【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、対象が肺癌または卵巣癌などのFRα発現癌に罹患しているかどうかを評価するための方法、FRα発現癌に罹患している対象において、肺癌または卵巣癌などのFRα発現癌の進行を評価するための方法、FRα発現癌の対象を少なくとも4つの癌治療群のうちの1つに階層化するための方法、卵巣癌または肺癌のMORAb−003治療の有効性を評価するための方法、および対象が肺癌もしくは卵巣癌などのFRα発現癌に罹患しているかどうかを評価するための、または対象における肺癌または卵巣癌などのFRα発現癌の進行を評価するためのキットを提供する。
【0008】
対象がFRα発現癌に罹患しているかどうかを評価するための方法
第一の態様において、本発明は、対象がFRα発現癌に罹患しているかどうかを、対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって評価する方法を対象とし、対象由来の試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルとの間の差は、対象がFRα発現癌に罹患しているという指標であり、対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって評価される。特定の実施形態において、試料は、尿、血清、血漿または腹水のいずれかである。
【0009】
別の態様において、本発明は、対象がFRα発現癌に罹患しているかどうかを、対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;対象由来の尿試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって評価する方法を対象とし、対象由来の尿試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルとの間の差は、対象がFRα発現癌に罹患しているという指標である。さらなる態様において、本発明は、対象がFRαを発現する癌に罹患しているかどうかを、対象由来の血清試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;対象由来の血清試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって評価する方法を対象とし、対象由来の血清試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルとの間の差は、対象がFRα発現癌に罹患しているという指標である。
【0010】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、FRα発現癌は、肺癌、中皮腫、卵巣癌、腎臓癌、脳癌、子宮頸癌、鼻咽腔癌、頭頸部の扁平上皮癌腫、子宮内膜癌、乳癌、膀胱癌、膵臓癌、骨癌、下垂体癌、結腸直腸癌および甲状腺髄様癌からなる群から選択される。特定の実施形態において、FRα発現癌は卵巣癌である。別の実施形態において、FRα発現癌は、腺癌などの非小細胞肺癌である。
【0011】
別の態様において、本発明は、対象が卵巣癌に罹患しているかどうかを、対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定することによって評価する方法を対象とし、約9100pg/mlを超える濃度での尿試料における細胞に結合しないFRαの存在は、対象が卵巣癌に罹患しているという指標である。
【0012】
本発明の前述の態様の種々の態様において、約9500pg/mL超、約10,000pg/mL超、約11,000pg/mL超、約12,000pg/mL超、約13,000pg/mL超、約14,000pg/mL超、約15,000pg/mL超、約16,000pg/mL超、約17,000pg/mL超、約18,000pg/mL超、約19,000pg/mL超または約20,000pg/mL超の濃度での尿試料におけるFRαの存在は、対象が卵巣癌に罹患しているという指標である。
【0013】
種々の態様において、FRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって決定される。例えば、抗体は、下記からなる群から選択される。
(a)MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(b)CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む抗体;
(c)MOV18抗体;
(d)MOV18抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(e)548908抗体;
(f)548908抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(g)6D398抗体;
(h)6D398抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(i)26B3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(j)CDRH1として配列番号55(GYFMN)、CDRH2として配列番号56(RIFPYNGDTFYNQKFKG)、CDRH3として配列番号57(GTHYFDY)、CDRL1として配列番号51(RTSENIFSYLA)、CDRL2として配列番号52(NAKTLAE)およびCDRL3として配列番号53(QHHYAFPWT)を含む抗体;
(k)26B3抗体;
(l)19D4抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(m)CDRH1として配列番号39(HPYMH)、CDRH2として配列番号40(RIDPANGNTKYDPKFQG)、CDRH3として配列番号41(EEVADYTMDY)、CDRL1として配列番号35(RASESVDTYGNNFIH)、CDRL2として配列番号36(LASNLES)およびCDRL3として配列番号37(QQNNGDPWT)を含む抗体;
(n)19D4抗体;
(o)9F3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(p)CDRH1として配列番号31(SGYYWN)、CDRH2として配列番号32(YIKSDGSNNYNPSLKN)、CDRH3として配列番号33(EWKAMDY)、CDRL1として配列番号27(RASSTVSYSYLH)、CDRL2として配列番号28(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号29(QQYSGYPLT)を含む抗体;
(q)9F3抗体;
(r)24F12抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(s)CDRH1として配列番号47(SYAMS)、CDRH2として配列番号48(EIGSGGSYTYYPDTVTG)、CDRH3として配列番号49(ETTAGYFDY)、CDRL1として配列番号43(SASQGINNFLN)、CDRL2として配列番号44(YTSSLHS)およびCDRL3として配列番号45(QHFSKLPWT)を含む抗体;
(t)24F12抗体;
(u)LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む抗体;
(v)LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVH FAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む抗体;
(w)重鎖可変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;
(x)重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;ならびに
(y)重鎖可変領域LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体。
【0014】
特定の実施形態において、抗体は、MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する。別の実施形態において、抗体は、CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む。別の実施形態において、抗体はMOV18抗体である。なお別の実施形態において、抗体は、MOV18抗体と同じエピトープに結合する。さらなる実施形態において、抗体は、LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVHFAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む。ある種の実施形態において、抗体は、(i)重鎖可変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);または重鎖可変領域LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)と軽鎖可変領配LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む。
【0015】
特定の実施形態において、前記対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAb−003抗体;(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体;(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体;および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体からなる群から選択される一対の抗体と接触させることによって評価される。
【0016】
