(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を、
図1〜
図5を用いて詳細に説明する。
【0013】
<ヘッドアップディスプレイ>
図1は、実施の形態1におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示す図である。以下、運転者から見ての上下方向を背景画像1203および表示要素1204の上下方向として説明し、運転者から見ての左右方向を背景画像1203および表示要素1204の左右方向として説明する。
【0014】
図1に示されるように、表示光11が投影される透過部材であるフロントガラス120は、外側ガラス1200と、内側ガラス1202と、外側ガラス1200と内側ガラス1202とにより挟まれる中間膜1201とが互いに接合されることで構成される。フロントガラス120は、例えば、自車両を運転する運転者の前方に位置する。
【0015】
ヘッドアップディスプレイが、例えばナビゲーション装置に組み込まれる場合、その動作は、以下の通りである。例えばナビゲーション装置における表示要素(速度や各種警告表示など)1204と、表示要素1204の背景である背景画像1203とが、フロントガラス120に投影される。フロントガラス120に投影される背景画像1203と、表示要素1204とは、フロントガラス120で反射され、運転者の瞳1205に入射する。そして、
表示装置10とミラー装置20とは、例えば、ダッシュボードの内部に格納される。表示装置10は、拡散板110と、光源であるプロジェクター100とを有する。拡散板110は、プロジェクター100から照射される光を表示光11へと拡散調形する。
【0016】
そして、表示装置10は、背景画像1203と、表示要素1204とを、自車両のフロントガラス120に投影させるための表示光11を生成し、生成した表示光11をミラーなどで構成されるミラー装置20へと出射する。
【0017】
表示装置10が出射した表示光11は、ミラー装置20へ照射される。その後、ミラー装置20へ照射された表示光11はフロントガラス120に向けて反射される。そして、ミラー装置20により反射される表示光11は、フロントガラス120へと入射する。
【0018】
フロントガラス120へ入射した表示光11は、フロントガラス120により反射されることで瞳1205に入射する。これによって、運転者は、背景画像1203と、ナビゲーション装置における経路情報などからなる表示要素1204とを、自車両の前方の風景と重ねて視認できる。
【0019】
図2は、実施の形態1におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示すブロック図である。
図2に示されるように、ヘッドアップディスプレイは、表示装置10と、ミラー装置20と、表示制御装置30とを有する。
【0020】
表示制御装置30は、映像処理部3000と、部分ミラー制御部3100とを有する。表示制御装置30には、背景画像1203と表示要素1204とを、投影するための画像データが入力される。
【0021】
表示制御装置30の映像処理部3000は、入力された画像データに基づき、背景画像1203と表示要素1204とからなる投影画像を生成し、生成した投影画像を表示装置10に入力する。また、映像処理部3000は、入力された画像データに基づき、表示要素1204を投影するための表示光11のうち、表示要素表示光301がミラー装置20に照射される領域である表示要素照射領域を算出する。そして、映像処理部3000は、算出した表示要素照射領域を表示制御装置30の部分ミラー制御部3100に入力する。
【0022】
表示装置10は、映像表示部1000を有する。表示装置10の映像表示部1000は、表示制御装置30から入力された投影画像を投影するための表示光11を生成し、生成した表示光11を、ミラー装置20へ出射する。
【0023】
複数の部分ミラー2000から構成されるミラー装置20は、表示装置10により出射された背景画像表示光302(表示光11に含まれる)と表示要素表示光301(表示光11に含まれる)とをフロントガラスに反射させる。
【0024】
図3(a)、
図3(b)は、実施の形態1におけるミラー装置20の構成例の概要を示す図である。
【0025】
図3(a)、
図3(b)に示されるように、ミラー装置20の各領域は、格子状に分割される。そして、分割された各領域は、部分ミラー2000として機能する。ミラー装置20には、背景画像1203と表示要素1204とを投影させるための表示光11が照射される。各部分ミラー2000は、照射される表示光11を反射する反射状態または照射される表示光11を透過する透過状態で動作する。
【0026】
詳細には、ミラー装置20は、表示装置10から出射された表示光11を、フロントガラス120へ反射する。なお、ミラー装置20のうち、透過状態の部分ミラー2000は、照射された表示光11を透過し、反射状態の部分ミラー2000は、照射された表示光11を反射する。
【0027】
図3(a)、
図3(b)に示されるように、表示要素1204を投影するための表示光11である表示要素表示光301が照射されている部分ミラー2000は、反射状態で動作し、照射された表示光11を反射する。一方、
図3(b)に示されるように、表示要素1204が照射されていない部分ミラー2000は、透過状態で動作し、照射された表示光11を透過する。すなわち、背景画像1203を投影するための表示光11である背景画像表示光302のみが照射される部分ミラー2000は、透過状態で動作し、照射された表示光11を、反射することなく透過する。
【0028】
図3(a)に示される例では、ミラー装置20を構成するすべての部分ミラー2000に表示要素表示光301が照射されている。そして、ミラー装置20を構成するすべての部分ミラー2000が、照射される表示光11をフロントガラス120に反射させる。
【0029】
一方、
図3(b)に示される例では、表示要素表示光301が照射される部分ミラー2000と、表示要素表示光301が、一切、照射されない部分ミラー2000とが存在する。そして、表示要素表示光301が照射される部分ミラー2000は反射状態で動作し、照射される表示光11のうち表示要素表示光301を反射する。一方、表示要素表示光301が照射されない部分ミラー2000は、透過状態で動作し、照射される表示光11のうち背景画像表示光302を透過する。
【0030】
図4(a)、
図4(b)は、実施の形態1におけるヘッドアップディスプレイによりフロントガラス120に投影される背景画像1203と表示要素1204との例を示す図である。
図4(a)は、
図3(a)に示されるミラー装置20により反射された表示光11が、フロントガラス120に投影された状態を示す。また、
図4(b)は、
図4(a)に示されるミラー装置20により反射された表示光11が、フロントガラス120に投影された状態を示す。
【0031】
図3(b)に示される例にて、表示光11を反射する部分ミラー2000の数は、
