(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配列番号314、268、282、340、376、298、377、378、253、20、379、302、275、380、273、381、280または382のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む組換えもしくは合成ペプチドであって、
前記ペプチドが、R175H p53である変異型p53タンパク質を少なくとも部分的に再活性化させ;かつ
前記ペプチドが、6〜15のアミノ酸の長さである、ペプチド。
配列番号286〜289および291〜321のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む組換えもしくは合成ペプチドであって、前記ペプチドが、最大30アミノ酸の長さを有し、前記ペプチドが、R175H p53を少なくとも部分的に再活性化させる、ペプチド。
【図面の簡単な説明】
【0044】
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図1A】標的分子の立体構造または構造へのその影響によって、間接的な方法で、結合パートナー(ペプチドなど)の選択をもたらす、スクリーニング法の工程のブロック図である。
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図1B】変異体p53再活性化ペプチドの同定、スクリーニングおよび選択の方法の略図である。この方法は、ファージディスプレイ法を利用することによる、変異体p53再活性化ペプチドをスクリーニングおよび同定するための、増加するストリンジェンシーでの交互の様々な選択戦略を含む。戦略A(左):立体構造による選択:変異体p53タンパク質(例えば、R175H Mut−p53)と結合することのできるファージによって発現および提示されるペプチドの選択。Mut−p53タンパク質は、基板に固定化された特異的p53抗体(例えば、PAb1620)と結合し、それにより結合したファージの選択を可能にする。戦略B(右):機能による選択:Mut−p53(例えば、R175H Mut−p53)を再活性化することができ、それにより、Mut−p53タンパク質がDNAコンセンサス結合エレメントと結合するその能力によって活性化が求められる、ファージによって発現および提示されるペプチドの選択。DNA結合エレメント(例えば、WT p53−RE)は、基板に固定化される。Mut−p53は、それと結合した再活性化ペプチドによって少なくとも部分的に再活性化されない限り、WT p53−REと結合することができない。この方法は、同定されたペプチドの配列を決定し、所望により再活性化ペプチドのコンセンサス配列を同定するために、同定されたペプチドのシークエンシング(例えば、ディープシークエンシング)をさらに含むことができる。
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図2】抗体(PAb1620またはPAb240)またはタンパク質(ASPP2またはBcl2)と共有結合的に架橋したアガロースビーズを、WT p53タンパク質、変異体p53 R175H タンパク質または変異体p53 V143A(各々は、それぞれのタンパク質を発現するバキュロウイルスでトランスフェクトしたsf9細胞より生成)とともに4℃で3時間インキュベートした、免疫沈降(IP)実験のウエスタンブロット分析のピクトグラムを示す図である。結果として得られる免疫沈降物、ならびに上清(sup)を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲートした抗p53(αp53)抗体を用いるウエスタンブロット実験に付し、各試料中のp53タンパク質レベルを求めた。
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図3】PAb1620またはPAb240抗体と共有結合的に架橋したビーズを、様々な溶液(A−IおよびIP緩衝液)でWT p53または変異体p53 R175Hとともに4℃で3時間インキュベートした、IP実験のウエスタンブロット分析のピクトグラムを示す図である。結果として得られる免疫沈降物、ならびに上清(sup)を、HRPとコンジュゲートした抗p53(αp53)抗体を用いるウエスタンブロット実験に付し、各試料中のp53タンパク質レベルを求めた。溶液A−50mM Tris;溶液B−Tris、150mM NaCl;溶液C−Tris、NaCl、0.5% Triton;溶液D−Tris、0.5% グリシン;溶液E−40mM Na
4O
7P
2;溶液F−400mM グアニジン−HCl;溶液G−800mM グアニジン−HCl;溶液H−1M 尿素;溶液I−3M 尿素;IP−IP緩衝液。
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図4】p53タンパク質の結合エレメントとして使用されるオリゴヌクレオチドの配列を示す図である。オリゴヌクレオチド(配列番号61)は、5’ビオチン標識、それに続いてHindIII認識部位(下線)、それに続いてEcoRI認識部位(下線)、それに続いてp53コンセンサス結合エレメント(下線、p53結合部位は2つの半分の部位からなり、各々の半分の部位は、p53の二量体(dimmer)と結合し、この部位と一緒にDNAおよびp53四量体の複合体を形成する)、それに続いて2コピーのp21プロモーターのp53認識エレメント(下線)を含む。結合実験には、このオリゴヌクレオチドを相補オリゴヌクレオチドにアニールして、二重鎖(ds)オリゴヌクレオチドを形成する。
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図5】事前のプレクリアリング(pre−clearing)工程をPAb1620ビーズによるファージプールのインキュベーションにより実施して、PAb1620と共有結合的に架橋したビーズを、全長Mut−p53 R175H(175)かまたは組換えMut−p53 R249S(249DBD)のいずれかによるファージディスプレイ選択によって得たファージの存在下、精製した変異体p53 R175Hとともにインキュベートした、IP実験のウエスタンブロット分析のピクトグラムを示す図である。選択されなかったファージ(NS)を対照として使用した。インキュベーションは4℃で3時間行った。免疫沈降物中の結合したp53を、p53に対する抗体(αp53)を用いてウエスタンブロット分析により分析した。選択されなかったファージ(NS)を対照として使用した。「In」は、直接にゲルの上に添加したIP入力材料の10%を表す。この抗体はp53タンパク質の立体構造にかかわらずC末端のp53エピトープに結合するので、PAb−421による免疫沈降を、陽性対照および免疫沈降したp53の基準として使用した。
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図6】ビオチン標識したp53−RE−DNAかまたは対照−RE−DNAオリゴヌクレオチドのいずれかと結合したストレプトアビジンコートビーズを、交互の選択ラウンドでSV−40ラージT抗原(T−ag)とPAb1620の組合せを用いる、Mut−p53 R175H(175)、クローン27(175選択から単離した単一のクローン、配列番号328);WTおよびMut−p53 R175Hで選択されたプール#69および#94によるファージディスプレイ選択によって得たファージの存在下、精製WT−p53−DBDまたは変異体p53−R249S−DBDとともにインキュベートした、IP実験のウエスタンブロット分析のピクトグラムを示す図である。非選択ファージ(NS)を対照として使用した。インキュベーションは4℃で3時間実施した。結合したp53を、p53に対する抗体(αp53)を用いるウエスタンブロット分析によって視覚化した。
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図7】本明細書に記載される通り同定された、いくつかのコンセンサスペプチドモチーフの略図である。
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図8A】イムノアッセイにより求められるようにMut−p53(R175H p53)を安定に過剰発現しているH1299細胞におけるMut−p53の立体構造変化への被試験ペプチドの影響を決定する代表的なELISA実験を実証する棒グラフを示す図である。Mut−p53へのペプチドの立体構造的影響を測定するために、マイクロタイタープレートを、PAb240、PAb1620またはPAb421(使用した抗体はWTと変異体の立体構造の両方を認識するため陽性対照および全p53タンパク質の基準として)のいずれかでコーティングし、一晩インキュベートし、洗浄し、ブロッキングし、細胞抽出物(ペプチドを含むまたは含まない)をさらに2時間添加した。抽出物を除去した後、プレートを洗浄し、p53レベルの検出のためのαp53−HRPコンジュゲートAbとともにインキュベートした。TMB(HRPの基質)アッセイを実施し、450nmでの光学濃度を求めた。WT p53は、PAb1620との反応性の陽性対照として働き、Mut−p53は陰性対照として働く。結果は、PAb1620またはPAb240試料および対照PAb241試料間の吸光度の比として表される。MCF7およびH1299−Mut−p53(ts)A135V(TS)細胞をWT p53立体構造の陽性対照として使用した(1620/240比は5:1に等しいかまたはそれを上回る)。
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図8B】イムノアッセイにより求められるようにMut−p53(R175H p53)を安定に過剰発現しているH1299細胞におけるMut−p53の立体構造変化への被試験ペプチドの影響を決定する代表的なELISA実験を実証する棒グラフを示す図である。Mut−p53へのペプチドの立体構造的影響を測定するために、マイクロタイタープレートを、PAb240、PAb1620またはPAb421(使用した抗体はWTと変異体の立体構造の両方を認識するため陽性対照および全p53タンパク質の基準として)のいずれかでコーティングし、一晩インキュベートし、洗浄し、ブロッキングし、細胞抽出物(ペプチドを含むまたは含まない)をさらに2時間添加した。抽出物を除去した後、プレートを洗浄し、p53レベルの検出のためのαp53−HRPコンジュゲートAbとともにインキュベートした。TMB(HRPの基質)アッセイを実施し、450nmでの光学濃度を求めた。WT p53は、PAb1620との反応性の陽性対照として働き、Mut−p53は陰性対照として働く。結果は、PAb1620またはPAb240試料および対照PAb241試料間の吸光度の比として表される。MCF7およびH1299−Mut−p53(ts)A135V(TS)細胞をWT p53立体構造の陽性対照として使用した(1620/240比は5:1に等しいかまたはそれを上回る)。
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図9】Mut−p53(R175H p53)を安定に過剰発現しているH1299細胞におけるMut−p53のDNA結合活性への被試験ペプチドの影響を決定する代表的なELISA実験を実証する棒グラフを示す図である。市販のp53/DNA結合キット(R&D)を製造業者の使用説明書に従って使用した。手短に言えば、96ウェルプレートを抗p53抗体で一晩コーティングした。p53を含有する細胞抽出物を、試験ペプチドの存在下または不在(NT)下、ビオチンで標識したp53コンセンサス結合部位を含有するオリゴヌクレオチドと反応させた。WT p53は、プレートの試験ウェルをコーティングする抗体と同様にこのDNA結合部位と結合することが予期される。過剰なp53およびオリゴを洗い流し、ストレプトアビジン−HRPを使用して、p53が結合したDNAに比例する、ウェル中のオリゴの量を定量する。TMBアッセイを実施してHRPレベル(450nm)を求めた。結果は、各々の被試験試料の(450nmでの)相対吸光度(Y軸)として表される。MCF7およびH1299−Mut−p53(ts)A135V細胞は、WT p53の陽性対照として役立つ。
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図10】被試験ペプチドと組換えWT p53およびMut−p53との結合を求めるための代表的なELISA実験を表す棒グラフである。市販のペプチド−タンパク質結合キット(TAKARA)を製造業者の使用説明書に従って使用した。手短に言えば、96ウェルプレートをペプチドで2時間コーティングした。可溶性ペプチドを、競合対照として働く対応するウェルに添加して、p53(+comp)とのペプチド結合の特異性を確認した。p53−RE DNAオリゴを他のウェルに添加して(+DNA)、それがペプチドとp53との結合に影響を及ぼすかどうかを調べた。組換えタンパク質を除去した後、プレートを洗浄し、p53の定量化のためにαp53−HRPコンジュゲートAbとともにインキュベートした。最後にTMB(HRPの基質)アッセイを実施し、450nmでの光学濃度を求めた。結果は、各々の被試験試料の450nmでの相対吸光度(Y軸)として表される。以下のαp53モノクローナル抗体は、内部対照として働くPAb1801;PAb1620およびPAb240。
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図11】生細胞における代表的なp53標的遺伝子のプロモーターとMut−p53との結合を実証する棒グラフである。変異体p53
R249Sを内因的に発現しているBT−549乳癌細胞を、3つのpCAP−250、308および325の混合物で5時間処理した。対照ペプチド(不活性ペプチド)の混合物で処理した細胞は、陰性対照として働いた。細胞を1%ホルムアルデヒドで固定し、回収し、DNAを超音波処理によって剪断した。p53と架橋したDNAを、ポリクローナル抗p53抗体(H47)を用いて免疫沈降させた。DNAを精製し、PUMA、p21、CD95およびMDM2遺伝子プロモーターのp53応答配列との結合を、qPCRによって定量した。結果を、全DNAレベルを表す入力試料に標準化した。陰性対照として、抗体を含まないビーズで抽出物を免疫沈降させた(ビーズ)。p53結合エレメントを含有しないゲノム部位は、陰性対照として働く(黒色)。
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図12】様々な被試験試料で測定される相対ルシフェラーゼ活性(cLuc/gLuc)を説明する棒グラフである。H1299 p53−/−細胞の一過性トランスフェクションを、ルシフェラーゼ発現が複数のp53応答配列のタンデムアレイの制御下である、TK−RGC−lucとともに、WT p53、R175H p53、R249S p53または対照として空のベクターを発現するプラスミドで実施した。トランスフェクションの24時間後、細胞を試験ペプチドで処理した。トランスフェクションの48時間後、培養液の試料を生物発光測定のために取り出した。
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図13A】クリスタルバイオレットアッセイにより求められる、Mut−p53を発現している細胞の生存率への様々な被試験ペプチドの影響を説明する棒グラフである。内在性WT p53を発現しているWI−38線維芽細胞を、非特異的対照としてのマウスNoxa shRNA(WI38−m−Noxa−i)かまたは変異体p53の安定な過剰発現のためのR175H p53変異体(WI38−175)のいずれかを発現しているレトロウイルスに感染させた。細胞(WI38−m−Noxa−iまたはWI38−175)を96ウェルプレートにウェル当たり3000細胞で播種した。被試験ペプチドを細胞に添加した。異なる濃度のエトポシド(細胞傷害性薬物、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン 9−[4,6−O−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]、4’−(リン酸二水素)を、細胞死の陽性対照として、さらに被試験ペプチドの影響を評価するための基準曲線として使用した。処置の48時間後、細胞をPBSで洗浄して死細胞およびデブリを除外し、プレートに付着して残っていた細胞をクリスタルバイオレットで30分間染色した。クリスタルバイオレットを除去し、細胞をPBSで4回洗浄して、残りのクリスタルバイオレットを除去した。次に、染色した細胞を10%酢酸に溶解し、プレートを595nM(クリスタルバイオレットに最適)での光学濃度測定のために取り出した。
図13Aおよび13Bの棒グラフは、非処理(NT)試料に標準化された、処理後のプレート中の細胞の数を反映する、595nmでの光学濃度読取値を示す。
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図13B】クリスタルバイオレットアッセイにより求められる、Mut−p53を発現している細胞の生存率への様々な被試験ペプチドの影響を説明する棒グラフである。内在性WT p53を発現しているWI−38線維芽細胞を、非特異的対照としてのマウスNoxa shRNA(WI38−m−Noxa−i)かまたは変異体p53の安定な過剰発現のためのR175H p53変異体(WI38−175)のいずれかを発現しているレトロウイルスに感染させた。細胞(WI38−m−Noxa−iまたはWI38−175)を96ウェルプレートにウェル当たり3000細胞で播種した。被試験ペプチドを細胞に添加した。異なる濃度のエトポシド(細胞傷害性薬物、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン 9−[4,6−O−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]、4’−(リン酸二水素)を、細胞死の陽性対照として、さらに被試験ペプチドの影響を評価するための基準曲線として使用した。処置の48時間後、細胞をPBSで洗浄して死細胞およびデブリを除外し、プレートに付着して残っていた細胞をクリスタルバイオレットで30分間染色した。クリスタルバイオレットを除去し、細胞をPBSで4回洗浄して、残りのクリスタルバイオレットを除去した。次に、染色した細胞を10%酢酸に溶解し、プレートを595nM(クリスタルバイオレットに最適)での光学濃度測定のために取り出した。
図13Aおよび13Bの棒グラフは、非処理(NT)試料に標準化された、処理後のプレート中の細胞の数を反映する、595nmでの光学濃度読取値を示す。
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図14】qRT−PCRにより求められるp53標的遺伝子のトランス活性化を測定することによる、Mut−p53の活性化への被試験ペプチドの影響を説明する棒グラフである。H1299細胞は、p53ヌルであり、p53研究に広く使用されている。Mut−p53(ts)A135Vで安定にトランスフェクトしたH1299細胞を使用した。細胞を12ウェルディッシュに播種し、示したペプチドを5ug/mlの濃度で培養液に直接に添加し、その後、細胞を32℃にするかまたは37℃に戻した。18時間後、細胞を回収し、それに続いてRNAの抽出、cDNA合成およびリアルタイムPCR分析を行った。3つの代表的なp53標的遺伝子、p21、PUMAおよびMdm2の発現レベルを調べた。
図14に示される棒グラフは、非処理細胞におけるその転写レベルと比較した、様々な試料中の被試験遺伝子の転写の相対誘導倍数を説明する。
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図15A】クリスタルバイオレットアッセイにより求められる、異なるMut−p53イソ型を発現している乳癌細胞の生存率への様々な示したペプチドの影響を説明する棒グラフである。
図15A:DBDの位置280に突然変異のある、Mut−p53を発現しているMDA−MB−231細胞。
図15B:DBDの位置175に突然変異のある、Mut−p53を発現しているSKBR3細胞。
図15Aおよび15Bの棒グラフは、非処理(NT)試料に標準化された、処理後のプレート中の細胞の数を反映する、各被試験ペプチドについての595nmでの光学濃度読取値を示す。
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図15B】クリスタルバイオレットアッセイにより求められる、異なるMut−p53イソ型を発現している乳癌細胞の生存率への様々な示したペプチドの影響を説明する棒グラフである。
図15A:DBDの位置280に突然変異のある、Mut−p53を発現しているMDA−MB−231細胞。
図15B:DBDの位置175に突然変異のある、Mut−p53を発現しているSKBR3細胞。
図15Aおよび15Bの棒グラフは、非処理(NT)試料に標準化された、処理後のプレート中の細胞の数を反映する、各被試験ペプチドについての595nmでの光学濃度読取値を示す。
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図16】qRT−PCRにより求められるp53標的遺伝子のトランス活性化を測定することによる、Mut−p53の活性化への示したペプチドの影響を説明する棒グラフである。p53発現をノックダウンしたSKBR3 ShCon細胞およびSKBR3 Shp53細胞を使用した。細胞を12ウェルディッシュに播種し、示したペプチドを5ug/mlの濃度で培養液に直接に添加した。18時間後、細胞を回収し、それに続いてqRT−PCR分析を行った。p21、PUMAおよびMdm2の発現レベルを評価した。
図16は、非処理細胞におけるその転写レベルと比較した、様々な試料中の被試験遺伝子の転写の相対誘導倍数を説明する。GAPDH mRNAを対照として並行に測定した。
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図17A】DBD内の位置241で突然変異したMut−p53を発現しているES2卵巣癌細胞で実施した代表的な実験を説明する図である。要するに、細胞を6cmディッシュで平板培養し、示したペプチドを示した時点に12ug/mlの濃度で直接に培養液に添加した。細胞を回収し、アネキシン−V染色キット(Roche、REF 11 988 549 001)を用いてアポトーシスアッセイ(
