(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空調ケース(110)は、車室内とエンジンルームを仕切るダッシュパネル(300)を基準としてエンジンルーム側に配置され、前記分配ダクト(200)は、車室内側に配置されることを特徴とする請求項3に記載の車両用空調システム。
前記複数の空気吐出口(220)は、前記分配ダクト(200)の上部に画成されるデフロストベント(221)及びフェイスベント(222)と、前記分配ダクト(200)におけるダッシュパネル(300)と隣り合う側に形成されるフロアベント(223)と、を備えてなることを特徴とする請求項8に記載の車両用空調システム。
前記冷風通路(111)には蒸発器(104)が設けられ、前記温風通路(112)には凝縮器(102)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調システム。
前記放出手段(127)は、前記冷風放出口(119a)と温風放出口(119b)を車両の走行方向とは反対方向に形成してなり、放出空気に対して走行風の抵抗が発生しないようにしたことを特徴とする請求項12に記載の車両用空調システム。
前記空調ケース(110)において冷風放出口(119a)と温風放出口(119b)の外側には、前記冷風放出口(119a)と温風放出口(119b)に異物が流入することを防止するカバープレート(126)が配備され、
前記冷風放出口(119a)側のカバープレート(126)には、前記冷風放出口(119a)を通過した冷風を外部に放出する補助冷風放出口(127a)が形成され、前記温風放出口(119b)側のカバープレート(126)には、前記の温風放出口(119b)を通過した温風を外部に放出する補助温風放出口(127b)が形成されることを特徴とする請求項14に記載の車両用空調システム。
前記放出手段(127)は、前記補助冷風放出口(127a)と補助温風放出口(127b)を車両の走行方向とは反対方向に形成してなり、放出空気の走行風の抵抗が発生しないようにしたことを特徴とする請求項15に記載の車両用空調システム。
前記空調ケース(110)の内部において前記凝縮器(102)と温風放出口(119b)は上側に配置され、前記蒸発器(104)と冷風放出口(119a)は下側に配置され、
前記温風放出口(119b)側のカバープレート(126)は、外部から流入した水が自重により流れ下るように傾斜面や曲面を有することを特徴とする請求項15に記載の車両用空調システム。
【背景技術】
【0002】
通常の車両用のエアコンシステムは、一般に、
図1に示すように、冷媒を圧縮して送出する圧縮機(Compressor)1と、圧縮機1から送出される高圧の冷媒を凝縮する凝縮器(Condenser)2と、凝縮器2において凝縮されて液化された冷媒を絞縮する、例えば、膨張弁(Expansion Valve)3と、膨張弁3により絞縮された低圧の液相の冷媒を車両の室内側に送風される空気と熱交換して蒸発されることにより冷媒の蒸発潜熱による吸熱作用により室内に吐き出される空気を冷却する蒸発器(Evaporator)4となどが冷媒パイプにより連結されてなる冷凍サイクルにより構成され、次のような冷媒循環過程を通じて自動車の室内を冷房する。
【0003】
エアコンシステムの冷房スイッチ(図示せず)がオンになると、まず、圧縮機1がエンジンまたはモーターの動力により駆動されながら低温低圧の気相冷媒を吸入、圧縮して高温高圧のガス状態で凝縮器2に送出し、凝縮器2は、その気相冷媒を外気と熱交換して高温高圧の液体に凝縮する。次いで、凝縮器2から高温高圧の状態で送出される液相の冷媒は、膨張弁3の絞縮作用により急速に膨張されて低温低圧の湿飽和状態で蒸発器4に送られ、蒸発器4は、その冷媒をブロアー(図示せず)が車両の室内に送風する空気と熱交換する。このため、冷媒は、蒸発器4において蒸発されて低温低圧のガス状態で排出され、再び圧縮機1に吸入されて上述したような冷凍サイクルを再循する。
【0004】
蒸発器は、車室の内側に設けられた空調ケースの内部に設けられて冷房の役割を果たすが、すなわち、ブロアー(図示せず)により送風される空気が蒸発器4を経ながら蒸発器4内を循環する液相冷媒の蒸発潜熱により冷却されて冷たくなった状態で車両の室内に吐き出されることにより冷房が行われる。また、車室内の暖房は、空調ケースの内部に設けられてエンジン冷却水が循環するヒーターコア(図示せず)を用いて行うか、あるいは、空調ケースの内部に設けられる電気加熱式ヒーター(図示せず)を用いて行う。一方、凝縮器2は、車両の前方側に設けられて空気と熱交換しながら放熱を行う。
