(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記圧縮機の上面から前記収容室の天井面までの高さ寸法は、前記圧縮機の高さ寸法よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
前記圧縮機は、当該圧縮機の前記高さ寸法が130mm以下、かつ、扁平率が70%以下に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫1A,1B,1C,1Dについて図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫の縦断面図である。
図1に示すように、冷蔵庫1Aは、例えば、上側から、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5および野菜室6を配置することで構成されている。なお、製氷室3と上段冷凍室4は、左右に並べて設けられている。冷蔵室2は、左右に分割された観音開き式の冷蔵室扉2a,2bを備えている。製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5および野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5aおよび野菜室扉6aを備えている。
【0010】
また、冷蔵庫1Aは、庫外と庫内とが内部に発泡断熱材を充填することで構成された断熱箱体10により隔てられている。この断熱箱体10は、発泡断熱材の他に真空断熱材(不図示)を備え、この真空断熱材によって断熱性を高めている。
【0011】
断熱箱体10は、外郭を成す外箱10aと、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の食品等を貯蔵する各貯蔵室を構成する内箱10bとを有している。また、断熱箱体10は、冷蔵室2と、製氷室3および上段冷凍室4との間に断熱仕切壁10cを備え、下段冷凍室5と野菜室6との間に断熱仕切壁10dを備えている。
【0012】
また、冷蔵庫1Aは、冷却器7a、冷却器収納室7b、庫内ファン7c、冷気ダクト7d,7e、冷蔵室ダンパ7f、冷凍室ダンパ7gなどを備えている。
【0013】
冷却器7aは、冷凍サイクルの一部を構成するものであり、下段冷凍室5の略背部に設けられた冷却器収納室7bに収納されている。冷凍サイクルは、圧縮機(コンプレッサ)8、凝縮器(コンデンサ、図示せず)、キャピラリチューブ(減圧手段、図示せず)および冷却器(エバポレータ)7aを含んで構成され、圧縮機8、凝縮器、キャピラリチューブ、冷却器7aの順に冷媒が流れるように接続されている。圧縮機8は、断熱箱体10の背面側の下部に設けられた機械室Q(収容室)に設置され、送風ファン13(
図2参照)によって冷却されるように構成されている。機械室Qは、断熱箱体10の外側に形成されている。
【0014】
また、冷却器7aの下部には、除霜ヒータHeが設けられている。除霜ヒータHeによって除霜時に発生したドレン水は、桶7hに一旦落下し、ドレン孔7iを介して圧縮機8の上部に設けた蒸発皿7jに溜められる。
【0015】
庫内ファン7cは、冷却器収納室7bにおける冷却器7aの上方に設置され、冷却器7aで熱交換により生成された冷気を、冷気ダクト7d,7eを通して、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5の各貯蔵室へ送るようになっている。
【0016】
冷蔵室ダンパ7fは、開閉することにより、冷蔵室2への冷気の送風を制御するものである。冷凍室ダンパ7gは、開閉することにより、製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5への冷気の送風を制御するものである。
【0017】
図2は、第1実施形態に係る冷蔵庫の機械室を示す斜視図である。
図2に示すように、冷蔵庫1Aの機械室Qは、底面を構成する台板(底板)11Aと、左右の側面を構成する側板12,12と、背面側(後面側)を構成する背板(図示省略)と、前側および天井側を構成する前記断熱箱体10の一部(前板10eおよび天板10f)と、で囲まれることによって構成されている。
【0018】
また、機械室Q内には、前記した圧縮機8の他に、この圧縮機8を冷却する送風ファン13などが収容されている。なお、
図2では、機械室Qの内部構成をわかり易くするため、凝縮器キャピラリチューブなどの配管類の図示を省略している。
【0019】