図17Aおよび17B)を実施した。非固定細胞を、アポトーシス細胞を検出するための抗アネキシンFITCコンジュゲート抗体と、死細胞を染色するためのPI(ヨウ化プロピジウム)の両方で、製造業者の使用説明書に従って染色した。次に、染色細胞をフローサイトメトリーにより分析した。合計10,000細胞を各試料についてカウントし、染色強度に従って4つの亜集団に分割した;PIとアネキシンの両方に陰性の細胞(−PI、−アネキシン)は生と名付けられ;PIに陰性でアネキシンに陽性の細胞(−PI、+アネキシン)はアポトーシスの初期段階初期段階を通過中であり;PIおよびアネキシンに陽性の細胞(+PI、+アネキシン)は、アポトーシスプロセスを経た死細胞であり;PIに陽性でアネキシンに陰性の細胞(+PI、−アネキシン)は、壊死などの非アポトーシスプロセスにより死んだ死細胞と想定される。
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図17B】DBD内の位置241で突然変異したMut−p53を発現しているES2卵巣癌細胞で実施した代表的な実験を説明する図である。要するに、細胞を6cmディッシュで平板培養し、示したペプチドを示した時点に12ug/mlの濃度で直接に培養液に添加した。細胞を回収し、アネキシン−V染色キット(Roche、REF 11 988 549 001)を用いてアポトーシスアッセイ(
図17Aおよび17B)を実施した。非固定細胞を、アポトーシス細胞を検出するための抗アネキシンFITCコンジュゲート抗体と、死細胞を染色するためのPI(ヨウ化プロピジウム)の両方で、製造業者の使用説明書に従って染色した。次に、染色細胞をフローサイトメトリーにより分析した。合計10,000細胞を各試料についてカウントし、染色強度に従って4つの亜集団に分割した;PIとアネキシンの両方に陰性の細胞(−PI、−アネキシン)は生と名付けられ;PIに陰性でアネキシンに陽性の細胞(−PI、+アネキシン)はアポトーシスの初期段階初期段階を通過中であり;PIおよびアネキシンに陽性の細胞(+PI、+アネキシン)は、アポトーシスプロセスを経た死細胞であり;PIに陽性でアネキシンに陰性の細胞(+PI、−アネキシン)は、壊死などの非アポトーシスプロセスにより死んだ死細胞と想定される。
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図17C】DBD内の位置241で突然変異したMut−p53を発現しているES2卵巣癌細胞で実施した代表的な実験を説明する図である。要するに、細胞を6cmディッシュで平板培養し、示したペプチドを示した時点に12ug/mlの濃度で直接に培養液に添加した。細胞を回収し、アネキシン−V染色キット(Roche、REF 11 988 549 001)を用いてアポトーシスアッセイ(
図17Aおよび17B)を実施した。非固定細胞を、アポトーシス細胞を検出するための抗アネキシンFITCコンジュゲート抗体と、死細胞を染色するためのPI(ヨウ化プロピジウム)の両方で、製造業者の使用説明書に従って染色した。次に、染色細胞をフローサイトメトリーにより分析した。合計10,000細胞を各試料についてカウントし、染色強度に従って4つの亜集団に分割した;PIとアネキシンの両方に陰性の細胞(−PI、−アネキシン)は生と名付けられ;PIに陰性でアネキシンに陽性の細胞(−PI、+アネキシン)はアポトーシスの初期段階初期段階を通過中であり;PIおよびアネキシンに陽性の細胞(+PI、+アネキシン)は、アポトーシスプロセスを経た死細胞であり;PIに陽性でアネキシンに陰性の細胞(+PI、−アネキシン)は、壊死などの非アポトーシスプロセスにより死んだ死細胞と想定される。
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図18A】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するMDA−MB−231細胞をCD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2mg)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。処置の開始から35日後、実験は終了した。
図18Aは、処置(ペプチド注射)の開始後の時間の関数としての、各腫瘍におけるルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図18Bは、処置の開始時点のマウスのライブイメージング画像(7〜10)を示す。
図18Cは、実験終了時の35日目の処置マウスのライブイメージング画像(7〜9)を示す。マウス10は、大きな腫瘍サイズのために28日後に屠殺しなければならなかった。
【
図18B】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するMDA−MB−231細胞をCD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2mg)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。処置の開始から35日後、実験は終了した。
図18Aは、処置(ペプチド注射)の開始後の時間の関数としての、各腫瘍におけるルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図18Bは、処置の開始時点のマウスのライブイメージング画像(7〜10)を示す。
図18Cは、実験終了時の35日目の処置マウスのライブイメージング画像(7〜9)を示す。マウス10は、大きな腫瘍サイズのために28日後に屠殺しなければならなかった。
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図18C】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するMDA−MB−231細胞をCD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2mg)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。処置の開始から35日後、実験は終了した。
図18Aは、処置(ペプチド注射)の開始後の時間の関数としての、各腫瘍におけるルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図18Bは、処置の開始時点のマウスのライブイメージング画像(7〜10)を示す。
図18Cは、実験終了時の35日目の処置マウスのライブイメージング画像(7〜9)を示す。マウス10は、大きな腫瘍サイズのために28日後に屠殺しなければならなかった。
【
図19A】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するMDA−MB−231細胞をCD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 159、155および174;各ペプチド2mg)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。処置の開始から35日後、実験は終了した。
図19Aは、処置(ペプチド注射)の開始後の時間の関数としての、各腫瘍におけるルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図19Bは、処置の開始時点のマウス1〜6のライブイメージング画像を示す。
図19Cは、実験終了時の35日目の処置マウス1〜6のライブイメージング画像(7〜9)を示す。腫瘍のうちの2つ(マウス1およびマウス4)は、35日後のルシフェラーゼシグナルのそれぞれ50%および65%の低下で測定されるように、処置に対する部分的な応答を示した。マウス2および5は完全寛解を示し、処置の21日後でさえIVISシステムのバックグラウンド閾値検出レベル(5×10
6光子)と同程度かまたはそれに近い生物発光読取値に達した。35日後の処置の停止の後、2番および5番のマウスを生かして、さらに21日間モニターした;腫瘍の再出現は視覚によってもライブイメージングによっても検出されなかった。
【
図19B】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するMDA−MB−231細胞をCD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 159、155および174;各ペプチド2mg)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。処置の開始から35日後、実験は終了した。
図19Aは、処置(ペプチド注射)の開始後の時間の関数としての、各腫瘍におけるルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図19Bは、処置の開始時点のマウス1〜6のライブイメージング画像を示す。
図19Cは、実験終了時の35日目の処置マウス1〜6のライブイメージング画像(7〜9)を示す。腫瘍のうちの2つ(マウス1およびマウス4)は、35日後のルシフェラーゼシグナルのそれぞれ50%および65%の低下で測定されるように、処置に対する部分的な応答を示した。マウス2および5は完全寛解を示し、処置の21日後でさえIVISシステムのバックグラウンド閾値検出レベル(5×10
6光子)と同程度かまたはそれに近い生物発光読取値に達した。35日後の処置の停止の後、2番および5番のマウスを生かして、さらに21日間モニターした;腫瘍の再出現は視覚によってもライブイメージングによっても検出されなかった。
【
図19C】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するMDA−MB−231細胞をCD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 159、155および174;各ペプチド2mg)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。処置の開始から35日後、実験は終了した。
図19Aは、処置(ペプチド注射)の開始後の時間の関数としての、各腫瘍におけるルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図19Bは、処置の開始時点のマウス1〜6のライブイメージング画像を示す。
図19Cは、実験終了時の35日目の処置マウス1〜6のライブイメージング画像(7〜9)を示す。腫瘍のうちの2つ(マウス1およびマウス4)は、35日後のルシフェラーゼシグナルのそれぞれ50%および65%の低下で測定されるように、処置に対する部分的な応答を示した。マウス2および5は完全寛解を示し、処置の21日後でさえIVISシステムのバックグラウンド閾値検出レベル(5×10
6光子)と同程度かまたはそれに近い生物発光読取値に達した。35日後の処置の停止の後、2番および5番のマウスを生かして、さらに21日間モニターした;腫瘍の再出現は視覚によってもライブイメージングによっても検出されなかった。
【
図20A】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するMDA−MB−231細胞をCD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2ug)の混合物か、または変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 159、155および174;各ペプチド2ug)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。
図20Aおよび20Bは、
図18Aは、処置(ペプチド注射)の開始前(18日まで)および開始後の時間の関数としての、腫瘍における平均ルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図20Cおよび20Dは、処置の開始時(18日、左側)および処置に入って12日(30日、右側)のマウスのライブイメージング画像を示す。40%のマウスが完全寛解を示し、IVISシステム(5×10
6光子)のバックグラウンド閾値検出レベルと同程度かまたはそれに近い生物発光読取値に達した。
【
図20B】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するMDA−MB−231細胞をCD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2ug)の混合物か、または変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 159、155および174;各ペプチド2ug)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。
図20Aおよび20Bは、
図18Aは、処置(ペプチド注射)の開始前(18日まで)および開始後の時間の関数としての、腫瘍における平均ルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図20Cおよび20Dは、処置の開始時(18日、左側)および処置に入って12日(30日、右側)のマウスのライブイメージング画像を示す。40%のマウスが完全寛解を示し、IVISシステム(5×10
6光子)のバックグラウンド閾値検出レベルと同程度かまたはそれに近い生物発光読取値に達した。
【
図20C】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するMDA−MB−231細胞をCD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2ug)の混合物か、または変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 159、155および174;各ペプチド2ug)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。
図20Aおよび20Bは、
図18Aは、処置(ペプチド注射)の開始前(18日まで)および開始後の時間の関数としての、腫瘍における平均ルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図20Cおよび20Dは、処置の開始時(18日、左側)および処置に入って12日(30日、右側)のマウスのライブイメージング画像を示す。40%のマウスが完全寛解を示し、IVISシステム(5×10
6光子)のバックグラウンド閾値検出レベルと同程度かまたはそれに近い生物発光読取値に達した。
【
図20D】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するMDA−MB−231細胞をCD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2ug)の混合物か、または変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 159、155および174;各ペプチド2ug)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。
図20Aおよび20Bは、
図18Aは、処置(ペプチド注射)の開始前(18日まで)および開始後の時間の関数としての、腫瘍における平均ルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図20Cおよび20Dは、処置の開始時(18日、左側)および処置に入って12日(30日、右側)のマウスのライブイメージング画像を示す。40%のマウスが完全寛解を示し、IVISシステム(5×10
6光子)のバックグラウンド閾値検出レベルと同程度かまたはそれに近い生物発光読取値に達した。
【
図21A】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するSW−480結腸癌細胞を、CD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2ug)の混合物か、または変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 250、308および325;各ペプチド2ug)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。
図21A、21Bおよび21Cは、処置(ペプチド注射)の開始前(0日まで)および開始後の時間の関数としての、腫瘍における平均ルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図21Dおよび21Eは、それぞれ腫瘍体積および腫瘍重量のボックスプロットを示す。
図21Dおよび21Eからわかるように、ペプチド混合物かまたはpCAP−325単一ペプチドで処置されたマウスから抽出された腫瘍は、対照ペプチドで処置されたマウスから抽出した腫瘍と比較して、サイズおよび重量が著しく小さい(p値<0.05)。
【
図21B】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するSW−480結腸癌細胞を、CD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2ug)の混合物か、または変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 250、308および325;各ペプチド2ug)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。
図21A、21Bおよび21Cは、処置(ペプチド注射)の開始前(0日まで)および開始後の時間の関数としての、腫瘍における平均ルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図21Dおよび21Eは、それぞれ腫瘍体積および腫瘍重量のボックスプロットを示す。
図21Dおよび21Eからわかるように、ペプチド混合物かまたはpCAP−325単一ペプチドで処置されたマウスから抽出された腫瘍は、対照ペプチドで処置されたマウスから抽出した腫瘍と比較して、サイズおよび重量が著しく小さい(p値<0.05)。
【
図21C】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するSW−480結腸癌細胞を、CD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2ug)の混合物か、または変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 250、308および325;各ペプチド2ug)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。
図21A、21Bおよび21Cは、処置(ペプチド注射)の開始前(0日まで)および開始後の時間の関数としての、腫瘍における平均ルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図21Dおよび21Eは、それぞれ腫瘍体積および腫瘍重量のボックスプロットを示す。
図21Dおよび21Eからわかるように、ペプチド混合物かまたはpCAP−325単一ペプチドで処置されたマウスから抽出された腫瘍は、対照ペプチドで処置されたマウスから抽出した腫瘍と比較して、サイズおよび重量が著しく小さい(p値<0.05)。
【
図21D】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するSW−480結腸癌細胞を、CD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2ug)の混合物か、または変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 250、308および325;各ペプチド2ug)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。
図21A、21Bおよび21Cは、処置(ペプチド注射)の開始前(0日まで)および開始後の時間の関数としての、腫瘍における平均ルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図21Dおよび21Eは、それぞれ腫瘍体積および腫瘍重量のボックスプロットを示す。
図21Dおよび21Eからわかるように、ペプチド混合物かまたはpCAP−325単一ペプチドで処置されたマウスから抽出された腫瘍は、対照ペプチドで処置されたマウスから抽出した腫瘍と比較して、サイズおよび重量が著しく小さい(p値<0.05)。
【
図21E】マウス異種移植片モデルにおける示したペプチドのインビボでの影響を説明する図である。内在性の変異体p53を発現し、ルシフェラーゼを安定に発現するSW−480結腸癌細胞を、CD1ヌード/ヌードマウスの左臀部に注射した。腫瘍が目に見えるサイズに達したら、生物発光(癌細胞の数を示す)をIVIS200システムで測定した。次に、マウスを、インビトロで表現型を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12;各ペプチド2ug)の混合物か、または変異体p53−再活性化能力を示した3つの試験ペプチド(pCAP 250、308および325;各ペプチド2ug)の混合物で週3回の腫瘍内注射により処理した。
図21A、21Bおよび21Cは、処置(ペプチド注射)の開始前(0日まで)および開始後の時間の関数としての、腫瘍における平均ルシフェラーゼ読取値を示す対数スケールグラフを示す。
図21Dおよび21Eは、それぞれ腫瘍体積および腫瘍重量のボックスプロットを示す。
図21Dおよび21Eからわかるように、ペプチド混合物かまたはpCAP−325単一ペプチドで処置されたマウスから抽出された腫瘍は、対照ペプチドで処置されたマウスから抽出した腫瘍と比較して、サイズおよび重量が著しく小さい(p値<0.05)。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、理想的には変異体p53タンパク質の立体構造および/または活性を変化させて野生型の機能性p53タンパク質の立体構造および/または活性に似せることによって、p53立体構造変異体を効率的に再活性化することのできる非常に強力なペプチドおよび修飾ペプチド薬を提供する。従って本発明は、存在しているが立体構造的に不完全なp53タンパク質の活性化が有益でありうる、変異体p53に関連する状態を処置する際のペプチドおよびそれらの使用を提供する。
