプ(125A)の急速充電器が実用化されているが、充電時間をさらに短縮すべく、大電流に耐えうる充電用ケーブル、すなわち許容電流値の大きい充電用ケーブルの開発が行われている。
【0003】
充電用ケーブルのケーブル導体では、ケーブル導体の電気抵抗によって通電時に発熱が生じ、この熱は、ケーブルを劣化させる要因となる。そのため、過大な発熱が生じないように、許容電流値が定められ、流すことができる電流値が制限されている。通常、ケーブル導体における発熱を抑制するためには、導体サイズを大きくして、電気抵抗を小さくすることが行われる。しかしながら、導体サイズが大きくなると、当然に重量も重くなるため、充電用ケーブルのように取り回し性が重視される用途においては好ましくない。
【0004】
そこで、低温冷媒が流通する冷媒用往路、及びケーブル導体の発熱によって暖められた高温冷媒が流通する冷媒用復路を備え、冷媒を循環させることによりケーブル導体を冷却する内部冷却ケーブルが提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1に開示される内部冷却ケーブルでは、冷媒用往路(往路用通路6)がケーブル内部に配置され、冷媒用復路(復路用通路10)がケーブル外周面に螺旋状に、又は長手方向に沿って配置されている。このように、冷媒用往路と冷媒用復路を分離して配置することにより、ケーブル導体の冷却効率を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−133058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される充電用ケーブルにおいては、冷媒用往路を含む第1のケーブル部と冷媒用復路を含む第2のケーブル部が、それぞれ、独立して製造された後、連結される。具体的には、第1のケーブル部の外周面に第2のケーブル部を螺旋状に巻き付けたり、第2のケーブル部を平行に沿わせた状態でクランプ部材を取り付けたりすることにより、連結される。すなわち、第1のケーブル部と第2のケーブル部を連結する工程が必要となるため、生産性がよいとはいえない。
【0007】
本発明の目的は、生産性に優れ、大電流が要求される用途に好適な内部冷却ケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る内部冷却ケーブルは、電流が流れる電力線を含むケーブルコアと、前記ケーブルコアを冷却する冷媒が流通する第1の冷媒用通路と、を有する第1のケーブル部と、
前記第1の冷媒用通路に連通する第2の冷媒用通路を有し、長手方向に沿って前記第1のケーブル部に並設される第2のケーブル部と、を備え、
前記第1のケーブル部と前記第2のケーブル部は、押出成形により一体的に形成さ
れ、互いに連結された8字状の断面形状を有しており、
前記電力線は、導体を絶縁体で被覆した構成を有しており、
前記ケーブルコアは、前記第1の冷媒用通路内に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る内部冷却ケーブルは、第1のケーブル部と第2のケーブル部が押出成形により一体的に形成されるので、生産性に優れ、大電流が要求される急速充電などの用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る充電用ケーブルを適用した急速充電器を示す図である。
【
図3】充電用ケーブルの押出成形に用いられるニップルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る充電用ケーブルを適用した急速充電器Cを示す図である。
図1に示すように、急速充電器Cは、充電用ケーブル1、電源ユニット2、及び循環装置3を備え、電気自動車に搭載されているバッテリーを充電する。
【0013】
充電用ケーブル1は、電源ユニット2と電気自動車EVを接続する。具体的には、充電用ケーブル1の一方の端部は電源ユニット2及び循環装置3に接続され、他方の端部は充電カプラ(符号略)を介して、電気自動車EVの充電設備に接続される。充電用ケーブル1に、本発明の内部冷却ケーブルが適用される。
【0014】
電源ユニット2は、例えば三相200V電源からの交流電圧を直流電圧に変換し、電力の供給を行う。循環装置3は、例えば冷却装置(冷媒槽を含む)及びポンプ等を有し、充電用ケーブル1の冷媒用復路F1及び冷媒用往路F2(
図2参照)に冷媒を循環させる。冷媒には、例えばプロピレングリコールや水が好適である。
【0015】
図2は、充電用ケーブル1の構造を示す図である。