機械室Qの右側の側面を構成する側板12には、冷蔵庫1Aの外部の空気を機械室Q内に取り込む空気取込口12aが形成されている。また、機械室Qの左側の側面を構成する側板12には、機械室Qに取り込んだ空気を冷蔵庫1Aの外部に排出する空気排出口12bが形成されている。
【0020】
空気取込口12aは、板金を台形状に切り欠いた開口12sに、カバー部材12a1を取り付けることで構成されている。カバー部材12a1は、格子状に形成された複数の通気孔12a2を備え、内側の周縁部に形成された複数の爪部材12tを開口12sの周縁部に係合させることで固定されている。このように、開口12sにカバー部材12a1を取り付けることによって、切り欠いて形成された開口12sの端面を腐食から保護することができる。また、空気排出口12bは、空気取込口12aと左右対称形状であり、複数の通気孔12b2を備えたカバー部材12b1を側板12に取り付けることで構成されている。
【0021】
図3は、第1実施形態に係る冷蔵庫の底面図である。
図3に示すように、冷蔵庫1Aは、断熱箱体10の左右前端下部にそれぞれ配置された脚部14,14と、断熱箱体10の左右後端下部にそれぞれ配置されたローラ15A,15Aと、を備えている。この脚部14,14とローラ15A,15Aとで、冷蔵庫1Aを支持している。
【0022】
外箱10aは、断熱箱体10の上部外表面および左右外表面を形成する鋼板であり、プレス成形して形成されている。台板11Aは、機械室Q(
図2参照)の底面を構成するものであり、左右方向に細長い板形状を呈し、左右両端において、側板12,12に固定されている。ローラ15A,15Aは、台板11Aに回転自在にして軸支されている。なお、台板11Aは、冷蔵庫1Aの底面に略水平に設置された鋼板によって形成されている。
【0023】
図4は、第1実施形態に係る冷蔵庫の機械室を示す一部切欠斜視図である。なお、
図4は、機械室Qの内部底側の構成をわかり易くするために、
図2に示す台板11Aの後端(図示手前側)に位置する立ち上がり部11a(
図2参照)を切り取った状態を示している。
図4に示すように、圧縮機8は、従来の圧縮機よりも扁平な形状を呈し、前後左右の4箇所に設けられたゴム座16(弾性部材、1箇所不図示)によって台板11A上において弾性支持されている。すなわち、圧縮機8は、ゴム座16を取り付けるためのブラケット17(支持片)を備えている。
【0024】
送風ファン13は、圧縮機8と空気取込口12aとの間に配置され、送風ファン13の回転中心軸Gの一方が圧縮機8の側を向き、他方が空気取込口12aの側を向くように配置されている。つまり、圧縮機8と送風ファン13と空気取込口12aは、左右方向に沿って略直線状に配置されている。また、送風ファン13は、羽根13aと、この羽根13aを回転支持するフレーム13bと、を有し、フレーム13bが台板11Aに固定されている。
図4において矢印で示すように、送風ファン13が作動(羽根13aが回転)することで、空気取込口12aを通して空気が機械室Qに取り込まれ、圧縮機8を冷却した後に、空気排出口12bから空気が排出される。
【0025】
図5は、第1実施形態に係る冷蔵庫の機械室を示す背面図である。
図5に示すように、圧縮機8が配置される台板11Aは、窪み部11bを有し、窪み部11bの最下面(底面)11b1が側板12の下端よりも低くなるように構成されている。この窪み部11bの最下面11b1は、左右のローラ15A,15Aが接する床の設置面Mよりも上方に位置している。圧縮機8の下面8aは、ゴム座16を支持するブラケット17よりも下方に位置している。機械室Qに扁平な圧縮機8を設けることにより、圧縮機8の上面8bと、機械室Qの天板10fとの間の空間Sを広げることができ、これにより圧縮機8の上部に熱がこもり難くなっている。
【0026】
図6は、
図5のA−A線断面図である。
図6に示すように、ゴム座16は、略円筒形状を呈し、台板11Aとブラケット17との間に配置される基部16aと、この基部16aの中心軸に同心円状に一体に設けられた突出部16bと、を有して構成されている。突出部16bの上端外周面には、抜け止め突起16b1が形成されている。ブラケット17には上下方向に貫通する貫通孔17aが形成され、この貫通孔17aと対向する台板11Aに固定孔11cが形成されている。台板11Aとブラケット17との間に基部16aが配置され、貫通孔17aから突出部16bが上方に突き出るようにして配置される。そして、ピンPが固定孔11cに下方から挿通され、基部16aおよび突出部16b内に挿入されることで、突出部16bが拡径する。これにより、ゴム座16は、突出部16bが固定孔11cから抜け出ることなく台板11A上に固定される。
