(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の基板処理システムの構成を示す模式図である。
【0009】
図1の基板処理システムは、集塵装置1と、循環流路2と、循環流路バルブ3と、ポンプ4と、タンク5と、第1流路11と、第1流路バルブ12と、第2流路13と、第2流路バルブ14と、基板処理装置15と、制御部16とを備えている。
【0010】
集塵装置1は、集塵対象の粒子Pを含む流体を収容する収容部1aと、収容部1aに流体を導入する導入口1bと、収容部1aから流体を排出する排出口1cとを備えている。流体の例は、水や薬液などの液体や、空気、炭酸ガス、アンモニアガス、シランガスなどの気体である。
【0011】
循環流路2は、導入口1bおよび排出口1cに接続されている。循環流路バルブ3、ポンプ4、およびタンク5は、循環流路2に設けられている。循環流路2における流体の流通や流量は、循環流路バルブ3の開閉や開度を調整することで制御される。循環流路2内の流体は、ポンプ4により移送され、タンク5内に貯留され、収容部1aを導入口1bから排出口1cへと通過する。流体内の粒子Pは、収容部1a内で除去される。
【0012】
図1は、互いに垂直なX方向、Y方向、およびZ方向を示している。本実施形態では、X方向およびY方向は集塵装置1の設置面に平行であり、Z方向は集塵装置1の設置面に垂直である。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、−Z方向を下方向として取り扱う。なお、本実施形態の−Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向と一致していなくてもよい。
【0013】
本実施形態の収容部1aは、直方体形状の内壁面を有しており、具体的には、X方向に垂直で互いに対向する1対の第1壁面S
1A、S
1Bと、Y方向に垂直で互いに対向する1対の第2壁面S
2A、S
2Bと、Z方向に垂直で互いに対向する1対の第3壁面S
3A、S
3Bとを有している。導入口1bは、一方の第1壁面S
1Aに設けられており、排出口1cは、他方の第1壁面S
1Bに設けられている(
図2参照)。
図2は、第1実施形態の集塵装置1の構造を示す斜視図である。
【0014】
図1を再び参照し、基板処理システムの説明を続ける。
【0015】
集塵装置1は、一方の第1壁面S
1A付近に設けられた第1音源21aと、他方の第1壁面S
1Bを形成している第1反射板21bとを備えている。集塵装置1はさらに、一方の第2壁面S
2A付近に設けられた第2音源22aと、他方の第2壁面S
2Bを形成している第2反射板22bとを備えている。集塵装置1はさらに、一方の第3壁面S
3A付近に設けられた第3音源23aと、他方の第3壁面S
3Bを形成している第3反射板23bとを備えている。音源21a、22a、23aは、1つ以上の音源の例である。
【0016】
音源21a、22a、23aは、収容部1a内に音波を発生させる。音源21a、22a、23aの例は、圧電素子である。反射板21b、22b、23bは、音源21a、22a、23aからの音波を反射させる。反射板21b、22b、23bは、音波の反射率が高い材料で形成することが望ましい。音源21a、22a、23aからの音波は、収容部1a内の流体内を伝播し、反射板21b、22b、23bで反射される。
【0017】
集塵装置1は、これらの音源と反射板により、1つ以上の節と1つ以上の腹とを有する定在音波を収容部1a内に発生させることができる。その結果、定在音波の節に向かう力が粒子Pに作用し、粒子Pが定在音波の節の付近にトラップされる。定在音波の節の個数は、何個でもよい。
【0018】
音波の条件は、流体Pをトラップできれば、どのように設定してもよい。例えば、音波の周波数は1〜100MHzに設定され、音波の波長は10〜1000μmに設定され、音波の振幅は0.001〜0.1MPaに設定される。音波の条件は、流体の流速および粘度や、粒子Pの粒径を考慮して設定することが望ましい。音波の周波数は、可聴域内の周波数でも可聴域外の周波数でもよいが、本実施形態の音波は可聴域外の周波数を有している。流体が腐食性を有する場合には、収容部1a内の部品や部材の表面を保護膜で被覆してもよい。
