特許第6554094号(P6554094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6554094人工心臓弁及び人工心臓弁を送達するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554094
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】人工心臓弁及び人工心臓弁を送達するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20190722BHJP
【FI】
   A61F2/24
【請求項の数】22
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2016-522095(P2016-522095)
(86)(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公表番号】特表2016-533787(P2016-533787A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】US2014058826
(87)【国際公開番号】WO2015065646
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年9月28日
(31)【優先権主張番号】61/896,574
(32)【優先日】2013年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/049,662
(32)【優先日】2014年9月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515319530
【氏名又は名称】テンダイン ホールディングス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアンソン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】テゲルス,ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】イークヴァル,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィドランド,ロバート
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/177942(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0184811(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0208297(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0022633(US,A1)
【文献】 特表2013−539395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工心臓弁であって、
近位端及び遠位端を有する自己拡張型ワイヤフレーム本体と、
前記本体内に配置された弁と、
前記本体に結合された弁尖クリップであって、心臓に前記人工心臓弁を挿入することができる第1形態と、前記本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、前記弁尖クリップが前記弁尖クリップと前記本体との間で自己弁尖を捕捉するように配置される第2形態との間で移行するように構成された弁尖クリップと、
前記弁尖クリップに動作可能に結合された縫合糸であって、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記弁尖クリップから前記心臓の心室を通って前記心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有する縫合糸と、を備え、
前記縫合糸が、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、術者が前記弁尖クリップをその第1形態からその第2形態に移行させることができるように構成される、人工心臓弁。
【請求項2】
前記弁尖クリップが第1弁尖クリップであり、前記縫合糸が第1縫合糸であり、前記人工心臓弁が、
前記本体に結合された第2弁尖クリップであって、前記本体に前記人工心臓弁を挿入することができる第1形態と、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記第2弁尖クリップが前記第2弁尖クリップと前記本体との間で自己弁尖を捕捉するように配置される第2形態との間で移行するように構成された第2弁尖クリップと、
前記第2弁尖クリップに動作可能に結合された第2縫合糸であって、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記第2弁尖クリップから前記心臓の前記心室を通って前記心室の前記壁から出るように延在するのに十分な長さを有する第2縫合糸と、をさらに備え、
前記第2縫合糸が、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、術者が前記第2弁尖クリップをその第1形態からその第2形態に移行させることができるように構成される、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項3】
前記第1弁尖クリップが、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記第1弁尖クリップと前記本体との間で自己前尖を捕捉するように構成される、請求項2に記載の人工心臓弁。
【請求項4】
前記第2弁尖クリップが、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記第1弁尖クリップと前記本体との間で自己後尖を捕捉するように構成される、請求項3に記載の人工心臓弁。
【請求項5】
前記第1弁尖クリップ及び前記第2弁尖クリップが各々、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、同じ自己弁尖を捕捉するように構成される、請求項2に記載の人工心臓弁。
【請求項6】
前記弁尖クリップが、前記弁尖クリップの少なくとも一部の上に配置されるカバーを含む、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項7】
前記カバーが開口部を規定し、前記開口部が、前記本体の展開中に血液が心房と前記心室との間で前記開口部を通って流れることを可能にする、請求項6に記載の人工心臓弁。
【請求項8】
前記弁尖クリップが、前記本体によって規定される軸に対して対称である、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項9】
前記弁尖クリップが、前記本体によって規定される軸に対して非対称である、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項10】
前記弁尖クリップが第1端及び第2端を有し、前記第1端が前記本体に取り付けられており、前記弁尖クリップが、前記第2形態にあるときに前記弁尖クリップの前記第2端が前記自己弁輪から非ゼロの距離、間隔をあけて配置されるように前記本体の前記長さより小さい長さを有する、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項11】
前記弁尖クリップが、前記第1形態にあるときの第1幅及び前記第2形態にあるときの第2幅を有し、前記第2幅が前記第1幅より大きい、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項12】
前記縫合糸が、前記弁尖クリップがその第2形態に移行した後に前記弁尖クリップから取り外し可能であるように構成された縫合糸である、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項13】
前記本体の前記近位端の周囲を円周方向に分散され、かつ、前記近位端から半径方向外側に延在する、複数の自己拡張型心房係留要素と、
前記本体の前記遠位端に取り付けられ、かつ前記本体が前記心臓の房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記本体の前記遠位端から前記心臓の前記心室を通って前記心室の前記壁から出るように延在するのに十分な長さを有する係留テザーと、をさらに含む、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項14】
前記係留テザーの少なくとも一部が内腔を規定し、前記縫合糸の少なくとも一部が、前記係留テザーの前記内腔内に配置されている、請求項13に記載の人工心臓弁。
【請求項15】
近位端及び遠位端を有する人工心臓弁本体と、
弁尖クリップであって、前記本体の展開中の第1形態と、前記本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、前記弁尖クリップが前記弁尖クリップと前記本体との間で自己弁尖を捕捉する第2形態との間で移行するように構成された弁尖クリップと、
前記弁尖クリップに動作可能に結合された縫合糸であって、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記弁尖クリップから前記心臓の心室を通って前記心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有する縫合糸であって、
前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記弁輪内に配置されたときに、術者が前記弁尖クリップをその第1形態からその第2形態に移行させることができるように構成されている縫合糸と、
第1端及び第2端を有する細長部材であって、前記第1端が、前記人工心臓弁の展開中に前記心臓の前記心室内に配置されるように構成され、前記第2端が前記心臓の外側に延在するように構成され、前記細長部材が縫合糸内腔を規定し、前記縫合糸が、前記縫合糸内腔内に配置可能でありかつ前記細長部材の前記第2端から延出可能である、細長部材と、を備えるシステム。
【請求項16】
前記本体の前記近位端の周囲を円周方向に分散され、かつ、前記近位端から半径方向外側に延在する、複数の自己拡張型心房係留要素と、
前記本体の前記遠位端に取り付けられ、かつ前記本体が前記心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、前記本体の前記遠位端から心臓の前記心室を通って前記心室の前記壁から出るように延在するのに十分な長さを有する係留テザーと、をさらに備え、
前記細長部材がテザー内腔を規定し、前記係留テザーが、前記テザー内腔内に配置されかつ前記細長部材の前記第2端から延出している、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記弁尖クリップが第1弁尖クリップであり、前記縫合糸が第1縫合糸であり、前記人工心臓弁が、
前記本体に結合された第2弁尖クリップであって、前記本体の展開中に前記第2弁尖クリップが前記係留テザーに近接する第1形態と、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記第2弁尖クリップが前記第2弁尖クリップと前記本体との間で自己弁尖を捕捉する第2形態との間で移行するように構成された第2弁尖クリップと、
前記第2弁尖クリップに動作可能に結合された第2縫合糸であって、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記第2弁尖クリップから前記心臓の前記心室を通って前記心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有する第2縫合糸と、をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記縫合糸内腔が第1縫合糸内腔であり、前記第1縫合糸が前記第1縫合糸内腔内に配置され、前記細長部材が第2縫合糸内腔をさらに規定し、前記第2縫合糸が、前記第2縫合糸内腔内に配置されかつ前記細長部材の前記第2端から延出している、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
人工心臓弁を自己弁輪に送達するシステムであって、前記弁が近位端及び遠位端を有する自己拡張型ワイヤフレーム本体と弁尖クリップとを含むシステムであり、
第1端及び第2端を有する細長部材であって、前記第1端が、前記人工心臓弁の展開中、心臓の心室内に配置されるように構成され、前記第2端が前記心臓の外側に延在するように構成され、前記細長部材が縫合糸内腔を規定する、細長部材と、
前記縫合糸内腔内に配置されかつ前記弁尖クリップに動作可能に結合された、第1端及び第2端を有する縫合糸であって、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記弁尖クリップから前記縫合糸内腔を通って前記心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有する、縫合糸と、を備え、
前記縫合糸が、前記本体の展開中、術者が前記弁尖クリップを第1形態で維持するのを可能にし、かつ前記術者が、前記本体が前記心臓の前記房室弁の前記自己弁輪内に配置されたときに、前記弁尖クリップを、前記弁尖クリップと前記本体との間で自己弁尖を捕捉する第2形態に移行させるのを可能にするように構成される、システム。
【請求項20】
前記縫合糸の前記第1端に結合されかつ前記細長部材と嵌合するように構成された管状体をさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記縫合糸の前記第2端がマンドレルに結合され、前記マンドレルが、前記管状体によって規定されるスロット内に配置されるように構成される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記弁が、前記本体の前記遠位端の取り付けられた係留テザーを含み、前記細長部材がテザー内腔を規定し、前記係留テザーが、前記テザー内腔内に配置されかつ前記細長部材の前記第2端から延出している、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[1001] 本願は、「人工僧帽弁用の改善された前尖クリップデバイス(Improved Anterior Leaflet Clip Device for Prosthetic Mitral Valves)」と題する、2013年10月28日出願の米国仮特許出願第61/896,574号に対する優先権及びその利益を主張し、その出願の開示内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[1002] 本願はまた、「人工僧帽弁用の改善された前尖クリップデバイス(Improved Anterior Leaflet Clip Device for Prosthetic Mitral Valves)」と題する、2014年9月12日出願された米国仮特許出願第62/049,662号に対する優先権及びその利益を主張し、その出願の開示内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[1003] 本明細書に記載する実施形態は、概して、人工心臓弁と、人工器官を心臓に送達する装置、システム及び方法と、に関する。より詳細には、本明細書に記載する実施形態は、人工心臓弁及び関連の構成要素を心臓内に植え込みかつ操作する装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
