(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
横方向と、該横方向よりも長さの長い縦方向と、厚み方向とを有する長尺状基体部、及び該長尺状基体部の非肌対向面の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子を備えた吸収性ユニットを複数本具備し、各該吸収性ユニットを、その縦方向が一方向を向くように配列させてなる吸収性物品用のシート状物であって、
前記長尺状基体部は、非肌対向面の親水度が、肌対向面の親水度よりも高いシート状物。
前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収した膨潤後の状態において、該吸水性ポリマーの粒子が、前記長尺状基体部の前記縦方向に沿う側縁部を越えて膨潤し、且つ該長尺状基体部における前記吸水性ポリマーの粒子の位置が、前記厚み方向において、液を吸収する前の位置と異なるようになされている請求項1に記載のシート状物。
前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前の使用前の状態において、前記吸水性ポリマーの粒子が、前記長尺状基体部の側縁部を越えてはみ出している請求項1又は2に記載のシート状物。
前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前の使用前の状態において、隣り合う前記長尺状基体部どうしは、少なくとも一部隣接している請求項1〜3の何れか1項に記載のシート状物。
前記長尺状基体部は、前記縦方向に沿う両側縁部間の距離が、前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前の状態の平均粒子径よりも大きく、前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収して膨潤した状態の平均粒子径よりも小さい請求項1〜5の何れか1項に記載のシート状物。
前記シート状物を平面視して、前記吸水性ポリマーの粒子が偏在して固定されており、固定された該吸水性ポリマーの粒子の坪量が相対的に多い部分において、前記長尺状基体部の縦方向に沿う両側縁部間の距離が相対的に短い請求項1〜6の何れか1項に記載のシート状物。
前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前に、前記吸水性ポリマーの粒子は、前記長尺状基体部の非肌対向面の表面にのみ固定されている請求項1〜7の何れか1項に記載のシート状物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明のシート状物は、吸収性物品に用いられるものである。吸収性物品は、一般的に、尿や経血等の排泄体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含するものである。
【0013】
前記吸収性物品は、典型的には、液保持性の吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配された表面シートと、該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートとを有している。そして、該吸収体は、本発明のシート状物と、該シート状物を被覆する液透過性のコアラップシートとを有している。即ち、本発明のシート状物は、例えば、液透過性のコアラップシートで被覆された吸収体として、吸収性物品に用いられる。尚、吸収性物品には、吸収体の肌対向面及び非肌対向面の少なくとも一方に所謂サブレイヤーシートが配されていてもよい。
【0014】
表面シート、裏面シート及びコアラップシートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば、表面シートとしては、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。また、裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。また、コアラップシートとしては、湿式抄造法により製造した薄葉紙(ティッシュペーパー)や液透過性の不織布等を用いることができる。また、前記吸収性物品は、更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の防漏カフを配置することができる。
【0015】
図1及び
図2には、本発明のシート状物の好ましい一実施形態であるシート状物1(以下、単に「シート状物1」ともいう。)を模式的に示す断面図が示されている。
図1に示すシート状物1は、吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前の状態(以下、単に「使用前の状態」ともいう。)を示す。また、
図2に示すシート状物1は、吸水性ポリマーの粒子が液を吸収して膨潤した状態(以下、単に「膨潤後の状態」ともいう。)を示す。ここで、膨潤後の状態とは、25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)中に60分間シート状物1を浸漬した後の吸水性ポリマー粒子の状態を意味する。また、
図3には、使用前の状態のシート状物1の斜視図が示されている。
【0016】
図1に示すシート状物1は、横方向(X方向)と、該横方向(X方向)よりも長さの長い縦方向(Y方向)と、厚み方向(Z方向)とを有する長尺状基体部2、及び長尺状基体部2の非肌対向面の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子3(以下、単に「吸水性ポリマー3」ともいう。)を備えた吸収性ユニット4を複数本具備し、各吸収性ユニット4を、その縦方向(Y方向)が少なくとも一方向を向くように配列させて形成されている。ここで、長尺状基体部2の横方向(X方向)、縦方向(Y方向)及び、厚み方向(Z方向)は、吸収性ユニット4の横方向(X方向)、縦方向(Y方向)及び、厚み方向(Z方向)と一致しており、本実施形態では、シート状物1の横方向(X方向)、縦方向(Y方向)及び、厚み方向(Z方向)とも一致している(
図3参照)。尚、シート状物1の縦方向(Y方向)は、シート状物1を備えた吸収性物品を着用したときの着用者の前後方向と一致している。
【0017】
図1に示すシート状物1は、吸収性ユニット4の縦方向(Y方向)がシート状物1の縦方向(Y方向)を向くように吸収性ユニット4を複数本配列させて形成されている(
図3参照)。長尺状基体部2(吸収性ユニット4)の横方向(X方向)において隣り合う吸収性ユニット4,4間においては、吸収性ユニット4の移動のし易さの観点から、介在物が非存在状態となっている。即ち、吸収性ユニット4は介在物で包まれていない状態となっている。
図1及び
図2においては、長尺状基体部2の上面が着用者の肌に対向する肌対向面であり、長尺状基体部2の下面が裏面シートに対向する非肌対向面である。
【0018】
吸収体1の吸収性ユニット4は、使用前の状態において、縦方向Yに長い矩形状に形成されている。吸収性ユニット4は、横方向Xの長さLxが、好ましくは0.5mm以上10mm以下、更に好ましくは1mm以上5mm以下である。吸収性ユニット4の縦方向Yの長さLyは、横方向Xの長さLxに対して好ましくは20倍以上200倍以下、更に好ましくは40倍以上80倍以下になっている。この倍率を満たすことを条件として、吸収性ユニット4の縦方向Yの長さLyは、好ましくは10mm以上500mm以下、更に好ましくは200mm以上400mm以下になっている。このように吸収性ユニット4は、細長い形状をしている。
本実施形態では長尺状基体部の側縁部に吸収性ポリマーが固定されているので、長尺状基体部幅W2に対しての吸収性ユニット4の横方向Xの長さLxの大小関係は、好ましくは0μm<(Lx−W2)<1400μmであり、更に好ましくは200μm<(Lx−W2)<1000μmである。
【0019】
シート状物1は、本実施形態においては、使用前の状態において、縦方向(Y方向)に長い矩形状に形成されている。シート状物1は、縦方向(Y方向)の長さが好ましくは100mm以上1000mm以下であり、横方向(X方向)の長さが好ましくは50mm以上300mm以下である。また、シート状物1は、使用前の状態において、吸水性ポリマー3が、長尺状基体部2の非肌対向面の表面にのみ固定されている。
【0020】
