特許第6554097号(P6554097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6554097
(24)【登録日】2019年7月12日
(45)【発行日】2019年7月31日
(54)【発明の名称】電気接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/51 20110101AFI20190722BHJP
【FI】
   H01R12/51
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-525545(P2016-525545)
(86)(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公表番号】特表2016-535921(P2016-535921A)
(43)【公表日】2016年11月17日
(86)【国際出願番号】EP2014002849
(87)【国際公開番号】WO2015067347
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2017年10月19日
(31)【優先権主張番号】102013018851.2
(32)【優先日】2013年11月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596055475
【氏名又は名称】ヴアブコ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】WABCO GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100062317
【弁理士】
【氏名又は名称】中平 治
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ハイン・ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツベルク・ニーコ
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−129894(JP,U)
【文献】 特開2002−236035(JP,A)
【文献】 特表2013−521639(JP,A)
【文献】 実開昭52−011160(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0121850(US,A1)
【文献】 特開平09−298018(JP,A)
【文献】 特開平09−078287(JP,A)
【文献】 特開2002−270320(JP,A)
【文献】 特開平11−204222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/51−12/69
H01R 13/03
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのセンサ(12)又はアクチュエータを回路基板(24)の少なくとも一つの導体配線路(22)と電気的に接続するための接続装置(10)であって、この少なくとも一つのセンサ(12)又はアクチュエータが、通電接続用の少なくとも一つの圧縮ばね(18)を有し、この少なくとも一つの圧縮ばね(18)が、この少なくとも一つのセンサ(12)又はアクチュエータと回路基板(24)の間に機械的に圧縮されて配置されている接続装置において、
この少なくとも一つの圧縮ばね(18)の回路基板(24)の方を向いた接点終端部分(36)が、確実な電気接続を保証するために、金鍍金されていない導体配線路(22)と通電接続されているが、半田接続されていない接点板(20,70,80,90)に当接して設置されており、
この圧縮ばね(18)が、少なくともその接点側の終端に不活性化された銀被膜(60)を配備されており、
この接点板(20,70,80,90)の圧縮ばね(18)の接点終端部分(36)の方を向いた上側(38)が、不活性化された銀被膜(62)を配備されており、
この接点板(20,70,80,90)が、その上側(38)の領域において、圧縮ばね(18)の接点終端部分(36)を収容するための窪み(48)を有し、
この圧縮ばね(18)が円筒形のコイル形圧縮ばね(16)であり、
ことを特徴とする接続装置。
【請求項2】
当該の接点板(20,70,80,90)の厚さ(44)が、この接点板(20,70,80,90)と通電接続された導体配線路(22)の厚さ(46)の少なくとも二倍の大きさであることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