【0027】
図7は、第1実施形態に係る冷蔵庫の機械室を示す側面図である。なお、
図7は、冷蔵庫1Aの外側から空気取込口12aを通して機械室Qの内部を覗いた状態である。
図7に示すように、空気取込口12aの高さ寸法をHとし、送風ファン13の回転中心をO1としたときに、空気取込口12aの高さ方向の中心Hcは、回転中心O1よりも上方に位置している。なお、空気取込口12aの高さ寸法Hの上端は、カバー部材12a1の最上部に位置する通気孔12a2の上端12a3であり、カバー部材12a1の空気取込口12aの高さ寸法Hの下端は、最下部に位置する通気孔12a2の下端12a4である。
【0028】
なお、本実施形態では、側板12に開口12s(
図2参照)を切り欠いてカバー部材12a1を取り付けた場合を例に挙げて説明したが、側板12に直接に格子状(スリット状)に通気孔を設ける構成であってもよい。また、側板12に格子状ではなく、単一の孔を設ける構成であってもよい。
【0029】
図8は、第1実施形態に係る冷蔵庫に搭載される圧縮機を示す縦断面図である。
図8に示すように、圧縮機(密閉型圧縮機)8は、圧縮要素20および電動要素30を密閉容器(チャンバ)18内に配置して構成されたいわゆるレシプロ圧縮機である。圧縮要素20および電動要素30は、密閉容器18内において複数のコイルバネ39(弾性材)を介して弾性的に支持されている。密閉容器18は、略上半分の外郭を構成する上ケース18mと略下半分の外郭を構成する下ケース18nとが溶接などで接合され、内部に圧縮要素20および電動要素30を収容する空間を有している。
【0030】
圧縮要素20は、シリンダ21と、このシリンダ21内においてピストン22を往復動させることで冷媒を圧縮するクランクシャフト23と、このクランクシャフト23を軸支するラジアル軸受25と、を備えている。ラジアル軸受25(軸受)は、シリンダ21およびフレーム24と一体に形成されている。クランクシャフト23は、スラスト軸受26を介してフレーム24に回転自在に支持されている。
【0031】
フレーム24は、略水平方向に延びるベース24aを有し、シリンダ21がベース24aの上部に位置している。また、フレーム24の略中央部には、鉛直方向下方に(下ケース18nの底面に向けて)延びる円筒形状のラジアル軸受25が形成されている。また、フレーム24は、シリンダ21の一部を構成している。
【0032】
シリンダ21は、クランクシャフト23の回転中心軸Oよりも径方向の外側の偏った位置に形成されている。また、シリンダ21の軸方向の外周側の端部にはヘッドカバー27が取り付けられ、反対側の端部にはピストン22が挿入されている。このように、シリンダ21とヘッドカバー27とピストン22とによって、圧縮室(シリンダ室)Q1が構成されている。なお、シリンダ21とヘッドカバー27との間には、冷媒を吸気する際に開く吸気弁、圧縮した冷媒を吐出する際に開く吐出弁を備えた弁開閉機構(不図示)が設けられている。
【0033】
ラジアル軸受25は、クランクシャフト23が軸支されるすべり軸受によって構成されている。また、ラジアル軸受25は、フレーム24に形成された貫通孔24bによって構成されている。スラスト軸受26は、ベース24aの上面の貫通孔24bの周囲に円形溝状に形成された凹部24cに配置されている。
【0034】
コネクティングロッド22aの大径側の端部22bは、後記するクランクピン23aと連結され、コネクティングロッド22aの小径側の端部22cは、ピン22dを介してピストン22と連結されている。
【0035】
クランクシャフト23の上端部には、クランクピン23aが形成され、クランクピン23aがクランクシャフト23の回転中心軸Oから偏心した位置に形成されている。また、クランクシャフト23の下端部は、下ケース18nの近傍に位置している。クランクピン23aが回転中心軸Oに対して偏心回転することで、ピストン22がシリンダ21内を往復運動するようになっている。
【0036】
また、クランクシャフト23は、貫通孔24bの上方において、回転中心軸Oに対して直交する方向(水平方向)に延びるフランジ部23bを有している。なお、本実施形態では、フランジ部23bが、バランスウエイトと兼用する構造となっている。バランスウエイトは、圧縮要素20が駆動したときの振動を低減する機能を有している。これにより、圧縮要素20の高さ寸法を低減でき、圧縮機8の小型化に寄与できる。
【0037】