シート状物1は、使用前の状態において、少なくとも一方向を向くように吸収性ユニット4を複数本配列した吸収領域ATを有している。使用前の状態のシート状物1を平面視して、シート状物1全体に対する吸収領域ATの割合は、吸水性ポリマーの粒子3の固定された領域で液を吸収し易い観点から、20%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましく、そして、100%以下であることが好ましく、90%以下であることが更に好ましく、具体的には、20%以上100%以下であることが好ましく、50%以上90%以下であることが更に好ましい。ここで、吸収領域ATの割合が100%であるとは、例えば、吸収性ユニット4の縦方向(Y方向)がシート状物1の縦方向(Y方向)を向くように複数本シート状物1の横方向(X方向)に並置させる場合には、シート状物1の縦方向(Y方向)の両端部間に亘る全域に吸収性ユニット4が配されている形態を意味し、或いは、吸収性ユニット4の縦方向(Y方向)がシート状物1の横方向(X方向)を向くように複数本シート状物1の縦方向(Y方向)に並置させる場合には、シート状物1の縦方向(Y方向)に沿う両側部間に亘る全域に吸収性ユニット4が配されている形態を意味する。尚、シート状物1を平面視して、吸収領域AT以外の領域が、後述する非スリット領域NTとなる。
【0021】
吸収性ユニット4の縦方向(Y方向)をシート状物1の縦方向(Y方向)を向くように配する場合、吸収性ユニット4は、シート状物1枚当たり、3本以上配されていることが好ましく、50本以上配されていることが更に好ましく、そして、1000本以下配されていることが好ましく、500本以下配されていることが更に好ましく、具体的には、3本以上1000本以下配されていることが好ましく、50本以上500本以下配されていることが更に好ましい。また、吸収性ユニット4の縦方向(Y方向)をシート状物1の横方向(X方向)を向くように配する場合、吸収性ユニット4は、シート状物1枚当たり、3本以上配されていることが好ましく、50本以上配されていることが更に好ましく、そして、3500本以下配されていることが好ましく、2000本以下配されていることが更に好ましく、具体的には、3本以上3500本以下配されていることが好ましく、50本以上2000本以下配されていることが更に好ましい。
【0022】
使用前の状態のシート状物1は、製造時の搬送のし易さの観点から、吸収性ユニット4の縦方向(Y方向)をシート状物1の縦方向(Y方向)に向くように複数本配している形態であることが好ましく、複数本の吸収性ユニット4が互いに交差しないように、各吸収性ユニット4が縦方向(Y方向)に平行にシート状物1の縦方向(Y方向)に配されていることが更に好ましい。
図1に示すシート状物1においては、均一な幅の長尺状基体部2を有する吸収性ユニット4を複数本用い、吸収性ユニット4の縦方向(Y方向)をシート状物1の縦方向(Y方向)に向くようにシート状物1の縦方向(Y方向)に平行に配して形成されている。
【0023】
シート状物1は、縦方向(Y方向)の両端部、又は縦方向(Y方向)に沿う両側部に、複数の長尺状基体部2が幅方向(X方向)に繋がった非スリット領域NTを備えていることが好ましく、本実施形態のシート状物1においては、
図3に示すように、縦方向(Y方向)の両端部に非スリット領域NTを備えている。すなわち、本実施形態のシート状物1においては、1枚の基材シートを具備しており、該基材シートの縦方向(Y方向)の両端部に非スリット領域NTが設けられ、該非スリット領域NTの間に後述するカット工程によって形成された複数の長尺状基体部2が設けられている。このような非スリット領域NTを設けると、使用前の状態において、シート状物1のシート形状が維持され易く、構造が乱れ難くなると共に、製造時に搬送し易いとの効果を奏する。非スリット領域NTには、吸水性ポリマー3が配されていないことが好ましい。このように非スリット領域NTに吸水性ポリマー3を配していなければ、液を吸収したとしても、非スリット領域NTにて吸水性ポリマー3が膨潤し難く、膨潤後の状態においても、シート状物1のシート形状が維持され易く、構造が乱れ難くなると共に、吸水性ポリマー3の固定された領域では液を吸収し易く、シート状物1全体でバランスを取り易いとの効果を奏する。また、
図3に示すシート状物1のように縦方向(Y方向)の両端部に非スリット領域NTを備えている場合に、吸収性物品に用いる際には、シート状物1のシート形状が維持され易く、構造が乱れ難くなると共に、吸収領域ATの柔らかさが向上し着用者へ違和感を与え難い観点から、該縦方向(Y方向)の両端部が吸収性物品に固定されていることが好ましい。
【0024】
図1に示すシート状物1において、シート状物1の幅(W1)に対する長尺状基体部2の幅(W2)(横方向(X方向)の長さ)の割合(W2/W1)は、吸水性ポリマー3の長尺状基体部2への担持量、膨潤阻害、柔軟性、通気性、シート形状の維持等の観点から、0.001以上であることが好ましく、0.002以上であることが更に好ましく、そして、0.200以下であることが好ましく、0.040以下であることが更に好ましく、具体的には、0.001以上0.200以下であることが好ましく、0.002以上0.040以下であることが更に好ましい。
好適には、長尺状基体部2の幅(W2)は、同様の観点から、0.3mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることが更に好ましく、そして、10.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましく、1.8mm以下であることが更に好ましく、具体的には、0.3mm以上10.0mm以下であることが好ましく、0.6mm以上2.0mm以下であることがより好ましく、0.6mm以上1.8mm以下であることが更に好ましい。
長尺状基体部2の幅(W2)とは、縦方向Yに沿う長尺状基体部2の両側縁部間の距離のことである。シート状物1の幅(W1)とは、縦方向Yに沿うシート状物1の両側縁部間の距離のことである。
【0025】
吸収性ユニット4を構成する長尺状基体部(基材シート)2は、吸収領域ATで液が拡散し易く、吸水性ポリマー3の利用効率向上の観点から、親水性シートであることが好ましい。親水性シートとは、構成繊維1本の接触角が90°未満、又は繊維材料でないシートの場合は、その表面の接触角が90°未満で定義される。なお、測定方法は下記方法に則る。
また、吸収性ユニット4を構成する長尺状基体部2は、非肌対向面の親水度が、肌対向面の親水度よりも高いシートである。長尺状基体部2は、非肌対向面の親水度が肌対向面の親水度よりも高いシートであれば、紙、不織布、布、合成樹脂を発泡して形成された合成スポンジ等の何れでも良いが、それらの中でも、薄くても引っ張り強度が比較的高く、薄くて柔軟性が付与できる観点から、不織布であることが好ましい。該不織布の坪量は、5g/m
2以上100g/m
2以下であることが好ましく、10g/m
2以上40g/m
2以下であることが更に好ましい。
【0026】
非肌対向面の親水度が肌対向面の親水度よりも高い長尺状基体部2としては、例えば、非肌対向面を親水化剤で処理して製造された不織布を用いることができる。また、本来的に親水性を有する繊維、例えば天然系のコットンや半天然系のレーヨン繊維を非肌対向面側の層に用い、或いは、親水化剤を練り込んだ樹脂を非肌対向面側の層に用い、そして、肌対向面側に相対的に親水度の低い層を用いた2層以上の多層構造のウエブを用いて製造された不織布を用いることができる。また、本来的に親水性を有する繊維、例えば天然系のコットンや半天然系のレーヨン繊維を用いて製造された不織布を非肌対向面側に用い、或いは、親水化剤を練り込んだ樹脂を用いて製造された不織布を非肌対向面側に用い、そして、相対的に親水度の低い樹脂を用いて製造された不織布を肌対向面側に用いて、2枚以上を重ね合わせた後、一体化した多層構造の不織布を用いることができる。
図1及び
図2に示すシート状物1の長尺状基体部2としては、親水化剤を練り込んだ樹脂を用いた相対的に親水度の高い非肌対向面側の層21と、相対的に親水度の低い肌対向面側の層22とから形成された2層構造のウエブを用いて製造された不織布が用いられている。尚、親水化剤として用いる界面活性剤としては、各種公知の界面活性剤が典型的なものとして挙げられる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性イオン性及びノニオン性の界面活性剤等を用いることができる。
【0027】