図3(a)に示される例にて、表示光11を反射する部分ミラー2000の数よりも少ない。そのため、
図4(a)、
図4(b)にて示されるように、
図3(b)にて反射される表示光11により投影される背景画像1203の面積は、
図3(a)にて反射される表示光11により投影される背景画像1203の面積よりも小さくなる。これによって、表示要素1204を表示しつつ、不必要な背景画像1203の面積を小さくでき、背景画像が投影される領域の後方の風景の視認性を向上できる。
【0032】
<全体処理>
図5は、実施の形態1におけるヘッドアップディスプレイの全体処理の概要を示す図である。
【0033】
まず、S501にて、表示制御装置30に、背景画像1203と、ナビゲーション装置における経路情報や速度や各種警告表示などからなる表示要素1204とを、投影する表示光11を生成するための画像データが入力される。
【0034】
次に、S502にて、表示制御装置30の映像処理部3000は、S501にて入力された画像データに基づき、表示要素表示光301がミラー装置20に照射される領域である表示要素照射領域を特定する。
【0035】
次に、S503にて、映像処理部3000は、S502にて算出した表示要素照射領域を表示制御装置30の部分ミラー制御部3100に入力する。
【0036】
次に、S504にて、部分ミラー制御部3100は、S503にて入力された表示要素照射領域に基づいて、各部分ミラー2000の状態を切替える。詳細には、部分ミラー制御部3100は、表示要素照射領域と重なる領域に設けられる部分ミラー2000を反射状態で動作させる。一方、部分ミラー制御部3100は、表示要素照射領域と重ならない領域に設けられる部分ミラー2000を透過状態で動作させる。
【0037】
次に、S505にて、表示制御装置30は、S501にて入力された画像データに基づき、投影画像を生成し、生成した投影画像を表示装置10へ入力する。
【0038】
次に、S506にて、表示装置10は、S505にて入力された投影画像に基づき、表示光11を生成し、生成した表示光11を、ミラー装置20へ出射する。
【0039】
次に、S507にて、ミラー装置20は、S506にて出射された表示光11を、フロントガラス120へ反射する。なお、ミラー装置20のうち、透過状態の部分ミラー2000は、照射された表示光11のうち背景画像表示光302を透過し、反射状態の部分ミラー2000は、照射された表示光11のうち表示要素表示光301を反射する。
【0040】
<実施の形態1の効果>
以上説明した実施の形態1によれば、表示制御装置30が、表示装置10から出射された表示要素表示光301が照射される部分ミラー2000を、照射される表示光11を反射する反射状態で動作させ、表示要素表示光301が照射されない部分ミラー2000を、照射される表示光11を透過する透過状態で動作させることで、背景画像が投影される領域の後方の風景の視認性を向上できる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、ミラー装置が、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラー装置40である点で、実施の形態1と異なる。以下、本発明の実施の形態2を、実施の形態1と異なる点を主に、
図6〜
図10を用いて詳細に説明する。
【0041】
<ヘッドアップディスプレイ>
図6は、実施の形態2におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示すブロック図である。
図6に示されるように、ヘッドアップディスプレイは、表示装置10と、MEMSミラー装置40と、表示制御装置30とを有する。
【0042】
表示制御装置30は、映像処理部3000と、部分ミラー制御部3100とを有する。
【0043】
表示制御装置30の映像処理部3000は、入力された画像データに基づき、表示要素1204を投影するための表示光11のうち表示要素表示光301がミラー装置20に照射される領域である表示要素照射領域を算出する。そして、映像処理部3000は、算出した表示要素照射領域を表示制御装置30の部分ミラー制御部3100に入力する。映像処理部3000は、算出した表示要素照射領域を表示制御装置30の部分ミラー制御部3100に入力する。
【0044】
表示装置10は、入力された投影画像に基づき生成した表示光11を、MEMSミラー装置40へ出射する。
【0045】
MEMSミラー装置40は、複数のマイクロミラー4000から構成される。MEMSミラー装置40は、表示装置10から出射された表示光11を、フロントガラス120へ反射する。
【0046】
図7は、実施の形態2におけるMEMSミラー装置40の構成例の概要を示す斜視図である。
【0047】
図7に示されるように、MEMSミラー装置40は、矩形状の複数のマイクロミラー4000が、格子状に基台4030に設けられることで構成される。各マイクロミラー4000は、第1の可動軸4010と、第1の可動軸4010と直交する第2の可動軸4020とを支点に揺動自在に構成される。マイクロミラー4000は、第1の可動軸4010と第2の可動軸4020とを支点に揺動させることで、基台4030の上面に対する傾きを変更できる。これによって、表示光11を反射させる方向を変更させられる。ここでは可動軸を2つの場合で説明しているが、1つでも問題はなくこの限りではない。
【0048】
実施の形態2では、各マイクロミラー4000が、表示要素1204が表示される表示要素表示領域については運転者に視認される傾きへと変更させる。また、背景画像が表示される背景画像表示領域については運転者に視認されない傾きへと変更させる。すなわち、表示制御装置30は、背景画像表示光302が照射されるマイクロミラー4000の基台4030に対する傾きへ、背景画像が運転者に視認されない傾きへ変更させる。
【0049】
部分ミラー制御部3100は、入力された表示要素照射領域に基づいて、各マイクロミラー4000の傾きを変更する。詳細には、部分ミラー制御部3100は、表示要素1204を投影するための表示光11のうち表示要素表示光301が照射されるマイクロミラー4000については、表示要素表示光301が運転者の瞳1205に入射される傾きへ変更させる。例えば、基台4030の上面と平行する傾きである。一方、部分ミラー制御部3100は、背景画像1203を投影するための表示光11のうち背景画像表示光302のみが照射されるマイクロミラー4000については、背景画像表示光302が運転者の瞳1205に入射されない傾きへ変更させる。例えば、基台4030の上面と平行する傾き以外の傾きである。これによって、基台4030の上面と平行する傾き以外の傾きへ変更させられたマイクロミラー4000は、背景画像表示光302を、背景画像が運転者へ視認されない方向へ反射させる。
【0050】
図8は、実施の形態2におけるMEMSミラー装置40のマイクロミラー4000が基台4030の上面と平行する状態における、フロントガラス120に投影される背景画像1203と表示要素1204との例を示す図である。
