特許第6554058号(P6554058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554058
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】魚釣用電動リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/017 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   A01K89/017
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-71905(P2016-71905)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-176112(P2017-176112A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野々垣 元博
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−159249(JP,A)
【文献】 特開平01−196245(JP,A)
【文献】 特開2009−112085(JP,A)
【文献】 特開平11−243822(JP,A)
【文献】 特開平09−065804(JP,A)
【文献】 実開昭63−181269(JP,U)
【文献】 特開2006−223219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00−89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体の側板間に配置され、スプールを回転駆動する電動モータと、
前記電動モータを収容する筒状のモータケースと、を備え、
前記モータケースの端部の外周面には、前記電動モータのリード線を前記モータケースの径方向外側に向けて引き出す引出口が形成されており、
前記モータケースの端部の外側面には、前記モータケースの熱を放熱する側部放熱部材が取り付けられており、
前記側部放熱部材は、前記側板に形成された開口部を通じて前記側板の外側方から臨まれることを特徴とする魚釣用電動リール。
【請求項2】
前記引出口には、防水パッキンが抜け止め固定されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
【請求項3】
前記防水パッキンは、前記外周面の外側から前記引出口に取り付けられ、
前記引出口には、前記防水パッキンが前記引出口の外側に抜けるのを前記外周面の外側から押さえる保持部材が備わることを特徴とする請求項2に記載の魚釣用電動リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は魚釣用電動リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣用電動リールとして特許文献1に開示されたものが知られている。特許文献1の魚釣用電動リールは、電動モータが収容されるモータケースを備えている。モータケースは、フレームと一体に設けられた円筒状の前フレームと、この前フレームの側部に着脱可能に取り付けられるカバー部材とから構成されている。モータケースは、これらによって囲われる水密な内部空間を有している。電動モータのリード線と外部のモータ制御部からのリード線との接続部は、モータケース内に収容されている。
【0003】
特許文献1の魚釣用電動リールでは、モータケースによって接続部が保護されているので、リード線の絶縁が損なわれたり、腐食による断線が生じたりするのを確実に防止することができる。また、電動モータの着脱も容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−243822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の魚釣用電動リールでは、リール本体の側方のスペースを利用して、電動モータの軸方向となる保護カバーの側面からリード線が引き出されている。しかしながら、リールのコンパクト化を考慮すると、このようなリード線の引き出し構造では、電動モータの軸方向にリール本体の寸法が大きくなってしまう。この傾向は、出力の大きい電動モータを搭載した場合に、より顕著となり、これを改善したいという要望があった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、リール本体の小型化を図りつつ、出力の大きい電動モータを搭載することが可能な魚釣用電動リールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決する本発明の魚釣用電動リールは、リール本体の側板間に配置され、スプールを回転駆動する電動モータと、前記電動モータを収容する筒状のモータケースと、を備え、前記モータケースの端部の外周面には、前記電動モータのリード線を前記モータケースの径方向外側に向けて引き出す引出口が形成されており、前記モータケースの端部の外側面には、前記モータケースの熱を放熱する側部放熱部材が取り付けられており、前記側部放熱部材は、前記側板に形成された開口部を通じて前記側板の外側方から臨まれることを特徴とする。