肌対向面及び非肌対向面の親水度の高低は、好ましくは構成繊維の親水度の高低であり、構成繊維に対するイオン交換水の接触角を指標として判断することができる。即ち、接触角は、構成繊維上の水滴と構成繊維表面との角度であり、その接触角が小さい方の親水度が高いと判断することができる。また、接触角の差が±3°以内の場合は、ほぼ同じ接触角であり、親水度がほぼ等しいと判断する。
【0028】
(非肌対向面の親水度が肌対向面の親水度よりも高い)長尺状基体部2の肌対向面の親水度、即ち、肌対向面を形成する構成繊維に対するイオン交換水の接触角は、液を肌から遠い所で吸収させる観点から、80°以上であることが好ましく、90°以上であることが更に好ましく、そして、180°以下であることが好ましく、120°以下であることが更に好ましく、具体的に、80°以上180°以下であることが好ましく、90°以上120°以下であることが更に好ましい。長尺状基体部2の非肌対向面の親水度、即ち、非肌対向面を形成する構成繊維に対するイオン交換水の接触角は、液を肌から遠い所で吸収させる観点から、0°以上であることが好ましく、30°以上であることが更に好ましく、そして、90°以下であることが好ましく、70°以下であることが更に好ましく、具体的に、0°以上90°以下であることが好ましく、30℃以上70°以下であることが更に好ましい。
また、長尺状基体部2の肌対向面の接触角と、非肌対向面の接触角との差(前者−後者)は、4°より大きいことが好ましく、更に好ましくは5°以上、一層好ましくは7°以上大きく、また30°以下であることが好ましく、更に好ましくは25°以下、一層好ましくは20°以下であることが好ましい。具体的に、4°以上30°以下であることが好ましく、5°以上25°以下であることが更に好ましく、7°以上20°以下であることが一層好ましい。
【0029】
<長尺状基体部2の肌対向面或いは非肌対向面の親水度の測定方法>
長尺状基体部2の肌対向面或いは非肌対向面の親水度は、長尺状基体部2の肌対向面或いは非肌対向面を形成する構成繊維に対する水の接触角を測定することによって得られる。長尺状基体部2(不織布)の肌対向面或いは非肌対向面を形成する構成繊維に対する水の接触角は次の方法で測定される。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角測定には、蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、構成繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析や画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に、画像が録画される。録画された映像において、不織布の肌対向面或いは非肌対向面を形成する構成繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と構成繊維のなす角を算出し、接触角とする。
なお、測定用サンプル(不織布から取り出して得られる構成繊維)は、不織布の肌対向面或いは非肌対向面における構成繊維を最表層から繊維長1mmで裁断し、該構成繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持し、該構成繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。前述の各部位において、N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を各々の接触角と定義する。
【0030】
長尺状基体部2の非肌対向面の表面に固定される吸水性ポリマー3としては、当該吸収性物品の技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができ、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸水性ポリマー3としては、その形状の違いから、不定形タイプ、塊状タイプ、俵状タイプ、球粒凝集タイプ、球状タイプ等があるが、何れのタイプも用いることができ、シート状物1においては、球状タイプが用いられている。
【0031】
吸水性ポリマーの粒子3を長尺状基体部2の表面に固定させる方法としては、接着剤を用いる方法、水素結合等を利用して化学的に担持させる方法、又は、長尺状基体部2が不織布或いは布である場合には、その構成繊維を起毛させ、起毛した構成繊維の間で固定させる方法等が挙げられ、
図1及び
図2に示すシート状物1においては、接着剤5が用いられている。即ち、シート状物1の吸水性ポリマーの粒子3は、接着剤5を介して長尺状基体部2の層21の非肌対向面の表面に固定されている。このように接着剤5を介して吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の表面に固定されていると、シート状物1の使用前の状態又は膨潤後の状態において、吸水性ポリマーの粒子3が脱落し難くなる。
【0032】
接着剤5としては、例えば、ホットメルト型接着剤が好ましく用いられる。ホットメルト型接着剤としては、スチレン系、オレフィン系等が挙げられる。スチレン系ホットメルト接着剤としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、SBSの水素添加物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、及びこれらの2種以上をブレンドしたブレンド系ホットメルト型接着剤を使用することができる。これらの中でも、タック力と凝集力のバランスが取り易い観点から、特にSISとSBSとのブレンド系ホットメルト型接着剤、又はSISとSEBSのブレンド系ホットメルト型接着剤が、好ましく用いられる。ホットメルト型接着剤の塗布量は、0.5g/m
2以上100g/m
2以下であることが好ましく、5g/m
2以上50g/m
2以下であることが更に好ましい。
【0033】
図1に示すシート状物1に関し、使用前の状態において、横方向(X方向)に隣り合う吸収性ユニット4の長尺状基体部2,2どうしは、使用前のシート状物1のシート形状が維持され易く、構造が乱れ難くなり、吸水性ポリマー3を適切な位置に配することができる観点から、少なくとも一部隣接していることが好ましく、横方向(X方向)に隣り合う長尺状基体部2,2どうしは、全体に亘って隣接していることが更に好ましい。尚、
図1に示すシート状物1においては、横方向(X方向)に隣り合う長尺状基体部2,2どうしは、全体に亘って隣接している。ここで、「隣接している」とは、隣り合う長尺状基体部2,2どうしが、隣り合って接して続いていることを意味する。
【0034】
シート状物1は、
図2に示すような膨潤後の状態において、吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の縦方向(Y方向)に沿う側縁部2sを越えて膨潤するようになされている。ここで、吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の側縁部2sを越えて膨潤するとは、言い換えれば、シート状物1の膨潤後の状態において、例えば
図2に示す膨潤した吸水性ポリマーの粒子3aのように、膨潤した吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の側縁部2sに跨って存在することを意味する。尚、シート状物1の膨潤後の状態において、膨潤した吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の側縁部2sに跨って存在するようになるのであれば、シート状物1の使用前の状態においては、吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の側縁部2sよりも内側に存在していてもよく、或いは、例えば
図1に示す使用前(膨潤前)の吸水性ポリマーの粒子3bのように、吸水性ポリマーの粒子3が当初から長尺状基体部2の側縁部2sに跨って存在していてもよい。
【0035】
更に、シート状物1は、
図2に示すような膨潤後の状態において、長尺状基体部2における吸水性ポリマーの粒子3の位置が、厚み方向(Z方向)において、上下にずれる、斜めになる等、液を吸収する前の位置と異なるようになされている。ここで、シート状物1の膨潤後の状態において、長尺状基体部2の位置が、厚み方向(Z方向)において、液を吸収する前の位置と異なるとは、吸水性ポリマーの粒子3の膨潤後の状態における長尺状基体部2の位置と、吸水性ポリマーの粒子3の使用前(膨潤前)の状態における長尺状基体部2の位置とが異なるように形成されていることを意味する。
