(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態のドラム式洗濯機を示す分解斜視図である。なお、本実施形態では、筺体内部の、ドラム式洗濯機を制御するメイン基板ユニット、洗濯水を循環させる循環手段(配管、ポンプ)、温風を循環させる乾燥手段(乾燥ユニット)、配管等の構成については図示を省略している。
図1に示すように、ドラム式洗濯機1は、ドラム式の洗濯乾燥機であり、外槽3と、この外槽3内に回転自在に支持される回転ドラム(内槽)4と、外槽3および回転ドラム4を収容する筐体10と、を備えて構成されている。なお、外槽3と回転ドラム4によって洗濯槽が構成されている。
【0011】
外槽3は、合成樹脂で円筒状に形成されたものであり、回転ドラム4を同軸上に内包している。また、外槽3は、有底円筒状の外槽本体3aと、この外槽本体3aの前面開口に取り付けられる外槽カバー3bと、によって構成されている。また、外槽3(外槽カバー3b)の開口部3sには、ゴム製のベローズ(不図示)が取り付けられ、ドア25を閉じることで外槽3を水封するようになっている。
【0012】
回転ドラム4は、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽であり、その外周壁に通水および通風のための多数の貫通孔4aが形成され、前側端面には、洗濯物を出し入れするための開口部4bが形成されている。開口部4bの外周側には、回転ドラム4と一体に回転する流体バランサ(不図示)が設けられている。また、回転ドラム4の内周壁には、洗濯運転や乾燥運転に際して洗濯物を持ち上げるリフタ4cが設けられている。なお、回転ドラム4の回転中心軸は、略水平又は開口部4b側が高くなるように傾斜している。
【0013】
筐体10は、板金(金属、カラー鋼板)をプレス加工等によって、正面に配置される前面パネル(前板)11と、左右の側面に配置される側面パネル(側板)14A,14Bと、を有している。また、筐体10は、板金をプレス加工等によって背面に配置される背面パネル(背板)16と、外槽3の底側に配置される樹脂製のベース17と、外槽3の上方に配置される樹脂製の上面パネル(上板、トップパネル)18と、を有している。
【0014】
前面パネル11は、正面上部に配置される前面上パネル12と、正面下部に配置される前面下パネル13と、を有している。前面上パネル12は、一枚の板金で形成され、正面側を向く平坦部12aと、この平坦部12aの左右両側において湾曲する湾曲部12b,12cを有している。前面下パネル13は、一枚の板金で形成され、前面上パネル12よりも上下方向に短く形成され、正面側を向く平坦部13aと、この平坦部13aの左右両側において湾曲する湾曲部13b,13cと、を有している。また、本実施形態では、前面パネル11を前面上パネル12と前面下パネル13とで分割して構成しているが、1枚のパネルで構成されていてもよい。
【0015】
湾曲部12b,12cは、前面上パネル12の上端から下端に向けて同様の湾曲形状を呈するように形成されている。湾曲部13b,13cは、前面下パネル13の上端から下端に向けて同様の湾曲形状を呈するように形成されている。また、湾曲部12b,12cと湾曲部13b,13cは、互いに同じ湾曲形状である。これにより、前面上パネル12と前面下パネル13とを上下に重ねたときに、平坦部12aの表面および湾曲部12b,12cの表面と、平坦部13aの表面および湾曲部13b,13cの表面とが面一となるように構成されている。
【0016】
前面上パネル12の平坦部12aには、ヒンジを介してドア25が取り付けられている。前面下パネル13の平坦部13aには、図示しない糸くずフィルタのフィルタ部材を出し入れするための蓋13dが取り付けられている。
【0017】
側面パネル14Aは、板金をプレス加工等によって形成されたものであり、前面パネル11と同じ高さに形成され、該側面パネル14Aの後端に、内側に湾曲する湾曲部14aが形成されている。湾曲部14aは、上端から下端に向けて同様の湾曲形状を呈するように形成されている。また、側面パネル14Aには、運搬時に使用される取っ手14bが上下に複数箇所形成され、また側面パネル14Aを補強する補強部14cが複数箇所に形成されている。
【0018】