【0005】
最近には、冷凍サイクルのみを用いて冷暖房を行う空調システム、すなわち、ヒートポンプシステムが開発されているが、これは、
図2に示すように、1つの空調ケース10の内部に冷風通路11と温風通路12を左右に画成し、冷風通路11には冷房のための蒸発器4を設け、温風通路12には暖房のための凝縮器2を設けた構造を有する。このとき、空調ケース10の出口側には、車室内に空気を供給する複数の空気吐出口15と、車室外に空気を放出する複数の空気放出口16と、が形成される。
また、冷風通路11と温風通路12の各入口側には別々に作動するブロアー20がそれぞれ設けられる。上述した空調システムにおいて、空調ケース10とブロアー20は、車室内とエンジンルームを仕切るダッシュパネル(図示せず)を基準として車室の内側に設けられる。このため、冷房モードに際しては、冷風通路11の蒸発器4を通過しながら冷却された冷風が空気吐出口15を介して車室内に吐き出されて冷房を行い、このとき、温風通路12の凝縮器2を通過しながら加熱された温風は、空気放出口16を介して車室外に排出される。
【0006】
暖房モードに際しては、温風通路12の凝縮器2を通過しながら加熱された温風が空気吐出口15を介して車室内に吐き出されて暖房を行い、このとき、冷風通路11の蒸発器4を通過しながら冷却された冷風はね空気放出口16を介して車室外に排出される。
しかしながら、上記従来の空調システムは、冷房モードに際しては、凝縮器を通過した熱い温風を空気放出口16を介して外部に放出し、暖房モードに際しては、蒸発器を通過した冷たい冷風を空気放出口16 を介して外部に放出しなればならないが、この過程において走行時の風圧などの影響のために空気放出口16を介して外部の空気が逆流するという問題があり、これにより空気放出口16を介して円滑な熱排出ができなくなり、冷暖房性能が低下するという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づき、本発明に係る車両用空調システムについて詳細に説明する。
添付図面に示すように、本発明に係る車両用空調システムは、圧縮機(図示せず)→凝縮器102→膨張手段(図示せず)→蒸発器104を冷媒循環ライン(図示せず)を用いて連結して、蒸発器104を用いて冷房を行い、凝縮器102を用いて暖房を行うシステムである。
まず、圧縮機は、動力供給源(エンジンまたはモーターなど)から動力を伝達されて駆動しながら蒸発器104から吐き出された低温低圧の気相冷媒を吸入・圧縮して高温高圧のガス状態で吐き出す。
凝縮器102は、圧縮機から排出されて凝縮器102の内部を流動する高温高圧の気相冷媒と凝縮器102を通過する空気を互いに熱交換し、この過程において冷媒は凝縮され、空気は加熱されて温風に変わる。
このような凝縮器102は、冷媒循環ライン(冷媒パイプ)を千鳥状に構成した後に放熱フィン(図示せず)を設けた構造であってもよく、一対のヘッダータンクの間に複数のチューブ(図示せず)を連設し、各チューブの間に放熱フィンを設けた構造であってもよい。
【0012】
このため、圧縮機から排出された高温高圧の気相冷媒が千鳥状の冷媒循環ラインまたは複数のチューブに沿って流動しながら空気と熱交換されて凝縮され、このとき、凝縮器102を通過する空気は加熱されて温風に変わる。
また、膨張手段(図示せず)は、凝縮器102から排出されて流動する液相冷媒を絞縮作用により急速に膨張させて低温低圧の湿飽和状態で蒸発器104に送る。膨張手段としては、膨張弁またはオリフィス構造が使用可能である。
蒸発器104は、膨張手段から排出されて流動する低圧の液相冷媒を空調ケース110内の空気と熱交換させて蒸発することにより、冷媒の蒸発潜熱による吸熱作用により空気を冷却させる。引き続き、蒸発器104において蒸発されて排出された低温低圧の気相冷媒は、再び圧縮機に吸入されて上述したようなサイクルを再循環する。
【0013】