【0046】
本発明は、p53立体構造変異体を効率的に、この用途で特定された既に知られているペプチドよりも効率的に再活性化することのできる非常に強力なペプチドおよびペプチドに基づく薬剤の驚くべき同定に基づく。
【0047】
本発明は、変異体p53タンパク質の抗癌作用および/またはアポトーシス促進作用を少なくとも部分的に上昇させることのできる薬剤、および、立体構造的に異常なp53タンパク質に起因するかまたはそれに相互に関連する疾患または状態の処置におけるそれらの使用を提供する。どんな機構または理論にも縛られるものではないが、本発明により提供される薬剤との結合による変異体p53タンパク質の立体構造の変化がそれらを野生型p53タンパク質の3D立体構造に近くし、従って、野生型p53タンパク質の機能の少なくとも一部を変異体p53タンパク質に少なくとも部分的に戻すと推測される。
【0048】
より具体的には、本発明は、一態様において、配列番号321〜286のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなる組換えもしくは合成ペプチドを提供する。
【0049】
本発明は、もう一つの態様において、ペプチドが変異体p53タンパク質を少なくとも部分的に再活性化させる、配列番号321〜286のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む組換えもしくは合成ペプチドをさらに提供する。
【0050】
本発明は、さらにもう一つの態様において、ペプチドが、変異体p53タンパク質を少なくとも部分的に再活性化させる、配列番号314、268、282、340、376、298、377、378、253、20、379、302、275、380、273、381、280または382のいずれか1つに示されるアミノ酸配列のコンセンサスモチーフを含む組換えもしくは合成ペプチドをさらに提供する。
【0051】
ある特定の実施形態では、ペプチドは、配列番号321、配列番号314、配列番号313、配列番号310または配列番号307のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなる。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。ある特定の実施形態では、上記のペプチドは、配列番号321〜302のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなる。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。ある特定の実施形態では、上記のペプチドは、配列番号321〜312のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなる。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。ある特定の実施形態では、上記のペプチドは、配列番号321〜316のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなる。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0052】
ある特定の実施形態では、ペプチドは、配列番号321、配列番号314、配列番号313、配列番号310または配列番号307のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。ある特定の実施形態では、上記のペプチドは、配列番号321〜302のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、上記のペプチドは、配列番号321〜312のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。ある特定の実施形態では、上記のペプチドは、配列番号321〜316のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0053】
ある特定の実施形態では、ペプチドは、少なくとも1つの脂肪酸部分とコンジュゲートされる。ある特定の実施形態では、脂肪酸は、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸およびステアリン酸からなる群から選択される。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。ある特定の実施形態では、脂肪酸はミリストイル脂肪酸である。
【0054】
ある特定の実施形態では、ペプチドは変異体p53の立体構造タンパク質を野生型(WT)p53タンパク質の立体構造に少なくとも部分的に変化させる。
【0055】
野生型p53タンパク質だけを特異的に認識する抗体が当技術分野において公知である。かかる抗体は、野生型かまたは変異体の、ある特定のp53タンパク質が、野生型の機能性p53タンパク質の立体構造を保持しているかどうかを決定する際に非常に有用である。従って、ある特定の実施形態では、ペプチドは、変異体p53タンパク質がWT p53タンパク質に対して専ら作られたか、または、WT p53タンパク質立体構造を保持するp53タンパク質に対して作られたモノクローナル抗体に認識されるように、変異体p53タンパク質の立体構造を少なくとも部分的に変化させる。ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体は、Ab1620である。
【0056】
p53は両方の対立遺伝子から発現されるので、細胞内p53の総含有量は、いずれもが野生型(wt/wt)、wtと変異体p53型p53の混合(wt/mut)または変異体p53のみ(両方の対立遺伝子が突然変異している(mut/mut)か、または1つの対立遺伝子が欠失している(mut/−))であり得ることは当然理解される。癌において、状況は多くの場合、wt/mut、mut/mutまたはmut/−である。p53は四量体として働くので、変異体p53タンパク質は、癌の細胞内に存在しうる野生型p53タンパク質の活性を抑制することがある。そのため、本発明により提供されるペプチドは、野生型p53タンパク質のレベルの増加が良い結果を生まない癌の治療に特に有用である。
【0057】
ある特定の実施形態では、ペプチドは、変異体p53タンパク質の活性をWT p53タンパク質の活性の少なくとも1つに少なくとも部分的に回復させる。
【0058】
ある特定の実施形態では、活性は、変異体p53タンパク質を発現している細胞の生存率を低下させることである。ある特定の実施形態では、活性は、変異体p53タンパク質を発現している細胞のアポトーシスを促進することである。ある特定の実施形態では、活性は、変異体p53タンパク質を発現している細胞のアポトーシス促進性遺伝子を活性化させることである。ある特定の実施形態では、アポトーシス促進性の遺伝子は、CD95、Bax、DR4、DR5、PUMA、NOXA、Bid、53AIP1およびPERPからなる群から選択される。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0059】
ある特定の実施形態では、活性は、変異体p53タンパク質を発現している細胞のp53コンセンサスDNA結合エレメントとの結合である。ある特定の実施形態では、コンセンサスDNA結合エレメントは、配列番号339で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0060】
ある特定の実施形態では、結合の結果、内在性のp53標的遺伝子の少なくとも部分的な活性化がもたらされる。ある特定の実施形態では、内在性の標的遺伝子は、p21、MDM2およびPUMAからなる群から選択される。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0061】
ある特定の実施形態では、変異体p53タンパク質が、WT p53タンパク質とは異なる立体構造をもつ。ある特定の実施形態では、変異体p53タンパク質は、WT p53タンパク質と比較して少なくとも部分的に不活性である。
【0062】
ある特定の実施形態では、変異体p53タンパク質は、WT p53タンパク質に対して作られたモノクローナル抗体に認識されない。ある特定の実施形態では、変異体p53タンパク質は、ペプチドと結合すると、WT p53タンパク質に対して作られたモノクローナル抗体に認識される。ある特定の実施形態では、モノクローナル抗体はAb1620である。
【0063】
ある特定の実施形態では、変異体p53タンパク質は、R175H、V143A、R249S、R273H、R280K、P309S、P151S、P151H、C176S、C176F、H179L、Q192R、R213Q、Y220C、Y220D、R245S、R282W、D281G、S241F、C242R、R248Q、R248W、D281G、R273CおよびV274Fからなる群から選択される突然変異を含む。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0064】
ある特定の実施形態(emboduments)では、ペプチドは、配列番号314で示されるコンセンサスモチーフを含む。ある特定の実施形態では、ペプチドは、配列番号321、配列番号314、配列番号313、配列番号310または配列番号307のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。ある特定の実施形態では、ペプチドは、配列番号321、配列番号314、配列番号313、配列番号310または配列番号307のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなる。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。ある特定の実施形態では、ペプチドは、配列番号268、282、340、376、298、377、378、253、20、379、302、275、380、273、381、280または382のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。ある特定の実施形態では、ペプチドは、配列番号379、302、275、380、273、381、280または382のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。ある特定の実施形態では、ペプチドは、配列番号302、275、380、273、381、280または382のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0065】
本発明は、もう一つの態様において、上記のペプチドを発現する能力のある発現ベクターをさらに提供する。
【0066】
本発明は、もう一つの態様において、上記のペプチドを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0067】
本発明は、さらにもう一つの態様において、上記の発現ベクターを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0068】
一態様では、上記の医薬組成物は、変異体p53タンパク質に関連する疾患、障害または状態の治療に使用される。
【0069】
一部の実施形態では、疾患は癌である。一部の実施形態では、癌は、乳癌、結腸癌および肺癌からなる群から選択される。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。一部の実施形態では、癌細胞は変異体p53タンパク質を発現する。
【0070】
本発明は、もう一つの態様において、治療上有効な量の上記の医薬組成物を、治療を必要とする被験体に投与し、それにより前記疾患、障害または状態を治療する工程を含む、変異体p53タンパク質に関連する疾患、障害または状態を治療する方法をさらに提供する。
【0071】
本発明は、さらにもう一つの態様において、上記の医薬組成物を含むキットをさらに提供する。
【0072】
一態様では、上記のキットは、変異体p53タンパク質に関連する疾患、障害または状態の治療に使用される。
【0073】
定義
本発明の理解を促進するために、いくつかの用語および語句が下に定義される。本明細書の用語法または語法が、本明細書に提示される教示および手引きを考慮し当業者の知識と組み合わせて、当業者により解釈されるものであるように、これらの用語および語句は、説明を目的とするものであって制限を目的とするものでないことは当然理解される。
【0074】
用語「組換えまたは合成ペプチド」とは、本明細書において、当分野で公知の標準的な生物工学的方法、例えば細菌または固相ペプチド合成(SPPS)での発現などにより生成されたペプチドをさす。
【0075】
本明細書において同義的に使用される用語「変異体p53タンパク質を少なくとも部分的に再活性化する能力のある」または「変異体p53タンパク質を少なくとも部分的に再活性化する」とは、ペプチドと変異体p53タンパク質との結合によって、変異体p53タンパク質が野生型p53タンパク質の対応する活性に類似する活性を得るか増加させるペプチドをさす。
【0076】
用語「コンセンサスモチーフ」とは、本明細書において、本発明により提供される複数のペプチドに見出される少なくとも3つのアミノ酸からなるアミノ酸配列をさす。
【0077】
用語「脂肪酸部分」とは、本明細書において、対応する完全な脂肪酸起源分子に類似する化学的および薬理的特徴の特定のセットを示す脂肪酸の一部をさす。さらなるという用語は、脂肪酸(カルボン酸)のアシル成分を含む任意の分子種および/または分子断片をさす。
【0078】
本発明による透過性増強部分は、好ましくは、ペプチド直接結合によるかまたはリンカーを介してペプチド配列と共有結合によって連結されて、ペプチドコンジュゲートを形成する。透過性増強部分は、ペプチド部分の任意の位置に、直接にまたはスペーサーによって、好ましくはペプチドのアミノ末端に連結されてよい。ある特定の実施形態によれば、透過性増強部分は脂肪酸である。
【0079】
化合物の細胞への透過性を積極的にまたは消極的に促進するか、あるいは増強する、当技術分野で公知のいずれの部分も、本発明によるペプチドコアとのコンジュゲーションに使用することができる。限定されない例としては、脂肪酸、ステロイドおよび嵩の高い芳香族もしくは脂肪族化合物などの疎水性部分;細胞膜受容体または担体、例えばステロイド、ビタミンおよび糖など、天然および非天然アミノ酸ならびに輸送体ペプチド、を有していてよい部分が挙げられる。一部の実施形態によれば、疎水性部分は脂質部分またはアミノ酸部分である。
【0080】
用語「透過性」とは、本明細書において、薬剤または物質が、障壁、膜、または表皮層を通じて浸透、普及、または拡散する能力をさす。「細胞透過性」または「細胞浸透」部分とは、膜を通じて分子の浸透を促進または増強することのできる当技術分野で公知のいずれの分子もさす。限定されない例としては、脂質、脂肪酸、ステロイドおよび嵩の高い芳香族もしくは脂肪族化合物などの疎水性部分;細胞膜受容体または担体、例えばステロイド、ビタミンおよび糖など、天然および非天然アミノ酸、輸送体ペプチド、ナノ粒子ならびにリポソーム、を有していてよい部分が挙げられる。
【0081】
本発明による疎水性部分は好ましくは脂質部分またはアミノ酸部分を含みうる。具体的な実施形態によれば、疎水性部分は、リン脂質、ステロイド、スフィンゴシン、セラミド、オクチル−グリシン、2−シクロヘキシルアラニン、ベンゾリルフェニルアラニン、プロピオノイル(C
3);ブタノイル(C
4);ペンタノイル(C
5);カプロイル(C
6);ヘプタノイル(C
7);カプリロイル(C
8);ノナノイル(C
9);カプリル(C
10);ウンデカノイル(C
11);ラウロイル(C
12);トリデカノイル(C
13);ミリストイル(C
14);ペンタデカノイル(C
15);パルミトイル(C
16);フタノイル((CH
3)
4);ヘプタデカノイル(C
17);ステアロイル(C
18);ノナデカノイル(C
19);アラキドイル(C
20);ヘンエイコサノイル(heniecosanoyl)(C
21);ベヘノイル(C
22);トルシサノイル(trucisanoyl)(C
23);およびリグノセロイル(C
24);からなる群から選択され、前記疎水性部分は、前記キメラポリペプチドとアミド結合、スルフヒドリル、アミン、アルコール、フェノール基、または炭素−炭素結合によって接着されている。
【0082】
本発明に従って使用されてよい脂質部分のその他の例:リポフェクタミン、Transfectace、Transfectam、Cytofectin、DMRIE、DLRIE、GAP−DLRIE、DOTAP、DOPE、DMEAP、DODMP、DOPC、DDAB、DOSPA、EDLPC、EDMPC、DPH、TMADPH、CTAB、リシル−PE、DC−Cho、−アラニルコレステロール;DCGS、DPPES、DCPE、DMAP、DMPE、DOGS、DOHME、DPEPC、Pluronic、Tween、BRIJ、プラスマロゲン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、グリセロール−3−エチルホスファチジルコリン、ジメチルアンモニウムプロパン、トリメチルアンモニウムプロパン、ジエチルアンモニウムプロパン、トリエチルアンモニウムプロパン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、スフィンゴ脂質、スフィンゴミエリン、リゾ脂質、糖脂質、スルファチド、グリコスフィンゴ脂質、コレステロール、コレステロールエステル、コレステロール塩、油、N−スクシニルジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロール、1,3−ジパルミトイル−2−スクシニルグリセロール、1,2−ジパルミトイル−sn−3−スクシニルグリセロール、1−ヘキサデシル−2−パルミトイルグリセロホスファチジルエタノールアミン、パルミトイルホモシステイン、Ν,Ν’−ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ビス((−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチル−アミノカルボニルメチレン)エチレンジアミンテトラヨージド;N,N”−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’,N”−トリス((−N,N,N−トリメチルアンモニウム−エチルアミノカルボニルメチレンジエチレントリアミンヘキサヨージド;Ν,Ν’−ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N”−ビス((−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)シクロヘキシレン−1,4−ジアミンテトラヨージド;1,7,7−テトラ−((−N,N,N,N−テトラメチルアンモニウムエチルアミノ−カルボニルメチレン)−3−ヘキサデシルアミノカルボニル−メチレン−1,3,7−トリアザヘプタン(triaazaheptane)ヘプタヨージド;N,N,N’,N’−テトラ((−N,N,N−トリメチルアンモニウム−エチルアミノカルボニルメチレン)−N’−(1,2−ジオレオイルグリセロ−3−ホスホエタノールアミノカルボニルメチレン)ジエチレントリアミンテトラヨージド;ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸、リゾ脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴ脂質、糖脂質、グルコ脂質、スルファチド、グリコスフィンゴ脂質、ホスファチジン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、オレイン酸、ポリマーを有する脂質、スルホン化糖を有する脂質、コレステロール、トコフェロールヘミスクシネート、エーテル結合脂肪酸をもつ脂質、エステル結合脂肪酸をもつ脂質、重合脂質、リン酸ジアセチル、ステアリルアミン、カルジオリピン、6〜8炭素長の脂肪酸をもつリン脂質、不斉アシル鎖をもつリン脂質、6−(5−コレステン−3b−イルオキシ)−1−チオ−b−D−ガラクトピラノシド、ジガラクトシルジグリセリド、6−(5−コレステン−3b−イルオキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシ−1−チオ−b−D−ガラクトピラノシド、6−(5−コレステン−3b−イルオキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシル−1−チオ−a−D−マンノピラノシド、12−(((7’−ジエチルアミノ−クマリン−3−イル)カルボニル)メチルアミノ)−オクタデカン酸;N−[12−(((7’−ジエチルアミノクマリン−3−イル)カルボニル)メチル−アミノ)オクタデカノイル]−2−アミノパルミチン酸;コレステリル)4’−トリメチル−アンモニオ)ブタノエート;N−スクシニルジオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン;1,2−ジオレオイル−sn−グリセロール;1,2−ジパルミトイル−sn−3−スクシニル−グリセロール;1,3−ジパルミトイル−2−スクシニルグリセロール、1−ヘキサデシル−2−パルミトイルグリセロ−ホスホエタノールアミン、およびパルミトイルホモシステイン。
【0083】
用語「変異体p53タンパク質を発現している細胞」とは、本明細書において、少なくとも1つの対立遺伝子から変異体p53タンパク質を発現する細胞をさす。ある特定の実施形態では、用語「変異体p53タンパク質を発現している細胞」は、「癌細胞」と相互に交換可能である。
【0084】
用語「アポトーシス促進性の遺伝子」とは、直接に(例えばある特定のカスパーゼなど)または間接的に(例えば、シグナル伝達カスケードの一部として)アポトーシスに関与する1つの遺伝子、または多数の遺伝子をさす。
【0085】
用語「医薬組成物」とは、本明細書において、少なくとも1つの薬学的に活性な成分を含む任意の組成物をさす。
【0086】