[1004] ヒトの心臓は、人体に血液をポンピングする役割を担っている。ヒトの心臓は、4つの別個の小室に分離され、一般に、心臓の右側又は左側に関して言及される。右心房及び右心室を含む心臓の右側は、人体から脱酸素化血液を受け取り、血液を酸素化するために肺に脱酸素化血液をポンピングする役割を担う。左心房及び左心室を含む心臓の左側は、肺から酸素化血液を受け取り、身体のさまざまな部分に酸素化血液をポンピングする役割を担う。心臓の小室内の血液の移動は、4つの弁、すなわち大動脈弁、僧帽弁、肺動脈弁及び三尖弁によって制御される。これらの弁は、常に開閉し、従って、摩耗及び引裂き、並びに、弁の性能、従って循環系全体に影響を与える他の問題(例えば、僧帽弁の逆流、脱出及び/又は狭窄)を受け易い可能性がある。
【0005】
[1005] 例えば心臓の僧帽弁の性能等、心臓の性能を修復するいくつかの既知のデバイスとして人工心臓弁を挙げることができる。人工心臓弁は、心臓の自己弁輪に植え込みかつ固定可能である。こうした場合、心臓弁の自己弁尖は、人工心臓弁と心臓の心筋との間に配置される可能性がある。さらに、自己弁尖は、このように配置されると、例えば、心臓の心室を出入りする血流を妨げる(例えば、左室流出路(LVOT)を妨げる、人工心臓弁を通しての有効弁口面積(EOA)の低減の)可能性がある。場合によっては、これは、自己弁尖が、人工心臓弁の弁口領域を通して心臓の心房から心室まで規定される流路内に少なくとも部分的に配置された場合に発生する可能性がある。さらに、経時的に、自己弁尖は、石灰化等のために硬化する(例えば、弾性率が変化する)可能性があり、それにより、心臓内に望ましくない乱流、渦流及び/又は他の望ましくない流れプロファイルがもたらされる。さらには、自己弁尖のこうした劣化及び/又は硬化により、場合によっては、人工心臓弁尖の劣化がもたらされる可能性がある。
【0006】
[1006] 従って、人工心臓弁が配置され動作しているときに心臓弁の自己弁尖を固定し、捕捉し、制御し、又は他の方法で操作する改善されたデバイス、システム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
[1007] 本明細書では、人工心臓弁が心臓の房室弁の自己弁輪に送達されるか又はその中に配置されるときの自己心臓弁尖を固定し、捕捉し、制御し、又は、他の方法で操作する装置、システム及び方法について記載する。いくつかの実施形態では、人工心臓弁は、自己拡張型ワイヤフレーム本体と、本体内に配置された弁と、本体に結合された弁尖クリップと、弁尖クリップに動作可能に結合された制御要素と、を含む。本体は近位端及び遠位端を有している。弁尖クリップは、心臓に人工弁を挿入することができる第1形態と、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップが弁尖クリップと本体との間で自己弁尖を捕捉するように配置される第2形態との間で移行するように構成される。制御要素は、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップから心臓の心室を通って心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有している。制御要素は、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、術者(使用者)が弁尖クリップをその第1形態からその第2形態に移行させることができるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態による人工心臓弁の概略図である。
図2a】実施形態による第1位置にある人工心臓弁を示す。
図2b】実施形態による第2位置にある人工心臓弁を示す。
図2c】実施形態による第3位置にある人工心臓弁を示す。
図3】さまざまな位置における単一の回転点を有する人工心臓弁尖クリップを示す。
図4】さまざまな位置における2つの回転点を有する人工心臓弁尖クリップを示す。
図5】実施形態による丸められた形態にある人工心臓弁本体を示す。
図6】実施形態による平坦化形態にある図5の人工心臓弁本体を示す。
図7】実施形態による、図5及び図6の弁本体を含む人工心臓弁システムを示す。
図8a】実施形態による第1形態にある人工心臓弁尖クリップを示す。
図8b】実施形態による第2形態にある人工心臓弁尖クリップを示す。
図9a】実施形態による第1形態にある人工心臓弁尖クリップを示す。
図9b】実施形態による第2形態にある人工心臓弁尖クリップを示す。
図10a】実施形態による第1形態にある人工心臓弁尖クリップを示す。
図10b】実施形態による第2形態にある人工心臓弁尖クリップを示す。
図11】実施形態によるさまざまな人工心臓弁尖クリップのうちの1つを示す。
図12】実施形態によるさまざまな人工心臓弁尖クリップのうちの1つを示す。
図13】実施形態によるさまざまな人工心臓弁尖クリップのうちの1つを示す。
図14】実施形態による平坦化形態にある人工心臓弁尖クリップを示す。
図15】実施形態による人工心臓弁を側面図で示す。
図16】実施形態による人工心臓弁を正面図で示す。
図17】実施形態による人工心臓弁を詳細図で示す。
図18】実施形態による人工心臓弁を斜視図で示す。
図19】実施形態による人工心臓弁を示す。
図20a】実施形態による人工心臓弁を示す。
図20b】実施形態による人工心臓弁の上面断面図を示す。
図21a】実施形態による人工心臓弁を示す。
図21b】実施形態による人工心臓弁の上面断面図を示す。
図22a】実施形態による第1形態にある人工心臓弁を示す。
図22b】実施形態による第1形態にある人工心臓弁の上面断面図を示す。
図23a】実施形態による第2形態にある人工心臓弁を示す。
図23b】実施形態による第2形態にある人工心臓弁の上面断面図を示す。
図24】実施形態による人工心臓弁を示す。
図25a】実施形態による図24の人工心臓弁の断面図での細長(長尺)部材とそれに結合された制御要素及びマンドレルとを示す。
図25b】実施形態による図24の人工心臓弁の細長部材の上面図を示す。
図26a】実施形態による図24の人工心臓弁の制御要素に結合されたマンドレルを示す。
図26b】実施形態による図24の人工心臓弁の管状部材を上面図で示す。
図26c】実施形態による図24の人工心臓弁の管状部材を側面図で示す。
図26d】実施形態による図24の人工心臓弁の、マンドレルが内部に配置されている管状部材を示す。
図27】実施形態による弁尖クリップ回収部材を示す。
図28】実施形態による第1形態にある人工心臓弁を示す。
図29】実施形態による第2形態にある人工心臓弁を示す。
図30】実施形態による第1形態にある人工心臓弁を示す。
図31】実施形態による第2形態にある人工心臓弁を示す。
図32a】別の実施形態による図30及び図31の人工心臓弁を示す。
図32b】別の実施形態による人工心臓弁の詳細図を示す。
図33a】実施形態による第1形態にある人工心臓弁を示す。
図33b】実施形態による第2形態にある人工心臓弁を示す。
図34】実施形態による人工心臓弁を詳細図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1017] 本明細書では、人工心臓弁が心臓の房室弁の自己弁輪に送達されるか又はその中に配置されるときに自己心臓弁尖を固定し、制御し、捕捉し、又は、他の方法で操作する装置、システム及び方法について説明する。
【0010】
[1018] いくつかの実施形態では、人工心臓弁(本明細書では「人工弁」とも呼ぶ)は、自己拡張型ワイヤフレーム本体(本明細書では「本体」とも呼ぶ)と、本体内に配置された弁と、本体に結合された弁尖クリップと、弁尖クリップに動作可能に結合された制御要素と、を含む。本体は近位端及び遠位端を有している。弁尖クリップは、心臓に人工弁を挿入することができる第1形態と、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップが弁尖クリップとワイヤフレーム本体との間で自己弁尖を捕捉するように配置される第2形態との間で移行するように構成されている。制御要素は、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップから心臓の心室を通って心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有している。制御要素は、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、術者が弁尖クリップをその第1形態からその第2形態に移行させることができるように構成されている。
【0011】
[1019] いくつかの実施形態では、方法は、心臓の房室弁の自己弁輪に、近位端及び遠位端を有する自己拡張型本体を有する人工弁を送達することを含む。本体内に弁が配置され、本体に弁尖クリップが結合される。弁尖クリップは、第1形態と第2形態との間で移動可能であり、制御要素は、弁尖クリップに動作可能に結合される。弁尖クリップ及び制御要素は、自己弁輪の心室側に配置される。弁尖クリップは、第1形態で配置され、本体は、自己拡張して自己弁輪に係合することができる。心臓の外側に制御要素の一部が配置され、制御要素により、張力が解放されて、弁尖クリップは第1形態と第2形態との間で移行して、弁尖クリップと本体との間で自己弁尖を捕捉することができる。
【0012】
[1020] いくつかの実施形態では、システムは、人工心臓弁本体と、弁尖クリップと、弁尖クリップに動作可能に結合された制御要素と、細長部材とを含む。本体は、近位端及び遠位端を有している。弁尖クリップは、本体の展開中の第1形態と、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップと本体との間で自己弁尖を捕捉する第2形態との間で移行するように構成されている。制御要素は、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップから心臓の心室を通って心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有している。制御要素は、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたとき、術者が、弁尖クリップをその第1形態からその第2形態まで移行させることができるように構成されている。細長部材は第1端及び第2端を有している。第1端は、本体の展開中に心臓の心室内に配置されるように構成され、第2端は、心臓の外側に延在するように構成されている。細長部材は制御要素内腔を規定している。制御要素は、制御要素内腔内に配置可能であり、細長部材の第2端から延出可能である。
【0013】
[1021] いくつかの実施形態では、人工心臓弁を自己弁輪に送達するシステムは、自己拡張型ワイヤフレーム本体と、弁尖クリップと、細長部材と、制御要素と、を含む。本体は、近位端及び遠位端を有している。細長部材は第1端及び第2端を有している。細長部材の第1端は、人工心臓弁の展開中に心臓の心室内に配置されるように構成され、細長部材の第2端は、心臓の外側に延在するように構成されている。細長部材は、制御要素内腔を規定している。制御要素は、第1端及び第2端を有し、制御要素内腔内に配置されかつ弁尖に動作可能に結合されている。制御要素は、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに弁尖クリップから制御要素内腔を通って心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有している。制御要素は、本体の展開中、術者が弁尖クリップを第1形態で維持することができるようにし、本体が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、術者が弁尖クリップを、弁尖クリップが弁尖クリップと本体との間で自己弁尖を捕捉する第2形態に移行させることができるように構成されている。
【0014】
[1022] 本明細書で用いる単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、文脈に明確に述べられていない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「(1つの)部材」という用語は、単一部材又は部材の組合せを意味するように意図されており、「(1つの)材料」は、1種あるいは複数種の材料又はそれらの組合せを意味するように意図されている。
【0015】
[1023] 本明細書で用いる「遠位」及び「近位」という語は、例えば医療デバイスの操作者に対してそれぞれ近づく方向及び離れる方向を指す。従って、例えば、(例えば、患者の身体に接触するか又は患者の体内に配置された)患者の身体に最も近い医療デバイスの端部は、医療デバイスの近位端であり、近位端とは反対側の、例えば医療デバイスの術者(又は術者の手)に最も近い端部は、医療デバイスの遠位端である。
【0016】
[1024] 本明細書で用いる「約」及び「およそ」という用語は、概して、述べられている値の±10%を意味する。例えば、約0.5は、0.45及び0.55を含み、約10は9から11を含み、約1000は900から1100を含む。
【0017】
[1025] 本明細書に記載するように、人工心臓弁が自己心臓弁輪に植え込まれ固定されるとき、人工心臓弁と心臓の心筋との間に自己弁尖が配置される可能性がある。自己弁尖は、このように配置されると、例えば、人工心臓弁の動作及び/又は心臓を通る血流を妨げる可能性がある。例えば、自己弁尖は、左室流出路(LVOT)を閉塞させる可能性があり、それにより身体への酸素化血液の流れが低減する。自己弁尖はまた、人工心臓弁も閉塞させ、有効弁口面積(EOA)を低減させる可能性もあり、それにより、心房から心室への血液の流れが低減する。さらに、自己弁尖は、自己弁輪における人工心臓弁の適切な設置を妨げる可能性があり、それにより、人工心臓弁の動作が不適切になる。言い換えれば、人工心臓弁本体が自己弁輪と十分なシールを形成しない場合、血液は弁本体の周囲に漏れる可能性があり、人工心臓弁は適切に機能しない可能性がある。
【0018】
[1026] いくつかの実施形態では、人工心臓弁は弁尖クリップを含むことができる。使用時、すなわち、人工心臓弁が心臓の房室弁(例えば、僧帽弁又は三尖弁)の自己弁輪に送達される動作中、弁尖クリップは、自己弁尖を捕捉する(例えば、自己弁尖をつかむ、自己弁尖に結合する、接続する、自己弁尖を付勢する、自己弁尖に穴をあける、自己弁尖を密封する等)ように機能することができる。例えば、人工心臓弁が心臓の自己弁輪に植え込まれるとき、弁尖クリップは、自己弁尖が弁尖クリップと人工弁の本体部分との間に配置されるように、自己弁尖を捕捉することができる。このように、例えば人工心臓弁口の間の流路の外側に自己弁尖を選択的に配置することができ、それにより、人工心臓弁のEOAが保持され、人工心臓弁の動作中の自己弁尖によるLVOT狭窄、血流の乱流、渦流、又は同様の妨げが制限され及び/又は低減する。同様に、例えば石灰化により自己弁尖が硬化するか、又は他の方法で変化が生じる際に経時的に、弁尖クリップは、望ましい血流プロファイルが維持されるように望ましい位置で自己弁尖を保持することができる。さらに、人工心臓弁(例えば、人工心臓弁の本体)と心臓弁の自己弁輪との、さらに結果として心臓の左心室と心臓の左心房との間に封止を提供するように、弁尖クリップによって自己弁尖を選択的に位置決めし及び/又は密封することができる。