【0008】
この魚釣用電動リールでは、モータケースの引出口を通じて、例えば、モータケースの軸線に直交する方向にリード線を引き出すことができる。これにより、電動モータの軸方向にリード線が延在するのを回避することができる。
【0009】
また、前記魚釣用電動リールにおいて、前記引出口には、防水パッキンが抜け止め固定されているのがよい。このように構成することで、モータケース内への水の浸入を阻止しつつ、電動モータの発熱によるケース内の内圧が高まった場合においても、引出口のシール性を確保することができる。
【0010】
また、前記魚釣用電動リールにおいて、前記防水パッキンが、前記外周面の外側から前記出入口に取り付けられる場合には、前記防水パッキンが前記引出口の外側に抜けるのを前記外周面の外側から押さえる保持部材を備えるのがよい。このように構成することで、外周面の外側から引出口に防水パッキンを取り付けることができるので、取付性に優れる。また、保持部材によってパッキン本体を確実に抜け止め固定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の魚釣用電動リールによれば、モータケースの引出口を通じて、例えば、モータケースの軸線に直交する方向にリード線を引き出すことができ、電動モータの軸方向にリード線が延在するのを回避することができる。したがって、従来に比べ電動モータの軸方向にリール本体の寸法を小さくすることができる。これにより、リール本体の小型化を図りつつ、出力の大きい電動モータを搭載することができる。
【0014】
また、防水パッキンにより、モータケース内への水の浸入を阻止しつつ、電動モータの発熱による電動モータ内の内圧が高まった場合においても、引出口のシール性を確保することができるので、モータケース内の水密性を確実に維持することができる。したがって、電動モータの性能を長期的に安定して維持することができる。
【0015】
また、モータケースの外周面の外側から引出口に防水パッキンを取り付けることができるので、取付性に優れる。また、保持部材によってパッキン本体を確実に抜け止め固定することができる。したがって、組付性および生産性に優れた魚釣用電動リールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る魚釣用電動リールを示す平面図である(一部省略)。
図2】同じく右後方斜め上方から見た魚釣用電動リールの斜視図である。
図3】(a)は右フレームから支持部を取り外したリール本体の分解斜視図、(b)は右フレームに支持部を固定したリール本体の側面図である。
図4】(a)は右フレームから右側板を取り外したリール本体の分解斜視図、(b)は右フレームに右側板を固定したリール本体の側面図である。
図5】防水パッキンの構成を分解して示すとともに、蓋体、放熱部材を分解して示したリール本体の分解斜視図である。
図6】モータケースの蓋体の引出口を中心とした部分拡大縦断面図である。
図7図4(b)のC−C線に沿う拡大断面図である。
図8図4(b)のC−C線に沿うモータケースの周りの拡大断面図である。
図9】変形例を示すモータケース周りの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る魚釣用電動リールの実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において、「前後」「左右」を言うときは、図1図2示した方向を基準とし、「上下」を言うときは、図2に示した方向を基準とする。
【0019】
図1に示すように、魚釣用電動リールは、フレーム2と、このフレーム2を覆うように配設される側板3と、を備えたリール本体1を有している。
フレーム2は、リール本体1の骨格をなす部分であり、左フレーム2a、右フレーム2b、およびスプール5の前方に配設される前フレーム2c(図7参照)を備えてなる。これらの左フレーム2a、右フレーム2b、前フレーム2cは、全体として一体に形成されている。なお、各左フレーム2a、右フレーム2b、前フレーム2cを別体に形成して、固定手段等により一体化してもよいし、部分的に一体に形成してもよい。
【0020】
左右フレーム2a,2bは、複数の図示しない支柱を介して一体化されている。下方の図示しない支柱には、釣竿のリールシートに装着される図示しないリール脚が設けられている。
このような左右フレーム2a,2b、前フレーム2cからなるフレーム2は、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属材で形成することができる。
左右フレーム2a,2bの上縁には、カウンターケース14が載置されている。
【0021】