側面パネル14Bは、板金をプレス加工等によって形成されたものであり、側面パネル14Aと左右対称形状であり、側面パネル14Aの湾曲部14a、取っ手14bおよび補強部14cと同様に、湾曲部14a、取っ手14bおよび補強部14cが形成されている。
【0019】
背面パネル16は、板金をプレス加工等によって形成されたものであり、背面上部に設けられる背面上パネル16Aと、背面中央から底部にかけて設けられる背面下パネル16Bと、を備えて構成されている。また、背面上パネル16Aおよび背面下パネル16Bは、左右の両端に、側面パネル14A,14B側に向けて湾曲する湾曲部16a,16bが形成されている。
【0020】
ベース17は、例えば合成樹脂製であり、内側に格子状のリブが形成されて補強が施されている。また、ベース17には、側面パネル14A,14Bの下端がそれぞれネジなどで固定されている。
【0021】
上面パネル18は、例えば合成樹脂で成形され、平面視において略矩形状に形成されている。また、上面パネル18は、1枚の板状に構成され、前面パネル11と側面パネル14A,14Bと背面パネル16とが接合されて構成された上面開口を塞ぐように構成されている。
【0022】
また、上面パネル18には、前後方向の手前左側に洗剤投入部20、手前右側に操作パネル22が取り付けられている。
【0023】
また、筐体10は、前面上部補強板31、前面下部補強板32、上部補強板35、上部連結補強部36によって補強されている。
【0024】
前面上部補強板31は、側面パネル14A,14Bに架け渡され、側面パネル14A,14Bの前面側の上端同士を連結している。すなわち、前面上部補強板31は、板金をプレス加工等によって形成したものであり、前面に位置して直線状に延びる板部31aと、この板部31aの左右両端において洗濯槽側に折り曲げ形成される曲げ部31b,31cと、を有している。また、板部31aには、当該板部31aと開口部4bとが前後方向において重ならないように切欠部31dが形成されている。
【0025】
前面下部補強板32は、側面パネル14A,14Bに架け渡され、側面パネル14A,14Bの前面側の下部同士を連結している。すなわち、前面下部補強板32は、板金をプレス加工等によって形成したものであり、前面に位置して直線状に延びる板部32aと、この板部32aの左右両端において洗濯槽側に折り曲げ形成される曲げ部32b,32cと、を有している。また、板部32aには、当該板部32aと開口部4bとが前後方向において重ならないように切欠部32dが形成されている。
【0026】
また、前面下部補強板32は、下部補強支持板(支持部材)33,34によって連結されている。下部補強支持板33は、前面下部補強板32の曲げ部32bと連結される上部連結部33aと、ベース17にねじ固定される下部連結部33bと、を有している。下部補強支持板34は、前面下部補強板32の曲げ部32cと連結される上部連結部34aと、ベース17にねじ固定される下部連結部34bと、を有している。
【0027】
上部補強板35は、側面パネル14A,14Bに架け渡され、側面パネル14A,14Bの上端縁同士を連結している。すなわち、上部補強板35は、板金をプレス加工等によって形成したものであり、上面に位置して直線状に延びる板部35aと、この板部35aの左右両端において洗濯槽側に折り曲げ形成される曲げ部35b,35cと、を有している。また、板部35aは、図示しないメイン基板ユニットを取り付けるための取付部が板部35aの一部を凹状に曲げ形成することで構成されている。
【0028】
上部連結補強部36は、上部補強板35と背面パネル16とを連結している。また、上部連結補強部36は、合成樹脂により成型されたものであり、上部補強板35と背面パネル16とを図示しないねじを介して連結するものである。また、上部連結補強部36は、前後方向に延び、かつ、左右方向の中央部に位置するように配置されている。なお、合成樹脂としては、高強度および耐摩耗性に優れた樹脂、具体的にはPOM(ポリオキシメチレン樹脂)を選択することができる。
【0029】
また、上部連結補強部36の左右には、給水ユニット(不図示)や乾燥フィルタ37(
図2参照)などが取り付けられる。図示しない給水ユニットは、給水管(不図示)、給水ホース接続口18f(
図2参照)および風呂水ホース接続口18g(