当該の接点板(20,70,80,90)が銅と錫の合金から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続装置。
【請求項4】
当該の接点板(20,70,80,90)がCuSn6合金から構成されることを特徴とする請求項3に記載の接続装置。
【請求項5】
当該の圧縮ばね(18)の銀被膜(60)と接点板(20,70,80,90)の銀被膜(62)が同じ厚さであることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の接続装置。
【請求項6】
当該の圧縮ばね(18)の銀被膜(60)の層厚と接点板(20,70,80,90)の銀被膜(62)の層厚が2μm〜5μmであることを特徴とする請求項に記載の接続装置。
【請求項7】
当該の接点板(20,70,80,90)の面が、その全ての側面において、圧縮ばね(18)の接点終端部分(36)を超えて突き出ていることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一つに記載の接続装置。
【請求項8】
当該の接点板(20,70,80,90)の周縁の幾何学形状が、少なくとも四角形、円形、楕円形、卵形又はこれらの形状の中の少なくとも二つの組合せであることを特徴とする請求項1からまでのいずれか一つに記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つのセンサ又はアクチュエータを回路基板の少なくとも一つの導体配線路と電気的に接続するための接続装置に関し、この少なくとも一つのセンサ又はアクチュエータは、通電接続用の少なくとも一つの圧縮ばねを有し、この少なくとも一つの圧縮ばねは、この少なくとも一つのセンサ又はアクチュエータと回路基板の間に機械的に圧縮された形で配置されている。
【背景技術】
【0002】
電子回路基板と別の電子部品又は電気部品の間を特に腐食に対して強く、確実に電気を通す形で接続するための接点表面は、通常錫、銀又は金から製作されている。更に、外部の周囲環境からの影響に晒される自動車での電子機器用途のために、複雑な幾何学形状のばね部品と接続構造に基づく接触形態が知られている。それらのばね部品と接続構造は、錫、銀又は金から成る表面コーティングを配備された後、回路基板と通電接続されている。しかし、使用するばね部品と接続構造の複雑さが、製造コストを高くして、多くの場合、より大きな取付空間を必要としている。
【0003】
更に、自動車で使用するために、回路基板の導体配線路又は接点パッド上で支えられた、例えば、電磁弁又はセンサなどの外部部品を電気的に接続するための金属製圧縮ばねを用いた電気接触形態が知られている。そのような構造では、接触させる部材の組として、例えば、金鍍金された接点ばねと、少なくとも接触ゾーンを金鍍金された、基本材料として銅から成る導体配線路とが使用されており、それらは、有害な腐食させる気候の影響を極めて受け難く、そのため確実な電気接続を可能にしている。しかし、経済的な金鍍金のためには、拡散プロセスから保護するためのニッケルから成る障壁層が必要である。しかし、厳密には、その障壁層は、特に、電気部品を金属被覆された、或いは金属製のスリーブを配備された回路基板の穴に単純な押圧によって機械的に固定すると同時に回路基板の導体配線路と電気的に接触させる周知の圧入技術との関連において、気候の影響を受け易いことが分かっており、そのことは、接触箇所に亀裂、浸入及び局所的な腐食を引き起こす可能性が有る。
【0004】
例えば、銀と銀、銀と錫又は銀と半田用錫などの接点ばねと導体配線路の別の材料ペアにおいても、不利な気候の影響時、接点ばねと導体配線路の間の振動に起因する相対的な運動時及び/又は電流負荷が大きい場合に、当該の電気接触箇所を完全に破壊するまでの結果を引き起こすのに十分な化学的な腐食効果及び/又は摩擦による腐食現象が発生する可能性が有る。
【0005】