図9は、実施の形態2におけるMEMSミラー装置40のマイクロミラー4000の傾きが変更させられた場合における、フロントガラス120に投影される表示要素1204との例を示す図である。
【0051】
図8に示されるように、すべてのマイクロミラー4000が基台4030の上面と平行する状態の場合、運転者は、背景画像1203と表示要素1204とを視認する。
【0052】
一方、
図9に示されるように、MEMSミラー装置40のマイクロミラー4000の傾きが変更された場合、運転者は、背景画像1203は視認せず、表示要素1204のみを視認する。
【0053】
<全体処理>
図10は、実施の形態2におけるヘッドアップディスプレイの全体処理の概要を示す図である。
【0054】
まず、S1001にて、表示制御装置30に、背景画像1203と、ナビゲーション装置における経路情報や速度や各種警告表示などからなる表示要素1204とを、投影するための画像データが入力される。
【0055】
次に、S1002にて、表示制御装置30の映像処理部3000は、S1001にて入力された画像データに基づき、表示要素表示光301がMEMSミラー装置40に照射される領域である表示要素照射領域を特定する。
【0056】
次に、S1003にて、映像処理部3000は、S1002にて算出した表示要素照射領域を表示制御装置30の部分ミラー制御部3100に入力する。
【0057】
次に、S1004にて、部分ミラー制御部3100は、S1003にて入力された表示要素照射領域に基づいて、各マイクロミラー4000の傾きを変更する。詳細には、部分ミラー制御部3100は、表示要素1204を投影するための表示光11が照射されるマイクロミラー4000については、基台4030の上面と平行する状態にする。一方、部分ミラー制御部3100は、背景画像1203を投影するための表示光11が照射されるマイクロミラー4000については、フロントガラスへ反射される背景画像表示光302により投影される背景画像が、運転者に視認されない傾きへ傾きを変更させる。
【0058】
次に、S1005にて、表示制御装置30は、S1001にて入力された画像データに基づき、投影画像を生成し、生成した投影画像を表示装置10へ入力する。
【0059】
次に、S1006にて、表示装置10は、S1005にて入力された投影画像に基づき表示光11を生成し、生成した表示光11を、MEMSミラー装置40へ出射する。
【0060】
次に、S1007にて、MEMSミラー装置40は、S1006にて出射された表示光11を、フロントガラス120へ反射する。
【0061】
<実施の形態2の効果>
以上説明した実施の形態2によれば、表示制御装置30が、背景画像表示光302が照射されるマイクロミラー4000の基台4030に対する傾きを変更することができる。これにより、フロントガラスへ反射される背景画像表示光302により投影される背景画像1203が運転者に視認されない傾きへ変更させる。したがって、背景画像1203が運転者に視認されなくなることで、上記領域のフロントガラス前方の風景の視認性をさらに向上できる効果が得られる。併せて、表示要素1204の視認性も向上できる効果が得られる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、表示装置が、液晶表示装置である点で実施の形態1と異なる。以下、本発明の実施の形態3を、実施の形態1と異なる点を主に、
図11〜
図15を用いて詳細に説明する。
【0062】
<ヘッドアップディスプレイ>
図11は、実施の形態3におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示す図である。
図11に示されるように、実施の形態3におけるヘッドアップディスプレイの液晶表示装置60は、液晶表示パネル(表示パネル)61と、光源であるバックライト62とを有する。
【0063】
液晶表示装置60が出射した表示光11は、ミラー装置20へ照射される。その後、ミラー装置20へ照射された表示光11はフロントガラス120に向けて反射される。そして、ミラー装置20により反射される表示光11は、フロントガラス120へと入射する。
【0064】
なお、表示装置60を、DLP(登録商標:Disital Light Processing)でのプロジェクションが可能な構成にしても良い。また、表示装置60は、レーザーMEMSのプロジェクションタイプであっても良い。
【0065】
図12は、実施の形態3におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示すブロック図である。
図12に示されるように、ヘッドアップディスプレイは、液晶表示装置60と、ミラー装置20と、表示制御装置30と、ヘッドライト検出部50と、映像重要度検出部70とを有する。
【0066】
ヘッドライト検出部50は、自車両のヘッドライトが点灯しているか否かを示すヘッドライト検出信号を、表示制御装置30に入力する。
【0067】
表示制御装置30は、映像処理部3000と、バックライト分割制御部3200とを有する。
【0068】
表示制御装置30の映像処理部3000は、入力された画像データに基づき、液晶表示パネル61に背景画像1203と、表示要素1204とを描画する。
【0069】
バックライト62は、液晶表示パネル61へ背面側から照射する。バックライト62が、液晶表示パネル61を背面側から照射することで、液晶表示パネル61から、背景画像1203と、表示要素1204とを投影するための表示光11が出射される。
【0070】
ミラー装置20は、液晶表示装置60の液晶表示パネル61から出射された表示光11をフロントガラス120へと反射させる。なお、実施の形態3では、ミラー装置20が、部分ミラーではなく、1枚のミラーにより構成されるようにしても良い。
【0071】
図13(a)、
図13(b)に示されるように、バックライト62には、液晶表示パネル61の対応する領域に照射光を照射する発光素子(例えば、発光ダイオードLED)63が格子(縦9列×横9行の格子)状に設けられている。例として縦9列×横9行の格子を記載しているがこの限りではない。
【0072】
画像データが入力されると、映像処理部3000は、入力された画像データに基づき、液晶表示パネル61に背景画像1203と、表示要素1204とを描画する。
【0073】
バックライト分割制御部3200は、領域毎のバックライト輝度レベルを決定する。そして、バックライト分割制御部3200は、決定したバックライト輝度レベルに応じてバックライト62を制御する。
【0074】
また、バックライト62と液晶表示パネル61とは、液晶表示パネル61の裏面とバックライト62の表面(発光素子63が設けられる面)とが互いに対向して設けられる。そして、バックライト62の各発光素子63が照射した照射光は、液晶表示パネル61に照射される。これによって、液晶表示パネル61から表示光11が出射される。
【0075】