ある種の実施形態において、抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、アフィボディ(affibody)、アビマー(avimer)、バーサボディ(versaboy)、ナノボディ(nanobody)およびドメイン抗体からなる群から選択される。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、例えば、放射性標識、ビオチン標識、発色団標識、蛍光色素標識または酵素標識からなる群から選択される標識で標識される。
【0017】
ある種の実施形態において、FRαのレベルは、ウェスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光分析、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散法、溶液相アッセイ、電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)およびELISAアッセイからなる群から選択される技法を用いることによって決定される。
【0018】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、対照試料は、健常対象におけるFRαの標準化された対照レベルである。
【0019】
ある種の実施形態において、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前にグアニジンで処理される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に希釈される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に、遠心分離され、ボルテックスされまたはその両方である。
【0020】
なお別の態様において、本発明は、対象が卵巣癌に罹患しているかどうかを、対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって評価する方法を対象とし、対象由来の試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルとの間の差は、対象が卵巣癌に罹患しているという指標であり、対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAb−003抗体、(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体、(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体、および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体と接触させることによって評価される。例えば、試料は、尿、血清、血漿または腹水であってもよい。
【0021】
対象におけるFRα発現癌の進行を評価するための方法
さらなる態様において、本発明は、FRα発現癌に罹患している対象におけるFRα発現癌の進行を、対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって評価する方法を対象とし、対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合の対象由来の試料におけるFRαのレベルの増加は、癌が急速に進行するという指標であり;対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合の対象由来の試料におけるFRαのレベルの減少は、癌が穏やかに進行するまたは退行するという指標であり、それにより対象におけるFRα発現癌の進行を評価し、対象由来の試料における細胞に結合しないFRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって評価される。特定の実施形態において、試料は、尿、血清、血漿または腹水である。
【0022】
別の態様において、本発明は、FRα発現癌に罹患している対象におけるFRα発現癌の進行を、対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;対象由来の尿試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって評価する方法を提供し、対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合の対象由来の尿試料におけるFRαのレベルの増加は、癌が急速に進行するという指標であり;対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合の対象由来の尿試料におけるFRαのレベルの減少は、癌が穏やかに進行するまたは退行するという指標であり、それにより対象におけるFRα発現癌の進行を評価する、方法を対象とする。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、FRα発現癌に罹患している対象におけるFRα発現癌の進行を、対象由来の血清試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;対象由来の血清試料における、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって評価する方法を提供し、対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合の対象由来の血清試料におけるFRαのレベルの増加は、癌が急速に進行するという指標であり;対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合の対象由来の血清試料におけるFRαのレベルの減少は、癌が穏やかに進行するまたは退行するという指標であり、それにより対象におけるFRα発現癌の進行を評価する。
【0024】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、FRα発現癌は、肺癌、中皮腫、卵巣癌、腎臓癌、脳癌、子宮頸癌、鼻咽腔癌、頭頸部の扁平上皮癌腫、子宮内膜癌、乳癌、膀胱癌、膵臓癌、骨癌、下垂体癌、結腸直腸癌および甲状腺髄様癌からなる群から選択される。特定の実施形態において、FRα発現癌は卵巣癌である。別の実施形態において、FRα発現癌は、腺癌などの非小細胞肺癌である。
【0025】
別の態様において、本発明は、対象が卵巣癌に罹患しているかどうかを、対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定することによって評価する方法を対象とし、約9100pg/mlを超える濃度での尿試料における細胞に結合しないFRαの存在は、対象が卵巣癌に罹患しているという指標である。
【0026】
本発明の前述の態様の種々の態様において、約9500pg/mL超、約10,000pg/mL超、約11,000pg/mL超、約12,000pg/mL超、約13,000pg/mL超、約14,000pg/mL超、約15,000pg/mL超、約16,000pg/mL超、約17,000pg/mL超、約18,000pg/mL超、約19,000pg/mL超または約20,000pg/mL超の濃度での尿試料におけるFRαの存在は、対象が卵巣癌に罹患しているという指標である。
【0027】
種々の態様において、FRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって決定される。例えば、抗体は、下記からなる群から選択される。
(a)MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(b)CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む抗体;
(c)MOV18抗体;
(d)MOV18抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(e)548908抗体;
(f)548908抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(g)6D398抗体;
(h)6D398抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(i)26B3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(j)CDRH1として配列番号55(GYFMN)、CDRH2として配列番号56(RIFPYNGDTFYNQKFKG)、CDRH3として配列番号57(GTHYFDY)、CDRL1として配列番号51(RTSENIFSYLA)、CDRL2として配列番号52(NAKTLAE)およびCDRL3として配列番号53(QHHYAFPWT)を含む抗体;
(k)26B3抗体;
(l)19D4抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(m)CDRH1として配列番号39(HPYMH)、CDRH2として配列番号40(RIDPANGNTKYDPKFQG)、CDRH3として配列番号41(EEVADYTMDY)、CDRL1として配列番号35(RASESVDTYGNNFIH)、CDRL2として配列番号36(LASNLES)およびCDRL3として配列番号37(QQNNGDPWT)を含む抗体;
(n)19D4抗体;
(o)9F3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(p)CDRH1として配列番号31(SGYYWN)、CDRH2として配列番号32(YIKSDGSNNYNPSLKN)、CDRH3として配列番号33(EWKAMDY)、CDRL1として配列番号27(RASSTVSYSYLH)、CDRL2として配列番号28(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号29(QQYSGYPLT)を含む抗体;
(q)9F3抗体;
(r)24F12抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(s)CDRH1として配列番号47(SYAMS)、CDRH2として配列番号48(EIGSGGSYTYYPDTVTG)、CDRH3として配列番号49(ETTAGYFDY)、CDRL1として配列番号43(SASQGINNFLN)、CDRL2として配列番号44(YTSSLHS)およびCDRL3として配列番号45(QHFSKLPWT)を含む抗体;