図2に示すように、充電用ケーブル1は、太径の第1のケーブル部10及び細径の第2のケーブル部20を備える。充電用ケーブル1は、「8」字状の断面形状を有する(いわゆるダルマ型)。第1のケーブル部10と第2のケーブル部20は、長手方向に沿って並設され、首部30を介して連設される。すなわち、第1のケーブル部10と首部30と第2のケーブル部20とは、連設されている。なお、首部30を省略し、第1のケーブル部10と第2のケーブル部20が直接連設されてもよい。
【0016】
第1のケーブル部10は、低温の冷媒が流通する第1の冷媒用通路F1を有し、第2のケーブル部20は、第1の冷媒用通路F2に連通する第2の冷媒用通路F2を有する。ここでは、第2の冷媒用通路F2は、循環装置3から送出された低温の冷媒を第1の冷媒用通路F1まで移送する冷媒用往路である(以下「冷媒用往路F2」と称する)。第1の冷媒用通路F1は、低温の冷媒がケーブルコアを冷却しつつ循環装置3に戻る冷媒用復路である(以下「冷媒用復路F1」と称する)。冷却用復路F1を流通する際にケーブルコアの発熱によって暖められた高温の冷媒は、そのまま冷却装置3に戻るので、第1のケーブル部10に冷媒用往路を配置し、第2のケーブル部20に冷媒用復路を配置する場合に比較して、冷却効率を高めることができる。
【0017】
第1のケーブル部10は、電力線11、制御線12、接地線13、シース14及び復路用パイプ15を有する。電力線11、制御線12及び接地線13を撚り合わせた集合線がケーブルコアとなる。
【0018】
電力線11は、それぞれ、例えば複数本の導体素線を撚り合わせたすずめっき軟銅線を、さらに複数束撚り合わせてケーブル導体とし、絶縁体(例えば架橋ポリエチレン)で被覆した構成を有し、車載バッテリーを充電するための電力を伝達する。本実施の形態では、2本の電力線11が撚り合わされてユニット化されている。電力線11の構成(例えば導体断面積や撚り数等)は、通電容量や周波数等に応じて適宜決定される。
【0019】
制御線12は、それぞれ、例えば複数本の導体素線を撚り合わせたすずめっき軟銅線を、絶縁体(例えば架橋ポリエチレン)で被覆した構成を有し、電気自動車EVの充電制御装置(図示略)と制御信号の送受信を行う。本実施の形態では、6本の制御線12が撚り合わされてユニット化されている。
【0020】
接地線13は、導体素線を撚り合わせたすずめっき軟銅線を、絶縁体(例えば架橋ポリエチレン)で被覆した構成を有する。
【0021】
復路用パイプ15は、例えば可とう性に優れた樹脂材料で形成され、特に、耐冷媒性に優れ、高耐圧のポリ塩化ビニル等が好ましい。復路用パイプ15の内部が、循環装置3で冷却された低温の冷媒が流通する冷媒用復路F1である。復路用パイプ15の一方の端部は、循環装置3の冷却装置(図示略)に接続され、他方の端部は例えば充電カプラ内で往路用パイプ21に連通する(図示略)。復路用パイプ15を用いることにより、冷媒用復路F1を容易に形成することができる。
【0022】
復路用パイプ15の内部に、電力線11、制御線12及び接地線13を撚り合わせたケーブルコアが配置され、これらの周囲に冷媒(例えばプロピレングリコール)が流通する。復路用パイプ15の外周面に、可とう性に優れた絶縁材料(例えば架橋ポリエチレン、ゴム、ポリ塩化ビニルなど)からなるシース14が形成される。この構造により、例えば特許文献1に記載されるような水路を、ケーブルの中心に1本設けた場合に比べて、冷媒とケーブルコアの接触面積が大きくなるので、効率良くケーブルコアを冷却することができる。電力線11、制御線12、及び接地線13は、圧送される冷媒に浸漬されるので、耐冷媒性に優れる高耐圧のものが好ましい。
【0023】
第2のケーブル部20は、往路用パイプ21の外周面に、例えば架橋ポリエチレンからなるシース22が形成された構成を有する。往路用パイプ21は、復路用パイプ15と同様に、例えばポリ塩化ビニルで形成される。往路用パイプ21の内部が、冷却装置で冷却された低温の冷媒を冷媒用復路F1まで移送する冷媒用往路F2である。往路用パイプ21の一方の端部は、循環装置3のポンプ(図示略)に接続され、他方の端部は例えば充電カプラ内で復路用パイプ15に連通する(図示略)。往路用パイプ21を用いることにより、冷媒用往路F2を容易に形成することができる。
【0024】
冷却装置3で冷却された低温冷媒は、冷媒用往路F2を流通して冷媒用復路F1まで移送される。通電時にケーブル導体で生じる発熱は、冷媒用復路F1を流通する低温冷媒に吸収される。暖められた高温冷媒は冷媒用復路F1を流通して冷却装置3に戻り、冷却される。このように、冷媒用往路F2及び冷媒用復路F1内を冷媒が循環する。