図13(a)は、バックライト62に設けられている、すべての発光素子63が照射光を液晶表示パネル61に照射している場合の例を示す図である。
【0076】
図13(a)に示される例では、液晶表示パネル61のすべての領域に均一に初期値である第1の輝度の照射光が照射される。そして、第1の輝度の照射光に応じた表示光11が、液晶表示パネル61から出射される。
【0077】
一方、
図13(b)に示される例では、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63のみに、照射光を照射させている。
【0078】
図13(b)に示される例では、映像処理部3000は、まず、入力された表示要素1204が液晶表示パネル61に描画される領域である表示要素描画領域を特定する。そして、映像処理部3000は、特定した表示要素描画領域を表示制御装置30のバックライト分割制御部3200に入力する。
【0079】
バックライト分割制御部3200は、映像処理部3000から入力された表示要素描画領域に基づいて、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63に、初期値である第1の輝度の照射光を照射させる。これによって、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63が照射した第1の輝度の照射光が、液晶表示パネル61に照射される。発光素子63が照射した照射光は、液晶表示パネル61を透過する。そして、液晶表示パネル61から表示光11が、ミラー装置20へ出射される。また、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204が描画されていない背景画像1203の領域の背面に設けられている発光素子63については、照射光を照射させていない。そのため、背景画像1203の輝度に対して表示要素1204の輝度が高い表示光11が、液晶表示パネル61から出射される。これによって、フロントガラス120に表示される背景画像1203と表示要素1204とのコントラストを向上できる。
【0080】
なお、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204が描画されていない背景画像1203の領域の背面に設けられている発光素子63については、第1の輝度よりも輝度の低い第2の輝度へ下げるよう制御しても良い。また、背景画像1203と表示要素1204との境界付近の領域の背面に設けられている発光素子63については、第2の輝度へ下げるように制御し、背景画像1203の領域の背面に設けられている発光素子63については、照射光を照射させないように制御しても良い。これによって、発光素子63が細かく配置されていない場合であっても、運転者に与える違和感を低減しつつ背景画像1203に対する表示要素1204のコントラストを高くできる。
【0081】
図14(a)、
図14(b)は、実施の形態3におけるヘッドアップディスプレイによりフロントガラスに投影される背景画像と表示要素との例を示す図である。
【0082】
図14(a)、
図14(b)に示されるように、自車両のヘッドライトによって輝度が高くなっているフロントガラス120の領域(自車両のヘッドライトの光がフロントガラス120越しに視認されることによって、輝度が高くなっているフロントガラス120の領域)であるヘッドライト点灯領域1410の明るさは、ヘッドライト点灯領域1410以外の領域よりも明るくなっている。このため、ヘッドライト点灯領域1410内に投影される表示要素1204は、ヘッドライト点灯領域1410に視認される背景とのコントラストが低下し、視認性が低下するという問題があった。
【0083】
そこで、実施の形態3の液晶表示装置60は、ヘッドライト点灯領域1410に投影されている表示要素1204については第1の輝度よりも輝度の高い第3の輝度で投影させる。
【0084】
図14(a)、
図14(b)に示される例では、バックライト分割制御部3200は、自車両のヘッドライトの光がフロントガラス120越しに視認されることによって、輝度が高くなっているフロントガラス120の領域であるヘッドライト点灯領域1410を特定する。なお、バックライト分割制御部3200は、ヘッドライト点灯領域1410を、ヘッドライトの照射方向と、照射範囲と、フロントガラス120の位置に基づき特定する。また、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204がフロントガラス120に投影される領域である表示要素投影領域を特定する。また、バックライト分割制御部3200は、ヘッドライト点灯領域1410と、表示要素投影領域とが重なっているヘッドライト重なり領域1411を特定する。
【0085】
バックライト分割制御部3200は、ヘッドライト点灯領域1410と表示要素投影領域とが重なっているヘッドライト重なり領域1411に投影される表示要素1204の輝度を、第1の輝度よりも輝度の高い第3の輝度になるように、バックライト62を制御する。すなわち、バックライト分割制御部3200は、ヘッドライト点灯領域1410と表示要素投影領域とが重なっているヘッドライト重なり領域1411に投影されている表示要素1204が描画されている、液晶表示パネル61における領域(以下、ヘッドライト重なり領域と呼ぶ場合がある)を特定する。そして、バックライト分割制御部3200は、液晶表示パネル61のヘッドライト重なり領域と対向して設けられている発光素子63に、第1の輝度よりも輝度の高い第3の輝度の照射光を照射させる。これによって、ヘッドライト重なり領域1411に投影される表示要素1204は、第1の輝度よりも輝度の高い第3の輝度でフロントガラス120に投影される。すなわち、表示制御装置30のバックライト分割制御部3200は、自車両のヘッドライトによって輝度が高くなっているフロントガラスの領域であるヘッドライト点灯領域1410と、表示要素1204がフロントガラス120に投影される領域である表示要素投影領域とが重なっている領域であるヘッドライト重なり領域1411に投影される表示要素1204の輝度を、ヘッドライト重なり領域1411以外に投影される前記表示要素の輝度よりも高くさせる。
【0086】
また、バックライト分割制御部3200は、ヘッドライト重なり領域以外の領域に投影される表示要素1204の輝度を第1の輝度になるように、バックライト62を制御する。すなわち、バックライト分割制御部3200は、ヘッドライト重なり領域1411以外に投影されている表示要素1204が描画されている、液晶表示パネル61における領域を特定する。そして、バックライト分割制御部3200は、液晶表示パネル61の特定した領域と対向して設けられている発光素子63に、第1の輝度の照射光を照射させる。これによって、ヘッドライト重なり領域1411以外に投影されている表示要素1204は、第1の輝度でフロントガラス120に投影される。
【0087】
