【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、空気式車両用タイヤに関する前述の目的は、分離層がシーラントと内部吸収体との間に配置されることと、分離層が、封止するのに十分なシーラントの流動性と、さらに、内部吸収体の確実な付着とを保証するように作製されることとで達成される。
【0006】
本発明によれば、シーラントの流動特性は、シーラントと内部吸収体との間に配置された分離層によってプラスの影響を受ける。その結果、シーラントは、確実な態様で封止することができる。
【0007】
内部吸収体は、連続気泡発泡体からなるのが好ましく、代替案として、内部吸収体は、ガラスウール、コルク、または合成繊維(フリース)、あるいは前述の材料の2つ以上の組み合わせからなる。
【0008】
内部吸収体は、単一体として形成された、または環状セグメントの形態の2つ以上の個々の要素からなるほぼ環状の構成要素であるのが好ましい。
【0009】
分離層は、単一体でできているか、または重なった、もしくは離間した個々のセグメントでできている。
【0010】
本発明の特定の実施形態では、分離層は、コーティングが施されたフィルムである。好ましくは、フィルムまたはフィルムのコーティングは、シリコーンまたはPTFE(フッ素化炭化水素化合物、例えば、ペルフルオロオクタン酸)系であるか、あるいはオイルまたは様々な油脂タイプからなるか、あるいは紙(例えば、硫酸紙、ベーキングシート)または(人工繊維および/または天然繊維で構成された)布地からなる。
【0011】
シリコーンは、比較的高温において有効であり、他の材料は価格的に有利である。
【0012】
作用形態は、表面の封止および静止摩擦の低減である。
【0013】
分離層が、片側、好ましくはシーラントに対向する側で非付着性を有するならば有益である。あるいは、分離層は、両側で非付着性を有する。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態では、分離層は、例えば、塗料およびワニス、溶射被膜、剥離剤(例えば、離型剤)などの液体として塗布された材料である。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態では、分離層は、例えば、粉体などの、固相から塗布された材料である。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態では、分離層は、例えば、凝縮物などの、気相から塗布された材料であるか、または化学反応によって材料面に結合される。
【0017】
この形状に無関係の塗布方法の利点は、切断、再成形、および位置決めがないことである。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、分離層は、例えば、ゴムの木の葉などの有機材料からなる。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態では、表面は、その構造により非付着性(ロータスリーフ効果)を有する。
【0020】
本発明のさらなる実施形態では、分離層は、粉体層または小プレート(tiny plate)層であり、前記小プレートは、その平面状伸長部が、層に対してほぼ平行であるように向けられる。1つの利点は、注入または内部吹き付けし、必要に応じて、次に、例えば、吸引または排出によって余分な材料を除去することにより、簡単に配置できることである。可能な材料として、熱硬化性または熱可塑性などのプラスチック、あるいは金属がある。別の利点として、個々の小プレートの互いに対する滑り性があり、この滑り性は、シーラントの流動特性に付加的なプラスの影響を及ぼす。
【0021】
分離層が開口を有するならば有益であり、内部吸収体は、その開口によって一部が結合剤に直接載り、したがって、シーラントと直接的に接着接触する。内部吸収体に対向する分離層面に別の接着性コーティングは不要である。
【0022】
この場合に、開口が、内部吸収体の表面積に対して、合計で2%〜50%の面積、好ましくは5〜30%の面積、特に好ましくは10〜15%の面積を占めるならば有用である。特定の実施形態では、開口は、分離層の領域にわたって均一に分布するように配置される。内部吸収体の表面積とはタイヤに対向する面積である。それにより、封止特性に及ぼす内部吸収体の影響が、最小限まで低減される。
【0023】
分離層の平面図において、開口が、途切れのない、または突き抜けた態様の円形、長円形、および/または細長いスリット状の形状を有するならば有益であり、分離層のスリットは、長手方向、横方向、または概ね斜方向に配置される。開口の寸法を適切にすることで、確実に封止するための十分な流動性が材料にもたらされ、同時に、発泡体のための十分な接着力がもたらされる。
【0024】
分離層が、内部吸収体に対向する面に接着性を付与されるならば有用であり、前記接着性は、例えば、分離層をゴム状化するなどの適切な表面処理、さらなる接着剤の塗布、例えば、ベルクロなどの機械的結合、またはそれらの組み合わせによって得られるのが好ましい。接着剤は、分離層に吹き付けて、散布して、両面粘着テープとして、または、例えば、支持材料上の純粋な接着剤層として貼り付けて、前もって組み込んだ形で供給することができる。
【0025】
分離層が、2.0mm以下の最大厚さ、好ましくは0.05mm〜0.5mmの厚さを有するならば有用である。厚さは、タイヤに配置された状態で半径方向に測定される。
【0026】
内部吸収体が、10mm以上の半径方向厚さ、好ましくは20mm〜40mmの厚さを有するならば有益である。
【0027】
分離層は、シーラント層の幅以上の幅を有する。1つの利点は、粘着性のシーラント層を完全に覆うことである。
【0028】
代替の実施形態では、分離層は、シーラント層の幅と内部吸収体の幅との間である幅を有する。1つの利点は、起こり得る材料ばらつき、および/または製造ばらつきを補償することである。
【0029】
さらなる代替の実施形態では、分離層は、内部吸収体の幅と概ね一致する幅を有する。1つの利点は、材料の節約であり、したがって、重量の節減である。
【0030】
さらに別の代替実施形態では、分離層は、内部吸収体よりも狭い幅を有する。この場合に、1つの利点は、縁部でシーラントに作用する内部吸収体の接着効果が改善されることである。
【0031】
説明したすべての実施形態において、シーラント層は、内部吸収体よりも幅広であるか、幅狭であるか、または全く同じ幅であり得る。
【0032】
分離層がシーラントに直接載った領域におけるシーラント層の厚さが、1mm〜5mm、好ましくは1.5mm〜3.5mmであるならば有用である。先行技術では、シーラントの厚さは約7mmである。本発明に従ってシーラントの厚さを大幅に低減することで、コスト的に有利になる。
【0033】
シーラントの厚さが、例えば、開口の領域において、より厚くなっている、または起伏が付いているなど、局所的に変化するならば有用である。
【0034】
自己封止式のシーラントであり、少なくとも、タイヤの内側面にシーラントを塗布した直後に、内部吸収体がシーラントに押し付けられ、ひいては接着によってシーラントに結合され得るような十分な粘着性をもつすべてのシーラントが、本発明において使用可能である。したがって、例えば、ポリウレタン系シーラント、またはブチルゴム系、ポリブテン系、もしくはシリコーン系の粘性混合物であるシーラントが適している。
【0035】
本発明によれば、分離層は、例えば、以下の表の通りに設計することができる。
【0036】
【表1】
【0037】
先行技術によれば、シーラントが、最初に内側層に塗布され、次いで、完成したタイヤにおいて、内部吸収体が、接着によってシーラントに取り付けられる。
【0038】
本発明によれば、分離層が、内部吸収体の前にシーラントに貼り付けられるか、または内部吸収体と共に貼り付けられる、あるいは内部吸収体が分離層およびシーラントと共に前もって組み立てられて、構成要素としてタイヤに導入される。
【0039】
本発明のさらなる特徴、利点、および細部が、図面を参照して以下にさらに詳細に説明される。図面は、先行技術の例示的な実施形態だけでなく、発明の概略的な例示的実施形態も示している。