【0019】
なお、第1反射板21bは、音源に置き換えてもよい。すなわち、集塵装置1は、第1壁面S
1A、S
1Bの片面付近のみに音源を備えていてもよいし、第1壁面S
1A、S
1Bの両面付近に音源を備えていてもよい。同様に、第2反射板22bは音源に置き換えてもよいし、第3反射板23bは音源に置き換えてもよい。
【0020】
また、音源21a、22a、23aは、収容部1a内の流体に露出していてもよいし、収容部1a内の流体に露出していなくてもよい。前者の場合、音源21a、22a、23aの表面が、収容部1aの内壁面の一部を構成する。これは、反射板21b、22b、23bと置き換えられる音源についても同様である。
【0021】
第1流路11は循環流路2に接続されており、第1流路バルブ12は第1流路11に設けられている。第1流路11における流体の流通や流量は、第1流路バルブ12の開閉や開度を調整することで制御される。また、第2流路13は循環流路2に接続されており、第2流路バルブ14は第2流路13に設けられている。第2流路13における流体の流通や流量は、第2流路バルブ14の開閉や開度を調整することで制御される。第2流路13は、基板処理装置15に接続されている。
【0022】
集塵装置1は、粒子Pを節の付近にトラップしつつ流体を排出することで、粒子Pが低減された流体を排出することができる。この場合、排出口1cから排出される流体中の粒子Pの濃度は、導入口1bから導入される流体中の粒子Pの濃度よりも低くなる。本実施形態の基板処理システムは、この流体が集塵装置1から排出される際に、第1流路バルブ12を閉じ、第2流路バルブ14を開く。その結果、この流体が第2流路13を介して基板処理装置15に供給される。第2流路13は、流体を基板処理装置15に供給するために使用される。
【0023】
また、集塵装置1は、流体を節の付近にトラップされた粒子Pと共に排出することで、粒子Pが濃縮された流体を排出することができる。この場合、排出口1cから排出される流体中の粒子Pの濃度は、導入口1bから導入される流体中の粒子Pの濃度よりも高くなる。本実施形態の基板処理システムは、この流体が集塵装置1から排出される際に、第1流路バルブ12を開き、第2流路バルブ14を閉じる。その結果、この流体が第1流路11に供給される。第1流路11は、流体を基板処理装置15に供給せずに廃棄するために使用される。
【0024】
基板処理装置15は、収容部31と、保持部32と、回転軸33と、複数のチャックピン34と、ノズル35とを備えている。収容部31は、処理対象のウェハ(基板)Wを収容する。保持部32は、収容部31内のウェハWをチャックピン34により保持する。回転軸33は、矢印Rのように保持部32を回転させることで、ウェハWを回転させる。ノズル35は、第2流路13からの流体をウェハWに吐出する。
【0025】
基板処理装置15は、第2流路13からの流体によりウェハWを処理する。例えば、基板処理装置15は、ウェハWを回転させながらウェハWに流体として洗浄液を供給することで、ウェハWを洗浄することができる。また、基板処理装置15は、ウェハWを回転させながらウェハWに流体としてリンス液を供給することで、ウェハWをリンスすることができる。本実施形態によれば、粒子Pが除去された流体によりウェハWを洗浄またはリンスすることができる。また、基板処理装置15は、ウェハWを回転させながらウェハWに流体として塗布液を供給することで、ウェハWに塗布膜を形成してもよい。
【0026】
制御部16は、基板処理システムの動作を制御する。例えば、制御部16は、集塵装置1、ポンプ4、および基板処理装置15の動作や、循環流路バルブ3、第1流路バルブ12、および第2流路バルブ14の開閉および開度を制御する。
【0027】
図3は、第1実施形態の音源および反射板の作用を説明するための斜視図である。
【0028】
図3(a)は、第1音源21aと第1反射板21bの作用を示している。集塵装置1は、第1音源21aから音波を発生し、第1反射板21bにより音波を反射することで、節X1、X2、X3を有する定在音波を発生させることができる。節X1、X2、X3の形状は、X方向に垂直な平面である。この定在音波の節の個数は、3個以外でもよい。
