【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、具体的かつ非限定的に、容器の頚部開口部を密封する栓に関する。また、本発明は、そのような栓を成形するための金型スタック、金型、および金型システムにも関するものである。本発明の態様は、閉口端と開口端とを有していてもよい筒状の本体を有する栓を提供する。上記栓または本体は、頂壁および、側壁またはスカートを有していてもよい。上記側壁またはスカートは、環状および/または上記頂壁から下垂した構成であっよい。上記本体は、例えば、側壁またはスカートは、その内面に形成されるネジ山などの固定機構を備え、ネジ山は1つ以上の巻きを有し、巻きの各周は複数の不連続部を有して軸方向の通気路を形成するようにしてもよい。上記栓は、例えば、側壁またはスカート等の上記本体の開口端に破断可能に接続されるタンパーエビデンスバンドを有していてもよい。上記タンパーエビデンスバンドはその内面から突出する留め用カムを有し、該留め用カムは、使用の際に容器頚部のフランジがそこに挿入され、次いで、栓が容器から取り外される際に上記フランジと係合して上記タンパーエビデンスバンドを上記本体から分離することが出来るように構成することが出来る。また、公知の栓に関して記載された上記機構のいずれも、本願開示と矛盾しない限り、本発明の栓に組み込まれてもよい。
【0012】
本発明の第1の広い態様によれば、容器の頚部開口部を密封するための栓を提供するものであり、該栓は、閉口端と開口端を有する筒状の本体と、上記本体の開口端に破断可能に接続されたタンパーエビデンスバンドと、上記タンパーエビデンスバンドは複数の留め用カムを備え、上記複数の留め用カムの各々は、その内面から突出し使用の際に容器頚部が上記本体の開口端に挿入されると上記頚部のフランジに係合する引き込みランプと、その後、上記栓が上記容器から取り外される際に上記フランジに係合して上記本体から上記タンパーエビデンスバンドを分離させる止部とを有し、上記複数の留め用カムの内の少なくとも1つの上記引き込み用ランプは凹部を有するように構成されている。
【0013】
引き込みランプに凹部を設けることで、カムがその要求される機能を実行可能にする必要な機能面を確保しつつ、カムを形成するのに必要な材料の量を減らすことができる。このように材料を減らすと、引けマークのリスクを低減し、従来のカム設計により一般に実用的とされるものよりさらに上記タンパーエビデンスバンドの厚さを薄くする事を可能にする。
【0014】
本願の出願人は、上記カム形状と共にバンドの厚さを薄くすることにより、装着後にバンドの取り外し操作をすると、より容易に可塑的に変形し易くなることを見出した。これにより、不正開封の視覚的明示を強化し、開封明示(タンパーエビデンス)機能の効果を高めることができる。上記カムと上記フランジとの係合により上記バンドを周囲に対して略均一に引き延ばすので、上記栓を上記容器頚部に適用している際にはそのような塑性変形は防止されることを当業者は理解するであろう。
【0015】
凹部は、上記または各留め用カムの中間部または中央部、例えばその上記引き込みランプに配置されていてもよい。上記凹部は、扇状部分を有していてもよい。上記凹部または扇状部分は、上記カムから成形材料を取り除くことで形成されてもよい。上記凹部は、間隔を置いて設けられた2つ以上のランプ部を形成、または画定していてもよい。上記離間されて設けられたランプ部は、上記容器頚部のフランジと当接するものであってもよい。上記凹部の少なくとも一部は、上記タンパーエビデンスバンドの内面と連続または同一平面上にあるように構成されていてもよい。
【0016】