前フレーム2cは、左右フレーム2a,2bに開口部(不図示)を有する略円筒状を呈しており、その内部には、電動モータM(図7図8参照)が収容される。前フレーム2cは、電動モータMを収容するモータケース60(図7図8参照)の一部として機能している。
【0022】
側板3は、左フレーム2aを覆う左側板30Aと、右フレーム2bを覆う右側板30Bと、前フレーム2cを覆う前側板30Cと、を備え、釣人の手によって握持されたり、保持されたりする部分(釣人の手が接触する部分)となる。
左側板30A、右側板30Bおよび前側板30Cは、個々に合成樹脂製の一体成形品であり、左フレーム2a、右フレーム2bおよび前フレーム2cにそれぞれ装着される。
【0023】
右フレーム2bには、支持部31が着脱可能に固定されている。すなわち、右フレーム2bは、相互に別体とされた2つの部材(右側板30Bおよび支持部31)で覆われている。支持部31は、巻き取り操作されるハンドル70のハンドル軸7およびピニオンギャ軸9jを支持している。
【0024】
図1に示すように、左右フレーム2a,2b間には、釣糸が巻回されるスプール5が回転自在に支持されている。
また、スプール5の前方には、電動モータMが配置されており、スプール5は、ハンドル70の巻き取り操作、および電動モータMの回転駆動によって、駆動力伝達機構をなす公知の減速機構G1等を介して釣糸巻き取り方向に回転駆動される。
電動モータMは、カウンターケース14の後方側におけるフレーム2の上部に設けた操作レバー6の前後方向の回動操作で、モータ出力が増減調節される。
【0025】
スプール5は、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部5aを備えており、その両端には、巻回される釣糸を規制するフランジ5b,5cが形成されている。スプール5は、スプール軸5dに図示しない軸受を介して左右フレーム2a,2bに支持されている。
【0026】
スプール5には、減速機構G1および右フレーム2bに設けられた公知の減速機構G2を介して駆動力が伝達されるようになっている。
減速機構G1は、電動モータMの側方に設けられており、電動モータMの出力を減速する。減速機構G1により減速された回転駆動力は、公知の動力伝達部G3を介してスプール軸5dに伝達される。
また、減速機構G2は、右フレーム2b側に設けられており、スプール軸5dの回転駆動力を減速してスプール5に伝達するようになっている。
スプール5には、図7に示すように、ブラケット501を介してピニオンギャ軸9jが連結されている。
【0027】
右フレーム2bを覆う支持部31は、金属製、例えば、アルミニウム合金、マグネシウム合金等からなる一体成形品である。支持部31は、ハンドル軸7の周りに配置される部材であり、右フレーム2bに対して直接固定されている。右側板30Bは、支持部31を囲うように配置される部材であり、右フレーム2bに対して直接固定されている。支持部31はアルマイト加工処理等によりカラーリング可能である。
【0028】
支持部31は、図3(a)(b)に示すように、ハンドル軸支持部31aと、ピニオンギャ軸支持部31bと、を備えている。
ハンドル軸支持部31aの内側には、図7に示すように、複数の制動板32aを備えるドラグ機構32、およびドライブギャ8が収容されている。ハンドル軸支持部31aは、ベアリング部材31dおよびホルダー32bを介してハンドル軸7の一端を支持している。ハンドル軸7にはドラグ機構32を介してドライブギャ8が摩擦結合している。なお、ハンドル軸7の基端7aは右フレーム2bに支持されている。公知のように回転自在に抜け止め支持されている。なお、ハンドル軸7は公知のように逆転防止機構により、釣糸巻取り方向の正回転を許容し、釣糸繰り出し方向の逆回転が阻止されるように構成されている。
【0029】
ピニオンギャ軸支持部31bの内側には、図7に示すように、ピニオンギャ9が収容されている。ピニオンギャ軸支持部31bの底部31eには、軸受けとなるベアリング部材31fを介してピニオンギャ軸9jの先端部が支持されている。ピニオンギャ軸9jは、スプール5に連結されている。ピニオンギャ9には、ドライブギャ8が噛合している。
また、ピニオンギャ軸支持部31bの内側には、図7に示すように、公知のクラッチ機構を構成するスライドプレート9aの一部が収容されている。
支持部31は、図3(a)(b)に示すように、複数本の固定用ねじ31m,31nで右フレーム2bに直接固定されている。つまり、支持部31は、右側板30Bとは独立して右フレーム2bに固定されている。
【0030】
右側板30Bは、支持部31と別体に形成されており、右フレーム2bに対して独立して固定される部材である。右側板30Bには、開口部33が形成されており、この開口部33を通じて、支持部31のハンドル軸支持部31aおよびピニオンギャ軸支持部31bが右側板30Bの右側方に露出する状態で突出している(図2図7参照)。
【0031】