【0029】
図3(b)は、第2音源22aと第2反射板22bの作用を示している。集塵装置1は、第2音源22aから音波を発生し、第2反射板22bにより音波を反射することで、節Y1、Y2、Y3を有する定在音波を発生させることができる。節Y1、Y2、Y3の形状は、Y方向に垂直な平面である。この定在音波の節の個数は、3個以外でもよい。
【0030】
図3(c)は、第3音源23aと第3反射板23bの作用を示している。集塵装置1は、第3音源23aから音波を発生し、第3反射板23bにより音波を反射することで、節Z1、Z2、Z3を有する定在音波を発生させることができる。節Z1、Z2、Z3の形状は、Z方向に垂直な平面である。この定在音波の節の個数は、3個以外でもよい。
【0031】
図4は、第1実施形態の集塵装置1の動作を説明するための斜視図である。
【0032】
図4では、第1音源21aが節X1、X2を有する定在音波を発生させ、第2音源22aが節Y1、Y2を有する定在音波を発生させ、第3音源23aが節Z1、Z2を有する定在音波を発生させている(節Y1、Y2、Z1、Z2の図示は省略)。
【0033】
集塵装置1は、音源21a、22a、23aから音波を同時に発生させる。その結果、節X1、X2を有する定在音波と、節Y1、Y2を有する定在音波と、節Z1、Z2を有する定在音波とが合成されて、節X1、X2、Y1、Y2、Z1、Z2の交点に節Nを有する合成定在音波が発生する。
図4の各節Nは、壁面S
1A、S
1B、S
2A、S
2B、S
3A、S
3Bに接触しない点形状を有している(ただし、
図4の各節Nは、各節Nの発生位置を見やすくするために、便宜的に四角形で描かれている)。
図4では、合成定在音波の節Nに向かう力が粒子Pに作用し、粒子Pが合成定在音波の節Nの付近にトラップされる。
【0034】
図4に示すように、集塵装置1は、粒子Pを節Nの付近にトラップしつつ流体を排出することで、粒子Pが低減された流体を排出することができる。この場合、排出口1cから排出される流体中の粒子Pの濃度は、導入口1bから導入される流体中の粒子Pの濃度よりも低くなる。この流体は、第2流路13を介して基板処理装置15に供給される。
【0035】
図5は、第1実施形態の集塵装置1の動作を説明するための別の斜視図である。
【0036】
図5は、各節Nの付近にトラップされた粒子Pの集合Gを示している。集塵装置1は、基板処理装置15によるウェハWの処理が終了すると、音源21a、22a、23aを停止し、収容部1a内の流体を排出する。これにより、集塵装置1は、流体を各節Nの付近にトラップされた粒子Pと共に排出することができる。
【0037】
図5に示すように、集塵装置1は、流体をこれらの粒子Pと共に排出することで、粒子Pが濃縮された流体を排出することができる。この場合、排出口1cから排出される流体中の粒子Pの濃度は、導入口1bから導入される流体中の粒子Pの濃度よりも高くなる。この流体は、矢印Aで示すように第1流路11に排出され、基板処理装置15に供給されずに廃棄される。
【0038】
図6は、第1実施形態の比較例の集塵装置1の動作を説明するための斜視図である。
【0039】
図6(a)の比較例の集塵装置1は、音源として第3音源23aのみを備えている。そのため、本比較例の各節Nは、壁面S
1A、S
1B、S
2A、S
2Bに接触する平面形の形状を有している。別言すると、本比較例の各節Nの形状は、壁面S
1A、S
1B、S
2A、S
2Bに端部を有する開曲面となっている。
【0040】
図6(b)の比較例の集塵装置1は、音源として第2および第3音源22a、23aのみを備えている。そのため、本比較例の各節Nは、壁面S
1A、S
1Bに接触する直線形の形状を有している。別言すると、本比較例の各節Nの形状は、壁面S
1A、S
1Bに端部を有する開曲線となっている。
【0041】
これらの比較例では、節Nの付近にトラップされた粒子Pが、端部付近で節Nから離脱することが問題となる。さらには、端部付近で節Nに近付く粒子Pが、トラップされずに節Nを通過することで、節Nから離脱することも問題となる。これらの場合、粒子Pは節Nに束縛されずに移動してしまう。その結果、粒子Pが排出口1cから排出されるなどの問題が生じ(矢印E1、E2を参照)、粒子Pのトラップ効率が低下してしまう。