【0036】
以上説明した本実施形態のシート状物1に関し、該シート状物1を液透過性のコアラップシートで被覆して吸収体とし、該吸収体の肌対向面側に液透過性の表面シートを配し、該吸収体の非肌対向面側に液難透過性の裏面シートを配した吸収性物品によれば、吸水性ポリマー3を備えた複数本の吸収性ユニット4が少なくとも一方向を向くように配列しているので、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしが緩衝し難く、素早く体液を吸収できると共に、膨潤阻害を発生し難く、吸水性ポリマーの吸収性能を最大限に発揮することができる。ここで、吸収性ユニット4を構成する長尺状基体部2は、非肌対向面の親水度が肌対向面の親水度よりも高く形成されているので、体液を非肌対向面側である裏面シート側に引き込むことができ、非肌対向面側で体液を拡散でき、吸収体を広く使うことができる。このように、吸収体の非肌対向面側に体液が保持されていると、着用者の肌から離れているので、肌に対する負荷を低減できる。特に、シート状物1においては、吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の非肌対向面の表面にのみ固定されているので、肌に対する負荷を更に低減できる。
【0037】
また、前記吸収性物品を着用中に、体液を吸収した吸収体に圧力が掛かったとしても、吸収性ユニット4を構成する長尺状基体部2は、非肌対向面の親水度が肌対向面の親水度よりも高く形成されているので、吸収した体液が肌対向面側に移行し難く、吸収した体液が液戻りし難い。特に、シート状物1においては、吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の非肌対向面の表面にのみ固定されているので、吸収した体液が肌対向面側に更に移行し難く、吸収した体液が更に液戻りし難い。
【0038】
また、シート状物1は、
図2に示すように、膨潤後の状態において、吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の側縁部2sを越えて膨潤し(
図2に示す吸水性ポリマーの粒子3a参照)、且つ、長尺状基体部2における吸水性ポリマーの粒子3の位置が、厚み方向(Z方向)において、液を吸収する前の位置と異なるようになされている。その為、シート状物1を吸収性物品に用いて使用すると、
図2に示すように、体液を吸水性ポリマーの粒子3が吸収して膨潤している際に、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしにおいて、長尺状基体部2の側縁部2sを越えて膨潤した吸水性ポリマーの粒子3,3どうしが接触したとしても、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしが厚み方向(Z方向)に自由に動き易く、膨潤した吸水性ポリマーの粒子3,3どうしの衝突が緩和され、膨潤した吸水性ポリマーの粒子3に掛かる圧力を低減でき、吸水性ポリマーの粒子3の体液の吸収を阻害し難い。従って、本実施形態のシート状物1は、体液を吸水性ポリマーの粒子3が吸収して膨潤している際に、吸水性ポリマーの粒子3が膨潤阻害を起こし難く、吸水性ポリマーの粒子3の吸収性能を最大限に発揮できるので、吸収性能が向上し易い。特に、本実施形態のシート状物1は、隣り合う吸収性ユニット4,4間においては介在物が非存在状態となっているので、吸収性ユニット4が移動し易く、上記効果を一層奏し易くなっている。
【0039】
また、シート状物1は、
図2に示すような膨潤後の状態において、隣り合う吸収性ユニット4を構成する長尺状基体部2,2どうしの位置が、厚み方向(Z方向)において、異なるようになされている。その為、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしが厚み方向(Z方向)に自由に動き易く、膨潤した吸水性ポリマーの粒子3,3どうしの衝突が緩和され易く、膨潤した吸水性ポリマーの粒子3に掛かる圧力を低減でき、吸水性ポリマーの粒子3の体液の吸収を阻害し難い。
【0040】
シート状物1において、膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子3を長尺状基体部2の側縁部2sを越えて膨潤させて、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしを厚み方向(Z方向)に自由に動かし、吸水性ポリマーの粒子3の膨潤阻害を一層起こし難くする観点から、
図1に示すような使用前の状態において、吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の縦方向(Y方向)に沿う側縁部2s近傍に配されていることが好ましく、吸水性ポリマーの粒子3が、長尺状基体部2の側縁部2sを越えてはみ出していることが更に好ましい(
図1に示す吸水性ポリマーの粒子3b参照)。
【0041】
更に、シート状物1において、膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子3を長尺状基体部2の側縁部2sを越えて膨潤させて、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしを厚み方向(Z方向)に自由に動かし、吸水性ポリマーの粒子3の膨潤阻害を一層起こし難くする観点から、長尺状基体部2の縦方向(Y方向)に沿う両側縁部2s,2s間の距離が、使用前(膨潤前)の状態の吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径よりも大きく、膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。尚、長尺状基体部2の両側縁部2s,2s間の距離とは、上述した長尺状基体部2の幅(W2)と同じ意味である。使用前(膨潤前)の状態の吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径d1は、20μm以上であることが好ましく、200μm以上であることが更に好ましく、そして、700μm以下であることが好ましく、500μm以下であることが更に好ましく、具体的には、20μm以上700μm以下であることが好ましく、200μm以上500μm以下であることが更に好ましい。一方、膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子3の平均粒子径d2は、200μm以上であることが好ましく、800μm以上であることが更に好ましく、そして、3000μm以下であることが好ましく、2000μm以下であることが更に好ましく、具体的には、200μm以上3000μm以下であることが好ましく、800μm以上2000μm以下であることが更に好ましい。吸水性ポリマー3の平均粒子径は、以下の測定方法により求められる。
【0042】
<使用前の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d1の測定方法>
使用前の状態における平均粒子径d1は、使用前の吸水性ポリマーの粒子を用い、吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を光学顕微鏡観察で測定した。ここで直径とは、吸水性ポリマーの粒子が球状の場合を指す。また、長軸とは、吸水性ポリマーの粒子がひし形、長方形、房状、フットボール型などの異型状の場合を指す。計50個の吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を測定し、その数平均粒子径を使用前の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d1とする。
【0043】
<膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径d2の測定方法>
膨潤後の状態における平均粒子径d2は、シート状物1を25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬させ、浸漬開始から1時間後にシート状物1を生理食塩水から取り出し、30分間垂直状態に吊るして水切りした後、長尺状基材部2の表面の吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を光学顕微鏡観察で測定した。ここで言う直径とは、吸水性ポリマーの粒子が球状の場合を指す。また、長軸とは、吸水性ポリマーの粒子がひし形、長方形、房状、フットボール型などの異型状の場合を指す。計50個の吸水性ポリマーの粒子の直径もしくは長軸を測定し、その数平均粒子径を膨潤後の状態の吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径として測定できる。