開口部33の後方上縁部には、右側方に向けて延在する支持部35が形成されている。支持部35は、図4(a)(b)に示すように、側面視で略四角形状を呈している。支持部35には、公知のクラッチ機構を操作するための操作レバー38が取り付けられている。操作レバー38を回動操作することによって、スライドプレート9a(図4(a),図7参照)がスライドされ、クラッチ機構の係脱(オンオフ)がなされる。
【0032】
右側板30Bの前部には、図4(a)(b)に示すように、側面視略円形状のモータカバー部34が形成されている。モータカバー部34には、電動モータM(図5参照)の放熱用の開口部34aが複数形成されている。モータカバー部34の内側には、円板状の側部放熱部材37(図5参照)が配置されている。開口部34aの大きさは、実釣時に使用者の指等が入らない程度の大きさに形成されている。
【0033】
側部放熱部材37は、例えば、放熱性のよい、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金等の金属材で形成されている。側部放熱部材37の右側面には、周溝37aが形成されている(図7参照)。この周溝37aにより、側部放熱部材37の右側面の放熱面積が増大している。側部放熱部材37は、前記開口部34aを通じてモータカバー部34の側方から臨まれる(開口部34a内に露出している、図4(b)参照)。側部放熱部材37は、図8に示すようにOリング34pを介して、モータカバー部34の内面に密着している。側部放熱部材37はアルマイト加工処理等によりカラーリング可能である。
【0034】
図5に示すように、電動モータMの端部の外周面50には、リード線導出口52が形成されている。リード線導出口52には、ブラケット53が配置されており、ブラケット53を介して2本のリード線54が径方向外側に導出されている。つまり、2本のリード線54は、一箇所のリード線導出口52から一緒に導出されている。電動モータMの右側部となる底部51には、軸部56が突設されている。また、底部51には、凹部55が形成されている。
【0035】
電動モータMは、図8に示すように、筒状のモータケース60に収容されている。モータケース60は、前記した前フレーム2cと、蓋体62(図5参照)とから構成されている。前フレーム2cは、電動モータMを収容可能な内径を有している。前フレーム2cは筒状で、左右フレーム2a,2bと一体に設けられている。蓋体62は、電動モータMの右側部を覆う有底円筒状を呈している。蓋体62は、前フレーム2cの右縁部63にOリング63aを介してインロー嵌合されている。蓋体62は、図5に示すように、開口縁のフランジ部607に設けられた各ねじ孔609にねじ616を挿通し、これを右フレーム2bに螺合することで右フレーム2bに固定される。
【0036】
蓋体62の外周面601には、電動モータMのリード線54を引き出すための内面円筒状の引出口604が形成されている。引出口604には、防水パッキン610が取り付けられる。引出口604は、図6に示すように、蓋体62を貫通しており、円筒部604bと、円筒部604bの開口縁部に形成された段差部604aと、を備えている。引出口604の開口縁部(段差部604aの開口縁部)には、図5に示すように、引出口604を挟んで対称となる位置に、一対のねじ取付部605,605が形成されている。各ねじ取付部605には、ねじ穴605bが形成されている。各ねじ穴605bには、ねじ615が螺合可能である。
【0037】
防水パッキン610は、例えば、合成ゴム製のパッキンであり、外周面601の外側から引出口604に取り付けられる。防水パッキン610は、引出口604を液密にシールする。防水パッキン610は、引出口604の円筒部604bに嵌入される胴部611と、胴部611に連続し引出口604の段差部604aに配置されるフランジ部612と、を備えている。防水パッキン610には、リード線54,54が挿通される2本の貫通穴613,613が形成されている。各貫通穴613は、リード線54を液密に保持している。各貫通穴613の開口縁部は、外側に環状に突出している。これにより、貫通穴613の開口縁部の補強がなされている。
【0038】
防水パッキン610のフランジ部612の上面には、保持部材としてのワッシャ614が配置されている。ワッシャ614は、各ねじ取付部605のねじ穴605bに螺合されるねじ615の締め付けによって、引出口604の段差部604a内に入り込み、防水パッキン610(フランジ部612)が引出口604の外側に抜けるのをねじ615の頭部の下面で押さえる(防水パッキン610の移動を規制する)。
【0039】
本実施形態では、引出口604を通じて電動モータMの径方向(モータケース60の径方向)となる、後方斜め上方にリード線54,54が引き出される。引き出された2本のリード線54,54は、右側板30Bの内側の蓋体62と支持部31との間に形成されるスペース等を利用して、カウンターケース14内に備わる制御基板等からの図示しない電線と電気的に接続される。
【0040】