(t)24F12抗体;
(u)LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む抗体;
(v)LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVH FAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む抗体;
(w)重鎖可変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;
(x)重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;ならびに
(y)重鎖可変領域LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体。
【0028】
特定の実施形態において、抗体は、MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する。別の実施形態において、抗体は、CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む。別の実施形態において、抗体はMOV18抗体である。なお別の実施形態において、抗体は、MOV18抗体と同じエピトープに結合する。さらなる実施形態において、抗体は、LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVHFAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む。ある種の実施形態において、抗体は、(i)重鎖改変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);または重鎖可変領配LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)と軽鎖可変領配LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む。
【0029】
特定の実施形態において、対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAB−003抗体;(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体;(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体;および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体からなる群から選択される一対の抗体と接触させることによって評価される。
【0030】
ある種の実施形態において、抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、アフィボディ、アビマー、バーサボディ、ナノボディおよびドメイン抗体からなる群から選択される。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、例えば、放射性標識、ビオチン標識、発色団標識、蛍光色素標識または酵素標識からなる群から選択される標識で標識される。
【0031】
ある種の実施形態において、FRαのレベルは、ウェスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光分析、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散法、溶液相アッセイ、電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)およびELISAアッセイからなる群から選択される技術を用いることによって決定される。
【0032】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、対照試料は、健常対象におけるFRαの標準化された対照レベルである。別の実施形態において、対照試料は、対象から予め得られた試料である。
【0033】
ある種の実施形態において、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前にグアニジンで処理される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に希釈される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に、遠心分離され、ボルテックスされまたはその両方である。
【0034】
さらなる態様において、本発明は、卵巣癌に罹患している対象における卵巣癌の進行を、対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって評価する方法を対象とし、対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合の対象由来の試料におけるFRαのレベルの増加は、卵巣癌が急速に進行するという指標であり;対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合の対象由来の試料におけるFRαのレベルの減少は、卵巣癌が穏やかに進行するまたは退行するという指標であり、それにより対象における卵巣癌の進行を評価することによって評価し、対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAB−003抗体、(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体、(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体、および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体と接触させることによって評価される。例えば、試料は、尿、血清、血漿または腹水であってもよい。
【0035】
FRα発現癌を癌治療群に階層化するための方法
さらなる態様において、本発明は、FRα発現癌に罹患している対象を、対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルに基づいて、対象を少なくとも4つの癌治療群の1つに階層化することによって、少なくとも4つの癌治療群の1つに階層化する方法を提供し、対象由来の試料において、細胞に結合しないFRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって評価される。例えば、試料は、尿、血清、血漿または腹水からなる群から選択される。
【0036】
なお別の態様において、本発明は、FRα発現癌に罹患している対象を、対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルに基づいて、対象を少なくとも4つの癌治療群の1つに階層化することによって、少なくとも4つの癌治療群の1つに階層化する方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、FRα発現癌に罹患している対象を、対象由来の血清試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;血清試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルに基づいて、対象を少なくとも4つの癌治療群の1つに階層化することによって、少なくとも4つの癌治療群の1つに階層化する方法に関する。
【0037】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、FRα発現癌は、肺癌、中皮腫、卵巣癌、腎臓癌、脳癌、子宮頸癌、鼻咽腔癌、頭頸部の扁平上皮癌腫、子宮内膜癌、乳癌、膀胱癌、膵臓癌、骨癌、下垂体癌、結腸直腸癌および甲状腺髄様癌からなる群から選択される。特定の実施形態において、FRα発現癌は卵巣癌である。別の実施形態において、FRα発現癌は、腺癌などの非小細胞肺癌である。
【0038】
別の態様において、本発明は、対象が卵巣癌に罹患しているかどうかを、対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定することによって評価する方法に関し、約9100pg/mlを超える濃度での尿試料における細胞に結合しないFRαの存在は、対象が卵巣癌に罹患しているという指標である。
【0039】
本発明の前述の態様の種々の態様において、約9500pg/mL超、約10,000pg/mL超、約11,000pg/mL超、約12,000pg/mL超、約13,000pg/mL超、約14,000pg/mL超、約15,000pg/mL超、約16,000pg/mL超、約17,000pg/mL超、約18,000pg/mL超、約19,000pg/mL超または約20,000pg/mL超の濃度での尿試料におけるFRαの存在は、対象が卵巣癌に罹患しているという指標である。
【0040】
種々の態様において、FRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって決定される。例えば、抗体は、下記からなる群から選択される。
(a)MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(b)CDRH1として配列番号l(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRLl1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む抗体;
(c)MOV18抗体;
(d)MOV18抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(e)548908抗体;