用語「変異体p53タンパク質に関連する」とは、本明細書において、変異体p53タンパク質に起因するか、または細胞または器官における変異体p53タンパク質の存在に関連するいずれの疾患、障害または状態もさす。
【0087】
p53は両方の対立遺伝子から発現されるので、細胞内p53の総含有量は、いずれもが野生型(wt/wt)、wtと変異体p53の混合(wt/mut)または変異体p53のみ(両方の対立遺伝子が変異している(mut/mut)か、または1つの対立遺伝子が欠失している(mut/−))であり得ることは当然理解される。癌において、状況は多くの場合、wt/mut、mut/mutまたはmut/−である。p53は四量体として働くので、変異体p53タンパク質は、癌の細胞に実際に存在する野生型p53タンパク質の活性を抑制することがある。そのため、本発明により提供されるペプチドは、野生型p53タンパク質のレベルの増加が良い結果を生まない癌の治療に特に有用である。
【0088】
用語「治療上有効な量」とは、本明細書において、個体において疾患、障害または状態を弱める、減少させる、および/または抑制するのに十分な本発明によるペプチドを含有する組成物の量をさす。
【0089】
本明細書において用いられる、用語p53は、WT p53の立体構造、変異体p53の立体構造、またはWTと変異体のp53の間の中間の立体構造を有し得るαp53タンパク質に関する。
【0090】
本明細書において用いられる、用語「野生型p53」、「wt p53」および「WT p53」は、同義的に使用されてよく、野生型p53タンパク質の立体構造およびそのために野生型p53タンパク質の活性を有する野生型p53タンパク質に関する。一部の実施形態では、野生型p53は、特異的モノクローナル抗体によって同定され得る。
【0091】
本明細書において用いられる、用語「変異体p53」、「Mut−p53」、「変異型p53」、および「p53変異体」は、同義的に使用されてよく、標的細胞において効率的に機能することのできない変異型p53タンパク質に関する。一部の実施形態では、Mut−p53はその標的部位に結合できない。一部の実施形態では、Mut−p53は、DNA結合ドメイン(DBD)領域の変異である。一部の実施形態では、Mut−p53は不活性立体構造においてミスフォールドされている。一部の例となる実施形態では、Mut−p53は、温度感受性(ts)mut p53 R249S(R249Sp53)、ホットスポット全長変異型p53Mut−p53 R175H(R175H p53)、または任意のその他のMut−p53タンパク質である。一部の実施形態では、Mut−p53は、p53のミスフォールドされた立体構造(p53の突然変異により誘導された)を認識する能力のある特異的モノクローナル抗体によって同定される。一部の実施形態では、Mut−p53特異的モノクローナル抗体によって同定される。
【0092】
語句「変異体p53タンパク質を再活性化するペプチド」とは、本明細書において、変異体p53タンパク質とのその相互作用によって、変異体p53タンパク質がその活性の少なくとも1つを増加させるペプチドをさし、この際の活性は野生型p53タンパク質の活性である。例えば、本発明により提供されるペプチドとのその相互作用によって、変異体p53タンパク質は、野生型p53タンパク質が同様の状況で行うのに似た方法で、癌細胞のカスパーゼなどのアポトーシス促進性のタンパク質の発現を直接にまたは間接的に増加させることができる。
【0093】
本明細書において、用語「再活性化ペプチド」、「Mut−p53再活性化ペプチド」は、同義的に使用されてよく、活性をMut−p53に少なくとも部分的に戻す能力のあるペプチド剤に関する。一部の実施形態では、再活性化剤は、Mut−p53の立体構造に影響を及ぼして、天然のWT p53により類似しているかまたはそれと同一である立体構造をとることによって、Mut−p53を再活性化することができる。一部の実施形態では、再活性化剤はMut−p53と標的DNAのWT p53結合部位との結合を回復させるためにMut−p53を再活性化することができる。一部の実施形態では、再活性化剤は、Mut−p53の生化学的性質を回復させることができる。一部の実施形態では、再活性化剤は、癌細胞のp53−選択性抑制を示すようMut−p53タンパク質を誘導することができる。一部の実施形態では、再活性化剤は、WT p53タンパク質に類似するかまたは同一の構造的性質、生化学的性質、生理学的性質および/または機能的性質を有するようにMut−p53を再活性化することができる。一部の実施形態では、再活性化剤はペプチドである。一部の実施形態では、再活性化剤は、3〜25アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、再活性化剤は、5〜20アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、再活性化剤は、6〜15アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、再活性化剤は、7または12アミノ酸長を有するペプチドである。
【0094】
タンパク質に関する用語「立体構造」は、空間におけるタンパク質の構造的配置(フォールディング)に関する。
【0095】
用語「ディープシークエンシング」および「次世代シークエンシング」は、同義的に使用されてよく、複数の核酸配列の迅速な並行シークエンシングを可能にする増強されたシークエンシング法に関する。
【0096】
「ファージディスプレイ」法には、各々が特異的な外因性分子、例えばペプチドなどを発現および提示している、ファージのライブラリーのスクリーニングが含まれる。特異的ペプチドを発現および提示するファージの濃縮は、固定化された標的についてのファージライブラリーの親和性選択によって実現される。この「パニング」プロセスにおいて、結合しているファージ(すなわち、固定化された標的と結合することのできるペプチドを発現および提示するファージ)は捕獲されるが、非結合ファージ(すなわち、固定化された標的と結合することのできるペプチドを発現および提示しないファージ)は洗い落とされる。この方法の次の工程には、大腸菌細胞の同定されたファージによる再感染による、結合したファージの溶出および増幅が含まれ得る。一部の実施形態では、ファージライブラリーはオリジナルライブラリーであってもよいし、市販のファージディスプレイライブラリーであってもよい。
【0097】
用語「ポリペプチド」および「ペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーをさすために本明細書において同義的に使用される。これらの用語は、1または複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工の化学類似体であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーに当てはまる。
【0098】
用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」または「オリゴ」は、DNA(デオキシリボ核酸)ヌクレオチド、RNA(リボ核酸)ヌクレオチドまたは両方の種類の組合せからなる一本鎖または二本鎖ポリマーに関し、それには天然のヌクレオチド、化学修飾ヌクレオチドおよび合成ヌクレオチドが含まれうる。
【0099】
「アミノ酸」は、20の天然に存在するアミノ酸、化学的に修飾されたアミノ酸(下記参照)、または合成アミノ酸のいずれか1つに関する。
【0100】
「保存的置換」とは、1つのクラスのアミノ酸の、同クラスのアミノ酸での置換をさす、ここで、クラスとは、共通の物理化学的なアミノ酸側鎖の性質、および、標準Dayhoff交換頻度マトリックスまたはBLOSUMマトリックスにより決定されるような天然に見出される相同タンパクにおける高い置換頻度によって規定される。アミノ酸側鎖の6つの一般的なクラスが分類されている。それには、クラスI(Cys);クラスII(Ser、Thr、Pro、Ala、Gly);クラスIII(Asn、Asp、Gin、Glu);クラスIV(His、Arg、Lys);クラスV(He、Leu、Val、Met);およびクラスVI(Phe、Tyr、Trp)が挙げられる。例えば、Aspの、Asn、GinまたはGluなどの別のクラスIII残基での置換は、保存的置換である。
【0101】
「非保存的置換」とは、1つのクラスのアミノ酸の、別のクラス由来のアミノ酸での置換、例えば、クラスII残基であるAlaの、Asp、Asn、Glu、またはGinなどのクラスIII残基での置換をさす。
【0102】
「化学的に修飾された」とは、天然のプロセスによるか、または当技術分野で周知の化学修飾技法により修飾されたアミノ酸をさす。多数の公知の修飾の中で、典型的であるが、排他的でない例としては、アセチル化、アシル化、アミド化、ADP−リボシル化、グリコシル化、グリコサミノグリカン化、GPIアンカー形成、脂質または脂質誘導体の共有結合、メチル化、ミリスチル化(miristlyation)、ペグ化、プレニル化、リン酸化、ユビキチン化(ubiqutination)、または任意の同様のプロセスが挙げられる。
【0103】
本明細書において、用語「疾患を治療すること」または「状態を治療すること」は、疾患に関連する症状を寛解させるために、重症度を和らげるかまたは疾患を治癒するために、または被験体において疾患が発生することを防ぐために効果的な少なくとも1つの薬剤を含む組成物を投与することに関する。投与にはどんな投与経路も含まれうる。一部の実施形態では、疾患は、細胞、組織、器官、身体などに変異型p53が存在することに起因するかまたはそれに関する疾患である。一部の実施形態では、疾患は癌である。一部の実施形態では、癌は、乳癌、結腸癌および肺癌からなる群から選択される。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。一部の実施形態では、被験体は、哺乳動物、例えばヒトなどである。一部の実施形態では、被験体は哺乳動物である。一部の実施形態では、被験体は非哺乳動物である。
【0104】
用語「発現」とは、本明細書において、標的細胞における望ましい最終産物分子の産生をさす。最終産物分子としては、例えばRNA分子;ペプチドまたはタンパク質;および同類のもの;あるいはそれらの組合せを挙げることができる。
【0105】
用語「構築物」とは、本明細書において、1または複数の核酸配列でありうる、人工的に構築されたかまたは単離された核酸分子をさし、核酸配列は、コード配列(つまり、最終産物をコードする配列)、調節配列、非コード配列、またはその任意の組合せを含みうる。構築物という用語は、例えば、それに制限されるとみなされてはならないベクターを包含する。
【0106】
「発現ベクター」とは、外来細胞において異種核酸断片(例えば、DNAなど)を組み込み、発現する能力をもつベクターをさす。言い換えれば、発現ベクターは、転写されることの可能な核酸配列/断片(例えばDNA、mRNA、tRNA、rRNAなど)、を含む。多くの原核生物および真核生物発現ベクターが公知であり、かつ/または市販されている。適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内である。
【0107】
用語「上流」および「下流」とは、本明細書において、ヌクレオチド配列、例えば、DNA配列またはRNA配列中の相対的な位置をさす。周知のように、ヌクレオチド配列は5’末端および3’末端を有し、ヌクレオチド骨格の糖(デオキシリボースまたはリボース)環状の炭素に対してそのように呼ばれる。そのため、ヌクレオチド配列の位置に対して、下流という用語は配列の3’末端に向かう領域に関する。上流という用語は鎖の5’末端に向かう領域に関する。
【0108】
本明細書において用いられる、用語「導入すること」、「トランスフェクション」または「トランスフェクトすること」および「感染」または「感染させること」は、同義的に使用されてよく、分子、例えば、核酸、ポリヌクレオチド分子、ベクター、および同類のものなどを1または複数の標的細胞の中に、より具体的には1または複数の標的細胞の膜で囲まれた空間の内部に移すことをさす。分子は、例えば、その内容が参照により本明細書に援用される、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring 含む Laboratory Press,New York (2001)により教示されるような、当業者に公知のいずれかの手段によって、1または複数の標的細胞の中に「導入される」ことができる。分子を細胞に「導入する」手段としては、例えば、限定されるものではないが:熱ショック、リン酸カルシウムトランスフェクション、PEIトランスフェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション、1または複数のトランスフェクション剤、ウイルス媒介導入、および同類のもの、またはそれらの組合せが挙げられる。細胞のトランスフェクションは、任意の起源の任意の種類の細胞で実施されてよい。
【0109】
本明細書において、用語「外因性遺伝子」は、外部から細胞の中に導入される遺伝子(またはその部分)に関する。一部の実施形態では、外因性遺伝子は、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、および同類のもの)の形態で挿入される。一部の実施形態では、外因性遺伝子は、細胞で発現させることが可能である。一部の実施形態では、外因性遺伝子は細胞内で過剰発現する。
【0110】
本明細書において、用語「約」は、本明細書で述べられる数値に関して、述べられた値+/−10%として理解されるべきである。
【0111】
一部の実施形態では、再活性化ペプチドは、Mut−p53をWT p53タンパク質に類似するかまたは同一の構造的性質、生化学的性質、生理学的性質および/または機能的性質を有するように再活性化することができる。
【0112】
一部の実施形態によれば、Mut−p53再活性化ペプチドが提供され、ペプチドは約3〜25アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、Mut−p53再活性化ペプチドは、約4〜15アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、Mut−p53再活性化ペプチドは、約7〜12アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、Mut−p53再活性化ペプチドは、7アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、Mut−p53再活性化ペプチドは、12アミノ酸の長さである。各々の可能性は、本発明の別々の実施形態を表す。
【0113】
一部の実施形態では、本明細書下文の表6、7または8中のペプチド配列のいずれか1つによって表されるアミノ酸配列を有するMut−p53再活性化ペプチドが提供される。
【0114】
一部の実施形態によれば、Mut−p53再活性化ペプチドは、Mut−p53がそのプロモーターにWT p53結合エレメントを有するレポーター遺伝子(例えばルシフェラーゼなど)をトランス活性化することができるように、Mut−p53に影響を及ぼすことができる。一部の実施形態では、レポーター遺伝子のトランス活性化は、インビトロで(例えば、試験管またはウェルで)実施されてもよいし、レポーター遺伝子構築物を含む細胞においてインビボで実施されてもよい。
【0115】
一部の実施形態によれば、Mut−p53再活性化ペプチドは、変異型p53のDNA結合ドメイン(DBD)と結合することができる。一部の実施形態では、変異型p53は、そのDNA結合ドメイン(DBD)に突然変異を含む。
【0116】
一部の実施形態では、癌は、副腎皮質癌、肛門癌、膀胱癌、脳腫瘍、脳幹膠腫、脳腫瘍、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、松果体腫瘍、視床下部神経膠腫、乳癌、カルチノイド腫瘍、癌腫、子宮頸癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、肝外胆管癌、ユーイング腫瘍(pnet)、頭蓋外胚細胞性腫瘍、眼癌、眼内黒色腫、胆嚢癌、胃癌、胚細胞性腫瘍、性腺外、妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部癌、下咽頭癌、膵島細胞癌、咽頭癌、白血病、急性リンパ性白血病、口腔癌、肝癌、肺癌、小細胞型リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、中枢神経系(原発性)リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、悪性中皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌、転移性扁平上皮癌、多発性骨髄腫、形質細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症状群、骨髄増殖性疾患、上咽頭癌、神経芽腫、中咽頭癌、骨肉腫、卵巣上皮癌、卵巣胚細胞性腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、外分泌、膵臓癌、膵島細胞癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、褐色細胞腫癌、下垂体癌、形質細胞腫瘍、前立腺癌、横紋筋肉腫、直腸癌、腎細胞癌、唾液腺癌、セザリー症候群、皮膚癌、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚癌、カポジ肉腫、皮膚癌、黒色腫、小腸癌、軟部組織肉腫、軟部組織肉腫、精巣癌、胸腺腫、悪性甲状腺癌、尿道癌、子宮癌、肉腫、小児期の珍しい癌、膣癌、外陰癌、またはウィルムス腫瘍である。
【0117】
一部の実施形態では、癌は、血液癌などの非固形腫瘍である。もう一つの実施形態では、非固形腫瘍または血液癌は、白血病またはリンパ腫である。もう一つの実施形態では、非固形腫瘍または血液癌は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)である。もう一つの実施形態では、非固形腫瘍または血液癌は、急性骨髄性白血病(AML)である。もう一つの実施形態では、非固形腫瘍または血液癌は、慢性リンパ性白血病(CLL)である。もう一つの実施形態では、非固形腫瘍または血液癌は、小リンパ球性リンパ腫(SLL)である。もう一つの実施形態では、非固形腫瘍または血液癌は、慢性骨髄性白血病(CML)である。もう一つの実施形態では、非固形腫瘍または血液癌は、急性単球白血病(AMOL)である。もう一つの実施形態では、非固形腫瘍または血液癌は、ホジキンリンパ腫(4つのサブタイプのいずれか)である。もう一つの実施形態では、非固形腫瘍または血液癌は、非ホジキンリンパ腫(サブタイプのいずれか)である。もう一つの実施形態では、非固形腫瘍または血液癌は、骨髄性白血病である。
【0118】
本発明の方法で用いるために、再活性化ペプチドは、特にタンパク質活性剤に関して、当技術分野で公知のような医薬組成物を形成するために、1または複数の薬剤的に許容される担体、安定剤または賦形剤(溶媒)を用いて従来法で処方されてよい。1または複数の担体は、組成物のその他の成分と相溶性であるという意味で「許容される」ものであり、そのレシピエントに有害ではない。適した担体としては、一般的に、生理食塩水またはエタノールポリオール、例えばグリセロールまたはプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0119】
再活性化ペプチドは、中性または塩形態で処方されてよい。薬剤的に許容される塩には、塩酸またはリン酸などの無機酸で、あるいは酢酸、シュウ酸、酒石酸およびマレイン酸などの有機酸で形成される酸付加塩(遊離アミノ基で形成)が含まれる。遊離カルボキシル基で形成された塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジンおよびプロカインなどの有機塩基から誘導することもできる。
【0120】
組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、または腹腔内投与用に適切に処方され、好ましくはレシピエントの血液と等張の、再活性化ペプチドの滅菌水溶液を便宜に含む。かかる製剤は、塩化ナトリウム、グリシン、および同類のものなどの生理学的に適合性の物質を含有し、水溶液を生成するための生理条件に適合する緩衝pHをもつ水に固体有効成分を溶解し、前記溶液を滅菌することにより一般的に調製される。これらは単位用量または多用量容器、例えば、密封アンプルまたはバイアルに調製されてよい。
【0121】
組成物は、安定剤、例えばポリエチレングリコール、タンパク質、糖類(例えばトレハロース)、アミノ酸、無機酸およびその混合物などを組み込むことができる。安定剤は、水溶液中で適切な濃度およびpHで使用される。水溶液のpHは、5.0〜9.0の範囲内、好ましくは6〜8の範囲内にあるように調節される。再活性化ペプチドを処方する際には、抗吸着剤を使用してよい。その他の適した賦形剤には、一般的に、アスコルビン酸など抗酸化薬が含まれてよい。
【0122】
組成物は、タンパク質を複合体化または吸収するポリマーの使用によって実現されうる制御放出製剤として処方することができる。制御放出製剤に適切なポリマーとしては、例えばポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレンビニルアセテート、およびメチルセルロースが挙げられる。制御放出のための別の可能性のある方法は、再活性化ペプチドを、ポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)またはエチレンビニルアセテートなどのポリマー材料の粒子の中に組み込むことである。あるいは、これらの薬剤をポリマー粒子に組み込む代わりに、例えば、コアセルベーション法によるかまたは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルの中に、それぞれに、あるいは、コロイド薬物送達システム、例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセルの中に、あるいはマクロエマルジョンの中に、これらの材料を捕捉することが可能である。
【0123】