図2参照)に接続される洗剤給水電磁弁、風呂水を吸い上げるポンプなどである。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係るドラム式洗濯機の外観斜視図である。
図2に示すように、前面上パネル12の湾曲部12bおよび前面下パネル13の湾曲部13bは、ドア25の右端の位置から側面パネル14Aに向けて湾曲して形成されている。また、前面上パネル12の湾曲部12cおよび前面下パネル13の湾曲部13cは、ドア25の左端の位置から側面パネル14B(
図1参照)に向けて湾曲して形成されている。このように、本実施形態のドラム式洗濯機1は、前面パネル11が、ドア25の幅の位置から側面パネル14A,14Bに向けて(左右に向けて)大きく湾曲した形状を有している。
【0031】
また、上面パネル18は、前面パネル11と、側面パネル14Aと、側面パネル14B(
図1参照)と、背面パネル16(
図1参照)と、を結合したときに形成される上部開口を塞ぐことができる形状を有している。また、上面パネル18の外周縁部は、前面パネル11の上端縁部と、側面パネル14Aの上端縁部と、側面パネル14B(
図1参照)の上端縁部と、背面パネル16の上端縁部と、重なるように構成されている。
【0032】
図3は、本実施形態のドラム式洗濯機の筐体を示す外観斜視図である。なお、
図3は、
図2の状態から、上面パネル18、前面下パネル13、背面下パネル16B(
図1参照)、ドア25および上部連結補強部36(
図1参照)を取り外すとともに、内部の構造体をすべて取り除いた状態を示している。
図3に示すように、側面パネル14A,14Bは、その下端がベース17にねじで固定され、後端が背面上パネル16Aと互いに固定されている。なお、背面下パネル16B(
図1参照)も同様に、側面パネル14A,14Bと固定されている。
【0033】
また、前面上パネル12は、前面上部補強板31および前面下部補強板32の前方を覆うようにして側面パネル14A,14Bに取り付けられる。なお、前面下パネル13(
図1参照)も同様に、側面パネル14A,14Bに取り付けられる。
【0034】
下部補強支持板33は、筐体10の下部を支持、補強するものであり、側面パネル14Aとベース17とで形成される略角部に配置され、側面パネル14Aとベース17と前面下部補強板32とを互いに連結するように構成されている。
【0035】
下部補強支持板34は、筐体10の下部を支持、補強するものであり、側面パネル14Bとベース17とで形成される略角部に配置され、側面パネル14Bとベース17と前面下部補強板32とを互いに連結するように構成されている。
【0036】
図4は、側面パネルを示す斜視図である。
図4に示すように、側面パネル14Aには、しぼり形状の補強部14c1,14c1,14c1,14c1,14c2,14c2,14c2,14c2,14c3,14c3が形成されている。これら補強部14c1,14c2,14c3は、側面パネル14Aの剛性を高めるものであり、内側に凹むように形成されている。これにより、筐体10(
図1参照)の幅寸法が拡大するのを抑えつつ、側面パネル14Aの強度を高めることができる。
【0037】
補強部14c1,14c2は、側面パネル14Aの平面の領域に前後方向に水平に延びて形成されるとともに上下に間隔を空けて形成されている。補強部14c3は、補強部14c1,14c2よりも水平方向に短く形成されている。なお、
図4に示す補強部14c1,14c2,14c3は、一例であって、側面パネル14A,14Bを補強できるものであれば、その形状、位置などを適宜変更することができる。
【0038】
また、側面パネル14Aには、取っ手14b(
図1参照)を取り付けるための取付孔14d1,14d1,14d2,14d2が形成されている。取付孔14d1,14d1は、略矩形状に貫通して形成され、鉛直方向の一側(
図4の図示上側)に形成されている。取付孔14d2,14d2は、略矩形状に貫通して形成され、鉛直方向の他側(
図4の図示下側)に形成されている。
【0039】
側面パネル14Aは、上端縁が水平に延びて形成され、前端縁が鉛直方向に延びて形成されている。また、側面パネル14Aは、下端縁が水平に延びて形成されている。また、側面パネル14Aは、後端縁が鉛直方向に延びて形成されている。
【0040】