さらに、上述したような冷媒循環過程において、車両の室内の冷房は、送風装置130から送風される空気が空調ケース110内に流入して蒸発器104を通過しながら蒸発器104の内部を循環する液相冷媒の蒸発潜熱により冷却されて冷たくなった後に、分配ダクト200を介して車両の室内に吐き出されることにより行われる。また、車両の室内の暖房は、送風装置130から送風される空気が空調ケース110内に流入して凝縮器102を通過しながら凝縮器102の内部を循環する高温高圧の気相冷媒の放熱により加熱されて熱くなった後に、分配ダクト200を介して車両の室内に吐き出されることにより行われる。
加えて、本発明に係る車両用空調システムは、空調モジュール100と、分配ダクト200と、が組み合わせられてなる。
空調モジュール100は、蒸発器104が設けられる冷風通路111と凝縮器102が設けられる温風通路112とが画成された空調ケース110と、空調ケース110の冷風通路111と温風通路112に空気を送風する送風装置130と、により構成される。
【0014】
分配ダクト200は、空調ケース110の出口110bと連結され、空調ケース110から吐き出された空気を空気吐出モードに応じて車室内の特定の位置に分配するためにモード扉230を備えてなる。また、車室内とエンジンルームを仕切るダッシュパネル300を基準として空調モジュール100と分配ダクト200が分けられて構成される。すなわち、空調モジュール100は、ダッシュパネル300を基準としてエンジンルーム側に配置され、分配ダクト200は、ダッシュパネル300を基準として車室の内側に配置される。
このように、蒸発器104及び凝縮器102が設けられた空調ケース110と送風装置130とにより構成された空調モジュール100を、ダッシュパネル300を基準としてエンジンルーム側に配置し、空気を車両の室内に分配するためにモード扉230を有する分配ダクト200を、ダッシュパネル300を基準として車室の内側に配置して組み合わせることにより、騒音を引き起こす空調モジュール100をエンジンルーム側に配置して車室内の騒音及び振動を低減し、車室の内側には分配ダクト200のみを配置して既存のシステムに比べて車室内の空間の確保を極大化することができる。
【0015】
また、ダッシュパネル300には貫通部310が貫設されるが、貫通部310は、図示のように、1つに形成してもよく、1つ以上に形成してもよい。なお、貫通部310は、図示のように、矩形状の構造だけはでなく、様々な形状に形成可能である。さらに、エンジンルーム側に配置された空調モジュール100と車室の内側に配置された分配ダクト200は、貫通部310により組み合わせられるが、すなわち、貫通部310の位置において空調モジュール100と分配ダクト200が組み合わせられて連結される。
換言すると、ダッシュパネル300の貫通部310を貫通する空調モジュール100の空調ケース110の出口110bと分配ダクト200の空気流入口210が係合され、このとき、分配ダクト200の空気流入口210が空調ケース110の出口110bの内側に嵌着される。
また、空調ケース110は、その内部を上下に区切る仕切り壁113により冷風通路111と温風通路112が画成される。すなわち、冷風通路111は仕切り壁113の下部に配置され、温風通路112は仕切り壁113の上部に配置される。このとき、冷風通路111と温風通路112は、空調ケース110の入口110aから仕切り壁113により画成され、空調ケース110の出口110bにおいて合流するように形成される。すなわち、空調ケース110の出口110bにおいては仕切り壁114が省略されて冷風通路111と温風通路112が合流する。
【0016】
また、冷風通路111には蒸発器104が設けられ、温風通路112には凝縮器102が設けられる。さらに、温風通路112と冷風通路111の上下配置構造により凝縮器102と蒸発器104も上下に配置される。換言すると、後述する第1及び第2のブロアー130a、130bのモーター133、137の回転軸が向く軸方向に対して直角方向に凝縮器102と蒸発器104が配置される。
一方、蒸発器104が設けられた冷風通路111には冷風が流動し、凝縮器102が設けられた温風通路112には温風が流動する。さらに、蒸発器104と凝縮器102との間の仕切り壁113には、冷風通路111と温風通路112を連通させるバイパス通路114が貫設され、バイパス通路114にはバイパス通路114を開閉するバイパス扉115が設けられる。
【0017】