(f)548908抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(g)6D398抗体;
(h)6D398抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(i)26B3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(j)CDRH1として配列番号55(GYFMN)、CDRH2として配列番号56(RIFPYNGDTFYNQKFKG)、CDRH3として配列番号57(GTHYFDY)、CDRL1として配列番号51(RTSENIFSYLA)、CDRL2として配列番号52(NAKTLAE)およびCDRL3として配列番号53(QHHYAFPWT)を含む抗体;
(k)26B3抗体;
(l)19D4抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(m)CDRH1として配列番号39(HPYMH)、CDRH2として配列番号40(RIDPANGNTKYDPKFQG)、CDRH3として配列番号41(EEVADYTMDY)、CDRL1として配列番号35(RASESVDTYGNNFIH)、CDRL2として配列番号36(LASNLES)およびCDRL3として配列番号37(QQNNGDPWT)を含む抗体;
(n)19D4抗体;
(o)9F3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(p)CDRH1として配列番号31(SGYYWN)、CDRH2として配列番号32(YIKSDGSNNYNPSLKN)、CDRH3として配列番号33(EWKAMDY)、CDRL1として配列番号27(RASSTVSYSYLH)、CDRL2として配列番号28(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号29(QQYSGYPLT)を含む抗体;
(q)9F3抗体;
(r)24F12抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(s)CDRH1として配列番号47(SYAMS)、CDRH2として配列番号48(EIGSGGSYTYYPDTVTG)、CDRH3として配列番号49(ETTAGYFDY)、CDRL1として配列番号43(SASQGINNFLN)、CDRL2として配列番号44(YTSSLHS)およびCDRL3として配列番号45(QHFSKLPWT)を含む抗体;
(t)24F12抗体;
(u)LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む抗体;
(v)LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVH FAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む抗体;
(w)重鎖可変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;
(x)重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;ならびに
(y)重鎖可変領域LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体。
【0041】
特定の実施形態において、抗体は、MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する。別の実施形態において、抗体は、CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む。別の実施形態において、抗体はMOV18抗体である。なお別の実施形態において、抗体は、MOV18抗体と同じエピトープに結合する。さらなる実施形態において、抗体は、LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVHFAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む。ある種の実施形態において、抗体は、(i)重鎖改変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);または重鎖可変領配LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)と軽鎖可変領配LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む。
【0042】
特定の実施形態において、対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAB−003抗体;(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体;(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体;および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体からなる群から選択される一対の抗体と接触させることによって評価される。
【0043】
ある種の実施形態において、抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、アフィボディ、アビマー、バーサボディ、ナノボディおよびドメイン抗体からなる群から選択される。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、例えば、放射性標識、ビオチン標識、発色団標識、蛍光色素標識または酵素標識からなる群から選択される標識で標識される。
【0044】
ある種の実施形態において、FRαのレベルは、ウェスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光分析、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散法、溶液相アッセイ、電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)およびELISAアッセイからなる群から選択される技術を用いることによって決定される。
【0045】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、対照試料は、健常対象におけるFRαの標準化された対照レベルである。
【0046】
ある種の実施形態において、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前にグアニジンで処理される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に希釈される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に、遠心分離され、ボルテックスされまたはその両方である。
【0047】
特定の実施形態において、対象は、病期I、病期II、病期IIIまたは病期IVの卵巣癌に階層化される。
【0048】
さらなる態様において、本発明は、卵巣癌対象を、対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;試料において細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルに基づいて、対象を少なくとも4つの癌治療群のうちの1つに階層化することによって、少なくとも4つの癌治療群のうちの1つに階層化する方法を提供し、対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAB−003抗体、(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体、(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体、および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体と接触させることによって評価される。例えば、試料は、尿、血清、血漿または腹水であってもよい。
【0049】
卵巣癌または肺癌のMORAb−003治療の有効性を監視するための方法
一態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌を患っている対象における卵巣癌または肺癌のMORAb−003治療の有効性を、MORAb−003が予め投与された対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって監視する方法を提供し、対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合、対象由来の試料におけるFRαのレベルの増加は、MORAb−003治療が有効でないという指標であり;対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合、対象由来の試料におけるFRαのレベルの減少は、MORAb−003治療が有効であるという指標である。特定の実施形態において、対象由来の試料における細胞に結合しないFRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって評価される。例えば、試料は、尿、血清、血漿または腹水であってもよい。
【0050】
さらなる態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌を患っている対象における卵巣癌または肺癌のMORAb−003治療の有効性を、MORAb−003が予め投与された対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;対象由来の尿試料における、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって監視する方法を提供し、対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合、対象由来の尿試料におけるFRαのレベルの増加は、MORAb−003治療が有効でないという指標であり;対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合、対象由来の尿試料におけるFRαのレベルの減少は、MORAb−003治療が有効であるという指標である。