また、側面パネル14Aは、上端縁において内側に略垂直に曲げられ且つ前後方向に沿って延びる曲げ部14f1が形成されている。曲げ部14f1には、長手方向(前後方向)に沿って複数のねじ孔14f3が形成されている。
【0041】
また、側面パネル14Aは、前端縁部において内側に略垂直に曲げられ且つ鉛直方向に沿って延びる曲げ部14eが形成されている。
【0042】
曲げ部14eの上部には、鉛直方向に細長いスリット14e1,14e1が上下に間隔を空けて形成されている。また、曲げ部14eの下部には、スリット14e1と同様な形状のスリット14e2,14e2が上下に間隔を空けて形成されている。
【0043】
図5は、側面パネルを示し、(a)は正面図、(b)は前側から見たときの平面図、(c)は後側から見たときの平面図、(d)は下面図である。
図5(a)に示すように、4箇所の補強部14c1と4箇所の補強部14c2とは、鉛直方向の中央において水平に延びる中央線Hに対して上下対称に形成されている。また、2箇所の補強部14c3は、中央線H上に形成されるとともに、中央線Hに対して上下対称に形成されている。
【0044】
2箇所の取付孔14d1と2箇所の取付孔14d2とは、中央線Hに対して上下対称に形成されている。
【0045】
側面パネル14Aは、上端縁に曲げ部14f1が形成され、下端縁に曲げ部14f2が形成されている。曲げ部14f2は、曲げ部14f1に対して中央線Hを含む水平面に対して対称に形成されている。
【0046】
図5(b)に示すように、曲げ部14eの上部には、スリット14e1とスリット14e1との間に、ねじ固定用としてバーリング加工されたねじ孔14e3と、このねじ孔14e3の上部近傍に矩形状に穿設された角孔14e4と、が形成されている。また、曲げ部14eの下部には、スリット14e2とスリット14e2との間に、ねじ固定用にバーリング加工されたねじ孔14e5と、このねじ孔14e5の下部近傍に矩形状に穿設された角孔14e6と、が形成されている。
【0047】
曲げ部14eの上部には、バーリング加工されていない丸孔14e7と、この丸孔14e7の下部近傍に矩形状に穿設された角孔14e8と、が形成されている。また、曲げ部14eの下部には、バーリング加工されていない丸孔14e9と、この丸孔14e9の上部近傍に矩形状に穿設された角孔14e10と、が形成されている。
【0048】
ねじ孔14e3および角孔14e4と、ねじ孔14e5および角孔14e6とは、上下対称に形成されている。丸孔14e7および角孔14e8と、丸孔14e9および角孔14e10とは、上下対称に形成されている。
【0049】
図5(c)に示すように、側面パネル14Aは、湾曲部14aの縁部に、鉛直方向に沿って曲げ部14gが形成されている。この曲げ部14gには、鉛直方向に沿って複数のねじ孔14g1,14g2が形成されている。5箇所のねじ孔14g1と、5箇所のねじ孔14g2とは、上下対称に形成されている。
【0050】
図5(d)に示すように、曲げ部14f2には、複数のねじ孔14f4が長手方向(前後方向)に間隔を空けて形成されている。曲げ部14gは、側面パネル14Aの平面14mに対して直交する向きに形成されている。
【0051】
図6は、本実施形態のドラム式洗濯機の筐体を示し、(a)は正面図、(b)右側面図、(c)左側面図である。
図6(a)に示すように、側面パネル14Aの曲げ部14eは、下部補強支持板33の前側に重なるようにして連結される。また、側面パネル14Bの曲げ部14eは、下部補強支持板34の前側に重なるようにして連結されている。
【0052】
図6(b)に示すように、右側に配置された側面パネル14Aを、
図6(a)の中心軸Oに対して矢印で示すように回転させ、向きを変えて配置することで、
図6(c)に示すように、側面パネル14Bとして使用することができる。このように、右側の側面パネル14Aを、左側の側面パネル14Bとして使用することができる。これにより、
図6(b)の側面パネル14Aにおいて、上側に位置していた補強部14c1および取付孔14d1が、
図6(c)の側面パネル14Bにおいて、下側に位置することになる。また、
図6(b)の側面パネル14Aにおいて、下側に位置していた補強部14c2および取付孔14d2が、
図6(c)の側面パネル14Bにおいて、上側に位置することなる。また、補強部14c3は、上下方向の中央に位置しているので、側面パネル14Aを側面パネル14Bとして使用しても、上下の位置が変わることがない。