バイパス通路114は、冷風通路111内の蒸発器104を通過した冷風の一部を温風通路112側にバイパスし、バイパス扉115は、冷房モードに際してバイパス通路114を閉じ、暖房モードに際してはバイパス通路114を選択的に開閉する。
このため、バイパス扉115がバイパス通路114を閉じた状態で冷房モード時には冷風通路111を流動しながら蒸発器104により冷却された冷風が車室内に供給されて冷房を行い、このとき、温風通路112を流動する空気は外部に放出され、暖房モード時には温風通路112を流動しながら凝縮器102により加熱された温風が車室内に供給されて暖房を行い、このとき、冷風通路111を流動する空気は外部に放出される。
また、暖房モード時、車室内の除湿が必要な場合にはバイパス扉115がバイパス通路114を開くようになり、この場合、冷風通路111を流動しながら蒸発器104によって冷却と除湿された冷風の一部がバイパス通路114を介して温風通路112側にバイパスされた後、車両の室内に供給され、除湿暖房を行う。
【0018】
さらに、凝縮器102は、温風通路112内において空気の流動方向にバイパス通路114よりも下流側に設けられる。このため、蒸発器104を通過しながら加熱された冷風がバイパス通路114を介して凝縮器102側に供給可能になる。
一方、蒸発器104は、冷風通路111内において空気の流動方向にバイパス通路114よりも上流側に設けられる。
そして、空調ケース110の冷風通路111の一方の側には、蒸発器104を通過した冷風を外部に放出する冷風放出口119aと、冷風放出口119aと冷風通路111を開閉する冷風モード扉120と、が配備される。また、空調ケース110の温風通路112の一方の側には、凝縮器102を通過した温風を外部に放出する温風放出口119bと、温風放出口119bと温風通路112を開閉する温風モード扉121と、が配備される。
冷風放出口119aと冷風モード扉120は、冷風通路111において蒸発器104の下流側に配備され、温風放出口119bと温風モード扉121は、温風通路112において凝縮器102の下流側に配備される。冷風放出口119aと温風放出口119bを介して放出される空気は、エンジンルームを経て車両の外部に放出される。
【0019】
このため、冷房モードに際しては、冷風モード扉120が冷風通路111を開き、温風モード扉121が温風放出口119bを開いて、冷風通路111を流動する空気は、蒸発器104を通過しながら冷却された後に分配ダクト200を介して車室内に吐き出されて冷房を行い、このとき、温風通路112を流動する空気は、凝縮器102を通過しながら加熱された後に温風放出口119bを介して外部に放出される。
暖房モードに際しては、温風モード扉121が温風通路112を開き、冷風モード扉120が冷風放出口119aを開いて、温風通路112を流動する空気は、凝縮器102を通過しながら加熱された後に分配ダクト200を介して車室内に吐き出されて暖房を行い、このとき、冷風通路111を流動する空気は、蒸発器104を通過しながら冷却された後に冷風放出口119aを介して外部に放出される。
なお、空調ケース110の外側には、冷風放出口119aと温風放出口119bに外気が逆流することを防止する遮蔽手段125が備えられる。
【0020】
すなわち、走行時の風圧によって外気が冷風放出口119aと温風放出口119bを介して空調ケース110の内部に逆流することを、遮蔽手段125を用いて防止にされることにより、冷風放出口119aと温風放出口119bを介して円滑な熱排出ができるようになり、冷暖房性能を向上させることができる。
遮蔽手段125は、冷風放出口119a及び温風放出口119bが配置された空調ケース110の外側面に、冷風放出口119a及び温風放出口119bをカバーするカバープレート126を形成してなる。
カバープレート126は、冷風放出口119aまたは温風放出口119bの面積よりも大きく形成される。すなわち、カバープレート126は、冷風放出口119a及び温風放出口119bから所定の間隔だけ離れて配置されると共に、長さ方向の両端部は空調ケース110と連結され、幅方向の両端部は開放されるように形成される。
このため、カバープレート126を介して冷風放出口119aと温風放出口119bの正面部を遮蔽して外気が冷風放出口119aと温風放出口119bに逆流することを遮断し、 空調ケース100の内部から冷風放出口119aと温風放出口119bを介して放出される空気は、カバープレート126の両端部の開放された部位を介して円滑に放出される。