【0019】
[1027] 本明細書にさらに詳細に記載するように、いくつかの実施形態では、術者が人工心臓弁の本体部分と弁尖クリップとの間に自己弁尖を捕捉するように弁尖クリップを移行させることができるように構成された制御要素に、人工心臓弁及び/又は弁尖クリップを動作可能に結合することができる。
【0020】
[1028] 図1は、人工心臓弁システム1000の概略図である。人工心臓弁1000は、僧帽弁等の損傷した又は罹患した自己心臓弁に配置されるように設計されている。人工心臓弁1000(本明細書では「人工弁」とも呼ぶ)は、人工弁本体1100、第1弁尖クリップ1200a、及び任意選択的に第2弁尖クリップ1200b(まとめて(「クリップ1200」と呼ぶ)を含む。いくつかの実施形態では、人工心臓弁1000にさらなる弁尖クリップ1200を含めることができる。弁尖クリップ1200は、人工弁本体1100に結合され、心臓に人工弁1000を挿入することができる第1形態と、弁本体1100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップ1200が弁尖クリップ1200と弁本体1100との間に1つ又は複数の自己弁尖を捕捉するように配置される第2形態との間で移行するように構成されている。制御要素1300が、弁尖クリップ1200に動作可能に結合され、弁本体1100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに弁尖クリップ1200から心臓の心室を通って心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有している。制御要素1300は、弁本体1100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、術者が弁尖クリップ1200をそれらの第1形態からそれらの第2形態に(独立して又は同時に)移行させることができるようにさらに構成されている。
【0021】
[1029] 人工弁本体1100は、変形させる(例えば、圧縮する及び/又は拡張する)ことができ、解放されるとその元の(変形していない)サイズ及び形状に戻ることができるように形成することができる。これを達成するために、弁本体1100は、形状記憶特性を有する金属又はプラスチック等、任意の好適な材料又は材料の組合せから形成することができる。いくつかの実施形態では、弁本体1100はNitinolから形成することができる。例えば、Cu−Zn−Al合金及び/又はCu−Al−Ni合金等の他の形状記憶合金を使用することができる。人工弁本体1100は、「人工心臓弁用の血栓管理及び構造的コンプライアンスの特徴(Thrombus Management and Structural Compliance Features for Prosthetic Heart Valves)」と題する国際特許出願第PCT/US14/44047号(「‘047出願」)、及び「人工僧帽弁用の構造部材(Structure Members for Prosthetic Mitral Valves)」と題する国際特許出願第PCT/US14/40188号(「188出願」)に記載されている人工弁のうちの任意のものと同じか又は同様とすることができ、それらの開示内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
[1030] 弁本体1100内に弁(図示せず)が配置されている。弁本体1100は、任意の好適なサイズ、形状又は構成であり得る。いくつかの実施形態では、弁本体1100は、外側フレームと、内側フレーム及び弁尖を含む内側弁アセンブリと、を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、弁本体1100は、(例えば、心房部分にある)上方の近位端と、(例えば、心室部分にある)下方の遠位端と、(例えば、弁輪部分にある)それらの間の中間部分と、を有することができる。中間部分は、こうした実施形態では、自己房室弁(例えば、僧帽弁又は三尖弁)の弁輪に嵌まるように構成された外周部を有することができる。外側フレームの上端は、中間部分の外周部より大きい外周部を有することができる。さらなる実施形態において示すように、弁本体1100のいくつかの部分(例えば、外側フレームの上端及び中間部分)は、D字型断面を有することができる。このように、外側フレームは、自己房室弁の弁輪内に好適に嵌まるのを促進することができる。
【0023】
[1031] 本明細書に記載するように、弁尖クリップ1200は、弁本体1100に動作可能に結合されている。任意の好適な方法で弁本体1100に弁尖クリップ1200を結合することができる。いくつかの実施形態では、弁尖クリップ1200及び弁本体1100を一体構造で構成することができる。他の実施形態では、弁尖クリップ1200及び弁本体1100を別個に形成して、その後(例えば、ワイヤ、ねじ、締り嵌め、溶接部、又は他の任意の好適な締結具あるいは締結方法を用いて)合わせて接合することができる。いくつかの実施形態では、弁本体1100に弁尖クリップ1200を実質的に永久的に結合することができるが、他の実施形態では、弁本体1100に弁尖クリップ1200を取外し可能に結合することができる。
【0024】
[1032] いくつかの実施形態では、弁本体1100の外側フレームに又はその一部に弁尖クリップ1200を結合することができるが、他の実施形態では、弁本体1100の内側フレームに又はその一部に弁尖クリップ1200を結合することができる。さらに、弁本体1100に弁尖クリップ1200を任意の好適な時点で結合することができる。例えば、心臓に人工心臓弁1000を送達する前に、弁本体1100に弁尖クリップ1200を結合することができ、すなわち、心臓弁1000が心臓の外側に配置されると、弁本体1100に弁尖クリップ1200を結合することができる。別の例として、人工心臓弁1000が心臓の内側に配置された後、弁本体1100に弁尖クリップ1200を結合することができる。このように、弁本体1100及び弁尖クリップ1200を心臓に別個の送達し、弁本体1000及び弁尖クリップ1200の両方が心臓内に配置された後、互いに結合することができる。
【0025】
[1033] いくつかの実施形態では、第1弁尖クリップ1200aが、第1弁尖クリップ1200aの少なくとも一部の上に配置される、第1弁尖カバー1210aを含むことができる。同様に、いくつかの実施形態では、第2弁尖クリップ1200bが、第2弁尖クリップ1200bの少なくとも一部の上に配置される、第2弁尖カバー1210bを含むことができる。カバー1210a及びカバー1210b(まとめて「カバー1210」と呼ぶ)は、例えば、生後30日のウシ、ヒツジ、ウマあるいはブタの心膜由来、又は動物の小腸粘膜下組織由来の安定化組織等、任意の好適な材料、又は材料の任意の組合せから構成することができる。いくつかの実施形態では、カバー1210は、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン又はそれらの組合せを含む合成材料から構成することができる。使用時、カバー1210は、自己弁尖を捕捉し、固定し、付勢し、又は他の方法で収容しあるいは操作する機能を促進することができる。例えば、使用時、カバー1210は、少なくとも部分的に自己弁尖を密封するように構成された、拡張された表面領域を提供することができ、それにより自己弁尖の管理及び/又は選択的制御を促進することができる。このように、カバー1210は、1つ又は複数の自己弁尖の少なくとも一部が、弁尖クリップ1200によって規定された領域を通って突出するのを防止することができ、それにより、1つ又は複数の自己弁尖が血流、LVOT、EOA又は心臓及び/あるいは人工心臓弁1000の他の適切な機能を望ましくないように妨げる可能性が制限され及び/又は低減する。さらに、いくつかの実施形態では、カバー1210は、カバー1210及び/又は弁本体1100と自己弁尖との間の望ましい内部成長を促進又は加速するように構成することができる。
【0026】
[1034] いくつかの実施形態では、カバー1210は、弁尖クリップ1200(例えば、実質的に、弁尖クリップ1200によって規定された領域全体)を実質的に覆うことができる。他の実施形態では、カバー1210は、1つ又は複数の開口部を規定して、血液がそこを通って(例えば、人工弁1000の送達中、弁本体1100の展開中、及び/又は、弁尖クリップ1200の操作中、心房から心室まで)流れることができるようにすることができる。このように、使用時、血流制限を制限し及び/又は低減させ、弁尖クリップ1200及び/又は弁本体1100の動き及び操作を促進するように、カバー1210の開口部を構成することができる。この例に対してさらに、使用時、弁尖クリップ1200が分離している(すなわち、自己弁尖に対して分離している、「作動可能状態」にある)とき、血流が通過するのを可能にするようにカバー1210を構成することができる。こうした構成により、人工心臓弁1000及び弁尖クリップ1200の送達及び展開中に血流の望ましくない妨げ(例えば、LVOT狭窄)を制限及び/又は防止することができる。開口部は、例えば、そこを通過する望ましい流量を促進するように、任意の好適なサイズ及び/又は形状とすることができる。本明細書に記載するように、いくつかの実施形態では、カバー1210は、複数の材料及び/又は構成を含むことができる。このように、カバー1210及び/又は弁本体1100と自己弁尖との間の内部成長を促進するようにカバー1210を構成することができる。例えば、カバー1210は、可変の孔を含むことができ、それは、内部成長を促進し及び/又は血液が可変の孔を通って可変流量で流れるのを可能にするように構成されている。
【0027】
[1035] 弁尖クリップ1200は、任意の形状、サイズ又は構成とすることができ、任意の好適な材料又は材料の組合せから形成することができる。いくつかの実施形態では、場合によっては弁本体1100と同様に、弁尖クリップ1200は、変形させる(例えば、圧縮する、拡張する、再構成する、又は何らかの方法で付勢する)ことができ、解放されると、それらの(変形していない)元のサイズ、形状及び/又は構成に戻ることができるように形成することができる。
【0028】
[1036] いくつかの実施形態では、弁尖クリップ1200は、互いに形状、サイズ及び/又は構成が実質的に同一であり得るが、他の実施形態では、弁尖クリップ1200は、互いに形状、サイズ及び/又は構成が異なり得る。弁尖クリップ1200のさまざまな構成については、本明細書においてさらに詳細に考察し、さらなる図においてより詳細に例示する。
【0029】
[1037] 弁尖クリップ1200は、心臓弁の1つ又は複数の自己弁尖に係合する(例えば、自己弁尖を捕捉する、付勢する、自己弁尖に結合する、接続する、穴をあける、自己弁尖を密閉する等)ように機能することができる。より具体的には、弁尖クリップ1200は、弁尖クリップ1200と弁本体1100の間で自己弁尖を捕捉することができる。本明細書においてさらに詳細に考察するように、任意の数の自己弁尖を弁本体1100の任意の位置で捕捉するように、任意の数の弁尖クリップを構成することができる。いくつかの実施形態では、単一の自己弁尖を捕捉するように、弁尖クリップ1200(すなわち、弁尖クリップ1200a及び弁尖クリップ1200b)を構成することができる。他の実施形態では、複数の自己弁尖を捕捉するように、弁尖クリップ1200を構成することができる。例えば、弁尖クリップ1200aは、心臓弁のA2部分における自己弁尖(「A2弁尖」とも呼ぶ)を捕捉するように構成することができ、弁尖クリップ1200bは、心臓弁のP2部分における自己弁尖(「P2弁尖」とも呼ぶ)を捕捉するように構成することができる。この例に対してさらに、多くの場合、A2弁尖は、サイズ及び形状がP2弁尖と異なっている。こうした場合、第1弁尖クリップ1200aは、十分にA2弁尖と係合しそれを捕捉するようなサイズ及び/又は形状とすることができる。同様に、第2弁尖クリップ1200bは、十分にP2弁尖に係合しそれを捕捉するようなサイズ及び/又は形状とすることができる。いくつかの実施形態では、弁尖クリップ1200は、それらの構成又は位置に基づいて幅を変更することができる。例えば、弁尖クリップ1200は、分離位置に配置されたときは第1幅、係合形態で配置されたときは第2幅を有することができ、第2幅は第1幅より大きい。
【0030】
[1038] さらに、このように、人工心臓弁1000弁口の間に(例えば、弁本体1100内に配置された弁を通して)規定された流路の外側に、1つ又は複数の自己弁尖を捕捉し選択的に位置決めすることができ、それにより、狭窄又はEAOの低減が防止される。同様に、弁尖クリップ1200及び弁本体1100は、人工心臓弁1000(例えば、弁本体1100の外側部分)と心臓の房室弁の自己弁輪との間に封止を提供するように1つ又は複数の自己弁尖を位置決めするように、まとめて機能することができる。
【0031】
[1039] いくつかの実施形態では、弁尖クリップ1200に力を加えることができる。このように、少なくとも部分的に力に基づいて、弁尖クリップ1200を第1形態に配置することができる。さらに、こうした実施形態では、少なくとも部分的に力の低減に基づいて、弁尖クリップ1200を第2形態に移行させることができる。同様に言えば、ある期間、弁尖クリップ1200に力(例えば、張力)が加えられているとき、弁尖クリップ1200を第1形態に配置することができる。こうした実施形態では、上記期間の後、力が低減するか又はそれ以上加えられなくなる(例えば、張力が解放される)と、弁尖クリップ1200sを第1形態から第2形態に移行させることができる。さらに、いくつかの実施形態では、弁尖クリップ1200は、上述したように、(例えば、術者が発生させる)力に基づいて第1形態から第2形態に移行することができ、別法として又はさらに、弁尖クリップ1200は、弁尖クリップ1200を形成する材料(例えば、形状記憶特性を有する材料)に基づいて、第1形態から第2形態に移行することができる。
【0032】
[1040] 制御要素1300(例えば、縫合糸、テザー等)に任意の好適な方法で、弁尖クリップ1200を動作可能に結合することができる。術者が弁尖クリップ1200を(例えば、送達中、自己弁尖から分離した)第1形態から(例えば自己弁尖と係合した)第2形態まで弁尖クリップ1200を移行させることができるように、制御要素1300を構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、制御要素1300は、弁尖クリップ1200が第1形態に配置されるように弁尖クリップ1200に力を加えることができる。この例に対してさらに、いくつかの実施形態では、第1形態は、例えば、弁尖クリップ1200が形状記憶材料から形成されている場合、弁尖クリップ1200が変形状態に配置されていることを含むことができる。こうした実施形態では、制御要素1300は、弁尖クリップ1200が第1形態から第2形態に移行するように、弁尖クリップ1200に対する力を低減させるか又は除去することができる。第2形態は、例えば、弁尖クリップ1200が形状記憶材料から形成されている場合、弁尖クリップ1200が変形していない状態に配置されていることを含むことができる。他の実施形態では、制御要素1300によって加えられる力は第1力とすることができ、弁尖クリップ1200は、少なくとも部分的に第2力(例えば、弁本体1100に結合されかつ弁尖クリップ1200に動作可能に結合されたばね、ヒンジ等)に基づいて、第1形態から第2形態に移行することができる。例えば、人工弁1000は、弁尖クリップ1200と弁本体1100との間に配置された弁尖クリップ取付部材(図示せず)を含むことができる。弁尖クリップ取付部材は、弁尖クリップ1200を第1形態から第2形態に移行させることができる。例えば、弁尖クリップ取付部材は、ばね式ヒンジ、ばね等、エネルギー蓄積部材を含むことができる。この例に対してさらに、弁尖クリップ1200を第1形態から第2形態に移行させる弁尖クリップ1200の形状記憶特性の代りに又はそれに加えて、エネルギー蓄積部材は、弁尖クリップ1200の第1形態から第2形態への移行を促進することができる。