特許文献1により、測定素子用の電気接続部を備えた圧力センサ構造体が周知である。測定素子と、それらの測定素子の周囲を取り囲む接点支持体に埋め込まれた複数の接点との間の電気接続部は、所謂マイクロ溶接によるボンディング接続部を用いて実現されている。その圧力センサ構造体の外部との電気接続は、それぞれ糸通し用漏斗の開口部を通された、コイル形圧縮ばねの形に構成された複数のばね接点により実現されており、その漏斗自体は、圧力センサ構造体に配置されている。それらのばね接点は、接点支持体の接点と外部取付台の間で支えられている。圧力センサ構造体内では、ばね接点が、軸方向に圧力を加えられてブロック上に巻回される一方、圧力センサ構造体外では、ばね接点は、軸方向に弾力的に変形することができる。そのばね接点を用いた回路基板の直接的な電気接続部は規定されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許公開第10244760号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、構造的に簡単に構成された、特に、摩擦による腐食及びそれ以外の腐食プロセスに耐える、センサ及び/又はアクチュエータを回路基板に電気的に確実に接続するための接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本課題は、請求項1の特徴を有する接続装置により解決される。有利な改善構成は、従属請求項に規定されている。
【0009】
この場合、本発明は、圧縮ばねを用いて、構造的に簡単な手法で、更に、電気的に確実に外部部品を回路基板の導体配線路と接触させることが可能であるとの知見を出発点としている。
【0010】
従って、本発明は、少なくとも一つのセンサ又はアクチュエータを回路基板の少なくとも一つの導体配線路と電気的に接続するための接続装置に関し、この少なくとも一つのセンサ又はアクチュエータは、通電接続用の少なくとも一つの圧縮ばねを有し、この少なくとも一つの圧縮ばねが、この少なくとも一つのセンサ又はアクチュエータと回路基板の間に機械的に圧縮されて配置されている。本課題を解決するために、この少なくとも一つの圧縮ばねの回路基板の方を向いた接点終端部分が、確実な電気接続を保証するために、導体配線路と通電接続された接点板に当接して配置されると規定される。
【0011】
ここで提案した構造によって、例えば、センサ又はアクチュエータなどの外部コンポーネントと電子回路基板との振動に耐えるとともに、腐食に強い接続を可能にする接続装置が実現される。この接続装置は、導体配線路の金鍍金を必要としないので、回路基板を安価に製造することが可能であるとともに、圧入技術の使用と問題無く両立できる。更に、この圧縮ばねは、軸方向の許容差の補正及び熱膨張と製造誤差の補償を可能とする。
【0012】
この圧縮ばねの面積が出来る限り大きく、良好に当接する接点面を実現するために、圧縮ばねの接点終端部分の最終的な巻回部が平坦に研磨されると規定することができる。更に、その目的のために、圧縮ばねの接点終端部分の最終的な巻回部がブロック上に巻回され、それによって、軸方向に圧力を加えられた形で構成することができる。
【0013】
「腐食」との用語は、本明細書との関連において、摩擦による腐食プロセスでもあり、化学的及び電子化学的な腐食事象でもあると解釈される。摩擦による腐食プロセスは、例えば、圧縮ばねと接点板の間に振動に起因する相対的な運動が起こった場合に発生する。この場合、接触させる部材の組の動きのために、微視的に小さい金属粒子が剥がれて削り落ち、それによって、結果として、有効な金属製接触面が減少し、そのことは、特に、電気的な接触抵抗の増大を引き起こす可能性が有る。それに対して、「化学的な腐食」との用語は、通常金属性の材料とその周囲の物質の優位な化学反応に関するものである。電子化学的な腐食プロセスでは、物質の変化の外に、電気的な流れが存在する。
【0014】
センサとしては、全部を言い尽くせないが、例えば、圧力センサ、温度センサ、回転数センサ、ストロークセンサ、加速度センサ及び磁気センサが考慮の対象となる一方、アクチュエータは、例えば、電磁弁、サーボモータ、電磁石、所謂圧電スタック又はその同等品とすることができる。
【0015】
有利には、圧縮ばねの数は、接点板の数と一致する。この圧縮ばねの巻回に用いられるスプリングワイヤの直径、圧縮ばねの全長又は高さに対する外径、並びに巻回部の巻数又はピッチ角は、十分な接触圧力を実現するために選定された機械的な圧縮力と、接続装置の実際の動作時に生じる全ての負荷とを考慮して、圧縮ばねが半径方向に屈曲しないような大きさに規定される。
【0016】
前述した接続装置の一つの実施形態では、接点板の厚さが、接点板と通電接続された導体配線路の厚さの少なくとも二倍の大きさであると規定することができる。それによって、特に、摩擦による腐食プロセスに対する耐性を接点板に与える、接点板の高い耐磨耗性が得られる。
【0017】