【0021】
また、空調ケース110の入口110a側には、冷風通路111及び温風通路112に空気を送風するために送風装置130が設けられる。
送風装置130は、空調ケース110の冷風通路111の入口111a側に吐出口134が連結されて冷風通路111側に空気を送風する第1のブロアー130aと、空調ケース110の温風通路112の入口112a側に吐出口138が連結されて温風通路112側に空気を送風する第2のブロアー130bと、を備える。
第1のブロアー130a及び第2のブロアー130bは、車両の幅方向に互いに離れて向かい合うように配置される。
第1のブロアー130aは、空調ケース110の冷風通路111の入口111a側に連結されるために吐出口134を備えるスクロールケース131と、スクロールケース131の内部に回転自在に設けられる送風ファン132と、スクロールケース131の一方の面に形成されて内外気が流入するインレットリング131aと、スクロールケース131の他方の面に設けられて送風ファン132を回転させるモーター133と、を備える。
【0022】
インレットリング131aは、スクロールケース131において取り入れダクト140が配設される一方の面に形成される。
第2のブロアー130bは、空調ケース110の温風通路112の入口112a側に連結されるために吐出口138を備えるスクロールケース135と、スクロールケース135の内部に回転自在に設けられる送風ファン136と、スクロールケース135の一方の面に形成されて内外気が流入するインレットリング135aと、スクロールケース135の他方の面に設けられて送風ファン136を回転させるモーター137と、を備える。
インレットリング135aは、スクロールケース135において取り入れダクト140が配設される一方の面に形成される。第1のブロアー130a及び第2のブロアー130bは、それぞれのモーター133、137の回転軸が同じ方向になるように設けられる。また、第1のブロアー130aのインレットリング131a及び第2のブロアー130bのインレットリング135aは、向かい合うように形成される。
【0023】
一方、第1及び第2のブロアー130a、130bのスクロールケース131、135は、それぞれ内部に設けられた送風ファン132、136を中心としてスクロール状に形成される。このため、スクロールケース131、135の内部における送風ファン132、136の周りの空気通路は、スクロールの開始地点から終端地点に進むにつれてその断面積が次第に大きくなる。なお、第1及び第2のブロアー130a、130bの吐出口134、138は、スクロールケース131、135のスクロール形状の終端地点から延設されて冷温風通路111、112と連結される。
一方、第1のブロアー130aのスクロールケース131及び第2のブロアー130bのスクロールケース135は、スクロール方向が反対になるように設けられて、第1のブロアー130aのスクロールケース131は仕切り壁113の下部に配設された冷風通路111と連結され、第2のブロアー130bのスクロールケース135は仕切り壁113の上部に配設された温風通路112と連結される。また、第1のブロアー130aと第2のブロアー130bとの間には、第1及び第2のブロアー130a、130bにそれぞれ内外気を供給できるように第1及び第2のブロアー130a、130bと連通される取り入れダクト140が設けられる。
【0024】
すなわち、取り入れダクト140は、第1のブロアー130aと第2のブロアー130bとの間に1つ設けられて、第1及び第2のブロアー130a、130bが1つの取り入れダクト140を共用する。
このように、取り入れダクト140を第1のブロアー130aと第2のブロアー130bとの間に設けることにより、それぞれ別々に作動する2つブロアー130a、130bを使用するシステムにおいて1つの取り入れダクト140を使用することになり、その結果、空間効率を極大化することができ、これにより、システムの小型化及びコストの節減を図ることができる。