【0051】
なお別の態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌を患っている対象における卵巣癌または肺癌のMORAb−003治療の有効性を、MORAb−003が予め投与された対象由来の血清試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;対象由来の血清試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって監視する方法を対象とし、対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合、対象由来の血清試料におけるFRαのレベルの増加は、MORAb−003治療が有効でないという指標であり;対照試料におけるFRαのレベルと比較した場合、対象由来の血清試料におけるFRαのレベルの減少は、MORAb−003治療が有効であるという指標である。
【0052】
種々の態様において、FRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって決定される。例えば、抗体は、下記からなる群から選択される。
(a)MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(b)CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む抗体;
(c)MOV18抗体;
(d)MOV18抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(e)548908抗体;
(f)548908抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(g)6D398抗体;
(h)6D398抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(i)26B3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(j)CDRH1として配列番号55(GYFMN)、CDRH2として配列番号56(RIFPYNGDTFYNQKFKG)、CDRH3として配列番号57(GTHYFDY)、CDRL1として配列番号51(RTSENIFSYLA)、CDRL2として配列番号52(NAKTLAE)およびCDRL3として配列番号53(QHHYAFPWT)を含む抗体;
(k)26B3抗体;
(l)19D4抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(m)CDRH1として配列番号39(HPYMH)、CDRH2として配列番号40(RIDPANGNTKYDPKFQG)、CDRH3として配列番号41(EEVADYTMDY)、CDRL1として配列番号35(RASESVDTYGNNFIH)、CDRL2として配列番号36(LASNLES)およびCDRL3として配列番号37(QQNNGDPWT)を含む抗体;
(n)19D4抗体;
(o)9F3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(p)CDRH1として配列番号31(SGYYWN)、CDRH2として配列番号32(YIKSDGSNNYNPSLKN)、CDRH3として配列番号33(EWKAMDY)、CDRL1として配列番号27(RASSTVSYSYLH)、CDRL2として配列番号28(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号29(QQYSGYPLT)を含む抗体;
(q)9F3抗体;
(r)24F12抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(s)CDRH1として配列番号47(SYAMS)、CDRH2として配列番号48(EIGSGGSYTYYPDTVTG)、CDRH3として配列番号49(ETTAGYFDY)、CDRL1として配列番号43(SASQGINNFLN)、CDRL2として配列番号44(YTSSLHS)およびCDRL3として配列番号45(QHFSKLPWT)を含む抗体;
(t)24F12抗体;
(u)LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む抗体;
(v)LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVH FAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む抗体;
(w)重鎖可変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;
(x)重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;ならびに
(y)重鎖可変領域LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体。
【0053】
特定の実施形態において、抗体は、MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する。別の実施形態において、抗体は、CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む。別の実施形態において、抗体はMOV18抗体である。なお別の実施形態において、抗体は、MOV18抗体と同じエピトープに結合する。さらなる実施形態において、抗体は、LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVHFAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む。ある種の実施形態において、抗体は、(i)重鎖改変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);または重鎖可変領配LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)と軽鎖可変領配LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む。
【0054】
特定の実施形態において、対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAB−003抗体;(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体;(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体;および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体からなる群から選択される一対の抗体と接触させることによって評価される。
【0055】
ある種の実施形態において、抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、アフィボディ、アビマー、バーサボディ、ナノボディおよびドメイン抗体からなる群から選択される。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、例えば、放射性標識、ビオチン標識、発色団標識、蛍光色素標識または酵素標識からなる群から選択される標識で標識される。
【0056】
ある種の実施形態において、FRαのレベルは、ウェスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光分析、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散法、溶液相アッセイ、電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)およびELISAアッセイからなる群から選択される技術を用いることによって決定される。
【0057】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、対照試料は、健常対象におけるFRαの標準化された対照レベルである。別の実施形態において、対照試料は、対象から予め得られた試料である。
【0058】
ある種の実施形態において、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前にグアニジンで処理される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に希釈される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に、遠心分離され、ボルテックスされまたはその両方である。
【0059】
対象がMORAb−003治療に応答するかどうかを予測するための方法
一態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌などのFRα発現癌を患っている対象がMORAb−003による治療に応答するかどうかを、対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;対象由来の試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって予測する方法を提供し、対象由来の試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルの間の差は、対象がMORAb−003による治療に応答するという指標である。
【0060】