また、クランクシャフト23には、軸方向の下端から上方に向けて凹形状の中繰り穴23cが形成され、クランクシャフト23内に中空部を有するように構成されている。また、クランクシャフト23には、中繰り穴23cの上端からフランジ部23bの上面に貫通する上部連通孔23dが形成されている。
【0038】
また、クランクシャフト23の外周面には、らせん溝23eがフランジ部23bの近傍まで形成されている。らせん溝23eの上端部は、クランクピン23aに形成された凹形状のピン部中繰り穴23fと、ピン部連通孔23gを介して連通している。
【0039】
クランクシャフト23の中空部には、固定軸部材28が挿入されている。固定軸部材28は、図示しない固定具によって、クランクシャフト23の回転時においても回転しないように固定されている。固定軸部材28の外周面には、固定軸らせん溝28aが形成されている。この固定軸らせん溝28aの壁面と中繰り穴23cの壁面とでらせん状の潤滑油通路が形成され、クランクシャフト23の回転による壁面移動に伴い、潤滑油が粘性の効果で壁面に引きずられて固定軸らせん溝28a内を上昇するようになっている。
【0040】
中繰り穴23cを上昇した潤滑油は、上部連通孔23dを通ってフランジ部23b上に吹き出して、スラスト軸受26を潤滑する。また、クランクシャフト23のらせん溝23eを上昇した潤滑油は、クランクシャフト23とラジアル軸受25との間を潤滑するとともに、ピン部連通孔23gを通って、クランクピン23aのピン部中繰り穴23fに向けて流れ込み、コネクティングロッド22aの周辺を潤滑する。なお、スラスト軸受26などを潤滑した潤滑油は、上下方向に貫通する孔24s(
図9参照)を介して、密閉容器18の底の潤滑油溜まりに戻るように構成されている。
【0041】
電動要素30は、フレーム24の下側(ベース24aの下方)に配置され、ロータ31およびステータ32を含んで構成されている。
【0042】
ロータ31は、電磁鋼板を積層したロータコアを備えて構成され、クランクシャフト23の下部に圧入などによって固定されている。また、ロータ31は、半径Rが厚み(軸方向の高さ)T1よりも大きい扁平形状である。また、ロータ31の厚み(軸方向の高さ)T1は、ラジアル軸受25の長さ(軸受長)Lの略半分程度に設定されている。
【0043】
ステータ32は、ロータ31の外周に配置され、円筒状のステータコアとこのステータコアの内周に形成された複数のスロットとからなる鉄心32aと、鉄心32aに絶縁体(図示せず)を介して巻回されたコイル32bとを備えて構成されている。また、鉄心32aは、
図1の縦断面視において、径方向の長さL1が厚み(軸方向の高さ)T2よりも長い扁平形状である。コイル32bも、
図1の縦断面視において、径方向の長さが厚み(軸方向の高さ)よりも長い扁平形状である。また、鉄心32aの厚み(軸方向の高さ)T2は、ロータ31の厚み(軸方向の高さ)T1と同程度になるように構成されている。このように、ロータ31を扁平にした場合、ステータ32の径も広げて扁平形状にすることで、ロータ31を回転させるためのトルクをかせぐことができる。
【0044】
このようにして圧縮要素20および電動要素30が設けられたフレーム24は、密閉容器18内において複数のコイルバネ39,39を介して弾性支持されている。また、圧縮要素20および電動要素30は、運転時に振動したときに、密閉容器18の内壁面に接触しないように、所定のクリアランスCLが予め設定された状態で設計されている。
【0045】
コイルバネ39は、圧縮要素20の一部を構成するシリンダ21の側(圧縮機室側Q2、
図1の左側)と、シリンダ21の側とは反対側(反圧縮機室側Q3、
図1の右側)とにそれぞれ設けられている。なお、本実施形態では、コイルバネ39が、圧縮室側と反圧縮室側のそれぞれにおいて、
図8の紙面に直交する方向の手前側と奥側に計4本設けられている(
図9参照)。なお、すべてのコイルバネ39は、いずれも同一の形状およびばね特性を有している。このように、コイルバネ39を単一種類にすることで、コイルバネ39が異種混在する場合の配置ミスを防止できる。ただし、コイルバネ39の本数は、4本に限定されるものではなく、3本であってもよく、5本以上であってもよい。
【0046】
また、フレーム24は、シリンダ21よりも外周側(径方向外側)に延びる延出部24dを有している。この延出部24dは、ステータ32よりも外周側に延びている。また、延出部24dの下面には、コイルバネ39の上部に嵌合して保持する突起部24eが形成されている。
【0047】