取り入れダクト140は、外気を流入する外気の流入口141と、内気を流入させる内気流入口142と、内気流入口142及び外気流入口141と第1のブロアー130aを連通させる通路を開閉するために設けられて第1のブロアー130a側に内外気を選択的に取り入れる第1の内外気切り換え扉147と、内気流入口142及び外気流入口141と第2のブロアー130bを連通させる通路を開閉するために設けられて第2のブロアー130b側に内外気を選択的に取り入れる第2の内外気切り換え扉148と、を備えてなる。
【0025】
すなわち、第1の内外気切り換え扉147は、外気流入口141と内気流入口142との間における第1のブロアー130aのインレットリング131aの上流側に設けられて、インレットリング131aと外気流入口141を連通させる通路と、インレットリング131aと内気流入口142を連通させる通路を選択的に開閉する。
第2の内外気切り換え扉148は、外気流入口141と内気流入口142との間における第2のブロアー130bのインレットリング135aの上流側に設けられて、インレットリング135aと外気流入口141を連通させる通路と、インレットリング135aと内気流入口142を連通させる通路と、を選択的に開閉する。
一方、外気流入口141は取り入れダクト140の上部に形成され、内気流入口142は取り入れダクト140の下部に形成されることが好ましいが、その位置は変更可能である。
第1の内外気切り換え扉147と第2の内外気切り換え扉148もドーム状扉からなる。このように、1つの取り入れダクト140を第1及び第2のブロアー130a、130bの間に設け、取り入れダクト140の内部には第1及び第2の内外気切り換え扉147、148を設けて、取り入れダクト140の内外気流入口141、142に流入する内外気を第1及び第2のブロアー130a、130bに選択的に供給することができる。
【0026】
一方、外気流入口141と内気流入口142にはそれぞれエアフィルター(図示せず)が設けられて、外気流入口141と内気流入口142に流入する空気中に含まれている不純物を除去する。
また、取り入れダクト140の外気流入口141は車両の外部と連通され、取り入れダクト140の内気流入口142は車室内と連通される。このとき、空調ケース110の外側には、内気流入口142と車室内を連絡させる内気流入ダクト143が設けられる。
すなわち、内気流入ダクト143は空調ケース110の外側面に設けられて取り入れダクト140の内気流入口142と車室内を連通させるが、このとき、内気流入ダクト143の入口143aはダッシュパネル300を貫通して車室内と連通される。このとき、内気流入ダクト143の入口143aと空調ケース110の出口110bは、並ぶように配置されて貫通部310を貫通する。
内気流入ダクト143の入口143aと空調ケース110の出口110bを並ぶように配置して貫通部310を貫通するように設けることにより、空調システムの車両への取り付けに当たってダッシュパネル300に1つの貫通部310のみ形成すればよい。
【0027】
そして、分配ダクト200は、空調ケース110の出口110bと連通される空気流入口210と、空気流入口210に流入した空気を車室内の特定の位置に分配する複数の空気吐出口220と、複数の空気吐出口220の開度を調節するモード扉230と、を備える。複数の空気吐出口220は、分配ダクト200の上部に画成されるデフロストベント221及びフェースベント222と、分配ダクト200におけるダッシュパネル300と隣り合う側に形成されるフロアベント223と、を備える。
このとき、車室内の搭乗者の快適性のために、フロアベントに223にはフェースベント222よりも暖かい空気を吐き出し、フェースベント222にはフロアベント223よりも冷たい空気を吐出するが、本発明においては、空調ケース110内の仕切り壁113の上部に温風が流動し、仕切り壁113の下部に冷風が流動する構造であるため、温風が流動する通路に近い位置であるダッシュパネル300と隣り合う側に、フロアベント223を形成する。
【0028】
すなわち、既存のシステムの場合では、フロアベントがダッシュパネル300と隣り合う側ではなくダッシュパネル300から遠い側にに形成されるが、本発明の分配ダクト200では、ダッシュパネル300と隣り合う側にフロアベント223を形成する。これにより、