【0044】
次に、本発明のシート状物の製造方法の好ましい一実施態様を、上記構成のシート状物1を製造する場合を例にして、
図4を参照して説明する。
図4には、本実施態様の製造方法に好ましく用いられる製造装置100が示されている。本実施形態の製造装置100は、製造工程の上流側から下流側に向けて、基材シートカット部110、接着剤塗布部120及び吸水性ポリマー散布部130を、この順で備えている。尚、
図4に示す製造装置100においては、接着剤塗布部120及び吸水性ポリマー散布部130が一体化した装置を用いているが、接着剤塗布部120及び吸水性ポリマー散布部130が一体化していなくてもよい。前記一体化した装置は、該装置における上流側に接着剤塗布部120が配され、該一体化した装置における下流側に吸水性ポリマー散布部130が配された構成となっている。
【0045】
基材シートカット部110は、長尺状基体部2の原料である帯状の基材シート20をカットして複数本の長尺状基体部2を形成する部分である。基材シート20のカットには、各種公知のカット装置を特に制限なく用いることができるが、製造装置100においては、
図5に示すように、周面に複数のカッター刃111a,111a,111a・・・が配されたロータリーダイ111bと、ロータリーダイ111bに対向配置された、周面が平坦な受けロール112とを備えたカット装置113を用いている。カット装置113の各カッター刃111aは、ロータリーダイ111bの回転方向に配されており、複数のカッター刃111a,111a,111a・・・は、それぞれ、帯状の基材シート20の搬送方向(Y1方向)に直交する方向(X1方向)に並んで配置されている。直交する方向(X1方向)に隣り合うカッター刃111a,111aどうしの間隔は、形成される各長尺状基体部2の幅(横方向(X方向)の長さ)に対応している。ここで、基材シート20の搬送方向(Y1方向)は、製造されるシート状物1の縦方向(Y方向)に対応しており、直交する方向(X1方向)は、製造されるシート状物1の横方向(X方向)に対応している。尚、基材シート20のカットには、上刃と下刃の側面を擦り合わせて切断するシェアカット方式のカット装置を用いてもよく、複数のスコアカットナイフを直交する方向(X1方向)に並置した装置でもよく、レーザー光を照射して溶断するレーザー装置を用いてもよい。
【0046】
図3に示すシート状物1のように、シート状物1が、縦方向(Y方向)の両端部に非スリット領域NTを備えている場合には、例えば、
図5に示すように、各カッター刃111aの周面に、凹部114を形成するようにすればよい。回転するカッター刃111aの外周における凹部114部分の円弧の長さは、
図3に示すシート状物1の両端部に配置される非スリット領域NTの縦方向(Y方向)の長さの合計と等しい長さに対応するようにする。このような凹部114を備える複数のカッター刃111a,111a,111a・・・を用意し、X1方向に隣り合うカッター刃111aの凹部114,114どうしの位置を合わせて配置したロータリーダイ111bを用いればよい。尚、回転するカッター刃111aの外周における凹部114を除く部分の円弧の長さが、
図3に示すシート状物1の有する長尺状基体部2の縦方向(Y方向)の長さに対応している。また、シート状物1が、縦方向(Y方向)に沿う両側部に非スリット領域NTを備えている場合には、該非スリット領域NTに対応する位置にカッター刃111aを配しないようにすればよい。
【0047】
基材シートカット部110の下流側に位置する接着剤塗布部120は、長尺状基体部2の一方の面(上面)の表面に接着剤5を塗布する部分であり、製造装置100においては、
図4に示すように、塗布ヘッド121を備えている。塗布ヘッド121には、各種公知の塗布装置を特に制限なく用いることができる。塗布ヘッド121は、X1方向においては、シート状物1の吸収領域ATの幅(横方向(X方向)の長さ)に対応する長さを有するように形成されている。このように形成された塗布ヘッド121が、長尺状基体部2の一方の面(上面)上に間隔を空けて配置されている。
【0048】
接着剤塗布部120の下流側に位置する吸水性ポリマー散布部130は、長尺状基体部2の一方の面(上面)の表面に吸水性ポリマーの粒子3を散布して吸収性ユニット4を形成する部分であり、製造装置100においては、
図4に示すように、吸水性ポリマー導入部131を備えている。吸水性ポリマー導入部131には、各種公知の導入装置を特に制限なく用いることができる。吸水性ポリマー導入部131は、X1方向においては、シート状物1の吸収領域ATの幅(横方向(X方向)の長さ)に対応する長さを有するように形成されている。このように形成された吸水性ポリマー導入部131が、長尺状基体部2の一方の面(上面)上に間隔を空けて配置されている。
【0049】
また、
図4に示す製造装置100においては、接着剤塗布部120及び吸水性ポリマー散布部130が一体化した装置に対向する位置であって、搬送される複数本の長尺状基体部2の下面側にバキュームコンベア141が配されている。バキュームコンベア141は、駆動ロール142及び複数の従動ロール143に架け渡された無端状の通気性ベルト144と、通気性ベルト144を挟んで前記一体化した装置に対向する位置に配されたバキュームボックス145とを備えている。バキュームコンベア141上には、基材シートカット部110にて基材シート20をカットして形成される複数本の長尺状基体部2が導入されるようになっている。
【0050】
また、
図4に示す製造装置100においては、帯状の基材シート20の原反ロールから基材シート20を繰り出す駆動ロール151と、最も下流側に、製造されたシート状物1の前駆体1bを搬送する駆動ロール152とを備えている。
【0051】
次に、前述した本実施形態の製造装置100を用いてシート状物1を連続的に製造する方法、即ち、本発明のシート状物の製造方法の一実施態様について説明する。
本実施態様のシート状物1の製造方法は、帯状の基材シート20をカットして複数本の長尺状基体部2を形成するカット工程、該カット工程の後工程に、吸水性ポリマーの粒子3を散布する吸水性ポリマーの粒子散布工程を備えている。また、本実施態様においては、吸水性ポリマーの粒子散布工程よりも前工程に、接着剤5を塗布する接着剤塗布工程を備えている。即ち、本実施態様のシート状物1の製造方法は、カット工程の後工程に接着剤塗布工程を備え、接着剤塗布工程の後工程に吸水性ポリマーの粒子散布工程を備えている。
【0052】
前記カット工程の実施に先立ち、先ず、バキュームボックス145内を、それに接続された排気装置を作動させて負圧にする。
【0053】
基材シート20としては、相対的に親水度の高い非肌対向面側の層21と、相対的に親水度の低い肌対向面側の層22とから形成された2層構造のウエブを用いて製造された帯状の不織布が用いられている。そして、基材シート20を、一方の面(上面)側に相対的に親水度の高い層21が向くように配置する。
【0054】
次いで、駆動ロール151及び駆動ロール152を駆動させ、カット装置113及び通気性ベルト144を回転させ、バキュームコンベア141を作動させる。そして、駆動ロール151により帯状の基材シート20の原反ロールから基材シート20を繰り出し、基材シートカット部110のカット装置113における複数のカッター刃111aと受けロール112との間に供給し、帯状の基材シート20をカットして複数本の長尺状基体部2を形成する(カット工程)。本実施態様においては、
図5に示すように、ロータリーダイ111bの回転方向に配された複数のカッター刃111aが、それぞれ、帯状の基材シート20の搬送方向(Y1方向)に直交する方向(X1方向)に一致して配置されているので、帯状の基材シート20を、基材シート20の搬送方向(Y1方向)に沿ってカットし、且つ直交する方向(X1方向)に複数箇所カットして複数本の長尺状基体部2を形成する。また、カッター刃111aでカットされた部分が長尺状基体部2の側縁部2sとなる。
【0055】