また、フレーム24は、延出部24dとは反対側においても、延出部24dと同程度に延びる延出部24fを有している。この延出部24fも、ステータ32よりも外周側に延びている。また、延出部24fの下面には、コイルバネ39の上部に嵌合して保持する突起部24gが形成されている。
【0048】
密閉容器18の底面には、ステータ32の外周側において、密閉容器18内に突出するように盛り上がる段差部18aが形成されている。この段差部18aは、下ケース18nの底面の一部と側面の一部とが合わさって外表面が凹み形状となることで構成されている。また、段差部18aは、コイルバネ39の位置と対応する位置に設けられている。また、段差部18aの上端には、コイルバネ39の下部が嵌合して保持する突起部18bが形成されている。突起部18bは、ロータ31の下面31aよりも上方に位置している。なお、潤滑油の油面40は、潤滑油がロータ31と浸からないように、ロータ31の下面31aよりも下側に位置するように構成されている。
【0049】
図9は、第1実施形態に係る冷蔵庫に搭載される圧縮機の内部を示す平面図である。なお、
図9では、圧縮機8内の冷媒の流れについて説明する。
図9に示すように、冷蔵庫の冷却器7a(
図1参照)から戻って、密閉容器18の吸入パイプ18eから導入された冷媒は、吸入サイレンサ41の吸入口(不図示)から吸入された後、ヘッドカバー27などを介して圧縮室Q1(
図8参照)に導入される。そして、圧縮室Q1においてピストン22によって圧縮された冷媒は、吐出室空間(不図示)を通って、フレーム24に形成された吐出サイレンサ42a,42bおよびパイプ18fを通って、吐出パイプ18gから凝縮器(不図示)およびキャピラリーチューブ(不図示)を介して冷却器7a(
図1参照)に送られる。
【0050】
図10は、
図5のB−B線断面図である。
図10に示すように、送風ファン13のフレーム13bは、略正方形状の基部13b1を有し、羽根13aを回転自在に支持している。この基部13b1の一辺の長さは、機械室Qの天板10fの前後方向の長さと略同じに形成されている。また、基部13b1の上面と天板10fとの間には、空間が形成されている。また、基部13b1の前面には、断熱箱体10の前板10eに向けて突出するとともに前板10eの傾きに沿って延在する前延出部13b2が形成されている。また、基部13b1の下面には、台板11Aに向けて突出するとともに台板11Aと接するようにして前後方向に延在する下延出部13b3が形成されている。また、基部13b1の後面には、後方に向けて突出するとともに上下方向に沿って延在する後延出部13b4が形成されている。よって、本実施形態では、フレーム13bの上部には、該フレーム13bの上部と天板10fとの間に大きな隙間が形成され、フレーム13bの前部には、該フレーム13bの前部と前板10eとの間に前記上部の隙間よりも小さい隙間が形成されている。
【0051】
空気取込口12aの上端12a3は、送風ファン13の羽根13aの上端13a1よりも若干上方に位置している。また、送風ファン13の羽根13aの下端13a2は、空気取込口12aの下端12a4よりも下方に位置している。このように、空気取込口12aは、送風ファン13の羽根13aに対して上方寄りに配置されている。
【0052】
図11は、
図5のC−C線断面図である。
図11に示すように、送風ファン13は、圧縮機8に対して上下方向の上寄りに配置されている。換言すると、送風ファン13の羽根13aの略半分が圧縮機8の上面8bから上方に突出するように配置されている。また、空気取込口12aは、圧縮機8に対して上寄りに配置されている。換言すると、空気取込口12aの略半分が圧縮機8の上面8bから上方に突出するように配置されている。
【0053】
また、空気取込口12aの開口の高さ寸法Hは、圧縮機8の高さ寸法H10よりも大きく形成されている。また、送風ファン13の羽根13aの直径寸法D10(
図10参照)は、圧縮機8の高さ寸法H10よりも大きく形成されている。
【0054】
ところで、圧縮機8を小型にすると、密閉容器18の表面積が減少するので、圧縮機8の放熱性が低下する。圧縮機8の放熱性を高めるために送風ファン13の回転速度を上げると、圧縮機8から発生する音や振動が大きくなる課題がある。そこで、送風ファン13と圧縮機8の関係について、D10>H10となるように設定することにより、送風ファン13から圧縮機8に向けて吐出させる空気の流量を増やすことができるので、圧縮機8の放熱性を向上させることができる。また、D10>H10に設定することで、送風ファン13の回転速度を下げることが可能になるので、送風ファン13の音や振動を抑えることが可能になる。このようにして、音や振動を抑えつつ圧縮機8を効率的に冷却することができる。