【0033】
[1041] いくつかの実施形態では、制御要素1300に弁尖クリップ1200を取外し可能に結合することができる。使用時、心臓の房室弁の自己弁輪への人工弁1000の送達中、及び弁尖クリップ1200の操作中、弁尖クリップ1200に制御要素1300を結合し、その後、(例えば、操作者により)弁尖クリップ1200から選択的に切り離すことができる。
【0034】
[1042] 図1では、制御要素1300が、弁尖クリップ1200a及び弁尖クリップ1200bの両方に動作可能に結合されているように示されているが、いくつかの実施形態では、制御要素1300は、第1制御要素1300a及び第2制御要素1300bを含むことができる。こうした実施形態では、第1制御要素1300a及び第2制御要素1300bを一体構造で構成することができるが、他の実施形態では、第1制御要素1300a及び第2制御要素1300bを別個に形成して、場合によっては取り付けることができる。いくつかの実施形態では、第1制御要素1300aは、第2弁尖クリップ1200bではなく第1弁尖クリップ1200aに動作可能に結合することができ、第2制御要素1300bは、第1弁尖クリップ1200aではなく第2弁尖クリップ1200bに動作可能に結合することができる。他の実施形態では、第1弁尖クリップ1200a及び第2弁尖クリップ1200bの両方に、第1制御要素1300a及び第2制御要素1300bを各々動作可能に結合することができる。
【0035】
[1043] 術者が第1制御要素1300a及び第2制御要素1300bの両方を実質的に同時に操作することができ、従って、第1弁尖クリップ1200a及び第2弁尖クリップ1200bの両方を実質的に同時に操作することができるように、第1制御要素1300a及び第2制御要素1300bを任意の好適な方法(例えば、結び目、締結具等)により互いに結合することができる。使用時、いくつかの実施形態では、心臓内で第1制御要素1300aを第2制御要素1300bに結合することができるが、他の実施形態では、心臓の外側で第1制御要素1300aを第2制御要素1300bに結合することができる。
【0036】
[1044] いくつかの実施形態では、術者が第1制御要素1300a及び第2制御要素1300bを独立して操作することができ、従って、第1弁尖クリップ1200a及び第2弁尖クリップ1200bを独立して操作することができるように、第1制御要素1300a及び第2制御要素1300bを構成することができる。このように、術者は、第1制御要素1300aを介して第1弁尖クリップ1200aを、分離形態(例えば、心臓に人工弁を挿入することができる)から係合形態(例えば、第1弁尖クリップ1200aが第1弁尖クリップ1200aと弁本体1100との間で自己弁尖を捕捉するように配置される)まで移行させることができる。同様に、術者は、第2制御要素1300bを介して第2弁尖クリップ1200bを、分離形態(例えば、心臓に人工弁を挿入することができる)から係合形態(例えば、第2弁尖クリップ1200bが、第2弁尖クリップ1200bと弁本体1100との間で自己弁尖を捕捉するように配置される)まで移行させることができる。
【0037】
[1045] さらに、第1弁尖クリップ1200a及び第2弁尖クリップ1200bは、それぞれ第1制御部(図示せず)及び第2制御部(図示せず)(まとめて「制御部」と呼ぶ)を含むことができる。制御部1230は、制御要素1300に結合されるように構成することができる。いくつかの実施形態では、制御部1230は、制御要素1200を取り付けるための開口部、リング、ループ、スロット、又は、他の任意の好適な係留点を含むことができる。いくつかの実施形態では、制御部1230及び弁尖クリップ1200を一体構造で構成することができるが、他の実施形態では、制御部1230及び弁尖クリップ1200を別個に形成し、その後、(例えば、ワイヤ、溶接部、又は任意の好適な締結具あるいは締結方法を用いて)合わせて接合することができる。
【0038】
[1046] いくつかの実施形態では、心臓の房室弁の一部を望ましくないように妨げることがないように、弁尖クリップ1200を構成することができる。例えば、弁尖クリップ1200は、(例えば、弁尖クリップ1200が係合形態にあるか又は係合形態に移行している過程にあるとき)房室弁の自己弁輪を望ましくないように妨げることがないようなサイズ及び形状とすることができる。この例に対してさらに、より具体的には、弁尖クリップ1200は、長さが弁本体1100の長さより小さい第1端及び第2端を有することができる。従って、弁尖クリップ1200が係合形態にあるとき、自己弁尖から弁尖クリップ1200を非ゼロの距離、間隔を空けて配置することができる。このように、弁尖クリップ1200は、1つ又は複数の自己弁尖を捕捉するのに十分な長さである一方で、自己弁輪を望ましくないように妨げることなく、さまざまな位置及び構成の間で移行することができる。同様に、弁尖クリップ1200が分離形態、係合形態、又はそれらの間の任意の位置にあるとき、心室の内面(例えば、心室壁)から弁尖クリップ1200を非ゼロの距離、間隔を空けて配置することができる。このように、弁尖クリップ1200は、心室壁等、房室弁の一部を望ましくないように妨げることなく、さまざまな位置及び構成の間で移行することができる。
【0039】
[1047] 図2a〜図2cは、それぞれ、第1位置(図2a)、第2位置(図2b)及び第3位置(図2c)にある、実施形態による人工弁2000を示す。人工弁2000は、弁本体2100と、第1弁尖クリップ2200a及び第2弁尖クリップ2200b(まとめて「弁尖クリップ2200」と呼ぶ)と、係留テザー2130と、第1制御要素2300a及び第2制御要素2300b(まとめて「制御要素2300」と呼ぶ)と、を含む。弁本体2100は、近位端2110及び遠位端2120を有し、弁本体2100の近位端2110の周囲に円周方向に分散されかつ近位端2110から半径方向外側に延在している、複数の自己拡張型心房係留要素を含む。この実施形態では、弁本体2100及び弁尖クリップ2200は、Nitinolのレーザ切断チューブから形成されている。係留テザー2130は、弁本体2100の遠位端2120に結合されている。
【0040】
[1048] 弁尖クリップ2200は、弁本体2100と一体的に形成されている。第1弁尖クリップ2200a及び第2弁尖クリップ2200bは、それぞれ第1弁尖クリップカバー2210a及び第2弁尖クリップカバー2210b(まとめて「カバー2210」と呼ぶ)を含む。上述したように、任意の好適な材料又は材料の任意の組合せからカバー2210を構成することができる。
【0041】
[1049] 係留テザー2130は、弁本体2100の遠位端2120に取り付けられている。図示しないが、係留テザー2130は、弁本体2100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁本体2100の遠位端2120から心臓の心室を通って心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有することができる。人工弁2000を心臓の外側の位置で心臓に係留するように、係留テザー2130を構成することができる。
【0042】
[1050] 図2bに最もよく示すように、制御要素2300は、弁尖クリップ2200に動作可能にかつ取外し可能に結合されている。このように、制御要素2300は、弁尖クリップ2200がさまざまな位置の間で移行するように、弁尖クリップ2200に力を伝達するように構成されている。さらに、制御要素2300は、術者が弁尖クリップ2200をさまざまな位置の間で移行させることができるように構成されている。
【0043】
[1051] 使用時、いくつかの異なる位置の間で弁尖クリップ2200を移行させることができる。例示を容易にするために、図2a〜図2cでは、第1弁尖クリップ2200a及び第2弁尖クリップ2200bは、同様の又は一致する位置にあるように示されている。いくつかの実施形態では、第1弁尖クリップ2200a及び第2弁尖クリップ2200bは、異なる時点で異なる位置の間で移行させることができることを留意するべきである。例えば、第2弁尖クリップ2200bが第2位置に配置されたとき、第1弁尖クリップ2200aを第1位置に配置することができる。このように、術者は、各弁尖クリップを独立して操作することができ、それにより、第1弁尖クリップ2200aは、自己弁尖を第1時点で捕捉することができ、第2弁尖クリップ2200bは、自己弁尖を第1時点の後の第2時点で捕捉することができる。こうした機能により、自己弁尖のより適切な、より繰返し可能な捕捉及び再捕捉が可能になる。
【0044】
[1052] 第1位置(図2a)では、弁尖クリップ2200は分離位置にある(すなわち、自己弁尖に対して分離している)。言い換えれば、第1位置では、弁尖クリップ2200は「作動可能状態」にある(すなわち、弁尖クリップ2200と弁本体2100との間で自己弁尖を捕捉する用意ができている)。さらに、第1位置では、弁尖クリップ2200は、心臓に弁本体2100を挿入することができるように配置されている。このように、使用時、弁本体2100が心臓の房室弁の自己弁輪に送達される際、弁尖クリップ2200は、心臓のいくつかの部分(例えば、心臓の自己腱索)への望ましくない接触及び/又は妨げを制限し及び/又は最小限にすることができる。さらに、第1位置では、弁尖クリップ2200は、例えば、部分的にそれらの形状記憶特性によって規定されるように、それらの変形位置にあり、すなわち、少なくとも部分的に事前に規定された変形していない位置にはない。さらに、図示するように、制御要素2300によって弁尖クリップ2200に力(張力)が加えられる。このように、制御要素2300は、弁尖クリップ2200を第1位置で維持するように構成されている。
【0045】
[1053] 弁尖クリップ2200を第1位置(図2a)から第2位置(図3)まで移動させるために、制御要素2300によって弁尖クリップ2200に加えられる張力は部分的に解放される。図2bに示すように、第2位置では、弁尖クリップ2200は中間状態にある。同様に言えば、弁尖クリップ2200は部分的に係合した位置にあり、すなわち、心臓の自己弁尖と接触する位置にある。
【0046】
[1054] 弁尖クリップ2200を第2位置(図2b)から第3位置(図2c)まで移動させるために、制御要素2300によって弁尖クリップ2200に加えられる張力はさらに解放される。第3位置(図2c)では、弁尖クリップ2200は、完全に係合した位置にある。このように、弁本体2100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたとき(図示せず)、弁尖クリップ2200は、弁尖クリップ2200と弁本体2100との間で1つ又は複数の自己弁尖(図示せず)を捕捉するように配置される。従って、弁尖クリップ2200は、1つ又は複数の自己弁尖が弁本体2100を通る(例えば、弁本体2100内に配置された人工弁を通る)流れを望ましくないように妨げることがないように、弁尖クリップ2200が第3位置にあるとき、1つ又は複数の弁尖を保持するように構成されている。
【0047】
[1055] 弁尖クリップ2200は、複数の位置(図2a〜図2c)の間で移行しているときに軸を中心に回転及び/又は屈曲しているように示されているが、他の実施形態では、1つ又は複数の自己弁尖を捕捉及び/又は付勢するように任意の好適な方法で、複数の位置の間で移行するように弁尖クリップ2200を構成することができる。例えば、1つ又は複数の自己弁尖を捕捉するように複数の位置の間で(例えば、第1位置から第3位置まで)摺動し及び/又は他の方法で並進するように、弁尖クリップ2200を構成することができる。
【0048】
[1056] 第1位置(分離、変形)から第2位置(中間、部分的に係合及び変形)までかつ第3位置(係合、変形していない)までの弁尖クリップ2200の移行について、少なくとも部分的に制御要素2300を介する張力の解放又は低減からもたらされるものとして上述したが、他の実施形態では、任意の好適な方法で又は任意の好適な方法により、弁尖クリップ2200を複数の位置の間で移行させることができる。例えば、少なくとも部分的に制御要素2300からの力を受け取ることに応じて、分離した変形していない位置から係合位置まで移行するように、弁尖クリップ2200を構成することができる。このように、弁尖クリップ2200がそれらの分離位置からそれらの係合位置まで移行する(すなわち、弁本体2100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップ2200と弁本体2100との間で1つ又は複数の自己弁尖を捕捉するように配置される)ように、弁尖クリップ2200に力を加えることができる。
【0049】
[1057] 使用時、弁尖クリップ2200に加えられかつそこから解放される力は、任意の好適な方法で生成しかつ解放することができ、例えば、術者が手動で力を発生させかつ低減させることができる。例えば、術者は、制御要素2300の遠位端部分(図示せず)において張力を加えるか又は解放することができる。この例に対してさらに、制御要素2300の遠位端部分を心臓の外側に配置することができる。
【0050】
[1058] 本明細書に記載するように、弁尖クリップ2200は、心臓弁の自己弁尖を捕捉するように構成されている。そうする際、自己心臓弁の心室を通して弁尖クリップ2200を移動させることができる。いくつかの実施形態では、心臓弁のいくつかの部分への望ましくない妨げ(例えば、心臓の自己腱索又は心臓の壁への妨げ)を制限又は回避するように、かつ1つ又は複数の自己弁尖の十分な捕捉及び/又は収容を促進するように、弁尖クリップ2200を構成することができる。例えば、弁尖クリップ2200は、1つ又は複数の回転軸又は回転点を有することができる。このように、使用時、弁尖クリップ2200が心臓内でさまざまな位置を通して移行する際、自己弁尖のいくつかの部分への望ましくない妨げを回避するために好適でありかつ1つ又は複数の自己弁尖の十分な捕捉のために好適である輪郭で、弁尖クリップ2200を維持することができる。
【0051】