一部の実施形態では、本発明の再活性化ペプチドは、経口(peroral or oral)組成物に処方されてよく、一部の実施形態では、液体溶液、乳濁液、懸濁液、および同類のものを含む。一部の実施形態では、かかる組成物の調製に適した薬剤的に許容される担体は、当技術分野で周知である。一部の実施形態では、液体経口組成物は、約0.001%〜約0.9%、または別の実施形態では、約0.01%〜約10%の再活性化ペプチドを含む。
【0124】
一部の実施形態では、本発明の方法で用いる組成物は、溶液または乳濁液を含み、これは一部の実施形態では、安全かつ効果的な量の再活性化ペプチドおよび所望により局所鼻腔内投与用のその他の化合物を含む、水溶液または乳濁液である。
【0125】
一部の実施形態では、本発明の注射溶液は、水溶液中に処方される。一実施形態では、本発明の注射溶液は、ハンクス溶液、リンゲル液、または生理学的塩緩衝液などの生理学的に適合性の緩衝液中に処方される。一部の実施形態では、経粘膜投与用に、透過する障壁に適切な浸透剤が製剤に使用される。かかる浸透剤は、当技術分野で一般に公知である。
【0126】
一実施形態では、本明細書に記載される製剤は、非経口投与(例えば、ボーラス注射または持続注入による)用に処方される。一部の実施形態では、注射用製剤は単位剤形で、例えばアンプルで、または所望により防腐剤を添加した多用量容器に提示される。一部の実施形態では、組成物は、油性または水性溶媒中の懸濁液、溶液または乳濁液であり、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの調合剤(formulatory agents)を含有する。
【0127】
本発明の再活性化ペプチドは、経口、局所、経皮または非経口投与から選択される任意の適した投与経路により投与されてよい。一部の実施形態によれば、投与経路は、経皮、膣内、直腸、吸入、鼻腔内、眼内、耳介および口内から選択される局所投与によるものである。一部の実施形態によれば、投与経路は、非経口注射によるものである。様々な実施形態では、投与する工程は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、動脈内、大脳内、脳室内、骨内(intraosseus)およびくも膜下腔内からなる群から選択される非経口経路によって実行される。例えば、再活性化ペプチドは、例えば、非経口経路、例えば、腹腔内(i.p.)、静脈(i.v.)、皮下、または筋肉内経路などによって全身に投与されてよい。本発明の再活性化ペプチドおよび/または随意の追加の薬剤は、例えば、鼻腔内投与によって全身に投与されてよい。本発明の再活性化ペプチドおよび/または随意の追加の薬剤は、例えば、経口投与によって、経口バイオアベイラビリティをタンパク質にもたらすことのできる特定の組成物または製剤を使用することにより、全身に投与されてよい。本発明の再活性化ペプチドおよび/または随意の追加の薬剤は局所投与されてよい。
【0128】
再活性化ペプチドは、約0.1〜約20mg/被験体体量kg、一般に約0.5〜約10mg/kg、多くの場合約1〜約5mg/kgの範囲で投与されてよい。一部の例では、多量の初回投与量とそれに続いて周期的な(例えば、毎週)維持量を処置期間にわたって投与することが有利でありうる。再活性化ペプチドは、徐放性送達系、ポンプ、および持続注入のためのその他の公知の送達系によっても送達することができる。投与計画は、特定の再活性化ペプチドのその薬物動態学に基づく望ましい循環レベルを得るために様々であってよい。従って、治療薬の望ましい循環レベルが維持されるように用量は計算される。
【0129】
一般的に、有効量は、再活性化ペプチドの活性および被験体の状態、ならびに処置する被験体の体重または表面積により決定される。用量のサイズおよび投与計画は、特定の被験体における再活性化ペプチドの投与に付随する有害な副作用の存在、性質、および程度によっても決定される。
【0130】
一部の実施形態では、αp53関連状態を治療または予防するためのキットが提供される。一部の実施形態では、キットは、適した緩衝液中のMut−p53再活性化ペプチドを含む容器(バイアルなど)および再活性化ペプチドの投与のための取扱説明書を含む。
【0131】
以下の実施例は、本発明のある特定の実施形態をより完全に説明するために提示される。しかし、それらは本発明の広い範囲を制限すると決して解釈されるべきではない。当業者は本発明の範囲から逸脱することなく本明細書に開示される原則の多くの変形形態及び修正形態を容易に考案することができる。
【実施例】
【0132】
材料および方法
sf9細胞からの組換え全長(FL)タンパク質の精製:変異体p53 R249S、変異型p53 R175HおよびWT p53:
対数期の2×10
7のsf9細胞を、25mlの培養液を含有する9の175cm
2フラスコで成長させ、27℃で一晩インキュベートした。組換えp53を含有するバキュロウイルスを各フラスコの中に添加し、72時間インキュベートした。細胞をフラスコから擦り取り、4℃で遠心し(3200gで5分間)、培養液を除去し、細胞ペレットを氷冷等張緩衝液(10mM Na
2HPO
4、pH7.2、130mM NaCl、1mM DTPA−ジエチレントリアミン五酢酸)で2回洗浄した。細胞を溶解させるために、50mlの緩衝液A(20mM Tris−HCl、pH8.0、12%スクロース、2mM EGTA、2mM PMSF、5mM DTT)と0.2%Triton X−100に穏やかに反転させることによって細胞を再懸濁した。5600Gで8分間遠心した核および上清を除去した。20mlの緩衝液B(20mM Tris−HCl、pH8.0、12%スクロース、2mM EGTA、2mM PMSF、10mM DTT +プロテアーゼ阻害剤)と0.5M NaClを添加することによって核を溶解させ、激しくボルテックスし、氷上で20分間インキュベートした。核ライセートを超遠心管に移し、4℃にて60分間100,000gで遠心した。上清を取り出し、緩衝液Bで希釈してNaCl 0.04Mの終濃度にした後、4℃にて5分間20,000gで遠心した。核ライセートを、50mlの緩衝液Aで予洗した、5ml Hitrap Q FF(fast flow)(Amersham Pharmacia)イオン交換カラムに装入した。次に、タンパク質を溶出するためにより高い塩濃度を含有する緩衝液でカラムを洗浄した。例えば、変異体p53 R249Sの場合には、タンパク質は約150mM NaClでイオン交換カラムから溶出した。このタンパク質を、20mM クエン酸ナトリウムpH6.1、150mM NaCl、10μΜ ZnCl
2、および10mM DTTで予め平衡化した、分取Superdex 75 高い読取データ数(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて、ゲル濾過クロマトグラフィーによってさらに精製した。精製タンパク質を含有する分画を一緒にプールし、6〜7mg/mlに濃縮し、一定分量を取り、−80℃で貯蔵した。各精製工程後に得た画分をドットブロットで変異型p53の存在について分析し、その後、クーマシーブルー染色によるSDS−PAGEで画分の純度を調べた。
【0133】
サンドイッチELISA
96ウェルプレートを、3つの異なる抗体を用いてコーティングした(各ウェルに1種類の抗体(Ab)):PAb421は、p53の両方の立体構造を認識し、C末端エピトープに結合する;PAb240はp53の変異体立体構造を識別し、タンパク質が部分的に変性した場合に(例えば、DBDが変異している場合)にAbに近づくことのできるコアドメイン内のエピトープ(アミノ酸212〜217)に結合する(Stephen,C.W.and D.P.Lane,Mutant conformation of p53.Precise epitope mapping using a filamentous phage epitope library.J.Mol.Biol.,1992.225(3):p.577−83);そして、p53のWT立体構造を認識するPAb1620は、フォールディングがWT立体構造にある場合に形成されるコアドメイン内のエピトープ(aa156、206〜210)に結合する(Wang,P.L.,F.Sait,and G.Winter,The‘wild type’conformation of p53:epitope mapping using hybrid proteins.Oncogene,2001.20(18):p.2318−24)。
【0134】
ウェルを、100μlのAb(5μg/ml)とともに一晩(ON)室温(RT)でインキュベートした。液体を廃棄し、ウェルを各洗浄につきリン酸緩衝食塩水(PBS)、200μlで3回洗浄した。次に、室温(RT)で1.5時間、各ウェルでPBSに希釈した5%ウシ血清アルブミン(BSA)200μlによるブロッキングを実施した。ブロッキング緩衝液を廃棄し、それに続いて上記のように、PBS中で3回洗浄した。変異体およびWTのp53タンパク質(100μl、10μg/ml)の試料を、対照ペプチドpCAP−710(LPNPPER、配列番号340)およびpCAP−1220(FRSFAIPLVVPF、配列番号368)(5μg/ml、Sigma Aldrich、または試験ペプチド1〜153(5μg/ml))とともに、1.5時間一緒にインキュベートし、その後ウェルに添加した。試料を回転させ、RTで1時間インキュベートした。試料を廃棄し、次に上記のように、トリスリン酸緩衝生理食塩水(Trisphosphate buffered saline)(TPBS)を用いて4回洗浄した。次に、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートストレプトアビジンp53抗体(10μg/ml HAF1355(R&D))をウェルに添加し、RTで1時間インキュベートした。プレートをTPBS中で3回洗浄した後、TMB基質溶液(各ウェル50μl、Thermo、(カタログ番号ES001−1L−K))を添加し、37℃で20分間インキュベートした。反応を2M硫酸(50μl)で停止させた。吸光度は、分光光度計を用いて450nmで測定した。タンパク質濃度は、各試料の吸光度(absorbencies)でAb421試料の吸光度を割ることにより求めた。
【0135】
DNA結合アッセイ
これらの実験のために、市販の「R&D」のp53/DNA結合キット(Cat−DYC1355−5 Lot−1273366FA)を、製造業者の手引きに従って使用した。手短に言えば、96ウェルプレートを抗p53抗体で一晩コーティングする。p53を含有する細胞抽出物を、試験ペプチドの存在下または不在(NT)下、ビオチンで標識した、αp53コンセンサス結合部位(キットに提供されている)を含有するオリゴヌクレオチドと反応させる。WT p53は、このDNA結合部位ならびにプレートの試験ウェルをコーティングする抗体と結合することが予期される。過剰なp53およびオリゴを洗い流し、ストレプトアビジン−HRPを用いて、p53によって結合したDNAに比例する、ウェル中のオリゴの量を定量化した。TMBアッセイを実施してHRP(ES001−1L−K)レベル(450nm)を求めた。
【0136】
クリスタルバイオレットアッセイ
細胞を、0.1ml中2500〜4000細胞/ウェルで96ウェルプレート中で培養し、プレートに接着させるために37℃で一晩インキュベートした。異なるペプチド(0.5μg/ml)の系列希釈を0.1mlのアリコートに添加し、プレートを37℃でさらに48時間インキュベートした。その後、培養液を除去し、細胞を各ウェル50μlのメタノール/水(1:4、v/v)中のクリスタルバイオレット(0.5%)で10分間染色することによって細胞溶解を求め、それに続いてPBSで3回洗浄した。その後、10%酢酸(50μl)を各ウェルに添加し、10分間振盪した。次に、自動プレート読取を595nmで実施した。
【0137】
免疫蛍光
細胞をカバーガラス上で一晩培養し、その後X−fectトランスフェクションを用いてペプチドで処理した。回収から2時間後、細胞を室温で30分間、4%パラホルムアルデヒドで固定し、それに続いて3回洗浄した(PBS)。試料をRTで10分間0.1% Triton(PBS中1%BSA)で透過処理し、それに続いてブロッキングした(PBS中0.5%BSAの洗浄3回)(各洗浄5分)。次に、1:500で希釈したマウス抗p53(DO−1)抗体で細胞を1.5時間探索し、それに続いてブロッキングした(PBS中0.5%BSAの洗浄3回)(各洗浄5分)。その後、1:600で希釈したヤギ抗マウスCy3および1:1000で希釈したDAPIで細胞を45分間探索した。試料をElvanolとともにマウントした。
【0138】
ルシフェラーゼアッセイ
ルシフェラーゼ構築物の構築
配列5’−TCGAGTTGCCTGGACTTGCCTGGCCTTGCCTTTTC−3’(配列番号362)を有するオリゴヌクレオチド(RGC−W)、および配列5’−TCGAGTTTAATGGACTTTAATGGCCTTTAATTTTC−3’(配列番号363)を有するオリゴヌクレオチド変異体RGCオリゴヌクレオチド(RGC−M)は、両方ともKernら(Kern,S.E.,et al.,Identification ofp53 as a sequence−specific DNA− binding protein.Science,1991.252(5013):p.1708−11)に由来し、WT p53のコンセンサス結合部位として働く。
【0139】
これらのモチーフを、pCLuc Mini−TK 2Vector(NEB、カタログ番号N0324S)のKPNおよびEco53IK部位にクローン化した。ルシフェラーゼ構築物を用いて試験細胞におけるp53の転写活性化を評価した。
【0140】
ChIP分析
手短に言えば、クローンをホルムアルデヒド(終濃度1%)で室温にて10分間架橋した。ホルムアルデヒドを2.5Mグリシン(終濃度0.25M)で5分間中和した。1mlの氷冷PBS、緩衝液I(0.25% Triton X−100、10mM EDTA、0.5mM EGTA、10mM HEPES、pH6.5)、および緩衝液II(200mM NaCl、1mM EDTA、0.5mM EGTA、10mM HEPES、pH6.5)で細胞を順次洗浄し、擦り落とすことによって回収した。次に、細胞を0.3mlの溶解緩衝液(1% SDS、10mM EDTA、50mM Tris−HCl、pH8.1、1Xプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN)に再懸濁し、超音波処理を最大の設定で10回(「オン」20秒の後に「オフ」40秒)行った後(Biorupter,Diagenode,NY)、氷上で10分間遠心分離して、200〜500bpの断片を生成した。上清を収集し、ChIP希釈緩衝液(1% Triton X−100、2mM EDTA、150mM NaCl、20mM Tris−HCl、pH8.1)で10倍に希釈し、それに続いて40μlの予めブロッキングしたプロテインA−セファロース(Santa Cruz Biotech)と2μgの断片化サケ精子DNA、および免疫前血清(1gのウサギ血清と10μlの100mg/mL BSAで4℃にて2時間免疫クリアリング(immuno−clearing)した。入力試料の調製のために試料を確保した。
【0141】
免疫沈降を、特異的抗体を用いて4℃で一晩実施した。免疫沈降の後、40μlのプロテインA−セファロース(サケ精子DNAで予めブロッキングしたもの)を添加し、さらに、もう1時間インキュベートした。沈殿物を、TSE I(0.1% SDS、1% Triton X−100、2mM EDTA、20mM Tris−HCl、pH8.1、150mM NaCl)、TSE II(0.1% SDS、1% Triton X−100、2mM EDTA、20mM Tris−HCl、pH8.1、500mM NaCl)、および緩衝液III(0.25M LiCl、1% NP−40、1%デオキシコール酸、1mM EDTA、10mM Tris−HCl、pH8.1)で各10分間順次洗浄した。次に、沈殿物をTE緩衝液で3回洗浄し、1% SDS、0.1M NaHCO
3で2回抽出した。溶出液をプールし、65℃で最低6時間から一晩加熱してホルムアルデヒドの架橋を逆行させた。DNA断片をQIAquick Spinキット(Qiagen,CA)で精製した。免疫沈降反応を、非特異的対照としてビーズだけを使用して三重反復で実施した。クローンからのChIP生成物の活性型および抑制型ヒストンマークの定量分析を、定量的リアルタイムPCRにより評価した。免疫沈降(IP)の効率を標準化するために、クロマチンIPの標準化は、ネクチン(necdin)プロモーター領域および5’領域(抑制型クロマチン領域に相当する)の特異的プライマーを用いて行った。
【0142】
細胞培養およびルシフェラーゼレポーターアッセイ
H1299 p53−ヌル細胞を一晩培養した後、MaxFectトランスフェクション剤(Mediatech)を製造業者のプロトコールに従って用いてルシフェラーゼ構築物をトランスフェクトした。トランスフェクションの前に、細胞培養液をOPTI−MEMに交換した。
【0143】
トランスフェクション後に細胞を異なるペプチドで24時間処理した。さらに24時間後、増殖培養液を96黒色プレートの上に収集した:Clucアッセイ用の40μl、およびGlucアッセイ用の20μl。アッセイは、Turner BioSystems Modulusマイクロプレートを用いて実施した。値は、Cluc/gluc/NT(非処理細胞)によって計算した。
【0144】
RT−PCR
RNAを、Macherey−Nagel NucleoSpin RNA IIキットを細胞ペレットに用いて、製造業者のプロトコールに従って得た。0.4〜1μgのアリコートを、Bio−RT 2000(Bio−Lab)およびランダムヘキサマープライマーを用いて逆転写した。定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(QRT−PCR)を、PerfeCTa SYBR Green FastMix ROX(Quanta)を用いて、ABI 7300装置(Applied Biosystems)で実施した。使用したRT−PCRプライマーを表1に示す(プライマー配列は5’から3’へ表示される)。
【0145】
ファージディスプレイライブラリー
使用したファージディスプレイライブラリーは、New England Biolabs(NEB)により作成された市販のファージライブラリーであった。1つのライブラリーは線状ヘプタ−ペプチド(PhD−7)のものであり、もう一方のライブラリーは、線状ドデカ−ペプチド(PhD−12)のものである(カタログ番号:PhD−7、E8100S;PhD−12、E8110S)。両方のライブラリーでランダム化されたペプチド配列はマイナーコートタンパク質pIIIのN末端に発現し、その結果、ビリオンあたり5コピーの提示されたペプチドの原子価をもたらした。全てのライブラリーは、提示ペプチドとpIIIとの間に短いリンカー配列を含有する。
【0146】
ディープシークエンシング
シークエンシングの前に、挿入されたライブラリーに隣接するプライマー、フォワード−5’−NNNNNNNNCATGGAAAGATAGTG(配列番号364)およびリバース−5’−NNNNNNNNCCTAAAACGATTTGTG(配列番号365)(各プライマーの最初の8塩基はランダム化され、4つ全ての塩基の混合物として組み込まれた)を用いて、PCR反応を実施した。最初の塩基のランダム化は、Solexaシークエンス装置(sequence equipment)が、最初の数サイクルの間の繰り返し配列をシークエンシングできないために導入された。PCR反応は、DNAを必要量の5ugおよび長さ(約120bp)で生じた。それにはSolexaディープシークエンシングのための隣接するプライマーおよびクローン化されたペプチドライブラリーが含まれる。
【実施例1】
【0147】
実験条件の較正
p53タンパク質源の選定
ファージディスプレイ選択のタンパク質源を選定する場合には、いくつかの考慮事項を考慮に入れる;溶液中のファージクローンと異なるタンパク質との相互作用は非特異的偽陽性ペプチドを生じ得るので、精製タンパク質の使用が推奨される。SF9細胞(上記参照)から精製されたヒト全長p53タンパク質を、以下の実験で使用した(受託番号CG3336)。そのため、バキュロウイルス(上に詳述される通り)に感染したSF9昆虫細胞株のp53の発現系を使用した。この系で発現したp53の主な利点は、それが翻訳後修飾を既に含んでいることである。
【0148】
バキュロウイルス発現WT p53およびMut−p53タンパク質の立体構造
Baculo−p53での最初の実験は、WT p53、ホットスポット全長変異体p53(R175H)、または温度感受性(ts)変異型p53(V143A)のいずれかを発現しているSf9細胞の核抽出物ライセートを用いることによって行った。SF9細胞を、これら3つの発現ベクターのいずれか1つを有するウイルスに感染させた。感染の48時間後、細胞を回収し、核を抽出し、抽出物を、PAb1620、PAb240、ASPP2((P53−BP2)とも命名される)および/またはBcl2を用いる4℃で3時間の免疫沈降に付した。免疫沈降物したp53を、αp53−HRP Ab(カタログ番号HAF1355(R&D))を用いるウエスタンブロット法により検出した。このIP−ウエスタンブロット実験の結果を
図2に示す。分かるように、温度感受性(ts)−変異体p53 V143A(4℃)およびWT p53は両方ともPAb1620抗体にうまく結合するが、PAb240には結合しない。他方、変異体p53 R175Hは、PAb1620よりもPAb240と強い結合を示す。このことは、Baculoを発現した変異体p53 R175Hは、変異体と野生型のp53の中間の立体構造をとることを示唆する。Bcl2はp53形態のいずれとも結合を示さないが、ASPP2(P53−BP2)は、全ての形態のp53とほぼ同じ親和性で結合する。そのため、ASPP2およびBcl2は、これらの実験条件下でp53立体構造のマーカーとして使用することができないと結論付けた。
【0149】
溶液条件の較正
変異体p53 R175HとPAb1620の比較的多い残余結合を減らすため、かつWT p53とその抗体の結合を増強するために、アッセイ状態の微調整を実施した。結果は
図3に示され、それは対応するバキュロウイルスに感染したSf9細胞の核から抽出した(上記の通り)、精製変異体p53(R175H)およびWT p53のブロットを示す。精製p53を規定緩衝液(A−Tris−50mM;B−Tris、NaCl 150mM;C−Tris、NaCl、Triton 0.5%;D−Tris、Glicyn 0.5%;E−Na
4O
7P