上記引き込みランプは、上記タンパーエビデンスバンドの開口端または下端に配向されていてもよい。上記タンパーエビデンスバンドの開口端または下端は、例えば、上記本体の開口端とは異なるものおよび/または間隔を置いて設けられている、上記栓の開口端を画成するものであってもよい。上記キャッチまたは止部は、上記本体の閉口端を向いた構成であってもよい。上記キャッチまたは止部は上記間隔を置いて設けられているランプ部を架して設けられたものであってもよい。上記少なくとも1のカムは略U字型であってもよく、例えば、上記キャッチまたは止部が該U字の基部を形成および/またはランプ部が該U字の腕部を形成する構成であってもよい。
【0017】
上記ランプは、例えば少なくとも1つまたは各ランプ部が、例えば上記容器頚部のフランジに当接するランプ表面を有していてもよい。上記ランプ表面は、例えば、上記タンパーエビデンスバンドまたは栓の開口端または下端に向かって傾斜していてもよい。少なくとも1または各ランプ部は、例えば、上記キャッチまたは止部から、上記タンパーエビデンスバンドまたは栓の開口端または下端に向かって互いの方に傾斜または先細りになっている側面を有していてもよい。
【0018】
上記キャッチまたは止部は、例えば係合面である、フランジと係合する表面を有していてもよい。上記フランジと係合する表面は半径方向のものおよび/または、上記タンパーエビデンスバンドまたはその内面から半径方向にまたは略垂直方向に延在するものであってもよい。上記フランジと係合する表面は、上記間隔を置いて設けられているランプ部および/または上記凹部を架して設けられていてもよく、上記本体の閉口端を向いた構成であってもよい。
【0019】
上記栓は、上記閉口端を形成または画定する頂壁を有した構成であってもよい。上記栓は、例えば環状側壁などの、上記頂壁から下垂および/または上記本体の開口端を形成する側壁を有した構成であってもよい。
【0020】
上記本体、例えば上記側壁は、1周以上、例えば2周以上の巻きを有するネジ山を備える構成であってもよい。巻きの各周は、1つ以上の、例えば、複数の不連続部を有していてもよい。上記不連続部は、軸方向の通気路を形成する構成であってもよい。上記不連続部は、単独または共同で軸方向の通気路を形成してもよい。少なくとも1周の巻きは、1周以上の他の巻きの不連続部と軸方向に並んだ連続部を有していてもよい。
【0021】
本発明の他の広い態様によれば、容器の頚部開口部を密封するための栓が提供され、該栓は、頂壁と、該頂壁から下垂する環状の側壁を有し、上記側壁は、2周以上の巻きを有するネジ山を備え、上記巻きの各周は軸方向の通気路を形成する複数の不連続部を有しており、1周の巻きは、他の巻きの不連続部と軸方向に整合する連続部を有するように構成されている。
【0022】
本願の出願人は、上記巻きの1周において不連続部を省略することにより、驚くことに、上記容器の圧力が掛かった内容物を排気させる能力を損なうことなく、印加時に栓に印加される過度のトルクによりネジ山に対するダメージを軽減する効果があることを見出した。
【0023】
上記頂壁は、そこから下垂される当接部を有していてもよい。上記当接部は、例えば上記容器頚部の頂面に当接する、当接面を有していてもよい。
【0024】
上記当接部は、1つ以上の突出部を、例えば複数の突出部を有していてもよい。上記当接部は、少なくとも3つの突出部を、例えば、4つ、5つ、6つ、7つ、またはそれ以上の突出部を有する構成であってもよい。上記突出部は、上記頂壁から下垂および/またはその周囲方向に間隔を置いて設けられていてもよい。少なくとも一つの突出部又は各突出部は、上記当接面の部分を構成するようにしてもよい。上記突出部は、上記容器頚部の頂面に当接する複合当接面を共に形成するものであってもよい。
【0025】
上記当接表面の一部をそれぞれが構成する複数の突出部を設けることにより、上記容器から上記栓を取り外すのに必要な開封トルクを低減させることができる。
【0026】
上記栓は、例えば上記側壁と上記頂壁との間に、例えば側壁と頂壁の周囲との間に中間壁を有していてもよい。上記頂壁は、第1直径および/または上記側壁は第2直径を有していてもよい。上記第2直径は、上記第1直径より大きなものであってもよい。上記中間壁は段部、例えば環状段部を有していてもよい。