[1059] この例に対してさらに、図3及び図4に示すように、弁尖クリップ2200は、それぞれ、単一の回転点(図3)又は2つの回転点(図4)を有することができる。図3に示すように、弁尖クリップ2200は、単一の回転点、すなわち回転点2240を有することができる。使用時、弁尖クリップ2200を、回転点2240を中心に回転させることにより、矢印Aに示すさまざまな位置及び形態の間で移行させることができる。さらに、弁尖クリップ2200の遠位端を、弁尖クリップ2200が分離形態から係合形態まで移行しているときに、その遠位端から弁本体2100の端部によって規定される軸まで測定される最大距離D1に配置することができる。別の例として、図4に示すように、弁尖クリップ2200は、2つの回転点、すなわち第1回転点2240及び第2回転点2250を有することができる。使用時、弁尖クリップ2200を、回転点2240及び回転点2250を中心に回転させることにより、矢印Bに示すさまざまな位置及び構成の間で移行させることができる。この例に対してさらに、弁尖クリップ2200の遠位端を、弁尖クリップ2200が分離形態から係合形態に移行しているとき、その遠位端から弁本体2100の端部によって規定される軸まで測定される最大距離D2に配置することができる。図示するように、距離D1は距離D2より大きい。従って、さらなる回転点、すなわち回転点2250により、弁尖クリップ2200の輪郭を低減又は制限することができ、それにより、自己心臓弁のいくつかの部分への望ましくない妨げの回避が促進される。さらに、さらなる回転点により、1つ又は複数の自己弁尖の好適な捕捉を促進することができる。図4に示す弁尖クリップ2200は2つの回転点しか有していないが、いくつかの実施形態では、弁尖クリップ2200は任意の好適な数の回転軸(例えば、3、4、5又はそれより多い)を有することができる。
【0052】
[1060] 図5図7は、実施形態による、変形していない初期状態にある、すなわちレーザ切断されたままの状態にあり、丸められた形態にある、人工心臓弁3000の弁本体3100及び弁尖クリップ3200(図5)と、例示を容易にするために平坦なシート状の弁本体3100及び弁尖クリップ3200(図6)と、弁尖クリップ3200が係合位置にある側面図(図7)とを示す。図5に示すように、弁尖クリップ3200及び弁本体3100は、同じ1枚のNitinolから形成されレーザ切断されている。従って、弁尖クリップ3200は弁本体3100に一体化している。
【0053】
[1061] 人工弁3000は、第1弁尖クリップ3200a及び第2弁尖クリップ3200b(まとめて「弁尖クリップ3200」と呼ぶ)を含む。弁尖クリップ3200は、本明細書に記載する他の実施形態に記載した弁尖クリップ(例えば、弁尖クリップ1200及び/又は弁尖クリップ2200)と同じか又は同様に構成することができる。弁尖クリップ3200は、自己弁尖を捕捉するために任意の好適な形状、サイズ又は構成であり得る。第1弁尖クリップ3200a及び第2弁尖クリップ3200bは、自己弁尖(例えば、A2弁尖)をまとめて捕捉するように構成されている。第1弁尖クリップ3200aは、制御要素(図示せず)に動作可能に結合するように構成された弁尖制御部3230aを含む。同様に、第2弁尖クリップ3200bは、制御要素(図示せず)に動作可能に結合するように構成された弁尖制御部3230bを含む。弁尖制御部3230a及び弁尖制御部3230bを、まとめて「制御部3230」と呼ぶ。弁尖制御部3230は、各々開口部を規定している。いくつかの実施形態では、弁尖制御部3230は、任意の好適な数の開口部を、任意の好適なサイズ、形状又は構成で規定することができる。
【0054】
[1062] さらに、いくつかの実施形態では、制御要素(図示せず)は、制御部3230によって規定された開口部に通されるように構成されたテザーを含むことができる。このように、使用時、制御要素は、弁尖クリップ3200をさまざまな位置(例えば、人工心臓弁2000に関して上述したものと同じか又は同様の位置)の間で移行させることができる。
【0055】
[1063] 制御部3230が各々開口部を規定しているが、他の実施形態では、制御部3230は任意の好適な形状、サイズ又は構成であり得る。例えば、制御部3230は、突起、締結具、留め金等、すなわち、制御要素の取付又は制御要素(例えば、制御要素の使用者)による制御/操作を可能にする任意の好適な機構を含むことができる。
【0056】
[1064] 図7に最もよく示すように、第1弁尖クリップ3200a及び第2弁尖クリップ3200bは、各々、弁本体3100の単一の側方部分、例えば、弁本体3100のA2部に配置されている。このように、人工心臓弁3000が心臓の自己房室弁内に配置されたときに単一の自己弁尖を捕捉するように、第1弁尖クリップ3200a及び第2弁尖クリップ3200bを構成することができる。弁尖クリップ3200は、弁尖クリップ1210及び/又は弁尖クリップ2210に関して上述したカバーと同じか又は同様のカバー(図示せず)を含むことができる。
【0057】
[1065] 本明細書において考察する弁尖クリップの多くがそれらのそれぞれの弁本体と一体化しているが、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の弁尖クリップを弁本体とは別個に形成し、その後、任意の好適な方法で(例えば、任意の好適な締結具又は締結方法、ねじ、ワイヤ、締り嵌め、レーザ溶接等を用いて)合わせて接合することができる。さらに、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の弁尖クリップは、軸を提供するように構成された枢支部を含むことができ、その軸を中心に、クリップは自己弁尖の上に折り重なり及び/又は他の方法で自己弁尖を捕捉することができる。言い換えれば、弁尖クリップの枢支部は、弁尖クリップを横切る軸を描くことができ、それにより、軸の一方の側に配置された弁尖クリップの部分が、自己弁尖の近位部と接触するように構成され、軸の反対側に配置された弁尖クリップの部分が、自己弁尖の遠位部と接触するように構成される。いくつかの実施形態では、弁尖クリップは、複数の回転点(例えば、2つの回転点)を含むことができる。
【0058】
[1066] いくつかの実施形態では、本明細書に記載する弁尖クリップは、弁尖クリップが弁本体に結合されるのを可能にするように構成されたクリップ取付部を含むことができる。例えば、図8a〜図10bに示すように、弁尖クリップ4200は、クリップ取付部4250、枢支部4260及び弁尖制御部4230を規定している。弁尖クリップ4200は、クリップ取付部4250において弁本体4100に結合されるように構成されている。図8a、図9a及び図10aに示すように、弁尖取付部4250は、弁尖クリップ4200が任意の好適な方法(例えば、任意の好適な締結具、ねじ、ワイヤ、テザー、レーザ溶接部等)で弁本体4100に結合されるのを可能にするように構成された複数の開口部を規定している。図8a、図9a及び図10aにおいて弁尖取付部4250によって規定される開口部の数は例示的な例である。他の実施形態では、任意の好適な数の開口部を規定し及び/又は使用することができる。
【0059】
[1067] 使用時、弁尖クリップ4200は、自己弁尖を捕捉するように構成される。図8a、図9a及び図10aは、第1形態(「作動可能状態」、分離)にある弁尖クリップ4200を示す。図8b、図9b及び図10bは、第2形態(係合)にある、すなわち、弁尖クリップ4200の両端(端部は一部は旋回部4260によって規定されている)の間に自己弁尖Lを捕捉するように配置された、弁尖クリップ4200を示す。
【0060】
[1068] 図8a〜図10bに、弁尖クリップ4200のさまざまな形状、サイズ及び構成の例をさらに示す。図8a及び図8bは、例えば、フォーク状形状、すなわち2つの叉が、自己弁尖の好適な捕捉を促進するように構成された幅、好適な方法で間隔を空けて配置されている形状を有するものとして、弁尖クリップを示す。同様に、図9a及び図9bは、同様の2叉構造を有するものとして弁尖クリップ4200を示すが、叉は、幅が図8a及び図8bに示す叉の幅より大きい。別の例として、図10a及び図10bは、U字型を有する弁尖クリップ4200を示す。
【0061】
[1069] 上述したように、弁尖クリップは、任意の好適な構成を有することができ、弁本体の任意の好適な位置に配置することができる。例えば、図11に示すように、弁尖クリップ5200は、人工弁5000の弁本体5100によって規定される軸、すなわち軸Aに対して対称であり得る。いくつかの実施形態では、例えば図12に示すように、弁尖クリップ5200はずれており、すなわち弁本体5100によって規定される軸Aに対して非対称であり得る。図12に示す非対称構成等、いくつかの実施形態では、弁尖クリップ5200は、自己弁尖の望ましい捕捉を促進することができる。この例に対してさらに、使用時、非対称構成、すなわち軸Aに対して非対称の構成は、弁本体5100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、自己弁尖(図示せず)の中心軸に対して実質的に対称であるように弁尖クリップ5200を配置するように構成することができる。このように、自己弁尖の好適な捕捉及び/又は制御を促進するように、少なくとも一部には標的自己弁尖の位置に基づいて、弁本体5100の半径方向位置に弁尖クリップ5200を配置することができる。
【0062】
[1070] 図13は、実施形態による、弁本体6100と、係合形態に配置された弁尖クリップ6200と、を有する人工心臓弁6000の側面図を示す。弁尖クリップ6200は、人工心臓弁6000が自己心臓弁に送達されているときに血液が内部を通過して流れるのを可能にするように構成された通路6215を規定する、カバー6210を含む。このように、送達中、弁尖クリップ6200が分離した「作動可能状態」位置(図示せず)に配置されたとき、通路6215は、血液が内部を通過して流れるのを可能にすることができ、それにより、あり得る血流制限を制限し及び/又は低減させ、送達中の弁尖クリップ6200及び弁本体6100の移動を促進し操作を容易にすることができる。弁尖クリップ6200の通路6215は楕円形状開口部として示されているが、他の実施形態では、通路6215は任意の好適な形状、サイズ又は構成とすることができ、任意の好適な数の開口部、窓、通路又は可変の孔を含むことができる。例えば、通路6215は、複数の別個の通路(例えば、2つ、3つ、4つ又はそれより多い)を規定することができる。他の実施形態では、通路6215は、互いに動作可能に結合された(例えば、流体連通している)複数の通路を規定することができる。
【0063】
[1071] 図14は、実施形態による、湾曲形状を有する第1弁尖クリップ7200a及び第2弁尖クリップ7200b(まとめて「クリップ7200」と呼ぶ)を示す。弁尖クリップ7200の湾曲形状は、弁本体(図示せず)及び弁尖クリップ7200の送達及び展開を容易にするように構成することができる。より具体的には、弁尖クリップ7200は、弁尖クリップ7200と心臓の自己腱索との間の望ましくない妨げ及び/又は接触を制限又は回避するように構成することができる。S字型を有するものとして示されているが、他の実施形態では、弁尖クリップ7200は、自己腱索への妨げを制限するように任意の好適な形状を有することができる。
【0064】
[1072] 図15図18は、実施形態による、側面図(図15)、正面図(図16)、詳細図(図17)及び斜視図(図18)での人工心臓弁8000を示す。人工心臓弁8000は、弁本体8100と、第1の弁尖クリップ8200a及び第2の弁尖クリップ8200b(まとめて「クリップ8200」と呼ぶ)と、を有している。弁尖クリップ8200は、弁本体8100に動作可能に結合されている。弁本体8100は、弁本体8100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに自己弁尖及び/又は弁尖クリップ8200を受け入れるように構成された自己弁尖保持部8140(本明細書では「保持部」とも呼ぶ)を有している。弁本体8100は、第1封止部8150a及び第2封止部8150b(まとめて「封止部8150」と呼ぶ)をさらに含み、それらはともに、自己弁尖が弁尖クリップ8200と弁本体8100との間に配置されたときに弁本体8100と自己弁尖との間に流体シールを提供するように構成されている。
【0065】
[1073] 保持部8140は、任意の好適なサイズ及び/又は形状とすることができ、弁本体8100の任意の好適な部分に配置することができる。例えば、保持部8140は、弁尖クリップ8100の一部及び/又は自己弁尖に(例えば、形状、サイズ、表面設計、質感等が)対応するようなサイズ及び/又は形状とすることができる。このように、使用時、保持部8140及び弁尖クリップ8100は、弁尖クリップ8200が係合形態に配置されたとき、すなわち、弁本体8100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップ8200が弁尖クリップ8200と弁本体8100の保持部8140との間で1つ又は複数の自己弁尖を捕捉するように配置されたとき、1つ又は複数の自己弁尖を実質的に維持するように協働して機能することができる。
【0066】
[1074] 図15及び図17に最もよく示すように、保持部8140は、保持部8140に対して近位の弁本体8100の部分の直径より小さい直径を有することができる。このように、保持部8140は、弁尖クリップ8200(すなわち、第1弁尖クリップ8200aの外面から第2弁尖クリップ8200bの外面まで)の直径が、保持部8140に対して近位の弁本体8100の部分の直径より大きくないような、弁尖クリップ8200を受け入れるように構成することができる。言い換えれば、図17に示すように、弁尖クリップ8200は平面LPを規定し、保持部8140に対して近位の弁本体8100の部分は平面BPを規定している。図17に最もよく示すように、平面LPと弁本体8100の中心軸Aとの間の距離D1は、平面BPと中心軸Aとの間の距離D2より小さい。こうした構成により、封止部8150による封止が可能となりかつ促進され、それにより、弁本体8100と弁尖クリップ8200との間の自己弁尖の望ましい収容が促進される。このように、封止部8150及び弁尖クリップ8200は、血流を人工心臓弁8000の外側にかつ心臓の心房と心室との間に制限するようにまとめて構成されている。さらに、使用時、複数の接触点、すなわち、弁尖クリップ8200、自己弁尖及び弁本体8100の間の第1接触点(FP)、並びに封止部8150及び弁本体8100による第2接触点(SP)により、心臓の心房と心室との間の封止が促進される。
【0067】
[1075] さらに、弁本体8100と自己弁尖との間の封止部8150における接触により、房室弁の自己弁輪内の人工心臓弁8000の望ましい封止が促進される。より具体的には、使用時、弁尖クリップ8200により封止部8150において自己弁尖及び弁本体8100に加えられる力によって、収容力が提供され、それにより、房室弁の自己弁輪内の人工心臓弁8000の十分な封止が促進される。
【0068】
[1076] いくつかの実施形態では、図18に最もよく示すように、弁尖クリップ8200は、弁本体8100が房室弁の自己弁輪内に配置されたときに心臓の心室内の腱索CTの間にそれを妨げることなく配置される。このように、弁尖クリップ8200は、自己腱索への望ましくない妨げなしに、さまざまな形態の間で(例えば、係合形態と分離形態との間で)移行することができる。
【0069】
[1077] ここで図19を参照すると、人工弁本体9100と、弁本体9100に動作可能に結合された係留テザー9400と、弁本体9100に結合された第1弁尖クリップ9200a及び第2弁尖クリップ9200b(まとめて「クリップ9200」と呼ぶ)と、それぞれ第1弁尖クリップ9200a及び第2弁尖クリップ9200bに動作可能に結合された第1制御要素9300a及び第2制御要素9300b(まとめて「制御要素9300」と呼ぶ)と、を含む、人工心臓弁システム9000が示されている。弁尖クリップ9200は、人工弁本体9100に移動可能に結合され、心臓内に人工弁9000を挿入することができる第1形態と、弁本体9100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップ9200が弁尖クリップ9200と弁本体9100との間で自己弁尖を捕捉するように配置される第2形態との間で移行するように構成されている。