2 40−mM;F−GndCl 400mM;G−GndCl 800mM;H−尿素 1M;I−尿素 3M;IP−IP緩衝液)に溶解し、その後PAb1620およびPAb240で4℃にて3時間免疫沈降させ、αp53−HRP−Abを用いるウエスタンブロット法に付した。分かるように、溶液(A)は50mM Trisだけを含有する。この溶液中で、変異体p53 R175HとPAb1620の結合は、PAb240との結合と比較してわずか約5%である。150mM NaCl(B)、150mM NaCl+0.5% Triton(C)かまたは0.5% グリシン(D)のいずれかの添加により、変異体R175HとPAb1620の結合は増強された。3M 尿素(I)は、p53変異体R175HとPAb1620の結合を、おそらくタンパク質の変性を引き起こすことによって減らした。尿素の低い方の濃度、1M(H)は、変異体p53 R175H(R175H p53)とPAb1620の結合を増加させた。40mM Na
4O
7P
2(E)は、R175H p53とPAb1620の結合を最低のレベルまで減らした。最後に、IP緩衝液中では、R175H p53はPAb1620陰性のままであった;しかしこの緩衝液で、WT p53は強いPAb240結合を示し、PAb1620との結合を減らし、IP緩衝液はWT型の軽度のミスフォールディングを引き起こすことが示唆される。そのため、Trisだけを含有する緩衝液をさらなる実験に使用する。
【実施例2】
【0150】
ファージディスプレイライブラリーの初期スクリーニングおよびMut−p53再活性化ペプチドの選択
R175H p53タンパク質、単一のphd−12ファージライブラリー(NEB、カタログ番号E8110S)およびPAb1620抗体による選択を用いるファージディスプレイ検査(screen)を、最初に実施した。200ngのR175H p53を、1011ファージと1時間反応させて、ファージの提示したペプチドとMut−p53(R175H)を結合させた。次に、PAb1620と架橋したビーズをさらに1時間添加して全ての複合体を免疫沈降させた。このパニング手順を3ラウンド繰り返し、インキュベートMut−p53の量を減少させることによって、各ラウンド後に選択のストリンジェンシーを高めた:1回目のラウンド200ng、2回目のラウンド100ngおよび3回目のラウンド50ng。精製WT p53DBDを2μg/mlの濃度で用いてファージを溶出した(p53 DBD(残基94〜293)をpET−27b(Novagen)にサブクローニングした)。プラスミドを大腸菌BL21(DE3)株に形質転換させた。タンパク質産生を、マウスp53DBDについて記載された手順に従って実行した(Suad,O.,et al.,Structural basis of restoring sequence−specific DNA binding and trans activation to mutant p53 by suppressor mutations.J Mol.Biol,2009.385(1):p.249−65)。各選択ラウンドの後、溶出したファージの力価測定(tittering)を実施して、選択されたファージの数を推定した(表2)。大腸菌(E−coli)を感染させることにより溶出したファージを増幅して、次のラウンドの選択のための約10
13ファージを得た。パニングの2回目のラウンドから、対照パニング実験をPAb1620だけで(Mut−p53でのインキュベーションを含まずに)実施した;この力価はパニングの特異性を示す。
【0151】
表2に見られるように、100感染性ファージ粒子/μlを1回目の選択ラウンドで得、選択ラウンド間の典型的な濃縮値は最初の2ラウンドでより高度に濃縮され、その後3回目および4回目のラウンドのパニングではプラトーに達した。しかし、特異的選択パニング反応ならびに非特異的PAb1620対照パニング反応の両方で溶出したファージの数は類似していた。かかる濃縮は、ファージが直接にPAb1620と結合し、p53 R175H標的との相互作用によらない可能性があることを示唆する。
【0152】
バックグラウンド(非特異的結合)を減少させるために、さらなるプレクリアリング工程およびプレクリアリング時間の増加を導入した;しかし、バックグラウンド結合の割合は高いままであった。そのため、バックグラウンド結合を減少させるために、ファージディスプレイプロセス中に交互の選択工程を実行した。この目的のため、各選択ラウンドで異なる選択戦略を実施し、その一方で、実験系で共通する非特異的エレメントを最小化しようとする試み(そしてそのためにそれらの非特異的エレメントとの結合を減らすこと)を実施した。
【0153】
p53の立体構造の変化の必要条件はペプチドとp53の結合であると想定されるので、WT p53結合のためのさらなる選択工程をPAb1620選択の間に導入した。PAb1620は2回目のパニングラウンドに存在しないので、直接にそれと結合しているファージは除去されると仮定された。さらに、機能ペプチドの必要条件はp53との結合であるので、WT形態と優先的に結合しているペプチドがこの立体構造を安定化させると予測された。1回目および3回目のパニングラウンドは、前の実験と同様であった。しかし、2回目の選択ラウンドで、WT−p53(Hisタグ付き)に対するファージ結合の選択を実施し、ニッケルビーズ(Hisタグと結合)を用いてp53/ファージ複合体を免疫沈降させた。溶出したファージの力価を各選択ラウンドの後に評価した。表3に見られるように、2回目のサイクルを1回目と比較すると、ファージの溶出の10倍濃縮が実現された。これはファージディスプレイ基準ではやや低いと考えられるかもしれないが、この比較的低い濃縮の理由は、おそらくパニングの各ラウンドで異なる選択戦略を使用し、特異性を高める一方で選択されたファージの全体的な収率を低下させたことであろう。2回目の選択ラウンドから3回目への濃縮は約100倍であり、以前の10倍と比較して、ファージ濃縮の顕著な増加を示した。この顕著な増加は、繰り返したPAb1620選択に起因する。重要なことに、3回目のラウンド後のファージの数は約10
5であったが、一方、対照PAb1620ではそれは4×10
3であった。そのため、非特異的対照(すなわち、バックグラウンド)は、選択されたファージ全体の約5%しか構成しない。
【実施例3】
【0154】
スクリーニングのための方法、およびMut−p53再活性化ペプチドの同定。
特異的p53再活性化ペプチドをスクリーニングし、同定し、単離するために、異なる補完的な選択戦略の組合せを用いる方法を考案し、実施した。
【0155】
この実施例では、3つの選択戦略を組み合わせた。第1の選択戦略は、上記のように、PAb1620との反応性に頼る。第2の選択戦略は、WT p53とそのコンセンサスDNA配列モチーフ:p53応答配列(p53−RE)との結合に基づく。P53とそのコンセンサスDNAのインビトロでの結合は、広範に実証されている[Joerger,A.C.,M.D.Allen,and A.R.Fersht,Crystal structure of a superstable mutant of human p53 core domain.Insights into the mechanism of rescuing oncogenic mutations.J Biol Chem,2004.279(2):p.1291−6)。したがって、dsDNAを(アニーリング後に)生成するように2つの相補オリゴヌクレオチドを設計した。これらのオリゴヌクレオチドは、p53−REコンセンサス配列の2つのタンデムコピーを含有する:1つのコンセンサス配列は、結合実験から演繹した完全なコンセンサス結合部位であり(AGACATGCCCAGACATGTCC(配列番号339))、もう一方の配列はp21プロモーターから導いたαp53DNA結合部位であり(GAACATGTCCCAACATGTTG(配列番号340))、これは第1コンセンサス配列の下流に位置する(
図4)。その上、選択後のより特異的な溶出工程を可能にする2つの制限酵素部位(HindIII(AAGCTT(配列番号341))およびEcoRI(GAATTC(配列番号342))をさらに導入した。また、1つのオリゴヌクレオチド鎖をビオチンで標識して、ストレプトアビジンコートビーズでのDNA/p53/ファージ複合体の免疫沈降を可能にした。
図4は、p53−REオリゴヌクレオチドの概略的な配列およびその配列エレメントを示す。上方の鎖オリゴヌクレオチドの配列は次の通りである:
ビオチン−5’−
CTGCTGAAGCTTCGAATTCCTAGACATGCCCAGACATGTCCTACTGCTGCTGCTGCTGCTGCTGCGAACATGTCCCAACATGTTGCTGCTGCTGCTGCTG−3’(配列番号361)。
【0156】
DNA結合戦略(下に詳述される通り)を用いて実施した選択手順では、0.5〜3pmolのビオチン−p53−REオリゴヌクレオチドを200ngの精製WT p53と1時間反応させて結合を可能にした。次に、PhD−7またはPhD−12ファージライブラリーのいずれかから10
10ファージをさらに1時間導入した。次に、ストレプトアビジンコートアガロースビーズを30分間添加した。次に、5〜12回の洗浄工程を実施し、その後制限酵素かまたは過剰の非ビオチン化DNAのいずれかを30分間添加することによって溶出を実施した。これらの予防策が、DNA、ビオチンおよびストレプトアビジンと結合しているファージの選択を減らすことになる。
【0157】
第3の選択戦略は、SV40ラージT(LT)抗原に基づく。p53とSV40 LTの結合は、非常に強いと考えられる。そのため、SV40 LTに対する結合エピトーププラットフォームを形成するためにp53は適切に折り畳まれねばならない。この目的のため、Sf9細胞を、SV40 LTをコードするバキュロウイルスに感染させた。細胞を溶解し、PAb419(SV40 LT特異的抗体、(Abcam−ab1684))と架橋したタンパク質−Aビーズを用いてSV40 LTを単離した。ビーズを数回洗浄した後、ファージディスプレイ選択に使用した。SV40 LT結合のパニング手順は、PAb1620ビーズを使用する代わりに、PAb419−SV40 LTビーズを選択に使用したことを除いて、立体構造に基づく戦略と同様であった。
【0158】
交互のラウンドでの3つ全ての選択戦略の組合せは最善の結果を生じる。それは各サイクルが望ましい特異的ペプチドを含むファージの百分率を徐々に増加させ、その一方で非特異的バックグラウンドを減少させるためである。同定および選択の方法の略図を
図1Aおよび1Bに示す。
【実施例4】
【0159】
ファージディスプレイスクリーニングは、PhD−7およびPhD−12ファージペプチドライブラリーと並行して実施された。ファージ選択の交互のサイクルを、各工程で異なる固定化プラットフォーム(PAb1620、p53−RE DNAまたはSV40 LT)を用いて実施した。表4は、濃縮ファージライブラリーを生成するためにとられた異なる選択経路を示し、各選択ラウンド後の力価値を明記する。選択プラットフォームのかかる異なる組合せ(例えば、PAb1620の後にp53コンセンサスDNA、その後に再びPAb1620、またはSV40 LTの後にPAb1620、その後にSV40 LT)、ならびに2つの異なるファージライブラリーを使用することにより、サブ−ライブラリーのパネルを得、それを次に配列決定後に比較することができた。3サイクルの選択の後、高い割合のMut−p53−再活性化ファージを含有する、60を超える異なるプール(サブライブラリー)(表4)を得た。
【実施例5】
【0160】
選択されたファージプールはMut−p53とPAb1620の結合を誘導する
上で実施したファージディスプレイ選択法がMut−p53を再活性化するファージを濃縮することができるかどうかを決定するために、3サイクルの選択の後に得たファージプールが、全長R175H Mut−p53(BD Pharmingen、カタログ番号556439)かまたは組換え型R249S p53 DBD(249DBD)タンパク質のいずれかとPAb1620との結合を誘導する能力を試験した。pAb1620との直接結合を示す汚染ファージの望ましくない作用を減らすため、プレクリアリング工程を含め、試験反応に添加される前に、ファージプールを最初にPAb1620だけでインキュベートした。PAb1620と共有結合的に架橋されたビーズを、ファージプールをPAb1620ビーズでインキュベートすることによって実施される事前のプレクリアリング工程を行わずに、または行って、Mut−p53 R175H(175)かまたはMut−p53 R249S(249)によるファージディスプレイ選択によって得たファージの存在下で、精製変異体p53 R175Hとともにインキュベートした。非選択ファージ(ns)を対照として使用した。インキュベーションを4℃で3時間実施した。結合したp53を、p53に対する抗体を用いるウエスタンブロット分析によって視覚化した。
図5に示される結果を見て分かるように、一部の選択されたファージプールは、ファージまたは非選択入力ファージ(ns)と比較して、Mut−p53とPAb1620の結合を実際に誘導した。
【実施例6】
【0161】
選択されたファージプールはMut−p53とp53コンセンサスDNAの結合を誘導する
選択されたファージプールがMut−p53とp53コンセンサスDNA結合エレメントの結合を促進することができるかどうかをさらに試験するために、p53コンセンサス応答配列に対応するビオチン標識オリゴヌクレオチド(p53−RE)ビオチン−AGACATGCCCAGACATGTCCTTATAGACATGCCCAGACATGTCC(配列番号366)または、p53結合に決定的な主要残基が変異した対照オリゴヌクレオチド(Con−RE ビオチン−AGAaATGCCCAGAaATGTCCTTATAGAaATGCCCAGAaATGTCC(配列番号367)を、これらのオリゴとストレプトアビジンコートビーズとを反応させることによって固定化した。p53−REまたはCon−REビーズを、WT p53DBDかまたは変異体249 DBDとともに、3サイクルの選択の後に得たファージプールと一緒にインキュベートした。ビオチン標識した、p53−RE−DNAかまたはCon−RE−DNAオリゴヌクレオチドのいずれかと結合したストレプトアビジンコートビーズを、Mut−p53 R175H(175)、クローン27(LPNPPER、配列番号328)(R175H選択から単離した単一のクローン);WTおよびMut−p53 R175Hで選択されたプール#69および#94によるファージディスプレイ選択によって得たファージの存在下、精製WT p53−DBDまたは変異体p53R249S−DBDとともに、T−AGおよびPAb1620の組合せを使用して交互選択ラウンドでインキュベートした。非選択ファージ(NS)を対照として使用した。インキュベーションは4℃で3時間であった。結合したp53を、ウエスタンブロット分析によって視覚化した。
図6に示される結果を見て分かるように、予測したように、WT p53DBDは、Con−REとよりもp53−REに十分に結合した。249DBDはp53−REと結合せず、配列特異的DNA結合能のその知られている消失に一致した。重要なことに、選択されたファージプールは、Mut−p53とp53−REの結合を誘導することができ、Mut−p53の失われた機能を実際に再活性化および回復することが可能であることを示す。
【実施例7】
【0162】
選択されたファージプールのディープシークエンシング
ファージディスプレイの有効性を大いに増加させ、全ての選択されたペプチドレパートリーの抽出および分析を可能にする、次世代配列決定を、より少ない選択サイクルで実施した。8つのファージプールを、選択ラウンド間の濃縮の増加および機能活性という判定基準を用いるディープシークエンシング用に選択した。シークエンシングの前に、挿入されたライブラリーに隣接しているプライマー、フォワード−5’−NNNNNNNNCATGGAAAGATAGTG(配列番号364)およびリバース−5’−NNNNNNNNCCTAAAACGATTTGTG(配列番号365)(各プライマーの最初の8塩基はランダム化され、4つ全ての塩基の混合物として組み込まれた)で、PCR反応を実施した。最初の塩基のランダム化を導入して、シークエンシングの効率および正確さを向上させた。PCR反応は、DNAを必要量の5ugおよび長さ(約120bp)で生じた。それにはSolexaディープシークエンシングのための隣接プライマーおよびクローン化されたペプチドライブラリーが含まれる。
【0163】
ディープシークエンシングにより3600万読取データのデータベースを得た。配列の95%は、ライブラリーを抽出する時にPCRで使用したプライマー配列を含んだ。次に、データの予備的バイオインフォマティクス分析を実施した。この分析には、最初のプライマーを含まない配列の除去、正しい読み枠に入っていない配列の除去、挿入長さによる最初の12アミノ酸および7アミノ酸ライブラリーへのデータベースの分離、ならびに最後に特有の配列を数え、それらをデータベースでの出現数に従って分類することが含まれた。大部分の配列はデータベースに1回または2回しか出現しないことが見出され、おそらくバックグラウンドファージに一致した。12の読取データをカットオフと規定し、それよりも下では配列の濃縮は無意味であるとみなした。次に、データベース中のDNA配列をアミノ酸配列に翻訳した。
【0164】
内部品質対照として、反対方向からシークエンシングされ、そのためにその5’に異なるプライマーを含む、2つの鎖間の全ライブラリーからの百分率としての配列およびそれらの存在量を比較した。この比較により、配列およびそれらの存在量が2つの鎖間で同様であることが示され、得られた配列データベースが妥当であることが示された。
【0165】
表5は、5’鎖のディープシークエンシングデータベースから得たペプチド配列のリストを示す。このデータベースは、不適切な配列を濾過した後に、合計で107の配列を含む。次に、カットオフカウンティング(cut−off counting)および翻訳を実施した。列(#読取データ)は、記載されるデータベース中に配列が繰り返す回数を示し、そのため、その特異的配列の濃縮に相当する。バイオインフォマティクス分析はDNA配列で実施し、個々のペプチドは遺伝暗号の縮重のためにいくつかの異なるDNA配列によってコードされ得るので、表に複数回出現するペプチドはかなり多数である。ある特定のペプチドが異なるDNA配列によってコードされる場合、それはそれが異なるファージクローンの中で独立に選択されたことを意味する。
【0166】
あるいは、同じペプチドをコードするいくつかのDNA配列は、シークエンシングエラーの結果であり得る:しかし、この例では、そのような誤りはランダムな塩基にあり、そのために高い読取データ数を濃縮しないことが予期される。そのため、#繰返しが30読取データ未満のDNA配列を除外した。列(#繰返し)は、同じペプチド配列をコードするDNA配列の数を示し、そのため、選択の特異性および強度をさらに示す。
【0167】
表5に見られるように、配列は、その2つの起源のライブラリーに分離されることがあり得る。ペプチド配列は中央の列に表され、配列は各ライブラリーの濃縮に相当する読取データの数に従って降順に分類される。12aaライブラリーは、単一配列−KPPDRLWHYTQP(配列番号322)によって支配されていることが見出された、それは配列の総数のほぼ20%を構成する。7aaライブラリーはそれよりも多様で、より多くの配列を含むが、濃縮値は低い。
【0168】
表5は、ディープシークエンシングデータベースの分析を表す−配列はその2つの起源のライブラリーに分割され、ペプチド配列は中央の列に表され、配列は各ライブラリーの濃縮に相当する読取データの数に従って降順に分類される。列(#繰返し)は、同じペプチド配列をコードするDNA配列の数を示す。
【実施例8】
【0169】
ディープシークエンシングデータベースのバイオインフォマティクスモチーフ分析
次に、コンセンサスモチーフを同定するために、より包括的なバイオインフォマティクス分析を実施した。かかるモチーフは、いくつかの方法で解明することができた。第1に、12aaおよび7aaライブラリーで同定されたペプチド配列間の比較。両方のライブラリーでの共通のモチーフの出現は、それが2つの完全に非依存性の実験で明白に選択されたものであるので、そのようなモチーフの強度を裏付けることになる。第2に、特定の位置のある特定のアミノ酸の存在量およびモチーフの同じ位置でのその他のアミノ酸に対するその類似度は、この特定の位置のかかるアミノ酸の重要度の指標として役立ち得る。第3に、モチーフの位置は、その機能に非常に重要であることがある:短いモチーフは、その他のアミノ酸配列において変動性を伴って長い方のペプチド配列に沿って移動することができ、ペプチドの遊離N末端からの距離は、その活性に対する重要性を知らせることができる。アルゴリズムを開発して、ペプチド長の増殖窓の中のアミノ酸配列を以下の通りチェックした:
1.各ペプチドのスコア化、同じペプチドに翻訳される異なるヌクレオチド配列の数を、かかる各種類のヌクレオチド配列の出現率で積分;
2.異なるペプチドのクラスター化、異なるペプチド間の配列類似性をスコア化;
および
3.関連するペプチド配列の群の同定、およびそれからコンセンサスを抽出。
【0170】
候補ペプチドは、トップ出現率≧0.2%のものであった:7aaライブラリーから40個、12aaライブラリーから32個あった。これらは、そのBlastp類似性および短いアミノ酸(aaモチーフ)の出現率によって40の群にクラスター化することができた。大部分の群は、単一のペプチドを含んだが、9の群は2〜13ペプチドを含み、これらの群のうちの6が7aaと12aaペプチドの両方を含んだ。
【0171】
これらの群を、ブロックマルチプルアラインメントに変換した(出現率%は配列重みである)。これらのブロックを使用して7aaおよび12aaペプチド−クラスター化配列ファイルを検索し、上位の結果を同じ方法で再びブロックに変換した。一部のブロックでは、全てではないが、2つのライブラリーからの結果は互いに類似していた。
【0172】
ディープシークエンシング出力結果(すなわち、従来のシークエンシングによる数百の配列に対して数百万のペプチド配列のデータベースの作成)により、コンセンサスモチーフの非常に詳細かつ包括的な分析が可能になった。全体的に見て、著しく濃縮された配列の約130個のモチーフが同定された;これらのペプチドモチーフはいくつかのDNA配列によって表され、これらのモチーフのうちの16個は7aaと12aaライブラリーの両方で共有される。
図7は、いくつかのそのようなモチーフを示す。一部のモチーフは、重複する配列を組み合わせることによって生じたものであり、そのために最初のペプチドライブラリーよりも長い。