【0053】
このように、本実施形態では、側面パネル14Aと側面パネル14Bとを同一の部品で構成できるので、右側の側面パネル14Aを、左側の側面パネル14Bとして使用することができる。よって、側板パネル14A,14Bを製造する際の金型を削減することができ、金型の製造に伴うコストを低減できる。
【0054】
図7は、本実施形態のドラム式洗濯機の筐体を示す背面図である。
図7に示すように、背面上パネル16Aは、右側(図示左側)が側面パネル14Aのねじ孔14g1を介して固定され、左側(図示右側)が側面パネル14Bのねじ孔14g2を介して固定される。また、図示していないが、背面下パネル16B(
図1参照)は、右側(図示左側)が側面パネル14Aのねじ孔14g1,14g2を介して固定され、左側(図示右側)が側面パネル14Bのねじ孔14g2,14g1を介して固定される。
【0055】
このように、曲げ部14gには、ねじ孔14g1とねじ孔14g2とが上下対称に形成されているので、側面パネル14Aを側面パネル14Bとして使用したとしても、背面上パネル16Aおよび背面下パネル16B(
図1参照)を側面パネル14A,14Bに取り付けることができる。
【0056】
図8は、本実施形態のドラム式洗濯機の筐体を示す上面図である。
図8に示すように、上部補強板35は、右端が側面パネル14Aの曲げ部14f1のねじ孔14f3にねじ固定され、左端が側面パネル14Bの曲げ部14f2のねじ孔14f4にねじ固定される。このように、側面パネル14Aは、鉛直方向の上端および下端に、上下対称な曲げ部14f1,14f2が形成されているので、側面パネル14Aの曲げ部14f1と、側面パネル14Bの曲げ部14f2とで、上部補強板35を固定することができる。
【0057】
図9は、前面パネルを裏側から見たときの斜視図である。
図9に示すように、前面上パネル12は、湾曲部12bの後端縁部において、内側に略直角に曲げられ、鉛直方向に沿って形成される曲げ部12dが形成されている。なお、左側の湾曲部12cの後端縁部についても、右側と同様に構成されているので、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0058】
曲げ部12dの上下には、2つの引掛け孔12e,12eが形成されている。この引掛け孔12eは、略矩形状の開口部12e1を有し、この開口部12e1の上部に開口部12e1よりも幅狭の掛止部12e2が形成されている。
【0059】
また、曲げ部12dの基端には、鉛直方向の上端から下端にかけて段差部12fが形成されている。なお、段差部12fの詳細な形状については後記する。
【0060】
図10は、
図3の筐体から前面パネルを取り外した状態を示す斜視図である。
図10に示すように、前面上部補強板31は、側面パネル14Aの曲げ部14eと連結される曲げ部31eが形成されている。この曲げ部31eは、曲げ部14eの前側に重ねて連結される。また、曲げ部31eには、前面上パネル12(
図9参照)を引っ掛けるための引掛部材61がねじ70を介して固定されている。
【0061】
また、前面下部補強板32は、側面パネル14Aの曲げ部14eと連結される曲げ部32eが形成されている。この曲げ部32eは、曲げ部14eの前側に重ねて連結されている。また、曲げ部32eには、前面上パネル12(
図9参照)を引っ掛けるための引掛部材61がねじ70を介して固定されている。
【0062】
なお、前面上部補強板31の左側と前面下部補強板32の左側にも同様にして引掛部材(不図示)が取り付けられている。このように、前面上パネル12は、ねじ固定されるものではなく、引掛部材61によって引掛けることで側面パネル14A,14Bに取り付けられる(
図3参照)。
【0063】
図11は、
図10のA部拡大図である。
図11に示すように、引掛部材61は、合成樹脂材料(例えば、POM)で形成され、円筒部61aと、抑え部61bと、引掛部61cとを有して構成されている。
【0064】
円筒部61aは、ねじ70の頭部が収容されように円筒状に形成されている。抑え部61bは、円筒部61aと曲げ部31eとの間に位置する板形状であり、角孔31e1,14e4の開口面積よりも大きく形成されている。引掛部61cは、曲げ部31eの角孔31e1と角孔14e4に挿入されて引掛けられるように鉤状(フック状)に形成されている。なお、図示していないが、引掛部61cは、角孔31e1,14e4から抜け出るのを防止する抜け止め形状を有している。