また、本実施態様においては、複数のカッター刃111aが、それぞれ、凹部114を有しているので、搬送される帯状の基材シート20に、長尺状基体部2の縦方向(Y方向)の長さ分を空けて、間欠的に、非スリット領域NTの縦方向(Y方向)の長さの2倍の長さ分に対応する非カット部NTbが形成される。カット工程にて形成された複数本の長尺状基体部2は、搬送方向(Y1方向)に平行に形成されており、直交する方向(X1方向)に並置して配されている。
【0056】
次いで、カット工程にて形成された長尺状基体部2の一方の面の表面に、接着剤5を塗布する(接着剤塗布工程)。本実施態様においては、カット工程にて形成された複数本の長尺状基体部2をバキュームコンベア141で搬送しながら、バキュームボックス145上に位置する間に、接着剤塗布部120の塗布ヘッド121により、直交する方向(X1方向)に並置して形成された複数本の長尺状基体部2の一方の面である親水度の高い層21上に、非カット部NTbを除いて、間欠的に接着剤5を塗布する。
【0057】
次いで、接着剤塗布工程にて形成された複数本の長尺状基体部2の一方の面の表面に塗布された接着剤5上に、吸水性ポリマーの粒子3を散布する(吸水性ポリマーの粒子散布工程)。本実施態様においては、接着剤塗布工程にて形成された、親水度の高い層21の表面に接着剤5が塗布された長尺状基体部2をバキュームコンベア141で搬送しながら、バキュームボックス145上に位置する間に、吸水性ポリマー散布部130の吸水性ポリマー導入部131により、直交する方向(X1方向)に並置した複数本の長尺状基体部2の親水度の高い層21の表面に塗布された接着剤5上に、非カット部NTbを除いて、吸水性ポリマーの粒子3を散布する。このように吸水性ポリマーの粒子3を散布することにより、接着剤5を介して吸水性ポリマーの粒子3が長尺状基体部2の表面に固定された吸収性ユニット4を複数本形成する。このように形成された複数本の吸収性ユニット4は、それぞれの縦方向(Y方向)が、搬送方向(Y1方向)を向くように配列しており、シート状物1の前駆体1bを形成するようになる。
【0058】
次いで、シート状物1の前駆体1bを駆動ロール152により下流側に搬送し、公知の切断装置(不図示)を用いて、非カット部NTbの搬送方向(Y1方向)の長さの二等分の位置毎に切断して、縦方向(Y方向)の両端部に非スリット領域NTを有するシート状物1を、連続して製造する。このように、本実施形態の製造装置100及びそれを用いた本実施態様の製造方法によれば、シート状物1を安定的に効率良く製造することができる。このように製造されたシート状物1は、接着剤5の塗布された親水度の高い層21の表面側を、非肌対向面側に向くように使用する。
【0059】
また、本実施態様の製造方法によれば、複数のカッター刃111a,111a,111a・・・を用いて、均一な幅の長尺状基体部2を形成した後、長尺状基体部2の一方の面である親水度の高い層21の表面に接着剤5を塗布しているので、製造されるシート状物1においては、横方向(X方向)に隣り合う吸収性ユニットの長尺状基体部2,2どうしが、全体に亘って隣接している形態となり易い。このようなシート状物1を安定的に効率良く製造することができる。
【0060】
本発明は、前記実施形態に制限されず適宜変更可能である。
上述した
図1に示すシート状物1においては、吸水性ポリマーの粒子3が、各長尺状基体部2の一方の面である親水度の高い層21の表面にのみ固定されているが、シート状物1の液の吸収性能向上の観点から、各長尺状基体部2の一方の面である親水度の高い層21の表面のみならず、他方の面である親水度の低い層22の表面にも固定されていてもよい。各長尺状基体部2の両面(上下面)の表面に吸水性ポリマーの粒子3を固定させるには、例えば、
図4に示す製造装置100を用いて、各長尺状基体部2の一方の面の表面に吸水性ポリマーの粒子3を固定させた後、反転ロールを介して反転させ、その後別の吸水性ポリマー散布部130を用いて、各長尺状基体部2の他方の面の表面に吸水性ポリマーの粒子3を散布して固定させることにより製造できる。
【0061】
各長尺状基体部2の両面(上下面)の表面に吸水性ポリマーの粒子3を固定する際には、上記効果を一層奏する観点から、長尺状基体部2の親水度の高い層21の表面に固定された吸水性ポリマー3の坪量の方が、該長尺状基体部2の親水度の低い層22の表面に固定された吸水性ポリマー3の坪量よりも大きいことが好ましい。長尺状基体部2の一方の面である親水度の高い層21の表面に固定させる吸水性ポリマー3の坪量は、10g/m
2以上250g/m
2以下であることが好ましく、30g/m
2以上150g/m
2以下であることが更に好ましい。長尺状基体部2の他方の面である親水度の低い層22の表面に固定させる吸水性ポリマー3の坪量は、30g/m
2以上400g/m
2以下であることが好ましく、50g/m
2以上300g/m
2以下であることが更に好ましい。
【0062】
長尺状基体部2における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量及び長尺状基体部2における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量は以下の方法によって測定する。
<長尺状基体部2における肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量及び長尺状基体部2における非肌対向面側に固定されている吸水性ポリマー3の坪量の測定方法>
長尺状基体部2における非肌対向面側の吸水性ポリマーが脱落しないように吸水性ポリマーの上面から再度接着剤等で固定しておき、肌対向面側に固定されている吸水性ポリマーを、溶剤等を用いて長尺状基体部2から剥離させ、吸水性ポリマーに付着している接着剤を洗浄する。吸水性ポリマーを乾燥させたのち、肌対向面側に固定されていた吸水性ポリマーの重量を測定し、吸水性ポリマーが固定されていた部分の長尺状基体部2の面積と剥離した吸水性ポリマーの重量から、単位面積当たりに固定されていた吸水性ポリマーの重量を算出し、肌対向面側の吸水性ポリマーの坪量とする。測定は5枚行い平均値を算出する。
非肌対向面側の吸水性ポリマーの坪量については、同様に肌対向面側の吸水性ポリマーを固定した上で、非肌対向面側の吸水性ポリマーを剥離、洗浄し、算出する。
【0063】
また、各長尺状基体部2の両面(上下面)の表面に吸水性ポリマーの粒子3を固定する際には、着用者の肌に遠い非肌対向面(下面)で液を大量に保持させ、肌対向面(上面)上に液を残さずに肌触りを向上させる観点から、長尺状基体部2の親水度の低い層22の表面に固定された吸水性ポリマー3は、該長尺状基体部2の親水度の高い層21の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子3に比べて、加圧下通液性能が高く、遠心保持量が低いことが好ましい。上記観点から、長尺状基体部2の親水度の低い層22の表面に固定された吸水性ポリマー3に関し、2.0kPaでの加圧下通液速度は、20ml/min以上であることが好ましく、40ml/min以上であることが更に好ましく、そして、1000ml/min以下であることが好ましく、800ml/min以下であることが更に好ましく、具体的には、20ml/min以上1000ml/min以下であることが好ましく、40ml/min以上800ml/min以下であることが更に好ましい。また、長尺状基体部2の親水度の高い層21の表面に固定された吸水性ポリマー3に関し、2.0kPaでの加圧下通液速度は、0ml/min以上であることが好ましく、10ml/min以上であることが更に好ましく、そして、400ml/min以下であることが好ましく、200ml/min以下であることが更に好ましく、具体的には、0ml/min以上400ml/min以下であることが好ましく、10ml/min以上200ml/min以下であることが更に好ましい。加圧下通液速度は、以下の測定方法により求められる。
【0064】
<加圧下通液速度の測定方法>