一態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌などのFRα発現癌を患っている対象がMORAb−003による治療に応答するかどうかを、対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;対象由来の尿試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって予測する方法を提供し、対象由来の尿試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルの間の差は、対象がMORAb−003による治療に応答するという指標である。
【0061】
さらなる態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌などのFRα発現癌を患っている対象がMORAb−003による治療に応答するかどうかを、対象由来の血清試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;対象由来の血清試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって予測する方法を提供し、対象由来の血清試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルの間の差は、対象がMORAb−003による治療に応答するという指標である。
【0062】
さらなる実施形態において、FRα発現癌は、肺癌、中皮腫、卵巣癌、腎臓癌、脳癌、子宮頸癌、鼻咽腔癌、頭頸部の扁平上皮癌腫、子宮内膜癌、乳癌、膀胱癌、膵臓癌、骨癌、下垂体癌、結腸直腸癌および甲状腺髄様癌からなる群から選択される。特定の実施形態において、FRα発現癌は卵巣癌である。別の実施形態において、FRα発現肺癌は非小細胞肺癌、例えば腺癌である。
【0063】
さらなる態様において、本発明は、卵巣癌を患っている対象がMORAb−003による治療に応答するかどうかを、対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定することによって予測する方法を提供し、約9100pg/mlを超える濃度での尿試料における細胞に結合しないFRαの存在は、対象がMORAb−003による治療に応答するという指標である。
【0064】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、約9500pg/mL超、約10,000pg/mL超、約11,000pg/mL超、約12,000pg/mL超、約13,000pg/mL超、約14,000pg/mL超、約15,000pg/mL超、約16,000pg/mL超、約17,000pg/mL超、約18,000pg/mL超、約19,000pg/mL超または約20,000pg/mL超の濃度での尿試料におけるFRαの存在は、対象が卵巣癌に罹患しているという指標である。
【0065】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、FRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって決定される。例えば、抗体は、下記からなる群から選択される。
(a)MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(b)CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む抗体;
(c)MOV18抗体;
(d)MOV18抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(e)548908抗体;
(f)548908抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(g)6D398抗体;
(h)6D398抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(i)26B3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(j)CDRH1として配列番号55(GYFMN)、CDRH2として配列番号56(RIFPYNGDTFYNQKFKG)、CDRH3として配列番号57(GTHYFDY)、CDRL1として配列番号51(RTSENIFSYLA)、CDRL2として配列番号52(NAKTLAE)およびCDRL3として配列番号53(QHHYAFPWT)を含む抗体;
(k)26B3抗体;
(l)19D4抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(m)CDRH1として配列番号39(HPYMH)、CDRH2として配列番号40(RIDPANGNTKYDPKFQG)、CDRH3として配列番号41(EEVADYTMDY)、CDRL1として配列番号35(RASESVDTYGNNFIH)、CDRL2として配列番号36(LASNLES)およびCDRL3として配列番号37(QQNNGDPWT)を含む抗体;
(n)19D4抗体;
(o)9F3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(p)CDRH1として配列番号31(SGYYWN)、CDRH2として配列番号32(YIKSDGSNNYNPSLKN)、CDRH3として配列番号33(EWKAMDY)、CDRL1として配列番号27(RASSTVSYSYLH)、CDRL2として配列番号28(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号29(QQYSGYPLT)を含む抗体;
(q)9F3抗体;
(r)24F12抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(s)CDRH1として配列番号47(SYAMS)、CDRH2として配列番号48(EIGSGGSYTYYPDTVTG)、CDRH3として配列番号49(ETTAGYFDY)、CDRL1として配列番号43(SASQGINNFLN)、CDRL2として配列番号44(YTSSLHS)およびCDRL3として配列番号45(QHFSKLPWT)を含む抗体;
(t)24F12抗体;
(u)LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む抗体;
(v)LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVH FAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む抗体;
(w)重鎖可変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;
(x)重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;ならびに
(y)重鎖可変領域LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体。
【0066】
特定の実施形態において、抗体は、MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する。別の実施形態において、抗体は、CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む。別の実施形態において、抗体はMOV18抗体である。なお別の実施形態において、抗体は、MOV18抗体と同じエピトープに結合する。さらなる実施形態において、抗体は、LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVHFAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む。ある種の実施形態において、抗体は、(i)重鎖改変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);または重鎖可変領配LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)と軽鎖可変領配LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む。
【0067】
特定の実施形態において、対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAB−003抗体;(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体;(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体;および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体からなる群から選択される一対の抗体と接触させることによって評価される。
【0068】
ある種の実施形態において、抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、アフィボディ、アビマー、バーサボディ、ナノボディおよびドメイン抗体からなる群から選択される。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、例えば、放射性標識、ビオチン標識、発色団標識、蛍光色素標識または酵素標識からなる群から選択される標識で標識される。
【0069】
ある種の実施形態において、FRαのレベルは、ウェスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光分析、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散法、溶液相アッセイ、電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)およびELISAアッセイからなる群から選択される技術を用いることによって決定される。
【0070】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、対照試料は、健常対象におけるFRαの標準化された対照レベルである。
【0071】