【実施例9】
【0173】
ペプチドの合成
上記のように同定されたペプチドモチーフの得られたリストから、128個のペプチドを、96ウェルフォーマットを利用する粗純度でPEPTIDE 2.0により化学的に合成した。このセミハイスループット合成により、比較的低コストの各ペプチドが可能になった。下の表6は、合成したペプチドを一覧表にしたものである。このリストには、文献からp53と相互作用することが公知であるタンパク質から誘導した一部のペプチドも含まれる。このリストには、ポリアルギニンC末端付加を含まないものと含むもの両方の、2種類に合成された10個のペプチドも含まれる。このポリ−Arg付加は、ペプチドが細胞膜を通過することを可能にすることが報告された。このことは、ポリArg C末端付加が細胞内へのペプチド送達を可能にする能力と、それがインビボでこれらの特定のペプチドの活性に干渉するかどうかの両方を評価することを可能にする。ポリArgには、0〜10Arg残基が含まれてよく、それはR
0−10と指定される。
【0174】
化学的に合成されたペプチドと、ファージディスプレイライブラリーから選択されたペプチドには違いが起こることがある。特に、選択されたペプチドは、ファージの状況において、pIIIファージコートタンパク質を含む融合タンパク質として提示された。そのため、合成ペプチドへのこの移行は些細なことではなく、いくつかの場合には、ファージに提示された場合に活性であると示されたペプチドが、同じ配列が遊離ペプチドとして合成される場合にその活性を失うことは公知である。
【実施例10】
【0175】
リード試験ペプチドの機能的スクリーニング
リードペプチド候補をMut−p53への立体構造的影響および機能的影響についてスクリーニングするためのいくつかの交互の補完的な方法を使用した。細胞膜を横切る各試験ペプチドの浸透に関する情報は不明であるので、評価のためのインビトロに基づくアッセイを最初に実施した:p53立体構造およびp53の配列特異的DNA結合の評価のためのELISA。その後、ペプチドの活性を生存率アッセイによる生細胞で、p53転写活性をルシフェラーゼレポーター遺伝子で、およびインビボp53標的遺伝子の調査で調べた。これらのアッセイの組合せ(全て96ウェルフォーマットで実施)が、異なるp53活性へのペプチドの影響、およびペプチドがそのような能力をMut−p53タンパク質に付与する能力の同定および検証を可能にした。
【0176】
p53立体構造への影響についてのペプチドのスクリーニング
最初のスクリーニング戦略は、ELISAに基づいた。サンドイッチELISAの1つの種類を使用して、リード試験ペプチドのp53立体構造への影響を調べた。Mut−p53へのペプチドの立体構造的影響を測定するため、マイクロタイタープレートをPAb240、PAb1620またはPAb421(陽性対照として)でコーティングし、その後、p53とこれらの抗体との反応を調べた。WT p53は、PAb1620との反応性のための陽性対照として働き、Mut−p53は、陰性対照として働く。被試験ペプチドの影響を調べるために、それをMut−p53を含有する溶液に添加し、いずれかのAbとの反応性の変化を試験した。ペプチドの添加後にMut−p53のPAb1620に対する反応性の増加およびPAb240に対する反応性の低下が観察されたならば、それは被試験ペプチドがMut−p53のWT立体構造を再活性化したことを示した。異なる細胞抽出物を用いるいくつかのELISA実験を実施した。結果を、Mut−p53を安定に過剰発現しているH1299細胞の抽出物(R175H p53)で実施した代表的な実験を示す
図8に示す。抽出物は、生理的pHおよび塩濃度の標準的な免疫沈降緩衝液中750ng/μlの濃度で調製され、ブロッキングのために3% BSAを添加し、その後50ng/mlの濃度の異なるペプチドと2時間反応させた。プレートを、様々な抗体(Abs)で一晩コーティングし、洗浄し、ブロッキングし、細胞抽出物(ペプチドを含むまたは含まない)をさらに2時間添加した。抽出物を除去した後、プレートを洗浄し、p53レベルの検出のためにαp53−HRPコンジュゲートAbとともにインキュベートした。最後に、TMB(HRPの基質)アッセイを実施し、450nmでの光学濃度を求めた(上記の通り)。MCF7およびH1299−Mut−p53(ts)A135V(Zhang,W.,et al.,A temperature−sensitive mutant of human p53.Embo J,1994.13(11):p.2535−44)細胞を、WT p53立体構造の陽性対照として使用した(1620/240比は、5:1以上)。H1299−R175H p53抽出物は、より多くの変異体p53立体構造を示しているが、PAb421よりもPAb1620またはPAb240のPAb1620に対する反応性(1620/240比は1:2)をなお維持した。しかし、分析の結果を考察する場合、立体構造変化の程度をより良く捕らえる、PAb1620/PAb240計算比が言及される。これが抗体とのバックグラウンド結合であるかまたは実際のWTフォールディング立体構造であるかどうかを調べるため、異なる時間長の間、抽出物を加熱し、PAb1620およびPAb240とのそれらの反応性をモニターすることによって変性のレベルの増加を誘発した。
図8Aおよび8Bに見られるように、熱処理の増加は、PAb240との反応性の増加およびPAb1620との反応性の低下を誘発し、これらの抽出物中のR175H p53がこれらの実験条件下で一部WT立体構造のままであったことが示された。特に、一部の被試験ペプチドでのインキュベーションの後、R175H Mut−p53のPAb1620に対する反応性の増加およびPAb240に対する反応性の低下が検出された。これは、例えば、ペプチド24、36、47、60、68(表6)の例にあたり、これらのペプチドが変異体p53タンパク質において立体構造変化を誘発することを示した。
【0177】
p53−RE DNAとのMut−p53の結合へのペプチドの影響についてのスクリーニング
Mut−p53のDNA結合への被試験ペプチドの影響を測定するため、市販のELISAキット、(R&D Systems DYC1355−5、Lot−1273366FA)を高スループットアッセイとして使用して、p53活性化を定量化した。このキットは96ウェルプレート形式を使用する。キットは製造業者の使用説明書に従って使用した。ウェルを抗p53抗体で一晩コーティングした。p53を含有する細胞抽出物を、p53コンセンサス結合部位(キットに含まれる)を含有するビオチン標識オリゴヌクレオチドと反応させた。WT p53は、ウェルをコーティングする抗体だけでなくこのオリゴと結合することが予期される。過剰なp53およびオリゴを洗浄緩衝液で洗い流した(PBS中0.05% Tween 20、pH7.2〜7.4;R&D Systems、カタログ# WA126)。次に、ストレプトアビジン−HRP(R&D Systems、Part 890803、キットに提供される)を15〜45分間添加して、p53によって結合されたDNAに比例するウェル中のオリゴの量を定量化した。ペプチドをMut−p53抽出物に添加することが、バックグラウンドと比較してELISA読取値を増加させるのであれば、このペプチドは機能上効果的であるとみなされ、さらなる分析のために選択されうる。
図9は、代表的な実験を示す:立体構造ELISAと同様に、細胞抽出物を、試験ペプチドの存在下または不在下(NT)で、ビオチン−p53−REとともにインキュベートした。立体構造スクリーニングと同様に、MCF7およびH1299−Mut−p53(ts)A135V細胞はWT p53の陽性対照として働く。抽出物を、αp53−Abでコーティングしたウェルに添加し、数回の洗浄工程の後、ストレプトアビジン−HRPを1時間添加し、その後プレートを再び洗浄して、TMB(HRPに対する基質)アッセイを実施した。
図9に見られるように、H1299−R175H p53抽出物は、p53−REオリゴに対していくらかのバックグラウンド結合を提示し、それは非標識競合オリゴによってさらに減少した。陽性対照は、バックグラウンドと比較して3〜4倍高いシグナルを示した。いくつかのペプチド、例えば:68、75、83、93、97は、H1299−R175H p53抽出物とp53−RE DNAの結合を高めると思われる。
【0178】
ペプチドのWT p53および変異体p53との結合
ペプチドのMut−p53およびWT p53との結合を測定するため、「TAKARA」より市販されているELISAキット(MK100 Lot AK401)を高スループットアッセイとして使用して、異なるペプチドのタンパク質または抗体との結合を定量化した。キットは製造業者の使用説明書に従って使用した。ペプチドのC末端をプレートに接着させる化学反応を実施することにより、ウェルにペプチドを播種した。
【0179】
組換えWT p53またはMut−p53 R175Hを10ng/mlの濃度でPBSおよびブロッキング緩衝液に溶解した後、ペプチドコートプレートに2時間添加した。可溶性ペプチドを対応するウェルに添加して、p53(+comp)とのペプチド結合の特異性を示す競合対照として使用し、p53−RE DNAオリゴをその他のウェル(+DNA)に添加して、それがペプチドとp53との結合に影響を及ぼすかどうかを調べた。組換えタンパク質を除去した後、プレートを洗浄し、αp53−HRPコンジュゲートAbとともにインキュベートしてp53レベルを定量化した。最後にTMB(HRPの基質)アッセイを実施し、450nmでの光学濃度を求めた。
図10は、対応するペプチドおよび抗体で実施した代表的な実験を示す。わかるように、ウェルにαp53モノクローナル抗体を接着させてアッセイの内部対照として使用した;PAb1801は予測したように両方のp53形態と結合する;PAb1620はWT p53に特異的であり、PAb240は、変異体形態で反応性が高い。(ブロックされた)ウェルはペプチドでコーティングされておらず、pep76は対照ペプチド配列である。分かるように、図に示される大部分のペプチドは、変異体p53と比較して、組換えWT p53により高い親和性で結合する。
【0180】
生細胞におけるMut−p53のその応答配列との結合へのpCAPの影響
次に、p53がその標的遺伝子のクロマチンとも結合することができるかどうかを調べた。クロマチン免疫沈降(ChIP)アッセイを使用して、pCAPがp53応答配列(p53−RE)に対するMut−p53 DNA結合能を回復させることができるかどうかを調べた。変異体p53R249Sを内因的に発現している乳癌細胞BT−549を、3つのpCAP;250、308および325の混合物で5時間処理した。対照ペプチドの混合物で処理した細胞は、陰性対照として働く。次に、細胞を固定し、DNAを超音波処理によって剪断した。p53と架橋したDNAを、ポリクローナル抗p53抗体を用いて免疫沈降させた。DNAを精製した後、異なるp53標的遺伝子のp53応答配列を、qPCR反応において異なるプライマーを用いて定量化した。結果を、全DNA入力に標準化した。陰性対照として、抗体を含まないビーズ(ビーズ)で抽出物を免疫沈降させた。
図11に見られるように、クロマチンと対照ビーズとの結合は、入力DNAの0.005%の基底レベルであった。pCAP混合物はp53と非特異的ゲノムDNA対照配列との結合を増加させなかったが、PUMA、p21およびCD95遺伝子中の応答配列とのp53結合は、対照ペプチドと比較してpCAPによって、それぞれ2.34、9.78および4.54倍増加させた。
【0181】
p53転写活性への影響についてのペプチドのスクリーニング
再活性化ペプチドを同定するために使用されるさらなるスクリーニング戦略がインビボで実施された。これはレポーター遺伝子アッセイに基づく。それは、17反復のp53コンセンサス結合部位(RGC)を含有するプロモーターの制御下に置かれた、レポーター遺伝子の活性を定量化することによって、p53転写活性を測定する。ルシフェラーゼアッセイは生きている細胞で実施され、そのために、無傷の細胞の状況でMut−p53機能への試験ペプチドの影響の指標を提供する。分泌されたルシフェラーゼレポーターの上流でクローン化されたRGCに基づくプロモーター(TK−RGC−luc)(New England Biolabs(カタログ番号N0324S))を使用した。それは細胞の溶解を必要とせず、96ウェルフォーマットの使用を可能にするためである。
【0182】
図12は、ペプチドが変異体p53に対する転写活性を回復させる能力を評価するために実施した代表的なルシフェラーゼアッセイ実験を示す。インビボでのルシフェラーゼに基づくスクリーニングには、H1299細胞を使用した。これらのp53−/−細胞の一過性トランスフェクションを、WT p53、R175H p53、R249S p53を発現しているベクターまたは対照として空のベクターで実施した(Suad,O.,et al.,Structural basis of restoring sequence−specific DNA binding and transactivation to mutant p53 by suppressor mutations.J.Mol.Biol.,2009.385(1):p.249−65)。また、細胞を、TK−RGC−luc(カタログ番号NEB、N0324S)で同時トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を試験ペプチドで処理した。トランスフェクションの48時間後、培養液の試料を生物発光測定のために取り出した。
図12に見られるように、非処理試料において、WT p53(陽性対照)のトランスフェクションは、TK−RGC−luc単独と比較して20〜30倍のTK−RGC−lucからの転写を誘導した。ペプチド処理試料を調査すると、ペプチドはWT p53活性にあまり影響を持たなかったことが分かる;WT p53活性を非常に増大させるペプチドは正常細胞に有毒作用を有すると予測されるため、これは励まされる結果である。被試験ペプチドのうちの2つ、つまりpCAP−68およびpCAP−75は、R175H p53およびR249S p53の存在下で、TK−RGC−lucからの転写を誘導する。
【0183】
変異型p53発現細胞の生存率への影響についてのペプチドのスクリーニング
再活性化ペプチド活性の重要な指標は、Mut−p53を発現する癌細胞へのインビボでのそれらの影響である。特に、正常細胞への有毒作用が最小の、癌細胞の特異的Mut−p53依存性死を引き起こすことのできる再活性化ペプチドが望ましい。クリスタルバイオレットを用いてプレートに接着する細胞を染色するので、染料の量が細胞数に比例する、クリスタルバイオレットに基づく生存率アッセイを用いて、Mut−p53依存性死への様々な試験ペプチドの影響を求めた。クリスタルバイオレットアッセイは複雑でなく、迅速で、信頼でき、安価であり、試料の複雑な調製を必要としない。
【0184】
細胞がコンフルエンスに達することなく48時間増殖することを可能にする、較正された密度で細胞を96ウェルプレートに播種した。ペプチドを6時間後に添加した。異なる濃度のエトポシド(細胞傷害性薬物)を、細胞死の陽性対照として、さらに被試験ペプチドの影響を評価するための基準曲線として使用した。処置の48時間後、細胞をPBSで洗浄して死細胞およびデブリを除外し、プレートに付着して残っていた細胞をクリスタルバイオレットで30分間染色した。クリスタルバイオレットを除去し、細胞をPBSで4回洗浄して、残りのクリスタルバイオレットを除去した。次に、染色した細胞を10%酢酸に溶解し、プレートを595nM(クリスタルバイオレットに特異的)での光学濃度測定のために取り出した。
【0185】
図13Aおよび13Bは、128の合成ペプチドで実施したスクリーニングの代表的な実験を示す。この実験では、WI−38線維芽細胞を使用した。これらの細胞は、内在性WT p53を発現し、さらに、非特異的対照としてマウスNoxa shRNAか、または変異体p53の安定な過剰発現のためにR175H p53変異体のいずれかを発現しているウイルスに感染させた。これらの亜系統(mNoxaまたはR175H p53)の両方を、ウェル当たり3000細胞で播種し、上記のように処理した。光学濃度読取データ(595nm)は、処置後のプレート中の細胞の数を反映する、100%生存可能とみなされる非処理試料に標準化される。分かるように、WI−38細胞は死滅に対して比較的抵抗性であるが、漸増濃度のエトポシドは、細胞死および増殖停止の良い陽性対照として役立ち、最も高い濃度は48時間後に細胞数を50%減少させた。
【0186】
被試験ペプチドのいくつかは、実際に細胞数のかなりの減少をもたらした;この減少は、mNoxa−i対照細胞と比較してR175H p53発現細胞で非常に顕著であったので、変異型p53依存性であった。これらのペプチドには、例えば、pCAP−36、pCAP−46、pCAP−47、pCAP−60、pCAP−97が含まれる。他方、一部のペプチドが両方の細胞亜系統に有毒作用を及ぼすことが見出された;1つの例はpCAP−68である。同様のアッセイをいくつかの異なるMut−p53発現ヒト癌細胞株で実施し、異なるペプチドについての結果を表7に要約する。
【実施例11】
【0187】
既知のp53結合タンパク質と配列とのリードペプチドの相同性
ファージディスプレイによって予測されたペプチドモチーフの機能的スクリーニングを行った後、20のペプチドは、多様なアッセイおよび細胞株において変異型p53に機能的影響を及ぼすことが確認された。次に、これらのペプチドと、一般にヒトタンパク質の配列との、特にp53と相互作用することが知られているタンパク質との類似性を調べた。これは、p53と相互作用するタンパク質との類似性が高いことは、特定のモチーフの生物学的意義の指標として用いることができ、人工インビトロ条件下で選択されたペプチドが実際にp53と相互作用することができるという仮説の確認を得ることができるためである。さらに、タンパク質構造および周辺配列が、選択および合理的設計の両方に基づいている改良されたペプチドを設計する上で役に立つかもしれない。ペプチド配列と既知のヒトタンパク質との類似性を見つけるため、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)アルゴリズムを使用した。ペプチドモチーフを、ヒトタンパク質配列を含有する配列データベースに対してクエリー配列として導入した。BLASTは、クエリー内の部分配列と類似しているデータベース内の部分配列を見つける。BLASTの主な考え方は、多くの場合、1つの統計学的に有意なアラインメントには複数の高スコアセグメント対(HSP)が含まれるというものである。BLASTは、Smith−Watermanアルゴリズムに近似するヒューリスティックアプローチを用いてクエリー配列とデータベース内配列との間の高スコア配列アラインメントを検索する。ペプチドモチーフと既知のヒトタンパク質との類似性およびこれらのタンパク質の構造データに基づいて、新たなペプチド配列のリストを設計した(下の表8に示す)。それらの配列では、ペプチドモチーフに類似したアミノ酸には、そのモチーフに隣接するいずれか一方のタンパク質配列に由来するか、または三次元結晶学的データによる相同モチーフに物理的に近い構造エレメントに由来する、他のアミノ酸が隣接している。
【0188】
選択されたペプチドモチーフに対する類似度が様々である、70を超える異なるタンパク質を同定した。これらのタンパク質の多くは、p53と物理的に相互作用することが以前に示されており、一方、その他のものは、p53の上流または下流のいずれかで、p53シグナル伝達経路に関与することが報告された。いくつかのモチーフが、既知のp53相互作用タンパク質との相同性の程度が非常に高いことが見出された;例えば、pCAP−97(WNHHHSTPHPAH、配列番号10)は、p53と相互作用し、活性化することが示されたRAD9Aと100%相同性を有する(p値は10
−8である);pCAP−60(SFILFIRRGRLG、配列番号302)およびpCAP−63(HNHHHSQHTPQH、配列番号226)は、これらのモチーフが2つのアミノ酸によって分離されているGAS2タンパク質配列(KILFIRLMHNKH、配列番号369)と90%相同性を有する(ペプチドモチーフに類似しているアミノ酸を太字で強調)。
【0189】
リードペプチド候補をMut−p53への立体構造的および機能的影響についてスクリーニングするためのいくつかの交互の補完的な方法を用いた。ペプチドの細胞膜透過を増加させるために、各ペプチドは、3〜6個のアルギニン残基を、その配列の一部として、またはそのN末端またはそのC末端のいずれかに付加されたものとして含む。また、潜在的に細胞へのより良好な送達を導くことになる、細胞膜との融合を強化するために、40のペプチドをミリストイル(myristoil)脂肪酸(myr)とコンジュゲートさせた。評価のためのインビトロに基づくアッセイ、例えばp53立体構造およびp53の配列特異的DNA結合の評価のためにELISAなどを最初に実施した。続いて、ペプチドの活性を生細胞において生存率アッセイ、ルシフェラーゼレポーター遺伝子でのp53転写活性、およびp53標的遺伝子のインビボ試験により調べた。これらのアッセイ(全てを96ウェルフォーマットで実施した)を組合せることにより、異なるp53活性およびMut−p53タンパク質にそのような能力を付与する能力に及ぼすペプチドの影響の同定および検証することができた。表8から分かるように、12のペプチドは、総活性スコアが30を上回ることが見出された;これらの12のペプチドの全てが、p53立体構造および配列特異的DNA結合、Mut−p53発現細胞の生存率低下ならびにp53標的遺伝子の活性化を含む多様な異なるアッセイにおいて有効であることが示された。既知のタンパク質の付加配列(pCAP 201〜326)とともにファージディスプレイ由来コアモチーフを有するこれらのリードペプチドのいくつかは、ファージディスプレイ由来ペプチド単独(pCAP 1〜180)と比較して、大幅に増加した影響を示し、一方、その他のものは、pCAP 1〜180と同等であった。
【0190】
アッセイの組合せで最も顕著な影響を示したペプチド配列を精査した後、リードペプチドは、それらのコンセンサスモチーフに従っていくつかの主要なグループに分類され得ることが見出された。コンセンサスモチーフは、p53変異体の連続した結合部位または立体構造結合部位を仮想的に形成する少なくとも3つの連続するアミノ酸で構成されている。これらのコンセンサスモチーフは、HSTPHP、FPGHTIH、IRGRIIR、LPNPPER、SFILFIR、HANLHHT、YPTQGHL、WNHHHSTPHP、TLYLPHWHRH、YRRLLIGMMW、IRILMFLIGCG、SFILFIRRGRLG、LRCLLLLIGRVG、SWQALALYAAGW、IRILMFLIGCGR、glrgrriflifs、HSSHHHPVHSWN、LRCLLLLIGRVGRKKRRQ(それぞれ、配列番号314、268、282、340、376、298、377、378、253、20、379、302、275、380、273、381、280および382)であることが見出された。