【0070】
[1078] 制御要素9300は、弁尖クリップ9200に動作可能に結合されている。いくつかの実施形態では、制御要素9300は、弁尖クリップ9200に取外し可能に結合されている。第1制御要素9300aは、近位端9360a及び遠位端9370aを有している。近位端9360aは、第1弁尖クリップ9200aの制御部9230aに動作可能に結合されるように構成されている。同様に、第2制御要素9300bは、近位端9360b及び遠位端9370bを有している。近位端9360bは、第2弁尖クリップ9200bの制御部9230bに動作可能に結合されるように構成されている。制御要素9300の近位端9360a、9360bをまとめて「近位端9360」と呼び、制御要素9300の遠位端9370a、9370bをまとめて「遠位端9370」と呼ぶ。いくつかの実施形態では、近位端9360は、弁尖クリップ9200の制御部9230に取外し可能に結合されるように構成されている。制御要素9300は各々、弁本体9100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップ9200から心臓の心室を通って心室の壁から(例えば、心筋を通って)出るように延在するのに十分な長さを有している。言い換えれば、制御要素9300の遠位端9370は、近位端9360が弁尖クリップ9200に結合され、かつ弁本体9100が房室弁の自己弁輪内に配置されたとき、心臓の外側に配置される。
【0071】
[1079] 本明細書に記載するように、制御要素9300は、術者がさまざまな形態を通して弁尖クリップ9200を移行させることができるように構成されている。例えば、制御要素9300は、術者が、弁本体9100が房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップ9200をそれらの第1形態(分離)からそれらの第2形態(係合)まで移行させることができるようにすることができる。より具体的には、使用時、術者は、制御要素9300の遠位端9370を操作して、弁尖クリップ9200を任意の好適な方法で操作することができる。例えば、術者は、制御要素9300の遠位端9370を遠位側に移動させて、弁尖クリップ9200を遠位側に移行させ、弁尖クリップ9200を分離した「作動可能状態」に配置することができる。この例に対してさらに、術者は、制御要素9300の遠位端9370を近位側に移動させて(又は、制御要素9300の遠位端9370が近位側に移動できるようにして)、弁尖クリップ9200を近位側に移行させ、弁尖クリップ9200が弁尖クリップ9200と弁本体9100との間で自己弁尖を捕捉することができるようにすることができる。
【0072】
[1080] さらに、術者は、制御要素9300を介してさまざまな位置及び/又は形態の間で(例えば、係合、部分的に係合、分離)任意の好適な回数、弁尖クリップ9200を操作することができる。例えば、術者は、弁尖クリップ9200が係合位置に移行した後に弁尖クリップ9200を再配置することができ、それにより、術者は、自己弁尖を捕捉し損なった後に弁尖を捕捉するか、又は自己弁尖を再捕捉することができる。
【0073】
[1081] 係留テザー9400は、開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「心外膜アンカーデバイス及び方法(Epicardial Anchor Devices and Methods)」と題す国際特許出願第PCT/US14/49218号及び「経カテーテル人工弁用の改善された送達システム及び方法(Improved Delivery Systems and Methods for Transcatheter Prosthetic Valves)」と題する国際特許出願第PCT/US12/50740号に記載されている任意の係留テザーと同じか又は同様であり得る。係留テザー9400は、弁本体9100の遠位端9120に動作可能に結合されている。係留テザー9400を用いて、弁本体9100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、人工弁本体9100を係留又は固定することができる。さらに、係留テザー9400を用いて、心臓内で人工弁本体9100を配置又は再配置することができる。係留テザー9400は、弁本体9100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁本体9100の遠位端9120から心臓の心室を通って心室の壁から出るように延在するのに十分な長さを有している。
【0074】
[1082] 使用時、いくつかの実施形態では、弁尖クリップ9200が分離形態にあるとき、弁本体9100を、心臓の房室弁の自己弁輪に送達し、自己弁輪内で展開し、及び/又はそこで配置することができる。同様に、弁尖クリップ9200は、弁本体9100が自己心臓内に適切に設置され、及び/又は、弁尖クリップ9200の操作に対して好適な位置に配置されるまで、分離位置にあり続けることができる。弁本体9100が、X線透視法又は他の任意の撮像技法を用いて確認することができる、房室弁の自己弁輪内に配置された後、弁尖クリップ9200を任意の好適な方法で展開することができる。
【0075】
[1083] いくつかの実施形態では、弁尖クリップ9200の好適な展開を可能にするように(例えば、心臓の壁による望ましくない妨げなしに心臓の心室内での弁尖クリップ9200の移動を可能にするように)、弁本体9100を再配置することができる。同様に言えば、弁尖クリップ9200のうちの1つ又は複数の展開の前に、張力がかけられた係留テザー9400によって規定される軸(図示せず)から、弁本体9100をずらすことができる。例えば、弁尖クリップ9200のうちの1つの移動に対して適切な空間を可能にするように、心臓の後壁から弁本体9100を傾斜させることができる。使用時、弁本体9100が、術者が弁尖クリップ9100のうちの1つ又は複数を分離位置から係合位置に移行させるのに適切な位置に配置されると、術者は、制御要素9300のうちの1つを操作し、それにより弁尖クリップ9200のうちの1つを操作することができる。弁尖クリップ9200のうちの1つが、自己弁尖を適切に捕捉するように係合位置に移行すると、弁尖クリップ9200のうちの別の1つの移動に対して適切な空間を可能にするように、弁本体9100を再配置することができる。
【0076】
[1084] さらに、使用時、弁本体9100を任意の好適な方法で再配置する(例えば、係留テザー9400によって規定される軸からずらす)ことができる。例えば、術者によって係留テザー9400を心臓の外側で操作することができ、それにより弁本体9100が移動するか又は傾斜する。いくつかの実施形態では、係留テザー9400を受け入れるように構成された内腔を規定する細長部材(図示せず、細長部材12350又は本明細書に記載した他の任意の細長部材と同様であり得る)を用いて、弁尖クリップ9200の適切な展開を可能にするように弁本体9100を再配置することができる。例えば、使用時、弁本体9100が房室弁の自己弁輪内に設置された後、細長部材(図示せず)を心臓内に導入し、弁本体9100の遠位端9120に向かって近位側に移動させることができる。このように、術者は、細長部材(図示せず)の遠位端を操作して、弁本体9100を再配置することができ、それにより、弁尖クリップ9200の展開に対して適切な空間が可能になる。いくつかの実施形態では、細長部材(図示せず)による(又は細長部材の使用者による)弁本体9100の適切な制御を促進するように、弁本体9100の遠位端9120に細長部材を動作可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、弁9100から心臓の外側に延在する係留テザー9400の一部を受け入れることができるテザー通路を規定する基礎部材(図示せず)を用いて、弁本体9100が房室弁の自己弁輪内に配置されたときに弁本体9100の位置を評価し及び/又は弁本体9100を再配置することができる。基礎部材(図示せず)は、開示内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、「心外膜アンカーデバイス及び方法(Epicardial Anchor Devices and Methods)」と題する国際特許出願第PCT/US14/49218号に記載されている基礎部材のうちの任意のものと同じか又は同様であり得る。
【0077】
[1085] ここで図20a及び図20bを参照すると、人工弁本体10100、弁尖クリップ10200、制御要素10300及び係留テザー10400を含む人工心臓弁システム10000が示されている。人工心臓弁システム10000の構成要素(例えば、弁本体10100、弁尖クリップ10200及び制御要素10300)は、図19を参照して上述した人工心臓弁システム9000の構成要素と実質的に同様であり及び/又は同じであり得る。従って、弁本体10100、弁尖クリップ10200及び制御要素10300については、本明細書ではこれ以上詳細には記載せず、明示的に別段の定めのない限り、弁本体9100、弁尖クリップ9200及び制御要素9300と同じであるとみなされるべきである。本明細書に記載するように、係留テザー10400を用いて、人工弁本体10100を先の実施形態に対して上述したものと同じか又は同様の方法で係留又は固定することができる。図20bに示すように、係留テザー10400は、制御要素10300を配置することができる内腔10410を規定している。内腔10410は、近位端10412及び遠位端10414を有し、制御要素10300を受け入れるように構成された任意の好適なサイズ及び形状であり得る。いくつかの実施形態では、係留テザー10400に追加の内腔10410(図示せず)を含めることができる。例えば、係留テザー10400は、第1制御要素10300aを受け入れるように構成された第1内腔10410aと、第2制御要素10300bを受け入れるように構成された第2内腔10410bとを規定することができる。
【0078】
[1086] 使用時、制御要素10300を係留テザー10400の内腔10410内に配置することができる。より具体的には、弁本体10100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたとき、係留テザー10400の近位端10412に入りかつ係留テザー10400の遠位端10414から出るように、制御要素10300を通すことができる。こうした構成により、制御要素10300及び係留テザー10400が統合され、それにより、心臓の心室内での制御要素10300及び係留テザー10400の設置面積及び摩擦が低減するか又は制限される。このように、制御要素10300及び係留テザー10400と心臓の自己腱索との間の望ましくない妨げ又は接触を、低減させ又は制限することができる。
【0079】
[1087] さらに、使用時、係留テザー10400及び制御要素10300は、術者が固定し、操作し、又は他の方法で使用することができるように、心臓の外側に部分的に配置される。より具体的には、図20aに示すように、係留テザー10400及び制御要素10300は、心臓の壁Vの穿刺部位PSを通って延在する。従って、係留テザー10400内に制御要素10300を配置することにより、穿刺部位PSのサイズを低減させ又は制限することができ、それにより穿刺部位PSに関連する患者の回復時間が短縮される。
【0080】
[1088] 図21a及び図21bは、弁本体11100の展開中に心臓の心室内に配置されるように構成された第1端11352と、心臓の外側に延在するように構成された第2端11354と、を有する細長部材11350を含む、人工心臓弁システム11000の実施形態を示す。人工心臓弁システム11000は、人工弁本体11100、係留テザー11400、弁尖クリップ11200及び制御要素11300を含み、それらは、図19に関して上述した人工弁本体9100、弁尖クリップ9200、制御要素9300及び係留テザー9400それぞれと同じか又は同様に構成することができる。従って、弁本体11100、弁尖クリップ11200、制御要素11300及び係留テザー11400については、本明細書ではこれ以上詳細には記載せず、明示的に別段の定めのない限り、弁本体9100、弁尖クリップ9200、制御要素9300及び係留テザー9400と同じであるとみなされるべきである。
【0081】
[1089] 細長部材11350は、係留テザー内腔11356と、第1制御要素内腔11358a及び第2制御要素内腔11358b(まとめて「制御要素内腔11358」と呼ぶ)と、第1弁尖クリップ取付部11380a及び第2弁尖クリップ取付部11380b(まとめて「弁尖クリップ取付部11380」と呼ぶ)と、を規定している。テザー内腔11356は、係留テザー11400の少なくとも一部を受け入れるように構成された任意の好適な形状又はサイズであり得る。制御要素内腔11358は、制御要素11300の少なくとも一部を受け入れるように構成された任意の好適な形状又はサイズであり得る。弁尖クリップ取付部11380は、第1弁尖クリップ11200aの制御部11230a及び第2弁尖クリップ11200bの制御部11230b(まとめて「制御部11230」と呼ぶ)を受け入れ、それらに動作可能にかつ取外し可能に結合されるように構成された任意の好適なサイズ又は形状であり得る。
【0082】
[1090] 使用時、係留テザー11400は、係留テザー内腔11356内に配置され、細長部材11350の第2端11354から延出する。同様に、制御要素11300は、制御要素内腔11358内に配置され、細長部材11350の第2端11354から延出する。さらに、細長部材11350の弁尖クリップ取付部11360及び制御要素11300を介して、弁尖クリップ11200を分離した「作動可能状態」位置(第1形態)に保持することができる。より具体的には、第1形態では、図21aに示すように、弁尖クリップ11200の制御部11230は、細長部材11356及び制御要素11300に取外し可能に結合される。さらに、制御要素11300は、制御部11230から細長部材11356の第2端11354までかつ心臓から出るように延在する。
【0083】
[1091] 弁尖クリップ11200を分離形態(第1位置)から係合形態(第2位置、図示せず)に移行させるために、弁尖クリップ11200から制御要素11300を切り離すことができ、それにより、弁尖クリップ11200が解放され、弁尖クリップ1200が係合形態に移行することができる。弁尖クリップ11200から任意の好適な方法で制御要素11300を切り離すことができる。例えば、制御要素11300の一部を遠位側に移動させる(例えば、術者が引っ張る)ことができ、それにより、弁尖クリップ11200から制御要素が分離する。このように、制御要素11300が弁尖クリップ11200から切り離されるとき、例えば弁尖クリップ11200の形状記憶特性により、弁尖クリップ11200を第1形態から第2形態に移行させることができる。いくつかの実施形態では、細長部材11350の移動に応じて、弁尖クリップ11200を第1形態から第2形態に移行させることができる。例えば、術者は、弁尖クリップ11200が弁尖クリップ取付部11360から分離されるか又は他の方法でそこにそれ以上配置されなくなるように、細長部材11350を遠位側に移動させることができる。このように、弁尖クリップ取付部11360から弁尖クリップ11200を解放することができ、それにより、弁尖クリップ11200は細長部材11350によって第1形態でそれ以上収容されず又は他の方法で制限されなくなる。いくつかの実施形態では、弁尖クリップ11200が細長部材11350から切り離された後、弁尖クリップは、制御要素11300による操作なしに分離形態から係合形態に移行することができる。他の実施形態では、弁尖クリップ11200が細長部材11350から切り離された後、制御要素11300によって弁尖クリップをいくつかの形態の間で操作することができる。第2形態では、弁本体11100が房室弁の自己弁輪内に配置されたとき、弁尖クリップ11200は、弁尖クリップ11200と弁本体11100との間で1つ又は複数の自己弁尖を捕捉するように配置される。