ある種の実施形態において、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前にグアニジンで処理される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に希釈される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に、遠心分離され、ボルテックスされまたはその両方である。
【0072】
さらなる態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌などのFRα発現癌を患っている対象がMORAb−003による治療に応答するかどうかを、対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって予測する方法を提供し、対象由来の試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルの間の差は、対象がMORAb−003による治療に応答するという指標であり、対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAB−003抗体;(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体;(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体;および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体と接触させることによって評価される。例えば、試料は、尿、血清、血漿または腹水であってもよい。
【0073】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、治療のためのMORAb−003は、(a)配列番号7に記載の重鎖アミノ酸配列および配列番号8に記載の軽鎖アミノ酸配列を含む抗体;(b)MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する抗体;または(c)CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む抗体である。
【0074】
卵巣癌または肺癌を有する対象を治療するための方法
別の態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌を有する対象を、前記対象由来の試料(例えば、尿、血清、血漿または腹水)において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較し;治療有効量のMORAb−003を前記対象に投与することによって治療する方法を提供し、前記対象由来の試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルとの間の差は、対象が卵巣癌または肺癌に罹患しているという指標である。
【0075】
別の態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌を有する対象を、前記対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較し;治療有効量のMORAb−003を対象に投与することによって治療する方法を提供し、前記対象由来の尿試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαレベルの間の差は、対象が卵巣癌または肺癌に罹患しているという指標である。
【0076】
別の態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌を有する対象を、前記対象由来の血清試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較し;治療有効量のMORAb−003を前記対象に投与することによって治療する方法を提供し、前記対象由来の血清試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルの間の差は、対象が卵巣癌または肺癌に罹患しているという指標である。
【0077】
さらなる態様において、本発明は、卵巣癌を患っている対象を、対象由来の尿試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;治療有効量のMORAb−003を前記対象に投与することによって治療する方法を提供し、約9100pg/mlを超える濃度での尿試料における細胞に結合しないFRαの存在は、対照がMORAb−003による治療に応答するという指標である。
【0078】
特定の実施形態において、前記対象に由来する試料において、細胞に結合しないFRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって評価される。
【0079】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、約9500pg/mL超、約10,000pg/mL超、約11,000pg/mL超、約12,000pg/mL超、約13,000pg/mL超、約14,000pg/mL超、約15,000pg/mL超、約16,000pg/mL超、約17,000pg/mL超、約18,000pg/mL超、約19,000pg/mL超または約20,000pg/mL超の濃度での尿試料におけるFRαの存在は、対象が卵巣癌に罹患しているという指標である。
【0080】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、FRαのレベルは、試料をFRαに結合する抗体と接触させることによって決定される。例えば、抗体は、下記からなる群から選択される。
(a)MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(b)CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む抗体;
(c)MOV18抗体;
(d)MOV18抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(e)548908抗体;
(f)548908抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(g)6D398抗体;
(h)6D398抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(i)26B3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(j)CDRH1として配列番号55(GYFMN)、CDRH2として配列番号56(RIFPYNGDTFYNQKFKG)、CDRH3として配列番号57(GTHYFDY)、CDRL1として配列番号51(RTSENIFSYLA)、CDRL2として配列番号52(NAKTLAE)およびCDRL3として配列番号53(QHHYAFPWT)を含む抗体;
(k)26B3抗体;
(l)19D4抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(m)CDRH1として配列番号39(HPYMH)、CDRH2として配列番号40(RIDPANGNTKYDPKFQG)、CDRH3として配列番号41(EEVADYTMDY)、CDRL1として配列番号35(RASESVDTYGNNFIH)、CDRL2として配列番号36(LASNLES)およびCDRL3として配列番号37(QQNNGDPWT)を含む抗体;
(n)19D4抗体;
(o)9F3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(p)CDRH1として配列番号31(SGYYWN)、CDRH2として配列番号32(YIKSDGSNNYNPSLKN)、CDRH3として配列番号33(EWKAMDY)、CDRL1として配列番号27(RASSTVSYSYLH)、CDRL2として配列番号28(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号29(QQYSGYPLT)を含む抗体;
(q)9F3抗体;
(r)24F12抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(s)CDRH1として配列番号47(SYAMS)、CDRH2として配列番号48(EIGSGGSYTYYPDTVTG)、CDRH3として配列番号49(ETTAGYFDY)、CDRL1として配列番号43(SASQGINNFLN)、CDRL2として配列番号44(YTSSLHS)およびCDRL3として配列番号45(QHFSKLPWT)を含む抗体;
(t)24F12抗体;
(u)LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む抗体;
(v)LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVH FAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む抗体;
(w)重鎖可変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;
(x)重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;ならびに
(y)重鎖可変領域LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体。
【0081】
特定の実施形態において、抗体は、MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する。別の実施形態において、抗体は、CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む。別の実施形態において、抗体はMOV18抗体である。なお別の実施形態において、抗体は、MOV18抗体と同じエピトープに結合する。さらなる実施形態において、抗体は、LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVHFAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む。ある種の実施形態において、抗体は、(i)重鎖改変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)と軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16);または重鎖可変領配LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)と軽鎖可変領配LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む。