【0042】
一方、
図4の本実施形態の各節Nは、壁面S
1A、S
1B、S
2A、S
2B、S
3A、S
3Bに接触しておらず、壁面S
1A、S
1B、S
2A、S
2B、S
3A、S
3Bに端部を有していない。そのため、本実施形態によれば、各節Nの端部に起因する粒子Pの離脱の問題を回避することが可能となり、粒子Pのトラップ効率を向上させることが可能となる。
【0043】
このように、本実施形態では、流体中の粒子Pを音波を用いて除去する。よって、本実施形態によれば、流体中の粒子Pをフィルタを用いずに除去することが可能となり、フィルタの問題を回避することが可能となる。例えば、本実施形態によれば、フィルタの目詰まりや、フィルタでの流体の圧損や、フィルタを交換する際のコストや汚染の問題を回避することが可能となる。
【0044】
図7は、第1実施形態の集塵装置1内の定在音波について説明するための図である。
【0045】
図7(a)は、
図3(a)と同様に、第1音源21aと第1反射板21bとの間に発生する定在音波の一例を示している。符号λは、この定在音波の波長を表す。この定在音波から粒子Pに作用する力Fは、次の式(1)で与えられる。
【0046】
F=V[B+(1−γ)]kA
2/(ρc)・sin(2kx) ・・・(1)
ただし、Vは粒子Pの体積を表し、kは音波の波数を表し、Aは音波の振幅を表す。また、B、γ、ρ、cは流体の特性を表す値である。式(1)は、座標xに位置する粒子Pに作用する力Fを表す。
【0047】
図7(b)は、座標xに位置する粒子Pに作用する力Fを表すグラフである。曲線C1、C2、C3はそれぞれ、定在音波の振幅Aが10μm、15μm、20μmの場合の力Fを示している。曲線C1、C2、C3のピークは、定在音波の腹にて粒子Pに作用する力Fを表す。式(1)や曲線C1、C2、C3から分かるように、力Fは、定在音波の波数kや振幅Aを大きくすることで増加させることが可能である。
【0048】
以上のように、本実施形態の音源21a、22a、23aは、収容部1aの内壁面に接触しない節Nを有する定在音波を発生させ、定在音波の節Nの付近に粒子Pをトラップする。よって、本実施形態によれば、粒子Pのトラップ効率を向上させたり、フィルタの問題を回避するなど、流体中の粒子Pを適切に除去することが可能となる。
【0049】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の集塵装置1の構造を示す斜視図である。
【0050】
本実施形態の収容部1aは、円柱形状の内壁面を有しており、具体的には、X方向に垂直で互いに対向する1対の第1壁面S
4A、S
4Bと、X方向に延びる筒形状を有する第2壁面S
5とを有している。導入口1bは、一方の第1壁面S
4Aに設けられており、排出口1cは、他方の第1壁面S
4Bに設けられている。
【0051】
集塵装置1は、一方の第1壁面S
4A付近に設けられた第1音源24aと、他方の第1壁面S
4Bを形成している第1反射板24bとを備えている。集塵装置1はさらに、第2壁面S
5付近に設けられた第2音源25を備えている。第1および第2音源24a、25は、1つ以上の音源の例である。
【0052】
第1および第2音源24a、25は、収容部1a内に音波を発生させる。第1反射板24bは、第1および第2音源24a、25からの音波を反射させる。集塵装置1は、これらの音源と反射板により、1つ以上の節と1つ以上の腹とを有する定在音波を収容部1a内に発生させることができる。その結果、定在音波の節に向かう力が粒子Pに作用し、粒子Pが定在音波の節の付近にトラップされる。
【0053】
なお、第1反射板24bは、音源に置き換えてもよい。すなわち、集塵装置1は、第1壁面S
4A、S
4Bの片面付近のみに音源を備えていてもよいし、第1壁面S
4A、S
4Bの両面付近に音源を備えていてもよい。
【0054】
図9は、第2実施形態の音源および反射板の作用を説明するための斜視図である。
【0055】
図9(a)は、第1音源24aと第1反射板24bの作用を示している。集塵装置1は、第1音源24aから音波を発生し、第1反射板24bにより音波を反射することで、節R1、R2、R3を有する定在音波を発生させることができる。節R1、R2、R3の形状は、X方向に垂直な平面である。この定在音波の節の個数は、3個以外でもよい。