映像重要度検出部70は、表示要素1204の重要度を判定し、判定した重要度を表示制御装置30へ入力する。映像重要度検出部70は、例えば、自車両の前に人が飛び出してきたことを示す表示要素1204や、自車両の前に飛び出してきた人の範囲を特定するためのカーソルなどの表示要素1204については、重要度が高いと判定する。
【0088】
表示制御装置30のバックライト分割制御部3200は、表示要素1204の重要度に基づき、発光素子63に照射させる照射光の輝度を決定する。例えば、バックライト分割制御部3200は、重要度が低い表示要素1204については、発光素子63に第1の輝度よりも低い第2の輝度の照射光を照射させる。また、バックライト分割制御部3200は、重要度が通常(中程度)の表示要素1204については、発光素子63に第1の輝度の照射光を照射させる。また、バックライト分割制御部3200は、重要度が高い表示要素1204については、発光素子63に第3の輝度の照射光を照射させる。
【0089】
<全体処理>
図15は、実施の形態3におけるヘッドアップディスプレイの全体処理の概要を示す図である。
【0090】
まず、S1501にて、表示制御装置30に、背景画像1203と表示要素1204とを投影するための画像データが入力される。
【0091】
次に、S1502にて、表示制御装置30の映像処理部3000は、入力された画像データに基づき、液晶表示パネル61に背景画像1203と、表示要素1204とを描画する。
【0092】
次に、S1503にて、映像処理部3000は、S1502にて表示要素1204を液晶表示パネル61に描画した領域である表示要素描画領域を特定する。
【0093】
次に、S1504にて、映像処理部3000は、S1503にて特定した表示要素描画領域を表示制御装置30のバックライト分割制御部3200に入力する。
【0094】
次に、S1505にて、ヘッドライト検出部50は、自車両のヘッドライトが点灯しているか否かを示すヘッドライト検出信号を、表示制御装置30に入力する。
【0095】
次に、S1506にて、表示制御装置30のバックライト分割制御部3200は、S1505にて入力されたヘッドライト検出信号に基づき、自車両のヘッドライトが点灯しているか否かを判定する。バックライト分割制御部3200が、自車両のヘッドライトが点灯していると判定する場合(S1506−Yes)、S1508へ進む。一方、表示制御装置30が、自車両のヘッドライトが点灯していないと判定する場合(S1506−No)、S1507へ進む。
【0096】
次に、S1507にて、バックライト分割制御部3200は、S1504にて入力された表示要素描画領域に基づいて、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63に、初期値である第1の輝度の照射光を照射させる。一方、バックライト分割制御部3200は、S1504にて入力された表示要素描画領域に基づいて、表示要素1204が描画されていない背景画像1203の領域の背面に設けられている発光素子63については、照射光を照射させない。これによって、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63が照射した、第1の輝度の照射光が、液晶表示パネル61に照射される。S1507の次は、S1515へ進む。
【0097】
S1506にてYesだった場合、S1508にて、バックライト分割制御部3200は、自車両のヘッドライトによって輝度が高くなっているフロントガラス120の領域であるヘッドライト点灯領域1410を特定する。
【0098】
次に、S1509にて、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204がフロントガラス120に投影される領域である表示要素投影領域を特定する。
【0099】
次に、S1510にて、バックライト分割制御部3200は、S1508にて特定したヘッドライト点灯領域1410と、S1509にて特定した表示要素投影領域とが重なっているか否かを判定する。バックライト分割制御部3200が、ヘッドライト点灯領域1410と、表示要素投影領域とが重なっていると判定する場合(S1510−Yes)、S1512へ進む。一方、バックライト分割制御部3200が、ヘッドライト点灯領域1410と、表示要素投影領域とが重なっていないと判定する場合(S1510−No)、S1511へ進む。
【0100】
次に、S1511にて、バックライト分割制御部3200は、S1504にて入力された表示要素描画領域に基づいて、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63に、第1の輝度の照射光を照射させる。これによって、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63が照射した第1の輝度の照射光が、液晶表示パネル61に照射される。一方、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204が描画されていない背景画像1203の領域の背面に設けられている発光素子63については、照射光を照射させない。S1511の次は、S1515へ進む。
【0101】
S1510にてYesだった場合、S1512にて、バックライト分割制御部3200は、フロントガラス120における、S1508にて特定したヘッドライト点灯領域1410と、S1509にて特定した表示要素投影領域とが重なっているヘッドライト重なり領域1411を特定する。
【0102】
次に、S1513にて、バックライト分割制御部3200は、S1510にて特定したヘッドライト重なり領域1411に投影されている表示要素1204が描画されている液晶表示パネル61における領域を特定する。
【0103】
次に、S1514にて、バックライト分割制御部3200は、S1513にて特定したヘッドライト重なり領域1411と対向して設けられている発光素子63に、第1の輝度よりも輝度の高い、第3の輝度の照射光を照射させる。また、バックライト分割制御部3200は、ヘッドライト重なり領域1411以外の領域であって、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63に、第1の輝度の照射光を照射させる。一方、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204が描画されていない背景画像1203の領域の背面に設けられている発光素子63については、照射光を照射させない。
【0104】
次に、S1515にて、バックライト分割制御部3200は、S1507またはS1511またはS1514にて発光素子63が照射した照射光が、液晶表示パネル61を透過する。そして、液晶表示パネル61から表示光11が、ミラー装置20へ出射される。
【0105】
次に、S1516にて、ミラー装置20は、S1515にて出射された表示光11をフロントガラス120へと反射させる。
【0106】
<実施の形態3の効果>