【0082】
特定の実施形態において、前記対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAB−003抗体;(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体;(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体;および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体からなる群から選択される一対の抗体と接触させることによって評価される。
【0083】
ある種の実施形態において、抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、Fab、Fab’2、ScFv、SMIP、アフィボディ、アビマー、バーサボディ、ナノボディおよびドメイン抗体からなる群から選択される。または、あるいはそれと組み合わせて、抗体は、例えば、放射性標識、ビオチン標識、発色団標識、蛍光色素標識または酵素標識からなる群から選択される標識で標識される。
【0084】
ある種の実施形態において、FRαのレベルは、ウェスタンブロット分析、ラジオイムノアッセイ、免疫蛍光分析、免疫沈降、平衡透析、免疫拡散法、溶液相アッセイ、電気化学発光イムノアッセイ(ECLIA)およびELISAアッセイからなる群から選択される技術を用いることによって決定される。
【0085】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、対照試料は、健常対象におけるFRαの標準化された対照レベルである。
【0086】
ある種の実施形態において、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前にグアニジンで処理される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に希釈される。または、あるいはそれと組み合わせて、試料は、試料におけるFRαのレベルを決定する前に、遠心分離され、ボルテックスされまたはその両方である。
【0087】
さらなる態様において、本発明は、卵巣癌または肺癌を患っている対象を、対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定し;試料における細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルと対照試料におけるFRαのレベルを比較することによって治療する方法を提供し、対象由来の試料におけるFRαのレベルと対照試料におけるFRαのレベルの間の差は、対象がMORAb−003による治療に応答するという指標であり;対象由来の試料におけるFRαのレベルは、試料を(a)固体支持体に固定されたMOV18抗体と標識されたMORAB−003抗体;(b)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された24F12抗体;(c)固体支持体に固定された26B3抗体と標識された19D4抗体;および(d)固体支持体に固定された9F3抗体と標識された26B3抗体と接触させることによって評価される。例えば、試料は、尿、血清、血漿または腹水であってもよい。
【0088】
本発明の前述の態様の種々の実施形態において、治療のためのMORAb−003は、(a)配列番号7に記載の重鎖アミノ酸配列および配列番号8に記載の軽鎖アミノ酸配列を含む抗体;(b)MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する抗体;または(c)CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む抗体である。
【0089】
本発明のキット
一態様において、本発明は、対象がFRα発現癌に罹患しているかどうかを評価するためのキットまたは対象におけるFRα発現癌の進行を評価するためのキットであって、対象由来の試料において、細胞に結合しない葉酸受容体アルファ(FRα)のレベルを決定するための手段;および対象がFRα発現癌に罹患しているかどうかを評価する、またはFRα発現癌の進行を評価するキットを使用するための使用説明書を含むキットを提供する。例えば、FRα発現癌は、肺癌、中皮腫、卵巣癌、腎臓癌、脳癌、子宮頸癌、鼻咽腔癌、頭頸部の扁平上皮癌腫、子宮内膜癌、乳癌、膀胱癌、膵臓癌、骨癌、下垂体癌、結腸直腸癌および甲状腺髄様癌からなる群から選択される。特定の実施形態において、FRα発現癌は卵巣癌である。なお別の実施形態において、FRα発現癌は、非小細胞肺癌、例えば腺癌である。さらなる実施形態において、試料は、尿、血清、血漿または腹水のいずれかである。
【0090】
さらなる実施形態において、手段は、葉酸受容体アルファ(FRα)結合剤、例えば抗体を含む。さらなる実施形態において、抗体は、下記からなる群から選択される。
(a)MORAb−003抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(b)CDRH1として配列番号1(GFTFSGYGLS)、CDRH2として配列番号2(MISSGGSYTYYADSVKG)、CDRH3として配列番号3(HGDDPAWFAY)、CDRL1として配列番号4(SVSSSISSNNLH)、CDRL2として配列番号5(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号6(QQWSSYPYMYT)を含む抗体;
(c)MOV18抗体;
(d)MOV18抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(e)548908抗体;
(f)548908抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(g)6D398抗体;
(h)6D398抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(i)26B3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(j)CDRH1として配列番号55(GYFMN)、CDRH2として配列番号56(RIFPYNGDTFYNQKFKG)、CDRH3として配列番号57(GTHYFDY)、CDRL1として配列番号51(RTSENIFSYLA)、CDRL2として配列番号52(NAKTLAE)およびCDRL3として配列番号53(QHHYAFPWT)を含む抗体;
(k)26B3抗体;
(l)19D4抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(m)CDRH1として配列番号39(HPYMH)、CDRH2として配列番号40(RIDPANGNTKYDPKFQG)、CDRH3として配列番号41(EEVADYTMDY)、CDRL1として配列番号35(RASESVDTYGNNFIH)、CDRL2として配列番号36(LASNLES)およびCDRL3として配列番号37(QQNNGDPWT)を含む抗体;
(n)19D4抗体;
(o)9F3抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(p)CDRH1として配列番号31(SGYYWN)、CDRH2として配列番号32(YIKSDGSNNYNPSLKN)、CDRH3として配列番号33(EWKAMDY)、CDRL1として配列番号27(RASSTVSYSYLH)、CDRL2として配列番号28(GTSNLAS)およびCDRL3として配列番号29(QQYSGYPLT)を含む抗体;
(q)9F3抗体;
(r)24F12抗体と同じエピトープに結合する抗体;
(s)CDRH1として配列番号47(SYAMS)、CDRH2として配列番号48(EIGSGGSYTYYPDTVTG)、CDRH3として配列番号49(ETTAGYFDY)、CDRL1として配列番号43(SASQGINNFLN)、CDRL2として配列番号44(YTSSLHS)およびCDRL3として配列番号45(QHFSKLPWT)を含む抗体;
(t)24F12抗体;
(u)LK26HuVK(配列番号13);LK26HuVKY(配列番号14);LK26HuVKPW(配列番号15);およびLK26HuVKPW,Y(配列番号16)からなる群から選択される可変領域軽鎖を含む抗体;
(v)LK26HuVH(配列番号17);LK26HuVH FAIS,N(配列番号18);LK26HuVH SLF(配列番号19);LK26HuVH I,I(配列番号20);およびLK26KOLHuVH(配列番号21)からなる群から選択される可変領域重鎖を含む抗体;
(w)重鎖可変領域LK26KOLHuVH(配列番号21)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;
(x)重鎖可変領域LK26HuVH SLF(配列番号19)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体;ならびに
(y)重鎖可変領域LK26HuVH FAIS,N(配列番号18)および軽鎖可変領域LK26HuVKPW,Y(配列番号16)を含む抗体。
【0091】
ある種の実施形態において、抗体は標識され、限定されないが、放射性標識、ビオチン標識、発色団標識、蛍光色素標識または酵素標識が挙げられる。
【0092】
なお別の実施形態において、キットは、対象由来の試料を得るための手段を含む。
【0093】
本発明は、以下の詳細な説明および図面によってさらに例示される。