【0084】
[1092] 細長部材11350は制御要素内腔11358を規定しているが、他の実施形態では、代りに又はさらに、細長部材11350は、細長部材11350の外側に沿って制御要素チャネル(図示せず)を規定することができる。このように、制御要素チャネルは、本明細書に記載した制御要素内腔11358と同じに及び/又は同様に機能することができる。
【0085】
[1093] ここで図22a〜図23bを参照すると、人工弁本体12100と、制御部11230aを含む第1弁尖クリップ12200a及び制御部11230bを含む第2弁尖クリップ12200b(まとめて「弁尖クリップ12200」と呼ぶ)と、第1制御要素12300a及び第2制御要素12300b(まとめて「制御要素12300」と呼ぶ)と、係留テザー12400と、細長部材12350と、を含む、人工心臓弁システム12000が示されている。人工心臓弁システム12000の構成要素(例えば、弁本体12100、弁尖クリップ12200及び制御要素12300)は、図21a及び図21bに関して上述した人工心臓弁システム11000の構成要素と実質的に同様であり及び/又は同じであり得る。従って、弁本体12100、弁尖クリップ12200及び制御要素12300については、本明細書ではこれ以上詳細には記載せず、明示的に別段の定めのない限り、弁本体11100、弁尖クリップ11200及び制御要素11300と同じであるとみなされるべきである。本明細書に記載するように、係留テザー12400を用いて、人工心臓弁本体12100を先の実施形態に対して上述したものと同じか又は同様の方法で係留又は固定することができる。
【0086】
[1094] 細長部材12350は、すべてに制御要素12300を配置することができる、第1制御要素内腔12358a、第2制御要素内腔12358b、第3制御要素内腔12358c及び第4制御要素内腔12358d(まとめて「制御要素内腔12358」と呼ぶ)と、係留テザー12400を受け入れるように構成されたテザー内腔12356と、を規定している。制御要素内腔12358は、近位端12412及び遠位端12414を有し、制御要素12300の少なくとも一部を受け入れるように構成された任意の好適なサイズ及び形状であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、追加の制御要素を収容するように、細長部材12350に追加の内腔(図示せず)を含めることができる。
【0087】
[1095] 使用時、制御要素内腔12358内に制御要素12300を配置することができる。より具体的には、第1制御要素12300aを、第1制御要素内腔12358aを通してその遠位端12414a(図示せず)からその近位端12412a(図示せず)まで近位側に通し、第1弁尖クリップ12200aの制御部12230aに動作可能に結合し(例えば、制御部12230aによって規定された開口部を通して輪にし)、その後、第2制御要素内腔12358bを通してその近位端12412bからその遠位端12414bまで、心臓の外側に延在するように遠位側に通すことができる。このように、術者は、第1弁尖クリップ12200aを操作し、その後、弁尖クリップ12200a及び患者の体内から第1制御要素を取り除くことができる。同様に、第2制御要素12300bを、第3制御要素内腔12358cを通してその遠位端12414cからその近位端12412cまで近位側に通し、第2弁尖クリップ12200bの制御部12230bに動作可能に結合し(例えば、制御部12230bによって規定された開口部を通して輪にし)、その後、第4制御要素内腔12358dを通してその近位端12412dからその遠位端12414dまで、心臓の外側に延在するように遠位側に通すことができる。このように、術者は、独立して第2弁尖クリップ12200aを操作し、その後、弁尖クリップ12200a及び患者の体内から第1制御要素を取り除くことができる。
【0088】
[1096] さらに、使用時、制御要素12300を心臓の外側に遠位側に移動させることができ、それにより、弁尖クリップ12200が、図22aに最もよく示す分離した「作動可能状態」に移行する。さらに、制御要素12300を心臓の外側から近位側に移動させる(例えば解放する)ことができ、それにより、弁尖クリップ12200は、図23aに最もよく示す係合形態に移行する。弁尖クリップ12200が係合形態に移行した後、弁尖クリップの位置決めは、X線透視法又は他の任意の撮像技法を用いて確認することができる。弁尖クリップ12200のいずれかが適切に位置決めされていない(例えば、1つ又は複数の弁尖クリップ12200が自己弁尖を適切に捕捉しなかった)場合、1つ又は複数の制御要素12300を心臓の外側に遠位側に移動させて、弁尖クリップ12200を分離形態に戻るように移行させ、弁本体12100の再配置又は自己弁尖を捕捉するさらなる試みを可能にすることができる。
【0089】
[1097] 弁尖クリップ12200が自己弁尖を捕捉しそれらの位置決めが確認された後、制御要素12300の第1端を引っ張り、制御要素12300の第2端を解放することにより、心臓の心室から制御要素12300を取り除くことができる。例えば、制御要素12300(例えば、縫合糸)は、心臓の外側に配置された4つの自由端を含むことができる。弁尖クリップ12200から制御要素12300を切り離すために、4つの自由端からの2つの自由端を心臓の外側に遠位側に移動させることができる。このように、残りの2つの自由端は、制御要素内腔12358のうちの2つを通って近位側に、その後、2つの残りの制御要素内腔12358を通って遠位側に並進し、それにより、弁尖クリップ12200から制御要素12300を切り離し、自己心臓弁の心室から制御要素12300を取り除くことができる。
【0090】
[1098] 他の実施形態では、人工心臓弁システム12000は、追加の制御要素(図示せず)を含むことができる。例えば、人工心臓弁システム1200は、第1制御要素12300a、第2制御要素12300b、第3制御要素及び第4制御要素を含むことができる。こうした実施形態では、制御要素は、4つの別個の要素(例えば、4本の別個の縫合糸)を含むことができる。さらに、第1弁尖クリップ12200aは、第1制御部12230a及び第2制御部を含むことができる。同様に、第2弁尖クリップ12200bは、第1制御部12230b及び第2制御部を含むことができる。第1弁尖クリップ12200aの第1制御部12230a及び第2制御部は、第1制御要素12300a及び第3制御要素にそれぞれ動作可能にかつ取外し可能に結合されるように構成することができる。同様に、第2弁尖クリップ12200bの第1制御部12230b及び第2制御部は、第2制御要素12300b及び第4制御要素にそれぞれ動作可能にかつ取外し可能に結合されるように構成することができる。使用時、この実施形態に記載した制御要素は、個別に、弁尖クリップ12200から制御要素内腔11358を通して心臓の外側に通すことができる。
【0091】
[1099] ここで図24図26dを参照すると、人工弁本体13100、弁尖クリップ13200、制御要素13300、細長部材13350及び係留テザー13400を含む、人工心臓弁システム13000が示されている。人工心臓弁システム13000の構成要素(例えば、弁本体13100、弁尖クリップ13200、細長部材13350及び制御要素13300)は、図23a及び図23bに関して上述した人工心臓弁システム12000の構成要素と実質的に同様であり及び/又は同じであり得る。従って、弁本体13100、弁尖クリップ13200、細長部材13350及び制御要素13300については、本明細書ではこれ以上詳細に記載せず、明示的に別段の定めのない限り、弁本体12100、弁尖クリップ13200及び制御要素12300と同じであるとみなされるべきである。本明細書に記載するように、係留テザー13400を用いて、人工弁本体13100を先の実施形態に対して上述したものと同じか同様の方法で係留又は固定することができる。
【0092】
[1100] 細長部材13350は、弁本体13100の展開中に心臓の心室内に配置されるように構成された近位端13352と、心臓の外側に延在しかつ管状体13600に動作可能に結合されるように構成された遠位端13354と、を有している。管状体13600に任意の好適な方法で(例えば、任意の好適な締結具又は締結方法、ねじ、ワイヤ、締り嵌め、レーザ溶接等を用いて)細長部材13350を結合することができる。例えば、図24に示すように、細長部材13350は、管状体13600の近位端13620を受け入れることができる。図25a及び図25bに最もよく示すように、細長部材13350は、すべて制御要素13300を配置することができる、第1制御要素内腔13358a、第2制御要素内腔13358b、第3制御要素内腔13358c及び第4制御要素内腔13358d(まとめて「制御要素内腔13358」と呼ぶ)を規定している。細長部材13350は、内部を通して、係留テザー13400を受け入れるように構成されたテザー内腔13356をさらに規定している。制御要素内腔13358は、制御要素13300の少なくとも一部を受け入れるように構成された任意の好適なサイズ及び形状であり得る。いくつかの実施形態では、細長部材13350に追加の内腔(図示せず)を含めることができる。
【0093】
[1101] 図26aに最もよく示すように、制御要素13300の各々はマンドレル13700に結合される。管状体13600は、近位端13620及び遠位端13630を有し、第1半径方向位置の第1マンドレルスロット13610a及び第2マンドレルスロット13610b及び第2半径方向位置と、近位端13620から遠位端13630まで延在している内腔13650とを規定している。第1スロット13610a及び第2スロット13610bは、まとめて「マンドレルスロット13610」と呼ばれ、制御要素13300を管状体13600に取外し可能に結合するように、マンドレル13700を任意の好適な方法(例えばキー継手)で受け入れるように構成されている(図26d)。さらに、制御要素13300が弁尖クリップ13200を展開するために使用される用意ができるまで、マンドレルスロット13610内にマンドレル13700を保持するために、管状体13600の上に保持要素(図示せず)を配置することができる。
【0094】
[1102] いくつかの実施形態では、本明細書に記載する構成要素のうちのいくつか又はすべて(例えば、細長部材13350、管状体13600等)を別個に準備し、人工弁13000を送達し展開する(「弁を装填する」と言う)のに備えて合わせて接合することができる。例えば、弁を装填するために、係留テザー13400の周囲に細長部材13350を摺動可能に配置することができる。同様に言えば、細長部材13350のテザー内腔13356内に係留テザー13400を配置することができる。細長部材13350の遠位端13354に管状部材13600の近位端13620を結合することができ、それにより、係留テザー13400は、細長部材13350の近位端13352から細長部材13350のテザー内腔13356を通って延在し、管状部材13600のテザー内腔13650を通ってその近位端13620からその遠位端13610まで続く。各制御要素13300の第1端は、各マンドレル13700に結合することができ、各制御要素13300の第2端は、細長部材13350内の任意の好適な位置に結合することができる。例えば、図25aに最もよく示すように、制御要素13300の一端は、細長部材13350の制御要素内腔13358a内に配置しかつそれに結合することができ、一方で、制御要素13300の他端は、マンドレル13700に結合することができる。この例に対してさらに、マンドレル13700を、弁尖クリップ13200aの制御部13200aを通って遠位側に、その後、制御要素内腔13358bを通って遠位側に、その後、制御要素内腔13358bを通って近位側に細長部材13350の近位端13352から細長部材13350の遠位端13354まで、さらにマンドレルスロット13610a内に通すことができる。このように、各マンドレル13700は、弁尖クリップ13200に動作可能に結合することができ、制御要素13300が弁尖クリップ13200を展開するために使用される用意ができるまで、管状部材13600のマンドレルスロット13610内に配置することができる。
【0095】
[1103] 使用時、各マンドレル13700のそれぞれのマンドレルスロット13610から、各マンドレル13700を任意の好適な方法で解放することができる(例えば、両マンドレル13700を、実質的に同時に又は別の時点で解放することができる)。このように、弁尖クリップ13200を合わせて操作することができ、又は、別個に操作することができる。解放されると、各マンドレル13700を、制御要素内腔13358を通って細長部材13350の遠位端13354から近位端13352まで通すことができる。例えば、細長部材13350を遠位側に引っ張ることができ、それにより、各マンドレル13700は、制御要素内腔13358を通って細長部材13350の近位端13352から出るように並進する。マンドレル13700が細長部材13350の近位端13352に向かって近位側に並進する際、弁尖クリップ13200は、分離位置と係合位置との間で位置を移行させることができ、それにより1つ又は複数の自己弁尖を捕捉する。弁尖クリップ13200が(例えば、弁尖捕捉後に)好適な位置に配置された後、制御要素13200、細長部材13350、管状部材13600及びマンドレル13700を弁本体13100から切り離し、患者の心臓から取り除くことができる。取り除く間、いくつかの実施形態では、マンドレル13700を弁尖クリップ13200の制御部13200に通すことができる。他の実施形態では、制御要素13300からマンドレル13700を切り離す(例えば、切り取る)ことができる。
【0096】
[1104] ここで図27を参照すると、近位端14820、遠位端14830を有しかつ内部にテザー内腔14840を規定している細長部材14810を含む、弁尖クリップ回収部材14800(「回収部材14800」とも呼ぶ)が示されている。回収部材14800はまた、細長部材14810の近位端14820に結合されるか又はそこに配置される弁尖接触部14850(「接触部14850とも呼ぶ)も含む。いくつかの実施形態では、細長部材14810及び接触部14850を一体構造で構成することができる。他の実施形態では、細長部材14810及び接触部14850を別個に形成し、その後、(例えば、ねじ、ワイヤ、締り嵌め、レーザ溶接等、任意の好適な締結具又は締結方法を用いて)合わせて接合することができる。いくつかの実施形態では、細長部材14810内に接触部14850の一部を配置することができる。例えば、細長部材14810は、接触部14850の少なくとも一部を受け入れるように構成された接触部内腔(図示せず)を規定することができる。接触部内腔(図示せず)はテザー内腔14840とは別個であり得る。