【0056】
図9(b)は、第2音源25の作用を示している。集塵装置1は、第2音源25から音波を発生することで、節θ1、θ2、θ3を有する定在音波を発生させることができる。節θ1、θ2、θ3は、X方向に延びる筒形状を有している。この定在音波の節の個数は、3個以外でもよい。
【0057】
図9(c)では、第1音源24aが節R1、R2、R3を有する定在音波を発生させ、第2音源25が節θ1、θ2、θ3を有する定在音波を発生させている(これらの節の図示は省略)。
【0058】
集塵装置1は、第1および第2音源24a、25から音波を同時に発生させる。その結果、節R1、R2、R3を有する定在音波と、節θ1、θ2、θ3を有する定在音波とが合成されて、節R1、R2、R3、θ1、θ2、θ3の交線に節Nを有する合成定在音波が発生する。
図9(c)の各節Nの形状は、壁面S
4A、S
4B、S
5に接触しない閉曲線(具体的には円環)となっている。
図9(c)では、合成定在音波の節Nに向かう力が粒子Pに作用し、粒子Pが合成定在音波の節Nの付近にトラップされる。
【0059】
図9(c)の各節Nは、壁面S
4A、S
4B、S
5に接触しておらず、壁面S
4A、S
4B、S
5に端部を有していない。よって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、各節Nの端部に起因する粒子Pの離脱の問題を回避することが可能となり、粒子Pのトラップ効率を向上させることが可能となる。なお、節Nの形状は、円環以外の閉曲線でもよい。
【0060】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態の集塵装置1の構造を示す斜視図である。
【0061】
本実施形態の収容部1aは、球形状の内壁面である第1壁面S
6を有している。集塵装置1は、第1壁面S
6付近に設けられた第1音源26を備えている。第1音源26は、1つ以上の音源の例である。
【0062】
集塵装置1は、第1音源26により、1つ以上の節と1つ以上の腹とを有する定在音波を収容部1a内に発生させることができる。その結果、定在音波の節に向かう力が粒子Pに作用し、粒子Pが定在音波の節の付近にトラップされる。
【0063】
符号Cは、球形状の第1壁面S
6の中心を示している。本実施形態では、導入口1bと中心Cとの距離が、排出口1cと中心Cとの距離と異なることが望ましい。
図10では、導入口1bが第1壁面S
6付近に設けられ、排出口1cが中心C付近に設けられることで、このような設定が実現されている。このような設定の詳細は、
図11を参照して説明することにする。
【0064】
図11は、第3実施形態の集塵装置1の動作を説明するための断面図である。
【0065】
図11(a)は、導入口1bと中心Cとの距離が、排出口1cと中心Cとの距離と同じである集塵装置1を示している。この集塵装置1は、1つ以上の節Nとして、球形状の節ρ1、ρ2、ρ3を有する定在音波を発生させることができる。この定在音波の節Nの個数は、3個以外でもよい。
【0066】
図11(a)の各節Nの形状は、第1壁面S
6に接触しない閉曲面(具体的には球面)となっている。
図11(a)では、定在音波の節Nに向かう力が粒子Pに作用し、粒子Pが定在音波の節Nの付近にトラップされる。
【0067】
図11(a)の各節Nは、第1壁面S
6に接触しておらず、第1壁面S
6に端部を有していない。よって、本実施形態によれば、第1および第2実施形態と同様に、各節Nの端部に起因する粒子Pの離脱の問題を回避することが可能となり、粒子Pのトラップ効率を向上させることが可能となる。なお、節Nの形状は、球面以外の閉曲面でもよい。
【0068】
しかしながら、
図11(a)では、導入口1bからの粒子Pは、いずれの節Nも通過せずに排出口1cに到達することができる(矢印A1を参照)。理由は、導入口1bと中心Cとの距離が、排出口1cと中心Cとの距離と同じであるからである。この場合、この粒子Pは節Nの付近にトラップされない可能性がある。
【0069】