更に、この接点板が、銅と錫の合金、特に、CuSn6合金から構成される、或いはその合金を用いて製作されると規定することができる。それによって、電子技術分野で広く普及しており、更に、周知の製造及び接合方法を用いて問題無く再処理できる安価な金属合金に頼ることができる。大きな青銅グループの中のここで単に例示したCuSn6合金の代わりに、それ以外の青銅合金又はそれ以外の金属合金も接点板に用いることができる。それに対して、回路基板の導体配線路は、有利には、化学的に純粋な銅又は銅合金から製作される。
【0018】
別の有利な改善構成では、圧縮ばねは、少なくとも領域に渡って不活性化された銀被膜を配備されると規定される。それによって、圧縮ばねの高い表面導電率と同時に良好な腐食耐性が得られる。基本的に、圧縮ばねの接点終端部分において、本来の電気接触が行なわれるので、そこに不活性化された銀被膜を成膜すれば、それで十分である。
【0019】
更に、接点板の圧縮ばねの接点終端部分の方を向いた上側に不活性化された銀被膜を配備すると規定することができる。それによって、圧縮ばねの接点終端部分と接点板とのより低い接触抵抗と同時に、気候に対する高い腐食耐性が得られる。更に、接点板の外面又は外側エッジにも不活性化された銀被膜を配備して、そこでも腐食に対する非常に良好な保護を実現することができる。
【0020】
これに関連して、圧縮ばねの銀被膜と接点板の銀被膜を同じ厚さにするのが有利であることが分かっている。各銀被膜は、有利には、電気鍍金される。別の実施構成では、銀による同じ厚さの被膜と独立して、圧縮ばねの銀被膜の層厚と接点板の銀被膜の層厚が2μm〜5μmであるが、より大きな層厚も可能であると規定される。これらの層厚は、規定通りの大きさであり、そのようにして、接触させる部材の組の非常に良好な腐食耐性と磨耗耐性を可能にしている。それに対して、圧縮ばね及び/又は接点板の銀による化学的な被覆は、0.15μm〜0.45μmの層厚でのみ可能であり、化学的に被覆された銀の不活性化は一般的ではない。そのような薄い層の下に配置された導体配線路の銅の腐食し易さは、それに対応して低くなる。化学的に被覆された金から成る層は、既に述べた通り、更に、ニッケルから成る障壁層を必要とする。
【0021】
別の実施形態では、接点板の前記の少なくとも一つの導体配線路の方を向いた下側は、少なくとも領域に渡って錫鍍金される。それによって、接点板と、回路基板又はその少なくとも一つの導体配線路との優れた半田接続性能が得られる。例えば、標準的なSMD半田接続プロセスなどの半田接続プロセスにおける接点板のより良好な処理性能のために、半田接続プロセスの前に、接点板の下側に、場合によっては、領域に渡って、ずれに対する姿勢の保持に好適な接着剤を配備することができる。
【0022】
本発明の別の改善構成は、接点板の面が、全ての側面において圧縮ばねの接点終端部分の外径を超えて突き出ると規定する。それによって、出来る限り大きな電気接触ゾーンによる確実な電気接触が得られる。
【0023】
別の実施形態では、接点板の領域内の前記の少なくとも一つの導体配線路の面が、全ての側面において接点板を超えて突き出ると規定される。それによって、接点板の周りを取り囲む狭い周縁ゾーンが、通常接点板と回路基板の導体配線路の半田接続時に使用される半田部材の毛管引力及び表面張力に起因して生じるメニスカスのために開放される。
【0024】
更に、この接点板が、その上側の領域に、前記の少なくとも一つの圧縮ばねの接点終端部分を少なくとも部分的に収容するための窪みを有すると規定することができる。それによって、接点板に対する圧縮ばねの姿勢の保持が実現される。同時に、出来る限り大きな接触面の実現と接続装置の導電性の向上のために、この接点板内の窪みを接点終端部分の造形に適合させることができる。
【0025】
別の実施形態では、この圧縮ばねは円筒形のコイル形圧縮ばねである。そのように構成された圧縮ばねは、比較的簡単かつ安価に製作することができる。
【0026】
最後に、接点板の周縁の幾何学形状が、少なくとも四角形、円形、楕円形、卵形、或いはこれらの形状の中の少なくとも二つの組合せであると規定することができる。それによって、接点板の周縁の幾何学形状が、回路基板で通常用いられる接続面又は接触面の幾何学形状と一致する。
【0027】
本発明を更に説明するために、本明細書には、実施例の図面が添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による接続装置の模式的な側面図
図2図1の接点板とその下に有る導体配線路の平面図
図3】接点板の別の実施構成とその下に有る導体配線路の平面図
図4】接点板の別の実施構成とその下に有る導体配線路の平面図