加圧下通液速度は、特開2003−235889号公報に記載されている測定方法及び測定装置を利用して測定される。即ち、100mLのガラスビーカーに、測定試料である吸水性ポリマー0.32±0.005gを膨潤するに十分な量の生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)、例えば吸水性ポリマーの飽和吸収量の5倍以上の生理食塩水に浸して30分間放置する。別途、垂直に立てた円筒(内径25.4mm)の開口部の下端に、金網(目開き150μm、株式会社三商販売のバイオカラム焼結ステンレスフィルター30SUS)と、コック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意し、コックを閉鎖した状態で該円筒管内に、膨潤した測定試料を含む前記ビーカーの内容物全てを投入する。次いで、目開きが150μmで直径が25mmである金網を先端に備えた直径2mmの円柱棒を濾過円筒管内に挿入して、該金網と測定試料とが接するようにし、更に測定試料に2.0kPaの荷重が加わるようにおもりを載せる。この状態で1分間放置した後、コックを開いて液を流し、濾過円筒管内の液面が60mLの目盛り線から40mLの目盛り線に達する(つまり20mLの液が通過する)までの時間(T1)(秒)を計測する。計測された時間T1(秒)を用い、次式から2.0kPaでの加圧下通液速度を算出する。尚、式中、T0(秒)は、濾過円筒管内に測定試料を入れないで、生理食塩水20mlが金網を通過するのに要する時間を計測した値である。
加圧下通液速度(ml/min)=20×60/(T1−T0)
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とする。また、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。加圧下通液速度の更に詳細な測定方法は、特開2003−235889号公報の段落〔0008〕及び段落〔0009〕に記載されており、また測定装置は、同公報の
図1及び
図2に記載されている。
【0065】
上記観点から、長尺状基体部2の親水度の低い層22の表面に固定された吸水性ポリマー3に関し、その遠心保持量(吸水量)は、20g/g以上であることが好ましく、25g/g以上であることが更に好ましく、そして、50g/g以下であることが好ましく、45g/g以下であることが更に好ましく、具体的には、20g/g以上50g/g以下であることが好ましく、25g/g以上45g/g以下であることが更に好ましい。また、長尺状基体部2の親水度の高い層21の表面に固定された吸水性ポリマー3に関し、その遠心保持量(吸水量)は、25g/g以上であることが好ましく、30g/g以上であることが更に好ましく、そして、65g/g以下であることが好ましく、55g/g以下であることが更に好ましく、具体的には、25g/g以上65g/g以下であることが好ましく、30g/g以上55g/g以下であることが更に好ましい。遠心保持量(吸水量)は、以下の測定方法により求められる。
【0066】
<遠心保持量(吸水量)の測定方法>
遠心保持量(吸水量)の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。ナイロン製の織布(三力製作所販売、品名:ナイロン網、規格:250メッシュ)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。次いで、測定試料である吸水性ポリマー1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。次いで、試料の入ったナイロン袋を、25℃に調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)に浸漬させる。そして浸漬開始から1時間後にナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、遠心脱水器(コクサン(株)製、型式H−130C特型)を用いて脱水する。脱水条件は、143G(800rpm)で10分間とする。脱水後、試料の質量を測定し、次式に従って目的とする遠心保持量(吸水量)を算出する。
遠心保持量(g/g)=(a'−b−c)/c
式中、a'は遠心脱水後の試料及びナイロン袋の総質量(g)、bはナイロン袋の吸水前(乾燥時)の質量(g)、cは試料の吸水前(乾燥時)の質量(g)を表す。
測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とする。また、測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
【0067】
また、上述した
図1に示すシート状物1は、均一な幅の長尺状基体部2を有する吸収性ユニット4を複数本用いて形成されているが、長尺状基体部2の幅は不均一であってもよい。好適には、シート状物1を平面視して、吸水性ポリマーの粒子3が偏在して固定されており、固定された吸水性ポリマー3の坪量が相対的に多い部分において、長尺状基体部2の縦方向(Y方向)に沿う両側縁部2s,2s間の距離が相対的に短くなっていてもよい。即ち、固定された吸水性ポリマー3の坪量が多い部分と少ない部分を比べて、固定された吸水性ポリマー3の坪量が多い部分における長尺状基体部2の両側縁部2s,2s間の距離が、固定持された吸水性ポリマー3の坪量が少ない部分における長尺状基体部2の両側縁部2s,2s間の距離よりも短く形成されていてもよい。以上の構成を有するシート状物1であれば、固定された吸水性ポリマー3の坪量が多い部分において、隣り合う吸収性ユニット4,4どうしが厚み方向(Z方向)に自由に動き易く、シート状物1が硬くなり難く、また、吸水性ポリマーの粒子3の吸収性能を最大限に発揮できるので、シート状物1の吸収性能が向上し易い。
【0068】
また、上述した
図3に示すシート状物1は、複数本の吸収性ユニット4それぞれの縦方向がシート状物1の縦方向(Y方向)を向くように配列して形成されているが、例えば
図6に示すように、複数本の吸収性ユニット4それぞれの縦方向がシート状物1の横方向(X方向)を向くように配列して形成されていてもよい。尚、
図6に示すシート状物1は、縦方向(Y方向)に沿う両側部に非スリット領域NTを備えている。
図6に示すシート状物1を製造する際には、ロールの軸方向に平行に配されたカッター刃を、周方向に間欠的に配したロータリーダイと、受けロールとを用い、該ロータリーダイと該受けロールとの間に基材シート20を供給することにより形成できる。
【0069】
また、各吸収性ユニット4の縦方向が複数方向を向くように配列して形成されたシート状物1であってもよい。該複数方向を向くように配列して形成されたシート状物1としては、例えば、複数本の吸収性ユニット4それぞれの縦方向がシート状物1の縦方向(Y方向)を向くように配列して形成された領域を、該シート状物1の縦方向(Y方向)に沿う両側部に有し、複数本の吸収性ユニット4それぞれの縦方向がシート状物1の横方向(X方向)を向くように配列して形成された領域を、前記両側部で挟まれた中央部に有する形態等が挙げられる。このような複数方向を向くように配列させて形成されたシート状物1は、例えば、複数のカッター刃111aと受けロール112とを用いて、搬送される基材シート20の搬送方向(Y1方向)に沿う両側部をそれぞれ複数箇所カットし、その後、周方向に間欠的に配したロータリーダイと受けロールとを用いて、搬送される基材シート20の直交する方向(X1方向)の中央部を複数箇所カットすることにより形成できる。
【0070】
また、上述した
図1に示すシート状物1は、各吸収性ユニット4及び各長尺状基体部2が縦方向(Y方向)に平行に直線状に延びているが、形状を問わず縦方向(Y方向)に延びていればよい。例えば、各吸収性ユニット4及び各長尺状基体部2は、縦方向(Y方向)にS字状を繰り返して延びていてもよく、縦方向(Y方向)にギザギザ状に延びていてもよい。
【0071】
また、上述した本実施態様のシート状物1の製造方法においては、カット工程の後工程に接着剤塗布工程を備え、接着剤塗布工程の後工程に吸水性ポリマー散布工程を備えているが、基材シート20の一方の面である親水度の高い層21に起毛加工を施す場合には、接着剤塗布工程に換えて起毛加工工程を備えればよい。このような起毛加工工程を、カット工程の前工程に備えればよい。起毛加工を施す方法としては、例えば、特開2012−092476号公報に記載の方法、或いは特開2013−028891号公報に記載の方法等が挙げられる。
【0072】
上述した実施形態に関し、さらに以下のシート状物を開示する。
【0073】
<1>
横方向と、該横方向よりも長さの長い縦方向と、厚み方向とを有する長尺状基体部、及び該長尺状基体部の非肌対向面の表面に固定された吸水性ポリマーの粒子を備えた吸収性ユニットを複数本具備し、各該吸収性ユニットを、その縦方向が一方向を向くように配列させてなる吸収性物品用のシート状物であって、前記長尺状基体部は、非肌対向面の親水度が、肌対向面の親水度よりも高いシート状物。
【0074】
<2>