図11(b)は、導入口1bと中心Cとの距離が、排出口1cと中心Cとの距離と異なる集塵装置1を示している。この集塵装置1は、1つ以上の節Nとして、球形状の節ρ1、ρ2、ρ3を有する定在音波を発生させることができる。この定在音波の節Nの個数は、3個以外でもよい。
【0070】
図11(b)では、導入口1bからの粒子Pは、いずれの節Nも通過せずに排出口1cに到達することはできない(矢印A2を参照)。理由は、導入口1bと中心Cとの距離が、排出口1cと中心Cとの距離と異なるからである。これにより、
図11(a)のように粒子Pがトラップされない可能性を低減することが可能となる。
【0071】
なお、
図11(b)の排出口1cは、中心Cの付近ではなく、中心Cと第1壁面S
6との間に設けられていてもよい。この場合、導入口1bからの粒子Pは、第1壁面S
6付近の節Nを通過し、中心C付近の節Nを通過せずに排出口1cに到達することができる。この粒子Pは、第1壁面S
6付近の節Nによりトラップされる可能性が高い。
【0072】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態の集塵装置1の構造を示す斜視図である。
【0073】
本実施形態の収容部1aは、直方体形状の内壁面を有しており、具体的には、X方向に垂直で互いに対向する1対の第1壁面S
1A、S
1Bと、Y方向に垂直で互いに対向する1対の第2壁面S
2A、S
2Bと、Z方向に垂直で互いに対向する1対の第3壁面S
3A、S
3Bとを有している。導入口1bは、一方の第1壁面S
1Aに設けられており、排出口1cは、他方の第1壁面S
1Bに設けられている。これは、第1実施形態と同様である。
【0074】
集塵装置1は、一方の第1壁面S
1A付近に設けられた第1音源21aと、他方の第1壁面S
1Bを形成している第1反射板21bとを備えている。第1音源21aは、1つ以上の音源の例である。
【0075】
集塵装置1はさらに、第2壁面S
2A、S
2Bを形成している壁材27a、27bと、第3壁面S
3A、S
3Bを形成している壁材28a、28bとを備えている。第2および第3壁面S
2A、S
2B、S
3A、S
3Bは、収容部の壁面の所定部分の例である。
【0076】
図13は、第4実施形態の音源、反射板、および壁材の作用を説明するための断面図である。
【0077】
本実施形態の集塵装置1は、1つ以上の節Nとして、節X1、X2、X3を有する定在音波を発生させることができる。その結果、これらの節Nに向かう力が粒子Pに作用し、粒子Pがこれらの節Nの付近にトラップされる。
【0078】
本実施形態の集塵装置1は、音源として第1音源21aのみを備えている。そのため、本実施形態の各節Nは、壁面S
2A、S
2B、S
3A、S
3Bに接触する平面形の形状を有している。別言すると、本実施形態の各節Nの形状は、壁面S
2A、S
2B、S
3A、S
3Bに端部を有する開曲面となっている。これは、
図6(a)の比較例の場合と同様である。
【0079】
図6(a)の比較例では、節Nの付近にトラップされた粒子Pが、端部付近で節Nから離脱することが問題となる。さらには、端部付近で節Nに近付く粒子Pが、トラップされずに節Nを通過することで、節Nから離脱することも問題となる。これらの場合、粒子Pは節Nに束縛されずに移動してしまう。その結果、粒子Pが排出口1cから排出されるなどの問題が生じ、粒子Pのトラップ効率が低下してしまう。
【0080】
そのため、本実施形態の壁面S
2A、S
2B、S
3A、S
3Bは、壁面S
2A、S
2B、S
3A、S
3B付近の節Nから粒子Pが離脱することを阻止可能な壁材27a、27b、28a、28bで形成されている。このような壁材27a、27b、28a、28bの例は、粒子Pの封止性が良い、壁面付近で粒子Pが移動しにくいなどの性質を持つ壁材である。本実施形態によれば、各節Nの端部が壁材27a、27b、28a、28bに接触することで、各節Nの端部に起因する粒子Pの離脱の問題を回避することが可能となり、粒子Pのトラップ効率を向上させることが可能となる。
【0081】
なお、壁材27a、27b、28a、28bは、壁面S
2A、S
2B、S
3A、S
3B付近の節Nからの粒子Pの離脱を阻止可能な別の部材(冶具)に置き換えてもよい。このような部材の例は、保護膜や塗布膜などである。