【0055】
また、空気取込口12aと圧縮機8の関係について、H>H10となるように設定することにより、空気取込口12aから機械室Q内に取り込む空気の流量を増やすことができるので、圧縮機8に吹き付ける空気の流量を増やすことができ、圧縮機8の放熱性を向上させることができる。また、H>H10に設定することで、送風ファン13の回転速度を下げることが可能になるので、送風ファン13の音や振動を抑えることが可能になる。このようにして、音や振動を抑えつつ圧縮機8を効率的に冷却することができる。
【0056】
図12は、
図7のD−D線断面図である。なお、
図12は、端面を表した概略図である。
図12に示すように、冷蔵庫1Aでは、圧縮機8の高さ方向の中心の高さをHmとし、送風ファン13の回転中心の高さをHfとしたときに、Hf>Hmとなるように構成されている。つまり、送風ファン13の回転中心の高さHfは、圧縮機8の高さ方向の中心Hfよりも上方に位置している。
【0057】
また、冷蔵庫1Aでは、空気取込口12aの高さ方向の中心をHcとしたときに、Hc>Hmとなるように構成されている。つまり、空気取込口12aの高さ方向の中心Hcは、圧縮機8の高さ方向の中心Hmよりも上方に位置している。
【0058】
また、冷蔵庫1Aでは、圧縮機8の上面8bから機械室Qの天板10fまでの距離をL10としたときに、L10>H10となるように構成されている。
【0059】
ところで、圧縮機8では、密閉容器18内の上部に圧縮要素20(ピストン部、
図8参照)が設けられ、下部に電動要素30(モータ部、
図8参照)が設けられているが、このような配置の場合、電動要素30よりも圧縮要素20が高温になる。このため、密閉容器18の上側に下側よりも多くの空気を流すことで、圧縮機8の放熱性を高めることができる。
【0060】
そこで、圧縮機8と送風ファン13との位置関係において、Hf>Hmとすること、つまり送風ファン13の回転中心の高さHfが圧縮機8の高さ方向の中心Hmよりも高くなるように設定する。これにより、送風ファン13から送られる空気が、圧縮機8の下側よりも上側に多く供給されるようになるので、圧縮機8の上面8bの側を流れる空気の流量が下面8aの側を流れる空気の流量よりも多くできる。よって、送風ファン13の回転速度を高めることなく、圧縮機8の高温側の圧縮要素20を効率的に冷却することができる。したがって、送風ファン13から発生する音や振動を抑えつつ、圧縮機8を効率的に冷却することが可能になる。
【0061】
また、圧縮機8と空気取込口12aとの位置関係において、Hc>Hmとすること、つまり空気取込口12aの高さ方向の中心Hcが圧縮機8の高さ方向の中心Hmよりも高くなるように設定する。これにより、空気取込口12aから取り込まれた空気が、圧縮機8の下側よりも上側から多く供給されるようになるので、圧縮機8の上面8bの側を流れる空気の流量を下面8aの側を流れる空気の流量よりも多くできる。よって、送風ファン13の回転速度を高めることなく、圧縮機8の高温側の圧縮要素20を効率的に冷却することができる。したがって、送風ファン13から発生する音や振動を抑えつつ、圧縮機8を効率的に冷却することが可能になる。
【0062】
また、圧縮機8の上面8bから機械室Qの天板10fまでの距離L10が短いと、圧縮機8の上部に熱がこもり易くなる。このため、圧縮機8を小型にすると、圧縮機8の表面積が減少し、圧縮機8の放熱性が低下する。しかし、圧縮機8を小型(扁平)にして、圧縮機8と機械室Qの天板10fとの距離L10を広く確保することで(L10>H10)、圧縮機8の上部に熱がこもりにくくなり、圧縮機8が過度に温度上昇するのを防止できる。よって、送風ファン13の回転速度を高めることなく、圧縮機8を効率的に冷却することが可能になる。このように、圧縮機8を扁平形状にした場合、機械室Qの高さを圧縮機8の高さに合わせて低くするのではなく、圧縮機8の上面8bと機械室Qの天板10fとの間に広い空間S(L10>H10)を確保しておくことで、圧縮機8の冷却効率を高めることができる。
【0063】
また、
図12に示すように、圧縮機8に設けられたブラケット17の下面17bから圧縮機8の上面8bまでの高さ寸法をH30とし、台板11Aの上面11b1からブラケット17の下面17aまでの高さをH40とし、圧縮機8の下面8aからブラケット17の下面17bまでの高さ寸法をH50とする。この場合、H30とH40との関係について、圧縮機8を扁平形状にして、H30を小さくできることで、圧縮機8の重心位置が低くなり、圧縮機8の振動を抑えることが可能になる。