以上説明した実施の形態3によれば、表示要素1204が液晶表示パネル61に描画されている領域である表示要素描画領域と対向して設けられている発光素子63が、表示パネル61に表示されている表示要素描画領域に対して、照射光を照射させることで、背景画像1203に対する表示要素1204のコントラストを高くでき、表示要素1204の視認性を向上できる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、表示装置が、液晶表示装置であり、実施の形態3と比較して、機能性フィルムをさらに有している点で異なる。以下、本発明の実施の形態4を、実施の形態3と異なる点を主に、
図16〜
図19を用いて詳細に説明する。
【0107】
<ヘッドアップディスプレイ>
図16は、実施の形態4におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示す図である。
図16に示されるように、実施の形態4におけるヘッドアップディスプレイは、実施の形態3のヘッドアップディスプレイと比較して機能性フィルム1220をさらに有する。
【0108】
機能性フィルム1220は、複数の領域に分割されており、印加される電圧に応じて分割された各領域を透過する表示光11に対する透過率を変更することができる。なお、表示光に対する透過率とは、例えば400〜800nmの波長を有する光に対する透過率の平均値を意味する。なお、機能性フィルムとしては、たとえば、ND(Neutral Density)フィルタなどが挙げられる。
【0109】
図16に示されるように、液晶表示装置60が出射した表示光11は、機能性フィルム1220を透過した後に、ミラー装置20へ照射される。その後、ミラー装置20へ照射された表示光11はフロントガラス120に向けて反射される。そして、ミラー装置20により反射される表示光11は、フロントガラス120へと入射する。
【0110】
図17は、実施の形態4におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示すブロック図である。
図17に示されるように、ヘッドアップディスプレイは、液晶表示装置60と、ミラー装置20と、表示制御装置30、ヘッドライト検出部50と、映像重要度検出部70とを有する。なお、実施の形態4では、ミラー装置20が、部分ミラーではなく、1枚のミラーにより構成されるようにしても良い。
【0111】
図18に示されるように、機能性フィルム1220は、格子状に複数の領域1210に分割(縦6列×横6行に分割)されている。例として縦6列×横6行に分割しているがこの限りではない。
【0112】
画像データが入力されると、映像処理部3000は、入力された画像データに基づき、液晶表示パネル61に背景画像1203と、表示要素1204とを描画する。
【0113】
機能性フィルム制御部3300は、機能性フィルム1220の領域1210に印加する電圧を変化することで、液晶分子の透過率を変化させる。機能性フィルム制御部3300は、領域1210ごとに印加する電圧を決定する。より詳細には、機能性フィルム制御部3300は、機能性フィルム1220の領域1210の透過率が高くなるように、印加する電圧を決定する。このとき、機能性フィルム1220の領域1210は、液晶表示パネル61に表示要素1204が描画されている領域と対向している。一方、機能性フィルム制御部3300は、背景画像1203が描画されている領域であって、表示要素1204が描画されていない領域については、透過率が低くなるように印加する電圧を決定する。
【0114】
機能性フィルム制御部3300は、決定した電圧を対応する領域1210に印加する。これによって、機能性フィルム1220の領域1210ごとの表示光11に対する透過率を変化させることができる。
【0115】
液晶表示パネル61から表示光11が出射された表示光11は、機能性フィルム1220を透過する。
【0116】
<全体処理>
図19は、実施の形態4におけるヘッドアップディスプレイの全体処理の概要を示す図である。
【0117】
まず、S1901にて、表示制御装置30に、背景画像1203と、ナビゲーション装置における経路情報や速度や各種警告表示などからなる表示要素1204とを、投影するための画像データが入力される。
【0118】
次に、S1902にて、映像処理部3000は、S1901にて入力された表示要素1204を液晶表示パネル61に描画する領域である表示要素描画領域を特定する。
【0119】
次に、S1903にて、映像処理部3000は、S1903にて特定した表示要素描画領域を機能性フィルム制御部3300に入力する。
【0120】
次に、S1904にて、機能性フィルム制御部3300は、S1904にて入力された表示要素描画領域に基づいて、表示要素1204が、液晶表示パネル61に描画されている領域と対向する機能性フィルム1220の領域の透過率が高くなるように、印加する電圧を決定する。また、機能性フィルム制御部3300は、背景画像1203が描画されている領域であって、表示要素1204が描画されていない領域については、透過率が低くなるように印加する電圧を決定する。
【0121】
次に、S1905にて、機能性フィルム制御部3300は、S1904にて決定した領域1210ごとの電圧を、対応する領域1210に印加する。
【0122】
次に、S1906にて、液晶表示装置60から、表示光(S1901にて入力された背景画像1203と表示要素1204とを投影するための表示光)11が、機能性フィルム1220へ出射される。
【0123】
次に、S1907にて、S1906にて出射された表示光11が、機能性フィルム1220を透過する。そして、機能性フィルム1220を透過した表示光が、ミラー装置20へ出射される。
【0124】
次に、S1908にて、ミラー装置20は、S1907にて出射された表示光11をフロントガラス120へと反射させる。
【0125】
<本実施の形態4の効果>
以上説明した実施の形態4によれば、表示制御装置30が、表示要素表示光301が照射されない機能性フィルム1220の領域1210の透過率よりも、表示要素表示光301が照射され
る機能性フィルム1220の領域1210の透過率を
高くさせることで、背景画像1203に対する表示要素1204の視認性をさらに向上できる。
【0126】
また、表示制御装置30が、自車両のヘッドライトによって輝度が高くなっているフロントガラス120の領域であるヘッドライト点灯領域1410と、表示要素1204がフロントガラス120に投影される領域である表示要素投影領域とが重なっている領域であるヘッドライト重なり領域1411に投影される表示要素1204の輝度を、ヘッドライト重なり領域1411以外に投影される表示要素1204の輝度よりも高くさせることで、ヘッドライト重なり領域1411に投影される表示要素1204の視認性を向上できる。
(実施の形態5)
実施の形態5では、ヘッドアップディスプレイが、カメラなどの撮像部を有する点で実施の形態4と異なる。以下、本発明の実施の形態5を、実施の形態4と異なる点を主に、