【0191】
p53標的遺伝子への試験ペプチドの影響
WT p53タンパク質は主に転写因子として機能する。異なる形のストレスによって活性化されると、それは蓄積され、多くの標的遺伝子中のその応答配列と結合し、それらの転写をトランス活性化する。これらの標的遺伝子の産物であるタンパク質はその機能を実行する;例えば、p21のトランス活性化は、成長停止を導くが、PUMAのトランス活性化はアポトーシスを導くことになる。そのため、p53の機能的活性化の最も重要な指標の1つは、その異なる標的遺伝子の誘導である。そのため、p53標的遺伝子への様々な試験ペプチドの影響をインビボで試験した。
【0192】
インビボでの機能的スクリーニングのために、いくつかの実験系を使用した。1つの系はp53ヌルであり、p53研究に広く使用されているH1299細胞に基づく。Mut−p53(ts)A135Vで安定にトランスフェクトしたH1299細胞を使用した。この型のp53は、温度感受性変異体であり、37℃で変異体立体構造を有し、32℃でWT立体構造を有する。
図14は、代表的な実験を示す。要するに、細胞を12ウェルディッシュに播種し、示したペプチドを5ug/mlの濃度で培養液に直接に添加し、その後、細胞を32℃にするかまたは37℃に戻した。18時間後、細胞を回収し、続いて、RNAの抽出、cDNA合成およびリアルタイムPCR分析を行った。3つの代表的なp53標的遺伝子;p21、PUMAおよびMdm2の発現レベルを調べた。37℃のH1299−tsでの遺伝子の発現をバックグラウンドレベルとみなし、全ての結果をそれに対して標準化し、また、GAPDHハウスキーピング遺伝子に対しても正規化する。32℃のH1299−tsでの遺伝子の発現は、WT p53立体構造を表し、そのため、陽性対照としての役割を果たす。分かるように、32℃への温度変化は3つの標的遺伝子全ての発現を大きく増加させた。
【0193】
図14に見られるように、陰性対照ペプチドpCAP−76はp53標的の誘導を引き起こさなかった。いくつかの被試験ペプチドは実際にp21、PUMAおよびMdm2の発現の大幅な増加を引き起こした。これはpCAP−130、pCAP−135、pCAP−142、pCAP−144およびpCAP−148の場合であった。これらのペプチドは、陽性対照、オーセンティック野生型p53の9〜11倍と比較して、標的遺伝子の転写を2〜4倍に誘導した。ペプチドによる処理は、対照H1299(p53−/−)細胞において3つの遺伝子全てを誘導したが、これらの遺伝子の発現への影響はなかったという事実は、この誘導がp53依存的であることを意味する。
【0194】
ペプチドの送達は治療薬としてのそれらの使用において大きな障害であるため、この障害を克服するために異なるアプローチを行った。第1に、被試験リード配列に基づいて、短いペプチド配列モチーフ(最大6アミノ酸)を解明し、合成した。これは、これらの小型ペプチドが拡散によって細胞膜を通過することができたためである。第2のアプローチは、ポリアルギニンC末端テールを有する被試験ペプチドを合成して、エンドサイトーシスに基づく機構によるそれらの能動的取り込みを容易にすることであった。
【0195】
ポリアルギニンテールをペプチドに付加することは、疎水性アミノ酸の含有量が高いペプチドの溶解度を劇的に増加させる。一部の例では、それはまた、インビトロでもインビボでもペプチドの活性を大幅に増加させた;例えば、pCAP−25は10mg/mlの濃度でDMSOに不溶性であり、立体構造変化または生存率のいずれかについて試験した場合に、p53活性への影響を示さなかった。それに対して、同じアミノ酸配列に9Rテールを付加したpCAP−68は、PAb1620へのMut−p53立体構造の大幅なシフトだけでなく、大量の細胞死ももたらした。リードペプチドを、Mut−p53特異的な細胞生存率への影響の厳密な調査にさらに付した。
【0196】
内因的に異なるp53変異体アイソフォームを発現している異なる癌細胞株を用いて実験を行った。
図15Aおよび15Bは、DNA結合ドメイン(DBD)内でそれぞれ280位または175位に突然変異を有するMut−p53を発現している、MDA−MB−231(
図15A)およびSKBR3(
図15B)乳癌細胞で実施した2つの代表的な実験を示す。Mut−p53に対するペプチドの特異性を調べるために、使用した対照はMut−p53のノックダウンを受けた上記細胞(shp53)であった。
図15Aおよび15Bに見られるように、被試験ペプチドの多くはMut−p53特異的に細胞生存率の低下を示し、非処理Mut−p53発現細胞によって表される100%生存率に対して有意な読取値は30%〜80%であった。shp53細胞で分かるように、一部のペプチドは、一般に細胞生存率に対してある程度の有毒作用を示す。例えば、pCAP−155は2つのshp53感染細胞亜系において生存率の30%〜40%低下を示した。さらに、一部のペプチドが、その他のペプチドの最小活性と比較して、細胞数、特に細胞種の特異的な減少を示すことも分かる。例えば、pCAP−146は、MDA−MB−231 shCon細胞において大幅な減少をもたらしたが、SKBR3 shCon細胞への特異的な影響はほとんどもたらさなかった。
【0197】
被試験ペプチドを、内在性R175H p53を発現しているSKBR3細胞でのp53標的遺伝子発現へのその影響についてさらに試験した。結果を
図16に示す。この図は、p53発現についてノックダウン処理したSKBR3 ShCon細胞およびSKBR3 Shp53細胞で実施した代表的な実験の棒グラフを示す。要するに、これらの細胞を12ウェルディッシュに播種し、示したペプチドを5ug/mlの濃度で培養液に直接に添加した。18時間後、細胞を回収し、続いて、qRT−PCR分析を行った。p21、PUMAおよびMdm2の発現レベルを評価した。非処理細胞のそれらの遺伝子の発現をバックグラウンドとみなし、全ての結果をそれに対して標準化し、GAPDHに対しても標準化した。分かるように、一部のリードペプチドはp53標的遺伝子の著しいトランス活性化を示した。この影響は、SKBR3 shp53細胞では観察されなかったため、Mut−p53を介してもたらされた。pCAP−155、pCAP−144およびpCAP−148は最大のトランス活性化レベルの間で現れた。
【0198】
アポトーシスに及ぼす試験ペプチドの影響およびp53標的遺伝子の活性化との相関
図17Aおよび17Bは、DBD内の241位に突然変異をもつMut−p53を発現しているES2卵巣癌細胞(
図17A〜D)で実施した代表的な実験を示している。手短に言えば、細胞を6cmディッシュに播種し、示したペプチドを示した時点で12ug/mlの濃度で培養液に直接に添加した。細胞を回収し、細胞の60%をアネキシン−PIアポトーシスアッセイのために採取し、40%をRNAの抽出、cDNA合成およびリアルタイムPCR分析のために採取した。アポトーシスは、アネキシン−V染色キット(Roche、REF 11 988 549 001)を用いてアッセイした。非固定細胞を製造業者の使用説明書に従って、アポトーシス細胞を検出する抗アネキシンFITCコンジュゲート抗体、およびその化合物に対して透過性の死細胞を染色するPI(ヨウ化プロピジウム)の両方で染色した。次いで、染色した細胞をフローサイトメトリーにより分析した。各試料に対して合計10,000個の細胞を計数し、染色強度に応じて4つの亜集団に分割した:PIおよびアネキシンの両方に陰性の細胞(−PI、−アネキシン)は生と名付けられ;PIに陰性でアネキシンに陽性の細胞(−PI、+アネキシン)はアポトーシスの初期段階を通過中であり;PIおよびアネキシンに陽性の細胞(+PI、+アネキシン)はアポトーシスプロセスを経た死細胞であり;PIに陽性でかつアネキシンに陰性の細胞(+PI、−アネキシン)は壊死などの非アポトーシス死で死んだ死細胞であるとみなされる。
図17A、17Bで分かるように、非処理細胞(0時時点)は、大部分(94%)がPIおよびアネキシンの両方に対して陰性であり、その細胞は生存能力があり健康であることを意味している。pCAP 242および250での処理はアポトーシス細胞の急速な増加、続いて細胞死を引き起こし、処理の5時間後に細胞の12%はアネキシン陽性であり、約7%は死滅している。pCAP 250での処理の16時間および24時間後に、アポトーシス集団は約27%まで増加し、死細胞は16時間後に29%、24時間後に36%まで蓄積する。この傾向はpCAP 242にも同様に当てはまるが、その影響は弱まり、より遅い。
図17Cおよび17Dで分かるように、細胞生存率へのペプチドの影響はp53標的遺伝子の著しいトランス活性化を伴い、4つの代表的な標的の発現を示す。分かるように、全ての遺伝子はペプチド処理後に活性化され、p21およびPUMAのmRNA発現はpCAP 250およびpCAP 242での処理後に経時的にそれぞれ10倍および6倍まで増加する。CD95およびBtg−2の発現は、非処理細胞に対して6倍まで上昇する。
【実施例12】
【0199】
Mut−p53再活性化ペプチドのインビボ(前臨床)試験
インビボ(前臨床)実験を2種類のモデル:ヌードマウスおよびMut−p53「ノックイン」マウスのヒト異種移植モデルで実施した。各モデルにおいて、被試験ペプチドの腫瘍内注射の腫瘍増殖および動物生存への影響を判定する。
【0200】
異種移植前臨床モデルにおいて、腫瘍細胞にルシフェラーゼ発現ベクターをトランスフェクトし、ライブイメージングによる腫瘍モニタリングを可能にする。
【0201】
Mut−p53「ノックイン」マウスモデルでは、肺特異的コンディショナルMut−p53ノックインマウスを使用する(Kim,C.F.,et al.,Mouse models of human non−small−cell lung cancer:raising the bar.Cold Spring Harb.Symp.Quant.Biol.,2005.70:p.241−50.Olive,K.P.,et al,Mutant p53 gain of function in two mouse models of Li−Fraumeni syndrome.Cell,2004.119(6):p.847−60)。このモデルは、3つのp53対立遺伝子:R273H、R175H、またはp53−ヌル対立遺伝子のうちの1つと組み合わせてK−rasの突然変異を有する複合コンディショナルノックインマウスを提供する。AdenoCreの感染は、コンディショナル対立遺伝子の組換えを誘導し、早ければ腫瘍形成開始から6週間後にK−ras誘発性肺腺癌を生じることが示された。このモデルは、進行性のヒト肺腺癌のいくつかの側面を厳密に再現し、正確な空間的および時間的プロフィールで、生理学的レベルで内在性p53プロモーターから2つの異なる変異体(175および273)を発現させる。このモデルは、インビボでの被試験再活性化ペプチドの特徴を、いくつかの重要事項に関して示すことが可能である;安全性−正常マウス組織または非感染マウスへの影響は軽微;有効性−対照と比較して処置マウスの腫瘍のサイズおよび数の減少;ならびに、p53ノックアウトマウスと比較してMut−p53発現マウスでの腫瘍縮小の特異性。その上に、用量漸増実験を、陽性対照ペプチドを用いて実施して最小有効濃度および最大耐用量を評価する。
【0202】
異種移植モデルにおける前臨床試験
p53 R280Kを内因的に発現しているMDA−MB−231細胞に、ルシフェラーゼ発現ベクターと、p53ノックダウンについてのshp53か、または非特異的対照としてのマウスNOXA shRNA(shmNOXA)のいずれかを感染させた。MDA−MB−231細胞は高度腫瘍形成性であり、浸潤性の、急速に増殖する腫瘍を形成し、また、ヒトでは転移性である。全体で10匹のマウスに注射した。各マウスに、shp53を発現しているMDA−MB−231細胞2×10
6個を右脇腹に、shmNOXAを発現しているMDA−MB−231細胞2×10
6個を左側に皮下注射した。腫瘍を、目に見える大きさに達するように14日間増殖させた。IVIS200システムを使用し、ライブイメージングにより増殖をモニターした。このシステムでは、ルシフェラーゼ生物発光は癌細胞数に比例する。結果は
図18A〜18Cおよび
図19A〜19Cに示す。細胞注射の14日後、4匹のマウス(マウス7〜10)を対照群に割り当て(
図18A〜18C)、6匹のマウス(マウス1〜6)を処置群に割り当てた(
図19A〜19C)。対照の処置は、インビトロでp53に影響(表現型)を示さなかった3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12)の混合物で構成された。処置群マウスには、インビトロでp53に最良の表現型作用を示した3つのペプチド(pCAP 174、155および159)の混合物を注射した。pCAP−159(配列番号312)は、アルギニン残基が付加されたpCAP−60(配列番号302)と類似した配列を有する。そのペプチドは、D−アミノ酸で構成され、「レトロ−インベルソ」戦略により、pCAP−60:SFILFIRRGRLG、(配列番号302)とは逆の順序で合成されている(pCAP−159:rrrrrrrrglrgrriflifs(配列番号312))(小文字はD−アミノ酸を表す)。ペプチドを、週3回腫瘍あたり40μlの量および混合物中各ペプチドの濃度5μg/mlで腫瘍内に直接注射した(腫瘍内注射)。従って、対照ペプチドかまたは処置用ペプチドのいずれかの混合物合計6μgを各時点で各マウスに投与した。マウスは、ペプチド処置開始から合計5週間モニターした。生物発光は7日ごとに測定した。
図18Aに示すように、内在性Mut−p53を発現しているshmNOXA腫瘍は、対照ペプチド混合物で処置した場合に、実験の時間経過にわたってルシフェラーゼ強度の6〜15倍(対数目盛)の増加を示した。マウス10は、腫瘍が大きな限界サイズに達したために、処置の28日後に屠殺しなければならなかった。
図19Aは、3つのMut−p53活性化ペプチドの混合物で並行して処置したマウスの分析を示す。
図19Aで分かるように、35日間の実験にわたって癌細胞数の著しい増加を示した腫瘍はなかった。腫瘍のうちの2つ(マウス−1およびマウス−4)は、それぞれ、生物発光の50%〜65%の減少として明白な、処置に対する部分寛解を示した。マウス2番および5番は完全寛解を示し、ルシフェラーゼ読取値は、処置の21日後でさえIVISシステムのバックグラウンド閾値検出レベル(5×10
6光子)と同程度かまたはそれに近かった。ペプチドの投与は35日後に中止し、マウス2番および5番は、さらなる処置を一切行わずに放置し、さらに21日間モニターした。それらのマウスでは視覚的にもライブイメージングによっても腫瘍再出現は検出されなかった。
【0203】
前臨床試験#2
p53 R280Kを内因的に発現しているMDA−MB−231細胞を、ルシフェラーゼ発現ベクターに感染させ、15匹のマウスに、両方の腰にMDA−MB−231−luc細胞1×10
6個を皮下注射した。腫瘍は、目に見える大きさに達するために10日間増殖させ、その時点以降、腫瘍増殖をライブイメージングによってモニターした。結果を
図20A〜20Cに示す。細胞注射の18日後、6匹のマウスを対照群に割り当て、9匹のマウスを処置群に割り当てた。前と同様に、対照の処置は、3つの対照ペプチド(pCAP 76、77および12)の混合物を含んだ。処置群マウスに3つのペプチド(pCAP 174、155および159)の混合物を注射した。ペプチドは、週3回腫瘍あたり40μlの量および混合物中各ペプチドの濃度5μg/mlで腫瘍内に直接注射した(腫瘍内注射)。
図20に示すように、対照群および処置群はいずれも処置前に類似した反応;ルシフェラーゼ強度の約2〜3倍(対数目盛)の増加(第10日〜第18日)を示した。
図20Aは、3つの対照ペプチドの混合物で並行して処置したマウスの分析を示す:分かるように、対照の処置は、腫瘍増殖に対して非常に軽度の影響しかなく、処置前の期間と比較すると増殖速度を低下させている。しかし、
図20Bで分かるように、3つのp53再活性化pCAPの混合物での処置は、MDA−MB−231腫瘍の発光の著しい減少を引き起こした。pCAP混合物の1回の注射後、平均発光は70%減少し、18の腫瘍のうち7は、ライブイメージング読取値がバックグラウンド検出閾値に近く、完全退縮を示した(データは示していない)。
図20Bに示すように、処置開始から12日(4回注射)後、平均腫瘍発光は93%減少し、18の腫瘍のうち11は完全寛解を示した。18の腫瘍のうち1つだけが不変または弱い寛解を示した。この腫瘍は処置開始前に比較的大きかったため、顕著な応答を引き起こすにはpCAPの用量が不十分であった可能性である。
【0204】
前臨床試験#3−SW−480結腸癌細胞
MDA−MB−231実験で高度に有意な結果を観察した後、観察を拡張し、異なるp53点突然変異を保有する異なる起源の細胞を調べるために、追加の研究を計画した。SW−480結腸癌細胞株は2つの内在性p53突然変異:R273HおよびP309Sを保有する。SW−480細胞をルシフェラーゼレポーター遺伝子に感染させ、細胞106個をヌードマウスに皮下注射した。実験には15匹のマウスを含め、実験中それらをランダムに3群:これまでに影響のないことが判明している3つのpCAPのカクテルで処置される対照群、3つの有効なpCAP(250、308、325)のカクテルで処置される群および最後に、単一のペプチド、pCAP−325で処置される群に分けた。SW−480実験の期間は、細胞移植時点から42日であった。タイムラインは、0日目と表示した初日の処置を基準とする。
図21は、IVISでのライブイメージングによって測定した3群全ての経時的腫瘍増殖を示す。分かるように、経時的に対照腫瘍は腫瘍サイズの2.75倍の平均増加を示す(
図21Aに示される、0日目の9.24から35日目の9.68への発光強度平均の対数変化から推測される通り)。混合物処置群の腫瘍は96.7%の腫瘍サイズ減少に相当する縮小を示す(
図21Bに示される、0日目の9.13から35日目の7.65への発光強度平均の対数変化から推測される通り)。同様に、pCAP 325群の腫瘍は、95.6%の腫瘍サイズ減少に相当する0.043の平均倍率変化を示した(
図21Cに示される、0日目の8.97から35日目の7.61への発光強度平均の対数変化から推測される通り)。
【0205】
前臨床実験の要約
ここまでに、ライブイメージングによる腫瘍モニタリングを可能にするルシフェラーゼ発現ベクターでトランスフェクトしたMut−p53発現細胞の異種移植モデルを使用して、4つの前臨床実験を既に行ってきた。2つの実験は、MDA−MB−231トリプルネガティブ乳癌細胞(p53 R280K)で実施し、1つの実験はSW−480結腸癌細胞(p53 R273H)を使用し、もう1つの実験はSKBR3乳癌細胞(p53 R175H)を使用した。各実験では、対応する細胞株由来の細胞を皮下注射し、肉眼でもライブイメージングでも観察できる十分に確立された腫瘍を形成させた(一般的には、2〜3週間)。その後、3日ごとに最大42日間の有効なリードペプチドかまたは対照ペプチド(インビトロで活性を示さない)のいずれかの腫瘍内注射からなる処置計画を行った。
【0206】
行った全ての前臨床実験では、リードペプチドで処置したマウスは、それらの腫瘍パラメーター;平均発光シグナル(IVISにより測定した場合、81%〜99%)、腫瘍重量および体積(腫瘍摘出後の測定では、72%〜93%)の全てにおいて非常に著しい減少を示した(パーセンテージは異なる実験間で変動する)。一方、対照ペプチドで処置したマウスの腫瘍は増殖し続けたが、処置前の増殖速度と比べて速度は低下していた。リードペプチドで処置した腫瘍のほとんど全ては処置に反応し、処置した腫瘍の35%〜70%は完全寛解を示し、腫瘍は閾値検出レベル未満に退縮していた。完全寛解を示したマウスのうち6匹は、実験完了後(処置を行わずに)2ヶ月間生かしたが、腫瘍の再発は検出されなかった。
【0207】
ペプチドの毒性のインビボ試験
全体で、6匹のマウスを使用して、ペプチド混合物の毒性を試験した:各ペプチド濃度に対してマウス2匹。この実験に使用したペプチド混合物は上記のものと同じであった(
図19A〜19C)(pCAP 174、155および159)。マウスに、100ug/mlの濃度で調製したペプチド混合物を週3回3週間腹腔内注射した。2匹のマウスには、前臨床試験でマウスが受けた総量に似た40μlの量を注射した。2匹のマウスには120μlを注射し、残りの2匹のマウスには400μlを注射した。マウスの平均重量が20gであることを考えると、これらの量はそれぞれ、0.6mg/Kg、1.8mg/Kgおよび6mg/Kgの濃度を表す。マウスは、注射後毎日検査した。いずれのマウスにおいても目に見える変化は検出されなかった。さらに、前臨床実験で使用したマウスの腫瘍の周囲組織(
図18A〜18Cおよび
図19A〜19C)を、マウスを屠殺した後に、壊死または炎症の徴候について調べた。しかし、腫瘍の周囲組織は全ての場合で正常に見え、pCAPペプチドでの処置には大きな有毒作用がないことを示した。
【0208】
表10に本発明で試験したペプチドの活性を要約する。
【表1】
【表2】
表2.R175H p53の選択
【表3】
表3.Mut−p53およびWT p53の交互選択
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
*AS−活性スコア
【表8】
*AS−活性スコア
【表9】
【表10】
【0209】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的本質を完全に明らかにすることになるので、他者は、現在の知識を当てはめることによって、過度の実験を行うことなく、さらに上位概念から逸脱することなく、かかる特異的実施形態を様々な適用に容易に変更および/または適合させることができる、そのために、かかる適合および変更は、開示される実施形態の等価物の意味および範囲の中に包含されることが意図される。本明細書において用いられる語法または用語法は、説明を目的とするものであり、制限を目的とするものでないことは当然理解される。開示される様々な機能を実行するための手段、材料、および工程は、本発明から逸脱することなく、多様な代替形態をとってよい。