【0064】
また、逆に圧縮機8の重心位置が低くなった分、H40を高くすることができるようになるため、冷蔵庫運搬等の衝撃による、圧縮機8と台座11Aの衝突を回避しやすくなる。
【0065】
また、H40とH50との関係について、圧縮機8の下面8aを台板11Aと略平行な面(略平坦面)にすることで、従来のような湾曲した凸形状の下面を有する圧縮機よりもH40の高さを低くできる。なお、圧縮機8の下面8aは、厳密な平坦面である必要はなく、多少の凹凸が形成されたものを含むものとする。これにより、ゴム座16(
図5参照)の高さを低くでき、圧縮機8の重心を低くできるので、圧縮機8の振動を抑えることが可能になる。また、圧縮機8の高さを低くできるため、小さなスペースに圧縮機8を据付けることができ、据付性が向上する。また、ゴム座16の部品も小さくできるため、安価な構造とすることができる。また、小さなスペースに圧縮機8を据付けることができるため、従来圧縮機によって、妨げられていた風路を確保することができる。
【0066】
また、圧縮機8は、高さ寸法H10が130mm以下、かつ、扁平率が70%以下に設定することが好ましい。なお、扁平率は、(高さ寸法H10)/(長さ寸法L100)によって求められる。このように、H10を130mm以下、かつ、扁平率を70%以下に設定することで、圧縮機8の振動を抑えることができるとともに、圧縮機8の上部の空間S(
図5参照)を広げることができ、圧縮機8を効率的に冷却できる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の冷蔵庫について、
図13ないし
図16を参照して説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図13は、第2実施形態に係る冷蔵庫の機械室を示す斜視図、
図14は、ローラを備えた補強部材を示す斜視図、
図15は、ローラの設置状態を示す要部拡大図であり、(a)は台板を取り外したときの状態、(b)は台板を取り付けた状態、
図16は、第2実施形態に係る冷蔵庫の機械室を示す概略断面図である。
【0068】
図13に示すように、冷蔵庫1Bは、ローラ15Aを支持する台板11Aに替えて、ローラ15Bを支持しない台板11Bと、補強部材19とを備えたものである。補強部材19は、前後方向に延在して形成され、側板12に固定されている。また、補強部材19の後端部には、ローラ15Bが回転可能に支持している。つまり、第2実施形態では、圧縮機8を支持する台板11Bには、ローラ15Bが取り付けられていない構成となっている。
【0069】
図14に示すように、補強部材19は、外箱10a(
図13参照)の左右下端部の前端部から後端部に亘って設置された左右一対の鋼板製の骨格部材である。また、補強部材19は、前後方向に向けて延設された前後フレーム部19aと、前後フレーム部19aの後端部から上方向に向けて延設された上下フレーム部19bと、をL字状に連設して、全体として略L字形状に形成されている。また、補強部材19の前後フレーム部19aの後端部には、軸支ピン19g(
図15参照)によってローラ15Bが回転自在に軸支されている。
【0070】
また、前後フレーム部19aは、前後方向に水平に延びる水平板部19c、この水平板部19cの右端から上方向に向けて折曲形成された立ち上がり部19d、水平板部19cの後端部に形成されたローラ設置孔19eなどが組み合わされて構成されている。なお、
図14では、右側の補強部材19のみを図示して説明したが、左側の補強部材は、左右対称形状に形成され、対称な状態で取り付けられているので、左側の補強部材の説明については省略する。
【0071】
図15(a)に示すように、ローラ15Bは、冷蔵庫1Bを移動させる際に利用する回転可能な左右一対の円筒状の樹脂製の車輪から成る。ローラ15Bは、2個の車輪を隣接して軸支ピン19gに軸支して成る二重車輪から成る。このようにローラ15Bを二重車輪にすると、軸方向のテーパが小さくなるため、ガタつきが抑えられる効果があるが、第1実施形態と同様に車輪は一つであってもよい。
【0072】
また、前後フレーム部19aの後端部は、その前方よりも幅広に形成された幅広部19fを有し、この幅広部19fにローラ15Bが取り付けられている。
【0073】
図15(b)に示すように、台板11Bは、圧縮機8や送風ファン13(