図20〜
図22を用いて詳細に説明する。
【0127】
<ヘッドアップディスプレイ>
図20は、実施の形態5におけるヘッドアップディスプレイの構成例の概要を示すブロック図である。
図20に示されるように、ヘッドアップディスプレイは、液晶表示装置60と、ミラー装置20と、表示制御装置30と、ヘッドライト検出部50と、映像重要度検出部70と、撮像部80とを有する。
【0128】
図21(a)、
図21(b)に示されるように、ヘッドライト点灯領域1410の輝度は、高くなっている。また、対向車のヘッドライトの光や、前方を走行する車両のテールランプの光や、街灯の光がフロントガラス120に照射される領域である外部光照射領域1412の輝度は、高くなっている。そして、ヘッドライト点灯領域1410と外部光照射領域1412とが重なる領域の輝度は、ヘッドライト点灯領域1410の輝度や外部光照射領域1412の輝度よりも、さらに高くなっている。この場合、ヘッドライト点灯領域1410や外部光照射領域1412内に視認できる背景と、ヘッドライト点灯領域1410や外部光照射領域1412内に投影される表示要素1204とのコントラストが低くなり、表示要素1204の視認性が低下するという問題があった。
【0129】
そこで、実施の形態4の液晶表示装置60は、ヘッドライト点灯領域1410や、外部光照射領域1412内に投影される表示要素1204については、第1の輝度よりも高い第3の輝度で投影させる。
【0130】
また、ヘッドライト点灯領域1410と、外部光重なり領域1413とが、重なっている領域に投影される表示要素1204については、第3の輝度よりも輝度の高い第4の輝度で投影させる。
【0131】
撮像部80は、自車両前方の画像を撮像し、撮像した画像の画像データを表示制御装置30に入力する。
【0132】
表示制御装置30のバックライト分割制御部3200は、撮像部80から入力された画像データに基づき、フロントガラス120の各領域の輝度を算出する。そして、バックライト分割制御部3200は、算出した各領域の輝度のうち、輝度が所定値を超える領域があるか否かを判定する。
【0133】
バックライト分割制御部3200は、フロントガラス120に表示要素1204が投影される領域である、表示要素投影領域を特定する。また、バックライト分割制御部3200は、フロントガラス120の輝度が高くなっている領域を特定する。そして、バックライト分割制御部3200は、領域(フロントガラス120の、輝度が高くなっている領域)と、表示要素投影領域とが重なっている領域を特定する。バックライト分割制御部3200は、領域(フロントガラス120の、輝度が高くなっている領域)と、表示要素投影領域とが重なっている領域に投影される表示要素1204が液晶表示パネル61に描画されている領域を特定する。
【0134】
バックライト分割制御部3200は、フロントガラス120の輝度が高くなっている領域に投影させる照射光の輝度を、照射光が投影される領域の輝度に基づき、決定する。詳細には、バックライト分割制御部3200は、領域(フロントガラス120の輝度が高くなっている領域と、表示要素投影領域とが重なっている領域)の輝度が、第1の閾値を超える場合、当該領域に照射させる輝度を、第1の輝度よりも輝度の高い第3の輝度として決定する。また、バックライト分割制御部3200は、領域(フロントガラス120の輝度が高くなっている領域と、表示要素投影領域とが重なっている領域)の輝度が、第1の閾値よりも高い第2の閾値を超える場合、当該領域に照射させる輝度を、第3の輝度よりも輝度の高い第4の輝度として決定する。
【0135】
図21(a)、
図21(b)に示される例では、ヘッドライト重なり領域1411および外部光重なり領域1413以外の領域であって、表示要素1204が投影されている外部光照射領域1412に投影される表示要素1204については、第1の輝度でフロントガラス120に投影される。
【0136】
ヘッドライト点灯領域1410と表示要素投影領域とが重なっている、ヘッドライト重なり領域1411に投影される表示要素1204は、第1の輝度よりも輝度の高い第3の輝度で、フロントガラス120に投影される。
【0137】
また、外部光照射領域1412と表示要素投影領域とが重なっている外部光重なり領域1413に投影される表示要素1204は、第1の輝度よりも輝度の高い第3の輝度で、フロントガラス120に投影される。
【0138】
また、ヘッドライト点灯領域1410と外部光重なり領域1413と表示要素投影領域とが重なっている外部光ヘッドライト重なり領域1414に投影される表示要素1204は、第3の輝度よりも輝度の高い第4の輝度で、フロントガラス120に投影される。すなわち、ヘッドライト点灯領域1410と、自車両の外部からの光がフロントガラス120に照射される領域である外部光照射領域1412と、表示要素投影領域とが重なっている場合、表示制御装置30のバックライト分割制御部3200は、外部光ヘッドライト重なり領域1414に投影される表示要素1204の輝度を、外部光ヘッドライト重なり領域1414に投影される表示要素1204の輝度よりも高くさせる。
【0139】
<全体処理>
図22は、実施の形態5におけるヘッドアップディスプレイの全体処理の概要を示す図である。
【0140】
まず、S2201にて、表示制御装置30に、背景画像1203と、表示要素1204とを投影するための画像データが入力される。
【0141】
次に、S2202にて、表示制御装置30の映像処理部3000は、入力された画像データに基づき、液晶表示パネル61に背景画像1203と、表示要素1204とを描画する。
【0142】
次に、S2203にて、映像処理部3000は、表示要素1204が液晶表示パネル61に描画される領域である表示要素描画領域を特定する。
【0143】
次に、S2204にて、映像処理部3000は、S2203にて特定した表示要素描画領域を表示制御装置30のバックライト分割制御部3200に入力する。
【0144】
次に、S2205にて、撮像部80は、自車両前方の画像を撮像し、撮像した画像の画像データを表示制御装置30に入力する。
【0145】
次に、S2206にて、表示制御装置30のバックライト分割制御部3200は、S2205にて入力された画像データに基づき、フロントガラス120の各領域の輝度を算出する。
【0146】
次に、S2207にて、バックライト分割制御部3200は、S2206にて算出した各領域の輝度のうち、輝度が所定値を超える領域があるか否かを判定する。バックライト分割制御部3200が、輝度が所定値を超える領域があると判定する場合(S2207−Yes)、S2209へ進む。一方、バックライト分割制御部3200が、輝度が所定値を超える領域がないと判定する場合(S2207−No)、S2208へ進む。
【0147】