図5】接点板の別の実施構成とその下に有る導体配線路の平面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面では、同じ構造部品は、それぞれ同じ符号を有する。
【0030】
図1の接続装置10は、この実施例では圧力センサ12として構成されたセンサ14を有し、このセンサは、円筒形のコイル形圧縮ばね16として構成された圧縮ばね18を用いて、接点板20と通電接続されており、この接点板自体は、回路基板24上に配置された導体配線路22と通電接続されている。この接続装置10を用いて、圧力センサ12の代わりに、例えば、電磁弁、サーボモータ又はその同等品などのアクチュエータを回路基板24の導体配線路22と電気的に接触させることもできる。この接点板20の下側26は、回路基板24との通電接続の形成及び接点板20の機械的な固定のために、半田接続部28を用いて、導体配線路22と熱により接合されている。半田接続部28の代わりに、接点板20と導体配線路22の間の抵抗が比較的低い接続を可能とする、それ以外の接合手法を採用することもできる。このコイル形圧縮ばね16の回路基板24と逆のセンサ側の終端部分30は、筐体下側32の領域における、圧力センサ12内の図示されていない測定素子及び任意選択の電子測定回路との電気接続のために、圧力センサ12の筐体34に統合されている。そのため、このコイル形圧縮ばね16は、圧力センサ12と回路基板24の電気接続部である。
【0031】
このコイル形圧縮ばね16のセンサ側の終端部分30と逆の、回路基板24の方を向いた接点終端部分36は、電気的な接触を形成するために、機械的な圧縮に適した強さで接点板20の上側に当接して配置されている。この接点終端部分36と接点板20の間の有効な電気接触面を最大化するために、このコイル形圧縮ばね16の回路基板側の終端部分40は、正面側を平坦に研磨されている。それに代わって、接点板20の上側38の表面の幾何学形状は、接点終端部分36の正面側の終端の幾何学形状と一致するように形成することができる。円筒形のコイル形圧縮ばね16の長手中心軸42は、接点板20の上側38及び圧力センサ12の筐体34の筐体下側32に対してほぼ直角に延びている。
【0032】
この接点板20の厚さ44は、接点板20の十分な機械的安定性と、特に、十分な磨耗強度を保証するために、導体配線路22の厚さ46よりも著しく大きい。
【0033】
この接点板20には、接点板20の上側38に対して平行に加わる機械的な力に対する接点終端部分36の姿勢の保持を実現するために、任意選択の、例えば、鍋状の窪み48を形成することができる。この鍋状の窪み48の底部50の表面の幾何学形状は、又もやコイル形圧縮ばね16の接点終端部分36の正面側の造形と一致し、その結果、コイル形圧縮ばね16の回路基板側の終端部分40の表面研磨を省くことができるように構成することができる。この接点板20の上側38は、有利には、その全ての側面がコイル形圧縮ばね16の接点終端部分36を超えて突き出ており、それにより、最大限の電気接触面が得られるような大きな面拡大部を有する。
【0034】
不利な気候による影響に対する本発明による接続装置10の耐性を向上するために、円筒形のコイル形圧縮ばね16も接点板20も、有利には、全面に渡って、不活性化された銀被膜60,62を配備される。接点板20の基本材料は、有利には、青銅合金又は銅と錫の合金、特に、CuSn6合金である。導体配線路22上に半田接続された接点板20と関連して、化学的な腐食事象に対しても、摩擦による腐食プロセスに対しても、この接続装置10の卓越した耐性が得られている。
【0035】
円筒形のコイル形圧縮ばね16の製作のために用いられる金属製のスプリングワイヤのワイヤ直径dとコイル形圧縮ばね16自体の外径Dは、全長Lと、巻回部の巻数又はピッチ角αとに対して、コイル形圧縮ばね16が十分な接触圧力を実現するために選定された機械的な圧縮力と更に動作時に加わる全ての負荷の下で半径方向に屈曲しないような大きさに規定される。コイル形圧縮ばね16の図示されている軸方向に圧縮された状態では、全長Lが、接続装置10を取り付けた状態における圧力センサ12の筐体下側32と接点板20の上側38の間の垂直方向の間隔hに一致する。
【0036】
この例として図示した唯一つのコイル形圧縮ばね16を備えた接続装置10の実施例と異なり、センサ及び/又はアクチュエータと複数の電気接続部の電気接触及び/又はより多くの数のセンサ及び/又はアクチュエータと回路基板24の導体配線路22及び別の導体配線路との電気接触を実現するためには、接点板及びコイル形圧縮ばねの数に対応する多数の圧縮ばねが必要である。この場合、基本的に、特に、接続装置10の導電性を最適化するために、複数の圧縮ばねをそれぞれ一つの接点板で支えることが可能である。