【0065】
また、引掛部材61は、円筒部61aと抑え部61bとの間に、前面上パネル12(
図6参照)の略板厚分の隙間61dが形成されている。なお、前面下部補強板32(
図10参照)に取り付けられる引掛部材61(
図10参照)については、前面下部補強板32と曲げ部14eと下部補強支持板33(
図10参照)とが重なる点が異なるだけで、その他の構成については前記と同様に構成されている。
【0066】
図12は、
図6のXII−XII線断面図である。なお、
図12は、
図11のねじ70の位置で切断したときの断面である。
図12に示すように、引掛部材61には、引掛部61c(
図11参照)を角孔14e4,31e1(
図11参照)に引掛けたときに、ねじ孔14e3と重なる位置に貫通孔61eが形成されている。ねじ70を貫通孔61eに挿通し、側面パネル14Aの曲げ部14eのねじ孔14e3に螺合する。これにより、前面上パネル12と前面上部補強板31と側面パネル14Aとが互いに連結されるとともに、引掛部材61が所定の位置で固定される。
【0067】
このように構成された引掛部材61を前面上部補強板31の位置において左右の2箇所(
図10では右側のみ図示)と、前面下部補強板32の位置において左右の2箇所(
図10では右側のみ図示)の計4箇所に取り付ける。そして、前面上パネル12の引掛け孔12e(
図9参照)の開口部12e1(
図9参照)に引掛部材61の円筒部61aを挿入する。そして、前面上パネル12を下方にスライドさせることで、引掛け孔12eの掛止部12e2(
図12参照)が隙間61dに位置する。これにより、前面上パネル12が側面パネル14Aおよび側面パネル14B(
図3参照)にガタツキなく支持される。また、引掛部材61がPOMなどの合成樹脂で形成されているので、運転時の振動によって金属同士の衝突音などが発生するのを防止できる。
【0068】
ところで、
図10に示すように、側面パネル14Aの上部では、曲げ部14eが前面上部連結部材31の曲げ部31eの後側に配置された状態で、ねじ70によって固定されている。このため、曲げ部14eにねじ固定用のバーリング加工のねじ孔14e3(
図12参照)が必要になる。一方、側面パネル14Aの下部では、曲げ部14eの後側に下部補強支持板33が配置された状態で、ねじ70によって固定される。このようにバーリング加工のねじ孔14e3(
図12参照)が形成された側面パネル14Aを、側面パネル14Bとして使用すると、前記ねじ孔14e3(
図12参照)が側面パネル14Bの下部に位置することになる。しかし、側面パネル14Bの下側では、下部補強支持板34が側面パネル14Bの曲げ部14eの後側に位置しているので、ねじ孔14e3を加工することによって形成された突起部14t(
図12参照)が邪魔になる。そこで、本実施形態では、
図13に示すように、ねじ孔14e3の突起部14tが対応する位置において、突起部14tを逃げるように、下部補強支持板34に窪み部34t1を形成したものである。また、下部補強支持板34には、窪み部34t1とは別の位置に、ねじ孔の突起部を逃げるように窪み部34t2が形成されている。
【0069】
このように、窪み部34t1,34t2を形成することにより、側面パネル14A,14Bにバーリング加工を施したとしても、側面パネル14A,14Bを同一の部品で構成することができる。
【0070】
下部補強支持板34は、
図13に示すように、スリット14e1,14e1(
図4参照)に対応する位置にスリット34c,34c、角孔14e8に対応する位置に角孔34dがそれぞれ形成されている。なお、符号を付して説明していないが、他のバーリング加工によって形成される突起部が干渉する場所についても、下部補強支持板34に突起部14t(
図12参照)を逃げるための窪み部が形成されている。
【0071】
前面下パネル13(
図1参照)には、湾曲部13b,13cから後方に突出する掛止部13b1(
図1参照)が形成されている。この掛止部13b1を曲げ部14eのスリット14e1(
図4参照)に挿入し、そして下部補強支持板34のスリット34c(
図13参照)に挿入して、前面下パネル13をスライドさせることによりベース17(