次に、S2208にて、バックライト分割制御部3200は、S2204にて入力された表示要素描画領域に基づいて、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63に、第1の輝度の照射光を照射させる。一方、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204が描画されていない背景画像1203の領域の背面に設けられている発光素子63については、照射光を照射させない。これによって、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63が照射した、第1の輝度の照射光が、液晶表示パネル61に照射される。S2208の次は、S2217へ進む。
【0148】
S2207にてYesだった場合、S2209にて、バックライト分割制御部3200は、輝度が高くなっているフロントガラス120のすべての領域の範囲を特定する。
【0149】
次に、S2210にて、バックライト分割制御部3200は、フロントガラス120に表示要素1204が投影される領域である表示要素投影領域を特定する。
【0150】
次に、S2211にて、バックライト分割制御部3200は、S2209にて特定した領域(フロントガラス120の、輝度が高くなっている領域)と、S2210にて特定した表示要素投影領域とが重なっているか否かを判定する。バックライト分割制御部3200がS2209にて特定した領域と、表示要素投影領域とが重なっていると判定する場合(S2211−Yes)、S2213へ進む。一方、バックライト分割制御部3200が、S2209にて特定した領域と、表示要素投影領域とが重なっていないと判定する場合(S2211−No)、S2212へ進む。
【0151】
次に、S2212にて、バックライト分割制御部3200は、S2204にて入力された表示要素描画領域に基づいて、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63に、第1の輝度の照射光を照射させる。一方、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204が描画されていない背景画像1203の領域の背面に設けられている発光素子63については、照射光を照射させない。S2212の次は、S2217へ進む。
【0152】
S2211にてYesだった場合、S2213にて、バックライト分割制御部3200は、S2209にて特定した領域(フロントガラス120の、輝度が高くなっている領域)と、S2210にて特定した表示要素投影領域とが重なっている領域を特定する。
【0153】
次に、S2214にて、バックライト分割制御部3200は、S2213にて特定した領域に投影される表示要素1204が描画されている液晶表示パネル61における領域を特定する。
【0154】
次に、S2215にて、バックライト分割制御部3200は、S2214にて特定した領域と対向して設けられている発光素子63に照射させる照射光の輝度を決定する。詳細には、バックライト分割制御部3200は、領域(S2209にて特定した領域と、S2210にて特定した表示要素投影領域とが重なっている領域)の輝度が、第1の閾値を超える場合、発光素子63に照射させる照射光の輝度を、第1の輝度よりも輝度の高い第3の輝度として決定する。また、バックライト分割制御部3200は、領域(S2209にて特定した領域と、S2210にて特定した表示要素投影領域とが重なっている領域)の輝度が、第1の閾値よりも高い第2の閾値を超える場合、発光素子63に照射させる照射光の輝度を、第3の輝度よりも輝度の高い第4の輝度として決定する。
【0155】
次に、S2216にて、バックライト分割制御部3200は、領域(S2209にて特定した領域と、S2210にて特定した表示要素投影領域とが重なっている領域)と対向して設けられている発光素子63に、S2215にて決定した輝度の照射光を照射させる。また、バックライト分割制御部3200は、領域(S2209にて特定した領域と、S2210にて特定した表示要素投影領域とが重なっている領域)以外の領域であって、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63に、第1の輝度の照射光を照射させる。一方、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204が描画されていない背景画像1203の領域の背面に設けられている発光素子63については、照射光を照射させない。
【0156】
次に、S2217にて、バックライト分割制御部3200は、S2208またはS2212またはS2216にて発光素子63が照射した照射光が、液晶表示パネル61を透過する。そして、液晶表示パネル61から表示光11が、ミラー装置20へ出射される。
【0157】
次に、S2218にて、ミラー装置20は、S2217にて出射された表示光11をフロントガラス120へと反射させる。
【0158】
なお、ヘッドアップディスプレイは、ナビゲーション装置(スマートフォンや、車載ナビゲーション装置、ポータブルナビゲーション装置など)の地図情報と現在の時間帯とに基づき、自車両が走行している周辺の照度を推測しても良い。そして、ヘッドアップディスプレイのバックライト分割制御部3200は、推測された周辺の照度に基づいて、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63に照射させる照射光の輝度を決定しても良い。
【0159】
例えば、ヘッドアップディスプレイは、時刻情報に基づき、現在の時間帯から、現在、自車両が走行している周辺の照度を推測する。例えば、現在の時間帯が11時〜14時であり周辺の照度が高いと推測される場合、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63に第1の輝度よりも輝度の高い第3の輝度の照射光を照射させる。
【0160】
また、現在の時間帯が、走行している地域が地方で、走行している時刻が20時〜26時であり、周辺の照度が低いと推測される場合、バックライト分割制御部3200は、表示要素1204が描画されている領域と対向して設けられている発光素子63に第1の輝度よりも輝度の低い第2の輝度の照射光を照射させる。
【0161】
<実施の形態5の効果>
以上説明した実施の形態5によれば、表示制御装置30が、ヘッドライト点灯領域1410と、自車両の外部からの光が前記フロントガラスに照射される領域である外部光照射領域1412と、表示要素投影領域とが重なっている領域である、外部光ヘッドライト重なり領域1414に投影される表示要素1204の輝度を、ヘッドライト重なり領域1411に投影される表示要素1204の輝度よりも高くさせることで、ヘッドライト重なり領域1411に投影される表示要素1204の視認性を向上できる。
【0162】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0163】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDメモリーカード(SDカードとも言う)、DVD等の記録媒体に置くことができる。