蓋体62の底部602には、図8に示すように、右側方に突出する係合部602aが形成されている。係合部602aは、側部放熱部材37の対向面に形成された丸形の凹部37c(図5参照)に係合される。また、係合部602aの内側には、電動モータMの軸部56が挿入される挿入穴602bが形成されている。底部602の内面(左側面)には、電動モータM側へ向けて突出する係合突部602eが形成されている。この係合突部602eは、電動モータMの右側部に設けられた凹部55に係合可能である。この係合により、電動モータMの右側部が蓋体62に位置決めされる。
【0041】
なお、電動モータMから発生した熱は、モータケース60の一部である蓋体62を介して側部放熱部材37に伝わり、側部放熱部材37から右側板30Bの開口部34aを通じてリール本体1の右側方の外気に放熱される。
【0042】
右側板30Bは、図4(b)に示すように、その周縁部に間隔を空けて設けられたねじ孔36aに固定ねじ36bをそれぞれ挿通し、これらを右フレーム2bに螺合することで右フレーム2bに固定される。
【0043】
以上説明した本実施形態の魚釣用電動リールによれば、モータケース60の引出口604を通じて、モータケース60の軸線に直交する方向に各リード線54を引き出すことができる。これにより、電動モータMの軸方向に各リード線54が延在するのを回避することができる。したがって、従来に比べ電動モータMの軸方向にリール本体1の寸法を小さくすることができる。これにより、リール本体1の小型化を図りつつ、出力の大きい電動モータMを搭載することができる。
【0044】
また、防水パッキン610により、モータケース60内への水の浸入を阻止することができる。また、電動モータMの発熱により電動モータM内の内圧が高まった場合においても、引出口604のシール性を確保することができる。これにより、モータケース60内の水密性を好適に確保することができる。したがって、電動モータMの性能を長期的に安定して維持することができる。
【0045】
また、蓋体62の外周面601の外側から引出口604に防水パッキン610を取り付けることができるので、取付性に優れる。また、保持部材614によって防水パッキン610を確実に抜け止め固定することができる。したがって、組付性および生産性に優れた魚釣用電動リールが得られる。
【0046】
また、各リード線54は、電動モータMの端部の外周面50から径方向外側に導出され、そのままモータケース60の引出口604から外部に引き出されるので、電動モータMおよびモータケース60を軸方向に小型化することができる。したがって、従来に比べ電動モータMの軸方向にリール本体1の寸法を小さくすることができる。これにより、リール本体1の小型化を図りつつ、出力の大きい電動モータMを搭載することが可能な魚釣用電動リールが得られる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
例えば、図9に示すように、モータケース60の蓋体62Aの内側に間隙58を設け、この間隙58を利用して電動モータM1の側面57から軸方向に各リード線54を導出し、その後、モータケース60の蓋体62Aの外周面601Aに形成した引出口604のそれぞれから径方向に導出するように構成してもよい。
【0048】
この場合にも、モータケース60の軸線に直交する径方向外方に各リード線54を引き出すことができる。これにより、電動モータM1の軸方向に各リード線54が延在するのを回避することができる。したがって、従来に比べ電動モータM1の軸方向にリール本体の寸法を小さくすることができる。これにより、リール本体の小型化を図りつつ、出力の大きい電動モータM1を搭載することができる。
【0049】
前記実施形態では、引出口604を通じて後方斜め上方に各リード線54を引き出したが、これに限られることはなく、レイアウトに合わせて後方や上方、その他の方向に各リード線54を引き出すことができる。
また、引出口604を周方向に隣接して2つ設け、各引出口604からリード線54を引き出してもよいし、引出口604を周方向に間隔を空けて2つ設けてもよい。
なお、引出口604はモータケース60を構成する蓋体62に形成したが、モータケース60を構成する前フレーム2cを電動モータMの端部より軸方向に延設し、この延設した前フレーム2cの外周部に形成した引出口からリード線54を径方向外方に引き出してもよい。
【0050】
また、引出口604を通じて、その他の電線を配索してもよい。
また、側部放熱部材37は、必ずしも設けなくてもよい。この場合には、右側板30Bの開口部34aにモータケース60を直接臨ませる構成を採用することができる。このように構成することで、側部放熱部材37を配置しない分、リール本体1の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 リール本体
3 側板
5 スプール
54 リード線
60 モータケース
604 引出口
610 防水パッキン
614 ワッシャ(保持部材)
M 電動モータ
M1 電動モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9