図10のように、空調ケース110内の上部の温風通路112に沿って流動する温風と空調ケース110内の下部の冷風通路111に沿って流動する冷風とが、分配ダクト200に流入しながら互いに混合されるが、空気流動の流れの上、温風と近いフロアベント223にはより暖かい空気が吐き出され、冷風と近いフェースベント222にはより冷たい空気が吐出されて次室内の快適性を向上させることができる。
一方、デフロストベント221は、車室内のフロントガラスに向かって空気を吐き出し、フェースベント222は、車室内の前席の搭乗者の顔に向かって空気を吐き出し、フロアベント223は、車室内の搭乗者の足に向かって空気を吐き出す。
また、モード扉230は、デフロストベント221及びフェースベント222とフロアベント223にそれぞれ設けられて空気吐出モードに応じて各ベントの開度を調節する。一方、分配ダクト200の内部には、電気加熱式ヒーター240を設けてもよい。
【0029】
以下、本発明に係る車両用空調システムの冷媒流動過程について説明する。
まず、圧縮機において圧縮されて排出される高温高圧の気相冷媒は、凝縮器102に流入する。凝縮器102に流入した気相冷媒は、凝縮器102を通過する空気と熱交換され、この過程において冷媒が冷却されながら液相に相変化される。凝縮器102から排出された液相冷媒は、膨張手段に流入して減圧膨張される。
膨張手段において減圧膨張された冷媒は、低温低圧の霧化状態となって蒸発器104に流入し、蒸発器104に流入した冷媒は、蒸発器104を通過する空気と熱交換して蒸発される。次いで、蒸発器104から排出された低温低圧の冷媒は、圧縮機に流入した後に、上述したような冷凍サイクルを再循環する。
【0030】
以下、冷房モード、暖房モード、ミックスモード時の空気流動過程について説明する。
イ.冷房モード
冷房モードに際しては、
図8に示すように、冷風モード扉120が冷風通路111を開くように作動し、温風モード扉121は温風放出口119bを開くように作動する。また、内気流入モードまたは外気流入モードに応じて第1及び第2の内外気切り換え扉147、148が作動して第1及び第2のブロアー130a、130b側に内気や外気を選択的に供給する。
このため、第1及び第2のブロアー130a、130bが作動すると、取り入れダクト140に流入する内気または外気が第1及び第2のブロアー130a、130bに吸入された後に冷風通路111及び温風通路112にそれぞれ供給される。
冷風通路111に供給される空気は、蒸発器104を通過しながら冷却された後に分配ダクト200に流動し、次いで、空気吐出モードに応じてモード扉230により開かれた空気吐出口220を介して車室内に吐き出されて冷房する。このとき、温風通路112に供給される空気は、凝縮器102を通過しながら加熱され、その後に温風放出口119bを通過した後、カバープレート126の両端部の開放された部分を介して車室外に排出される。
【0031】
ロ.暖房モード
暖房モードに際しては、
図9に示すように、温風モード扉121が温風通路112を開くように作動し、冷風モード扉120は冷風放出口119aを開くように作動する。また、内気流入モードまたは外気流入モードに応じて第1及び第2の内外気切り換え扉147、148が作動して第1及び第2のブロアー130a、130b側に内気や外気を選択的に供給する。
このため、第1及び第2のブロアー130a、130bが作動すると、取り入れダクト140に流入する内気または外気が第1及び第2のブロアー130a、130bに吸入された後に冷風通路111及び温風通路112にそれぞれ供給される。
温風通路112に供給される空気は、凝縮器102を通過しながら加熱された後に分配ダクト200に流動し、次いで、空気吐出モードに応じてモード扉230により開かれた空気吐出口220を介して車室内に吐き出されて暖房する。このとき、冷風通路111に供給される空気は、蒸発器104を通過しながら冷却され、その後に冷風放出口119aを通過した後、カバープレート126の両端部の開放された部分を介して次室外に排出される。
【0032】
ハ、ミックスモード
ミックスモードに際しては、
図10に示すように、冷風モード扉120が冷風通路111を開き、温風モード扉121は温風通路112を開くように作動する。また、内気流入モードまたは外気流入モードに応じて第1及び第2の内外気切り換え扉147、148が作動して第1及び第2のブロアー130a、130b側に内気や外気を選択的に供給する。