図13参照)などが載置される板状部材であり、左右の補強部材19の後部下面に固定される。また、台板11Bの左右両端には、前後方向の略中央部に切欠部11sが形成されている。この切欠部11sは、ローラ15Bが回転自在に遊挿した状態に配置される部位であり、台板11Bの左右端部にコ字状に切り欠き形成され、ローラ15Bを逃げるように形成されている。
【0074】
ところで、第1実施形態では、冷蔵庫1Aが脚部14,14とローラ15A,15Aとで支持されているので、ローラ15A,15Aを支持する台板11Aには高い強度が必要になる。これに対して、
図16に示すように、ローラ15Bを台板11Bではなく、断熱箱体10に固定された補強部材19に軸支させるとともに、従来よりも小型で軽量の圧縮機8を搭載することで、台板11Bに高い強度が必要なくなるので、台板11Bを樹脂製にすることが可能になる。台板11Bを金属製から樹脂製に切り替えることができるので、冷蔵庫1Bを軽量化することが可能になる。なお、圧縮機8の重量としては、5kg以下にすることが好ましい。
【0075】
このように、第2実施形態では、第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、冷蔵庫1Bの軽量化を図ることができる。また、ローラ15Bを補強部材19に設けることで、第1実施形態のローラ15Aに比べて、ローラ15Bの位置を左右方向の外側に配置できるので、冷蔵庫1Bをより安定して支持することができる。
【0076】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係る冷蔵庫の機械室を示す概略断面図である。
図17に示すように、第3実施形態の冷蔵庫1Cは、第2実施形態における台板11Bに替えて、圧縮機8を支持する吊り部材51を備えたものである。この吊り部材51は、側面視において凹状に形成されたものであり、樹脂または鋼板を加工することで構成することができる。また、吊り部材51は、圧縮機8のゴム座16を支持する支持板51aと、この支持板51aの左右両端から機械室Qの天板10fに向けて延びる吊り部51b,51bと、を備えて構成されている。吊り部51bの上端は、天板10fにねじや溶接によって固定されている。
【0077】
なお、吊り部材51としては、
図17に示すような左右方向において対向する一対のゴム座16を支持する構成に限定されるものではなく、前後方向(紙面に直交する方向)において対向する一対のゴム座16を支持する構成であってもよく、ゴム座16毎に支持する構成であってもよく、すべてのゴム座16を支持する構成であってもよく、適宜変更することができる。
【0078】
送風ファン13は、フレーム13bの上端を天板10fに固定するための取付片13cを備え、天板10fにぶら下がった状態で取り付けられている。
【0079】
このように構成された冷蔵庫1Cによれば、台板11Bを省略することができ、機械室Qの構成を簡略化できる。このように台板11Bを省略できることで、吊り部材51を軽量化することができる。また、台板11Bを省略できることで、機械室Qの底側を開放できるので、圧縮機8から発生する熱のこもりを抑制することができ、圧縮機8の冷却性を向上できる。
【0080】
(第4実施形態)
図18は、第4実施形態に係る冷蔵庫を示す縦断面図である。
図18に示すように、第4実施形態の冷蔵庫1Dは、上部後方に機械室Q10(収容部)が配置され、この機械室Q1に圧縮機8などが配置された構成である。なお、図示省略しているが、機械室Q10には、圧縮機8、送風ファン、空気取込口が第1実施形態と同様に配置されているものとする。
【0081】
このような冷蔵庫1Dを採用した場合、第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、圧縮機8の振動を低減できるので、冷蔵庫本体(断熱箱体10)に伝わる振動を抑制することが可能になる。また、機械室Q10を冷蔵庫1Dの上部に配置することで、野菜室6の庫内容量を拡大することが可能になる。
【0082】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を超えない範囲において種々変更することができる。例えば、本実施形態では、送風ファン13を圧縮機8と空気取込口12aとの間に配置した場合を例に挙げて説明したが、送風ファン13を圧縮機8と空気排出口12bとの間に配置する構成であってもよい。また、単一の送風ファン13を設けた場合を例に挙げて説明したが、複数の送風ファンを設ける構成であってもよい。