【0025】
冷媒用復路F1に冷媒が流れることにより、ケーブル導体の発熱が抑制されるので、導体サイズが同じであっても、許容電流値は大きくなる。したがって、現状のケーブルサイズを維持しつつ、大電流化を図ることができる。例えば、冷媒流路のない充電用ケーブルにおいて、通電電流を大きくしようとすると、電力線の導体サイズを大きくする必要があり、それに伴い概算重量は重くなるが、本実施の形態の充電用ケーブル1では導体サイズを維持したまま対応することができる。
【0026】
また、充電用ケーブル1では、冷媒用復路F1と冷媒用往路F2が分離して形成されているので、相互の熱の影響をほぼ無視することができる。したがって、冷媒用復路F1と冷媒用往路F2が近接して配置される場合に比較して、ケーブル導体の冷却効率が向上する。
【0027】
第1のケーブル部10のシース14と第2のケーブル部20のシース22は、押出成形により一体的に形成される。シース14、22の押出成形には、一般的な自己支持型ケーブルと同様の方法を適用できる。例えば、
図3に示すニップル40を用いて、往路用パイプ21を細径部41に挿通し、電力線11、制御線12及び接地線13を内包する復路用パイプ15を太径部42に挿通した状態で、シース15、22を押出成形することで、第1のケーブル部10と第2のケーブル部20を容易に一体化することができる。充電用ケーブル1は、第1のケーブル部10と第2のケーブル部20が一体化されているので、取り回し性に優れ、充電作業を行う一般ユーザーも容易に取り扱うことができる。
【0028】
このように、実施の形態に係る充電用ケーブル1(内部冷却ケーブル)は、電流が流れる電力線11を含むケーブルコアと、ケーブルコアを冷却する冷媒が流通する冷媒用復路F1(第1の冷媒用通路)と、を有する第1のケーブル部10と、冷媒用復路F1に連通する冷媒用往路F2(第2の冷媒用通路)を有し、長手方向に沿って第1のケーブル部10に並設される第2のケーブル部20と、を備える。第1のケーブル部10と第2のケーブル部20は、押出成形により一体的に形成されている。言い換えると、第1のケーブル部10と第2のケーブル部20は、首部30を介して、または、首部30を介さないで、連設されている。
【0029】
充電用ケーブル1は、第1のケーブル部10と第2のケーブル部20が押出成形により一体的に形成されるので、生産性に優れ、取り回し性もよい。また、冷媒用復路F1と冷媒用往路F2が離間して形成されているので、ケーブルコアの冷却効率が高い。したがって、大電流が要求される充電用ケーブルとして好適である。
【0030】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0031】
例えば、内部にケーブルコアが配置されない冷媒用復路F1専用の復路用パイプを第1のケーブル部10内に1本または複数本配置してもよい。この場合、復路用パイプは、電力線に近接して配置される。内部にケーブルコアが配置されない冷媒用復路専用の復路用パイプを複数本配置する場合は、冷媒用復路と電力線との接触面積が大きくなるので、1本の場合に比べてより効率良くケーブルコアを冷却することができる。
【0032】
また例えば、押出成形により冷媒用復路F1及び冷媒用往路F2を形成することもできる。この場合は、復路用パイプ15及び往路用パイプ21を省略することができる。
【0033】
また例えば、第1のケーブル部10に冷媒用往路を配置し、第2のケーブル部20に冷媒用復路を配置して、冷媒用往路を流通する低温冷媒がケーブルコアの発熱を吸収し、暖められた冷媒が冷媒用復路を流通して冷却装置に戻るようにしてもよい。暖められた冷媒が第2のケーブル部20内を流通することになるが、冷媒用復路と冷媒用往路は離間して形成されているので、ケーブルコアの冷却効率は確保される。
【0034】
本発明の内部冷却ケーブルは、充電用ケーブルに限らず、大電流が要求される用途に好適である。
【0035】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0036】
1 充電用ケーブル(内部冷却ケーブル)
2 電源ユニット
3 循環装置
10 第1のケーブル部
11 電力線
12 制御線
13 接地線
14 シース
15 復路用パイプ
20 第2のケーブル部
21 往路用パイプ
22 シース
C 急速充電器
F1 冷媒用復路(第1の冷媒用通路)
F2 冷媒用往路(第2の冷媒用通路)