【0082】
また、本実施形態の集塵装置1は、音源として第1および第2音源21a、22aのみを備えていてもよい。この場合の各節Nは、壁面S
3A、S
3Bに接触する直線形の形状を有する。別言すると、この場合の各節Nの形状は、壁面S
3A、S
3Bに端部を有する開曲線となる。これは、
図6(b)の比較例の場合と同様である。この場合、本実施形態の壁面S
3A、S
3Bは、壁面S
3A、S
3B付近の節Nから粒子Pが離脱することを阻止可能な壁材28a、28bで形成される。
【0083】
(第5実施形態)
図14は、第5実施形態の集塵装置1の構造を示す斜視図である。
【0084】
本実施形態の収容部1aは、円柱形状の内壁面を有しており、具体的には、X方向に垂直で互いに対向する1対の第1壁面S
4A、S
4Bと、X方向に延びる筒形状を有する第2壁面S
5とを有している。導入口1bは、一方の第1壁面S
4Aに設けられており、排出口1cは、他方の第1壁面S
4Bに設けられている。これは、第2実施形態と同様である。
【0085】
集塵装置1は、一方の第1壁面S
4A付近に設けられた第1音源24aと、他方の第1壁面S
4Bを形成している第1反射板24bとを備えている。第1音源24aは、1つ以上の音源の例である。
【0086】
集塵装置1はさらに、第2壁面S
5を形成している壁材29を備えている。第2壁面S
5は、収容部の壁面の所定部分の例である。
【0087】
本実施形態の集塵装置1は、音源として第1音源24aのみを備えている。そのため、本実施形態の各節Nは、
図9(a)の節R1、R2、R3と同様に、壁面S
5に接触する平面形の形状を有する(不図示)。別言すると、本実施形態の各節Nの形状は、壁面S
5に端部を有する開曲面となる。そのため、本実施形態の壁面S
5は、第4実施形態の場合と同様の理由から、壁面S
5付近の節Nから粒子Pが離脱することを阻止可能な壁材29で形成されている。これにより、粒子Pのトラップ効率を向上させることが可能となる。
【0088】
なお、第3実施形態の
図11(b)では、排出口1cが中心C付近に位置するため、循環流路2の一部が収容部1a内に位置している。そのため、節Nが循環流路2の外周面に接触している。よって、収容部1a内の循環流路2の外周面は、第4および第5実施形態のような壁材で形成してもよい。
【0089】
(第6実施形態)
図15は、第6実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0090】
図15(a)は、
図1のウェハWを示している。ウェハWは、半導体基板41と、半導体基板41上に形成された被加工層42とを備えている。被加工層42は、半導体基板41上に直接形成されてもよいし、半導体基板41上に他の層を介して形成されてもよい。被加工層
42は、
図15(a)では絶縁膜であるが、導体層や半導体層でもよい。
【0091】
本実施形態では、半導体基板41上に被加工層42を形成した後、被加工層42をエッチングにより加工する(
図15(b))。その結果、被加工層42が複数の凸部42aに加工される。凸部42aの例は、配線パターンや、配線パターンを形成するためのハードマスクパターンである。
【0092】
次に、ウェハWを基板処理装置15内に搬入する。そして、基板処理装置15は、矢印RのようにウェハWを回転させながら、ノズル35からウェハWに基板処理液43を吐出する(
図15(c))。基板処理液43の例は、集塵装置1からの流体であり、例えば洗浄液やリンス液である。本実施形態では、洗浄液によりウェハWを洗浄することや、リンス液によりウェハWをリンスすることが可能である。
【0093】
その後、本実施形態ではウェハWの加工が継続される。このようにして、ウェハWから半導体装置が製造される。
【0094】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置、システム、および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置、システム、および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。