このため、第1及び第2のブロアー130a、130bが作動すると、取り入れダクト140に流入する内気または外気が第1及び第2のブロアー130a、130bに吸入された後に冷風通路111及び温風通路112にそれぞれ供給される。
冷風通路111に供給される空気は、蒸発器104を通過しながら冷却された後に分配ダクト200に流動し、温風通路112に供給される空気は、凝縮器102を通過しながら加熱された後に分配ダクト200に流動する。引き続き、分配ダクト200に流動した冷風と温風は、互いに混合された後、空気吐出モードに応じてモード扉230により開かれた空気吐出口220を介して車室内に吐き出される。
【0033】
一方、
図11乃至
図16を参照すると、本発明の変形例に係る車両用空調システムは、圧縮機(図示せず)→凝縮器102→膨張手段(図示せず)→蒸発器104を冷媒循環ライン(図示せず)を用いて連結して、蒸発器104を用いて冷房を行い、凝縮器102を用いて暖房を行うシステムである。本実施形態の説明にあっては、前述した実施形態と重複する構成については、詳細な説明を省略する。
空調ケース110の冷風通路111の一方の側には、暖房モードに際して蒸発器104を通過した冷風(廃熱)を外部に放出する冷風放出口119aと、冷風放出口119aと冷風通路111を開閉する冷風モード扉120と、が配備される。また、空調ケース110の温風通路112の一方の側には、冷房モードに際して凝縮器102を通過した温風(廃熱)を外部に放出する温風放出口119bと、温風放出口119bと温風通路112を開閉する温風モード扉121と、が配備される。
【0034】
また、冷風放出口119aと温風放出口119bから放出される空気が円滑に放出されるようにする放出手段127が備えられる。放出手段127は、空調ケース110の内部において凝縮器102と温風放出口119bは上側に配置し、蒸発器104と冷風放出口119aは下側に配置してなる。
冷房モードに際して凝縮器102と熱交換した熱い廃熱(温風)は上側に放出し、暖房モードに際して蒸発器104と熱交換した冷たい廃熱(冷風)は下側に放出するように構成することにより、換言すると、廃熱の温度に合わせて熱い廃熱は上側に排出し、冷たい廃熱は下側に排出するように冷風放出口119aと温風放出口119bを配置することにより、冷風放出口119aと温風放出口119bを介して円滑な廃熱の排出が可能となり、冷暖房性能を向上させることができる。
また、放出手段127は、冷風放出口119aと温風放出口119bを介して放出される放出空気に対して走行風の抵抗が発生しないように、冷風放出口119aと温風放出口119bを車両の走行方向とは反対方向に形成した構成をさらに含む。
【0035】
すなわち、車両走行時には走行風による動圧によって抵抗が発生して、冷風放出口119aと温風放出口119bを介して放出される空気の流れを妨げるが、冷風放出口119aと温風放出口119bを車両の走行方向とは反対方向に形成することにより、冷風放出口119aと温風放出口119bを介して放出される空気に対して走行風の抵抗が発生しないので、空
気が円滑に放出され、冷暖房を向上させることができる。
一方、冷風放出口119aと温風放出口119bは、車両の走行方向とは反対方向に開かれるように構成される。また、空調ケース110において冷風放出口119aと温風放出口119bの外側には、冷風放出口119aと温風放出口119bに異物が流入することを防止するカバープレート126が配備される。このとき、カバープレート126は、冷風放出口119a及び温風放出口119bから所定の間隔だけ離れて形成される。
【0036】
また、冷風放出口119a側のカバープレート126には、冷風放出口119aを通過した冷風を外部に放出する補助冷風放出口127aが形成され、温風放出口119b側のカバープレート126には、温風放出口119bを通過した温風を外部に放出する補助温風放出口127bが形成される。このとき、放出手段127は、放出空気の走行風の抵抗が発生しないように補助冷風放出口127aと補助温風放出口127bを車両の走行方向とは反対方向に形成した構成をさらに含む。
また、温風放出口119b側のカバープレート126は、外部から流入した水が自重により流れ下るように傾斜面や曲面を有することが望ましい。また、空調ケース110の入口110a側には、冷風通路111及び温風通路112に空気を送風するために送風装置130が設けられる。