【0037】
回路基板24上に半田接続された接点板20は、例えば、回路基板24を用いて相互接続される電子部品及び電気部品の装着及び半田接続のためにも用いられる同じSMD装着・半田接続自動化機械を用いて処理することができるので、製作負荷に関して、従来技術により周知の技術的な解決策と比べて、中立的であることが分かっている。
【0038】
接点板20及びコイル形圧縮ばね16の少なくとも接点終端部分上への不活性化された銀被膜60,62の被覆は、同じく回路基板24の製造プロセスの途中に、周知の被覆手法を用いて行なうことができる。更に、この接点板20の不活性化された銀被膜62は、その導体配線路22との半田接続プロセスを容易にする。化学的に純粋な銅又は銅合金から製作された導体配線路を腐食により損傷する影響から、より良好に保護するためにも、この接続装置10の製作後に、導体配線路22の半田接続部28により覆われていない領域に保護部材を配備することもできる。保護被膜として、例えば、好適な保護ラッカー又はその同等品を使用することができる。
【0039】
図2は、コイル形圧縮ばね16とその下に有る導体配線路22を除いた図1の接点板20の平面図を図示している。この図面から、先ずは、接点板20の周縁の輪郭が円形であることが分かり、この輪郭が、ここでは破線による半径方向の境界線でのみ示された円筒形のコイル形圧縮ばね16の横断面の幾何学形状を同心に取り囲み、それにより、接点板20とコイル形圧縮ばね16の間の出来る限り大きな接触面を実現している。
【0040】
接点板20を同心に包囲する、半田接続部28のここでは円環形のメニスカス58のための狭い周縁ゾーンを実現するために、接点板20の直径54は、有利には、回路基板24の導体配線路22の幅56よりも少なくとも僅かに小さい。その結果、回路基板24上における接点板20と導体配線路22のサイズは、有利には、常に、導体配線路22が、その全ての側面において、少なくとも僅かに接点板20を超えて突き出るような大きさである。
【0041】
図3は、周縁の輪郭がほぼ正方形であるが、四つの角をそれぞれ僅かに丸くされた接点板70とその下に有る導体配線路22の別の変化形態を図示している。この接点板70は、又もや半田接続部72により回路基板24の導体配線路22と通電接続されている。この接点板70の幅74と長さ76は、それぞれ同じ大きさであり、この場合、有利には、接点板70の周囲を取り囲む、半田接続部72のメニスカス78のための周縁ゾーンを提供するために、回路基板24の導体配線路22の幅56よりも僅かに小さい。
【0042】
図4と5は、周縁の幾何学形状が正八角形に一致する接点板80の第三の実施構成と、周縁の幾何学形状が角を丸くされていない四角形又は正方形である接点板90の第四の実施構成とを図示している。ここで述べる接点板80,90は、それぞれその下を延びる回路基板24の導体配線路22上に配置されているが、最早導体配線路22と半田接続されていない。二つの狭い周縁ゾーン82,92が、有利には、全ての側面において、最早回路基板24の導体配線路22と半田接続されていない接点板80,90の周囲を取り囲んで、ここでは図示されていない、或いは最早存在しない半田接続部のメニスカスのための拡幅空間としての役割を果たしている。導体配線路22の幅56に対する二つの接点板80,90の幅と長さに関して、図2と3により既に別途上述した接点板20,70と同じことが言え、そのため、ここでは、図2と3に関する説明を参照されたい。
【0043】
図2〜5に図示された実施構成を超えて、卵形又は楕円形の周縁の幾何学形状、或いは卵形及び/又は楕円形の周縁の幾何学形状と図2〜5に図示された周縁の幾何学形状の中の一つとを任意に組み合わせることが可能である。基本的に、接点板が、有利には、全ての側面において、それに割り当てられた少なくとも一つのコイル形圧縮ばね16の接点終端部分を超えて突き出るとともに、更に、如何なる側面においても、それに割り当てられた導体配線路を超えて突き出ない限り、接点板の周縁の幾何学形状は、如何なる任意の推移又は複数回曲げられた推移を有することもできる。
【0044】
しかし、接点板の周縁の幾何学形状の角の曲率半径が非常に小さい場合、その角の領域において、被覆する不活性化された銀被膜の厚さを接点板のそれ以外の表面ゾーンと比べて小さく設定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5