【0027】
上記段部は、上記頂壁から、例えばその周囲から下垂した、軸方向に延在する第一の部分を有していてもよい。上記段部は、半径方向に延在して、第一の部分を例えば、その下端を上記環状側壁に接続する第二の部分を有するものであってもよい。
【0028】
上記当接部は、上記段部を含むものでも、上記段部により形成されるものであってもよい。ある実施形態では、上記当接表面は、上記半径方向部により形成されたものであり、例えば、上記半径方向部の下面により形成されたもの、または該下面に連続または同一平面上にあるものであってもよい。上記当接部が複数の突出部を有する実施形態では、上記突出部が上記段部または上記半径方向部、例えば、上記半径方向部の下面に下垂したものであってもよい。上記突出部は、上記頂壁および/または上記半径方向部、例えば、上記半径方向部の下面の周囲方向に間隔を置いて設けられていてもよい。
【0029】
上記突出部の少なくとも1つ、または各突出部は、例えば上記頂壁または半径方向部からその当接面まで先細りしたもの、または傾斜したものであってもよい。
【0030】
上記栓は、上記当接面から頂壁、例えば、頂壁の頂部までの延長部を有していてもよい。上記栓は、上記側壁の基部または下端から上記頂壁、例えば、上記頂壁の頂部までの有効栓高さを有する。上記延長部は、上記有効栓高さの少なくとも5%であってもよい。好ましくは、上記延長部は、上記有効栓高さの少なくとも10%である。ある実施形態では、上記延長部は、上記有効栓高さの少なくとも15%、例えば、少なくとも20%である。ある応用例では、上記延長部は上記有効高さの少なくとも25%である。
【0031】
上記栓は、上記側壁の基部から下垂したタンパーエビデンスバンドを備えていてもよい。上記タンパーエビデンスバンドは、環状のであって、および/または上記側壁の基部または下縁、または上記本体の開口端に破断可能に接続されるようにしてもよい。上記タンパーエビデンスバンドは、その内面から突出した複数の留め用カムを有していてもよい。少なくとも1つの留め用カムは、例えば、使用の際に、容器頚部が上記本体の開口端または上記側壁に導入される時に上記容器頚部のフランジと係合する引き込みランプを有する構成であってもよい。少なくとも1の留め用カムは、例えば、上記栓がのちに上記容器から取り外される際に上記フランジと係合し上記タンパーエビデンスバンドを上記本体から分離するキャッチまたは止部を有する構成であってもよい。上記留め用カムの内の少なくとも1つの引き込みランプは凹部を有していてもよい。
【0032】
上記栓は、上記タンパーエビデンスバンドの基部または下端から上記頂壁、例えば上記頂壁の頂部までのものであってもよい栓全体の高さを有する構成であってもよい。延長部は上記栓全体の高さの少なくとも5%であってもよい。好ましくは、上記延長部は、上記栓全体の高さの少なくとも10%であってもよい。ある実施形態では、上記延長部は、上記栓全体の高さの少なくとも15%である。ある応用例では、上記延長部は、上記栓全体の高さの少なくとも20%である。
【0033】
上記栓は、上記半径方向部から、例えばその内側から下垂し、環状である内側密封部を備えていてもよい。上記栓は、上記半径方向部から、例えば、その外側または中間部から下垂し、環状である外側密封部を備えていてもよい。上記突出部は、上記内側および外側密封部の間および/または上記内側および外側密封部のそれぞれから間隔を置いて設けられているものであってもよい。
【0034】
上記栓は、1つ以上の、例えば複数のリブを備えていてもよい。上記リブは、軸状であったりおよび/または外側方向のものであってもよい。上記リブは第1および第2リブを含んでいてもよい。上記第1リブは上記第2リブより長いものであってもよい。上記第1リブは、上記頂壁から上記側壁の基部または下端に向けて、または上記側壁の基部または下端まで延在するようにしてもよい。上記第2リブは、上記中間壁から上記側壁の基部または下端に向かって延びるものであってもよい。少なくとも1つまたは各第2リブは、対になった第1リブの間に設けられていてもよい。上記第1リブは、上記段部からおよび/または上記中間壁と上記頂壁の間から延在する四分円または四分の一の円部分を有していてもよい。