図1参照)上に取り付けることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態では、洗濯槽(外槽3および回転ドラム4)と、洗濯槽を収容する筐体10と、を備え、筐体10は、当該筐体10の左右に配置される側面パネル14A,14Bを有し、左右の側面パネル14A,14Bは、同一部品で構成されている。これにより、左右の側面パネル14A,14Bをひとつの金型で製造することが可能になり、製造コストを低減することができる。
【0073】
また、本実施形態では、側面パネル14A,14Bは、移動用の取っ手14bを取り付ける取付孔14d1,14d2を有し、取付孔14d1,14d2は、上下対称な位置に形成されている。これにより、側面パネル14A,14Bを左右どちらに使用したとしても、左右同じ位置に取っ手を取り付けることが可能になり、また左右の外観を同じにできる。
【0074】
また、本実施形態では、側面パネル14A,14Bは、当該側面パネル14A,14Bを補強する補強部14c1,14c2が上下対称な位置に形成されている。これにより、側面パネル14A,14Bを左右どちらに使用したとしても、左右同じを補強することができ、また左右の外観を同じにできる。
【0075】
また、本実施形態では、筐体10は、側面パネル14A,14Bの下部を支持する下部補強支持板33,34を備え、下部補強支持板33,34には、側面パネル14A,14Bに形成されたバーリングによるねじ孔14e3が干渉しないような窪み部34t1,34t2が形成されている。これにより、側面パネル14A,14Bの上下が入れ替わって、下部補強支持板33,34との位置が前後で入れ替わってねじ固定される場合であっても、側面パネル14A,14Bと下部補強支持板33,34とを互いにねじ固定できる。
【0076】
ところで、前面上パネル12を側面パネル14A,14Bに取り付ける際、以下に示す課題が生じる。つまり、前面上パネル12と、側面パネル14A,14Bとの双方が、鋼板(鉄板)で形成されており、前面上パネル12の湾曲部12bの面と、側面パネル14Aの面とを一様に合わせようとすると、ねじ止めができなくなる。ちなみに、パネルに孔を開けることでねじ止めが可能になるが、開けた孔を塞ぐ部材が必要になったり、孔を塞いだときの割り線が露出することになり、見栄えが悪くなる。また、前面上パネル12は、鋼板を折り曲げたり、プレスすることで構成されている。このときに、スプリングバックという現象によって、湾曲部12b,12cに対して
図8の矢印Fで示す力が作用して、湾曲部12b,12cが広がる方向に戻り力が発生する。これにより、側面パネル14Aの外表面に対して前面上パネル12が浮いた状態になる課題がある。
【0077】
そこで、本実施形態では、
図12に示すように、側面パネル14Aの外表面14pと曲げ部14eとの間を折り返し形状として、内側に向く壁面14sを形成したものである。一方、前面上パネル12には、当該前面上パネル12の外表面12pと曲げ部12dとの間を断面視において階段状に曲げ形成して、前記壁面14sと対向する壁面12sを形成したものである。これにより、前面上パネル12にスプリングバックによる力F(
図8参照)が作用したとしても、壁面12sが壁面14sに当接することで、前面上パネル12の外側(図示右方向)への広がり動作が規制される。よって、前面上パネル12の外表面12pが側面パネル14Aの外表面14pに対して浮き上がるのを防止できる。したがって、前面上パネル12の外表面12pと側面パネル14Aの外表面14pとを面一に維持することができ、外観上の品質を向上できる。
【0078】
なお、
図12では、側面パネル14Aと前面上パネル12の湾曲部12bとの関係について説明したが、側面パネル14Bと前面上パネル12の湾曲部12cとの関係についても前記と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0079】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を変更しない範囲において種々変更できる。例えば、本実施形態では、側面パネル14A,14Bと前面パネル11とを別体で構成したが、側面パネル14A,14Bと前面パネル11とが1枚の板金でプレス成型等によって平面視コ字状となるように一体に形成されていてもよい。