【0097】
[1105] 回収部材14800は、1つ又は複数の弁尖クリップ(例えば、本明細書の実施形態のうちの任意のものに記載された弁尖クリップのうちの任意のもの)を操作するように構成されている。さらに、回収部材14800は、心臓の壁(図示せず)の穿刺部位(図示せず)を通して挿入され、人工心臓弁(例えば、本明細書の実施形態のうちの任意のものに記載された人工心臓弁のうちの任意のもの)に向かって近位側に並進し、それにより、弁尖クリップを操作するために弁尖クリップに接触部14850を結合することができるように、構成されている。このように、弁尖クリップを係合形態から分離形態に操作するように回収部材14800を構成することができる。使用時、心臓の房室弁の自己弁輪内から人工心臓弁を回収する間、回収部材14800は、弁尖クリップが心臓から取り除かれるために好適な位置にあるように(例えば、自己弁尖が弁尖クリップと人工弁本体との間に配置されることなく)、弁尖クリップを操作することができる。回収部材14800の接触部14850は、弁尖クリップに取り付けられかつそれを操作するために好適な任意の好適なサイズ、形状又は構成であり得る。例えば、接触部14850は、フック状とし、弁尖クリップ(例えば、弁尖クリップの制御部)に動作可能に結合されるように構成することができる。別の例として、接触部14850は、弁尖クリップのカバーに穴をあけ、それにより後にそれを操作するために弁尖クリップをつかむように構成することができる。
【0098】
[1106] テザー内腔14840は、係留テザー(例えば、本明細書の実施形態のうちの任意のものに記載されている係留テザーのうちの任意もの)を受け入れるのに好適な任意の好適なサイズ、形状又は構成であり得る。使用時、房室弁の自己弁輪内に配置された人工弁本体に向かって近位側に回収部材14800を移動させることができる。より具体的には、細長部材14810のテザー内腔14840内に配置された係留テザー(図示せず)に沿って、回収部材14800を移動させることができる。このように、係留テザーは、回収部材14800用のガイドとしての役割を果たすことができる。人工弁を取り除く間、術者は、係留テザーに沿って近位側に回収部材14800を並進させ、それにより、接触部14850は弁尖クリップと接触してそれを操作し(例えば、弁尖クリップを分離し)、その後、心臓から回収部材14800を取り除くことができるように回収部材14800を遠位側に並進させることができる。
【0099】
[1107] ここで図28及び図29を参照すると、人工弁本体15100と、弁本体15100に動作可能に結合された係留テザー15400と、弁本体15100に結合された第1弁尖クリップ15200a及び第2弁尖クリップ15200b(まとめて、「クリップ15200」と呼ぶ)と、第1弁尖クリップ15200a及び第2弁尖クリップ15200bに動作可能に結合された制御要素15300と、を含む、人工心臓弁システム15000が示されている。弁尖クリップ15200は、人工弁本体15100に移動可能に結合され、心臓に人工弁15000を挿入することができる第1形態と、弁本体15100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップ15200が弁尖クリップ15200と弁本体15100との間に自己弁尖を捕捉するように配置される第2形態との間で移行するように構成されている。
【0100】
[1108] 制御要素15300は、弁尖クリップ15200に動作可能にかつ取外し可能に結合され、係留テザー15400を中心に摺動可能に配置されるように構成されている。制御要素15200は、内部を通して、係留テザー15400及び弁尖クリップ15200を受け入れるように構成された内腔15210を規定している。本明細書に記載するように、制御要素15300は、術者がさまざまな位置を通して弁尖クリップ15200を移行させることができるように構成されている。例えば、制御要素15300により、術者は、弁本体15100が房室弁の自己弁輪内に配置されたとき、弁尖クリップ15200を図28に示すようなそれらの第1形態(分離)から、図29に示すような第2形態(係合)に移行させることができる。より具体的には、使用時、術者は、制御要素15300を操作して弁尖クリップ15200を任意の好適な方法で操作することができる。例えば、術者は、制御要素15300を遠位側に移動させて、弁尖クリップ15200をそれらの分離形態からそれらの係合形態に移行させることができ、それにより、弁尖クリップ15200は、弁尖クリップ15200と弁本体15100との間で自己弁尖を捕捉することができる。より具体的には、弁尖クリップ15200は、例えば、人工心臓弁15000の送達中、制御要素15200の内腔15210内に配置されているとき、変形した分離形態にあり得る。自己弁尖を捕捉するために、制御要素15200を遠位側に移動させ、又は他の方法で弁尖クリップ15200から分離することができ、それにより、弁尖クリップ15200はそれらの変形していない係合形態に戻ることができ、弁尖クリップ15200は弁尖クリップ15200と弁本体15100との間で自己弁尖を捕捉することができる。いくつかの実施形態では、人工心臓弁15000は、追加の制御要素(例えば、制御要素9300、又は本明細書に記載する他の任意の好適な制御要素)を含むことができる。
【0101】
[1109] ここで図30及び図31を参照すると、人工弁本体16100と、弁本体16100に動作可能に結合された係留テザー16400と、係留テザー16400に動作可能に結合された制御要素16300と、制御要素16300に結合された第1弁尖クリップ16000a及び第2弁尖クリップ16200b(まとめて「クリップ16200」と呼ぶ)と、を含む、人工心臓弁システム16000が示されている。弁尖クリップ16200は、制御要素16300に移動可能に結合され、弁尖クリップが自己弁尖クリップと接触していない第1形態(図30)と、弁本体16100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップ16200が弁尖クリップ16200と弁本体16100との間で自己弁尖を捕捉するように配置される第2形態(図31)との間で移行するように構成されている。
【0102】
[1110] 制御要素16300は、動作可能に弁尖クリップ16200であり、係留テザー16400を中心に摺動可能に配置されるように構成されている。制御要素16300は、内部を通して、係留テザー16400を受け入れるように構成された内腔16210を規定している。本明細書に記載するように、制御要素16300は、術者がさまざまな位置を通して弁尖クリップ16200を移行させることができるように構成されている。例えば、制御要素16300により、術者は、弁本体16100が房室弁の自己弁輪内に配置されたとき、弁尖クリップ16200を、図30に示すようなそれらの第1形態(分離)から図31に示すようなそれらの第2形態(係合)に移行させることができる。より具体的には、使用時、術者は、制御要素16300を操作して、弁尖クリップ16200を任意の好適な方法で操作することができる。例えば、術者は、制御要素16300を遠位側に移動させて、弁尖クリップ16200をそれらの分離形態からそれらの係合形態に移行させることができ、それにより弁尖クリップ16200が弁尖クリップ16200と弁本体16100との間で自己弁尖(図示せず)を捕捉することができる。使用時、弁尖クリップ16200は、例えば人工心臓弁16000の送達中、心臓弁の心房内に配置されたとき、変形していない分離形態にあり得る。自己弁尖を捕捉するために、制御要素16200を遠位側に移動させて、弁尖クリップ16200が1つ又は複数の自己弁尖(図示せず)と係合するのを可能にすることができ、それにより、弁尖クリップ16200は、弁尖クリップ16200と弁本体16100との間で自己弁尖を捕捉することができる。いくつかの実施形態では、人工弁本体16100を弁の自己弁輪に送達するのと実質的に同時に、制御要素16300及び弁尖クリップ16200を自己弁に送達することができる。他の実施形態では、弁の自己弁輪内に人工弁本体16100を送達し及び/又はそこに設置するのに続いて、制御要素16300及び弁尖クリップを自己弁に送達することができる。
【0103】
[1111] いくつかの実施形態では、人工心臓弁16000は、追加の制御要素(例えば、制御要素9300、又は本明細書に記載する他の任意の好適な制御要素)を含むことができる。例えば、ここで図32a及び図32bを参照すると、制御要素16300(この例では、第1制御要素16300aと呼ぶ)に加えて、人工弁16000は、第2弁尖クリップ16200bに動作可能に結合され、任意の好適な方法で(例えば、係合形態、分離形態、変形形態及び変形していない形態の間で)第2弁尖クリップ16200bを操作するように構成された、第2制御要素16300bを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2弁尖クリップ16200bに第2制御要素16300bを取外し可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、人工弁16000は、第1弁尖クリップ16200aに動作可能に結合され、第1弁尖クリップ16200aを任意の好適な方法で(例えば、係合形態、分離形態、変形形態及び変形していない形態の間で)第1弁尖クリップ16200aを操作するように構成された、第3制御要素(図示せず)を含むことができる。
【0104】
[1112] ここで図32bも参照すると、第2弁尖クリップ16200bは、第2制御要素16300bに結合されるように示されている。第2弁尖クリップ16200bは、第1制御部内腔16230aと第2制御内腔16230b(まとめて「制御部内腔16230」と呼ぶ)を規定している。制御部内腔16230は、第2制御要素16300bの一部を受け入れるように構成されている。使用時、第2制御要素16300bの第1部16310aは、第1制御部内腔16230aに通すことができ、第2制御要素16300bの第2部16310bは、第2制御部内腔16230bに通すことができる。このように、使用時、第1部16310a及び第2部16310bをまとめて操作して、さまざまな位置及び/又は形態の間で第2弁尖クリップ16200bを操作することができる。さらに、第2弁尖クリップ16200bから第2制御要素16300bを切り離すために、第2制御要素16300bの第1部16310aを、第1制御部内腔16230a及び第2制御部内腔16230を通して、内腔16230a及び内腔16230bの両方から第2要素16300bを取り除くのに十分な距離、移動させることができる。
【0105】
[1113] ここで図33a〜図34を参照すると、弁尖クリップ送達部17110を有する人工弁本体17100と、弁本体17100に動作可能に結合された係留テザー17400と、任意選択的に係留テザー17400に動作可能に結合された制御要素(図示せず)と、制御要素(図示せず)に動作可能に結合され、弁尖クリップ送達部17110に移動可能にかつ摺動可能に結合された第1弁尖クリップ17200a及び第2弁尖クリップ17200b(まとめて「クリップ17200」と呼ぶ)とを含む、人工心臓弁システム17000が示されている。弁尖クリップ17200は、弁尖クリップ17200が自己弁尖クリップと接触していない第1形態(図33a)と、弁本体17100が心臓の房室弁の自己弁輪内に配置されたときに、弁尖クリップ17200が弁尖クリップ17200と弁本体17100との間で自己弁尖を捕捉するように配置される第2形態(図33b)との間で移行するように構成されている。
【0106】
[1114] 弁尖クリップ17200は、分離形態(図33a)と係合形態(図33b)との間で移行するように構成されている。使用時、弁尖クリップ送達部17110を介して、弁尖クリップ17200を複数の形態の間で変化させることができる。このように、弁尖クリップ17200は、分離形態(図33a)から係合形態(図33b)まで遠位側に移行することができ、それにより、弁尖クリップ17200は、弁尖クリップ17200と弁本体17100との間で自己弁尖NLを捕捉することができる。
【0107】
[1115] ここで図34を参照すると、別の実施形態による弁尖クリップ17200aが示されている。弁尖クリップ17200aは、内部に規定された空間V内に自己弁尖を捕捉するように構成されたフォーク状又は爪状形状を有している。例えば、自己弁尖NLの一部及び弁本体17100の一部を受け入れるように、弁尖クリップ17200aを構成することができる。このように、弁尖クリップ17200は、弁尖クリップ17200と弁本体17100との間で自己弁尖NLを固定することができる。使用時、本明細書に記載するように、自己弁尖NLと弁本体17100の一部とが空間V内に配置されるように、弁尖クリップ17200aを係合形態に配置することができる。いくつかの実施形態では、弁尖クリップ17200aの内側部分は、弁尖クリップ17200aが係合形態に配置されたときに自己弁尖を受け入れ及び/又は保持するのに好適な任意の好適な形態(例えば、任意の好適な表面設計)を有することができる。
【0108】
[1116] さまざまな実施形態について特に示し記載したが、形態及び詳細のさまざまな変更を行うことができる。実施形態について上述したが、それらは、限定としてではなく単に例として提示されていることを理解するべきである。さまざまな実施形態について、構成要素の特定の特徴及び/又は組合せを有するものとして記載したが、本明細書に記載する実施形態のうちの任意のものからの任意の特徴及び/又は構成要素の任意のコンビネーション又はサブコンビネーションを有する他の実施形態が可能である。さらに、本明細書に記載する構成要素の任意の好適な組合せを物理的に及び/又は動作可能に合わせて結合して、例えば、自己弁尖を捕捉し、人工心臓弁と自己弁輪との間に改善されたシールを提供するように構成された弁尖クリップを備えた、人工心臓弁を形成することができる。
【0109】
[1117] さまざまな構成要素の具体的な構成もまた変更することができる。例えば、さまざまな構成要素のサイズ及び具体的な形状は、本明細書に記載するような機能を依然として提供しながら、図示する実施形態と異なり得る。より具体的には、さまざまな構成要素のサイズ及び形状を、自己弁輪サイズ及び/又は自己弁尖のサイズあるいは位置に応じて具体的に選択することができる。
【0110】
[1118] 上述した方法及び/又は事象が、特定の順序で発生するいくつかの事象及び/又は手続きを示す場合、いくつかの事象及び/又は手続きの順序付けを変更することができる。さらに、いくつかの事象及び/又は手続きは、可能な場合は並行プロセスで同時に行うことができるとともに、上述したように逐次行うことも可能である。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6
図7
図8a-8b】
図9a-9b】
図10a-10b】
図11-12】
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20a-20b】
図21a-21b】
図22a-22b】
図23a-23b】
図24
図25a
図25b
図26a
図26b
図26c
図26d
図27
図28
図29
図30
図31
図32a
図32b
図33a
図33b
図34