前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収した膨潤後の状態において、該吸水性ポリマーの粒子が、前記長尺状基体部の前記縦方向に沿う側縁部を越えて膨潤し、且つ該長尺状基体部における前記吸水性ポリマーの粒子の位置が、前記厚み方向において、液を吸収する前の位置と異なるようになされている、前記<1>に記載のシート状物。
<3>
前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前の使用前の状態において、前記吸水性ポリマーの粒子が、前記長尺状基体部の側縁部を越えてはみ出している、前記<1>又は<2>に記載のシート状物。
<4>
前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前の使用前の状態において、隣り合う前記長尺状基体部どうしは、少なくとも一部隣接している、前記<1>〜<3>の何れか1に記載のシート状物。
<5>
前記シート状物は、前記縦方向の両端部に、複数の前記長尺状基体部が前記横方向に繋がった非スリット領域を備えており、前記非スリット領域には、前記吸水性ポリマーの粒子が固定されておらず、前記シート状物は、前記縦方向の両端部が、前記吸収性物品に固定されている、前記<1>〜<4>の何れか1項に記載のシート状物。
<6>
前記長尺状基体部は、前記縦方向に沿う両側縁部間の距離が、前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前の状態の平均粒子径よりも大きく、前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収して膨潤した状態の平均粒子径よりも小さい、前記<1>〜<5>の何れか1に記載のシート状物。
<7>
前記シート状物を平面視して、前記吸水性ポリマーの粒子が偏在して固定されており、固定された該吸水性ポリマーの粒子の坪量が相対的に多い部分において、前記長尺状基体部の縦方向に沿う両側縁部間の距離が相対的に短い、前記<1>〜<6>の何れか1に記載のシート状物。
<8>
前記吸水性ポリマーの粒子が液を吸収する前に、前記吸水性ポリマーの粒子は、前記長尺状基体部の非肌対向面の表面にのみ固定されている、前記<1>〜<7>の何れか1に記載のシート状物。
<9>
前記長尺状基体部は、不織布である、前記<1>〜<8>の何れか1に記載のシート状物。
<10>
前記シート状物は、前記吸収性ユニットの縦方向が該シート状物の縦方向を向くように前記吸収性ユニットを複数本配列させて形成されており、前記長尺状基体部の横方向において隣り合う前記吸収性ユニット間においては、介在物が非存在状態となっている、前記<1>〜<9>の何れか1に記載のシート状物。
【0075】
<11>
前記吸収性ユニットは、使用前の状態において、縦方向に長い矩形状に形成されており、該吸収性ユニットの横方向の長さは、好ましくは0.5mm以上10mm以下である、前記<1>〜<10>の何れか1に記載のシート状物。
<12>
前記吸収性ユニットは、使用前の状態において、縦方向に長い矩形状に形成されており、該吸収性ユニットの縦方向の長さは、横方向の長さに対して好ましくは20倍以上200倍以下、更に好ましくは40倍以上80倍以下になっている、前記<1>〜<11>の何れか1に記載のシート状物。
<13>
前記吸収性ユニットは、使用前の状態において、縦方向に長い矩形状に形成されており、該吸収性ユニットの縦方向の長さは、好ましくは10mm以上500mm以下、更に好ましくは200mm以上400mm以下になっている、前記<1>〜<12>の何れか1に記載のシート状物。
<14>
前記長尺状基体部の幅に対しての前記吸収性ユニットの横方向の長さの大小関係は、好ましくは0μm<(Lx−W2)<1400μmであり、更に好ましくは200μm<(Lx−W2)<1000μmである、前記<1>〜<13>の何れか1に記載のシート状物。
<15>
前記シート状物は、縦方向の長さが好ましくは100mm以上1000mm以下であり、横方向の長さが好ましくは50mm以上300mm以下である、前記<1>〜<14>の何れか1に記載のシート状物。
<16>
使用前の状態のシート状物を平面視して、シート状物全体に対する吸収領域の割合は、吸水性ポリマーの粒子の固定された領域で液を吸収し易い観点から、20%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましく、そして、100%以下であることが好ましく、90%以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<16>の何れか1に記載のシート状物。
<17>
前記吸収性ユニットの縦方向を前記シート状物の縦方向を向くように配する場合、吸収性ユニット4は、シート状物1枚当たり、3本以上配されていることが好ましく、50本以上配されていることが更に好ましく、そして、1000本以下配されていることが好ましく、500本以下配されていることが更に好ましい、前記<1>〜<16>の何れか1に記載のシート状物。
<18>
前記シート状物の幅に対する前記長尺状基体部の幅の割合は、前記吸水性ポリマーの前記長尺状基体部への担持量、膨潤阻害、柔軟性、通気性、シート形状の維持等の観点から、0.001以上であることが好ましく、0.002以上であることが更に好ましく、0.200以下であることが好ましく、0.040以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<17>の何れか1に記載のシート状物。
<19>
前記長尺状基体部の幅は、0.3mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることが更に好ましく、そして、10.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましく、1.8mm以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<18>の何れか1に記載のシート状物。
<20>
前記長尺状基体部の肌対向面の親水度、即ち、肌対向面を形成する構成繊維に対するイオン交換水の接触角は、80°以上であることが好ましく、90°以上であることが更に好ましく、そして、180°以下であることが好ましく、120°以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<19>の何れか1に記載のシート状物。
【0076】
<21>
前記長尺状基体部の前記非肌対向面の親水度、即ち、前記非肌対向面を形成する構成繊維に対するイオン交換水の接触角は、0°以上であることが好ましく、30°以上であることが更に好ましく、90°以下であることが好ましく、70°以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<20>の何れか1に記載のシート状物。
<22>
前記長尺状基体部の前記肌対向面の接触角と、前記非肌対向面の接触角との差は、4°より大きいことが好ましく、更に好ましくは5°以上、一層好ましくは7°以上大きく、また30°以下であることが好ましく、更に好ましくは25°以下、一層好ましくは20°以下であることが好ましい、前記<1>〜<21>の何れか1に記載のシート状物。
<23>
接着剤を介して前記吸水性ポリマーの粒子が前記長尺状基体部の表面に固定されている、前記<1>〜<22>の何れか1に記載のシート状物。
<24>
使用前(膨潤前)の状態の前記吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径は、20μm以上であることが好ましく、200μm以上であることが更に好ましく、そして、700μm以下であることが好ましく、500μm以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<23>の何れか1に記載のシート状物。
<25>
膨潤後の状態の前記吸水性ポリマーの粒子の平均粒子径は、200μm以上であることが好ましく、800μm以上であることが更に好ましく、3000μm以下であることが好ましく、2000μm以下であることが更に好ましい、前記<1>〜<24>の何れか1に記載のシート状物。
<26>
前記<1>1〜<25>の何れか1に記載のシート状物と、該シート状物を被覆する液透過性のコアラップシートとを有する吸収性物品用の吸収体。
<27>
前記<26>に記載の吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配された表面シートと、該吸収体の非肌対向面側に配された裏面シートとを有する吸収性物品。