【0035】
本発明の他の広い態様によれば、容器の頚部開口部を密封するための栓が提供されており、該栓は、頂壁と、該頂壁から下垂する環状側壁と、該側壁と上記頂壁の周囲との間にある中間壁と、複数の軸方向外部リブとを有し、上記頂壁は第1直径を有し、上記環状側壁は該第1直径より大きい第2直径を有し、上記中間壁は、上記頂壁の周囲から下垂する第1軸方向部と、上記第1軸方向部の下端を上記環状側壁に繋げる第2半径方向部を有する環状段部を有し、上記複数のリブは、上記頂壁から上記側壁の基部に向けて延在する第1リブと、該第1リブの各対の間に設けられた第2リブを含み、上記第2リブは上記第1リブより短く、上記中間壁から上記側壁の基部に向けて延在している。
【0036】
上記栓は、射出成形、圧縮成形、または他の任意の好適なプロセスで形成されたものであってもよい。上記栓は、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、または他のどのような好適な材料などのプラスチック材で形成されてもよいが、必須ではない。上記栓は、例えば、炭酸飲料などが充填された瓶や容器などに使用されてもよい。また、上記栓は、非炭酸系の飲料や他の液体が充填された瓶や容器に使用されてもよいが、その場合、上記ネジ山の不連続部を省略したり、上記ネジ山を他の係合構造で置き換えてもよい。
【0037】
本発明の他の態様は、成形配置時に、上記のような栓を成形する成形用キャビティ(空間)を共に形成する複数の成形インサートを備える金型のスタックを提供する。
【0038】
本発明の他の態様は、上記のような栓を成形する金型を提供する。上記金型は、上記のような金型スタックを有していてもよい。上記金型は、圧縮成形用または射出成型用金型を備えていてもよい。
【0039】
本発明の他の態様は、上記のような栓を成形する成形システムを提供する。上記成型システムは、上記のような金型を備えていてもよい。上記成形システムは、圧縮成形用または射出成型用システムを備えていてもよい。
【0040】
本発明の他の態様は、シミュレーション手段または、例えば3DプリンターやCNC機械などの、3D積層または減法製造手段または装置に使用される3Dデザインであって、上記栓の一実施形態と3Dデザインを含む、および/または表現する、および/または定義するコンピュータプログラム要素を提供する。
【0041】
疑義をさけるために明記すると、本明細書に記載のすべての構造は、本発明のどの態様にも同様に適用されるものである。本願の範囲内において、上記段落、特許請求の範囲、および/または以下の説明および図面にて示された様々な態様、実施形態、実施例、および変形例は、単独で採用されても如何なる組み合わせで採用されてもよい。つまり、すべての実施形態、および/またはどの実施形態の構造も、そのような構成が矛盾しない限り、どのように組み合わせても、どのような組み合わせにて組み合わせてもよい。疑義を避けるため明らかにすると、本明細書にて使用される「であってもよい」「および/または」「例えば」等の表現は、非限定的に解釈されるべきものであり、記載された如何なる構造もその存在は必須ではない。また、請求項に明記されているかどうかにかかわらず、本発明の範囲から逸脱せずに、選択的な構造の如何なる組み合わせも明らかに想到できるものである。本願の出願人は、出願時の当初の特許請求の範囲を補正して他の任意の請求項に従属させたり、当初の特許請求の範囲に記載していない任意の構成を組み込んだりする事を含む、出願時の当初の特許請求の範囲を変更する権利や新たな請求項を提出する権利を留保する。